説明

画像形成装置

【課題】各画像形成ステーションにおける各々の現像装置で最適なリフレッシュ制御を行
うことができ、良好な画質を維持できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】非画像形成時に現像剤を現像剤担持体から像担持体上へと現像する動作を行
わせる現像制御手段は、単色画像形成モードで画像形成を行った画像形成ステーションの
使用量に応じて、その画像形成ステーションに対してのみ、現像剤を現像剤担持体から像
担持体上へと現像する単色非画像時現像動作を行わせることを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子写真複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものであり、特に、複数の画像形成ステーションを有し、多色画像を形成することのできるインライン方式の多色画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1は、インライン方式の多色電子写真画像形成装置の一例を示す。本例の多色画像形成装置は、4色、即ち、イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックKの画像形成部、即ち、画像形成ステーションP(Pa、Pb、Pc、Pd)を備えている。各画像形成ステーションP(Pa、Pb、Pc、Pd)は、それぞれ、像担持体としてのドラム状の電子写真感光体(以下、「感光体ドラム」という。)1(1a、1b、1c、1d)を備え、各感光体ドラム1の回りには、帯電装置としての帯電ローラ2(2a、2b、2c、2d)と、露光装置3(3a、3b、3c、3d)と、現像装置4(4a、4b、4c、4d)と、転写装置としての転写ブレード5(5a、5b、5c、5d)と、クリーニング装置6(6a、6b、6c、6d)と、が配置されている。
【0003】
各画像形成ステーションP(Pa、Pb、Pc、Pd)を構成する感光体ドラム1、帯電ローラ2、現像装置4、及び、クリーニング装置6は、一体的にカートリッジ化されたプロセスカートリッジ10(10a、10b、10c、10d)とされている。
【0004】
プロセスカートリッジ10では、それぞれ、感光体ドラム1を帯電ローラ2で帯電し、露光装置としてのレーザ・スキャナユニット3から送られるレーザ光で静電潜像を形成し、現像装置4で静電潜像を現像して現像剤像を形成する。
【0005】
搬送ベルト8上を搬送される転写材Sは、転写ブレード5(5a、5b、5c、5d)の位置でプロセスカートリッジの感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)上に形成された現像剤像を転写され、定着器ユニット9へと搬送される。定着器ユニット9では、転写材Sに転写された現像剤を溶融固着させる。また、転写後感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)上に残留した現像剤はクリーニング装置6(6a、6b、6c、6d)にて除去される。
【0006】
ここで、現像装置4a、4b、4c、4dは、同じ構成とされ、図2(a)に、現像装置4の断面図を示す。
【0007】
図2(a)に示されるように、現像装置4は、現像剤(トナー)Tを収容した現像容器41と、トナーを担持し搬送する現像剤担持体としての現像ローラ42と、トナー供給ローラ43と、現像ブレード44と、を備えている。
【0008】
斯かる構成にて、現像ローラ42には、当接して回転する供給ローラ43によりトナーTが供給される。現像ローラ42上のトナーTは、現像ブレード44により、層厚が規制されると共に、所定の電荷が付与される。
【0009】
しかしながら、このような現像装置4の構成では、画像形成枚数増加に伴う画像品質の低下が起こる。画質低下は、主にトナー劣化によるものであり、現像ローラ42と感光体ドラム1の表面との摺擦、現像ローラ42と現像ブレード44との摺擦、現像ローラ42と供給ローラ43との摺擦が主原因である。
【0010】
そこで、例えば、特許文献1や特許文献2にあるように、ある所定のタイミングで画像形成時以外に現像剤(トナー)を現像ローラ42から感光体ドラム1へと現像させる非画像時現像制御、即ち、「リフレッシュ制御」を行うことが提案されている。このリフレッシュ制御は、現像剤を感光体ドラム1へ強制的に排出し、現像ローラ42が回転することにより引き起こされる現像ローラ近傍のトナーの劣化を効率的にリフレッシュすることで画質低下を防止している。画像低下は、特に画像比率が小さい画像を多く形成すると、現像されない現像残り現像剤が増えるので、生じ易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−75438号公報
