説明

画像形成装置

【課題】前面からのみの操作が可能で、また高い場所に設置しても操作性が劣らず、使用しない場合には省スペース性に優れた画像形成装置を提供する。
【解決手段】第2排紙部7が第1給紙部10の下方にあり、高い設置場所でも排出紙71が取りやすく、未使用時は排紙トレイ12、第1給紙部10の用紙設置台103を収納する。第1排紙部5を第1給紙部10の上方に配置し、第2用紙搬送路6bの曲率R30を確保しつつ、画像形成装置の高さを回避する。第2排紙部7の排出口8を装置外郭より「l」だけ奥まった位置に設け、排出紙71の占有面積を少なくするとともに、「l」を搬送される用紙の最小長さよりも短くし、排出紙71を取りやすくする。この構成により、省スペース性に優れた画像形成装置を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省スペース性に優れた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保全や資源消費抑制の観点から、大量に印刷し用紙を消費するよりもデータを配信して、必要な場合にのみ印刷を行うなどの取組が行われている。また、情報セキュリティの重要性が問われており、重要な情報を集合端末で印刷を行うことは他者に閲覧、搾取等の機会を与えてしまうことから好ましくない。
【0003】
これらの問題を回避する方法として、個人専用の画像形成装置を設置することは、前述の観点のみならず、業務効率上も大変有益であるが、これを実行するためには一般的な画像形成装置と比べて、省スペース性,低コスト性が要求されることとなる。特に、省スペース性については、物理的に設置の可否を決めてしまう要素となりうるため重要である。
【0004】
この省スペース性について、特許文献1には、画像形成装置本体に画像形成部を略水平に通過する用紙搬送路と、上面から用紙搬送路へ合流した給紙路と、用紙搬送路から分岐され上方に湾曲した排紙路とを設け、本体の設置スペースを縮小する画像形成装置が記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、フェイスダウン排紙もフェイスアップ排紙の場合も含め、前面給紙,前面排紙を可能として、ユーザが装置本体前方に居たまま排出用紙の取り出しができる、操作性を向上させた画像形成装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構成によれば設置面積は低減できるものの、画像形成装置上部の占有空間が大きく、非使用時であっても給紙台、排出紙積載台が必要であるため小さくならず、また上面に物を置くこともできない。ラックや棚に設置することを考えた場合、画像形成装置の上面に用紙が排出されることから高い場所に置くと用紙が取りにくい等の操作性が悪いという課題があった。また、特許文献2の構成においても、前面に排出させるために、用紙の反転動作させる必要があり、また前面まで搬送するために多くのローラを設ける必要があり、コスト高となるといった課題があった。
【0007】
本発明は、前記従来技術の問題を解決するものであり、前面からのみの操作が可能であり、また高い場所等に設置しても操作性が劣らず、使用しない場合には省スペース性に特に優れた、安価な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載した画像形成装置は、装置本体の第1側面に開口を有する第1給紙部と、第2側面に開口を有する第1排紙部と、第1給紙部から第1排紙部へと通じる第1用紙搬送路と、第1用紙搬送路の鉛直方向に配置された画像形成部と、第1用紙搬送路において画像形成部の下流でかつ第1排紙部の上流に配置された画像定着部とを備えた画像形成装置において、第1用紙搬送路の画像定着部の下流でかつ第1排紙部の上流となる位置から分岐した第2用紙搬送路と、第1給紙部を有する第1側面上で、第1給紙部の鉛直方向で下方に位置する開口を有する第2排紙部とを設け、第1用紙搬送路が略直線状で、第1給紙部よりも第1排紙部の位置が鉛直方向で上方に位置しており、第2用紙搬送路が第2排紙部へと通じていることを特徴とする。
【0009】
この構成によって、排出紙を取り扱う操作性に優れ、かつ省スペース性を兼備えている、設置場所等の制約のない、さらに業務効率を改善することが可能な画像形成装置を得ることができる。
【0010】
また、請求項2に記載した発明は、請求項1の画像形成装置において、第1給紙部から第1排紙部へと通じる第1用紙搬送路が、水平面方向に対して10度〜20度傾斜する略直線状であることを特徴とする。
【0011】
この構成によって、搬送する用紙をターンさせるための搬送経路の曲率を得ることができる。
【0012】
