画像形成装置
【課題】現像剤を回収する着脱部品などのように、装置本体に対して着脱可能な着脱部品を収容する画像形成装置において、その着脱部品の着脱の容易性を向上させる。
【解決手段】トナー回収容器60は、装着部及び支持部材によって着脱用扉47の開閉動作に連動して移動する。つまり、着脱用扉47が閉状態にあっては、トナー回収容器60は、画像形成装置1が動作状態にある第一の位置(図5(a))に移動し、着脱用扉47が開状態にあっては、トナー回収容器60は、当該トナー回収容器60の着脱が可能となる第二の位置(図5(b))に移動する。そして、第二の位置にあるトナー回収容器60は、図5(c)に示すように、除去装置51に対して着脱可能となる。
【解決手段】トナー回収容器60は、装着部及び支持部材によって着脱用扉47の開閉動作に連動して移動する。つまり、着脱用扉47が閉状態にあっては、トナー回収容器60は、画像形成装置1が動作状態にある第一の位置(図5(a))に移動し、着脱用扉47が開状態にあっては、トナー回収容器60は、当該トナー回収容器60の着脱が可能となる第二の位置(図5(b))に移動する。そして、第二の位置にあるトナー回収容器60は、図5(c)に示すように、除去装置51に対して着脱可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置には、不要となった現像剤の一部が回収される構造を備えているものがある。この構造は、例えば、像担持体から記録紙または中間転写体への一次転写時や、中間転写体から記録紙への二次転写時等のような現像剤像の転写時において、未転写の現像剤(主にトナー成分)が残存するため、そのような未転写の現像剤をクリーニング装置により像担持体や中間転写体等から除去した後、着脱部品(回収容器)に回収する、といったものである。この種の画像形成装置においては、着脱部品に回収された現像剤が収容空間に満杯の状態になった時点で、その着脱部品を装置本体から取り外した後、新しい着脱部品を装置本体に取り付けるという交換作業が必要になる(特許文献1,2)。
さらに、この交換作業を簡易化する画像形成装置として、装置本体に設けたカバーを開くことで、廃トナーが回収された着脱部品を交換する機構を備えたものもある(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−325662号公報
【特許文献2】特開平10−153933号公報
【特許文献3】特開2005−141096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、例えば現像剤を回収する着脱部品などのように、装置本体に対して着脱可能な着脱部品を収容する画像形成装置において、その着脱部品の着脱の容易性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、本発明の請求項1記載の画像形成装置は、着脱口を有する装置本体と、前記装置本体に対して前記着脱口を介して着脱可能で、当該装置本体に収容された状態で動作する着脱部品と、前記着脱口に設けられた扉と、前記装置本体に設けられ、前記着脱部品が装着される装着部と、前記扉と前記装着部とを連結し、当該扉の開閉動作に伴って前記装着部の位置乃至姿勢を変化させる連結部であって、前記扉が閉められた際には、前記装着部に装着された前記着脱部品を、当該着脱部品が前記動作を行う第一の位置に移動させ、前記扉が開けられた際には、前記装着部に装着された前記着脱部品を前記第一の位置よりも前記着脱口に通じた外部空間に近づく第二の位置に移動させる連結部と、を具備することを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の画像形成装置は、請求項1記載の画像形成装置において、前記着脱部品は、トナーの収容空間が形成された長手方向を有する容器と、当該収容の内部の空間に配置されて前記長手方向に延びる回転体と、当該着脱部品の長手方向の一方の端部に設けられて前記回転体を回転させるための機構と、を有し、前記扉は、回転軸を中心に回転することで開閉する扉であり、前記連結部は、扉を回転可能に支持する部材であって、前記着脱部品の長手方向において前記機構が設けられていない方の端部側に配置された部材であることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の画像形成装置は、請求項1または2に記載の画像形成装置において、前記装着部には突起部が形成され、前記連結部には前記突起部が挿入される溝部が形成されており、前記扉の開閉動作に伴って移動する前記連結部の前記溝部に沿って、前記装着部の前記突起部が移動して、当該装着部の位置乃至姿勢が変化することを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の画像形成装置は、請求項3記載の画像形成装置において、無端の帯状の転写体と、各々の像保持体に静電潜像を形成させ、異なる色の現像剤によって前記静電潜像を現像させて前記転写体に順次転写させる複数の画像形成手段と、前記転写体の位置を移動させて、前記複数の像保持体のうちの一部の像保持体と前記転写体とを離間させる離間手段と、を具備し、前記着脱部品は、前記転写体の位置から見て当該転写体の離間時の移動方向に配置されており、前記連結部の前記溝部は、前記転写体が離間させられている状態と前記転写体が離間させられていない状態とで、前記装着部の前記突起部が移動可能な溝幅の部位を有し、前記扉が開けられるときに、前記装着部の前記突起部に接して当該装着部の位置乃至姿勢を変化させる第一の面と、前記扉が閉じられるときに、前記装着部の前記突起部に接して当該装着部の位置乃至姿勢を変化させる第二の面と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【0009】
請求項5に記載の画像形成装置は、請求項3記載の画像形成装置において、現像された画像が転写される無端の帯状の転写体を具備し、前記連結部の前記溝部は、前記装着部の前記突起部の幅よりも狭い溝幅となる部位を有し、前記扉が閉められるときに、前記装着部の前記突起部が前記部位に接してから当該部位を通過することで、前記着脱部品を前記転写体に近づく方向に移動させることを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の画像形成装置は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記扉が開けられた状態で前記装着部に前記着脱部品が装着されていない場合には、当該扉を閉めることを規制する規制手段を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項7に記載の画像形成装置は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記着脱部品は、トナーを含む現像剤を用いて現像を行う現像器に供給するトナーを収容するトナー供給容器であることを特徴とする。
【0012】
請求項8に記載の画像形成装置は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記着脱部品は、トナーを含む現像剤を用いて現像を行う現像器によって用いられた後に回収されたトナーを収容するトナー回収容器であることを特徴とする。
【0013】
請求項9に記載の画像形成装置は、請求項7または8記載の画像形成装置において、前記着脱部品及び前記装置本体の各々には、前記着脱部品が前記装着部に装着された状態で互いに向かい合う位置に開口部が形成されており、前記着脱部品が前記第一の位置にあるときには各々の前記開口部を開き、前記着脱部品が前記第二の位置にあるときには各々の前記開口部を閉める機構を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の画像形成装置によれば、扉の開閉動作に伴って着脱部品の位置が移動する構成を備えていないものに比べて、着脱部品の着脱を容易に行うことができる。
請求項2記載の画像形成装置によれば、扉を支持する部材以外の部材で装着部と扉とを連結する場合に比べると、構成要素を減らすことができ、連結部が回転体の回転を邪魔することもない。
請求項3記載の画像形成装置によれば、連結部の溝部に装着部の突起部を挿入した構成で、着脱部品を第一の位置から第二の位置へ、第二の位置から第一の位置への移動が可能になる。
請求項4記載の画像形成装置によれば、一部の像保持体と転写体とが離間させられている状態であっても離間させられていない状態であっても、扉の開閉動作に伴ってその着脱部品を第一の位置から第二の位置へ、第二の位置から第一の位置へ移動させることができる。
請求項5記載の画像形成装置によれば、扉を閉めた際に、突起部が狭い溝幅の部位を通過した勢いで、着脱部品を装置本体に収容させることができる。
請求項6記載の画像形成装置によれば、第二の位置における着脱部品の装着の有無によって、扉が閉まってしまうことを規制することができる。
請求項7記載の画像形成装置によれば、画像形成時に現像器にトナーを供給することができる。
請求項8記載の画像形成装置によれば、画像形成時に発生する残存トナーを廃トナーとして回収することができる。
請求項9記載の画像形成装置によれば、互いに向かい合う位置の開口部を塞ぐ戸を備えていないものに比べて、着脱部品内に収容された収容物、あるいは装置本体側の収容物が交換時に漏れる量を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の構造を模式的に示す図である。
【図2】カラーモード・モノクロモードにおける中間転写ユニットの構成を示した図である。
【図3】画像形成装置の外観を示す斜視図である。
【図4】開閉部及び蓋部を開いた画像形成装置を示す図である。
【図5】トナー回収ユニットの構成及び動作を模式的に示す図である。
【図6】トナー回収ユニットを示す分解斜視図である。
【図7】トナー回収容器の回転動作に伴ったシャッターの動作を模式的に示す図である。
【図8】装着部の回転を規制する規制手段を模式的に示す図である。
【図9】トナー回収容器を第二の位置に移動した状態で、着脱用扉とトナー回収ユニットとの関係を示す斜視図である。
【図10】装着部の平面図である。
【図11】着脱用扉を開く際の動作を示した図である。
【図12】着脱用扉を閉める際の動作を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<1.実施形態>
本実施形態では、例えばプリンターやコピー機あるいはファクシミリなどの電子写真方式の画像形成装置を例に挙げて説明する。図1は本実施形態に係る画像形成装置の構造を模式的に示す図である。以下、作業者が画像形成装置1を正面から見たときの幅(左右)方向の右方向をX(+)・左方向をX(−)、前後方向の奥方向をY(+)・手前方向をY(−)、重力方向の上方をZ(+)・下方をZ(−)として説明する。
【0017】
<画像形成装置の構成>
画像形成装置1には、装置全体を制御する制御部や、図示しないスキャナーやパーソナルコンピュータ、あるいは電話回線等から送られてくる画像データに対して画像処理を行う画像処理装置(図示せず)が設けられているほか、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),黒(K)の4つの画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kが中間転写ベルトに沿って並列に設けられる。画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kは、中間転写ベルトに最初に転写されるイエロー(Y)の画像形成ユニット2Yが相対的に高く、中間転写ベルトに最後に転写される黒(K)の画像形成ユニット2Kが相対的に低くなるように、水平方向に対してある角度(例えば、20度)だけ傾斜した状態で、ある間隔を隔てて並列に配置されている。このように、4つの画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kを、ある角度だけ傾斜した状態で配置することにより、これら4つの画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kを水平に配置した場合に比較して、画像形成装置1の幅方向(X軸方向)の距離が短くなる。
