説明

画像読み取り装置及び該画像読み取り装置を備えた画像処理装置

【課題】 原稿移動形の画像読み取り装置において、原稿を装置の原稿挿入範囲の何処に置いても、又定型外の大きさの原稿であっても、読み取りミスを生じることなく読み取りを支障なく行う。
【解決手段】 原稿搬送方向に直交する方向に所定の間隔で5箇所に原稿挿入、レジスト、中間の各センサ3,7,17を配列し、定型外の大きさの原稿が、挿入可能範囲のどこにセットされても検出漏れなく、センサ出力を受ける制御回路25により行われるステップモータ28,CL30による原稿搬送、リニアセンサ8による読み取りの制御を支障無く行うようにする。又、SOL14の切替で原稿背面板の黒部を背景にし、原稿先端部をリニアセンサ8により読み取り、原稿幅をその検出回路23で検出し、定型外の原稿の読み取りに対応する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原稿移動形の画像読み取り装置に関し、より詳細には、読みとり原稿の挿入を任意の位置で行うことができ、又定型外の原稿であっても動作が支障無く行われ、処理に必要な原稿関連情報(原稿の端部位置やサイズ等)を得ることができる画像読み取り装置及び該画像読み取り装置を装備した画像処理装置(スキャナ、複写機、ファクシミリ等)に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の画像読み取り装置は原稿面を読み取り手段により走査して読み取る方式を採るが、その1形式として原稿を搬送装置で送りながら固定の読み取り手段により読み取り走査を行う原稿移動形の装置が知られている。このような原稿移動形の画像読み取り装置では、原稿を装置に挿入すると、自動的に読み取り動作が行われる。装置に原稿を挿入する場合、原稿を原稿テーブルにセットするが、そのセット位置が原稿のサイズや縦、横の方向によって決められており、原稿の側面端部を原稿テーブルの基準線やサイドフェンスに合わせるか、或いは原稿中央を原稿テーブルの中央に合わせるといったユーザによる操作が必要であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このため、原稿を読取装置に正確に挿入するのは細心の注意を払わなければならなかったし、この操作に相当の時間を要していた。また、装置側にも基準線やサイドフェンスを設ける必要が有ることからコストアップが生じてしまう。基準線については、原稿の各種サイズの縦、横に対応した基準線が必要になるので、原稿テーブル面に多数の基準線が設けられることになって、原稿の側面を基準線に合わせる際、ミスが生じる原因になる。サイドフェンスについては、原稿がスキューして搬送される場合、原稿を破損したり、しわを生じさせることもあった。また、基準線やサイドフェンスを設ける方式は、原稿挿入領域(または基準となる原稿挿入位置)を限定することにより、原稿サイズを規制し、原稿挿入センサ等の原稿検知センサを1つですませる方式である為、予定されている原稿挿入位置を外すと、センサが原稿を検知しないので動作しなかったり、サイズを間違えて読み取りミスを生じるといったような動作上の支障が生じる。さらに、この基準線やサイドフェンスを設ける方式は、定型の原稿を扱うことを原則としており、不定型の原稿(原稿幅が任意の寸法を持つ)を読み取らせると読み取りミスを生じるといったような動作上の支障が生じる。本発明は原稿移動形の画像読み取り装置における上述の従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、原稿を画像読み取り装置に挿入する際、原稿を装置の原稿挿入範囲の何処にセット、挿入しても読み取りミスを生じることなく読み取りを支障なく行うことができ、また、不定型の原稿を任意の位置から挿入し、読み取らせても読み取りミスを生じることなく読み取りを支障なく行うことができる画像読み取り装置及び該画像読み取り装置を備えた画像処理装置(スキャナ、複写機、ファクシミリ等)を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、原稿搬送手段、搬送中の原稿を読み取る画像読み取り手段、原稿の有無を検出する原稿有無検出手段、該原稿有無検出手段の検出結果に応じて原稿搬送手段、画像読み取り手段を制御する制御手段を有する画像読み取り装置において、前記原稿有無検出手段を原稿搬送方向に直交する方向に所定の間隔で配置した複数の原稿有無検出センサにより構成したことを特徴とする画像読み取り装置である。