また、請求項3に記載した発明は、請求項1,2の画像形成装置において、第2排紙部は、排紙ローラ対を有する排出口と排出紙積載部とからなり、排出口は装置外郭から凹形状に奥まった位置にあることを特徴とする。
【0013】
この構成によって、排出紙の面積と排出紙の積載面積が装置内でオーバーラップするため、排出紙が占有する面積を低減することができる。
【0014】
また、請求項4に記載した発明は、請求項3の画像形成装置において、装置外郭から排出口までの距離が、第2排紙部から排出できる用紙の最小長さよりも短いことを特徴とする。
【0015】
この構成によって、用紙の一端が装置外郭に露出するため使用者が取り扱いやすくなり、省スペース性と優れた操作性の両方を得ることができる。
【0016】
また、請求項5に記載した発明は、請求項1,2の画像形成装置において、第1給紙部は、用紙分離部と用紙設置台とからなり、用紙設置台は第1用紙搬送路に対して10度〜80度の範囲で傾斜している通紙状態と、通紙状態よりも第1用紙搬送路との角度が大きくなる方向に移動し係止する収納状態とを有し、第1給紙部から給紙する印刷時には通紙状態であることを特徴とする。
【0017】
この構成によって、第1給紙部の通紙状態と収納状態のいずれにおいても第2排紙部上から排出紙の取り出し性を向上させることができる。
【0018】
また、請求項6に記載した発明は、請求項5の画像形成装置において、用紙分離部は、用紙送り部材と用紙分離部材とからなり、通紙状態と収納状態の両状態、および両状態への移行中においても、用紙送り部材と用紙分離部材との幾何学的位置関係が変化しないことを特徴とする。
【0019】
この構成によって、第1給紙部が収納状態から通紙状態に移行した際に、用紙を再セットすることなく通紙可能な状態とすることができる。
【0020】
また、請求項7に記載した発明は、請求項5の画像形成装置において、用紙分離部は、用紙送り部材と用紙分離部材とからなり、通紙状態および通紙状態となる近傍以外のすべての位置で、用紙送り部材と用紙分離部材が離間していることを特徴とする。
【0021】
この構成によって、用紙送り部材の移動に用紙分離部材が影響されることがなく、簡単な構成で用紙設置台を通紙状態または収納状態にすることができる。
【0022】
また、請求項8に記載した発明は、請求項1,2の画像形成装置において、第1給紙部を有する第1側面で、鉛直方向で第1給紙部の下方、かつ第2排紙部の上方となる位置に開口を有する第2給紙部を設けたことを特徴とする。
【0023】
この構成によって、第2給紙部から第1排紙部へ至る搬送経路は略直線状となり、厚紙や光沢紙など曲げたくない用紙を通紙する等の特別な用途にも対応することができる。
【0024】
また、請求項9に記載した発明は、請求項8の画像形成装置において、第1給紙部の用紙設置台が通紙状態であると、第2給紙部の開口に用紙が挿入不可能な構成となることを特徴とする。
【0025】
この構成によって、第1,第2給紙部のいずれかが一方を使用可能とする排他構成となるので、いずれかの給紙部を利用すべきか明示でき、使用者が誤操作することを回避できる。
【0026】
また、請求項10に記載した発明は、請求項8の画像形成装置において、第2給紙部には可動設置台が設けられており、第1給紙部の用紙設置台が収納状態にあると可動設置台が使用者操作側に突出する構成となっていることを特徴とする。
【0027】
この構成によって、第2給紙部を使用する際に用紙セット位置の視認性を向上でき、またガイドとしても機能することからセット性を向上でき、さらに、第1給紙部の用紙設置台と連動して突出するので、使用者が第2給紙部の可動設置台を出す必要がなく操作に優れ、誤操作の可能性も低くできる。
【0028】
また、請求項11に記載した発明は、請求項1,2の画像形成装置において、第1給紙部は、ロール紙を給紙可能であることを特徴とする。
【0029】
この構成によって、コンパクトに第1給紙部を構成でき、排出紙の取り出し性を損なうことなく、また用紙カバーを設けることができ湿度,埃などの用紙品質を低下させることなく省スペース性を得ることができる。
【0030】
また、請求項12,13に記載した発明は、請求項1〜11の画像形成装置において、装置上面に、画像読取部を有すること、さらに装置上面に、操作部および表示部を有することを特徴とする。
【0031】
この構成によって、マルチファンクション機や、コピー機として構成しても省スペース性を得ることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、排出紙を取り扱う操作性に優れ、かつ省スペース性を兼備え、設置場所等の制約のない、さらに業務効率を改善することができる、前面からのみの操作が可能で、高い場所等に設置しても操作性が劣ることのない、安価な画像形成装置を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態における画像形成装置の全体構成を示す概要図
