説明

画像形成装置

【課題】厚紙等のシートに複数のトナー像を重ねた重ね画像を形成する場合に、シートに付着したキャリアに起因する局所的な画像欠陥の発生を抑制する。
【解決手段】厚手のシートにフルカラー画像を形成する場合、中間転写ベルトに最後(4番目)に一次転写される黒のトナー像の現像条件を、中間転写ベルトに1番目から3番目に一次転写されるイエロー、マゼンタおよびシアンの各色トナー像の現像条件よりも、感光体ドラム側にキャリアが転移しにくくなるように、例えば、現像スリーブに供給する交流現像バイアスのデューティ比を大きくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
公報記載の従来技術として、キャリアおよびトナーを含む2成分現像剤を用いて、感光体ドラムに形成された各色に対応する静電潜像をトナーで順次現像するとともに、感光体ドラム上に現像された各色成分トナー像を順次中間転写ベルト上に一次転写し、この中間転写ベルト上に重ね合わされた重ねトナー像を用紙に二次転写するものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−140459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、厚紙等のシートに複数のトナー像を重ねた重ね画像を形成する場合に、シートに付着したキャリアに起因する局所的な画像欠陥の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、静電潜像が形成された潜像形成体に対し、キャリアおよびトナーを含む現像剤を用いて現像を行い、当該潜像形成体に複数の色のトナー像を色毎に作成する作成手段と、前記潜像形成体に作成された前記複数の色のトナー像を、回転する中間転写体に色毎に順次一次転写する一次転写手段と、前記中間転写体に一次転写された前記複数の色のトナー像を、搬送される記録材に一括して二次転写する二次転写手段と、予め決められた基準厚さ以上の厚みを有する前記記録材を使用する場合に、前記中間転写体に最後に一次転写される色のトナー像を前記潜像形成体に現像する条件を、当該中間転写体に当該最後よりも前に一次転写される他の色のトナー像を現像する条件よりも、当該潜像形成体にキャリアが転移しにくくなるように設定する設定手段とを含む画像形成装置である。
【0006】
請求項2記載の発明は、前記現像剤を構成する前記キャリアおよび前記トナーは、互いに逆となる帯電極性を有し、前記作成手段は、前記キャリアを介して前記現像剤を保持しながら回転する回転体と、前記回転体と前記潜像形成体との間に、当該回転体から当該潜像形成体にトナーを転移させるための直流バイアスを供給する直流バイアス供給部と、前記回転体と前記潜像形成体の間とに交流バイアスを供給する交流バイアス供給部とを備え、前記設定手段は、前記基準厚さ以上の厚みを有する前記記録材を使用する場合に、前記中間転写体に最後に一次転写される色のトナー像を前記潜像形成体に現像する際に交流バイアス供給手段が供給する前記交流バイアスのデューティ比を、当該中間転写体に当該最後よりも前に一次転写される他の色のトナー像を現像する際の当該デューティ比よりも大きくすることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
請求項3記載の発明は、前記現像剤を構成する前記キャリアおよび前記トナーは、互いに逆となる帯電極性を有し、前記作成手段は、前記キャリアを介して前記現像剤を保持しながら回転する回転体と、前記回転体と前記潜像形成体との間に、当該回転体から当該潜像形成体にトナーを転移させるための直流バイアスを供給する直流バイアス供給部と、前記回転体と前記潜像形成体の間とに交流バイアスを供給する交流バイアス供給部とを備え、前記設定手段は、前記基準厚さ以上の厚みを有する前記記録材を使用する場合に、前記中間転写体に最後に一次転写される色のトナー像を前記潜像形成体に現像する際に交流バイアス供給手段が供給する前記交流バイアスのピーク・トゥ・ピーク値を、当該中間転写体に当該最後よりも前に一次転写される他の色のトナー像を現像する際の当該ピーク・トゥ・ピーク値よりも小さくすることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置である。
請求項4記載の発明は、前記現像剤を構成する前記キャリアおよび前記トナーは、互いに逆となる帯電極性を有し、前記作成手段は、前記キャリアを介して前記現像剤を保持しながら回転する回転体と、前記回転体と前記潜像形成体との間に、当該回転体から当該潜像形成体にトナーを転移させるための直流バイアスを供給する直流バイアス供給部と、前記回転体と前記潜像形成体の間とに交流バイアスを供給する交流バイアス供給部とを備え、前記設定手段は、前記基準厚さ以上の厚みを有する前記記録材を使用する場合に、前記中間転写体に最後に一次転写される色のトナー像を前記潜像形成体に現像する際の前記回転体の周速度を、当該中間転写体に当該最後よりも前に一次転写される他の色のトナー像を現像する際の当該周速度よりも大きくすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像形成装置である。
請求項5記載の発明は、前記現像剤を構成する前記キャリアおよび前記トナーは、互いに逆となる帯電極性を有し、前記作成手段は、前記キャリアを介して前記現像剤を保持しながら回転する回転体と、前記回転体と前記潜像形成体との間に、当該回転体から当該潜像形成体にトナーを転移させるための直流バイアスを供給する直流バイアス供給部と、前記回転体と前記潜像形成体の間とに交流バイアスを供給する交流バイアス供給部とを備え、前記設定手段は、前記基準厚さ未満の厚みを有する前記記録材を使用する場合に、前記中間転写体に最後に一次転写される色のトナー像を前記潜像形成体に現像する条件を、当該中間転写体に当該最後よりも前に一次転写される他の色のトナー像を現像する条件と同じに設定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像形成装置である。
【0007】
請求項6記載の発明は、回転する像保持体と、前記像保持体に静電潜像を形成する潜像形成部と、キャリアおよびトナーを含む現像剤をそれぞれが備え、前記像保持体に形成された前記静電潜像をトナーで現像する複数の現像部と、前記像保持体に対向して配置されるとともに回転する中間転写体と、前記像保持体に形成された前記静電潜像を複数の前記現像部によってそれぞれ現像して得られた複数のトナー像を、前記中間転写体上で重なるように当該中間転写体に順次一次転写する一次転写部と、前記中間転写体に一次転写されることで当該中間転写体上に重ねられた重ねトナー像を、搬送される記録材に一括して転写する二次転写部とを含み、予め決められた基準厚さ以上の厚みを有する前記記録材を使用する場合に、前記中間転写体に最後に一次転写される最後のトナー像を前記像保持体に現像する条件を、当該中間転写体に当該最後よりも前に一次転写される他のトナー像を現像する条件よりも、当該像保持体にトナーが転移しやすくなるようにすることを特徴とする画像形成装置である。
【0008】
請求項7記載の発明は、前記基準厚さ未満の厚みを有する前記記録材を使用する場合に、前記中間転写体に最後に一次転写される色のトナー像を前記像保持体に現像する条件を、当該中間転写体に当該最後よりも前に一次転写される他の色のトナー像を現像する条件と同じに設定することを特徴とする請求項6記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、厚紙等のシートに複数のトナー像を重ねた重ね画像を形成する場合に、シートに付着したキャリアに起因する局所的な画像欠陥の発生を抑制することができる。
請求項2記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、最後に一次転写される色のトナー像の現像において、潜像形成体に対するキャリアの付着を抑制することができる。
請求項3記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、最後に一次転写される色のトナー像の現像において、潜像形成体に対するキャリアの付着を抑制することができる。
請求項4記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、最後に一次転写される色のトナー像の現像において、潜像形成体に対するキャリアの付着を抑制することができる。
請求項5記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、薄紙等のシートに複数のトナー像を重ねた重ね画像を形成する場合に、最後に一次転写される色のトナー像と最後より前に一次転写されるトナー像との濃度のずれを抑制しやすくなる。
請求項6記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、厚紙等のシートに複数のトナー像を重ねた重ね画像を形成する場合に、シートに付着したキャリアに起因する局所的な画像欠陥の発生を抑制することができる。
請求項7記載の発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、薄紙等のシートに複数のトナー像を重ねた重ね画像を形成する場合に、最後に一次転写される色のトナー像と最後より前に一次転写されるトナー像との濃度のずれを抑制しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態が適用されたカラー画像形成装置の概略構成を示した図である。
【図2】イエロー現像器の構成の一例を示す断面図である。
【図3】回転式現像装置の回転と、回転に伴う停止位置とを説明するための図である。
【図4】現像位置の前後における、現像器とこの現像器に対する給電との関係を説明するための図である。
【図5】画像形成装置の制御系の構成の一例を示す図である。
【図6】画像形成装置を用いたフルカラーの画像形成動作におけるタイミングチャートの一例を示す図である。
【図7】直流現像バイアスおよび交流現像バイアスを説明するための図である。
【図8】普通紙モードにおける、各色トナー像の現像条件の設定の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【図9】厚紙モードにおける、各色トナー像の現像条件の設定の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【図10】厚紙モードにおける、各色トナー像の現像条件の設定の他の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【図11】厚紙モードにおける、各色トナー像の現像条件の設定のさらに他の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【図12】逆飛翔電位差と転移するキャリアの個数との関係を説明するための図である。
