説明

画像記録装置

【課題】複数枚の被記録媒体に亘って記録をする時、一枚の被記録媒体の記録動作中に駆動伝達切換が必要であると判断された場合、記録動作を一旦中断して駆動伝達切換を完了させる必要がある。したがって記録動作のための時間に加えて、駆動伝達切換を完了させるための時間を要するので、次の被記録媒体に対する記録動作までの時間が必要以上にかかってしまう。
【解決手段】制御部90が、画像記録処理中に駆動伝達切換が必要と判断したら(S4乃至S8のいずれもYES)、キャリッジ23による記録のための走査距離を延長して、レバー突起71Bをキャリッジ23が当接することで姿勢変化させる。姿勢変化させたら、画像記録処理と並行して、画像記録処理とは関係ないASFモータ102を正逆方向に駆動させる。ASFモータ102の正逆方向の駆動時間を測定するタイマカウンタ95が所定時間以上経過したと判断されたら、ASFモータ102の正逆方向の駆動を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2個の給紙ローラにより2個の載置部からそれぞれ被記録媒体を給紙でき、ギア切換により、1個の駆動モータで2個の給紙ローラを駆動可能な画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、記録用紙などのシート状の被記録媒体が載置される給紙トレイから、給紙ローラによって被記録媒体を給紙し、給紙された被記録媒体にインクを吐出させることで、画像記録を行う画像記録装置が存在する。この画像記録装置においては、給紙された被記録媒体を搬送ローラ対によって搬送し、搬送が停止している被記録媒体に対して、主走査方向に往復移動するキャリッジに備え付けられた記録ヘッドがインクを選択的に吐出することで、画像記録が行われる。
【0003】
また、この種の画像記録装置のうち、特許文献1に記載のように、給紙トレイが2つ設けられ、それぞれの給紙トレイ毎に設けられ、一つの駆動源によって駆動される2つの給紙ローラによって、2つの給紙トレイから選択的に給紙を行うものがある。特許文献1に記載の画像記録装置は、第1給紙ローラ及び第2給紙ローラを1個の駆動モータで駆動し、第1給紙ローラ及び第2給紙ローラの駆動伝達を切換える駆動伝達切換機構を備えている。この駆動伝達切換機構は、駆動モータにより回転駆動される駆動ギアと、この駆動ギアの回転軸に沿う方向に移動可能であって、移動することにより第1姿勢、第2姿勢に姿勢変化し、いずれの姿勢においても駆動ギアと噛合する切換ギアと、第1姿勢にある切換ギアと噛合する第1受けギアと、第2姿勢にある切換ギアと噛合する第2受けギアと、第1受けギアの回転を上記第1給紙ローラに伝達する第1伝達部と、上記第2伝達ギアの回転を第2給紙ローラに伝達する第2伝達部と、を備えている。
【0004】
ここで、特許文献1に記載された2つの給紙ローラの駆動伝達切換の動作について説明する。まず、キャリッジによって切換ギアが押されることで第1姿勢、第2姿勢にスライドされる。そして、キャリッジによってスライドされた切換ギアが、それまで噛合されていなかった第1受けギア、第2受けギアと噛合される際、切換ギアは小回転量の正逆転を繰り返し実行する必要がある。この小回転量の正逆転により、切換前に噛合されていた第1受けギア、第2受けギアからの切換ギアの切り離し、及び新たに噛合される第1受けギア、第2受けギアとの切換ギアの噛み合わせが行われる。これら手順によって、駆動ギアの駆動が第1伝達部、第2伝達部に対し選択的に行われ、駆動伝達切換が完了する。以上より、駆動伝達切換を完了させるためには、キャリッジのスライドに加えて、切換ギアの正逆転が実行される必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−162736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術は、搬送ローラ対による搬送と、搬送停止後記録ヘッドによる記録とによる記録動作以外に、駆動伝達切換を完了させるための時間を要する。この場合、複数枚に亘って被記録媒体に記録をしようとする時に、記録動作中に駆動伝達切換が必要であると判断された場合、記録動作を一旦中断して駆動伝達切換を完了させる必要がある。したがって記録動作のための時間に加えて、駆動伝達切換を完了させるための時間を要するので、次の被記録媒体に対する記録動作までの時間が必要以上にかかってしまう。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、記録動作中に駆動伝達切換が必要である判断されたとしても、次の被記録媒体に対する記録動作までの時間を短縮させることができる画像記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、請求項1記載の画像記録装置は、被記録媒体が載置される第1給紙トレイ、及び第2給紙トレイと、前記第1給紙トレイに載置される被記録媒体を給紙する第1給紙ローラと、前記第2給紙トレイに載置される被記録媒体を給紙する第2給紙ローラと、第1給紙ローラ又は第2給紙ローラから給紙される被記録媒体を搬送方向に搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送される被記録媒体にインクを吐出する記録ヘッドと、前記記録ヘッドが設けられ、前記搬送方向と直交する主走査方向に往復移動可能なキャリッジと、正逆方向に駆動可能な駆動源と、前記搬送手段によって搬送される被記録媒体が通過し得る記録領域から前記主走査方向において外れる記録領域外に設けられ、前記主走査方向に移動する前記キャリッジが当接されることで、第1姿勢又は当該第1姿勢とは異なる第2姿勢へと変化するように姿勢が切換可能であり、前記第1姿勢及び前記第2姿勢において前記駆動源の駆動力が伝達される切換手段と、前記切換手段が第1姿勢のときに、前記切換手段を介して前記駆動源の駆動力を前記第1給紙ローラに伝達する第1駆動伝達機構と、前記切換手段が第2姿勢のときに、前記切換手段を介して前記駆動源の駆動力を前記第2給紙ローラに伝達する第2駆動伝達機構と、前記記録ヘッドと、前記キャリッジと、前記搬送手段とを制御することによって、画像データを被記録媒体に対して記録する画像記録処理を行う画像記録処理手段と、前記キャリッジを当接させることで前記切換手段の姿勢を切換えて前記駆動源の駆動力の伝達を前記第1駆動伝達機構から前記第2駆動伝達機構へ、又は前記第2駆動伝達機構から前記第1駆動伝達機構へと切換える切換処理を行う切換処理手段と、前記駆動源の正逆方向の駆動をする正逆駆動処理を行う正逆駆動処理手段と、複数枚の被記録媒体に対して前記画像記録処理を実行する際、前記画像記録処理手段によって一の被記録媒体に対する前記画像記録処理中に、前記切換処理手段による前記切換処理が必要であるか否かを判断する第1判断手段と、前記第1判断手段によって前記切換処理が必要と判断された場合に、前記画像記録処理手段に一の被記録媒体に対する前記画像記録処理を実行させている間に、前記切換処理手段に前記切換処理を実行させた後に、前記正逆駆動処理手段に前記正逆駆動処理を実行させる制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の画像記録装置は、前記第1判断手段は、前記切換処理が行われたか否かを判断する第2判断手段と、第1所定条件を満たしているか否かを判断する第3判断手段と、を備え、前記制御部は、前記第2判断手段によって前記切換処理が行われていないと判断され、且つ前記第3判断手段によって第1所定条件を満たしていると判断された場合に、前記画像記録処理手段に一の被記録媒体に対する前記画像記録処理の実行させている間に、前記切換処理手段に前記切換処理を実行させた後に、前記正逆駆動処理手段に前記正逆駆動処理を実行させ、前記第2判断手段によって前記切換処理が行われたと判断された場合に、前記正逆駆動処理手段による前記正逆駆動処理が第2所定条件を満たすまで、前記正逆駆動処理を継続させることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の画像記録装置は、前記第1判断手段は、前記画像記録処理手段によって実行される前記画像記録処理における前記キャリッジの移動向きが、前記記録領域外に設けられる前記切換手段に向かう向きであるか否かを判断する第4判断手段を備え、前記制御部は前記第4判断手段によって、前記キャリッジの移動向きが前記切換手段に向かう向きであると判断された場合に、前記切換処理手段によって実行される前記切換処理において前記キャリッジを前記切換手段に当接させる際に、前記記録ヘッドによってインクを吐出する時における前記キャリッジの走査距離を前記切換手段が前記第1姿勢又は第2姿勢をとることが可能な位置まで延長することを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の画像記録装置は、前記キャリッジの前記記録領域における記録速度が所定速度以下であるか否かを判定する速度判定手段と、を備え、前記制御部は、前記記録速度が前記所定速度以下で無いと判定された場合は、前記切換手段による前記切換処理時での前記キャリッジの速度を前記所定速度以下に設定することを特徴とする。
また、請求項5記載の画像記録装置は、前記第1給紙トレイ及び前記第2給紙トレイに載置されている被記録媒体の大きさを記憶する記憶手段と、を備え、複数枚の異なる大きさの被記録媒体に対して前記画像記録処理を実行する際に、前記画像記録処理の実行中の前記一の被記録媒体の画像データが示す被記録媒体が前記記憶手段によって前記第1給紙トレイに載置されていると記憶されている場合に、次の被記録媒体の画像データが示す被記録媒体の大きさと一致する被記録媒体が前記記憶手段によって前記第2給紙トレイに載置されていると記憶されていることを前記第1所定条件として、前記第3判断手段が前記第1所定条件を満たしているか否かを判断することを特徴とする。
