説明

疼痛の治療、予防、管理および/または改善のためのJNK阻害剤の使用方法およびそれを含む組成物

この発明は疼痛の治療、予防、管理および/または改善方法であって、それを必要とする患者に有効量のJNK阻害剤を投与することを含む方法に関する。特定の実施形態はJNK阻害剤を単独で、または第2の有効薬剤および/または手術もしくは物理療法と組み合わせて投与することを含む。また、この発明の方法で用いるのに好適な医薬組成物、単位投与剤型、およびキットも開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2002年10月24日に出願された米国仮特許出願第60/421,104号の利益を主張するものであり、その内容は参照により本明細書にそのまま組み入れられる。
【0002】
1. 技術分野
本発明は、JNK阻害剤を単独で、または既知の治療法または療法と組み合わせて投与することを含む、疼痛および関連の症候群を治療、予防、改善および/または管理する方法に関する。本発明はまた、JNK阻害剤を含んでなる医薬阻害剤および投与計画に関する。
【背景技術】
【0003】
2. 発明の背景
疼痛は多くの異なる疾患の主要な症状であり、実際の、または潜在的な組織損傷に関連する、またはこのような傷害に関して陳述される不快な感覚的および感情的な体験と定義される。Classification of Chronic Pain, International Association for the Study of Pain (IASP) Task Force on Taxonomy, Merskey H, Bogduk N編, IASP Press: Seattle, 209-214, 1994。疼痛の知覚は極めて主観的であるので、これは効果的な診断および処置が最も難しい病状の1つである。疼痛は患者の仕事、社会生活および家庭生活に支障をきたす著しい機能力の障害をもたらす。成人人口の5%前後がかなりの能力障害を引き起こすに足る激しい疼痛に苦しんでいると見積もられる。Chojnowska E, Stannard C. Epidemiology of Chronic Pain, Chapter 2, 15-26頁;T. S. Jensen, P. R. Wilson, A. S. C. Rice 編, Clinical Pain Management Chronic Pain, Arnold, London, 2003。
【0004】
ほとんどの疼痛状態で、末梢からの神経的なインプットの増強がみられる。知覚神経のインパルスは一次求心ニューロンの軸索を経て脊髄の背角へ伝わり、それらは、シナプスで興奮性アミノ酸およびニューロペプチドを放出することで神経インパルスを背角ニューロンへ伝達する。背角突起ニューロンは末梢刺激に関する情報を処理し、それを上行脊髄経路を経て脳に送る。Mannion, R. J. およびWoolf, C. J., Clin. J. of Pain 16 :S144-S156 (2000)。
【0005】
背角突起ニューロンの発火はそれらが受ける興奮性のインプットによるだけでなく、脊髄およびより上位の神経中枢からの阻害インパルスによっても決定される。いくつかの脳領域が下行性の阻害経路に寄与している。これらの経路由来の神経繊維は、背角の他のニューロンまたは一次求心ニューロンとともにシナプスにおいて内因性オピオイド、γ-アミノ酪酸(GABA)、およびセロトニンなどの阻害物質を放出し、侵害性伝達を阻害する。末梢神経の損傷は、種々の機構を介して背角ニューロンの阻害制御の量をダウンレギュレートすることにより背角興奮性に変化をもたらし得る。
【0006】
C-侵害受容器の活性化または神経傷害によって背角ニューロンが繰り返し、または長く刺激されると、背角ニューロン興奮性および応答性の増強の延長が起こり、これが刺激よりも何時間も長く続くことがある。
【0007】
背角ニューロンの増感はそれらの興奮性を高めることから、通常のインプットにも強く、そして、長く応答する。現在、このような一次求心C-繊維の活性の持続は逆転が難しい背角における形態および生化学的双方の変化をもたらすことが知られている。背角におけるいくつかの変化は中枢性増感:(i)背角受容電場サイズの拡大(これにより脊髄ニューロンが、そのニューロンが通常働いている領域の外の有害刺激に応答するようになる);(ii)与えられた有害刺激に対する応答の増大および持続時間の延長(痛覚過敏);(iii) 例えば物理的刺激受容性一次求心Aβ-繊維からのものなど、通常は無害の刺激に対する疼痛性応答(異痛);および(iv)非損傷組織への疼痛の拡大に伴って起こることが分かっている。Koltzenburg, M. Clin. J. of Pain 16 :S131-S138 (2000); Mannio n, R. J.およびWoolf, C. J., Clin.J. of Pain 16:S144-S156 (2000)。
【0008】
中枢性増感は1つには、損傷後に生じる持続的な疼痛および痛覚過敏を説明でき、治癒段階において損傷の保護を促すことによる適応目的を果たし得るものである。中枢性増感は損傷が治癒した後も長く持続し、それにより慢性疼痛を助長することがある。痛覚過敏は慢性疼痛において重要な役割を果たし、それがなぜしばしば空間的かつ一時的に誘発刺激の限度を超えるかを説明する助けとなり、なぜ確立された疼痛が急性疼痛よりも抑えるのが困難なのかを説明する助けになり得る。Koltzenburg, M. Clin. J. of Pain 16 :S131-S138 (2000)。
【0009】
よって、疼痛の治療、予防、改善または管理のための安全かつ効果的な方法が必要とされる。
【0010】
2.1 疼痛の種類
2.1.1 侵害性疼痛
侵害性疼痛は、組織損傷、疾病または炎症後に炎症性化学メディエーターなどの有害刺激物が放出されるときに誘発され、損傷部位における通常機能している感覚受容器(侵害受容器)によって検出される。Koltzenburg, M. Clin. J. of Pain 16:S131-S138 (2000)。侵害性疼痛の臨床例としては、限定されるものではないが、化学火傷または熱傷、皮膚の切り傷もしくは挫傷、骨関節炎、慢性関節リウマチ、腱炎、および筋膜疼痛症に関連する疼痛が挙げられる。
【0011】
侵害受容器(感覚受容器)は組織の末梢に分布している。それらは、もし長引けば組織を損傷する有害刺激(例えば、熱的、機械的、または化学的)に対し感受性である。このような刺激による末梢の侵害受容器の活性化は、伝達の遅い無髄c-繊維と伝達のより速い、薄い髄を有するAδ繊維という異なる2種類の一次求心ニューロンにおける放電を促す。C-繊維は熱痛と関連があり、Aδ繊維はえぐられるような疼痛に関連がある。Koltzenburg, M. Clin. J. of Pain 16:S 131-S138 (2000); Besson, J. M. Lancet 353:1610- 15 (1999); Johnson, B. W. Pain Mechanisms: Anatomy, Physiology and Neurochemistry, Chapter 11 in Practical Management of Pain P. Prithvi Rajh.編(第3版, Mosby,Inc.. St Louis, 2000)。ほとんどの侵害性疼痛はAδ型とc型双方の一次求心神経線維からのシグナル伝達を伴う。
【0012】
末梢侵害受容器はプロスタグランジン、サブスタンスP、ブラジキニン、ヒスタミン、およびセロトニンなどの炎症性メディエーター、ならびに強い、反復性の、または長期間の有害刺激によって増感される。さらに、サイトカインおよび成長因子(例えば、神経成長因子)はニューロンの表現型および機能に影響を及ぼす。Besson, J. M. Lancet 353:1610-15 (1999)。
【0013】
増感すると、侵害受容器は活性化閾値の低下および発火率の上昇を示すが、これはそれらがより容易かつ頻繁に神経インパルスを生じることを意味する。侵害受容器の末梢増感は脊髄背角中枢性増感ならびに痛覚過敏症や異痛症などの臨床的疼痛状態に重要な役割を果たす。
【0014】
炎症もまた末梢侵害受容器に対する別の重要な作用を有するものと思われる。いくつかのC-侵害受容器はいずれのレベルの機械的刺激または熱刺激に対しても通常は応答せず、炎症が存在する場合、または組織損傷に応答してのみ活性化される。このような侵害受容器はいわゆる「サイレント」侵害受容器であり、内臓および皮膚組織で確認されている。Besson, J. M. Lancet 353:1610-15 (1999); Koltzenburg, M. Clin. J: of Pain 16:S131-S138 (2000)。
【0015】
有害刺激が異なる組織間でどのように処理されるかという違いは侵害性疼痛の種々の特徴に寄与している。例えば、皮膚疼痛は十分限局位置特定でき、鋭い、刺すような、または灼け付くような感覚と表される場合が多く、一方、深い体性疼痛は拡散している、鈍痛、またはうずくような感覚と表されることがある。一般に、中枢神経系と全身の体験が疼痛の知覚に影響を及ぼすことから、疼痛の知覚と刺激の強さの間には種々の関係がある。
【0016】
2.1.2 神経因性疼痛
神経因性疼痛は神経系の損傷または傷害を反映するものであり、IASPによれば「一次損傷部または神経系の不全によって誘発または発生する疼痛」と定義されている。Classification of Chronic Pain, International Association for the Study of Pain (IASP) Task Force on Taxonomy, Merskey H, Bogduk N編, IASP Press: Seattle, 209-214, 1994。末梢神経系の損傷または不全によって生じる神経因性疼痛もある。損傷の結果として、鍵となるトランスデューサ分子、伝達物質およびイオンチャネルの発現に変化が生じ、末梢ニューロンの興奮性に変化をきたす。Johnson, B. W. Pain Mechanisms: Anatomy, Physiology and Neurochemistly, Chapter 11 in Practical Management of Pain P. Prithvi Raj.編(第3版, Mosby, Inc., St Louis, 2000)。神経因性疼痛の臨床例としては、限定されるものではないが、糖尿病性神経障害、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、および卒中後疼痛に関連する疼痛が挙げられる。
【0017】
神経因性疼痛は一般に、継続的または偶発的であり得、焼けるような、刺すような、突き刺されるような、撃たれたような、電気ショックのような、突き刺すような、しぼられるような、深くうずくような、または痙攣性の、といった多くの表し方がされるいくつかの異なる特徴に関連している。矛盾することであるが、熱刺激または機械的刺激の知覚低下を受けている神経因性疼痛患者では、部分的または完全な感覚欠損が存在する場合も多い。また、異常なまたはよく知られていない不快感(感覚不全(dysaesthesias))も存在し、苦痛に関与している。他の特徴としては、そうでなければ無害な刺激が疼痛をもたらし得ること(異痛)、または閾値を超える刺激に応答した疼痛の知覚が不釣り合いなこと(痛覚過敏症)がある。Johnson, B. W. Pain Mechanisms: Anatomy, Physiology and Neurochemistry, Chapter 11 in Practical Management of Pain P. Prithvi Raj.編(第3版, Mosby, Inc., St Louis, 2000(; Attal, N. Clin. J. of Pain 16:S118-S130 (2000)。
【0018】
複合性局所疼痛症候群(CRPS)は神経損傷が有る場合(II型CRPS)または無い場合(I型CRPS)に極値に通常影響を及ぼす神経因性疼痛の一種である。I型CRPSは反射性交感神経ジストロフィー(RSD)として知られる症状を包含し、II型CRPSはカウザルギーとして知られる症状を包含し、両タイプとも交感神経持続性疼痛症候群と一致するサブセットを有する。1993年に、IASPの専門コンセンサス会議はこの疾病の診断および用語化に取り組み、この2つのサブタイプを有するCRPSを登録した。その後の研究および会議でこれらの定義はさらに正確になり、現在の指針では高感度(0.70)となり、極めて高い感度(0.95)を示す場合もある。Bruehlら. Pain 81:147-154 (1999)。しかしながら、何がこの疾病を引き起こしているか、またはそれを処置する最もよい方法はまだ全般的合致に至っていない。Paice, E., British Medical Journal 310:1645-1648 (1995)。
【0019】
CRPSは複数の神経組織、骨組織および軟組織に影響を及ぼす多症状かつ多系症候群であり、1以上の極値を含み、激痛を特徴とする。これが最初に記載されたのは130年前であるが、CRPSについては依然としてよく理解されてない。例えば、末梢および中枢の体性感覚、自立神経、および運動処理の変化、ならびに交感神経と求心系の病理的な相互作用が基礎にある機構であると提案されている。Wasnerらは回復する初期段階のCRPSにおいて皮膚交感神経性の血管収縮活性の完全な機能欠損を実証している。Wasner G., Heckmann K., Maier C., Arch Neurol 56(5):613-20 (1999)。Kurversらは、神経原性の炎症機構によってそれ自体顕在化すると思われる、ステージIのCRPSにおける微細循環の異常に対する脊髄成分を示唆している。Kurvers H. A., Jacobs M. J., Beuk R. J., Pain 60(3):333-40 (1995)。血管の異常の原因は分かっておらず、交感神経神経系(SNS)がこれらの変化の発生に関連するかどうかという疑問をめぐる議論がなおある。
【0020】
米国においてCRPSの実際の罹患率は未知であり、この疾病の疫学に関しては限られた情報しか得られない。両性とも罹患するが、この症候群の罹患率は女性で高い。この症候群は小児を含むいずれの年齢の群でも起こり得る。Schwartzman R. J., Curr Opin Neurol Neurosurg 6(4):531-6 (1993)。CRPSに至る種々の原因としては、限定されるものではないが、頭部損傷、卒中、ポリオ、腫瘍、外傷、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、心筋梗塞、リウマチ性多発性筋肉痛、手術法、腕神経叢障害、ギプス/副木固定(cast/splint immobilization)、軽度の四肢外傷および悪性腫瘍が挙げられる。
【0021】
CRPSの症状としては、限定されるものではないが、疼痛、自立神経機能異常、浮腫、運動障害、ジストロフィー、および萎縮が挙げられる。Schwartzman R. J., N Engl J Med 343(9):654-6 (2000)。疼痛は極めて厳しく、ゆるまることなく、しばしば焼け付くようだと言われる。全CRPS患者のうち90%が自発的な焼け付くような疼痛、軽く触れただけで痛いというような異痛を訴える。臨床家がこの症候群に取り組む上で極めて難しいのは、身体的な所見に基づいて予測されるものよりもずっと疼痛が重篤な場合があるという事実である(前記)。また、疼痛には腫脹や関節圧痛、発汗増加が伴い、温度や軽い接触にも過敏となったり、皮膚変色を伴ったりする。実際、CRPSの診断は疼痛の訴えだけでは行えない。患者は異常な徴候および症状、ならびに発汗過多、浮腫または皮膚の栄養変化を伴う血管不全を持つはずである。
【0022】
上述のように、IASPは2つのタイプ、すなわちI型CRPS(RSDとも呼ぶ)およびII型CRPS(カウザルギーとも呼ばれる)に分類されるCRPSを含む。これらの2タイプは主として、促進的な事象が限定可能な神経損傷を含んでいるかどうかに基づいて識別される。I型CRPSは神経損傷以外の初期有害事象の後に起こる。II型CRPSは神経損傷後に起こる。CRPSはさらにその発症および顕在化において種々のステージに分類される。しかしながら、この疾病は種々の患者間で予測しにくいので、ステージ分類は常に明瞭であるわけではないし、処置の助けとなるとも限らない。Schwartzman R. J., N Engl J Med 343(9):654 (2000)。
【0023】
ステージI、すなわち「初期RSD」では、疼痛はその損傷から予測される以上に重篤であり、熱痛または鈍痛を有する。これは四肢、物理的接触、またはいらいら感に依存して増すことがある。罹患領域は通常、浮腫性となり、高体温または低体温であり、爪や体毛の成長亢進が見られる。ラジオグラフは初期の骨変化を示すことがある(前記)。
【0024】
ステージII、すなわち、「確立されたRSD」では、「浮腫組織」が硬化する。皮膚は通常冷たくなり、発汗過多となり、網状皮斑またはチアノーゼを伴う。体毛は喪失することがあり、爪は隆起したり、割れたり、脆くなったりする。手の乾燥が顕著になり、皮膚および皮下組織の萎縮が著しくなる。依然として疼痛が主要な特徴である。それは通常は一定であるが、罹患領域に対する刺激によって高まる。この段階でこわばりが起こる。ラジオグラフは広汎性の骨粗鬆症を示す場合がある(前記)。
【0025】
ステージIII、すなわち「後期RSD」では、疼痛は近傍に拡散する。強度は小さくなるが、依然として疼痛が主要な特徴である。自発的に発赤が起こることがある。不可逆的な組織損傷が起こり、一般に皮膚は薄く、てかりがある。浮腫は見られないが、拘縮が起こることがある。X線フィルムは通常、著しい骨の無機質脱落を示す(前記)。
【0026】
全てのステージのCRPSで、患者は激しい慢性疼痛に耐え、ほとんどの患者は睡眠不足となる。CRPSは相当の罹患率を有することから、この疾病の認知度を高めることが重要である。幾人かの患者では、早期で効果的な処置がCRPSの作用を緩和し得る。William D. Dzwierzynskiら, Hand Clinics Vol 10(1):29-44 (1994)。
【0027】
2.1.3 他のタイプの疼痛
内臓痛は従来、体性痛の一種と見られてきたが、神経学的機構は異なる可能性がある。内臓痛はまた、サイレント型侵害受容器、すなわち炎症の存在下でのみ活性化される内臓求心繊維を含むと思われる。Cervero, F.およびLaird J. M. A., Lancet 353:2145-48 (1999)。
【0028】
ある特定の臨床特性が内臓痛に特徴的である:(i)全ての内臓から誘発されるのではなく、常に内臓損傷に関連しているわけでもない;(ii) 中枢神経系(CNS)の内臓侵害経路の機構により、特に分離した内臓感覚経路がなく、内臓求心神経線維の割合が少ないため広汎性であり、特定が難しい;(iii)時折、他の非内臓構造についても言及され;そして、(iv)悪心など、運動および自立神経反射に関連する。Johnson, B. W. Pain Mechanisms: Anatomy, Physiology and Neurochemistry, Chapter 11 in Practical Management of Pain 編P. Prithvi Raj. (第3版, Mosby, Inc., St Louis, 2000); Cervero, F.およびLaird J. M. A., Lancet 353:2145-48 (1999)。
【0029】
頭痛は一次および二次頭痛疾患として分類できる。2つの最も一般的な一次疾患である片頭痛と緊張型頭痛の病態生理学は複雑であり、完全な理解には至っていない。最近の研究では、末梢の侵害受容器の活性化および増感によりCNSに対する侵害性のインプットが高まることがあり、侵害性インパルスのせき止めが、CNSの二次的および三次的ニューロンの活性化および増感をもたらす。よって、中枢性増感が片頭痛および緊張型頭痛の誘導および維持に役割を果たす可能性がある。Johnson, B. W. Pain Mechanisms: Anatomy, Physiology and Neurochemistry, Chapter 11 in Practical Management of Pain P. Prithvi Raj.編 (第3版, Mosby,Inc., St Louis, 2000)。
【0030】
手術中に起こる組織外傷によるものなどの術後痛は侵害性インプットの連発を生じる。手術後、損傷部位ではサイトカイン、ニューロペプチドおよびその他の炎症性メディエーターを伴う炎症応答が起こる。これらの化学物質は増感および外部刺激に対する応答性の増強を担い、その結果、例えば、閾値の低下および閾値を超える刺激に対する応答の増強が起こる。それとともに、これらのプロセスは末梢および中枢増感をもたらす。Johnson, B. W. Pain Mechanisms: Anatomy, Physiologiy and Neurochemistry, Chapter 11 in Practical Management of Pain P. Prithvi編(Raj.第3版, Mosby,Inc., St Louis, 2000)。
【0031】
混合痛は侵害性成分と神経因性成分を有する慢性疼痛である。例えば、ある特定の疼痛はある疼痛経路によって誘発され、異なる疼痛経路によって持続され得る。混合痛状態の例としては、限定されるものではないが、癌性疼痛および腰痛が挙げられる。
【0032】
2.2 現行の疼痛処置
CRPS関連疼痛、特に慢性疼痛に対する現行の処置は一般に疼痛管理と広範な身体療法を含み、これらは浮腫や関節拘縮を防ぐことができ、また疼痛を最小にすることができる。しばしば、激しい疼痛を乗り越えさせるために投薬および神経ブロックが用いられる。局所的神経ブロックは、局所麻酔薬、ブレチリウム、ステロイド、カルシトニン、レゼルピン、およびグアネチジンをはじめとする種々の薬剤によるBierブロックを用いて行う。Perez, R. S.ら, J. Pain Symptom Manage 21(6):511-26 (2001)。特定の選択的交感神経神経節神経ブロックが診断および治療の両目的で行われる。選択的神経ブロックの原理は交感神経系を妨害し、知覚神経の活性化を低下させることである。神経ブロック処置で十分に制御できない患者は交感神経依存性の疼痛を有する可能性がある。ひと度、神経ブロックに不応となれば、疼痛は通常は終生続き、衰弱するほど重篤となることもある(前記)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
一般に慢性疼痛の処置の際に現在用いられている投薬としては、カルシウムチャネル遮断薬、筋弛緩薬、非麻薬性鎮痛薬、オピオイド系鎮痛薬、および全身性コルチコステロイドが挙げられる。しかしながら、患者が完全な疼痛の軽減を得られるのはまれである。さらに、疼痛および自立神経機能異常の機構は十分理解されておらず、処置は完全に経験に基づくものである。よって、依然として疼痛を処置および管理する安全かつ効果的な方法の必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0034】
3. 発明の概要
本発明は、それを必要とする患者に治療上または予防上有効量のJNK阻害剤を投与することを含む、疼痛を治療または予防する方法に関する。本発明はまた、そのような管理を必要とする患者に治療上または予防上有効量のJNK阻害剤を投与することを含む、疼痛の管理する(例えば、寛解時間を長くする)方法に関する。本発明はさらに、それを必要とする患者に治療上または予防上有効量のJNK阻害剤を投与することを含む、疼痛を改善する方法に関する。
【0035】
本発明の別の実施形態は、限定されるものではないが、抗鬱薬、抗高血圧薬、抗不安薬、カルシウムチャネル遮断薬、筋弛緩薬、非麻薬性鎮痛薬、抗炎症薬、cox-2阻害剤、α-アドレナリン作動性受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、ケタミン、麻酔薬、免疫調節薬、免疫抑制薬、コルチコステロイド、高圧酸素、抗痙攣薬、抗痙攣薬、IMiD(登録商標)、SelCID(登録商標)、またはその組合せなど、疼痛の治療、予防、管理および/または改善に有用な別の治療薬を伴う1以上のJNK阻害剤の使用を包含する。
【0036】
本発明のさらに別の実施形態は、限定されるものではないが、外科、介入手法(例えば、神経ブロック)、身体療法、および心理療法をはじめ、疼痛の治療、予防、管理および/または改善に用いる従来の療法と組み合わせた1以上のJKN阻害剤の使用を包含する。
【0037】
本発明はさらに、治療上または予防上有効量のJNK阻害剤を含んでなる、疼痛の治療、予防、管理および/または改善に用いるのに好適な医薬阻害剤、単位投与剤型、およびキットを包含する。
【0038】
3.1 定義
本明細書において「患者」とは、動物(例えば、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギまたはモルモット)、好ましくは非霊長類および霊長類(例えば、サルおよびヒト)などの哺乳類、最も好ましくはヒトを意味する。
【0039】
「アルキル」とは、1〜10個の炭素原子を有する飽和直鎖または分枝非環式炭化水素を意味する。「低級アルキル」とは、1〜4個の炭素原子を有する上記のようなアルキルを意味する。代表的な飽和直鎖アルキルとしては、-メチル、-エチル、-n-プロピル、-n-ブチル、-n-ペンチル、-n-ヘキシル、-n-ヘプチル、-n-オクチル、-n-ノニルおよび-n-デシルが挙げられ、一方、飽和分枝アルキルとしては、-イソプロピル、-sec-ブチル、-イソブチル、-tert-ブチル、-イソペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、2,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルペンチル、2,4-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルヘキシル、2,4-ジメチルヘキシル、2,5-ジメチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,2-ジメチルヘキシル、3,3-ジメチル(dimtheyl)ペンチル、3,3-ジメチルヘキシル、4,4-ジメチルヘキシル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、2-エチルヘキシル、3-エチルヘキシル、4-エチルヘキシル、2-メチル-2-エチルペンチル、2-メチル-3-エチルペンチル、2-メチル-4-エチルペンチル、2-メチル-2-エチルヘキシル、2-メチル-3-エチルヘキシル、2-メチル-4-エチルヘキシル、2,2-ジエチルペンチル、3,3-ジエチルヘキシル、2,2-ジエチルヘキシル、3,3-ジエチルヘキシルなどが挙げられる。
【0040】
「アルケニル基」または「アルキリデン」とは、2〜10個の炭素原子を有し、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む直鎖または分枝非環式炭化水素を意味する。代表的な直鎖および分枝(C2-C10)アルケニルとしては、-ビニル、-アリル、-1-ブテニル、-2-ブテニル、-イソブチレニル、-1-ペンテニル、-2-ペンテニル、-3-メチル-1-ブテニル、-2-メチル-2-ブテニル、-2,3-ジメチル-2-ブテニル、-1-ヘキセニル、-2-ヘキセニル、-3-ヘキセニル、-1-ヘプテニル、-2-ヘプテニル、-3-ヘプテニル、-1-オクテニル、-2-オクテニル、-3-オクテニル、-1-ノネニル、-2-ノネニル、-3-ノネニル、-1-デセニル、-2-デセニル、-3-デセニルなどが挙げられる。アルケニル基は非置換型であっても置換されていてもよい。「環式アルキリデン」は3〜8個の炭素原子を有し、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む環であり、この環は1〜3個のヘテロ原子を含み得る。
【0041】
「アルキニル基」とは、2〜10個の炭素原子を有し、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含む直鎖または分枝非環式炭化水素を意味する。代表的な直鎖および分枝-(C2-C10)アルキニルとしては、-アセチレニル、-プロピニル、-1-ブチニル、-2-ブチニル、-1-ペンチニル、-2-ペンチニル、-3-メチル-1-ブチニル、-4-ペンチニル、-1-ヘキシニル、-2-ヘキシニル、-5-ヘキシニル、-1-へプチニル、-2-へプチニル、-6-へプチニル、-1-オクチニル、-2-オクチニル、-7-オクチニル、-1-ノニニル、-2-ノニニル、-8-ノニニル、-1-デシニル、-2-デシニル、-9-デシニルなどが挙げられる。アルキニル基は非置換型であっても置換されていてもよい。
【0042】
「ハロゲン」および「ハロ」とは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0043】
「ハロアルキル」とは、1以上のハロゲン原子で置換されているアルキル基(なお、アルキルは上記で定義されている)を意味する。