【0018】
これらの4つの画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kは、基本的に同じ構成であるため、以下、これらを特に識別して説明する必要のない場合には画像形成ユニット2と総称する。
画像形成ユニット2は、像保持体となる感光体ドラム4や帯電装置などを備えた感光体ユニット3と、現像器5と、を有する。現像器5Y,5M,5C,5Kはフレーム(図示せず)を介して装置本体40側に固定され、現像器5Y,5M,5C,5K間の隙間が、感光体ユニット3が装着されるユニット収容部となる。そして、各感光体ユニット3は装置本体40に対して着脱可能となる。
【0019】
画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの下部には、画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kに共通の画像露光装置6が設けられる。この画像露光装置6は、Y,M,C,Kの各色の画像データに応じて変調されたレーザービームを射出する半導体レーザー(いずれも図示せず)を4つ備えている。これらの半導体レーザーから射出された4本のレーザービームは、ポリゴンミラーによって偏向され、レンズやミラー(いずれも図示せず)を介して、画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの感光体ドラム4の表面を走査し、静電潜像を書き込む。感光体ドラム4に形成された静電潜像は、現像器5Y,5M,5C,5Kによって、各色のトナーを含む現像剤で現像されてトナー像となる。各々の画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの感光体ドラム4に順次形成された各色のトナー像は、各画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの上方に配置される、中間転写体としての中間転写ベルト10の下方の外周面に、それぞれ一次転写ロール11によって多重に転写される。さらに、装置本体40の右側には、各部に電力を供給する電源ユニット7が配置される。
【0020】
中間転写ベルト10は、ドライブロール12、テンションロール13及びアイドラーロール14などの複数のロールによって張架された無端のベルト状部材であり、駆動モーター(図示せず)によって回転駆動されるドライブロール12により、矢印A方向に循環駆動されるようになっている。この中間転写ベルト10は、その下辺に相当する領域においてその走行方向の下流側が重力方向の下方、且つ上流側が重力方向の上方となるように、水平方向に対して傾斜した状態で配置されている。中間転写ベルト10は、この下辺に相当する領域において、画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの感光体ドラム4Y,4M,4C,4Kに接触している。この中間転写ベルト10としては、例えば、可撓性を有するポリイミド等の合成樹脂フイルムを帯状に形成し、この帯状に形成された合成樹脂フイルムの両端を溶着等の手段によって接続することにより、無端ベルト状に形成したものが用いられる。
これらの中間転写ベルト10、各一次転写ロール11、ドライブロール12、テンションロール13及びアイドラーロール14等は、中間転写ユニット9を構成する。
【0021】
記録媒体としての記録用紙18は、画像形成装置1の内部に配置された用紙収容部24から規定のサイズ及び材質のものが、各ロールによって形成された搬送路21に沿って搬送される。この搬送路21では、用紙収容部24内の記録用紙18が、給紙ロール25及び用紙分離搬送用のロール26により1枚ずつ分離された状態でレジストロール28まで一旦搬送され、停止される。そして、この記録用紙18は、予め決まったタイミングで回転駆動されるレジストロール28によって中間転写ベルト10の二次転写位置へ送出される。この二次転写位置には、中間転写ベルト10の表面に突き当たった状態で接触する二次転写ロール17が配置される。中間転写ベルト10上に多重に転写されたイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),黒(K)のトナー像は、ドライブロール12に押し付ける二次転写ロール17によって、押付力及び静電気力で記録用紙18上に二次転写される。この二次転写を経て各色のトナー像が転写された記録用紙18は、定着器19によって熱及び圧力が加えられる定着処理を経た後、排出ロール20によって画像形成装置1の上部に設けられた用紙排出部23上に排出される。なお、搬送路21には、記録用紙18の表裏を反転させる反転機構22が備えられている。
【0022】
また、画像形成装置1には、消費電力抑制等の目的から、例えば黒等の単一色のトナーのみを用いた画像を形成するモノクロモードと、複数色のトナーを用いた画像を形成するカラーモードとを切り替える機構を備えている。
制御部は、操作部49によるユーザの操作等に応じて、画像を形成するモードを、ブラック(黒)のトナーのみを用いて画像を形成する“モノクロモード”、または、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーを用いて画像を形成する“カラーモード”のいずれかに切り替える。そして、制御部は、切り替えたモードに応じて中間転写ユニット9の姿勢を変化させて、画像形成ユニット2等の各構成を制御して、記録用紙18に画像を形成させる。なお、中間転写ユニット9の姿勢とは、中間転写ベルト10の向き等であり、例えば、中間転写ベルト10の長手方向が各感光体ドラム4の配列されている方向に対してどのような方向に向いているか、等である。このモードを切り替える方法としては、中間転写ベルト10の位置を移動させて、この中間転写ベルト10と感光体ドラム4C,4M,4Yとを離間させる離間手段を用いるものがある。
【0023】
図2(a)は、カラーモードにおける中間転写ユニット9の構成を示した図である。カラーモードにおいては、中間転写ベルト10は全ての感光体ドラム4に接しており、各感光体ドラム4から中間転写ベルト10に対して像が転写される。
図2(b)は、モノクロモードにおける中間転写ユニット9の構成を示した図である。モノクロモードにおいては、中間転写ベルト10が感光体ドラム4C,4M,4Yから離間するように、テンションロール13、一次転写ロール11C,11M,11Y及びクリーナバックアップロール53(以下、可動ロール群という)が移動する。そして、ブラックの感光体ドラム4Kのみが中間転写ベルト10に接触する。
【0024】
<画像形成装置の構造>
次に、図3は画像形成装置1の外観を示す斜視図であり、図4は側面の開閉部41及び上面の蓋部45を開いたときの画像形成装置1の内部状態を示す図である。
画像形成装置1の装置本体40の側面には、支持軸42を中心にして開閉可能な開閉部41が取り付けられる。この開閉部41には、さらに供給用開閉部43が開閉自在に設けられる。この供給用開閉部43は、通常は開閉部41に対して閉じられているが、用紙収容部24に収納された記録用紙とは異なる種類の記録用紙を用いる際に、開閉部41に対して開かれて、ここからその記録用紙が搬送路21に供給される。
【0025】
また、装置本体40の上面には、支持軸46を中心にして開閉可能な蓋部45が設けられている。蓋部45の上側の面は、トナー像が形成された記録用紙18が排出される用紙排出部23となる。この蓋部45には、着脱口48を開閉するように着脱用扉47が設けられる。この着脱口48は、後述する着脱部品の一例としてのトナー回収容器60が装置本体40に対して着脱されるときに通過する着脱部であり、着脱用扉47は、着脱口48を開閉する扉の一例である。一方、装置本体40の上面の端部側には、例えば、記録用紙の枚数などを入力するテンキーなどを有する操作部49が取り付けられる。
【0026】
蓋部45は、通常は装置本体40に対して閉じられており、感光体ユニット3Y、3M、3C、3Bを装置本体40に対して着脱する際に開かれる。蓋部45の内側に取り付けられた中間転写ユニット9が開閉部41に干渉するのを防止するため、蓋部45を開くのに先立って、まず開閉部41が装置本体40に対して開かれる。一方、開閉部41を装置本体40に対して閉じる際には、開閉部41を閉じるのに先立って、まず、蓋部45が装置本体40に対して閉じられる。
【0027】
<トナー回収ユニットの構成>
画像形成装置1にあっては、昨今の事情から小型化に向かう傾向にある。例えば、図1に示すように、蓋部45の内側のデッドスペースとなる中間転写ユニット9と蓋部45との間にトナー回収ユニット50を配置して装置本体40の小型化を進めている。
ここで、トナー回収ユニット50の構成について、図5を参照しつつ説明する。図5は、トナー回収ユニット50の構成及び動作を模式的に描写した図である。ここでは、着脱用扉47の開閉動作に対するトナー回収容器60の動きについてのみ説明し、各部位の形状及び構成は後に詳述する。
【0028】
トナー回収ユニット50は、Y軸方向に長手方向を有し上側が開口した箱型形状の除去装置51と、この除去装置51に着脱可能に設けられるトナー回収容器60を備えている。トナー回収容器60は、装置本体40に対して着脱可能で、この装置本体40に収容された状態で動作する着脱部品の一例である。除去装置51は、中間転写ベルト10上に残存しているトナーを除去し、この除去装置51で除去されたトナーがトナー回収容器60に蓄積される。
トナー回収容器60は、後述する装着部70及び支持部材85(図5には図示せず)によって着脱用扉47の開閉動作に連動して移動する。つまり、着脱用扉47が閉状態にあっては、トナー回収容器60は、画像形成装置1が動作状態、つまりトナー回収容器60が動作状態にある第一の位置(図5(a))に移動し、着脱用扉47が開状態にあっては、トナー回収容器60は、当該トナー回収容器60の着脱が容易となる第二の位置、つまり上記第一の位置よりも着脱口48に通じた外部空間に近づく第二の位置(図5(b))に移動する。そして、第二の位置にあるトナー回収容器60は、図5(c)に示すように、除去装置51に対して着脱可能となる。つまり、このトナー回収容器60は、着脱用扉47を開けることにより、トナー回収容器60が第二の位置に移動して着脱可能となる。画像形成装置1の使用者は、トナー回収容器60の交換時期になると、トナー回収容器60を除去装置51から取り外し、トナーが入っていない空のトナー回収容器60を除去装置51に装着して、交換作業を行う。
【0029】
除去装置51は、図5(a)に示すように掻き取り部材52を有する。この掻き取り部材52と中間転写ベルト10を挟んで対向する位置には、クリーナバックアップロール53が配置される。掻き取り部材52の左右方向の幅は、中間転写ベルト10の幅より広くなっている。掻き取り部材52は、中間転写ベルト10の外周面に接触してその外周面上のトナーを掻き取り、除去装置51内に設けられた収容空間にトナーを蓄積させる。除去装置51内の収容空間は、開口部54を介してトナー回収容器60内のトナー収容部62と繋がっている。さらに、除去装置51は、図6の分解斜視図に示すように、開口部54を開閉するための装置側シャッター55を有している。装置側シャッター55は、トナー回収容器60が前述した第一の位置にある際には開口部54を開き、第二の位置にある際には開口部54を閉じる。
【0030】
トナー回収容器60は、長手方向を有する容器であり、その内部に収容空間であるトナー収容部62を有する。トナー回収容器60が除去装置51に装着された状態で、トナー回収容器60には、開口部54と互いに向かい合う位置に開口部61が形成される。このトナー収容部62に対しては、除去装置51から搬送されたトナーが開口部54及び開口部61を介して搬送される。トナー収容部62内には、駆動軸64を中心に回転させられる搬送部材63が設けられる。この搬送部材63は、開口部61付近に搬送されたトナーをトナー収容部62の奥へと搬送する。駆動軸64の一端側には歯車64Aが設けられ、この歯車64Aを介して装置本体40内に設けられた駆動源からの回転力が駆動軸64に伝達される。この駆動軸64は、トナー回収容器60の長手方向に延びる回転体の一例であり、歯車64Aは、この回転体(駆動軸64)を回転される機構の一例である。
