説明

癌および他の障害の処置に有用な新規シアノピリジン誘導体

本発明は式(I)の新規化合物、そのような化合物を含む医薬組成物、および単一の剤としてまたは細胞毒治療剤との組合せにおいて高増殖性および血管形成障害を処理するためにそれら化合物または組成物の使用に関する。
式(I)


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規化合物、そのような化合物を含有する医薬組成物、および単一剤または他の有効成分例えば細胞毒治療剤との組合せにおいてこれらの化合物または組成物の過増殖および脈管形成障害を処置するための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ras信号形質導入経路の活性化は、細胞増殖、分化および形質転換に対し深いインパクトを有する出来事のカスケードを指示する。rasの下流エフェクターであるRafキナーゼは、細胞表面レセプターから細胞核へのこれら信号のキーメディエーターとして認められている(Lowy,D.R.;Willumsen,B.W.Ann.Rev.Biochem.1993,62,851;Bos.J.L.Cancer Res.1989,49,4682)。rafキナーゼに対する非活性抗体の投与により、または優生ネガティブrafキナーゼもしくはrafキナーゼの基質である優生ネガティブMEKの同時発現によりrafキナーゼ信号経路を阻害することにより、活性rasの効果を阻害することは、形質転換された細胞の正常表現型への逆転へ導くことが示された(Daum et al.Trends Biochem.Sci.1994,19,474−80;Fridman et al.J.Biol.Chem.1994,269,30105−8を見よ)。Kolch et al(Nature 1991,349,426−428)は、アンチセンスRNAによるrafキナーゼ発現の阻害は膜関連癌遺伝子において細胞増殖をブロックすることをさらに指示した。同様に、rafキナーゼの阻害(アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドによる)は、種々のヒト腫瘍タイプとインビボおよびインビトロにおいて相関した。(Monia et al.Nat.Med.1996,2,685−75)。Rafキナーゼ活性の小分子阻害剤のいくつかの例は癌の処置のための重要な剤である(Nauman,U.;Eisnmann−Tappe,I.;Rapp,U.R.Recent Results Cancer Res.1997,143,237;Mania,B.P.;J.F.;Geiger,T.;Muller,M.;Fabbro,D.Nature Medicine 1996,2,663)。
【0003】
1−2mmのサイズをこえて進行性腫瘍の成長を支持するためには、線維芽細胞、平滑筋細胞、内皮細胞、細胞外マトリックスタンパク、および可溶性因子よりなる支持構造である機能的ストローマを必要とする(Folkman,J.,Semin Oncol.2002,29(6 suppl16),15−8)。腫瘍はPDGFのような可溶性成長因子および形質転換成長因子β(TGT−β)のような可溶性成長因子の分泌を通じてストローマ組織の形成を誘発し、このことが次に線維芽細胞成長因子(FGF)、上皮細胞成長因子(EGF)および脈管内皮細胞成長因子(VEGF)のようなホスト細胞による相補因子の分泌を刺激する。これらの刺激因子は、腫瘍へ酸素および栄養を運び、そしてそれが成長しそして転移のためのルートを提供することを許容する、新しい血管の形成または脈管形成を誘発する。ストローマ形成の阻害を目指したある種の療法は広い範囲の組織学的タイプからの上皮腫瘍の成長を阻害するものと信じられる(George,D.Semin Oncol,2001,28(5 Suppl 17),27−33;Shaheen,R.M.et al.Cancer Res.2001,61(4),1464−8;Shaheen,R.M.et al.Cancer Res,1999(59)(21),5412−6)。しかしながら複雑な性格および脈管形成および腫瘍進行に含まれる多数の成長因子のため、単一の経路を標的とする剤は限られた有効性しか持たないであろう。腫瘍によりホストストローマ中の脈管形成を誘発するために利用される多数のキー信号経路に対する処置を提供することが望ましい。これらはストローマ形成の強力なスティミュレーターであるPDGF(Ostman,A.and C.H.Heldin,Adv.Cancer Res.2001,80,1−38)、線維芽細胞および内皮細胞に対するケモアトラクタントおよびミトゲンであるTGF、および脈管化の強化なレギュレーターであるVEGFを含む。
【0004】
PDGFは、パラクリン態様で多数の腫瘍によって分泌され、そして線維芽細胞、平滑筋および内皮細胞の成長を促進し、ストローマ形成および脈管形成を促進すると信じられるストローマ形成の他のレギュレーターである。PDGFは当初サル内腫ウイルスのv−sis癌遺伝子生産物として同定された(Heldin,C.H.et al.,J.cell Sci suppl,1985,3,65−76)。この成長因子はA鎖およびB鎖と呼ばれる二つのペプチド鎖からできており、両者はそれらの主アミノ酸配列において60%相同性を占める。これらの鎖はAA,BBまたはABホモまたはヘテロダイマーのいずれかよりなる30kDa成熟タンパクを形成するように架橋したジサルファイドである。PDGFは血小板中に高いレベルで発見され、そして内皮細胞および脈管平滑筋細胞によって発現される。加えて、PDGFの生産は貧弱に脈管化された腫瘍組織に見られるような低酸素条件下で上方へ調節される(Kourembanas S.et al.,Kidney Int.1997,51(2),438−43)。PDGFは高い親和性をもって1106アミノ酸124kDa膜横断チロシンキナーゼレセプターであるPDGFレセプターへ結合する(Heldin,C.H.,A.Ostman,and L.Ronnstrand,Biochim Biophys Acta,1998,1378(1),79−113)。PDGFRはアミノ酸配列において全体として30%相同性とそしてそれらのキナーゼドメインの間で64%相同性を有するホモまたはヘテロダイマー鎖として見出される(Heldin,C.H.et al,Embo J.1988,7(5),1387−93)。PDGFRはVEGFR2(KDR),VEGFR3(Flt4),c−kitおよびFLT3を含むキナーゼドメインに分かれるチロシンキナゼレセプターのファミリーメンバーである。PDGFレセプターは主として線維芽細胞、平滑筋細胞および周皮細胞上に、そして少ない程度でニューロン、腎臓メサンギウムおよび中枢神経系のLeydigおよびSchwann細胞上に発現される。
【0005】
そのレセプターへ結合する時、PDGFはレセプター二量化を誘発し、そしてチロシン残基の自家およびトランスホスフォリル化を受け、これがレセプターのキナーゼ活性を増強し、そしてSH2タンパク結合ドメインの活性化を通じて下流エフェクターの補充を促進する。PI−3−キナーゼ、ホスフォリパーゼC−ガンマ、srcおよびGAP(p21−rasのためのGTPファーゼ活性化タンパク)を含む多数の信号分子が活性化されたPDGFRと複合体を形成する(Soskic,V.et al.Biochemistry 1999,38(6),1757−64)。PI−3−キナーゼの活性化を通じて、PDGFはRho信号経路を活性化し、細胞生存性および移動性を誘発し、GAPの活性化を通じてp21−rasおよびMAPK信号経路の活性化によりミトゲン形成を誘発する。
【0006】
成人において、PDGFの主要な機能は創傷治癒の容易化と速度増大と、そして血管ホメオスタシスの維持であると信じられる(Baker,E.A.and D.J.Leaper,Wound Repair Regen,2000,865),392−8;Yn,J.A.Moon And H.R.kim,Biochem Biophys Res Commun,2001,282(3),697−700)。PDGFは血小板中に高濃度に見出され、そして線維芽細胞、平滑筋細胞、好中球およびマクロファージのための強力なケモアトラクタントである。創傷治癒における役割に加えて、PDGFは脈管ホモオスタシスの維持を助けることが知られている。新しい血管の発達の間、PDGFは血管の構造的一体性のために必要な周皮細胞および平滑筋細胞を補給する。PDGFは腫瘍新生脈管化の間も同様な役割を果すものと考えられる。脈管形成におけるその役割の一部として、PDGFは間隙流体圧力をコントロールし、結合組織細胞と細胞外マトリックス間の相互作用の調節を通じて脈管の透過性を調節する。PDGFR活性の阻害は間隙圧力を低下させ、腫瘍への細胞毒剤の流入を容易化し、これらの剤の抗腫瘍効果を改善することができる(Pietras,K.et al.Cancer Res,2002,62(19),5476−84;Pietras,K.et al,Cancer Res,2001,61(7),2929−34)。