【0044】
「ケト」とは、カルボニル基(すなわち、C=O)を意味する。
【0045】
「アシル」とは、-C(O)CH3、-C(O)CH2CH3、-C(O)(CH2)2CH3、-C(O)(CH2)3CH3、-C(O)(CH2)4CH3、-C(O)(CH2)5CH3などをはじめとする-C(O)アルキル基(なお、アルキルは上記で定義されている)を意味する。
【0046】
「アシルオキシ」とは、-OC(O)CH3、-OC(O)CH2CH3、-OC(O)(CH2)2CH3、-OC(O)(CH2)3CH3、-OC(O)(CH2)4CH3、-OC(O)(CH2)5CH3などをはじめとする-OC(O)アルキル基(なお、アルキルは上記で定義されている)を意味する。
【0047】
「エステル」とは、-C(O)OCH3、-C(O)OCH2CH3、-C(O)O(CH2)2CH3、-C(O)O(CH2)3CH3、-C(O)O(CH2)4CH3、-C(O)O(CH2)5CH3をはじめとする-C(O)Oアルキル基(なお、アルキルは上記で定義されている)を意味する。
【0048】
「アルコキシ」とは、-OCH3、-OCH2CH3、-O(CH2)2CH3、-O(CH2)3CH3、-O(CH2)4CH3、-O(CH2)5CH3などをはじめとする-O-(アルキル)(なお、アルキルは上記で定義されている)を意味する。「低級アルコキシ」とは、-O-(低級アルキル)(なお、低級アルキルは上記の通り)を意味する。
【0049】
「アルコキシアルコキシ」とは、-OCH2OCH3、-OCH2CH2OCH3、-OCH2CH2OCH2CH3をはじめとする-O-(アルキル)-O-(アルキル)(なお、各アルキルは独立に上記で定義されたアルキル基である)を意味する。
【0050】
「アルコキシカルボニル」とは、-C(=O)O-CH3、-C(=O)O-CH2CH3、-C(=O)O-(CH2)2CH3、-C(=O)O-(CH2)3CH3、-C(=O)O-(CH2)4CH3、-C(=O)O-(CH2)5CH3などをはじめとする-C(=O)O-(アルキル)(なお、アルキルは上記で定義されている)を意味する。
【0051】
「アルコキシカルボニルアルキル」とは、CH2-C(=O)O-CH3、-CH2-C(=O)O-CH2CH3、-CH2-C(=O)O-(CH2)2CH3、-CH2-C(=O)O-(CH2)3CH3、-CH2-C(=O)O-(CH2)4CH3、-CH2-C(=O)O-(CH2)5CH3などをはじめとする-(アルキル)-C(=O)O-(アルキル)(なお、各アルキルは独立に上記で定義されている)を意味する。
【0052】
「アルコキシアルキル」とは、-CH2OCH3、-CH2OCH2CH3、-(CH2)2OCH2CH3、-(CH2)2O(CH2)2CH3をはじめとする-(アルキル)-O-(アルキル)(なお、各アルキルは独立に上記で定義されたアルキル基である)を意味する。
【0053】
「アリール」とは、5〜10個の環原子を含む炭素環式芳香族基を意味する。代表的な例としては、限定されるものではないが、フェニル、トリル、アントラセニル、フルオレニル、インデニル、アズレニル、ピリジニルおよびナフチル、ならびに5,6,7,8-テトラヒドロナフチルをはじめとするベンゾ縮合炭素環式部分が挙げられる。炭素環式芳香族基は非置換型であっても置換されていてもよい。ある実施形態では、炭素環式芳香族基はフェニル基である。
【0054】
「アリールオキシ」とは、-O-アリール基(なお、アリールは上記で定義されている)を意味する。アリールオキシ基は非置換型であっても置換されていてもよい。ある実施形態では、アリールオキシ基のアリール環はフェニル基である。
【0055】
「アリールアルキル」とは、-(CH2)フェニル、-(CH2)2フェニル、-(CH2)3フェニル、-CH(フェニル)2、-CH(フェニル)3、-(CH2)トリル、-(CH2)アントラセニル、-(CH2)フルオレニル、-(CH2)インデニル、-(CH2)アズレニル、-(CH2)ピリジニル、-(CH2)ナフチルなどをはじめとする-(アルキル)-(アリール)(なお、アルキルおよびアリールは上記定義の通り)を意味する。
【0056】
「アリールアルキルオキシ」とは、-O-(CH2)2フェニル、-O-(CH2)3フェニル、-O-CH(フェニル)2、-O-CH(フェニル)3、-O-(CH2)トリル、-O-(CH2)アントラセニル、-O-(CH2)フルオレニル、-O-(CH2)インデニル、-O-(CH2)アズレニル、-O-(CH2)ピリジニル、-O-(CH2)ナフチルなどをはじめとする-O-(アルキル)-(アリール)(なお、アルキルおよびアリールは上記で定義されている)を意味する。
【0057】
「アリールオキシアルキル」とは、-CH2-O-(フェニル)、-(CH2)2-O-フェニル、-(CH2)3-O-フェニル、-(CH2)-O-トリル、-(CH2)-O-アントラセニル、-(CH2)-O-フルオレニル、-(CH2)-O-インデニル、-(CH2)-O-アズレニル、-(CH2)-O-ピリジニル、-(CH2)-O-ナフチルなどをはじめとする-(アルキル)-O-(アリール)(なお、アルキルおよびアリールは上記で定義されている)を意味する。
【0058】
「シクロアルキル」とは、炭素および水素原子を有し、炭素-炭素多重結合を有さない単環式または多環式飽和環を意味する。シクロアルキル基の例としては、限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチル、ならびに飽和環式および二環式テルペンをはじめとする(C3-C7)シクロアルキル基を意味する。シクロアルキル基は非置換型であっても置換されていてもよい。ある実施形態では、シクロアルキル基は単環式環または二環式環である。
【0059】
「シクロアルキルオキシ」とは、-O-シクロプロピル、-O-シクロブチル、-O-シクロペンチル、-O-シクロヘキシル、-O-シクロヘプチルなどをはじめとする-O-(シクロアルキル)(なお、シクロアルキルは上記で定義されている)を意味する。
【0060】
「シクロアルキルアルキルオキシ」とは、-O-CH2-シクロプロピル、-O-(CH2)2-シクロプロピル、-O-(CH2)3-シクロプロピル、-O-(CH2)4-シクロプロピル、O-CH2-シクロブチル、O-CH2-シクロペンチル、O-CH2-シクロヘキシル、O-CH2-シクロヘプチルをはじめとする-O-(アルキル)-(シクロアルキル)(なお、シクロアルキルおよびアルキルは上記で定義されている)を意味する。
【0061】
「アミノアルコキシ」とは、-O-CH2-NH2、-O-(CH2)2-NH2、-O-(CH2)3-NH2、-O-(CH2)4-NH2、-O-(CH2)5-NH2などのような-O-(アルキル)-NH2(なお、アルキルは上記で定義されている)を意味する。
【0062】
「モノ-アルキルアミノ」とは、-NHCH3、-NHCH2CH3、-NH(CH2)2CH3、-NH(CH2)3CH3、-NH(CH2)4CH3、-NH(CH2)5CH3などのような-NH(アルキル)(なお、アルキルは上記で定義されている)を意味する。
【0063】
「ジ-アルキルアミノ」とは、-N(CH3)2、-N(CH2CH3)2、-N((CH2)2CH3)2、-N(CH3)(CH2CH3)などをはじめとする-N(アルキル)(アルキル)(なお、各アルキルは独立に上記で定義されたアルキル基である)を意味する。
【0064】
「モノ-アルキルアミノアルコキシ」とは、-O-(CH2)-NHCH3、-O-(CH2)-NHCH2CH3、-O-(CH2)-NH(CH2)2CH3、-O-(CH2)-NH(CH2)3CH3、-O-(CH2)-NH(CH2)4CH3、-O-(CH2)-NH(CH2)5CH3、-O-(CH2)2-NHCH3をはじめとする-O-(アルキル)-NH(アルキル)(各アルキルは独立に上記で定義されているアルキル基である)を意味する。
【0065】
「ジ-アルキルアミノアルコキシ」とは、-O-(CH2)-N(CH3)2、-O-(CH2)-N(CH2CH3)2、-O-(CH2)-N((CH2)2CH3)2、-O-(CH2)-N(CH3)(CH2CH3)などをはじめとする-O-(アルキル)-N(アルキル)(アルキル)(なお、各アルキルは独立に上記で定義されているアルキル基である)を意味する。
【0066】
「アリールアミノ」とは、-NH(フェニル)、-NH(トリル)、-NH(アントラセニル)、-NH(フルオレニル)、-NH(インデニル)、-NH(アズレニル)、-NH(ピリジニル)、-NH(ナフチル)などをはじめとする-NH(アリール)(なお、アリールは上記で定義されている)を意味する。
【0067】
「アリールアルキルアミノ」とは、-NH-CH2-(フェニル)、-NH-CH2-(トリル)、-NH-CH2-(アントラセニル)、-NH-CH2-(フルオレニル)、-NH-CH2-(インデニル)、-NH-CH2-(アズレニル)、-NH-CH2-(ピリジニル)、-NH-CH2-(ナフチル)、-NH-(CH2)2-(フェニル)などをはじめとする-NH-(アルキル)-(アリール)(なお、アルキルおよびアリールは上記で定義されている)を意味する。
【0068】
「アルキルアミノ」とは、-N(CH3)2、-N(CH2CH3)2、-N((CH2)2CH3)2、-N(CH3)(CH2CH3)および-N(アルキル)(アルキル)をはじめとする-N(アルキル)(アルキル)(なお、各アルキルは独立に上記で手議されているアルキル基である)を意味する。
【0069】
「シクロアルキルアミノ」とは、-NH-シクロプロピル、-NH-シクロブチル、-NH-シクロペンチル、-NH-シクロヘキシル、-NH-シクロヘプチルなどをはじめとする-NH-(シクロアルキル)(なお、シクロアルキルは上記で定義されている)を意味する。
【0070】
「カルボキシル」および「カルボキシ」とは、-COOHを意味する。
【0071】
「シクロアルキルアルキルアミノ」とは、-NH-CH2-シクロプロピル、-NH-CH2-シクロブチル、-NH-CH2-シクロペンチル、-NH-CH2-シクロヘキシル、-NH-CH2-シクロヘプチル、-NH-(CH2)2-シクロプロピルなどをはじめとする-NH-(アルキル)-(シクロアルキル)(なお、アルキルおよびシクロアルキルは上記で定義されている)を意味する。
【0072】
「アミノアルキル」とは、CH2-NH2、-(CH2)2-NH2、-(CH2)3-NH2、-(CH2)4-NH2、-(CH2)5-NH2などをはじめとする-(アルキル)-NH2(なお、アルキルは上記で定義されている)を意味する。
【0073】
「モノ-アルキルアミノアルキル」とは、CH2-NH-CH3、-CH2-NHCH2CH3、-CH2-NH(CH2)2CH3、-CH2-NH(CH2)3CH3、-CH2-NH(CH2)4CH3、-CH2-NH(CH2)5CH3、-(CH2)2-NH-CH3をはじめとする-(アルキル)-NH(アルキル)(なお、各アルキルは独立に上記で定義されているアルキル基である)を意味する。
【0074】
「ジ-アルキルアミノアルキル」とは、-CH2-N(CH3)2、-CH2-N(CH2CH3)2、-CH2-N((CH2)2CH3)2、-CH2-N(CH3)(CH2CH3)、-(CH2)2-N(CH3)2などをはじめとする-(アルキル)-N(アルキル)(アルキル)(なお、各アルキルは独立に上記で定義されているアルキル基である)を意味する。
【0075】
「ヘテロアリール」とは、窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有し、少なくとも1つの炭素原子を含む、5〜10員の芳香族複素環を意味し、単環式および二環式環構造の双方を含む。代表的なヘテロアリールは、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、ピリジル、フリル、ベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、ピロリル、インドリル、オキサゾリル、ベンゾキサゾリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ピリミジル、オキセタニル、アゼピニル、ピペラジニル、モルホリニル、ジオキサニル、チエタニルおよびオキサゾリルである。
【0076】
「ヘテロアリールアルキル」とは、-CH2-トリアゾリル、-CH2-テトラゾリル、-CH2-オキサジアゾリル、-CH2-ピリジル、-CH2-フリル、-CH2-ベンゾフラニル、-CH2-チオフェニル、-CH2-ベンゾチオフェニル、-CH2-キノリニル、-CH2-ピロリル、-CH2-インドリル、-CH2-オキサゾリル、-CH2-ベンゾキサゾリル、-CH2-イミダゾリル、-CH2-ベンズイミダゾリル、-CH2-チアゾリル、-CH2-ベンゾチアゾリル、-CH2-イソキサゾリル、-CH2-ピラゾリル、-CH2-イソチアゾリル、-CH2-ピリダジニル、-CH2-ピリミジニル、-CH2-ピラジニル、-CH2-トリアジニル、-CH2-シンノリニル、-CH2-フタラジニル、-CH2-キナゾリニル、-CH2-ピリミジル、-CH2-オキセタニル、-CH2-アゼピニル、-CH2-ピペラジニル、-CH2-モルホリニル、-CH2-ジオキサニル、-CH2-チエタニル、-CH2-オキサゾリル、-(CH2)2-トリアゾリルなどをはじめとする-(アルキル)-(ヘテロアリール)(なお、アルキルおよびヘテロアリールは上記で定義されている)を意味する。
【0077】
「複素環」とは、飽和、不飽和のいずれかであり、窒素、酸素およびから独立に選択される1〜4個のヘテロ原子を含み、窒素および硫黄ヘテロ原子が場合により酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子が場合により第四級化されていてもよい5〜7員の単環式、または7〜10員の二環式、複素環式環を意味し、上記の複素環のいずれかがベンゼン環と縮合している二環式環を含む。この複素環はいずれのヘテロ原子または炭素原子を介して結合することもできる。複素環には、上記で定義されたようなヘテロアリールが含まれる。代表的な複素環としては、モルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロプリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニルなどが挙げられる。
【0078】
「フェニルと縮合した複素環」とは、フェニル環の2つの隣接する炭素原子でフェニル環と結合してる複素環(なお、複素環は上記のように定義される)を意味する。
【0079】
「ヘテロシクロアルキル」とは、-CH2-モルホリニル、-CH2-ピロリジノニル、-CH2-ピロリジニル、-CH2-ピペリジニル、-CH2-ヒダントイニル、-CH2-バレロラクタミル、-CH2-オキシラニル、-CH2-オキセタニル、-CH2-テトラヒドロフラニル、-CH2-テトラヒドロピラニル、-CH2-テトラヒドロピリジニル、-CH2-テトラヒドロプリミジニル、-CH2-テトラヒドロチオフェニル、-CH2-テトラヒドロチオピラニル、-CH2-テトラヒドロピリミジニル、-CH2-テトラヒドロチオフェニル、-CH2-テトラヒドロチオピラニルなどをはじめとする-(アルキル)-(複素環)(なお、アルキルおよび複素環は上記で定義されている)を意味する。
【0080】
本明細書において「置換されている」とは、置換されている部分の少なくとも1つ水素原子がある置換基に置き換わっている上記のいずれかの基(すなわち、アリール、アリールアルキル、複素環およびヘテロシクロアルキル)を意味する。ある実施形態では、置換されている基の各炭素原子は2以下の置換基で置換されている。もう1つの実施形態では、置換されている基の各炭素原子は1以下の置換基で置換されている。ケト置換基の場合、2つの水素原子が、二重結合を介して炭素と結合している酸素と置き換わっている。置換基としては、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、ハロアルキル、一置換もしくは二置換アミノアルキル、アルキルオキシアルキル、アリール、アリールアルキル、複素環、ヘテロシクロアルキル、-NRaRb、-NRaC(=O)Rb、-NRaC(=O)NRaRb、-NRaC(=O)ORb-NRaSO2Rb、-ORa、-C(=O)RaC(=O)ORa-C(=O)NRaRb、-OC(=O)Ra、-OC(=O)ORa、-OC(=O)NRaRb、-NRaSO2Rb、または式-Y-Z-Raの基が挙げられ、ここで、Yはアルカンジイルまたは直接結合であり、Zは-O-、-S-、-N(Rb)-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-N(Rb)C(=O)-、-C(=O)N(Rb)-または直接結合であり、RaおよびRbは同一であるか、または異なっており、独立に水素、アミノ、アルキル、ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、複素環、または複素環アルキル(heterocylealkyl)であるか、またはRaおよびRbはそれらが結合している窒素原子と一緒になって複素環を形成している。
【0081】
「ハロアルキル」とは、-CF3、-CHF2、-CH2F、-CBr3、-CHBr2、-CH2Br、-CCl3、-CHCl2、-CH2Cl、-CI3、-CHI2、-CH2I、-CH2-CF3、-CH2-CHF2、-CH2-CH2F、-CH2-CBr3、-CH2-CHBr2、-CH2-CH2Br、-CH2-CCl3、-CH2-CHCl2、-CH2-CH2Cl、-CH2-CI3、-CH2-CHI2、-CH2-CH2Iなどをはじめ、1以上の水素原子がハロゲン(ハロゲンは上記定義の通り)で置き換えられたアルキル(なお、アルキルは上記のように定義される)を意味する。
【0082】
「ヒドロキシアルキル」とは、-CH2OH、-CH2CH2OH、-(CH2)2CH2OH、-(CH2)3CH2OH、-(CH2)4CH2OH、-(CH2)4CH2OH、-CH(OH)-CH3、-CH2CH(OH)CH3などをはじめ、1以上の水素原子がヒドロキシで置換されているアルキル(なお、アルキルは上記定義の通り)を意味する。
【0083】
「ヒドロキシ」とは、-OHを意味する。
【0084】
「スルホニル」とは、-SO3Hを意味する。
【0085】
「スルホニルアルキル」とは、-SO2-CH3、-SO2-CH2CH3、-SO2-(CH2)2CH3、-SO2-(CH2)3CH3、-SO2-(CH2)4CH3、-SO2-(CH2)5CH3をはじめとする-SO2-(アルキル)(なお、アルキルは上記で定義されている)を意味する。
【0086】
「スルフィニルアルキル」とは、-SO-CH3、-SO-CH2CH3、-SO-(CH2)2CH3、-SO-(CH2)3CH3、-SO-(CH2)4CH3、-SO-(CH2)5CH3などをはじめとする-SO-(アルキル)(なお、アルキルは上記で定義されている)を意味する。
【0087】
「スルホンアミドアルキル」とは、-NHSO2-CH3、-NHSO2-CH2CH3、-NHSO2-(CH2)2CH3、-NHSO2-(CH2)3CH3、-NHSO2-(CH2)4CH3、-NHSO2-(CH2)5CH3をはじめとする-NHSO2-(アルキル)(なお、アルキルは上記で定義されている)を意味する。
【0088】
「チオアルキル」とは、-S-CH3、-S-CH2CH3、-S-(CH2)2CH3、-S-(CH2)3CH3、-S-(CH2)4CH3、-S-(CH2)5CH3などをはじめとする-S-(アルキル)(なお、アルキルは上記で定義されている)を意味する。
【0089】
本明細書において「JNK阻害剤」とは、限定されるものではないが、本明細書に開示されている化合物を包含する。特定の理論に拘束されるものではないが、in vitroまたはin vivoにおいて特定のJNK阻害剤はJNKの活性を阻害し得る。JNK阻害剤は製薬上許容される塩、その遊離塩基、溶媒和物、水和物、立体異性体、包接体またはプロドラッグの形態であり得る。このような阻害活性は第5節に示されているものをはじめ、当技術分野で周知のアッセイまたは動物モデルによって測定することができる。ある実施形態では、JNK阻害剤は構造(I)〜(III)の化合物である。
【0090】
「JNK」とは、JNK 1、JNK 2、またはJNK 3遺伝子によって発現されるタンパク質またはそのイソ型を意味する(Gupta, S., Barrett, T., Whitmarsh, A. J., Cavanagh, J., Sluss, H. K., Derijard, B.およびDavis, R. J. The EMBO J. 15:2760-2770 (1996))。
【0091】
本明細書において、JNK阻害剤に関して用いられる場合の「有効量」とは、疼痛の治療、予防、管理および/または改善に有用なJNK阻害剤の量を意味する。
【0092】
本明細書において、別の治療または予防薬に関して用いられる場合の「有効量」とは、投与した際に疼痛の治療、予防、管理および/または改善に有用な他の治療または予防薬JNK阻害剤の量を意味し、同時にJNK阻害剤はその治療または予防活性を発揮する。
【0093】
本明細書において「製薬上許容される塩」とは、無機酸および塩基ならびに有機酸および塩基をはじめ、製薬上許容される無毒の酸または塩基から調製される塩を意味する。JNK阻害剤の好適な製薬上許容される塩基付加塩としては、限定されるものではないが、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛からなる金属塩、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグクカミン)およびプロカインからなる有機塩が挙げられる。
【0094】
好適な無毒な酸としては、限定されるものではないが、酢酸、アルギン酸、アントラニル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸(ethenesulfonic)、蟻酸、フマル酸、フロ酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グリコール酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、硫酸、酒石酸、およびp-トルエンスルホン酸などの無機および有機酸が挙げられる。特定の無毒な酸としては、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、およびメタンスルホン酸が挙げられる。よって、特定の塩の例としては、塩酸塩およびメシル酸塩が挙げられる。他のものも当技術分野で公知である。例えば、Remington's PharmaceuticalSciefaces, 第18版, Mack Publishing, Easton PA (1990)またはRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 第19版, Mack Publishing, Easton PA (1995)参照。
【0095】
本明細書において、特に断りのない限り、「多型」とは、JNK阻害剤の特定の結晶配置を意味する。多型は種々の後処理条件および/または溶媒の使用によって得ることができる。特に、多型は特定の溶媒中でJNK阻害剤を再結晶させることによって製造することができる。
【0096】
本明細書において、特に断りのない限り、「プロドラッグ」とは、生理条件下(in vitroまたはin vivo)で加水分解、酸化またはそれ以外の反応をして有効化合物、特にJNK阻害剤を提供し得るJNK阻害剤誘導体を意味する。プロドラッグの例としては、限定されるものではないが、生加水分解性アミド、生加水分解性エステル、生加水分解性カルバミン酸、生加水分解性炭酸、生加水分解性ウレイド、および生加水分解性リン酸類似体などの生加水分解性部分を含むJNK阻害剤の誘導体および代謝産物が挙げられる。好ましくは、カルボキシル官能基を有する化合物のプロドラッグとしては、カルボン酸の低級アルキルエステルがある。カルボン酸エステルは便宜にはその分子上に存在するカルボン酸部分のいずれかをエステル化することにより形成される。プロドラッグは通常、Burger's Medicinal Chemistry and Drug Discovery 第6版 (Donald J. Abraham編, 2001, Wiley)およびDesign and Application of Prodrugs (H. Bundgaard編, 1985, Harwood Academic Publishers Gmfh)により記載されているものなどの周知の方法を用いて調製することができる。
【0097】
本明細書において、特に断りのない限り、「光学的に純粋」または「立体異性体的に純粋」とは、化合物のある立体異性体がその化合物の他の立体異性体を実質的に含まないことを意味する。例えば、1つのキラル中心を有する、ある立体異性体的に純粋な化合物はその化合物のもう一方の鏡像異性体を実質的に含まない。2つのキラル中心を有する、ある立体異性体的に純粋な化合物はその化合物の他のジアステレオマーを実質的に含まない。典型的な立体異性体的に純粋な化合物は約80重量%を超えるその化合物のある立体異性体と約20重量%未満のその化合物の他の立体異性体、より好ましくは、約90重量%を超えるその化合物のある立体異性体と約10重量%未満のその化合物の他の立体異性体、いっそうより好ましくは、約95重量%を超えるその化合物のある立体異性体と約5重量%未満のその化合物の他の立体異性体、最も好ましくは、約97重量%を超えるその化合物のある立体異性体と約3重量%未満のその化合物の他の立体異性体を含んでなる。
【0098】
本明細書において「複合性局所疼痛症候群」、「CRPS」および「CRPSおよび関連症候群」とは、以下の1以上を特徴とする慢性疼痛性疾患を意味する:自発的なものであれ誘発性のものであれ、異痛(通常は痛みのない刺激に対する疼痛性応答)および痛覚過敏(通常は軽い痛みしかない刺激に対する過度の応答)を含む疼痛;その刺激事象に不相応な疼痛(例えば、足首の捻挫後、何年も激しい疼痛が続くなど);単一の末梢神経分布に限定されない局所疼痛;および皮膚の栄養変化(体毛や爪の成長異常および皮膚の潰瘍形成)に関連する自立神経調節不全。特に断りのない限り、「複合性局所疼痛候群」および「CRPS」とは、神経損傷以外の初期有害事象の後に起こる反射性交感神経ジストロフィー(RSD)として知られる症状を包含するI型;神経損傷後に起こるカウザルギーとして知られる症状を包含するII型;急性期(通常、2〜3ヶ月の高体温期);ジストロフィー期(数ヶ月間、血管運動の不安定性を示す);萎縮期(通常、萎縮変化を伴う末端冷え性);反射性神経血管ジストロフィー;反射性ジストロフィー;交感神経により維持される疼痛症候群;骨のスーデック萎縮;アルゴニューロジストロフィー(algoneurodystrophy);肩手症候群;外傷後ジストロフィー;三叉神経痛;帯状疱疹後神経痛;癌関連疼痛;幻肢痛;繊維筋痛症;慢性疲労症候群;神経根障害;およびその他の有痛性神経因性症状、例えば糖尿病性神経障害、梅毒性神経障害、ビンクリスチン、ベルケードまたはサリドマイドなどの薬物により医原的に誘発される有痛性神経障害が挙げられる。
【0099】
本明細書において、特に断りない限り、「疼痛を処置する」とは、疼痛の症状の発症後に場合により別の有効薬剤またはその他の療法と組み合わせてJNK阻害剤を投与することをさし、一方、「疼痛を予防する」とは、特に疼痛を受けるリスクのある患者に、疼痛の症状が発症する前に場合により別の有効薬剤またはその他の療法と組み合わせてJNK阻害剤を投与することをさす。疼痛を受けるリスクのある患者としては、限定されるものではないが、外傷の刺激を有する者、神経疾患、遺伝疾患、心筋梗塞、手術、筋骨格疾患、または悪性腫瘍の刺激を有する者が挙げられる。疼痛の家族歴を有する患者も予防計画の好ましい候補である。本明細書において、特に断りのない限り、「疼痛を管理する」とは、疼痛に苦しむ患者の疼痛の再発を予防すること、および/または疼痛に苦しむ患者が寛解状態にとどまる時間を長くすることを包含する。本明細書において、特に断りない限り、「疼痛を改善する」とは、患者が疼痛に応答する方法を変えることを意味する。ある実施形態では、「疼痛を改善する」とは、患者の疼痛閾値を高いレベル(すなわち、特定の刺激に応答して患者が通常よりも大きな痛みを感じるレベル)から通常レベルにすることを意味する。もう1つの実施形態では、「疼痛を改善する」とは、特定強度の刺激に対する患者の疼痛応答を引き下げることを意味する。もう1つの実施形態では、「疼痛を改善する」とは、有効量のJNK阻害剤を投与する前の患者の疼痛閾値よりも、患者の疼痛閾値を高めることを意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0100】
4. 発明の詳細な説明
4.1 例示的JNK阻害剤
上述のように、本発明は疼痛を治療、予防、管理および/または改善するのに有用な方法であって、それを必要とする患者に有効量のJNK阻害剤を投与することを含む方法を対象とする。例示的JNK阻害剤を以下に示す。
【0101】
ある実施形態では、JNK阻害剤は次の構造(I)を有する:
【化1】