【0005】請求項2の発明は、請求項1に記載された画像読み取り装置において、前記原稿有無検出手段を原稿搬送手段の入り口に設け、原稿挿入を検出するようにしたことを特徴とするものである。
【0006】請求項3の発明は、請求項1又は2に記載された画像読み取り装置において、前記原稿有無検出手段を原稿搬送手段により搬送される原稿の搬送路中に設け、原稿の通過を検出するようにしたことを特徴とするものである。
【0007】請求項4の発明は、請求項3に記載された画像読み取り装置において、前記制御手段は、原稿の搬送路中に設けた原稿有無検出手段の検出結果に応じて原稿読み取りのタイミングを制御することを特徴とするものである。
【0008】請求項5の発明は、請求項4に記載された画像読み取り装置において、原稿の搬送路中に設けた前記原稿有無検出手段を構成する複数の原稿有無検出センサの検出のばらつきを補正する手段を備えたことを特徴とするものである。
【0009】請求項6の発明は、請求項3乃至5のいずれかに記載された画像読み取り装置において、前記原稿有無検出手段の少なくとも一つを画像読み取り手段の下流側に設け、原稿の通過を検出するようにしたことを特徴とするものである。
【0010】請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載された画像読み取り装置において、搬送方向に対する原稿の側端部の位置を検出する原稿端部位置検出手段を設けたことを特徴とするものである。
【0011】請求項8の発明は、請求項7に記載された画像読み取り装置において、前記原稿端部位置検出手段の検出結果に基づいて原稿の幅を検出する手段を備えたことを特徴とするものである。
【0012】請求項9の発明は、請求項7又は8に記載された画像読み取り装置において、前記原稿端部位置検出手段として前記画像読み取り手段を兼用したことを特徴とするものである。
【0013】請求項10の発明は、請求項9に記載された画像読み取り装置において、前記画像読み取り手段が原稿端部位置検出手段として動作するとき、読み取り位置に設けた原稿背面板を切り替え、背景を暗くするようにしたことを特徴とするものである。
【0014】請求項11の発明は、請求項1乃至10のいずれかに記載された画像読み取り装置を備えたことを特徴とする画像処理装置である。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明を添付する図面とともに示す以下の実施例に基づき説明する。図1は、本発明の実施例に係る画像読み取り装置の概略構成を示す。図1において、画像読み取り装置は、原稿1を載置する原稿テーブル2、矢印にて示す原稿搬送方向に直交する(図面に垂直)方向に所定の間隔で配置された原稿挿入センサ3(図2の3−1〜3−5、参照)、原稿フィードローラ4−1,4−2、ガイド板5(指示していないものも含め複数個からなる)、レジストローラ6−1,6−2、原稿搬送方向に直交する方向に所定の間隔で配置されたレジストセンサ7(図2の7−1〜7−5、参照)、リニアセンサ8(原稿搬送方向に直交する方向に配置されたCCD等で構成される直線状のセンサ)、リニアセンサ8に原稿面からの反射光を導くセルフォックレンズアレイ(以下「SLA」と記す)9、原稿照明光源10−1,10−2、コンタクトガラス11、コンタクトガラス11との間に間隙を形成し、間隙を通過する原稿の背面を受ける原稿背面板12、原稿排出ローラ15−1,15−2、原稿搬送方向に直交する方向に所定の間隔で配置された中間センサ17(図2の17−1〜17−5、参照)、原稿受け16を備える。
【0016】図2は、図1に示した画像読み取り装置の原稿搬送面上に配設された原稿挿入センサ、レジストセンサ、及び中間センサと挿入される原稿の関係を示す図である。図2に示す例では、原稿挿入センサ3−1〜3−5、レジストセンサ7−1〜7−5、中間センサ17−1〜17−5は、それぞれ矢印にて示す原稿搬送方向に直交する方向に所定の間隔で5箇所に配列される。原稿1−A,1−Bは原稿テーブル2に載置され、矢印方向に搬送される。原稿1−Aと原稿1−Bとは、原稿挿入範囲2−1〜2−2で原稿挿入位置を変えた場合の状態を示す。この実施例では図示の原稿1−A、原稿1−Bのような幅を持つ原稿であれば、いずれの原稿挿入位置をとった場合でも、原稿挿入、レジスト、中間の各センサによる原稿の検知が行える様なセンサ数と配置が考慮されており、センサ出力により行われる制御動作が支障無く行われる。