【0007】
PDGFはストローマ細胞または腫瘍細胞上のPDGFRを直接オートクリンまたはパラクリン刺激することにより、または該レセプターの増幅または組換えによる該レセプターの活性化により、腫瘍成長を促進することができる。PDGFの過度の発現は、恐らくストローマ形成および血管形成の誘発に対するPDGFの直接効果によってPDGFを発現しない二つの細胞タイプ、ヒトメラノーマ細胞およびケラチノサイトを形質転換し得る(Forsberg,K.et al.Proc Natl Acad Sci USA,1993,90(2),293−7;Skobe,M.and N.E.Fusenig,Proc Natl Acad Sci USA,1998,95(3),1050−5)。この腫瘍ストローマのパラクリン刺激は、腫瘍がレセプターではなくPDGFを発現する、大腸、肺、乳房および前立腺のカルチノーマにも観察される(Bhardwaj,B.et al,Clin Caner Res,1996,2(4),773−82;Nakanishi,K.et al,Mod Pathol,1997,10(4),341−7;Sundberg,C.et al,Am J Pathol,1997,151(2),479−92;Lindmark,G.et al,Lab Invest,1993,69(6),682−9;Vigfnaud,J.M.et al,Cancer Res,1994,54(20),5455−63)。分析した腫瘍の大部分がリガンドPDGFとそのレセプターを発現する腫瘍細胞成長のオートクリン刺激は、膠芽腫(Fleming,T.P.et al,Cancer Res,1992,52(16),4550−3)、軟組織内腫(Wang,J.,M.D.Coltrera and A.M.Gown,Cancer Res,1994,54(2),560−4)、および卵巣癌(Henriksen,R.et al,Cencer Res,1993,53(19),4550−4)、前立腺(Fudge,K.,C.Y.Wang,and M.E.Stearns,Mod Pathol,1994,7(5),549−54)、膵臓(Funa,K.et al,Proc Natl Acad Sci USA,1992,89(9),3942−6)、および肺(Antoniades,H.N.et al,Proc Natl Acad Sci USA,1992,89(9),3942−6)において報告されている。このレセプターのリガンド非依存性活性化は少ない程度で見出され、しかし染色体配座イベントがEts様転写因子TELとPDGFレセプターの間の融合タンパクを生成する慢性骨髄単細胞白血病(CMML)中に報告されている。加えてPDGFRにおける突然変異の活性化は、c−kit活性化が含まれない胃腸ストローマ腫瘍中に報告されている(Heinrich,M.C.et al,Science,2003,9,9)。
【0008】
ある種のPDGFR阻害剤は腫瘍ストローマ発達を妨害し、そして腫瘍成長および転移を阻害するであろう。
【0009】
胚芽発達およびある種の血管形成依存性疾病の両方における血管形成および脈管形成の他の主要なレギュレーターは脈管内皮細胞成長因子(VEGF,脈管透過性因子VPFとも呼ばれる)である。VEGFは代替RNAスプライシングによるホモダイマー形に存在するミトゲンのアイソフォームのファミリーを代表する。VEGFアイソフォームは脈管内皮細胞に対して高度に特異性であることが報告されている(レビューについて、Farrata et al,Endocr.Rev.1992,13,18;Neufield et al,FASEB J.1999,13,9を見よ)。
【0010】
VEGF発現は低酸素症(Shweiki et al,Nature 1992,359,843)により、そしてインターロイキン−1、インターロイキン−6、上皮細胞成長因子および形質転換成長因子のような種々のサイトカインおよび成長因子によって誘発されると報告されている。今日までVEGFおよびVEGFファミリーメンバーは一以上の三つの膜横断レセプターチロシンキナーゼ(Mustonen et al,J Cell Biol,1995,129,895)へ、VEGFレセプター1(fit−1(fms様チロシンキナーゼ−1)としても知られる)、VEGFR−2(キナーゼドメイン含有レセプター(KDR)としても知られ、KDRのネズミ類縁体は胎児肝臓キナーゼ−1(f1k−1)として知られる)、およびVEGFR−3(f1t−4として知られる)と結合することが報告されている。KDRおよびf1t−1は異なる信号形質導入性質を持つことが示された(Waltenberger et al,J.Biol Chem,1994,269,26988;Park et al,Oncogene 1995,10,135)。このようにKDRはインタクトな細胞中で強いリガンド依存性チロシンホスフォリール化を受けるが、f1t−1は弱い応答を示す。このためKDRへの結合はVEGF仲介生物学的応答の全スペクトルの誘発のための決定的必要性であると信じられる。
【0011】
インビボにおいてVEGFは脈管形性において中心的役割を果し、そして血管形成および血管の透過性化を誘発する。規制されないVEGF発現は、異常な血管形成および/または高透過性プロセスを特徴とする多数の病気の発展へ寄与する。ある種の剤によるVEGF仲介信号形質導入の規制は異常な血管形成および/または高透過性プロセスのコントロールのための有用なモードを提供できるものと信じられる。
【0012】
血管形成は腫瘍が約1−2mmをこえて成長するための重要な必須要件であると考えられる。酸素および栄養はこの限界より小さい腫瘍中の細胞へ拡散によって供給されることができる。しかしながらすべての腫瘍はそれが一定のサイズに達した後は継続して成長するためには血管形成に依存するものと信じられる。腫瘍の低酸素領域内の腫瘍形成性細胞は、新しい血管の形成を刺激するように無活動内皮細胞の活性化を引金するVEGF生産の刺激によって応答する(Shweiki et al,Proc Nat1 Acad Sci,1995,92,768)。加えて、血管形成がない腫瘍領域におけるVEGF生産はras信号形質導入経路を通って進行し得る(Grugel et al,J.Biol.Chem.1995,270,259 15;Rak et al,Cancer Res.1995,55,4575)。その場のハイブリダイゼーション研究は、VEGFmRNAが肺(Mattern et al,Br.J.Caner Res.1993,53,4727;Suzuki et al,Cancer Res.1995,56,3004),腎臓および膀こう(Brown et al,Am.J.Pathl.1993,1431,1255);卵巣(Olson et al,Cancer Res.1994,54,1255);および頸部(Guidi et al,J.Natl.Cancer Inst.1995,87,12137)カルチノーマ、それに血管肉腫(Hashimoto et al,Lab.Invest.1995,73,859)およびいくつかの頸蓋内腫瘍(Plate et al,Nature 1992,359,845;Phillips et al,Int.J.Oncol 1993,2,913;Berkman et al,J.Clin.Invest.1993,91,153)を含む、多種類のヒト腫瘍において強い上方調節されることが示された。KDRに対する中和モノクローナル抗体は腫瘍血管形成をブロックするに有効であることが示された(Kim et al,Nature 1993,362,841;Rockwell et al,Mol.Cell.Differ.1995,3,315)。
【0013】
例えば極端な低酸素症の条件下でのVEGFの過剰発現は眼内血管形成へ導き、最終的には失明へ導く血管の高増殖をもたらし得る。そのような出来事のカスケートは、糖尿病、網膜症、虚血性網膜静脈塞栓、および未熟網膜症を含む多数の網膜症について(Aiello et al,New Engl.J.Med.1994,331,1480;Peer et al,Lab.Invest.1995,72,638)および年令関連班退化(AMD,Lopez et al.Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.1995,37,855)について観察された。
【0014】