【図13】各種現像条件を変更した場合における、逆飛翔電位差と転移するキャリアの個数との関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用されたカラー画像形成装置の概略構成を示している。このカラー画像形成装置は、A方向に回転可能に配設される感光体ドラム11、B方向に回転可能に配設され、感光体ドラム11上に形成された各色トナー像を順次転写(一次転写)して保持させる中間転写ベルト20、中間転写ベルト20上に転写された重ねトナー像をシートSに一括転写(二次転写)させる二次転写部30、二次転写された画像をシートS上に定着させる定着装置50、カラー画像形成装置の各機構部を制御する制御部60を備えている。なお、感光体ドラム11の回転方向であるA方向および中間転写ベルト20の回転方向であるB方向は、両者が対向する領域において同じ側を向くようになっている。
【0012】
潜像形成体および像保持体の一例としての感光体ドラム11の周囲には、A方向に沿って、感光体ドラム11を帯電する帯電ロール12、帯電された感光体ドラム11を露光する露光装置13(図中露光ビームを符号Bmで示す)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色成分トナーが収容されて感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14Y、14M、14C、14Kを回転可能に取り付けた回転式現像装置14、感光体ドラム11上に形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト20に転写する一次転写ロール15、感光体ドラム11上の残留トナーを清掃するドラム清掃装置16が、順次配設されている。なお、本実施の形態では、帯電ロール12および露光装置13が潜像形成部の一例として機能している。
【0013】
ここで、帯電ロール12は、感光体ドラム11に接触して配置されるとともに感光体ドラム11の回転に伴って回転するように構成されている。また、一次転写手段および一次転写部の一例としての一次転写ロール15は、中間転写ベルト20を挟んで感光体ドラム11と対向する位置において、中間転写ベルト20に接触して配置されており、中間転写ベルト20の回転に伴って回転するように構成されている。さらに、ドラム清掃装置16は、例えば感光体ドラム11に接触するブレード部材を有している。
【0014】
そして、感光体ドラム11は、金属製の薄肉の円筒形ドラムの表面に有機感光層を形成したもので構成されており、この例では有機感光層が負極性に帯電する材料で構成されている。なお、感光体ドラム11は接地されている。
【0015】
また、作成手段の一例としての回転式現像装置14はC方向に回転するようになっており、合計で6個の現像器を搭載できるように構成されている。ただし、この例では、回転式現像装置14に対し、周方向に連続して4個の現像器14Y、14M、14C、14Kを搭載するようにし、残りの2箇所については空き場所としている。そして、複数の現像部の一例としての現像器14Y、14M、14C、14Kによる現像は反転現像方式にて行われる。従って、現像器14Y、14M、14C、14Kで使用されるトナーは負の帯電極性を有している。なお、以下の説明においては、回転式現像装置14を構成する各現像器を、それぞれ、イエロー現像器14Y、マゼンタ現像器14M、シアン現像器14C、および黒現像器14Kと称する。また、以下の説明では、黒現像器14Kに隣接する空き場所を第1の空き場所14S1と称し、第1の空き場所14S1に隣接する空き場所を第2の空き場所14S2と称する。
【0016】
次に、中間転写体の一例としての中間転写ベルト20は、複数(本実施の形態では6つ)のロール21〜26に掛け渡されるようになっている。これらのうち、ロール21、25は従動ロール、ロール22は中間転写ベルト20の位置決めや平坦な一次転写面の形成に用いられる金属製のアイドルロール、ロール23は中間転写ベルト20の張力を一定とするために用いられるテンションロール、ロール24は中間転写ベルト20の駆動ロール、ロール26は後述する二次転写用のバックアップロールである。
【0017】
二次転写手段の一例としての二次転写部30は、中間転写ベルト20のトナー像保持面側に配置される二次転写ロール31と、バックアップロール26等とによって構成される。また、二次転写部30の上流側には、搬送されてくる用紙(図示せず)を二次転写部30に案内する用紙搬送ガイド32が取り付けられている。
【0018】
一方、二次転写部30の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト20上に付着する残留トナーを清掃するベルト清掃装置27が設けられており、中間転写ベルト20を挟んでベルト清掃装置27に対向する位置には、中間転写ベルト20の内面に沿って板金部材28が配置されている。このベルト清掃装置27は、ステンレスプレート等で構成され中間転写ベルト20の像形成面側に配設されるスクレーパ41と、このスクレーパ41が収容されるクリーナハウジング42とを有している。また、スクレーパ41の一端側はブロック43に挟み込まれることで固定されており、このブロック43は軸44aを中心に回転するホルダ44に取り付けられている。さらに、ホルダ44の下端側に設けられた凹部44bとクリーナハウジング42下部に設けられた膨出部との間には、スクレーパ41を中間転写ベルト20に向けて付勢するバネ45が取り付けられ、スクレーパ41からみて中間転写ベルト20の移動方向上流側には、除去した異物の外部への飛び散りを抑制するためのフィルムシール46が取り付けられている。
【0019】
そして、本実施の形態では、記録材の一例としてのシートSに複数色のトナー像を含むカラー画像を形成する場合には、最終色前のトナー像が二次転写ロール31およびベルト清掃装置27を通過するまで、これら二次転写ロール31およびベルト清掃装置27が中間転写ベルト20から離れるようになっている。なお、二次転写ロール31は、中間転写ベルト20に接触した際に、中間転写ベルト20の回転に伴って回転するように構成されている。
【0020】
さらに、定着装置50は、ハロゲンランプ等の加熱源を内蔵する加熱ロール51と、この加熱ロール51に圧接配置される加圧ロール52とを備えており、これら加熱ロール51と加圧ロール52との間に形成される定着ニップ域にトナー像が転写されたシートSを通過させることで、定着を行うようになっている。
【0021】
次に、回転式現像装置14に搭載される現像器の構成を、イエロー現像器14Yを例として説明する。なお、マゼンタ現像器14M、シアン現像器14Cおよび黒現像器14Kは、内部に収容されるトナーの色を除いて、イエロー現像器14Yと同じ構成を有している。
【0022】
図2は、イエロー現像器14Yの構成の一例を示す断面図である。なお、図2は、イエロー現像器14Yが感光体ドラム11と対向する現像位置に配置されている場合を例示している。
イエロー現像器14Yは、感光体ドラム11の外周面に対向する開口が形成され且つ内部にはキャリアおよびトナーを含む現像剤(図示せず)が収容される現像ハウジング141と、この現像ハウジング141の開口に面した箇所に回転可能に配置される現像ロール142とを備えている。ここで、現像ロール142は、感光体ドラム11とは非接触に配置されており、現像ロール142の軸方向両端部には、感光体ドラム11の外周面に突き当たることにより、感光体ドラム11の外周面に対する現像ロール142の外周面の位置(距離)を決める位置決めロール(図示せず)が取り付けられている。
【0023】
また、現像ハウジング141内であって、感光体ドラム11からみて現像ロール142の背面下側には、感光体ドラム11の軸方向に沿って配置される第1攪拌搬送部材143および第2攪拌搬送部材144が設けられている。そして、第1攪拌搬送部材143と第2攪拌搬送部材144との間には、これら第1攪拌搬送部材143および第2攪拌搬送部材144を仕切る仕切り壁が設けられている。この仕切り壁は、現像ハウジング141と一体的に形成されている。なお、第1攪拌搬送部材143および第2攪拌搬送部材144の軸方向両端側には仕切り壁を設けておらず、第1攪拌搬送部材143および第2攪拌搬送部材144によって、現像ハウジング141内を現像剤が循環搬送されるようになっている。また、現像ロール142の図中上方には、現像ハウジング141に取り付けられ、現像ロール142に付着する現像剤の層厚さを規制する層厚規制部材145が設けられている。
【0024】
そして、イエロー現像器14Yでは、現像剤として、イエローに着色されたトナーと磁性を有するキャリアとを含む、所謂2成分現像剤を用いている。また、この現像剤において、キャリアは正の帯電極性を有しており、トナーは上述したように負の帯電極性を有している。なお、マゼンタ現像器14Mでは、マゼンタに着色されたトナーと磁性を有するキャリアとを含む現像剤を、シアン現像器14Cでは、シアンに着色されたトナーと磁性を有するキャリアとを含む現像剤を、黒現像器14Kでは黒に着色されたトナーと磁性を有するキャリアとを含む現像剤を、それぞれ用いている。
【0025】
また、現像ロール142は、回転可能に配設される中空状の現像スリーブ142aと、現像スリーブ142aの内側に配置されるとともに現像ハウジング141に固定して取り付けられ、内部には複数の磁極(図示せず)が配列される磁石ロール142bとを有している。回転体の一例としての現像スリーブ142aは、シートSに画像を形成する画像形成動作において、D方向に回転するようになっている。したがって、画像形成動作において、A方向に回転する感光体ドラム11およびD方向に回転する現像スリーブ142aは、両者が対向する領域(後述する現像領域Ad:図4参照)において同方向に移動する。
【0026】
図3は、図1に示す回転式現像装置14の回転と、回転に伴う停止位置とを説明するための図である。
本実施の形態の回転式現像装置14は、回転軸14aを中心とし、30°を単位としてC方向への回転および停止が行えるように構成されている。そして、この回転式現像装置14は、感光体ドラム11に対向する現像位置Pdに現像器が位置した状態(図3(b)、(d)、(f)、(h)参照)で停止し、また、感光体ドラム11との対向部に現像器が位置しない状態(図3(a)、(c)、(e)、(g))で停止するようになっている。