【0017】図3及び図4は、図1の画像読み取り装置に示した原稿背面板12の構成、動作をより詳細に示す図である。本実施例では、原稿面の画像を読み取るリニアセンサ8を原稿1の幅を検知するためのセンサとしても用いるようにする。そのため、原稿読み取り位置の背景を原稿1の幅を検知するするときに幅検知に適した背景に変える必要があり、この実施例の原稿背面板12においては、図示のように背景に用いる原稿読み取り側の面を白部と黒(灰色でも可)部に塗り分けている。また、原稿背面板12には、背面板SOL(ソレノイド)14とバネ13−1、13−2が作用し、背景を切り替えるようにしている。図3は、背面板SOL14がONの状態であり、リニアセンサ8の読み取り中心が、図に示すように、黒部を読み取る位置に原稿背面板14を移動させている。図4は、背面板SOL14がOFFの状態であり、リニアセンサ8の読み取り中心が、図に示すように、白部を読み取る位置に原稿背面板14を移動させている。バネ13−1、13−2は背面板SOL14をOFFにした時、原稿背面板14をもとの位置(図4の状態)に戻す為のものである。
【0018】ここで、上記した画像読み取り装置(図1〜4)の動作を原稿の流れに沿い説明する。図6は、光源、原稿挿入センサ、レジストセンサ、中間センサ、ステッピングモータ、背面板SOLの動作状態を示すタイミングチャートであり、図7は、リニアセンサに関わる信号及び原稿幅の検出時の動作を説明するためのタイミングチャートである。原稿1はオペレータにより原稿テーブル2上で矢印で示す順方向へ向かって挿入される(図1,2参照)。このとき、原稿挿入センサ3−1〜3−5により原稿1の先端が検知される必要がある。本実施例では定型外の大きさの原稿が、挿入可能範囲のどこにセットされても検知できるように、原稿搬送方向に直交する方向に所定の間隔(通常、原稿として用いる用紙幅がチェックできる間隔を所定の間隔とする)で5箇所にセンサを配列しており、検知漏れがないようにしている。
【0019】このような配列をとった原稿挿入センサ3−1〜3−5によって任意の位置に挿入される原稿1を検知するので、原稿挿入センサ3−1〜3−5のどれが原稿の先端を検知するか決まっていないが、原稿挿入センサ3−1〜3−5のいずれかによって先端が検知され、センサが原稿1の先端を検知すると、原稿照明光源10−1,10−2が点灯し、原稿を搬送するステッピングモータ28(図1には、図示せず。後記図5参照)がONする(図6参照)。ステッピングモータ28のONで、原稿フィードローラ4−1,4−2、レジストローラ6−1,6−2、原稿排出ローラ15−1,15−2が順方向に回転する。なお原稿フィードローラ4−1,4−2、レジストローラ6−1,6−2は、各ローラ用のクラッチCL30(図1には、図示せず。後記図5参照)を介してステッピングモータ28から動力が伝えられる。また背面板SOL14もONされる(図6参照)。背面板SOL14のON時、後述するようにリニアセンサ8は背面板12の黒部を読み込む。
【0020】原稿1は原稿挿入センサ3−1〜3−5を通過した後、原稿1は順方向に搬送され、原稿1の先端がレジストセンサ7−1〜7−5のいずれかにより検知される(図6参照)。なお、5個のレジストセンサ7−1〜7−5は、図2に示すように、原稿挿入センサ3−1〜3−5と同様の配列をとっているので、このセンサにおいても、定型外の大きさの原稿が、挿入可能範囲のどこにセットされても支障がなく動作が進行できる。レジストセンサ7により検知された原稿1は、その先端がレジストセンサ7の位置を基準に原稿を搬送するステッピングモータ28により原稿先端がSLA9の受光下(読み取り位置)に来るまで、まず搬送される。なお原稿先端位置はステッピングモータ28に入力されるパルス数により検出、認識される。その後も引き続き原稿は搬送されるが、この過程を含めSLA9の受光下(読み取り位置)にある読み取り面は常にリニアセンサ8により読み取り動作がなされているので、原稿先端が読み取り位置に至り、その位置を1mm通過するまでの間に読み取られているリニアセンサ8の読み取りデータにより原稿幅を検出可能とする。このため、原稿先端が読み取り位置を1mm通過するまで、背面板SOL14はONされる(図6参照)。原稿先端が読み取り位置に達してから読み取り位置を1mm通過するまで、リニアセンサ8は原稿背面板12の黒部が背景にある原稿1を読み取ることになる。