リュウマチ性関節炎(RA)においては、脈管パンヌスの内方成長は血管形成因子の生産によって仲介され得る。RA患者の滑液中では免疫反応性VEGFのレベルが高く、退化的関節症を有する関節炎の他の形の患者の滑液においてはVEGFレベルは低い(Koch et al,J.Immunol.1994,152,4149)。血管形成阻害剤AGM−170はラットコラーゲン関節炎モデルにおいて関節の新脈管化を阻止することが示された(Peacock et al,J.Exper.Med.1992,175,1135)。
【0015】
増加したVEGF発現は乾癬皮膚、それに水疱性天疱瘡、多形紅斑、疱疹状皮膚炎のような上皮下水疱形成に関連した水疱性障害にも示された(Brown et al,J.Invest.Dermatol.1995,104,744)。
【0016】
脈管内皮成長因子(VEGF,VEGF−C,VEGF−D)およびそれらのレセプター(VEGFR2,VEGFR3)は腫瘍血管形成ばかりでなく、リンパ管形成キーレギュレーターである。VEGF,VEGF−CおよびVEGF−Dは主として腫瘍成長の間、そしてしばしば実質的に増大したレベルにおいて大部分の腫瘍において発現される。VEGF発現は低酸素症、サイトカイン、rasのような癌遺伝子により、または癌抑制遺伝子の不活性化によって刺激される(McMahon,G.Oncologist 2000,5(Suppl.1),3−10;McDonald,N.Q;Hendrickson W.A.Cell 1993,73,421−424)。
【0017】
VEGFの生物学活性はそれらのレセプターへの結合を通じて仲介される。VEGFR3(F1t−4とも呼ばれる)は正常成人組織中のリンパ管内皮に発現される。VEGFR3機能は新しいリンパ管形成に必要であるが、しかし既存のリンパ管の維持には必要でない。VEGFR3は腫瘍中の血管内皮においても上方調節される。VEGFR3のリガンドであるVEGF−CおよびVEGF−Dは哺乳類のリンパ管形成のレギュレーターとして同定された。腫瘍関連リンパ管形成因子によって誘発されるリンパ管形成は腫瘍中へ新しい脈管の成長を促進し、全身循環への腫瘍細胞のアクセスを提供し得る。リンパ管へ侵入した細胞は胸管を経由して血流中へのそれらの進路を見出すことができる。腫瘍発現研究は、一次腫瘍が拡がる能力に直接関係する臨床病理学的要因(例えばリンパ節関与、リンパ管侵襲、二次的転移、および無病生存律)とのVEGF−C、VEGF−DおよびVEGFR−3の直接の比較を許容した。多くの場合、これら研究はリンパ球形成因子と一次固形腫瘍が転移する能力との間に統計学的相関性を証明した(Skobe,M.et al,Nature Med.2001,7(2),192−198;Sacker,S.A.et al,Nature Med.2001,7(2),186−191;Makinen,T.et al,Nature Med.2001,7(2),199−205;Mandriota,S.J.et al,EMBO J.2001,20(4),672−82;Karpanen,T.et al,Cancer Res.2001,61(5),1786−90;Kubo,H.et al,Blood 2000,96(2),546−53)。
【0018】
低酸素症は癌細胞におけるVEGF生産のための重要な刺激であるらしい。p38MAPキナーゼの活性化が低酸素症に応答して腫瘍細胞によるVEGF誘発のために必要である(Blaschke,F.et al,Oral Oncology 2002,38,251−257)。VEGF分泌の調節を通ずる血管形成長への関与に加えて、p38MAPキナーゼは、癌細胞侵入、およびコラゲナーゼ活性の調節およびウロキナーゼプラスミノゲンアクチベーター発現を通じて異なるタイプの腫瘍の移動を促進する(Lafferriere,J.et al.Biol.Chem.2001,276,33762−33772;Westermarck,J.et al,Cancer Res.2000,60,7156−7162;Huang,S.et al,J.Biol.Chem,2000,275,12266−12272;Simon,C.et al,Exp.Cell Res,2001,271,344−355)。
【0019】
いくつかのジアリール尿素は、セリン−スレオニンキナーゼおよび/またはチロシンキナーゼ阻害剤としての活性を有するとして記載されている。癌、血管形成障害および炎症性障害のための医薬組成物の活性成分としての有用性が示されている。以下の文献を参照。Redfman et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.2001,11,9−12;Smith et al.,Bioorg,med.Chem.Lett.2001,11,2775−2778;Dumas et al,Bioorg,Med.Chem.Lett.2000,10,2047−2050;Dumas et al.,Bioorg,Med.Chem.Lett.2000,10,2051−2054;Ranger et al.,Book of Abstracts,220th ACS National Meeting,Washington,DC,USA,MEDI 149;Dumas et al.,Bioorg,Med.Chem.Lett.2002,12,1559−1562;Lowinger et al.,Clin Cancer Res.2000,6(suppl.),335;Lyons et al.,Endocr−Relat.Cancer 2001,8,219−225,Riedl et al.,Book of Abstracts,92nd AACR Meeting,New Orleans,LA,USA,abstract 4956;Khire et al.,Book of Abstracts,93rd AACR Meeting,San Francisco,CA,USA,abstract 4211;Lowinger et al.,Curr.Pharm.Design 2002,8,99−110;Regan et al.,J.Med.Chem.2002,45,2994−3008;Pargellis et al.,Nature Struct.Biol.2002,9(4),268−272;Carter et al.,Book of Abstracts,92nd AACR Meeting,New Orleans,LA,USA,abstract 4954;Vincent et al.,Book of Abstracts,38th ASCO Meeting,Orlando,FL,USA,abstract 1900;Hilger et al.,Book of Abstracts,38th ASCO Meeting,Orlando,FL,USA,abstract 1916;Moore et al.,Book of Abstracts,38th ASCO Meeting,Orjlando,FL,USA,abstract 1816;Strumberg et al.,Book of Abstracts,38th ASCO Meeting,Orjlando,FL,USA,abstract 121;Madwed JB;Book of Abstracts,Protein Kinases;Novel Target Identification and Validation for Therapeutic Development,San Diego,CA,USA,March 2002;Roberts et al.,Book of Abstracts,38th ASCO Meeting,Orlando,Fl,USA,abstract 473;Tolcher et al.,Book of Abstracts, 38th ASCO Meeting,Orjlando,abstract 334;and Karp et al.,Book of Abstracts,38th AACR Meetingt,San Francisco,CA,USA,abstract 2753.
技術の進歩にも拘らず、追加の処理に対する需要があり続ける。
【発明の開示】
【0020】
本発明は、
(i)ジアステロイソマー形を含む、新規化合物、その塩、代謝物およびプロドラッグ、
(ii)ジアステロイソマー形を含む、そのような化合物、その塩、代謝物およびプロドラッグを含有する薬剤組成物、および
(iii)疾病、例えば高増殖および血管形成障害を処置するための、単一剤または他の活性成分、例えば細胞毒治療剤との合剤として、これらの化合物または組成物の使用
に関する。
【0021】
ジアステレオイソマー形(単離されたジアステレオイソマーおよびジアステレオイソマーの混合物の両方)を含む、式(I)の化合物、その塩およびプロドラッグをここで集合的に「本発明の化合物」と呼ぶ。式(I)は以下のとおりである。
【0022】
【化9】

