説明

画像形成装置

【課題】使用前や使用後の清掃等の手数が不要でありユーザ交換が容易な特殊トナー消耗品を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】特殊トナーによる現像の際は先ず黒トナーの現像装置9kに連結するトナー補給路59のシャッタ61を閉じる。次に現像装置9kとトナー補給路59との連結を切り離す。続いて現像装置9kを矢印cで示すように配設位置から取り除く。現像装置9kを取り除いた配設位置に特殊トナーを収容した予備現像装置9rを矢印dで示すように取り付けて配置する。そして予備現像装置9rにより特殊トナーによる現像を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に係わり、更に詳しくは使用前や使用後の清掃等の手数が不要でありユーザ交換が容易な特殊トナー消耗品を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置がある。この画像形成装置は、一般に感光体ドラムを一様に帯電させて初期化し、この感光体ドラムに光書込みによって静電潜像を形成し、この静電潜像をトナー像化して、そのトナー像を直接または間接に用紙等の転写材に転写して定着器で定着させる。
【0003】
このような電子写真方式の画像形成装置には、トナーのみから成る一成分現像剤を用いるものと、トナーとキャリアから成る二成分現像剤を用いるものとがある。近年、要望が強い印字(以下、印刷ともいう)処理の高速化に対処するには二成分現像剤を用いる方式の方がよく対応できる。
【0004】
上記の二成分現像剤のキャリアは、現像器内でトナーと混合撹拌されてトナーに所定の電荷を与える。電荷を与えられたトナーはキャリアの表面に一時的に付着してキャリアの表面を被覆する。
【0005】
磁性体の現像ローラに付着したキャリアは、電荷を帯びたトナーを感光体上に運び、感光体上の静電潜像にトナーを転移させて静電潜像上にトナー像を現像させる。
【0006】
表面のトナーを放出したキャリアは、現像ローラ上に残り、再び現像器内に戻って現像器に補給される新たなトナーと再び混合撹拌され、トナーに電荷を与え、そのトナーを感光体上に運ぶ、というように繰り返し使用される。
【0007】
現像器へのトナーの補給は、トナーのみ補給する方式と、トリクル現像と称されるトナーとキャリアの混合粉体からなる現像剤を補給する方式とがある。以下、説明の簡便化のためトナーのみ補給する場合を取り上げて説明をする。
【0008】
このような現像器へのトナーの補給については、画像形成装置本体の稼動を停止させずにトナーカートリッジの交換が可能なように、画像形成装置本体に対して着脱可能なトナーカートリッジからリザーブタンクにトナーを供給し、そのリザーブタンクからトナー現像容器にトナーを搬送する装置が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【0009】
また、タンデム式のカラー画像形成装置の現像ユニットにおいて、トナーカーリッジの他に容量可変のリザーブタンクを備え、トナーカートリッジのトナーを完全に使い切った上で、トナーカートリッジの交換を行うことができ、印刷中においてもトナーカートリッジの交換を行うことが可能な画像形成装置が提案されている、(例えば、特許文献2参照。)
【0010】
ところで、このような通常に用いられる画像形成装置を用いて、蛍光トナーやリライタブルトナー(印字した書類が不要になったら印字を消すことができるトナー)による印字がしたいという要望がある。
【0011】
ところが、トナーの種類を変えて印字しようとすると、現像器ともども、トナーの補給経路の全て、すなわち、トナーカートリッジ、リザーブタンク、トナー供給路等の全てを交換または清掃する必要がある。
【0012】
しかし、リザーブタンクやトナー供給路は、通常、画像形成装置本体フレームに固定して配設されている装置である。そのうえ、トナーカートリッジや現像器の着脱を容易にするために、通常、トナー供給路は、リザーブタンクやこれも装置本体フレームに固定配置されている転写ユニットの背後に回り込むように配置されている。そのうえ、内部にはトナーが入っている。
【0013】