【特許文献2】特開2004−125829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記したような多色画像形成装置で、ブラックKの画像形成ステーションPdのみを用いて印字動作を行うブラック単色画像形成モードと、イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックKの画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdの全色を用いて印字動作を行う多色画像形成モードとを備える画像形成装置においては、ブラックKの画像形成ステーションPdとその他の画像形成ステーションPa、Pb、Pcとで、使用頻度が異なってきてしまい、過剰にリフレッシュ制御を行うことでトナーを余計に消費させてしまったり、或いは、必要以下にしかリフレッシュ制御を行うことができず、不良画像の原因となってしまうことがあった。
【0013】
例えば、単色画像形成モード、多色画像形成モードの使用にかかわらず、一定の画像形成枚数毎に全てのステーションにおいて同時にリフレッシュ制御を行うように設定すると、単色画像形成モードを連続して使用した場合、他の画像形成ステーションに対してもリフレッシュ制御を行なうことになり、他の画像形成ステーションにおいて、無駄なトナー消費を行なうことになってしまう。
【0014】
本発明の目的は、上記のような問題点を解決するものであり、各画像形成ステーションにおける各々の現像装置で最適なリフレッシュ制御を行うことができ、良好な画質を維持できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、静電潜像が形成される像担持体と、現像剤を担持搬送して前記像担持体上の静電潜像を現像して現像剤像とする現像剤担持体を備えた現像装置と、をそれぞれ有し、複数の色の画像形成が可能な複数の画像形成ステーションと、
前記複数の画像形成ステーションにおいて前記像担持体上の現像剤像を受像部材へ転写する転写手段と、
非画像形成時に前記現像剤を前記現像剤担持体から前記像担持体上へと現像する非画像時現像動作を行わせる現像制御手段と、
を備え、前記画像形成ステーションのうち一つを用いて単色での画像形成を行う単色画像形成モードと、前記画像形成ステーションのうち複数を用いて多色での画像形成を行う多色画像形成モードと、を有した画像形成装置において、
前記現像制御手段は、
単色画像形成モードで画像形成を行った画像形成ステーションの使用量に応じて、その画像形成ステーションに対してのみ、現像剤を前記現像剤担持体から前記像担持体上へと現像する単色非画像時現像動作を行わせることを可能とすることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、各画像形成ステーションにおける各々の現像装置で最適なリフレッシュ制御を行うことができ、良好な画質を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施例の概略構成図である。
【図2】図2(a)は、現像装置の一実施例の概略構成図であり、図2(b)は、現像ローラの斜視図である。
【図3】本発明に係る画像形成装置の一実施例による搬送ベルトと感光体ドラムが離間したときの構成を示す概略図である。
【図4】本発明に係る画像形成装置における単色画像形成を説明するための概略図である。
【図5】本発明に係る画像形成装置の他の実施例による搬送ベルトと感光体ドラムが離間したときの構成を示す概略図である。
【図6】本発明に係る画像形成装置の他の実施例の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0019】
実施例1
本発明の一実施例によると、本発明は、先に図1を参照して説明した電子写真プロセスを利用した多色画像形成装置に好適に具現化することができる。図1の多色画像形成装置について更に詳しく説明する。
【0020】
つまり、本実施例によると、多色画像形成装置100は、縦一列に配置されたイエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックKの画像形成部、即ち、画像形成ステーションP(Pa、Pb、Pc、Pd)と、受像部材としての転写材Sを担持し搬送する転写材搬送体としての搬送ベルト8とを備えている。搬送ベルト8は、転写材Sを吸着し画像形成ステーションP(Pa、Pb、Pc、Pd)に搬送する。この転写材Sには、画像形成ステーションP(Pa、Pb、Pc、Pd)において形成された現像剤像、即ち、トナー画像が転写され、転写材S上にフルカラー画像を形成する。
【0021】