【0023】
式中、
Aは、任意に置換されたピリジニル、ナフチル、O,N,Sまたはその組合せである1−4のヘテロ原子を有する8−10員双環ヘテロアリール基、ベンゼン基を介して尿素部分へ結合した部分飽和C−C10双環炭素環基、O,N,Sまたはその組合せである1−4のヘテロ原子を有し、ベンゼンまたは構造のヘテロアリール基を介して結合する部分飽和8−10員双環複素環基;
Bは、任意に置換されたフェニルまたはナフチルである。
【0024】
式(I)のAが少なくとも1個の酸素原子を持つ部分飽和8−10員双環複素環の場合、それは好ましくは置換され、もっと好ましくはハロ置換される。ハロゲン置換基は、好ましくは部分飽和8−10員双環複素環の飽和炭素原子上に位置する。これら飽和炭素原子はもっと好ましくはペルハロ置換され、最も好ましくはフロロ置換される。
【0025】
特に関心ある式(I)のAのための任意に置換されたピリジニル基の構造は、式1の構造を含む。
【0026】
【化10】

【0027】
特に関心ある式(I)のAのための任意に置換されたナフチル基の構造式、式1yの構造を含む。
【0028】
【化11】

【0029】
構造1yは、さもなければ置換分として水素原子で完成された原子価を有するどちらかの環中のどれかの炭素原子上にRが結合できることを表す。尿素基への結合も置換分として水素原子で完成された原子価を有するどちらかの環中のどれかの炭素原子に結合できる。
【0030】
式(I)のAのための任意に置換された8−10員双環ヘテロアリール基の例は、
2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−キノリル;
1−、3−、4−、5−、6−、7−または8−イソキノリル;
ベンズイミダゾール−5−イル、ベンズイミダゾール−6−イル;
1,3−ベンゾチアゾール−2−イル、1,3−ベンゾチアゾール−5−イル、1,3−ベンゾチアゾール−6−イル;
1,2,3−ベンゾトリアゾール−5−イル;
1,3−ベンズオキサゾール−2−イル、1,3−ベンズオキサゾール−6−イル;
キノキサリン−2−イル、キノキサリン−6−イル;
1H−インダゾール−5−イル、2H−インダゾール−5−イル、および
1H−インドール−5−イル;を含む。
【0031】
特に興味ある式(I)のAのための任意に置換された8−10員双環ヘテロアリール基の構造は下記式1a,1bおよび1cを含む。
【0032】
【化12】

【0033】
構造1aは、さもなければ置換分として水素原子で完成された原子価を有するどちらかの環中のどれかの炭素原子上にRが結合できることを表す。尿素基への結合も置換分として水素原子で完成された原子価を有するどちらかの環中のどれかの炭素原子に結合できる。
【0034】
構造1bおよび1cは、さもなければ置換分として水素原子で完成された原子価を有する5員環中のどれかの原子上にR3が結合できることを表す。尿素基への結合は、さもなければ置換分として水素で完成された原子価を有する6員環中のどれかの炭素原子を介して結合できる。
【0035】
ベンゼン基を通じて尿素基へ結合した部分飽和C−C10双環炭素環基の例は、2,3−ジヒドロ−1H−インデン−4−イルおよび2,3−ジヒドロー1H−インデン−5−イルである。
【0036】
特に関心ある式(I)のAのための部分飽和C−C10双環炭素環基の構造は下記1dおよび1eを含む。
【0037】
【化13】

【0038】
構造1dおよび1eは、さもなければ置換分として水素で完成された原子価を有する飽和環中のどれかの炭素原子上にRが結合できることを表す。尿素基への結合は、さもなければ置換分として水素で完成された原子価を有する不飽和6員環中のどれかの炭素原子へ結合できる。
【0039】
N,Sまたはその両方である1−4個のヘテロ原子を有する部分飽和8−10員双環複素環基の例は、2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−イルおよび2,3−ジヒドロ−1H−インドール−6−イルを含む。
【0040】
少なくとも1個の酸素原子を持ち、O,N,Sまたはその組合せの1−4個のヘテロ原子を有する部分飽和8−10員双環複素環基の例は、2H,3H−ベンゾ〔e〕1,4−ジオキサン−6−イル;1,1−ジオキド−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾチェン−6−イル;1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル;2H−ベンゾ〔d〕1,3−ジオキソレン−5−イル;2H−ベンゾ〔d〕1,3−ジオキソレン−4−イル;2,3−ジヒドロベンゾ〔b〕フル−5−イル;2H,4H−ベンゾ〔e〕1,3−ジオキサン−6−イル;または2H,4H−ベンゾ〔e〕1,3−ジオキサン−8−イルを含む。これらの基は好ましくは飽和炭素原子においてペルハロ置換までハロ置換されることができる。
【0041】
特に関心ある式(I)のAのための部分飽和8−10員双環複素環基の構造は下記1f,1hおよび1iを含む。
【0042】
【化14】

【0043】
構造1f,1g,1hおよび1iは、さもなければ置換分として水素原子で完成された原子価を有する飽和環中のどれかの炭素原子へRが結合できることを表す。尿素基への結合は、さもなければ置換分として水素で完成された原子価を有する不飽和6員環中のどれかの炭素原子へ結合できる。
【0044】
Bは任意に置換されたフェニルまたはナフチルである。特に興味ある式(I)のBのための任意に置換されたフェニルまたはナフチル基の構造は以下の2aおよび2bを含む。
【0045】
【化15】

