説明

異常状態通知システム、通知サーバ及び異常状態通知方法

【課題】手間をかけずにユーザの異常状態を自動的に通知する。
【解決手段】存在位置を位置情報として所定の時間間隔で携帯端末102から送信され、携帯端末102から送信された位置情報が制御サーバ142にて受信され、制御サーバ142にて受信された位置情報が所定の期間蓄積され、蓄積された位置情報である蓄積位置情報に基づいて携帯端末102の実活動エリアが算出され、その後、算出された実活動エリアと携帯端末102の現在の存在位置とが比較され、比較された結果に基づいて登録情報データベース144に予め登録されたアクションが制御サーバ142によって実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末を所持するユーザの異常状態を通知する異常状態通知システム、通知サーバ及び異常状態通知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯端末を所持するユーザの数が着々と増えてきている。また、携帯端末が無い状態では生活が成り立たないといったユーザも少なくは無く、携帯端末が生活の必需品の1つになってきていることは間違いない。
【0003】
その携帯端末も、市場に登場した当初は音声通話機能のみを有する単なる携帯電話であったが、その後、メール等のパケット通信機能や、カメラによる撮影機能、音楽再生機能、また、当該携帯端末が存在する位置を認識するGPS(Global Positioning System)機能等の様々な機能が付加されてきている。
【0004】
その機能の中で、GPS機能を有するGPSシステムにおいては、車のナビゲーションシステム機能と同様なユーザ自身が自分の位置を確認するための機能だけではなく、当該携帯端末を所持するユーザの位置を、ネットワークを介して当該GPSシステムに接続された他の端末を用いて他の者が確認するための機能も普及されてきている。例えば、ユーザが、その家族である子供やお年寄りにGPS機能付きの携帯端末を所持させ、その位置をネットワークを介してGPSシステムに接続された端末上に表示させ、家族の存在する位置を確認するといった機能である。
【0005】
また、近年、子供が巻き込まれる犯罪が続発しており、それらの犯罪に巻き込まれた場合に、その犯罪に適した対応策が取れるように、様々な方法が考えられている。
【0006】
その方法の1つとして、家族に防犯ブザー等を所持させる方法が考えられている。しかし、犯罪に直面した時に携帯者によるブザーの操作が不可能な場合も多く、例え操作可能でブザー音を発することができたとしても、それを第三者によって感知されるかどうかは不明確である。
【0007】
また、他の方法として、監視カメラを用いた監視による方法が考えられているが、それでは家族の自由やプライバシーを束縛すると考えられることが多く、過度な保護となってしまう可能性がある。
【0008】
また、子供やお年寄りにGPS機能付きの携帯端末を所持させ、何らかの異常が生じた場合には、家族や警備会社等に連絡させるといった方法も考えられるが、犯罪に巻き込まれた際に、当該携帯端末を正確に操作できる保証は無い。
【0009】
そこで、上述したGPSシステムを用いて、GPS機能を有する携帯端末が予め登録された行動範囲から外れた場合、当該携帯端末を所持する子供等のユーザに何らかの異常が生じたと判断し、その家族や警備会社等に通知を行う方法が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−101442号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載された方法においては、携帯端末を所持するユーザである子供等の行動範囲を予め登録しなければならないという問題点がある。
【0011】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、手間をかけずにユーザの異常状態を自動的に通知することができる異常状態通知システム、通知サーバ及び異常状態通知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明は、
存在位置を位置情報として所定の時間間隔で送信する携帯端末と、該携帯端末から送信された位置情報を受信する通知サーバとを有してなる異常状態通知システムにおいて、
前記通知サーバは、前記携帯端末から送信された位置情報を所定の期間蓄積し、蓄積された位置情報を蓄積位置情報とし、前記蓄積位置情報に基づいて前記携帯端末の実活動エリアを算出し、その後、算出された実活動エリアと前記携帯端末の現在の存在位置とを比較し、比較された結果に基づいて予め登録されたアクションを実行することを特徴とする。
【0013】
また、前記通知サーバは、前記算出された実活動エリアと前記携帯端末の現在の存在位置とが比較された結果、前記携帯端末の現在の存在位置が、前記算出された実活動エリアから予め登録された距離だけ離れている場合、前記距離に予め対応付けられて登録されたアクションを実行することを特徴とする。