【0102】
[式中、
Aは直接結合、-(CH2)a-、-(CH2)bCH=CH(CH2)c-、または-(CH2)bC≡C(CH2)c-であり;
R1はアリール、ヘテロアリールまたはフェニルと縮合した複素環であり、各々場合により、R3から独立に選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよく;
R2は-R3、-R4、-(CH2)bC(=O)R5、-(CH2)bC(=O)OR5、-(CH2)bC(=O)NR5R6、-(CH2)bC(=O)NR5(CH2)cC(=O)R6、-(CH2)bNR5C(=O)R6、-(CH2)bNR5C(=O)NR6R7、-(CH2)bNR5R6、-(CH2)bOR5、-(CH2)bSOdR5または-(CH2)bSO2NR5R6であり;
aは1、2、3、4、5または6であり;
bおよびcは同一であるか、または異なっており、各存在において独立に0、1、2、3または4から選択され;
dは各存在において0、1または2であり;
R3は各存在において独立にハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、アシルオキシ、チオアルキル、スルフィニルアルキル、スルホニルアルキル、ヒドロキシアルキル、アリール、アリールアルキル、複素環、ヘテロシクロアルキル、-C(=O)OR8、-OC(=O)R8、-C(=O)NR8R9、-C(=O)NR8OR9、-SO2NR8R9、-NR8SO2R9、-CN、-NO2、-NR8R9、-NR8C(=O)R9、-NR8C(=O)(CH2)bOR9、-NR8C(=O)(CH2)bR9、-O(CH2)bNR8R9、またはフェニルと縮合した複素環であり;
R4はアルキル、アリール、アリールアルキル、複素環またはヘテロシクロアルキルであり、各々場合により、R3から独立に選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよく、あるいはR4はハロゲンまたはヒドロキシであり;
R5、R6およびR7は同一であるか、または異なっており、各存在において独立に水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、複素環またはヘテロシクロアルキルであり、R5、R6およびR7は各々場合により、R3から独立に選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよく;ならびに、
R8およびR9は同一であるか、または異なっており、各存在において独立に水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、複素環、またはヘテロシクロアルキルであるか、またはR8およびR9はそれらが結合している1もしくは複数の原子と一緒になって複素環を形成しており、ここで、R8、R9の各々、および一緒になって複素環を形成しているR8とR9は場合によりR3から独立に選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよい]。
【0103】
ある実施形態では、-A-R1はハロゲン、アルコキシ、-NR8C(=O)R9、-C(=O)NR8R9、および-O(CH2)bNR8R9(ここで、bは2または3であり、R8およびR9は上記で定義されている)から独立に選択される1〜4個の置換基で場合により置換されていてもよい。
【0104】
もう1つの実施形態では、R2は-R4、-(CH2)bC(=O)R5、-(CH2)bC(=O)OR5、-(CH2)bC(=O)NR5R6、-(CH2)bC(=O)NR5(CH2)c(=O)R6、-(CH2)bNR5C(=O)R6、-(CH2)bNR5C(=O)NR6R7、-(CH2)bNR5R6、-(CH2)bOR5、-(CH2)bSOdR5または-(CH2)bSO2NR5R6であり、bは0〜4の範囲の整数である。
【0105】
もう1つの実施形態では、R2は-(CH2)bC(=O)NR5R6、-(CH2)bNR5C(=O)R6、3-トリアゾリルまたは5-テトラゾリルであり、bは0であり、R8およびR9は上記で定義されている。
【0106】
もう1つの実施形態では、R2は3-トリアゾリルまたは5-テトラゾリルである。
【0107】
もう1つの実施形態では、
(a)-A-R1はハロゲン、アルコキシ、-NR8C(=O)R9、-C(=O)NR8R9、および-O(CH2)bNR8R9から独立に選択される1〜4個の置換基で場合により置換されていてもよいフェニルであり、bは2または3であり;かつ、
(b)R2は-(CH2)bC(=O)NR5R6、-(CH2)bNR5C(=O)R6、3-トリアゾリルまたは5-テトラゾリルであり、bは0であり、R8およびR9は上記で定義されている。
【0108】
もう1つの実施形態では、
(a)-A-R1はハロゲン、アルコキシ、-NR8C(=O)R9、-C(=O)NR8R9、および-O(CH2)bNR8R9から独立に選択される1〜4個の置換基で場合により置換されていてもよいフェニルであり、bは2または3であり;かつ、
(b)R2は3-トリアゾリルまたは5-テトラゾリルである。
【0109】
もう1つの実施形態では、R2はR4であり、R4は場合によりその5位において
(a)場合によりヒドロキシル、メチルアミノ、ジメチルアミノまたは1-ピロリジニル基で置換されていてもよいC1-C4直鎖または分枝鎖アルキル基;または
(b)2-ピロリジニル基
で置換されていてもよい3-トリアゾリルである。
【0110】
もう1つの実施形態では、R2はR4であり、R4は場合によりその5位においてメチル、n-プロピル、イソプロピル、1-ヒドロキシエチル、3-ヒドロキシプロピル、メチルアミノメチル、ジメチルアミノメチル、1-(ジメチルアミノ)エチル、1-ピロリジニルメチルまたは2-ピロリジニルで置換されていてもよい3-トリアゾリルである。
【0111】
もう1つの実施形態では、構造(I)の化合物は、Aが直接結合である場合には構造(IA)を有し、またはAが-(CH2)a-である場合には構造(IB)を有する:
【化2】

【0112】
その他の実施形態では、構造(I)の化合物は、Aが-(CH2)bCH=CH(CH2)c-である場合には構造(IC)を有し、またはAが-(CH2)bC=-C(CH2)c-である場合には構造(ID)を有する:
【化3】

【0113】
本発明のさらなる実施形態では、構造(I)のR1は以下の構造(IE):
【化4】

【0114】
で表されるようなフェニルまたは置換フェニルなどのアリールまたは置換アリールである。
【0115】
もう1つの実施形態では、構造(1)のR2は-(CH2)bNR4(C=O)R5である。この実施形態のある態様では、b=0であり、化合物は以下の構造(IF):
【化5】

【0116】
を有する。
【0117】
構造(I)の化合物の代表的なR2基としては、アルキル(メチルおよびエチルなど)、ハロ(クロロおよびフルオロなど)、ハロアルキル(トリフルオロメチルなど)、ヒドロキシ、アルコキシ(メトキシおよびエトキシなど)、アミノ、アリールアルキルオキシ(ベンジルオキシなど)、モノ-またはジ-アルキルアミン(-NHCH3、-N(CH3)2および-NHCH2CH3など)、-NHC(=O)R4(ここで、R6は置換または非置換フェニルまたはヘテロアリールである)(ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、エステル、アルコキシ、アルキル、アリール、ハロアルキル、ハロ、-CONH2および-CONHアルキルで置換されたフェニルまたはヘテロアリールなど)、-NH(ヘテロアリールアルキル)(-NHCH2(3-ピリジル)、-NHCH2(4-ピリジル)、ヘテロアリール(ピラゾロ、トリアゾロおよびテトラゾロなど)、-C(=O)NHR6(R6は水素、アルキル、または上記定義のものなど)(-C(=O)NH2、-C(=O)NHCH3、-C(=O)NH(H=カルボキシフェニル)、-C(=O)N(CH3)2)など)、アリールアルケニル(フェニルビニル、3-ニトロフェニルビニル、4-カルボキシフェニルビニルなど)、ヘテロアリールアルケニル(2-ピリジルビニル、4-ピリジルビニルなど)が挙げられる。
【0118】
構造(I)の化合物の代表的なR3基としては、ハロゲン(クロロおよびフルオロなど)、アルキル(メチル、エチルおよびイソプロピル)、ハロアルキル(トリフルオロメチルなど)、ヒドロキシ、アルコキシ(メトキシ、エトキシ、n-プロピルオキシおよびイソブチルオキシなど)、アミノ、モノ-またはジ-アルキルアミノ(ジメチルアミンなど)、アリール(フェニルなど)、カルボキシ、ニトロ、シアノ、スルフィニルアルキル(メチルスルフィニルなど)、スルホニルアルキル(メチルスルホニルなど)、スルホンアミドアルキル(-NHSO2CH3など)、-NR8C(=O)(CH2)bOR9(NHC(=O)CH2OCH3など)、NHC(=O)R9(-NHC(=O)CH3、-NHC(=O)CH2C6H5、-NHC(=O)(2-フラニル)など)、および-O(CH2)bNR8R9(-O(CH2)2N(CH3)2など)が挙げられる。
【0119】
構造(I)の化合物は当業者に既知の有機合成技術を用い、また、参照により本明細書にそのまま組み入れられる、2002年2月7日に公開された国際公開番号WO02/10137(特に35頁1行目〜396頁12行目までの実施例1〜430)に記載の方法により製造することができる。さらに、これらの化合物の具体例もこの公報に見出せる。
【0120】
構造(I)のJNK阻害剤の例としては以下のものがある:
【化6】

【0121】
3-(4-フルオロ-フェニル)-5-(1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル)-1H-インダゾール;
【化7】

【0122】
3-[3-(2-ピペリジン-1-イル-エトキシ)-フェニル]-5-(1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル)-1H-インダゾール;
【化8】

【0123】
3-(4-フルオロ-フェニル)-1H-インダゾール-5-カルボン酸(3-モルホリン-4-イル-プロピル)-アミド;
【化9】

【0124】
3-[3-(3-ピペリジン-1-イル-プロピオニルアミノ)-フェニル]-1H-インダゾール-5-カルボン酸アミド;
【化10】

【0125】
3-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル-5-(2H-テトラゾール-5-イル)-1H-インダゾール;
【化11】

【0126】
3-(4-フルオロ-フェニル)-5-(5-メチル-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル)-1H-インダゾール;
【化12】

【0127】
N-tert-ブチル-3-[5-(1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル)-1H-インダゾール-3-イル]-ベンザミド;
【化13】

【0128】
3-[3-(2-モルホリン-4-イル-エトキシ)-フェニル]-5-(1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル)-1H-インダゾール;
【化14】

【0129】
ジメチル-(2-{4-[5-(1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル)-1H-インダゾール-3-イル]-フェノキシ}-エチル)-アミン;
【化15】

【0130】
5-[5-(1,1-ジメチル-プロピル)-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル]-3-(4-フルオロ-フェニル)-1H-インダゾール;
【化16】

【0131】
3-(4-フルオロ-フェニル)-5-(5-ピロリジン-1-イルメチル-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル)-1H-インダゾール;
【化17】

【0132】
3-(6-メトキシ-ナフタレン-2-イル)-5-(5-ピロリジン-1-イルメチル-1H-[1,2,4]トリアゾール-3-イル)-1H-インダゾール;
【化18】

【0133】
3-(4-フルオロ-フェニル)-1H-インダゾール-5-カルボン酸アミド;
およびその製薬上許容される塩。
【0134】
もう1つの実施形態では、JNK阻害剤は以下の構造(II)を有する:
【化19】

