説明

画像形成装置

【課題】現像部に対するトナーの過剰供給を抑制する画像形成装置を得ることを目的とする。
【解決手段】両面印刷が所定枚数以上連続した後に、現像装置64でパッチ画像を形成し、当該パッチ画像の濃度を濃度センサ224で検出する。濃度センサ224で検出されたパッチ画像の濃度が、目標トナー濃度メモリ122に記憶された目標トナー濃度よりも薄く、その差分値が所定値V1以上の場合に、トナー供給停止フラグメモリ124に記憶されたトナー供給停止フラグを更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、帯電された像担持体と、像担持体の表面に形成される静電潜像をトナー及びキャリアを含む二成分現像剤を用いて現像する現像部と、を有する画像形成部を備える画像形成装置において、両面印刷を可能とする画像形成装置が知られている。両面印刷時には、先ず、画像形成部において、現像部で像担持体の表面に現像されたトナー画像を印刷用紙の片面に転写する。次に、定着部でトナー画像を印刷用紙の片面に加熱定着させた後に、印刷用紙の表裏を反転させて画像形成部へ再搬送する。そして、画像形成部において、現像部で像担持体の表面に現像されたトナー画像を印刷用紙の他方の面に転写し、定着部において当該トナー画像を印刷用紙の他方の面に加熱定着する。
【0003】
ここで、両面印刷時には、定着部で加熱され高温状態とされた印刷用紙が画像形成部に再搬送されるため、現像部の温度が上昇する。特に、連続して両面印刷を行った際には現像部内の温度上昇が著しく、現像部において現像されるトナー画像の濃度が低下する。
【0004】
ところで、両面印刷による現像部周辺の温度上昇を抑制する技術として、例えば、特許文献1では、現像部周辺の温度が上昇した場合に、単位時間当たりの画像形成回数を減少させている。また、特許文献2では、印刷用紙の片面にトナー画像を加熱定着させた後に、所定の間隔を置いて印刷用紙を冷却してから画像形成部に再搬送することで、現像部の温度上昇を抑制している。
【特許文献1】特開2003−122192号公報
【特許文献2】特開2004−333930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、現像部に対するトナーの過剰供給を抑制する画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の画像形成装置は、帯電された像担持体の表面に形成される潜像をキャリア及びトナーを含む二成分現像剤によって現像し、前記像担持体の表面にトナー画像を形成する現像部を有し、記録媒体上に前記トナー画像を形成する画像形成部と、前記記録媒体上に形成された前記トナー画像を該記録媒体に加熱定着させる定着部と、両面印刷時に、前記定着部によって前記トナー画像が定着された記録媒体の表裏を反転し、該記録媒体を前記画像形成部へ再搬送する再搬送手段と、前記現像部で形成された濃度調整用画像の濃度を検出する濃度検出手段と、前記濃度検出手段で検出された前記濃度調整用画像の濃度と前記二成分現像剤のトナー濃度の基準となる目標トナー濃度との差に応じて、収納容器に収納されたトナーを前記現像部へ供給するトナー供給手段と、両面印刷が所定枚数以上連続した後に前記濃度検出手段で検出された前記濃度調整用画像の濃度と前記目標トナー濃度との差が所定値以上のときに、前記トナー供給手段によるトナー供給を停止させるトナー供給制御手段と、を備えている。
【0007】
請求項2に記載の画像形成装置は、トナー供給制御手段は、前記トナー供給手段によるトナー供給を停止させた場合に、前記像担持体の表面に形成されるトナー画像の密度に基づいて前記トナー供給手段により前記現像部へトナーを供給させる。
【0008】
請求項3に記載の画像形成装置は、トナー供給制御手段が前記トナー供給手段によるトナー供給を停止させた場合に、前記現像部の温度上昇を防ぐ温度上昇防止手段を作動させる温度上昇防止制御手段を備えている。
【0009】
請求項4に記載の画像形成装置は、前記記録媒体の搬送方向に沿って複数の前記画像形成部が設けられ、前記濃度検出手段が、前記記録媒体の搬送方向の最下流側に設けられた前記画像形成部における最下流側現像部で形成された濃度調整用画像の濃度を検出し、前記トナー供給制御手段が、前記濃度調整用画像の濃度と前記目標トナー濃度との差が所定値以上のときに、前記トナー供給手段による前記最下流側現像部へのトナー供給を停止させる。
【0010】
請求項5に記載に画像形成装置は、前記像担持体の表面に形成されるトナー画像の密度に基づいて前記収納容器及び現像部のトナー残量を算出するトナー残量算出手段、を備え、前記トナー供給制御手段は、両面印刷が所定枚数以上連続した後に前記濃度検出手段で検出された前記濃度調整用画像の濃度と前記目標トナー濃度との差が所定値以上であり、且つ、トナー残量計算手段で算出されたトナー残量が所定値以上のときに、前記トナー供給手段による前記現像部へのトナー供給を停止させる。
【0011】
請求項6に記載の画像形成装置は、環境温度を検出する温度センサを備え、前記トナー供給制御手段は、両面印刷が所定枚数以上連続した後に前記濃度検出手段で検出された前記濃度調整用画像の濃度と前記目標トナー濃度との差が所定値以上であり、且つ、前記温度センサで検出された環境温度が所定値以上のときに、前記トナー供給手段による前記現像部へのトナー供給を停止させる。
【0012】
請求項7に記載の画像形成装置は、前記温度上昇防止手段は、画像形成部における画像形成速度を減速する。
【0013】
請求項8に記載の画像形成装置は、前記温度上昇防止手段は、前記現像部における現像速度を減速する。
【0014】
請求項9に記載の画像形成装置は、前記温度上昇防止手段は、前記画像形成部による両面印刷を禁止する。
【0015】
請求項10に記載の画像形成装置は、前記温度上昇防止手段は、前記画像形成部による画像形成を禁止する。
【0016】
請求項11に記載の画像形成装置は、前記温度上昇防止手段が作動した後に、前記濃度検出手段で検出された前記濃度調整用画像の濃度と前記目標トナー濃度との差が所定値以上となると、画像形成動作を停止させる画像形成動作停止手段を備えている。
【0017】