読み取り位置を1mm通過した時、背面板SOL14はOFFされ、その後、リニアセンサ8は原稿背面板12の白部が背景にある原稿1を読み取ることになる。その後もステッピングモータ28を順方向に回転させ、原稿1を順方向に搬送し原稿1の読み取りが行われ、中間センサ17−1〜17−5が設けられた位置に原稿1の先端が来ると、このセンサで検出がなされ、検出結果により原稿1が正常に読み取られたことをチェックし、その後原稿受け16に排出される。なお、5個の中間センサ17−1〜17−5は、図2に示すように、原稿挿入センサ3−1〜3−5と同様の配列をとっているので、このセンサにおいても、定型外の大きさの原稿が、挿入可能範囲のどこにセットされても支障がなく動作を進めることができる。
【0021】また、所定の間隔で配列された5個のレジストセンサ7−1〜7−5および同様の配列をとる5個の中間センサ17−1〜17−5の検出信号は、上記したように、読み取りのタイミングを決めるために用いられたり、検出信号の出力タイミングにより動作の異常を検知するために用いられるので、端部検出時、5個の各センサの検出出力にばらつきがあると、センサ出力に基づいて制御される装置の動作の精度が保証されなくなる。そのために、これらのセンサにおける検出のばらつきを補正する手段を設け、精度の維持を図るようにする。補正の手順としては、例えば、全てのセンサを動作させることが可能なサイズ(挿入可能な最大サイズ)のテスト原稿を原稿テーブルに正しくセットし、搬送手段によりテスト原稿を搬送させ、レジストセンサ7−1〜7−5および中間センサ17−1〜17−5を通過させて、テスト原稿が通過するタイミングを各センサの出力の変化により検出する。この時、各センサの出力変化のタイミングのばらつきが判断され、ばらつきがある場合に、各センサ出力が一定のタイミングとなるように検出信号に進み、遅れを施すことにより調整を行う。この調整は、検出ばらつきの調整を行う上記手順を書いたセンサ調整プログラムを用意し、装置が持つCPUによりこのプログラムを実行させることにより、製品出荷時のテストやサービスマンによる調整の一環として実施することができる。
【0022】図5は、本発明の実施例に係る画像読み取り回路の概略ブロック図を示す。図5を参照して、画像読み取り装置の上記した動作に係わる回路の構成とその動作を以下に説明する。まず、リニアセンサ8により検出された画像データの処理について述べる。アナログ処理回路20はリニアセンサ8からのアナログ画像信号をレベル調整、サンプルホールド、ゲイン可変の増幅(GCA)をする機能を持つ。A/Dコンバータ21は、アナログ処理回路20で処理されたアナログ画像信号を8bitのデジタル画像信号に変換する。アナログ処理回路20で行うAGC(オートゲインコントロール)は、原稿1が原稿背面板12上に無く、原稿背面板12を白部にセットしているとき、A/Dコンバータ21の出力の主走査方向での最大値が予め決められた値(たとえば220)になる様にGCAを制御する。なおAGC動作は、メインSWON時のタイミングでも実施しても良い。シェーディング回路24は原稿1を照明する光量に生じる主走査方向の分布のバラツキやリニアセンサ8からA/Dコンバータ21までの処理回路の特性に起因する主走査方向の画像信号のバラツキを補正する。シェーディング回路24はリニアセンサ8の画素毎に次式による処理を行う。シェーディング処理後データ=(原稿画像データ/基準データ)×255上記の式における基準データは、AGC後、原稿1が原稿背面板12上に無く、背面板12が白部にセットされているときのA/Dコンバータ21の出力データである。なお、この実施例に適用するAGCとシェーディング処理そのものは、従来技術を用いることができるので、詳細な説明は省略する。
【0023】本実施例では、上記したように、原稿背面板12の黒部を背景にして原稿先端部をリニアセンサ8により読み取り、その読み取りデータにより原稿幅を検出するようにしているが、その検出の際の回路動作について以下に説明する。駆動信号発生回路22は、リニアセンサ8、アナログ処理回路20、A/Dコンバータ21、シェーディング回路24に発生させたクロック(CLK)、アドレス等の信号を供給し、画像信号処理に用いるが、原稿幅の検出動作に用いるために原稿幅検出回路23にも発生させたCLKを供給する。原稿幅検出回路23はシェーディング処理後の画像データと駆動信号発生回路22からのCLKと予め制御回路24から与えられている判定値K1(原稿の有無を判定できるしきい値)から原稿幅の検出を行う。検出のタイミングは、背面板SOL14がONで原稿背面板12の黒部が読み取り位置にあり、原稿先端が読み取り位置と読み取り位置を1mm通過するまでの間で、その時に得られる画像信号の主走査方向一周期分の信号画像信号GDAを原稿幅検出のために使用する(図7参照)。
