説明

画像形成装置

【課題】中間転写ベルトのみを交換することでコストの低廉化が図れ、かつ迅速な交換を可能にする。
【解決手段】画像形成装置本体と、中間転写ベルト2を有し、画像形成装置本体に装着されたセット位置Aと画像形成装置本体から引き出されたベルト交換位置Bとにわたりスライド可能に支持されている中間転写ユニット1と、中間転写ユニット1に設けられ、中間転写ベルト2のテンションを弛張させる弛張機構とを具備し、中間転写ユニット1をベルト交換位置Bに配し、かつ中間転写ベルト2のテンションを弛めた状態で、中間転写ベルト2のベルト幅方向への出し入れを行うことにより中間転写ベルト2の交換が可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中間転写ベルトを有する中間転写ユニットを画像形成装置本体から取外すことなく中間転写ベルト単体の交換が可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の中間転写ベルトは、経年変化或いはプリント枚数の増大により寸法変化や破損に起因するプリントトラブルが発生する可能性があるため、定期的に交換する必要がある。
【0003】
その中間転写ベルトの交換技術としては、中間転写ベルトと、そのベルトの支持部材と、これら中間転写ベルト及び支持部材を支持するフレームとからなるベルトカートリッジ毎、交換する技術(例えば特許文献1参照)、或いは、上記ベルトカートリッジと現像ユニットとを一体化したプロセスカートリッジ毎、交換する技術(例えば特許文献2参照)が知られている。
【特許文献1】特開平8−123294号公報
【特許文献2】特開平3−255464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した2方法による場合には、中間転写ベルトよりも耐用年数が長いローラ類及びその駆動機構も同時に交換されてしまい、コストが上昇するという難点がある。また、画像形成装置のプリント速度の高速化に伴い、画像形成部の周辺部(感光体や現像器など)が大型化し、これによって中間転写ベルトの周長の長寸化や中間転写ベルトを支持するローラ数の増大化が招来されて機械構成が複雑かつ高重量になるため、上述した2方法による場合には迅速に交換することが難解になるという不都合がある。
【0005】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するものであり、中間転写ベルトのみを交換することでコストの低廉化が図れ、かつ迅速な交換が可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る画像形成装置は、画像形成装置本体と、中間転写ベルトを有し、前記画像形成装置本体に装着されたセット位置と前記画像形成装置本体から引出されたベルト交換位置とにわたりスライド可能に支持されている中間転写ユニットと、前記中間転写ユニットに設けられ、前記中間転写ベルトのテンションを弛張させる弛張機構とを具備し、前記中間転写ユニットを前記ベルト交換位置に配し、かつ前記弛張機構によって前記中間転写ベルトのテンションを弛めた状態で、中間転写ベルトのベルト幅方向への出し入れを行うことにより中間転写ベルトの交換が可能とされていることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2に係る画像形成装置は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記中間転写ユニットは前記中間転写ベルトを周回駆動させる複数のローラを有し、かつ、前記画像形成装置本体は前記中間転写ユニットを前記ローラの軸方向であって前記セット位置とベルト交換位置とにわたりスライドさせるスライド機構を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3に係る画像形成装置は、請求項1または2に記載の画像形成装置において、前記スライド機構は前記中間転写ベルトの周回移動域の内側に設けられ、かつ、前記弛張機構は前記中間転写ベルトのテンションを弛張するテンションローラを有するとともにそのテンションローラが前記周回移動域の内側に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の画像形成装置による場合には、画像形成装置本体のセット位置からベルト交換位置へ中間転写ユニットをスライドさせ、弛張機構により中間転写ベルトのテンションを弛め、その弛めた状態で、中間転写ベルトをベルト幅方向へ出入れすることにより中間転写ベルトの交換が行われる。よって、中間転写ユニットを画像形成装置本体から降ろすことなく、中間転写ベルトのみの交換が可能となるので、コストの低廉化が図れ、かつ迅速な交換が可能になる。