請求項12に記載の画像形成装置は、前記温度上昇防止手段が作動した後に、前記画像形成部における印刷枚数が所定枚数を超え、かつ、前記濃度検出手段で検出された前記濃度調整用画像の濃度と前記目標トナー濃度との差が所定値以上となると、画像形成動作を停止させる画像形成動作停止手段を備えている。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、現像部に対するトナーの過剰供給を抑制することができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、二成分現像剤のトナー濃度の低下を抑制できる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、現像部の温度を早期に下げることができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、現像部に対するトナー供給制御を単純化できる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、トナー供給停止判定手段の判定精度に対するトナー残量の影響を抑制できる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、現像部の温度を下げることができる。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、現像部の温度を下げることができる。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、現像部の温度を下げることができる。
【0026】
請求項9に記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、現像部の温度を下げることができる。
【0027】
請求項10に記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、現像部の温度を下げることができる。
【0028】
請求項11に記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、異常による現像部の故障を防止することができる。
【0029】
請求項12に記載の発明によれば、本構成を有していない場合と比較して、異常による現像部の故障を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1には、本発明の実施形態に係る画像形成装置10が示されている。この画像形成装置10は、画像形成装置本体12を備えており、画像形成装置本体12の下部には、印刷用紙P(記録媒体)が束状に積層されて収納される給紙トレイ14が配置されている。
【0031】
この給紙トレイ14の先端側(図1において右端側)の直上には、印刷用紙Pの上面の先端側に圧接して給紙トレイ14から印刷用紙Pを送り出すピックアップロール16が配置されている。
【0032】
ピックアップロール16の下流側には、印刷用紙Pを挟持搬送する複数(例えば、2つ)の搬送ロール対24と、印刷用紙Pをスキュー補正するためのレジロール対25が配置されている。搬送ロール対24とレジロール対25の間には、搬送ロール対24のニップ部から延出して緩やかに上方へ湾曲し、レジロール対25のニップ部へ延びる第1搬送路22が形成されている。
【0033】
給紙トレイ14から搬送された印刷用紙Pは、第1搬送路22により上方へ案内され、レジロール対25により一時停止された後、所定のタイミングにより後述する感光体ドラム30と転写装置38との間へ搬送される。
【0034】
画像形成装置本体12には、上下方向に搬送ベルト26が配設されている。搬送ベルト26は、上方に配置された張架ローラ27と、下方に配置された張架ローラ29に張架されており、張架ローラ27又は張架ローラ29が回転駆動することにより、搬送ベルト26が所定方向(矢印A方向)へ回転(循環駆動)する。この搬送ベルト26の用紙搬送方向上流側には、搬送ベルト26の表面上を帯電させると共に、搬送ベルト26へ静電吸着される印刷用紙Pを搬送ベルト26へ押し当てる帯電ロール31が搬送ベルト26に隣接して設けられている。
【0035】
また、搬送ベルト26に対向する横方向には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応した複数のプロセスカートリッジ28Y、28M、28C、28Kが上下方向に縦列配置されている。各プロセスカートリッジ28Y、28M、28C、28Kは、感光体ユニット35と現像装置64(現像部)とを備えている。
【0036】
感光体ユニット35は、回転駆動する感光体ドラム30(像担持体)と、帯電ローラ32、クリーニング装置39とを備えている。帯電ローラ32は、感光体ドラム30上を一様に帯電し、クリーニング装置39は、感光体ドラム30に残留するトナーを除去する。
【0037】
また、各プロセスカートリッジ28Y、28M、28C、28Kの側方には、それぞれ露光装置34が上下方向に配設されている。露光装置34は、帯電ローラ32によって一様に帯電した感光体ドラム30に対してレーザを照射し、感光体ドラム30上に静電潜像を形成する。
【0038】
図1及び図2に示されるように、現像装置64は、感光体ドラム30に対向し且つ感光体ドラム30上の静電潜像をトナー及び磁性キャリアからなる二成分現像剤Gで可視像化する現像ユニット68と、この現像ユニット68に対してトナーを補給するトナー供給ユニット70(収納容器)で構成とされている。
【0039】
現像ユニット68はハウジング80を備えており、このハウジング80内には現像剤収容室84が形成されている。現像剤収容室84には、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、ブラック(K)、シアン(C)の各色に応じた二成分現像剤Gが充填されている。現像剤としては、トナー及びキャリアを含む二成分現像剤が使用されている。トナーは、少なくとも結着樹脂および着色剤を含み、目的に応じて外添剤が添加される。キャリアは、鉄等の磁性粉末が適用され、磁性粉末表面に樹脂被覆層を有していてもよい。
【0040】
また、現像剤収容室84の内部には、現像剤担持体としての現像ローラ86、二成分現像剤Gを攪拌搬送するオーガー88、オーガー89、及び現像ローラ86上の二成分現像剤Gの量を規制する現像剤規制ロール50が設けられている。
【0041】
