説明

画像形成装置

【課題】不要印字や異物を転写紙に付加せず、ヤレ紙の管理を容易に行う。
【解決手段】各種表示を行う表示手段と、画像データに応じた可視像を転写紙上に形成する画像形成手段と、給紙トレイに蓄積されている転写紙を前記画像形成手段に対して給送する給紙手段と、画像形成の制御を行う制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記給紙手段から給送されたものの画像形成出力成果物とされなかった転写紙(ヤレ紙)の枚数を、転写紙の少なくとも一部の領域に画像の少なくとも一部分が形成されたか、あるいは、全く画像が形成されなかったかに分けてカウントすると共に、該ヤレ紙に一部分でも形成された画像の画像データを前記表示手段に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給紙トレイから給送されたものの画像形成出力成果物とされなかった転写紙(ヤレ紙)を確実に管理することが可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
個人情報、あるいは、各種機密情報などを画像形成装置で出力する場合、ジャムや画像形成不良などの理由で給紙トレイから給送されたものの画像形成出力成果物とされなかった転写紙(ヤレ紙)を確実に廃棄したかを管理する必要がある。
【0003】
この場合、画像形成装置から出力されたヤレ紙と画像形成装置からオペレータが取り出したヤレ紙との合計枚数(実ヤレ紙枚数)と、実際にヤレ紙になったはずの転写紙枚数(想定ヤレ紙枚数)とが一致することが重要である。
【0004】
すなわち、実ヤレ紙枚数と想定ヤレ紙枚数とが一致しない場合には、個人情報や機密情報が形成されたヤレ紙がどこかに残っていて廃棄されないことを意味している。
このようなヤレ紙対策として、各用紙1枚ごとに用紙IDを付与し、かつ、形成する画像にも画像IDを付与し、用紙IDと画像IDとを管理するといった手法が用いられることがあった(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−190365号公報(第1頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の特許文献記載の管理手法では、画像形成された転写紙に用紙IDを記録されるため、用紙の一部にバーコードを印字したり、ICチップを埋め込むといったことを行っている。従って、用紙の一部に不要な印字あるいは異物(ICチップ)を付加する必要があった。
【0006】
さらに、用紙1枚毎の管理を行う必要があって、管理が非常に繁雑になるという問題を有していた。また、この用紙1枚毎の管理のために、画像形成装置とは別に、管理サーバや、バーコード読み取り装置、ICチップ読み取り装置などが別途必要になり、システムが大がかりになるという問題も有していた。
【0007】
したがって、大量の用紙を扱う場合には、特許文献1記載の手法を適用することは現実的ではないという問題を有していた。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであって、不要な印字や異物を転写紙に付加することなく、大量の転写紙を扱う場合であってもヤレ紙の管理を容易に行える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決する本発明は、以下に記載するようなものである。
(1)請求項1記載の発明は、画像データに応じた可視像を転写紙上に形成する画像形成手段と、給紙トレイに蓄積されている転写紙を前記画像形成手段に対して給送する給紙手段と、画像形成の制御を行う制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記給紙手段から給送されたものの画像形成出力成果物とされなかった転写紙(ヤレ紙)の枚数を、転写紙の少なくとも一部の領域に画像の少なくとも一部分が形成されたか、あるいは、全く画像が形成されなかったかに分けてカウントする、ことを特徴とする画像形成装置である。
【0009】
(2)請求項2記載の発明は、各種表示を行う表示手段と、画像データに応じた可視像を転写紙上に形成する画像形成手段と、給紙トレイに蓄積されている転写紙を前記画像形成手段に対して給送する給紙手段と、画像形成の制御を行う制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記給紙手段から給送されたものの画像形成出力成果物とされなかった転写紙(ヤレ紙)の枚数を、転写紙の少なくとも一部の領域に画像の少なくとも一部分が形成されたか、あるいは、全く画像が形成されなかったかに分けてカウントすると共に、該ヤレ紙に一部分でも形成された画像の画像データを前記表示手段に表示する、ことを特徴とする画像形成装置である。