【0027】
図3(a)は、画像形成動作が開始される前の初期状態を示している。このとき、現像位置Pdには現像器が配置されておらず、現像位置PdからみてC方向上流側となる待機位置Pwにイエロー現像器14Yが配置され、現像位置PdからみてC方向下流側となる退避位置Peに第2の空き場所14S2が配置される。
【0028】
図3(b)は、図3(a)に示す状態から回転式現像装置14をC方向に30°回転させた状態を示している。このとき、現像位置Pdにはイエロー現像器14Yが配置され、待機位置PwからみてC方向上流側となる現像前位置Pbにマゼンタ現像器14Mが配置され、退避位置PeからみてC方向下流側となる現像後位置Paに第2の空き場所14S2が配置される。
【0029】
図3(c)は、図3(b)に示す状態から回転式現像装置14をC方向に30°回転させた状態を示しているこのとき、現像位置Pdには現像器が配置されておらず、待機位置Pwにマゼンタ現像器14Mが配置され、退避位置Peにイエロー現像器14Yが配置される。
【0030】
図3(d)は、図3(c)に示す状態から回転式現像装置14をC方向に30°回転させた状態を示している。このとき、現像位置Pdにはマゼンタ現像器14Mが配置され、現像前位置Pbにシアン現像器14Cが配置され、現像後位置Paにイエロー現像器14Yが配置される。
【0031】
図3(e)は、図3(d)に示す状態から回転式現像装置14をC方向に30°回転させた状態を示している。このとき、現像位置Pdには現像器が配置されておらず、待機位置Pwにシアン現像器14Cが配置され、退避位置Peにマゼンタ現像器14Mが配置される。
【0032】
図3(f)は、図3(e)に示す状態から回転式現像装置14をC方向に30°回転させた状態を示している。このとき、現像位置Pdにはシアン現像器14Cが配置され、現像前位置Pbに黒現像器14Kが配置され、現像後位置Paにマゼンタ現像器14Mが配置される。
【0033】
図3(g)は、図3(f)に示す状態から回転式現像装置14をC方向に30°回転させた状態を示している。このとき、現像位置Pdには現像器が配置されておらず、待機位置Pwに黒現像器14Kが配置され、退避位置Peにシアン現像器14Cが配置される。
【0034】
図3(h)は、図3(g)に示す状態から回転式現像装置14をC方向に30°回転させた状態を示している。このとき、現像位置Pdには黒現像器14Kが配置され、現像前位置Pbに第1の空き場所14S1が配置され、現像後位置Paにシアン現像器14Cが配置される。
なお、図3(h)に示す状態から回転式現像装置14をC方向に120°回転させると、図3(a)に示す初期状態に移行することになる。
【0035】
次に、回転式現像装置14に搭載された各現像器14Y、14M、14C、14Kに対する給電手法について説明を行う。本実施の形態では、現像位置Pdに配置される現像器に対し、現像スリーブ142aを回転させるための給電および、現像スリーブ142aに現像バイアスを印加するための給電が行われるようになっており、他の位置、例えば上述した現像前位置Pb、待機位置Pw、退避位置Pe、そして現像後位置Pa等に位置する現像器には、給電が行われないようになっている。ただし、本実施の形態では、現像器が待機位置Pwから現像位置Pdに移動する間に、この現像器に対する給電を開始し、この現像器が現像位置Pdから退避位置Peに移動する間に、この現像器に対する給電を終了するようになっている。
【0036】
図4は、現像位置の前後における、現像器(14Y、14M、14C、14Kのいずれか:以下同じ)とこの現像器に対する給電との関係を説明するための図である。ここで、図4は、各現像器14Y、14M、14C、14Kのうちのいずれかに設けられた現像ロール142が、C方向に沿って移動していく状態を示している。また、図4において、現像位置Pdに配置された現像スリーブ142aと感光体ドラム11の対向部において、現像スリーブ142aと感光体ドラム11との間でトナーの転移が生じ得る範囲を、現像領域Adと呼ぶ。
【0037】
本実施の形態では、回転式現像装置14のC方向への回転に伴い、現像器に設けられた現像ロール142が、現像前位置Pb、待機位置Pw、現像位置Pd、退避位置Pe、現像後位置Paの順に移動していく。そして、待機位置Pwで停止していた現像器が現像位置Pdに移動する途中で、この現像器に設けられた現像ロール142が給電開始位置Pf1を通過するのに伴い、画像形成装置の本体に設けられた電極(図示せず)とこの現像器に設けられた電極(図示せず)とが接触し、この現像器に対する給電が開始され、給電がなされた状態で現像位置Pdに到達する。また、現像位置Pdで停止していた現像器が退避位置Peに移動する途中で、この現像器に設けられた現像ロール142が給電終了位置Pf2を通過するのに伴い、画像形成装置の本体に設けられた電極(図示せず)とこの現像器に設けられた電極(図示せず)とが接触しなくなることにより、この現像器に対する給電が終了され、給電がなされない状態で退避位置Peに到達する。
【0038】
ここで、給電開始位置Pf1は、現像領域AdよりもC方向上流側(A方向下流側)であり、給電終了位置Pf2は、現像領域AdよりもC方向下流側(A方向上流側)である。したがって、給電開始位置Pf1から給電終了位置Pf2に至る給電領域Afは、現像領域Adを含むとともに現像領域Adよりも広い範囲に設定されている。
【0039】
図5は、本実施の形態の画像形成装置の制御系の構成の一例を示す図である。
設定手段の一例としての制御部60には、UI(ユーザ・インタフェース)71やPC(パーソナル・コンピュータ)72にて、ユーザから受け付けた指示が入力される。
制御部60は、感光体ドラム11を回転させるための駆動を行う感光体ドラム駆動モータ81、帯電ロール12に帯電バイアスを供給する帯電電源82、露光装置13に設けられた光源(図示せず)を駆動する光源駆動部83に、それぞれ制御信号を出力する。また、制御部60は、回転軸14aを中心として回転式現像装置14を回転させるための駆動を行う現像装置駆動モータ84、給電領域Af内に存在する現像器に設けられた現像スリーブ142aを回転させるための駆動を行う現像スリーブ駆動モータ85に、それぞれ制御信号を出力する。さらに、制御部60は、給電領域Af内に存在する現像器に設けられた現像スリーブ142aに対し、直流の現像バイアス(以下では直流現像バイアスVB(DC)という)を供給する直流現像電源86および交流の現像バイアス(以下では交流現像バイアスVB(AC)という)を供給する交流現像電源87に、それぞれ制御信号を供給する。さらにまた、制御部60は、駆動ロール24を介して中間転写ベルト20を回転させるための駆動を行う中間転写ベルト駆動モータ88、一次転写ロール15に一次転写バイアスを供給する一次転写電源89、ベルト清掃装置27を移動させて中間転写ベルト20に対しスクレーパ41を接触あるいは退避させるベルト清掃装置駆動モータ90に、それぞれ制御信号を出力する。そして、制御部60は、二次転写ロール31を移動させて中間転写ベルト20に対し二次転写ロール31を接触あるいは退避させる二次転写ロール駆動モータ91、二次転写ロール31とバックアップロール26との間に二次転写バイアスを供給する二次転写電源92に、それぞれ制御信号を出力する。また、ここでは図示はしていないが、制御部60は、定着装置50やシートSの供給系にも制御信号を出力している。なお、本実施の形態では、直流現像電源86が直流バイアス供給部の一例として、交流現像電源87が交流バイアス電源の一例として、それぞれ機能している。
【0040】
では次に、図1に示す画像形成装置が実行する画像形成動作について説明を行う。なお、ここでは、1枚のシートSに対し、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒を含む4色のフルカラー画像を形成する場合を例として説明を行う。
【0041】
図6は、図1に示す画像形成装置を用いたフルカラーの画像形成動作におけるタイミングチャートの一例を示している。ここで、図6は、時間の経過と、感光体ドラム駆動モータ81による感光体ドラム11の回転駆動[(1)感光体ドラム駆動]と、帯電電源82による帯電ロール12への帯電バイアスの供給[(2)帯電バイアス]と、光源駆動部83による露光装置13への露光信号の供給[(3)露光信号]と、現像装置駆動モータ84による回転式現像装置14の回転駆動[(4)現像装置駆動]と、現像位置Pdに配置される現像器[(5)現像位置の現像器]と、現像スリーブ駆動モータ85による現像スリーブ142aの回転駆動[(6)現像スリーブ駆動]と、直流現像電源86による現像スリーブ142aへの直流現像バイアスVB(DC)の供給[(7)直流現像バイアス]と、交流現像電源87による現像スリーブ142aへの交流現像バイアスVB(AC)の供給[(8)交流現像バイアス]と、中間転写ベルト駆動モータ88による中間転写ベルト20の回転駆動[(9)中間転写ベルト駆動]と、一次転写電源89による一次転写ロール15への一次転写バイアスの供給[(10)一次転写バイアス]と、感光体ドラム11と中間転写ベルト20とが対向する一次転写領域を通過する中間転写ベルト20上の画像領域(トナー像の形成領域)[(11)一次転写通過画像]と、ベルト清掃装置駆動モータ90の駆動に伴うベルト清掃装置27の位置[(12)ベルト清掃装置位置]と、二次転写ロール駆動モータ91の駆動に伴う二次転写ロール31の位置[(13)二次転写ロール位置]と、二次転写電源92による二次転写部30への二次転写バイアスの供給[(14)二次転写バイアス]と、中間転写ベルト20と二次転写ロール31とが対向する二次転写領域を通過する中間転写ベルト20上の画像領域(トナー像の形成領域)[(15)二次転写通過画像]との関係を示している。
【0042】
また、図6において、「Y」、「M」、「C」、「K」は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、黒に対応している。そして、(11)に示す『一次転写通過画像』および(15)に示す『二次転写通過画像』において、「Y」はイエローに、「YM」はイエローおよびマゼンタを重ね合わせたものに、「YMC」はイエロー、マゼンタおよびシアンを重ね合わせたものに、「YMCK」はイエロー、マゼンタ、シアンおよび黒を重ね合わせたものに、それぞれ対応している。なお、以下の説明においては、中間転写ベルト20が1周するのに要する期間を、ベルト回転周期Tbと呼ぶ。
【0043】