したがって、現像器ともども、トナーの補給経路の全てを交換又は清掃しようとすることは、その前に、ほとんど画像形成装置本体を分解するに等しい作業を行う必要が生じてくることになる。この作業は保守専門の技術者においてのみできる作業であって、とてもユーザが簡単に行うことができる作業ではないという解決すべき課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2003−029518号公報
【特許文献2】特開2008−276034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであって、使用前や使用後の清掃等の手数が不要でありユーザ交換が容易な特殊トナー消耗品を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、第1の発明の画像形成装置は、現像装置と該現像装置に現像剤を補給する現像剤容器とが現像剤補給路を介して離れて配設されている画像形成装置であって、上記現像剤容器から上記現像装置に連結される上記現像剤補給路の終端に配設されたシャッタと、上記現像装置が現像を行うための通常トナーとは異なる特殊トナーによる現像を行う予備現像装置と、を備え、上記特殊トナーによる現像の際は、上記現像装置に連結する上記現像剤補給路の上記シャッタを閉成し、上記現像装置と上記現像剤補給路との連結を切り離し、上記現像装置を配設位置から取り除き、上記現像装置を取り除いた上記配設位置に上記予備現像装置を配置し、該予備現像装置により上記特殊トナーによる現像を実行するように構成される。
【0017】
上記現像装置は、例えば、モノクロ印字を行うためのモノクロ印字用の現像装置である。この場合、上記現像装置は、例えば、モノクロ印字とフルカラー印字を行うための複数の現像装置の中のモノクロ印字用の現像装置であってもよい。
【0018】
また、上記課題を解決するために、第2の発明の画像形成装置は、タンデム方式で並設された複数の現像装置と上記複数の現像装置にそれぞれ現像剤を補給する複数の現像剤容器とが複数の現像剤補給路を介して離れて配設されている画像形成装置であって、上記複数の現像剤容器から上記複数の現像装置に連結される上記複数の現像剤補給路の終端にそれぞれ配設されたシャッタと、上記複数の現像装置が現像を行うための通常トナーとは異なる特殊トナーによる現像を行う予備現像装置と、該予備現像装置に上記特殊トナーを補給するための予備補給装置と、を備え、上記特殊トナーによる現像の際は、上記複数の現像装置の中の隣接する2個の現像装置に連結する2つの上記現像剤補給路の上記シャッタを閉成し、上記2個の現像装置と上記2つの現像剤補給路との連結を切り離し、上記2個の現像装置を夫々の配設位置である第1又は第2の配設位置から取り除き、上記2個の現像装置を取り除いた上記第1の配設位置に上記予備現像装置を配置し、上記2個の現像装置を取り除いた上記第2の配設位置に上記予備補給装置を配置し、上記予備現像装置と上記予備補給装置を連結し、該予備補給装置により上記特殊トナーを上記予備現像装置に補給しながら該予備現像装置により上記特殊トナーによる現像を実行するように構成される。
【0019】
上記第1又は第2の発明の画像形成装置において、上記特殊トナーは、例えば、蛍光トナー又はリライタブルトナーである。また、上記現像剤は、例えば、一成分トナー又は二成分現像剤である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、使用前や使用後の清掃等の手数が不要でありユーザ交換が容易な特殊トナー消耗品を備えた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例1に係るフルカラーの画像形成装置(プリンタ)の内部構成を説明する断面図である。
【図2】(a)は実施例1に係るプリンタの画像形成部の現像装置及びトナー供給部のリザーブタンクとトナーカートリッジを分かりやすくそれぞれ1個のみ取り上げて転写ベルトと共に模式的に示す図、(b)はそれらを側面から見た断面図である。
【図3】実施例1に係るプリンタの画像形成部の現像装置及びトナー供給部のリザーブタンクとトナーカートリッジを転写ベルトと共に拡大して示す図である。
【図4】実施例1に係るプリンタにより特殊トナーを用いて印字を行う場合の使用態様を示す図である。
【図5】実施例2に係るプリンタにより特殊トナーを用いて印字を行う場合の他の使用態様を示す図(その1)である。