【0010】
請求項2の発明による場合には、ローラに邪魔されることなく中間転写ベルトのみの取外し及び取付けができ、また耐用年数の長いローラやその他機構部品を交換する必要がない。
【0011】
請求項3の発明による場合には、中間転写ユニットをセット位置からベルト交換位置へスライドさせて中間転写ベルトの交換が可能であるので、ベルトカートリッジ毎の交換、或いはプロセスカートリッジ毎の交換のような組み替えに伴う不具合の防止、メンテナンスに要する時間の削減、客先でのメンテナンスの容易化、耐用年数を迎えていない部品の有効な使用などが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明を具体的に説明する。
【0013】
まず、図1及び図2に基づき、本実施形態に係るプリンタ20(画像形成装置に相当)について、構造、動作の概略を説明する。図1は、本発明の実施形態に係るプリンタ20の構成を示す正面模型的断面図である。図2は、そのプリンタ20に設けられた画像形成ユニット71の拡大模型的断面図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態のプリンタ20は、いわゆるタンデム型であり、中間転写ベルト2(無端状ベルトに相当)を用いてフルカラーの画像をシートに形成する。そのため、シート供給部22、シート搬送部23、2次転写部24、定着部25、排出部26、画像形成部27、本発明の要部である中間転写ユニット1を主な構成として有する。尚、本プリンタ20におけるトナーは、正帯電のものを用いるものとして以下説明する。
【0015】
前記シート供給部22は、画像形成装置本体11内の下部に引き出し可能に配置され、その内部にプリンタ用紙、ラベルシート、OHPシート等、各種、各サイズのシートが収容される。シート供給部22は、画像形成を行う旨がプリンタ20に入力されると、1枚ずつシートをシート搬送部23に送り出す。
【0016】
前記シート搬送部23は、プリンタ20の左側内面に沿って垂直上方にシートをシート供給部22から排出部26までシートを搬送する。シート搬送部23には、シートの搬送方向を案内するためのガイド板31や、モータ、ギア等からなる駆動機構(不図示)に接続され回転駆動する搬送ローラ対32が設けられる。又、シートを2次転写部24にタイミングを合わせて進入させるレジストローラ対33が、2次転写ローラ40の下方に設けられる。
【0017】
前記2次転写部24は、画像形成部27で形成されたトナー像が重畳して転写(1次転写)された中間転写ベルト2上のトナー像をシートに転写する。2次転写部24は、主として2次転写ローラ40と、2次転写ローラ40に対向して配され、中間転写ベルト2を張架し、モータ、ギア等の駆動機構(不図示)と接続され回転駆動する駆動ローラ2aで構成されるが、詳細は後述する。
【0018】
前記定着部25は、2次転写部24の上方に配され、2次転写されたトナー像をシートに定着させる。また、定着部25は、シート上のトナー像に接する加熱ローラ51と、加熱ローラ51に圧接して配置される加圧ローラ52とを有し、加熱ローラ51と加圧ローラ52のニップに2次転写後のシートを進入させてトナー像をシートに定着させる。前記排出部26は、定着の完了後のシートを排出トレイ61に排出する部分であって、プリンタ20の上部に配される。
【0019】
画像形成部27は、シート供給部22の上方かつ、中間転写ベルト2の下方に設けられる。画像形成部27は、シアン用の画像形成ユニット71C、マゼンタ用の画像形成ユニット71M、イエロー用の画像形成ユニット71Y、及びブラック用の画像形成ユニット71Bで構成される。具体的に、画像形成ユニット71C、71M、71Y、71Bは、中間転写ベルト2の周回方向上流側のベルトクリーニング装置138と下流側の2次転写部24との間で、中間転写ベルト2に近接して並列配置される。尚、各画像形成ユニット71C、71M、71Y、71Bの配置の順番はこの限りではないが、各色の混色等、完成画像への影響を配慮すると、この配置が好ましい。尚、各画像形成ユニット71C〜71Bの構成については後述する。