また、トナー回収容器60は、開口部61を開閉するための容器側シャッター65を有している。容器側シャッター65は、トナー回収容器60が前述した第一の位置にある際には開口部61を開き、第二の位置にある際には開口部61を閉じる。
【0031】
ここで、装置側シャッター55及び容器側シャッター65の動作について説明する。図7は、トナー回収容器60の着脱動作に伴ったシャッター55,65の動作を模式的に示した図である。トナー回収容器60は除去装置51に対して図7(a)に示すように、ユーザによって矢印方向に回転させられてから、除去装置51から離脱させられる。この図7(a)に示すように、トナー回収容器60が除去装置51に装着された第一の位置にある状態では、装置側シャッター55が開口部54を開き、容器側シャッター65が開口部61を開いているため、互いに向かい合う位置に形成された開口部54,61を介して除去装置51の収容空間とトナー回収容器60のトナー収容部62とが繋がっている。この状態にあっては、装置側シャッター55のうち、矢印の上流側がトナー回収容器60の一部(a部)に支持され、容器側シャッター65のうち、矢印方向の上流側が除去装置51の一部(b部)に支持されている。
【0032】
次に、図7(b)に示すように、除去装置51に対してトナー回収容器60を矢印方向に回転させて第二の位置に移動させた状態にあっては、装置側シャッター55が開口部54を閉じ、容器側シャッター65が開口部61を閉じる。つまり、装置側シャッター55が、トナー回収容器60の回転に伴って回転して除去装置51側の開口部54を閉じ、容器側シャッター65が、トナー回収容器60の回転に伴って回転してくる容器60側の開口部61を閉じる。そして、開口部54,61はいずれも塞がれることになる。
そして、図7(c)に示すように、トナー回収容器60を除去装置51から分離した場合、トナー回収容器60の開口部61は容器側シャッター65で塞がれ、除去装置51の開口部54は装置側シャッター55で塞がれる。このようにいずれの開口部61,54も塞がれるから、容器60内あるいは装置51内のトナーが外部に排出されないから、装置本体40内が廃トナーで汚れることを抑制する。
この装置側シャッター55及び容器側シャッター65は、トナー回収容器60が第一の位置にある際には開口部54及び61を開き、第二の位置にある際には開口部54及び61を閉める戸の一例である。
【0033】
次に、除去装置51とトナー回収容器60とを連結する装着部70,75について説明する。これら装着部70,75は、装置本体40側に設けられ、着脱部品の一例としてのトナー回収容器60が装着される装着部の一例である。
図6に示すように、除去装置51は、長手方向(Y軸方向)に延びる箱型の形状を有する。除去装置51の長手方向の両端の側面には、その内側に、形状の異なった装着部70,75が回転自在に設けられる。
一方の装着部70には、トナー回収容器60を装着するべく、その容器60の側面が嵌り込む溝71が形成され、この溝71の奥側には、当該装着部70を除去装置51に回転自在に支持するための支持部72が形成される。他方の装着部75には、トナー回収容器60を装着するべく、その容器60の側面及び駆動軸64が嵌り込むU字状の貫通溝76が形成され、この貫通溝76の奥側の部位が駆動軸64とともに当該装着部75を除去装置51に回転自在に支持するための支持部となる。
この装着部70,75の作用によってトナー回収容器60は除去装置51に対して回転するから、これにより、図5及び図7に示すように、除去装置51に対してトナー回収容器60が第一の位置から第二の位置に、第二の位置から第一の位置に移動することが可能になる。
【0034】
また、装着部70には回転規制機構が設けられている。この回転規制機構は、装着部70の溝71にトナー回収容器60が正しく装着されないと回転を許可しないという役割を果たす。
この回転規制機構は、具体的には、例えば図8に示すような構成である。
除去装置51のうち、装着部70の支持部72と対向する位置に、装着部70側に突出する円弧状のリブ56が形成されている。装着部70において、このリブ56とY軸方向で重なる位置には、図8(a)の矢印方向に移動自在な受け部74Aが設けられている。この受け部74Aは、ばね74Bの付勢力によって、図8(a)の矢印とは逆の方向に押し出される。この状態にあっては、装着部70を反時計方向に回転させようとしても、受け部74Aの側面がリブ56の端部に当たってしまい、装着部70の回転が規制されることになる。
一方、トナー回収容器60の側面に形成された位置決め部66が、ばね74Bのバネ力に抗して装着部70の受け部74Aの奥まで挿入されると、受け部74Aがリブ56の端部から離れるため、図8(b)に示すように、装着部70の回転が可能な状態になる。このようにして、除去装置51は、装着部70にトナー回収容器60を装着されていないと装着部70が回転しないようになっている。そして、この装着部70の回転は着脱用扉47の開閉と連動しているから、装着部70にトナー回収容器60が装着されていない状態では、着脱用扉47が閉まることが規制されることになる。よって、回転規制機構は、着脱用扉47が開けられた状態で装着部70にトナー回収容器60が装着されていない場合には、その着脱用扉47を閉めることを規制する規制手段の一例となる。
【0035】
次に、着脱用扉47を装置本体40に支持する支持部材80,85について説明する。図9は、着脱用扉47とトナー回収ユニット50との関係を説明するべく、トナー回収容器60を第二の位置に移動した状態で、装着部70,75間にトナー回収容器60を装着した状態を示した斜視図である。
支持部材80は、着脱用扉47において、図9中の向かって右側(Y(−)側)に配置された部材である。この支持部材80の一端には、装置本体40の支持受凹部(図示せず)に回転自在な状態で嵌め込まれる支持凸部81が形成され、他端には着脱用扉47の端部が固着される。支持部材85は、着脱用扉47において、図9中の向かって左側(Y(+)側)に配置された部材である。この支持部材85の一端には装置本体40の支持受凹部(図示せず)に回転自在な状態で嵌め込まれる支持凸部86が形成され、他端には着脱用扉47の端部が固着される。
支持凸部81及び86の軸線方向が着脱用扉47の回転軸となり、この回転軸を中心に着脱用扉47が回転することになる。
【0036】
また、支持部材85においては、一端から他端に跨って略「L」字状に屈曲した案内溝87が形成されている。この案内溝87内には、装着部70から長手方向(Y(+)方向)に突出形成されたピン部材73が挿入される。これにより、着脱用扉47と装着部70とが連結されるから、支持部材85はこれらを連結する連結部の一例である。案内溝87内に沿ってピン部材73を移動させることにより、着脱用扉47の開閉時におけるピン部材73の移動方向、つまりトナー回収容器60の移動方向が案内される。つまり、着脱用扉47の開閉動作に伴って装着部70の位置乃至姿勢が変化させられて、その結果、装着部70に装着されたトナー回収容器60が前述した第一の位置と第二の位置との間を移動する。このように、着脱用扉47を回転可能に支持する支持部材80,85のうち、支持部材85(連結部)に形成された案内溝87が溝部の一例となり、この案内溝87に挿入される装着部70のピン部材73が突起部の一例となる。
このような構成とすることにより、着脱用扉47を支持する支持部材85以外の部材で装着部70と着脱用扉47とを連結する場合に比べると、回転軸64と歯車64Aの回転を邪魔することなく着脱用扉47の動きに伴って装着部70を移動させられる。しかも構成要素も減らせる。さらに、扉を支持する部材に連結の役割を持たせようとすると、その部材を別途設けるスペースが装置本体40に必要となり大型化を招くことになるが、上記構成とすれば小型化も図れる。
なお、連結部となる支持部材85と歯車64Aとは、上記の位置関係に限るものではなく、互いの干渉などの不具合を考慮した上で、双方を自由に配置してもよい。
【0037】
図10は支持部材85の平面図である。案内溝87のうち、高さ方向(Z軸方向)に延びる短手辺87Aが、着脱用扉47(トナー回収容器60)の除去装置51に対する押し込み量を緩和する部分となる。そして、横方向(X軸方向)に延びる長手辺87Bが、着脱用扉47(トナー回収容器60)の開く角度を規制する部分となり、縦方向(Z軸方向)に延びる短手辺87Aが、トナー回収容器60が第一の位置にある状態で、トナー回収容器60と着脱用扉47との位置変化を吸収する部分となる。案内溝87において短手辺87Aのうち長手辺87B寄りの部分が、案内溝87の溝幅のうち、もっとも狭い狭間部87Cとなる。この狭間部87Cの溝幅はL(以下、離間寸法Lという)である。
この狭間部87Cの離間寸法Lは、ピン部材73の直径寸法よりも小さい。支持部材80,85は樹脂材料によって形成されていて力が加えられたときの変形量が、例えば金属材料よりも大きいため、ピン部材73を狭間部87Cに押し込む力が一定の大きさ以上加えられると、ピン部材73は狭間部87Cを通過することができる。
また、案内溝87を形成する面のうち、長手部87Bの上方(Z(+)方向)に形成された面から短手部87Aの左側(X(+))に渡って形成された面が第一の面87Dとなり、長手部87Bの下方(Z(−)方向)に形成された面から短手部87Aの右側(X(−))に渡って形成された面が第二の面87Eとなる。つまり、着脱用扉47が開けられるとき、装着部70のピン部材73が第一の面87Dに沿って移動するため、当該装着部70の位置及び姿勢を変化させる。一方、着脱用扉47が閉じられるとき、ピン部材73が第二の面87Eに沿って移動するため、当該装着部70の位置及び姿勢を変化させる。
【0038】
他方の装着部75には駆動軸64を通す貫通溝76が設けられているため、一方の装着部70のみが支持部材85を介して着脱用扉47に連結されることになる。このような構成であっても、除去装置51は装置本体40に固定され、着脱用扉47が支持部材70,75で蓋部45に回転可能に支持されているから、トナー回収容器60の着脱作業時に装着部70,75等が歪む量は小さい。
また、支持部材80,85の支持凸部81,86には、バネ(図示せず)等の復帰手段が設けられており、着脱用扉47のロック機構(図示せず)を解除すると、このバネの付勢力により着脱用扉47(トナー回収容器60)が自動的に開くようになっている。
【0039】
ここで、着脱用扉47の開閉動作に伴う案内溝87に対するピン部材73の動きについて説明する。図11は、着脱用扉47を開く際の動作を示したもので、(a)−(c)がカラーモード時における中間転写ユニット9の状態における動作、(d)−(f)がモノクロモード時における中間転写ユニット9の状態における動作を示した図である。図12は、着脱用扉47を閉める際の動作を示したもので、(a)−(c)がカラーモード時における中間転写ユニット9の状態における動作、(d)−(f)がモノクロモード時における中間転写ユニット9の状態における動作を示した図である。
図11及び図12において、(a)−(c)と(d)−(f)との違いは、案内溝87によって移動方向が案内されるピン部材73の位置にある。つまり、モノクロモードとカラーモードとでは、図2(a)に示すように、カラーモードの方が、全ての感光体ドラム4が中間転写ベルト10に接する位置まで中間転写ユニット9の右側(X(+))が下げられた姿勢となるため、着脱用扉47を閉めた状態、つまりトナー回収容器60が第1の位置にある場合には、ピン部材73の短手辺87Aに対する高さ位置が異なっている。つまり、ピン部材73の位置は、カラーモード(a)の方が、モノクロモード(d)よりも重力方向で低い位置になる。
【0040】
つまり、画像形成装置1においては、図2に示すように、離間手段によってカラーモードとモノクロモードに切り替えると、中間転写ベルト10が右上に移動する構成となっているため、トナー回収ユニット50もこの移動に伴って移動することになる。一方、モード切り替えによって中間転写ベルト10とともに移動する除去装置51は、装着部70を介して装置本体40側に取り付けられた支持部材85に連結されている。そこで、ピン部材73が三角形状の短手辺87A内を自由に移動することで、当該画像形成装置1のモード切り替えによるトナー回収ユニット50の装置本体40に対する位置変化を吸収している。
【0041】
