説明

画像形成装置

【課題】被転写部材の搬送方向において、小型化を図ることができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】
互いに間隔を隔てて並列配置される各感光ドラム12と、各感光ドラム12に接触され、用紙Pを搬送する搬送ベルト18と、トナー像を用紙Pに定着させる定着ユニット11とを備えるカラーレーザプリンタ1において、定着ユニット11を、加熱ローラ20と加圧ローラ21とのニップ部Nが搬送ベルト18よりも上側に配置されるように配置し、搬送ベルト18を、最後方のブラック感光ドラム12に接触される第1接触部P1において、定着ユニット11のニップ部Nへ向かうように屈曲させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザプリンタなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のカラープリンタとして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナーに対応して並列配置される複数の感光体と、各感光体に対向される搬送ベルトとを備えるタンデム型カラーレーザプリンタが知られている。
【0003】
例えば、前後方向に並列配置される複数の感光ドラムと、各感光ドラムに対向配置されるように、前後方向に延びる搬送ベルトとを備え、搬送ベルトの後側に、定着ユニットが配置されたカラーレーザプリンタが提案されている。
(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−42686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、上記した特許文献1では、定着ユニットが搬送ベルトの真後ろに配置されている。
【0006】
また、定着ユニットの熱によって感光ドラムが劣化することを防止するために、定着ユニットを、最後方の感光ドラムから、所定の距離を隔てて配置する必要がある。
【0007】
そのため、定着ユニットを最後方の感光ドラムに近接して配置することが困難であり、カラーレーザプリンタを前後方向に小型化することが困難である。
【0008】
そこで、本発明の目的は、被転写部材の搬送方向における小型化を図ることができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するため、本発明は、画像形成装置であって、互いに間隔を隔てて所定方向に並列配置され、現像剤像を担持する複数の感光体と、各前記感光体に接触され、現像剤像が転写される被転写部材を各前記感光体に接触されるように搬送する搬送ベルトと、前記被転写部材の搬送方向において、前記搬送ベルトの下流側に配置され、現像剤像を前記被転写部材に定着させる定着ユニットとを備え、前記定着ユニットは、前記被転写部材を加熱する加熱部材と、前記加熱部材に圧接されるように配置され、前記加熱部材との間にニップ部を形成する加圧部材とを備え、前記定着ユニットは、前記ニップ部が、前記感光体と前記搬送ベルトとの対向方向において、前記搬送ベルトよりも前記感光体側に配置されており、前記搬送ベルトは、前記搬送方向最下流の前記感光体に接触される第1接触部と、前記搬送方向最下流の前記感光体に隣接配置される前記感光体に接触される第2接触部との間に設けられる第1部分と、前記第1接触部の前記搬送方向下流側において、前記ニップ部に向かうように、前記第1部分に対して傾斜される第2部分とを備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、加熱部材と加圧部材とのニップ部が、感光体と搬送ベルトとの対向方向において、搬送ベルトよりも感光体側に配置されている。
【0011】
そのため、定着ユニットを搬送ベルトの真後ろに配置する場合(特許文献1参照)と比べて、定着ユニットを、搬送方向最下流の感光体を中心として円を描くように、対向方向の感光体側へ配置すれば、搬送方向最下流の感光体と、定着ユニットとの距離を維持しながら、定着ユニットを搬送方向上流側(特許文献1における前側)に配置することができる。
【0012】
これにより、被転写部材の搬送方向において、画像形成装置を小型化することができる。
【0013】