【0014】
また、存在位置を位置情報として所定の時間間隔で送信する携帯端末と、該携帯端末から送信された位置情報を受信する通知サーバとを有してなる異常状態通知システムにおいて、
前記通知サーバは、前記携帯端末から送信された位置情報と前記時間間隔とに基づいて前記携帯端末の移動速度を算出し、前記移動速度を所定の期間で平均化して基準速度とし、その後、前記基準速度と前記携帯端末の現在の移動速度とを比較し、比較された結果に基づいて予め登録されたアクションを実行することを特徴とする。
【0015】
また、前記通知サーバは、前記基準速度と前記携帯端末の現在の移動速度とが比較された結果、前記携帯端末の現在の移動速度が、前記基準速度を予め登録された速度分超えた場合、超えた速度分に予め対応付けられて登録されたアクションを実行することを特徴とする。
【0016】
また、前記携帯端末は、GPS機能を有し、該GPS機能を用いて当該携帯端末の存在位置を位置情報として前記通知サーバへ送信することを特徴とする。
【0017】
また、存在位置を位置情報として所定の時間間隔で送信する携帯端末から送信された位置情報を受信する通知サーバであって、
前記携帯端末から送信された位置情報を所定の期間蓄積し、蓄積された位置情報を蓄積位置情報とし、前記蓄積位置情報に基づいて前記携帯端末の実活動エリアを算出し、その後、算出された実活動エリアと前記携帯端末の現在の存在位置とを比較し、比較された結果に基づいて予め登録されたアクションを実行する。
【0018】
また、前記算出された実活動エリアと前記携帯端末の現在の存在位置とが比較された結果、前記携帯端末の現在の存在位置が、前記算出された実活動エリアから予め登録された距離だけ離れている場合、前記距離に予め対応付けられて登録されたアクションを実行することを特徴とする。
【0019】
また、存在位置を位置情報として所定の時間間隔で送信する携帯端末から送信された位置情報を受信する通知サーバであって、
前記携帯端末から送信された位置情報と前記時間間隔とに基づいて前記携帯端末の移動速度を算出し、前記移動速度を所定の期間で平均化して基準速度とし、その後、前記基準速度と前記携帯端末の現在の移動速度とを比較し、比較された結果に基づいて予め登録されたアクションを実行する。
【0020】
また、前記基準速度と前記携帯端末の現在の移動速度とが比較された結果、前記携帯端末の現在の移動速度が、前記基準速度を予め登録された速度分超えた場合、超えた速度分に予め対応付けられて登録されたアクションを実行することを特徴とする。
【0021】
また、存在位置を位置情報として所定の時間間隔で送信する携帯端末と、該携帯端末から送信された位置情報を受信する通知サーバとを有してなる異常状態通知システムにおける異常状態通知方法であって、
前記通知サーバが、前記携帯端末から送信された位置情報を所定の期間蓄積する処理と、
前記通知サーバが、蓄積された位置情報を蓄積位置情報とし、前記蓄積位置情報に基づいて前記携帯端末の実活動エリアを算出する処理と、
その後、前記通知サーバが、算出された実活動エリアと前記携帯端末の現在の存在位置とを比較する処理と、
前記サーバが、比較された結果に基づいて予め登録されたアクションを実行する処理とを有する。
【0022】
また、前記サーバが、前記算出された実活動エリアと前記携帯端末の現在の存在位置とが比較された結果、前記携帯端末の現在の存在位置が、前記算出された実活動エリアから予め登録された距離だけ離れている場合、前記距離に予め対応付けられて登録されたアクションを実行する処理を有することを特徴とする。
【0023】
また、存在位置を位置情報として所定の時間間隔で送信する携帯端末と、該携帯端末から送信された位置情報を受信する通知サーバとを有してなる異常状態通知システムにおける異常状態通知方法であって、
前記通知サーバが、前記携帯端末から送信された位置情報と前記時間間隔とに基づいて前記携帯端末の移動速度を算出する処理と、
前記通知サーバが、前記移動速度を所定の期間で平均化して基準速度とする処理と、
その後、前記通知サーバが、前記基準速度と前記携帯端末の現在の移動速度とを比較する処理と、
比較された結果に基づいて予め登録されたアクションを実行する処理とを有する。
【0024】
また、前記通知サーバが、前記基準速度と前記携帯端末の現在の移動速度とが比較された結果、前記携帯端末の現在の移動速度が、前記基準速度を予め登録された速度分超えた場合、超えた速度分に予め対応付けられて登録されたアクションを実行する処理を有することを特徴とする。
【0025】
上記のように構成された本発明においては、存在位置を位置情報として所定の時間間隔で送信する携帯端末から送信された位置情報を受信する通知サーバにて、携帯端末から送信された位置情報が所定の期間蓄積され、蓄積された位置情報である蓄積位置情報に基づいて携帯端末の実活動エリアが算出され、その後、算出された実活動エリアと携帯端末の現在の存在位置とが比較され、比較された結果に基づいて予め登録されたアクションが実行される。
