画像形成装置
【課題】 トナー規制部材と現像剤担持体間に印加する電圧を適正に設定することで、安定したトナーコート層を形成し、印字枚数やトナー消費量によらず、長期に渡って良好な画像を得ることができる画像形成装置を提案することにある。
【解決手段】 電圧印加手段が複数の直流電圧を印加した時に、電流検知手段によって検知された直流電流の極小値をVbminとして、
潜像を現像する時に電圧印加手段が印加する直流電圧値をVbとした場合に、
|Vb|>|Vbmin|
を満たすようにVbを設定する。
【解決手段】 電圧印加手段が複数の直流電圧を印加した時に、電流検知手段によって検知された直流電流の極小値をVbminとして、
潜像を現像する時に電圧印加手段が印加する直流電圧値をVbとした場合に、
|Vb|>|Vbmin|
を満たすようにVbを設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の一成分トナーを用いた現像方式としては、弾性層を有する現像剤担持体としての現像ローラを用いた接触現像方式が提案されている。現像ローラ上に付着した現像剤の層規制及び摩擦帯電による電荷付与は、現像剤規制部材としてのトナー規制部材を、現像ローラに当接することにより行われる。トナー規制部材としては、金属薄板を片持ちで支持し、その対向部の腹面を現像ローラに当接するブレード形状のものを用いることが提案されている。トナー規制部材により現像ローラ上にコートされた現像剤は、感光ドラム上に形成された静電潜像と、現像ローラ上に印加されたバイアスの電位により、前記静電潜像を現像する。
【0003】
また、現像ローラ上に形成する現像剤のコート層の帯電量および層厚の安定化のために、現像ローラとトナー規制部材間に電圧を印加することが知られている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−163118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現像ローラとトナー規制部材間に電圧を印加するため、トナーはトナー規制部材通過中に、現像ローラの方向へ押付けられる。これにより、トナーは、印加電圧によるストレスを受け、帯電性の低下や凝集性の増加を促進する場合があった。その結果、長期に渡って安定した画像を得ることが難しかった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、現像剤の劣化を抑制しつつ、良好な画像を得ることにある。また、本発明の他の目的は、現像剤規制部材によって規制された、現像剤担持体上の現像剤の層厚の安定化を図ることにある。また、本発明の他の目的は、現像剤担持体と現像剤規制部材との間の現像剤の状態を精度良くユーザーに報知することにある。また、本発明の他の目的は、現像剤担持体と現像剤規制部材との間の現像剤の状態に応じて現像剤を補給することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明の代表的な構成は、
像担持体に形成された潜像を現像するために現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、
前記現像剤担持体と前記現像剤規制部材との間に、値が異なる複数の直流電圧を印加可能な電圧印加手段と、
前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に前記現像剤規制部材に流れる、値が異なる複数の直流電流を検知可能な電流検知手段と、
を有しており、
前記潜像を現像する前であって前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に、前記電流検知手段によって検知された直流電流が極小値であるときの直流電圧値をVbminとして、
前記潜像を現像する時に前記電圧印加手段が印加する直流電圧値をVbとした場合、
|Vb|>|Vbmin|
を満たすようにVbを設定することを特徴とする。
【0008】
上記の目的を達成するための本願発明の他の代表的な構成は、
像担持体に形成された潜像を現像するために現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、
前記現像剤担持体と前記現像剤規制部材との間に、値が異なる複数の直流電圧を印加可能な電圧印加手段と、
前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に前記現像剤規制部材に流れる、値が異なる複数の直流電流を検知する電流検知手段と、
を有しており、
前記潜像を現像する前であって前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加する時に、前記電流検知手段によって検知された、前記複数の直流電流の極小値と極大値の差分をDとして、
前記潜像を現像する時に前記電圧印加手段が印加する直流電圧値をVbとした場合、
Dに基づいてVbを設定することを特徴とする。
【0009】
本願発明の他の代表的な構成は、
像担持体に形成された潜像を現像するために現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、
前記現像剤担持体と前記現像剤規制部材との間に、値が異なる複数の直流電圧を印加する電圧印加手段と、
前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に前記現像剤規制部材に流れる、値が異なる複数の直流電流を検知する電流検知手段と、
を有しており、
前記潜像を現像する前であって前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に、前記電流検知手段によって前記複数の直流電流の極小値及び極大値が検知され、前記極小値である時に前記電圧印加手段が印加した直流電圧値と、前記極大値である時に前記電圧印加手段が印加した直流電圧値と、の差分をVsとして、
前記潜像を現像する時に前記電圧印加手段が印加する直流電圧値をVbとした場合、
Vsに基づいてVbを設定することを特徴とする。本願発明の他の代表的な構成は、
像担持体に形成された潜像を現像するために現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、
前記現像剤担持体と前記現像剤規制部材との間に、値が異なる複数の直流電圧を印加する電圧印加手段と、
前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に前記現像剤規制部材に流れる、値が異なる複数の直流電流を検知する電流検知手段と、
を有しており、
前記潜像を現像する前であって前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に、前記電流検知手段が前記複数の直流電流を検知し、前記複数の直流電流の極小値と極大値との差分をDとして、
前記極小値である時に前記電圧印加手段が印加した直流電圧値と、前記極大値である時に前記電圧印加手段が印加した直流電圧値と、の差分をVsとして、
前記潜像を現像する時に前記電圧印加手段が印加する直流電圧値をVbとした場合、
Vs/D(=H)に基づいて前記Vbを設定することを特徴とする。
【0010】
本願発明の他の代表的な構成は、
像担持体に形成された潜像を現像するために現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、
前記現像剤担持体と前記現像剤規制部材との間に、値が異なる複数の直流電圧を印加可能な電圧印加手段と、
前記電圧印加手段が前記直流電圧を印加した時に前記現像剤規制部材に流れる、値が異なる複数の直流電流を検知する電流検知手段と、
前記電流検知手段に検知された前記複数の直流電流に基づいて前記現像剤担持体と前記現像剤規制部材との間の現像剤の状態に関連する情報を報知する報知手段と、
を有することを特徴とする。
【0011】
本願発明の他の代表的な構成は、
像担持体に形成された潜像を現像するために現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、
前記現像剤担持体へ供給するための現像剤を収納する現像剤収納部と、
前記現像剤収納部へ補給するための現像剤を収納する現像剤補給部と、
前記現像剤担持体と前記現像剤規制部材との間に、値が異なる複数の直流電圧を印加可能な電圧印加手段と、
前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に前記現像剤規制部材に流れる、値が異なる複数の直流電流を検知する電流検知手段と、
前記電流検知手段に検知された前記複数の直流電流に基づいて、前記現像剤補給部から前記現像剤収納部へ現像剤を補給する補給制御手段と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、現像剤の劣化を抑制しつつ、良好な画像を得ることができる。また、他の本発明によれば、現像剤規制部材によって規制された、現像剤担持体上の現像剤の層厚の安定化を図ることができる。また、他の本発明によれば、現像剤担持体と現像剤規制部材との間の現像剤の状態を精度良くユーザーに報知することができる。また、他の本発明によれば、現像剤担持体と現像剤規制部材との間の現像剤の状態に応じて現像剤を補給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1における画像形成装置の断面図である。
【図2】実施例1におけるプロセスカートリッジの断面図である。
【図3】実施例1における現像装置および現像装置に関わる画像形成装置の一部を示す図である。
【図4】実施例1における電流測定手段の概略図である。
【図5】実施例1における直流電圧Vbを設定するためのフローチャートである。
【図6】電源S2による直流電圧Vbの作動時間と直流電圧Vbの関係を示す図である。
【図7】実施例1におけるVbの入力波形とIb=Ib(Vb)の関係
【図8】電流差Dと印字枚数との関係を示す図である。
【図9】直流電圧値の変動幅を説明する図である。
【図10】良好な画像を得るために適正な直流電圧Vbの関係をVb=Vb(D)として算出した図である。
【図11】実施例1における適正な直流電圧Vbを算出するためのフローチャートである。
【図12】実施例1における警告・停止を判別するフローチャートである。
【図13】電圧差Vsと印字枚数との関係を示す図である。
【図14】良好な画像を得るために適正な直流電圧Vbの関係をVb=Vb(Vs)として算出した図である。
【図15】実施例2における適正な直流電圧Vbを算出するためのフローチャートである。
【図16】実施例3における電流差Dに対する前記電圧差Vsの比Hと印字枚数との関係を示す図である。
【図17】Hの値に対する良好な画像を得るために適正な直流電圧Vbの関係をVb=Vb(H)として算出した図である。
【図18】実施例3における適正な直流電圧Vbを算出するためのフローチャートである。
【図19】実施例4における現像装置および現像装置に関わる画像形成装置の一部を示す概略機構図である。
【図20】実施例4における直流電圧Vbを設定する手順を示すフローチャートである。
【図21】比較例1における現像装置および現像装置にかかわる画像形成装置の一部を示した図である。
【図22】比較例2において印字枚数Rの値に対する良好な画像を得るために適正な直流電圧Vbの関係をVb=Vb(R)として算出したものである。
【図23】比較例2における適正なVbを算出するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
《実施例1》
(本体構成)
図1は本実施例の画像形成装置の断面図である。図1に示す本画像形成装置Aは、電子写真プロセス利用のフルカラーレーザープリンタである。以下に本実施例における画像形成装置Aの全体的な概略構成について述べる。
【0015】
図2は、帯電装置E、現像装置F、クリーニング装置C、及び、感光ドラム1を一体としたプロセスカートリッジB(以下、「カートリッジB」と称す)の断面図である。
【0016】
本画像形成装置Aは、カートリッジBを、イエロー、マゼンダ、シアン、黒色の各色について4連に並べ、各色のカートリッジBで形成されたトナー像を、転写装置の中間転写ベルト20上に転写することでフルカラー画像を形成するものである。プロセスカートリッジB上における画像の形成工程については後述する。
【0017】
各色のカートリッジBにより、被現像体である感光ドラム1上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト20を挟んで、各色の感光ドラム1の対向位置に設けられた1次転写ローラ22y、22m、22c、22kにより、中間転写ベルト20上で転写される。そして、転写されたトナー像は、中間転写ベルトの移動方向下流側に設けられた2次転写ローラ23により、一括して記録紙上に転写される。なお、中間転写ベルト20上の未転写トナーは、中間転写ベルトクリーナー21によって回収される。
【0018】
記録媒体である記録紙Pは画像形成装置A下部のカセット24内に積載されており、印字動作の要求とともに給紙ローラ25により搬送される。そして、記録紙Pは、2次転写ローラ23の位置において、中間転写ベルト20上に形成されたトナー像を転写される。
【0019】
その後、定着ユニット26により記録紙上のトナー像は記録紙Pに加熱定着される。そして、記録紙Pは、排紙部27を経て画像形成装置Aの外部に排出される。
【0020】
画像形成装置Aにおいては、各4色の着脱可能なプロセスカートリッジB等を収納する上部のユニット、転写ユニット、記録紙等を収納する下部ユニットとが分離可能になっている。そして、紙詰まり等のジャム処理発生時や、プロセスカートリッジBの交換時において、上下のユニットを開口することにより前記処理を行う。
【0021】
次に、カートリッジBにおける画像形成プロセスについて説明する。
【0022】
図2は、並列におかれた4つのカートリッジBの1つに注目し、その近傍の断面を示したものである。
【0023】
画像形成プロセスの中心となる像担持体としての感光ドラム1はアルミニウム製シリンダの外周面に機能性膜である下引き層、キャリア発生層、キャリア移送層を順にコーティングした有機感光ドラムである。画像形成プロセスにおいて、感光ドラム1は180mm/secの速度で画像形成装置Aにより図中矢印a方向へ駆動される。
【0024】
帯電装置である帯電ローラ2は、導電性ゴムのローラ部を感光ドラム1に加圧接触して矢印b方向に従動回転する。ここで帯電ローラ2の芯金には、帯電工程として、感光ドラム1に対して―1100Vの直流電圧が印加される。これにより誘起された電荷によって、感光ドラム1の表面に、―550Vとなる一様な暗部電位(Vd)が形成される。
【0025】
この一様な表面電荷分布面に対して、スキャナーユニット10により、画像データに対応してレーザ光が発光される。このレーザ光は、図2中の矢印Lで示すように感光ドラム1の表面を露光し、露光された部位は、キャリア発生層からのキャリアにより表面の電荷が消失し、電位が低下する。この結果、露光部位は明部電位Vl=−100Vであり、未露光部位は暗部電位Vd=−550Vである静電潜像が、感光ドラム1上に形成される。
【0026】
前記静電潜像は、所定のコート量及び電荷量の、現像剤担持体としての現像ローラ3上に形成されたトナーコート層を持つ現像装置により現像される。前記トナーコート層の形成方法については後述する。前記現像ローラ3は感光ドラム1に接触しながら、矢印cに示すように順方向に回転している。本実施例においては、現像ローラ3に印加されたDCバイアス=―300Vに対して、摩擦帯電によりマイナスに帯電したトナーが、感光ドラム1に接触する現像部において、その電位差から、明部電位部にのみ飛翔して静電潜像を実像化する。
【0027】
各カートリッジBの感光ドラム1に接触する中間転写ベルト20は、感光ドラム1に対向した1次転写ローラ22(22y、22m、22c、22k)により感光ドラム1に加圧される。更に、1次転写ローラ22には直流電圧が印加されており、感光ドラム1との間で電界が形成されている。これにより、感光ドラム1上で実像化されたトナー像は、前記の加圧接触する転写領域において、電界の力を受けて感光ドラム1上から中間転写ベルト20上に転写される。一方、感光ドラム1上で中間転写ベルト20に転写されずに残った未転写トナーは、クリーニング装置Cに設置されたウレタンゴム製のクリーニングブレード6により、ドラム表面から掻き落とされ、クリーニング装置C内に収納される。
【0028】
以下、本実施例1の現像装置の詳細を述べる。
【0029】
図3は、実施例1の現像装置Fおよび現像装置Fに関わる画像形成装置の一部を示している。現像装置Fは、現像剤を収納する現像剤収納部としての現像容器Tと現像ローラ3と供給ローラ5とトナー規制部材4と撹拌部材11とを有している。ここで、現像容器Tは非磁性一成分トナーを収容している。また、現像ローラ3は、感光ドラム1に対して接触しながら順方向cに回転する。また、供給ローラ5は、現像ローラ3に対して接触しながら逆方向dに回転する。また、現像剤規制手段(現像剤規制部材)であるトナー規制部材4は、供給ローラ5の下流側で現像ローラ3に当接する。そして、撹拌部材11は、現像剤であるトナーを撹拌する。
【0030】
現像剤である一成分非磁性トナーは、結着樹脂、電荷制御剤を含む懸濁重合法により調整され、流動化剤などを外添剤として添加することでネガ極性を有するように作製した。高画質化の点で、重合法であることが好ましい。
【0031】
本実施例においては、現像ローラ3は、外径φ6mmの芯金に導電性の弾性層5mmを形成したφ16mmの弾性ローラであり、前記弾性層には体積抵抗値106Ωmのシリコーンゴムを用いた。なお、前記弾性ローラの表層には現像剤への電荷付与機能を持つコート層等を設けるようにしてもよい。本実施例では、感光ドラム1に安定して弾性接触させるために、弾性層の硬度をJIS−Aで45°、現像ローラ3の表面粗さとしては、使用するトナーの粒径にもよるが、算術平均粗さRaは0.05〜3.0μmとした。本実施例における表面粗さRaの測定は、JIS B0601に基づいて小坂研究所(株)製の表面粗さ試験機SE−30を使用した。高画質化のためには、算術平均粗さ0.3〜1.0μmであることが好ましい。
【0032】
さらに、供給ローラ5は、本実施例においては、外径φ5mmの芯金上に発泡骨格構造で比較的低硬度のポリウレタンフォームを5.5mm形成した外径φ16mmの弾性スポンジローラを用いた。供給ローラ5は、連泡性の発泡体で構成されており、過大な圧を加えることなく現像ローラ3と当接している。そして、供給ローラ5は、その発泡体表面の適度な凸凹で現像ローラ3上へのトナーの供給、および、現像時に消費されずに残像したトナーの剥ぎ取りを行っている。このセル構造の掻き取り性はウレタンフォームに限定されるものでなく、シリコーンゴムやエチレンプロピレンジエンゴム(EPDMゴム)等を発泡させたゴム等が使用可能である。
【0033】
現像ローラ回転方向cに対して、供給ローラ5と現像ローラ3との接触面の下流側には、現像ローラ3に当接する現像剤規制手段としてのトナー規制部材4が設けられている。トナー規制部材4は、現像ローラ3上のトナーを感光ドラム1上における現像に適した所定のコート量、及び、所定の電荷量に制御することを目的とする。トナー規制部材4は現像容器に固定された支持板金41に、リン青銅板やステンレス板などの薄板状弾性部材42を片持ちで支持し、その対向部の腹面を現像ローラ3に対して当接している。本実施例1においては、厚さ1.2mmの鉄板を支持板金として使用し、厚み120μmのリン青銅板を薄板状弾性部材として前記支持板金に固定支持している。薄板状弾性部材42の片持ち支持部から現像ローラ3との当接部までの距離、いわゆる自由長さは14mmであり、現像ローラ3の薄板状弾性部材42に対する押し込み量は1.5mmである。