現像ローラ86は、感光体ドラム30に対向して配設されている。また、現像ローラ86は、非磁性導電材料からなる円筒状のスリーブ86Aと、そのスリーブ86Aの中空内に配置されるマグネットロール86Bとから構成され、ハウジング80に回転可能に軸支されている。マグネットロール86Bは固定支持され、スリーブ86Aは図示しない駆動源により、マグネットロール86Bの廻りを一定方向(矢印B方向)に回転するように構成されている。スリーブ86Aには、図示しない現像バイアス電源から所定の現像バイアスVB(例えば直流に交流を重畳した電圧)が印加されるようになっている。また、現像ローラ86と感光体ドラム30との間には、スリーブ86Aに印加されている現像バイアスVBによって現像電界が形成されている。
【0042】
オーガー88及びオーガー89は、現像ローラ86の下方に配設されている。オーガー88及びオーガー89は、ハウジング80の周壁に回転可能に軸支され、二成分現像剤Gを現像ローラ86へ攪拌しながら搬送する。これにより、二成分現像剤G中の各トナーが所定の極性に摩擦帯電される。また、搬送された二成分現像剤Gは、現像ローラ86に供給されて、現像ローラ86の表面に磁気ブラシを形成した状態で担持される。
【0043】
現像ローラ86と対向する位置には、現像剤規制ロール50が配設されている。現像剤規制ロール50と現像ローラ86との間には所定の隙間が設けられ、この現像剤規制ロール50によって、現像ローラ86の表面上に担持された二成分現像剤Gによる磁気ブラシが所定の厚さとなるように規制される。現像剤規制ロール50によって所定の厚さに規制された磁気ブラシは、感光体ドラム30の表面と対向する位置に達すると、現像電界によって二成分現像剤Gに含まれるトナーのみが感光体ドラム30上に形成された静電潜像部分に付着してトナー画像として可視化され、現像が行われる。
【0044】
現像ユニット68と隣接して設けられたトナー供給ユニット70は、トナー収容室150を備えており、このトナー収容室150の内部には補給用トナーTが収容されている。また、トナー収容室150の内部には、補給用トナーTを攪拌搬送するトナー攪拌搬送部材152が設けられている。
【0045】
トナー収容室150と現像剤収容室84とは壁部154によって仕切られており、壁部154の下部には、ディスペンス室158が形成されている。このディスペンス室158の側壁に形成された開口部162及びトナー供給口164によって、トナー収容室150と現像剤収容室84とが連通している。また、ディスペンス室158の内部には、ディスペンスオーガー160(トナー供給手段)が設けられている。このディスペンスオーガー160は、図示しないモータにより、回転駆動される構成となっており、このディスペンスオーガー160を回転駆動することで、トナー収容室150に収容された補給用トナーTが、ディスペンス室158を経由して、トナー供給口164から現像剤収容室84に供給される。
【0046】
図1に示すように、感光体ドラム30に対向する横方向には、搬送ベルト26の内周側に、それぞれ感光体ドラム30上に形成されたトナー画像を印刷用紙Pへ転写する転写装置38が設けられている。
【0047】
また、搬送ベルト26の側方には、濃度センサ224(濃度検出手段)がその検出面を搬送ベルト26の周面に対向するように配設される。この濃度センサ224は、反射型のセンサであり、搬送ベルト26の表面の検出位置に形成されたパッチ画像(濃度調整用画像)に対してLED等の発光素子から光を照射し、その反射光をフォトダイオード等の受光素子で検出することで、パッチ画像の濃度値に応じた電気信号を後述するメインコントローラ202に出力する。
【0048】
なお、本実施形態に係る画像形成部36は、上記した感光体ドラム30、帯電ローラ32、露光装置34、現像装置64及び転写装置38を備えて構成されている。
【0049】
搬送ベルト26より用紙搬送方向下流側には、搬送ベルト26から送り出された印刷用紙Pを排出トレイ20へ導く第2搬送路23が形成されている。この第2搬送路23には、転写されたトナー画像を印刷用紙Pへ定着させる定着装置40、印刷用紙Pを挟持搬送する搬送ロール対42、及び印刷用紙Pを排出トレイ20へ排出する排出ロール対44(再搬送手段)が、この順で配置されている。定着装置40は熱源を有し、トナー像が転写されたシートを加圧加熱することにより、トナー像を印刷用紙Pに定着させる。
【0050】
また、搬送ベルト26と対向する位置には、排出ロール対44によりスイッチバックされた印刷用紙Pを再びレジロール対25へ送り戻すための第3搬送路46(再搬送手段)が形成されている。この第3搬送路46には、印刷用紙Pを下方へ挟持搬送する複数(例えば、2つ)の搬送ロール対48(再搬送手段)が配置されており、両面印刷時に片面に画像が形成された印刷用紙Pが、排出ロール対44によりスイッチバックされて第3搬送路46に導かれ、複数の搬送ロール対48によって下方へ搬送され、反転ローラ49(再搬送手段)でレジロール対25にニップされるように搬送される。
【0051】
次に、本実施形態に係る画像形成装置における、画像を形成する画像形成動作について説明する。
【0052】
本実施形態に係る画像形成装置において、印刷用紙Pに画像を形成する場合は、先ず、給紙トレイ14から取り出された印刷用紙Pが、複数の搬送ロール対24によってレジロール対25に搬送され、レジロール対25でスキュー補正がなされて、画像形成装置本体12に配置された搬送ベルト26へ送り込まれる。搬送ベルト26へ送り込まれた印刷用紙Pは、帯電ロール31によって搬送ベルト26へ押し当てられると共に、帯電する搬送ベルト26に静電吸着されて、上方へ搬送され、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応した所定の転写位置へ順次送り込まれる。
【0053】
所定の転写位置へ送り込まれた印刷用紙Pは、感光体ドラム30上に形成された各色のトナー画像が転写装置38によって転写され、フルカラー画像が形成される。さらに定着装置40へ搬送され、転写されたトナー画像が定着装置40により定着される。
【0054】
印刷用紙Pの片面へのみ画像を形成する場合(片面印刷時)は、トナー画像が定着された後、印刷用紙Pは排出ロール対44により排出トレイ20へ排出される。他方、印刷用紙Pの両面へ画像を形成する場合(両面印刷時)は、片面に画像が形成された後、印刷用紙Pは、排出ロール対44でスイッチバックされ、反転して第3搬送路46へ送り込まれる。さらに、第3搬送路46から再びレジロール対25へ送り込まれ、画像が記録されていない反対面に、上記と同様に画像が形成され、印刷用紙Pの両面へ画像が形成される。