一方、定着ユニットを、対向方向の感光体側に配置すると、従来の搬送ベルト(前後方向に延びる搬送ベルト、特許文献1参照)では、図5に示すように、搬送ベルト18が前後方向に延びる一方、用紙Pは、後上側の定着ユニット11へ受け渡される。そのため、用紙Pが、搬送ベルト18から定着ユニット11へ受け渡されるときに、搬送ベルト18から引き剥がされる場合がある。この場合、用紙Pと搬送ベルト18との間に剥離放電が発生する場合がある。用紙Pと搬送ベルト18との間に剥離放電が発生すると、用紙P上のトナー像が乱れる場合がある。
【0014】
この課題に対して、本発明によれば、搬送ベルトは、搬送方向最下流の感光体に接触される第1接触部と、搬送方向最下流の感光体に隣接配置される感光体に接触される第2接触部との間に設けられる第1部分と、第1接触部の搬送方向下流側において、定着ユニットのニップ部に向かうように、第1部分に対して傾斜される第2部分とを備えている。
【0015】
つまり、搬送ベルトに、ニップ部に向かうように傾斜される第2部分が形成されている。
【0016】
そのため、定着ユニットを対向方向の感光体側に配置しても、搬送ベルトの第2部分によって、被転写部材を定着ユニットのニップ部へ案内することができる。
【0017】
また、被転写部材が搬送ベルトから定着ユニットへ受け渡された後においても、引き続き、被転写部材を、第2部分によってニップ部へ向かうように案内することができる。
【0018】
その結果、被転写部材が搬送ベルトから引き剥がされることを防止することができ、剥離放電の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の画像形成装置の一例としてのカラーレーザプリンタを示す断面図である。
【図2】図1に示す感光ドラムの搬送ベルトに対する接離を説明する説明図であって、(a)は、すべての感光ドラムが搬送ベルトに接触されるカラーモードを示し、(b)は、ブラック感光ドラムが搬送ベルトに接触され、ブラック感光ドラム以外の感光ドラムが搬送ベルトから離間されたモノクロモードを示す。
【図3】搬送ベルトの第1変形例を説明する説明図である。
【図4】搬送ベルトの第2変形例を説明する説明図である。
【図5】図1に示すカラーレーザプリンタにおいて、搬送ベルトを、従来の搬送ベルトに置き換えた場合を示し、剥離放電の発生を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
1.カラーレーザプリンタの全体構成
図1に示すように、画像形成装置の一例としてのカラーレーザプリンタ1は、横置きタイプのダイレクトタンデム型カラーレーザプリンタである。カラーレーザプリンタ1は、本体ケーシング2内に、被転写部材の一例としての用紙Pを給紙するための給紙部3と、給紙された用紙Pに画像を形成するための画像形成部4とを備えている。
(1)本体ケーシング
本体ケーシング2は、給紙部3および画像形成部4を収容する側面視略矩形状のボックス状に形成されており、その一方側壁には、本体ケーシング2の内部空間を開放するためのフロントカバー5が形成されている。フロントカバー5は、本体ケーシング2に対して下端部を支点として揺動自在に設けられている。
【0021】
なお、以下の説明において、フロントカバー5が設けられる側(図1における紙面左側)を前側とし、その反対側(図1における紙面右側)を後側とする。また、カラーレーザプリンタ1を前側から見たときを左右の基準とする。すなわち、図1の紙面手前側が右側であり、紙面奥側が左側である。
(2)給紙部
給紙部3は、本体ケーシング2内の底部において、用紙Pを収容する給紙トレイ6を備えている。給紙トレイ6は、本体ケーシング2内から前方へ引き出し可能に設けられている。
【0022】
給紙トレイ6に収容されている用紙Pは、仮想線で示すように、給紙トレイ6の前端部上側に配置される1対のレジストローラ7間に向けて1枚ずつ給紙され、所定のタイミングで、画像形成部4(感光ドラム12(後述)と搬送ベルト18(後述)との間)に向けて搬送される。
(3)画像形成部
画像形成部4は、スキャナユニット8、プロセスユニット9、転写ユニット10、および定着ユニット11を備えている。
(3−1)スキャナユニット
