説明

画像形成装置

【課題】 劣化トナーを排除する画像形成装置を提供する。
【解決手段】制御部が、潜像形成部による潜像形成の元になる画像データから算出されるトナー消費量を表わすドットカウントを現像器の稼動時間で除した値が、B未満であるときには、ステップS402へ進んで、濃度回復モードがon、offのいずれの設定になっているかを判定する。このステップS402でonに設定されていると判定すると、ステップS404へ飛んで濃度回復モードを実行して黒のベタ画像を形成して劣化トナーを複写機外へ排出させる。またoffであると判定したきには、ステップS405で濃度回復モードにした方が良い旨の表示を表示パネル上に行なう。この表示を受けてユーザによって濃度回復モードが指定されたときにはステップ304で濃度回復モードを実行して黒のベタ画像を形成して劣化トナーを複写機外へと排出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用した画像形成装置における経時的な画質変化を抑制する技術として、例えば感光体の膜圧が減少してきたときには、感光体に加えるバイアス電圧を上昇させて感光体へのトナーの付着率を一定に保つ技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また感光体の状態の変化を抵抗値等で検知して感光体の帯電電圧や帯電電流、また感光体を除電する除電電圧、除電電流を調整して感光体へのトナーの付着率を向上させたり、感光体からのトナーの除去率を向上させたりする技術が開示されている(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平05−257354号公報
【特許文献2】特開2006−301662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成装置で画像を形成する場合、非画像部の占有率が多い画像が何度も続けて形成されるようなことが起こる。電子写真方式を採用した画像形成装置においては、このようなことが起こると、現像器内のトナーが消費されないかまたは消費量が少ないため、現像器に対して新たなトナーの供給が行なわれず、現像器内のトナーが現像器内に長時間にわたって留まることになる。その結果、現像器内の攪拌動作を受けてトナーの回りの外添剤の剥離やトナーへの埋込みが起こることがある。こうして外添剤の剥離や埋込みが生じたトナー(以降劣化トナーという)で感光体表面の潜像が現像され画像が形成されると、画像画質低下、特に画像の濃度不足が生じる場合がある。
【0005】
本発明は、劣化トナーによる画像画質の低下を抑制しうる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の画像形成装置は、
潜像が形成されトナーによる現像を受けてトナー像を保持する像保持体と、
上記像保持体上に画像データに基づく潜像を形成する潜像形成部と、
上記像保持体上に形成された潜像をトナーで現像する現像器と、
上記像保持体に保持されたトナー像を記録媒体上に転写する転写器と、
上記記録媒体上に転写されたトナー像を記録媒体上に定着する定着器と、
上記現像器の単位稼動時間あたりのトナー消費量を監視する監視手段と、
上記監視手段により閾値未満のトナー消費量が検出された場合に、上記現像器内のトナーを記録媒体上に排出する排出手段とを有することを特徴とする。
【0007】
請求項2の画像形成装置は、
上記監視手段は、上記現像器の稼動時間と、上記潜像形成部による潜像形成の元になる画像データから算出されるトナー消費量とに基づいて、上記現像器の単位稼動時間あたりのトナー消費量を算出するものであることを特徴とする。
【0008】
請求項3の画像形成装置は、
トナーが収容されたトナー収容容器と、
上記現像器内のトナーの消費に応じてその現像器に上記トナー収容容器内のトナーを供給するトナー供給手段とを有し、
上記監視手段は、上記現像器の稼動時間と、上記トナー供給手段による上記現像器へのトナー供給量とに基づいて、上記現像器の単位稼動時間あたりのトナー消費量を算出するものであることを特徴とする。
【0009】
請求項4の画像形成装置は、
請求項1から3のうちいずれか1項記載の画像形成装置において、排出手段が記録媒体上にベタ画像を出力するものであることを特徴とする。
【0010】
請求項5の画像形成装置は、
上記監視手段により閾値未満のトナー消費量が検出された場合に前記排出手段を動作させるか否かを選択する選択手段を有することを特徴とする。
【0011】
請求項6の画像形成装置は、
少なくとも上記現像器を含む部分が着脱自在な交換部品として構成され、
