説明

画像形成装置

【課題】いかなる条件においてもキャリア付着による白斑点状の異常画像を抑制し、かつ所定の画像濃度を効果的に且つ効率よく得られる画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナー濃度検知手段により検知したトナー濃度に応じて現像ポテンシャルの最大値を設定する。すなわち、印刷中に毎回トナー濃度センサの出力Vtを取得し、ジョブ内一枚目のVtをVsとして記憶し、毎回取得されるVtとの差(|Vt_n-Vt_s|)を求める。この値をあらかじめ設定していたVt閾値であるVt_thと比較し、閾値を越えた場合は現像ポテンシャルの最大値を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式による複写機、プリンター、ファクシミリなどの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、目標の画像濃度(反射濃度)を得るために紙上のトナー付着量を制御している。二成分現像方式では、実際に画像を形成するトナーと現像器内に存在し、トナーを帯電させる役割のキャリアを混合した現像剤を用いている。キャリアは感光体に対向してトナーを現像する現像剤担持体(現像スリーブ等)に磁力等で保持され、本来現像時に感光体への移動はしないものである。しかし、感光体へのトナー現像量を制御しようとする際に、以下の条件でキャリアが感光体側へ移動し、転写時にトナーの移動を妨げるために白斑点状の異常画像が発生してしまうことがある。
1)現像剤中のトナーの割合(トナー濃度)が低い場合
2)現像剤担持体と感光体間の電界が大きい場合
【0003】
この異常画像を発生させないために、現像剤中のトナーの割合(以下:トナー濃度)と現像剤担持体と感光体間の電界(以下:現像ポテンシャル)を適正範囲で用いるようにそれぞれ個別に上下限を設ける等の制御を行っている。なお、現像ポテンシャルは、露光により減衰した感光体暗部の表面電位と(V)と、現像スリーブの電位(現像バイアス電位V)との電位差(V−V)である。
【0004】
ここで、上記1)と2)はそれぞれ独立せずに、お互い寄与していることが経験上わかっている。これはあるトナー濃度で異常画像が発生する現像ポテンシャルでも、トナー濃度を高くした場合、異常画像が発生する現像ポテンシャルは高くなる、ということである。これはトナー濃度が高い場合、キャリアを覆うトナーの量が多いために現像剤としての抵抗が高くなり、高い現像ポテンシャル下においてもリークによるキャリアの移動に対しての余裕度が高いためと考えられる。このそれぞれトナー濃度と現像ポテンシャルに個別に上下限を設けた場合、目標の画像濃度を得られるとともに異常画像が発生しない領域、を設定できない状態となってしまい、装置の性能を落としてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のキャリア付着の改善に関しては、従来、キャリア物性および現像ユニットならびに作像条件での改善が行われてきた。
特開2009−156919号公報(特許文献1)では、現像剤中のトナー濃度を検知して、低いトナー濃度の際は現像のACバイアス印加条件を変更し、キャリア付着をしにくくすることが提案されている。
【0006】
特開2004−212560号公報(特許文献2)では、DC現像方式とキャリア処方によりキャリア付着を抑制することが提案されている。
特開平8−292630号公報(特許文献3)では、キャリア付着しにくいAC現像条件を規定することが提案されている。
【0007】
特開2008−70500号公報(特許文献4)では、キャリア付着を抑制するためのキャリア物性を規定することが提案されている。
特開2007−108538号公報(特許文献5)では、現像スリーブ表面に膜を形成することで、スリーブからキャリアへの電荷注入を防ぎ、キャリア付着を抑制することが提案されている。
【0008】
特開2000−338783号公報(特許文献6)では、現像ローラの磁極の角度および磁力を規定し、キャリア付着を抑制することが提案されている。
しかしながら、上記各特許文献に記載のものは、いずれもキャリア付着の抑制が狙いであるが、実際に用いた際における現像条件の規定がなく、使用環境等の変化に対しての効果が不明であり、キャリア付着に起因する白斑点状の異常画像が発生する問題はいまだ解決されていない。
【0009】