スキャナユニット8は、本体ケーシング2の上部に配置されている。スキャナユニット8は、実線矢印で示すように、4つの感光ドラム12(後述)に向けて、画像データに基づいて、レーザービームをそれぞれ出射し、感光ドラム12(後述)を露光する。
(3−2)プロセスユニット
(3−2−1)プロセスユニットの構成
プロセスユニット9は、スキャナユニット8の下側であって、転写ユニット10の上側に配置されており、各色に対応する複数の感光体の一例としての感光ドラム12、スコロトロン型帯電器13および現像ユニット14を一体的に備えている。また、プロセスユニット9は、フロントカバー5が開放された状態で、本体ケーシング2内から前方へ引き出し可能に設けられている。
【0023】
感光ドラム12は、左右に延びる略円筒形状に形成されており、左右に沿って設けられ、前後方向(所定方向)に互いに間隔を隔てて、4つ並列配置されている。具体的には、前側から後側に向かって、シアン感光ドラム12C、マゼンタ感光ドラム12M、イエロー感光ドラム12Y、および、ブラック感光体の一例としてのブラック感光ドラム12Kが、順次配置されている。
【0024】
スコロトロン型帯電器13は、各感光ドラム12に対応するように、感光ドラム12の後上側に、感光ドラム12と間隔を隔てて対向配置されている。
【0025】
現像ユニット14は、各感光ドラム12に対応するように、感光ドラム12の上側に配置されている。具体的には、前側から後側に向かって、シアン現像ユニット14C、マゼンタ現像ユニット14M、イエロー現像ユニット14Yおよびブラック現像ユニット14Kが、順次配置されている。
【0026】
また、各現像ユニット14は、それぞれ、現像ローラ15を備えている。
【0027】
現像ローラ15は、現像ユニット14の下端において、後側から露出されるように回転可能に支持されており、感光ドラム12に対して前上側から対向し、接触されている。
【0028】
現像ユニット14には、現像ローラ15の上側の空間において、各色に対応する現像剤の一例としてのトナーが収容されている。
(3−2−2)プロセスユニットでの現像動作
現像ユニット14内のトナーは、現像ローラ15の回転に伴って、現像ローラ15の表面に担持される。
【0029】
一方、感光ドラム12の表面は、感光ドラム12の回転に伴って、スコロトロン型帯電器13により一様に帯電された後、スキャナユニット8からのレーザービーム(図1破線参照。)の高速走査により露光される。これにより、用紙Pに形成すべき画像に対応した静電潜像が感光ドラム12の表面に形成される。
【0030】
感光ドラム12がさらに回転すると、現像ローラ15の表面に担持されているトナーが、感光ドラム12の表面に形成されている静電潜像に供給される。これにより、感光ドラム12の静電潜像は可視像化され、感光ドラム12の表面には、反転現像によるトナー像が担持される。
(3−3)転写ユニット
転写ユニット10は、本体ケーシング2内において、給紙部3の上側であって、プロセスユニット9の下側において、前後方向に沿って配置されている。この転写ユニット10は、1対の第1ローラ部材の一例としての駆動ローラ16および従動ローラ17と、搬送ベルト18と、4つの転写ローラ19とを備えている。
【0031】
駆動ローラ16および従動ローラ17は、互いに前後方向に間隔を隔てて対向配置されている。
【0032】
搬送ベルト18は、各感光ドラム12に対して下側から対向され、その上側部分34が各感光ドラム12と接触するように、駆動ローラ16および従動ローラ17の周りに掛け渡されている。また、搬送ベルト18は、駆動ローラ16の駆動により、各感光ドラム12と接触する搬送ベルト18の上側部分34が前側から後側に向かって移動するように、周回移動されている。
【0033】
各転写ローラ19は、搬送ベルト18の上側部分34を挟んで各感光ドラム12に対向するように設けられている。
【0034】
そして、給紙部3から給紙された用紙Pは、搬送ベルト18によって、前側から後側に向かって、各感光ドラム12と各転写ローラ19とが対向する転写位置を順次通過するように搬送される。その搬送中に、各感光ドラム12に担持されている各色のトナー像が、用紙Pに順次転写され、カラー画像が形成される。
(3−4)定着ユニット