初期状態において、感光体ドラム駆動、帯電バイアス、露光信号、現像装置駆動、中間転写ベルト駆動、一次転写バイアス、二次転写バイアスは、それぞれOFF(停止)に設定されている。このとき、回転式現像装置14は図3(a)に示す状態に設定されており、現像位置Pdには現像器が配置されないようになっている。また、これに伴い、現像スリーブ駆動、直流現像バイアスVB(DC)および交流現像バイアスVB(AC)は、それぞれOFF(停止)となっている。さらに、初期状態において、ベルト清掃装置位置および二次転写ロール位置はそれぞれ退避となっており、二次転写ロール31およびベルト清掃装置27(スクレーパ41)は中間転写ベルト20から離れている。
【0044】
画像形成動作の開始に伴い、感光体ドラム11の駆動および中間転写ベルト20の駆動が開始(OFF→ON)され、感光体ドラム11はA方向に、中間転写ベルト20はB方向に、それぞれ回転する。続いて、帯電バイアスの供給が開始(OFF→ON)され、感光体ドラム11の感光層は、帯電ロール12によって帯電電位VH(後述する図7(a)参照)に帯電される。
【0045】
次に、回転式現像装置14がC方向に30°回転して停止する。これにより、回転式現像装置14は、図3(a)に示す状態から図3(b)に示す状態へと移行する。このとき、イエロー現像器14Yは、待機位置Pwから給電開始位置Pf1を介して現像位置Pdに到達して停止する。この間、イエロー現像器14Yに設けられた現像ロール142が給電開始位置Pf1を通過するのに伴い、イエロー現像器14Yに設けられた現像スリーブ142aの回転駆動とこの現像スリーブ142aに対する直流現像バイアスVB(DC)および交流現像バイアスVB(AC)の供給とが開始(OFF→ON)される。
【0046】
回転式現像装置14の回転動作が終了し、イエロー現像器14Yが現像位置Pdで停止した後、イエローに対応する露光信号の供給が開始(OFF→ON)される。これにより、帯電電位VHに帯電された状態でA方向に回転する感光体ドラム11は、露光装置13から出力される露光ビームBmによって、イエローのトナー像の形成対象となる部位が露光されることで、帯電電位VHから露光電位VL(後述する図7(a)参照)になる。その結果、帯電および露光が行われた感光体ドラム11には、帯電電位VHを背景部(露光されなかった部位)とし、露光電位VLを画像部(露光された部位)とする、イエローに対応する静電潜像が形成される。
【0047】
そして、感光体ドラム11に形成された静電潜像は、感光体ドラム11のA方向への回転に伴って現像領域Adを通過する。このとき、現像位置Pdに配置されたイエロー現像器14Yから感光体ドラム11に対し、露光電位VLとなっている画像部に選択的にイエローのトナーが転移する。その結果、現像領域Adを通過した感光体ドラム11には、イエローの静電潜像に応じたイエローのトナー像が現像される。なお、現像動作の詳細については後述する。
【0048】
次に、感光体ドラム11に形成されたイエローのトナー像の先端側が、中間転写ベルト20と対向する一次転写領域に到達するのに伴い、一次転写バイアスの供給が開始(OFF→ON)される。これにより、A方向に回転する感光体ドラム11に形成されたイエローのトナー像は、B方向に回転する中間転写ベルト20に一次転写され始める。
【0049】
また、この例では、イエローのトナー像の一次転写が開始された後、イエローに対応する露光信号の供給が停止(ON→OFF)され、イエローの静電潜像の形成が終了する。なお、イエローに対応する露光信号の供給期間は、形成対象となる画像の大きさ(より具体的には画像の副走査方向長さ)に基づいて決まる(後述するマゼンタ、シアンおよび黒の露光信号の供給期間も同じ長さとなる)。そして、感光体ドラム11に形成されたイエローの静電潜像を現像して得られたイエローのトナー像の後端側が一次転写領域を通過するのに伴い、一次転写バイアスの供給が停止(ON→OFF)される。これにより、イエローのトナー像の全域が、B方向に回転する中間転写ベルト20に一次転写される。なお、イエローの一次転写において、中間転写ベルト20に転写されずに感光体ドラム11側に残存するイエローのトナーは、感光体ドラム11のA方向への回転に伴ってドラム清掃装置16との対向部に到達し、ドラム清掃装置16によって除去される。
【0050】
そして、感光体ドラム11に現像されたイエローのトナー像が一次転写領域を通過した後、回転式現像装置14がC方向に30°回転して停止する。これにより、回転式現像装置14は、図3(b)に示す状態から図3(c)に示す状態へと移行する。このとき、イエロー現像器14Yは、現像位置Pdから給電終了位置Pf2を介して退避位置Peに到達して停止する。この間、イエロー現像器14Yに設けられた現像ロール142が給電終了位置Pf2を通過するのに伴い、イエロー現像器14Yに設けられた現像スリーブ142aの回転駆動とこの現像スリーブ142aに対する直流現像バイアスVB(DC)および交流現像バイアスVB(AC)の供給とが停止(ON→OFF)される。また、このとき、マゼンタ現像器14Mが待機位置Pwに到達して停止する。
【0051】
続いて、画像の形成対象となるシートSの搬送方向長さおよび中間転写ベルト20の周長(ベルト回転周期Tb)に基づいて予め決められたタイミングにて、回転式現像装置14がC方向に30°回転して停止する。これにより、回転式現像装置14は、図3(c)に示す状態から図3(d)に示す状態へと移行する。このとき、マゼンタ現像器14Mは、待機位置Pwから給電開始位置Pf1を介して現像位置Pdに到達して停止する。この間、マゼンタ現像器14Mに設けられた現像ロール142が給電開始位置Pf1を通過するのに伴い、マゼンタ現像器14Mに設けられた現像スリーブ142aの回転駆動およびこの現像スリーブ142aに対する直流現像バイアスVB(DC)および交流現像バイアスVB(AC)の供給が開始(OFF→ON)される。
【0052】
回転式現像装置14の回転動作が終了し、マゼンタ現像器14Mが現像位置Pdで停止した後、マゼンタに対応する露光信号の供給が開始(OFF→ON)される。これにより、帯電電位VHに帯電された状態でA方向に回転する感光体ドラム11は、露光装置13から出力される露光ビームBmによって、マゼンタのトナー像の形成対象となる部位が露光されることで、帯電電位VHから露光電位VLになる。その結果、帯電および露光が行われた感光体ドラム11には、帯電電位VHを背景部とし、露光電位VLを画像部とする、マゼンタに対応する静電潜像が形成される。
【0053】
そして、感光体ドラム11に形成された静電潜像は、感光体ドラム11のA方向への回転に伴って現像領域Adを通過する。このとき、現像位置Pdに配置されたマゼンタ現像器14Mから感光体ドラム11に対し、露光電位VLとなっている画像部に選択的にマゼンタのトナーが転移する。その結果、現像領域Adを通過した感光体ドラム11には、マゼンタの静電潜像に応じたマゼンタのトナー像が現像される。
【0054】
次に、感光体ドラム11に形成されたマゼンタのトナー像の先端側が、中間転写ベルト20と対向する一次転写領域に到達するのに伴い、一次転写バイアスの供給が開始(OFF→ON)される。これにより、A方向に回転する感光体ドラム11に形成されたマゼンタのトナー像は、B方向に回転する中間転写ベルト20に一次転写され始める。ここで、本実施の形態では、中間転写ベルト20に既に転写されたイエローのトナー像の先端側が一次転写領域に到達するときに、感光体ドラム11上に形成されたマゼンタのトナー像の先端側が一次転写領域に到達するように、マゼンタに対応する露光信号の供給を制御している。このため、一次転写領域を通過した中間転写ベルト20には、イエローのトナー像の上にマゼンタのトナー像が重ね合わされる。
【0055】
また、この例では、マゼンタのトナー像の一次転写が開始された後、マゼンタに対応する露光信号の供給が停止(ON→OFF)され、マゼンタの静電潜像の形成が終了する。そして、感光体ドラム11に形成されたマゼンタの静電潜像を現像して得られたマゼンタのトナー像の後端側が一次転写領域を通過するのに伴い、一次転写バイアスの供給が停止(ON→OFF)される。これにより、マゼンタのトナー像の全域が、B方向に回転する中間転写ベルト20に一次転写され、イエローおよびマゼンタの重ねトナー像が形成される。なお、マゼンタの一次転写において、中間転写ベルト20に転写されずに感光体ドラム11側に残存するマゼンタのトナーは、感光体ドラム11のA方向への回転に伴ってドラム清掃装置16との対向部に到達し、ドラム清掃装置16によって除去される。
【0056】
そして、感光体ドラム11に現像されたマゼンタのトナー像が一次転写領域を通過した後、回転式現像装置14がC方向に30°回転して停止する。これにより、回転式現像装置14は、図3(d)に示す状態から図3(e)に示す状態へと移行する。このとき、マゼンタ現像器14Mは、現像位置Pdから給電終了位置Pf2を介して退避位置Peに到達して停止する。この間、マゼンタ現像器14Mに設けられた現像ロール142が給電終了位置Pf2を通過するのに伴い、マゼンタ現像器14Mに設けられた現像スリーブ142aの回転駆動とこの現像スリーブ142aに対する直流現像バイアスVB(DC)および交流現像バイアスVB(AC)の供給とが停止(ON→OFF)される。また、このとき、シアン現像器14Cが待機位置Pwに到達して停止する。
【0057】
続いて、画像の形成対象となるシートSの搬送方向長さおよび中間転写ベルト20の周長(ベルト回転周期Tb)に基づいて予め決められたタイミングにて、回転式現像装置14がC方向に30°回転して停止する。これにより、回転式現像装置14は、図3(e)に示す状態から図3(f)に示す状態へと移行する。このとき、シアン現像器14Cは、待機位置Pwから給電開始位置Pf1を介して現像位置Pdに到達して停止する。この間、シアン現像器14Cに設けられた現像ロール142が給電開始位置Pf1を通過するのに伴い、シアン現像器14Cに設けられた現像スリーブ142aの回転駆動およびこの現像スリーブ142aに対する直流現像バイアスVB(DC)および交流現像バイアスVB(AC)の供給が開始(OFF→ON)される。
【0058】
回転式現像装置14の回転動作が終了し、シアン現像器14Cが現像位置Pdで停止した後、シアンに対応する露光信号の供給が開始(OFF→ON)される。これにより、帯電電位VHに帯電された状態でA方向に回転する感光体ドラム11は、露光装置13から出力される露光ビームBmによって、シアンのトナー像の形成対象となる部位が露光されることで、帯電電位VHから露光電位VLになる。その結果、帯電および露光が行われた感光体ドラム11には、帯電電位VHを背景部とし、露光電位VLを画像部とする、シアンに対応する静電潜像が形成される。