【0010】
(3)請求項3記載の発明は、各種操作あるいは各種指示が入力される操作入力手段を備え、前記制御手段は、該操作入力手段に所定のパスワードが入力された場合に、前記ヤレ紙に形成された画像の画像データを前記表示手段に表示する、ことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置である。
【0011】
(4)請求項4記載の発明は、前記制御手段は、1部内で複数の画像形成が実行された頁の転写紙、あるいは、ジョブ完了前に画像形成が中断された際における1部内でそれまでに給紙された転写紙をヤレ紙と判断する、ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の画像形成装置である。
【0012】
(5)請求項5記載の発明は、原稿の画像を読み取って画像データを生成する画像読取手段を備え、前記制御手段は、前記制御手段は、前記給紙手段から給送されたものの画像形成出力成果物とされなかった転写紙(ヤレ紙)に一部分でも形成された画像の画像データを保持し、前記画像読取手段によってヤレ紙が読み取られて得られた画像と、ヤレ紙に形成されたものとして保持しておいた画像との比較を行い、該比較結果を前記表示手段に表示する、ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の画像形成装置である。
【0013】
(6)請求項6記載の発明は、前記画像読取手段は、前記ヤレ紙を処理する断裁手段に配置されている、ことを特徴とする請求項5記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると以下のような効果が得られる。
(1)請求項1記載の発明では、給紙手段から給送されたものの画像形成出力成果物とされなかった転写紙(ヤレ紙)の枚数について、転写紙の少なくとも一部の領域に画像の少なくとも一部分が形成されたか、あるいは、全く画像が形成されなかったかに分けてカウントすることにより、情報流出を防止するためには、オペレータあるいは管理者は、画像付きのヤレ紙の枚数が揃っているか否かを管理すればよくなる。これにより、不要な印字や異物を転写紙に付加することなく、大量の転写紙を扱う場合であってもヤレ紙の管理を容易に行えるようになる。
【0015】
(2)請求項2記載の発明では、給紙手段から給送されたものの画像形成出力成果物とされなかった転写紙(ヤレ紙)の枚数について、転写紙の少なくとも一部の領域に画像の少なくとも一部分が形成されたか、あるいは、全く画像が形成されなかったかに分けてカウントすると共に、該ヤレ紙に一部分でも形成された画像を表示手段に表示することにより、ヤレ紙に形成されたはずの画像を確認し、さらに、ヤレ紙と比較することができ、不要な印字や異物を転写紙に付加することなく、大量の転写紙を扱う場合であってもヤレ紙の管理を確実かつ容易に行えるようになる。
【0016】
(3)請求項3記載の発明では、操作入力手段に所定のパスワードが入力された場合に、ヤレ紙に形成された画像を表示手段に表示することにより、ヤレ紙に形成された情報が拡散することなく、セキュリティに配慮された状態を保つことができる。
【0017】
(4)請求項4記載の発明では、1部内で複数の画像形成が実行された頁の転写紙、あるいは、ジョブ完了前に画像形成が中断された際における1部内でそれまでに給紙された転写紙をヤレ紙と判断することで、ヤレ紙の存在を確実に把握することが可能になる。
【0018】
(5)請求項5記載の発明では、ヤレ紙に一部分でも形成された画像の画像データを保持しておき、画像読取手段によってヤレ紙が読み取られて得られた画像と、ヤレ紙に形成されたものとして保持されている画像との比較を行なって該比較結果を表示手段に表示することにより、ヤレ紙に形成されたはずの画像と存在するヤレ紙の画像とを装置側で比較し、不一致(不足しているヤレ紙)を自動的に表示することが可能になる。
【0019】
(6)請求項6記載の発明では、ヤレ紙を読み取る画像読取手段は、ヤレ紙を処理する断裁手段に配置されていることで、ヤレ紙に一部分でも形成された画像の画像データを保持しておき、画像読取手段によってヤレ紙が読み取られて得られた画像と、ヤレ紙に形成されたものとして保持されている画像との比較を行なって該比較結果を表示手段に表示することにより、ヤレ紙に形成されたはずの画像と存在するヤレ紙の画像とを装置側で比較し、不一致(不足しているヤレ紙)を自動的に表示することが可能になり、さらに、この処理をヤレ紙の断裁処分と並行して実行できるため作業が効率的になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態)を詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の画像形成装置100として複写機と断裁装置とを具体例にした構成を示すブロック図である。