本発明は、従来の画像形成装置における上述の問題を解決し、いかなる条件においてもキャリア付着による白斑点状の異常画像を抑制し、かつ所定の画像濃度を効果的に且つ効率よく得られる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の課題は、本発明により、像担持体と、該像担持体上に形成された静電潜像にトナーを付与して可視化する現像手段を有する電子写真方式の画像形成装置において、現像剤中のトナー濃度を検出するトナー濃度検知手段を備え、前記トナー濃度検知手段により検知したトナー濃度に応じて現像ポテンシャルの最大値を設定することにより解決される。
【0011】
また、前記トナー濃度検知手段は、現像剤中のトナーとキャリアの割合を透磁率により検知する手段であると好適である。
また、前記トナー濃度検知手段は、現像剤中のトナーとキャリアの割合を光学的に検知する手段であると好適である。
【0012】
また、前記現像ポテンシャルの最大値が、ベタ画像を出力した際の白斑点の個数に基づいて決定されると好適である。
また、前記現像ポテンシャルの最大値が、ドットで形成されたハーフトーン画像を出力した際の白斑点の個数に基づいて決定されると好適である。
【0013】
また、前記現像ポテンシャルの最大値が、ベタ画像を出力した際の白斑点の個数及びドットで形成されたハーフトーン画像を出力した際の白斑点の個数に基づいて決定されると好適である。
【0014】
また、複数色の画像を形成可能に構成され、各色毎に前記現像ポテンシャルの最大値を設定可能であると好適である。
また、現像剤中のトナー濃度についての閾値があらかじめ設定されており、前記トナー濃度検知手段により検知したトナー濃度が前記閾値を超えたタイミングで現像ポテンシャルの最大値を変更すると好適である。
【0015】
また、温湿度検知手段を備え、該温湿度検知手段で検知した相対湿度の変化量が規定値を超える場合に現像ポテンシャルの最大値を再設定すると好適である。
また、温湿度検知手段を備え、該温湿度検知手段で検知した絶対湿度の変化量が規定値を超える場合に現像ポテンシャルの最大値を再設定すると好適である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の画像形成装置によれば、いかなる条件においてもキャリア付着による白斑点状の異常画像を抑制し、かつ所定の画像濃度を効果的に且つ効率よく得ることができる。したがって、画像濃度を経時的に維持するとともに白斑点状の異常画像が発生しない高品質な出力画像を得ることができる。
【0017】
請求項2の構成により、透磁率検知型のセンサにより精度良くトナー濃度を検知し、高精度な制御が可能となる。
請求項3の構成により、光学的検知方式のセンサにより低コストにトナー濃度を検知することができる。
【0018】
請求項4の構成により、ベタ画像を用いることで異常画像発生の判断がし易くなる。
請求項5の構成により、ドットで形成されたハーフトーン画像を用いることで異常画像発生の判断がよりし易くなる。
【0019】
請求項6の構成により、ベタ画像とドットで形成されたハーフトーン画像を用いることで異常画像発生の判断がさらにし易くなる。
請求項7の構成により、複数色の画像に対してもキャリア付着による白斑点状の異常画像を抑制し、かつ所定の画像濃度を効果的に且つ効率よく得ることができる。
【0020】
請求項8の構成により、トナー濃度が前記閾値を超えたタイミングで現像ポテンシャルの最大値を変更することで、画像濃度を維持しつつ白斑点状の異常画像を適切に防ぐことができる。
【0021】
請求項9の構成により、相対湿度の変化量が規定値を超える場合に現像ポテンシャルの最大値を再設定するので、いかなる条件においてもより適切なトナー濃度と現像ポテンシャルを設定して異常画像が無く必要な画像濃度が得られる高品質な画像を出力することができる。
【0022】
請求項10の構成により、絶対湿度の変化量が規定値を超える場合に現像ポテンシャルの最大値を再設定するので、いかなる条件においてもより適切なトナー濃度と現像ポテンシャルを設定して異常画像が無く必要な画像濃度が得られる高品質な画像を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明が適用される画像形成装置の一例を示す断面構成図である。
【図2】その画像形成装置が備える感光体まわりを詳しく示す断面構成図である。
【図3】従来技術における現像ポテンシャルの上限設定を説明するためのグラフである。
【図4】本発明における現像ポテンシャルの上限設定を説明するためのグラフである。