ここで、この画像形成ステーションP(Pa、Pb、Pc、Pd)は、それぞれ、像担持体として繰り返し使用されると共に、矢示の反時計方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される回転ドラム型の電子写真感光体、即ち、感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)と、感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)の表面を一様に帯電処理する帯電装置としての1次帯電ローラ2(2a、2b、2c、2d)と、感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)上に形成された静電潜像を現像する現像装置4(4a、4b、4c、4d)と、感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)上を露光して静電潜像を形成する画像露光装置3(3a、3b、3c、3d)と、感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)上のトナーを取り除くクリーニング装置6(6a、6b、6c、6d)とを備えている。
【0022】
本実施例においても、各画像形成ステーションP(Pa、Pb、Pc、Pd)を構成する感光体ドラム1、帯電ローラ2、現像装置4、及び、クリーニング装置6は、一体的にカートリッジ化されたプロセスカートリッジ10(10a、10b、10c、10d)とされている。
【0023】
なお、本実施例において、感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)は直径30mmの負帯電OPC感光体であり、また周速度は100mm/secである。
【0024】
また、1次帯電ローラ2(2a、2b、2c、2d)は、感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)に総圧9.8Nで従動当接して帯電を行うDC接触帯電方式の帯電装置を構成すると共に、−1.2KvのDC電圧が印加され、この1次帯電ローラ2(2a、2b、2c、2d)により感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)の表面は−600vに帯電される。
【0025】
また、各現像装置4(4a、4b、4c、4d)は、図2(a)に示すように内部にイエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックKの磁性体を含まない現像剤、所謂、ノンマグトナーTが収納されるトナー収納部としての現像容器41を有する。現像容器41には、トナーTを担持し搬送する現像剤担持体としての現像ローラ42と、トナー供給ローラ43と、現像ブレード44と、を備えている。現像ローラ42には、当接して回転する供給ローラ43によりトナーTが供給される。現像ローラ42上のトナーTは、現像ブレード44により、層厚が規制されると共に、所定の電荷が付与される。
【0026】
現像ローラ42は、感光体ドラム1と接触するように配設され、不図示の回転駆動装置によって感光体ドラム1に対して順方向に170%の周速で回転する。また、現像ローラ42には、画像形成装置100に設けられた制御手段20(図1)からのバイアス電圧信号によって高圧電源から可変電圧が印加され、一成分接触現像方式によって感光体ドラム1上に形成された静電潜像を現像する。本例のように、現像ローラ42を感光体ドラム1に接触させる接触現像方式の場合、現像部において現像剤が感光体ドラム1によって摺擦されるので、既に述べたような現像剤の劣化が生じ易い。従って、特に接触現像方式においては、リフレッシュ動作を行なうことが望ましい。
【0027】
一方、搬送ベルト8は、図1に示すように駆動ローラ12とテンションローラ11との間に張架されると共に、駆動ローラ12により矢示方向に感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)と実質的に同じ周速度をもって回転駆動される。
【0028】
なお、図1において、転写部材としての転写ブレード5(5a、5b、5c、5d)が、搬送ベルト8の背面から搬送ベルト8を介して感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)に当接している。各転写ブレード5(5a、5b、5c、5d)には+1.5KvのDCバイアスが不図示の高圧電源から印加されている。
【0029】
次に、このように構成された画像形成部の画像形成動作について説明する。
【0030】