定着ユニット11は、搬送ベルト18の後上側に配置され、用紙Pを加熱する加熱部材の一例としての加熱ローラ20、および、加熱ローラ20に圧接されるように配置される加圧部材の一例としての加圧ローラ21を備えている。これにより、加熱ローラ20と加圧ローラ21との間にはニップ部Nが形成されている。ニップ部Nは、搬送ベルト18の上側部分34よりも上側に配置されている。
【0035】
転写ユニット10において用紙Pに転写されたカラー画像は、用紙Pがニップ部Nを通過するときに、加熱および加圧されることによって用紙Pに熱定着される。
(4)排紙
トナー像が定着した用紙Pは、各排紙ローラ22によって、図示しないUターンパスを通過するように搬送され、スキャナユニット8の上側に形成される排紙トレイ23上に排紙される。
2.転写ユニットの詳細
転写ユニット10は、搬送ベルト18を備えるベルトユニット31と、搬送ベルト18をクリーニングするベルトクリーニングユニット32とを備えている。
【0036】
ベルトユニット31は、プロセスユニット9よりも長い前後方向長さに形成され、前後方向に沿って配置されている。また、ベルトユニット31は、後端部が定着ユニット11へ向かうように後上側へ屈曲されており、駆動ローラ16、従動ローラ17、各転写ローラ19、第2ローラ部材の一例としてのバックアップローラ33、および、搬送ベルト18を備えている。
【0037】
駆動ローラ16は、ブラック感光ドラム12Kの後側に突出されるように、ベルトユニット31の後端部に配置されている。
【0038】
従動ローラ17は、前後方向に投影したときに、その上端縁が駆動ローラ16の上端縁よりも下側に配置されるように、ベルトユニット31の前端部に配置されている。また、従動ローラ17は、シアン感光ドラム12Cよりも前側に突出されるように、配置されている。
【0039】
各転写ローラ19は、駆動ローラ16および従動ローラ17よりも小径に形成されており、上記したように、駆動ローラ16および従動ローラ17の間において、前後方向に互いに間隔を隔てて並列配置されている。また、各転写ローラ19は、それらの上端縁と、従動ローラ17の上端縁とを含む面が、前後方向に延びる水平面となるように、配置されている。
【0040】
バックアップローラ33は、駆動ローラ16および従動ローラ17よりも小径に形成されており、駆動ローラ16の前下側、かつ、最後方の転写ローラ19の後下側に配置されている。また、バックアップローラ33は、その下端縁と、従動ローラ17の下端縁とを含む面が、前後方向に延びる水平面となるように、配置されている。
【0041】
搬送ベルト18は、無端状に形成されており、各転写ローラ19を囲むように、駆動ローラ16、従動ローラ17およびバックアップローラ33に掛け渡されている。
【0042】
そして、搬送ベルト18の上側部分34は、各感光ドラム12によって上側から押圧され、ブラック感光ドラム12Kと、ブラック感光ドラム12Kに対応する転写ローラ19との間に挟持される第1接触部P1において、ブラック感光ドラム12Kの周面に沿って屈曲されている。
【0043】
詳しくは、上側部分34は、従動ローラ17に接触される前端部から、第1接触部P1までの部分が、前後方向に水平に延びるとともに、第1接触部P1から、駆動ローラ16に接触される後端部までの部分が、後側に向かうに従って上側に傾斜されている。
【0044】
すなわち、上側部分34には、第1接触部P1と、イエロー感光ドラム12Yに接触される(イエロー感光ドラム12Yと、イエロー感光ドラム12Yに対応する転写ローラ19との間に挟持される)第2接触部P2との間において、第1部分の一例としての上側水平部分34Aが形成されている。また、上側部分34には、第1接触部P1の後側において、上側水平部分34Aに対して、ニップ部Nに向かうように後側に向かうに従って上側に傾斜される第2部分の一例としての上側傾斜部分34Bが形成されている。
【0045】
また、搬送ベルト18の下側部分35は、バックアップローラ33によって上側から押圧され、バックアップローラ33の周面に沿って屈曲されている。
【0046】
詳しくは、下側部分35は、従動ローラ17に接触される前端部から、バックアップローラ33に接触されるまでの部分が、前後方向に水平に延びている。また、下側部分35には、バックアップローラ33に接触される部分から、駆動ローラ16に接触される後端部までの部分において、後側に向かうに従って上側に傾斜される第3部分の一例としての下側傾斜部分36が形成されている。