【0024】原稿幅検出の処理を次の手順で行う。図7を参照すると、リニアセンサ8における主走査方向の画像範囲を決めるLGATE信号内の各画素データDnを判定値K1(原稿の有無を判定できるしきい値)と比較する。LGATE信号がアクティブになってから最初に画素データDnが連続して48画素分、Dn<K1を満たした(黒部を検出)後に、Dn>K1になった(原稿を検出)ときのCLK数N1を保持する。なおこのCLK数の決め方は、LGATE信号がアクティブになった後の最初のクロックを基準(CLK数N=1とする)にしてCLK数を決める。CLK数N1は、原稿の一方の側端部の位置をリニアセンサ8を基準に求めたもので、図2に示す原稿挿入範囲2−1と2−2の間での原稿端部位置を一義的に決める値としても使用する。その後、主走査を続けDn<K1となって(黒部を検出)から、LGATE信号がノンアクティブになるまでDn<K1を保った場合のDn<K1になったときのCLK数N2を保持する。CLK数N2は、原稿のもう一方の側端部の位置をリニアセンサ8を基準に求めたものである。N1、N2は制御回路25により読み取られN2−N1の計算と1CLK当たりの長さlにより求められる。画素密度400dpiの場合、l=63.5μmとなる。制御回路25により原稿幅Lは、式L=l×(N2−N1)を用いて計算される。計算値は図示していない用紙サイズ選択信号等として使用される。また、上記したCLK数N1,N2によってリニアセンサ8の検出領域において、原稿1の両側端部を定めることができるので、この情報にもとづいて原稿の有効画像領域の指定データ等に利用することができる。
【0025】図5に示されるリニアセンサ8、光源10−1、10−2、制御回路25に入力する原稿挿入センサ3−1〜3−5、レジストセンサ7−1〜7−5、中間センサ17−1〜17−5は、図1及び図2に示されると同じ構成要素である。制御回路25は、CPU,RAM、ROM、I/O、不揮発メモリ等よりなり、原稿幅検出回路23の制御(前記定数K1の送出、CLKカウントの為のカウンターセット、リセット、前記N1、N2の読み取り等)、光源10−1、10−2の点滅、原稿挿入センサ3−1〜3−5、レジストセンサ7−1〜7−5、中間センサ17−1〜17−5の信号の取り込み、ステッピングモータ駆動回路27を介して行うステッピングモータ28の制御、原稿背面板12の白部、黒部をセットする為のSOL14の制御、原稿フィードローラ4、レジストローラ6用のCL30の制御を行う。中間センサ17−1〜17−5により検出される信号は、原稿搬送過程を検出すると共に、原稿がが正常に搬送されているか否かを検出する為のものである。本実施例では5カ所にこのセンサが配置されているが、中間センサ1個に注目した場合は従来と同様な機能を持つ。操作部26は画像読み取り装置の各種表示、操作入力を行うために設けられ、、オペレータとのインターフェース部を構成する。
【0026】上記のように、原稿搬送方向に直交する方向に所定の間隔(通常、原稿として用いる用紙幅がチェックできる間隔を所定の間隔とする)で5箇所に原稿挿入、レジスト、中間の各センサを配列し、定型外の大きさの原稿が、挿入可能範囲のどこにセットされても検知漏れがないようにして、センサ出力により行われる制御動作が支障無く行われるようにしている。また、原稿背面板12の黒部を背景にして原稿先端部をリニアセンサ8により読み取り、その読み取りデータにより原稿幅及び原稿の両側端部の位置を検出するようにしたことにより、定型外の大きさの原稿の原稿画像データの読み取りに対応することが可能となる。
【0027】
【発明の効果】(1) 請求項1の発明に対応する効果原稿搬送方向に直交する方向に所定の間隔で配置した複数の原稿有無検出センサにより原稿有無を検出するようにしたことにより、原稿テーブルの任意の位置に置かれた原稿を受け付け、読み取る画像読み取り装置の動作を支障なく行うことが可能となり、基準線やサイドフェンスを設ける従来の1センサ方式の問題点を解消し(例えば、基準線やサイドフェンスを不要としたことにより、コスト低減やデザイン上の自由度が増す)、装置の利便性を高めることができる。