画像形成に際して、多色画像形成モード、即ち、フルカラーモードが選択されると、先ず、各感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)の表面を、感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)の回転過程において1次帯電ローラ2(2a、2b、2c、2d)により所定の極性・電位に一様に帯電処理する。次に、画像露光装置3(3a、3b、3c、3d)により画像信号によって変調されたレーザビームを露光し、感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)上に静電潜像を形成する。そして、この後、この静電潜像を現像装置4(4a、4b、4c、4d)により現像する。
【0031】
一方、不図示の給紙装置によりカセットから転写材Sを給紙すると共に、この転写材Sを、不図示のレジストローラ、転写入口ガイドを通過させた後、搬送ベルト8に吸着させ、この後、搬送ベルト8の移動に伴って第1色目の画像形成ステーションPaに向かわせる。
【0032】
これにより、この転写材Sには、搬送ベルト8の背面に設けた転写ブレード5aにより、第1色目(イエローY)の画像形成ステーションPaの感光体ドラム1aに形成されたトナー像が転写される。
【0033】
以下、各画像形成ステーションPb、Pc、Pdを通過する毎に、転写材Sには感光体ドラム1b、1c、1dから異なる色のマゼンタM、シアンC、ブラックKの各色トナー像が転写され、フルカラー画像が形成される。
【0034】
そして、このようにして全色の転写が終了すると、転写材Sは、搬送ベルト8の後端から曲率によって分離された後、熱ローラ定着器9によってトナー像が定着され、この後、装置外に排出されて最終プリントが得られる。
【0035】
本実施例の構成の画像形成装置100は、上記フルカラーモードの他に、ブラックKの現像装置4dのみを使用し印字動作をする単色画像形成モード、所謂、モノクロプリントモードをも備えている。このモノクロプリントモードについては後述する。
【0036】
次に、画像品位が劣化した場合のリフレッシュ制御について述べる。
【0037】
現像装置4において、現像ローラ42近傍の現像剤の帯電特性が劣化した際に、現像ローラ42近傍に新しい帯電特性の劣化していない現像剤を供給する必要がある。そのために、本実施例では、非画像時現像制御を行う制御手段20は、非画像形成時において現像ローラ4近傍の劣化トナーを感光体ドラム1に転移(現像)させる。この転移量は、図2(b)に示すように、現像ローラ42の軸線方向に沿った幅Lについては、現像ローラ42上の現像剤塗布領域と同じ程度がよく、現像ローラ42の断面にて周方向に沿った長さDは、感光体ドラム1上での現像ローラ42の1回転分以上が好ましい。リフレッシュ動作を行なうときの感光体ドラム1上の静電潜像は画像露光装置をフルに点灯させることによって形成され、感光体ドラム1の明部電位と現像バイアス(直流電圧)との現像コントラストが最大となるように、現像バイアスを設定するのが好ましい。このときの画像はベタ画像(最大画像濃度の画像)が形成される。
【0038】
現像ローラ42近傍の帯電特性の劣化した現像剤は、このリフレッシュ制御により消費され、現像ローラ42近傍には新しい帯電特性の劣化していない現像剤が供給される。なお、非画像形成時とは、転写材に対して画像を形成しないときであり、画像出力が行われないときである。
【0039】
本実施例の構成においては、このリフレッシュ制御を行うに際して、先ず、制御手段20は、搬送ベルト8を感光体ドラム1から離間させるために、搬送ベルト8を離間方向に移動するための解除機構30を作動させる。
【0040】
図1、図3に示すように、この解除機構30は、例えば、図示するようなソレノイド機構、或いは、不図示のカム機構などにより搬送ベルト8のテンションローラ11側の回転軸11aなどに作用し、例えば、駆動ローラ12の回転軸12aを中心として、搬送ベルト8を矢印A方向に揺動させる。これにより、搬送ベルト8を、感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)から離間させることができる。
【0041】
つまり、図3に示すように、現像装置4(4a、4b、4c、4d)のリフレッシュ動作時に、感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)と搬送ベルト8は、離間状態となる。
【0042】
具体的に説明すると、上述のように、制御手段20により、現像装置4(4a、4b、4c、4d)のリフレッシュ動作を行う際、搬送ベルト8の解除機構30が作動し、搬送ベルト8と感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)とを離間させるが、搬送ベルト8と感光体ドラム1の離間時における搬送ベルト8の回転の有無は、特に限定されるものではない。また、感光体ドラム1と搬送ベルト8が離間された時、感光体ドラム1が停止している場合は、感光体ドラム1が回転を開始するように制御する。