【0047】
ベルトクリーニングユニット32は、ベルトユニット31の下側に配置され、廃トナー収容部38と、クリーニング部材の一例としてのベルトクリーニングローラ37とを備えている。
【0048】
廃トナー収容部38は、上端部に開口39を有する略ボックス形状に形成されている。
【0049】
ベルトクリーニングローラ37は、廃トナー収容部38の開口39内において、回転可能に支持されている。
【0050】
そして、ベルトクリーニングユニット32では、ベルトクリーニングローラ37が搬送ベルト18の下側部分35を挟んでバックアップローラ33に対向配置されるように、下側から搬送ベルト18の下側部分35に接触されている。ベルトクリーニングユニット32は、搬送ベルト18の表面に付着したトナーなどを、ベルトクリーニングローラ37によって除去し、廃トナー収容部38内に収容する。
3.画像形成動作
カラーレーザプリンタ1では、カラー画像を形成するカラーモードと、黒色の画像を形成するモノクロモードとを切り替えることができる。
(1)カラーモード
カラーモードでは、上述し、図2(a)に示すように、各感光ドラム12は、上側から搬送ベルト18の上側部分34に接触されている。
【0051】
そして、画像形成動作が実施されると、上述したように、給紙部3から給紙された用紙Pは、搬送ベルト18によって、前側から後側に向かって、各感光ドラム12と各転写ローラ19とが対向する転写位置を順次通過するように搬送される。
【0052】
このとき、搬送中の用紙Pは、搬送ベルト18の上側水平部分34Aによって水平に搬送され、ブラック感光ドラム12Kと、ブラック感光ドラム12Kに対応する転写ローラ19との間を通過した後、搬送ベルト18の上側傾斜部分34Bの傾斜に沿って、後側に向かうに従って上側に搬送される。
【0053】
そして、用紙Pの先端は、ベルトユニット31の後端部において、搬送ベルト18が駆動ローラ16の周面に沿って下側へ周回移動されるに伴って、搬送ベルト18から剥がれて、定着ユニット11のニップ部Nに向かうように後上側へ送り出される。
【0054】
すると、ベルトユニット31の後端部から後上側へ送り出された用紙Pの先端は、定着ユニット11のニップ部Nに誘い込まれる。これにより、ベルトユニット31から定着ユニット11へ用紙Pが受け渡される。
【0055】
そして、用紙Pは、先端が定着ユニット11のニップ部Nに誘い込まれた後においても、引き続き、搬送ベルト18の上側傾斜部分34Bによって、後上側へ向かって案内される。
【0056】
これにより、用紙Pは、ブラック感光ドラム12Kと、ブラック感光ドラム12Kに対応する転写ローラ19との間を通過した後、ベルトユニット31の後端部に到達するまで、搬送ベルト18から引き剥がされることが抑制される。
(2)モノクロモード
モノクロモードでは、図2(b)に示すように、ブラック感光ドラム12Kが搬送ベルト18に接触されるとともに、ブラック感光ドラム12K以外の各感光ドラム12(すなわち、シアン感光ドラム12C、マゼンタ感光ドラム12Mおよびイエロー感光ドラム12Y)が搬送ベルト18から離間される。
【0057】
なお、ブラック感光ドラム12K以外の各感光ドラム12を搬送ベルト18から離間させるには、図示しない公知の接離機構により、各感光ドラム12のドラム軸(図示せず)を上側に移動させる。
【0058】
そして、モノクロモードにおいても、上記したカラーモードと同様に、給紙部3から給紙された用紙Pは、搬送ベルト18の上側水平部分34Aによって水平に搬送され、ブラック感光ドラム12Kと、ブラック感光ドラム12Kに対応する転写ローラ19との間を通過した後、搬送ベルト18の上側傾斜部分34Bの傾斜に沿って、後側に向かうに従って上側に搬送される。
【0059】
これにより、モノクロモードにおいても、用紙Pは、ブラック感光ドラム12Kと、ブラック感光ドラム12Kに対応する転写ローラ19との間を通過した後、ベルトユニット31の後端部に到達するまで、搬送ベルト18から引き剥がされることが抑制される。
4.作用効果
(1)このカラーレーザプリンタ1によれば、図1に示すように、加熱ローラ20と加圧ローラ21とのニップ部Nが、搬送ベルト18よりも上側に配置されている。