(2) 請求項2の発明に対応する効果上記(1)の効果に加えて、原稿有無検出手段を原稿搬送手段の入り口に設け、原稿挿入を検出するようにしたことにより、原稿を画像読み取り装置に挿入する際、挿入範囲の何処にセットしても原稿を受け付け、装置を始動させることができ、ユーザによる原稿挿入操作が容易に効率よく行なうことができる。
【0028】(3) 請求項3の発明に対応する効果上記(1)、(2)の効果に加えて、原稿有無検出手段を原稿搬送手段により搬送される原稿の搬送路中に設け、原稿の通過を検出し、検出結果に応じてレジストローラ等の原稿搬送手段や画像読み取り手段を制御するようにしたことにより、ユーザが任意の位置にセットした原稿の読み取り動作を支障なく、かつ精度良く行うことができる。
(4) 請求項4の発明に対応する効果上記(3)の効果に加えて、原稿有無検出手段の検出結果に応じて原稿読み取りのタイミングを制御することにより、精度の良い読み取りを行う、即ち精度の良い搬送方向のレジスト特性(読み取り開始タイミング特性)を得ることができる。
(5) 請求項5の発明に対応する効果上記(4)の効果に加えて、複数の原稿有無検出センサにおける検出のばらつきを補正する手段を備えたことにより、読み取り精度をさらに向上させることができる。
(6) 請求項6の発明に対応する効果上記(3)〜(5)の効果に加えて、原稿有無検出手段の少なくとも一つを画像読み取り手段の下流側に設け、原稿の通過を検出するようにし、その検出結果用いることにより、原稿搬送制御、異常検出が可能となり、装置の性能向上を実現することができる。
【0029】(7) 請求項7の発明に対応する効果上記(1)〜(6)の効果に加えて、搬送方向に対する原稿の側端部の位置を検出する原稿端部位置検出手段をさらに設けたことにより、定型外の大きさの原稿の原稿画像データの読み取りに対応することが可能となり、定型外の大きさの原稿の読み取りに充分対応できなかった従来の問題点が解消できる。
(8) 請求項8の発明に対応する効果上記(7)の効果に加えて、原稿端部位置検出手段の検出結果に基づいて原稿の幅を検出する手段を備えたことにより、読み取り画像データを使用(例えば複写に使用)する場合、用紙サイズ選択信号等として幅データを利用することができる。
(9) 請求項9の発明に対応する効果上記(7)、(8)の効果に加えて、原稿端部位置検出手段として前記画像読み取り手段を兼用したことにより、原稿端部位置検出手段として新たな構成要素を増設することなく、高精度の検出手段が実現できる。
(10) 請求項10の発明に対応する効果上記(9)の効果に加えて、画像読み取り手段が原稿端部位置検出手段として動作するとき、読み取り位置に設けた原稿背面板を切り替え、背景を暗くするようにしたことにより、検出の正確度をより向上させることができる。
【0030】(11) 請求項11の発明に対応する効果上記(1)〜(10)の効果を複写機、ファクシミリ、スキャナ、及びこれらの複合機、或いは画像データを蓄積するファイリング装置等の画像処理装置において実現することができ、画像処理装置の性能を向上させ、利便性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に係る画像読み取り装置の概略構成を示す。
【図2】 原稿搬送面上に配設された原稿挿入センサ、レジストセンサ、及び中間センサと挿入される原稿の関係を示す図である。
【図3】 図1の原稿背面板の構成を詳細に示すもので、SOLがON時の動作状態にある場合を示す。
【図4】 図3と同様の図で、SOLがOFF時の動作状態にある場合を示す。
【図5】 本発明の実施例に係る画像読み取り回路の概略ブロック図を示す。
【図6】 光源、原稿挿入センサ、レジストセンサ、中間センサ、ステッピングモータ、背面板SOLの動作状態を示すタイミングチャートである。
【図7】 リニアセンサに関わる信号及び原稿幅の検出時の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【符号の説明】