【0135】
[式中、
R1はR7から独立に選択される1〜4個の置換基で場合により置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールであり;
R2は水素であり;
R3は水素または低級アルキルであり;
R4は1〜4個の任意の置換基を表し、各置換基同一であるか、または異なっており、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキルおよび低級アルコキシから独立に選択され;
R5およびR6は同一であるか、または異なっており、独立に-R8、-(CH2)aC(=O)R9、-(CH2)aC(=O)OR9、-(CH2)aC(=O)NR9R10、-(CH2)aC(=O)NR9(CH2)bC(=O)R10、-(CH2)aNR9C(=O)R10、(CH2)aNR11C(=O)NR9R10、-(CH2)aNR9R10、-(CH2)aOR9、-(CH2)aSOcR9または-(CH2)aSO2NR9R10であるか;
あるいは、R5およびR6はそれらが結合している窒素原子と一緒になって複素環または置換複素環を形成しており;
R7は各存在において独立にハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、アシルオキシ、チオアルキル、スルフィニルアルキル、スルホニルアルキル、ヒドロキシアルキル、アリール、アリールアルキル、複素環、置換複素環、ヘテロシクロアルキル、-C(=O)OR8、-OC(=O)R8、-C(=O)NR8R9、-C(=O)NR8OR9、-SOcR8、-SOcNR8R9、-NR8SOcR9、-NR8R9、-NR8C(=O)R9、-NR8C(=O)(CH2)bOR9、-NR8C(=O)(CH2)bR9、-O(CH2)bNR8R9、フェニルと縮合した複素環であり;
R8、R9、R10およびR11は同一であるか、または異なっており、各存在において独立に水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、複素環、ヘテロシクロアルキルであるか;
あるいは、R8およびR9はそれらが結合している1もしくは複数の原子と一緒になって複素環を形成しており;
aおよびbは同一であるか、または異なっており、各存在において独立に0、1、2、3または4から選択され;かつ、
cは各存在において0、1または2である]。
【0136】
ある実施形態では、R1は置換または非置換アリールまたはヘテロアリールである。R1が置換されている場合、それは以下に定義される1以上の置換基で置換されている。ある実施形態では、置換されている場合、R1はハロゲン、-SO2R8または-SO2R8R9で置換されている。
【0137】
もう1つの実施形態では、R1は置換または非置換アリール、フリル、ベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、ピロリル、インドリル、オキサゾリル、ベンゾキサゾリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、シンノリニル、フタラジニルまたはキナゾリニルである。
【0138】
もう1つの実施形態では、R1は置換または非置換アリールまたはヘテロアリールである。R1が置換されている場合、それは以下に定義された1以上の置換基で置換されている。ある実施形態では、置換されている場合、R1はハロゲン、-SO2R8または-SO2R8R9で置換されている。
【0139】
もう1つの実施形態では、R1は置換または非置換アリール、好ましくはフェニルである。R1が置換アリールである場合、その置換基は以下で定義されている。ある実施形態では、置換されている場合、R1はハロゲン、-SO2R8または-SO2R8R9で置換されている。
【0140】
もう1つの実施形態では、R5およびR6はそれらが結合している窒素原子と一緒になって置換または非置換窒素含有非芳香族複素環、ある実施形態では、ピペラジニル、ピペリジニルまたはモルホリニルを形成する。
【0141】
R5およびR6はそれらが結合している窒素原子と一緒になって置換ピペラジニル、ピペラジニル(piperadinyl)またはモルホリニルを形成する場合、そのピペラジニル、ピペラジニル(piperadinyl)またはモルホリニルは以下に定義される1以上の置換基で置換されている。ある実施形態では、置換されている場合、その置換基はアルキル、アミノ、アルキルアミノ、アルコキシアルキル、アシル、ピロリジニルまたはピペリジニルである。
【0142】
ある実施形態では、R3は水素であり、R4は存在せず、このJNK阻害剤は以下の構造(IIA):
【化20】

【0143】
およびその製薬上許容される塩である。
【0144】
より具体的に実施形態では、R1は場合によりR7で置換されていてもよいフェニルであり、以下の構造(IIB):
【化21】

【0145】
およびその製薬上許容される塩である。
【0146】
なおさらなる実施形態では、R7は以下の構造(IIC):
【化22】

【0147】
およびその製薬上許容される塩で表されるように、ピリミジンに対してフェニル基のパラ位にある。
【0148】
構造(II)のJNK阻害剤は、当業者に既知の有機合成技術を用い、また、参照により本明細書にそのまま組み入れられる、2002年6月13日公開の国際公開番号WO02/46170(特に23頁5行目〜183頁25行目までの実施例1〜27)に記載されている方法により製造することができる。さらに、これらの化合物の具体例もこの公報に見出せる。
【0149】
構造(II)のJNK阻害剤の例としては、
【化23】

【0150】
4-[4-(4-クロロ-フェニル)-ピリミジン-2-イルアミノ]-ベンズアミド;
【化24】

【0151】
4-[4-(4-クロロ-フェニル)-ピリミジン-2-イルアミノ]-N,N-ジメチル-ベンズアミ;
【化25】

【0152】
4-[4-(4-クロロ-フェニル)-ピリミジン-2-イルアミノ]-N-(3-ピペリジン-1-イル-プロピル)-ベンズアミド;
【化26】

【0153】
{4-[4-(4-クロロ-フェニル)-ピリミジン-2-イルアミノ]-フェニル}-ピペラジン-1-イル-メタノン;
【化27】

【0154】
1-(4-{4-[4-(4-クロロ-フェニル)-ピリミジン-2-イルアミノ]-ベンゾイル}-ピペラジン-1-イル)-エタノン;
【化28】

【0155】
1-[4-(4-{4-[4-(3-ヒドロキシ-プロピルスルファニル)-フェニル]-ピリミジン-2-イルアミノ}-ベンゾイル)-ピペラジン-1-イル]-エタノン;
【化29】

【0156】
{4-[4-(4-クロロ-フェニル)-ピリミジン-2-イルアミノ]-フェニル}-(4-ピロリジン-1-イル-ピペリジン-1-イル)-メタノン;
およびその製薬上許容される塩がある。
【0157】
もう1つの実施形態では、JNK阻害剤は以下の構造(III)を有する:
【化30】

【0158】
[式中、
R0は-O-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、NHまたは-CH2-であり;
構造(III)の化合物は、(i)非置換であるか、(ii)一置換され、第1の置換基を有するか、または(iii)二置換され、第1の置換基と第2の置換基を有し、この第1または第2の置換基は、存在する場合は3、4、5、7、8、9または10位にあり、この第1および第2の置換基は、存在する場合、独立にアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、トリフルオロメチル、スルホニル、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アリールアルキル、シクロアルキルアルキルオキシ、シクロアルキルオキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシ、アミノアルコキシ、モノ-アルキルアミノアルコキシ、ジ-アルキルアミノアルコキシ、または構造(a)、(b)、(c)、(d)、(e)または(f):
【化31】

【0159】
[式中、R3およびR4は一緒になってアルキリデンまたはヘテロ原子含有環式アルキリデンを表すか、あるいはR3およびR4は独立に水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールオキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、モノ-アルキルアミノアルキル、またはジ-アルキルアミノアルキルであり;ならびに、
R5は水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノ、モノ-アルキルアミノ、ジ-アルキルアミノ、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、シクロアルキルアルキルアミノ、アミノアルキル、モノ-アルキルアミノアルキル、またはジ-アルキルアミノアルキルである]
で表される基である。
【0160】
もう1つの実施形態では、JNK阻害剤は以下の構造(IIIA):
【化32】

【0161】
2H-ジベンゾ[cd,g]インドール-6-オン(IIIA)
を有し、
(i)非置換であるか、(ii)一置換され、第1の置換基を有するか、または(iii)二置換され、第1の置換基と第2の置換基を有し;
この第1または第2の置換基は、存在する場合には3、4、5、7、8、9または10位にあり;
第1および第2の置換基は、存在する場合、独立にアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、トリフルオロメチル、スルホニル、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アリールアルキル、シクロアルキルアルキルオキシ、シクロアルキルオキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシ、アミノアルコキシ、モノ-アルキルアミノアルコキシ、ジ-アルキルアミノアルコキシ、または構造(a)、(b)、(c)、(d)、(e)または(f):
【化33】

【0162】
[式中、R3およびR4は一緒になって、アルキリデンまたはヘテロ原子含有環式アルキリデンを表すか、あるいはR3およびR4は独立に水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールオキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、モノ-アルキルアミノアルキル、またはジ-アルキルアミノアルキルであり;ならびに、
R5は水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノ、モノ-アルキルアミノ、ジ-アルキルアミノ、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、シクロアルキルアルキルアミノ、アミノアルキル、モノ-アルキルアミノアルキル、またはジ-アルキルアミノアルキルである]
で表される基である。
【0163】
構造(IIIA)の化合物の1つのサブクラスは、第1または第2の置換基が5、7または9位に存在するものである。ある実施形態では、第1または第2の置換基は5または7位に存在する。
【0164】
構造(IIIA)の化合物の第2のサブクラスは、第1または第2の置換基が5、7または9位に存在するものであり;
この第1または第2の置換基は独立にアルコキシ、アリールオキシ、アミノアルキル、モノ-アルキルアミノアルキル、ジ-アルキルアミノアルキル、または構造(a)、(c)、(d)、(e)または(f)で表される基であり;
R3およびR4がは独立に水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、またはシクロアルキルアルキルであり;かつ
R5は水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキルまたはシクロアルキルアルキルである。
【0165】
もう1つの実施形態では、JNK阻害剤は以下の構造(IIIB):
【化34】

【0166】
2-オキソ-2H-214-アントラ[9,1-cd]イソチアゾール-6-オン
を有し、
(i)非置換であるか、(ii)一置換され、第1の置換基を有するか、または(iii)二置換され、第1の置換基と第2の置換基を有し;
この第1または第2の置換基は、存在する場合には3、4、5、7、8、9または10位にあり;
第1および第2の置換基は、存在する場合、独立にアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、トリフルオロメチル、スルホニル、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アリールアルキル、シクロアルキルアルキルオキシ、シクロアルキルオキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシ、アミノアルコキシ、モノ-アルキルアミノアルコキシ、ジ-アルキルアミノアルコキシまたは構造(a)、(b)、(c)、(d)、(e)または(f):
【化35】

【0167】
[式中、R3およびR4は一緒になって、アルキリデンまたはヘテロ原子含有環式アルキリデンを表すか、あるいはR3およびR4は独立に水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールオキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、モノ-アルキルアミノアルキル、またはジ-アルキルアミノアルキルであり;ならびに、
R5は水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノ、モノ-アルキルアミノ、ジ-アルキルアミノ、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、シクロアルキルアルキルアミノ、アミノアルキル、モノ-アルキルアミノアルキル、またはジ-アルキルアミノアルキルである]
で表される基である。
【0168】
構造(IIIB)の化合物の1つのサブクラスは、第1または第2の置換基が5、7または9位にあるものである。ある実施形態では、この第1または第2の置換基は5または7位に存在する。
【0169】
構造(IIIB)の化合物の第2のサブクラスは、第1または第2の置換基が独立にアルコキシ、アリールオキシ、または構造(a)、(c)、(d)、(e)または(f)で表される基であるものであり;
R3およびR4は独立に水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、またはシクロアルキルアルキルであり;かつ
R5は水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、またはシクロアルキルアルキルである。
【0170】
もう1つの実施形態では、JNK阻害剤は以下の構造(IIIC):
【化36】

【0171】
2-オキサ-1-アザ-アセアントリレン-6-オン
を有し、
(i)一置換され、第1の置換基を有するか、または(ii)二置換され、第1の置換基と第2の置換基を有し;
その第1または第2の置換基は、存在する場合には3、4、5、7、8、9または10位にあり;
第1および第2の置換基は、存在する場合、独立にアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、トリフルオロメチル、スルホニル、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アリールアルキル、シクロアルキルアルキルオキシ、シクロアルキルオキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシ、アミノアルコキシ、モノ-アルキルアミノアルコキシ、ジ-アルキルアミノアルコキシ、または構造(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、または(f):
【化37】

【0172】
[式中、R3およびR4は一緒になって、アルキリデンまたはヘテロ原子含有環式アルキリデンを表すか、あるいはR3およびR4は独立に水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールオキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、モノ-アルキルアミノアルキル、またはジ-アルキルアミノアルキルであり;ならびに、
R5は水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノ、モノ-アルキルアミノ、ジ-アルキルアミノ、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、シクロアルキルアルキルアミノ、アミノアルキル、モノ-アルキルアミノアルキル、またはジ-アルキルアミノアルキルである]
で表される基である。
【0173】
構造(IIIC)の化合物の1つのサブクラスは、第1または第2の置換基が5、7または9位にあるものである。ある実施形態では、第1または第2の置換基は5または7位にある。
【0174】
構造(IIIC)の化合物の第2のサブクラスは、第1または第2の置換基が独立にアルコキシ、アリールオキシ、アミノアルキル、モノ-アルキルアミノアルキル、ジ-アルキルアミノアルキル、または構造(a)、(c)、(d)、(e)または(f)で表されるものであり;
R3およびR4は独立に水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、またはシクロアルキルアルキルであり;
R5は水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、またはシクロアルキルアルキルである。
【0175】
もう1つの実施形態では、JNK阻害剤は以下の構造(IIID):
【化38】

【0176】
2,2-ジオキソ-2H-216-アントラ[9,1-cd]イソチアゾール-6-オン
を有し、
(i)一置換され、5、7または9位に存在する第1の置換基を有するか、(ii)二置換され、5位に存在する第1の置換基と7位に存在する第2の置換基を有するか、(iii)二置換され、5位に存在する第1の置換基と9位に存在する第2の置換基を有するか、または(iv)二置換され、7位に存在する第1の置換基と9位に存在する第2の置換基を有し;
その第1および第2の置換基は、存在する場合、独立にアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、トリフルオロメチル、スルホニル、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アリールアルキル、シクロアルキルアルキルオキシ、シクロアルキルオキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシ、アミノアルコキシ、モノ-アルキルアミノアルコキシ、ジ-アルキルアミノアルコキシ、または構造(a)、(b)、(c)、(d)、(e)または(f):
【化39】

【0177】
[式中、R3およびR4は一緒になって、アルキリデンまたはヘテロ原子含有環式アルキリデンを表すか、あるいはR3およびR4は独立に水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールオキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、モノ-アルキルアミノアルキル、またはジ-アルキルアミノアルキルであり;ならびに、
R5は水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノ、モノ-アルキルアミノ、ジ-アルキルアミノ、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、シクロアルキルアルキルアミノ、アミノアルキル、モノ-アルキルアミノアルキル、またはジ-アルキルアミノアルキルである]
で表される基である。
【0178】
構造(IIID)の化合物の1つのサブクラスは、第1または第2の置換基が5または7位に存在するものである。
【0179】
構造(IIID)の化合物の第2のサブクラスは、第1または第2の置換基が独立にアルキル、トリフルオロメチル、スルホニル、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アリールアルキル、シクロアルキルアルキルオキシ、シクロアルキルオキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシ、アミノアルコキシ、モノ-アルキルアミノアルコキシ、ジ-アルキルアミノアルコキシ、または構造(a)、(c)、(d)、(e)または(f)で表される基であるものである。
【0180】
構造(IIID)のもう1つのサブクラスは、第1および第2の置換基が独立にアルコキシ、アリールオキシ、または構造(a)、(c)、(d)、(e)または(f)で表される基であるものであり;
R3およびR4は独立に水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、またはシクロアルキルアルキルであり;ならびに、
R5は水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、アルコキシカルボニル、またはシクロアルキルアルキルである。
【0181】
もう1つの実施形態では、JNK阻害剤は以下の構造(IIE):
【化40】

【0182】
アントラ[9,1-cd]イソチアゾール-6-オン
を有し、
(i)一置換され、5、7または9位に存在する第1の置換基を有するか、(ii)二置換され、5位に存在する第1の置換基と9位に存在する第2の置換基を有するか、(iii)二置換され、7位に存在する第1の置換基と9位に存在する第2の置換基を有するか、または(iv)二置換され、5位に存在する第1の置換基と7位に存在する第2の置換基を有し;
その第1および第2の置換基は、存在する場合、独立にアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、トリフルオロメチル、スルホニル、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アリールアルキル、シクロアルキルアルキルオキシ、シクロアルキルオキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシ、アミノアルコキシ、モノ-アルキルアミノアルコキシ、ジ-アルキルアミノアルコキシ、または構造(a)、(b)、(c)、(d)、(e)または(f):
【化41】

【0183】
[式中、R3およびR4は一緒になって、アルキリデンまたはヘテロ原子含有環式アルキリデンを表すか、あるいはR3およびR4は独立に水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールオキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、モノ-アルキルアミノアルキル、またはジ-アルキルアミノアルキルであり;ならびに、
R5は水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノ,モノ-アルキルアミノ,ジ-アルキルアミノ、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、シクロアルキルアルキルアミノ、アミノアルキル、モノ-アルキルアミノアルキル、またはジ-アルキルアミノアルキルである]
で表される基である。
【0184】
構造(IIIE)の化合物の1つのサブクラスは、第1または第2の置換基が5または7位に存在するものである。
【0185】
構造(IIIE)の化合物の第2のサブクラスは、構造(IIIE)の化合物が二置換されており、その置換基の少なくとも1つが構造(d)または(f)で表されるものであるものである。
【0186】
構造(IIIE)の化合物のもう1つのサブクラスは、その化合物が一置換されていものである。化合物のさらにもう1つのサブクラスは、化合物が5または7位において、構造(e)または(f)で表される基で一置換されているものである。
【0187】
もう1つの実施形態では、JNK阻害剤は以下の構造(IIIF):
【化42】

【0188】
2H-ジベンゾ[cd,g]インダゾール-6-オン
を有し、
(i)非置換であるか、(ii)一置換され、第1の置換基を有するか、または(iii)二置換され、第1の置換基と第2の置換基を有し;
その第1または第2の置換基は、存在する場合には3、4、5、7、8、9または10位にあり;
第1および第2の置換基は、存在する場合、独立にアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、トリフルオロメチル、スルホニル、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アリールアルキル、シクロアルキルアルキルオキシ、シクロアルキルオキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシ、アミノアルコキシ、モノ-アルキルアミノアルコキシ、ジ-アルキルアミノアルコキシ、または構造(a)、(b)、(c)、(d)、(e)または(f):
【化43】

【0189】
[式中、R3およびR4は一緒になって、アルキリデンまたはヘテロ原子含有環式アルキリデンを表すか、あるいはR3およびR4は独立に水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールオキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、モノ-アルキルアミノアルキルまたはジ-アルキルアミノアルキルであり;ならびに
R5は水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノ、モノ-アルキルアミノ、ジ-アルキルアミノ、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、シクロアルキルアルキルアミノ、アミノアルキル、モノ-アルキルアミノアルキルまたはジ-アルキルアミノアルキルである]
で表される基である。
【0190】
ある実施形態では、構造(IIIF)の化合物、またはその製薬上許容される塩は3、4、5、7、8、9または10位において置換されていない。
【0191】
構造(III)のJNK阻害剤は当業者に既知の有機合成技術を用いて、また、2001年2月22日公開の国際公開番号WO 01/12609(特に24頁6行目〜49頁16行目の実施例1〜7)ならびに2002年8月29日公開の国際公開番号WO 02/066450(特に59〜108頁の化合物AA-HG)(これらは各々参照により本明細書にそのまま組み入れられる)に記載の方法により製造することができる。さらに、これらの化合物の具体例もこれらの公報に見出せる。
【0192】
構造(III)のJNK阻害剤の例としては、
【化44】