【0059】
そして、感光体ドラム11に形成された静電潜像は、感光体ドラム11のA方向への回転に伴って現像領域Adを通過する。このとき、現像位置Pdに配置されたシアン現像器14Cから感光体ドラム11に対し、露光電位VLとなっている画像部に選択的にシアンのトナーが転移する。その結果、現像領域Adを通過した感光体ドラム11には、シアンの静電潜像に応じたシアンのトナー像が現像される。
【0060】
次に、感光体ドラム11に形成されたシアンのトナー像の先端側が、中間転写ベルト20と対向する一次転写領域に到達するのに伴い、一次転写バイアスの供給が開始(OFF→ON)される。これにより、A方向に回転する感光体ドラム11に形成されたシアンのトナー像は、B方向に回転する中間転写ベルト20に一次転写され始める。ここで、本実施の形態では、中間転写ベルト20に既に転写されたイエローおよびマゼンタの重ねトナー像の先端側が一次転写領域に到達するときに、感光体ドラム11上に形成されたシアンのトナー像の先端側が一次転写領域に到達するように、シアンに対応する露光信号の供給を制御している。このため、一次転写領域を通過した中間転写ベルト20には、イエローおよびマゼンタの重ねトナー像の上にシアンのトナー像が重ね合わされる。
【0061】
また、この例では、シアンのトナー像の一次転写が開始された後、シアンに対応する露光信号の供給が停止(ON→OFF)され、シアンの静電潜像の形成が終了する。そして、感光体ドラム11に形成されたシアンの静電潜像を現像して得られたシアンのトナー像の後端側が一次転写領域を通過するのに伴い、一次転写バイアスの供給が停止(ON→OFF)される。これにより、シアンのトナー像の全域が、B方向に回転する中間転写ベルト20に一次転写され、イエロー、マゼンタおよびシアンの重ねトナー像が形成される。なお、シアンの一次転写において、中間転写ベルト20に転写されずに感光体ドラム11側に残存するシアンのトナーは、感光体ドラム11のA方向への回転に伴ってドラム清掃装置16との対向部に到達し、ドラム清掃装置16によって除去される。
【0062】
そして、感光体ドラム11に現像されたシアンのトナー像が一次転写領域を通過した後、回転式現像装置14がC方向に30°回転して停止する。これにより、回転式現像装置14は、図3(f)に示す状態から図3(g)に示す状態へと移行する。このとき、シアン現像器14Cは、現像位置Pdから給電終了位置Pf2を介して退避位置Peに到達して停止する。この間、シアン現像器14Cに設けられた現像ロール142が給電終了位置Pf2を通過するのに伴い、シアン現像器14Cに設けられた現像スリーブ142aの回転駆動とこの現像スリーブ142aに対する直流現像バイアスVB(DC)および交流現像バイアスVB(AC)の供給とが停止(ON→OFF)される。また、このとき、黒現像器14Kが待機位置Pwに到達して停止する。
【0063】
続いて、画像の形成対象となるシートSの搬送方向長さおよび中間転写ベルト20の周長(ベルト回転周期Tb)に基づいて予め決められたタイミングにて、回転式現像装置14がC方向に30°回転して停止する。これにより、回転式現像装置14は、図3(g)に示す状態から図3(h)に示す状態へと移行する。このとき、黒現像器14Kは、待機位置Pwから給電開始位置Pf1を介して現像位置Pdに到達して停止する。この間、黒現像器14Kに設けられた現像ロール142が給電開始位置Pf1を通過するのに伴い、黒現像器14Kに設けられた現像スリーブ142aの回転駆動およびこの現像スリーブ142aに対する直流現像バイアスVB(DC)および交流現像バイアスVB(AC)の供給が開始(OFF→ON)される。
【0064】
回転式現像装置14の回転動作が終了し、黒現像器14Kが現像位置Pdで停止した後、黒に対応する露光信号の供給が開始(OFF→ON)される。これにより、帯電電位VHに帯電された状態でA方向に回転する感光体ドラム11は、露光装置13から出力される露光ビームBmによって、黒のトナー像の形成対象となる部位が露光されることで、帯電電位VHから露光電位VLになる。その結果、帯電および露光が行われた感光体ドラム11には、帯電電位VHを背景部とし、露光電位VLを画像部とする、黒に対応する静電潜像が形成される。
【0065】
そして、感光体ドラム11に形成された静電潜像は、感光体ドラム11のA方向への回転に伴って現像領域Adを通過する。このとき、現像位置Pdに配置された黒現像器14Kから感光体ドラム11に対し、露光電位VLとなっている画像部に選択的に黒のトナーが転移する。その結果、現像領域Adを通過した感光体ドラム11には、黒の静電潜像に応じた黒のトナー像が現像される。
【0066】
次に、感光体ドラム11に形成された黒のトナー像の先端側が、中間転写ベルト20と対向する一次転写領域に到達するのに伴い、一次転写バイアスの供給が開始(OFF→ON)される。これにより、A方向に回転する感光体ドラム11に形成された黒のトナー像は、B方向に回転する中間転写ベルト20に一次転写され始める。ここで、本実施の形態では、中間転写ベルト20に既に転写されたイエロー、マゼンタおよびシアンの重ねトナー像の先端側が一次転写領域に到達するときに、感光体ドラム11上に形成された黒のトナー像の先端側が一次転写領域に到達するように、黒に対応する露光信号の供給を制御している。このため、一次転写領域を通過した中間転写ベルト20には、イエロー、マゼンタおよびシアンの重ねトナー像の上に黒のトナー像が重ね合わされる。
【0067】
また、この例では、黒のトナー像の一次転写が開始された後、黒に対応する露光信号の供給が停止(ON→OFF)され、黒の静電潜像の形成が終了する。そして、感光体ドラム11に形成された黒の静電潜像を現像して得られた黒のトナー像の後端側が一次転写領域を通過するのに伴い、一次転写バイアスの供給が停止(ON→OFF)される。これにより、黒のトナー像の全域が、B方向に回転する中間転写ベルト20に一次転写され、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の重ねトナー像が形成される。なお、黒の一次転写において、中間転写ベルト20に転写されずに感光体ドラム11側に残存する黒のトナーは、感光体ドラム11のA方向への回転に伴ってドラム清掃装置16との対向部に到達し、ドラム清掃装置16によって除去される。
【0068】
そして、感光体ドラム11に現像された黒のトナー像が一次転写領域を通過した後、回転式現像装置14がC方向に120°回転して停止する。これにより、回転式現像装置14は、図3(h)に示す状態から図3(a)に示す初期状態へと移行する。このとき、黒現像器14Kは、現像位置Pdから給電終了位置Pf2を介して退避位置Peの反対側に到達して停止する。この間、黒現像器14Kに設けられた現像ロール142が給電終了位置Pf2を通過するのに伴い、黒現像器14Kに設けられた現像スリーブ142aの回転駆動とこの現像スリーブ142aに対する直流現像バイアスVB(DC)および交流現像バイアスVB(AC)の供給とが停止(ON→OFF)される。また、このとき、イエロー現像器14Yが待機位置Pwに到達して停止する。
【0069】
なお、本実施の形態では、図3(h)に示す状態から図3(a)に示す状態への移行において、第1の空き場所14S1および第2の空き場所14S2を飛び越すようにしている。そして、その際に、限られた時間内で回転式現像装置14の回転動作を完了させるために、他の回転動作時よりも回転式現像装置14の移動速度を速くしている。
【0070】
一方、B方向に回転する中間転写ベルト20に保持されたイエロー、マゼンタおよびシアンの重ねトナー像の後端がベルト清掃装置27との対向部位を通過した後であって、その後一次転写領域を通過することによってさらに黒のトナー像が重ねられたイエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の重ねトナー像の先端が二次転写領域(中間転写ベルト20と二次転写ロール31との対向部)に到達する前に、二次転写ロール31およびベルト清掃装置27が、中間転写ベルト20と接する位置に移動(退避→進出)する。そして、中間転写ベルト20に保持されたイエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の重ねトナー像の先端側が二次転写領域に到達するのに伴い、二次転写バイアスの供給が開始(OFF→ON)される。ここで、本実施の形態では、中間転写ベルト20に保持されたイエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の重ねトナー像の先端側が二次転写領域に到達するときに、シートSの先端側が二次転写領域に到達するように、シートSの搬送制御を行っている。このため、二次転写領域において、中間転写ベルト20からシートSに対し、重ねトナー像の二次転写が行われる。
【0071】
そして、中間転写ベルト20に保持された重ねトナー像およびシートSが、二次転写領域を通過することに伴い、二次転写バイアスの供給が停止(ON→OFF)され、シートSに対する重ねトナー像の二次転写が完了する。なお、二次転写領域を通過したシートS上の重ねトナー像は、定着装置50によって定着される。一方、重ねトナー像の二次転写において、シートSに転写されず中間転写ベルト20側に残存する各色トナーは、中間転写ベルト20のB方向への回転に伴ってベルト清掃装置27との対向部に到達し、スクレーパ41によって除去される。
【0072】
それから、中間転写ベルト20における重ねトナー像の形成領域の後端がベルト清掃装置27との対向部を通過した後、二次転写ロール31およびベルト清掃装置27が、中間転写ベルト20から離れる位置に移動(進出→退避)する。
以上により、1枚のシートSに対するフルカラー画像の形成が完了する。
なお、この例では、1番目から3番目に形成されるイエロー、マゼンタおよびシアンの各色トナー像が、中間転写ベルト20に最後より前に一次転写される色のトナー像(他のトナー像)に対応しており、4番目に形成される黒のトナー像が、中間転写ベルト20に最後に一次転写される色のトナー像(最後のトナー像)に対応している。
【0073】
では、上述した画像形成動作における現像動作について、より詳細に説明を行う。
まず、図2および図4等を参照しつつ、現像位置Pdに配置された現像器(図2に示す例ではイエロー現像器14Y)の動作を説明する。
【0074】