【0012】
また、請求項6記載の画像記録装置は、前記第1給紙トレイ及び前記第2給紙トレイに載置されている被記録媒体の大きさを記憶する記憶手段と、前記一の被記録媒体に対する画像記録処理中に、前記第1給紙トレイ又は前記第2給紙トレイに載置される被記録媒体の有無を判断する有無確認手段と、を備え、複数枚の同一の大きさの被記録媒体に対して前記画像記録処理を実行する際に、前記有無確認手段によって、前記記憶手段によって前記第1給紙トレイに載置される被記録媒体が無いと判断され、前記画像記録処理の実行中の前記一の被記録媒体の画像データが示す被記録媒体が前記第1給紙トレイに載置されていると記憶されている場合に、次の被記録媒体の画像データが示す被記録媒体の大きさと一致する被記録媒体が前記記憶手段によって前記第2給紙トレイに載置されていると記憶されていることを前記第1所定条件として、前記第3判断手段が前記第1所定条件を満たしているか否かを判断することを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の画像記録装置は、前記制御部は、前記第2判断手段によって前記切換処理が行われていないと判断され、且つ前記第3判断手段によって前記第1所定条件を満たしていないと判断された場合に、装置の状態を表示する表示部に、前記画像記録処理に適切な被記録媒体が無いとの表示を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の画像記録装置によれば、第1判断手段によって、切換処理が必要とされると、制御部によって一の被記録媒体の画像記録処理中に切換処理を行った後に、画像記録処理には関係ない駆動源の正逆駆動処理が、画像記録処理と並行して行われる。したがって、画像記録処理を長時間に亘って中断させることなく、切換処理、正逆駆動処理を行うことができるので、次の被記録媒体に対する記録動作までの時間を短縮させることができる、といった効果を奏する。
【0015】
また、請求項2記載の画像記録装置によれば、第2判断手段と第3判断手段によって、切換処理が必要とされ、第1所定条件を満たしていると判断された場合に、制御部によって一の被記録媒体の画像記録処理中に切換処理を行った後に、画像記録処理には関係ない駆動源の正逆駆動処理が、画像記録処理と並行して行われる。したがって、画像記録処理を長時間に亘って中断させることなく、切換処理、正逆駆動処理を行うことができるので、次の被記録媒体に対する記録動作までの時間を短縮させることができる、といった効果を奏する。また、第2判断手段によって、切換処理が行われたと判断された場合には、正逆駆動処理を第2所定条件を満たすまで、駆動されるので、駆動源の駆動力を第1駆動伝達機構または第2駆動伝達機構へと適切に伝達することができる。
【0016】
また、請求項3記載の画像記録装置によれば、画像記録処理のキャリッジの向かう向きが切換手段に向かう向きである際に、切換処理を記録ヘッドによるインクの吐出時のキャリッジの走査距離を延長して行うので、切換処理のためにキャリッジの走査をすることによる時間を要しないので、一層次の被記録媒体に対する記録動作までの時間を短縮することができる、といった効果を奏する。
【0017】
また、請求項4記載の画像記録装置によれば、切換処理におけるキャリッジの速度を所定速度以下に設定するので、切換手段にキャリッジが当接する際の停止精度が向上し、適切な位置に切換手段が移動する。したがって、適切に切換処理と正逆駆動処理が行われる、といった効果を奏する。
【0018】
また、請求項5記載の画像記録装置によれば、切換処理と正逆駆動処理とを、第1所定条件を満たした場合にのみ行うので、いたずらに切換処理と正逆駆動処理とが行われたことで発生する時間を削減することができる、といった効果を奏する。
【0019】
また、請求項6記載の画像記録装置によれば、切換処理と正逆駆動処理とを、第1所定条件を満たした場合にのみ行うので、いたずらに切換処理と正逆駆動処理とが行われたことで発生する時間を削減することができる、といった効果を奏する。
【0020】
また、請求項7記載の画像記録装置によれば、切換処理と正逆駆動処理とを、第1所定条件を満たした場合にのみ行うと共に、適切な被記録媒体がいずれの各給紙トレイに載置されていない場合には、適切な被記録媒体が無いとの旨を表示する。よって、ユーザに、適切な被記録媒体を適切な給紙トレイに載置することを知らせることができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、複合機10の斜視図である。
【図2】図2は、プリンタ部17の模式的な断面図である。
【図3】図3は、保守機構60の図であり、図3(A)は平面図で、図3(B)は図3(A)のVV断面図である。
【図4】図4は、駆動伝達切換機構40の斜視図である。
【図5】図5は、第1姿勢におけるギア切換機構41の斜視図である。
【図6】図6(A)は第2姿勢におけるギア切換機構41の斜視図であり、図6(B)は第3姿勢におけるギア切換機構41の斜視図である。
【図7】図7は、レバー部材71及び当接部材72の斜視図である。
【図8】図8(A)は第1伝達部110の模式的な断面図で、図8(B)は第2伝達部の模式的な断面図である。
【図9】図9は、制御部90の構成を示すブロック図である。
【図10】図10は、本実施形態1において制御部90によって実行されるメイン処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】図11(A)は、駆動伝達切換処理1を説明するための処理であり、図11(B)は、駆動伝達切換処理2を説明するための処理である。
【図12】図12は、本実施形態2において制御部90によって実行されるメイン処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、本発明の画像記録装置として、印刷・スキャン・コピー・ファックス機能などを有する図1の複合機10が説明される。複合機10は、概ね直方体状に形成されており、複合機10の高さ方向が上下方向7と定義され、奥行き方向が前後方向8と定義され、幅方向が左右方向9と定義されて以下説明がされる。
【0023】
<複合機10の概要>
複合機10は、プリンタ筐体11と、このプリンタ筐体11の上方に配置され且つスキャナ部を収容したスキャナ筐体12と、このスキャナ筐体12の上方に配置された原稿カバー13と、を備えている。プリンタ筐体11は、普通紙や光沢紙や葉書などである用紙5(本発明の被記録媒体に相当)が載置される上トレイ14(本発明の第1給紙トレイに相当)及び下トレイ15(本発明の第2給紙トレイに相当)を前方に引き出し可能に下部に収容し、用紙5に画像を記録する図2のプリンタ部17を上部に収容している。上トレイ14には排紙トレイ16が載せられている。上トレイ14及び下トレイ15には、例えば最大でA3サイズの用紙がセット可能である。
【0024】
スキャナ部やプリンタ部17の制御は図9の制御部90により行われる。制御部90は、例えば、基板に実装されたマイコンなどの種々の電子部品により実現される。制御部90は、図1に示された複数個の入力ボタン18やパソコンなどの外部機器から入力した信号により画像の取り込みや画像の記録を行うと共に、画像の記録を行う際に必要な情報を表示部19(本発明の表示部に相当)に表示を行う。
【0025】
<プリンタ部17>
プリンタ部17は、図2に示されたように、上トレイ14及び下トレイ15に載置された用紙5を搬送する搬送装置30と、この搬送装置30により搬送される用紙5に画像を記録する記録部20と、駆動部100(図11参照)及び駆動伝達切換機構40(図4参照)と、検知機構80と、記録部20の保守を行う保守機構60(図3参照)と、を備えている。
【0026】
<記録部20>
記録部20は、図2に示されたように、上トレイ14の後部の上方に配置された板状のプラテン22と、このプラテン22の上方に対向配置された記録ヘッド21(本発明の記録ヘッドに相当)と、この記録ヘッド21を保持するキャリッジ23(本発明のキャリッジに相当)と、を備えている。
【0027】
記録ヘッド21は、不図示の複数のノズルを備えている。各ノズルは、下方に開放する吐出口をそれぞれ備え、例えば、圧電素子により変形されることで吐出口からインク滴を下方のプラテン22側に向けてそれぞれ吐出する。圧電素子への電力供給はフレキシブルケーブルなどを用いて行われ、制御部90(図11参照)により制御される。
【0028】
キャリッジ23は、プラテン22の上方に配置された前後一対の図4のガイドレール24に跨り、ガイドレール24により左右方向9に沿って移動可能に支持されている。ガイドレール24は、左右方向9に長い板状に形成され、フレーム25に支持されている。駆動伝達切換機構40におけるギア切り換えを行うための当接片26(図5参照)がキャリッジ23の右端部から右向きに突出している。
【0029】
<保守機構60>
図3に示された保守機構60は、記録ヘッド21のノズルの吐出口を覆う当接位置と、上記吐出口から離間する離間位置との間で上下方向7に沿って移動可能なキャップ61と、このキャップ61を当接位置と離間位置との間で移動可能に支持する支持体62と、を備えている。また、後述の駆動伝達切換機構40により駆動部100から伝達された駆動力をキャップ61に伝達してキャップ61を移動させるリフトアップ機構63が支持体62に設けられている。
【0030】
<搬送装置30>
図2に示された搬送装置30は、上トレイ14に載置された用紙5を送り出す第1給紙ローラ31と、下トレイ15に載置された用紙5を送り出す第2給紙ローラ32と、第1給紙ローラ31及び第2給紙ローラ32により送り出された用紙5が搬送される主搬送路51と、この主搬送路51に付設され、用紙5を挟んで搬送する中間ローラ対54、主搬送ローラ対55、排紙ローラ対56と、を備えている。