上記監視手段は、新たな上記交換部品が装着され新たに装着された交換部品を構成する現像器の稼動時間が閾値時間に達した後に動作するものであることを特徴とする。
【0012】
請求項7の画像形成装置は、
上記現像器による、上記像保持体から上記記録媒体へのトナー像の転写後にその像保持体に残存するトナーを回収して上記現像器に送り込むトナー回収手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の画像形成装置によれば、劣化トナーによる画像画質の低下を抑制しうる画像形成装置を提供することが可能となる。
【0014】
請求項2の画像形成装置によれば、専用の検知装置を用いることなく現像器の単位稼動時間あたりのトナー消費量を算出することが出来る。
【0015】
請求項3の画像形成装置によっても、専用の検知装置を用いることなく現像器の単位稼動時間あたりのトナー消費量を算出することが出来る。
【0016】
請求項4の画像形成装置によれば、専用の劣化トナー排出手段を設けることなく、劣化トナーを排出できる。
【0017】
請求項5の画像形成装置によれば、操作者の意に反する劣化トナーの排除が行われない。
【0018】
請求項6の画像形成装置によれば、現像器内のトナーが劣化していない初期段階でのトナー劣化の誤判定が防止される。
【0019】
請求項7の画像形成装置によれば、一方でトナーの無駄を防止しつつ劣化トナーについては排除することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の画像形成装置の実施形態について説明する。
【0021】
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態である複写機の概略構成図である。また図2は、図1の感光体ローラ周辺の拡大図である。
【0022】
図1、図2を参照して構成を説明する。
【0023】
図1に示す複写機1は、モノクロの複写機であって、記録媒体の一例を構成する記録用紙上に白黒の画像を形成するものである。図1に示す様にこの複写機1の上部には、複写原稿がセットされる画像読取部1Aと操作部(不図示)とが備えられており、その画像読取部1Aに複写原稿がセットされた後に不図示の操作部内の複写指示ボタンが操作されると、複写が行なわれて複写原稿と同じ画像が形成された記録用紙が排出部1Bから排出される。詳細は後述するが、この不図示の操作部にはタッチパネル型の表示パネルが備えられており、その表示パネル上に操作ボタンと操作に必要な情報が表示される構成になっている。なお、複写機の最上部には、画像読取部1Aに複写原稿を自動的にセットするADF(Auto Document Feeder)と呼ばれる自動給紙装置が配備されている。
【0024】
図1に示す様に複写機1の内部には、積み上げられた複数枚の記録用紙一枚一枚を分離して搬送路Pに給紙する給紙部1Cが備えられており、その給紙部1Cから搬送路Pに給紙された記録用紙一枚一枚に画像が形成され画像が形成された記録用紙が排出部1Bから排出される。
【0025】
複写器1の内部には、潜像が形成されトナーによる現像を受けてトナー像を保持する感光体ローラ10と、その感光体ローラ10を帯電する帯電ローラ11と、その感光体ローラ10上に画像データに基づく潜像を形成する潜像形成部12と、感光体ローラ10上に形成された潜像をトナーで現像する現像器13と、感光体ローラ10に保持されたトナー像を記録用紙上に転写する転写ローラ14と、記録用紙上に転写されたトナー像を記録用紙上に定着する定着用の一対の加熱ローラ15とが備えられ、さらに現像器13に新しいトナーを供給するためのトナー収容容器16が備えられている。本実施形態においては上記感光体ローラ10が像保持体の一例を構成する。
【0026】
図2を参照してその感光体ローラ10周辺の構成を詳細に説明する。
【0027】
矢印Aの方向に回転する感光体ローラ10の周辺には、この感光体ローラ10に同期して回転する帯電ローラ11、現像ローラ13、転写ローラ14が配備されている。また、その帯電ローラ11と現像ローラ13との間には、潜像形成部12が配備されている。
【0028】
まず帯電ローラ11により感光体ローラ10が帯電された後、帯電された感光体ローラ10に潜像形成部12によって潜像が形成される。この潜像形成部12には、感光体ローラ10に対してドット単位で潜像を形成することができるように複数のレーザダイオードが主走査方向(図2の紙面に垂直な方向)に配列されており、それらのレーザダイオードによって感光体ローラ10上にドット単位で潜像が形成される。この潜像形成部12が備える複数のレーザダイオードには制御部1Dから画像データに応じて指示が与えられていて、レーザダイオードの各々の点灯タイミングが調整されて画像データに応じた潜像が回転する感光体ローラ10上に形成される。詳細は後述するが、画像一枚分の潜像を形成するのに、レーザダイオードをそれぞれ何ドット分点灯させたかを、全てのレーザダイオードについて合計すればトナーの量を算出することが可能となる。