【0020】
前記中間転写ユニット1は、中間転写ベルト2を周回駆動する駆動ローラ2a、従動ローラ2b、中間転写ベルト2の周回移動域の内側に設けられた4本の1次転写ローラ2c、ベルトクリーニング装置138等で構成され、ユニット化されている。尚、各ローラの本数は、これに限られるものではない。
【0021】
中間転写体としての中間転写ベルト2は、例えば誘電体樹脂で形成され、複数のローラに周回可能に張架される。又、中間転写ベルト2には、その両端を互いに重ね合わせて接合してエンドレス形状にしたベルトや、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが用いられる(=無端状ベルト)。尚、以下、中間転写ベルト2の外側の面を「表面」と称し、他方の面を「裏面」と称する。
【0022】
駆動ローラ2aは、2次転写ローラ40に対向して配されるローラであって、中間転写ユニット1のうち、図1の最左方に配されるローラである。この駆動ローラ2aには、モータ・ギア等から構成される駆動機構(不図示)が接続され、駆動ローラ2aは回転駆動する。この駆動ローラ2aにより、中間転写ベルト2は、図1では時計回りに周回駆動する。尚、駆動ローラ2aは、2次転写部24の一部も構成する。
【0023】
図2も参照して1次転写ローラ2cは、中間転写ベルト2の感光体ドラム72が接触している部分の裏面に接するように配される。具体的には、1次転写ローラ2cは、図1において上下方向に移動可能であって、必要に応じて中間転写ベルト2を介して画像形成ユニット71C〜71Bの感光体ドラム72(図2参照)に圧接され、1次転写部を構成する。そして、1次転写ローラ2cは、電源(不図示)によりトナーの帯電極性と逆極性(本実施形態では負)の電圧(電流)を印加される。つまり、1次転写ローラ2c(1次転写部)は、中間転写ベルト2と接触している位置で、中間転写ベルト2にトナーの帯電極性と逆極性のバイアスを印加する。このバイアス印加で、中間転写ベルト2の表面側に位置する感光体ドラム72から中間転写ベルト2にトナーが引き付けられ、画像形成ユニット71C〜Bで形成されたトナー像が中間転写ベルト2表面に1次転写される。
【0024】
そして、中間転写ベルト2の周回駆動とともに所定のタイミングで各画像形成ユニット71C〜71Bのトナー像が中間転写ベルト2に順次転写され、中間転写ベルト2表面にはシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされたフルカラーのトナー像が形成される。尚、中間転写ベルト2表面のフルカラートナー像は、2次転写部24でシートに再度転写される。
【0025】
ベルトクリーニング装置138は、シアン用画像形成ユニット71Cの中間転写ベルト2の周回方向上流側、従動ローラ2bに対向する位置に設けられ、2次転写後に中間転写ベルト2表面に残留するトナー等を除去し、回収する。
【0026】
次に、図2に基づき、各画像形成ユニット71の構成、動作について説明する。
【0027】
尚、4色の各画像形成ユニット71C〜71Bは構造が共通するので、「C」「M」「Y」「B」の記号は省略し、1つの画像形成ユニット71について説明する。又、図2中の破線矢印は、各回転部材の回転方向を示す。
【0028】
画像形成ユニット71は、像担持体としての感光体ドラム72と、帯電装置73、露光装置74、現像装置75、クリーニング装置76、除電装置77等で構成される。本実施形態の画像形成ユニット71は、絶縁性液体(キャリア液)中にトナー粒子を分散させた液体現像剤を用いてトナー像を形成する。そして、外部コンピュータ(不図示)から受信した文字や図形、模様等の画像データに基づいて感光体ドラム72上に静電潜像が形成され、この静電潜像を現像装置75により可視像(トナー像)に現像する。
【0029】
感光体ドラム72は、アルミニウム等で構成される導電性基体の外周面に、アモルファスシリコンの感光層を設けた円筒状の部材であり、その表面に帯電(本実施形態では正帯電)したトナーのトナー像を担持可能である。尚、反転現像方式を採用しているので、本実施形態では正帯電のアモルファスシリコン感光体と正極性に帯電可能なトナーを用いる。感光体ドラム72は、図示しない駆動装置によってシート搬送速度(例えば210mm/s)とほぼ同じ周速で図中反時計回りに回転する。
【0030】
帯電装置73は、感光体ドラム72の表面を均一に帯電させる。帯電装置73は、細いワイヤー等を電極として高電圧を印加して放電するコロナ放電装置を使用可能であるが、ローラ、ブラシ等によるものでも良い。