【図6】実施例2に係るプリンタにより特殊トナーを用いて印字を行う場合の他の使用態様を示す図(その2)である。
【図7】(a),(b)は実施例2に係るプリンタにより特殊トナーを用いて印字を行う場合の予備現像装置と予備補給装置とが連結した状態においてそれぞれの内部構成が異なる場合の例を2例示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の実施例では、トナーとキャリアから成る二成分現像剤が使用されるが、以下の説明では二成分現像剤を単に現像剤又はトナーという。
【実施例1】
【0023】
図1は、本発明の実施例1に係るフルカラーの画像形成装置(以下、単にプリンタという)の内部構成を説明する断面図である。
【0024】
図1に示すプリンタ1は、電子写真式で二次転写方式のタンデム型のカラー画像形成装置であり、画像形成部2、転写ベルトユニット3、トナー供給部4、給紙部5、ベルト式定着ユニット6、及び両面印刷用搬送ユニット7で構成されている。
【0025】
上記画像形成部2は、転写ベルトユニット3の転写ベルト8の下部走行部表面8aに接して同図の右から左へ4個の現像装置9(9k、9c、9m、9y)を多段式に並設した構成からなる。この画像形成部2は、図1に示す印刷実行時位置から、それより下方の保守位置に、昇降可能にプリンタ1本体のフレームに保持されている。
【0026】
上記4個の現像装置9のうち上流側(図の左側)の3個の現像装置9c、9m及び9yは、それぞれ減法混色の三原色であるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色トナーによるモノカラー画像を形成し、現像装置9kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。
【0027】
上記の各現像装置9は、画像を現像するトナーの色を除き全て同じ構成である。したがって、以下イエロー(Y)のトナー用の現像装置9yを例にしてその構成を説明する。
【0028】
現像装置9は、最上部に感光体ドラム10を備えている。この感光体ドラム10は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成されている。この感光体ドラム10の周面近傍を取り巻いて、クリーナ11、帯電ローラ12、光書込ヘッド13、及び現像器14の現像ローラ15が配置されている。
【0029】
現像器14は、外部を覆う筐体16、内部に設けられた隔壁17、現像ローラ15、第1の攪拌搬送スクリュー18、及び第2の攪拌搬送スクリュー19を備えている。第1及び第2の攪拌搬送スクリュー18及び19は、後述するように、スクリュー軸と、このスクリュー軸と一体に構成されて回転するフィンから成る。
【0030】
この現像器14には、トナー供給部4の詳しくは後述するリザーブタンク27(27k、27c、27m、27y)から、同図にはK、C、M、Yで示すようにブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のいずれかのトナーが供給される。
【0031】
転写ベルトユニット3は、本体装置のほぼ中央で図の左右方向に扁平なループ状になって延在する無端状の上述した転写ベルト8と、この転写ベルト8を掛け渡されて転写ベルト8を図の矢印aで示す反時計回り方向に循環移動させる駆動ローラ21と従動ローラ22を備えている。
【0032】
上記の転写ベルト8には、一次転写ローラ20がユニットと一体に組み込まれている。一次転写ローラ20は転写ベルト8を介して感光体ドラム10に圧接し、下方を循環移動するベルト表面にトナー像を直接転写(一次転写)する。転写ベルト8は、そのトナー像を更に用紙に転写(二次転写)すべく用紙への二次転写部23まで搬送する。
【0033】
この転写ベルトユニット3には、ベルトクリーナ24が配置されている。ベルトクリーナ24は、転写ベルト8の駆動ローラ21に掛け渡されている表面に当接するクリーニングブレード25を備えている。また、ベルトクリーナ24の下方には廃トナー回収容器26が着脱自在に配置されている。
【0034】
ベルトクリーナ24は、クリーニングブレード25により転写ベルト8の表面に残留する廃トナーを擦り取って除去し、その廃トナーを搬送スクリューにより下方の廃トナー回収容器26に送り込んでいる。
【0035】