【0060】
そのため、定着ユニット11を搬送方向上流側(前側)に配置することができ、前後方向において、カラーレーザプリンタ1を小型化することができる。
【0061】
一方、定着ユニット11を上側に配置すると、従来の搬送ベルト18では、図5に示すように、搬送ベルト18が前後方向に延びる一方、用紙Pが後上側の定着ユニット11へ受け渡されるため、用紙Pが、搬送ベルト18から定着ユニット11へ受け渡されるときに、搬送ベルト18から引き剥がされる場合がある。この場合、用紙Pと搬送ベルト18との間に剥離放電が発生する場合がある。用紙Pと搬送ベルト18との間に剥離放電が発生すると、用紙P上のトナー像が乱れる場合がある。
【0062】
しかし、このカラーレーザプリンタ1によれば、搬送ベルト18は、ブラック感光ドラム12Kに接触される第1接触部P1と、イエロー感光ドラム12Yに接触される第2接触部P2との間に設けられる上側水平部分34Aと、第1接触部P1の後側において、定着ユニット11のニップ部Nに向かうように、上側水平部分34Aに対して傾斜される上側傾斜部分34Bとを備えている。
【0063】
つまり、搬送ベルト18が第1接触部P1において屈曲され、搬送ベルト18に、ニップ部Nに向かうように傾斜される上側傾斜部分34Bが形成されている。
【0064】
そのため、定着ユニット11を上側に配置した構成において、搬送ベルト18の上側傾斜部分34Bによって、用紙Pを定着ユニット11のニップ部Nへ案内することができる。
【0065】
また、用紙Pが搬送ベルト18から定着ユニット11へ受け渡された後においても、引き続き、用紙Pを、上側傾斜部分34Bによってニップ部Nへ向かうように案内することができる。
【0066】
その結果、用紙Pが搬送ベルト18から引き剥がされることを防止することができ、剥離放電の発生を抑制することができる。
(2)また、このカラーレーザプリンタ1によれば、図1に示すように、上側傾斜部分34Bは、搬送ベルト18の上側部分34がブラック感光ドラム12Kの周面に沿って屈曲されることにより、傾斜されている。
【0067】
そのため、別途、搬送ベルト18の上側部分34を屈曲させるための部材を設けることなく、部品点数の低減を図りながら、搬送ベルト18の上側傾斜部分34Bを傾斜させることができる。
(3)また、このカラーレーザプリンタ1によれば、図2(a)および図2(b)に示すように、各感光ドラム12のうち、ブラック感光ドラム12Kが最後方に配置されている。
【0068】
そのため、モノクロモードとカラーモードの両モードで搬送ベルト18に接触されるブラック感光ドラム12Kにより、搬送ベルト18の上側部分34を屈曲させることができる。
【0069】
これにより、モノクロモードとカラーモードの両モードにおいて、搬送ベルト18を同様に屈曲させることができる。
【0070】
その結果、モノクロモードおよびカラーモードの両モードにおいて、同一の搬送経路で用紙Pを搬送することができる。
(4)また、このカラーレーザプリンタ1によれば、図1に示すように、搬送ベルト18の下側部分35には、下側部分35がバックアップローラ33の周面に沿って屈曲されることにより、上側傾斜部分34Bと略平行するように後上側へ向かって傾斜される下側傾斜部分36が形成されている。
【0071】
これにより、下側傾斜部分36の下側に空間を形成することができ、例えば、下側傾斜部分36の下側に制御基板(図示せず)を配置するなど、搬送ベルト18の周囲をより有効活用することができる。
(5)また、このカラーレーザプリンタ1によれば、図1に示すように、バックアップローラ33と対向配置されるように、ベルトクリーニングローラ37が設けられている。
【0072】
つまり、ベルトクリーニングローラ37に対向されるバックアップローラ33を利用して、搬送ベルト18の下側部分35を屈曲させている。
【0073】
そのため、別途、搬送ベルト18の下側部分35を屈曲させるための部材を設けることなく、部品点数の低減を図りながら、搬送ベルト18の下側傾斜部分36を傾斜させることができる。
(6)また、このカラーレーザプリンタ1によれば、上述したように、前後方向に小型化されている。
【0074】
そのため、従来のカラーレーザプリンタ(上記特許文献1参照)と比較すると、排紙ローラ22から排紙トレイ23上に積載された用紙P(図1参照)は、より、カラーレーザプリンタ1の前端部近傍に積載される。