【0034】
つぎに、現像装置にかかわる画像形成装置本体部分について述べる。前述した現像ローラ3への電圧印加は、電源S1により行う。さらに、規制部材4への電圧印加は電源S2により行う。ここで、電源S2により印加される電圧値が可変であるように構成されている(電源S2は、値が異なる複数の直流電圧を印加可能である)。つまり、現像ローラ3と規制部材4間の直流電圧は、上述の電源S2を調整することで設定する。ここで、本実施例1では、電源S2は、電圧印加手段K1と電圧制御手段K2により構成される。また、本実施例における現像ローラ3と規制部材4間の直流電圧は、トナーを現像ローラ3側に押付ける方向に電圧を印加するように設定する。即ち、現像ローラ3に対する規制部材4の電圧の符号が、トナーの極性の符号と同じ側であるように設定する。本実施例においては、現像剤であるトナーは、ネガ極性であり、電源S1により印加する電圧が−300Vである。そのため、電源S2により供給される電圧は、−300Vより小さい値(ネガ側)に設定する。例えば、電源S1から供給される電圧が−300V、直流電圧値Vbが200Vとは、電源S2が−500Vであることを意味する。
【0035】
一方、現像剤であるトナーが、ポジ極性である場合、電源S1により供給される電圧より大きい値の電圧が電源S2から供給される(電源S2により供給される電圧は、電源S1により供給される電圧よりポジ側に設定する)。
【0036】
また、本実施例1における現像装置は、トナー容量を含む寿命は、A4用紙印字率5%換算で1万5千枚相当に設定されているものを使用している。
【0037】
図3は、本実施例1における現像装置と現像装置にかかわる画像形成装置本体の概略図である。電源S1、S2は、画像形成装置本体に設けられた演算処理手段Jにつながっている。また、規制ブレードを流れる電流Ibを検知可能(測定可能)な電流検知手段である電流計Iを備えている。電流値の正の方向iは、図中に示した方向とした。前記電流計Iもまた、検知データを転送できるように、前記演算処理手段Jにつながっている。
【0038】
本実施例における電流計は、図4に示すように、電流検知時は、スイッチSWは、端子p3と繋がり、端子p2−端子p3間の電圧を電圧計Vにより検知することで、電流値を検出する。このとき、抵抗Rは、10kΩを用い、電流値を検知していない時は、スイッチSWは、端子p1と繋がるように設定した。そのため、電流計IおよびスイッチSWもまた、演算処理手段Jにつながっている。さらに、演算処理手段Jは、演算処理を行う演算処理部のCPU、検知データを格納する書き換え可能な記憶装置RAM、予め用意されたデータを格納する記憶装置ROMにより構成している。そして、これらは、互いにデータの転送・読み込み可能となるように設定されている。
【0039】
つぎに、本実施例の直流電圧Vbの設定方法について述べる。図5は、直流電圧Vbを設定する手順を示すフローチャートである。ステップsa01では、電源S2により、直流電圧Vbを作動させる。具体的には、図6に示すように直流電圧Vbは、サイン波0Vから150Vまで、約20秒間変化させる。つぎにステップsa02では、直流電圧Vbの値に対応する直流電流Ibを電流計Iにより検知し、RAMに格納する。RAM内に格納した直流電圧Vbおよび直流電流Ibから、直流電圧Vbに対する直流電流Ibの関係Ib(Vb)をCPUにより算出し、RAMに格納する。検出器の精度にもよるが、直流電圧Ibの変動幅の影響を小さくため、適宜、平滑化等を行ってもよい。
【0040】
つぎに、ステップsa03極小値検出工程について述べる。ステップsa02で算出されたIb(Vb)の極大値および極小値の差分である電流差Dを算出し、電流差Dが、D≧0.05μAを満たすとき、Ib(Vb)に極小値を検出するように設定している。電流差D<0.05μAでは、装置停止を行ない、直流電圧Vb設定を終了する。電流差Dによって極小値検知を行う理由は後述する。
【0041】
前記sa03にて、直流電流Ib(Vb)の極小値がCPUにより検出された後、ステップsa04において、極小値時の直流電圧値Vbminの値をCPUにより算出し、RAM内に格納する。その後、ステップsa05の後述する直流電圧Vbの適正値算出工程により得たVbの値を基に、ステップsa06において、演算処理手段の作動命令により、電源S2が作動し、直流電圧Vbを設定する。前記sa05の直流電圧Vbの適正値算出工程の詳細説明の前に、直流電圧Vbに対する直流電流Ib(Vb)について述べる。
【0042】
図7は、本実施例におけるIb=Ib(Vb)の関係を示した例である。
【0043】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、図8に示すように、電流差Dの値は、印字枚数とともに、徐々に減少することが分かった。この理由は、十分明らかになってはいないが、概ね以下のような現象のために生じると考えられる。
【0044】
まず、Ib=Ib(Vb)中に極小値が生じる理由について述べる。直流電圧Vbの値がVbminより値の小さい領域とVbminより値の大きい領域において、トナーと規制ブレードが接触する回数が変化するため極小値が生じると考えられる。Vbminより値の小さい領域では、トナーは、直流電圧Vbにより現像ローラ方向に働く力は小さいと考えられる。そのため、トナーは、規制ブレードとの接触回数が多くなる。
【0045】
一方、Vbminより値の大きい領域では、トナーは、直流電圧Vbにより現像ローラ方向に働く力は大きくなる。結果、トナーは、現像ローラ方向に押付けられる。そのため、規制ブレードとトナーの接触回数が少なくなると考えられる。規制ブレードとトナーの接触回数が多いとき、トナーと規制ブレード間の摩擦帯電の頻度が増加し、結果、規制ブレードに流れる直流電流Ibが増加する。一方、規制ブレードとトナーの接触回数が少ないとき、トナーと規制ブレード間の摩擦帯電の頻度が低下するため、直流電流Ibが減少する。
【0046】
加えて、直流電圧Vb=Vbminに設定すると、現像ローラ上のトナーコート層に現像ローラ回転方向に不規則な筋が生じる。この理由は、印加電圧により、トナーが現像ローラに押付けられやすい状態と押付けられにくい状態が共存する不安定領域であるために、トナーコート層が乱れると考えられる。
【0047】
このため、縦筋の発生抑制のためには、本実施例において、直流電圧Vbは、|Vb|>|Vbmin|を満たすように設定することが好ましく、|Vb|>|Vbmin|+20Vを満たすように設定することがより好ましい。
【0048】
加えて、Ib=Ib(Vb)の関係を検出終了時の直流電流Voの値は、Vo≠Vbminであることにより、トナーコート層の不安定化による縦筋の発生を抑制できる。本実施例においては、トナーコート層の状態を把握するために、トナーコート層の変化を適宜、検知している。
【0049】
そのため、非画像形成時(検知時)に縦筋が発生すると、画像形成時(非検知時)への影響も大きい。つまり、検知時においても、トナーコート層が不安定となる状態を極力抑えることが好ましい。従って、トナーコート層の不安定化による縦筋の発生を抑制するためには、検出終了時の直流電圧Voは、|Vo|>|Vbmin|を満たすように設定することが好ましく、|Vo|>|Vbmin|+20Vを満たすように設定することがより好ましい。
【0050】
ここで、直流電流Ibの取り込み時の変動幅について述べる。本実施例において、図9に示すように、直流電圧値がVb時の直流電流Ibの変動幅ΔIb(Vb)は、Vbの値から、約5V程度大きい値までの間の変動幅とした。本実施例では、約5V程度としたが、変動幅は、検出装置の検出精度に依存するため、検出装置の検出精度に応じて適宜設定することが好ましい。
【0051】
この変動幅は、トナーコート層が不安定になると、大きくなることが分かった。その理由は概ね以下のように考えられる。直流電圧Vbの値が大きくなると、トナーとトナー間あるいは、トナーと規制ブレード間、トナーと現像ローラ間等に局所的に放電現象が生じる。そのため、不安定なトナーコート層の形成とともに、直流電流値の変動幅が大きくなる。一方、直流電圧値Vbが|Vbmin|≦|Vb|≦|Vbmin|+20Vを満たす領域においては、トナーが十分に現像ローラ側に押付けられる領域であるため、直流電流値の変動幅は小さく安定している。
【0052】
鋭意検討の結果、直流電圧Vb=Vbmin時の直流電流の変動幅ΔIb(Vbmin)を用いて、トナーコート層が著しく不安定となるのは、|ΔIb(Vb)|>10×|ΔIb(Vbmin)|のときであった。
【0053】
従って、トナーコート層の変動を抑制するためには、|ΔIb(Vb)|≦10×|ΔIb(Vbmin)|となるように、直流電圧Vbを設定することが好ましい。
【0054】
つぎに、印字枚数増加ともに電流差Dの値が減少する理由について述べる。
【0055】
現像容器中のトナーは、印字枚数が増加すると、トナー供給ローラやトナー規制部材、感光ドラム等々の摺擦によりストレスを受ける。そのストレスを受けたトナーは、外添剤の遊離や埋め込みが生じ、凝集性が高くなる。
【0056】
トナーの凝集性が高い場合、凝集性が低い場合に比べ、トナー1つ1つの動きやすさは、低下する。そのため、十分な電気的力が加えられても、トナーの凝集状態の変化が小さく、極大値と極小値の差Dも小さくなる。一方、凝集性が低い場合、トナー1つ1つの動きやすさは、高いため、現像ローラ方向へ押付ける電気的力が働くと、トナーの凝集状態が密となるように、大きく変化する。結果、極大値と極小値の差Dも大きくなる。
【0057】
以上のことから、トナーの劣化の進行とともに、電流差Dが減少する理由は、トナーの劣化進行時、印加する直流電圧Vbの値がVbminの前後において、トナーの動きにくさに起因し、トナーの動きが小さくなるためと考えられる。
【0058】
このことから、ステップsa03のIb(Vb)の最小値検出時において、電流差D<0.05μAの状態では、トナーの劣化が非常に進行していると考えられるため、現像装置の停止を行う設定とした。
【0059】
つぎに、本実施例の直流電圧Vb算出工程であるステップsa05の詳細について述べる。
【0060】
図10は、予め用意した現像装置を用いて、Vbminの値に対する良好な画像を得るために適正な直流電圧Vbの関係をVb=Vb(D)として、算出したものである。ここで、Dが小さいほど|Vb|が大きくなっている。
このVb=Vb(D)の関係をROMに予め書き込んだ。
【0061】
前記Vb=Vb(D)の関係の算出に用いた現像装置は、本実施例と同じ構成であり、画像比率5%の連続印字で適宜電流差Dの測定と画像評価することにより、適正な直流電圧Vbの値を算出した。
【0062】
次に、ステップsa05おける本実施例1のフローチャートを図11に示す。ステップsa0511では、前記sa02にて検出し、RAM中に格納したIb=Ib(Vb)を読み込み直流電流Ibの極大値と極小値の電流差DをCPUにより算出し前記RAMに格納する。次に、ステップsa0512にでは、前記RAMに格納された電流差DおよびROM中に予め格納されたVb=Vb(D)を演算処理部のCPUにて読み込み、対比処理し、ステップsa0513により直流電圧Vbの適正値を算出する。その後、ステップsa05の適正な直流電圧Vb算出方法を終了し、前記sa06へ移行する。
【0063】
また、本実施例においては、現像ローラ3とトナー規制部材4との間のトナーの状態に関連する情報(トナーの劣化の進行を反映した情報)に関して、報知工程(現像装置の動作の警告・停止工程)を設けている。以下では、本実施例の現像装置の警告・停止を行う工程について述べる。
【0064】
図12は、現像装置の警告・停止を行う工程を示すフローチャートである。ステップsb01〜sb04までは、前述の直流電圧Vbを設定する工程のステップsa01〜sa04と同じである。
【0065】
その後、sb05の後述する現像装置可動の警告・停止判定工程を経て、警告する場合(sb06yk)には、警告情報を表示し、継続して現像装置を作動し、現像装置可動の警告・停止工程を終了する。sb05の後述する現像装置可動の警告・停止判定工程を経、警告・停止を行わない場合(sb06n)は、継続して現像装置を作動し、現像装置可動の警告・停止工程を終了する。
【0066】
さらに、sb05の後述する現像装置作動の警告・停止判定工程を経、停止を行う場合(sb06yt)は、現像装置を停止させ、現像装置可動の警告・停止工程を終了する。
【0067】
本実施例1における、上述sb05の現像装置可動の警告・停止判定工程について述べる。上述したように、電流差Dの値は、トナーの劣化進行とともに小さくなる。このため、現像装置可動の警告時および停止時の電流差Dの値が予め格納しているROM中の所定値Dkを参照し、D≦Dkとなったとき、現像装置可動の警告または、停止を行う。
【0068】
具体的には、予め用意した現像装置を用いて、警告・停止のタイミングとして、それぞれ適切な所定値Dk1=1.7μA(警告)、Dk2=1.5μA(停止)を算出し、この値をROMに書き込んだ。ここで、前記Dk1、Dk2の値の算出に用いた現像装置は、本実施例と同じ構成であり、画像比率5%の連続印字し、電流差Dの測定と画像評価することにより、適正な値を算出した。これにより、トナー劣化に応じ、現像装置可動の警告・停止を行えるため、スムーズな現像装置あるいはプロセスカートリッジ交換の実現、重大な画像不良や装置本体の汚染を未然に防止することができる。
【0069】
本実施例では、現像装置に関する報知(警告・停止)を行う報知手段Uは、装置本体に設けられている(図3参照)が、ネットワークを通じてPCに報知手段を表示させても良い。
【0070】
また、本実施例においては、直流電圧Vbの設定工程および、現像装置可動の警告・停止工程は、画像形成を行わない非画像形成時中に実施した。
【0071】
具体的には、印字枚数が2000枚おきに各工程を行い、現像装置可動の警告・停止工程により、警告が行われた後は、1000枚おきに、各工程を実施した。
【0072】
警告後、各工程を行うタイミングを短くする理由は、トナーの劣化の加速を考慮し、適宜、調整できるようにするためである。
【0073】
《実施例2》
本実施例は、基本的には実施例1に準ずるが以下の点が異なる。
【0074】
sa05のVbの適正値算出工程において、Ib=Ib(Vb)の極大値と極小値時のそれぞれの直流電圧値Vbmax、Vbminおよびその電圧差Vsを算出し、前記電圧差Vsより直流電圧値Vbの適正値を算出することが異なる。
【0075】
電圧差Vsは、図7に示すように、電流差Dが生じる際の直流電圧の変化量である。発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、図13に示すように、印字枚数の増加に応じVsの値が増加することを見出した。つまり、電圧差Vsは、トナーの劣化と関係する値と考えられる。
【0076】
その理由は、電流差D同様、十分明らかとなってはいないが、概ね以下のためと考えられる。前述したように、トナーの劣化が進行し、トナーの凝集性が高くなると、トナー1つ1つが動きにくくなる。すると、トナーが十分、現像ローラ方向へ押付けられるためには、より大きい電気的な力、すなわち、直流電圧値Vbを必要とする。すなわち、トナーの動きやすさが低下することで、直流電圧Vbにより、トナーが現像ローラ方向へ押付つけられにくくなるため、VbmaxからVbminに到達するまでの電圧差Vsが大きくなる。結果、印字枚数の増加とともに、電圧差Vsが大きくなると考えられる。
【0077】
次に本実施例の直流電圧Vb算出工程であるステップsa05の詳細について述べる。
【0078】
図14は、予め用意した現像装置を用いて、Vsの値に対する良好な画像を得るために適正な直流電圧Vbの関係をVb=Vb(Vs)として、算出したものである。ここで、Vsが大きいほど|Vb|が大きくなっている。
【0079】
このVb=Vb(Vs)の関係をROMに予め書き込んだ。
【0080】
前記Vb=Vb(Vs)の関係の算出に用いた現像装置は、本実施例と同じ構成であり、画像比率5%の連続印字で適宜電圧差Vsの測定と画像評価することにより、適正な直流電圧Vbの値を算出した。
【0081】
次に、ステップsa05における本実施例2のフローチャートを図15に示す。ステップsa0521では、前記sa02にて検出し、RAM中に格納したIb=Ib(Vb)を読み込み直流電流Ibの極大時と極小時の直流電圧VbmaxとVbminの電圧差Vs(=Vbmin−Vbmax)をCPUにより算出し前記RAMに格納する。次に、ステップsa0522にでは、前記RAMに格納された電圧差VsおよびROM中に予め格納されたVb=Vb(Vs)を演算処理部のCPUにて読み込み、対比処理し、ステップsa0523により直流電圧Vbの適正値を算出する。その後、ステップsa05の適正な直流電圧Vb算出方法を終了し、前記sa06へ移行する。
【0082】
また、実施例2は、sb05の現像装置可動の警告・停止判定工程が異なる。まず、sb02によりRAM中に格納したIb=Ib(Vb)を読み込み、直流電流Ibの極大時と極小時の直流電圧VbmaxとVbminの電圧差Vs(=Vbmin−Vbmax)をCPUにより算出する。次に、予め格納されたROM内の所定値VskをCPU内で対比し、Vs≧Vskとなることにより現像装置可動の警告・停止を行うことが異なる。具体的には、予め用意した現像装置を用いて、警告・停止のタイミングとして、それぞれ適切な所定値Vsk1=28V(警告)、Vsk2=30V(停止)を算出し、この値をROMに書き込んだ。ここで、前記Vsk1、Vsk2の値の算出に用いた現像装置は、本実施例と同じ構成であり、画像比率5%の連続印字し、電圧差Vsの測定と画像評価することにより、適正な値を算出した。
【0083】
《実施例3》
本実施例は、基本的には実施例1に準ずるが以下の点が異なる。
【0084】
sa05の直流電圧Vbの適正値算出工程において、前述の電流差Dに対する前記電圧差Vsの比Hを用いて、直流電圧値Vbの適正値を算出することが異なる。図16に示すように、Hの値もまた、印字枚数の増加に応じ増加することから、トナー劣化を反映する値と考えられる。
【0085】
また、比Hはトナーの劣化の進行とともに増加する電圧差Vsをトナーの劣化進行とともに減少する電流差Dで割ったもので表される。そのため、比Hもまた、トナーの劣化の進行とともに増加する。ただし、電流差Dや電圧差Vsの単独の検知に比べ、ばらつきが少なく、精度の高くトナーの劣化の度合を把握できると考えられる。
【0086】
本実施例の直流電圧Vb算出工程であるステップsa05の詳細について述べる。
【0087】
図17は、予め用意した現像装置を用いて、Hの値に対する良好な画像を得るために適正な直流電圧Vbの関係をVb=Vb(H)として、算出したものである。ここで、Hが大きいほど|Vb|が大きくなっている。
【0088】
このVb=Vb(H)の関係をROMに予め書き込んだ。
【0089】
前記Vb=Vb(H)の関係の算出に用いた現像装置は、本実施例と同じ構成であり、画像比率5%の連続印字で適宜Hの測定と画像評価することにより、適正な直流電圧Vbの値を算出した。
【0090】
次に、ステップsa05における本実施例3のフローチャートを図18に示す。ステップsa0531では、前記sa02にて検出し、RAM中に格納したIb=Ib(Vb)を読み込み直流電流Ibの極大時と極小時の電圧差Vs(=Vbmin−Vbmax)および極大値と極小値の電流差D、H=Vs/DをCPUにより算出し前記RAMに格納する。次に、ステップsa0532では、前記RAMに格納されたHおよびROM中に予め格納されたVb=Vb(H)を演算処理部のCPUにて読み込み、対比処理し、ステップsa0523により直流電圧Vbの適正値を算出する。その後、ステップsa05の適正な直流電圧Vb算出方法を終了し、前記sa06へ移行する。