【0026】
このため、携帯端末を所持したユーザの日常の行動に基づいた実活動エリアが算出されることとなり、当該ユーザがその実活動エリアから離れることにより、ユーザに異常状態が発生したと判断され、予め登録されたそれに応じた通知等のアクションが実行される。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように本発明においては、存在位置を位置情報として所定の時間間隔で送信する携帯端末から送信された位置情報を受信する通知サーバが、携帯端末から送信された位置情報を所定の期間蓄積し、蓄積された位置情報である蓄積位置情報に基づいて携帯端末の実活動エリアを算出し、その後、算出された実活動エリアと携帯端末の現在の存在位置とを比較し、比較された結果に基づいて予め登録されたアクションを実行する構成としたため、手間をかけずにユーザの異常状態を自動的に通知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0029】
図1は、本発明の異常状態通知システムの実施の一形態を示す図である。
【0030】
本形態は図1に示すように、GPS衛星101と、携帯端末102と、利用者端末103−1〜103−2と、制御センタ104と、ネットワーク105とから構成されている。
【0031】
GPS衛星101は、一般的なGPSシステムで用いられる人工衛星である。携帯端末102は、GPS衛星101から送信された携帯端末102の位置情報を受信するGPS機能を有する移動体端末であって、ユーザが常に所持するものである。利用者端末103−1〜103−2は、携帯端末102を所持したユーザの家族等が、ユーザの異常状態通報を受信するためにWebブラウザが含まれている端末であり、自宅や会社等に固定されているものであっても良いし、携帯端末102と同様に可動性のあるものであっても良い。制御センタ104は、携帯端末102の位置情報と予め登録されたアクション情報とに基づいて、携帯端末102または利用者端末103−1〜103−2に対してアクションを実行する。ネットワーク105は、携帯端末102と利用者端末103−1〜103−2と制御センタ104とを接続する。
【0032】
さらに、制御センタ104は、Webサーバ141と、制御サーバ142と、位置情報データベース143と、登録情報データベース144とから構成されている。Webサーバ141は、携帯端末102または利用者端末103−1〜103−2にてユーザの登録を行うための画面や携帯端末102または利用者端末103−1〜103−2に対するアクション等の情報を送信するサーバである。制御サーバ142は、携帯端末102の位置情報に基づいて、ユーザの実活動エリアを算出し、算出された実活動エリアと予め登録されたアクション情報とに基づいて、携帯端末102または利用者端末103−1〜103−2に対してアクションを実行する通知サーバである。位置情報データベース143は、携帯端末102の位置情報を格納する第1のデータベースである。登録情報データベース144は、予め登録されたアクション情報と制御サーバ142によって算出された実活動エリアとを対応付けて格納する第2のデータベースである。
【0033】
以下に、図1に示した異常状態通知システムにおける異常状態通知方法について説明する。
【0034】
図2は、図1に示した異常状態通知システムにおける異常状態通知方法を説明するためのフローチャートである。
【0035】
まずは、ユーザ情報が登録される(ステップS1)。続いて、アクション情報が登録される(ステップS2)。これらの登録は、携帯端末102を所持するユーザの登録、及びユーザに異常状態が発生した場合のアクション情報の登録であり、携帯端末102を用いて登録が行われるものであっても良いし、利用者端末103−1〜103−2を用いて登録が行われるものであっても良い。ここでは、利用者端末103−1を用いて登録が行われる場合を例に挙げて説明する。
【0036】
本システムを利用する利用者である携帯端末102を所持したユーザの家族等が、利用者端末103−1からネットワーク105を介して制御センタ104に接続すると、Webサーバ141から登録用の登録フォームが利用者端末103−1へ送信される。送信された登録フォームは、利用者端末103−1にてWebブラウザを用いて表示される。
【0037】
図3は、利用者端末103−1に表示される登録フォームの一例を示す図である。
【0038】
図3に示した登録フォームの例にて、1つ目の項目として、ユーザ情報が登録される。このユーザ情報には、ユーザを識別するためのIDと、異常状態が発生した場合にその旨を通知する通知先であるメールアドレスと、同様に異常状態が発生した場合にその旨を通知する通知先の電話番号である緊急連絡先とが含まれている。なお、IDは、携帯端末102の電話番号であっても良いし、携帯端末102を識別できる固有の情報であれば良い。また、メールアドレスは、利用者端末103−1のメールアドレスが好ましい。