【0055】
次に、本実施形態に係る画像形成装置における、制御系の概略構成について説明する。
【0056】
図3は、画像形成動作のための制御系の要部を示すブロック図である。メイン電源管理部200には、図示しない商用電源が接続されており、低電圧電力及び高電圧電力が生成され、電源供給ラインを介して各部へ駆動用の電力が供給される。
【0057】
メインコントローラ202(トナー供給制御手段、温度上昇防止手段、温度上昇防止制御手段、画像形成動作停止手段、トナー残量算出手段)には、ユーザインターフェイス220が接続され、ユーザの操作によって画像形成等に関する指示がなされると共に、画像形成時等の情報をユーザへ報知するようになっている。
【0058】
また、このメインコントローラ202には、図示しない外部ホストコンピュータやスキャナーとのネットワークラインが接続されており、画像データが入力されるようになっている。
【0059】
画像データが入力されると、メインコントローラ202では、画像データに含まれるプリント指示情報と、イメージデータとを解析し、画像形成部36に適合する形式(例えば、ビットマップデータ)に変換し、画像形成処理制御部206へ画像データを送出する。
【0060】
画像形成処理制御部206は、入力されたイメージデータに基づいて、光走査系コントロール部208、駆動系コントロール部210、帯電器コントロール部212、現像装置コントロール部214、定着コントロール部216のそれぞれを同期制御し、画像形成を実行する。
【0061】
また、メインコントローラ202には、環境検出のための温度センサ222が接続されている。この温度センサ222では、画像形成装置本体12外の環境温度が検出され、検出温度がメインコントローラ202に出力される。
【0062】
更に、メインコントローラ202には、パッチ画像の濃度を検出する濃度センサ224が接続されている。なお、パッチ画像は、トナー濃度調整用に形成されるトナー画像であり、印刷用紙Pに形成されるトナー画像の濃度を調整するためのものである。
【0063】
図4は、メインコントローラ202における、トナー濃度制御に係る制御系を機能的に示したブロック図である。このブロック図は、当該トナー濃度調整に係る制御に必要な処理を機能的に分けたものであり、ハード構成を限定するものではない。
【0064】
メインコントローラ202は、CPU、ROM、RAMなどを含んで構成され、各種データ、信号の授受を行うと共に、ROMに記憶された各種プログラムを実行するなどして、画像形成装置10全体の制御を行う。また、RAMの所定領域には、ユーザからの両面印刷指示毎に両面印刷枚数、及び 濃度センサ224で検出されたパッチ画像の濃度値が記憶される。
【0065】
メインコントローラ202は、トナー供給量算出部110(トナー供給制御手段)、モータ駆動制御部112(トナー供給制御手段)、トナー供給停止判定部114(トナー供給制御手段)、温度上昇解消手段制御部116(温度上昇防止制御手段)、トナー供給停止解除判定部118(トナー供給制御手段)、異常検出部120(画像形成動作停止手段)、目標トナー濃度メモリ122、及びトナー供給停止フラグメモリ124を備えている。
【0066】
ここで、メインコントローラ202では、二成分現像剤Gのトナー濃度(二成分現像剤G中のトナーの割合)を適正値にするためのトナー濃度制御が行われている。トナー濃度制御は、感光体ドラム30の表面に形成されるトナー画像の密度からトナーの消費量を推定し、推定される消費量分のトナーを補給する方式と、濃度センサ224によるパッチ画像の濃度の検出結果と目標トナー濃度との差分値からトナー量の過不足分を推定し、過不足分がなくなるようにトナーを補給する方式とを併用して行われている。
【0067】
トナー供給量算出部110は、現像ユニット68の現像剤収容室84(図2参照)に供給するトナーの供給量を算出する。感光体ドラム30の表面に形成されるトナー画像の密度に基づくトナー供給量R1と、目標トナー濃度メモリ122に記憶された目標トナー濃度と濃度センサ224で検出されるパッチ画像の濃度との差分値からトナー供給量R2を算出し、これらのトナー供給量R1、R2に基づいて算出されたトナー供給量Rをモータ駆動制御部112へ送信する。なお、トナー画像の密度とは、トナー画像の画素数(ピクセル)であり、トナー画像を形成する画像データを生成したときにカウントされ、メインコントローラ202のRAMに一時的に記憶される。また、トナー供給量算出部110は、後述するトナー供給停止フラグメモリ124に記憶されたトナー供給停止フラグが0(初期値)の場合にのみ、トナー供給量R2を算出する。また、目標トナー濃度メモリ122には、目標トナー濃度の他に、後述する所定値V1、V2、V3、V4が記憶されている。
【0068】
モータ駆動制御部112は、ディスペンスオーガー160(図2参照)を回転駆動するモータ(不図示)の回転時間を増減し、トナー供給量Rに応じたトナーを現像ユニット68に供給する。なお、本実施の形態に係る画像形成装置10では、ディスペンスオーガー160の回転速度は一定とされており、回転時間のみを増減することで、トナー供給量が調整される。従って、トナー供給量Rは、トナー補給時間(ディスペンスオーガー160の回転時間)として算出される。
【0069】
トナー供給停止判定部114は、両面印刷が所定枚数以上連続した後に濃度センサ224で検出されたパッチ画像の濃度が、目標トナー濃度メモリ122に記憶された目標トナー濃度よりも薄く、その差が所定値V1以上の場合に、トナー供給停止フラグメモリ124に記憶されたトナー供給停止フラグ(初期値:0)を更新(停止中:1)する。これによりトナー供給量算出部110において、トナー画像の密度に基づくトナー供給量R1のみが算出される(パッチ画像の濃度に基づくトナー供給量R2は算出されない)。
【0070】
温度上昇解消手段制御部116は、トナー供給停止フラグメモリ124に記憶されたトナー供給停止フラグが1(停止中)の場合に、ユーザからの両面印刷指示を受け付けないようにメインコントローラ202に制御信号を送信し、一時的に両面印刷機能を停止させる。これにより、加熱された印刷用紙Pが画像形成部36に再搬送されず、現像装置64内の温度上昇が抑制される。
【0071】