【0091】
また、実施例3は、sb05の現像装置可動の警告・停止判定工程が異なる。まず、前記sb02にて検出し、RAM中に格納したIb=Ib(Vb)を読み込み直流電流Ibの極大時と極小時の電圧差Vs(=Vbmin−Vbmax)および極大値と極小値の電流差D、H=Vs/DをCPUにより算出し前記RAMに格納する。RAM内に格納されたHを読み出し、CPUにて算出した前記Hが、予めROM内に格納された所定値Hk以上になることにより現像装置可動の警告・停止を行うことが異なる。具体的には、予め用意した現像装置を用いて、警告・停止のタイミングとして、それぞれ適切な所定値Hk1=16.5[V/μA](警告)、Hk2=20.0[V/μA]((停止)を算出し、この値をROMに書き込んだ。ここで、前記Hk1、Hk2の値の算出に用いた現像装置は、本実施例と同じ構成であり、画像比率5%の連続印字し、Hの測定と画像評価することにより、適正な値を算出した。
【0092】
《比較例1》
比較例1の現像装置および現像装置にかかわる画像形成装置の一部を図21を用いて述べる。
【0093】
現像剤である一成分非磁性トナーは、結着樹脂、電荷制御剤を含む懸濁重合法により調整され、流動化剤などを外添剤として添加することでネガ極性を有するように作製した。
【0094】
トナー規制部材4cは、現像ローラ3上の前記トナーを感光ドラム1上における現像に適した所定のコート量、及び、所定の電荷量に制御することを目的とする。トナー規制部材4は現像容器に固定された支持板金4c1に、リン青銅板やステンレス板などの薄板状弾性部材4c2を片持ちで支持し、その対向部の腹面を現像ローラ3に対して当接している。本比較例においては、厚さ1.2mmの鉄板を支持板金として使用し、厚み120μmのリン青銅板を薄板状弾性部材として前記支持板金に固定支持している。薄板状弾性部材42の片持ち支持部から現像ローラ3との当接部までの距離、いわゆる自由長さは14mmであり、現像ローラ3の薄板状弾性部材42に対する押し込み量は1.5mmである。
【0095】
つぎに、現像装置にかかわる画像形成装置本体部分について述べる。
【0096】
前述した現像ローラへの電圧印加は、電源s1により−300V印加し、さらに、規制部材への電圧印加は、電源s2により−500V印加する。
【0097】
《比較例2》
本比較例は、基本的には実施例1に準ずるが以下の点が異なる。
【0098】
step05のVbの適正値算出工程において、印字枚数Rを検出し、印字枚数Rにより直流電圧値Vbの適正値を算出することが異なる。
【0099】
本実施例の直流電圧Vb算出工程であるステップsa05の詳細について述べる。
【0100】
図22は、予め用意した現像装置を用いて、印字枚数Rの値に対する良好な画像を得るために適正な直流電圧Vbの関係をVb=Vb(R)として、算出したものである。
【0101】
このVb=Vb(R)の関係をROMに予め書き込んだ。
【0102】
前記Vb=Vb(R)の関係の算出に用いた現像装置は、本実施例と同じ構成であり、画像比率5%の連続印字で適宜Vbminの測定と画像評価することにより、適正な直流電圧Vbの値を算出した。
【0103】
次に、ステップsa05において、フローチャートを図23に示す。ステップsa0541では、印字枚数RとROM中に予め格納されたVb=Vb(R)を演算処理部のCPUにて読み込み、対比処理し、ステップsa0542により直流電圧Vbの適正値を算出する。その後、ステップsa05の適正な直流電圧Vb算出方法を終了し、前記sa06へ移行する。
【0104】
また、本比較例においては、現像装置可動の警告・停止工程を行わないことが異なる。
【0105】
《比較例3》
本実施例は、基本的には実施例1に準ずるが以下の点が異なる。
【0106】
step05のVbの適正値算出工程において、直流電流の適正値VbをVbminとして算出することが異なる。
【0107】
また、本比較例においては、現像装置可動の警告・停止工程を行わないことが異なり、Vbの適正値算出工程は、印字枚数2000枚おきに実施した。
【0108】
各実施例及び比較例の評価方法
以下では、本実施例と比較例の差異を調べるための画像評価について述べる。
【0109】
a)耐久後のカブリ評価1(画像比率5%)
カブリとは、本来印字しない白部(未露光部)においてトナーがわずか現像され地汚れのように現れる画像不良のことである。
【0110】
カブリ量は光学反射率測定機(東京電飾製TC−6DS)によりグリーンフィルタによる光学反射率を測定し、記録紙のみの反射率から差し引いてカブリ分の反射率量をもとめカブリ量として評価した。カブリ量は記録紙上を10点以上測定しその平均値を求めた。
××:カブリ量が3.0%を越える。
×:カブリ量が1.0〜3.0%未満である。
△:カブリ量が0.5〜1.0%未満である。
○:カブリ量が0.2〜0.5%未満である。
◎:カブリ量が0.2%未満である。
【0111】
カブリ評価は、試験環境25℃、50%Rh、1万5千枚印字後に行った。印字テストは、画像比率5%の横線の記録画像を連続的に通紙して行った。ここで、画像比率5%の横線とは、具体的に、1ドットライン印字後、19ドットライン非印字を繰り返す画像を用いた。
【0112】
また、以降述べる他の画像欠陥が生じた場合は、その個所を避けて測定し、カブリを純粋に評価できるよう配慮した。
【0113】
b)耐久後のカブリ評価2(画像比率1%)
本評価のカブリ測定は、測定方法、評価基準は同じであるが、印字テストを、画像比率1%の横線の記録画像を連続的に通紙して行ったことが異なる。ここで、画像比率1%の横線として、具体的に、1ドットライン印字、99ドットライン非印字を繰り返す画像を用いた。
【0114】
c)耐久後のカブリ評価3(画像比率1%・間欠印字)
本評価のカブリ測定は、測定方法、評価基準は同じであるが、印字テストを、画像比率1%の横線の記録画像を間欠的に通紙して行ったことが異なる。ここで、画像比率1%の横線として、具体的に、1ドットライン印字、99ドットライン非印字を繰り返す画像を用いた。
【0115】
ここで、本実施例における間欠印字とは、特定枚数印字後、現像装置の動作を静止させ、再度、印字動作を行う印字方法を意味する。従って、印字動作の始動直後および静止直前に非印字状態で、現像装置が作動する時間が生じる。
【0116】
本評価においては、2枚連続印字後、現像装置の静止動作を行ない、現像装置の静止後、再度、現像装置が始動するように設定した。
【0117】
d)縦筋評価
縦筋評価は、ベタ黒画像を印字し、目視により縦筋の有無を評価した。
×:ベタ黒画像中に、縦筋が2本以上である。
○:ベタ黒画像中に、縦筋が2本未満である。
【0118】
印字テストは、試験環境25℃、50%Rh、1000枚印字後に行った。印字テストは、画像比率5%の横線の記録画像を連続的に通紙して行った。
【0119】
以下に実施例1〜4、および比較例1〜3の評価結果を表1に示す。
【0120】
【表1】
【0121】
《比較例に対する優位性》
はじめに、比較例1と比較することにより実施例1の優位性について述べる。比較例1は、予め現像ローラと規制ブレード間に印加する直流電圧Vbを一定値の200Vに設定した例であるが、耐久時のカブリ量が多い。その原因は、印字枚数が少ない時期から、直流電圧Vbを印加しているためと考えられる。現像ローラと規制ブレード間に直流電圧Vbを印加すると、現像ローラと規制ブレードが当接する当接ニップ内で、トナーは、現像ローラの方向へ力を受ける。つまり、比較例1では、トナーが印字枚数の少ない時期から、直流電圧Vbにより付加されたストレスを受ける。そのため、トナーの外添剤の遊離、埋め込み等によるトナーの劣化を生じ、電荷付与性が低下する。結果、耐久時のカブリが増加する。
【0122】
一方、実施例1では、電流差Dの値に応じて、すなわち、トナーの劣化に応じて、適切な直流電圧Vbを印加する。そのため、印字枚数が少ない時期において、直流電圧Vbの印加によるトナーへの過剰なストレスを抑制することができる。加えて、トナー劣化が進んだときに、必要な直流電圧Vbを印加するため、カブリ量を著しく抑制することができる。
【0123】
次に、実施例1〜3と比較例1〜3を比較することによって、実施例1〜3の優位性について述べる。
【0124】
<a)耐久カブリ1、b)耐久カブリ2、c)耐久カブリ3評価結果について>
比較例1は、上述したように、印字枚数の少ない時期から直流電圧Vbを一定量印加する。そのため、トナーの劣化が促進され、カブリ量の増加を生じる。
【0125】
比較例2は、印字枚数Rに応じて適正な直流電圧Vbを印加した例である。予め準備されたVb=Vb(R)は、画像比率5%時印字を想定して算出された関係である。そのため、画像比率が予め想定された値に近い耐久経緯を経ている画像比率5%時の耐久カブリは、著しく抑制されている。しかし、画像比率1%と非常にトナー消費の少ない状態においては、カブリ量が悪化する。この理由は、トナー消費の少ない耐久経緯を経た場合、印字枚数時の現像装置内トナー量は、想定された値より多くなる。現像装置内のトナー量が多い場合、現像装置内のトナーへのストレスは概ね平均化されるため、トナーの劣化も軽微となる。
【0126】
ところが、比較例2においては、トナーの劣化が軽微であるにもかかわらず、規定の印字枚数R時には、所定の直流電圧Vbを印加する。このため、比較例1同様に、トナー劣化の少ない状態に過剰な直流電圧Vbを印加、過剰なトナーへのストレスを加える。結果、トナー消費の少ない耐久経緯を経ると、トナー劣化を促進し、カブリ量増加を生じる。
【0127】
一方、実施例1では、印字枚数やトナーの消費量の違いにかかわらず、トナー劣化を反映する電流差Dの値に応じて、適正な直流電圧Vbを印加するため、印字枚数やトナーの消費量の違いにかかわらず、カブリ量の増加を抑制する。
【0128】
また、比較例3は、直流電圧VbをVbminに設定した例である、実施例1に比べ、カブリ量がやや多い。その理由は、トナーの劣化による帯電付与性低下時には、カブリ量を抑制するために十分な直流電圧Vbの印加を行うことができない。結果、軽微なカブリ量の増加を生じる。
【0129】
一方、実施例1においては、電流差Dの値に応じて、すなわち、トナーの劣化度合いに応じて、印加する直流電圧Vbの値を大きくするように設定している。そのため、過剰なバイアス印加を抑制することで、トナーの劣化の促進を抑えると同時に、トナーの劣化による帯電付与性低下時にカブリ量を抑制するために十分な直流電圧Vbを印加することができる。
【0130】
以上のことから、実施例1においては、印字枚数やトナー消費量にかかわらず、トナーの劣化を反映する電流差Dの値に応じ、適正な直流電圧Vbを印加するため、トナーの劣化を著しく抑制する。加えて、「トナーの劣化の進行」、すなわち、「電流差Dの値の減少」に応じて、直流電圧Vbの値を大きくしている。そのため、トナーの劣化時の帯電付与性低下によるカブリ量を抑制のために必要な直流電圧Vbの印加が可能なため、カブリ量を著しく抑制することができる。
【0131】
つぎに、実施例1〜3を比較することで、それぞれの効果について述べる。実施例2及び実施例3は、実施例1より、カブリ量抑制効果が高い。特に、トナー消費量の非常に少ない、画像比率1%・間欠印字時のカブリ量抑制効果が高い。その理由は、実施例2および実施例3は、トナーの劣化に対する検知精度が高いためと考えられる。検知精度が高いと、適正な直流電圧値Vbをより高精度で設定できるため、カブリ量抑制が高い。特に、実施例3においては、トナーの劣化に対応する、トナーの凝集性をより正確に把握できるため、よりカブリ量抑制効果が高いと考えられる。
【0132】
<d)縦筋の評価結果について>
比較例3は、直流電圧VbをVbminに設定するため、縦筋が発生すると考えられる。前述したように、Vbmin近傍に直流電圧Vbを設定すると、トナーが現像ローラ方向に押付けられる状態(Vbminより大きい値時)と規制ブレードとトナーの接触回数が多い状態(Vbminより小さい値時)の混在を生じ、トナーコート層が不安定となる。結果、縦筋が発生する。
【0133】
一方、実施例1〜4は、直流電圧VbがVbminより大きい値、より好ましくは、Vb>Vbmin+20Vに設定する。そのため、上記混在状態時のトナーコート層不安定化によるベタ黒画像中の縦筋発生を著しく抑制する。
【0134】
以上、述べたように実施例1〜3の効果は、現像ローラと規制ブレード間に印加する直流電圧Vbを規制ブレードを流れる電流Ib=Ib(Vb)の関係から得られる極小値時の電圧値Vbminより大きくすることで、トナーコート層を安定させ、縦筋を抑制することにある。
【0135】
印字枚数やトナー消費量にかかわらず、トナーの劣化を反映する電流差Dの値に応じ、適正な直流電圧Vbを印加するため、トナーの劣化を著しく抑制する。加えて、「トナーの劣化の進行」、すなわち、「電流差Dの値の減少」に応じて、直流電圧Vbの値を大きくしている。そのため、トナーの劣化時の帯電付与性低下によるカブリ量を抑制のために必要な直流電圧Vbの印加が可能なため、カブリ量を著しく抑制することができる。
【0136】
また、簡易な構成にて上記効果を長期に渡って得ることができる。
【0137】
《実施例4》
以下では、本実施例の現像装置の詳細を述べる。
【0138】
図19は後述する実施例4の現像装置および現像装置に関わる画像形成装置の一部を示す概略機構図である。以下では、実施例4の実施例1と異なる点について述べる。実施例2の現像装置は、現像剤補給手段(現像剤補給部)Gであるトナー補給部を有することが異なる。トナー補給部は、開閉可能な弁g1および攪拌部材g2を有する。また、現像剤補給手段Gであるトナー補給部は、取り外し可能とし、適宜、トナーの補給を行うことができる。また、トナー容器Tへトナーの供給を所定のタイミングで行うため、開閉可能な弁g1および攪拌部材g2は、補給制御手段g3により作動する。
【0139】
本実施例では、トナー補給部はトナー補給制御手段Gにより補給のタイミングを制御している。しかし、補給時に手動で、新しいトナーを収容したトナー補給部を交換することにより行ってもよい。
【0140】
また、本実施例における未使用の現像装置は、トナー容量は、A4用紙印字率5%換算で5千枚相当、補給前の5千枚時の現像装置内トナー量は概ね初期トナー充填量の40%程度となるように設定した。さらに、補給時は、初期トナー充填量の約50%の量を補給するように設定している。
【0141】
図19は、本実施例における現像装置Fと現像装置にかかわる画像形成装置本体の概略図である。電源S1、S2は、画像形成装置本体に設けられた演算処理手段につながっている。また、規制ブレードを流れる電流Ibを測定するための電流検知手段である電流計Iを備えている。前記電流計Iもまた、検知データを転送できるように、前記演算処理手段につながっている。
【0142】
さらに、トナー補給手段Gからトナー容器へ所望のタイミングでトナーを補給するため、開閉弁g1、攪拌g2の動作を制御する補給制御手段g3,g4もまた前記演算手段につながっている。
【0143】
本実施例において、直流電圧Vbを200Vの一定値に固定している。
【0144】
次に、トナーの補給を行う工程について述べる。図20は、直流電圧Vbを設定する手順を示すフローチャートである。ステップsc01〜sc04工程は、実施例1の現像装置可動の警告・停止工程のsb01〜sb04工程と同じである。その後、sc5の後述する補給判定を経、補給する場合(sc06)、前述の補給制御手段にg3、g4を作動させ、トナーの補給を実施し、補給工程を終了する。補給判定を経、補給を行わない場合(sc06n)は、補給制御手段g3,g4を作動させずに、補給工程を終了する。
【0145】
本実施例における、上述のsc05の補給判定工程について述べる。実施例1で述べたように、電流差Dの値は、トナーの劣化進行とともに小さくなる。このため、補給時の電流差Dの値が予め格納しているROM中の所定値Dhを参照し、D≦Dhとなったとき、補給を行うように設定した。
【0146】
具体的には、予め用意した現像装置を用いて、補給タイミングとして適切な所定値Dh=2.0μAを算出し、この値をROMに書き込んだ。
【0147】
ここで、前記Dhの算出に用いた現像装置は、本実施例と同じ構成であり、画像比率5%の連続印字し、1回目の補給前の印字枚数5000枚のときの電流差Dの測定と画像評価することにより、適正な電流差Dhの値を算出した。
【0148】
また、本実施例においては、トナー補給工程は、画像形成を行わない非印字中に実施した。
【0149】
具体的には、印字枚数が1000枚おきに各工程を行い、現像装置へのトナーの補給工程により、トナー補給が行われた直後2000枚までは、500枚おきに、各工程を実施し、2000枚以降は、補給前同様、1000枚おきに各工程を実施した。
【0150】
《実施例5》
本実施例は、基本的には実施例4に準ずるが直流電圧Vbの設定方法を実施例1と同じとした点が異なる。
【0151】
《実施例6》
本実施例は、基本的には実施例4に準ずるがsc05の補給判定工程が異なる。
【0152】
sc05の補給判定工程において、sc02によりRAM中に格納したIb=Ib(Vb)を読み込み、直流電流Ibの極大時と極小時の直流電圧VbmaxとVbminの電圧差Vs(=Vbmin−Vbmax)をCPUにより算出する。次に、予め格納されたROM内の所定値VshをCPU内で対比し、Vs≧Vshとなることにより補給を行うことが異なる。具体的には、予め用意した現像装置を用いて、補給タイミングとして適切な所定値Vsh=26Vとし、この値をROMに書き込んだ。
【0153】
ここで、前記Vshの算出に用いた現像装置は、本実施例と同じ構成である。そして、本実施例では、画像比率5%の連続印字を行い、1回目の補給前の印字枚数5000枚となるときの電圧差Vsの測定と画像評価することにより、適正な直流電圧Vshの値を算出した。
【0154】
さらに、直流電圧Vbの設定方法を実施例2と同じとした点が異なる。
【0155】
《実施例7》
本実施例は、基本的には実施例4に準ずるがsc05の補給判定工程が異なる。
【0156】
sc05の補給判定工程において、Ib=Ib(Vb)の極大値と極小値の電流差Dの値およびIb=Ib(Vb)の極大時と極小時の電圧差Vsの値、H=Vs/Dを算出する。次に、予め格納されたROM内の所定値HhをCPU内で対比し、H≧Hhとなることにより補給を行うことが異なる。具体的には、予め用意した現像装置を用いて、補給タイミングとして適切な所定値Hh=13.0[V/μA]とし、この値をROMに書き込んだ。
【0157】
ここで、前記Hhの算出に用いた現像装置は、本実施例と同じ構成であり、画像比率5%の連続印字を行い、1回目の補給前の印字枚数5000枚となるときのHの測定と画像評価することにより、適正なHhの値を算出した。
【0158】
さらに、直流電圧Vbの設定方法を実施例3と同じとした点が異なる。
【0159】
《実施例8》
本実施例は、基本的には実施例4に準ずるが、sc05の補給判定工程を実施例6と同じとしたことが異なる。
【0160】
《実施例9》
本実施例は、基本的には実施例4に準ずるが、sc05の補給判定工程を実施例7と同じとしたことが異なる。
【0161】
《比較例4》
本比較例は、基本的には実施例5に準ずるが以下の点が異なる。
【0162】
sc05の補給判定工程において、印字枚数Rが所定値Rhになることにより補給を行うことが異なる。具体的には、予め用意した現像装置を用いて、所定値Rh=5000とし、この値をROMに書き込んだ。