【0039】
2つ目の項目として、アクション情報が登録される。このアクション情報には、制御サーバ142によって算出された実活動エリアからユーザがどの程度外れた場合にどのようなアクションを実行するかが3段階のレベルで登録される。図3に示した例では、緊急性の低い順から「Notice」と「Warning」と「Critical」との3段階のレベルに分けられている。そして、それぞれのレベルにおいて、実活動エリアからユーザがどの程度外れた場合に通知を行うかが登録され、その通知方法が「メール送信」と「アラーム音発生」と「緊急連絡先への通報」と「1分毎の移動軌跡の蓄積」と「音声の蓄積」とから選択される。
【0040】
「メール送信」は、ユーザ情報として登録されたメールアドレスへ異常状態が発生した旨を示すメールが制御サーバ142から送信されるものである。「アラーム音発生」は、制御サーバ104から携帯端末102へアラーム音発生命令が発行されるものである。「緊急連絡先への通報」は、ユーザ情報として登録された緊急連絡先に対して異常状態が発生した旨が制御サーバ104から通報されるものである。これは、自動音声によるものであっても良い。「1分毎の移動軌跡の蓄積」は、1分毎に現在の携帯端末102の位置が位置情報データベース143に格納されるものである。ここで、位置が格納される時間間隔を1分としたが、自由に変更できるものであっても良い。「音声の蓄積」は、異常状態が発生したと判断された場合、制御サーバ104によって携帯端末102への回線接続が要求され、回線に接続された携帯端末102によって集積された音声情報が制御サーバ104にて格納されるものである。なお、これらを複数選択しても良い。「1分毎の移動軌跡の蓄積」と、「音声の蓄積」とを選択することによって、追跡情報を警察等に提供することができる。
【0041】
ユーザ情報の登録、及びアクション情報の登録が完了すると、ユーザの位置情報が格納される(ステップS3)。ここでは、予め設定された期間、ユーザが所持する携帯端末102の位置情報が位置情報データベース143に順次蓄積される形で格納される。
【0042】
図4は、図1に示した位置情報データベース143に格納された位置情報の一構成例を示す図である。ここでは、ユーザの活動エリアが曜日毎に算出されるために、位置情報についても曜日毎に格納される場合を例に挙げる。
【0043】
図4に示した例では、携帯端末102を所持したユーザの利用者情報と、対象の曜日と、蓄積位置情報とが対応付けられて格納されている。利用者情報は、ユーザ登録時に登録を行ったIDである。ここでは、「12345678」とする。蓄積位置情報は、予め設定された時間間隔(例えば、5分間隔)で、携帯端末102の位置情報が制御センタ104へ送信され、携帯端末102から送信された位置情報が制御センタ104の制御サーバ142にて受信され、受信された位置情報が予め設定された期間(例えば、4週間)、制御サーバ142によって曜日毎に蓄積された情報である。この蓄積位置情報は、説明の便宜上、仮に、月曜日及び水曜日は「a」、また、火曜日、木曜日及び金曜日は「b」、また、土曜日は「c」、また、日曜日は「d」と記載している。これらの蓄積位置情報について図面を参照して説明する。
【0044】
図5は、図4に示した蓄積位置情報のうち、蓄積位置情報「a」について説明するための図である。
【0045】
図4に示した蓄積位置情報は、予め設定された時間間隔で位置情報データベース143に格納された携帯端末102の位置情報が黒丸印で示されている。そして、予め設定された期間、黒丸印が格納されると、図5に示すように複数のこの黒丸印が集計されて蓄積位置情報「a」となって利用者情報と曜日とに対応付けられて位置情報データベース143に格納される。図5からわかるように、蓄積位置情報が「a」である月曜日及び水曜日に、携帯端末102を所持したユーザが行動する範囲は、自宅−学校−公園である。
【0046】
また、図6は、図4に示した蓄積位置情報のうち、蓄積位置情報「b」について説明するための図である。
【0047】
図5にて蓄積位置情報「a」について説明したものと同様に、予め設定された時間間隔で位置情報データベース143に格納された携帯端末102の位置を示す黒丸印が、予め設定された期間格納されると、図6に示すように複数のこの黒丸印が集計されて蓄積位置情報「b」となって利用者情報と曜日とに対応付けられて位置情報データベース143に格納される。図6からわかるように、蓄積位置情報が「b」である火曜日、木曜日及び金曜日に、携帯端末102を所持したユーザが行動する範囲は、自宅−学校−塾である。
【0048】
また、図7は、図4に示した蓄積位置情報のうち、蓄積位置情報「c」について説明するための図である。
【0049】