なお、温度上昇解消手段制御部116では、例えば、ユーザからの両面印刷指示だけでなく片面印刷指示も受け付けないようにメインコントローラ202に制御信号を送信し、画像形成動作自体を一時的に停止させても良いし、また、単位時間当たりの画像形成枚数を一時的に減少させても良い。更に、画像品質を低下させない範囲内で、現像ローラ86の回転速度を減少させても良い。現像ローラ86の回転速度を減少させることで、スリーブ86Aと二成分現像剤Gとの摩擦熱が抑制され、現像装置64の温度上昇が抑制される。
【0072】
トナー供給停止解除判定部118では、所定の条件、例えば、パッチ画像の濃度に基づくトナー濃度制御を停止した後に行われた片面印刷枚数が所定枚数を超えたり、又はパッチ画像の濃度に基づくトナー濃度制御を停止した後の経過時間が所定時間を超えたりした場合に、現像装置64の温度上昇が解消されたものと見なして、トナー供給停止フラグメモリ124に記憶されたトナー供給停止フラグを更新(停止中:1→初期値:0)する。これにより、トナー供給量算出部110において、トナー画像の密度に基づくトナー供給量R1とパッチ画像の濃度に基づくトナー供給量R2とが算出される。
【0073】
異常検出部120は、濃度センサ224で検出されるパッチ画像の濃度が、目標トナー濃度メモリ122に記憶された目標トナー濃度よりも薄く、その差が所定値V3以上の場合に、画像形成装置10における画像形成動作を停止させる。これは、何らかの要因のより二成分現像剤Gのトナー濃度が低下又は増加した場合に、濃度センサ224により正しいトナー濃度が検出できなくなることによる弊害を取り除くための機能である。異常検出部120は、このような異常を検出した場合、画像形成動作を停止する停止制御信号をメインコントローラ202に送信する。停止制御信号を受信したメインコントローラ202は、画像形成処理制御部206に制御信号を送信して画像形成動作を停止させると共に、画像形成動作を停止した旨のメッセージをユーザインターフェイス220に出力してユーザへ報知する。
【0074】
次に、トナー濃度制御の作用について説明する。
【0075】
トナー濃度制御は、画像形成動作毎にメインコントローラ202が各種の処理を実行することによって行われる。なお、本実施形態では、印刷用紙Pの搬送方向の最下流側に配置された現像装置64についてのみトナー濃度制御を実施する。これは、現像装置64が熱源を有する定着装置40に最も接近しており、他の現像装置64と比較して温度上昇の影響を受け易いためである。
【0076】
現像装置64へ供給されるトナー供給量は、図5に示すフローチャートに従って算出される。先ず、ステップ250で、メインコントローラ202のRAMに記憶されたトナー画像の密度を読み出し、ステップ252で、当該密度に基づくトナー供給量R1をトナー補給時間(ディスペンスオーガー160の回転時間)として算出する。
【0077】
トナー供給量Rを受信したモータ駆動制御部112は、トナー供給量Rに応じて、ディスペンスオーガー160(図2参照)を回転駆動するモータ(不図示)の回転時間を増減し、現像ユニット68へ補給用トナーTを供給する。
【0078】
次に、ステップ254で、トナー供給停止フラグメモリ124に記憶されたトナー供給停止フラグを読み出し、当該トナー供給停止フラグが1(停止中)か否かが判定され、判定が肯定された場合、ステップ256で、トナー供給量Rにトナー供給量R1を代入し、トナー供給量Rをモータ駆動制御部112へ送信して処理を終了する。
【0079】
ステップ254の判定が否定された場合、ステップ258で、パッチ画像を作成させる制御信号を画像形成処理制御部206へ送信する。制御信号を受信した画像形成処理制御部206は、現像装置コントロール部214を制御し、搬送ベルト26上にパッチ画像を形成させる。濃度センサ224によって検出されたパッチ画像の濃度は、メインコントローラ202に出力される。
【0080】
次に、ステップ260で、メインコントローラ202のRAMからパッチ画像の濃度を読み出すと共に、目標トナー濃度メモリ122から目標トナー濃度を読み出す。次に、ステップ262で、濃度センサ224と目標トナー濃度との差分に応じてトナー供給量R2を算出し、ステップ264で、トナー供給量R1、R2をトナー供給量Rに代入し(=R1+R2)、トナー供給量Rをモータ駆動制御部112へ送信して処理を終了する。
【0081】
次に、パッチ画像の濃度に基づくトナー供給の停止判定の流れを、図6に示すフローチャートに従って説明する。
【0082】
先ず、ステップ270で、メインコントローラ202のRAMに記憶された連続両面印刷枚数を読み出す。次に、ステップ272で、連続両面印刷枚数が、所定枚数(本実施形態では、300枚)以上か否かが判定され、判定が否定された場合、処理を終了する。
【0083】
ステップ272の判定が肯定された場合、ステップ274で、パッチ画像を作成させる制御信号を画像形成処理制御部206へ送信する。制御信号を受信した画像形成処理制御部206は、現像装置コントロール部214を制御し、搬送ベルト26上にパッチ画像を形成させる。濃度センサ224によって検出されたパッチ画像の濃度は、メインコントローラ202に出力される。
【0084】
次に、ステップ276で、メインコントローラ202のRAMに記憶されたパッチ画像の濃度を読み出すと共に、目標トナー濃度メモリ122から目標トナー濃度を読み出す。次に、ステップ278で、濃度センサ224で検出されたパッチ画像の濃度が、目標トナー濃度メモリ122に記憶された目標トナー濃度よりも薄く、その差分値が所定値V1(本実施形態では、0.2V)以上か否かが判定され、判定が否定された場合は、処理を終了する。
【0085】
ステップ278の判定が肯定された場合、ステップ280で、トナー供給停止フラグメモリ124に記憶されたトナー供給停止フラグを1(停止中)に更新し、停止更新信号を温度上昇解消手段制御部116へ送信して処理を終了する。
【0086】
停止更新信号を受信した温度上昇解消手段制御部116は、ユーザからの両面印刷指示を受け付けないように停止制御信号をメインコントローラ202へ送信し、一時的に両面印刷機能を停止させる。停止制御信号を受信したメインコントローラ202は、ユーザインターフェイス220に両面印刷機能を停止した旨のメッセージを出力し、ユーザへ報知する。これにより、加熱された印刷用紙Pが画像形成部36に再搬送されず、現像装置64内の温度上昇が抑制される。また、メインコントローラ202は、停止制御信号を受信した後の片面印刷枚数をカウントし、片面印刷枚数カウント値をRAMの所定領域に累積記憶する。更に、メインコントローラ202は、停止制御信号を受信した停止開始時刻をRAMの所定領域に記憶する。