【0031】
<第1給紙ローラ31,第2給紙ローラ32>
第1給紙ローラ31(本発明の第1給紙ローラに相当)は、上トレイ14の後部の上方に配置され、駆動部100により回転駆動される回転軸33とアーム34とを用いて支持されている。アーム34は、第1給紙ローラ31が回転可能に一端部に取り付けられ、他端部が回転軸33に回動可能に支持されている。また、アーム34は、回転軸33の回転を第1給紙ローラ31に伝達する複数個の伝達ギア35を備えている。第1給紙ローラ31は、アーム34が回転軸33周りに回転することで上トレイ14に載置された用紙5に接触し、伝達ギア35を介して回転軸33の回転が伝達されて回転し、接触する用紙5を上トレイ14の後壁から上方に送り出す。
【0032】
第2給紙ローラ32(本発明の第2給紙ローラに相当)は、第1給紙ローラ31と同様に回転軸36とアーム37とを用いて支持され、回転することで下トレイ15に載置された用紙5を送り出す。
【0033】
<主搬送路51>
主搬送路51は、ガイド部材53やプラテン22により形成されており、断面弧状の湾曲部51A及びプラテン22と記録ヘッド21との間を通る断面直線状の直線状部51Bを備えたいわゆるUターンパスである。主搬送路51は、一端が上トレイ14の後壁の上方に位置し、他端が排紙トレイ16の上方に位置するように設けられている。上トレイ14や下トレイ15から送り出された用紙5は、プラテン22上を前方に向かって搬送され、排紙トレイ16に排出される。
【0034】
<中間ローラ対54>
中間ローラ対54は、駆動部100により回転される回転軸54Aに固着された複数個の駆動ローラ54B及びこの駆動ローラ54Bに従動する従動ローラ54Cを備えている。中間ローラ対54は、回転軸54Aの軸方向が左右方向9に沿い、且つ、ニップ位置を湾曲部51Aが通る位置に配置され、上トレイ14又は下トレイ15から送り出された用紙5を挟んで搬送する。中間ローラ対54は請求項に記載のローラ対に相当する。
【0035】
<主搬送ローラ対55>
主搬送ローラ対55(本発明の搬送手段に相当)は、駆動部100により回転される回転軸55Aに固着された複数個の駆動ローラ55B及びこの駆動ローラ55Bに従動する従動ローラ55Cを備えている。主搬送ローラ対55は、回転軸55Aの軸方向が左右方向9に沿い且つプラテン22の後方に配置され、中間ローラ対54により搬送された用紙5を前方に向かって搬送する。
【0036】
<排紙ローラ対56>
排紙ローラ対56(本発明の搬送手段に相当)は、駆動部100により回転される回転軸56Aに固着された複数個の駆動ローラ56B及びこの駆動ローラ56Bに従動する従動ローラ56Cを備えている。排紙ローラ対56は、回転軸56Aの軸方向が左右方向9に沿い且つプラテン22の前方に配置され、主搬送ローラ対55により搬送された用紙5を排紙トレイ16に排出する。
【0037】
<駆動部100>
駆動部100は、正逆いずれの向きにも回転可能な図11のCRモータ101、ASFモータ102及びLFモータ103を備えている。各駆動モータ101,102,103は、不図示の駆動回路により駆動され、制御部90により駆動が制御される。
【0038】
<CRモータ101>
CRモータ101の駆動力は、不図示の第1ベルト伝達機構によりキャリッジ23に伝達され、キャリッジ23を左右方向9に沿って移動させる。第1ベルト伝達機構は、例えば、キャリッジ23が固着された無端環状のベルトを備え、このベルトがCRモータ101により回転されることでキャリッジ23は左向き又は右向きに移動する。CRモータ101の正回転によりキャリッジ23が左向きに移動し、逆回転によりキャリッジ23が右向きに移動するものとしてCRモータ101の回転の向きが定義され、以下説明がされる。
【0039】
<ASFモータ102>
ASFモータ102(本発明の駆動源に相当)の駆動力は、駆動伝達切換機構40により、第1給紙ローラ31、第2給紙ローラ32、中間ローラ対54及びキャップ61に伝達される。
【0040】
<LFモータ103>
LFモータ103は、シャフトが主搬送ローラ対55の回転軸55Aに直接又はギアを介して連結され、回転軸55Aを回転駆動する。LFモータ103の駆動力は、不図示の第2ベルト伝達機構により回転軸56Aに伝達される。LFモータ103及び第2ベルト伝達機構により、主搬送ローラ対55及び排紙ローラ対56は、搬送向き38で用紙5を搬送する向きに且つ同時に回転される。LFモータ103の正回転により用紙5が搬送向き38に搬送されるものとしてLFモータ103の回転の向きが定義され、以下説明がされる。
【0041】
<駆動伝達切換機構40>
図4に示された駆動伝達切換機構40は、ギア切換機構41と、ギア切換機構41により切り換えられた駆動力を第1給紙ローラ31又は中間ローラ対54に伝達する第1伝達部110(図8(A)参照)と、ギア切換機構41により切り換えられた駆動力を第2給紙ローラ32又は中間ローラ対54に伝達する第2伝達部120(図8(B)参照)と、を備え、プラテン22の右側方つまり、キャリッジ23が右向きに移動する際の側に配置されている。
【0042】
<ギア切換機構41>
ギア切換機構41は、ASFモータ102の回転が伝達ギア119(図8参照)により伝達されて回転する駆動ギア44と、切換ギア45と、この切換ギア45とそれぞれ噛合可能な歯を有する第1受けギア46A,第2受けギア46B,第3受けギア46Cと、切換ギア45の保持を行う保持機構70(図5参照)と、を備えている。
【0043】
<駆動ギア44、切換ギア45>
駆動ギア44の回転軸と略平行に支軸47が配置され、この支軸47に切換ギア45が通される。切換ギア45は、支軸47の軸周りに回転可能であって、且つ、支軸47の軸方向に沿って移動可能である。切換ギア45は、左右方向9における駆動ギア44の幅寸法よりも小さい幅寸法で形成され、駆動ギア44の上記幅寸法の範囲内で左右方向9に沿って移動することで第1姿勢、第2姿勢及び第3姿勢に姿勢変化し、いずれの姿勢においても駆動ギア44と噛合する。切換ギア45が駆動ギア44の左端部と噛合する姿勢を第1姿勢とし、切換ギア45が駆動ギア44の右端部と噛合する姿勢を第3姿勢とし、切換ギア45が右向きに移動することで、図5の第1姿勢、図6(A)の第2姿勢、図6(B)の第3姿勢の順に姿勢変化するものとして以下説明がされる。
【0044】
<保持機構70>
保持機構70は、図5、6、7に示されたように支軸47が通されるレバー部材71及び当接部材72と、レバー部材71の保持を行う保持部材73と、不図示の第1弾性部材及び第2弾性部材と、を備えている。
【0045】
レバー部材71は、図7に示されたように、支軸47が通される円柱状部71Aと、この円柱状部71Aの周面の左端部から径方向(図における上向き)に突出し、上述のキャリッジ23に設けられた当接片26(図5参照)が左方から当接するレバー突起71Bと、このレバー突起71Bの右面の下端部から右向きに突出するリブ71Cと、を備え、支軸47の軸周りに回転可能且つ支軸47の軸方向に沿って移動可能である。リブ71Cは、円柱状部71Aの周方向における厚みが薄い板状に形成されている。レバー部材71は、不図示の第2弾性部材により右向きに付勢された切換ギア45によって左方より右向きへと押圧される。
【0046】
当接部材72は、図7に示されたように、支軸47が通される筒部72Aと、この筒部72Aの周面から径方向(図における上向き)に突出し、先端部が2股に別れたY字状の制動片72Bと、を備え、支軸47の軸周りに回転可能且つ支軸47の軸方向に沿って移動可能である。筒部72Aは、切り欠かれた切欠部72Cを左端部に備え、この切欠部72Cの周面が螺旋面72Dである構成を有している。螺旋面72Dは、軸が筒部72Aの軸と一致し、レバー部材71のリブ71Cの右端が当接する。したがって、当接部材72がレバー部材71に強く押し付けられると、レバー部材71は回転する。当接部材72は、第1弾性部材により、上述の第2弾性部材よりも大きな力で左向きに付勢されている。切換ギア45と当接部材72とレバー部材71とは、第1弾性部材及び第2弾性部材とにより互いに押し合い、支軸47の軸方向において一体で移動可能である。第1弾性部材及び第2弾性部材には、例えば、コイルスプリングが用いられる。第1弾性部材は請求項に記載の第1弾性部材に相当し、第2弾性部材は請求項に記載の第2弾性部材に相当する。
【0047】
図5、6に示されているように、保持部材73は、支軸47の軸方向(左右方向9)に長い枠状に形成されている。保持部材73は、レバー部材71のレバー突起71Bが下方より挿通され、不図示のフレームに固定されている。ここにおいて、左右方向9における保持部材73の長さ寸法は駆動ギア44の上記幅寸法よりも大きく設定され、且つ、レバー突起71Bは保持部材73よりも十分に小さく形成され、レバー突起71Bは、枠状の保持部材73の内側を移動可能である。
【0048】
上述された当接部材72のY字状の制動片72Bは、2つの先端部間の離間寸法が保持部材73の幅寸法よりも大きく設定された構成を有しており、切換ギア45が第1姿勢及び第2姿勢にある場合において、保持部材73を挟む。制動片72Bが保持部材73を挟むことで、当接部材72は、支軸47の軸周りの回転が規制される。切換ギア45が第3姿勢にある場合においては、制動片72Bは保持部材73から外れる。つまり、第3姿勢においては当接部材72は支軸47の軸周りに回転可能である。
【0049】