【図5】第1実施例における現像ポテンシャルの上限設定を説明するためのグラフである。
【図6】第1実施例における現像ポテンシャルの上限設定の制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明が適用される画像形成装置の一例を示す断面構成図である。また、図2は、その画像形成装置が備える像担持体(感光体)まわりを詳しく示す断面構成図である。
【0025】
これらの図に示すように、像担持体である感光体ドラム1の周りには、帯電手段2,現像装置4,クリーニング装置5等が配置されている。帯電手段たる帯電ローラ2によって感光体ドラム1の表面が一様に帯電され、その感光体表面に光書込みユニット21から走査光としてのレーザ光Lが照射され、照射部(露光部)の電位が減衰することによって感光体表面に静電潜像が形成される。形成された静電潜像に現像手段たる現像装置4からトナーが付与され、トナー像として可視化される。なお、現像装置4は、現像剤担持体である現像スリーブ41,2本の現像剤搬送手段42,43等を備えている。また、一方の現像剤搬送手段42の下方に位置して現像剤中のトナー濃度を検出するトナー濃度検知手段44が設けられている。このトナー濃度検知手段44は、透磁率検知型のトナー濃度センサである。ただし、現像剤中のトナー濃度を検出するトナー濃度検知手段としては透磁率検知型に限らず、現像剤の反射濃度を測定する光学的トナー濃度センサなどを用いることが可能である。
【0026】
さて、上記画像形成装置の全体的な構成と動作については後でまた説明するとして、先に、本発明の要旨について説明する。
トナー濃度と現像ポテンシャルの上下限を個別に設定せずに、トナー濃度に応じて現像ポテンシャルの上下限を設定することにより、従来使用していなかった領域を使用することができると考えたのが本発明である。現像剤中のトナー濃度はトナー濃度検知手段により検知することができるので、トナー濃度検知手段の出力により現像ポテンシャルを設定するという制御は可能である。
【0027】
画像形成装置においては、トナー濃度の他にも、装置が使用される環境等の状態により現像ポテンシャルに対するトナー付着量(現像量)が変化する。この状態の変化幅を示したのが図3及び図4のグラフにおけるCondition1〜3である。なお、図3では、従来技術における現像ポテンシャル上限の設定を示しており、トナー濃度と現像ポテンシャルは個別に上下限が設定されるため、現像ポテンシャル上限は直線(2点鎖線)で示されている。図4は本発明における現像ポテンシャル上限の設定を示しており、トナー濃度に応じて決定される(変更される)現像ポテンシャル上限は、曲線(2点鎖線)で示されている。
【0028】
トナー濃度TCおよび現像ポテンシャル使用範囲と各Conditionの曲線で囲まれる領域が存在する場合、目標のトナー付着量(画像濃度)を得ることができるが、その領域が存在しない場合には、目標のトナー付着量は得られず、画像濃度が低くなってしまう。図3に示す従来の場合、Condition1および2ではポテンシャル上限以下で目標付着量が得られるが、Condition3ではポテンシャル上限を用いても目標付着量は得られず、異常画像の発生を防ぐためには画像濃度を低くせざるを得ない。対して、本発明によりトナー濃度に応じて現像ポテンシャルの上限を変化させた場合、図4に示すようにCondition3においても目標の画像濃度を得ることができる。
【0029】
現像ポテンシャル上限の設定については、あらかじめ装置内に設定しておく方法と、装置のバラつきによる異常画像の発生程度を考慮してユーザまたはメンテナンス実施者が設定することも可能である。その際は異常画像の発生が判断しやすい、ベタ画像や、さらに検知しやすいドットで形成されるハーフトーン画像を用いるのが良く、ユーザが主に出力する画像がどういうものかにもよるが、ベタ画像とハーフトーン画像を両方用いて設定することがより好ましい。ハーフトーンでの検知感度が高いのは、ドットのエッジ部分では電界が大きく、キャリアが移動しやすいためである。また、装置内にトナーパターンの濃度差を検知する手段を設け、白斑点の個数をカウントすることで装置が自動的に最大ポテンシャルを設定できるようにすることも考えられる。
【0030】
複数色の画像形成が可能な(複数色のトナーを用いる)装置構成においては、各色毎に最大ポテンシャルを設定できるようにすると好適である。