【0193】
2H-ジベンゾ[cd,g]インダゾール-6-オン;
【化45】

【0194】
7-クロロ-2H-ジベンゾ[cd,g]インダゾール-6-オン;
【化46】

【0195】
5-ジメチルアミノ-2H-ジベンゾ[cd,g]インダゾール-6-オン;
【化47】

【0196】
7-ベンジルオキシ-2H-ジベンゾ[cd,g]インダゾール-6-オン;
【化48】

【0197】
N-(6-オキソ-2,6-ジヒドロ-ジベンゾ[cd,g]インダゾール-5-イル)-アセトアミド;
【化49】

【0198】
5-(2-ピペリジン-1-イル-エチルアミノ)-2H-ジベンゾ[cd,g]インダゾール-6-オン;
【化50】

【0199】
5-アミノ-アントラ[9,1-cd]イソチアゾール-6-オン;
【化51】

【0200】
N-(6-オキソ-6H-アントラ[9,1-cd]イソチアゾール-5-イル)-ベンズアミド;
【化52】

【0201】
7-ジメチルアミノ-アントラ[9,1-cd]イソチアゾール-6-オン;
【化53】

【0202】
2-オキサ-1-アザ-アセアントリレン-6-オン;
およびその製薬上許容される塩がある。
【0203】
本方法で有用な他のJNK阻害剤としては、限定されるものではないが、国際公開番号WO 00/39101(特に2頁10行目〜6頁12行目);国際公開番号WO 01/14375(特に2頁4行目〜4頁4行目);国際公開番号WO 00/56738(特に3頁25行目〜6頁13行目);国際公開番号WO 01/27089(特に3頁7 行目〜5頁29行目);国際公開番号WO 00/12468(特に2頁10行目〜4頁14行目);欧州特許公報1 110 957(特に19頁52行目〜21頁9行目); 国際公開番号WO 00/75118(特に8頁10 行目〜11頁26行目); 国際公開番号WO 01/12621(特に8頁10行目〜10頁7行目);国際公開番号WO 00/64872(特に9頁1行目〜106頁2行目);国際公開番号WO 01/23378(特に90頁1行目〜91頁11行目);国際公開番号WO 02/16359(特に163頁1行目〜164頁25行目);米国特許第6,288,089(特に第22欄25行目〜第25欄35行目);米国特許第6,307, 056(特に第63欄29行目〜第66欄12行目);国際公開番号WO 00/35921(特に23頁5行目〜26頁14行目);国際公開番号WO 01/91749(特に29頁1〜22行目); 国際公開番号WO 01/56993(特に43頁〜45頁);および国際公開番号WO 01/58448(特に39頁)(これらは各々参照により本明細書にそのまま組み入れられる)に開示されているものがある。
【0204】
本発明の方法では、有効量のJNK阻害剤を含んでなる本発明の投与剤型をはじめとする医薬阻害剤を使用することができる。
【0205】
4.2 使用方法
本発明は1つには、種々のタイプおよび重篤度の疼痛を効果的に治療、予防、管理および/または改善するためにJNK阻害剤が単独または別の有効薬または身体療法と組み合わせて作用し得るという確信に基づくものである。特定の理論に拘束されるものではないが、本発明の化合物は、必ずしもそうでない場合もあるが、鎮痛薬として働き得る。特にJNK阻害剤はサイトカイン(例えばTNF-α)の産生に劇的な影響を及ぼすことから、それらは、それらを投与する受傷患者の基準または通常の疼痛閾値を回復させることにより、「抗痛覚過敏症薬」および/または「神経調節物質」として機能し得ると考えられる。よって、JNK阻害剤は、疼痛に関連する苦痛を抑えるか、または侵害受容器の応答性を直接低下させるかのいずれかにより、その応答に抵抗する患者の能力を変化させることによって、通常刺激により誘発される応答を小さくする鎮痛薬とは違ったふうに作用し得る。このため、JNK阻害剤は侵害性疼痛だけでなく、実質的に病因の異なる他のタイプの疼痛(例えば、神経因性疼痛)も治療、予防、管理および/または改善するために使用できると考えられる。さらに、JNK阻害剤が働くと考えられる独自の機構のため、JNK阻害剤は全身投与した場合でも、数種の鎮痛薬(例えば、オピオイド)に典型的な不治の副作用(例えば、麻薬作用)なく疼痛を緩和または軽減することができると考えられる。
【0206】
本発明の方法は種々のタイプの疼痛および関連症候群を治療、予防、管理および/または改善する方法であって、それを必要とする患者に有効量のJNK阻害剤を投与することを含む方法を包含する。
【0207】
ある実施形態では、本発明は侵害性疼痛を治療、予防、管理および/または改善する方法であって、それを必要とする患者に有効量のJNK阻害剤を投与することを含む方法に関する。特定の実施形態では、侵害性疼痛は身体的外傷(例えば、皮膚の切り傷または挫傷;または化学火傷または熱傷)、骨関節炎、慢性関節リウマチまたは腱炎によるものである。もう1つの実施形態では、侵害性疼痛は筋膜疼痛である。
【0208】
もう1つの実施形態では、本発明は神経因性疼痛を治療、予防、管理および/または改善する方法であって、それを必要とする患者に有効量のJNK阻害剤を投与することを含む方法に関する。特定の実施形態では、その神経因性疼痛は卒中、糖尿病性神経障害、梅毒性神経障害、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、繊維筋痛症、またはビンクリスチン、ベルケードもしくはサリドマイドなどの薬物により医原的に誘発される疼痛性神経障害に関連する。
【0209】
もう1つの実施形態では、本発明は混合疼痛(すなわち、侵害性成分と神経因性成分の両者を有する疼痛)を治療、予防、管理および/または改善する方法であって、それを必要とする患者に有効量のJNK阻害剤を投与することを含む方法に関する。
【0210】
もう1つの実施形態では、本発明は内臓痛;頭痛性疼痛(例えば、片頭痛性疼痛);混合疼痛(すなわち、侵害性成分と神経因性成分の両者を有する慢性疼痛);CRPS;I型CRPS;II型CRPS;RSD;反射性神経血管ジストロフィー;反射性ジストロフィー;交感神経により持続する疼痛症候群;カウサルギー;骨のスーデック萎縮;アルゴニューロジストロフィー(algoneurodystrophy);肩手症候群;外傷後ジストロフィー;自立神経機能異常;癌関連疼痛;幻肢痛;繊維筋痛症;筋筋膜疼痛;慢性疲労症候群;術後痛;脊髄損傷疼痛;中枢性卒中後疼痛;神経根障害;温度、軽触感受性または皮膚変色(異痛);高体温または低体温状態からの疼痛;およびその他の有痛性症状(例えば、糖尿病性神経障害、梅毒性神経障害、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、またはビンクリスチン、ベルケードもしくはサリドマイドなどの薬物により医原的に誘発される疼痛性神経障害)を治療、予防、管理および/または改善する方法であって、それを必要とする患者に有効量のJNK阻害剤を投与することを含む方法に関する。
【0211】
もう1つの実施形態では、本発明はサイトカインに関連する疼痛を治療、予防、管理および/または改善する方法であって、それを必要とする患者に有効量のJNK阻害剤を投与することを含む方法に関する。ある実施形態では、サイトカイン活性またはサイトカイン生産を阻害すると、その疼痛の治療、予防、管理および/または改善されることとなる。もう1つの実施形態では、サイトカインはTNF-αである。もう1つの実施形態では、サイトカインに関連する疼痛は侵害性疼痛である。もう1つの実施形態では、サイトカインに関連する疼痛は神経因性疼痛である。
【0212】
もう1つの実施形態では、本発明はマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)に関連する疼痛を治療、予防、管理および/または改善する方法であって、それを必要とする患者に有効量のJNK阻害剤を投与することを含む方法に関する。ある実施形態では、MAPKはJNK(例えばmJNK1、JNK2またはJNK3)である。もう1つの実施形態では、MAPKは細胞外シグナル関連キナーゼ(ERK)(例えば、ERK1またはERK2)である。もう1つの実施形態では、MAPKはp38である。
【0213】
もう1つの実施形態では、本発明は炎症関連疼痛を治療、予防、管理および/または改善する方法であって、それを必要とする患者に有効量のJNK阻害剤を投与することを含む方法に関する。
【0214】
もう1つの実施形態では、本発明は外科、ある態様では計画的手術(すなわち、計画的外傷)に関連する疼痛を治療、予防、管理および/または改善する方法であって、それを必要とする患者に有効量のJNK阻害剤を投与することを含む方法に関する。この実施形態では、JNK阻害剤は計画的手術の前、手術中、または手術後に投与することができる。ある特定の実施形態では、患者に計画的手術の1〜21日前に約5〜約25mg/日のJNK阻害剤、および/または計画的手術の1〜21後に約5〜約25mg/日のJNK阻害剤を投与する。もう1つの実施形態では、患者に計画的手術の1〜21日前に約10mg/日のJNK阻害剤、および/または計画的手術の1〜21後に約10mg/日のJNK阻害剤を投与する。
【0215】
さらなる実施形態では、本発明は以前に疼痛の治療を受けたことのある患者(特に標準的な疼痛療法に不応であった患者)、ならびに以前に疼痛治療を受けたことのない患者を処置する方法であって、それを必要とする患者に有効量のJNK阻害剤を投与することを含む方法に関する。疼痛を受けている患者は不均一な臨床兆候および様々な臨床結果を示すことがあるので、患者に投じられる処置はその患者の予後に応じて様々であり得る。当業者ならば、過度の実験をせずとも、個々の患者の処置に効果的に使用できる特定の二次的薬剤、手術のタイプ、または身体的療法のタイプを容易に決定することができる。
【0216】
なおさらなる実施形態では、本発明は疼痛の発症および持続時間を管理する方法であって、このような管理を必要とする患者に有効量のJNK阻害剤を投与することを含む方法に関する。
【0217】
4.2.1 第2の有効薬との併用療法
本発明はさらに疼痛を治療、予防、管理および/または改善する方法であって、それを必要とする患者に予防薬または治療薬などの第2の有効薬と組み合わせてJNK阻害剤投与することを含む方法に関する。
【0218】
第2の有効薬の例としては、限定されるものではないが、疼痛の治療、予防、管理および/または改善に用いられる通常の治療薬が含まれ、限定されるものではないが、抗鬱薬、抗痙攣薬、抗高血圧薬、抗不安薬、カルシウムチャネル遮断薬、筋弛緩薬、非麻薬性鎮痛薬、オピオイド鎮痛薬、抗炎症薬、cox-2阻害剤、α-アドレナリン作動性受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、ケタミン、麻酔薬、免疫調節薬、免疫抑制薬、コルチコステロイド、高圧酸素、抗痙攣薬、NMDAアンタゴニスト、ImiD(登録商標)およびSelCID(登録商標)(Celgene Corporation, New Jersey)(例えば、米国特許第6,075,041号;同第5,877,200号;同第5,698,579号;同第5,703,098号;同第6,429,221号;同第5,736,570号;同第5,658,940号;同第5,728,845号;同第5,728,844号;同第6,262,101号;同第6,020,358号;同第5,929,117号;同第6,326,388号;同第6,281,230号;同第5,635,517号;同第5,798,368号;同第6,395,754号;同第5,955,476号;同第6,403,613号;同第6,380,239号;および同第6,458,810号(これらは各々参照により本明細書に組み入れられる)に開示されているもの)、またはそれらの組合せ、および例えばPhysician's Desk Reference 2003に見られるその他の治療薬が挙げられる。
【0219】
第2の有効薬剤の具体的な量は用いる特定の薬剤、処置または管理される疼痛のタイプ、疼痛の重篤度およびステージ、およびJNK阻害剤の量、患者に同時に投与する任意の付加的薬剤によって異なる。特定の実施形態では、第2の有効薬剤はサリチル酸アセテート、セレコキシブ(celocoxib)、エンブレル、サリドマイド、IMiD(登録商標)、SelCID(登録商標)、ガバペンチン、フェニトイン、カルバマゼピン、バルプロ酸、硫酸モルヒネ、ヒドロモルホン、プレドニゾン、グリセオフルビン、ペントニウム、アレンドロネート、ジフェンヒドラミド、グアネチジン、ケトロラック、チロカルシトニン、ジメチルスルホキシド、クロニジン、ブレチリウム、ケタンセリン、レゼルピン、ドロペリドール、アトロピン、フェントラミン、ブピバカイン、リドカイン、アセトアミノフェン、ノルトリプチン、アミトリプチリン、イミプラミン、ドキセピン、クロミプラミン、フルオキセチン、セルトラリン、ネファゾドン、ベンラファキシン、トラゾドン、ブプロピオン、メキシレチン、ニフェジピン、プロプラノロール、トラマドール、ラモトリジン、ジコノチド、ケタミン、デキストロメトルファン、ベンゾジアゼピン、バクロフェン、チザニジン、フェノキシベンザミン、もしくはその組合せ、またはその製薬上許容される塩、溶媒和物、立体異性体、包接体、プロドラッグまたは薬理学的に有効な代謝産物である。
【0220】
ヒドロモルホンは中度から重度の疼痛を管理するために、好ましくは約2mgの初期用量で経口投与するか、または約1mgで静脈投与する。例えば、Physicians’ Desk Reference, 441-446 (第56版, 2002)参照。硫酸モルヒネは、患者がすでに麻酔性鎮痛薬を摂取しているかどうかにもよるが、約2mgIV/SC/IMの初期用量で投与するのが好ましい。例えば、Physicians’ Desk Reference, 594-595 (第56版, 2002)参照。患者が副作用の兆候、特に呼吸低下を示さない限り、投与できる内因的制限はない。種々のIV量を使用でき、通常は所望の効果が得られるまで点滴する。長期にわたって薬剤を用いない患者では、2mg IV/SCといった低用量で十分である場合がある。長期麻薬性鎮痛剤を摂取している患者では一般にもっと高用量が必要である。また、硫酸モルヒネは即時放出剤型および遅延放出剤型の経口投与剤型でも利用することができる。持続性経口投与剤型は1日2回投与すればよい。即時放出型は過去の使用に依存する用量で、疼痛打破の期間に必要となり得る。オキシコドンは持続型のオピオイドであり、疼痛の初期および後期ステージに用いることができる。オキシコドンは好ましくは1日2回約10〜160mg量を投与する。例えば、Physicians’ Desk Reference, 2912-2916(第56版, 2002)参照。メペリジンは好ましくは3〜4時間おきに約50〜150mg量でPO/IV/IM/SC投与する。メペリジンの通常の小児用量は3〜4時間おきに1〜1.8mg/kg(0.5〜0.8mg/1b)である。例えば、Physicians’ Desk Reference, 3079-3081(第56版, 2002)参照。フェンタニル経皮パッチは経皮投与剤型として利用できる。大部分の患者には72時間の投与間隔でこの薬物を投与するが、約48時間の投与間隔が必要な患者もいる。通常の成人用量は約25mcg/h(10cm2)、50mcg/h(20cm2)、75mcg/h(75cm2)、または100mcg/h(100cm2)である。例えば、Physicians’ Desk Reference, 1786-1789(第56版, 2002)参照。
【0221】
非麻薬性鎮痛薬および抗炎症薬は軽度から中度の疼痛に苦しむ患者を治療するのに使用できる。非ステロイド抗炎症性薬(NSAID)およびcox-2阻害剤などの抗炎症薬は通常、プロスタグランジン合成を担うシクロオキシゲナーゼの活性を低下させることにより炎症性反応と疼痛を阻害する。抗炎症薬の例としては、限定されるものではないが、サリチル酸アセテート、イブプロフェン、ケトプロフェン、ロフェコキシブ、ナプロキセンナトリウム、ケトロラック、およびその他の既知の従来の薬物が挙げられる。イブプロフェンは1日3回400〜800mg量で経口投与することができる。例えば、Physicians' Desk Reference, 511, 667および773(第56版, 2002) ; Physicians' Desk Reference for Nonprescription Drug and Dietary Supplements, 511, 667,773(第23版, 2002)参照。ナプロキセンナトリウムはまた、軽度から中度の疼痛の緩和には、好ましくは1日3回約275mgまたは1日2回約550mgの量で用いればよい。Physicians' Desk Reference, 2967-2970(第56版, 2002)参照。具体的なcox-2阻害剤としてはセレコキシブ(celocoxib)がある。
【0222】
また、抗鬱薬、例えば、ノルトリプチリンも、本発明の実施形態において、慢性および/または神経因性疼痛に苦しむ患者を治療するのに用い得る。抗鬱薬は、シナプス前のニューロン膜によるセロトニンおよび/またはノルエピネフリンの再取り込みを阻害することにより、CNSにおいてそれらのシナプス濃度を高める。数種の抗鬱薬はまた、受傷した末梢求心繊維の発火率を低下させるためにナトリウムチャネル遮断能も有する。抗鬱薬の例としては、限定されるものではないが、ノルトリプチリン(Pamelor(登録商標))、アミトリプチリン(Elavil(登録商標))、イミプラミン(Tofranil(登録商標))、ドキセピン(Sinequan(登録商標))、クロミプラミン(Anafranil(登録商標))、フルオキセチン(Prozac(登録商標))、セルトラリン(Zoloft(登録商標))、ネファゾドン(Serzone(登録商標))、ベンラファキシン(Effexor(登録商標))、トラゾドン(Desyrel(登録商標))、ブプロピオン(Wellbutrin(登録商標)およびその他の既知の従来の薬物が挙げられる。例えば、Physicians’ Desk Reference, 329, 1417, 1831および3270(第57版, 2003)参照。経口成人用量は通常、約25〜100mg量、好ましくは200mg/日を超えない量である。通常の小児用量は初期用量として約0.1mg/kg POであり、許容度に応じて約0.5〜2mg/日まで高める。アミトリプチリンは好ましくは神経因性疼痛に対して成人用量約25〜100mg POで用いる。例えば、Physicians’ Desk Reference, 755, 1238, 1684および3495(第56版, 2002)参照。
【0223】
また、本発明の実施形態では、抗痙攣薬も用い得る。抗痙攣薬の例としては、限定されるものではないが、カルバマゼピン、オキシカルバゼピン(Trileptal(登録商標))、ガバペンチン(Neurontin(登録商標))、フェニトイン、バルプロ酸ナトリウム、クロナゼパム、トピラメート、ラモトリジン、ゾニサミド、およびチアガビンが挙げられる。例えば、Physicians' Desk Reference, 2563(第57版, 2003)参照。
【0224】
ある実施形態では、JNK阻害剤と第2の有効薬を患者、好ましくは哺乳類、より好ましくはヒトに、JNK阻害剤が他の薬剤とともに働いて、そうでない投与を行った場合よりも高い利益が得られるような順序および時間間隔で投与する。例えば、第2の有効薬剤は同時に投与してもよいし、あるいはいずれかの順序で異なる時点に投与してもよいが、同時に投与しない場合は、それらは所望の治療効果または予防効果が得られるような十分の近い時間で投与すべきである。ある実施形態では、JNK阻害剤と第2の有効薬剤は重複する時間にそれらの効果を発揮する。各第2の有効薬剤はいずれの好適な形態で、また、いずれの好適な経路で個別投与してもよい。他の実施形態では、JNK阻害剤は第2の有効薬剤を投与する前、投与と同時、または投与後に投与する。また、予防手段として、または疼痛を緩和するために手術を行うこともできる。
【0225】
種々の実施形態では、JNK阻害剤と第2の有効薬剤は約1時間未満あけて、約1時間あけて、約1時間〜約2時間あけて、約2時間〜約3時間あけて、約3時間〜約4時間あけて、約4時間〜約5時間あけて、約5時間〜約6時間あけて、約6時間から約7時間あけて、約7時間〜約8時間あけて、約8時間〜約9時間あけて、約9時間〜約10時間あけて、約10時間〜約11時間あけて、約11時間〜約12時間あけて、24時間だけあけて、または48時間だけあけて投与する。他の実施形態では、JNK阻害剤と第2の有効薬剤は同時に投与する。
【0226】
その他の実施形態では、JNK阻害剤と第2の有効薬剤は約2〜4日あけて、約4〜6日あけて、約1週間あけて、約1〜2週間あけて、または2ヶ月以上あけて投与する。
【0227】
特定の実施形態では、JNK阻害剤および場合により第2の有効薬剤は患者に周期的に投与する。サイクリング療法は一定期間第1の薬剤を投与した後、一定期間第2の薬剤および/または第3の薬剤を投与し、この一連の投与を繰り返す。サイクリング療法は1以上の療法の耐性の発達を軽減し、それら療法の1つの副作用を回避または軽減し、かつ/または処置の効力を向上させることができる。
【0228】
特定の実施形態では、JNK阻害剤および場合により第2の有効薬剤を約3週間未満のサイクル、2週間に約1回、10日約1回、または毎週約1回投与する。1サイクルはJNK阻害剤および場合により第2の有効薬剤の、各サイクル約90分、各サイクル約1時間、各サイクル約45分にわたる点滴による投与を含む。各サイクルは少なくとも1週間の休止、少なくとも2週間の休止、少なくとも3週間の休止を含む。投与するサイクル回数は約1〜約12サイクル、より一般には約2〜約10サイクル、より一般には約2〜約8サイクルである。
【0229】
さらにその他の実施形態では、JNK阻害剤は、長期の休止期間なく、連続点滴または高頻度投与のいずれかにより、規則的投与計画によって投与する。このような規則的投与は休止期間のない一定間隔での投与を含み得る。通常には、JNK阻害剤はより低用量で用いられる。このような投与計画は長期間にわかり比較的低用量の長期毎日投与を包含する。好ましい実施形態では、より低用量の使用は有害な副作用を最小限にし、休止期間をなくすことができる。特定の実施形態では、JNK阻害剤は約24時間〜約2日、約1週間〜約2週間、約3週間〜約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月の範囲の長期低用量または点滴によって送達される。
【0230】
その他の実施形態では、治療コースは患者に同時に投じられ、すなわち、個々の用量の第2の有効薬剤は、JNK阻害剤が第2の有効薬剤とともに働き得る時間間隔内で個別に投与される。例えば、ある成分を1週間に1回、2週間に1回、または3週間に1回投与できる他の成分と組み合わせて投与することができる。言い換えれば、これらの投与計画はそれらの治療薬が同時点または同じ日の間に投与されなくとも、同時に行われる。
【0231】
第2の有効薬剤はJNK阻害剤と相加作用、またはより好ましくは、相乗作用することができる。ある実施形態では、JNK阻害剤は同じ医薬組成物中の2以上の第2の有効薬剤と同時に投与される。もう1つの実施形態では、JNK阻害剤は個別の医薬組成物中の1以上の第2の有効薬剤とともに同時投与される。さらにもう1つの実施形態では、JNK阻害剤は第2の有効薬剤の投与前または投与後に投与される。本発明は同じ投与経路または異なる投与経路(例えば、経口と非経口など)によるJNK阻害剤と第2の有効薬剤の投与を意図する。特定の実施形態では、JNK阻害剤が、限定されるものではないが毒性をはじめとする有害な副作用をもたらす可能性のある第2の有効薬剤と同時に投与される場合、第2の有効薬剤は、有害な副作用が誘発される閾値を下回る用量で有利に投与することができる。
【0232】
4.2.2 身体療法または心理療法との併用
さらにもう1つの実施形態では、本発明は疼痛を治療、予防、改善および/または管理する方法であって、JNK阻害剤を身体療法または心理療法と組み合わせて投与することを含む方法を包含する。
【0233】
疼痛の症状としては、血管運動不全および運動障害が含まれる。疼痛を受けている患者では、段階的な能動的荷重負荷に対して緩やかな荷重負荷の一定の進展が重要である。また、知覚刺激の増強に対する段階的な脱感作も助けとなり得る。標準化された感覚の緩やかな増強はCNSにおいて変更された処理をリセットする傾向がある。従って、身体療法は機能回復に重要な役割を果たし得る。物理療法の目的は強度と柔軟性を徐々に高めることである。
【0234】
JNK阻害剤と身体療法の併用は特定の患者において予期できないほど効果的な独特な処置計画を提供し得ると考えられる。特定の理論に拘束されるものではないが、JNK阻害剤を身体療法とともに与えれば、相加作用または相互作用が提供できると考えられる。
【0235】
多くの疼痛関連の文献に鬱病や不安などの同時的な挙動および精神罹患が示されている。JNK阻害剤と心理学的処置の併用は特定の患者において予期できないほど効果的な独特な処置計画を提供し得ると考えられる。特定の理論に拘束されるものではないが、JNK阻害剤を、限定されるものではないが、バイオフィードバック、リラックス訓練、認知行動療法および個人または家族心理療法をはじめとする心理療法とともに与えれば、相加作用または相互作用が提供できると考えられる。
【0236】
4.2.3 介入的疼痛管理技術との併用
さらにもう1つの実施形態では、本発明は疼痛を治療、予防、改善および/または管理する方法であって、疼痛管理介入技術と組み合わせて(その前、その間またはその後に)JNK阻害剤を投与することを含む方法を包含する。疼痛管理介入技術の例とそては、限定されるものではないが、交感神経ブロック、静脈内局所ブロック、脊柱刺激因子の留置または鎮痛薬送達のための髄腔内注入装置の留置が挙げられる。好ましい疼痛管理介入技術は、疼痛を感じている領域に交感神経系の活動を妨げる選択的神経ブロックを提供する。
【0237】
JNK阻害剤と疼痛管理介入技術の併用は特定の患者において予期できないほど効果的な独特な処置計画を提供し得る。特定の理論に拘束されるものではないが、JNK阻害剤を疼痛管理介入技術とともに与えれば、相加作用または相互作用が提供できると考えられる。疼痛管理介入技術の例としては、限定されるものではないが、ブピバカイン、リドカイン、グアネチジン、ケタミン、ブレチリウム、ステロイド、ケトロラックおよびレゼルピンなどの局所麻酔薬のような種々の薬剤によるBIERブロックを用いた介入的局所ブロックがある。Perez, R. S.ら, J Pain Symptom Manage 21(6):511-26 (2001)。上肢を含む疼痛には、星状(頚胸) 神経節ブロックを用い得る。本発明はまた、腕神経叢ブロックの種々の変形とともに連続硬膜外注入を含む体性ブロックの使用を包含する。また、体性ブロックの腋窩、鎖骨上、または鎖骨下アプローチも有用であり得る。
【0238】
4.3 医薬組成物
JNK阻害剤を含んでなる阻害剤としては、医薬組成物の製造に有用なバルク組成物(例えば、不純、または非滅菌組成物)および単位投与剤型の製造に使用できる医薬組成物(すなわち、患者に投与するのに好適な組成物)が含まれる。このような組成物は場合により有効量のJNK阻害剤、または本明細書開示されているJNK阻害剤と製薬上許容されるビヒクル、賦形剤または担体の組合せを含んでなる。好ましくは、本発明の組成物は予防上または治療上有効な量のJNK阻害剤および場合により第2の有効薬剤と製薬上許容される担体とを含んでなる。ある実施形態では、第2の有効薬剤は抗癌剤ではない。
【0239】