【0021】
図1において、101は画像形成装置100全体を制御する制御手段としてCPUなどで構成された制御部、102は画像形成装置の設定の操作をユーザあるいはキーオペレータが入力する操作入力部、103は装置の状態をユーザに対して表示する表示部である。なお、ここでは、操作の入力と表示とを個別に行う操作入力部と表示部とを示したが、両方を行う操作表示部の構成であってもよい。106は画像形成に関する各種情報を保持する情報保持部である。
【0022】
110は外部機器からの画像データを受け付けるインタフェースであり、画像形成装置100がプリンタとして動作する際に画像データを受け付ける。
120は原稿の画像情報を光学的にスキャンして読み取って画像データを生成するスキャナ部であり、原稿の画像をスキャンして画像データを生成する画像読み取り部と、この画像読み取り部に対して原稿を自動的に給送する自動原稿給送手段(ADF)とを備えて構成されている。
【0023】
130はスキャナ120で読み取って得られた画像データに所定の画像処理を施す画像処理部であり、必要に応じて画像データを保持するための所定の容量の画像メモリ135を有している。
【0024】
140は画像データに応じた画像(トナー像)を記録紙上に形成して出力するプリントエンジンであり、給紙トレイから所望の記録紙を画像形成部に対して給紙する給紙部と、給紙された記録紙を所定の速度で搬送する搬送部と、画像データに応じたレーザビームを発生する画像書き込み部と、レーザビームに応じた潜像からトナー像を生成して記録紙に転写する画像形成部と、を備えて構成されている。
【0025】
〔第一実施形態〕
以下、本実施形態の画像形成装置の動作(第一実施形態)について、図2のフローチャートを参照して説明を行う。
【0026】
なお、この実施形態では、給紙手段から給送されたものの画像形成出力成果物とされなかった転写紙を「ヤレ紙」と呼ぶことにする。また、ヤレ紙に一部分でも形成された画像を「ヤレ画像」と呼ぶことにする。さらに、転写紙の少なくとも一部の領域に画像の少なくとも一部分が形成されたヤレ紙を「画像付きヤレ紙」と呼ぶことにする。
【0027】
ここで、定着前であっても、画像の少なくとも一部分が転写紙に転写された状態であれば、「転写紙の少なくとも一部の領域に画像の少なくとも一部分が形成された転写紙」、すなわちヤレ紙に該当する。
【0028】
なお、この図2は画像形成時におけるヤレ紙管理を伴った制御のフローチャートである。
まず、画像形成装置の制御部101は、スキャナ部120に原稿が載置されて複写あるいはスキャン開始のスタートボタンが操作された場合には、スキャナ部120に原稿読み取りの指示を与える。スキャナ部120で原稿が読み取られ、生成された画像データは画像メモリ135に格納される。この際に、スキャナ120で読み取られた原稿の枚数M、操作入力部102に入力された画像形成部数Qのデータは、情報記憶部106に保持される(図2中のステップS201)。
【0029】
また、画像形成装置の制御部101は、外部機器から画像データと画像形成のコマンドが送られてきた場合には、外部機器からの画像データは画像メモリ135に格納され、頁数Mと画像形成部数Qのデータは情報記憶部106に保持される(図2中のステップS201)。
【0030】
ここで、制御部101は、画像形成するM頁・Q部について、実行中の画像形成部をq、実行中の画像形成頁をmとして、q=1〜Q、m=1〜Mについて画像形成を実行する(図2中のステップS203,S204,S205,S206,S207,S212,S213)。
【0031】
ここで、制御部101は、q部におけるm頁目の画像形成を実行中において、この頁の画像形成頁数をNqmとしてカウントする(図2中のステップS207)。すなわち、1部内の同一頁について複数頁の画像形成が実行された場合、その頁の転写紙については何らかの事情によりヤレ紙が発生したため、同一頁の画像形成を繰り返していることを意味している。
【0032】
ここで、Nqm>1であれば(図2中のステップS208でYES)ヤレ紙が発生していることを意味しているため、制御部101は、q部目・m頁目の画像データをヤレ画像として、情報記憶部106に保存する(図2中のステップS209)。