【0163】
《比較例5》
本比較例は、基本的には実施例5に準ずるが以下の点が異なる。
【0164】
sc05の補給判定工程において、初期トナー充填量に対する現像装置トナー残量の比Qが所定値Qhになることにより補給を行うことが異なる。具体的には、予め用意した現像装置を用いて、所定値Qh=0.4とし、この値をROMに書き込んだ。
【0165】
各実施例及び比較例の評価方法
以下では、実施例4と比較例の差異を調べるための画像評価について述べる。
【0166】
A)トナー補給直後のカブリ評価1(画像比率5%)
カブリ評価の判定基準は、前述のa)耐久後のカブリ評価1と同じとした。
【0167】
本カブリ評価は、試験環境25℃、50%Rhで行った。さらに、トナー補給手段が3回目のトナー補給のために作動し、終了直後、ベタ白画像を3枚連続通紙し、最もカブリ量の多い評価画像を評価した。
【0168】
印字テストは、画像比率5%の横線の記録画像を連続的に通紙して行った。ここで、画像比率5%の横線として、具体的に、1ドットライン印字後、19ドットライン非印字を繰り返す画像を用いた。
【0169】
B)トナー補給直後のカブリ評価2(画像比率1%)
本評価のA)トナー補給直後のカブリ評価1に、測定方法、評価基準に準ずるが、印字テストを、画像比率1%の横線の記録画像を連続的に通紙して行ったことが異なる。ここで、画像比率1%の横線として、具体的に、1ドットライン印字後、99ドットライン非印字を繰り返す画像を用いた。
【0170】
C)トナー補給直前の現像装置内トナー量(画像比率1%)
本評価は、トナー補給手段が3回目のトナー補給の動作を行う直前の現像装置内のトナー量を測定し、初期未使用の現像装置内へのトナー充填量に対する現像装置内トナー量の比率Qを以下の基準で判定を行った。
大:現像装置内トナー量の比率Qが、1.0以上。
中:現像装置内トナー量の比率Qが、0.6以上、1.0未満。
小:現像装置内のトナー量が0.6未満。
【0171】
ここで、画像比率1%の横線として、具体的に、1ドットライン印字後、99ドットライン非印字を繰り返す画像を用いた。
【0172】
D)トナー補給後の耐久カブリ評価(画像比率1%)
カブリ評価の判定基準は、前述のa)耐久後のカブリ評価1と同じとした。
【0173】
本カブリ評価は、試験環境25℃、50%Rhで行った。さらに、印字テストは、トナー補給手段により3回目のトナー補給が行われた後、連続通紙5000枚後に行った。また、通紙に用いた記録画像は、画像比率1%の横線を用いた。ここで、画像比率1%の横線として、具体的に、1ドットライン印字、99ドットライン非印字を繰り返す画像を用いた。
【0174】
以下に実施例4〜10、および比較例4,5の評価結果を表2に示す。
【0175】
【表2】
【0176】
実施例4〜9の有利な効果を比較例4,5を比較して述べる。
【0177】
<A)トナー補給直後のカブリ評価1、トナー補給直後のカブリ評価2およびトナー補給直前の現像装置内トナー量>
まず、実施例4と比較例4,5を比較することから述べる。
【0178】
実施例4および比較例4,5は、画像比率5%の連続印字を基にして、予めトナーを補給するタイミングを設定している。そのため、画像比率5%の連像印字時は、補給直後のカブリ量は少なく良好である。
【0179】
比較例4は、印字枚数Rが所定枚数Rhとなったとき、トナー補給を行うように設定された例であるが、画像比率1%のトナー消費量の少ない場合においても、補給直後のカブリ量の増加はなく、良好である。しかしながら、トナー補給直前の現像容器内のトナー量が著しく多く、現像容器内にトナーが残りやすい。
【0180】
この理由は、トナーの消費量が少ない状態で、印字を続けると、現像容器内のトナーが多く残存している状態で、トナー補給手段によりトナーが補給される。そのため、トナーの劣化は抑制され、補給時のカブリ量の悪化も抑制されるが、現像装置内のトナー量は、非常に多くなる。効率的なトナーの消費の観点から、無駄なトナーが増加するため、好ましくない。また、より多くのトナー補給回数を繰り返し、現像容器としての規定のトナー量を超え、現像容器内の粉圧が著しく増加する。結果、トナー劣化が促進され、トナー量が多いにもかかわらず、カブリ量の増加を引き起こす可能性がある。あるいは、粉圧の上昇した現像容器内のトナーは、現像容器外へ飛散、漏れ、本体汚染を引き起こす可能性がある。
【0181】
一方、比較例5は、現像容器内のトナー残量の比Qが所定値Qhになったときに、トナー補給を行うように設定された例である。画像比率1%のトナー消費量の少ない場合においても、現像容器内のトナー残量の比Qが所定値Qhになってから補給されるため、トナー補給前の現像容器内のトナー量は少ない。しかしながら、トナーが少ない状態で印字し続けるため、現像ローラと感光ドラム、現像ローラと供給ローラ、現像ローラと規制部材間等の摺擦によりストレスを受け、著しくトナーの劣化を生じる。この状態で、トナー補給手段により、新たに新規のトナーを混合するため、カブリ量が著しく増加する。著しく劣化したトナーと新しいトナーの混合時、カブリ量が増加する理由は、概ね以下のように考えられる。
【0182】
劣化の進行したトナーは、外添剤の遊離や埋め込み等により、凝集性の増加や帯電付与性の低下を生じる。一方、新しいトナーは、凝集性が低く、帯電付与性も高い。この性質の大きく異なるトナーを混合すると、帯電しやすい新しいトナーはより多くの電荷量を得ようとし、逆に、帯電しにくい劣化したトナーは、より得られる電荷量が少なく、あるいは、逆極性の電荷を有したトナーを生成する。結果、電気的に制御困難な電荷を有したトナーがトナーコート層を占めると、カブリ量の著しい増加を生じる。
【0183】
つまり、トナー補給前の現像装置内のトナー量を少ない状態を維持しつつ、補給直後のカブリ量を抑制するためには、トナーの劣化が所定値より進行する前に新しいトナーを供給することが重要であると考えられる。
【0184】
実施例4においては、トナー劣化に関係する電流差Dの値が所定値Dh以下となることによりトナー補給手段によりトナーを補給するため、画像比率1%とトナー消費量が少ない場合においても、補給直後にカブリ量の著しい増加を抑制する。
【0185】
また、所定値Dh以下となるまで、補給を行わないため、現像装置内トナー量の増加も抑制できる。
【0186】
以上、述べたように、実施例4においては、トナーの劣化を反映した電流差Dが所定値Dh以下となることで、補給を行う。そのため、著しく劣化したトナーと新しいトナーが混合することを著しく抑制するため、トナー補給直後のカブリ量の著しい増加を抑制する。
【0187】
加えて、トナー消費が少ない印字状態であっても、トナーの劣化がある程度進行するまで、トナー補給を行わないので、現像容器内のトナー量の著しい増加を抑制する。
【0188】
つまり、実施例4においては、トナー消費量にかかわらず、トナー補給前の現像容器内トナー量の増加、および、トナー補給直後のカブリ量の増加を抑制する。
【0189】
つぎに、実施例5〜9の有利な効果を述べるために実施例4と比較する。
【0190】
実施例5は、実施例4に対して、トナーの劣化を反映する電流差Dの値に応じて直流電圧Vbの値を設定した例である。実施例1の効果として述べたように、トナーの劣化に応じて直流電圧Vbの値を設定するため、直流電圧Vb印加によるトナーへの過剰なストレスを軽減でき、著しいトナーの劣化を抑制する。結果、画像比率1%時のトナー補給時のカブリ量は、実施例4と同等であるが、トナー補給前の現像容器内トナー量は、著しく抑制することができる。
【0191】
一方、実施例6,7は、実施例5に比べ、トナーの劣化を検知する精度が高いため、補給タイミングおよび、直流電圧Vbの設定がより適切に行うことができる。結果、補給直前の現像容器内トナー量が少ない状態においても、補給直後のカブリ量の増加を著しく抑制できると考えられる。特に、実施例9は、トナーの劣化に対応する、トナーの凝集性をより正確に把握できるため、補給直後のカブリ量を著しく抑制することができる。
【0192】
また、実施例8、9は、実施例4と同等の効果を得ることが分かった。
【0193】
<D)トナー補給後の耐久カブリ評価結果>
つぎに、実施例5〜7の有利な効果を述べるために実施例4と比較する。実施例4に比べ、実施例5〜7は、補給後の耐久後のカブリ量を抑制することができる。
【0194】
その理由は、実施例1〜3と同様にトナーの劣化に応じて直流電圧Vbを設定するため、過剰なストレスの軽減とトナー劣化時にカブリ量を抑制するために適切な直流電圧Vbを印加できるためと考えられる。
【0195】
加えて、実施例4のトナーの補給を行う場合においては、以下の作用により、トナー劣化を抑制することができると考えられる。まず、トナーの補給直前は、適度に劣化したトナーが現像容器内を占めるため、直流電圧Vbは大きめの値をとる。次に、トナー補給直後においても、規制ブレード近辺には、適度にトナー劣化を生じたトナーが占めるため、直流電圧Vbは大きめである。そして、トナー補給後、印字を続けると、規制ブレード付近には概ね補給されたトナーが占めると考えられる。このとき、トナーの劣化を反映する電流差Dは、トナー補給直後より大きい値をとるため、直流電圧Vbの値は、小さくなる。
【0196】
つまり、実施例5〜7は、トナー補給後、現像容器内に劣化の少ないトナーが占めたとき、直流バイアスVbの値を小さくすることができる。結果、トナーの劣化を著しく抑制できる。
【0197】
実施例6、7は、トナー劣化の検知精度が高いため、よりトナー劣化を抑制でき、トナー補給後の耐久カブリの量を著しく抑制する。
【0198】
特に、実施例7は、トナーの劣化に対応する、トナーの凝集性をより正確に把握できるため、トナー劣化を抑制し、補給後の耐久カブリの量を著しく抑制する。
【符号の説明】
【0199】
1 被現像体、感光ドラム
2 帯電ローラ
3 現像剤担持体、現像ローラ
4 現像剤量規制手段、トナー規制部材
5 現像剤供給手段、トナー供給手段、供給ローラ
A 画像形成装置本体
B プロセスカートリッジ
C クリーニング装置
F 現像装置
K1 電圧印加手段
K2 電圧制御手段
I 電流検知手段
J 演算処理手段
T 現像容器、トナー容器
G 現像剤補給手段、トナー補給手段
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の一成分トナーを用いた現像方式としては、弾性層を有する現像剤担持体としての現像ローラを用いた接触現像方式が提案されている。現像ローラ上に付着した現像剤の層規制及び摩擦帯電による電荷付与は、現像剤規制部材としてのトナー規制部材を、現像ローラに当接することにより行われる。トナー規制部材としては、金属薄板を片持ちで支持し、その対向部の腹面を現像ローラに当接するブレード形状のものを用いることが提案されている。トナー規制部材により現像ローラ上にコートされた現像剤は、感光ドラム上に形成された静電潜像と、現像ローラ上に印加されたバイアスの電位により、前記静電潜像を現像する。
【0003】
また、現像ローラ上に形成する現像剤のコート層の帯電量および層厚の安定化のために、現像ローラとトナー規制部材間に電圧を印加することが知られている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−163118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現像ローラとトナー規制部材間に電圧を印加するため、トナーはトナー規制部材通過中に、現像ローラの方向へ押付けられる。これにより、トナーは、印加電圧によるストレスを受け、帯電性の低下や凝集性の増加を促進する場合があった。その結果、長期に渡って安定した画像を得ることが難しかった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、現像剤の劣化を抑制しつつ、良好な画像を得ることにある。また、本発明の他の目的は、現像剤規制部材によって規制された、現像剤担持体上の現像剤の層厚の安定化を図ることにある。また、本発明の他の目的は、現像剤担持体と現像剤規制部材との間の現像剤の状態を精度良くユーザーに報知することにある。また、本発明の他の目的は、現像剤担持体と現像剤規制部材との間の現像剤の状態に応じて現像剤を補給することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明の代表的な構成は、
像担持体に形成された潜像を現像するために現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、
前記現像剤担持体と前記現像剤規制部材との間に、値が異なる複数の直流電圧を印加可能な電圧印加手段と、
前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に前記現像剤規制部材に流れる、値が異なる複数の直流電流を検知可能な電流検知手段と、
を有しており、
前記潜像を現像する前であって前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に、前記電流検知手段によって検知された直流電流が極小値であるときの直流電圧値をVbminとして、
前記潜像を現像する時に前記電圧印加手段が印加する直流電圧値をVbとした場合、
|Vb|>|Vbmin|
を満たすようにVbを設定することを特徴とする。
【0008】
上記の目的を達成するための本願発明の他の代表的な構成は、
像担持体に形成された潜像を現像するために現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、
前記現像剤担持体と前記現像剤規制部材との間に、値が異なる複数の直流電圧を印加可能な電圧印加手段と、
前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に前記現像剤規制部材に流れる、値が異なる複数の直流電流を検知する電流検知手段と、
を有しており、
前記潜像を現像する前であって前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加する時に、前記電流検知手段によって検知された、前記複数の直流電流の極小値と極大値の差分をDとして、
前記潜像を現像する時に前記電圧印加手段が印加する直流電圧値をVbとした場合、
Dに基づいてVbを設定することを特徴とする。
【0009】
本願発明の他の代表的な構成は、
像担持体に形成された潜像を現像するために現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、
前記現像剤担持体と前記現像剤規制部材との間に、値が異なる複数の直流電圧を印加する電圧印加手段と、
前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に前記現像剤規制部材に流れる、値が異なる複数の直流電流を検知する電流検知手段と、
を有しており、
前記潜像を現像する前であって前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に、前記電流検知手段によって前記複数の直流電流の極小値及び極大値が検知され、前記極小値である時に前記電圧印加手段が印加した直流電圧値と、前記極大値である時に前記電圧印加手段が印加した直流電圧値と、の差分をVsとして、
前記潜像を現像する時に前記電圧印加手段が印加する直流電圧値をVbとした場合、
Vsに基づいてVbを設定することを特徴とする。本願発明の他の代表的な構成は、
像担持体に形成された潜像を現像するために現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、
前記現像剤担持体と前記現像剤規制部材との間に、値が異なる複数の直流電圧を印加する電圧印加手段と、
前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に前記現像剤規制部材に流れる、値が異なる複数の直流電流を検知する電流検知手段と、
を有しており、
前記潜像を現像する前であって前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に、前記電流検知手段が前記複数の直流電流を検知し、前記複数の直流電流の極小値と極大値との差分をDとして、
前記極小値である時に前記電圧印加手段が印加した直流電圧値と、前記極大値である時に前記電圧印加手段が印加した直流電圧値と、の差分をVsとして、
前記潜像を現像する時に前記電圧印加手段が印加する直流電圧値をVbとした場合、
Vs/D(=H)に基づいて前記Vbを設定することを特徴とする。
【0010】
本願発明の他の代表的な構成は、
像担持体に形成された潜像を現像するために現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、
前記現像剤担持体と前記現像剤規制部材との間に、値が異なる複数の直流電圧を印加可能な電圧印加手段と、
前記電圧印加手段が前記直流電圧を印加した時に前記現像剤規制部材に流れる、値が異なる複数の直流電流を検知する電流検知手段と、
前記電流検知手段に検知された前記複数の直流電流に基づいて前記現像剤担持体と前記現像剤規制部材との間の現像剤の状態に関連する情報を報知する報知手段と、
を有することを特徴とする。
【0011】
本願発明の他の代表的な構成は、
像担持体に形成された潜像を現像するために現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、
前記現像剤担持体へ供給するための現像剤を収納する現像剤収納部と、
前記現像剤収納部へ補給するための現像剤を収納する現像剤補給部と、
前記現像剤担持体と前記現像剤規制部材との間に、値が異なる複数の直流電圧を印加可能な電圧印加手段と、
前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に前記現像剤規制部材に流れる、値が異なる複数の直流電流を検知する電流検知手段と、
前記電流検知手段に検知された前記複数の直流電流に基づいて、前記現像剤補給部から前記現像剤収納部へ現像剤を補給する補給制御手段と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、現像剤の劣化を抑制しつつ、良好な画像を得ることができる。また、他の本発明によれば、現像剤規制部材によって規制された、現像剤担持体上の現像剤の層厚の安定化を図ることができる。また、他の本発明によれば、現像剤担持体と現像剤規制部材との間の現像剤の状態を精度良くユーザーに報知することができる。また、他の本発明によれば、現像剤担持体と現像剤規制部材との間の現像剤の状態に応じて現像剤を補給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1における画像形成装置の断面図である。
【図2】実施例1におけるプロセスカートリッジの断面図である。
【図3】実施例1における現像装置および現像装置に関わる画像形成装置の一部を示す図である。
【図4】実施例1における電流測定手段の概略図である。
【図5】実施例1における直流電圧Vbを設定するためのフローチャートである。
【図6】電源S2による直流電圧Vbの作動時間と直流電圧Vbの関係を示す図である。
【図7】実施例1におけるVbの入力波形とIb=Ib(Vb)の関係
【図8】電流差Dと印字枚数との関係を示す図である。
【図9】直流電圧値の変動幅を説明する図である。
【図10】良好な画像を得るために適正な直流電圧Vbの関係をVb=Vb(D)として算出した図である。
【図11】実施例1における適正な直流電圧Vbを算出するためのフローチャートである。