ある特定の実施形態では、「製薬上許容される」とは、連邦政府または州政府の規制局によって認可されているか、または米国薬局方もしくは動物、より詳しくはヒトでの使用に関する他の一般に認知されている薬局方に挙げられていることを意味する。「担体」とは、それとともにJNK阻害剤が投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルを意味する。このような医薬ビヒクルは水、および落花生油、大豆油、鉱油、胡麻油などのような石油、動物、植物または合性起源のものをはじめとするオイルなどの液体であってよい。医薬ビヒクルは生理食塩水、アラビアガム、ゼラチン、デンプンペースト、タルク、ケラチン、コロイド状シリカ、尿素などであってもよい。さらに、補助剤、安定剤、贈粘剤、滑沢剤および着色剤も使用できる。患者に投与する場合、製薬上許容されるビヒクルは好ましくは生理食塩水である。JNK阻害剤を静脈投与する場合には、水がビヒクルであり得る。特に注射溶液では、生理食塩水ならびにデキストロースおよびグリセロール水溶液が液体ビヒクルとして使用できる。また、好適な医薬ビヒクルとしては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールなどの賦形剤も含まれる。本組成物は場合により微量の湿潤剤または乳化剤、またはpH緩衝剤を含んでもよい。
【0240】
本組成物は溶液、懸濁液、エマルション、錠剤、丸剤、ペレット、カプセル剤、液体含有カプセル剤、粉末、徐放性製剤、坐剤、エマルション、エアゾール、スプレー、懸濁液、使用に好適な他のいずれかの形態をとってよい。ある実施形態では、製薬上許容されるビヒクルはカプセル剤(例えば、米国特許第5,698,155号参照)である。好適なビヒクルの他の例としては、E. W. Martin により"Remington's Pharmaceutical Sciences"に記載されている。
【0241】
好ましい実施形態では、JNK阻害剤および所望により治療薬または予防薬はヒトへの静脈投与に適合した医薬組成物として通常の手順に従って調剤される。通常、静脈投与用のJNK阻害剤は滅菌等張水性バッファー中の溶液である。必要であれば、これらの組成物は可溶化剤を含んでもよい。静脈投与用組成物は所望により注射部位の痛みを軽減するため、リグノカインなどの局所麻酔薬を含んでもよい。一般にこれらの成分は、例えば有効薬剤の量を示すアンプルもしくはサシェのような密閉容器中の凍結乾燥粉末または無水濃縮物として個別に、または単位投与形中にともに混合して提供される。JNK阻害剤を点滴によって投与する場合は、例えば滅菌医薬級水または生理食塩水を含有する点滴瓶で分配することができる。JNK阻害剤を注射によって投与する場合は、投与前に成分を混合できるように、滅菌注射水または生理食塩水のアンプルを提供することができる。
【0242】
経口送達用組成物は例えば錠剤、トローチ剤、水性または油性懸濁液、顆粒、粉末、エマルション、カプセル剤、シロップ剤、またはエリキシル剤の形態をとってもよい。経口投与組成物は、製薬上味のよい製剤を提供するため、1以上の任意の薬剤、例えば、フルクトース、アスパルテームまたはサッカリンなどの甘味剤;ペパーミント、ウインターグリーンまたはチェリーなどの香味剤;着色剤;ならびに保存剤を含み得る。さらに、錠剤または丸剤の場合、これらの組成物は胃腸管での崩壊および吸収を遅延させ、それにより長時間の持続的作用を提供するためにコーティングすることができる。浸透圧的に活性な駆動化合物を取り囲む選択的透過膜も経口投与JNK阻害剤に好適である。これら後者のプラットフォームでは、カプセル周囲の環境からの流体が駆動化合物によって吸収され、膨潤し、開口部から薬剤または薬剤組成物が解離する。これらの送達プラットフォームは即放出型製剤の急激なプロフィールとは対照的に実質的にゼロオーダーの送達プロフィールを提供し得る。また、モノステアリン酸グリセロールまたはステアリン酸グリセロールなどの遅延物質も使用できる。経口組成物はマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準的なビヒクルを含み得る。このようなビヒクルは好ましくは医薬級のものである。
【0243】
さらに、JNK阻害剤の作用は適切な調剤により遅延または延長させることができる。例えば、溶解の遅いJNK阻害剤のペレットを調製し、錠剤またはカプセル剤に組み込むことができる。この技術は数種の異なる解離速度のペレットを製造し、そのペレットの混合物をカプセルに充填することにより改良することができる。錠剤またはカプセル剤は推定可能な時間の間、溶解に耐性のあるフィルムでコーティングすることができる。非経口剤形であっても、血漿中にゆっくりしか分散させない油性または乳化ビヒクル中に化合物を溶解または懸濁させることにより、持続作用型とすることができる。
【0244】
4.4 製剤
本発明に従って用いられる医薬組成物は、1以上の生理学上許容される担体または賦形剤を用いて常法にて製剤化することができる。
【0245】
よって、JNK阻害剤および場合により第2の有効薬剤、ならびにそれらの生理学上許容される塩および溶媒和物は、吸入または吹送(経口および経鼻のいずれか)、または経口、非経口または粘膜(口内、膣、直腸、舌下など)投与による投与のための医薬組成物へと製剤化することができる。ある実施形態では、局所または全身非経口投与を用いる。
【0246】
経口投与では、医薬組成物は例えば、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);増量剤(例えば、ラクトース、微晶質セルロースまたはリン酸水素カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはグリコール酸ナトリウムデンプン);または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの製薬上許容される賦形剤を用いて常法により調製される錠剤またはカプセル剤の形態をとってもよい。これらの錠剤は当業者に周知の方法によりコーティングすることができる。経口投与用形態製剤は例えば溶液、シロップまたは懸濁液の形態をとってもよいし、あるいは使用前に水またはその他の好適なビヒクルで構成するための乾燥製品として提供することもできる。このような液体製剤は沈殿防止剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または硬化食用油脂);乳化剤(例えば、レシチンまたはアラビアガム);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコールまたは精留植物油);および保存剤(例えば、メチルまたはプロピル-p-ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸)などの製薬上許容される添加剤を用いて常法により調製することができる。また、これらの製剤は適当であればバッファー塩、香味剤、着色剤、および甘味剤を含んでもよい。
【0247】
経口投与用製剤はJNK阻害剤の徐放性を得られるよう適宜調剤することができる。
【0248】
口内投与としては、医薬組成物は常法にて調剤された錠剤またはトローチ剤の形態をとってもよい。
【0249】
吸入による投与としては、本発明に従って用いられる医薬組成物は好適な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素またはその他の好適なガスを用いて、加圧パックまたはネブライザーからのエアゾールスプレー剤形の形態で便宜に送達される。加圧エアゾールの場合、投与単位は計量した量を送達するためにバルブを設けることによって決定することができる。化合物と、ラクトースまたスターチなどの好適な粉末塩基の粉末混合物を含有する、吸入または吹送器に用いられる例えばゼラチンのカプセルおよびカートリッジを製剤化することができる。
【0250】
医薬組成物は、例えばボーラス注射または点滴による注射による非経口投与用に調剤することができる。注射用製剤は、例えばアンプル中の単位投与形、または保存剤を添加した多用量容器で提供することができる。医薬組成物は油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液またはエマルションの形態をとってもよく、また、沈殿防止剤、安定剤および/または分散剤などの配合剤を含んでもよい。あるいは、有効成分は使用前に好適なビヒクル、例えば滅菌パイロジェンフリー水で構成する粉末形態であってもよい。
【0251】
医薬組成物は例えば、ココアバターまたはその他のグリセリドなどの通常の坐剤ベースを含有する坐剤または滞留型浣腸などの直腸組成物として製剤化することもできる。
【0252】
これまでに記載した製剤の他、医薬組成物はデポー製剤として製剤化することもできる。このような持続作用型製剤は埋植(例えば皮下または筋肉内)により、あるいは筋肉注射により投与することができる。よって、例えば、医薬組成物は好適な高分子または疎水性物質(例えば、許容されるオイル中のエマルションとして)、またはイオン交換樹脂を用いて、あるいは難溶性誘導体、例えば難溶性塩として製剤化することができる。
【0253】
本発明はまた、医薬組成物を量を示すアンプルまたはサシェなどの密閉容器中に封入できることも提案する。ある実施形態では、医薬組成物は密閉容器中の乾燥滅菌凍結乾燥粉末または無水濃縮物として供給でき、例えば水または生理食塩水で患者に投与するのに適当な濃度に再構成することができる。
【0254】
医薬組成物は場合により有効成分を含有する1以上の単位投与形を含み得るパックまたはディスペンサーディバイスで提供することができる。このパックは例えばブリスターパックなど、金属またはプラスチックホイルからなり得る。このパックまたはディスペンサーに投与の説明書を添えることができる。
【0255】
特定の好ましい実施形態では、パックまたはディスペンサーはPhysiciall's Desk Reference (第56版, 2002、参照により本明細書にそのまま組み入れる)で定められているような奨励投与製剤だけを含有する1以上の単位投与形を含む。
【0256】
4.5 投与経路
JNK阻害剤および場合により第2の有効薬剤を投与する方法は、限定されるものではないが、非経口投与(例えば、皮内、筋肉内、腹膜内、静脈内および皮下)、硬膜外、および粘膜(例えば、鼻腔内、直腸、膣、舌下、口内または経口経路)が挙げられる。ある特定の実施形態では、JNK阻害剤および場合により第2の有効薬剤は筋肉内、静脈内、または皮下投与する。JNK阻害剤および場合により第2の有効薬剤はまた、点滴またはボーラス注射により投与することもでき、他の生物学的に有効な薬剤とともに投与することもできる。投与は局所投与であっても全身投与であってもよい。JNK阻害剤および場合により第2の有効薬剤、ならびにいそれらの生理学上許容される塩および溶媒和物はまた吸入または吹送法(経口または経鼻のいずれか)によって投与することもできる。ある実施形態では、局所または全身非経口投与が用いられる。
【0257】
特定の実施形態では、JNK阻害剤をそれを必要とする領域に局所投与するのが望ましい場合がある。これは例えば、限定されるものではないが、手術中の局所注入、例えば手術後の創傷包帯と組み合わせての局所適用による、注射による、カテーテルの手段による、坐剤の手段による、またはインプラントの手段によるなどして達成することができ、該インプラントはシアラスチック膜などの膜または繊維をはじめとする多孔質、非多孔質、またはゼラチン質素材である。ある実施形態では、投与はテローム斑組織の部位(または前者の部位)における直接注入によればよい。
【0258】
また、例えば吸入器またはネブライザーおよびエアゾール化剤を含む製剤の使用による、またはフルオロカーボンもしくは合成肺界面活性剤にての潅流による肺投与を使用することもできる。特定の実施形態では、JNK阻害剤は従来の結合剤、およびトリグリセリドなどのビヒクルを用いて坐薬として製剤化することができる。
【0259】
もう1つの実施形態では、JNK阻害剤は小胞、特にリポソームにて投与することができる(Langer, 1990, Science 249:1527-1533; Treatら, in Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer, Lopez-Berestein and Fidler (編), Liss, New York, 353-365頁 (1989); Lopez-Berestein, 同書, 317-327頁参照;全般的には同書参照)。
【0260】
さらにもう1つの実施形態では、JNK阻害剤は徐放系にて送達することができる。ある実施形態では、ポンプを使用することができる(Langer, 前掲 ; Sefton, 1987, CRC Crit. Ref : Biomed. Eng. 14:201; Buchwaldら, 1980, Surgery 88:507 Saudekら, 1989, N. Engl. J. Med. 321: 574参照)。もう1つの実施形態では、高分子物質を用いることができる(Medical Applications of Controlled Release, Langer and Wise (編), CRC Pres., Boca Raton, Florida (1974); Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance, Smolen and Ball (編), Wiley, New York (1984); Ranger and Peppas, 1983, J. Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23:61参照;また、Levyら, 1985, Science 228:190; Duringら, 1989, Ann. Neurol. 25:351; Howardら, 1989, J. Neurosurg. 71:105も参照)。さらにもう1つの実施形態では、徐放系をJNK阻害剤の標的、例えば肝臓の近傍に置いてもよく、そうすれば全身用量の一部が必要なだけですむ(例えば、Goodson, in Medical Applications of Controlled Release, 前掲, 第2巻, 115-138頁(1984)参照)。Langer, 1990, Science 249:1527-1533)による総説で開示されている他の徐放系も使用できる。
【0261】
4.6 用量
疼痛の治療、予防、管理および/または改善に有効なJNK阻害剤の量は標準的な研究技術によって決定することができる。例えば、疼痛の治療、予防、管理および/または改善に有効なJNK阻害剤の量は、例えば当業者に既知の動物モデルなどのモデルにおいて動物にJNK阻害剤を投与することによって決定することができる。さらに、場合によりin vitroアッセイを用いて至適用量範囲を確認する助けとすることもできる。
【0262】
特定の有効量の選択は、当業者ならば、当業者に既知のいくつかの因子を考慮することに基づいて決定することができる(例えば、臨床試験による)。このような因子としては、処置または予防する疾病、関与する症状、患者の体重、患者の免疫状態および当業者に既知の他の因子が挙げられる。
【0263】
また、製剤に用いる正確な用量は投与経路、および疼痛の重篤度によっても異なり、医師の判断および各患者の環境に応じて決定しなければならない。有効量はin vitroまたは動物モデル試験系から導き出された用量応答曲線から推定することができる。
【0264】
ヒトなどの患者に投与するJNK阻害剤の用量はかなり広い変動があり、それぞれの判断に従うものであってよい。多くの場合、その日の異なる時間にJNK阻害剤の一日量を投与するのが実践的である。しかし、どんな場合でも、投与するJNK阻害剤の量は有効成分の溶解度、用いる製剤、患者の状態(体重など)、および/または投与経路などの因子によって異なる。
【0265】
ある実施形態では、単独または第2の有効薬剤と組み合わせたJNK阻害剤の有効量の一般範囲は約0.001mg/日〜約1000mg/日、より好ましくは約0.001mg/日〜750mg/日、より好ましくは約0.001mg/日〜500mg/日、より好ましくは約0.001mg/日〜250mg/日、より好ましくは約0.001mg/日〜100mg/日、より好ましくは約0.001mg/日〜75mg/日、より好ましくは約0.001mg/日〜50mg/日、より好ましくは約0.001mg/日〜25mg/日、より好ましくは約0.001mg/日〜10mg/日、より好ましくは約0.001mg/日〜1mg/日である。もう1つの実施形態では、単独または第2の有効薬剤と組み合わせたJNK阻害剤の有効量の一般範囲は約50mg/日〜約1500mg/日、より好ましくは約50mg/日〜1000mg/日、より好ましくは約100mg/日〜400mg/日である。もちろん、多くの場合、その日の異なる時間に化合物の一日量の分割量を投与するのが実践的である。しかし、どんな場合でも、投与する化合物の量は有効成分の溶解度、用いる製剤、患者の状態(体重など)、および/または投与経路などの因子によって異なる。特定の実施形態では、JNK阻害剤は毎日、一日おき、週に数回、毎週、隔週、または毎月投与することができる。
【0266】
4.7 キット
本発明はJNK阻害剤および場合により疼痛の治療、予防、管理および/または改善に有用な1以上の第2の有効薬剤を含有する1以上の容器を含んでなる医薬パックまたはキットを提供する。本発明はまた、医薬組成物の1以上の成分を含有する1以上の容器を含んでなる医薬パックまたはキットも提供する。このような容器には場合により、医薬または生物製品の製造、使用または販売を規制する政府当局によって指定された形式で注意書き(この注意書きはヒト投与用としての製造、使用または販売に関して当局により認可されたものであることを示す)または組成物の使用に関する説明書を添付してもよい。
【0267】
本発明は上記の方法で使用できるキットを提供する。ある実施形態では、キットは1以上の容器中にJNK阻害剤、および場合により1以上のさらなる容器中に疼痛の治療、予防または管理に有用な1以上の第2の有効薬剤を含む。
【実施例】
【0268】
5. 実施例
以下の実施例は本発明の特定の態様を例示するものであって、その範囲を限定するものではない。
【0269】
JNK阻害剤は、当技術分野で既知のいずれの疼痛モデルにより、疼痛を治療、予防、管理および/または改善するそれらの能力に関して試験することができる。種々の動物疼痛モデルが、参照により本明細書にそのまま組み入れられるHogan, Q., Regional Anesthesia and Pain Medicine 27(4):385- 401 (2002)に記載されている。
【0270】
侵害性疼痛モデルの例としては、ホルマリン試験、ホットプレート試験およびテールフリック試験が挙げられる。これらは損傷誘導型の疼痛モデルに有用である。
【0271】
ホルマリン試験の例示的実施例は本明細書では実施例5.1で示されている。要するに、ホルマリンを後脚の足底表面に注射し、試験化合物の有効性は特定用量の試験化合物に対して一定の時間の間に観察された疼痛関連挙動の数を記録することにより決定することができる。Abbott, F.et al. Pain 60:91-102 (1995)。
【0272】
ホットプレート試験の例示的実施例は本明細書では実施例5.2に示されている。要するに、動物に試験化合物を投与した後、その動物がホットプレートの熱刺激に反応するまでの時間を観測する。Malmberg, A. and Yaksh, T., Pain 60:83-90 (1995)。
【0273】
テールフリック試験の例示的実施例は本発明では実施例5.3に示されている。要するに、動物に試験化合物を投与した後、その動物がその尾に対する集束光線の刺激に反応するまでの時間を観測する。
【0274】
最も汎用される神経因性疼痛モデルはBennett, SelzerおよびChungのモデルである。Siddall, P. J.およびMunglani, R., Animal Models of Pain, 377-384頁 in Bountra, C., Munglani, R., Schmidt, W. K.,編, Pain: Current Understanding, Emerging Therapies and Novel Approaches to Drug Discovery, Marcel Dekker, Inc., New York, 2003。BennettおよびSelzerのモデルは周知のものであり、迅速に遂行できる。Chungのモデルはほとんどの動物の機械的異痛に確実であり、複雑ではあるが、十分特徴付けられている。
【0275】
本明細書において実施例5.4に記載されているようなカプサイシンモデルは痛覚過敏および異痛を処置するために用いられる薬剤(例えば、バニロイド受容体1(VR1)アンタゴニストおよびAMPAアンタゴニスト)に対して適当であり得、一方、紫外線皮膚火傷はブラジキニンB1受容体アンタゴニスト、カンナビノイドアゴニスト、およびVR1アンタゴニストに対して適当であり得る。カプサイシンモデルの臨床適用は、オピオイド、局所麻酔薬、ケタミンおよびガバペンチンなど、臨床使用されるいくつかの薬物の抗痛覚過敏作用を助けた。内臓モデルはこれまでのところ、痛覚過敏モデルとしての可能性は未知であり、確認が必要である。
【0276】
これらのモデルは臨床症状におけるいくつかの傷害および機能不全を試行または模倣する一定範囲のアプローチである。また、糖尿病性神経障害または新規の骨癌および内臓痛モデルなど、疼痛を伴う疾病の動物モデルも存在する。
【0277】
動物モデルの欠点は、それらが生じた疼痛を測定するに過ぎないということである。痛覚過敏が最もよく測定されている。臨床疼痛状態との関連が最も懸念される自発的疼痛を測定する動物モデルはない。
【0278】
5.1 ラットにおける持続的疼痛を測定するためのホルマリン試験
動物にJNK阻害剤またはビヒクル(対照)を注射した後、脚の背面にホルマリンを注射する。この動物を観察し、注射した脚を縮める回す数を60分にわたって測定する。このモデルは疼痛の処置における抗侵害薬物の評価を可能にするものである。
【0279】
試験の間、動物はシューボックスケージに入れる。ホルマリン(50μl; 0.5%)を、つま先の上、足首の下に針(28.5G)を当て、それを皮膚の表面下に挿入することにより、右後脚の背面に注射する。タイマーは注射直後に開始し、フェーズ1の記録とする。注射後10分間、動物を観察し、注射した脚を縮める回数を数える。最初のホルマリン注射後30分でフェーズ2が始まる。フェーズ1の場合と同様にさらに20分間、縮める回数を数える。JNK阻害剤はホルマリン試験24時間前までに、経口、腹腔内、静脈内、皮下のいずれかの投与経路で投与する。動物はそれらを処置した順序で繰り返される。試験期間の終了直後に、 LACUC指針に従ってCO2窒息により動物を安楽死させる。
【0280】
この研究中のいずれかの時点で予期しない事象を受けた動物は獣医学的介入に関して評価する。標準的な獣医学的医療で回復させることができない動物はすぐにLACUC指針に従ってCO2窒息により安楽死させる。
【0281】
5.2 ラットにおける急性疼痛の試験のためのホットプレート試験
動物に阻害剤またはビヒクル(対照)を注射した後、ある時点で一度ホットプレートに乗せる。熱刺激に応答する潜伏時間を、動物が脚の一方を舐めるまでの時間により計測する。このモデルでは疼痛の処置における抗侵害薬の評価を考慮している(Langermanら,Pharmacol. Toxicol. Methods 34 : 23-27 (1995)参照)。
【0282】
モルヒネ処置を用いて、至適ホットプレート温度を決定する。8〜10mg/kgモルヒネ(腹腔内)の用量で急性疼痛アッセイにおける最大に近い抗侵害性応答が得られる。装置を、これらの用量のモルヒネでこのタイプの抗侵害性応答が見られる温度に設定する(約55℃)。JNK阻害剤は、ホットプレート試験の24時間前までに経口、腹腔内、静脈内または皮下のいずれかの投与経路で投与する。処置後一定の時間が経過したとき、動物の個々の試験を始める。1個体の動物をホットプレートに乗せ、すぐにストップウォッチまたはタイマーをスタートする。侵害性応答(例えば、脚を舐める)を示すか、または30秒のカットオフ時間に達するまで(加熱面に長時間曝されることで起こり得る組織損傷を最小にするため)動物を観察する。動物をホットプレートから降ろし、その応答潜伏時間を記録する。カットオフ時間まで反応しなかった動物については、そのカットオフ時間をそれらの応答時間として記録する。動物はそれらを処置した順序で繰り返される。試験直後、LACUC指針に従ってCO2窒息により動物を安楽死させる。
【0283】
この研究中のいずれかの時点で予期しない事象を受けた動物は獣医学的介入に関して評価する。標準的な獣医学的医療で回復させることができない動物はすぐにLACUC指針に従ってCO2窒息により安楽死させる。
【0284】
5.3 ラットにおける急性疼痛を評価するためのテールフリック試験
動物にJNK阻害剤またはビヒクル(対照)を注射した後、光線を尾に当てる。この刺激に応答する潜伏時間を、動物が尾を打つまでの時間により計測する。このモデルでは疼痛の処置における抗侵害薬の評価を可能にする (Langermanら, Pharmacol. Toxicol. Methods 34:23-27 (1995)参照)。
【0285】
JNK阻害剤は、LACUC指針に従い、テールフリック試験の24時間前までに経口、腹腔内、静脈内または皮下のいずれかの投与経路で投与する。処置後一定の時間が経過したとき、動物の個々の試験を始める。1個体の動物をテールフリック装置に、腹側の尾の表面を集束光線に当たるように乗せる。応答潜伏時間は、光を当ててから尾を打つまでの時間とする。侵害性応答(例えば、尾を打つ)を示すか、または10秒のカットオフ時間に達するまで(加熱面に長時間曝されることで起こり得る組織損傷を最小にするため)動物を観察する。動物を光源から解放し、その応答潜伏時間を記録した後、すぐにLACUC指針に従ってCO2窒息により動物を安楽死させる。光線の強度は基準潜伏時間が2.5〜4秒となるように調整する。カットオフ時間まで反応しなかった動物については、そのカットオフ時間をそれらの応答時間として記録する。動物はそれらを処置した順序で繰り返される。
【0286】
この研究中のいずれかの時点で予期しない事象を受けた動物は獣医学的介入に関して評価する。標準的な獣医学的医療で回復させることができない動物はすぐにLACUC指針に従ってCO2窒息により安楽死させる。
【0287】
5.4 局所的カプサイシン誘発性熱的異痛モデル
熱的異痛に特に有用なモデルとして局所的カプサイシン誘発性熱的異痛モデルがある。Butelman, E.R.ら, J. of Pharmacol. Exp. Therap. 306:1106-1114 (2003)。このモデルは熱水による尾の払いのけモデルの改良型である。 Ko, M.C.ら, J of Pharmacol. Exp. Therap. 289:378-385 (1999)。
【0288】
要するに、温度制御室(20〜22℃)内の専用チェアーにサルを座らせる。それらの尾を標準的なバリカンで剃り、尾の払いのけ時間を38℃と42℃の双方で、0.1秒刻みで最大20秒まで計測して基準を得る。基準を決定した後、尾を軽く乾燥させ、イソプロピルアルコールパッドで脂質を取り除く。
【0289】
使用の約15分前に、70%エタノールおよび30%無菌水からなるビヒクルにカプサイシンを溶かし、最終カプサイシン濃度を0.0013Mまたは0.004Mのいずれかとする。この溶液(0.3mL)をガーゼパッチにゆっくり注入し、パッチを飽和させ、漏れ出さないようにする。カプサイシン溶液をパッチに加えてから30秒以内に、カプサイシンパッチをテープで尾に固定する。15分後、パッチを外し、上記のように38℃および42℃の湯の刺激で尾の払いのけ試験を行う。
【0290】
異痛は、基準測定値に対する尾の払いのけ時間における短縮として検出する。JNK阻害剤の異痛低下能を測定するため、カプサイシンパッチの貼付前(例えば、15分前、30分前、60分前または90分前)に1回量の化合物を投与する。あるいは、JNK阻害剤の異痛逆転特性はカプサイシンパッチの貼付後(例えば、直後、30分後、60分後または90分後)に1回量の化合物を投与することでも測定することができる。
【0291】
5.5 JNK阻害活性のアッセイ
JNK阻害剤がJNKを阻害できること、従って、疼痛の治療、予防、管理および/または改善に有用であり得ることは次の1以上のアッセイを用いて証明することができる。
【0292】
5.5.1 実施例:5-アミノ-アントラ(9,1-cd)イソチアゾール-6-オンの生物活性
【化54】