現像位置Pdに配置されたイエロー現像器14Yでは、給電に伴って第1攪拌搬送部材143および第2攪拌搬送部材144が回転しており、現像ハウジング141内で現像剤の攪拌搬送が行われている。この攪拌搬送により、現像剤を構成するトナーおよびキャリアは互いに摩擦し合うことになり、トナーが負極性に、キャリアが正極性に、それぞれ帯電する。その結果、攪拌搬送される現像剤において、キャリアに対しトナーが静電吸着した状態となる。そして、攪拌搬送される現像剤が現像ロール142との対向部に搬送されると、磁石ロール142bに設けられた磁極と現像剤に含まれるキャリアとの間に働く磁力により、一部のキャリアが現像ロール142側に転移する。このとき、現像ロール142側に転移するキャリアにはトナーが静電吸着しているため、結果として現像剤が現像ロール142側に転移することになり、現像スリーブ142aの外周面に現像剤による現像剤層が形成される。
【0075】
また、現像位置Pdに配置されたイエロー現像器14Yでは、給電に伴って現像スリーブ142aがD方向に回転している。これにより、現像スリーブ142aに形成された現像剤層は、現像スリーブ142aのD方向への回転に伴って搬送され、層厚規制部材145との対向部を通過する際に、その厚さが予め決められた厚さに規制され、感光体ドラム11と対向する現像ハウジング141の開口に運ばれる。なお、層厚規制部材145によって規制された現像剤は、重力によって第1攪拌搬送部材143側に戻される。
【0076】
さらに、現像位置Pdに配置されたイエロー現像器14Yでは、給電に伴って現像スリーブ142aに対し直流現像バイアスVB(DC)および交流現像バイアスVB(AC)が供給されている。これにより、現像領域Adにおいて、現像スリーブ142a上の現像剤層から、感光体ドラム11上の画像部(露光電位VLとなっている領域)にトナーが静電的に転移し、静電潜像を現像して可視像化する。なお、この過程については後述する。また、この例では、現像スリーブ142aの周速度であるスリーブ周速度Vsが、感光体ドラム11の周速度であるドラム周速度Vdよりも高速に設定されている。
【0077】
その後、現像領域Adを通過した現像スリーブ142a上の現像剤層は、現像スリーブ142aのD方向への回転に伴って現像ハウジング141内に戻される。そして、現像ハウジング141内に戻された現像スリーブ142a上の現像剤層は、磁石ロール142bに設けられた磁極によって形成される反発磁界により、現像ロール142上から離脱して現像ハウジング141内に落下し、再び第1攪拌搬送部材143および第2攪拌搬送部材144によって攪拌搬送され、次の現像を待つこととなる。
【0078】
続いて、現像領域Adにおける現像の過程について、さらに詳細に説明を行う。
図7(a)は、感光体ドラム11における帯電電位VHおよび露光電位VLと、給電領域Afにおいて現像スリーブ142aに供給される直流現像バイアスVB(DC)との関係を説明するための図である。また、図7(b)は、給電領域Afにおいて現像スリーブ142aに供給される交流現像バイアスVB(AC)を説明するための図である。
【0079】
まず、図7(a)を参照しつつ、直流現像バイアスVB(DC)について説明する。
本実施の形態では、帯電電位VHおよび露光電位VLがともに負極性となっているが、露光電位VLの大きさは、絶対値で帯電電位VHよりも小さい値となっている(|VL|<|VH|)。そして、本実施の形態における直流現像バイアスVB(DC)は、負極性であってその絶対値の大きさが帯電電位VHと露光電位VLとの間の大きさに設定される(|VL|<|VB(DC)|<|VH|)。
【0080】
帯電電位VHと露光電位VLと直流現像バイアスVB(DC)とが上述した関係を有している場合、現像領域Adを通過する現像スリーブ142a上のトナーTo(負極性に帯電)は、感光体ドラム11上で相対的に正の電位となる露光電位VL(画像部)の領域には転移(飛翔)しやすくなる一方、感光体ドラム11上で相対的に負の電位となる帯電電位VH(背景部)の領域には転移(飛翔)しにくくなる。一方、帯電電位VHと露光電位VLと直流現像バイアスVB(DC)とが上述した関係を有している場合、現像領域Adを通過する現像スリーブ142a上のキャリアCa(正極性に帯電)は、トナーToとは逆に、感光体ドラム11上で相対的に正の電位となる露光電位VL(画像部)の領域には転移(飛翔)しにくくなる一方、感光体ドラム11上で相対的に負の電位となる帯電電位VH(背景部)の領域には転移(飛翔)しやすくなる。なお、以下の説明においては、トナーToの飛翔しやすさを基準として考え、露光電位VLを基準とする露光電位VLと直流現像バイアスVB(DC)との差を飛翔電位差Vdeveと呼び、直流現像バイアスVB(DC)を基準とする直流現像バイアスVB(DC)と帯電電位VHとの差を逆飛翔電位差Vclnと呼ぶ。ここで、本実施の形態では、逆飛翔電位差Vclnが100V〜160Vの範囲となるように、帯電電位VHに対する直流現像バイアスVB(DC)の大きさが決められるようになっている。
【0081】
続いて、図7(b)を参照しつつ、交流現像バイアスVB(AC)について説明する。
本実施の形態では、交流現像バイアスVB(AC)として、負の電位となる第1期間T1および正の電位となる第2期間T2の和を周期Tacとする、矩形波の信号を供給している。そして、交流現像バイアスVB(AC)におけるピーク・トゥ・ピーク値Vp−pは、第1期間T1における交流現像バイアスVB(AC)の大きさの絶対値である第1ピーク値Vp1と、第2期間T2における交流現像バイアスVB(AC)の大きさの絶対値である第2ピーク値Vp2との和で表される(Vp−p=|Vp1|+|Vp2|)。
【0082】
ここで、本実施の形態では、交流現像バイアスVB(AC)が負極性となる第1期間T1がトナーToの飛翔側(現像スリーブ142a側から感光体ドラム11側に転移する側)に対応し、交流現像バイアスVB(AC)が正極性となる第2期間T2がトナーToの逆飛翔側(感光体ドラム11側から現像スリーブ142aに転移する側)に対応している。そして、この交流現像バイアスVB(AC)におけるデューティ比DRは、ピーク・トゥ・ピーク値Vp−pに占める第1ピーク値Vp1(飛翔側)の割合(DR=|Vp1|/Vp−p)で定義される。
【0083】
また、本実施の形態では、設定されたピーク・トゥ・ピーク値Vp−pおよびデューティ比DRに応じて、第1ピーク値Vp1を時間(第1期間T1)で積分した第1面積S1と、第2ピーク値Vp2を時間(第2期間T2)で積分した第2面積S2とが等しくなるように、第1ピーク値Vp1、第2ピーク値Vp2、第1周期T1および第2周期T2の大きさを決めている。なお、図7(b)は、デューティ比DRが60%に設定された場合における、交流現像バイアスVB(AC)の波形を例示している。
【0084】
さて、本実施の形態では、上述したように、図6のタイミングチャートに示す手順に基づいて、シートSに対するフルカラー画像の形成が行われる。そして、本実施の形態では、画像を形成する対象となるシートSの厚みが、予め決められた基準厚さより薄い場合と、基準厚さ以上である場合とで、画像形成動作における現像の条件を変更している。ここで、画像形成の対象となるシートSとしては、一般的なコピー用紙(Plain Paper)、厚紙、コート紙、OHP(OverHead Projector)シート等が挙げられ、例えば一般的なコピー用紙は基準厚さより薄いもの(以下では薄手のシートSと称する)に分類され、厚紙、コート紙およびOHPシートは基準厚さ以上のもの(以下では厚手のシートSと称する)に分類される。そして、基準厚さは、画像形成装置の性能等に応じて変わる。なお、制御部60がシートSの厚みを認識するための手法については、例えば画像形成装置内で検知した結果を用いてもかまわないし、UI71やPC72を介して受け付けた指示を用いてもかまわない。
【0085】
また、以下の説明では、便宜上、薄手のシートSに対するフルカラー画像の形成を『普通紙モード』と呼び、厚手のシートSに対するフルカラー画像の形成を『厚紙モード』と呼ぶことにする。
【0086】
図8は、普通紙モードおける、各色トナー像の現像条件の設定を説明するためのタイミングチャートである。図9は、厚紙モードにおける、各色トナー像の現像条件の設定の一例を説明するためのタイミングチャートである。図10は、厚紙モードにおける、各色トナー像の現像条件の設定の他の一例を説明するためのタイミングチャートである。図11は、厚紙モードにおける、各色トナー像の現像条件の設定のさらに他の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【0087】
ここで、図8〜図11は、図6に示すタイミングチャートにおいて、各色トナー像の現像に関連するものを、より詳細に記載したものとなっている。そして、図8〜図11は、時間の経過と、現像領域Adを通過する感光体ドラム11上の静電潜像(あるいはトナー像)[(1)]と、現像装置駆動モータ84による回転式現像装置14の回転駆動[(2):図6の(4)と同じ]と、現像位置Pdに配置される現像器[(3):図6の(5)と同じ]と、現像スリーブ駆動モータ85によって回転駆動される現像スリーブ142aの周速度Vs[(4):図6の(6)に対応]と、直流現像電源86によって現像スリーブ142aに供給される直流現像バイアスVB(DC)の大きさ[(5):図6の(7)に対応]と、交流現像電源87によって現像スリーブ142aに供給される交流現像バイアスVB(AC)のデューティ比DR[(6a):図6の(8)に対応]と、交流現像電源87によって現像スリーブ142aに供給される交流現像バイアスVB(AC)のピーク・トゥ・ピーク値Vp−p[(6b):図6の(8)に対応]との関係を示している。
【0088】
最初に、図8を参照しつつ、普通紙モードにおける現像条件の設定について説明を行う。図8に示す例では、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の各色のトナー像の現像に際して、給電領域Af内に位置する現像スリーブ142aのスリーブ周速度Vsが、第1周速度Vs1に設定される。また、図8に示す例では、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の各色のトナー像の現像に際して、給電領域Af内に位置する現像スリーブ142aに供給される交流現像バイアスVB(AC)のデューティ比DRが第1デューティ比DR1に設定される。さらに、図8に示す例では、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の各色のトナー像の現像に際して、給電領域Af内に位置する現像スリーブ142aに供給される交流現像バイアスVB(AC)のピーク・トゥ・ピーク値Vp−pが、第1ピーク・トゥ・ピーク値Vp−p1に設定される。