【0046】
構造2aおよび2bは、置換基Rはさもなければ置換分として水素で完成された原子価を有する構造中のどれかの炭素原子上にあることができ、そして尿素基への結合はさもなければ置換分として水素で完成された原子価を有する構造中のどれかの炭素原子を通じて結合できることを表す。
【0047】
本発明の具体例の1クラスにおいては、Bは少なくとも1個のハロゲン置換基で置換される。
Lは−S−または−O−である連結基である。
pは0,1,2,3または4、典型的には0または1である。
nは0,1,2,3,4,5または6、典型的には0,1,2,3または4である。
mは0,1,2または3、典型的には0である。
【0048】
各Rは独立に、ハロゲン、C1−5ハロアルキル、NO、C(O)NR、C1−6アルキル、C1−6ジアルキルアミン、C1−3アルキルアミン、CN、アミノ、ヒドロキシまたはC1−3アルコキシである。
【0049】
存在する時、Rは最も普通にはハロゲンであり、典型的には塩素またはフッ素、最も普通にはフッ素のハロゲンである。
【0050】
各Rは独立に、C1−5アルキル、C1−5ハロアルキル、C1−3アルコキシ、N−オキソまたはN−ヒドロキシである。
【0051】
存在する時、R2は典型的にはメチルまたはトリフロロメチルである。
【0052】
各R3は独立に、ハロゲン、R、OR、S(O)R、C(O)R、C(O)NR、オキソ、シアノまたはニトロ(NO)である。好ましくは少なくとも1個のRはハロゲンである。RおよびRは独立に、水素、C1−6アルキル、またはベルハロゲン化までハロゲン化されたC1−6アルキルから選ばれる。
【0053】
Aの他の例は以下のものを含む。
【0054】
【化16】


【0055】
Bの他の例は以下のものを含む。
【0056】
【化17】

【0057】
好ましくは尿素基−NH−C(O)−NH−および連結基Lは、Bの隣接する環炭素原子へ結合せず、むしろそれらを離す1〜2個の環炭素原子を含んでいる。
【0058】
の例は、フッ素、塩素、臭素、メチル、NO、C(O)NH、C(O)NH、メトキシ、SCH、トリフロロメチルおよびメタンスルホニルを含む。
【0059】
基の例は、メチル、エチル、プロピル、酸素およびシアノを含む。
【0060】
の例は、トリフロロメチル、メチル、エチルプロピル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、塩素、フッ素、臭素、シアノ、メトキシ、アセチル、トリフロロメタンスルホニル、トリフロロメトキシ、およびトリフロロメチルチオを含む。
【0061】
関心ある式(I)の化合物は以下のものである。
【0062】
{〔2−クロロ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ)フェニル〕アミノ}−N−インダン−5−イルカルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−フロロフェニル〕アミノ}−N−インダン−5−イルカルボキサマイド;
{〔2−クロロ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(1−オキソインダン−5−イル)カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−フロロフェニル〕アミノ}−N−(2−ナフチル)カルボキサマイド;
N−(2,2−ジフロロベンゾ〔d〕1,3−ジオキソラン−5−イル){〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ)フェニル〕アミノ}カルボキサマイド;
N−(2,2−ジフロロベンゾ〔d〕1,3−ジオキソラン−5−イル){〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}カルボキサマイド;
N−(2,2−ジフロロベンゾ〔d〕1,3−ジオキソラン−5−イル){〔2−クロロ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}カルボキサマイド;
N−(2,2−ジフロロベンゾ〔d〕1,3−ジオキソラン−5−イル){〔3−クロロ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}カルボキサマイド;
N−(2,2−ジフロロベンゾ〔d〕1,3−ジオキソラン−5−イル){〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−3−フロロフェニル〕アミノ}カルボキサマイド;
N−(2,2−ジフロロベンゾ〔d〕1,3−ジオキソラン−5−イル){〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−3−フロロフェニル〕アミノ}カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−(トリフロロメチル)フェニル〕アミノ}−N−(2,2,3,3−テトラフロロベンゾ〔e〕1,4−ジオキサン−6−イル)カルボキサイド;
{〔2−クロロ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(2,2,3,3−テトラフロロベンゾ〔e〕1,4−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−フロロフェニル〕アミノ}−N−(2,2,3,3−テトラフロロベンゾ〔e〕1,4−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ)−2,6−ジフロロフェニル〕アミノ}−N−(2,2,3,3−テトラフロロベンゾ〔e〕1,4−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2,5−ジフロロフェニル〕アミノ}−N−(2,2,3,3−テトラフロロベンゾ〔e〕1,4−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔3−クロロ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(2,2,3,3−テトラフロロベンゾ〔e〕1,4−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−メチルフェニル〕アミノ}−N−(2,2,3,3−テトラフロロベンゾ〔e〕1,4−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−ニトロフェニル〕アミノ}−N−(2,2,3,3−テトラフロロベンゾ〔e〕1,4−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−フロロフェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔3−クロロ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔2−クロロ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−3−フロロフェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−(トリフロロメチル)フェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2,3−ジフロロフェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2,5−ジフロロフェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2,6−ジフロロフェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−3−メチルフェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔3−ブロモ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−メチルフェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−3−メチルフェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
5−(2−シアノ(4−ピリジル)オキシ)−2{〔N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルバモイル〕アミノ}ベンズアミド;
{〔4(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−ニトロフェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4(2−シアノ−1−ヒドロキシ(4−ピリジルオキシ))−2−フロロフェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4(2−シアノ−1−ヒドロキシ(4−ピリジルオキシ))−2−フロロフェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4(2−シアノ(4−ピリジル)オキシ−2−メチルチオフェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4(2−シアノ(4−ピリジル)オキシ−2−(メチルスルホニル)フェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−フロロフェニル〕アミノ}−N−〔2−(トリフロロメチル)(4−ピリジル)〕カルボキサマイド;
N−〔4−(t−ブチル)(2−ピリジル)〕{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}カルボキサマイド;
N−〔4−(t−ブチル)(2−ピリジル)〕{〔3−クロロ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}カルボキサマイド;
N−〔4−(t−ブチル)(2−ピリジル)〕{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−3−フロロフェニル〕アミノ}カルボキサマイド;
N−〔4−(t−ブチル)(2−ピリジル)〕{4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−フロロフェニル〕アミノ}カルボキサマイド;
N−〔4−(t−ブチル)(2−ピリジル)〕{〔3−ブロモ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}カルボキサマイド;
2−({N−〔4−(t−ブチル)(2−ピリジル)〕カルバモイル}アミノ)−5−(2−シアノ(4−ピリジル)オキシ)ベンズアミド;
N−〔4−(t−ブチル)(2−ピリジル)〕{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−3−フロロフェニル〕アミノ}カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−(トリフロロメチル)フェニル〕アミノ}−N−〔4−(トリフロロメチル)(2−ピリジル)カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2,6−ジフロロフェニル〕アミノ}−N−〔4−(トリフロロメチル)(2−ピリジル)〕カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(4−トリフロロメチル)(2−ピリジル)〕カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(4−エチル)(2−ピリジル)カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(2−メチル)(6−キノリル)カルボキサマイド;
{〔3−クロロ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(2−メチル(6−キノリル)カルボキサマイド;
{〔3−クロロ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(6−キノリル)カルボキサマイド;
{〔2−クロロ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(6−キノリル)カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−(トリフロロメチル)フェニル〕アミノ}−N−(6−キノリル)カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(3−イソキノリル)カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−フロロフェニル〕アミノ}−N−(3−イソキノリル)カルボキサマイド;
{〔3−クロロ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(3−イソキノリル)カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(1−メチル(1H−インダゾール−5−イル))カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−フロロフェニル〕アミノ}−N−(1−メチル(1H−インダゾール−5−イル))カルボキサマイド;
{〔2−クロロ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(1−メチル(1H−インダゾール−5−イル))カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−(トリフロロメチル)フェニル〕アミノ}−N−(1−メチル(1H−インダゾール−5−イル))カルボキサマイド;
{〔3−クロロ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(1−メチル(1H−インダゾール−5−イル))カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−〔2−(トリフロロメチル)ベンズイミダゾール−5−イル〕カルボキサマイド;
{〔3−クロロ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−〔2−(トリフロロメチル)ベンズイミダゾール−5−イル〕カルボキサマイド;
N−ベンズイミダゾール−5−イル{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−ニトロフェニル〕アミノ}カルボキサイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−3−メチルフェニル〕アミノ}−N−〔2−メチルベンズイミダゾール−5−イル〕カルボキサマイド;または
それらの塩およびそれらの立体異性体より選ばれた化合物。
【0063】
関心ある化合物は下記式IIの化合物である。
【化18】