【0293】
JNKアッセイ
水中、20mM HEPES(pH7.6)、0.1mM EDTA、2.5mM塩化マグネシウム、0.004% Triton x100、2μg/mLロイペプチン、20mM β-グリセロールリン酸、0.1mMバナジウム酸ナトリウム、および2mM DTTを含有する20%DMSO/80%希釈バッファー中、10μlの5-アミノ-アントラ(9,1-cd)イソチアゾール-6-オンに、同じ希釈バッファー中、50〜200ngのHis6-JNK1、JNK2、またはJNK3 30μlを加えた。この混合物を室温で30分間プレインキュベートした。水中、20mM HEPES(pH7.6)、50mM塩化ナトリウム、0.1mM EDTA、24mM塩化マグネシウム、1mM DTT、25mM PNPP、0.05% Tritonx100、11μM ATP、および0.5μCiγ-32P ATPを含有するアッセイバッファー中10μgのGST-c-Jun(1-79) 60μlを加え、室温で1時間反応させる。c-Junのリン酸化は12.5%トリクロロ酢酸150/μLを加えることで終了させた。30分後、フィルタープレート上に沈殿を回収し、50μLのシンチレーション液で希釈し、カウンターで計数した。IC50値は、c-Junのリン酸化を対照値の50%まで低下させた5-アミノ-アントラ(9,1-cd)イソチアゾール-6-オンの濃度として算出した。好ましくはこのアッセイでJNKを阻害する化合物は0.01〜10μMの範囲のIC50値を有する。5-アミノ-アントラ(9,1-cd)イソチアゾール-6-オンはこのアッセイにより、JNK2に関しては1μM、また、JNK3に関しては400μMのIC50を有する。しかしながら、上記のアッセイで測定した場合の5-アミノ-アントラ(9,1-cd)イソチアゾール-6-オンのIC50測定値は水性媒体中での5-アミノ-アントラ(9, 1-cd)イソチアゾール-オンの溶解度に限りがあるためいくらかの変動を示す。しかし、この変動に関わらず、このアッセイは一貫して5-アミノ-アントラ(9,1-cd)イソチアゾール-6-オンがJNKを阻害することを示す。このアッセイは、例示的JNK阻害剤である5-アミノ-アントラ(9,1-cd)イソチアゾール-6-オンがJNK2およびJNK3を阻害すること、従って、疼痛の治療、予防、管理および/または改善に有用であることを証明するものである。
【0294】
JNKに対する選択性
また、5-アミノ-アントラ(9,1-cd)イソチアゾール-6-オンを、当業者に既知の技術(例えば、Protein Phosphorylation, Sefton & Hunter編, Academic Press, 97-367頁, 1998参照)を用い、以下に挙げた数種のタンパク質キナーゼに対するその阻害活性に関してアッセイした。次のようなIC50値が得られた。
【表1】

【0295】
このアッセイは、例示的JNK阻害剤である5-アミノ-アントラ(9,1-cd)イソチアゾール-6-オンが他のタンパク質キナーゼよりもJNKを選択的に阻害すること、従って、選択的JNK阻害剤であることを示す。よって、例示的JNK阻害剤である5-アミノ-アントラ(9,1-cd)イソチアゾール-6-オンは疼痛の治療、予防、管理および/または改善に有用である。
【0296】
Jurkat T-細胞 IL-2産生アッセイ
Jurkat T細胞(クローンE6-1)をAmerican Type Culture Collection of Manassas, VAから購入し、10%ウシ胎児血清(Hclone Laboratories Inc., Omaha, NEから市販)およびペニシリン/ストレプトマイシンとともに2mMのL-グルタミン(Mediatech Inc., Herndon, VAから市販)を含有するRPMI 1640培地からなる増殖培地で維持した。細胞は全て、95%空気、5%CO2下、37℃で培養した。細胞を培地200μL中、ウェル当たり0.2 x 106細胞の密度でプレーティングした。化合物原液(20mM)を増殖培地で希釈し、各ウェルに25μl量の10倍濃度溶液として添加し、混合し、細胞とともに30分間プレインキュベートした。全てのサンプルにおいて化合物のビヒクル(ジメチルスルホキシド)は最終濃度0.5%で維持した。30分後、細胞をPMA(ホルボールミリステートアセテート、最終濃度50 ng/mL)およびPHA(フィトヘマグルチニン、最終濃度2μg/mL)で活性化させた。PMAおよびPHAは増殖培地で作製した10倍濃度溶液として、ウェル当たり25μL量を添加した。細胞プレートを10時間培養した。細胞を遠心分離によりペレットとし、培地を除去し、-20℃で保存した。培地のアリコートを、製造業者の使用説明書(Endogen Inc., Woburn, MA)に従い、サンドイッチELISAにより、IL-2の存在に関してアッセイした。IC50値は、IL-2産生が対照値の50%まで低下する5-アミノ-アントラ(9,1-cd)イソチアゾール-6-オンの濃度として算出した。このアッセイでは、JNKを阻害する化合物は好ましくは0. 1〜30μMの範囲のIC50値を有する。5-アミノ-アントラ(9,1-cd)イソチアゾール-6-オンのIC50は30μMである。しかしながら、上記のアッセイで測定した場合の5-アミノ-アントラ(9,1-cd)イソチアゾール-6-オンのIC50測定値は水性媒体中での5-アミノ-アントラ(9, 1-cd)イソチアゾール-オンの溶解度に限りがあるためいくらかの変動を示す。しかし、この変動に関わらず、このアッセイは一貫して5-アミノ-アントラ(9,1-cd)イソチアゾール-6-オンがJNKを阻害することを示す。
【0297】
このアッセイは、例示的JNK阻害剤である5-アミノ-アントラ(9,1-cd)イソチアゾール-6-オンがJurkat T細胞におけるIL-2産生を阻害すること、従って、JNKを阻害することを示す。よって、例示的JNK阻害剤である5-アミノ-アントラ(9,1-cd)イソチアゾール-6-オンは疼痛の治療、予防、管理および/または改善に有用である。
【0298】
[3H]ドーパミン細胞培養アッセイ
ドーパミン作動性ニューロンの培養物はRaymonおよびLeslie(J. Neurochem. 62:1015- 1024, 1994)が記載している手順を改変したものに従って準備した。適期に交尾した妊娠マウスを胎生期14〜15日目(頭殿長11〜12mm)に屠殺し、帝王切開により胎児を取り出した。各胎児からドーパミン作動性ニューロンを含む腹側中脳を摘出した。約48個の胎児から得た組織片をプールし、酵素的、また機械的の双方で解離させた。得られた細胞懸濁液のアリコートを計数し、これらの細胞を、10%ウシ胎児血清を含む高グルコースDMEM/F12培地中、Biocoatポリ-D-リジンコート96ウェルプレートに1 x 105細胞/ウェルの密度でプレーティングした。プレーティングの次の日をin vitro1日目(DIV)とした。細胞は37℃、湿度95%、5%CO2の安定環境で維持した。培地の一部交換を3DIVに行った。7DIVに、5-アミノ-アントラ(9,1-cd)イソチアゾール-6-オンの存在下および不在下で細胞を神経毒6-ヒドロキシドーパミン(6-OHDA、30μM)で処置した。22時間後、[3H]ドーパミンの取込みのために細胞を処理した。
【0299】
培養物におけるドーパミン作動性ニューロンの健常性および完全性の指標として[3H]ドーパミン取込みを用いた(Prochiantzら, PNAS 76:5387-5391, 1979)。これはこれらの研究において、神経毒6-OHDA暴露後のドーパミン作動性ニューロンの生存能をモニタリングするために用いた。6-OHDAはin vitroおよびin vivoの双方でドーパミン作動性ニューロンに傷害を与えることが示されており、パーキンソン病で見られる細胞死をモデリングするために用いられている(Ungerstedt, U., Eur. J. Pharm., 5 (1968) 107-110およびHeftiら, Brain Res., 195 (1980) 123-137)。要するに、5-アミノ-アントラ(9,1-cd)イソチアゾール-6-オンの存在下および不在下で6-OHDAで処理した細胞を、6-OHDA暴露から22時間後に取り込みアッセイで評価した。培地を除去し、カルシウムおよびマグネシウム、10μMパルギリン、1mMアスコルビン酸、および50nM[3H]ドーパミンを含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を温めたものと交換した。培養物を37℃で20分間インキュベートした。放射能を除去し、培養物を氷冷PBSで3回洗浄した。[3H]ドーパミンの細胞内蓄積を測定するため、細胞をM-PER洗剤で溶解し、液体シンチレーション計数用にアリコートを採取した。しかしながら、上記のアッセイで測定した場合の[3H]ドーパミンの細胞内蓄積に対する5-アミノ-アントラ(9,1-cd)イソチアゾール-6-オンの作用の測定値は、水性媒体中での5-アミノ-アントラ(9, 1-cd)イソチアゾール-オンの溶解度に限りがあるためいくらかの変動を示す。しかし、この変動に関わらず、このアッセイは一貫して5-アミノ-アントラ(9,1-cd)イソチアゾール-6-オンがラットの腹側中脳のニューロンを6-OHDA の有毒作用から保護することを示す。従って、例示的JNK阻害剤である5-アミノ-アントラ(9,1-cd)イソチアゾール-6-オンは疼痛の治療、予防、管理および/または改善に有用である。
【0300】
in vivoにおける5-アミノ-アントラ(9,1-cd)イソチアゾール-6-オンの脳-血漿分布
5-アミノ-アントラ(9,1-cd)イソチアゾール-6-オンをSprague-Dawleyラットの静脈に静脈投与した(10mg/kg)。2時間後、これらの動物から血液サンプルを得、それらの血管系を約100mLの生理食塩水で潅流し、脳から血液を除去した。動物から脳を摘出し、秤量し、10当量(w/v)のメタノール/生理食塩水(1: 1)を含有する50mLコニカル試験管内でTissue Tearer (Fischer Scientific)を用いてホモジナイズした。ホモジナイズした材料を、30秒間ボルテックスにかけた脳ホモジネート250μLに600μLの冷メタノールを加え、5分間遠心分離を行うことで抽出した。遠心分離後、得られた上清600μLを清浄な試験管に移し、室温、減圧下で蒸発させ、ペレットとした。得られたペレットを30%水性メタノール250μLで再構成し、脳ホモジネート分析サンプルとした。血漿分析サンプルは、上記の脳ホモジネート分析サンプル手順を、脳ホモジネートを血漿に置き換えて用いて得た。また、対照ラット血漿(Bioreclamation, Hicksville, NY)または対照脳ホモジネート250μLに、冷エタノールで新しく調製した5-アミノ-アントラ(9,1-cd)イソチアゾール-6-オンの溶液の連続希釈液(50:1)5μLを加えることで、既知量の5-アミノ-アントラ(9,1-cd)イソチアゾール-6-オンを含有する標準血漿サンプルと標準脳ホモジネートサンプルも調製した。次に、標準血漿サンプルおよび標準脳ホモジネートサンプルに対して、脳ホモジネートに関して用いたタンパク質沈殿、遠心分離、蒸発および再構成手順により同様の抽出を行い、脳ホモジネート標準分析サンプルおよび血漿標準分析サンプルを得た。脳ホモジネート分析サンプル、血漿分析サンプルおよび標準分析サンプルを、サンプル100μLを5μm C-18 Lunaカラム(4.6mm x 150mm、Phenomenex, Torrance, CAから市販)に注入し、0.1%トリフルオロ酢酸を含有する30%水性アセトニトリル〜0. 1%トリフルオロ酢酸を含有する90%水性アセトニトリルの直線勾配1mL/分で8分かけて溶出し、 0.1%トリフルオロ酢酸を含有する90%水性アセトニトリルで3分間維持することによるHPLCを用い、検出吸光度450nmで分析および比較した。5-アミノ-アントラ(9,1-cd)イソチアゾール-6-オンの回収率は血漿では56±5.7%、脳では42±6.2%であった。脳および血漿中の5-アミノ-アントラ(9,1-cd)イソチアゾール-6-オンの濃度は、脳ホモジネート分析サンプルおよび血漿分析サンプルから得られたHPLCクロマトグラムを、それぞれ脳ホモジネート標準分析サンプルおよび血漿 標準分析サンプルの分析から作製された標準曲線と比較することにより決定した。この研究の結果は、5-アミノ-アントラ(9,1-cd)イソチアゾール-6-オンが、静脈投与後、有意な程度で血液脳関門を通過することを示す。特に、投与2時間での脳の薬物濃度は約65ナノモル/gであり、血漿濃度は約7μMであり、脳と血漿の濃度比は約9倍となる(脳組織1gが血漿1mlに相当すると仮定する)。この実施例は、例示的JNK阻害剤である5-アミノ-アントラ(9,1-cd)イソチアゾール-6-オンが血液脳関門を通過する高い能力を有していることを示す。さらに、この実施例は、JNK阻害剤、特に5-アミノ-アントラ(9,1-cd)イソチアゾール-6-オンが、患者に投与した際に血液脳関門を通過し得ることを示す。
【0301】
本発明の特定の実施形態は例示のために本明細書に記載されたものであるが、本明細書に記載され、請求される発明は本明細書で開示された特定の実施形態に範囲を限定されるものではないと考えられる。これらの実施形態は本発明のいくつかの態様の例示を意図するものである。同等のいずれの実施形態も本発明の範囲内にあるものとする。実際、以上の記載から当業者には、本明細書で示され、記載されているものの他、本発明の種々の変形が明らかであろう。このような変形も特許請求の範囲内にあるものとする。
【0302】
参照文献がいくつか挙げられているが、その全開示内が参照によりそのまま本明細書に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の疼痛を治療、予防、管理および/または改善する方法であって、それを必要とする患者に有効量のJNK阻害剤またはその製薬上許容される塩、溶媒和物もしくは立体異性体を投与することを含む方法。
【請求項2】
患者の疼痛を治療、予防、管理および/または改善する方法であって、それを必要とする患者に有効量の、下式:
【化1】