【図12】実施例1における警告・停止を判別するフローチャートである。
【図13】電圧差Vsと印字枚数との関係を示す図である。
【図14】良好な画像を得るために適正な直流電圧Vbの関係をVb=Vb(Vs)として算出した図である。
【図15】実施例2における適正な直流電圧Vbを算出するためのフローチャートである。
【図16】実施例3における電流差Dに対する前記電圧差Vsの比Hと印字枚数との関係を示す図である。
【図17】Hの値に対する良好な画像を得るために適正な直流電圧Vbの関係をVb=Vb(H)として算出した図である。
【図18】実施例3における適正な直流電圧Vbを算出するためのフローチャートである。
【図19】実施例4における現像装置および現像装置に関わる画像形成装置の一部を示す概略機構図である。
【図20】実施例4における直流電圧Vbを設定する手順を示すフローチャートである。
【図21】比較例1における現像装置および現像装置にかかわる画像形成装置の一部を示した図である。
【図22】比較例2において印字枚数Rの値に対する良好な画像を得るために適正な直流電圧Vbの関係をVb=Vb(R)として算出したものである。
【図23】比較例2における適正なVbを算出するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
《実施例1》
(本体構成)
図1は本実施例の画像形成装置の断面図である。図1に示す本画像形成装置Aは、電子写真プロセス利用のフルカラーレーザープリンタである。以下に本実施例における画像形成装置Aの全体的な概略構成について述べる。
【0015】
図2は、帯電装置E、現像装置F、クリーニング装置C、及び、感光ドラム1を一体としたプロセスカートリッジB(以下、「カートリッジB」と称す)の断面図である。
【0016】
本画像形成装置Aは、カートリッジBを、イエロー、マゼンダ、シアン、黒色の各色について4連に並べ、各色のカートリッジBで形成されたトナー像を、転写装置の中間転写ベルト20上に転写することでフルカラー画像を形成するものである。プロセスカートリッジB上における画像の形成工程については後述する。
【0017】
各色のカートリッジBにより、被現像体である感光ドラム1上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト20を挟んで、各色の感光ドラム1の対向位置に設けられた1次転写ローラ22y、22m、22c、22kにより、中間転写ベルト20上で転写される。そして、転写されたトナー像は、中間転写ベルトの移動方向下流側に設けられた2次転写ローラ23により、一括して記録紙上に転写される。なお、中間転写ベルト20上の未転写トナーは、中間転写ベルトクリーナー21によって回収される。
【0018】
記録媒体である記録紙Pは画像形成装置A下部のカセット24内に積載されており、印字動作の要求とともに給紙ローラ25により搬送される。そして、記録紙Pは、2次転写ローラ23の位置において、中間転写ベルト20上に形成されたトナー像を転写される。
【0019】
その後、定着ユニット26により記録紙上のトナー像は記録紙Pに加熱定着される。そして、記録紙Pは、排紙部27を経て画像形成装置Aの外部に排出される。
【0020】
画像形成装置Aにおいては、各4色の着脱可能なプロセスカートリッジB等を収納する上部のユニット、転写ユニット、記録紙等を収納する下部ユニットとが分離可能になっている。そして、紙詰まり等のジャム処理発生時や、プロセスカートリッジBの交換時において、上下のユニットを開口することにより前記処理を行う。
【0021】
次に、カートリッジBにおける画像形成プロセスについて説明する。
【0022】
図2は、並列におかれた4つのカートリッジBの1つに注目し、その近傍の断面を示したものである。
【0023】
画像形成プロセスの中心となる像担持体としての感光ドラム1はアルミニウム製シリンダの外周面に機能性膜である下引き層、キャリア発生層、キャリア移送層を順にコーティングした有機感光ドラムである。画像形成プロセスにおいて、感光ドラム1は180mm/secの速度で画像形成装置Aにより図中矢印a方向へ駆動される。
【0024】
帯電装置である帯電ローラ2は、導電性ゴムのローラ部を感光ドラム1に加圧接触して矢印b方向に従動回転する。ここで帯電ローラ2の芯金には、帯電工程として、感光ドラム1に対して―1100Vの直流電圧が印加される。これにより誘起された電荷によって、感光ドラム1の表面に、―550Vとなる一様な暗部電位(Vd)が形成される。
【0025】
この一様な表面電荷分布面に対して、スキャナーユニット10により、画像データに対応してレーザ光が発光される。このレーザ光は、図2中の矢印Lで示すように感光ドラム1の表面を露光し、露光された部位は、キャリア発生層からのキャリアにより表面の電荷が消失し、電位が低下する。この結果、露光部位は明部電位Vl=−100Vであり、未露光部位は暗部電位Vd=−550Vである静電潜像が、感光ドラム1上に形成される。
【0026】
前記静電潜像は、所定のコート量及び電荷量の、現像剤担持体としての現像ローラ3上に形成されたトナーコート層を持つ現像装置により現像される。前記トナーコート層の形成方法については後述する。前記現像ローラ3は感光ドラム1に接触しながら、矢印cに示すように順方向に回転している。本実施例においては、現像ローラ3に印加されたDCバイアス=―300Vに対して、摩擦帯電によりマイナスに帯電したトナーが、感光ドラム1に接触する現像部において、その電位差から、明部電位部にのみ飛翔して静電潜像を実像化する。
【0027】
各カートリッジBの感光ドラム1に接触する中間転写ベルト20は、感光ドラム1に対向した1次転写ローラ22(22y、22m、22c、22k)により感光ドラム1に加圧される。更に、1次転写ローラ22には直流電圧が印加されており、感光ドラム1との間で電界が形成されている。これにより、感光ドラム1上で実像化されたトナー像は、前記の加圧接触する転写領域において、電界の力を受けて感光ドラム1上から中間転写ベルト20上に転写される。一方、感光ドラム1上で中間転写ベルト20に転写されずに残った未転写トナーは、クリーニング装置Cに設置されたウレタンゴム製のクリーニングブレード6により、ドラム表面から掻き落とされ、クリーニング装置C内に収納される。
【0028】
以下、本実施例1の現像装置の詳細を述べる。
【0029】
図3は、実施例1の現像装置Fおよび現像装置Fに関わる画像形成装置の一部を示している。現像装置Fは、現像剤を収納する現像剤収納部としての現像容器Tと現像ローラ3と供給ローラ5とトナー規制部材4と撹拌部材11とを有している。ここで、現像容器Tは非磁性一成分トナーを収容している。また、現像ローラ3は、感光ドラム1に対して接触しながら順方向cに回転する。また、供給ローラ5は、現像ローラ3に対して接触しながら逆方向dに回転する。また、現像剤規制手段(現像剤規制部材)であるトナー規制部材4は、供給ローラ5の下流側で現像ローラ3に当接する。そして、撹拌部材11は、現像剤であるトナーを撹拌する。
【0030】
現像剤である一成分非磁性トナーは、結着樹脂、電荷制御剤を含む懸濁重合法により調整され、流動化剤などを外添剤として添加することでネガ極性を有するように作製した。高画質化の点で、重合法であることが好ましい。
【0031】
本実施例においては、現像ローラ3は、外径φ6mmの芯金に導電性の弾性層5mmを形成したφ16mmの弾性ローラであり、前記弾性層には体積抵抗値106Ωmのシリコーンゴムを用いた。なお、前記弾性ローラの表層には現像剤への電荷付与機能を持つコート層等を設けるようにしてもよい。本実施例では、感光ドラム1に安定して弾性接触させるために、弾性層の硬度をJIS−Aで45°、現像ローラ3の表面粗さとしては、使用するトナーの粒径にもよるが、算術平均粗さRaは0.05〜3.0μmとした。本実施例における表面粗さRaの測定は、JIS B0601に基づいて小坂研究所(株)製の表面粗さ試験機SE−30を使用した。高画質化のためには、算術平均粗さ0.3〜1.0μmであることが好ましい。
【0032】
さらに、供給ローラ5は、本実施例においては、外径φ5mmの芯金上に発泡骨格構造で比較的低硬度のポリウレタンフォームを5.5mm形成した外径φ16mmの弾性スポンジローラを用いた。供給ローラ5は、連泡性の発泡体で構成されており、過大な圧を加えることなく現像ローラ3と当接している。そして、供給ローラ5は、その発泡体表面の適度な凸凹で現像ローラ3上へのトナーの供給、および、現像時に消費されずに残像したトナーの剥ぎ取りを行っている。このセル構造の掻き取り性はウレタンフォームに限定されるものでなく、シリコーンゴムやエチレンプロピレンジエンゴム(EPDMゴム)等を発泡させたゴム等が使用可能である。
【0033】
現像ローラ回転方向cに対して、供給ローラ5と現像ローラ3との接触面の下流側には、現像ローラ3に当接する現像剤規制手段としてのトナー規制部材4が設けられている。トナー規制部材4は、現像ローラ3上のトナーを感光ドラム1上における現像に適した所定のコート量、及び、所定の電荷量に制御することを目的とする。トナー規制部材4は現像容器に固定された支持板金41に、リン青銅板やステンレス板などの薄板状弾性部材42を片持ちで支持し、その対向部の腹面を現像ローラ3に対して当接している。本実施例1においては、厚さ1.2mmの鉄板を支持板金として使用し、厚み120μmのリン青銅板を薄板状弾性部材として前記支持板金に固定支持している。薄板状弾性部材42の片持ち支持部から現像ローラ3との当接部までの距離、いわゆる自由長さは14mmであり、現像ローラ3の薄板状弾性部材42に対する押し込み量は1.5mmである。
【0034】
つぎに、現像装置にかかわる画像形成装置本体部分について述べる。前述した現像ローラ3への電圧印加は、電源S1により行う。さらに、規制部材4への電圧印加は電源S2により行う。ここで、電源S2により印加される電圧値が可変であるように構成されている(電源S2は、値が異なる複数の直流電圧を印加可能である)。つまり、現像ローラ3と規制部材4間の直流電圧は、上述の電源S2を調整することで設定する。ここで、本実施例1では、電源S2は、電圧印加手段K1と電圧制御手段K2により構成される。また、本実施例における現像ローラ3と規制部材4間の直流電圧は、トナーを現像ローラ3側に押付ける方向に電圧を印加するように設定する。即ち、現像ローラ3に対する規制部材4の電圧の符号が、トナーの極性の符号と同じ側であるように設定する。本実施例においては、現像剤であるトナーは、ネガ極性であり、電源S1により印加する電圧が−300Vである。そのため、電源S2により供給される電圧は、−300Vより小さい値(ネガ側)に設定する。例えば、電源S1から供給される電圧が−300V、直流電圧値Vbが200Vとは、電源S2が−500Vであることを意味する。
【0035】
一方、現像剤であるトナーが、ポジ極性である場合、電源S1により供給される電圧より大きい値の電圧が電源S2から供給される(電源S2により供給される電圧は、電源S1により供給される電圧よりポジ側に設定する)。
【0036】
また、本実施例1における現像装置は、トナー容量を含む寿命は、A4用紙印字率5%換算で1万5千枚相当に設定されているものを使用している。
【0037】
図3は、本実施例1における現像装置と現像装置にかかわる画像形成装置本体の概略図である。電源S1、S2は、画像形成装置本体に設けられた演算処理手段Jにつながっている。また、規制ブレードを流れる電流Ibを検知可能(測定可能)な電流検知手段である電流計Iを備えている。電流値の正の方向iは、図中に示した方向とした。前記電流計Iもまた、検知データを転送できるように、前記演算処理手段Jにつながっている。
【0038】
本実施例における電流計は、図4に示すように、電流検知時は、スイッチSWは、端子p3と繋がり、端子p2−端子p3間の電圧を電圧計Vにより検知することで、電流値を検出する。このとき、抵抗Rは、10kΩを用い、電流値を検知していない時は、スイッチSWは、端子p1と繋がるように設定した。そのため、電流計IおよびスイッチSWもまた、演算処理手段Jにつながっている。さらに、演算処理手段Jは、演算処理を行う演算処理部のCPU、検知データを格納する書き換え可能な記憶装置RAM、予め用意されたデータを格納する記憶装置ROMにより構成している。そして、これらは、互いにデータの転送・読み込み可能となるように設定されている。
【0039】
つぎに、本実施例の直流電圧Vbの設定方法について述べる。図5は、直流電圧Vbを設定する手順を示すフローチャートである。ステップsa01では、電源S2により、直流電圧Vbを作動させる。具体的には、図6に示すように直流電圧Vbは、サイン波0Vから150Vまで、約20秒間変化させる。つぎにステップsa02では、直流電圧Vbの値に対応する直流電流Ibを電流計Iにより検知し、RAMに格納する。RAM内に格納した直流電圧Vbおよび直流電流Ibから、直流電圧Vbに対する直流電流Ibの関係Ib(Vb)をCPUにより算出し、RAMに格納する。検出器の精度にもよるが、直流電圧Ibの変動幅の影響を小さくため、適宜、平滑化等を行ってもよい。
【0040】
つぎに、ステップsa03極小値検出工程について述べる。ステップsa02で算出されたIb(Vb)の極大値および極小値の差分である電流差Dを算出し、電流差Dが、D≧0.05μAを満たすとき、Ib(Vb)に極小値を検出するように設定している。電流差D<0.05μAでは、装置停止を行ない、直流電圧Vb設定を終了する。電流差Dによって極小値検知を行う理由は後述する。
【0041】
前記sa03にて、直流電流Ib(Vb)の極小値がCPUにより検出された後、ステップsa04において、極小値時の直流電圧値Vbminの値をCPUにより算出し、RAM内に格納する。その後、ステップsa05の後述する直流電圧Vbの適正値算出工程により得たVbの値を基に、ステップsa06において、演算処理手段の作動命令により、電源S2が作動し、直流電圧Vbを設定する。前記sa05の直流電圧Vbの適正値算出工程の詳細説明の前に、直流電圧Vbに対する直流電流Ib(Vb)について述べる。
【0042】
図7は、本実施例におけるIb=Ib(Vb)の関係を示した例である。
【0043】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、図8に示すように、電流差Dの値は、印字枚数とともに、徐々に減少することが分かった。この理由は、十分明らかになってはいないが、概ね以下のような現象のために生じると考えられる。
【0044】
まず、Ib=Ib(Vb)中に極小値が生じる理由について述べる。直流電圧Vbの値がVbminより値の小さい領域とVbminより値の大きい領域において、トナーと規制ブレードが接触する回数が変化するため極小値が生じると考えられる。Vbminより値の小さい領域では、トナーは、直流電圧Vbにより現像ローラ方向に働く力は小さいと考えられる。そのため、トナーは、規制ブレードとの接触回数が多くなる。
【0045】
一方、Vbminより値の大きい領域では、トナーは、直流電圧Vbにより現像ローラ方向に働く力は大きくなる。結果、トナーは、現像ローラ方向に押付けられる。そのため、規制ブレードとトナーの接触回数が少なくなると考えられる。規制ブレードとトナーの接触回数が多いとき、トナーと規制ブレード間の摩擦帯電の頻度が増加し、結果、規制ブレードに流れる直流電流Ibが増加する。一方、規制ブレードとトナーの接触回数が少ないとき、トナーと規制ブレード間の摩擦帯電の頻度が低下するため、直流電流Ibが減少する。
【0046】
加えて、直流電圧Vb=Vbminに設定すると、現像ローラ上のトナーコート層に現像ローラ回転方向に不規則な筋が生じる。この理由は、印加電圧により、トナーが現像ローラに押付けられやすい状態と押付けられにくい状態が共存する不安定領域であるために、トナーコート層が乱れると考えられる。
【0047】
このため、縦筋の発生抑制のためには、本実施例において、直流電圧Vbは、|Vb|>|Vbmin|を満たすように設定することが好ましく、|Vb|>|Vbmin|+20Vを満たすように設定することがより好ましい。
【0048】
加えて、Ib=Ib(Vb)の関係を検出終了時の直流電流Voの値は、Vo≠Vbminであることにより、トナーコート層の不安定化による縦筋の発生を抑制できる。本実施例においては、トナーコート層の状態を把握するために、トナーコート層の変化を適宜、検知している。
【0049】
そのため、非画像形成時(検知時)に縦筋が発生すると、画像形成時(非検知時)への影響も大きい。つまり、検知時においても、トナーコート層が不安定となる状態を極力抑えることが好ましい。従って、トナーコート層の不安定化による縦筋の発生を抑制するためには、検出終了時の直流電圧Voは、|Vo|>|Vbmin|を満たすように設定することが好ましく、|Vo|>|Vbmin|+20Vを満たすように設定することがより好ましい。
【0050】
ここで、直流電流Ibの取り込み時の変動幅について述べる。本実施例において、図9に示すように、直流電圧値がVb時の直流電流Ibの変動幅ΔIb(Vb)は、Vbの値から、約5V程度大きい値までの間の変動幅とした。本実施例では、約5V程度としたが、変動幅は、検出装置の検出精度に依存するため、検出装置の検出精度に応じて適宜設定することが好ましい。
【0051】
この変動幅は、トナーコート層が不安定になると、大きくなることが分かった。その理由は概ね以下のように考えられる。直流電圧Vbの値が大きくなると、トナーとトナー間あるいは、トナーと規制ブレード間、トナーと現像ローラ間等に局所的に放電現象が生じる。そのため、不安定なトナーコート層の形成とともに、直流電流値の変動幅が大きくなる。一方、直流電圧値Vbが|Vbmin|≦|Vb|≦|Vbmin|+20Vを満たす領域においては、トナーが十分に現像ローラ側に押付けられる領域であるため、直流電流値の変動幅は小さく安定している。
【0052】
鋭意検討の結果、直流電圧Vb=Vbmin時の直流電流の変動幅ΔIb(Vbmin)を用いて、トナーコート層が著しく不安定となるのは、|ΔIb(Vb)|>10×|ΔIb(Vbmin)|のときであった。
【0053】
従って、トナーコート層の変動を抑制するためには、|ΔIb(Vb)|≦10×|ΔIb(Vbmin)|となるように、直流電圧Vbを設定することが好ましい。
【0054】
つぎに、印字枚数増加ともに電流差Dの値が減少する理由について述べる。
【0055】
現像容器中のトナーは、印字枚数が増加すると、トナー供給ローラやトナー規制部材、感光ドラム等々の摺擦によりストレスを受ける。そのストレスを受けたトナーは、外添剤の遊離や埋め込みが生じ、凝集性が高くなる。
【0056】
トナーの凝集性が高い場合、凝集性が低い場合に比べ、トナー1つ1つの動きやすさは、低下する。そのため、十分な電気的力が加えられても、トナーの凝集状態の変化が小さく、極大値と極小値の差Dも小さくなる。一方、凝集性が低い場合、トナー1つ1つの動きやすさは、高いため、現像ローラ方向へ押付ける電気的力が働くと、トナーの凝集状態が密となるように、大きく変化する。結果、極大値と極小値の差Dも大きくなる。
【0057】
以上のことから、トナーの劣化の進行とともに、電流差Dが減少する理由は、トナーの劣化進行時、印加する直流電圧Vbの値がVbminの前後において、トナーの動きにくさに起因し、トナーの動きが小さくなるためと考えられる。
【0058】
このことから、ステップsa03のIb(Vb)の最小値検出時において、電流差D<0.05μAの状態では、トナーの劣化が非常に進行していると考えられるため、現像装置の停止を行う設定とした。
【0059】
つぎに、本実施例の直流電圧Vb算出工程であるステップsa05の詳細について述べる。
【0060】