画像濃度の調整は、トナー濃度と現像ポテンシャルの調整で行われるが、電位調整には時間がかかることから、印刷中はトナー濃度の調整により画像濃度を一定にすることが多い。また、出力画像の違いによりトナー濃度の推移レベルが変わることがある。例えば高画像面積率の画像を出力している際は常に劣化していないトナーが使用されるために現像・転写されやすく、同じ画像濃度を得ようとするとトナー濃度が低くなり、そのままの現像ポテンシャルでは白斑点が出やすくなってしまう。そのためトナー濃度センサ出力の変動に対してあらかじめ閾値を設定しておき、閾値を超えたところで(超えたタイミングで)現像ポテンシャルを変更すると、画像濃度を維持しつつ白斑点状の異常画像を防ぐことができる。
【0031】
さらに、図に示したConditionの変化は温湿度の変化によるものが大きい。そのため、装置に温湿度検知手段を備え、前回現像ポテンシャルの閾値を設定した温湿度からの変化量を検知し、変化量が規定を超えている場合には現像ポテンシャルの閾値を再設定することで、いかなる条件においてもより適切なトナー濃度と現像ポテンシャルを設定して異常画像が無く必要な画像濃度が得られる高品質な画像を出力することができる。
【0032】
次に、6つの実施例と1つの比較例で画像形成を行い、画像濃度及び白斑点の個数を調べて良否を判定し、本発明を評価する実験を行った。以下、各実施例及び比較例について説明する。なお、各実施例及び比較例の判定結果は後出の表1に示す。
【0033】
[実施例1]
本願出願人が製造販売したフルカラー複合機(Imagio MP C7500)を改造し、現像ユニットに装着されている透磁率検知型のトナー濃度センサ(図2のトナー濃度検知手段44に相当)の出力から求めたトナー濃度に応じて現像ポテンシャルの上限を定める関数を用意し、センサの出力に応じてポテンシャルが設定されるようにした。トナー濃度の使用範囲から決まるトナー濃度センサ出力(Vt)の使用範囲は2.0〜4.5Vであり、その間での最大現像ポテンシャルは図5のグラフに2点鎖線で示す値を設定するようにした。ここでの上記関数は、y=13.333x−166.7x+980である。
【0034】
印刷中の現像ポテンシャルの設定については、印刷中に毎回トナー濃度センサの出力Vtを取得し、ジョブ内一枚目のVtをVsとして記憶し、毎回取得されるVtとの差(|Vt_n-Vt_s|)を求める。この値をあらかじめ設定していたVt閾値であるVt_thと比較し、閾値を越えた場合は現像ポテンシャルの最大値を変更するようにした。制御の流れを図6のフローチャートに示す。
【0035】
上記設定の元、10℃15%RH環境で2万枚通紙後の画像濃度を米国X−rite社の分光濃度計(X-rite 938)により測定し、1.4±0.1の狙いに対しての許容レベルを判定した。また、ベタ画像と600dpiの2dot×2dotを2dot間隔で形成したハーフトーン画像を出力し、異常画像である白斑点の個数をカウントし、基準のA3サイズで20個以内に対しての許容レベルを判定した。
【0036】
[実施例2]
現像剤中のトナー濃度を検知する手段として光学的に現像剤の反射濃度を測定する方式のもの(本実施例ではフォトセンサ)を用いたこと以外は、実施例1と同様の評価を行った。
【0037】
[実施例3]
本願出願人が製造販売したフルカラー複合機(Imagio MP C7500)を改造し、その評価機においてあらかじめ異常画像が発生しないトナー濃度と現像ポテンシャルの関数をベタ画像での異常画像発生個数から設定し、トナー濃度センサの出力に応じてポテンシャルが設定されるようにしたこと以外は実施例1と同様の評価を行った。
【0038】
[実施例4]
本願出願人が製造販売したフルカラー複合機(Imagio MP C7500)を改造し、その評価機においてあらかじめ異常画像が発生しないトナー濃度と現像ポテンシャルの関数を解像度:600dpi,2dot×2dot画像での異常画像発生個数から設定し、センサの出力に応じてポテンシャルが設定されるようにしたこと以外は実施例1と同様の評価を行った。
【0039】
[実施例5]
温湿度検知手段を搭載し、1枚出力するごとの相対湿度の検知結果が前回ポテンシャル設定を行ったときと10%以上異なる場合には、トナー濃度センサ出力:VtとPセンサ(感光体上でのトナー画像の濃度を検出する手段)出力との関係を取り、新たにVt-最大現像ポテンシャルの関係式を作成するようにしたこと以外は、実施例1と同様の評価を行った。
【0040】
[実施例6]
温湿度検知手段を搭載し、1枚出力するごとの絶対湿度の検知結果が前回ポテンシャル設定を行ったときと10%以上異なる場合には、トナー濃度センサ出力:VtとPセンサ出力との関係を取り、新たにVt-最大現像ポテンシャルの関係式を作成するようにしたこと以外は、実施例1と同様の評価を行った。