【0075】
その結果、ユーザは、カラーレーザプリンタ1の前側から、用紙Pを容易に把持することができる。
5.変形例
(1)第1変形例
上記した実施形態では、ベルトユニット31の後端部を後上側に屈曲させることにより、搬送ベルト18の上側部分34を後上側へ屈曲させたが、第1変形例では、図3に示すように、駆動ローラ41を、従動ローラ17よりも大径に形成することにより、搬送ベルト18の上側部分34をニップ部Nへ向かうように屈曲させることもできる。なお、図3において、図1と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0076】
詳しくは、駆動ローラ41は、従動ローラ17よりも大径に形成され、ベルトユニット31の後端部に配置されている。
【0077】
従動ローラ17は、前後方向に投影したときに、その上端縁が、駆動ローラ41の上端縁よりも下側に配置され、その下端縁が、駆動ローラ41の下端縁とともに前後方向に延びる水平面を形成するように、ベルトユニット31の前端部に配置されている。
【0078】
そして、上記した実施形態と同様に、搬送ベルト18の上側部分34は、各感光ドラム12によって上側から押圧され、ブラック感光ドラム12Kと、ブラック感光ドラム12Kに対応する転写ローラ19との間に挟持される第1接触部P1において、ブラック感光ドラム12Kの周面に沿って屈曲されている。
【0079】
これにより、上側部分34には、第1接触部P1と、イエロー感光ドラム12Yに接触される(イエロー感光ドラム12Yと、イエロー感光ドラム12Yに対応する転写ローラ19との間に挟持される)第2接触部P2との間において、第1部分の一例としての上側水平部分34Aが形成されている。また、上側部分34には、第1接触部P1の後側において、上側水平部分34Aに対して、ニップ部Nに向かうように後側に向かうに従って上側に傾斜される第2部分の一例としての上側傾斜部分34Bが形成されている。
【0080】
第1変形例においても、上記した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
(2)第2変形例
上記した実施形態および第1変形例では、搬送ベルト18の上側部分34を、ブラック感光ドラム12Kの周面に沿って屈曲させたが、第2変形例では、図4に示すように、ブラック感光ドラム12Kの後側にガイドローラ51を備え、搬送ベルト18の上側部分34を、ガイドローラ51の周面に沿って屈曲させることもできる。なお、図4において、図1と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0081】
詳しくは、ガイドローラ51は、各感光ドラム12よりも小径に形成され、最後方の感光ドラム12(ブラック感光ドラム12K)と駆動ローラ41との間に配置されている。
【0082】
また、ガイドローラ51は、その下端縁が各感光ドラム12の下端縁とともに前後方向に延びる水平面を形成するように、配置されている。
【0083】
そして、搬送ベルト18の上側部分34は、各感光ドラム12およびガイドローラ51によって上側から押圧され、ブラック感光ドラム12Kと、ブラック感光ドラム12Kに対応する転写ローラ19との間に挟持される第1接触部P1よりも後側において、ガイドローラ51の周面に沿って屈曲されている。
【0084】
これにより、上側部分34には、第1接触部P1と、イエロー感光ドラム12Yに接触される(イエロー感光ドラム12Yと、イエロー感光ドラム12Yに対応する転写ローラ19との間に挟持される)第2接触部P2との間において、第1部分の一例としての上側水平部分34Aが形成されている。また、上側部分34には、第1接触部P1の後側において、上側水平部分34Aに対して、ニップ部Nに向かうように後側に向かうに従って上側に傾斜される第2部分の一例としての上側傾斜部分34Bが形成されている。
【0085】
第2変形例においても、上記した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
(3)その他の変形例
上記した実施形態では、複数の感光ドラム12を前後方向に並列配置したが、例えば、複数の感光ドラム12を上下方向に並列配置し、用紙Pを上下方向に搬送するようにしてもよい。