【0087】
なお、温度上昇解消手段制御部116で、単位時間当たりの画像形成枚数を一時的に減少させたり、画像品質を低下させない範囲内で現像ローラ86の回転速度を減少させたりする場合は、これらに対応した制御信号を画像形成処理制御部206へ送信する。制御信号を受信した画像形成処理制御部206は、当該制御信号を駆動系コントロール部210又は定着コントロール部216へ送信し、単位時間当たりの画像形成枚数、現像ローラ86の回転速度を制御する。
【0088】
次に、パッチ画像の濃度に基づくトナー供給の開始判定の流れを、図7に示すフローチャートに従って説明する。
【0089】
先ず、ステップ290で、トナー供給停止フラグメモリ124に記憶されたトナー供給停止フラグを読み出し、当該トナー供給停止フラグが1(停止中)か否かが判定され、判定が否定された場合は、処理を終了してパッチ画像の濃度に基づくトナー供給の停止制御を継続する。
【0090】
ステップ290での判定が肯定された場合、ステップ292で、メインコントローラ202のRAMから片面印刷枚数カウント値を読み出し、片面印刷枚数カウント値が所定枚数以上(本実施形態では、100枚)か否かを判定する。判定が肯定された場合、現像装置64の温度上昇が解消されたものとみなして、ステップ294で、トナー供給停止フラグメモリ124に記憶されたトナー供給停止フラグを0(初期値)に更新し、開始更新信号を温度上昇解消手段制御部116へ送信して処理を終了する。開始更新信号を受信した温度上昇解消手段制御部116は、ユーザからの両面印刷指示を受け付け可能にする開始制御信号をメインコントローラ202へ送信し、両面印刷機能の停止を解除させる。
【0091】
ステップ292で判定が否定された場合、ステップ296で、メインコントローラ202のRAMから停止開始時刻を読み出し、停止開始時刻とマシン時刻(現在時刻)とを比較して、停止開始時刻から所定時間(本実施形態では、5分)を経過したか否かが判定され、判定が肯定された場合、現像装置64の温度上昇が解消されたものとみなして、上記ステップ294の処理を行う。
【0092】
ステップ296の判定が否定された場合、ステップ298で、パッチ画像を作成させる制御信号を画像形成処理制御部206へ送信する。制御信号を受信した画像形成処理制御部206は、現像装置コントロール部214を制御し、搬送ベルト26上にパッチ画像を形成させる。濃度センサ224によって検出されたパッチ画像の濃度は、メインコントローラ202に出力される。
【0093】
次に、ステップ300で、メインコントローラ202のRAMに記憶されたパッチ画像の濃度を読み出すと共に、目標トナー濃度メモリ122から目標トナー濃度を読み出す。次に、ステップ302で、濃度センサ224で検出されたパッチ画像の濃度が、目標トナー濃度メモリ122に記憶された目標トナー濃度よりも薄く、その差が所定値V2(本実施形態では、0.1V)以内か否かが判定される。判定が肯定された場合、現像装置64の温度上昇が解消されたものとみなして上記ステップ294の処理を行い、判定が否定された場合、処理を終了してパッチ画像の濃度に基づくトナー供給の停止制御を継続する。
【0094】
次に、トナー濃度の異常検出の流れを、図8に示すフローチャートに従って説明する。
【0095】
先ず、ステップ310では、パッチ画像を作成させる制御信号を画像形成処理制御部206へ送信し、ステップ312で、メインコントローラ202のRAMに記憶されたパッチ画像の濃度を読み出すと共に、目標トナー濃度メモリ122から目標トナー濃度を読み出す。
【0096】
次に、ステップ314で、濃度センサ224で検出されたパッチ画像の濃度が、目標トナー濃度メモリ122に記憶された目標トナー濃度よりも薄く、その差分値が所定値V3(本実施形態では、0.3V)以上か否かが判定される。判定が肯定された場合、ステップ316で、画像形成動作を停止する制御信号をメインコントローラ202に送信して、処理を終了する。制御信号を受信したメインコントローラ202は、画像形成処理制御部206を制御して、全ての画像形成処理を停止させる共に、画像形成動作を停止した旨のメッセージをユーザインターフェイス220に出力する。これにより、両面印刷による現像装置64の温度上昇以外の要因により、現像装置64に異常が発生しているものとみなして、画像形成動作を停止させる。
【0097】
ステップ314の判定が否定された場合、ステップ318で、メインコントローラ202のRAMから片面印刷枚数カウント値を読み出し、片面印刷枚数カウント値が所定枚数(本実施形態では、50枚)を超えたか否かが判定され、判定が否定された場合、処理を終了する。
【0098】
ステップ318の判定が肯定された場合、ステップ320で、パッチ画像を作成させる制御信号を画像形成処理制御部206へ送信し、ステップ322で、濃度センサ224から出力されたパッチ画像の濃度、及び目標トナー濃度メモリから目標トナー濃度を読み出す。
【0099】
次に、ステップ324で、濃度センサ224で検出されたパッチ画像の濃度が、目標トナー濃度メモリ122に記憶された目標トナー濃度よりも薄く、その差分値が所定値V4(本実施形態では、0.25V)以上か否かが判定され、判定が肯定された場合、上記ステップ316の処理を行う。これにより、ステップ314での判定が否定された場合であっても、トナー供給停止後の片面印刷枚数が所定枚数(本実施形態では、50枚)を越えた後に再度パッチ画像のトナー濃度を検出し、予め設定された所定値V4までトナー濃度が改善(濃くなる)されない場合は、両面印刷による現像装置64の温度上昇以外の要因により、現像装置64に異常が発生しているものとみなして、画像形成動作を停止させる。ステップ324の判定が否定された場合、処理を終了する。
【0100】
本実施形態では、以上のようなトナー濃度制御が行われる。なお、本実施形態では、印刷用紙Pの搬送方向の最下流側に配置された現像装置64についてのみトナー濃度制御を実施したが、これに限定されるものではなく、全ての現像装置64に対して、同様のトナー濃度制御を実施可能であり、この場合、各現像装置64で形成されたパッチ画像の濃度に基づいて各々の現像装置64に対するトナー供給の停止判定を行っても良いし、現像装置64で形成されたパッチ画像の濃度のみに基づいてトナー供給の停止判定を行い、この判定結果に従って他の現像装置64を制御しても良い。