トナー供給部4は、転写ベルト8の上部走行部の上方に配置されている4個のリザーブタンク27(27k、27c、27m、27y)と、これらのリザーブタンク27の上にそれぞれ着脱自在に配置されたトナー補充用のトナーカートリッジ28(28k、28c、28m、28y)で構成される。
【0036】
4個のトナーカートリッジ28k、28c、28m、28yは、それぞれブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のトナーを収容し、4個のリザーブタンク27(27k、27c、27m、27y)は、それぞれ上に装着されているトナーカートリッジ28からトナーを補充される。
【0037】
これら4個のリザーブタンク27は、図1では転写ベルトユニット3の向う側に隠れて見えないが、それぞれトナー供給路により対応する現像装置9の現像器14と連結されている。
【0038】
このトナー供給部4は、特には図示しないが、図1に示す印刷実行時位置から、それより上方の保守位置に、昇降可能にプリンタ1本体のフレームに保持されている。
【0039】
このトナー供給部4の左方には、ベルトクリーナ24の左方から駆動ローラ21の上方にかけて2つの電装部30が配設されている。電装部30には、複数の電子部品からなる制御装置が搭載された回路基盤を備えている。
【0040】
給紙部5は、上下2段に配置された2個の給紙カセット29(29a、29b)を備えている。2個の給紙カセット29の給紙口(図の右方)近傍には、それぞれ用紙取出ローラ31、給送ローラ32、捌きローラ33、待機搬送ローラ対34が配置されている。
【0041】
待機搬送ローラ対34の用紙搬送方向(図の鉛直上方向)には、転写ベルト8を介して従動ローラ22に圧接する二次転写ローラ35が配設されて、前述した用紙への二次転写部23を形成している。
【0042】
この二次転写部の下流(図では上方)側にはベルト式熱定着ユニット6が配置されている。ベルト式熱定着ユニット6の更に下流側には、定着後の用紙をベルト式熱定着ユニット6から搬出する搬出ローラ対36、及びその搬出される用紙を装置上面に形成されている排紙トレー37に排紙する排紙ローラ対38が配設されている。
【0043】
両面印刷用搬送ユニット7は、外面(図の右方外側面)がプリンタ1の内部を側面から外部に開放又は遮蔽する開閉部材を兼ねている。
【0044】
この両面印刷用搬送ユニット7は、排紙ローラ対38の直前から図の右横方向に分岐する開始返送路39a、それから下方に曲がる中間返送路39b、更に上記とは反対の左横方向に曲がって最終的に返送用紙を反転させる終端返送路39cから成る返送路39を備えている。
【0045】
また、返送路39の途中には、5組の返送ローラ対41(41a、41b、41c、41d、41e)が配置されている。上記終端返送路39cの出口は、給紙部5の下方の給紙カセット29bに対応する待機搬送ローラ対34への搬送路に合流している。
【0046】
図2(a)は、上記のプリンタ1の画像形成部2の現像装置9及びトナー供給部4のリザーブタンク27とトナーカートリッジ28を、分かりやすくそれぞれ1個のみ取り上げ、転写ベルト8と共に模式的に示す図であり、図2(b)は、それらを側面から見た断面図である。
【0047】
尚、図2(a),(b)には、図1に示した構成と同一の構成又は機能部分には図1と同一の番号を付与して示している。また、図2(b)には図2(a)の転写ベルト8に代えて転写ベルトユニット3を破線のブロックで示している。
【0048】
図2(a),(b)に示すトナーカートリッジ28は、図1に示す画像形成装置1本体に対し前面方向に、すなわち図2(a)の両方向矢印bで示すように、リザーブタンク27に対して着脱自在である。
【0049】
図2(b)に示すように、トナーカートリッジ28には新旧を示す被検知部42が配置されており、プリンタ1本体側には、被検知部42によりトナーカートリッジ28の新旧を検知する検知部43が配設されている。このようなトナーカートリッジ28の新旧を検知する被検知部42と検知部43から成る検知装置44は、ごく一般的な安価な方法で構成することができる。
【0050】
このトナーカートリッジ28は、内部に、回転軸45と螺旋状の攪拌フィン46から成るトナー補給機構47を備えている。トナー補給機構47の回転軸45には外部からカートリッジモータ48が係合している。
【0051】