【図2】本実施形態における画像形成装置をなすプロセスカートリッジの構成例を示す概要図
【図3】本実施形態における別の画像形成装置の全体構成を示す概要図
【図4】本実施形態における画像形成装置との比較例の全体構成を示す概要図
【図5】本実施形態における第1給紙部の通紙状態と第2給紙部の関係を示す部分拡大図
【図6】本実施形態における第1給紙部の収納状態と第2給紙部の関係を示す部分拡大図
【図7】本実施形態における別の第1給紙部の収納状態と第2給紙部の関係を示す部分拡大図
【図8】本実施形態における別の第1給紙部と第2給紙部の関係を示す部分拡大図
【図9】本実施形態における画像形成装置の全体構成を示す斜視図
【図10】本実施形態における別の画像形成装置の全体構成を示す斜視図
【図11】本実施形態における別の露光装置を持つ画像形成装置の全体構成を示す概要図
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して本発明における実施の形態を詳細に説明する。
【0035】
図1は本発明の実施形態における画像形成装置の全体構成を示す概要図であり、図2は画像形成装置をなすプロセスカートリッジの構成例を示す概要図である。なお、この例は一般的な静電作像手法を用いた画像形成装置について示したものであり、本発明の効果を限定するものではない。
【0036】
図1に示す露光装置1より射出されたレーザ光がプロセスカートリッジ2内の感光体201を露光して潜像を描き、現像部202にて現像する。一方、画像形成装置の第1側面に設けられた第1給紙部10を構成する用紙設置台103にセットされた用紙106は、用紙送り部材101により分離給紙され先端位置補正部104に送られ、画像転写部3へと送られる。先ほど現像された画像が画像転写部3にて用紙106に転写され、画像定着部4へと送られる。
【0037】
画像定着部4において画像は用紙106に定着され、第1排紙部5あるいは第2排紙部7へと搬送される。画像定着部4の下流には搬送経路切替部17があり、第1排紙部5を構成する排紙カバー18の開閉に連動して用紙106の搬送経路を第1排紙部5側、または第2排紙部7側へと切り替える。もしくは図3に示す搬送経路切替部17aのように一般的な分岐爪構成とし、図示しないソレノイドあるいはモータなどの駆動部および制御部により切り替え動作を行うことも有効である(ただし、コストは高くなる)。
【0038】
前述の第2排紙部7は第1給紙部10と同一面に開口部を有しており、給紙部、排紙部が同一面(画像形成装置前面の第1側面)にあり、操作性がよい。また、図4に示すように第2排紙部7が一般的な装置上面に設けられた構成であると、画像形成装置を棚の上などに設置した場合に用紙106が取りにくいばかりか、第1給紙部10の用紙106と干渉するために問題が発生しやすい。
【0039】
本発明の構成では第2排紙部7が第1給紙部10の下方にあることで、画像形成装置を高い場所に設置しても排出紙71が取りやすい。また、画像形成装置を使用しない場合には排紙トレイ12、第1給紙部10の用紙設置台103を収納することで、省スペース性に優れている。
【0040】
ここで、図1において、第1給紙部10と第1排紙部5は、第1排紙部5が鉛直方向で上方となる位置で、両者をつなぐ第1用紙搬送路6aは略直線状となっている。画像定着部4から第2排紙部7に至る搬送経路(第2用紙搬送路6b)は湾曲しているが、これは用紙の詰まり、ダメージ、変形を回避するためになるべく大きくする必要がある。一般的にR30以上が好ましい。そのため、画像定着部4から第2排紙部7までは鉛直方向に少なくとも60mmの高さが必要となる。
【0041】
このように、第1排紙部5が第1給紙部10の上方に位置することで、画像定着部4から第2排紙部7までの距離(第2用紙搬送路6b)を確保することができ、画像形成装置の高さを大きくすることを回避することができている。
【0042】
略直線状である第1用紙搬送路6aの水平面となす角度θは10度から20度の範囲であると、画像形成装置の奥行き長さの約0.17〜0.34倍の高さが得られ効果的である。画像形成装置の奥行き長さを「L」とした場合、「L×sinθ」の高さを得られるので、奥行きを250mmとすると10度でも40mm程度の高さを得ることができる。一般的に画像定着部4の上方に不可避の機能部は配置しないため、前述のレイアウトにより第1排紙部5の位置が上がっても画像形成装置全体の大きさは変わらず、用紙106をターンさせるための高さを得ることができる。