【0033】
なお、制御部101は、このNqmについて、正常な1枚を減じた(Nqm−1)を、画像付きヤレ紙枚数Nとして累積して計算しておく(図2中のステップS210)。
そして、画像形成中にジャムによるジョブ実行中止などが発生しない場合には(図2中のステップS211でNO)、制御部101は、1部あたりM頁の画像形成を繰り返し(図2中のステップS212)、かつ、M頁の画像形成をQ部繰り返して実行する(図2中のステップS213)ように制御する。そして、制御部101の指示により、この際に、途中で発生したヤレ紙についての判定(図2中のステップS208)、ヤレ画像の保存(図2中のステップS209)、画像付きヤレ紙枚数Nの累積(図2中のステップS210)を実行しておく。
【0034】
そして、画像形成中にジャムによるジョブ実行中止などが発生せず(図2中のステップS211でNO)、1部あたりM頁の画像形成を繰り返し(図2中のステップS212)、かつ、M頁の画像形成をQ部繰り返して実行完了した場合(図2中のステップS213でYES)、制御部101は、全給紙転写紙枚数とM頁・Q部に必要な転写紙枚数との差Zについて、Z=(全給紙転写紙枚数)−(M×Q)として求め、このZを総ヤレ紙枚数として情報記憶部106に保存する(図2中のステップS214)。
【0035】
また、画像形成中にジャムによるジョブ実行中止などが発生した場合には(図2中のステップS211でYES)、制御部101の制御により、画像形成を中止する際のq部において画像形成された転写紙枚数mを、上記画像付きヤレ紙枚数Nの累積値に加算し、停止までの1〜m頁目までの画像データをヤレ画像として情報記憶部106に保存する(図2中のステップS215)。すなわち、ジョブの実行中止にともない、q部めにおいて、その時点までの転写紙の全てがヤレ紙となるからである。
【0036】
そして、制御部101は、全給紙転写紙枚数とM頁・q−1部に必要な転写紙枚数との差Zについて、Z=(全給紙転写紙枚数)−(M×(q−1))として求め、このZを総ヤレ紙枚数として情報記憶部106に保存する(図2中のステップS216)。
【0037】
そして、制御部101は、所定のタイミングで、たとえば、一連の複数のジョブの実行が終了した時点や一日の全てのジョブの実行が終了した時点などで、ヤレ紙とヤレ画像に関する結果表示を表示部103に行う(図2中のステップS216)。
【0038】
ここで、制御部101によって、総ヤレ紙枚数Zと、画像付きヤレ紙枚数Nとが別々にカウントされて保存されており、また、ヤレ画像についても保存がなされている。
したがって、以上の実施形態では、給送されたものの画像形成出力成果物とされなかった転写紙(ヤレ紙)の枚数について、転写紙の少なくとも一部の領域に画像の少なくとも一部分が形成されたヤレ紙(画像付きヤレ紙)枚数Nと、全く画像が形成されなかったヤレ紙枚数(Z−N)とを、分けてカウントすることにより、情報流出を防止するためには、オペレータあるいは管理者は画像付きヤレ紙の枚数が確実に揃っているかを確認すればよくなる。したがって、不要な印字や異物を転写紙に付加することなく、大量の転写紙を扱う場合であってもヤレ紙の管理を容易に行えるようになる。なお、NとZ−Nを分けてカウントするかわりに、ZとNとを分けてカウントしてもよい。
【0039】
この場合、たとえば、図4のようなジョブ毎の、ジョブ番号、出力名(ジョブ名)、出力時刻、送ヤレ紙枚数、画像付きヤレ紙枚数、の一覧を、制御部101が表示部103に表示する。すなわち、N枚の画像付きヤレ紙が確認できれば、個人情報や機密情報が漏れることはなくなる。
【0040】
また、以上の実施形態では、給送されたものの画像形成出力成果物とされなかった転写紙(ヤレ紙)の枚数について、転写紙の少なくとも一部の領域に画像の少なくとも一部分が形成されたか、あるいは、全く画像が形成されなかったかに分けてカウントすると共に、該ヤレ紙に一部分でも形成された画像の画像データを表示部103に表示することにより、ヤレ紙に形成されたはずの画像を確認し、さらに、ヤレ紙と比較することができ、不要な印字や異物を転写紙に付加することなく、大量の転写紙を扱う場合であってもヤレ紙の管理を確実かつ容易に行えるようになる。
【0041】
この場合、たとえば、図4のようなジョブ毎の、ジョブ番号、出力名(ジョブ名)、出力時刻、送ヤレ紙枚数、画像付きヤレ紙枚数、の一覧を、制御部101が表示部103に表示すると共に、各ジョブ毎に画像確認のアイコンを表示する。そして、操作者が画像確認のアイコンをタッチすることで、画像付きヤレ紙の画像(ヤレ画像)が図6のように表示される。
【0042】