図10は、予め用意した現像装置を用いて、Vbminの値に対する良好な画像を得るために適正な直流電圧Vbの関係をVb=Vb(D)として、算出したものである。ここで、Dが小さいほど|Vb|が大きくなっている。
このVb=Vb(D)の関係をROMに予め書き込んだ。
【0061】
前記Vb=Vb(D)の関係の算出に用いた現像装置は、本実施例と同じ構成であり、画像比率5%の連続印字で適宜電流差Dの測定と画像評価することにより、適正な直流電圧Vbの値を算出した。
【0062】
次に、ステップsa05おける本実施例1のフローチャートを図11に示す。ステップsa0511では、前記sa02にて検出し、RAM中に格納したIb=Ib(Vb)を読み込み直流電流Ibの極大値と極小値の電流差DをCPUにより算出し前記RAMに格納する。次に、ステップsa0512にでは、前記RAMに格納された電流差DおよびROM中に予め格納されたVb=Vb(D)を演算処理部のCPUにて読み込み、対比処理し、ステップsa0513により直流電圧Vbの適正値を算出する。その後、ステップsa05の適正な直流電圧Vb算出方法を終了し、前記sa06へ移行する。
【0063】
また、本実施例においては、現像ローラ3とトナー規制部材4との間のトナーの状態に関連する情報(トナーの劣化の進行を反映した情報)に関して、報知工程(現像装置の動作の警告・停止工程)を設けている。以下では、本実施例の現像装置の警告・停止を行う工程について述べる。
【0064】
図12は、現像装置の警告・停止を行う工程を示すフローチャートである。ステップsb01〜sb04までは、前述の直流電圧Vbを設定する工程のステップsa01〜sa04と同じである。
【0065】
その後、sb05の後述する現像装置可動の警告・停止判定工程を経て、警告する場合(sb06yk)には、警告情報を表示し、継続して現像装置を作動し、現像装置可動の警告・停止工程を終了する。sb05の後述する現像装置可動の警告・停止判定工程を経、警告・停止を行わない場合(sb06n)は、継続して現像装置を作動し、現像装置可動の警告・停止工程を終了する。
【0066】
さらに、sb05の後述する現像装置作動の警告・停止判定工程を経、停止を行う場合(sb06yt)は、現像装置を停止させ、現像装置可動の警告・停止工程を終了する。
【0067】
本実施例1における、上述sb05の現像装置可動の警告・停止判定工程について述べる。上述したように、電流差Dの値は、トナーの劣化進行とともに小さくなる。このため、現像装置可動の警告時および停止時の電流差Dの値が予め格納しているROM中の所定値Dkを参照し、D≦Dkとなったとき、現像装置可動の警告または、停止を行う。
【0068】
具体的には、予め用意した現像装置を用いて、警告・停止のタイミングとして、それぞれ適切な所定値Dk1=1.7μA(警告)、Dk2=1.5μA(停止)を算出し、この値をROMに書き込んだ。ここで、前記Dk1、Dk2の値の算出に用いた現像装置は、本実施例と同じ構成であり、画像比率5%の連続印字し、電流差Dの測定と画像評価することにより、適正な値を算出した。これにより、トナー劣化に応じ、現像装置可動の警告・停止を行えるため、スムーズな現像装置あるいはプロセスカートリッジ交換の実現、重大な画像不良や装置本体の汚染を未然に防止することができる。
【0069】
本実施例では、現像装置に関する報知(警告・停止)を行う報知手段Uは、装置本体に設けられている(図3参照)が、ネットワークを通じてPCに報知手段を表示させても良い。
【0070】
また、本実施例においては、直流電圧Vbの設定工程および、現像装置可動の警告・停止工程は、画像形成を行わない非画像形成時中に実施した。
【0071】
具体的には、印字枚数が2000枚おきに各工程を行い、現像装置可動の警告・停止工程により、警告が行われた後は、1000枚おきに、各工程を実施した。
【0072】
警告後、各工程を行うタイミングを短くする理由は、トナーの劣化の加速を考慮し、適宜、調整できるようにするためである。
【0073】
《実施例2》
本実施例は、基本的には実施例1に準ずるが以下の点が異なる。
【0074】
sa05のVbの適正値算出工程において、Ib=Ib(Vb)の極大値と極小値時のそれぞれの直流電圧値Vbmax、Vbminおよびその電圧差Vsを算出し、前記電圧差Vsより直流電圧値Vbの適正値を算出することが異なる。
【0075】
電圧差Vsは、図7に示すように、電流差Dが生じる際の直流電圧の変化量である。発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、図13に示すように、印字枚数の増加に応じVsの値が増加することを見出した。つまり、電圧差Vsは、トナーの劣化と関係する値と考えられる。
【0076】
その理由は、電流差D同様、十分明らかとなってはいないが、概ね以下のためと考えられる。前述したように、トナーの劣化が進行し、トナーの凝集性が高くなると、トナー1つ1つが動きにくくなる。すると、トナーが十分、現像ローラ方向へ押付けられるためには、より大きい電気的な力、すなわち、直流電圧値Vbを必要とする。すなわち、トナーの動きやすさが低下することで、直流電圧Vbにより、トナーが現像ローラ方向へ押付つけられにくくなるため、VbmaxからVbminに到達するまでの電圧差Vsが大きくなる。結果、印字枚数の増加とともに、電圧差Vsが大きくなると考えられる。
【0077】
次に本実施例の直流電圧Vb算出工程であるステップsa05の詳細について述べる。
【0078】
図14は、予め用意した現像装置を用いて、Vsの値に対する良好な画像を得るために適正な直流電圧Vbの関係をVb=Vb(Vs)として、算出したものである。ここで、Vsが大きいほど|Vb|が大きくなっている。
【0079】
このVb=Vb(Vs)の関係をROMに予め書き込んだ。
【0080】
前記Vb=Vb(Vs)の関係の算出に用いた現像装置は、本実施例と同じ構成であり、画像比率5%の連続印字で適宜電圧差Vsの測定と画像評価することにより、適正な直流電圧Vbの値を算出した。
【0081】
次に、ステップsa05における本実施例2のフローチャートを図15に示す。ステップsa0521では、前記sa02にて検出し、RAM中に格納したIb=Ib(Vb)を読み込み直流電流Ibの極大時と極小時の直流電圧VbmaxとVbminの電圧差Vs(=Vbmin−Vbmax)をCPUにより算出し前記RAMに格納する。次に、ステップsa0522にでは、前記RAMに格納された電圧差VsおよびROM中に予め格納されたVb=Vb(Vs)を演算処理部のCPUにて読み込み、対比処理し、ステップsa0523により直流電圧Vbの適正値を算出する。その後、ステップsa05の適正な直流電圧Vb算出方法を終了し、前記sa06へ移行する。
【0082】
また、実施例2は、sb05の現像装置可動の警告・停止判定工程が異なる。まず、sb02によりRAM中に格納したIb=Ib(Vb)を読み込み、直流電流Ibの極大時と極小時の直流電圧VbmaxとVbminの電圧差Vs(=Vbmin−Vbmax)をCPUにより算出する。次に、予め格納されたROM内の所定値VskをCPU内で対比し、Vs≧Vskとなることにより現像装置可動の警告・停止を行うことが異なる。具体的には、予め用意した現像装置を用いて、警告・停止のタイミングとして、それぞれ適切な所定値Vsk1=28V(警告)、Vsk2=30V(停止)を算出し、この値をROMに書き込んだ。ここで、前記Vsk1、Vsk2の値の算出に用いた現像装置は、本実施例と同じ構成であり、画像比率5%の連続印字し、電圧差Vsの測定と画像評価することにより、適正な値を算出した。
【0083】
《実施例3》
本実施例は、基本的には実施例1に準ずるが以下の点が異なる。
【0084】
sa05の直流電圧Vbの適正値算出工程において、前述の電流差Dに対する前記電圧差Vsの比Hを用いて、直流電圧値Vbの適正値を算出することが異なる。図16に示すように、Hの値もまた、印字枚数の増加に応じ増加することから、トナー劣化を反映する値と考えられる。
【0085】
また、比Hはトナーの劣化の進行とともに増加する電圧差Vsをトナーの劣化進行とともに減少する電流差Dで割ったもので表される。そのため、比Hもまた、トナーの劣化の進行とともに増加する。ただし、電流差Dや電圧差Vsの単独の検知に比べ、ばらつきが少なく、精度の高くトナーの劣化の度合を把握できると考えられる。
【0086】
本実施例の直流電圧Vb算出工程であるステップsa05の詳細について述べる。
【0087】
図17は、予め用意した現像装置を用いて、Hの値に対する良好な画像を得るために適正な直流電圧Vbの関係をVb=Vb(H)として、算出したものである。ここで、Hが大きいほど|Vb|が大きくなっている。
【0088】
このVb=Vb(H)の関係をROMに予め書き込んだ。
【0089】
前記Vb=Vb(H)の関係の算出に用いた現像装置は、本実施例と同じ構成であり、画像比率5%の連続印字で適宜Hの測定と画像評価することにより、適正な直流電圧Vbの値を算出した。
【0090】
次に、ステップsa05における本実施例3のフローチャートを図18に示す。ステップsa0531では、前記sa02にて検出し、RAM中に格納したIb=Ib(Vb)を読み込み直流電流Ibの極大時と極小時の電圧差Vs(=Vbmin−Vbmax)および極大値と極小値の電流差D、H=Vs/DをCPUにより算出し前記RAMに格納する。次に、ステップsa0532では、前記RAMに格納されたHおよびROM中に予め格納されたVb=Vb(H)を演算処理部のCPUにて読み込み、対比処理し、ステップsa0523により直流電圧Vbの適正値を算出する。その後、ステップsa05の適正な直流電圧Vb算出方法を終了し、前記sa06へ移行する。
【0091】
また、実施例3は、sb05の現像装置可動の警告・停止判定工程が異なる。まず、前記sb02にて検出し、RAM中に格納したIb=Ib(Vb)を読み込み直流電流Ibの極大時と極小時の電圧差Vs(=Vbmin−Vbmax)および極大値と極小値の電流差D、H=Vs/DをCPUにより算出し前記RAMに格納する。RAM内に格納されたHを読み出し、CPUにて算出した前記Hが、予めROM内に格納された所定値Hk以上になることにより現像装置可動の警告・停止を行うことが異なる。具体的には、予め用意した現像装置を用いて、警告・停止のタイミングとして、それぞれ適切な所定値Hk1=16.5[V/μA](警告)、Hk2=20.0[V/μA]((停止)を算出し、この値をROMに書き込んだ。ここで、前記Hk1、Hk2の値の算出に用いた現像装置は、本実施例と同じ構成であり、画像比率5%の連続印字し、Hの測定と画像評価することにより、適正な値を算出した。
【0092】
《比較例1》
比較例1の現像装置および現像装置にかかわる画像形成装置の一部を図21を用いて述べる。
【0093】
現像剤である一成分非磁性トナーは、結着樹脂、電荷制御剤を含む懸濁重合法により調整され、流動化剤などを外添剤として添加することでネガ極性を有するように作製した。
【0094】
トナー規制部材4cは、現像ローラ3上の前記トナーを感光ドラム1上における現像に適した所定のコート量、及び、所定の電荷量に制御することを目的とする。トナー規制部材4は現像容器に固定された支持板金4c1に、リン青銅板やステンレス板などの薄板状弾性部材4c2を片持ちで支持し、その対向部の腹面を現像ローラ3に対して当接している。本比較例においては、厚さ1.2mmの鉄板を支持板金として使用し、厚み120μmのリン青銅板を薄板状弾性部材として前記支持板金に固定支持している。薄板状弾性部材42の片持ち支持部から現像ローラ3との当接部までの距離、いわゆる自由長さは14mmであり、現像ローラ3の薄板状弾性部材42に対する押し込み量は1.5mmである。
【0095】
つぎに、現像装置にかかわる画像形成装置本体部分について述べる。
【0096】
前述した現像ローラへの電圧印加は、電源s1により−300V印加し、さらに、規制部材への電圧印加は、電源s2により−500V印加する。
【0097】
《比較例2》
本比較例は、基本的には実施例1に準ずるが以下の点が異なる。
【0098】
step05のVbの適正値算出工程において、印字枚数Rを検出し、印字枚数Rにより直流電圧値Vbの適正値を算出することが異なる。
【0099】
本実施例の直流電圧Vb算出工程であるステップsa05の詳細について述べる。
【0100】
図22は、予め用意した現像装置を用いて、印字枚数Rの値に対する良好な画像を得るために適正な直流電圧Vbの関係をVb=Vb(R)として、算出したものである。
【0101】
このVb=Vb(R)の関係をROMに予め書き込んだ。
【0102】
前記Vb=Vb(R)の関係の算出に用いた現像装置は、本実施例と同じ構成であり、画像比率5%の連続印字で適宜Vbminの測定と画像評価することにより、適正な直流電圧Vbの値を算出した。
【0103】
次に、ステップsa05において、フローチャートを図23に示す。ステップsa0541では、印字枚数RとROM中に予め格納されたVb=Vb(R)を演算処理部のCPUにて読み込み、対比処理し、ステップsa0542により直流電圧Vbの適正値を算出する。その後、ステップsa05の適正な直流電圧Vb算出方法を終了し、前記sa06へ移行する。
【0104】
また、本比較例においては、現像装置可動の警告・停止工程を行わないことが異なる。
【0105】
《比較例3》
本実施例は、基本的には実施例1に準ずるが以下の点が異なる。
【0106】
step05のVbの適正値算出工程において、直流電流の適正値VbをVbminとして算出することが異なる。
【0107】
また、本比較例においては、現像装置可動の警告・停止工程を行わないことが異なり、Vbの適正値算出工程は、印字枚数2000枚おきに実施した。
【0108】
各実施例及び比較例の評価方法
以下では、本実施例と比較例の差異を調べるための画像評価について述べる。
【0109】
a)耐久後のカブリ評価1(画像比率5%)
カブリとは、本来印字しない白部(未露光部)においてトナーがわずか現像され地汚れのように現れる画像不良のことである。
【0110】
カブリ量は光学反射率測定機(東京電飾製TC−6DS)によりグリーンフィルタによる光学反射率を測定し、記録紙のみの反射率から差し引いてカブリ分の反射率量をもとめカブリ量として評価した。カブリ量は記録紙上を10点以上測定しその平均値を求めた。
××:カブリ量が3.0%を越える。
×:カブリ量が1.0〜3.0%未満である。
△:カブリ量が0.5〜1.0%未満である。
○:カブリ量が0.2〜0.5%未満である。
◎:カブリ量が0.2%未満である。
【0111】
カブリ評価は、試験環境25℃、50%Rh、1万5千枚印字後に行った。印字テストは、画像比率5%の横線の記録画像を連続的に通紙して行った。ここで、画像比率5%の横線とは、具体的に、1ドットライン印字後、19ドットライン非印字を繰り返す画像を用いた。
【0112】
また、以降述べる他の画像欠陥が生じた場合は、その個所を避けて測定し、カブリを純粋に評価できるよう配慮した。
【0113】
b)耐久後のカブリ評価2(画像比率1%)
本評価のカブリ測定は、測定方法、評価基準は同じであるが、印字テストを、画像比率1%の横線の記録画像を連続的に通紙して行ったことが異なる。ここで、画像比率1%の横線として、具体的に、1ドットライン印字、99ドットライン非印字を繰り返す画像を用いた。
【0114】
c)耐久後のカブリ評価3(画像比率1%・間欠印字)
本評価のカブリ測定は、測定方法、評価基準は同じであるが、印字テストを、画像比率1%の横線の記録画像を間欠的に通紙して行ったことが異なる。ここで、画像比率1%の横線として、具体的に、1ドットライン印字、99ドットライン非印字を繰り返す画像を用いた。
【0115】
ここで、本実施例における間欠印字とは、特定枚数印字後、現像装置の動作を静止させ、再度、印字動作を行う印字方法を意味する。従って、印字動作の始動直後および静止直前に非印字状態で、現像装置が作動する時間が生じる。
【0116】
本評価においては、2枚連続印字後、現像装置の静止動作を行ない、現像装置の静止後、再度、現像装置が始動するように設定した。
【0117】
d)縦筋評価
縦筋評価は、ベタ黒画像を印字し、目視により縦筋の有無を評価した。
×:ベタ黒画像中に、縦筋が2本以上である。
○:ベタ黒画像中に、縦筋が2本未満である。
【0118】
印字テストは、試験環境25℃、50%Rh、1000枚印字後に行った。印字テストは、画像比率5%の横線の記録画像を連続的に通紙して行った。
【0119】
以下に実施例1〜4、および比較例1〜3の評価結果を表1に示す。
【0120】
【表1】
【0121】
《比較例に対する優位性》
はじめに、比較例1と比較することにより実施例1の優位性について述べる。比較例1は、予め現像ローラと規制ブレード間に印加する直流電圧Vbを一定値の200Vに設定した例であるが、耐久時のカブリ量が多い。その原因は、印字枚数が少ない時期から、直流電圧Vbを印加しているためと考えられる。現像ローラと規制ブレード間に直流電圧Vbを印加すると、現像ローラと規制ブレードが当接する当接ニップ内で、トナーは、現像ローラの方向へ力を受ける。つまり、比較例1では、トナーが印字枚数の少ない時期から、直流電圧Vbにより付加されたストレスを受ける。そのため、トナーの外添剤の遊離、埋め込み等によるトナーの劣化を生じ、電荷付与性が低下する。結果、耐久時のカブリが増加する。
【0122】
一方、実施例1では、電流差Dの値に応じて、すなわち、トナーの劣化に応じて、適切な直流電圧Vbを印加する。そのため、印字枚数が少ない時期において、直流電圧Vbの印加によるトナーへの過剰なストレスを抑制することができる。加えて、トナー劣化が進んだときに、必要な直流電圧Vbを印加するため、カブリ量を著しく抑制することができる。
【0123】
次に、実施例1〜3と比較例1〜3を比較することによって、実施例1〜3の優位性について述べる。
【0124】
<a)耐久カブリ1、b)耐久カブリ2、c)耐久カブリ3評価結果について>
比較例1は、上述したように、印字枚数の少ない時期から直流電圧Vbを一定量印加する。そのため、トナーの劣化が促進され、カブリ量の増加を生じる。
【0125】
比較例2は、印字枚数Rに応じて適正な直流電圧Vbを印加した例である。予め準備されたVb=Vb(R)は、画像比率5%時印字を想定して算出された関係である。そのため、画像比率が予め想定された値に近い耐久経緯を経ている画像比率5%時の耐久カブリは、著しく抑制されている。しかし、画像比率1%と非常にトナー消費の少ない状態においては、カブリ量が悪化する。この理由は、トナー消費の少ない耐久経緯を経た場合、印字枚数時の現像装置内トナー量は、想定された値より多くなる。現像装置内のトナー量が多い場合、現像装置内のトナーへのストレスは概ね平均化されるため、トナーの劣化も軽微となる。
【0126】
ところが、比較例2においては、トナーの劣化が軽微であるにもかかわらず、規定の印字枚数R時には、所定の直流電圧Vbを印加する。このため、比較例1同様に、トナー劣化の少ない状態に過剰な直流電圧Vbを印加、過剰なトナーへのストレスを加える。結果、トナー消費の少ない耐久経緯を経ると、トナー劣化を促進し、カブリ量増加を生じる。
【0127】
一方、実施例1では、印字枚数やトナーの消費量の違いにかかわらず、トナー劣化を反映する電流差Dの値に応じて、適正な直流電圧Vbを印加するため、印字枚数やトナーの消費量の違いにかかわらず、カブリ量の増加を抑制する。
【0128】
また、比較例3は、直流電圧VbをVbminに設定した例である、実施例1に比べ、カブリ量がやや多い。その理由は、トナーの劣化による帯電付与性低下時には、カブリ量を抑制するために十分な直流電圧Vbの印加を行うことができない。結果、軽微なカブリ量の増加を生じる。