【0031】
帯電装置73の感光体ドラム72の回転方向下流側に、露光装置74が配される。露光装置74はアレイ状等のLED光源を有し、帯電した感光体ドラム72表面に画像データに応じた光を照射して、照射部分の電位を光減衰させて感光体ドラム72表面に静電潜像を形成する。なお、LEDに代えて、LSU(Laser Scan Unit)等を用いることもできる。
【0032】
現像装置75は、前述のように、シリコンオイル等からなる絶縁性液体であるキャリア液中に、正帯電する微細な樹脂からなるトナー粒子を分散、混濁させた液体現像剤により感光体ドラム72表面の静電潜像をトナー像として現像する。尚、現像装置75内のタンク75aには、回収したキャリア液の再利用を行い、濃度調整を行って現像装置75に液体現像剤を補給する液体現像剤循環装置(不図示)が接続される。
【0033】
具体的には、回転可能に支持され感光体ドラム72に接触して液体現像剤を供給する現像ローラ75bと、現像ローラ75bに接触し液体現像剤を供給する供給ローラ75cと、供給ローラ75c下部に接触する支持ローラ75dと、供給ローラ75cに接触して設けられ、供給ローラ75c上に担持される液体現像剤の層厚を所定値に規制するブレード75eと、液体現像剤循環装置から供給される液体現像剤をタンク75aに補給する現像剤補給部75fと、感光体ドラム72に供給されずに現像ローラ75b上に残留した液体現像剤を除去する現像剤除去装置75g等で構成される。
【0034】
クリーニング装置76は、感光体ドラム72から中間転写ベルト2に転写されずに残留した現像剤を清掃する。除電装置77は、例えばLED等の光源を備え、クリーニング装置76による現像剤除去後、感光体ドラム72表面の残留電荷を光源からの光によって除電し、次の画像形成に備える。
【0035】
図3は、本発明の要部である中間転写ユニットを示す正面断面図である。
【0036】
この中間転写ユニット1は、上述した中間転写ベルト2、駆動ローラ2a、従動ローラ2b及び1次転写ローラ2cの他に、テンションローラ3とフレーム4とを主として有しており、画像形成装置本体11の背面板11aに水平に支持されたヒンジ5(図9参照)と、スライド機構を構成するスライドレール6とによりローラ2a、2bの軸方向(前後方向)に出し入れできるように構成されている。ここで、スライドレール6は、例えば固定側のレール部材6aと、移動側のレール部材6bとを有し、レール部材6aはヒンジ5に固定され、レール部材6bは、これに固着された位置決め部材7を介して中間転写ユニット1のフレーム4に取付けられている。上記位置決め部材7のフレーム4への取付けは、位置決め部材7の上面に設けた上向き突起7aをフレーム4の天井に設けた位置決め孔4aに入れることで行われる。なお、スライドレール6としては、2段式のものに限らず、3段式のものなどが用いられる。
【0037】
スライドする中間転写ユニット1の最入端の位置は、画像形成装置本体11の内部であって、中間転写ベルト2が各感光体ドラム72と上下方向で重なるセット位置A(図9〜図13参照)に、最出端の位置はセット位置Aの前方であって画像形成装置本体11の前面板11bよりも前側に引き出されたベルト交換位置Bに、本実施形態ではそれぞれ設定されている。上記前面板11bには、中間転写ユニット1の出し入れを可能とする開口11cが設けられている。
【0038】
上記テンションローラ3はアーム部材3aにより、上記1次転写ローラ2cはアーム部材8によりそれぞれ図3に示すようにフレーム4から離れた状態Cと、図4に示すようにフレーム4に接近した状態Dとにわたり接離するように構成されている。前記離れた状態Cのとき、テンションローラ3は中間転写ベルト2を押し上げるとともに、1次転写ローラ2cは中間転写ベルト2を感光体ドラム72に当接させる。一方、前記接近した状態Dのとき、テンションローラ3は中間転写ベルト2の降下を許容するとともに、1次転写ローラ2cは中間転写ベルト2を感光体ドラム72から離して中間転写ベルト2のテンションを弛める。このような接離は、図5〜図7に示すようにフレーム4の下側に設けた弛張機構10により行われる。なお、図5〜図7では構成を簡略にして判り易くするために1つの1次転写ローラ2cに関して表し、3つの1次転写ローラ2cを省略している。
【0039】