キャリッジ23に設けられた当接片26がレバー突起71Bに当接していない場合においては、上述の第1弾性部材の付勢力によりレバー部材71が左向きに付勢されることで、保持部材73に挿通されたレバー突起71Bは、保持部材73の左内側面73Aに押圧される。レバー突起71Bが左内側面73Aに当接する位置において、切換ギア45は上記第1姿勢にある。上述の第1弾性部材の付勢力によりレバー部材71に押し付けられた当接部材72は、螺旋面72Dによりレバー部材71を支軸47の周方向の一方の向きである向き49に付勢し、レバー突起71Bを保持部材73の前内周面73Bに押し付ける。この前内周面73Bには、第1切欠75と第2切欠76とが設けられている。
【0050】
第1姿勢(本発明の第1姿勢に相当)において、レバー突起71Bは、当接片26に押されることにより第1切欠75に嵌る。レバー突起71Bが第1切欠75に嵌った姿勢が第2姿勢(本発明の第2姿勢に相当)である。また、レバー突起71Bが第1切欠きに嵌った後、キャリッジ23に設けられた当接片26がレバー突起71Bから離れても、第1弾性部材による左向きの付勢力によってレバー突起71Bが、左内側面75Bに当接することで、切換ギア45の第2姿勢が維持される。なお、レバー突起71Bと切換ギア45とが本発明の切換手段に相当する。
【0051】
第1切欠75に嵌ったレバー突起71Bが当接片26により更に押されると、レバー部材71は、第1切欠75に設けられた第1傾斜面75Aを滑りながら右向きに移動し、第2切欠76に嵌る。第2切欠76に嵌ったレバー突起71Bは、当接片26に更に押されることで第2傾斜面76Aを滑り、保持部材73の右内側面73Cに当接する位置に移動する。レバー突起71Bが右内側面73Cに当接する姿勢が第3姿勢である。
【0052】
つまり、レバー突起71Bが左内側面73Aに当接する位置にある姿勢の時の切換ギア45の状態が第1姿勢、レバー突起71Bが第1切欠き75に嵌った姿勢の時の切換ギア45の状態が第2姿勢、レバー突起71Bが右内側面73Cに当接する位置にある姿勢の時の切換ギア45の状態が第3姿勢である。
【0053】
キャリッジ23は、レバー突起71Bが保持部材73の右内側面73Cに押し付けられた位置において、ノズルの吐出口が保守機構60のキャップ61の上方に位置するように設けられている。つまり、ガイドレール24の右端がキャリッジ23の待機位置であって、キャリッジ23が待機位置にある場合は、切換ギア45は待機姿勢である第3姿勢にある。
【0054】
保持部材73は、待機位置にあったキャリッジ23が左向きに移動した際に、レバー突起71Bにおける支軸47の軸周りの回転を規制する規制片77を備えている。レバー突起71Bは、待機位置にあったキャリッジ23が左向きに移動してレバー突起71Bから離れると、第1弾性部材の付勢力と規制片77とにより保持部材73の後内側面73Dに沿って左向きに移動し、左内側面73A近くで規制片77から外れ、左内側面73A及び前内周面73Bに当接する位置に移動する。
【0055】
なお、第2姿勢から第1姿勢に戻る際は、キャリッジ23は待機位置まで移動してレバー突起71Bを右内側面73Cに当接させて一度第3姿勢をとる。その後、キャリッジ23が左向きに移動すると、第1弾性部材の付勢力によってレバー突起71Bが左向きに左内側面73Aに押圧されるまで移動される。このように、第2姿勢から第1姿勢に戻る時は、一度第3姿勢に姿勢変化させてから第1姿勢に戻る。
【0056】
上述より、保持機構70は、第1姿勢と、第1姿勢から姿勢変化した第2姿勢とにおいて切換ギア45を保持し、第3姿勢と、第3姿勢から姿勢変化した第2姿勢とにおいては、切換ギア45を保持しない機能を有し、また、キャリッジ23に設けられた上述の当接片26により右向きに押されることで切換ギア45を第1姿勢、第2姿勢及び第3姿勢に姿勢変化させる機能を有している。なお、切換ギア45は、第3姿勢においては、キャリッジ23がレバー突起71Bを右内側面73Cに当接させた姿勢を維持することで保持される。
【0057】
<第1受けギア46A,第2受けギア46B,第3受けギア46C>
図5,6に示されたように、第1受けギア46A,第2受けギア46B,第3受けギア46Cは、互いに同径にそれぞれ形成され、回転軸が一直線上に並び且つ回転軸が支軸47の軸方向に沿うように配置されている。また、第1受けギア46Aは、第1姿勢にある切換ギア45に噛合する位置に配置され、第2受けギア46Bは、第2姿勢にある切換ギア45に噛合する位置に配置され、第3受けギア46Cは、第3姿勢にある切換ギア45に噛合する位置に配置されている。切換ギア45は、第1受けギア46A,第2受けギア46B,第3受けギア46Cのいずれかと噛合し、第1受けギア46A,第2受けギア46B,第3受けギア46Cのいずれか1つを選択して回転させる機能を有する。
【0058】
第1受けギア46Aは、後述する第1伝達部110を介して、ASFモータ102の正転の駆動力を第1給紙ローラ31に伝え、第1給紙ローラ31による給紙を可能にする。第2受けギア46Bは、後述する第1伝達部120を介して、ASFモータ102の逆転の駆動力を第2給紙ローラ32に伝え、第2給紙ローラ32による給紙を可能にする。第3受けギア46Cは、直接又はギアなどを介して保守機構60のリフトアップ機構63に駆動力を伝達し、リフトアップ機構63を介してキャップ61を移動させる。つまり、複合機10は、切換ギア45が第3姿勢にある状態においてASFモータ102を正回転又は逆回転することで、キャップ61がノズルの吐出口を覆う待機状態と、キャップ61がノズルから外れた印刷可能状態とになる。
【0059】
<第1伝達部110>
第1伝達部110(本発明の第1駆動伝達機構に相当)は、図12に示されたように第1遊星ギア機構111と、第2遊星ギア機構112と、を備えている。第1遊星ギア機構111は、第1受けギア46Aと噛合するサンギア113と、このサンギア113の周囲を公転しながら自転するプラネットギア114と、を備えている。このプラネットギア114は、第2駆動モータ102が逆回転(矢印132参照)したときに、中間ローラ対54の回転軸54Aに回転を伝達する複数個の伝達ギア115の1つに噛合する(114点線参照)。また、プラネットギア114は、第2駆動モータ102が正回転(矢印131参照)したときに、中間ローラ対54の回転軸54Aに回転を伝達する複数個の伝達ギア115のうちの1つからの噛合が外れる(114実線参照)。
【0060】
第2遊星ギア機構112は、伝達ギア116によりサンギア113の回転が伝達されるサンギア117と、このサンギア117の周囲を公転しながら自転するプラネットギア118と、を備えている。このプラネットギア118は、ASFモータ102が正回転(矢印131参照)したときに、第1給紙ローラ31に回転を伝達する複数個の伝達ギア35の1つに噛合する(118実線参照)。また、プラネットギア118は、ASFモータ102が逆回転(矢印132参照)したときに、複数個の伝達ギア35の1つからの噛合が外れる(118点線参照)。
【0061】
上記構成により、第1伝達部110は、正回転するASFモータ102の駆動力を第1給紙ローラ31に伝達すると共に、中間ローラ対54へ駆動力を伝達せず、逆回転するASFモータ102の駆動力を中間ローラ対54に伝達すると共に、第1給紙ローラ31へ駆動力を伝達しない機能を有している。
【0062】
<第2伝達部120>
第2伝達部120(本発明の第2駆動伝達機構に相当)は、図13に示されたように第3遊星ギア機構121と、第4遊星ギア機構122の2つの遊星ギア機構を備えている。第3遊星ギア機構121は、第2受けギア46Bと噛合するサンギア123と、このサンギア123の周囲を公転しながら自転するプラネットギア124と、を備えている。このプラネットギア124は、ASFモータ102が正回転(矢印131参照)したときに、中間ローラ対54の回転軸54Aに回転を伝達する伝達ギア115の1つに噛合する(124点線参照)。また、プラネットギア114は、第2駆動モータ102が逆回転(矢印132参照)したときに、中間ローラ対54の回転軸54Aに回転を伝達する複数個の伝達ギア115のうちの1つからの噛合が外れる(124実線参照)。
【0063】
第4遊星ギア機構122は、複数個の伝達ギア126によりサンギア123の回転が伝達されるサンギア127と、このサンギア127の周囲を公転しながら自転するプラネットギア128と、を備えている。このプラネットギア128は、ASFモータ102が逆回転(矢印132参照)したときに、第2給紙ローラ32に回転を伝達する複数個の伝達ギア35の1つに噛合する(128実線参照)。また、プラネットギア128は、ASFモータ102が正回転(矢印131参照)したときに、複数個の伝達ギア35のうちの1つからの噛合が外れる(128点線参照)。
【0064】
上記構成により、逆回転(矢印132参照)するASFモータ102の駆動力を第2給紙ローラ32に伝達すると共に、中間ローラ対54への駆動力を伝達せず、正回転(矢印131参照)するASFモータ102の駆動力を中間ローラ対54に伝達すると共に、第2給紙ローラ32へ駆動力を伝達しない機能を有している。
【0065】
したがって、上トレイ14にセットされる用紙5を第1給紙ローラ31によって給紙する際は、レバー突起71Bを、キャリッジ23によって第1姿勢にさせた状態で、ASFモータ102が正回転することで実施される。下トレイ15にセットされる用紙5を第2給紙ローラ32によって給紙する際は、レバー突起71Bをキャリッジ23によって第2姿勢にさせた状態で、ASFモータ102が逆回転することで実施される。
【0066】
<検知機構80>
図9に示された検知機構80は、図2に示された中間センサ81及びレジセンサ82と、図11に示されたリニアエンコーダ83、第1ロータリーエンコーダ84及び第2ロータリーエンコーダ85と、を備えている。中間センサ81は、主搬送路51において、搬送向き38での中間ローラ対54の上流側に配置されている。レジセンサ82は、主搬送路51において、搬送向き38での主搬送ローラ対55の上流側に配置されている。
【0067】