【0129】
一方、実施例1においては、電流差Dの値に応じて、すなわち、トナーの劣化度合いに応じて、印加する直流電圧Vbの値を大きくするように設定している。そのため、過剰なバイアス印加を抑制することで、トナーの劣化の促進を抑えると同時に、トナーの劣化による帯電付与性低下時にカブリ量を抑制するために十分な直流電圧Vbを印加することができる。
【0130】
以上のことから、実施例1においては、印字枚数やトナー消費量にかかわらず、トナーの劣化を反映する電流差Dの値に応じ、適正な直流電圧Vbを印加するため、トナーの劣化を著しく抑制する。加えて、「トナーの劣化の進行」、すなわち、「電流差Dの値の減少」に応じて、直流電圧Vbの値を大きくしている。そのため、トナーの劣化時の帯電付与性低下によるカブリ量を抑制のために必要な直流電圧Vbの印加が可能なため、カブリ量を著しく抑制することができる。
【0131】
つぎに、実施例1〜3を比較することで、それぞれの効果について述べる。実施例2及び実施例3は、実施例1より、カブリ量抑制効果が高い。特に、トナー消費量の非常に少ない、画像比率1%・間欠印字時のカブリ量抑制効果が高い。その理由は、実施例2および実施例3は、トナーの劣化に対する検知精度が高いためと考えられる。検知精度が高いと、適正な直流電圧値Vbをより高精度で設定できるため、カブリ量抑制が高い。特に、実施例3においては、トナーの劣化に対応する、トナーの凝集性をより正確に把握できるため、よりカブリ量抑制効果が高いと考えられる。
【0132】
<d)縦筋の評価結果について>
比較例3は、直流電圧VbをVbminに設定するため、縦筋が発生すると考えられる。前述したように、Vbmin近傍に直流電圧Vbを設定すると、トナーが現像ローラ方向に押付けられる状態(Vbminより大きい値時)と規制ブレードとトナーの接触回数が多い状態(Vbminより小さい値時)の混在を生じ、トナーコート層が不安定となる。結果、縦筋が発生する。
【0133】
一方、実施例1〜4は、直流電圧VbがVbminより大きい値、より好ましくは、Vb>Vbmin+20Vに設定する。そのため、上記混在状態時のトナーコート層不安定化によるベタ黒画像中の縦筋発生を著しく抑制する。
【0134】
以上、述べたように実施例1〜3の効果は、現像ローラと規制ブレード間に印加する直流電圧Vbを規制ブレードを流れる電流Ib=Ib(Vb)の関係から得られる極小値時の電圧値Vbminより大きくすることで、トナーコート層を安定させ、縦筋を抑制することにある。
【0135】
印字枚数やトナー消費量にかかわらず、トナーの劣化を反映する電流差Dの値に応じ、適正な直流電圧Vbを印加するため、トナーの劣化を著しく抑制する。加えて、「トナーの劣化の進行」、すなわち、「電流差Dの値の減少」に応じて、直流電圧Vbの値を大きくしている。そのため、トナーの劣化時の帯電付与性低下によるカブリ量を抑制のために必要な直流電圧Vbの印加が可能なため、カブリ量を著しく抑制することができる。
【0136】
また、簡易な構成にて上記効果を長期に渡って得ることができる。
【0137】
《実施例4》
以下では、本実施例の現像装置の詳細を述べる。
【0138】
図19は後述する実施例4の現像装置および現像装置に関わる画像形成装置の一部を示す概略機構図である。以下では、実施例4の実施例1と異なる点について述べる。実施例2の現像装置は、現像剤補給手段(現像剤補給部)Gであるトナー補給部を有することが異なる。トナー補給部は、開閉可能な弁g1および攪拌部材g2を有する。また、現像剤補給手段Gであるトナー補給部は、取り外し可能とし、適宜、トナーの補給を行うことができる。また、トナー容器Tへトナーの供給を所定のタイミングで行うため、開閉可能な弁g1および攪拌部材g2は、補給制御手段g3により作動する。
【0139】
本実施例では、トナー補給部はトナー補給制御手段Gにより補給のタイミングを制御している。しかし、補給時に手動で、新しいトナーを収容したトナー補給部を交換することにより行ってもよい。
【0140】
また、本実施例における未使用の現像装置は、トナー容量は、A4用紙印字率5%換算で5千枚相当、補給前の5千枚時の現像装置内トナー量は概ね初期トナー充填量の40%程度となるように設定した。さらに、補給時は、初期トナー充填量の約50%の量を補給するように設定している。
【0141】
図19は、本実施例における現像装置Fと現像装置にかかわる画像形成装置本体の概略図である。電源S1、S2は、画像形成装置本体に設けられた演算処理手段につながっている。また、規制ブレードを流れる電流Ibを測定するための電流検知手段である電流計Iを備えている。前記電流計Iもまた、検知データを転送できるように、前記演算処理手段につながっている。
【0142】
さらに、トナー補給手段Gからトナー容器へ所望のタイミングでトナーを補給するため、開閉弁g1、攪拌g2の動作を制御する補給制御手段g3,g4もまた前記演算手段につながっている。
【0143】
本実施例において、直流電圧Vbを200Vの一定値に固定している。
【0144】
次に、トナーの補給を行う工程について述べる。図20は、直流電圧Vbを設定する手順を示すフローチャートである。ステップsc01〜sc04工程は、実施例1の現像装置可動の警告・停止工程のsb01〜sb04工程と同じである。その後、sc5の後述する補給判定を経、補給する場合(sc06)、前述の補給制御手段にg3、g4を作動させ、トナーの補給を実施し、補給工程を終了する。補給判定を経、補給を行わない場合(sc06n)は、補給制御手段g3,g4を作動させずに、補給工程を終了する。
【0145】
本実施例における、上述のsc05の補給判定工程について述べる。実施例1で述べたように、電流差Dの値は、トナーの劣化進行とともに小さくなる。このため、補給時の電流差Dの値が予め格納しているROM中の所定値Dhを参照し、D≦Dhとなったとき、補給を行うように設定した。
【0146】
具体的には、予め用意した現像装置を用いて、補給タイミングとして適切な所定値Dh=2.0μAを算出し、この値をROMに書き込んだ。
【0147】
ここで、前記Dhの算出に用いた現像装置は、本実施例と同じ構成であり、画像比率5%の連続印字し、1回目の補給前の印字枚数5000枚のときの電流差Dの測定と画像評価することにより、適正な電流差Dhの値を算出した。
【0148】
また、本実施例においては、トナー補給工程は、画像形成を行わない非印字中に実施した。
【0149】
具体的には、印字枚数が1000枚おきに各工程を行い、現像装置へのトナーの補給工程により、トナー補給が行われた直後2000枚までは、500枚おきに、各工程を実施し、2000枚以降は、補給前同様、1000枚おきに各工程を実施した。
【0150】
《実施例5》
本実施例は、基本的には実施例4に準ずるが直流電圧Vbの設定方法を実施例1と同じとした点が異なる。
【0151】
《実施例6》
本実施例は、基本的には実施例4に準ずるがsc05の補給判定工程が異なる。
【0152】
sc05の補給判定工程において、sc02によりRAM中に格納したIb=Ib(Vb)を読み込み、直流電流Ibの極大時と極小時の直流電圧VbmaxとVbminの電圧差Vs(=Vbmin−Vbmax)をCPUにより算出する。次に、予め格納されたROM内の所定値VshをCPU内で対比し、Vs≧Vshとなることにより補給を行うことが異なる。具体的には、予め用意した現像装置を用いて、補給タイミングとして適切な所定値Vsh=26Vとし、この値をROMに書き込んだ。
【0153】
ここで、前記Vshの算出に用いた現像装置は、本実施例と同じ構成である。そして、本実施例では、画像比率5%の連続印字を行い、1回目の補給前の印字枚数5000枚となるときの電圧差Vsの測定と画像評価することにより、適正な直流電圧Vshの値を算出した。
【0154】
さらに、直流電圧Vbの設定方法を実施例2と同じとした点が異なる。
【0155】
《実施例7》
本実施例は、基本的には実施例4に準ずるがsc05の補給判定工程が異なる。
【0156】
sc05の補給判定工程において、Ib=Ib(Vb)の極大値と極小値の電流差Dの値およびIb=Ib(Vb)の極大時と極小時の電圧差Vsの値、H=Vs/Dを算出する。次に、予め格納されたROM内の所定値HhをCPU内で対比し、H≧Hhとなることにより補給を行うことが異なる。具体的には、予め用意した現像装置を用いて、補給タイミングとして適切な所定値Hh=13.0[V/μA]とし、この値をROMに書き込んだ。
【0157】
ここで、前記Hhの算出に用いた現像装置は、本実施例と同じ構成であり、画像比率5%の連続印字を行い、1回目の補給前の印字枚数5000枚となるときのHの測定と画像評価することにより、適正なHhの値を算出した。
【0158】
さらに、直流電圧Vbの設定方法を実施例3と同じとした点が異なる。
【0159】
《実施例8》
本実施例は、基本的には実施例4に準ずるが、sc05の補給判定工程を実施例6と同じとしたことが異なる。
【0160】
《実施例9》
本実施例は、基本的には実施例4に準ずるが、sc05の補給判定工程を実施例7と同じとしたことが異なる。
【0161】
《比較例4》
本比較例は、基本的には実施例5に準ずるが以下の点が異なる。
【0162】
sc05の補給判定工程において、印字枚数Rが所定値Rhになることにより補給を行うことが異なる。具体的には、予め用意した現像装置を用いて、所定値Rh=5000とし、この値をROMに書き込んだ。
【0163】
《比較例5》
本比較例は、基本的には実施例5に準ずるが以下の点が異なる。
【0164】
sc05の補給判定工程において、初期トナー充填量に対する現像装置トナー残量の比Qが所定値Qhになることにより補給を行うことが異なる。具体的には、予め用意した現像装置を用いて、所定値Qh=0.4とし、この値をROMに書き込んだ。
【0165】
各実施例及び比較例の評価方法
以下では、実施例4と比較例の差異を調べるための画像評価について述べる。
【0166】
A)トナー補給直後のカブリ評価1(画像比率5%)
カブリ評価の判定基準は、前述のa)耐久後のカブリ評価1と同じとした。
【0167】
本カブリ評価は、試験環境25℃、50%Rhで行った。さらに、トナー補給手段が3回目のトナー補給のために作動し、終了直後、ベタ白画像を3枚連続通紙し、最もカブリ量の多い評価画像を評価した。
【0168】
印字テストは、画像比率5%の横線の記録画像を連続的に通紙して行った。ここで、画像比率5%の横線として、具体的に、1ドットライン印字後、19ドットライン非印字を繰り返す画像を用いた。
【0169】
B)トナー補給直後のカブリ評価2(画像比率1%)
本評価のA)トナー補給直後のカブリ評価1に、測定方法、評価基準に準ずるが、印字テストを、画像比率1%の横線の記録画像を連続的に通紙して行ったことが異なる。ここで、画像比率1%の横線として、具体的に、1ドットライン印字後、99ドットライン非印字を繰り返す画像を用いた。
【0170】
C)トナー補給直前の現像装置内トナー量(画像比率1%)
本評価は、トナー補給手段が3回目のトナー補給の動作を行う直前の現像装置内のトナー量を測定し、初期未使用の現像装置内へのトナー充填量に対する現像装置内トナー量の比率Qを以下の基準で判定を行った。
大:現像装置内トナー量の比率Qが、1.0以上。
中:現像装置内トナー量の比率Qが、0.6以上、1.0未満。
小:現像装置内のトナー量が0.6未満。
【0171】
ここで、画像比率1%の横線として、具体的に、1ドットライン印字後、99ドットライン非印字を繰り返す画像を用いた。
【0172】
D)トナー補給後の耐久カブリ評価(画像比率1%)
カブリ評価の判定基準は、前述のa)耐久後のカブリ評価1と同じとした。
【0173】
本カブリ評価は、試験環境25℃、50%Rhで行った。さらに、印字テストは、トナー補給手段により3回目のトナー補給が行われた後、連続通紙5000枚後に行った。また、通紙に用いた記録画像は、画像比率1%の横線を用いた。ここで、画像比率1%の横線として、具体的に、1ドットライン印字、99ドットライン非印字を繰り返す画像を用いた。
【0174】
以下に実施例4〜10、および比較例4,5の評価結果を表2に示す。
【0175】
【表2】
【0176】
実施例4〜9の有利な効果を比較例4,5を比較して述べる。
【0177】
<A)トナー補給直後のカブリ評価1、トナー補給直後のカブリ評価2およびトナー補給直前の現像装置内トナー量>
まず、実施例4と比較例4,5を比較することから述べる。
【0178】
実施例4および比較例4,5は、画像比率5%の連続印字を基にして、予めトナーを補給するタイミングを設定している。そのため、画像比率5%の連像印字時は、補給直後のカブリ量は少なく良好である。
【0179】
比較例4は、印字枚数Rが所定枚数Rhとなったとき、トナー補給を行うように設定された例であるが、画像比率1%のトナー消費量の少ない場合においても、補給直後のカブリ量の増加はなく、良好である。しかしながら、トナー補給直前の現像容器内のトナー量が著しく多く、現像容器内にトナーが残りやすい。
【0180】
この理由は、トナーの消費量が少ない状態で、印字を続けると、現像容器内のトナーが多く残存している状態で、トナー補給手段によりトナーが補給される。そのため、トナーの劣化は抑制され、補給時のカブリ量の悪化も抑制されるが、現像装置内のトナー量は、非常に多くなる。効率的なトナーの消費の観点から、無駄なトナーが増加するため、好ましくない。また、より多くのトナー補給回数を繰り返し、現像容器としての規定のトナー量を超え、現像容器内の粉圧が著しく増加する。結果、トナー劣化が促進され、トナー量が多いにもかかわらず、カブリ量の増加を引き起こす可能性がある。あるいは、粉圧の上昇した現像容器内のトナーは、現像容器外へ飛散、漏れ、本体汚染を引き起こす可能性がある。
【0181】
一方、比較例5は、現像容器内のトナー残量の比Qが所定値Qhになったときに、トナー補給を行うように設定された例である。画像比率1%のトナー消費量の少ない場合においても、現像容器内のトナー残量の比Qが所定値Qhになってから補給されるため、トナー補給前の現像容器内のトナー量は少ない。しかしながら、トナーが少ない状態で印字し続けるため、現像ローラと感光ドラム、現像ローラと供給ローラ、現像ローラと規制部材間等の摺擦によりストレスを受け、著しくトナーの劣化を生じる。この状態で、トナー補給手段により、新たに新規のトナーを混合するため、カブリ量が著しく増加する。著しく劣化したトナーと新しいトナーの混合時、カブリ量が増加する理由は、概ね以下のように考えられる。
【0182】
劣化の進行したトナーは、外添剤の遊離や埋め込み等により、凝集性の増加や帯電付与性の低下を生じる。一方、新しいトナーは、凝集性が低く、帯電付与性も高い。この性質の大きく異なるトナーを混合すると、帯電しやすい新しいトナーはより多くの電荷量を得ようとし、逆に、帯電しにくい劣化したトナーは、より得られる電荷量が少なく、あるいは、逆極性の電荷を有したトナーを生成する。結果、電気的に制御困難な電荷を有したトナーがトナーコート層を占めると、カブリ量の著しい増加を生じる。
【0183】
つまり、トナー補給前の現像装置内のトナー量を少ない状態を維持しつつ、補給直後のカブリ量を抑制するためには、トナーの劣化が所定値より進行する前に新しいトナーを供給することが重要であると考えられる。
【0184】
実施例4においては、トナー劣化に関係する電流差Dの値が所定値Dh以下となることによりトナー補給手段によりトナーを補給するため、画像比率1%とトナー消費量が少ない場合においても、補給直後にカブリ量の著しい増加を抑制する。
【0185】
また、所定値Dh以下となるまで、補給を行わないため、現像装置内トナー量の増加も抑制できる。
【0186】
以上、述べたように、実施例4においては、トナーの劣化を反映した電流差Dが所定値Dh以下となることで、補給を行う。そのため、著しく劣化したトナーと新しいトナーが混合することを著しく抑制するため、トナー補給直後のカブリ量の著しい増加を抑制する。
【0187】
加えて、トナー消費が少ない印字状態であっても、トナーの劣化がある程度進行するまで、トナー補給を行わないので、現像容器内のトナー量の著しい増加を抑制する。
【0188】
つまり、実施例4においては、トナー消費量にかかわらず、トナー補給前の現像容器内トナー量の増加、および、トナー補給直後のカブリ量の増加を抑制する。
【0189】
つぎに、実施例5〜9の有利な効果を述べるために実施例4と比較する。
【0190】
実施例5は、実施例4に対して、トナーの劣化を反映する電流差Dの値に応じて直流電圧Vbの値を設定した例である。実施例1の効果として述べたように、トナーの劣化に応じて直流電圧Vbの値を設定するため、直流電圧Vb印加によるトナーへの過剰なストレスを軽減でき、著しいトナーの劣化を抑制する。結果、画像比率1%時のトナー補給時のカブリ量は、実施例4と同等であるが、トナー補給前の現像容器内トナー量は、著しく抑制することができる。
【0191】
一方、実施例6,7は、実施例5に比べ、トナーの劣化を検知する精度が高いため、補給タイミングおよび、直流電圧Vbの設定がより適切に行うことができる。結果、補給直前の現像容器内トナー量が少ない状態においても、補給直後のカブリ量の増加を著しく抑制できると考えられる。特に、実施例9は、トナーの劣化に対応する、トナーの凝集性をより正確に把握できるため、補給直後のカブリ量を著しく抑制することができる。
【0192】
また、実施例8、9は、実施例4と同等の効果を得ることが分かった。
【0193】
<D)トナー補給後の耐久カブリ評価結果>
つぎに、実施例5〜7の有利な効果を述べるために実施例4と比較する。実施例4に比べ、実施例5〜7は、補給後の耐久後のカブリ量を抑制することができる。
【0194】
その理由は、実施例1〜3と同様にトナーの劣化に応じて直流電圧Vbを設定するため、過剰なストレスの軽減とトナー劣化時にカブリ量を抑制するために適切な直流電圧Vbを印加できるためと考えられる。
【0195】
加えて、実施例4のトナーの補給を行う場合においては、以下の作用により、トナー劣化を抑制することができると考えられる。まず、トナーの補給直前は、適度に劣化したトナーが現像容器内を占めるため、直流電圧Vbは大きめの値をとる。次に、トナー補給直後においても、規制ブレード近辺には、適度にトナー劣化を生じたトナーが占めるため、直流電圧Vbは大きめである。そして、トナー補給後、印字を続けると、規制ブレード付近には概ね補給されたトナーが占めると考えられる。このとき、トナーの劣化を反映する電流差Dは、トナー補給直後より大きい値をとるため、直流電圧Vbの値は、小さくなる。
【0196】
つまり、実施例5〜7は、トナー補給後、現像容器内に劣化の少ないトナーが占めたとき、直流バイアスVbの値を小さくすることができる。結果、トナーの劣化を著しく抑制できる。
【0197】
実施例6、7は、トナー劣化の検知精度が高いため、よりトナー劣化を抑制でき、トナー補給後の耐久カブリの量を著しく抑制する。
【0198】
特に、実施例7は、トナーの劣化に対応する、トナーの凝集性をより正確に把握できるため、トナー劣化を抑制し、補給後の耐久カブリの量を著しく抑制する。
【符号の説明】
【0199】
1 被現像体、感光ドラム
2 帯電ローラ
3 現像剤担持体、現像ローラ
4 現像剤量規制手段、トナー規制部材
5 現像剤供給手段、トナー供給手段、供給ローラ
A 画像形成装置本体
B プロセスカートリッジ
C クリーニング装置
F 現像装置
K1 電圧印加手段
K2 電圧制御手段
I 電流検知手段
J 演算処理手段
T 現像容器、トナー容器
G 現像剤補給手段、トナー補給手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に形成された潜像を現像するために現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、