弛張機構10は、駆動モータ10aの回転軸に取付けた歯車10bの回転を、軸10cに取付けた歯車10dに伝達し、更に軸10cに取り付けた接離カム10eを回転させることでアーム部材8を揺動させ、1次転写ローラ2cを接離させる。なお、アーム部材8は、その途中部分が軸8aにより揺動可能に支持されている。また、アーム部材3aに取り付けた軸10fに、例えば手動用ハンドル10gを取付け、そのハンドル10gを回転させることでテンションローラ3を接離させるように構成されている。なお、ハンドル10gに代えて、モータ駆動によりテンションローラ3の接離を行うようにしてもよい。
【0040】
また、駆動モータ10aの回転開始と停止は、検知装置9により制御される。検知装置9は、前記軸10cに取付けたホームポジション検知板9bと、そのホームポジション検知板9bの回転数を検出するホームポジション検知センサ9aとを有し、ホームポジション検知センサ9aが検出したホームポジション検知板9bの回転数に基づきテンションローラ3、1次転写ローラ2cを前記離れた状態Cと前記接近した状態Dとに制御する。
【0041】
中間転写ユニット1のセット位置Aへの固定は、図9〜図13に示すように、前記位置決め部材7の背面側に設けた後向き突起7bを、前記背面板11aに設けた位置決め孔11dに入れ、かつ位置決め部材7の背面端を背面板11aに当接させることで行われ、これにより中間転写ユニット1がセット位置Aに配置される。
【0042】
次に、このように構成された中間転写ユニット1における中間転写ベルト2の交換作業の内容について図9〜図13を参照しつつ説明する。
【0043】
まず、印字が終了して待機状態になると、画像形成装置本体11の前側の図示しないカバーを開け、中間転写ユニット1の前側を覆う前カバー4bに設けた取手4cを引いて中間転写ユニット1をセット位置Aからベルト交換位置Bへ移動させる。
【0044】
次に、図10に示すように、前カバー4bを取り外すとともに、クリーニング装置138を中間転写ユニット1から取外す。前記前カバー4bの取外しは、図示しないねじを外すことで行われる。
【0045】
続いて、図11に示すように、弛張機構10を作動させて、アーム部材8の揺動により1次転写ローラ2cをフレーム4に接近した状態Dにさせるとともに、アーム部材3aの揺動によりテンションローラ3をフレーム4に接近した状態Dにさせる。これによりテンションが弛んだ中間転写ベルト2を、図12及び図13に示すように前側に引き抜く。
【0046】
その後、上記とは逆操作により新しい中間転写ベルト2を中間転写ユニット1に取付ける。即ち、新しい中間転写ベルト2を駆動ローラ2a及び従動ローラ2bに掛け渡し、弛張機構10を作動させ、アーム部材8の揺動により1次転写ローラ2cをフレーム4から離隔するとともにアーム部材3aの揺動によりテンションローラ3をフレーム4から離隔し、中間転写ベルト2のテンションを張る。
【0047】
しかる後、前カバー4bとクリーニング装置138を中間転写ユニット1に取付け、ベルト交換位置Bからセット位置Aへ押し込み、画像形成装置本体11の前側の図示しないカバーを閉める。
【0048】
このように構成された本実施形態の画像形成装置による場合には、画像形成装置本体11のセット位置Aからベルト交換位置Bへ中間転写ユニット1をスライドさせ、弛張機構10により中間転写ベルト2のテンションを弛め、その弛めた状態で、中間転写ベルト2をベルト幅方向へ出入れすることにより中間転写ベルト2の交換が行われる。よって、中間転写ユニット1を画像形成装置本体11から降ろすことなく、中間転写ベルト2のみの交換が可能となるので、コストの低廉化が図れ、かつ迅速な交換が可能になる。
【0049】
また、本実施形態にあっては、ローラ2a、2bに邪魔されることなく中間転写ベルト2のみの取外し及び取付けができ、また耐用年数の長いローラ2a、2bやその他機構部品を交換する必要がない。更に、中間転写ユニット1をセット位置Aからベルト交換位置Bへスライドさせて中間転写ベルト2の交換が可能であるので、ベルトカートリッジ毎の交換、或いはプロセスカートリッジ毎の交換のような組み替えに伴う不具合の防止、メンテナンスに要する時間の削減、客先でのメンテナンスの容易化、耐用年数を迎えていない部品の有効な使用などが可能である。
【0050】
なお、上述した実施形態による場合には、ベルト交換位置Bを前面板11bよりも前側に出した位置としているが、本発明はこれに限らない。例えば、セット位置Aよりも若干前側に引き出した位置をベルト交換位置Bとしてもよい。要は、中間転写ベルト2のテンションを弛めて交換ができる位置であればよく、前面板11bから前側に完全に出ている必要はなく、中間転写ベルト2の前側の一部が前面板11bよりも前側に出た位置としてもよい。