式中、式IIIのBは
【化19】

であり;
尿素基−NH−C(O)−NH−および連結基LはBの隣接する環炭素原子へ結合しておらず、その間にそれらを引き離す1または2の環炭素原子を有し;
式IIのAは、
【化20】

であり、ここでnは0,1,2,3または4であり;
そしてRはトリフロロメチル、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、塩素、フッ素、臭素、シアノ、メトキシ、トリフロロメタンスルホニル、トリフロロメトキシまたはトリフロロメチルチオ;である。
【0064】
そのような化合物のサブクラスにおいては、式IIのA上の置換基はフッ素である。
【0065】
そのような化合物の他のサブクラスにおいては、式IIのAは以下のものであり、
【化21】


そして式IIのBはフェニレン、フロロ置換フェニレン、またはジフロロ置換フェニレンである。
【0066】
関心ある化合物の他のクラスは以下の式XおよびYを有する化合物であり、式中フェニル環およびQ基は各自少なくとも1個のハロゲン、好ましくはC1またはF、最も好ましくはF置換基を有する。これら化合物のサブクラスにおいては、フェニル環BおよびQ基は各自2−4個のハロゲン、好ましくはC1またはF、最も好ましくはF置換基を有する。
【0067】
【化22】

【0068】
【化23】

【0069】
式Xの化合物について、R、mおよびAは式(I)について先に定義したとおりである。mは好ましくはゼロであり、ピリジル基の唯一の置換基としてCNを残す。Aは好ましくは置換ピリジルと、少なくとも1個の酸素ヘテロ原子と少なくとも1個のハロゲン置換基を有する部分不飽和8−10員複素環基である。
【0070】
式Yの化合物について、Rおよびmは式(I)の化合物について先に定義したとおりであり、mは好ましくはゼロである。基Qは、O,N.Sまたはその組合せである1−4個のヘテロ原子を有する8−10員双環複素環基を表す。好ましくは該双環構造は少なくとも1個の酸素ヘテロ原子を有し、部分不飽和である。好ましくは具体的において、不飽和炭素原子はペルハロゲン化されている。そのような構造の例は、
2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル、2,2,3,3−テトラフロロベンゾ〔e〕1,4−ジオキサン−6−イル、2,2−ジフロロベンゾ〔e〕1,3−ジオキサン−5−イル、を含む。
【0071】
関心ある化合物のサブクラスは、以下の式Za,Zb,ZcおよびZdの構造を有する化合物である。
【0072】
【化24】