図11に示すように、着脱用扉47を開く際には、ユーザがロック機構を解除すると、前述した復帰手段としてのバネの付勢力によって着脱用扉47が開く方向に回転させられる。この際、支持部材85が支持凸部86を中心として、半時計方向に回転し始める。そして、ピン部材73は、第一の面87Dのうち長手辺87Bの上方(Z(+)方向)に形成された面を沿って移動しながら、トナー回収容器60(装着部70)を上方に引き上げる方向に回転させる。そして、着脱用扉47が開いた図11(c),(f)の状態では、一方の装着部70の回転動作に伴って、トナー回収容器60の長手方向反対側に位置した装着部75も追従して回転しているから、図9(a)に示すように、トナー回収容器60が蓋部45の収容部48(図1参照)から外部に露出する状態、つまり第2の位置に移動したことになる。そして、この状態においては、図5(b)に示すように、トナー回収容器60の交換が可能になる。
しかも、着脱用扉47を開く際には、復帰手段のバネ力によって当該着脱用扉47が上側に向けて支持部材85とともに回転するのに対し、装着部70及びトナー回収容器60には重力が働いているため、案内溝87内を移動するピン部材73の位置に応じて装着部70の回転移動が決まることになる。つまり、支持部材85の回転に伴ってピン部材73が案内溝87を移動することになるが、着脱用扉47の開きに応じて装着部70を回転させるため、ピン部材73は案内溝87の下面に沿って右から左に移動する。
【0042】
また、モノクロモードの場合、カラーモードよりもトナー回収ユニット50が重力方向上側に位置することになるから、図11(a),(d)に示すように、着脱扉47が開いた状態では、ピン部材73(装着部70)の位置が、モノクロモードの方がカラーモードよりも高い位置となっている。さらに、着脱扉47が開いた状態であっても、図11(c),(f)に示すように、ピン部材73(装着部70)の位置が、モノクロモードの方がカラーモードよりも高い位置となっている。
つまり、着脱扉47を開く際に、第一の面87Dをピン部材73が接触して移動する際の、始まる位置と終わる位置がモノクロモードとカラーモードとで異なっている。
【0043】
一方、着脱用扉47を閉める際には、ユーザが着脱用扉47を復帰手段としてのバネの付勢力に抗して押し込んでゆくと、ピン部材73は、第二の面87Eのうち長手辺87Bの面に沿って移動しながら、トナー回収容器60(装着部70)を下方に引き上げる方向に回転させる。一方、狭間部87Cにピン部材73が差し掛かった際には、離間寸法Lとピン部材73の直径寸法との関係から、ピン部材73から狭間部87Cに加えられる力が一定の大きさになるまではピン部材73が狭間部87Cを通過せずに、着脱用扉47の押し込み量を貯めた状態となる(図12(b),(e))。
そして、ピン部材73が狭間部87Cを通過させるためには、ピン部材73を長手辺87Bに移動させる以上の力をユーザが必要とするため、通過した際には、ピン部材73が短手辺87Aの上側に向けて一気に移動することになる。このため、ピン部材73が狭間部87Cを通過した際には、装着部70(トナー回収容器60)も下側に一気に回転させられるため、トナー回収ユニット50が重力方向に下がった状態となるカラーモードであっても、トナー回収容器60を除去装置51に装着してトナー回収容器60に未装着となるのを抑制する。
また、狭間部87Cを通過した後のピン部材73は、短手辺87A内でカラーモードあるいはモノクロモードの位置に止まることになる。よって、トナー回収容器60は、着脱用扉47を閉めることで、モードに関係なく第一の位置で除去装置51に装着されることになる。
【0044】
さらに詳述すれば、カラーモードのように、中間転写ユニット9の右側(X(+))が下げられた姿勢となっている状態では、モノクロモードから下がった分だけトナー回収ユニット50も下がった状態となっている。そこで、ピン部材73と狭間部87Cの寸法関係によって、着脱用扉47を閉めてピン部材73が長手辺87Bから短手辺87Aに移動する際には、ピン部材73は短手辺87Aに上側に向けて一気に押し込まれるから、トナー回収ユニット50が下がった状態となるカラーモードであっても、トナー回収容器60が除去装置51に装着される。
【0045】
また、着脱扉47を開く場合であっても、閉める場合と同様に、トナー回収ユニット50が、カラーモードよりもモノクロモードの方が重力方向上側に位置することになるから、図12(a),(d)に示すように、着脱扉47が閉じた状態では、ピン部材73(装着部70)の位置が、モノクロモードの方がカラーモードよりも高い位置となっている。さらに、着脱扉47が閉めた状態であっても、図12(c),(f)に示すように、ピン部材73(装着部70)の位置が、モノクロモードの方がカラーモードよりも高い位置となっている。つまり、着脱扉47を開く際に、第二の面87Eをピン部材73が接触して移動する際の、始まる位置と終わる位置が、モノクロモードとカラーモードとで異なっている。
【0046】
モードを切り替えた場合には、図2に示すように、ブラックの感光体ドラム4K以外のドラム4C,4M,4Yが中間転写体ベルト10から離間するようになるから、その回転中心がブラックの感光体ドラム4Kにある場合には、図11においては、その回転中心は図面の右側に位置することになる。そして、この回転中心を中心にしてモノクロモード時にはドラム4C,4M,4Yが中間転写体ベルト10から離間するため、この離間動作に伴ってピン部材73も右上に移動することになる(図11(a)(d)、参照)。このように、短手辺87Aを三角形に形成することにより、モード切り替えによるピン部材73の位置変化が、案内溝87を介して支持部材85,装着部70を介して着脱用扉47に伝達されるのを抑制している。
【0047】
<2.変形例>
上記実施形態を次のように変形してもよい。
上記実施形態では、トナー回収容器60の一方に位置した装着部70を、支持部材85を介して着脱用扉47に連結させるようにしたが、トナー回収容器60の両端に位置した装着部70,75を、支持部材80,85を介して着脱用扉47に連結させるようにしてもよい。
上記実施形態では、交換対象物として、廃トナーを回収するトナー回収容器60を例示したが、交換対象物はこれに限るものではなく、現像器5Y,5M,5C,5Kに供給するトナーを収容するトナー供給容器であってもよい。要は、画像形成装置1において、着脱用扉47の開閉に伴って第一の位置と第二の位置の間を移動するような配置場所に設けられ、第二の位置にあるときに着脱可能となる着脱部品(交換対象物)であればよい。
【0048】
上記実施形態では、案内溝87の形状を短手辺87Aと長手辺87Bとして、モード切り替えに伴ったピン部材73の位置の変化を吸収するために、短手辺87Aの形状を三角形状としてが、この形状は三角形状に限らず、着脱用扉47が開閉する際にピン部材73が沿って移動するとともに、モード切り替えによるピン部材73の位置の相違を吸収し、さらにピン部材73の案内溝87に対する押し込み範囲を緩和するような形状であれば、他の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…画像形成装置、2…画像形成ユニット、3…感光体ユニット、4…感光体ドラム、5…現像器、6…画像露光装置、9…中間転写ユニット、10…中間転写ベルト、11…一次転写ロール、12…ドライブロール、13…テンションロール、17…二次転写ロール、18…記録用紙、19…定着器、20…排出ロール、40…装置本体、41…開閉部、42…支持軸、43…供給用開閉部、45…蓋部、46…支持軸、47…着脱用扉(扉)、48…収容口、50…トナー回収ユニット、51…除去装置、52…掻き取り部材、53…クリーナバックアップロール、54…開口部、55…装置側シャッター(戸)、56…リブ、60…トナー回収容器(着脱部品)、61…開口部、62…トナー収容部、63…搬送部材、64…駆動軸、64A…歯車、65…容器側シャッター(戸)、66…位置決め部、70…装着部、71…溝、72…支持部、73…ピン部材(突起部)、74A…受け部、74B…ばね、75…装着部、76…貫通溝、80…支持部材、81…支持凸部、85…支持部材(連結部)、86…支持凸部、87…案内溝(溝部)、87A…短手辺、87AA…第一の面、87AB…第二の面、87B…長手辺、87C…狭間部、87D…第一の面、87E…第二の面
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置には、不要となった現像剤の一部が回収される構造を備えているものがある。この構造は、例えば、像担持体から記録紙または中間転写体への一次転写時や、中間転写体から記録紙への二次転写時等のような現像剤像の転写時において、未転写の現像剤(主にトナー成分)が残存するため、そのような未転写の現像剤をクリーニング装置により像担持体や中間転写体等から除去した後、着脱部品(回収容器)に回収する、といったものである。この種の画像形成装置においては、着脱部品に回収された現像剤が収容空間に満杯の状態になった時点で、その着脱部品を装置本体から取り外した後、新しい着脱部品を装置本体に取り付けるという交換作業が必要になる(特許文献1,2)。
さらに、この交換作業を簡易化する画像形成装置として、装置本体に設けたカバーを開くことで、廃トナーが回収された着脱部品を交換する機構を備えたものもある(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−325662号公報
【特許文献2】特開平10−153933号公報
【特許文献3】特開2005−141096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、例えば現像剤を回収する着脱部品などのように、装置本体に対して着脱可能な着脱部品を収容する画像形成装置において、その着脱部品の着脱の容易性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、本発明の請求項1記載の画像形成装置は、着脱口を有する装置本体と、前記装置本体に対して前記着脱口を介して着脱可能で、当該装置本体に収容された状態で動作する着脱部品と、前記着脱口に設けられた扉と、前記装置本体に設けられ、前記着脱部品が装着される装着部と、前記扉と前記装着部とを連結し、当該扉の開閉動作に伴って前記装着部の位置乃至姿勢を変化させる連結部であって、前記扉が閉められた際には、前記装着部に装着された前記着脱部品を、当該着脱部品が前記動作を行う第一の位置に移動させ、前記扉が開けられた際には、前記装着部に装着された前記着脱部品を前記第一の位置よりも前記着脱口に通じた外部空間に近づく第二の位置に移動させる連結部と、を具備することを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の画像形成装置は、請求項1記載の画像形成装置において、前記着脱部品は、トナーの収容空間が形成された長手方向を有する容器と、当該収容の内部の空間に配置されて前記長手方向に延びる回転体と、当該着脱部品の長手方向の一方の端部に設けられて前記回転体を回転させるための機構と、を有し、前記扉は、回転軸を中心に回転することで開閉する扉であり、前記連結部は、扉を回転可能に支持する部材であって、前記着脱部品の長手方向において前記機構が設けられていない方の端部側に配置された部材であることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の画像形成装置は、請求項1または2に記載の画像形成装置において、前記装着部には突起部が形成され、前記連結部には前記突起部が挿入される溝部が形成されており、前記扉の開閉動作に伴って移動する前記連結部の前記溝部に沿って、前記装着部の前記突起部が移動して、当該装着部の位置乃至姿勢が変化することを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の画像形成装置は、請求項3記載の画像形成装置において、無端の帯状の転写体と、各々の像保持体に静電潜像を形成させ、異なる色の現像剤によって前記静電潜像を現像させて前記転写体に順次転写させる複数の画像形成手段と、前記転写体の位置を移動させて、前記複数の像保持体のうちの一部の像保持体と前記転写体とを離間させる離間手段と、を具備し、前記着脱部品は、前記転写体の位置から見て当該転写体の離間時の移動方向に配置されており、前記連結部の前記溝部は、前記転写体が離間させられている状態と前記転写体が離間させられていない状態とで、前記装着部の前記突起部が移動可能な溝幅の部位を有し、前記扉が開けられるときに、前記装着部の前記突起部に接して当該装着部の位置乃至姿勢を変化させる第一の面と、前記扉が閉じられるときに、前記装着部の前記突起部に接して当該装着部の位置乃至姿勢を変化させる第二の面と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【0009】