【0041】
[比較例1]
本願出願人が製造販売したフルカラー複合機(Imagio MP C7500)を改造せず、実施例1と同様の評価を行った。
【0042】
上記各実施例及び比較例の判定結果を次の表1に示す。
【表1】

【0043】
この表において、実施例1,2は、画像濃度の判定は「可」で白斑点個数の判定も「可」であった。実施例3〜6は、画像濃度の判定は「良」で白斑点個数の判定も「良」であった。比較例は、画像濃度の判定が「不可」で白斑点個数の判定は「良」であった。
【0044】
このように、従来と比較して本発明を適用することで、画像濃度が出にくい環境においても白斑点の個数を目標以内とし、かつ、狙いの画像濃度を達成できることが確認できた。
【0045】
最後に、図1の画像形成装置の全体的構成と動作について説明する。
図1に示すカラー複写機は、中央に複写機本体100、その下部にテーブル状に構成された給紙部200が配置され、複写機本体100の上方にスキャナ300、スキャナ300の上方に自動原稿搬送装置(ADF)400を配置した構成となっている。
【0046】
複写機本体100には、複数のローラ14、15、16に巻き掛けられた中間転写ベルト10が設けられている。この中間転写ベルト10は、複数のローラ14,15,16のうち1つのローラが図示していない駆動装置によって回転駆動され、これにより中間転写ベルト10が矢印で示す図中時計回りに走行駆動される。このように走行する中間転写ベルト10の上部走行辺には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各作像ユニット18が横に並んで配置されている。すなわち、ローラ14とローラ15間のベルト走行辺上に、4つの画像形成手段18を配置してタンデム作像部20を構成している。
【0047】
それぞれプロセスカートリッジとして構成された4個の作像ユニット18は、中間転写ベルト10に接する潜像担持体としての感光体ドラム1を具備している。この感光体ドラム1の周りには、帯電装置2、現像装置4、クリーニング装置5のほか、除電装置等が配置され、さらに感光体ドラム1が中間転写ベルト10に接する位置における中間転写ベルト10の内側には一次転写手段である転写ローラ62が設けられている。本実施形態の場合、4個の作像ユニット18は同一構造に構成されているが、現像装置のトナーの色がブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色に異なっている。また、各作像ユニット18の上方には光変調されたレーザ光を各感光体ドラム表面に照射する光書込み装置21が配置され、そのレーザ光は帯電装置2と現像装置4の間で感光体ドラムに照射される。
【0048】
光書込みユニット21は、図示しない光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラーなどを有し、画像データに基づいて感光体ドラム1の表面にレーザ光を照射する。帯電手段たる帯電器によって感光体ドラム1の表面が一様に帯電される。帯電処理が施された感光体表面に光書込みユニット21によって変調及び偏向されたレーザ光が照射される。すると、照射部(露光部)の電位が減衰する。この減衰により、感光体表面に静電潜像が形成される。形成された静電潜像は現像手段たる現像装置4によって現像されてトナー像となる。感光体1上に形成されたトナー像は中間転写ベルト10に一次転写される。一次転写後の感光体1の表面はクリーニング装置5によって転写残トナーがクリーニングされる。クリーニングされた感光体1は、除電器によって除電される。そして、帯電器によって一様帯電せしめられて、初期状態に戻る。このような一連の作像プロセスは、すべてのプロセスカートリッジ18Y,M,C,Kについて同様である。
【0049】
中間転写ベルト10は、張架ローラ14を含む複数のローラによってテンション張架されている。そして、図示しないベルト駆動モータによって駆動される駆動ローラ15の回転によって図中時計回りに無端移動せしめられる。4つの一次転写ローラ62は、それぞれ中間転写ベルト10の内周面側に接触するように配設され、図示しない電源から一次転写バイアスの印加を受ける。また、中間転写ベルト10をその内周面側から各感光体ドラム1に向けて押圧してそれぞれ一次転写ニップを形成する。各一次転写ニップには、一次転写バイアスの影響により、感光体と一次転写バイアスローラとの間に一次転写電界が形成される。