中間センサ81及びレジセンサ82はいわゆるレジストセンサであって、構成は周知であるから詳説しないが、例えば、発光ダイオードと、フォトダイオードと、出没可能に主搬送路51に設けられた検出子と、で構成され、用紙5が通過している間と用紙5が通過していないときとで出力が変化する。
【0068】
ロータリーエンコーダの構成は周知であるから詳説しないが、エンコーダは、例えば、発光ダイオードと、フォトダイオードと、駆動モータのシャフトや回転軸に取り付けられるディスクと、を備え、このディスクに光が透過する透光部及び光を遮断する遮光部が設けられた構成を有している。ディスクが回転することで、透光部と遮光部とが交互に発光ダイオードの光路上を通過し、フォトダイオードの出力が変化する。
【0069】
ASFロータリーエンコーダ84はASFモータ102に付設されている。LFロータリーエンコーダ85はLFモータ103に付設されている。ASFロータリーエンコーダ84及びLFロータリーエンコーダ85によって、それぞれが付設されているモータの回転量が把握され、上述した中間センサ81やレジセンサ82によって得られる出力結果を基にして、用紙5の搬送を制御するために、必要な用紙5の位置を検知する。
【0070】
リニアエンコーダ83は、ガイドレール24に設けられ、光を透過する透光部と及び光を遮断する遮光部を備えたエンコーダストリップと、キャリッジ23に設けられた発光ダイオード、及びフォトダイオードにより構成される。リニアエンコーダ83によって、キャリッジ23の移動を制御する際は、キャリッジ23に設けられた発光ダイオードがエンコーダストリップに発光し、透光部と遮光部とが交互に発光ダイオードの光路上を通過し、フォトダイオードの出力が変化し、このフォトダイオードの出力の変化を基にされる。これにより、キャリッジ23の位置を制御する。
【0071】
<制御部90>
次に、図9を用いて複合機10の電気的構成について説明する。図9は、複合機10の制御部90による電気的構成を示すブロック図である、制御部90は、複合機10の全体動作を制御するものであるが、表示部19、スキャナ部54及び、記録部20の制御についての詳細な説明は省略する。
【0072】
制御部90(本発明の制御部に相当)は、演算処理を行うCPU91、制御プログラム等が格納されたROM92、データの記憶領域又は作業領域として使用されるRAM93、設定情報などが記憶されるEEPROM94、時間を計測するタイマカウンタ95を主とするマイクロコンピュータとして構成されている。本実施形態では、制御部90によって後述する図10乃至図12に示されるメイン処理及び駆動伝達切換処理を実行する。
【0073】
CPU91は、ROM92やRAM93に記憶されているプログラムや所定値に従って、複合機10が有している各種機能の制御や、制御部90と接続された各部を制御するものである。
【0074】
ROM92は、複合機10の各種動作を制御するためのプログラムを格納している。例えば、図10乃至図12に表すようなフローチャートで示す処理を実行するプログラムを含む各種制御プログラムや、それらの制御プログラムをCPU91上で実行する上で必要なデータ等を格納している。
【0075】
RAM93は、CPU91が各種プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域として、また作業領域として用いられる。また、RAM93は、Kirikae_flagメモリ93Aを有している。このKirikae_flagメモリ93Aは、駆動伝達切換が必要とされた場合は、Kirikae_flagメモリ93AにONが記憶され、駆動伝達切換が必要とされていない場合は、Kirikae_flagメモリ93AにOFFが記憶される。
【0076】
EEPROM94は、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。また、EEPROM94は、上トレイ用紙設定メモリ94A(本発明の記憶手段に相当)と、下トレイ用紙設定メモリ94B(本発明の記憶手段に相当)とを有している。上トレイ用紙設定メモリ94A、又は下トレイ用紙設定メモリ94Bには、ユーザによって、上トレイ14にセットされる用紙の大きさ、又は下トレイ15にセットされる用紙の大きさを示す用紙設定情報が記憶される。
【0077】
タイマカウンタ95は、ASFモータ102を駆動させたときに、正逆回転の時間を測定するものである。なお、タイマカウンタ95によって、ASFモータ102の正逆回転の時間が所定時間以上経過したら、制御部90はASFモータ102の駆動を停止させる。
【0078】
<実施形態の動作>
次に本実施形態の複合機10による駆動伝達切換の動作について、図10乃至図12を用いて説明する。駆動伝達切換とは、ASFモータ102の駆動力の伝達を、第1給紙ローラ31から第2給紙ローラ32、または第2給紙ローラ32から第1給紙ローラ31へと切換えることである。
【0079】
<実施形態1>
まず、図10のフローチャートを参照して複合機10の制御部90により実行されるメイン処理について説明する。このメイン処理では、例えば上トレイ14中の用紙5を記録中に、次ページの用紙5が下トレイ15中の用紙5を印刷すると判断した段階で、キャリッジ23、記録ヘッド21及び主搬送ローラ対55、56を制御して(本発明の画像記録処理手段に相当)印刷する間に、キャリッジ23をレバー突起71Bに押し当てて、レバー突起71Bを第2姿勢に変化させた(本発明の切換処理手段に相当)上で、上トレイ14にセットされる用紙5の印刷中にASFモータ102を正逆方向に所定時間回転させて(本発明の正逆駆動処理手段に相当)駆動伝達切換を行う処理を含んでいる。
【0080】
本実施形態1においては、具体例として例えば1ページ目の印刷が上トレイ14にセットされるA4サイズの用紙5Aの印刷であって1ページ目の印刷が完了した後、次ページの印刷データとして下トレイ15にセットされるA3サイズの用紙5Bに印刷する場合について説明する。また、上トレイ用紙設定メモリ94AにはA4サイズの大きさの用紙、下トレイ用紙設定メモリ94BにはA3サイズの大きさの用紙が、用紙設定情報として記憶されている。
【0081】
なお、1ページ目の印刷が下トレイ15にセットされるA3サイズの用紙5Bの印刷であって1ページ目の印刷が完了した後に、次ページの印刷データとして上トレイ14にセットされるA4サイズの用紙5Aに印刷する場合にも、適用できることは言うまでもない。
【0082】
<上トレイ14にセットされる用紙5への記録>
まず、例えば、ユーザによって複合機10に接続されたパソコンなどの外部機器から複合機10に対する画像の印刷データの印刷開始の指示がされると、ASFモータ102が正回転することで第1給紙ローラ31を回転させて、上トレイ14にセットされたA4サイズの用紙5Aを給紙する給紙処理を開始する(ステップ1、以下ステップをSと称する。)。その後、Kirikae_flagメモリ93Aに記憶されるKirikae_flagをOFFにする(S2)。次いで、ASFロータリーエンコーダ84によってASFモータ102が所定量駆動することで第1給紙ローラ31が所定量回転し、上トレイ14にセットされたA4サイズの用紙5Aを主搬送ローラ対55にニップさせて給紙処理が完了すると、用紙5Aを所定量搬送する搬送処理を開始する(S3)。なお、用紙5を搬送する際の所定量とは、記録ヘッド21の前後方向8の長さや、解像度、用紙5の種類等によって種々決定されるものである。本実施形態における複合機10は、搬送処理後、搬送される用紙を停止させた状態でキャリッジ23が走査されるとともに、キャリッジ23に設けられる記録ヘッド21からインクを選択的に吐出する印刷処理がされる。画像を記録する際は、この搬送処理、印刷処理(本発明の画像記録処理に相当)を所定回数繰り返すことで実行される。
【0083】
搬送処理(S3)が完了すると、Kirikae_flagメモリ93Aに記憶されるKirikae_flagがOFFであるか否かを判断する(S4、本発明の第2判断手段に相当)。ステップS2において、Kirikae_flagはOFF(S4においてYES)であるので、次に、キャリッジ23が走査する向き、つまり印刷向きが待機位置へと向かう向きであるか否かの判断をする(S5、本発明の第4判断手段に相当)。印刷向きが待機位置へと向かう向きでない場合(S5においてNO)は、通常印刷処理を行う(S14)。このステップS14における通常印刷処理とは、印刷時にキャリッジ23が印刷データに対応した位置内で走査して印刷する処理のことを指す。
【0084】
次に、ステップS14の通常印刷処理が完了したら、タイマカウンタ95は所定時間以上経過したか否かの判断がされる(S15、本発明の第2所定条件に相当)。ここで、タイマカウンタ95は、後述するステップS12のASFモータ処理1が開始されないと起動されないため、タイマカウンタ95は所定時間以上経過していないと判断され(S15においてNO)、1ページ分の印刷データの印刷が終了したか否かの判断をする(S18)。ここで、1ページ分の印刷データの印刷が終了したか否かの判断は、本実施形態において記録中であるA4サイズの用紙5Aの後端が排紙ローラ対56のニップから外れた、つまり用紙5Aの排紙が完了したか否かで判断される。1ページ分の印刷データが終了していない場合は(S18においてNO)、再びステップS3に戻り、ステップS4を経てステップS5の判断をする。
【0085】
次の印刷向きが待機位置に向かう向きである場合(S5においてYES)、次ページの印刷データが有るか否かを判断する(S6)。本実施例形態では、上トレイ14にセットされるA4サイズの用紙5Aを1枚記録した後に、次ページとして下トレイ15にセットされるA3サイズの用紙5Bを記録するので、次ページの印刷データ有りと判断される(S6においてYES)。なお、印刷向きが待機位置に向かう向き(S5においてYES)であっても、上トレイ14のA4サイズの用紙5Aの記録中に、次ページのデータを受信できていない場合は、次ページの印刷データ無し(S6においてNO)と判断され、通常の印刷処理がされる(S14)。