請求項5に記載の画像形成装置は、請求項3記載の画像形成装置において、現像された画像が転写される無端の帯状の転写体を具備し、前記連結部の前記溝部は、前記装着部の前記突起部の幅よりも狭い溝幅となる部位を有し、前記扉が閉められるときに、前記装着部の前記突起部が前記部位に接してから当該部位を通過することで、前記着脱部品を前記転写体に近づく方向に移動させることを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の画像形成装置は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記扉が開けられた状態で前記装着部に前記着脱部品が装着されていない場合には、当該扉を閉めることを規制する規制手段を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項7に記載の画像形成装置は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記着脱部品は、トナーを含む現像剤を用いて現像を行う現像器に供給するトナーを収容するトナー供給容器であることを特徴とする。
【0012】
請求項8に記載の画像形成装置は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記着脱部品は、トナーを含む現像剤を用いて現像を行う現像器によって用いられた後に回収されたトナーを収容するトナー回収容器であることを特徴とする。
【0013】
請求項9に記載の画像形成装置は、請求項7または8記載の画像形成装置において、前記着脱部品及び前記装置本体の各々には、前記着脱部品が前記装着部に装着された状態で互いに向かい合う位置に開口部が形成されており、前記着脱部品が前記第一の位置にあるときには各々の前記開口部を開き、前記着脱部品が前記第二の位置にあるときには各々の前記開口部を閉める機構を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の画像形成装置によれば、扉の開閉動作に伴って着脱部品の位置が移動する構成を備えていないものに比べて、着脱部品の着脱を容易に行うことができる。
請求項2記載の画像形成装置によれば、扉を支持する部材以外の部材で装着部と扉とを連結する場合に比べると、構成要素を減らすことができ、連結部が回転体の回転を邪魔することもない。
請求項3記載の画像形成装置によれば、連結部の溝部に装着部の突起部を挿入した構成で、着脱部品を第一の位置から第二の位置へ、第二の位置から第一の位置への移動が可能になる。
請求項4記載の画像形成装置によれば、一部の像保持体と転写体とが離間させられている状態であっても離間させられていない状態であっても、扉の開閉動作に伴ってその着脱部品を第一の位置から第二の位置へ、第二の位置から第一の位置へ移動させることができる。
請求項5記載の画像形成装置によれば、扉を閉めた際に、突起部が狭い溝幅の部位を通過した勢いで、着脱部品を装置本体に収容させることができる。
請求項6記載の画像形成装置によれば、第二の位置における着脱部品の装着の有無によって、扉が閉まってしまうことを規制することができる。
請求項7記載の画像形成装置によれば、画像形成時に現像器にトナーを供給することができる。
請求項8記載の画像形成装置によれば、画像形成時に発生する残存トナーを廃トナーとして回収することができる。
請求項9記載の画像形成装置によれば、互いに向かい合う位置の開口部を塞ぐ戸を備えていないものに比べて、着脱部品内に収容された収容物、あるいは装置本体側の収容物が交換時に漏れる量を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の構造を模式的に示す図である。
【図2】カラーモード・モノクロモードにおける中間転写ユニットの構成を示した図である。
【図3】画像形成装置の外観を示す斜視図である。
【図4】開閉部及び蓋部を開いた画像形成装置を示す図である。
【図5】トナー回収ユニットの構成及び動作を模式的に示す図である。
【図6】トナー回収ユニットを示す分解斜視図である。
【図7】トナー回収容器の回転動作に伴ったシャッターの動作を模式的に示す図である。
【図8】装着部の回転を規制する規制手段を模式的に示す図である。
【図9】トナー回収容器を第二の位置に移動した状態で、着脱用扉とトナー回収ユニットとの関係を示す斜視図である。
【図10】装着部の平面図である。
【図11】着脱用扉を開く際の動作を示した図である。
【図12】着脱用扉を閉める際の動作を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<1.実施形態>
本実施形態では、例えばプリンターやコピー機あるいはファクシミリなどの電子写真方式の画像形成装置を例に挙げて説明する。図1は本実施形態に係る画像形成装置の構造を模式的に示す図である。以下、作業者が画像形成装置1を正面から見たときの幅(左右)方向の右方向をX(+)・左方向をX(−)、前後方向の奥方向をY(+)・手前方向をY(−)、重力方向の上方をZ(+)・下方をZ(−)として説明する。
【0017】
<画像形成装置の構成>
画像形成装置1には、装置全体を制御する制御部や、図示しないスキャナーやパーソナルコンピュータ、あるいは電話回線等から送られてくる画像データに対して画像処理を行う画像処理装置(図示せず)が設けられているほか、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),黒(K)の4つの画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kが中間転写ベルトに沿って並列に設けられる。画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kは、中間転写ベルトに最初に転写されるイエロー(Y)の画像形成ユニット2Yが相対的に高く、中間転写ベルトに最後に転写される黒(K)の画像形成ユニット2Kが相対的に低くなるように、水平方向に対してある角度(例えば、20度)だけ傾斜した状態で、ある間隔を隔てて並列に配置されている。このように、4つの画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kを、ある角度だけ傾斜した状態で配置することにより、これら4つの画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kを水平に配置した場合に比較して、画像形成装置1の幅方向(X軸方向)の距離が短くなる。
【0018】
これらの4つの画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kは、基本的に同じ構成であるため、以下、これらを特に識別して説明する必要のない場合には画像形成ユニット2と総称する。
画像形成ユニット2は、像保持体となる感光体ドラム4や帯電装置などを備えた感光体ユニット3と、現像器5と、を有する。現像器5Y,5M,5C,5Kはフレーム(図示せず)を介して装置本体40側に固定され、現像器5Y,5M,5C,5K間の隙間が、感光体ユニット3が装着されるユニット収容部となる。そして、各感光体ユニット3は装置本体40に対して着脱可能となる。
【0019】
画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの下部には、画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kに共通の画像露光装置6が設けられる。この画像露光装置6は、Y,M,C,Kの各色の画像データに応じて変調されたレーザービームを射出する半導体レーザー(いずれも図示せず)を4つ備えている。これらの半導体レーザーから射出された4本のレーザービームは、ポリゴンミラーによって偏向され、レンズやミラー(いずれも図示せず)を介して、画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの感光体ドラム4の表面を走査し、静電潜像を書き込む。感光体ドラム4に形成された静電潜像は、現像器5Y,5M,5C,5Kによって、各色のトナーを含む現像剤で現像されてトナー像となる。各々の画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの感光体ドラム4に順次形成された各色のトナー像は、各画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの上方に配置される、中間転写体としての中間転写ベルト10の下方の外周面に、それぞれ一次転写ロール11によって多重に転写される。さらに、装置本体40の右側には、各部に電力を供給する電源ユニット7が配置される。
【0020】
中間転写ベルト10は、ドライブロール12、テンションロール13及びアイドラーロール14などの複数のロールによって張架された無端のベルト状部材であり、駆動モーター(図示せず)によって回転駆動されるドライブロール12により、矢印A方向に循環駆動されるようになっている。この中間転写ベルト10は、その下辺に相当する領域においてその走行方向の下流側が重力方向の下方、且つ上流側が重力方向の上方となるように、水平方向に対して傾斜した状態で配置されている。中間転写ベルト10は、この下辺に相当する領域において、画像形成ユニット2Y,2M,2C,2Kの感光体ドラム4Y,4M,4C,4Kに接触している。この中間転写ベルト10としては、例えば、可撓性を有するポリイミド等の合成樹脂フイルムを帯状に形成し、この帯状に形成された合成樹脂フイルムの両端を溶着等の手段によって接続することにより、無端ベルト状に形成したものが用いられる。
これらの中間転写ベルト10、各一次転写ロール11、ドライブロール12、テンションロール13及びアイドラーロール14等は、中間転写ユニット9を構成する。
【0021】
記録媒体としての記録用紙18は、画像形成装置1の内部に配置された用紙収容部24から規定のサイズ及び材質のものが、各ロールによって形成された搬送路21に沿って搬送される。この搬送路21では、用紙収容部24内の記録用紙18が、給紙ロール25及び用紙分離搬送用のロール26により1枚ずつ分離された状態でレジストロール28まで一旦搬送され、停止される。そして、この記録用紙18は、予め決まったタイミングで回転駆動されるレジストロール28によって中間転写ベルト10の二次転写位置へ送出される。この二次転写位置には、中間転写ベルト10の表面に突き当たった状態で接触する二次転写ロール17が配置される。中間転写ベルト10上に多重に転写されたイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),黒(K)のトナー像は、ドライブロール12に押し付ける二次転写ロール17によって、押付力及び静電気力で記録用紙18上に二次転写される。この二次転写を経て各色のトナー像が転写された記録用紙18は、定着器19によって熱及び圧力が加えられる定着処理を経た後、排出ロール20によって画像形成装置1の上部に設けられた用紙排出部23上に排出される。なお、搬送路21には、記録用紙18の表裏を反転させる反転機構22が備えられている。
【0022】
また、画像形成装置1には、消費電力抑制等の目的から、例えば黒等の単一色のトナーのみを用いた画像を形成するモノクロモードと、複数色のトナーを用いた画像を形成するカラーモードとを切り替える機構を備えている。