【0043】
また、第2排紙部7は排出口8と用紙積載部9とからなっており、排出口8は画像形成装置の外郭より凹形状に奥まった位置にある。よって、第1給紙部10のある第1側面で同第1給紙部10の下方向に開口をなしている。これにより、排出紙71の長さ「l」分は画像形成装置の投影面積に含まれることになり、排出口8が外郭に存在する場合よりも占有面積が少なくなる。また、長さ「l」を第2排紙部7に搬送される用紙の最小長さよりも短く設定しておくことで、必ず排出紙71の先端が画像形成装置の外郭から突出する構成とすることができ、用紙取り出し性に優れる。
【0044】
次に、図5〜図8を参照しながら本実施形態における第1給紙部、および第2給紙部の構成について示す。
【0045】
まず、図5について説明する。第1給紙部10は用紙送り部材101と用紙分離部材102とで構成する用紙分離部と用紙設置台103とで構成される。この用紙分離部の下流には用紙106の先端位置補正部104があり、用紙設置台103に積載された用紙106は用紙分離部を経て、先端位置補正部104に送られ、送り方向補正および送りタイミング補正が実施される。同補正制御は用紙検知部105の検知出力に応じて図示しない制御部により演算処理、制御指令送信にて実施する。
【0046】
用紙設置台103と第1用紙搬送路6aのなす角度θは10度から80度の間で設定する。10度を下回ると設置された用紙の自重によるズレが発生する。なお、同角度は用紙分離部が適性に機能する範囲でなるべく大きく設定とすることが好ましい。それは排出紙71の取り出し性が向上するからである。また、図5に示す第1給紙部10の状態を通紙状態とする。
【0047】
図6は第1給紙部10の収納状態について示している。構成部材は図5と同じである。用紙設置台103は第1用紙搬送路6aとの角度θは、θ>θの位置に係止している。こうすることで、用紙設置台103が画像形成装置から突出し空間を占有することがない。また図示しない収納機構により、用紙設置台103も小さく収納する構成とすることで、その機能は高まる。ここで詳細は説明しないが、用紙設置台103の通紙,収納の2状態のどちらかを検知する検知部を設けておくことで、制御部で状態を認識し、必要であれば使用者に操作を促すなどの対応が可能となる。
【0048】
図5,図6では、第1給紙部10の通紙状態と、収納状態と、どちらかの状態への状態遷移中において、前述した用紙分離部(用紙送り部材101と用紙分離部材102からなる)は、その幾何学的位置関係が変わらない例についても示している。ここで用紙送り部材101は用紙設置台103の回転に連動して同方向に回転自在となっている。こうすることで、前述の2つの状態を切り替える際に用紙106を用紙設置台103に設置したままでよく、通紙状態に変更した後は直ちに印刷が可能な状態となる。
【0049】
また、図7は用紙分離部において用紙送り部材101から離間している用紙分離部材102aの構成例について示している。通紙状態およびその状態となる近傍以外では図7に示す離間位置に強制変位させるように、図示しないリンク機構を用いて構成している。このように、用紙分離部材102aのみを簡単な構成で離間させることで、前述の用紙送り部材101を用紙設置台103の回転に連動して同方向に回転自在のとする構成の必要がなくなり、さらなる小型化、低コスト化を実現できる。
【0050】
さらに、用紙設置台103の収納状態においては、用紙送り部材101と用紙分離部材102aが常に当接した状態を維持することなく、分離することで用紙送り部材101または用紙分離部材102aが変形することを回避できる。
【0051】
次に、第2給紙部について説明する。図1に示す全体図において、第1側面で第1給紙部10と第2排紙部7の開口の間にある開口が第2給紙部11である。図5,図6の部分拡大図に示すように、ここでは用紙分離部を用いない構成例について示している。第2給紙部11の開口は第1用紙搬送路6aにおける用紙検知部105の上流で合流する搬送経路となっており、使用者が用紙をセットする動作を用紙検知部105が検知し、若干先端位置補正部104を回転させることで用紙を保持する。
【0052】
第2給紙部11を有することで得られる機能は2つある。まず1つ目は前述の用紙設置台103を収納して省スペース性を得ている状態のまま、印刷も可能となる機能。2つ目は用紙の搬送経路が概ね直線となることから、第1排紙部5の利用とあわせることで非常に厚い用紙であるとか、表面に傷がつきやすい用紙などでも搬送することが可能になることである。
【0053】