【0050】
Y用の感光体上に形成されたYトナー像は、この一次転写電界やニップ圧の影響によって中間転写ベルト10上に一次転写される。このYトナー像の上には、M,C,K用の感光体1上に形成されたM,C,Kトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト10上には多重トナー像たる4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。中間転写ベルト10上に重ね合わせ転写された4色トナー像は、二次転写ニップで図示しない記録媒体たる転写紙に二次転写される。二次転写ニップ通過後の中間転写ベルト10の表面に残留する転写残トナーは、図中左側の駆動ローラ15との間にベルトを挟み込むベルトクリーニング装置17によってクリーニングされる。
【0051】
中間転写ベルト10の図中下方には、2本の張架ローラ23によって紙搬送ベルト24を張架している二次転写装置22が配設されている。紙搬送ベルト24は、少なくとも何れか一方の張架ローラ23の回転駆動に伴って、図中反時計回りに無端移動せしめられる。2本の張架ローラ23のうち、図中右側に配設された一方のローラは、二次転写バックアップローラ16との間に、中間転写ベルト10及び紙搬送ベルト24を挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ベルト10と、二次転写装置22の紙搬送ベルト24とが接触する二次転写ニップが形成されている。そして、この一方の張架ローラ23には、トナーと逆極性の二次転写バイアスが図示しない電源によって印加される。
【0052】
この二次転写バイアスの印加により、二次転写ニップには中間転写ベルト10上の4色トナー像をベルト側からこの一方の張架ローラ23側に向けて静電移動させる二次転写電界が形成される。後述のレジストローラ対49によって中間転写ベルト10上の4色トナー像に同期するように二次転写ニップに送り込まれた転写紙には、この二次転写電界やニップ圧の影響を受けた4色トナー像が二次転写せしめられる。なお、このように一方の張架ローラ23に二次転写バイアスを印加する二次転写方式に代えて、転写紙を非接触でチャージさせるチャージャを設けてもよい。
【0053】
複写機本体100の下に設けられた給紙装置200には、内部に複数の転写紙を紙束の状態で複数枚重ねて収容可能な給紙カセット44が、鉛直方向に複数重なるように配設されている。それぞれの給紙カセット44は、紙束の一番上の転写紙に給紙ローラ42を押し当てている。そして、給紙ローラ42を回転させることにより、一番上の転写紙を給紙路46に向けて送り出される。給紙カセット44から送り出された転写紙を受け入れる給紙路46は、複数の搬送ローラ対47と、その路内の末端付近に設けられたレジストローラ対49とを有している。そして、転写紙をレジストローラ対49に向けて搬送する。
【0054】
レジストローラ対49に向けて搬送された転写紙は、レジストローラ対49のローラ間に挟まれる。一方、中間転写ユニット17において、中間転写ベルト10上に形成された4色トナー像は、ベルトの無端移動に伴って上記二次転写ニップに進入する。レジストローラ対49は、ローラ間に挟み込んだ転写紙を二次転写ニップにて4色トナー像に密着させ得るタイミングで送り出す。これにより、二次転写ニップでは、中間転写ベルト10上の4色トナー像が転写紙に密着する。そして、転写紙上に二次転写されて、転写紙上でフルカラー画像となる。
【0055】
このようにしてフルカラー画像が形成された転写紙は、紙搬送ベルト24の無端移動に伴って二次転写ニップを出た後、紙搬送ベルト24上から定着装置25に送られる。定着装置25は、定着ベルト26を2本のローラによって張架しながら無端移動せしめるベルトユニットと、このベルトユニットの一方のローラに向けて押圧される加圧ローラ27とを備えている。
【0056】
これら定着ベルト26と加圧ローラ27とは互いに当接して定着ニップを形成しており、紙搬送ベルト24から受け取った転写紙をここに挟み込む。ベルトユニットにおいける2本のローラのうち、加圧ローラ27から押圧される方のローラは、内部に図示しない熱源を有しており、これの発熱によって定着ベルト26を加圧する。加圧された定着ベルト26は、定着ニップに挟み込まれた転写紙を加熱する。この加熱やニップ圧の影響により、フルカラー画像が転写紙に定着せしめられる。定着装置25内で定着処理が施された転写紙は、プリンタ筐体の図中左側板の外側に設けたスタック部57上にスタックされるか、もう一方の面にもトナー像を形成するために上述の二次転写ニップに戻されるかする。