また、トナーカートリッジ28には、カートリッジモータ48に係合する側の反対側端部に、リザーブタンク27に装着されたとき、リザーブタンク27に連結されて、リザーブタンク27にトナー49を補充するためのトナー補充口51が形成されている。
【0052】
上記のトナー補給機構47は、トナーカートリッジ28の右端部から左端部までトナーカートリッジ28の長手方向に沿って延在し、トナー補充口51の直上でフィン形状の変化点52を形成し、内部のトナー49をトナー補充口51に送り出すようになっている。
【0053】
そして、トナーカートリッジ28の内部には、トナー補充口51上のフィン形状の変化点52に近接する位置に、トナー量空検知センサ53が配設されている。トナー量空検知センサ53の出力信号線は、トナーカートリッジ28がリザーブタンク27に装着されたとき、自動的に不図示の制御装置のセンサ部に接続される。
【0054】
一方のリザーブタンク27の内部には、これもトナーカートリッジ28と同様な、回転軸54と螺旋状の攪拌フィン55から成るトナー補給機構56が配設されている。トナー補給機構56の回転軸54には外部からリザーブタンクモータ57が係合している。
【0055】
上記のトナー補給機構56は、リザーブタンク27の左端部から右端部までリザーブタンク27の長手方向に沿って延在し、左端部においてトナーカートリッジ28からトナー補充口51を介して補充されるトナー49を右端部まで搬送する。
【0056】
その右端部にはトナー補給機構56のフィン形状の変化点58が形成されている。このフィン形状の変化点58の直下に、リザーブタンク27と現像器14を連結する現像剤補給路としてのトナー補給路59の上端部が開口している。
【0057】
このトナー補給路59は、転写ベルトユニット3の後方に回り込んで配置されている。そして現像器14に連結するトナー補給路59の下端部にはシャッタ61が配設されている。
【0058】
このシャッタ61は、不図示の制御装置のシャッタ開閉駆動部により、リザーブタンク27のトナー補給機構56のトナー補給動作に同期してシャッタを開き、トナー補給機構56のトナー補給動作停止に同期してシャッタを閉じるよう制御される。
【0059】
トナー補給機構56によるトナー補給動作において、フィン形状の変化点58まで攪拌フィン55により攪拌搬送されたトナー49は、トナー補給路59の上から下まではトナー49の自重で落下する。
【0060】
これにより、トナー補給機構56のトナー補給動作に同期してシャッタを開いているシャッタ61を通過して、トナー49がリザーブタンク27から現像器14に補給される。
【0061】
現像器14は、内部に上述したトナー搬送機構47や56と同様の構成のフィンスクリュウ62を備えている。なお、図2(b)には、図1に示した第1の攪拌搬送スクリュー18及び第2の攪拌搬送スクリュー19を簡単に1個のフィンスクリュウ62として示している。
【0062】
フィンスクリュウ62の回転軸には、現像器モータ63が連結されている。現像器14は、現像器モータ63により駆動されるフィンスクリュウ62によりトナー49を攪拌搬送しながら現像ローラ15にトナーを供給する。
【0063】
この現像器14にも、新旧を示す被検知部64が配置されており、プリンタ1本体側には、被検知部64により現像器14の新旧を検知する検知部65が配設されている。このような現像器14の新旧を検知する被検知部64と検知部65から成る検知装置66も、ごく一般的な安価な方法で構成することができる。また、現像器14には、適宜な箇所にトナー濃度センサ67が配置されている。
【0064】
図3は、図1に示したプリンタ1の画像形成部2の現像装置9及びトナー供給部4のリザーブタンク27とトナーカートリッジ28を転写ベルト8と共に拡大して示す図である。なお、図3には画像形成装置本体フレーム68も示している。この図3は、後述する特殊トナー消耗品(予備現像装置)の使用態様を分かり易く説明するために、ここに示したものである。
【0065】
なお、図3に、図2(a),(b)に示したトナー補給路59を破線で仮想的に示しているのは、これらのトナー補給路59が転写ベルトユニット3よりも図の紙面奥行き方向向こう側に配置されていて、実際にはこの図では見えないことを示すためである。
【0066】
また、図3で、トナー補給路59の終端部を矢印形で示しているのは、図2(b)に示したシャッタ61がいつでも現像装置9へのトナー49の補給が可能であるように待機状態にあることを示すためである。