前記現像剤担持体と前記現像剤規制部材との間に、値が異なる複数の直流電圧を印加可能な電圧印加手段と、
前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に前記現像剤規制部材に流れる、値が異なる複数の直流電流を検知可能な電流検知手段と、
を有しており、
前記潜像を現像する前であって前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に、前記電流検知手段によって検知された直流電流が極小値であるときの直流電圧値をVbminとして、
前記潜像を現像する時に前記電圧印加手段が印加する直流電圧値をVbとした場合に、
|Vb|>|Vbmin|
を満たすようにVbを設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
|Vb|>|Vbmin|+20V
を満たすようにVbを設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記潜像を現像する時に前記電圧印加手段が印加する直流電圧値がVbである時に、前記電流検知手段が検知した直流電流の値をIb(Vb)として、その直流電流の値の変動幅をΔIb(Vb)とした場合、
|ΔIb(Vb)|≦10×|ΔIb(Vbmin)|
を満たすようにVbを設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
像担持体に形成された潜像を現像するために現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、
前記現像剤担持体と前記現像剤規制部材との間に、値が異なる複数の直流電圧を印加可能な電圧印加手段と、
前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に前記現像剤規制部材に流れる、値が異なる複数の直流電流を検知する電流検知手段と、
を有しており、
前記潜像を現像する前であって前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に、前記電流検知手段によって検知された、前記複数の直流電流の極小値と極大値の差分をDとして、
前記潜像を現像する時に前記電圧印加手段が印加する直流電圧値をVbとした場合に、
Dに基づいてVbを設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
Dが小さいほど|Vb|を大きくすることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
像担持体に形成された潜像を現像するために現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、
前記現像剤担持体と前記現像剤規制部材との間に、値が異なる複数の直流電圧を印加する電圧印加手段と、
前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に前記現像剤規制部材に流れる、値が異なる複数の直流電流を検知する電流検知手段と、
を有しており、
前記潜像を現像する前であって前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に、前記電流検知手段によって前記複数の直流電流の極小値及び極大値が検知され、前記極小値である時に前記電圧印加手段が印加した直流電圧値と、前記極大値である時に前記電圧印加手段が印加した直流電圧値と、の差分をVsとして、
前記潜像を現像する時に前記電圧印加手段が印加する直流電圧値をVbとした場合に、
Vsに基づいてVbを設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
Vsが大きいほど|Vb|を大きくすることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
像担持体に形成された潜像を現像するために現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、
前記現像剤担持体と前記現像剤規制部材との間に、値が異なる複数の直流電圧を印加する電圧印加手段と、
前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に前記現像剤規制部材に流れる、値が異なる複数の直流電流を検知する電流検知手段と、
を有しており、
前記潜像を現像する前であって前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に、前記電流検知手段が前記複数の直流電流を検知し、前記複数の直流電流の極小値と極大値との差分をDとして、
前記極小値である時に前記電圧印加手段が印加した直流電圧値と、前記極大値である時に前記電圧印加手段が印加した直流電圧値と、の差分をVsとして、
前記潜像を現像する時に前記電圧印加手段が印加する直流電圧値をVbとした場合に、
Vs/D(=H)に基づいて前記Vbを設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
Hが大きいほど|Vb|を大きくすることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
像担持体に形成された潜像を現像するために現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、
前記現像剤担持体と前記現像剤規制部材との間に、値が異なる複数の直流電圧を印加可能な電圧印加手段と、
前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に前記現像剤規制部材に流れる、値が異なる複数の直流電流を検知する電流検知手段と、
前記電流検知手段に検知された前記複数の直流電流に基づいて、前記現像剤担持体と前記現像剤規制部材との間の現像剤の状態に関連する情報を報知する報知手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記複数の直流電流の極大値と極小値の差分をDとした場合に、
Dに基づいて前記情報を報知することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記複数の直流電流が極大値である時に前記電流検知手段が検知した直流電圧値と、前記複数の直流電流が極小値である時に前記電流検知手段が検知した直流電圧値と、の差分をVsとした場合に、
Vsに基づいて前記情報を報知することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記複数の直流電流の極大値と極小値の差分をDとして、
前記極大値の時に前記電流検知手段が検知した直流電圧値と、前記極小値の時に前記電流検知手段が検知した直流電圧値と、の差分をVsとした場合に、
Vs/D(=H)に基づいて前記情報を報知することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記情報は、前記現像剤の劣化に関して警告する警告情報であることを特徴とする請求項10乃至13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
像担持体に形成された潜像を現像するために現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、
前記現像剤担持体へ供給するための現像剤を収納する現像剤収納部と、
前記現像剤収納部へ補給するための現像剤を収納する現像剤補給部と、
前記現像剤担持体と前記現像剤規制部材との間に、値が異なる複数の直流電圧を印加可能な電圧印加手段と、
前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に前記現像剤規制部材に流れる、値が異なる複数の直流電流を検知する電流検知手段と、
前記電流検知手段に検知された前記複数の直流電流に基づいて、前記現像剤補給部から前記現像剤収納部への現像剤の補給を制御する補給制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
前記複数の直流電流の極大値と極小値の差分をDとした場合に、
Dに基づいて現像剤の補給を制御することを特徴とする請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記複数の直流電流が極大値である時に前記電流検知手段が検知した直流電圧値と、前記複数の直流電流が極小値である時に前記電流検知手段が検知した直流電圧値と、の差分をVsとした場合に、
Vsに基づいて現像剤の補給を制御することを特徴とする請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記複数の直流電流の極大値と極小値の差分をDとして、
前記極大値の時に前記電流検知手段が検知した直流電圧値と、前記極小値の時に前記電流検知手段が検知した直流電圧値と、の差分をVsとした場合に、
Vs/D(=H)に基づいて現像剤の補給を制御することを特徴とする請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項1】
像担持体に形成された潜像を現像するために現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、
前記現像剤担持体と前記現像剤規制部材との間に、値が異なる複数の直流電圧を印加可能な電圧印加手段と、
前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に前記現像剤規制部材に流れる、値が異なる複数の直流電流を検知可能な電流検知手段と、
を有しており、
前記潜像を現像する前であって前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に、前記電流検知手段によって検知された直流電流が極小値であるときの直流電圧値をVbminとして、
前記潜像を現像する時に前記電圧印加手段が印加する直流電圧値をVbとした場合に、
|Vb|>|Vbmin|
を満たすようにVbを設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
|Vb|>|Vbmin|+20V
を満たすようにVbを設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記潜像を現像する時に前記電圧印加手段が印加する直流電圧値がVbである時に、前記電流検知手段が検知した直流電流の値をIb(Vb)として、その直流電流の値の変動幅をΔIb(Vb)とした場合、
|ΔIb(Vb)|≦10×|ΔIb(Vbmin)|
を満たすようにVbを設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
像担持体に形成された潜像を現像するために現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、
前記現像剤担持体と前記現像剤規制部材との間に、値が異なる複数の直流電圧を印加可能な電圧印加手段と、
前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に前記現像剤規制部材に流れる、値が異なる複数の直流電流を検知する電流検知手段と、
を有しており、
前記潜像を現像する前であって前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に、前記電流検知手段によって検知された、前記複数の直流電流の極小値と極大値の差分をDとして、
前記潜像を現像する時に前記電圧印加手段が印加する直流電圧値をVbとした場合に、
Dに基づいてVbを設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
Dが小さいほど|Vb|を大きくすることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
像担持体に形成された潜像を現像するために現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、
前記現像剤担持体と前記現像剤規制部材との間に、値が異なる複数の直流電圧を印加する電圧印加手段と、
前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に前記現像剤規制部材に流れる、値が異なる複数の直流電流を検知する電流検知手段と、
を有しており、
前記潜像を現像する前であって前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に、前記電流検知手段によって前記複数の直流電流の極小値及び極大値が検知され、前記極小値である時に前記電圧印加手段が印加した直流電圧値と、前記極大値である時に前記電圧印加手段が印加した直流電圧値と、の差分をVsとして、
前記潜像を現像する時に前記電圧印加手段が印加する直流電圧値をVbとした場合に、
Vsに基づいてVbを設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
Vsが大きいほど|Vb|を大きくすることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
像担持体に形成された潜像を現像するために現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、
前記現像剤担持体と前記現像剤規制部材との間に、値が異なる複数の直流電圧を印加する電圧印加手段と、
前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に前記現像剤規制部材に流れる、値が異なる複数の直流電流を検知する電流検知手段と、
を有しており、
前記潜像を現像する前であって前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に、前記電流検知手段が前記複数の直流電流を検知し、前記複数の直流電流の極小値と極大値との差分をDとして、
前記極小値である時に前記電圧印加手段が印加した直流電圧値と、前記極大値である時に前記電圧印加手段が印加した直流電圧値と、の差分をVsとして、
前記潜像を現像する時に前記電圧印加手段が印加する直流電圧値をVbとした場合に、
Vs/D(=H)に基づいて前記Vbを設定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
Hが大きいほど|Vb|を大きくすることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
像担持体に形成された潜像を現像するために現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、
前記現像剤担持体と前記現像剤規制部材との間に、値が異なる複数の直流電圧を印加可能な電圧印加手段と、
前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に前記現像剤規制部材に流れる、値が異なる複数の直流電流を検知する電流検知手段と、
前記電流検知手段に検知された前記複数の直流電流に基づいて、前記現像剤担持体と前記現像剤規制部材との間の現像剤の状態に関連する情報を報知する報知手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記複数の直流電流の極大値と極小値の差分をDとした場合に、
Dに基づいて前記情報を報知することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記複数の直流電流が極大値である時に前記電流検知手段が検知した直流電圧値と、前記複数の直流電流が極小値である時に前記電流検知手段が検知した直流電圧値と、の差分をVsとした場合に、
Vsに基づいて前記情報を報知することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記複数の直流電流の極大値と極小値の差分をDとして、
前記極大値の時に前記電流検知手段が検知した直流電圧値と、前記極小値の時に前記電流検知手段が検知した直流電圧値と、の差分をVsとした場合に、
Vs/D(=H)に基づいて前記情報を報知することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記情報は、前記現像剤の劣化に関して警告する警告情報であることを特徴とする請求項10乃至13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
像担持体に形成された潜像を現像するために現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、
前記現像剤担持体へ供給するための現像剤を収納する現像剤収納部と、
前記現像剤収納部へ補給するための現像剤を収納する現像剤補給部と、
前記現像剤担持体と前記現像剤規制部材との間に、値が異なる複数の直流電圧を印加可能な電圧印加手段と、
前記電圧印加手段が前記複数の直流電圧を印加した時に前記現像剤規制部材に流れる、値が異なる複数の直流電流を検知する電流検知手段と、
前記電流検知手段に検知された前記複数の直流電流に基づいて、前記現像剤補給部から前記現像剤収納部への現像剤の補給を制御する補給制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
前記複数の直流電流の極大値と極小値の差分をDとした場合に、
Dに基づいて現像剤の補給を制御することを特徴とする請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記複数の直流電流が極大値である時に前記電流検知手段が検知した直流電圧値と、前記複数の直流電流が極小値である時に前記電流検知手段が検知した直流電圧値と、の差分をVsとした場合に、
Vsに基づいて現像剤の補給を制御することを特徴とする請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記複数の直流電流の極大値と極小値の差分をDとして、
前記極大値の時に前記電流検知手段が検知した直流電圧値と、前記極小値の時に前記電流検知手段が検知した直流電圧値と、の差分をVsとした場合に、
Vs/D(=H)に基づいて現像剤の補給を制御することを特徴とする請求項15に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2013−65056(P2013−65056A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−3898(P2013−3898)
【出願日】平成25年1月11日(2013.1.11)
【分割の表示】特願2008−228322(P2008−228322)の分割
【原出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成25年1月11日(2013.1.11)
【分割の表示】特願2008−228322(P2008−228322)の分割
【原出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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