【0086】
次に、次ページの印刷用紙設定は現在印刷している用紙設定と異なるか否かを判断する(S7)。本実施形態においては、次ページの用紙設定(A3サイズの用紙5B)は、現在印刷している用紙設定(A4サイズの用紙5A)と異なるので(S7においてYES)、次ページの用紙設定は他のトレイにセットされている用紙5と同じか否かの判断をする(S8)。ここで、各トレイにセットされる用紙の設定情報は、ユーザによって複合機10に入力されるものであり、用紙の設定情報は、EEPROM94の上トレイ用紙設定メモリ94Aと下トレイ用紙設定メモリ94Bとにそれぞれ記憶される。本実施形態においては、次ページの用紙設定(A3サイズの用紙5B)は、他のトレイにセットされている用紙設定(下トレイ用紙設定メモリ94Bに記憶されているA3サイズの大きさの用紙の用紙設定)と同じ(S8においてYES)である。
【0087】
なお、ステップS7において次ページの印刷用紙設定が現在印刷している用紙設定と同じ場合(S7においてNO)は、又はステップS8において次ページの印刷用紙設定は他のトレイにセットされている用紙設定と同じでない場合(S8においてNO)は、通常の印刷処理を行う(S14)。そして、ステップS15及びステップS18に進み、1ページ分の印刷データが終了したか否かの判断をし(S18)、終了していない場合(S18においてNO)は再びステップS3に戻り、上述したステップS3乃至ステップS8、ステップS14、ステップS15、ステップS18のうち任意の処理を繰り返す。なお、上述したステップS4乃至ステップS8の処理が、本発明の第1判断手段に相当し、ステップS7及びステップS8が第3判断手段に相当する。また、ステップS5乃至ステップS8の処理においていずれもYESとなることが、本発明の第1所定条件を満たすことに相当する。
【0088】
次ページの印刷用紙設定は他のトレイにセットされている用紙設定と同じであると判断された場合(S8においてYES)は、これから走査されるキャリッジ23の速度は所定速度以下か否かの判断をする(S9、本発明の速度判定手段に相当する)。このキャリッジ23の速度は、画像を印刷する印刷データによって決定されるものであり、具体的には、印刷される用紙の種類や解像度によって決定される。例えば、普通紙に対して低解像度で記録する場合は、キャリッジ23は高速で移動し、光沢紙に対して高解像度で記録する場合は、キャリッジ23は低速で移動する。これから走査されるキャリッジ23の速度が所定速度以上の場合(S9においてNO)は、キャリッジ23の速度の減速領域を大きくして、レバーを押し当てる際のキャリッジの速度が所定速度以下になるように設定する(S10)。ステップS9において、キャリッジ23の速度が所定速度以下の場合、若しくは、ステップS10においてキャリッジ23の速度を所定速度以下に設定して、切換印刷処理(S11、本発明の切換処理に相当)を行う。
【0089】
ステップS11の切換印刷処理では、搬送されて停止している用紙5に、走査中のキャリッジ23に設けられる記録ヘッド21がインク滴を吐出して印刷すると共に、装置右側に位置し記録領域外である待機位置を目指して走査中のキャリッジ23の走査距離を延長することで、キャリッジ23に設けられる当接片26をレバー突起71Bに押し当てて、レバー突起71Bを移動させる処理が行われる。
【0090】
例えば、キャリッジ23の当接片26をレバー突起71Bに押し当てる際のキャリッジ23の走査距離の延長幅は、本実施形態においては上トレイ14からの給紙から下トレイ15からの給紙へと遷移するので、レバー突起71Bが第1切欠き75に嵌ったとき、つまり第2姿勢をとるまでの距離分である。また、下トレイ15からの給紙から上トレイ14からの給紙へと切換える場合のキャリッジ23の走査の延長幅は、このときレバー突起71Bの姿勢を第2姿勢から第3姿勢まで変位させた後第1姿勢へと変位させる必要があるので、レバー突起71Bを右内側面73Cに当接させるまでの姿勢、つまり第3姿勢をとるまでの距離分である。
【0091】
なお、レバー突起71Bを第1姿勢、第2姿勢及び第3姿勢に移動させる際のキャリッジ23の現在位置及び目標位置は、リニアエンコーダ83によって把握される。
【0092】
切換印刷処理(S11)が終了して、キャリッジ23の当接片26をレバー突起71Bに押し当てて、第2給紙ローラ32による下トレイ15からの給紙が可能となるようにレバー突起71Bが第2姿勢とるようになるまで移動させたら、後述するASFモータ処理1(S12)に移る。ASFモータ処理1(S12)後は、Kirikae_flagメモリ93AのKirikae_flagをONに記憶する(S13)。
【0093】
次に、ASFモータ処理1(S12)において開始されるタイマカウンタ95が所定時間以上経過しているか否かの判断をする(S15)。タイマカウンタ95が所定時間以上経過している場合は、駆動伝達切換が完了しているので、ASFモータ102を停止(S16)し、タイマカウンタを0(S17)にする。一方で、タイマカウンタは所定時間以上経過していない場合は(S15においてNO)、駆動伝達切換が完了していないので、ステップS15のASFモータ処理1を継続させるように、つまりステップS16とステップS17の処理を省略する。そして1ページ分の印刷データが終了したか否かが判断され(S18)、終了していない場合(S18においてNO)は、再びステップS3に戻る。
【0094】
ステップS12のASFモータ処理1をした場合に、再びステップS3に戻って搬送処理をした後は、Kirikae_flagメモリ93AのKirikae_flagがONで記憶されている(S4においてNO)ので、通常の印刷処理(S14)が行われ、1ページ分の印刷データの印刷が完了する(S18においてYES)までは、上述したステップS3、ステップS4、ステップS14、ステップS15乃至ステップS18のうち任意の処理が繰り返される。
【0095】
やがて、A4サイズの用紙5Aの排紙が完了して、1ページ分の印刷データの印刷が完了したら(S18においてYES)、次に次ページのデータが有るか無いかの判断をする(S19)が、本実施形態においては、A4サイズの用紙5Aの印刷後に、次ページの印刷データとしてA3サイズの用紙5Bに対する印刷データがあるので、次ページのデータが有りと判断される(S19においてNO)。そして次ページの用紙設定は何れかのトレイにセットされている用紙設定と同じであるか否かの判断をする(S20においてYES)が、本実施形態においては次ページの用紙設定であるA3サイズの用紙5Bは、下トレイ用紙設定メモリ94Bに記憶されているA3サイズの大きさの用紙の用紙設定と同じであるので(S20においてYES)、ステップS22に進む。
【0096】
なお例えば、下トレイ15にA3サイズの用紙5Bでない用紙5がセットされている場合や、次ページに対する印刷の用紙5が上トレイ用紙設定メモリ94A及び下トレイ用紙設定メモリ94Bのいずれにも記憶されていない場合は(S20においてNO)、次ページに印刷する適切な用紙設定の用紙5が無いとの旨の表示を表示部19に表示して(S21)、印刷終了となり、当該メイン処理を終了する。
【0097】
ステップS20でYESと判断されると、本実施形態では、上トレイ14にセットされるA4サイズの用紙5Aの記録中にステップS13でKirikae_flagメモリ93AのKirikae_flagがONと記憶されるので(S25においてYES)、その後、A4サイズの用紙5Aの記録中において、タイマカウンタが所定時間以上経過したか否かの判断つまり、ASFモータ102の駆動力の伝達を第1給紙ローラ31から第2給紙ローラ32へと切換える駆動伝達切換が未完了であるか否かを判断する(S23)。なお、ステップS23においてKirikae_flagがOFFとなる場合は(S25においてNO)、例えば、上トレイ14にセットされる用紙に対して1枚の印刷が完了したあと、次ページの印刷が上トレイ14にセットされる用紙を用いて引き続き印刷される場合である。
【0098】
ステップS23においての判断は、ステップS18における判断を基にする。例えば、タイマカウンタ95が所定時間以上経過している場合は、駆動伝達切換が完了していると判断される(S23においてNO)。またタイマカウンタ95が所定時間以上経過していない場合は、駆動伝達切換が未完了であると判断され(S23においてYES)、後述するASFモータ処理2(S24)に進む。駆動伝達切換が未完了と判断され(S23においてNO)、またはASFモータ処理2(S24)が終了したら、再び、ステップS1に戻る。
【0099】
<下トレイ15にセットされる用紙5の記録>
上述したように、ステップS12乃至ステップS17又はステップS24において、ASFモータ102の駆動力の伝達を第1給紙ローラ31から第2給紙ローラ32へと切換える駆動伝達切換が完了すると、ASFモータ102が逆回転することで第2給紙ローラ32を回転させて、下トレイ15にセットされるA3サイズの用紙5Bの給紙処理が開始される(S1)。ステップS1の下トレイ15にセットされるA3サイズの用紙5Bの給紙処理が完了したら、Kirikae_flagメモリ93AにONとして記憶されているKirikae_flagをOFFとして記憶し(S2)、その後、搬送処理を行う(S3)。
【0100】
本実施形態では、A3サイズの用紙5Bを記録した後での次ページの印刷データは無いので、Kirikae_flagメモリ93Aに記憶されているKirikae_flagがOFFであって(S4においてYES)、印刷向きが待機位置に向かう向きであっても(S5においてYES)、次ページの印刷データは存在しない(S6においてNO)ので、印刷向きが待機位置に向かう向きでない場合(S6においてNO)と同様に、通常印刷処理(S14)のみを行う。