【0067】
図4は、本例のプリンタ1により、特殊トナーを用いて印字を行う場合の使用態様を示す図である。なお、図4には説明に必要な部分にのみ番号を付与して示している。他の部分は図3と同様である。
【0068】
図4に示すように、本例のプリンタ1は、特殊トナーとしてリライタブルトナーを収容したトナー消耗品(予備現像装置)9rを予備部品として予め外部に備えている。
【0069】
本例のプリンタ1において、特殊トナーによる現像の際は、先ず、現像装置9kに連結するトナー補給路59のシャッタ61を閉成する。次に、現像装置9kとトナー補給路59との連結を切り離す。
【0070】
続いて、現像装置9kを図4の矢印cで示すように配設位置から取り除き、その現像装置9kを取り除いた配設位置に、予備現像装置9rを矢印dで示すように取り付けて配置する。そして、予備現像装置9rにより特殊トナーによる現像を実行する。
【0071】
上記のように予備現像装置9rと交換する元の現像装置をモノクロ印字用の現像装置9kとしているのは、現像装置9kのみが単独で駆動可能なように構成されているからである。なお、他の3個の現像装置9c、9m及び9yは、特殊トナーによる現像中は駆動が停止される。
【実施例2】
【0072】
図5及び図6は、本例のプリンタ1により、特殊トナーを用いて印字を行う場合の他の使用態様を示す図である。なお、図5及び図6には説明に必要な部分にのみ番号を付与して示している。他の部分は図3と同様である。
【0073】
本例のプリンタ1において、特殊トナーによる現像の際は、先ず、図5に示す複数(本例では4個)の現像装置9の中の隣接する2個の現像装置9k及び9cに連結する2つのトナー補給路59及び59のシャッタ61及び61を閉成する。
【0074】
次に、2個の現像装置9k及び9cと2つの現像剤補給路59及び59との連結を切り離す。続いて、現像装置9k及び9cを図5の矢印f及びeで示すように配設位置から取り除く。
【0075】
図6に示すように、本例のプリンタ1は、特殊トナーとしてリライタブルトナーを収容したトナー消耗品(予備現像装置)9rの他に、更にこの予備現像装置9rに特殊トナーとしてのリライタブルトナーを補給するための予備補給装置69を予備部品として予め外部に備えている。
【0076】
そして、現像装置9kを取り除いた配設位置に予備現像装置9rを図6に示すように取り付けて配置する。更に現像装置9cを取り除いた配設位置に予備補給装置69を取り付けて配置する。
【0077】
そして、予備現像装置9rと予備補給装置69を連結し、予備補給装置69により特殊トナーを予備現像装置9rに補給しながら予備現像装置9rによる特殊トナーによる現像を実行する。
【0078】
本例の場合も、予備現像装置9rと交換する元の現像装置をモノクロ印字用の現像装置9kとしているのは、現像装置9kのみが単独で駆動可能なように構成されているからである。
【0079】
また、現像装置9kに隣接する現像装置9cは、特殊トナーによる現像中は他の2個の現像装置9m及び9yと共に駆動を停止される現像装置であるので取り除いても支障は無い。
【0080】
上記のように特殊トナーによる現像を実行中は、トナーカートリッジ28(28k、28c、28m、28y)及びリザーブタンク27(27k、27c、27m、27y)の図2(b)に示したカートリッジモータ48及びリザーブタンクモータ57の駆動は停止している。
【0081】
現像装置9mと9yの図2(b)に示した現像器モータ63も駆動を停止しており、現像装置9kと9cに対応する現像器モータ63はそれぞれ現像装置との係合から外れた状態で駆動を停止している。
【0082】
図7(a),(b)は、上記予備現像装置9rと予備補給装置69とが連結した状態においてそれぞれの内部構成が異なる場合の例を2例示す図である。
【0083】
図7(a)に示す例では、予備補給装置69−1は、内部中央に、予備補給装置69−1の内部容量に合わせたやや大型のアジテータ71が回転して内部の特殊トナーを攪拌している。また補給口72では、補給口72の開口に合わせたやや小型のアジテータ73が回転して、予備現像装置9r−1の受給口74に特殊トナーを補給している。
【0084】
なお、この形態では、アジテータ71と73は、装置本体の図の紙面奥行き方向の長さにほぼ対応する長さの回転軸と、この回転軸に固設され板羽根により構成されている。