なお、図5のように、画像確認の際には、操作入力部102に所定のIDやパスワードが入力された場合に、制御部101がヤレ画像を表示部103に表示することにより、ヤレ紙に形成された情報が拡散することなく、セキュリティに配慮された状態を保つことができる。
【0043】
〔第二実施形態〕
ここで、図3のフローチャートを参照して、第二の実施形態を説明する。なお、この図3はヤレ紙・ヤレ画像自動照合の制御のフローチャートである。
【0044】
所定のタイミングで、たとえば、一連の複数のジョブの実行が終了した時点や一日の全てのジョブの実行が終了した時点などで、操作入力部102からヤレ紙・ヤレ画像自動照合の指示があると、制御部101は図2のフローチャートに従った制御を開始する。
【0045】
一連のジョブにより得られたヤレ紙、すなわち、画像形成装置100から出力されたヤレ紙やジャム発生により画像形成装置100内から取り出されたヤレ紙が、操作者によりスキャナ部120の原稿台に載置されると、制御部101の制御によりヤレ紙の画像が読み取られる(図3中のステップS301)。
【0046】
また、これと並行して、情報記憶部106に保存されている一連のジョブのヤレ画像が制御部101によって呼び出され(図3中のステップS302)、そして、制御部101の指示により、ヤレ紙をスキャンして得た画像(ヤレ紙画像)と保存しておいたヤレ画像(保存ヤレ画像)とを画像処理部120で比較し(図3中のステップS303)、両者が一致した場合には(図3中のステップS304でYES)、一致した保存ヤレ画像を情報記憶部106から削除する(図3中のステップS305)。なお、以上の動作を、存在するヤレ紙全てについて実行する(図3中のステップS306)。なお、以上の画像比較については、スキャナ部120で読み取るヤレ紙1枚ごとに実行してもよいし、高速に全てのヤレ紙をスキャンしてしまって、その後に、全てのヤレ紙画像と全ての保存ヤレ画像との比較を行うようにしてもよい。
【0047】
全てのヤレ紙をスキャンし終わった時点(図3中のステップS306でNO)で、保存ヤレ画像に残りが存在していれば(図3中のステップS307でYES)、画像形成装置100内に画像付きヤレ紙が残っているか、あるいは、画像付きヤレ紙を紛失していると考えられるため、制御部101は、画像付きヤレ紙が残存している旨の警告表示を、該ヤレ画像の表示とその枚数の表示とを、表示部103に行う(図3中のステップS308)。
【0048】
全てのヤレ紙をスキャンし終わった時点(図3中のステップS306でNO)で、保存ヤレ画像に残りが存在していなければ(図3中のステップS307でNO)、制御部101は、画像付きヤレ紙がすべて揃っている表示を、表示部103に行う(図3中のステップS309)。
【0049】
なお、以上の画像付きヤレ紙が残存している警告表示や、全ての画像付きヤレ紙が揃っている表示については、複数のジョブをまとめて照合した場合でも、ジョブ毎に表示すればよい。これにより、ヤレ紙に形成されたはずの画像と存在するヤレ紙の画像とを画像形成装置100側で比較し、不一致(不足している画像付きヤレ紙)のみを自動的に表示部103に表示することが可能になる。これにより、操作者の負担を軽減することができる。
【0050】
すなわち、不要な印字や異物を転写紙に付加することなく、大量の転写紙を扱う場合であってもヤレ紙の管理を容易に行える画像形成装置を実現できる。このように、操作者の負担を軽減しつつヤレ紙の管理を容易に行える結果、ヤレ紙の管理に漏れが生じにくくなり、情報漏洩といった問題が発生しにくい状況が維持されることになる。
【0051】
また、以上のヤレ紙のスキャンをスキャナ部120で行うかわりに、図7に示された、断裁装置200のシュレッダ部220の入り口近傍に配置されたスキャナ部210で実行することも可能である。これにより、ヤレ紙に形成されたはずの画像と存在するヤレ紙の画像とを画像形成装置100側で比較し、比較結果の不一致、すなわち不足しているヤレ紙を自動的に表示部103に表示することが可能になり、さらに、この処理をヤレ紙の断裁処分と並行して実行できるため作業が効率的になる。
【0052】
また、このように断裁装置200を用いることで、ヤレ紙に形成された画像が人目に触れにくくなり、セキュリティが一層向上する。そして、セキュリティー向上のためのオペレータの作業が容易になる。この結果、ヤレ紙の管理に漏れが生じにくくなり、情報漏洩といった問題が発生しにくい状況が維持されることになる。
【0053】