制御部は、操作部49によるユーザの操作等に応じて、画像を形成するモードを、ブラック(黒)のトナーのみを用いて画像を形成する“モノクロモード”、または、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーを用いて画像を形成する“カラーモード”のいずれかに切り替える。そして、制御部は、切り替えたモードに応じて中間転写ユニット9の姿勢を変化させて、画像形成ユニット2等の各構成を制御して、記録用紙18に画像を形成させる。なお、中間転写ユニット9の姿勢とは、中間転写ベルト10の向き等であり、例えば、中間転写ベルト10の長手方向が各感光体ドラム4の配列されている方向に対してどのような方向に向いているか、等である。このモードを切り替える方法としては、中間転写ベルト10の位置を移動させて、この中間転写ベルト10と感光体ドラム4C,4M,4Yとを離間させる離間手段を用いるものがある。
【0023】
図2(a)は、カラーモードにおける中間転写ユニット9の構成を示した図である。カラーモードにおいては、中間転写ベルト10は全ての感光体ドラム4に接しており、各感光体ドラム4から中間転写ベルト10に対して像が転写される。
図2(b)は、モノクロモードにおける中間転写ユニット9の構成を示した図である。モノクロモードにおいては、中間転写ベルト10が感光体ドラム4C,4M,4Yから離間するように、テンションロール13、一次転写ロール11C,11M,11Y及びクリーナバックアップロール53(以下、可動ロール群という)が移動する。そして、ブラックの感光体ドラム4Kのみが中間転写ベルト10に接触する。
【0024】
<画像形成装置の構造>
次に、図3は画像形成装置1の外観を示す斜視図であり、図4は側面の開閉部41及び上面の蓋部45を開いたときの画像形成装置1の内部状態を示す図である。
画像形成装置1の装置本体40の側面には、支持軸42を中心にして開閉可能な開閉部41が取り付けられる。この開閉部41には、さらに供給用開閉部43が開閉自在に設けられる。この供給用開閉部43は、通常は開閉部41に対して閉じられているが、用紙収容部24に収納された記録用紙とは異なる種類の記録用紙を用いる際に、開閉部41に対して開かれて、ここからその記録用紙が搬送路21に供給される。
【0025】
また、装置本体40の上面には、支持軸46を中心にして開閉可能な蓋部45が設けられている。蓋部45の上側の面は、トナー像が形成された記録用紙18が排出される用紙排出部23となる。この蓋部45には、着脱口48を開閉するように着脱用扉47が設けられる。この着脱口48は、後述する着脱部品の一例としてのトナー回収容器60が装置本体40に対して着脱されるときに通過する着脱部であり、着脱用扉47は、着脱口48を開閉する扉の一例である。一方、装置本体40の上面の端部側には、例えば、記録用紙の枚数などを入力するテンキーなどを有する操作部49が取り付けられる。
【0026】
蓋部45は、通常は装置本体40に対して閉じられており、感光体ユニット3Y、3M、3C、3Bを装置本体40に対して着脱する際に開かれる。蓋部45の内側に取り付けられた中間転写ユニット9が開閉部41に干渉するのを防止するため、蓋部45を開くのに先立って、まず開閉部41が装置本体40に対して開かれる。一方、開閉部41を装置本体40に対して閉じる際には、開閉部41を閉じるのに先立って、まず、蓋部45が装置本体40に対して閉じられる。
【0027】
<トナー回収ユニットの構成>
画像形成装置1にあっては、昨今の事情から小型化に向かう傾向にある。例えば、図1に示すように、蓋部45の内側のデッドスペースとなる中間転写ユニット9と蓋部45との間にトナー回収ユニット50を配置して装置本体40の小型化を進めている。
ここで、トナー回収ユニット50の構成について、図5を参照しつつ説明する。図5は、トナー回収ユニット50の構成及び動作を模式的に描写した図である。ここでは、着脱用扉47の開閉動作に対するトナー回収容器60の動きについてのみ説明し、各部位の形状及び構成は後に詳述する。
【0028】
トナー回収ユニット50は、Y軸方向に長手方向を有し上側が開口した箱型形状の除去装置51と、この除去装置51に着脱可能に設けられるトナー回収容器60を備えている。トナー回収容器60は、装置本体40に対して着脱可能で、この装置本体40に収容された状態で動作する着脱部品の一例である。除去装置51は、中間転写ベルト10上に残存しているトナーを除去し、この除去装置51で除去されたトナーがトナー回収容器60に蓄積される。
トナー回収容器60は、後述する装着部70及び支持部材85(図5には図示せず)によって着脱用扉47の開閉動作に連動して移動する。つまり、着脱用扉47が閉状態にあっては、トナー回収容器60は、画像形成装置1が動作状態、つまりトナー回収容器60が動作状態にある第一の位置(図5(a))に移動し、着脱用扉47が開状態にあっては、トナー回収容器60は、当該トナー回収容器60の着脱が容易となる第二の位置、つまり上記第一の位置よりも着脱口48に通じた外部空間に近づく第二の位置(図5(b))に移動する。そして、第二の位置にあるトナー回収容器60は、図5(c)に示すように、除去装置51に対して着脱可能となる。つまり、このトナー回収容器60は、着脱用扉47を開けることにより、トナー回収容器60が第二の位置に移動して着脱可能となる。画像形成装置1の使用者は、トナー回収容器60の交換時期になると、トナー回収容器60を除去装置51から取り外し、トナーが入っていない空のトナー回収容器60を除去装置51に装着して、交換作業を行う。
【0029】
除去装置51は、図5(a)に示すように掻き取り部材52を有する。この掻き取り部材52と中間転写ベルト10を挟んで対向する位置には、クリーナバックアップロール53が配置される。掻き取り部材52の左右方向の幅は、中間転写ベルト10の幅より広くなっている。掻き取り部材52は、中間転写ベルト10の外周面に接触してその外周面上のトナーを掻き取り、除去装置51内に設けられた収容空間にトナーを蓄積させる。除去装置51内の収容空間は、開口部54を介してトナー回収容器60内のトナー収容部62と繋がっている。さらに、除去装置51は、図6の分解斜視図に示すように、開口部54を開閉するための装置側シャッター55を有している。装置側シャッター55は、トナー回収容器60が前述した第一の位置にある際には開口部54を開き、第二の位置にある際には開口部54を閉じる。
【0030】
トナー回収容器60は、長手方向を有する容器であり、その内部に収容空間であるトナー収容部62を有する。トナー回収容器60が除去装置51に装着された状態で、トナー回収容器60には、開口部54と互いに向かい合う位置に開口部61が形成される。このトナー収容部62に対しては、除去装置51から搬送されたトナーが開口部54及び開口部61を介して搬送される。トナー収容部62内には、駆動軸64を中心に回転させられる搬送部材63が設けられる。この搬送部材63は、開口部61付近に搬送されたトナーをトナー収容部62の奥へと搬送する。駆動軸64の一端側には歯車64Aが設けられ、この歯車64Aを介して装置本体40内に設けられた駆動源からの回転力が駆動軸64に伝達される。この駆動軸64は、トナー回収容器60の長手方向に延びる回転体の一例であり、歯車64Aは、この回転体(駆動軸64)を回転される機構の一例である。
また、トナー回収容器60は、開口部61を開閉するための容器側シャッター65を有している。容器側シャッター65は、トナー回収容器60が前述した第一の位置にある際には開口部61を開き、第二の位置にある際には開口部61を閉じる。
【0031】
ここで、装置側シャッター55及び容器側シャッター65の動作について説明する。図7は、トナー回収容器60の着脱動作に伴ったシャッター55,65の動作を模式的に示した図である。トナー回収容器60は除去装置51に対して図7(a)に示すように、ユーザによって矢印方向に回転させられてから、除去装置51から離脱させられる。この図7(a)に示すように、トナー回収容器60が除去装置51に装着された第一の位置にある状態では、装置側シャッター55が開口部54を開き、容器側シャッター65が開口部61を開いているため、互いに向かい合う位置に形成された開口部54,61を介して除去装置51の収容空間とトナー回収容器60のトナー収容部62とが繋がっている。この状態にあっては、装置側シャッター55のうち、矢印の上流側がトナー回収容器60の一部(a部)に支持され、容器側シャッター65のうち、矢印方向の上流側が除去装置51の一部(b部)に支持されている。
【0032】
次に、図7(b)に示すように、除去装置51に対してトナー回収容器60を矢印方向に回転させて第二の位置に移動させた状態にあっては、装置側シャッター55が開口部54を閉じ、容器側シャッター65が開口部61を閉じる。つまり、装置側シャッター55が、トナー回収容器60の回転に伴って回転して除去装置51側の開口部54を閉じ、容器側シャッター65が、トナー回収容器60の回転に伴って回転してくる容器60側の開口部61を閉じる。そして、開口部54,61はいずれも塞がれることになる。
そして、図7(c)に示すように、トナー回収容器60を除去装置51から分離した場合、トナー回収容器60の開口部61は容器側シャッター65で塞がれ、除去装置51の開口部54は装置側シャッター55で塞がれる。このようにいずれの開口部61,54も塞がれるから、容器60内あるいは装置51内のトナーが外部に排出されないから、装置本体40内が廃トナーで汚れることを抑制する。
この装置側シャッター55及び容器側シャッター65は、トナー回収容器60が第一の位置にある際には開口部54及び61を開き、第二の位置にある際には開口部54及び61を閉める戸の一例である。
【0033】
次に、除去装置51とトナー回収容器60とを連結する装着部70,75について説明する。これら装着部70,75は、装置本体40側に設けられ、着脱部品の一例としてのトナー回収容器60が装着される装着部の一例である。
図6に示すように、除去装置51は、長手方向(Y軸方向)に延びる箱型の形状を有する。除去装置51の長手方向の両端の側面には、その内側に、形状の異なった装着部70,75が回転自在に設けられる。
一方の装着部70には、トナー回収容器60を装着するべく、その容器60の側面が嵌り込む溝71が形成され、この溝71の奥側には、当該装着部70を除去装置51に回転自在に支持するための支持部72が形成される。他方の装着部75には、トナー回収容器60を装着するべく、その容器60の側面及び駆動軸64が嵌り込むU字状の貫通溝76が形成され、この貫通溝76の奥側の部位が駆動軸64とともに当該装着部75を除去装置51に回転自在に支持するための支持部となる。
この装着部70,75の作用によってトナー回収容器60は除去装置51に対して回転するから、これにより、図5及び図7に示すように、除去装置51に対してトナー回収容器60が第一の位置から第二の位置に、第二の位置から第一の位置に移動することが可能になる。
【0034】
また、装着部70には回転規制機構が設けられている。この回転規制機構は、装着部70の溝71にトナー回収容器60が正しく装着されないと回転を許可しないという役割を果たす。
この回転規制機構は、具体的には、例えば図8に示すような構成である。
除去装置51のうち、装着部70の支持部72と対向する位置に、装着部70側に突出する円弧状のリブ56が形成されている。装着部70において、このリブ56とY軸方向で重なる位置には、図8(a)の矢印方向に移動自在な受け部74Aが設けられている。この受け部74Aは、ばね74Bの付勢力によって、図8(a)の矢印とは逆の方向に押し出される。この状態にあっては、装着部70を反時計方向に回転させようとしても、受け部74Aの側面がリブ56の端部に当たってしまい、装着部70の回転が規制されることになる。
一方、トナー回収容器60の側面に形成された位置決め部66が、ばね74Bのバネ力に抗して装着部70の受け部74Aの奥まで挿入されると、受け部74Aがリブ56の端部から離れるため、図8(b)に示すように、装着部70の回転が可能な状態になる。このようにして、除去装置51は、装着部70にトナー回収容器60を装着されていないと装着部70が回転しないようになっている。そして、この装着部70の回転は着脱用扉47の開閉と連動しているから、装着部70にトナー回収容器60が装着されていない状態では、着脱用扉47が閉まることが規制されることになる。よって、回転規制機構は、着脱用扉47が開けられた状態で装着部70にトナー回収容器60が装着されていない場合には、その着脱用扉47を閉めることを規制する規制手段の一例となる。
【0035】