図5にて蓄積位置情報「a」について説明したものと同様に、予め設定された時間間隔で位置情報データベース143に格納された携帯端末102の位置を示す黒丸印が、予め設定された期間格納されると、図7に示すように複数のこの黒丸印が集計されて蓄積位置情報「c」となって利用者情報と曜日とに対応付けられて位置情報データベース143に格納される。図7からわかるように、蓄積位置情報が「c」である土曜日に、携帯端末102を所持したユーザが行動する範囲は、自宅−塾−公園である。
【0050】
また、図8は、図4に示した蓄積位置情報のうち、蓄積位置情報「d」について説明するための図である。
【0051】
図5にて蓄積位置情報「a」について説明したものと同様に、予め設定された時間間隔で位置情報データベース143に格納された携帯端末102の位置を示す黒丸印が、予め設定された期間格納されると、図8に示すように複数のこの黒丸印が集計されて蓄積位置情報「d」となって利用者情報と曜日とに対応付けられて位置情報データベース143に格納される。図8からわかるように、蓄積位置情報が「d」である日曜日に、携帯端末102を所持したユーザが行動する範囲は、自宅−商店街−公園である。
【0052】
ここで、位置情報データベース143に格納される蓄積位置情報「a」〜「d」のデータ形式については、携帯端末102の存在していた位置、つまりユーザの行動位置が認識できるものであれば良く、ここでは特に規定しない。
【0053】
その後、位置情報データベース143に格納された蓄積位置情報「a」〜「d」に基づいて、携帯端末102を所持したユーザの実活動エリアが制御サーバ142によって算出される(ステップS4)。
【0054】
図9は、位置情報データベース143に格納された蓄積位置情報「a」に基づいて算出された携帯端末102を所持したユーザの実活動エリアを示す図である。
【0055】
図9に示すように、図5に示した蓄積位置情報「a」を示す複数の黒丸印に基づいて太線で囲まれた実活動エリアが算出される。ここでは、図5に示した黒丸印が付けられている道路及び建物が実活動エリアとして算出されている。建物(ここでは、自宅及び学校)及び敷地(ここでは、公園)については、図5にて黒丸印が付けられていない位置についても、同じ建物内または敷地内であれば実活動エリアとして算出されている。そして、算出された実活動エリアが、実活動エリア「A」として登録情報データベース144に格納される。
【0056】
また、図10は、位置情報データベース143に格納された蓄積位置情報「b」に基づいて算出された携帯端末102を所持したユーザの実活動エリアを示す図である。
【0057】
図10に示すように、図6に示した蓄積位置情報「b」を示す複数の黒丸印に基づいて太線で囲まれた実活動エリアが算出される。ここでは、図6に示した黒丸印が付けられている道路及び建物が実活動エリアとして算出されている。建物(ここでは、自宅、学校及び塾)については、図6にて黒丸印が付けられていない位置についても、同じ建物内であれば実活動エリアとして算出されている。そして、算出された実活動エリアが、実活動エリア「B」として登録情報データベース144に格納される。
【0058】
また、図11は、位置情報データベース143に格納された蓄積位置情報「c」に基づいて算出された携帯端末102を所持したユーザの実活動エリアを示す図である。
【0059】
図11に示すように、図7に示した蓄積位置情報「c」を示す複数の黒丸印に基づいて太線で囲まれた実活動エリアが算出される。ここでは、図7に示した黒丸印が付けられている道路及び建物を実活動エリアとして算出されている。建物(ここでは、自宅及び塾)及び敷地(ここでは、公園)については、図7にて黒丸印が付けられていない位置についても、同じ建物内または敷地内であれば実活動エリアとして算出されている。そして、算出された実活動エリアが、実活動エリア「C」として登録情報データベース144に格納される。
【0060】
また、図12は、位置情報データベース143に格納された蓄積位置情報「d」に基づいて算出された携帯端末102を所持したユーザの実活動エリアを示す図である。
【0061】
図12に示すように、図8に示した蓄積位置情報「d」を示す複数の黒丸印に基づいて太線で囲まれた実活動エリアが算出される。ここでは、図8に示した黒丸印が付けられている道路及び建物を実活動エリアとして算出されている。建物(ここでは、自宅及び商店街)及び敷地(ここでは、公園)については、図8にて黒丸印が付けられていない位置についても、同じ建物内または敷地内であれば実活動エリアとして算出されている。そして、算出された実活動エリアが、実活動エリア「D」として登録情報データベース144に格納される。
【0062】
ここで、登録情報データベース144に格納される実活動エリア「A」〜「D」のデータ形式については、携帯端末102の活動していた位置、つまりユーザの実活動位置が認識できるものであれば良く、ここでは特に規定しない。
【0063】
またこのとき、この実活動エリアは、ステップS1にて登録されたユーザ情報と、ステップS2にて登録されたアクション情報とに対応付けられて格納される。
【0064】
図13は、登録情報データベース144に格納された情報の一構成例を示す図である。