【0043】
現像ローラ42を回転駆動し、かつ、例えば画像形成時と同様の現像バイアスを印加することにより、現像装置4(4a、4b、4c、4d)内の帯電特性の劣化した現像剤は感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)上へと転移(現像)される。勿論、上述のように、リフレッシュ動作時に、好ましくは、画像露光装置をフル点灯させ、感光体ドラム1上にリフレッシュ現像のための、即ち、現像剤転移のための静電潜像(即ち、リフレッシュ画像)が形成される。
【0044】
リフレッシュ現像された感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)上の現像剤は、そのままクリーニング装置6(6a、6b、6c、6d)へと回収される。
【0045】
ここで、モノクロプリントモードについて述べる。
【0046】
モノクロプリントモードとは、ブラックKの現像装置4dのみを使用し印字動作をするモードである。このとき、図4に示すように、ブラックK以外のイエローY、マゼンタM、シアンCの現像装置4a、4b、4cは停止しており、また、イエローY、マゼンタM、シアンCの感光体ドラム1a、1b、1cも搬送ベルト8より離間されており、停止した状態である。ただし、ブラックKの現像装置4d及びに感光体ドラム1dは通常の印字動作を行っている。
【0047】
更に説明すると、図4に示すように、制御手段20からの指令により解除機構30を作動させ、これによって、矢印Aに示すように搬送ベルト8が感光体ドラム1から離間するが、ブラックKの現像装置4dに対向する転写ブレード5dは、感光体ドラム1dに当接したままの状態とされる。
【0048】
従って、モノクロプリント時には、ブラックK以外の印字動作を停止することにより、イエローY、マゼンタM、シアンCの現像装置4a、4b、4cや感光体ドラム1a、1b、1cの寿命を温存でき、ブラックKのみの印字動作ができる。
【0049】
次に、このリフレッシュ制御が行われるタイミングについて述べる。
【0050】
現像装置4内のトナー劣化は、現像ローラ42などが回転動作することによる機械的な摩擦劣化が主である。よって、トナー劣化度合いは現像ローラ42の回転時間により予測できる。本実施例の構成では現像ローラ42の回転時間を計測し、ある所定の回転時間に達した場合、リフレッシュ制御を行う。
【0051】
しかしながら、フルカラーモードのみを使用するユーザの場合、上述したようなイエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックKの全色のリフレッシュ制御を行うことで何らの問題は無いが、モノクロモードの印字動作を多く行うユーザの場合、ブラックKの現像装置4dの現像ローラ42も回転時間は当然多く、例えばこのブラックKの現像装置4dの現像ローラ42の回転数に合わせてリフレッシュ動作を行った場合、イエローY、マゼンタM、シアンCの現像装置4a、4b、4cのトナーは無駄に消費されてしまうことになる。
【0052】
また、ブラックK以外の、例えばイエローYの現像装置4aの現像ローラ42の回転時間にあわせて、リフレッシュ制御を行った場合、ブラックKの現像装置4dのリフレッシュの動作は適切なタイミングで行われないことになり、画像不良の要因となってしまう。
【0053】
すなわち、フルカラーモードとモノクロモードが混在して印字動作が行われる場合、ブラックKとその他の色の現像装置の現像ローラ42の回転時間が異なってしまう。
【0054】
そこで、本実施例では、制御手段20に、ブラックKの現像装置4dの現像ローラ42の回転時間をカウントするカウンターと、その他の色、例えばイエローYの現像装置4aの現像ローラ42の回転時間をカウントするカウンターとを設け、ブラックKのみのリフレッシュ制御も可能とする。
【0055】
ブラックKのみのリフレッシュ制御を行う場合、ブラックK以外のイエローY、マゼンタM、シアンCの現像装置4a、4b、4cは停止しており、また、イエローY、マゼンタM、シアンCの感光体ドラム1a、1b、1cは、図4に示すように、搬送ベルト8より離間されており、停止した状態である。また、リフレッシュ制御時には、転写ブレード5dは、不図示のブレード解除手段により、感光体ドラム1dとの当接状態が解除され、図4に一点鎖線にて示すように、搬送ベルト8がブラックKの感光体ドラム1dから離間される。この状態にて、ブラックKの現像装置4dのみにおいて前述したリフレッシュ制御を行う。
【0056】