第2給紙部11の開口から先端位置補正部104に至る搬送経路の途中には、挿入防止部材112が設けられており、第1給紙部10が通紙状態の場合には第2給紙部11からの搬送経路を塞ぐ位置にあり(図5参照)、収納状態の場合には第2給紙部11からの搬送経路に用紙106をセット可能とする位置にある(図6参照)。挿入防止部材112は用紙設置台103の移動に連動して移動するように構成とすることで、個別の制御が不要となる。この挿入防止部材112を設定することで、第1給紙部10と第2給紙部11の両方から給紙してしまう問題発生をなくすことができる。よって使用者が誤って操作を行うことがない優れた利便性を提供することができる。
【0054】
さらに第2給紙部11には可動設置台111が備わっている。この可動設置台111は使用者の用紙セット性を改善するとともに、どこに用紙をセットすればよいかを明示する効果がある。ここでは用紙設置台103と排紙トレイ12との移動に連動し、用紙設置台103が収納状態になり、かつ排紙トレイ12が引き出された画像形成を行う状態となると可動設置台111が使用者側に突出する構成を想定している。同構成は図示しないが、リンクにより可動する構成やモータ,ソレノイドなどの駆動部を用いて移動させてもよい。また同可動設置台111は透過性を有する材料で形成することが好ましい。それは、排紙トレイ12上の排出紙71が見やすくなるからである。
【0055】
図8にはロール紙106aに対応した機構である第1給紙部10aの例を示している。第1給紙部10aは、収納するロール紙106aと、ロール紙106aを搬送する用紙送り部材101a,101b、ロール紙106aを裁断する用紙裁断部107から構成されている。印刷指令に応じて用紙を供給し、用紙送り部材101aと用紙送り部材101bの間で弛みを形成し用紙裁断部107で必要な長さに裁断を行うことで連続的な印刷が可能となる。同構成とすることで、前述までの収納状態よりは突出する部分が存在することで占有空間は多少大きくなるが、用紙の補給、セットの回数が格段に少なくなり、さらに用紙カバーを設けても装置サイズが大きくならない。前述までの用紙分離部と用紙設置台103の構成よりもコスト高になるが、前述の挿入防止機構や、開閉検知機構などが不要になることから、トータルとしてのコスト増額分は抑えることができる。
【0056】
前述のように構成することで、画像形成装置の小型化と操作性を両立することができ、かつ画像形成装置の上面に排紙部等の機構を配置する必要がなく小型化できる(図9参照)。そこで、図10に示すように上面に読取部15、操作部14、表示部13などを配置し、原稿16を読み取りが可能なファックス、あるいはコピー機としての機能を追加すれば、非常に高さの低い小型なマルチファンクション機を提供することも可能となる。
【0057】
ここまでは単色印刷が可能な画像形成装置の例を示したが、図11のように画像形成部を多色印刷対応が可能な構成にすることで、同様の効果を得ることができる。
【0058】
また第1排紙部5については、図1,図11のように送り部材がなく画像定着部4の搬送力によって用紙を排出する構成でも、図3のように排紙部材(排紙ローラ対5a)を設ける構成でもよい。
【0059】
また、露光装置1について、レーザ光を走査する一般構成で示したが、図11に示すようにLEDなどの小型の露光装置1a、カラーのプロセスカートリッジ2aを用いることで、ここで挙げた例よりもさらに小型化を実現することも可能である。
【0060】
一般的な電子写真方式により説明を行ったが、画像形成部がインクジェット方式で、画像定着部に乾燥装置を配置することで、インクジェット方式でも同様の効果を得ることができると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明に係る画像形成装置は、排出紙を取り扱う操作性に優れ、かつ省スペース性を兼備え、設置場所等の制約のない、さらに業務効率を改善することができる、前面からのみの操作が可能で、高い場所等に設置しても操作性が劣ることのない、安価な画像形成装置を得ることができ、画像形成装置の省スペース化に優れ、装置構成する際に有用である。
【符号の説明】
【0062】
1,1a 露光装置
2,2a プロセスカートリッジ
3 画像転写部
3a 画像中間転写部
4 画像定着部
5 第1排紙部
5a 排紙ローラ対
6a 第1用紙搬送路
6b 第2用紙搬送路
7 第2排紙部
8 排出口
9 用紙積載部
10,10a 第1給紙部
11 第2給紙部
12 排紙トレイ
13 表示部
14 操作部
15 読取部
16 原稿
17,17a 搬送経路切替部
18 排紙カバー
71 排出紙
101,101a,101b 用紙送り部材
102,102a 用紙分離部材
103 用紙設置台
104 先端位置補正部
105 用紙検知部
106 用紙
106a ロール紙
107 用紙裁断部
111 可動設置台
112 挿入防止部材
201 感光体
202 現像部