【0089】
なお、この例では、スリーブ周速度Vs1がドラム周速度Vdの1.7培(Vs1=1.7×Vd)に、第1デューティ比DR1が60%に、第1ピーク・トゥ・ピーク値Vp−p1が0.7kVに、それぞれ設定される。
【0090】
次に、図9を参照しつつ、厚紙モードにおける現像条件の設定の一例について説明する。図9に示す例では、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の各色のトナー像の現像に際して、給電領域Af内に位置する現像スリーブ142aのスリーブ周速度Vsが、第1周速度Vs1に設定される。また、図9に示す例では、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の各色のトナー像の現像に際して、給電領域Af内に位置する現像スリーブ142aに供給される交流現像バイアスVB(AC)のピーク・トゥ・ピーク値Vp−pが、第1ピーク・トゥ・ピーク値Vp−p1に設定される。これに対し、図9に示す例では、イエロー、マゼンタおよびシアンの各色のトナー像の現像に際して、給電領域Af内に位置する現像スリーブ142aに供給される交流現像バイアスVB(AC)のデューティ比DRが第1デューティ比DR1に設定されるのに対し、最後となる黒のトナー像の現像に際して、給電領域Af内に位置する現像スリーブ142aに供給される交流現像バイアスVB(AC)のデューティ比DRは、第1デューティ比DR1よりも大きい第2デューティ比DR2に設定される。なお、この例では、第2デューティ比DR2が80%に設定される。したがって、図8に示す普通紙モードと図9に示す厚紙モードとでは、最後に行われる黒の現像において、交流現像バイアスVB(AC)のデューティ比DRの設定が大きく異なっている。
【0091】
続いて、図10を参照しつつ、厚紙モードにおける現像条件の設定の他の一例について説明する。図10に示す例では、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の各色のトナー像の現像に際して、給電領域Af内に位置する現像スリーブ142aのスリーブ周速度Vsが、第1周速度Vs1に設定される。また、図10に示す例では、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の各色のトナー像の現像に際して、給電領域Af内に位置する現像スリーブ142aに供給される交流現像バイアスVB(AC)のデューティ比DRが第1デューティ比DR1に設定される。これに対し、図10に示す例では、イエロー、マゼンタおよびシアンの各色のトナー像の現像に際して、給電領域Af内に位置する現像スリーブ142aに供給される交流現像バイアスVB(AC)のピーク・トゥ・ピーク値Vp−pが第1ピーク・トゥ・ピーク値Vp−p1に設定されるのに対し、最後となる黒のトナー像の現像に際して、給電領域Af内に位置する現像スリーブ142aに供給される交流現像バイアスVB(AC)のピーク・トゥ・ピーク値Vp−pは、第1ピーク・トゥ・ピーク値Vp−p1よりも小さい第2ピーク・トゥ・ピーク値Vp−p2に設定される。なお、この例では、第2ピーク・トゥ・ピーク値Vp−p2が500Vに設定される。したがって、図8に示す普通紙モードと図10に示す厚紙モードとでは、最後に行われる黒の現像において、交流現像バイアスVB(AC)のピーク・トゥ・ピーク値Vp−pが大きく異なっている。
【0092】
次いで、図11を参照しつつ、厚紙モードにおける現像条件の設定のさらに他の一例について説明する。図11に示す例では、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の各色のトナー像の現像に際して、給電領域Af内に位置する現像スリーブ142aに供給される交流現像バイアスVB(AC)のデューティ比DRが第1デューティ比DR1に設定される。さらに、図11に示す例では、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の各色のトナー像の現像に際して、給電領域Af内に位置する現像スリーブ142aに供給される交流現像バイアスVB(AC)のピーク・トゥ・ピーク値Vp−pが、第1ピーク・トゥ・ピーク値Vp−p1に設定される。これに対し、図11に示す例では、イエロー、マゼンタおよびシアンの各色のトナー像の現像に際して、給電領域Af内に位置する現像スリーブ142aのスリーブ周速度Vsが第1周速度Vs1に設定されるのに対し、最後となる黒のトナー像の現像に際して、給電領域Af内に位置する現像スリーブ142aのスリーブ周速度Vsは、第1周速度Vs1よりも大きい第2周速度Vs2に設定される。なお、この例では、第2周速度Vs2がドラム周速度Vdの2.0培(Vs1=2.0×Vd)に設定される。したがって、図8に示す普通紙モードと図11に示す厚紙モードとでは、最後に行われる黒の現像において、現像スリーブ142aの周速度Vsが大きく異なっている。
【0093】
なお、ここでは詳細説明を行わなかったが、図8に示す普通紙モードでは、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の各色のトナー像の現像に際して、予め決められた大きさの直流現像バイアスVB(DC)を供給し、図9〜図11に示す厚紙モードでは、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の各色のトナー像の現像に際して、予め決められた大きさの直流現像バイアスVB(DC)を供給している。
【0094】
次に、普通紙モードと厚紙モードとで、現像条件の変更を行う理由について説明を行う。
図12(a)は、感光体ドラム11および現像位置Pdに配置された現像器(より具体的には現像スリーブ142a)の間に設定される逆飛翔電位差Vcln(V)と、現像領域Adを通過した感光体ドラム11に付着するキャリアCaの、10cmあたりの個数(感光体付着キャリア数Cpと呼ぶ)との関係を示すグラフ図である。図12(a)から、逆飛翔電位差Vclnが140Vを超えると、逆飛翔電位差Vclnの増加に伴って感光体付着キャリア数Cpが増大していくことがわかる。
【0095】
これに対し、図12(b)は、上述した逆飛翔電位差Vcln(V)と、感光体ドラム11から中間転写ベルト20を介してシートSに付着するキャリアCaの、A3サイズ1枚あたりの個数(シート付着キャリア数Csと呼ぶ)との関係を示すグラフ図である。なお、図12(b)には、シートSとして普通紙(薄手のシートS)を用いた場合の結果と、シートSとして厚紙・コート紙(厚手のシートS)を用いた場合の結果とを記載している。図12(b)から、逆飛翔電位差Vclnが140Vを超えると、逆飛翔電位差Vclnの増加に伴ってシート付着キャリア数Csが増大していくことがわかる。ただし、シートSとして厚紙・コート紙を用いた場合は、シートSとして普通紙を用いた場合に比べて、その増大の割合が大きくなっている。
【0096】
本実施の形態では、フルカラー画像の形成において、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の順で中間転写ベルト20に一次転写することによって重ね合わせたトナー像を、シートSに一括して二次転写している。その結果、二次転写領域においては、シートSに最も近い側に、中間転写ベルト20に対し最後に一次転写される黒のトナー像が存在していることになる。したがって、黒のトナー像にキャリアCaが混入している場合は、他のイエロー、マゼンタおよびシアンのトナー像にキャリアCaが混入している場合と比較して、シートSに対するキャリアCaの突き当たりが生じやすいことになる。
【0097】
ここで、普通紙等からなる薄手のシートSに重ねトナー像の二次転写を行う場合、黒のトナー像に混入するキャリアCaは、こしの弱い薄手のシートSに突き当たった際に薄手のシートSを変形させやすいため、薄手のシートSに対するキャリアCaのめり込みが生じやすい。
【0098】
これに対し、厚紙・コート紙等からなる厚手のシートSに重ねトナー像の二次転写を行う場合、黒のトナー像に混入するキャリアCaは、こしの強い厚手のシートSに突き当たった際に厚手のシートSを変形させにくいため、厚手のシートSに対するキャリアCaのめり込みが生じにくい。このため、厚手のシートSと厚手のシートSに突き当たったキャリアCaとの間には、薄手のシートSと薄手のシートSに突き当たったキャリアCaとの間に比べ、より広い空間が形成されやすくなってしまう。そして、二次転写領域において、シートSとキャリアCaとの間に空間が存在していると、供給される二次転写バイアスによって放電が発生する場合があり、シートSのうちキャリアCaが付着する部位に、放電に起因する画像欠陥が生じてしまう懸念がある。
【0099】
図13(a)は、交流現像バイアスVB(AC)のデューティ比DRをパラメータとした場合における、逆飛翔電位差Vcln(V)と感光体付着キャリア数Cpとの関係を示すグラフ図である。図13(a)から、デューティ比DRを大きくするほど、感光体付着キャリア数Cpが低減されていることがわかる。これは、デューティ比DRが大きくなるほど、交流現像バイアスVB(AC)においてトナーToの飛翔側(キャリアCaの逆飛翔側)となる期間が増加することに起因するものである。
【0100】
そこで、図9に示す例では、厚紙モードにおける黒のトナー像の現像において、他のイエロー、マゼンタおよびシアンよりも交流現像バイアスVB(AC)のデューティ比DRを大きくしている。これにより、黒のトナー像の現像における感光体付着キャリア数Cpが、イエロー、マゼンタおよびシアンのそれぞれのトナー像の現像における感光体付着キャリア数Cpに比べて減少し、結果として、これらの重ねトナー像を厚手のシートSに二次転写する際の、放電に起因する画像欠陥の発生が抑制される。
【0101】
また、図13(b)は、交流現像バイアスVB(AC)のピーク・トゥ・ピーク値Vp−pをパラメータとした場合における、逆飛翔電位差Vcln(V)と感光体付着キャリア数Cpとの関係を示すグラフ図である。図13(b)から、ピーク・トゥ・ピーク値Vp−pを小さくするほど、感光体付着キャリア数Cpが低減されていることがわかる。これは、ピーク・トゥ・ピーク値Vp−pが小さくなるほど、交流現像バイアスVB(AC)においてトナーToの飛翔側(キャリアCaの逆飛翔側)となる期間における第1ピーク値Vp1が低下することに起因するものである。
【0102】