【0051】
また、上述した実施形態による場合には、駆動ローラ2a及び従動ローラ2bの軸方向に中間転写ユニット1を引出し(押し込みも含む)、その後中間転写ベルト2も前記軸方向に出し入れするようにしているが、本発明はこれに限らず、中間転写ベルトの出し入れは前記軸方向に行うが、中間転写ユニットの引出し方向(押し込み方向も同じ)は前記軸方向に一致させる必要はなく、任意の方向(例えば前記軸方向を前方向とした場合の右方向又は左方向)であってもよい。
【0052】
更に、上述した実施形態による場合にはプリンタに適用しているが、本発明はプリンタ以外の画像形成装置、例えばファクシミリや複写機、或いはプリンタ、ファクシミリ及び複写機のうちの少なくとも2以上の機能を兼用する複合機などにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態に係るプリンタの構成を示す正面模型的断面図である。
【図2】図1のプリンタに設けられた画像形成ユニットの拡大模型的断面図である。
【図3】本発明の要部である中間転写ユニットを示す正面断面図であり、テンションローラと1次転写ローラをフレームから離した状態を示す。
【図4】テンションローラと1次転写ローラをフレームに接近した状態を示す正面断面図である。
【図5】弛張機構の構成の説明図(斜め下方から見た斜視図)である。
【図6】弛張機構の構成の説明図(斜め上方から見た斜視図)である。
【図7】弛張機構の構成の説明図(斜め上方から見た斜視図)である。
【図8】中間転写ユニットの右側端部を示す正面断面図である。
【図9】中間転写ベルトを前側へ引き出した状態を斜め上方から見た斜視図である。
【図10】前カバーを外した状態を斜め上方から見た斜視図である。
【図11】中間転写ベルトのテンションを弛めた状態を斜め上方から見た斜視図である。
【図12】中間転写ベルトを引き出している状態を斜め上方から見た斜視図である。
【図13】中間転写ベルトを取り外した状態を斜め上方から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0054】
1 中間転写ユニット
2 中間転写ベルト
2a 駆動ローラ
2b 従動ローラ
2c 1次転写ローラ
3 テンションローラ
6 スライドレール(スライド機構)
10 弛張機構
11 画像形成装置本体
20 画像形成装置
A セット位置
B ベルト交換位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体と、
中間転写ベルトを有し、前記画像形成装置本体に装着されたセット位置と前記画像形成装置本体から引出されたベルト交換位置とにわたりスライド可能に支持されている中間転写ユニットと、
前記中間転写ユニットに設けられ、前記中間転写ベルトのテンションを弛張させる弛張機構とを具備し、
前記中間転写ユニットを前記ベルト交換位置に配し、かつ前記弛張機構によって前記中間転写ベルトのテンションを弛めた状態で、中間転写ベルトのベルト幅方向への出し入れを行うことにより中間転写ベルトの交換が可能とされていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記中間転写ユニットは前記中間転写ベルトを周回駆動させる複数のローラを有し、かつ、前記画像形成装置本体は前記中間転写ユニットを前記ローラの軸方向であって前記セット位置とベルト交換位置とにわたりスライドさせるスライド機構を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、
前記スライド機構は前記中間転写ベルトの周回移動域の内側に設けられ、かつ、前記弛張機構は前記中間転写ベルトのテンションを弛張するテンションローラを有するとともにそのテンションローラが前記周回移動域の内側に設けられていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−92806(P2009−92806A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−261710(P2007−261710)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】