【0029】
そしてその潜像が現像器13からのトナーの供給をうけて現像され、転写ローラ14により記録用紙にトナー像が転写される。その後記録用紙は、定着器15に搬送されてその定着器15で画像が記録用紙に定着される。
【0030】
一方、転写後においても感光体ローラ10に残存するトナーは、感光体ローラ10に先端が接触する掻き出し部材151によって掻き出される。掻き出されたトナーは、掻き出し部材151の先端に積層され、積層された状態のトナーが、螺旋状の溝が外面に切られた円筒状の部材152の回転により回収される。さらにその円筒状の部材152の溝に沿って搬送されてくるトナーがパイプ153を通して現像器13に回収され、未使用のトナーと混合されて使用される。本実施形態では、掻き出し部材151と、螺旋状の溝が表面に切られた円筒状の部材152と、パイプ153とで本発明にいうトナー回収手段の一例が構成されている。なお、図2には、再利用されるトナーの搬送経路と、トナー収容容器から供給される新品のトナーの搬送経路が分かるように、点線と2点鎖線とでそれぞれのトナーの搬送経路が示されている。
【0031】
ここで図2を参照して現像器13の構成を詳しく説明する。
【0032】
ここで、図2に示す現像器13は、トナー収容容器16から不図示のディスペンスモータの動作により供給されてきたトナーを図2の裏面側で受け取って図2の表面に向かう方向に螺旋状の溝に載せて搬送する攪拌搬送路131と、その攪拌搬送路131によって搬送されてきたトナーを図2の表面側で受け取って図2の表面から裏面に向かう方向に螺旋状の溝に載せて搬送するもう一つの攪拌搬送路132と、そのもう一つの攪拌搬送路132で搬送されてきたトナーを受け取る現像ローラ133とで構成されている。
【0033】
この攪拌搬送路131、132には、磁性体からなるキャリアが入れられており、そのキャリアの周囲にトナーが静電結合した状態になって搬送される。このときにはトナーが攪拌により摩擦力を受けて帯電し、帯電したトナーとキャリアとが攪拌搬送路131,132により現像ローラ133にまで搬送される。こうして帯電したトナーと、磁性体であるキャリアとが現像ローラ133にまで搬送されると、現像ローラ133内部の磁石の磁力を受けてその磁石の周りを回転する円筒スリーブ表面にキャリアが引き付けられそのキャリアとともにトナーが引き付けられる。この円筒スリーブの回転と感光体ローラ10との回転によって帯電したトナーが感光体ローラ10の潜像の電位分布にしたがって付着することで潜像が現像される。なお現像ローラ153上のキャリアはトナーによる現像が行なわれた後も現像ローラ153上に残り、現像ローラ153の更なる回転により攪拌搬送部131,132に戻される。
【0034】
そして給紙部1C(図1参照)から搬送路Pに給紙され搬送されてきた記録用紙に転写ローラ14によってトナー像が転写され、そのトナー像が一対の加熱ローラ15の加熱および加圧により記録用紙に定着された後、排出部1B(図1参照)からトナー像が定着された記録用紙が排出される。図2には搬送経路Pが一点鎖線で示されている。
【0035】
この例では、感光体ローラ10と、帯電ローラ11と、潜像形成部12と、現像器13と、本発明にいうトナー回収手段の一例を構成する掻き出し部材151と外面に螺旋状の溝が切られた円筒状の部材152とパイプ153とが一つのカートリッジ内に収められ、感光体ローラ10の磨耗などが発生したときには、カートリッジを交換することができるように構成されている。このカートリッジが本発明にいう交換部品の一例を構成する。
【0036】
ここで、図1の複写機において劣化トナーが増加する状態を説明する。
【0037】
図3は、現像器13内の稼動時間が長い割りにトナーの消費量が少なく、劣化トナーが増加していると予想される状態を説明する図である。
【0038】
図1の複写機1においては、現像器13が備える現像ローラ131、攪拌搬送路131,132と、感光体ローラ10と、転写ローラ14と、加熱ローラ15とがすべて1つのモータで駆動されている。このため現像器13はプロセス進行中においては絶えず動作し続けることになる。また定着器15の一例を構成する一対の加熱ローラ15には中央部に温度センサが配備されている。
【0039】