【0101】
本実施形態においては、A3サイズの用紙5Bの記録後は、ステップS12におけるASFモータ処理1を行っていないので、タイマカウンタ95は0となっており(S15においてNO)、1ページ分の印刷データの印刷が終了するまで(S18においてYES)、上述したステップS3乃至ステップS6、ステップS14、ステップS15、ステップS18のうち任意の処理を繰り返す。1ページ分の印刷データの印刷が終了、つまりA3サイズの用紙5Bに対する印刷データの印刷が終了したら(S18においてYES)、次ページが無いので(S19においてYES)、印刷データの印刷を終了して当該メイン処理を終了する。
【0102】
<ASFモータ処理>
図11のフローチャートを用いて、図10のステップS12で示されるASFモータ処理1(図11(A)参照)及びステップS24で示されるASFモータ処理2(図11(B)参照)について説明する。
【0103】
ASFモータ処理1は、ステップS12においてASFモータ処理1が開始されると、まずASFモータ102の駆動時間を計測するタイマカウンタ95によるカウントを開始する(S30)。そして、ASFモータ102を正逆方向に駆動させたまま(S31)、当該ASFモータ処理1を終了する。なお、ステップS102におけるASFモータ102の正逆方向の駆動は、切換ギア45と、第1受けギア46A又は第2受けギア46Cとの噛合を良好にするために行われるものである。
【0104】
ASFモータ処理2は、ASFモータ処理1によって開始されるASFモータ102の正逆方向の駆動が、本実施形態においてA4サイズの用紙の記録中にタイマカウンタ95が所定時間以上経過していない場合、つまり、A4サイズの用紙の記録中に駆動伝達切換が未完了である場合に実施され、次の用紙である下トレイ15にセットされるA3サイズの用紙を給紙する前に、駆動伝達切換を完了させるための処理である。ステップS24においてASFモータ処理2が開始されると、まず、タイマカウンタ95が所定時間以上経過したか否かの判断がされ(S40)、タイマカウンタが所定時間以上経過するまで(S40においてYES)繰り返される。したがって、駆動切替処理1のステップS31で駆動されるASFモータ102の正逆方向の駆動は、ステップS40のタイマカウンタが所定時間以上経過されるまで繰り返される。やがて、タイマカウンタ95が所定時間以上経過したと判定されると、ASFモータ102の駆動を停止する(S41)。その後、タイマカウンタ95を0(S42)にし、ASFモータ処理2を終了する。
【0105】
<実施形態2>
次に、図12に示されるフローチャートを用いて、例えば上トレイ14及び下トレイ15共にA4サイズの用紙がセットされており、上トレイ14にセットされる用紙5Aが印刷途中で無くなった際に、下トレイ15からの給紙に切換える場合について説明する。上トレイ用紙設定メモリ94AにはA4サイズの大きさの用紙、下トレイ用紙設定メモリ94BにはA3サイズの大きさの用紙が、用紙設定情報として記憶されている。
【0106】
なお、下トレイ15の用紙5Bが印刷途中で無くなった際に、上トレイ14からの給紙に切換える場合に適用できることは言うまでも無い。また、本実施形態においては、図10のフローチャートと同じ処理となっているものに対して付与されている番号は同一のものとし、説明は省略する。
【0107】
メイン処理が開始されて上述した処理が行われると、次ページの印刷データがありと判断(S6においてYES)、現在印刷している用紙5がセットされるトレイに用紙5があるか否かの確認をする(S100)。本実施例においては、上トレイ14にA4サイズの用紙5Aがあるか否かを確認するために、上トレイ14にセットされる用紙5Aを給紙する第1給紙ローラ31の回転を開始する。そして、給紙ローラがロックされたか否かを確認する(S101)。なお、ステップS100とステップS101が、本発明の有無確認手段に相当する。
【0108】
本実施例においては、上トレイ14にセットされる用紙5Aがなくなった際は、第1給紙ローラ31が上トレイ14の底面と当接して、第1給紙ローラ31の回転がロックされる。上トレイ14にセットされる用紙5Aが有る場合は、当接する用紙が移動するので、第1給紙ローラ31が回転し、ロックされない。なお第1給紙ローラ31がロックされたか否かの判断は、ASFモータ102を所定時間駆動させても、ASFロータリーエンコーダ84のディスクが回転しない、つまりディスクの透光部と遮光部とが交互に発光ダイオードの光路上を通過せず、フォトダイオードの出力が変化しないと判断されると、第1給紙ローラ31がロックされていると判断する。また第1給紙ローラ31がロックされたか否かの判断を、ASFモータ102を駆動させたときの電流値がある上限値を越したとされたら、第1給紙ローラ31がロックされていると判断してもよい。したがって、第1給紙ローラ31がロックされない場合は(S101においてNO)、上トレイ14に用紙があるので通常の印刷処理(S14)を行う。
【0109】
第1給紙ローラ31がロックされた場合は(S101においてYES)、上トレイ14に用紙5Aが無いと判断される。次に、次ページの用紙設定は、他のトレイにセットされている用紙5と同じであるか否かの判断がされる(S8、本発明の第3判断手段に相当)。本実施形態では、次ページの用紙設定(A4サイズの用紙5)は、他のトレイにセットされている用紙設定(下トレイ用紙設定メモリ94Bに記憶されているA4サイズの大きさの用紙の用紙設定)と同じであるので(S8においてYES)、図10のフローチャートで説明したS9乃至S18のうちの任意の処理がなされ、駆動伝達切換が開始される。
【0110】
そして、1ページ分の印刷データの印刷が終了、つまり、上トレイ14から給紙されたA4サイズの用紙5Aに対する印刷が終了したら(S18においてYES)、本実施形態では、次ページが有るので(S19においてNO)、次ページの用紙設定は他のトレイにセットされている用紙設定と同じであるか否かの判断がされる(S102)。本実施形態では、次ページの用紙設定(A4サイズの用紙5)は他のトレイにセットされている用紙設定(下トレイ用紙設定メモリ94Bに記憶されているA4サイズの大きさの用紙の用紙設定)と同じであるので(S102においてYES)、ステップS22に進む。ステップS13においてKirikae_flagはONで記憶されているので(S22においてYES)、ステップS23に進む。
【0111】
その後、タイマカウンタ95が所定時間以上経過したと判断されると(S23においてNO)、又はタイマカウンタ95が所定時間以上経過していない、つまり駆動伝達切換が未完了であって(S23においてYES)、ASFモータ処理2(S24)によって駆動伝達切換を完了させると、ステップS2に戻る。
【0112】
ASFモータ102の駆動力の伝達を第1給紙ローラ31から第2給紙ローラ32へと切換える駆動伝達切換が完了すると、ASFモータ102が逆回転することで第2給紙ローラ32を回転させて、下トレイ15にセットされるA4サイズの用紙5Bの給紙処理が開始される(S2)。ステップS2の下トレイ15にセットされるA4サイズの用紙5Bの給紙処理が完了したら、Kirikae_flagメモリ93AにONとして記憶されているKirikae_flagをOFFとして記憶する(S3)。
【0113】
その後、次ページの印刷データは無いので、ステップS3乃至ステップS6、ステップS14、ステップS15乃至ステップS18の処理のうち任意の処理を繰り返し、1ページ分の印刷データの印刷が終了、つまり下トレイ15にセットされるA4サイズの用紙5Bに対する印刷データが終了したら(S18)、次ページが無い場合(S19においてYES)は、印刷データの印刷を終了して当該メイン処理を終了する。
【0114】
上述したように、本発明によれば、用紙サイズが異なるような複数ページの印刷をする際に、現在印刷している用紙がセットされている給紙トレイからの給紙から、次ページの用紙がセットされている給紙トレイからの給紙へと切換える際に、印刷が進行している1ページの印刷の最中に、駆動伝達切換を行う。したがって、進行している1ページの印刷の最中に、画像記録処理に関わらない、ASFモータ102を正逆方向に回転させて駆動伝達切換を行うので、印刷の途中で用紙サイズが変わるような印刷をしても、駆動伝達切換のための時間を必要とせず、次ページの印刷にまでに要する時間を短縮することができる。
【0115】
また、本発明によれば、各給紙トレイにセットされる用紙が同一のものであり、現在印刷している用紙がセットされている給紙トレイの用紙が無くなり、当該給紙トレイからの給紙から、次ページの用紙がセットされている給紙トレイからの給紙へと切換える際に、印刷が進行している1ページの印刷の最中に、駆動伝達切換を行う。したがって、進行している1ページの印刷の最中に、画像記録処理に関わらない、ASFモータ102を正逆方向に回転させて駆動伝達切換を行うので、印刷の途中で用紙がなくなったとしても、駆動伝達切換のための時間を必要とせず、次ページの印刷にまでに要する時間を短縮することができる。
【0116】
本実施形態においては、図10や図12のフローチャートにおけるステップS12でキャリッジ23の記録速度を所定速度以下にしているのは、例えば、上述したように普通紙に低解像度で印刷をする高速印刷時に、キャリッジ23の記録速度を高速のままレバー突起71Bを押し当てると、キャリッジ23の停止精度が十分でなく、適切な位置に、レバー突起71B及び切換ギア45が移動しない虞を解決するためである。このように、レバー突起71Bを押し当てる際のキャリッジ23の記録速度を所定速度以下に設定すると、レバー突起71Bへの押当て時の停止精度を向上させることができ、適切な位置にレバー突起71B及び切換ギア45を移動させ、適切に駆動切換が行われる。また、本実施形態ではキャリッジ23の減速領域を大きくして、キャリッジ23の記録速度を減少させたが、レバー突起71Bを押し当てる前に、一度停止して所定速度以下でレバーを押し当てる方法でも良い。