次に、着脱用扉47を装置本体40に支持する支持部材80,85について説明する。図9は、着脱用扉47とトナー回収ユニット50との関係を説明するべく、トナー回収容器60を第二の位置に移動した状態で、装着部70,75間にトナー回収容器60を装着した状態を示した斜視図である。
支持部材80は、着脱用扉47において、図9中の向かって右側(Y(−)側)に配置された部材である。この支持部材80の一端には、装置本体40の支持受凹部(図示せず)に回転自在な状態で嵌め込まれる支持凸部81が形成され、他端には着脱用扉47の端部が固着される。支持部材85は、着脱用扉47において、図9中の向かって左側(Y(+)側)に配置された部材である。この支持部材85の一端には装置本体40の支持受凹部(図示せず)に回転自在な状態で嵌め込まれる支持凸部86が形成され、他端には着脱用扉47の端部が固着される。
支持凸部81及び86の軸線方向が着脱用扉47の回転軸となり、この回転軸を中心に着脱用扉47が回転することになる。
【0036】
また、支持部材85においては、一端から他端に跨って略「L」字状に屈曲した案内溝87が形成されている。この案内溝87内には、装着部70から長手方向(Y(+)方向)に突出形成されたピン部材73が挿入される。これにより、着脱用扉47と装着部70とが連結されるから、支持部材85はこれらを連結する連結部の一例である。案内溝87内に沿ってピン部材73を移動させることにより、着脱用扉47の開閉時におけるピン部材73の移動方向、つまりトナー回収容器60の移動方向が案内される。つまり、着脱用扉47の開閉動作に伴って装着部70の位置乃至姿勢が変化させられて、その結果、装着部70に装着されたトナー回収容器60が前述した第一の位置と第二の位置との間を移動する。このように、着脱用扉47を回転可能に支持する支持部材80,85のうち、支持部材85(連結部)に形成された案内溝87が溝部の一例となり、この案内溝87に挿入される装着部70のピン部材73が突起部の一例となる。
このような構成とすることにより、着脱用扉47を支持する支持部材85以外の部材で装着部70と着脱用扉47とを連結する場合に比べると、回転軸64と歯車64Aの回転を邪魔することなく着脱用扉47の動きに伴って装着部70を移動させられる。しかも構成要素も減らせる。さらに、扉を支持する部材に連結の役割を持たせようとすると、その部材を別途設けるスペースが装置本体40に必要となり大型化を招くことになるが、上記構成とすれば小型化も図れる。
なお、連結部となる支持部材85と歯車64Aとは、上記の位置関係に限るものではなく、互いの干渉などの不具合を考慮した上で、双方を自由に配置してもよい。
【0037】
図10は支持部材85の平面図である。案内溝87のうち、高さ方向(Z軸方向)に延びる短手辺87Aが、着脱用扉47(トナー回収容器60)の除去装置51に対する押し込み量を緩和する部分となる。そして、横方向(X軸方向)に延びる長手辺87Bが、着脱用扉47(トナー回収容器60)の開く角度を規制する部分となり、縦方向(Z軸方向)に延びる短手辺87Aが、トナー回収容器60が第一の位置にある状態で、トナー回収容器60と着脱用扉47との位置変化を吸収する部分となる。案内溝87において短手辺87Aのうち長手辺87B寄りの部分が、案内溝87の溝幅のうち、もっとも狭い狭間部87Cとなる。この狭間部87Cの溝幅はL(以下、離間寸法Lという)である。
この狭間部87Cの離間寸法Lは、ピン部材73の直径寸法よりも小さい。支持部材80,85は樹脂材料によって形成されていて力が加えられたときの変形量が、例えば金属材料よりも大きいため、ピン部材73を狭間部87Cに押し込む力が一定の大きさ以上加えられると、ピン部材73は狭間部87Cを通過することができる。
また、案内溝87を形成する面のうち、長手部87Bの上方(Z(+)方向)に形成された面から短手部87Aの左側(X(+))に渡って形成された面が第一の面87Dとなり、長手部87Bの下方(Z(−)方向)に形成された面から短手部87Aの右側(X(−))に渡って形成された面が第二の面87Eとなる。つまり、着脱用扉47が開けられるとき、装着部70のピン部材73が第一の面87Dに沿って移動するため、当該装着部70の位置及び姿勢を変化させる。一方、着脱用扉47が閉じられるとき、ピン部材73が第二の面87Eに沿って移動するため、当該装着部70の位置及び姿勢を変化させる。
【0038】
他方の装着部75には駆動軸64を通す貫通溝76が設けられているため、一方の装着部70のみが支持部材85を介して着脱用扉47に連結されることになる。このような構成であっても、除去装置51は装置本体40に固定され、着脱用扉47が支持部材70,75で蓋部45に回転可能に支持されているから、トナー回収容器60の着脱作業時に装着部70,75等が歪む量は小さい。
また、支持部材80,85の支持凸部81,86には、バネ(図示せず)等の復帰手段が設けられており、着脱用扉47のロック機構(図示せず)を解除すると、このバネの付勢力により着脱用扉47(トナー回収容器60)が自動的に開くようになっている。
【0039】
ここで、着脱用扉47の開閉動作に伴う案内溝87に対するピン部材73の動きについて説明する。図11は、着脱用扉47を開く際の動作を示したもので、(a)−(c)がカラーモード時における中間転写ユニット9の状態における動作、(d)−(f)がモノクロモード時における中間転写ユニット9の状態における動作を示した図である。図12は、着脱用扉47を閉める際の動作を示したもので、(a)−(c)がカラーモード時における中間転写ユニット9の状態における動作、(d)−(f)がモノクロモード時における中間転写ユニット9の状態における動作を示した図である。
図11及び図12において、(a)−(c)と(d)−(f)との違いは、案内溝87によって移動方向が案内されるピン部材73の位置にある。つまり、モノクロモードとカラーモードとでは、図2(a)に示すように、カラーモードの方が、全ての感光体ドラム4が中間転写ベルト10に接する位置まで中間転写ユニット9の右側(X(+))が下げられた姿勢となるため、着脱用扉47を閉めた状態、つまりトナー回収容器60が第1の位置にある場合には、ピン部材73の短手辺87Aに対する高さ位置が異なっている。つまり、ピン部材73の位置は、カラーモード(a)の方が、モノクロモード(d)よりも重力方向で低い位置になる。
【0040】
つまり、画像形成装置1においては、図2に示すように、離間手段によってカラーモードとモノクロモードに切り替えると、中間転写ベルト10が右上に移動する構成となっているため、トナー回収ユニット50もこの移動に伴って移動することになる。一方、モード切り替えによって中間転写ベルト10とともに移動する除去装置51は、装着部70を介して装置本体40側に取り付けられた支持部材85に連結されている。そこで、ピン部材73が三角形状の短手辺87A内を自由に移動することで、当該画像形成装置1のモード切り替えによるトナー回収ユニット50の装置本体40に対する位置変化を吸収している。
【0041】
図11に示すように、着脱用扉47を開く際には、ユーザがロック機構を解除すると、前述した復帰手段としてのバネの付勢力によって着脱用扉47が開く方向に回転させられる。この際、支持部材85が支持凸部86を中心として、半時計方向に回転し始める。そして、ピン部材73は、第一の面87Dのうち長手辺87Bの上方(Z(+)方向)に形成された面を沿って移動しながら、トナー回収容器60(装着部70)を上方に引き上げる方向に回転させる。そして、着脱用扉47が開いた図11(c),(f)の状態では、一方の装着部70の回転動作に伴って、トナー回収容器60の長手方向反対側に位置した装着部75も追従して回転しているから、図9(a)に示すように、トナー回収容器60が蓋部45の収容部48(図1参照)から外部に露出する状態、つまり第2の位置に移動したことになる。そして、この状態においては、図5(b)に示すように、トナー回収容器60の交換が可能になる。
しかも、着脱用扉47を開く際には、復帰手段のバネ力によって当該着脱用扉47が上側に向けて支持部材85とともに回転するのに対し、装着部70及びトナー回収容器60には重力が働いているため、案内溝87内を移動するピン部材73の位置に応じて装着部70の回転移動が決まることになる。つまり、支持部材85の回転に伴ってピン部材73が案内溝87を移動することになるが、着脱用扉47の開きに応じて装着部70を回転させるため、ピン部材73は案内溝87の下面に沿って右から左に移動する。
【0042】
また、モノクロモードの場合、カラーモードよりもトナー回収ユニット50が重力方向上側に位置することになるから、図11(a),(d)に示すように、着脱扉47が開いた状態では、ピン部材73(装着部70)の位置が、モノクロモードの方がカラーモードよりも高い位置となっている。さらに、着脱扉47が開いた状態であっても、図11(c),(f)に示すように、ピン部材73(装着部70)の位置が、モノクロモードの方がカラーモードよりも高い位置となっている。
つまり、着脱扉47を開く際に、第一の面87Dをピン部材73が接触して移動する際の、始まる位置と終わる位置がモノクロモードとカラーモードとで異なっている。
【0043】
一方、着脱用扉47を閉める際には、ユーザが着脱用扉47を復帰手段としてのバネの付勢力に抗して押し込んでゆくと、ピン部材73は、第二の面87Eのうち長手辺87Bの面に沿って移動しながら、トナー回収容器60(装着部70)を下方に引き上げる方向に回転させる。一方、狭間部87Cにピン部材73が差し掛かった際には、離間寸法Lとピン部材73の直径寸法との関係から、ピン部材73から狭間部87Cに加えられる力が一定の大きさになるまではピン部材73が狭間部87Cを通過せずに、着脱用扉47の押し込み量を貯めた状態となる(図12(b),(e))。
そして、ピン部材73が狭間部87Cを通過させるためには、ピン部材73を長手辺87Bに移動させる以上の力をユーザが必要とするため、通過した際には、ピン部材73が短手辺87Aの上側に向けて一気に移動することになる。このため、ピン部材73が狭間部87Cを通過した際には、装着部70(トナー回収容器60)も下側に一気に回転させられるため、トナー回収ユニット50が重力方向に下がった状態となるカラーモードであっても、トナー回収容器60を除去装置51に装着してトナー回収容器60に未装着となるのを抑制する。
また、狭間部87Cを通過した後のピン部材73は、短手辺87A内でカラーモードあるいはモノクロモードの位置に止まることになる。よって、トナー回収容器60は、着脱用扉47を閉めることで、モードに関係なく第一の位置で除去装置51に装着されることになる。
【0044】
さらに詳述すれば、カラーモードのように、中間転写ユニット9の右側(X(+))が下げられた姿勢となっている状態では、モノクロモードから下がった分だけトナー回収ユニット50も下がった状態となっている。そこで、ピン部材73と狭間部87Cの寸法関係によって、着脱用扉47を閉めてピン部材73が長手辺87Bから短手辺87Aに移動する際には、ピン部材73は短手辺87Aに上側に向けて一気に押し込まれるから、トナー回収ユニット50が下がった状態となるカラーモードであっても、トナー回収容器60が除去装置51に装着される。
【0045】
また、着脱扉47を開く場合であっても、閉める場合と同様に、トナー回収ユニット50が、カラーモードよりもモノクロモードの方が重力方向上側に位置することになるから、図12(a),(d)に示すように、着脱扉47が閉じた状態では、ピン部材73(装着部70)の位置が、モノクロモードの方がカラーモードよりも高い位置となっている。さらに、着脱扉47が閉めた状態であっても、図12(c),(f)に示すように、ピン部材73(装着部70)の位置が、モノクロモードの方がカラーモードよりも高い位置となっている。つまり、着脱扉47を開く際に、第二の面87Eをピン部材73が接触して移動する際の、始まる位置と終わる位置が、モノクロモードとカラーモードとで異なっている。
【0046】
モードを切り替えた場合には、図2に示すように、ブラックの感光体ドラム4K以外のドラム4C,4M,4Yが中間転写体ベルト10から離間するようになるから、その回転中心がブラックの感光体ドラム4Kにある場合には、図11においては、その回転中心は図面の右側に位置することになる。そして、この回転中心を中心にしてモノクロモード時にはドラム4C,4M,4Yが中間転写体ベルト10から離間するため、この離間動作に伴ってピン部材73も右上に移動することになる(図11(a)(d)、参照)。このように、短手辺87Aを三角形に形成することにより、モード切り替えによるピン部材73の位置変化が、案内溝87を介して支持部材85,装着部70を介して着脱用扉47に伝達されるのを抑制している。