1…原稿、 2…原稿テーブル、3,3−1〜3−5…原稿挿入センサ、4−1,4−2…原稿フィードローラ、6−1,6−2…レジストローラ、7,7−1〜7−5…レジストセンサ、8…リニアセンサ、 9…セルフォックレンズアレイ(SLA)、10−1,10−2…原稿照明光源、11…コンタクトガラス、 12…原稿背面板、13−1、13−2…バネ、 14…背面板SOL(ソレノイド)、15−1,15−2…原稿排出ローラ、17,17−1〜17−5…中間センサ、20…アナログ処理回路、 21…A/Dコンバータ、22…駆動信号発生回路、 23…原稿幅検出回路、24…シェーディング回路、 25…制御回路、27…ステッピングモータ駆動回路、28…ステッピングモータ、 30…クラッチ(CL)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 原稿搬送手段、搬送中の原稿を読み取る画像読み取り手段、原稿の有無を検出する原稿有無検出手段、該原稿有無検出手段の検出結果に応じて原稿搬送手段、画像読み取り手段を制御する制御手段を有する画像読み取り装置において、前記原稿有無検出手段を原稿搬送方向に直交する方向に所定の間隔で配置した複数の原稿有無検出センサにより構成したことを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項2】 請求項1に記載された画像読み取り装置において、前記原稿有無検出手段を原稿搬送手段の入り口に設け、原稿挿入を検出するようにしたことを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項3】 請求項1又は2に記載された画像読み取り装置において、前記原稿有無検出手段を原稿搬送手段により搬送される原稿の搬送路中に設け、原稿の通過を検出するようにしたことを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項4】 請求項3に記載された画像読み取り装置において、前記制御手段は、原稿の搬送路中に設けた原稿有無検出手段の検出結果に応じて原稿読み取りのタイミングを制御することを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項5】 請求項4に記載された画像読み取り装置において、原稿の搬送路中に設けた前記原稿有無検出手段を構成する複数の原稿有無検出センサの検出のばらつきを補正する手段を備えたことを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項6】 請求項3乃至5のいずれかに記載された画像読み取り装置において、前記原稿有無検出手段の少なくとも一つを画像読み取り手段の下流側に設け、原稿の通過を検出するようにしたことを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項7】 請求項1乃至6のいずれかに記載された画像読み取り装置において、搬送方向に対する原稿の側端部の位置を検出する原稿端部位置検出手段を設けたことを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項8】 請求項7に記載された画像読み取り装置において、前記原稿端部位置検出手段の検出結果に基づいて原稿の幅を検出する手段を備えたことを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項9】 請求項7又は8に記載された画像読み取り装置において、前記原稿端部位置検出手段として前記画像読み取り手段を兼用したことを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項10】 請求項9に記載された画像読み取り装置において、前記画像読み取り手段が原稿端部位置検出手段として動作するとき、読み取り位置に設けた原稿背面板を切り替え、背景を暗くするようにしたことを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項11】 請求項1乃至10のいずれかに記載された画像読み取り装置を備えたことを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2002−77517(P2002−77517A)
【公開日】平成14年3月15日(2002.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−253697(P2000−253697)
【出願日】平成12年8月24日(2000.8.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】