【0117】
本実施形態においては、キャリッジ23がレバー突起71Bを押し当てるタイミングは、印刷のための走査距離を延長させたが、例えば、搬送処理中にキャリッジ23が移動してレバー突起71Bを押し当てもいいし、印刷におけるインク量が多く乾燥のための待機時間中に、レバー突起71Bを押し当ててもよく、つまり、1ページ分の画像記録処理中に行われれば良い。
【0118】
本実施形態では、給紙トレイにセットされる用紙の設定をするのは、ユーザによってなされるものであるが、給紙トレイに設置される用紙サイズセンサで、給紙トレイにセットされる用紙の設定が行われてもよい。
【0119】
本実施形態では、用紙がセットされるのは上トレイ14と下トレイ15のようにトレイが上下2段で構成されているものであるが、各給紙トレイから給紙する際に、駆動伝達切換が必要な構成であるのならば、給紙トレイは2段以上用意されていても良い。また、一方の給紙トレイに対して、他方の給紙トレイが手差しトレイといった構成のものでもよい。
【0120】
本実施形態では、駆動伝達切換が完了したか否かの判断は、タイマカウンタ95によって行ったが、例えば、ASFモータ102の正回転及び逆回転の回数を計測して、所定回数以上(本発明の第2所定条件に相当)計測されたら、駆動伝達切換が完了したと判断されてもよい。
【0121】
本実施形態では、各トレイにセットされる用紙の設定をする際は、用紙の向きを考慮しなかったが、例えば、用紙の長手方向が前後方向8に沿う場合を縦置き、用紙の短手方向が左右方向9に沿う場合を横置きとして、用紙の設定をする際は用紙の向きまで考慮するものでもよい。
【0122】
本実施形態においては、上トレイ14に用紙があるか否かの確認を、第1給紙ローラ31がロックしたか否かによって行われたが、例えば、上トレイ14に用紙有無センサが設けさせ、当該用紙有無センサの検出信号によって上トレイ14に用紙があるか否かを判断してもよい。
【符号の説明】
【0123】
14 上トレイ
15 下トレイ
23 キャリッジ
26 当接片
31 第1給紙ローラ
32 第2給紙ローラ
40 駆動伝達切換機構
45 切換ギア
46A 第1受けギア
46B 第2受けギア
46C 第3受けギア
71 レバー部材
71B レバー突起
73A 左内側面
73C 右内側面
75 第1切欠き
75B 左内側面
95 タイマカウンタ
101 CRモータ
102 ASFモータ
110 第1伝達部
120 第2伝達部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体が載置される第1給紙トレイ、及び第2給紙トレイと、
前記第1給紙トレイに載置される被記録媒体を給紙する第1給紙ローラと、
前記第2給紙トレイに載置される被記録媒体を給紙する第2給紙ローラと、
第1給紙ローラ又は第2給紙ローラから給紙される被記録媒体を搬送方向に搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送される被記録媒体にインクを吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドが設けられ、前記搬送方向と直交する主走査方向に往復移動可能なキャリッジと、
正逆方向に駆動可能な駆動源と、
前記搬送手段によって搬送される被記録媒体が通過し得る記録領域から前記主走査方向において外れる記録領域外に設けられ、前記主走査方向に移動する前記キャリッジが当接されることで、第1姿勢又は当該第1姿勢とは異なる第2姿勢へと変化するように姿勢が切換可能であり、前記第1姿勢及び前記第2姿勢において前記駆動源の駆動力が伝達される切換手段と、
前記切換手段が第1姿勢のときに、前記切換手段を介して前記駆動源の駆動力を前記第1給紙ローラに伝達する第1駆動伝達機構と、
前記切換手段が第2姿勢のときに、前記切換手段を介して前記駆動源の駆動力を前記第2給紙ローラに伝達する第2駆動伝達機構と、
前記記録ヘッドと、前記キャリッジと、前記搬送手段とを制御することによって、画像データを被記録媒体に対して記録する画像記録処理を行う画像記録処理手段と、
前記キャリッジを当接させることで前記切換手段の姿勢を切換えて前記駆動源の駆動力の伝達を前記第1駆動伝達機構から前記第2駆動伝達機構へ、又は前記第2駆動伝達機構から前記第1駆動伝達機構へと切換える切換処理を行う切換処理手段と、
前記駆動源の正逆方向の駆動をする正逆駆動処理を行う正逆駆動処理手段と、
複数枚の被記録媒体に対して前記画像記録処理を実行する際、前記画像記録処理手段によって一枚の被記録媒体に対する前記画像記録処理中に、前記切換処理手段による前記切換処理が必要であるか否かを判断する第1判断手段と、
前記第1判断手段によって前記切換処理が必要と判断された場合に、前記画像記録処理手段に一枚の被記録媒体に対する前記画像記録処理を実行させている間に、前記切換処理手段に前記切換処理を実行させた後に、前記正逆駆動処理手段に前記正逆駆動処理を実行させる制御部と、
を備えたことを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記第1判断手段は、
前記切換処理が行われたか否かを判断する第2判断手段と、
第1所定条件を満たしているか否かを判断する第3判断手段と、を備え、
前記制御部は、
前記第2判断手段によって前記切換処理が行われていないと判断され、且つ前記第3判断手段によって第1所定条件を満たしていると判断された場合に、前記画像記録処理手段に一枚の被記録媒体に対する前記画像記録処理の実行させている間に、前記切換処理手段に前記切換処理を実行させた後に、前記正逆駆動処理手段に前記正逆駆動処理を実行させ、
前記第2判断手段によって前記切換処理が行われたと判断された場合に、前記正逆駆動処理手段による前記正逆駆動処理が第2所定条件を満たすまで、前記正逆駆動処理を継続させることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記第1判断手段は、前記画像記録処理手段によって実行される前記画像記録処理における前記キャリッジの移動向きが、前記記録領域外に設けられる前記切換手段に向かう向きであるか否かを判断する第4判断手段を備え、
前記制御部は
前記第4判断手段によって、前記キャリッジの移動向きが前記切換手段に向かう向きであると判断された場合に、前記切換処理手段によって実行される前記切換処理において前記キャリッジを前記切換手段に当接させる際に、前記記録ヘッドによってインクを吐出する時における前記キャリッジの走査距離を前記切換手段が前記第1姿勢又は第2姿勢をとることが可能な位置まで延長することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記キャリッジの前記記録領域における記録速度が所定速度以下であるか否かを判定する速度判定手段と、を備え、
前記制御部は、前記記録速度が前記所定速度以下で無いと判定された場合は、前記切換手段による前記切換処理時での前記キャリッジの速度を前記所定速度以下に設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記第1給紙トレイ及び前記第2給紙トレイに載置されている被記録媒体の大きさを記憶する記憶手段と、を備え、
複数枚の異なる大きさの被記録媒体に対して前記画像記録処理を実行する際に、前記画像記録処理の実行中の前記一枚の被記録媒体の画像データが示す被記録媒体が前記記憶手段によって前記第1給紙トレイに載置されていると記憶されている場合に、次の被記録媒体の画像データが示す被記録媒体の大きさと一致する被記録媒体が前記記憶手段によって前記第2給紙トレイに載置されていると記憶されていることを前記第1所定条件として、前記第3判断手段が前記第1所定条件を満たしているか否かを判断することを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記第1給紙トレイ及び前記第2給紙トレイに載置されている被記録媒体の大きさを記憶する記憶手段と、
前記一の被記録媒体に対する画像記録処理中に、前記第1給紙トレイ又は前記第2給紙トレイに載置される被記録媒体の有無を判断する有無確認手段と、を備え、
複数枚の同一の大きさの被記録媒体に対して前記画像記録処理を実行する際に、前記有無確認手段によって、前記記憶手段によって前記第1給紙トレイに載置される被記録媒体が無いと判断され、前記画像記録処理の実行中の前記一枚の被記録媒体の画像データが示す被記録媒体が前記第1給紙トレイに載置されていると記憶されている場合に、次の被記録媒体の画像データが示す被記録媒体の大きさと一致する被記録媒体が前記記憶手段によって前記第2給紙トレイに載置されていると記憶されていることを前記第1所定条件として、前記第3判断手段が前記第1所定条件を満たしているか否かを判断することを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第2判断手段によって前記切換処理が行われていないと判断され、且つ前記第3判断手段によって前記第1所定条件を満たしていないと判断された場合に、装置の状態を表示する表示部に、前記画像記録処理に適切な被記録媒体が無いとの表示を行うことを特徴とする請求項5又は6に記載の画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−201068(P2012−201068A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69590(P2011−69590)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】