【0057】
図示しない原稿のコピーがとられる際には、例えばシート原稿の束が原稿自動搬送装置400の原稿台30上セットされる。但し、その原稿が本状に閉じられている片綴じ原稿である場合には、コンタクトガラス32上にセットされる。このセットに先立ち、複写機本体に対して原稿自動搬送装置400が開かれ、スキャナ300のコンタクトガラス32が露出される。
この後、閉じられた原稿自動搬送装置400によって片綴じ原稿が押さえられる。
【0058】
このようにして原稿がセットされた後、図示しないコピースタートスイッチが押下されると、スキャナ300による原稿読取動作がスタートする。但し、原稿自動搬送装置400にシート原稿がセットされた場合には、この原稿読取動作に先立って、原稿自動搬送装置400がシート原稿をコンタクトガラス32まで自動移動させる。
【0059】
原稿読取動作では、まず、第1走行体33と第2走行体34とがともに走行を開始し、第1走行体33に設けられた光源から光が発射される。そして、原稿面からの反射光が第2走行体34内に設けられたミラーによって反射せしめられ、結像レンズ35を通過した後、読取センサ36に入射される。読取センサ36は、入射光に基づいて画像情報を構築する。
【0060】
このような原稿読取動作と並行して、各プロセスカートリッジ18Y,M,C,K内の各機器や、中間転写ベルト10、二次転写装置22、定着装置25がそれぞれ駆動を開始する。
【0061】
そして、読取センサ36によって構築された画像情報に基づいて、光書込みユニット21が駆動制御されて、各感光体40Y,M,C,K上に、Y,M,C,Kトナー像が形成される。これらトナー像は、中間転写ベルト110上に重ね合わせ転写された4色トナー像となる。
【0062】
また、原稿読取動作の開始とほぼ同時に、給紙装置200内では給紙動作が開始される。この給紙動作では、給紙ローラ42の1つが選択回転せしめられ、ペーパーバンク43内に多段に収容される給紙カセット44の1つから転写紙が送り出される。送り出された転写紙は、分離ローラ45で1枚ずつ分離されて反転給紙路46に進入した後、搬送ローラ対47によって二次転写ニップに向けて搬送される。
【0063】
このような給紙カセット44からの給紙に代えて、手差しトレイ51からの給紙が行われる場合もある。この場合、手差し給紙ローラ50が選択回転せしめられて手差しトレイ51上の転写紙を送り出した後、分離ローラ52が転写紙を1枚ずつ分離してプリンタ部100の手差し給紙路53に給紙する。
【0064】
本複写機は、2色以上のトナーからなる他色画像を形成する場合には、中間転写ベルト10をその上部張架面がほぼ水平になる姿勢で張架して、上部張架面に全ての感光体1Y,M,C,Kを接触させる。
【0065】
これに対し、Kトナーのみからなるモノクロ画像を形成する場合には、図示しない機構により、中間転写ベルト110を図中左下に傾けるような姿勢にして、その上部張架面をY,M,C用の感光体1Y,M,Cから離間させる。そして、4つの感光体1Y,M,C,Kのうち、K用の感光体1Kだけを図中反時計回りに回転させて、Kトナー像だけを作像する。この際、Y,M,Cについては、感光体1だけでなく、現像器も駆動を停止させて、感光体や現像剤の不要な消耗を防止する。
【0066】
本複写機は、複写機内の下記機器の制御を司るCPU等から構成される図示しない制御部と、液晶ディスプレイや各種キーボタン等などから構成される図示しない操作表示部とを備えている。操作者は、この操作表示部に対するキー入力操作により、制御部に対して命令を送ることで、転写紙の片面だけに画像を形成するモードである片面プリントモードについて、3つのモードの中から1つを選択することができる。この3つの片面プリントモードとは、ダイレクト排出モードと、反転排出モードと、反転デカール排出モードとからなる。
【0067】
以上、本発明を図示例により説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、現像ポテンシャル上限の設定方法は上述したように適宜な方法を採用可能であり、その際に使用する関数も適宜に設定可能である。
【0068】
像担持体はドラム上に限らず、ベルト状像担持体でもかまわない。現像装置の構成も任意であり、トナー濃度検知手段も、適宜な方式・構成のものを使用可能である。その配置場所も任意である。