【0065】
図13に示した例では、登録情報データベース144に、利用者情報であるIDと、曜日と、実活動エリアと、アクション情報とが対応付けられて格納されている。利用者情報であるIDは、ステップS1にて登録されたIDである。また、アクション情報は、ステップS2にて登録されたアクション情報である。
【0066】
ここでは、携帯端末102を所持したユーザが実活動エリアから0.5km以上外れた場合、ユーザ情報として登録されたメールアドレスへメールが送信される設定となる。送信されるメールの内容は、送信先のメールアドレスを持つ利用者端末103−1を有する家族等に、ユーザに異常が発生した旨が認識できるものであれば良く、ここでは詳細は特に規定しない。
【0067】
また、携帯端末102を所持したユーザが実活動エリアから2km以上外れた場合、制御サーバ142から携帯端末102へアラーム音発生命令が発行される設定となる。
【0068】
また、携帯端末102を所持したユーザが実活動エリアから5km以上外れた場合、ユーザ情報として登録された緊急連絡先に対して異常状態が発生した旨が制御サーバ142から通報される。通報される内容は、連絡先の家族等に、ユーザに異常が発生した旨が認識できるものであれば良く、ここでは詳細は特に規定しない。
【0069】
以上、説明した設定が完了すると、運用状態に入る。
【0070】
携帯端末102を所持したユーザの現在の位置と登録情報データベース144に格納されている実活動エリアとアクション情報とが比較される。つまり、携帯端末102を所持したユーザの現在の位置が、登録情報データベース144に格納されている実活動エリアの範囲内かどうかが制御サーバ142にて判断される(ステップS5)。
【0071】
携帯端末102を所持したユーザの現在の位置が、登録情報データベース144に格納されている実活動エリアの範囲内であると判断された場合、一定時間おきにステップS5の処理を繰り返す。この一定時間は、予め設定されたものであり、適当な値に自由に変更することが可能である。
【0072】
一方、携帯端末102を所持したユーザの現在の位置が、登録情報データベース144に格納されている実活動エリアの範囲内ではないと判断された場合、登録情報データベース144に登録されたアクション情報に従ってアクションが実行される(ステップS6)。
【0073】
具体的な例を挙げて説明すると、月曜日に携帯端末102を所持したIDが「12345678」のユーザが、自宅、または公園、または学校、またはそれらへの道路に存在する場合、制御サーバ142にて、ユーザの異常状態が認識されず、携帯端末102及び利用者端末103−1には何も通知されない。また、当該ユーザが駅に存在し、図9に示した太線から駅までの距離が0.5km以上2km未満である場合、制御サーバ142にて、ユーザの異常状態が認識され、登録情報データベース144に登録されたアクション情報であるメール送信が実行される。これは、ユーザ情報として登録されたメールアドレスへメールが送信されるものである。
【0074】
なお、上述した例においては、かなり狭い領域について、実活動エリアが算出されたが、広域にて算出されるものであっても良い。例えば、市や町といった領域で実活動エリアが算出されるものであっても良い。つまり、図5〜図8に示した黒丸印から算出される実活動エリアが広い範囲に算出されるものであっても良い。算出される実活動エリアを広く設定することにより、多少の予定外の場所へ行動しても異常状態が認識されることは無い。しかしその一方、異常状態の認識精度が鈍くなってしまう。そのため、対象となる地域やユーザの年齢層等の状況に応じた範囲にて算出することが好ましい。
【0075】
また、上述した例においては、携帯端末102を所持したユーザが、制御サーバ142にて算出された実活動エリアから予め登録された距離だけ離れた場合に異常状態になったと判断され、それに応じたアクションが実行されたが、当該ユーザの移動する移動速度に応じて同様のアクションが実行されるものも考えられる。
【0076】
自宅から学校や公園への移動手段が徒歩である場合、移動速度は時速5キロ程度である。しかし、携帯端末102を所持したユーザが犯罪に巻き込まれ、自動車を用いて連れ去られた場合を考えると、移動速度が時速数十キロになるため、携帯端末102を所持したユーザの移動速度を監視することにより、異常状態かどうかが判断できることとなる。
【0077】
例えば、図3に示した登録フォームに、移動速度についての情報が登録されるものであっても良い。つまり、携帯端末102を所持したユーザの現在の移動速度が基準速度をどの程度超えた場合にどのようなアクションを実行するのかといった情報が登録されるものであっても良い。この場合、ステップS3にて格納された位置情報と共に、位置情報と時間間隔とから求められる移動速度が位置情報データベース143に格納され、格納された移動速度が予め設定された期間で平均化され、平均化された移動速度が基準速度としてアクション情報に対応付けられて制御サーバ142によって登録情報データベースに格納されるものであっても良い。そして、現在の移動速度が基準速度をどれだけ超えたかによって、それに対応付けられて登録されているメール送信やアラーム音発生等、上述した通知方法と同様の処理が行われるものであっても良い。