【0073】
各Rは独立にハロゲンまたはトリフロロメチルであり、各Rは独立にハロゲン、R,OR,S(O)R,C(O)R,C(O)NR,オキソ、シアノ、ニトロ(NO)であり、好ましくはフロロ、トリフロロメチル、メチルおよびt−ブチルである。
【0074】
nは0,1,2,3または4であり、pは0または1である。
【0075】
どれかの基が置換されている時、それは示した置換基の最大数まで可能であり、各置換基は該基上のどの利用し得る位置に存在することができ、そして該置換基上のどの利用し得る原子を介しても結合することができる。「どの利用し得る位置」とは、この分野で既知またはここで教示した手段により化学的にアクセスすることができ、そして不安定な分子、例えばヒトへ投与することができない分子を生成しない基上の任意の位置を意味する。どれかの基上に2以上の置換基が存在する時、各置換基は他の置換基と独立して定義され、したがって同一または異なることができる。
【0076】
「任意に置換された」との用語は、そのように修飾された基が未置換、または同定された置換基で置換されていることを意味する。
【0077】
ピリジン置換基としての用語「ヒドロキシ」は、2−,3−および4−ヒドロキシピリジンを含み、またこの分野で1−オキソピリジン、1−ヒドロキシピリジンまたはピリジン−N−オキサイドとして呼ばれる構造をも含むことを理解すべきである。
【0078】
用語化合物、塩等の複数形がここで使用される場合、これは単一の化合物、塩等も意味する。
【0079】
特記しない限り、用語C1−6アルキルは、1ないし6個の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖または環状アルキル基を意味し、これは環状、直鎖または単一もしくは複数の枝を有する分岐鎖であり得る。そのような基は、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、シクロプロピル、シクロブチル等を含む。
【0080】
用語C1−6ハロアルキルは、特記しない限り、6個までの炭素原子を有し、少なくとも1個のハロゲン原子からペルハロまで置換された飽和炭化水素基を意味する。この基は環状、直鎖状または単一もしくは複数の枝を有する分岐鎖であり得る。ハロ置換基はフロロ、クロロ、ブロモまたはヨードを含む。フロロ、クロロおよびブロモが好ましく、フロロおよびクロロがもっとも好ましい。ハロゲン置換基はどんな利用し得る炭素上に位置してもよい。2以上のハロゲン置換基がこの基上に存在する時、それらが同じでも異なってもよい。そのようなハロゲン化アルキル置換基の例は、限定でなく、クロロメチル、ジクロメチル、トリクロロメチル、フロロメチル、ジフロロメチル、トリフロロメチル、2,2,2−トリフロロエチル、および1,1,2,2−テトラフロロエチル等を含む。
【0081】
用語C1−6アルコキシは、特記しない限り、1ないし6個の炭素原子を有し、環状、直鎖または単一または複数の枝を有する分岐鎖のアルコキシ基を意味し、そしてメトキシ、エトキシ、n−ブロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、ペントキシ等を含む。それは2,2−ジクロロエトキシ、トリフロロメトキシ等のハロゲン化された基をも含む。
【0082】
ハロまたはハロゲンはフロロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。フロロ、クロロおよびブロモが好ましく、フロロおよびクロロが最も好ましい。
【0083】
1−3アルキルアミンは、特記しない限り、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノまたはイソプロピルアミノを意味する。
【0084】
1−6ジアルキルアミンの例は、限定でなくジエチルアミノ、エチルイソプロピルアミノ、メチルイソブチルアミノおよびジヘキシルアミノを含む。
【0085】
用語ヘテロアリールは単環および双環ヘテロアリール環の両方を指す。単環ヘテロアリールは5ないし6個の環原子と、N,OおよびSから選ばれた1〜4個のヘテロ原子含み、残りは炭素原子である芳香性単環を意味する。2以上のヘテロ原子が存在する時、それらは他のものから独立に選ばれ、そのためそれらは同一でもよい。限定でなく単環ヘテロアリールは、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジンおよびトリアジンを含む。
【0086】
双環ヘテロアリールは、環の一つが上記の単環アリールであり、第2の環がベンゼンかまたは上記の他の単環ヘテロアリールである縮合双環基を意味する。双環中の両方の環がヘテロアリール環の時、この分野で既知の手段で化学的にアクセス可能である限り、それらは同じか異なってともよい。双環ヘテロアリール環は、例えば限定でなくベンゾオキサゾール(フェニルとオキサゾールの縮合環)、キノリン(フェニルとピリジンの縮合環)、イミダゾピリジン(イミダゾールとピリジンの縮合環)を含む、合成的にアクセス可能な5−5,5−6または6−6縮合芳香性構造を含む。
【0087】
指示した時、双環ヘテロアリール部分は部分的に飽和し得る。部分飽和している時、上記単環ヘテロアリール環がまたは上記第2の環のどちらかが部分飽和であるか、または両方の環が部分飽和であることができる。
【0088】
用語「酸素、窒素およびイオウから選ばれた少なくとも1個の原子を含み、飽和、部分飽和または芳香性の5または6員複素環」は、限定でなく、テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ピペリドン、テトラヒドロピリミドン、ペンタメチレンサルファイド、テトラメチレンサルファイド、ジヒドロピラン、ジヒドロチオフェン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、トリアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン等を含む。
【0089】
用語「C1−3アルキルフェニル」は、例えば2−メチルフェニル、イソプロピルフェニル、3−フェニルプロピルまたは2−フェニル−1−メチルエチルを含む。置換した例は、2−〔2−クロロフェニル〕エチル、3,4−ジメチルフェニルメチル等を含む。
【0090】
特記しない限り、用語「アリール」は0,1,2,3,4,5または6個の置換基を有する単環または双環芳香族炭化水素基(例えばフェニル、ナフタレン、アズレン、インデン基)を含む。
【0091】
式(I)の化合物は、所望の種々の置換基の位置および性格に応じて一以上の不斉中心を持つことができる。不斉炭素原子は(R)または(S)配座または(R,S)配座に存在し得る。ある場合には不斉は与えられた結合、例えば特定の化合物の二つの隣接する置換芳香環の中心結合のまわりの制限された回転のために存在することができる。環上の置換基はシスまたはトランス形のどちらかが存在することができる。そのような構造(エナンチオマーおよびジアステレオマーを含む)は本発明の範囲内であることが意図される。好ましい化合物は、一層望ましい生物活性を産む式(I)の化合物の絶対構造を有するものである。本発明の化合物の分離された純粋なまたは部分的に精製された異性体またはラセミ混合物も本発明の範囲内に含まれる。前記異性体の精製および前記異性体混合物の分離はこの分野で既知の標準技術によって達成することができる。
【0092】
光学異性体は慣用方法、例えば光学活性酸または塩基を用いるジアステレオイソマーの塩の生成または共有結合ジアステレマーの生成によってラセミ混合物の分割によって得ることができる。適切な酸の例は酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジトルオイル酒石酸である。ジアステレオイソマーの混合物はそれらの物理的および/または化学的相違に基いてこの分野で知られた方法、例えばクロマトグラフィーまたは分野結晶によってそれらの個々のジアステレオマに分離することができる。光学異性体を分離するための他の方法は、エナンチオマーの分離を最大にするため最適に選ばれた慣用の変更ありなしのキラルクロマトグラフィー(例えばキラルHPLCカラム)の使用を含む。好適なキラルHPLCカラムはダイセルによって製造され、例えば中でもすべて日常的に選ぶことができるキラルセルODおよびキラルセルOJである。誘導体化ありなしの酵素分割も有用である。式(I)の光学活性化合物は光学活性出発物質を利用するキラル合成によって同様に得ることができる。
【0093】
本発明は、式(I)の化合物のすべての薬学的に許容し得る塩、代謝物およびプロドラッグのようなここに開示した化合物の有用な形にも関する。用語「薬学的に許容し得る塩」は、本発明の化合物の比較的無毒性の無機または有機酸付加塩を指す。例えば、S.M.Berge et al,“Phamacentical Salts”,J.Pharm.Sci.1977,66,1−19を見よ。薬学的に許容し得る塩は塩基として機能するメイン化合物を無機または有機酸と反応させ、例えば塩酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、カンファースルホン酸、シュウ酸、マレイン酸、コハク酸およびクエン酸の塩のような塩を生成させることによって得られたものを含む。薬学的に許容し得る塩は、メイン化合物が酸として機能し、例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウムおよびコリン塩を生成する適切な塩基と反応させることによって得られるものを含む。当業者は、特許請求した化合物の酸付加塩は多数の既知の方法によって適切な無機または有機酸と反応させることによって製造し得ることをさらに認識するであろう。代りに、アルカリおよびアルカリ土類金属塩は本発明の化合物を種々の既知方法によって適切な塩基と反応させることによって製造される。
【0094】
本発明の化合物の典型的な塩は、例えばこの分野で知られた手段により無機または有機酸から形成される慣用の無毒性塩および4級アンモニウム塩を含む。例えば、そのような酸付加塩はアセテート、アジペート、アルギネート、アスコルベート、アスパルテート、ベンゾエート、ベンゼンスルホネート、ビ硫酸塩、ブチレート、サイトレート、カンフォレート、カンファースルホネート、シンナメート、シクロペンタンプロピオネート、ジグルコネート、ドテシルサルフェート、エタンスルホネート、フマレート、グルコヘプタノエート、ヘミ硫酸塩、ヘプタノエート、ヘキサノエート、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホネート、イタコネート、ラクテート、マレエート、マンデレート、メタンスルホネート、2−ナフタレンスルホネート、ニコチネート、硝酸塩、シュウ酸塩、パモエート、ピクチネート、パーサルフェート、3−フェニルプロピオネート、ピクレート、ピバレート、プロピオネート、スクシネート、スルホネート、タルタレート、チオシアネート、トシレート、トリフロロメタンスルホネートおよびウンデカノエートを含む。
【0095】
塩基塩は、カリウムおよびナトリウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウムおよびマグネシウム塩のようアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミンおよびN−メチル−D−グルカミンのような有機塩基とのアンモニウム塩を含む。加えて、塩基窒素含有基は、メチル、エチル、プロピルおよびブチルクロライド、ブロマイドおよびアイオダイドのような低級アルキルハライド;ジメチル、ジエチルおよびジブチル硫酸のような低級アルキル硫酸;デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルクロライド、ブロマイドおよびアイオダイドのような長鎖ハライド;ベンジルおよび他のモノ置換アラルキルハライドまたはポリ置換アラルキルハライドのようなアリールまたはアラルキルハライドのような試薬によって4級化することができる。
【0096】
或種の薬理学的に活性な剤は、インビボ投与後開裂し、親活性剤と薬理学的に不活性の誘導体化基を供給する不安定官能基でさらに修飾することができる。普通プロドラッグと呼ばれるこれらの誘導体は、例えば特定の組織へ活性剤を標的化するため活性剤の物理化学的性質を変えるため、活性剤の薬物動態学的および薬力学的性質を変えるため、および望ましくない副作用を減らすために使用することができる。本発明のプロドラッグは、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチルまたはペンチルエステルのようなよく耐えられる薬学的に許容し得るエステルである、本発明の適切な化合物のエステルを含む。メチルエステルが好ましいが、フェニル−C−Cアルキルのような追加のエステルも使用し得る。
【0097】
他のプロドラッグの合成に使用することができる方法はこの題目に関する以下のレビューに記載されており、これらの合成方法の記載についてここに参照として取入れる。
【0098】
Higuchi,T.;Stella,V.eds.Prodrugs As Novel Drug Delivery Systems.ACS Symposium Series,Amarican Chemcal Society;Washington,DC(1975).
Roche,E.B.Design of Biopharmaceutical Properies through Prodrugs and Analogs.American Pharmaceutical Association:Washington,DC(1977).
Sinkula,A.A.;Yalkowsky,S.H.J Pharm Sci.1975,64,181−210.
Stella V.J.;Charman,W.N.Naringrekar,V.H.Drugs 1985,29,455−473.
Bundgaard,H.ed.Design of Prodrugs.Elsevier:New York(1985).
Stella,V.J.;Himmelstein,K.J.J.Med.Chem.1980,23,1275−1282.
Han,H−K;Amidon,G.L.AAPS Pharmsci 2000,2,1,−11.
Denny,W.A.Eur.J.Med.Chem.2001,36,577−595.
Wermuth,C.G.in Wermuth,C.G.ed.The Practice of Medicinal Chemistry Academic Press:San Diego(1996),697−715.
Balant,L.P.;Doelker,E.in Wolff,M.E.ed.Burgers Medicinal Chemistry And Drug Discovery John Wilety & Sons;New York(1997),949−982.
【0099】
本発明の化合物の代謝産物は、式I,II,X,Y,Za,Zb,ZcおよびZdの化合物の酸化誘導体を含み、ここで一以上の窒素がヒドロキシ基で置換され、これは窒素原子がピリジン基のそれである場合、1−オキソピリジンと呼ばれるオキサイド形、または1−ヒドロキシピリジンと呼ばれるヒドロキシ置換基を有する誘導体を含む。
【0100】
一般的製造方法
本発明のこの具体例において使用される化合物の製造に利用される特定の方法は所望の特定化合物に依存する。特定の置換基の選択としてのファクターは、本発明の特定化合物の製造において従うべき経路において役割を果す。これらのファクターは当業者によって容易に認識することができる。
【0101】
本発明の化合物は既知化学反応および操作の使用によって製造することができる。にもかかわらず、読者に対して本発明の化合物の合成において助けるために以下の一般的製造法が提供され、作業実施例を記載する実験の部においてもっと詳細な特定の実施例が後で提供される。
【0102】
これらの方法のすべての可変基は、もしそれらが後で特定的に定義されていないならば一般的説明に記載したとおりである。与えられた記号の可変基または置換基が与えられた構造中に2回以上使用される時は、これら基または置換の各自はその記号に対する定義の範囲内で独立に可変であることを理解すべきである。各クレームした任意の官能基を有する本発明の化合物は、後でリストする方法の各自では製造できないことを認識すべきである。各方法の範囲内において、任意の置換基は反応条件において安定な基が使用され、または反応に参加し得る官能基が必要な場合保護された形で存在し、そしてそのような保護基の除去は当業者にはよく知られた方法によって適当な段階で達成される。
【0103】
本発明の化合物は、商業的に入手可能な、または日常的な慣用化学的方法に従って製造し得る出発物質から、慣用の化学的方法および/または後記方法に従って製造することができる。化合物の製造のための一般的方法が以下に与えられ、そして代表的化合物の製造が実施例に特定的に示されている。
【0104】
一般的方法
反応スキーム1:式(I)の尿素の合成
【化25】