そこで、図10に示す例では、厚紙モードにおける黒のトナー像の現像において、他のイエロー、マゼンタおよびシアンよりも交流現像バイアスVB(AC)のピーク・トゥ・ピーク値Vp−pを小さくしている。これにより、黒のトナー像の現像における感光体付着キャリア数Cpが、イエロー、マゼンタおよびシアンのそれぞれのトナー像の現像における感光体付着キャリア数Cpに比べて減少し、結果として、これらの重ねトナー像を厚手のシートSに二次転写する際の、放電に起因する画像欠陥の発生が抑制される。
【0103】
さらに、図13(c)は、現像スリーブ142aのスリーブ周速度Vs(より具体的にはスリーブ周速度Vsとドラム周速度Vdとの比)をパラメータとした場合における、逆飛翔電位差Vcln(V)と感光体付着キャリア数Cpとの関係を示すグラフ図である。図13(c)から、ドラム周速度Vdに対するスリーブ周速度Vsの周速比を大きくするほど、感光体付着キャリア数Cpが低減されていることがわかる。これは、ドラム周速度Vdに対するスリーブ周速度Vsの周速比が大きくなるほど、現像スリーブ142aが現像領域Adを通過するのに要する時間が低下することに起因するものである。
【0104】
そこで、図11に示す例では、厚紙モードにおける黒のトナー像の現像において、他のイエロー、マゼンタおよびシアンよりも現像スリーブ142aのスリーブ周速度Vsを大きくしている。これにより、黒のトナー像の現像における感光体付着キャリア数Cpが、イエロー、マゼンタおよびシアンのそれぞれのトナー像の現像における感光体付着キャリア数Cpに比べて減少し、結果として、これらの重ねトナー像を厚手のシートSに二次転写する際の、放電に起因する画像欠陥の発生が抑制される。
【0105】
ここで、厚紙モードでは、図9〜図11に示した手法をそれぞれ独立して適用してもよいし、2以上の手法を組み合わせて適用してもかまわない。特に、図9に示すデューティ比DRを変更する手法と、図11に示すスリーブ周速度Vsを変更する手法とを組み合わせるとよい。
【0106】
なお、本実施の形態では、厚紙モードにおいて、黒のトナー像の現像条件のみを、感光体ドラム11側にキャリアCaが飛翔しにくくなるように変更していたが、これに限られるものではない。黒のトナー像の現像条件に加えて、黒のトナー像の前に形成されるシアンの現像条件も、感光体ドラム11側にキャリアCaが飛翔しにくい側に変更するようにしてもよい。そして、これに加えて、シアンのトナー像の前に形成されるマゼンタの現像条件についても、感光体ドラム11側にキャリアCaが飛翔しにくい側に変更するようにしてもよい。
【0107】
また、交流現像バイアスVB(AC)における第1デューティ比DR1および第1ピーク・トゥ・ピーク値Vp−p1と、現像スリーブ142aの第1周速度Vs1とについては、普通紙モードと厚紙モードとで、それぞれの設定値を異ならせるようにしてもかまわない。そして、直流現像バイアスVB(DC)についても、普通紙モードと厚紙モードとで、それぞれの設定値を異ならせるようにしてもかまわない。
【0108】
さらに、普通紙モードおよび厚紙モードにおける帯電電位VHについては、同じ大きさとしてもよいし異なる大きさとしてもよい。さらにまた、普通紙モードおよび厚紙モードにおける露光電位VLについても、同じ大きさとしてもよいし異なる大きさとしてもよい。
【0109】
そして、本実施の形態では、単数の感光体ドラム11と中間転写ベルト20とを備え、中間転写ベルト20が1回転する毎に各色のトナー像を順次一次転写し、中間転写ベルト20上に一次転写された重ねトナー像を、シートSに一括して二次転写する方式を採用した画像形成装置を例に説明を行った。しかしながら、これに限られるものではなく、例えば、各色に対応する複数の感光体ドラムと、複数の感光体ドラムとの対向部を循環搬送される中間転写ベルトとを備え、中間転写ベルトが1回転する間に、中間転写ベルトに各色のトナー像を順次一次転写し、中間転写ベルト上に一次転写された重ねトナー像を、シートSに一括して二次転写する方式を採用した画像形成装置にも適用してよい。
【符号の説明】
【0110】
11…感光体ドラム、12…帯電ロール、13…露光装置、14…回転式現像装置、14Y…イエロー現像器、14M…マゼンタ現像器、14C…シアン現像器、14K…黒現像器、15…一次転写ロール、16…ドラム清掃装置、20…中間転写ベルト、30…二次転写部、31…二次転写ロール、50…定着装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成された潜像形成体に対し、キャリアおよびトナーを含む現像剤を用いて現像を行い、当該潜像形成体に複数の色のトナー像を色毎に作成する作成手段と、
前記潜像形成体に作成された前記複数の色のトナー像を、回転する中間転写体に色毎に順次一次転写する一次転写手段と、
前記中間転写体に一次転写された前記複数の色のトナー像を、搬送される記録材に一括して二次転写する二次転写手段と、
予め決められた基準厚さ以上の厚みを有する前記記録材を使用する場合に、前記中間転写体に最後に一次転写される色のトナー像を前記潜像形成体に現像する条件を、当該中間転写体に当該最後よりも前に一次転写される他の色のトナー像を現像する条件よりも、当該潜像形成体にキャリアが転移しにくくなるように設定する設定手段と
を含む画像形成装置。
【請求項2】
前記現像剤を構成する前記キャリアおよび前記トナーは、互いに逆となる帯電極性を有し、
前記作成手段は、
前記キャリアを介して前記現像剤を保持しながら回転する回転体と、
前記回転体と前記潜像形成体との間に、当該回転体から当該潜像形成体にトナーを転移させるための直流バイアスを供給する直流バイアス供給部と、
前記回転体と前記潜像形成体の間とに交流バイアスを供給する交流バイアス供給部と
を備え、
前記設定手段は、前記基準厚さ以上の厚みを有する前記記録材を使用する場合に、前記中間転写体に最後に一次転写される色のトナー像を前記潜像形成体に現像する際に交流バイアス供給手段が供給する前記交流バイアスのデューティ比を、当該中間転写体に当該最後よりも前に一次転写される他の色のトナー像を現像する際の当該デューティ比よりも大きくすることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像剤を構成する前記キャリアおよび前記トナーは、互いに逆となる帯電極性を有し、
前記作成手段は、
前記キャリアを介して前記現像剤を保持しながら回転する回転体と、
前記回転体と前記潜像形成体との間に、当該回転体から当該潜像形成体にトナーを転移させるための直流バイアスを供給する直流バイアス供給部と、
前記回転体と前記潜像形成体の間とに交流バイアスを供給する交流バイアス供給部と
を備え、
前記設定手段は、前記基準厚さ以上の厚みを有する前記記録材を使用する場合に、前記中間転写体に最後に一次転写される色のトナー像を前記潜像形成体に現像する際に交流バイアス供給手段が供給する前記交流バイアスのピーク・トゥ・ピーク値を、当該中間転写体に当該最後よりも前に一次転写される他の色のトナー像を現像する際の当該ピーク・トゥ・ピーク値よりも小さくすることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記現像剤を構成する前記キャリアおよび前記トナーは、互いに逆となる帯電極性を有し、
前記作成手段は、
前記キャリアを介して前記現像剤を保持しながら回転する回転体と、
前記回転体と前記潜像形成体との間に、当該回転体から当該潜像形成体にトナーを転移させるための直流バイアスを供給する直流バイアス供給部と、
前記回転体と前記潜像形成体の間とに交流バイアスを供給する交流バイアス供給部と
を備え、
前記設定手段は、前記基準厚さ以上の厚みを有する前記記録材を使用する場合に、前記中間転写体に最後に一次転写される色のトナー像を前記潜像形成体に現像する際の前記回転体の周速度を、当該中間転写体に当該最後よりも前に一次転写される他の色のトナー像を現像する際の当該周速度よりも大きくすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記現像剤を構成する前記キャリアおよび前記トナーは、互いに逆となる帯電極性を有し、
前記作成手段は、
前記キャリアを介して前記現像剤を保持しながら回転する回転体と、
前記回転体と前記潜像形成体との間に、当該回転体から当該潜像形成体にトナーを転移させるための直流バイアスを供給する直流バイアス供給部と、
前記回転体と前記潜像形成体の間とに交流バイアスを供給する交流バイアス供給部と
を備え、
前記設定手段は、前記基準厚さ未満の厚みを有する前記記録材を使用する場合に、前記中間転写体に最後に一次転写される色のトナー像を前記潜像形成体に現像する条件を、当該中間転写体に当該最後よりも前に一次転写される他の色のトナー像を現像する条件と同じに設定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項6】
回転する像保持体と、
前記像保持体に静電潜像を形成する潜像形成部と、
キャリアおよびトナーを含む現像剤をそれぞれが備え、前記像保持体に形成された前記静電潜像をトナーで現像する複数の現像部と、
前記像保持体に対向して配置されるとともに回転する中間転写体と、
前記像保持体に形成された前記静電潜像を複数の前記現像部によってそれぞれ現像して得られた複数のトナー像を、前記中間転写体上で重なるように当該中間転写体に順次一次転写する一次転写部と、
前記中間転写体に一次転写されることで当該中間転写体上に重ねられた重ねトナー像を、搬送される記録材に一括して転写する二次転写部と
を含み、
予め決められた基準厚さ以上の厚みを有する前記記録材を使用する場合に、前記中間転写体に最後に一次転写される最後のトナー像を前記像保持体に現像する条件を、当該中間転写体に当該最後よりも前に一次転写される他のトナー像を現像する条件よりも、当該像保持体にトナーが転移しやすくなるようにすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記基準厚さ未満の厚みを有する前記記録材を使用する場合に、前記中間転写体に最後に一次転写される色のトナー像を前記像保持体に現像する条件を、当該中間転写体に当該最後よりも前に一次転写される他の色のトナー像を現像する条件と同じに設定することを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−103464(P2012−103464A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251671(P2010−251671)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】