本実施例によると、非画像時現像制御手段20は、単色画像形成モードで画像形成を行った画像形成ステーションの使用量に応じて、その画像形成ステーションに対してのみ、現像剤を前記現像剤担持体から前記像担持体上へと現像する単色非画像時現像動作を行わせることができる。従って、各画像形成ステーションにおける各々の現像装置で最適なリフレッシュ制御を行うことができ、良好な画質を維持できる。
【0057】
実施例2
本発明の第2の実施例においては、ブラックKの現像装置のみのリフレッシュ制御とフルカラーでのリフレッシュ制御を行うタイミングの関係について述べる。
【0058】
例えば、モノクロモードとフルカラーモードが混在するユーザにおいて、ブラックKの現像ローラ回転時間カウンターとブラックK以外の例えばイエローYの現像ローラカウンターの値の差が小さい場合があるとする。このようなケースの場合、短い期間の間に、ブラックKのみのリフレッシュ制御と全色のリフレッシュ制御を行うことになる。これは、あまり効率的ではない。
【0059】
従って、ブラックKの現像装置4dのみのリフレッシュ制御を行うタイミングになった時、イエローYの現像装置4aの現像ローラ42の回転時間のカウンタがある所定の値を超えていた場合、全色のリフレッシュ制御を行う。
【0060】
具体的には、転写材Sとして長さ297mmのA4紙を使用して、本実施例の画像形成装置にて印字する場合、上述したように感光体ドラム1の周速は100mm/secであるので、理屈上A4紙の印字では2.97秒の現像ローラ42の回転時間となる。
【0061】
そこで、本実施例では、例えばA4紙で10枚以内、即ち、現像ローラ42の回転時間約30秒以内の、ブラックKの現像装置4dの現像ローラ回転数とイエローYの現像装置4aの現像ローラ回転数であった場合、全色のリフレッシュ制御を行う。
【0062】
本実施例によると、非画像時現像制御手段20は、多色画像形成モードで画像形成行った場合の画像形成ステーションの使用量に応じて、多色で使用した複数の画像形成ステーションに対して、同時に、現像剤を前記現像剤担持体から前記像担持体上へと現像する多色非画像時現像動作を行わせることができる。従って、各画像形成ステーションにおける各々の現像装置で最適なリフレッシュ制御を行うことができ、良好な画質を維持できる。
【0063】
実施例3
図5は、本発明の第3の実施例の感光体ドラム1と搬送ベルト8を離間させたときの概略図である。
【0064】
画像形成ステーションP(Pa、Pb、Pc、Pd)のそれぞれのプロセスカートリッジ10(10a、10b、10c、10d)が、図中矢印方向へと移動し、感光体ドラム1(1a、1b、1c、1d)と搬送ベルト8が離間する方式とされる。
【0065】
プロセスカートリッジ10(10a、10b、10c、10d)の離間動作のための解除機構は、それぞれプロセスカートリッジ10を独立して移動させる機構や連動して動く機構などが考えられるが、限定するものではない。
【0066】
実施例4
図6に、本発明の他の実施例に係る中間転写方式の画像形成装置の概略構成を示す。
【0067】
中間転写方式の画像形成装置は、上記実施例1、2、3における転写材搬送体8の代わりに、受像部材としての中間転写ベルトのような中間転写体8Aを備え、各像担持体1上の現像剤像を一旦中間転写体8Aに重ね転写してカラー像を形成し、その後、このカラー像を転写材Sに一括転写する。
【0068】
従って、本実施例の場合には、図6に示すように、中間転写ベルト8Aの内側に配置された対向ローラ13と、この対向ローラ13に対向配置された第二の転写手段である転写ローラ14との間に転写材Sを送給することにより、中間転写体8A上に形成されたトナー像が転写材Sに転写される。
【0069】
その他の構成は、上記実施例で説明したと同様であるので、同じ構成及び作用をなす部材には同じ参照番号を付し、先の実施例の説明を援用する。
【0070】
上記実施例1、2、3にて説明した転写材を搬送する転写ベルトのような転写材搬送体を有する画像形成装置と同様に、本実施例の中間転写方式の画像形成装置であっても、上記実施例1、2、3で説明した非画像時現像制御を実行することによって、先の実施例と同様の作用効果を達成し得る。
【0071】
上記実施例1〜4では、各画像形成ステーションP(Pa、Pb、Pc、Pd)を構成する感光体ドラム1、帯電ローラ2、現像装置4、及び、クリーニング装置64は、一体的にカートリッジ化されたプロセスカートリッジ10(10a、10b、10c、10d)とされるものとして説明したが、本発明の原理は、現像装置4だけがカートリッジ化され、画像形成装置本体に対して着脱可能とされた画像形成装置にも同様に適用し、同様の作用効果を達成することができる。
【0072】