[式中、
Aは直接結合、-(CH2)a-、-(CH2)bCH=CH(CH2)c-、または-(CH2)bC≡C(CH2)c-であり;
R1はアリール、ヘテロアリールまたはフェニルと縮合した複素環であり、各々場合により、R3から独立に選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよく;
R2は-R3、-R4、-(CH2)bC(=O)R5、-(CH2)bC(=O)OR5、-(CH2)bC(=O)NR5R6、-(CH2)bC(=O)NR5(CH2)cC(=O)R6、-(CH2)bNR5C(=O)R6、-(CH2)bNR5C(=O)NR6R7、-(CH2)bNR5R6、-(CH2)bOR5、-(CH2)bSOdR5または-(CH2)bSO2NR5R6であり;
aは1、2、3、4、5または6であり;
bおよびcは同一であるか、または異なっており、各存在において独立に0、1、2、3または4であり;
dは各存在において0、1または2であり;
R3は各存在において独立にハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、アシルオキシ、チオアルキル、スルフィニルアルキル、スルホニルアルキル、ヒドロキシアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、複素環、ヘテロシクロアルキル、-C(=O)OR8、-OC(=O)R8、-C(=O)NR8R9、-C(=O)NR8OR9、-SO2NR8R9、-NR8SO2R9、-CN、-NO2、-NR8R9、-NR8C(=O)R9、-NR8C(=O)(CH2)bOR9、-NR8C(=O)(CH2)bR9、-O(CH2)bNR8R9、またはフェニルと縮合した複素環であり;
R4はアルキル、アリール、アリールアルキル、複素環またはヘテロシクロアルキルであり、各々場合により、R3から独立に選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよく、あるいはR4はハロゲンまたはヒドロキシであり;
R5、R6およびR7は同一であるか、または異なっており、各存在において独立に水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、複素環またはヘテロシクロアルキルであり、R5、R6およびR7は各々場合により、R3から独立に選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよく;ならびに、
R8およびR9は同一であるか、または異なっており、各存在において独立に水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、複素環、またはヘテロシクロアルキルであるか、またはR8およびR9はそれらが結合している1もしくは複数の原子と一緒になって複素環を形成しており、ここで、R8、R9の各々、および一緒になって複素環を形成しているR8とR9は場合によりR3から独立に選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよい]。
を有する化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物もしくは立体異性体を投与することを含む方法。
【請求項3】
患者の疼痛を治療、予防、管理および/または改善する方法であって、それを必要とする患者に有効量の、下式:
【化2】

[式中、
R1はR7から独立に選択される1〜4個の置換基で場合により置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールであり;
R2は水素であり;
R3は水素または低級アルキルであり;
R4は1〜4個の任意の置換基を表し、各置換基同一であるか、または異なっており、独立にハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキルまたは低級アルコキシであり;
R5およびR6は同一であるか、または異なっており、独立に-R8、-(CH2)aC(=O)R9、-(CH2)aC(=O)OR9、-(CH2)aC(=O)NR9R10、-(CH2)aC(=O)NR9(CH2)bC(=O)R10、-(CH2)aNR9C(=O)R10、(CH2)aNR11C(=O)NR9R10、-(CH2)aNR9R10、-(CH2)aOR9、-(CH2)aSOcR9または-(CH2)aSO2NR9R10であるか;
あるいは、R5およびR6はそれらが結合している窒素原子と一緒になって複素環または置換複素環を形成しており;
R7は各存在において独立にハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、アシルオキシ、チオアルキル、スルフィニルアルキル、スルホニルアルキル、ヒドロキシアルキル、アリール、アリールアルキル、複素環、ヘテロシクロアルキル、-C(=O)OR8、-OC(=O)R8、-C(=O)NR8R9、-C(=O)NR8OR9、-SOcR8、-SOcNR8R9、-NR8SOcR9、-NR8R9、-NR8C(=O)R9、-NR8C(=O)(CH2)bOR9、-NR8C(=O)(CH2)bR9、-O(CH2)bNR8R9、フェニルと縮合した複素環であり;
R8、R9、R10およびR11は同一であるか、または異なっており、各存在において独立に水素、アルキル、置換アルキル、アリール、アリールアルキル、複素環またはヘテロシクロアルキルであるか;
あるいは、R8およびR9はそれらが結合している1もしくは複数の原子と一緒になって複素環を形成しており;
aおよびbは同一であるか、または異なっており、各存在において独立に0、1、2、3または4であり;ならびに、
cは各存在において0、1または2である]
を有する化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物もしくは立体異性体を投与することを含む方法。
【請求項4】
患者の疼痛を治療、予防、管理および/または改善する方法であって、それを必要とする患者に有効量の、下式:
【化3】

[式中、
R0は-O-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、NHまたは-CH2-であり;
化合物は、(i)非置換であるか、(ii)一置換され、第1の置換基を有するか、または(iii)二置換され、第1の置換基と第2の置換基を有し、この第1または第2の置換基は、存在する場合は3、4、5、7、8、9または10位にあり、この第1および第2の置換基は、存在する場合、独立にアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、トリフルオロメチル、スルホニル、カルボキシル、アルコキシカルボニル、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アリールアルキル、シクロアルキルアルキルオキシ、シクロアルキルオキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシ、アミノアルコキシ、モノ-アルキルアミノアルコキシ、ジ-アルキルアミノアルコキシ、または式(a)、(b)、(c)、(d)、(e)または(f):
【化4】

[式中、R3およびR4は一緒になってアルキリデンまたはヘテロ原子含有環式アルキリデンを表すか、あるいはR3およびR4は独立に水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールオキシアルキル、アルコキシアルキル、アミノアルキル、モノ-アルキルアミノアルキル、またはジ-アルキルアミノアルキルであり;ならびに
R5は水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノ、モノ-アルキルアミノ、ジ-アルキルアミノ、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、シクロアルキルアルキルアミノ、アミノアルキル、モノ-アルキルアミノアルキル、またはジ-アルキルアミノアルキルである]]
を有する化合物またはその製薬上許容される塩、溶媒和物もしくは立体異性体を投与することを含む方法。
【請求項5】
Aが直接結合である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
Aが-(CH2)a-である、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
Aが-(CH2)bCH=CH(CH2)c-である、請求項2記載の方法。
【請求項8】
Aが-(CH2)bC≡C(CH2)c-である、請求項2記載の方法。
【請求項9】
前記化合物が下式:
【化5】

[式中、
Aは直接結合、-(CH2)a-、-(CH2)bCH=CH(CH2)c-、または-(CH2)bC≡C(CH2)c-であり;
R1はアリール、ヘテロアリール、またはフェニルと縮合した複素環であり、各々場合により、R3から独立に選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよく;
R2は-R3、-R4、-(CH2)bC(=O)R5、-(CH2)bC(=O)OR5、-(CH2)bC(=O)NR5R6、-(CH2)bC(=O)NR5(CH2)cC(=O)R6、-(CH2)bNR5C(=O)R6、-(CH2)bNR5C(=O)NR6R7、-(CH2)bNR5R6、-(CH2)bOR5、-(CH2)bSOdR5または-(CH2)bSO2NR5R6であり;
aは1、2、3、4、5または6であり;
bおよびcは同一であるか、または異なっており、各存在において独立に0、1、2、3または4から選択され;
dは各存在において0、1または2であり;
R3は各存在において独立にハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、アシルオキシ、チオアルキル、スルフィニルアルキル、スルホニルアルキル、ヒドロキシアルキル、アリール、アリールアルキル、複素環、ヘテロシクロアルキル、-C(=O)OR8、-OC(=O)R8、-C(=O)NR8R9、-C(=O)NR8OR9、-SO2NR8R9、-NR8SO2R9、-CN、-NO2、-NR8R9、-NR8C(=O)R9、-NR8C(=O)(CH2)bOR9、-NR8C(=O)(CH2)bR9、-O(CH2)bNR8R9、またはフェニルと縮合した複素環であり;
R4はアルキル、アリール、アリールアルキル、複素環またはヘテロシクロアルキルであり、各々場合により、R3から独立に選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよく、あるいはR4はハロゲンまたはヒドロキシであり;
R5、R6およびR7は同一であるか、または異なっており、各存在において独立に水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、複素環またはヘテロシクロアルキルであり、R5、R6およびR7は各々場合により、R3から独立に選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよく;かつ、
R8およびR9は同一であるか、または異なっており、各存在において独立に水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、複素環、またはヘテロシクロアルキルであるか、またはR8およびR9はそれらが結合している1もしくは複数の原子と一緒になって複素環を形成しており、ここで、R8、R9の各々、および一緒になって複素環を形成しているR8とR9は場合によりR3から独立に選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよい]
を有するか、またはその製薬上許容される塩、溶媒和物もしくは立体異性体である、請求項2記載の方法。
【請求項10】
前記化合物が下式:
【化6】

[式中、
Aは直接結合、-(CH2)a-、-(CH2)bCH=CH(CH2)c-、または-(CH2)bC≡C(CH2)c-であり;
R1はアリール、ヘテロアリール、またはフェニルと縮合した複素環であり、各々場合により、R3から独立に選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよく;
R2は-R3、-R4、-(CH2)bC(=O)R5、-(CH2)bC(=O)OR5、-(CH2)bC(=O)NR5R6、-(CH2)bC(=O)NR5(CH2)cC(=O)R6、-(CH2)bNR5C(=O)R6、-(CH2)bNR5C(=O)NR6R7、-(CH2)bNR5R6、-(CH2)bOR5、-(CH2)bSOdR5または-(CH2)bSO2NR5R6であり;
aは1、2、3、4、5または6であり;
bおよびcは同一であるか、または異なっており、各存在において独立に0、1、2、3または4であり;
dは各存在において0、1または2であり;
R3は各存在において独立にハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、アシルオキシ、チオアルキル、スルフィニルアルキル、スルホニルアルキル、ヒドロキシアルキル、アリール、アリールアルキル、複素環、ヘテロシクロアルキル、-C(=O)OR8、-OC(=O)R8、-C(=O)NR8R9、-C(=O)NR8OR9、-SO2NR8R9、-NR8SO2R9、-CN、-NO2、-NR8R9、-NR8C(=O)R9、-NR8C(=O)(CH2)bOR9、-NR8C(=O)(CH2)bR9、-O(CH2)bNR8R9、またはフェニルと縮合した複素環であり;
R4はアルキル、アリール、アリールアルキル、複素環またはヘテロシクロアルキルであり、各々場合により、R3から独立に選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよく、あるいはR4はハロゲンまたはヒドロキシであり;
R5、R6およびR7は同一であるか、または異なっており、各存在において独立に水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、複素環またはヘテロシクロアルキルであり、R5、R6およびR7は各々場合により、R3から独立に選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよく;かつ、
R8およびR9は同一であるか、または異なっており、各存在において独立に水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、複素環、またはヘテロシクロアルキルであるか、またはR8およびR9はそれらが結合している1もしくは複数の原子と一緒になって複素環を形成しており、ここで、R8、R9の各々、および一緒になって複素環を形成しているR8とR9は場合によりR3から独立に選択される1〜4個の置換基で置換されていてもよい]。
を有するか、またはその製薬上許容される塩、溶媒和物もしくは立体異性体である、請求項2記載の方法。
【請求項11】
前記化合物が下式:
【化7】

を有するか、またはその製薬上許容される塩、溶媒和物もしくは立体異性体である、請求項2記載の方法。
【請求項12】
前記化合物が下式:
【化8】

[式中、
R1はR7から独立に選択される1〜4個の置換基で場合により置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールであり;
R2は水素であり;
R3は水素または低級アルキルであり;
R4は1〜4個の任意の置換基を表し、各置換基は同一であるか、または異なっており、独立にハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキルまたは低級アルコキシであり;
R5およびR6は同一であるか、または異なっており、独立に-R8、-(CH2)aC(=O)R9、-(CH2)aC(=O)OR9、-(CH2)aC(=O)NR9R10、-(CH2)aC(=O)NR9(CH2)bC(=O)R10、-(CH2)aNR9C(=O)R10、(CH2)aNR11C(=O)NR9R10、-(CH2)aNR9R10、-(CH2)aOR9、-(CH2)aSOcR9または-(CH2)aSO2NR9R10であるか;
あるいは、R5およびR6はそれらが結合している窒素原子と一緒になって複素環または置換複素環を形成しており;
R7は各存在において独立にハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、アシルオキシ、チオアルキル、スルフィニルアルキル、スルホニルアルキル、ヒドロキシアルキル、アリール、アリールアルキル、複素環、ヘテロシクロアルキル、-C(=O)OR8、-OC(=O)R8、-C(=O)NR8R9、-C(=O)NR8OR9、-SOcR8、-SOcNR8R9、-NR8SOcR9、-NR8R9、-NR8C(=O)R9、-NR8C(=O)(CH2)bOR9、-NR8C(=O)(CH2)bR9、-O(CH2)bNR8R9、フェニルと縮合した複素環であり;
R8、R9、R10およびR11は同一であるか、または異なっており、各存在において独立に水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、複素環またはヘテロシクロアルキルであるか;
あるいは、R8およびR9はそれらが結合している1もしくは複数の原子と一緒になって複素環を形成しており;
aおよびbは同一であるか、または異なっており、各存在において独立に0、1、2、3または4から選択され;ならびに、
cは各存在において0、1または2である]。
を有するか、またはその製薬上許容される塩、溶媒和物もしくは立体異性体である、請求項3記載の方法。
【請求項13】
前記化合物が下式:
【化9】

[式中、
R1はR7から独立に選択される1〜4個の置換基で場合により置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールであり;
R2は水素であり;
R3は水素または低級アルキルであり;
R4は1〜4個の任意の置換基を表し、各置換基は同一であるか、または異なっており、独立にハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキルまたは低級アルコキシであり;
R5およびR6は同一であるか、または異なっており、独立に-R8、-(CH2)aC(=O)R9、-(CH2)aC(=O)OR9、-(CH2)aC(=O)NR9R10、-(CH2)aC(=O)NR9(CH2)bC(=O)R10、-(CH2)aNR9C(=O)R10、(CH2)aNR11C(=O)NR9R10、-(CH2)aNR9R10、-(CH2)aOR9、-(CH2)aSOcR9または-(CH2)aSO2NR9R10であるか;
あるいは、R5およびR6それらが結合している窒素原子と一緒になって複素環または置換複素環を形成しており;
R7は各存在において独立にハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、アシルオキシ、チオアルキル、スルフィニルアルキル、スルホニルアルキル、ヒドロキシアルキル、アリール、アリールアルキル、複素環、ヘテロシクロアルキル、-C(=O)OR8、-OC(=O)R8、-C(=O)NR8R9、-C(=O)NR8OR9、-SOcR8、-SOcNR8R9、-NR8SOcR9、-NR8R9、-NR8C(=O)R9、-NR8C(=O)(CH2)bOR9、-NR8C(=O)(CH2)bR9、-O(CH2)bNR8R9、フェニルと縮合した複素環であり;
R8、R9、R10およびR11は同一であるか、または異なっており、各存在において独立に水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、複素環、ヘテロシクロアルキルであるか;
あるいは、R8およびR9はそれらが結合している1もしくは複数の原子と一緒になって複素環を形成しており;
aおよびbは同一であるか、または異なっており、各存在において独立に0、1、2、3または4であり;ならびに、
cは各存在において0、1または2である]
を有するか、またはその製薬上許容される塩、溶媒和物もしくは立体異性体である、請求項3記載の方法。
【請求項14】
前記化合物が下式:
【化10】

[式中、
R1はR7から独立に選択される1〜4個の置換基で場合により置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールであり;
R2は水素であり;
R3は水素または低級アルキルであり;
R4は1〜4個の任意の置換基を表し、各置換基は同一であるか、または異なっており、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキルまたは低級アルコキシから独立に選択され;
R5およびR6は同一であるか、または異なっており、独立に-R8、-(CH2)aC(=O)R9、-(CH2)aC(=O)OR9、-(CH2)aC(=O)NR9R10、-(CH2)aC(=O)NR9(CH2)bC(=O)R10、-(CH2)aNR9C(=O)R10、(CH2)aNR11C(=O)NR9R10、-(CH2)aNR9R10、-(CH2)aOR9、-(CH2)aSOcR9または-(CH2)aSO2NR9R10であるか;
あるいは、R5およびR6はそれらが結合している窒素原子と一緒になって複素環を形成しており;
R7は各存在において独立にハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、アシルオキシ、チオアルキル、スルフィニルアルキル、スルホニルアルキル、ヒドロキシアルキル、アリール、アリールアルキル、複素環、ヘテロシクロアルキル、-C(=O)OR8、-OC(=O)R8、-C(=O)NR8R9、-C(=O)NR8OR9、-SOcR8、-SOcNR8R9、-NR8SOcR9、-NR8R9、-NR8C(=O)R9、-NR8C(=O)(CH2)bOR9、-NR8C(=O)(CH2)bR9、-O(CH2)bNR8R9、フェニルと縮合した複素環であり;
R8、R9、R10およびR11は同一であるか、または異なっており、各存在において独立に水素、アルキル、置換アルキル、アリール、アリールアルキル、複素環、ヘテロシクロアルキルであるか;
あるいは、R8およびR9はそれらが結合している1もしくは複数の原子と一緒になって複素環を形成しており;
aおよびbは同一であるか、または異なっており、各存在において独立に0、1、2、3または4から選択され;ならびに、
cは各存在において0、1または2である]
を有するか、またはその製薬上許容される塩、溶媒和物もしくは立体異性体である、請求項3に記載の方法。
【請求項15】
R0が-O-である、請求項4に記載の方法。
【請求項16】
R0が-S-である、請求項4に記載の方法。
【請求項17】
R0が-S(O)-である、請求項4に記載の方法。
【請求項18】
R0が-S(O)2-である、請求項4に記載の方法。
【請求項19】
R0がNHである、請求項4に記載の方法。
【請求項20】
R0がCH2-である、請求項4に記載の方法。
【請求項21】
化合物が下式:
【化11】

を有するか、またはその製薬上許容される塩、溶媒和物もしくは立体異性体である、請求項4に記載の化合物。
【請求項22】
第2の有効薬剤を投与することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
第2の有効薬剤を投与することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項24】
第2の有効薬剤を投与することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項25】
第2の有効薬剤を投与することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項26】
第2の有効薬剤が抗鬱薬、抗高血圧薬、抗不安薬、カルシウムチャネル遮断薬、筋弛緩薬、非麻薬性鎮痛薬、抗炎症薬、cox-2阻害剤、α-アドレナリン作動性受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、ケタミン、麻酔薬、免疫調節薬、免疫抑制薬、コルチコステロイド、高圧酸素、抗痙攣薬、IMiD(登録商標)、SelCID(登録商標)、またはその組合せである、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
第2の有効薬剤がガバペンチン、サリドマイド、サリチル酸アセテート、ケタミン、セレコキシブ(celocoxib)、カルバマゼピン、オキシカルバゼピン、フェニトイン、バルプロ酸ナトリウム、プレドニゾン、ニフェジピン、クロニジン、オキシコドン、メペリジン、硫酸モルヒネ、ヒドロモルホン、フェンタニル、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセンナトリウム、グリセオフルビン、アミトリプチリン、イミプラミン、ドキセピン、またはその製薬上許容される塩、溶媒和物もしくは立体異性体である、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記疼痛が複合性局所疼痛症候群である、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記複合性局所疼痛症候群がI型またはII型である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記複合性局所疼痛症候群がI型複合性局所疼痛症候群のステージI、ステージIIまたはステージIIIである、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記複合性局所疼痛症候群が疼痛、自立神経機能異常、三叉神経痛、帯状疱疹後神経痛、癌関連疼痛、幻肢疼痛、繊維筋痛症、慢性疲労症候群、神経根障害、運動開始困難症、虚弱、振顫、筋肉痙攣、失調症(dytonia)、ジストロフィー、萎縮、浮腫、こわばり、関節圧痛、発汗上昇、温度過敏症、軽触(異痛症)、皮膚変色、高体温または低体温、爪および体毛の成長増進、早期骨変化、網状皮斑またはチアノーゼを伴う発汗過多、体毛喪失、爪の隆起、割れ、または脆い爪、手の乾燥、広汎性骨粗鬆症、不可逆的組織損傷、皮膚の薄化およびてかり、関節拘縮、顕著な骨の無機質脱落、糖尿病性神経障害、梅毒性神経障害、薬物により医原的に誘発される疼痛性神経障害、または他の疼痛性神経因性症状である、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記疼痛が侵害性疼痛である、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記侵害性疼痛が皮膚の切り傷もしくは挫傷;化学火傷もしくは熱傷;骨関節炎;慢性関節リウマチ;または腱炎に関連する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記疼痛が神経因性疼痛である、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記神経因性疼痛が卒中、糖尿病性神経障害、梅毒性神経障害、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、繊維筋痛症、または薬物により医原的に誘発される疼痛性神経障害である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
有効量のJNK阻害剤と、抗鬱薬、抗高血圧薬、抗不安薬、カルシウムチャネル遮断薬、筋弛緩薬、非麻薬性鎮痛薬、抗炎症薬、cox-2阻害剤、α-アドレナリン作動性受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、ケタミン、麻酔薬、免疫調節薬、免疫抑制薬、コルチコステロイド、高圧酸素、抗痙攣薬、IMiD(登録商標);SelCID(登録商標)、またはそれらの組合せを含んでなる、医薬組成物。

【公表番号】特表2006−511495(P2006−511495A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−548497(P2004−548497)
【出願日】平成15年10月24日(2003.10.24)
【国際出願番号】PCT/US2003/034006
【国際公開番号】WO2004/039325
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(591120033)セルジーン・コーポレーション (84)
【氏名又は名称原語表記】CELGENE CORPORATION
【Fターム(参考)】