【0085】
また、補給口72と受給口74は、それぞれの装置本体の図の紙面奥行き方向の長さにほぼ対応する長さの開口部からなっている。また、補給口72と受給口74には、それぞれ単体であるときに内部の特殊トナーが外部に漏れないようにシャッタが備えられているが図示は省略されている。
【0086】
図7(a)に示す他方の予備現像装置9r−1には、図1及び図3に示した構成と同一構成部分には、図1及び図3と同一の番号を付与して示している。図7(a)に示す予備現像装置9r−1は、受給口74から補給される特殊トナーを上下に並設された2個のアジテータ75を回転させて攪拌しながら、現像ローラ15に供給する。
【0087】
次に、図7(b)に示す例では、予備補給装置69−2は、内部中央と、補給口76のある内壁に沿って二本のスクリュー機構77を備えている。二本のスクリュー機構77はそれぞれ回転軸と、この回転軸に固設された螺旋状のスクリューフィンから成る。
【0088】
二本のスクリュー機構77は、予備補給装置69−2の図の紙面奥行き方向手前の端部から向う側の端部まで長手方向に沿って延在している。このうち、補給口76のある内壁に沿って配設されたスクリュー機構77は、図では断面図のため見えない端部の補給口76の横でフィン形状の変化点を形成し、内部の特殊トナーを補給口76から予備現像装置9r−2に補給する。
【0089】
図7(b)に示す他方の予備現像装置9r−2は、交換した現像装置9kにおいて図5に示すトナー補給路59と連結すべきトナー受給口の配置が、図7(b)の受給口78の位置に移動して予備補給装置69−2と連結するように変更されているだけで、その他の部分は、図1ないし図3に示した現像装置9の構成と同一である。
【0090】
このように、上述した実施例によれば、予備現像装置9r、9r−1、9r−2、予備補給装置69−1、予備補給装置69−2のような特殊トナー消耗品を備え、交換部分の元の現像装置9、及びこの現像装置回りの部材であるトナーカートリッジ28、リザーブタンク27、トナー補給路59等の特殊トナー使用前や使用後の清掃等の手数が不要であり、元現像装置と特殊トナー現像装置とのユーザ交換が容易な画像形成装置が実現する。
【0091】
これにより、通常のカラープリンタをリライタブルプリンタとして機能させることも容易となる。また、本例の図1に示したプリンタ1のような形態のプリンタに限ることなく、例えば、一成分トナーを用い、トナーセットとドラムセットとの間にトナー搬送路を有するような現像装置において、通常トナーと特殊トナーの切替使用にも有効である。
【0092】
なお、上記の実施例では、特殊トナーとしてリライタブルトナーを取り上げて説明したが、特殊トナーはリライタブルトナーと限ることなく、例えば、蛍光トナーのように、現像装置が通常に現像を行うための通常トナーとは異なるトナーであれば、何にでも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、使用前や使用後の清掃等の手数が不要でありユーザ交換が容易な特殊トナー消耗品を備えた画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0094】
1 フルカラー画像形成装置(プリンタ)
2 画像形成部
3 転写ベルトユニット
4 トナー供給部
5 給紙部
6 ベルト式定着ユニット
7 両面印刷用搬送ユニット
8 転写ベルト
8a 下部走行部表面
9(9m、9c、9y、9k) 現像装置
9r、9r−1、9r−2 特殊トナー用予備現像装置
10 感光体ドラム
11 クリーナ
12 帯電ローラ
13 光書込ヘッド
14 現像器
15 現像ローラ
16 筐体
17 隔壁
15 現像ローラ
18 第1の攪拌搬送スクリュー
19 第2の攪拌搬送スクリュー
20 一次転写ローラ
21 駆動ローラ
22 従動ローラ
23 二次転写部
24 ベルトクリーナ
25 クリーニングブレード
26 廃トナー回収容器
27(27m、27c、27y、27k) リザーブタンク
28(28m、28c、28y、28k) トナーカートリッジ
29(29a、29b) 給紙カセット
30 電装部
31 用紙取出ローラ
32 給送ローラ
33 捌きローラ
34 待機搬送ローラ対
35 二次転写ローラ
36 搬出ローラ対
37 排紙トレー
38 排紙ローラ対
39 返送路