【0069】
また、画像形成装置の作像部の構成も任意であり、タンデム式における各色作像ユニットの並び順などは任意である。また、中間転写方式に限らず、直接転写方式でも良い。さらにタンデム式に限定されるものでもない。また、3色のトナーを用いるフルカラー機や、2色のトナーによる多色機、あるいはモノクロ装置にも本発明を適用することができる。もちろん、画像形成装置としては複写装置に限らず、プリンタやファクシミリ、あるいは複数の機能を備える複合機であっても良い。
【符号の説明】
【0070】
1 感光体ドラム(像担持体)
2 帯電手段
4 現像装置
5 クリーニング手段
10 中間転写ベルト
18 作像ユニット(プロセスカートリッジ)
21 光書込み装置
41 現像スリーブ(現像剤担持体)
44 トナー濃度検知手段
100 複写機本体
200 給紙部
300 スキャナ
400 自動原稿搬送装置(ADF)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】
【特許文献1】特開2009−156919号公報
【特許文献2】特開2004−212560号公報
【特許文献3】特開平8−292630号公報
【特許文献4】特開2008−70500号公報
【特許文献5】2007−108538号公報
【特許文献6】特開2000−338783号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、該像担持体上に形成された静電潜像にトナーを付与して可視化する現像手段を有する電子写真方式の画像形成装置において、
現像剤中のトナー濃度を検出するトナー濃度検知手段を備え、
前記トナー濃度検知手段により検知したトナー濃度に応じて現像ポテンシャルの最大値を設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記トナー濃度検知手段は、現像剤中のトナーとキャリアの割合を透磁率により検知する手段であることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記トナー濃度検知手段は、現像剤中のトナーとキャリアの割合を光学的に検知する手段であることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記現像ポテンシャルの最大値が、ベタ画像を出力した際の白斑点の個数に基づいて決定されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記現像ポテンシャルの最大値が、ドットで形成されたハーフトーン画像を出力した際の白斑点の個数に基づいて決定されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記現像ポテンシャルの最大値が、ベタ画像を出力した際の白斑点の個数及びドットで形成されたハーフトーン画像を出力した際の白斑点の個数に基づいて決定されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
複数色の画像を形成可能に構成され、各色毎に前記現像ポテンシャルの最大値を設定可能なことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
現像剤中のトナー濃度についての閾値があらかじめ設定されており、前記トナー濃度検知手段により検知したトナー濃度が前記閾値を超えたタイミングで現像ポテンシャルの最大値を変更することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
温湿度検知手段を備え、該温湿度検知手段で検知した相対湿度の変化量が規定値を超える場合に現像ポテンシャルの最大値を再設定することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
温湿度検知手段を備え、該温湿度検知手段で検知した絶対湿度の変化量が規定値を超える場合に現像ポテンシャルの最大値を再設定することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−118455(P2012−118455A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270446(P2010−270446)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】