図1の複写機で、図3(a)に示す様に、A4サイズの記録用紙への複写が18PPM(Print Per Minute)の速度で繰り返し行なわれているときには、その複写により記録用紙上に形成される画像が通常レベルのトナー消費量を伴う画像である限り、安定した状態のプリントが行なわれる。
【0040】
しかし、このA4サイズの記録用紙へのプリントと同じ速度(18PPM)で図3(c)に示す様に葉書へのプリントが行なわれると、加熱ローラ15の中央のみで転写が行なわれるために加熱ローラの中央の温度のみが低下した状態になる。
【0041】
上記した様に温度センサは加熱ローラ15の中央部に設けられているために、上記状態になると制御部1Dは加熱ローラ15の内部のヒータ(不図示)に電流を流し続けて加熱ローラ15の温度を上昇させ続けることになる。このため、加熱ローラ15の温度が必要以上に上昇する恐れがある。
【0042】
そこで図1の複写機1では、葉書へのプリントが繰り返し行なわれるときには、制御部が図3(b)に示すように繰り返し行なわれるプリントの時間間隔を広げて加熱ローラを空回転させることにより加熱ローラ15の中央部の温度低下を最小限に留める制御を行なっている。このため、葉書へのプリントが繰り返し行なわれると、プリントのプロセス進行中に現像器13が空回転する時間(つまり同じトナーが攪拌搬送路131,132をいったりきたりする時間)が長くなるためにトナーが攪拌により大きなストレスを受けて劣化トナーになり易くなる。
【0043】
上記例は、現像器13が空回転する場合の例であるが、プリント間隔だけの問題ではなく、前述した様に白の面積が極めて広い画像を記録媒体上に繰り返し形成するときにも現像器13の稼動時間が長い割りにトナーの消費量が少なくなって劣化トナーが発生し易くなる。
【0044】
そこで、本実施形態では、濃度回復モードというモードを設けてそのモードがユーザによって設定されたときには制御部1Dが、潜像形成部12に指示して全黒の潜像を形成させることで現像器13内の劣化トナーを記録用紙上に排出して複写機の外部に劣化トナーを排除することができるようにしている。
【0045】
図4は、制御部1Dが実行する濃度回復モードへの移行処理を説明するフローチャートである。また図5は、制御部1Dがそのフローチャートの手順に沿って処理を実行しているときに操作部の表示パネル10Aに表示されるメッセージを示す図である。なお、図5の表示パネル10Aは前述した様に図1の複写機1の上部に設けられているものであり、その表示パネルはタッチパネルで構成されている。
【0046】
図5のタッチパネルに表示される不図示のプリント指示ボタンの操作を受けて制御部1Dはこのフローの処理を実行する。なお、図4のフローの処理が終了した後においては通常のプリント処理が行なわれるので、図4のフローには終了という文言の代わりに通常のプリント動作という文言が記されている。
【0047】
図4のフローを説明する。
【0048】
ステップS401で、カートリッジ交換後の稼動時間が閾値「A」未満であるかどうかを判定する。このステップS401でYesと判定すると、現像器13内のトナーが新品に近く劣化トナーはないと判定して何もせずにこのフローの処理を終了する。
【0049】
このステップS401でNoと判定すると、ステップS402へ進んでステップS402でカートリッジ交換後の現像器13の稼動時間と、潜像形成部12による潜像形成の元になる画像データから算出されるトナー消費量とに基づいて、現像器13の単位稼動時間あたりのトナー消費量を算出する。
【0050】
このフローでは、潜像形成部12による潜像形成の元になる画像データから算出されるトナー消費量として、前述した様に画像データに応じてダイオードを点灯させた回数をすべてのダイオードについてカウントしたドットカウント数を用いて、そのドットカウント数を現像器13の稼動時間で除した値が、閾値B未満であるかどうかを判定する。ここで閾値B以上であると判定したときにはトナー消費量が多く劣化トナーが少ないとしてNo側へ進んでこのフローの処理を終了する。
【0051】
このステップS402で閾値B未満であると判定したときにはトナー消費量が少ない割に現像器の稼動時間が長く現像器13内の劣化トナーが増加していると予測されるとしてYes側へ進んでステップS403で濃度回復モードの自動実施がonに設定されているか、offに設定されているかを判定する。このステップS403で濃度回復モードがonに設定されていると判定すると、ステップS404へ進んで濃度回復モードを実行し潜像形成部12に指示して感光体ローラ10に全黒の潜像を形成させて現像器13内のトナーをすべて感光体ローラ10に付着させて記録用紙上に転写することで劣化トナーを記録用紙上に排出する。このときには表示パネル10A上に濃度回復モード実行中という表示を行なって排出した記録用紙が濃度回復モードによるものであることをユーザに通知する。