【0101】
また、パッチ画像の濃度に基づくトナー供給の停止判定(図6参照)において、画像形成装置10の設置環境や現像装置64内のトナー残量を考慮することで、判定精度が向上する。即ち、画像形成装置10の設置された環境の温度が例えば30度前後になった場合、感光体ドラム30の表面に形成されるトナー画像の濃度が濃くなる傾向にある。また、現像装置64のトナー残量が少なくなると、当然にトナー画像の濃度が薄くなる。このような両面印刷以外の要因によるトナー画像の濃度低下の排除することにより、判定精度が向上する。
【0102】
具体的には、図9に示すフローチャートに示すように、先ず、ステップ330で、メインコントローラ202のRAMに記憶された連続両面印刷枚数を読み出す。次に、ステップ332で、連続両面印刷枚数が、所定枚数(本実施形態では、300枚)以上か否かが判定され、判定が否定された場合、処理を終了する。
【0103】
ステップ332の判定が肯定された場合、ステップ314で、温度センサ222で検出された検出温度(画像形成装置本体12外の温度)が所定温度(本実施形態では、28度)以上であるか否かが判定され、判定が否定された場合、処理を終了する。
【0104】
ステップ334の判定が肯定された場合、ステップ336で現像装置64のトナー残量を算出する。トナー残量は、感光体ドラム30の表面に形成されるトナー画像の密度の累積値からトナー消費量を推定して算出する。このトナー残量は、未使用時のトナー量に対するトナー残量の割合であり、パーセントで算出される。次に、ステップ338で、現像装置64内のトナー残量が所定量(本実施形態では、20パーセント)以上であるか否かが判定され、判定が否定された場合、処理を終了する。
【0105】
次に、ステップ338の判定が肯定された場合、ステップ340で、パッチ画像を作成させる制御信号を画像形成処理制御部206へ送信し、ステップ342で、濃度センサ224から出力されたパッチ画像の濃度、及び目標トナー濃度メモリから目標トナー濃度を読み出す。次に、ステップ344で、濃度センサ224で検出されたパッチ画像の濃度が、目標トナー濃度メモリ122に記憶された目標トナー濃度よりも薄く、その差分値が所定値V1(本実施形態では、0.2V)以上か否かが判定され、判定が否定された場合、処理を終了する。
【0106】
ステップ344での判定が肯定された場合、ステップ346で、トナー供給停止フラグメモリ124に記憶されたトナー供給停止フラグを1(停止中)に更新し、停止更新信号を温度上昇解消手段制御部116へ送信して処理を終了する。
【0107】
また、本実施形態では、現像ユニット68とトナー供給ユニット70とを一体成形して構成したが、図10に示すように、現像ユニット68とトナー供給ユニット130(収納容器)とを別体とし、トナー供給ユニット130を交換可能に構成しても良い。
【0108】
補給用トナーTが収納されたトナー供給ユニット130には、供給管132が設けられている。この供給管132を現像ユニット68に接続することにより、トナー供給ユニット130のトナー収容室150から現像ユニット68の現像剤収容室84へ補給用トナーTが供給可能となっている。また、供給管132内部には、ディスペンスオーガー134(トナー供給手段)が回転可能に設けられている。このディスペンスオーガー134には、螺旋状の突起が設けられ、図示しないモータにより、このディスペンスオーガー134を回転駆動させることで、トナー収容室150に収容された補給用トナーTが、供給管132を経由して、現像剤収容室84に供給される。即ち、ディスペンスオーガー134に接続されたモータを制御し、ディスペンスオーガー134の回転時間を増減させることで、二成分現像剤Gのトナー濃度が調整される。
【0109】
また、濃度センサ224は、搬送ベルト26に形成されたパッチ画像の濃度を検知するものに限らず、感光体ドラム30の表面に形成されたパッチ画像の濃度を検知するものであっても良い。
【0110】
更に、図5〜図9に示される処理は、画像形成動作毎に実施するのではなく、印刷枚数が所定の規定値以上に達したときに実施する構成としてもよい。
【0111】
また、上記実施形態で説明したトナー濃度制御の処理(図5〜図9参照)は、一例であって、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりすることができることは言うまでもない。
【0112】
また、本実施形態では、トナー濃度制御における各種のパラメータ(例えば、連続両面印刷枚数、所定値V1〜所定値V4等)は、実機を用いた実験や、実機の設計仕様等に基づくコンピュータ・シミュレーション等によって予め得たものを設定しているが、画像形成装置10の設置環境等に応じて適宜設計変更すれば良く、上記の実施形態のものに限らない。
【0113】
本発明は、本実施形態に限るものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変形、変更、改良が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の全体を示す概略構成図である。
【図2】本実施形態に係る現像装置の概略拡大断面図である。
【図3】実施の形態に係る画像形成装置の画像形成部における画像形成のための制御系の概略構成を示す制御ブロック図である。
【図4】本実施形態に係るメインコントローラにおける、トナー濃度制御を機能的に示したブロック図である。
【図5】本実施形態に係るトナー供給量の算出処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】本実施形態に係るパッチ画像の濃度に基づくトナー供給の停止判定の処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】本実施形態に係るパッチ画像の濃度に基づくトナー供給の開始判定の処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】本実施形態に係るトナー濃度の異常検出の処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】本実施形態に係るパッチ画像の濃度に基づくトナー供給の停止判定の変形例の処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】本実施形態に係る現像装置の変形例の概略拡大断面図である。