【0086】
この場合には、上下方向にカラーレーザプリンタ1を小型化することができる。また、上記した実施形態と同様に、剥離放電の発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0087】
1 カラーレーザプリンタ
12 感光ドラム
12K ブラック感光ドラム
16 駆動ローラ
17 従動ローラ
18 搬送ベルト
20 加熱ローラ
21 加圧ローラ
33 バックアップローラ
34A 上側水平部分
34B 上側傾斜部分
36 下側傾斜部分
37 ベルトクリーニングローラ
41 駆動ローラ
P 用紙
N ニップ部
P1 第1接触部
P2 第2接触部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに間隔を隔てて所定方向に並列配置され、現像剤像を担持する複数の感光体と、
各前記感光体に接触され、現像剤像が転写される被転写部材を各前記感光体に接触されるように搬送する搬送ベルトと、
前記被転写部材の搬送方向において、前記搬送ベルトの下流側に配置され、現像剤像を前記被転写部材に定着させる定着ユニットと
を備え、
前記定着ユニットは、
前記被転写部材を加熱する加熱部材と、
前記加熱部材に圧接されるように配置され、前記加熱部材との間にニップ部を形成する加圧部材と
を備え、
前記定着ユニットは、前記ニップ部が、前記感光体と前記搬送ベルトとの対向方向において、前記搬送ベルトよりも前記感光体側に配置されており、
前記搬送ベルトは、
前記搬送方向最下流の前記感光体に接触される第1接触部と、前記搬送方向最下流の前記感光体に隣接配置される前記感光体に接触される第2接触部との間に設けられる第1部分と、
前記第1接触部の前記搬送方向下流側において、前記ニップ部に向かうように、前記第1部分に対して傾斜される第2部分と
を備えていることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
前記第2部分は、前記搬送ベルトが前記搬送方向最下流の前記感光体の周面に沿って屈曲されることにより、前記第1部分に対して傾斜されることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記搬送方向最下流の前記感光体は、ブラックの現像剤像を担持するブラック感光体であり、
各前記感光体のうち、前記ブラック感光体のみが前記搬送ベルトに接触されるとともに、前記ブラック感光体以外の各前記感光体が前記搬送ベルトから離間され、モノクロ画像を形成するモノクロモードと、
すべての前記感光体が前記搬送ベルトに接触され、カラー画像を形成するカラーモードと
に切り替え可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記所定方向において間隔を隔てて対向配置され、周りに前記搬送ベルトが掛け渡される1対の第1ローラ部材と、
前記搬送ベルトに囲まれるように、両前記第1ローラ部材の間に配置される第2ローラ部材と
を備え、
前記1対の第1ローラ部材は、前記対向方向一方側において各前記感光体に接触されるように、前記搬送ベルトを周回移動させ、
前記第2ローラ部材は、前記対向方向他方側の前記搬送ベルトに対して、前記対向方向一方側から接触され、
前記搬送ベルトは、前記第2ローラ部材の周面に沿って、前記第2部分と略平行するように傾斜される第3部分を備えていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2ローラ部材と対向配置されるように、前記対向方向他方側の前記搬送ベルトに対して前記対向方向他方側から接触され、前記搬送ベルトをクリーニングするクリーニング部材をさらに備えていることを特徴とする、請求項4に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−73444(P2012−73444A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218380(P2010−218380)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】