【0052】
一方ステップS403で濃度回復モードの設定がoffに設定されていると判定したときにはoff側へ進んで、ステップS405で表示パネル上に‘濃度回復モードのマニュアル実施をお勧めします’というメッセージとともに濃度回復モード実施ボタン100Aと通常ボタン101Aとの2つの操作ボタンを表示する(図5参照)。
【0053】
そして次のステップS406で濃度回復モードボタン100A、通常ボタン101Aのうちのいずれが指定されたかを判定し、‘通常’が指定されていると判定すると、このフローの処理を終了し、濃度回復モードが指定されていると判定すると、ステップS404へ進んでステップS404で潜像形成部12に指示して感光体ローラ10に全黒の潜像を形成させて現像器13内のトナーをすべて感光体ローラ10に付着させて記録用紙上に転写することで劣化トナーを記録用紙上に排出して、このフローの処理を終了する。
【0054】
制御部1Dが図4のフローを実行すると、劣化トナーを記録用紙上に排出して複写機外に記録用紙を排出させることで劣化トナーを排除することができる。
【0055】
また本実施形態のように現像器13が交換部材であると、図4のフロー中のステップS401の処理により、現像器内のトナーが劣化していない初期段階でのトナー劣化の誤判定が防止されるという効果が引き出される。
【0056】
以上説明した図1から図5に示す実施形態では、制御部1Dによって、本発明にいう監視手段の一例が構成され、制御部1Dと感光体ローラ10と潜像形成部12と転写ローラ14とで本発明にいう排出手段の一例が構成されている。また本実施形態では、制御部1Dと表示パネル10Aとによって、問合せ手段の一例および指示受手段の一例が構成されている。
【0057】
図6は、第2実施形態を説明する図である。
【0058】
図6に示す様に、トナーの消費量を検出するのは、トナーが収容されたトナー収容容器16から現像器13に供給されるトナーの量を検出することでも可能である。
【0059】
そこで、図6のフローでは、図3のステップS402の代わりに、現像器13の稼動時間と、トナー供給手段による現像器13へのトナー供給量とに基づいて、現像器の単位稼動時間あたりのトナー消費量を算出するステップS402Aに変更している。
【0060】
図1の複写機では、トナー収容容器16から現像器13に供給されるトナーの量が、不図示のディスペンスモータにより制御されている。そこで、図6の例では制御部10が、そのディスペンスモータの駆動時間を用いてトナー供給量を算出している。
【0061】
なお、現像器13が備える攪拌走路131,132内には、キャリアとトナーの混合比率を検出することができるセンサが配備されており、そのセンサの検出結果に基づいて制御部10が不図示のディスペンスモータを駆動してトナー収容容器16からトナーを現像器13に供給させている。
【0062】
このため、図6のフローにしても図4と同様に制御部10はトナーの消費量を算出してステップS405でユーザに問合せをしてステップS406でユーザからの指示を受けてステップS404の濃度回復モードを実行することができ、また濃度回復モードが設定された後においては、ユーザの指示を待たずにステップS404へ直ぐに飛んで濃度回復モードを実行することができる。
【0063】
なお、本実施形態では、本発明にいう画像形成装置としてモノクロの複写機を例に挙げて説明したが、本発明にいう画像形成装置は、カラーの複写機にも適用される。
【0064】
また本発明にいう画像形成装置は、電子写真方式を採用した画像形成装置であればプリンタであってもファクシミリであっても良い。
【0065】
さらに、本実施形態では、本発明にいう画像形成装置として、搬送されてきた記録用紙に、転写ローラを用いて感光体ローラ上のトナー像を直接転写する直接転写方式の複写機を例に挙げて説明したが、本発明にいう画像形成装置は、転写ベルトを介して現像器を記録用紙に転写する間接転写方式の画像形成装置であってもよい。
【0066】
また、本実施形態では、本発明にいう像保持体として、ローラ方式を採用した感光体ローラを例に挙げて説明したが、本発明にいう像保持体は、循環ベルト方式を採用した感光体ベルトであっても良い。
【0067】
また、本実施形態では、カートリッジとして、感光体ローラ10と、帯電ローラ11と、潜像形成部12と、現像器13と、本発明にいうトナー回収手段の一例を構成する掻き出し部材151と外面に螺旋状の溝が切られた円筒状の部材152とパイプ153とが収容されたカートリッジを例に挙げて説明したが、カートリッジには少なくとも現像器が備えられていれば良い。