203 搬送部材
204 帯電ローラ
205 クリーニング部
206 トナー
207 攪拌部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特開平5−301398号公報
【特許文献2】特開2005−145667号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の第1側面に開口を有する第1給紙部と、第2側面に開口を有する第1排紙部と、前記第1給紙部から前記第1排紙部へと通じる第1用紙搬送路と、前記第1用紙搬送路の鉛直方向に配置された画像形成部と、前記第1用紙搬送路において前記画像形成部の下流でかつ前記第1排紙部の上流に配置された画像定着部とを備えた画像形成装置において、
前記第1用紙搬送路の前記画像定着部の下流でかつ前記第1排紙部の上流となる位置から分岐した第2用紙搬送路と、前記第1給紙部を有する前記第1側面上で、前記第1給紙部の鉛直方向で下方に位置する開口を有する第2排紙部とを設け、前記第1用紙搬送路が略直線状で、前記第1給紙部よりも前記第1排紙部の位置が鉛直方向で上方に位置しており、前記第2用紙搬送路が前記第2排紙部へと通じていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
第1給紙部から第1排紙部へと通じる前記第1用紙搬送路が、水平面方向に対して10度〜20度傾斜する略直線状であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2排紙部は、排紙ローラ対を有する排出口と排出紙積載部とからなり、前記排出口は装置外郭から凹形状に奥まった位置にあることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
装置外郭から前記排出口までの距離が、第2排紙部から排出できる用紙の最小長さよりも短いことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1給紙部は、用紙分離部と用紙設置台とからなり、前記用紙設置台は前記第1用紙搬送路に対して10度〜80度の範囲で傾斜している通紙状態と、前記通紙状態よりも前記第1用紙搬送路との角度が大きくなる方向に移動し係止する収納状態とを有し、前記第1給紙部からの印刷時には前記通紙状態であることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記用紙分離部は、用紙送り部材と用紙分離部材とからなり、通紙状態と収納状態の両状態、および両状態への移行中においても、前記用紙送り部材と前記用紙分離部材との幾何学的位置関係が変化しないことを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記用紙分離部は、用紙送り部材と用紙分離部材とからなり、通紙状態および通紙状態となる近傍以外のすべての位置で、前記用紙送り部材と前記用紙分離部材が離間していることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1給紙部を有する第1側面で、鉛直方向で前記第1給紙部の下方、かつ第2排紙部の上方となる位置に開口を有する第2給紙部を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1給紙部の用紙設置台が通紙状態であると、第2給紙部の開口に用紙が挿入不可能な構成となることを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第2給紙部には可動設置台が設けられており、第1給紙部の用紙設置台が収納状態にあると、前記可動設置台が使用者操作側に突出する構成となっていることを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第1給紙部は、ロール紙を搬送可能であることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項12】
装置上面に、画像読取部を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
装置上面に、操作部および表示部を有することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−39423(P2011−39423A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−188965(P2009−188965)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】