【0047】
<2.変形例>
上記実施形態を次のように変形してもよい。
上記実施形態では、トナー回収容器60の一方に位置した装着部70を、支持部材85を介して着脱用扉47に連結させるようにしたが、トナー回収容器60の両端に位置した装着部70,75を、支持部材80,85を介して着脱用扉47に連結させるようにしてもよい。
上記実施形態では、交換対象物として、廃トナーを回収するトナー回収容器60を例示したが、交換対象物はこれに限るものではなく、現像器5Y,5M,5C,5Kに供給するトナーを収容するトナー供給容器であってもよい。要は、画像形成装置1において、着脱用扉47の開閉に伴って第一の位置と第二の位置の間を移動するような配置場所に設けられ、第二の位置にあるときに着脱可能となる着脱部品(交換対象物)であればよい。
【0048】
上記実施形態では、案内溝87の形状を短手辺87Aと長手辺87Bとして、モード切り替えに伴ったピン部材73の位置の変化を吸収するために、短手辺87Aの形状を三角形状としてが、この形状は三角形状に限らず、着脱用扉47が開閉する際にピン部材73が沿って移動するとともに、モード切り替えによるピン部材73の位置の相違を吸収し、さらにピン部材73の案内溝87に対する押し込み範囲を緩和するような形状であれば、他の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…画像形成装置、2…画像形成ユニット、3…感光体ユニット、4…感光体ドラム、5…現像器、6…画像露光装置、9…中間転写ユニット、10…中間転写ベルト、11…一次転写ロール、12…ドライブロール、13…テンションロール、17…二次転写ロール、18…記録用紙、19…定着器、20…排出ロール、40…装置本体、41…開閉部、42…支持軸、43…供給用開閉部、45…蓋部、46…支持軸、47…着脱用扉(扉)、48…収容口、50…トナー回収ユニット、51…除去装置、52…掻き取り部材、53…クリーナバックアップロール、54…開口部、55…装置側シャッター(戸)、56…リブ、60…トナー回収容器(着脱部品)、61…開口部、62…トナー収容部、63…搬送部材、64…駆動軸、64A…歯車、65…容器側シャッター(戸)、66…位置決め部、70…装着部、71…溝、72…支持部、73…ピン部材(突起部)、74A…受け部、74B…ばね、75…装着部、76…貫通溝、80…支持部材、81…支持凸部、85…支持部材(連結部)、86…支持凸部、87…案内溝(溝部)、87A…短手辺、87AA…第一の面、87AB…第二の面、87B…長手辺、87C…狭間部、87D…第一の面、87E…第二の面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱口を有する装置本体と、
前記装置本体に対して前記着脱口を介して着脱可能で、当該装置本体に収容された状態で動作する着脱部品と、
前記着脱口に設けられた扉と、
前記装置本体に設けられ、前記着脱部品が装着される装着部と、
前記扉と前記装着部とを連結し、当該扉の開閉動作に伴って前記装着部の位置乃至姿勢を変化させる連結部であって、前記扉が閉められた際には、前記装着部に装着された前記着脱部品を、当該着脱部品が前記動作を行う第一の位置に移動させ、前記扉が開けられた際には、前記装着部に装着された前記着脱部品を前記第一の位置よりも前記着脱口に通じた外部空間に近づく第二の位置に移動させる連結部と、を具備する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記着脱部品は、トナーの収容空間が形成された長手方向を有する容器と、当該収容の内部の空間に配置されて前記長手方向に延びる回転体と、当該着脱部品の長手方向の一方の端部に設けられて前記回転体を回転させるための機構と、を有し、
前記扉は、回転軸を中心に回転することで開閉する扉であり、
前記連結部は、扉を回転可能に支持する部材であって、前記着脱部品の長手方向において前記機構が設けられていない方の端部側に配置された部材である
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、
前記装着部には突起部が形成され、前記連結部には前記突起部が挿入される溝部が形成されており、
前記扉の開閉動作に伴って移動する前記連結部の前記溝部に沿って、前記装着部の前記突起部が移動して、当該装着部の位置乃至姿勢が変化する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3記載の画像形成装置において、
無端の帯状の転写体と、
各々の像保持体に静電潜像を形成させ、異なる色の現像剤によって前記静電潜像を現像させて前記転写体に順次転写させる複数の画像形成手段と、
前記転写体の位置を移動させて、前記複数の像保持体のうちの一部の像保持体と前記転写体とを離間させる離間手段と、を具備し、
前記着脱部品は、前記転写体の位置から見て当該転写体の離間時の移動方向に配置されており、
前記連結部の前記溝部は、
前記転写体が離間させられている状態と前記転写体が離間させられていない状態とで、前記装着部の前記突起部が移動可能な溝幅の部位を有し、
前記扉が開けられるときに、前記装着部の前記突起部に接して当該装着部の位置乃至姿勢を変化させる第一の面と、
前記扉が閉じられるときに、前記装着部の前記突起部に接して当該装着部の位置乃至姿勢を変化させる第二の面と、を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項3記載の画像形成装置において、
現像された画像が転写される無端の帯状の転写体を具備し、
前記連結部の前記溝部は、
前記装着部の前記突起部の幅よりも狭い溝幅となる部位を有し、
前記扉が閉められるときに、前記装着部の前記突起部が前記部位に接してから当該部位を通過することで、前記着脱部品を前記転写体に近づく方向に移動させる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記扉が開けられた状態で前記装着部に前記着脱部品が装着されていない場合には、当該扉を閉めることを規制する規制手段を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記着脱部品は、トナーを含む現像剤を用いて現像を行う現像器に供給するトナーを収容するトナー供給容器である
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記着脱部品は、トナーを含む現像剤を用いて現像を行う現像器によって用いられた後に回収されたトナーを収容するトナー回収容器である
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項7または8記載の画像形成装置において、
前記着脱部品及び前記装置本体の各々には、前記着脱部品が前記装着部に装着された状態で互いに向かい合う位置に開口部が形成されており、
前記着脱部品が前記第一の位置にあるときには各々の前記開口部を開き、前記着脱部品が前記第二の位置にあるときには各々の前記開口部を閉める機構を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
着脱口を有する装置本体と、
前記装置本体に対して前記着脱口を介して着脱可能で、当該装置本体に収容された状態で動作する着脱部品と、
前記着脱口に設けられた扉と、
前記装置本体に設けられ、前記着脱部品が装着される装着部と、
前記扉と前記装着部とを連結し、当該扉の開閉動作に伴って前記装着部の位置乃至姿勢を変化させる連結部であって、前記扉が閉められた際には、前記装着部に装着された前記着脱部品を、当該着脱部品が前記動作を行う第一の位置に移動させ、前記扉が開けられた際には、前記装着部に装着された前記着脱部品を前記第一の位置よりも前記着脱口に通じた外部空間に近づく第二の位置に移動させる連結部と、を具備する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記着脱部品は、トナーの収容空間が形成された長手方向を有する容器と、当該収容の内部の空間に配置されて前記長手方向に延びる回転体と、当該着脱部品の長手方向の一方の端部に設けられて前記回転体を回転させるための機構と、を有し、
前記扉は、回転軸を中心に回転することで開閉する扉であり、
前記連結部は、扉を回転可能に支持する部材であって、前記着脱部品の長手方向において前記機構が設けられていない方の端部側に配置された部材である
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、
前記装着部には突起部が形成され、前記連結部には前記突起部が挿入される溝部が形成されており、
前記扉の開閉動作に伴って移動する前記連結部の前記溝部に沿って、前記装着部の前記突起部が移動して、当該装着部の位置乃至姿勢が変化する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3記載の画像形成装置において、
無端の帯状の転写体と、
各々の像保持体に静電潜像を形成させ、異なる色の現像剤によって前記静電潜像を現像させて前記転写体に順次転写させる複数の画像形成手段と、
前記転写体の位置を移動させて、前記複数の像保持体のうちの一部の像保持体と前記転写体とを離間させる離間手段と、を具備し、
前記着脱部品は、前記転写体の位置から見て当該転写体の離間時の移動方向に配置されており、
前記連結部の前記溝部は、
前記転写体が離間させられている状態と前記転写体が離間させられていない状態とで、前記装着部の前記突起部が移動可能な溝幅の部位を有し、
前記扉が開けられるときに、前記装着部の前記突起部に接して当該装着部の位置乃至姿勢を変化させる第一の面と、
前記扉が閉じられるときに、前記装着部の前記突起部に接して当該装着部の位置乃至姿勢を変化させる第二の面と、を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項3記載の画像形成装置において、
現像された画像が転写される無端の帯状の転写体を具備し、
前記連結部の前記溝部は、
前記装着部の前記突起部の幅よりも狭い溝幅となる部位を有し、
前記扉が閉められるときに、前記装着部の前記突起部が前記部位に接してから当該部位を通過することで、前記着脱部品を前記転写体に近づく方向に移動させる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記扉が開けられた状態で前記装着部に前記着脱部品が装着されていない場合には、当該扉を閉めることを規制する規制手段を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記着脱部品は、トナーを含む現像剤を用いて現像を行う現像器に供給するトナーを収容するトナー供給容器である
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記着脱部品は、トナーを含む現像剤を用いて現像を行う現像器によって用いられた後に回収されたトナーを収容するトナー回収容器である
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項7または8記載の画像形成装置において、
前記着脱部品及び前記装置本体の各々には、前記着脱部品が前記装着部に装着された状態で互いに向かい合う位置に開口部が形成されており、
前記着脱部品が前記第一の位置にあるときには各々の前記開口部を開き、前記着脱部品が前記第二の位置にあるときには各々の前記開口部を閉める機構を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−191623(P2011−191623A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59124(P2010−59124)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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