【0068】
また、本実施形態では、定着器と転写ローラとが別々の構成になっている例を掲げたが、転写と定着を同時に行なう構成のものであっても良い。
【0069】
さらに、本実施形態では、トナーを回収して再利用する構成の複写機を例に挙げたが、トナーを回収して再利用せずに回収ボックス内に回収する構成のものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態である複写機の概略構成図である。
【図2】感光体周辺の拡大図である。
【図3】現像器13内の稼動時間が長い割りにトナーの消費量が少なく、劣化トナーが増加していると予想される状態を説明する図である。
【図4】制御部1Dが実行する濃度回復モードへの移行処理を説明するフローチャートである。
【図5】制御部1Dがそのフローチャートの手順に沿って処理を実行しているときに操作部の表示パネル10Aに表示されるメッセージを示す図である。
【図6】第2実施形態を説明する図である。
【符号の説明】
【0071】
1 複写機
1A 画像読取部
1B 給紙部
1C 排出部
1D 制御部
10 感光体ローラ
11 帯電ローラ
12 潜像形成部
13 現像器
14 転写ローラ
15 加熱ローラ
16 トナー収容容器
P 用紙搬送部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像が形成されトナーによる現像を受けてトナー像を保持する像保持体と、
前記像保持体上に画像データに基づく潜像を形成する潜像形成部と、
前記像保持体上に形成された潜像をトナーで現像する現像器と、
前記像保持体に保持されたトナー像を記録媒体上に転写する転写器と、
前記記録媒体上に転写されたトナー像を記録媒体上に定着する定着器と、
前記現像器の単位稼動時間あたりのトナー消費量を監視する監視手段と、
前記監視手段により閾値未満のトナー消費量が検出された場合に、前記現像器内のトナーを記録媒体上に排出する排出手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記監視手段は、前記現像器の稼動時間と、前記潜像形成部による潜像形成の元になる画像データから算出されるトナー消費量とに基づいて、前記現像器の単位稼動時間あたりのトナー消費量を算出するものであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
トナーが収容されたトナー収容容器と、
前記現像器内のトナーの消費に応じて該現像器に前記トナー収容容器内のトナーを供給するトナー供給手段とを有し、
前記監視手段は、前記現像器の稼動時間と、前記トナー供給手段による前記現像器へのトナー供給量とに基づいて、前記現像器の単位稼動時間あたりのトナー消費量を算出するものであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記排出手段は、記録媒体上にベタ画像を出力するものであることを特徴とする、請求項1から3のうちいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記監視手段により閾値未満のトナー消費量が検出された場合に前記排出手段を動作させるか否かを選択する選択手段を有することを特徴とする請求項1から4のうちのいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項6】
少なくとも前記現像器を含む部分が着脱自在な交換部品として構成され、
前記監視手段は、新たな前記交換部品が装着され新たに装着された交換部品を構成する現像器の稼動時間が閾値時間に達した後に動作するものであることを特徴とする請求項1から5のうちのいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記転写器によって前記像保持体から前記記録媒体へトナー像が転写された後に該像保持体に残存するトナーを回収して前記現像器に送り込み再利用するトナー再利用手段を有することを特徴とする請求項1から6のうちのいずれか1項記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−85859(P2010−85859A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−256729(P2008−256729)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】