【0078】
上述したように、まず実活動エリアや基準速度が生成されるには、一定の期間が必要である。その期間において、携帯端末102を所持したユーザの異常状態を認識する必要がある場合は、従来の技術のように実活動エリアや基準速度を予め固定的に設定しておき、設定された実活動エリアや基準速度に基づいて、上述した処理と同様の処理を行うことが考えられる。
【0079】
また、携帯端末102の電源が故意に切断された場合、携帯端末102を所持したユーザに異常状態が発生したと判断され、登録された緊急連絡先等に通知されるものも考えられる。携帯端末102から現在の位置情報が送信されてこなくなった場合に、携帯端末102の電源が切断されたと認識できるが、携帯端末102の電池の消耗により電源切れになったことも考えられる。電池切れの場合との識別方法は、電池の残量が少なくなった場合に、その旨を通知する携帯端末を使用すれば、その通知が無く、且つ携帯端末102から現在の位置情報が送信されてこなくなった場合に、携帯端末102の電源が故意に切断されたと認識すれば良い。これは、犯罪に巻き込まれた際に加害者等により携帯端末102の電源が故意に切断された場合の対処方法として考えられるものである。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の異常状態通知システムの実施の一形態を示す図である。
【図2】図1に示した異常状態通知システムにおける異常状態通知方法を説明するためのフローチャートである。
【図3】利用者端末に表示される登録フォームの一例を示す図である。
【図4】図1に示した位置情報データベースに格納された位置情報の一構成例を示す図である。
【図5】図4に示した蓄積位置情報のうち、蓄積位置情報「a」について説明するための図である。
【図6】図4に示した蓄積位置情報のうち、蓄積位置情報「b」について説明するための図である。
【図7】図4に示した蓄積位置情報のうち、蓄積位置情報「c」について説明するための図である。
【図8】図4に示した蓄積位置情報のうち、蓄積位置情報「d」について説明するための図である。
【図9】位置情報データベースに格納された蓄積位置情報「a」に基づいて算出された携帯端末を所持したユーザの実活動エリアを示す図である。
【図10】位置情報データベースに格納された蓄積位置情報「b」に基づいて算出された携帯端末を所持したユーザの実活動エリアを示す図である。
【図11】位置情報データベースに格納された蓄積位置情報「c」に基づいて算出された携帯端末を所持したユーザの実活動エリアを示す図である。
【図12】位置情報データベースに格納された蓄積位置情報「d」に基づいて算出された携帯端末を所持したユーザの実活動エリアを示す図である。
【図13】登録情報データベースに格納された情報の一構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0081】
101 GPS衛星
102 携帯端末
103−1〜103−2 利用者端末
104 制御センタ
105 ネットワーク
141 Webサーバ
142 制御サーバ
143 位置情報データベース
144 登録情報データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
存在位置を位置情報として所定の時間間隔で送信する携帯端末と、該携帯端末から送信された位置情報を受信する通知サーバとを有してなる異常状態通知システムにおいて、
前記通知サーバは、前記携帯端末から送信された位置情報を所定の期間蓄積し、蓄積された位置情報を蓄積位置情報とし、前記蓄積位置情報に基づいて前記携帯端末の実活動エリアを算出し、その後、算出された実活動エリアと前記携帯端末の現在の存在位置とを比較し、比較された結果に基づいて予め登録されたアクションを実行することを特徴とする異常状態通知システム。
【請求項2】
請求項1に記載の異常状態通知システムにおいて、
前記通知サーバは、前記算出された実活動エリアと前記携帯端末の現在の存在位置とが比較された結果、前記携帯端末の現在の存在位置が、前記算出された実活動エリアから予め登録された距離だけ離れている場合、前記距離に予め対応付けられて登録されたアクションを実行することを特徴とする異常状態通知システム。
【請求項3】
存在位置を位置情報として所定の時間間隔で送信する携帯端末と、該携帯端末から送信された位置情報を受信する通知サーバとを有してなる異常状態通知システムにおいて、
前記通知サーバは、前記携帯端末から送信された位置情報と前記時間間隔とに基づいて前記携帯端末の移動速度を算出し、前記移動速度を所定の期間で平均化して基準速度とし、その後、前記基準速度と前記携帯端末の現在の移動速度とを比較し、比較された結果に基づいて予め登録されたアクションを実行することを特徴とする異常状態通知システム。