【符号の説明】
【0115】
10 画像形成装置
30 感光体ドラム(像担持体)
36 画像形成部
40 定着装置(定着部)
44 排出ロール対
46 搬送路(再搬送手段)
48 搬送ロール対(再搬送手段)
49 反転ローラ(再搬送手段)
64 現像装置(現像部)
70 トナー供給ユニット(収納容器)
112 モータ駆動制御部(トナー供給制御手段)
114 トナー供給停止判定部(トナー供給制御手段)
116 温度上昇解消手段制御部(温度上昇防止手段)
120 異常検出部(画像形成動作停止手段)
130 トナー供給ユニット(収納容器)
134 ディスペンスオーガー(トナー供給手段)
160 ディスペンスオーガー(トナー供給手段)
202 メインコントローラ(トナー供給制御手段、温度上昇防止手段、トナー残量検出手段、画像形成動作停止手段)
222 温度センサ
224 濃度センサ(濃度検出手段)
G 二成分現像剤
P 印刷用紙(記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電された像担持体の表面に形成される潜像をキャリア及びトナーを含む二成分現像剤によって現像し、前記像担持体の表面にトナー画像を形成する現像部を有し、記録媒体上に前記トナー画像を形成する画像形成部と、
前記記録媒体上に形成された前記トナー画像を該記録媒体に加熱定着させる定着部と、
両面印刷時に、前記定着部によって前記トナー画像が定着された記録媒体の表裏を反転し、該記録媒体を前記画像形成部へ再搬送する再搬送手段と、
前記現像部で形成された濃度調整用画像の濃度を検出する濃度検出手段と、
前記濃度検出手段で検出された前記濃度調整用画像の濃度と前記二成分現像剤のトナー濃度の基準となる目標トナー濃度との差に応じて、収納容器に収納されたトナーを前記現像部へ供給するトナー供給手段と、
両面印刷が所定枚数以上連続した後に前記濃度検出手段で検出された前記濃度調整用画像の濃度と前記目標トナー濃度との差が所定値以上のときに、前記トナー供給手段によるトナー供給を停止させるトナー供給制御手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
トナー供給制御手段は、前記トナー供給手段によるトナー供給を停止させた場合に、前記像担持体の表面に形成されるトナー画像の密度に基づいて前記トナー供給手段により前記現像部へトナーを供給させる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
トナー供給制御手段が前記トナー供給手段によるトナー供給を停止させた場合に、前記現像部の温度上昇を防ぐ温度上昇防止手段を作動させる温度上昇防止制御手段を備える請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記録媒体の搬送方向に沿って複数の前記画像形成部が設けられ、
前記濃度検出手段が、前記記録媒体の搬送方向の最下流側に設けられた前記画像形成部における最下流側現像部で形成された濃度調整用画像の濃度を検出し、前記トナー供給制御手段が、前記濃度調整用画像の濃度と前記目標トナー濃度との差が所定値以上のときに、前記トナー供給手段による前記最下流側現像部へのトナー供給を停止させる請求項1〜3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記像担持体の表面に形成されるトナー画像の密度に基づいて前記収納容器及び現像部のトナー残量を算出するトナー残量算出手段、を備え、
前記トナー供給制御手段は、両面印刷が所定枚数以上連続した後に前記濃度検出手段で検出された前記濃度調整用画像の濃度と前記目標トナー濃度との差が所定値以上であり、且つ、トナー残量計算手段で算出されたトナー残量が所定値以上のときに、前記トナー供給手段による前記現像部へのトナー供給を停止させる請求項1〜4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
環境温度を検出する温度センサを備え、
前記トナー供給制御手段は、両面印刷が所定枚数以上連続した後に前記濃度検出手段で検出された前記濃度調整用画像の濃度と前記目標トナー濃度との差が所定値以上であり、且つ、前記温度センサで検出された環境温度が所定値以上のときに、前記トナー供給手段による前記現像部へのトナー供給を停止させる請求項1〜5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記温度上昇防止手段は、画像形成部における画像形成速度を減速する請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記温度上昇防止手段は、前記現像部における現像速度を減速する請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記温度上昇防止手段は、前記画像形成部による両面印刷を禁止する請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記温度上昇防止手段は、前記画像形成部による画像形成を禁止する請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記温度上昇防止手段が作動した後に、前記濃度検出手段で検出された前記濃度調整用画像の濃度と前記目標トナー濃度との差が所定値以上となると、画像形成動作を停止させる画像形成動作停止手段を備える請求項3及び請求項7〜9の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記温度上昇防止手段が作動した後に、前記画像形成部における印刷枚数が所定枚数を超え、かつ、前記濃度検出手段で検出された前記濃度調整用画像の濃度と前記目標トナー濃度との差が所定値以上となると、画像形成動作を停止させる画像形成動作停止手段を備える請求項3及び請求項7〜9の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−72341(P2010−72341A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−239665(P2008−239665)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】