39a 開始返送路
39b 中間返送路
39c 終端返送路
41(41a、41b、41c、41d、41e) 返送ローラ対
42 被検知部
43 検知部
44 検知装置
45 回転軸
46 攪拌フィン
47 トナー補給機構
48 カートリッジモータ
49 トナー
51 トナー補充口
52 フィン形状の変化点
53 トナー量空検知センサ
54 回転軸
55 攪拌フィン
56 トナー補給機構
57 リザーブタンクモータ
58 フィン形状の変化点
59 トナー補給路
61 シャッタ
62 フィンスクリュウ
63 現像器モータ
64 被検知部
65 検知部
66 検知装置
67 トナー濃度センサ
68 画像形成装置本体フレーム
69、69−1、69−2 特殊トナー用予備補給装置
71、73、75 アジテータ
72 補給口
74 受給口
76 補給口
77 スクリュー機構
78 受給口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像装置と該現像装置に現像剤を補給する現像剤容器とが現像剤補給路を介して離れて配設されている画像形成装置であって、
前記現像剤容器から前記現像装置に連結される前記現像剤補給路の終端に配設されたシャッタと、
前記現像装置が現像を行うための通常トナーとは異なる特殊トナーによる現像を行う予備現像装置と、
を備え、
前記特殊トナーによる現像の際は、
前記現像装置に連結する前記現像剤補給路の前記シャッタを閉成し、
前記現像装置と前記現像剤補給路との連結を切り離し、
前記現像装置を配設位置から取り除き、
前記現像装置を取り除いた前記配設位置に前記予備現像装置を配置し、
該予備現像装置により前記特殊トナーによる現像を実行する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記現像装置は、モノクロ印字を行うためのモノクロ印字用の現像装置である、ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像装置は、モノクロ印字とフルカラー印字を行うための複数の現像装置の中のモノクロ印字用の現像装置である、ことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
タンデム方式で並設された複数の現像装置と前記複数の現像装置にそれぞれ現像剤を補給する複数の現像剤容器とが複数の現像剤補給路を介して離れて配設されている画像形成装置であって、
前記複数の現像剤容器から前記複数の現像装置に連結される前記複数の現像剤補給路の終端にそれぞれ配設されたシャッタと、
前記複数の現像装置が現像を行うための通常トナーとは異なる特殊トナーによる現像を行う予備現像装置と、
該予備現像装置に前記特殊トナーを補給するための予備補給装置と、
を備え、
前記特殊トナーによる現像の際は、
前記複数の現像装置の中の隣接する2個の現像装置に連結する2つの前記現像剤補給路の前記シャッタを閉成し、
前記2個の現像装置と前記2つの現像剤補給路との連結を切り離し、
前記2個の現像装置を夫々の配設位置である第1又は第2の配設位置から取り除き、
前記2個の現像装置を取り除いた前記第1の配設位置に前記予備現像装置を配置し、
前記2個の現像装置を取り除いた前記第2の配設位置に前記予備補給装置を配置し、
前記予備現像装置と前記予備補給装置を連結し、
該予備補給装置により前記特殊トナーを前記予備現像装置に補給しながら該予備現像装置により前記特殊トナーによる現像を実行する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記特殊トナーは、蛍光トナー又はリライタブルトナーである、ことを特徴とする請求項1又は4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記現像剤は、一成分トナー又は二成分現像剤である、ことを特徴とする請求項1又は4記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−108253(P2012−108253A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255958(P2010−255958)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】