また、上記実施例1〜4では、現像装置4は、非磁性現像剤を使用した一成分接触現像方式を採用した態様について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、現像装置としては、その他に、磁性一成分現像剤或いは二成分現像剤を使用した種々の現像方式を採用することができる。斯かる現像装置を採用した画像形成装置においても、本発明の原理を適用して、同様の作用効果を達成することができる。
【符号の説明】
【0073】
1(1a〜1d) 感光体ドラム(像担持体)
2(2a〜2d) 1次帯電ローラ(帯電装置)
3(3a〜3d) レーザ・スキャナユニット(露光装置)
4(4a〜4d) 現像装置
5(5a〜5d) 転写ブレード(転写装置)
6(6a〜6d) クリーニング装置
8 搬送ベルト(転写材搬送体)
8A 中間転写ベルト(中間転写体)
10(10a〜10d) プロセスカートリッジ
30 解除手段
100 画像形成装置
P(Pa、Pb、Pc、Pd) 画像形成ステーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成される像担持体と、現像剤を担持搬送して前記像担持体上の静電潜像を現像して現像剤像とする現像剤担持体を備えた現像装置と、をそれぞれ有し、複数の色の画像形成が可能な複数の画像形成ステーションと、
前記複数の画像形成ステーションにおいて前記像担持体上の現像剤像を受像部材へ転写する転写手段と、
非画像形成時に前記現像剤を前記現像剤担持体から前記像担持体上へと現像する非画像時現像動作を行わせる現像制御手段と、
を備え、前記画像形成ステーションのうち一つを用いて単色での画像形成を行う単色画像形成モードと、前記画像形成ステーションのうち複数を用いて多色での画像形成を行う多色画像形成モードと、を有した画像形成装置において、
前記現像制御手段は、
単色画像形成モードで画像形成を行った画像形成ステーションの使用量に応じて、その画像形成ステーションに対してのみ、現像剤を前記現像剤担持体から前記像担持体上へと現像する単色非画像時現像動作を行わせることを可能とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記現像制御手段は、多色画像形成モードで画像形成行った画像形成ステーションの使用量に応じて、多色で使用した複数の画像形成ステーションに対して、同時に、現像剤を前記現像剤担持体から前記像担持体上へと現像する多色非画像時現像動作を行わせることを可能とすることを特徴とする請求項1の画像形成装置。
【請求項3】
前記受像部材は、転写材搬送体に担持される転写材、又は中間転写体であり、非画像形成時において、前記現像剤を前記現像剤担持体から前記像担持体上へと現像する動作を行わせる時に、前記像担持体と前記転写材搬送体又は前記中間転写体が離間していることを特徴とする請求項1又は2の画像形成装置。
【請求項4】
前記現像制御手段は、
前記単色非画像時現像動作を実行する際、前記多色非画像時現像動作を行う次のタイミングが、予め設定した期間より短い場合は、前記単色での画像形成を行うステーションを含めた複数の画像形成ステーションに対して、同時に、現像剤を前記現像剤担持体から前記像担持体上へと現像する多色非画像時現像動作を行わせることを特徴とする請求項2の画像形成装置。
【請求項5】
前記受像部材は、転写材搬送体に担持される転写材、又は中間転写体であり、非画像形成時において、前記現像剤を前記現像剤担持体から前記像担持体上へと現像する動作を行わせる時に、複数の全ての前記像担持体と前記転写材搬送体又は前記中間転写体が離間していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記像担持体と前記現像装置とが一体的に構成され、画像形成装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジを構成することを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記現像装置は、画像形成装置本体に着脱自在な現像カートリッジを構成することを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成ステーションの使用量は、前記現像装置の前記現像剤担持体の回転時間に基づくことを特徴とする請求項1〜7のいずれかの項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−118411(P2011−118411A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24417(P2011−24417)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【分割の表示】特願2005−58037(P2005−58037)の分割
【原出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】