なお、以上の実施形態の説明では、電子写真方式の画像形成装置におけるヤレ紙の管理を具体例としてきたが、インクジェット方式など、その他の各種の画像形成装置や各種の印刷装置において、以上の実施形態を適用することで、ヤレ紙の管理に関して良好な結果を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施形態の画像形成装置の構成を示す回路構成図である。
【図2】本発明の実施形態の画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態の画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態の画像形成装置の表示部の表示画面例を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態の画像形成装置の表示部の表示画面例を示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態の画像形成装置の表示部の表示画面例を示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態の画像形成装置の構成を示す回路構成図である。
【符号の説明】
【0055】
100 画像形成装置
101 制御部
102 操作入力部
103 表示部
106 情報保持部
120 スキャナ
130 画像処理部
140 プリントエンジン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに応じた可視像を転写紙上に形成する画像形成手段と、
給紙トレイに蓄積されている転写紙を前記画像形成手段に対して給送する給紙手段と、
画像形成の制御を行う制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記給紙手段から給送されたものの画像形成出力成果物とされなかった転写紙(ヤレ紙)の枚数を、転写紙の少なくとも一部の領域に画像の少なくとも一部分が形成されたか、あるいは、全く画像が形成されなかったかに分けてカウントする、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
各種表示を行う表示手段と、
画像データに応じた可視像を転写紙上に形成する画像形成手段と、
給紙トレイに蓄積されている転写紙を前記画像形成手段に対して給送する給紙手段と、
画像形成の制御を行う制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記給紙手段から給送されたものの画像形成出力成果物とされなかった転写紙(ヤレ紙)の枚数を、転写紙の少なくとも一部の領域に画像の少なくとも一部分が形成されたか、あるいは、全く画像が形成されなかったかに分けてカウントすると共に、該ヤレ紙に一部分でも形成された画像の画像データを前記表示手段に表示する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
各種操作あるいは各種指示が入力される操作入力手段を備え、
前記制御手段は、該操作入力手段に所定のパスワードが入力された場合に、前記ヤレ紙に形成された画像の画像データを前記表示手段に表示する、
ことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、1部内で複数の画像形成が実行された頁の転写紙、あるいは、ジョブ完了前に画像形成が中断された際における1部内でそれまでに給紙された転写紙をヤレ紙と判断する、
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
原稿の画像を読み取って画像データを生成する画像読取手段を備え、
前記制御手段は、
前記制御手段は、前記給紙手段から給送されたものの画像形成出力成果物とされなかった転写紙(ヤレ紙)に一部分でも形成された画像の画像データを保持し、
前記画像読取手段によってヤレ紙が読み取られて得られた画像と、ヤレ紙に形成されたものとして保持しておいた画像との比較を行い、該比較結果を前記表示手段に表示する、
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像読取手段は、前記ヤレ紙を処理する断裁手段に配置されている、
ことを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−14998(P2009−14998A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−176513(P2007−176513)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】