【請求項4】
請求項3に記載の異常状態通知システムにおいて、
前記通知サーバは、前記基準速度と前記携帯端末の現在の移動速度とが比較された結果、前記携帯端末の現在の移動速度が、前記基準速度を予め登録された速度分超えた場合、超えた速度分に予め対応付けられて登録されたアクションを実行することを特徴とする異常状態通知システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の異常状態通知システムにおいて、
前記携帯端末は、GPS機能を有し、該GPS機能を用いて当該携帯端末の存在位置を位置情報として前記通知サーバへ送信することを特徴とする異常状態通知システム。
【請求項6】
存在位置を位置情報として所定の時間間隔で送信する携帯端末から送信された位置情報を受信する通知サーバであって、
前記携帯端末から送信された位置情報を所定の期間蓄積し、蓄積された位置情報を蓄積位置情報とし、前記蓄積位置情報に基づいて前記携帯端末の実活動エリアを算出し、その後、算出された実活動エリアと前記携帯端末の現在の存在位置とを比較し、比較された結果に基づいて予め登録されたアクションを実行する通知サーバ。
【請求項7】
請求項6に記載の通知サーバにおいて、
前記算出された実活動エリアと前記携帯端末の現在の存在位置とが比較された結果、前記携帯端末の現在の存在位置が、前記算出された実活動エリアから予め登録された距離だけ離れている場合、前記距離に予め対応付けられて登録されたアクションを実行することを特徴とする通知サーバ。
【請求項8】
存在位置を位置情報として所定の時間間隔で送信する携帯端末から送信された位置情報を受信する通知サーバであって、
前記携帯端末から送信された位置情報と前記時間間隔とに基づいて前記携帯端末の移動速度を算出し、前記移動速度を所定の期間で平均化して基準速度とし、その後、前記基準速度と前記携帯端末の現在の移動速度とを比較し、比較された結果に基づいて予め登録されたアクションを実行する通知サーバ。
【請求項9】
請求項8に記載の通知サーバにおいて、
前記基準速度と前記携帯端末の現在の移動速度とが比較された結果、前記携帯端末の現在の移動速度が、前記基準速度を予め登録された速度分超えた場合、超えた速度分に予め対応付けられて登録されたアクションを実行することを特徴とする通知サーバ。
【請求項10】
存在位置を位置情報として所定の時間間隔で送信する携帯端末と、該携帯端末から送信された位置情報を受信する通知サーバとを有してなる異常状態通知システムにおける異常状態通知方法であって、
前記通知サーバが、前記携帯端末から送信された位置情報を所定の期間蓄積する処理と、
前記通知サーバが、蓄積された位置情報を蓄積位置情報とし、前記蓄積位置情報に基づいて前記携帯端末の実活動エリアを算出する処理と、
その後、前記通知サーバが、算出された実活動エリアと前記携帯端末の現在の存在位置とを比較する処理と、
前記サーバが、比較された結果に基づいて予め登録されたアクションを実行する処理とを有する異常状態通知方法。
【請求項11】
請求項10に記載の異常状態通知方法において、
前記サーバが、前記算出された実活動エリアと前記携帯端末の現在の存在位置とが比較された結果、前記携帯端末の現在の存在位置が、前記算出された実活動エリアから予め登録された距離だけ離れている場合、前記距離に予め対応付けられて登録されたアクションを実行する処理を有することを特徴とする異常状態通知方法。
【請求項12】
存在位置を位置情報として所定の時間間隔で送信する携帯端末と、該携帯端末から送信された位置情報を受信する通知サーバとを有してなる異常状態通知システムにおける異常状態通知方法であって、
前記通知サーバが、前記携帯端末から送信された位置情報と前記時間間隔とに基づいて前記携帯端末の移動速度を算出する処理と、
前記通知サーバが、前記移動速度を所定の期間で平均化して基準速度とする処理と、
その後、前記通知サーバが、前記基準速度と前記携帯端末の現在の移動速度とを比較する処理と、
比較された結果に基づいて予め登録されたアクションを実行する処理とを有する異常状態通知方法。
【請求項13】
請求項12に記載の異常状態通知方法において、
前記通知サーバが、前記基準速度と前記携帯端末の現在の移動速度とが比較された結果、前記携帯端末の現在の移動速度が、前記基準速度を予め登録された速度分超えた場合、超えた速度分に予め対応付けられて登録されたアクションを実行する処理を有することを特徴とする異常状態通知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−249665(P2007−249665A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−73067(P2006−73067)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】