【0105】
式(I)の尿素の製造は反応スキーム1に描かれており、そこではA,B.LおよびRは上のように広く定義されている。化合物(I)は上の一般法EおよびFに示した反応シーケンスに従って合成することができる。方法Eを使用して式(I)の尿素は二つのアリールアミンフラグメント(II)および(III)から、出発物質のどれとも反応しない溶媒中、ホスゲン、ジホスゲン、トリホスゲン、カルボニルジイミダゾール、または均等物の存在下の縮合によって製造される。代って、化合物(I)は方法Fを用いてアミノ化合物(II)をイソシアネート化合物(IV)と反応させることによって合成することができる。
【0106】
イソシアネート(IV)は商業的に入手可能であるか、または式(II)または(III)の複素環アミンから当業者に共通の既知の方法に従って合成することができる(例えばホスゲンまたはトリクロロメチルクロロホルメート(ジホスゲン)、ビス(トリクロロメチル)カーボネート(トリホスゲン)、またはN,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)のようなホスゲン均等物によるアミンの処理、または、アミド、またはエステル、酸ハライドまたは酸無水物のようなカルボン酸誘導体のクルチウス型転位)。
【0107】
反応スキーム2:式(IV)の出発物質の合成
【化26】

【0108】
式(III)または(V)のアリールアミンは商業的に入手可能であるか、または方法AまたはB、または当業者に既知の方法に従って合成することができる。アリールアミンはNi,PdまたはPtのような金属触媒とHを用いるニトロアリールの還元により、またはホルメート、シクロヘキサジェンまたはボロハイドライドのようなハイドライド移動剤を使用して慣用的に合成される(Rylander, Methods;Academic Press;London,UK(1985))。ニトロアリールはLiAlHのような強いハイドライド源を使用して(Seyden−Panne,Reductions by the Alumino−and Borohydrides in Organic Synthesis,VCH Publishers:New−York(1991))、またはしばしば酸性媒体中Fe,SnまたはCaのようなゼロ価金属を使用して直接還元することもできる。ニトロアリールの合成のための多数の方法が存在する(March,Advanced Organic Chemistry,3rd Ed.;John Wiley:New York);Larock,Comprehensive Organic Transformations;VCH Publishers:New York(1989))。ニトロアリールはHNOまたは代りのNO源を用いる求電子芳香族ニトロ化によって慣例的に生成される。
【0109】
Lが−O−または−S−を表し、B,Rおよびmが上のように広く定義される式(II)の化合物の合成のために、ニトロアリールは還元前にさらに仕上げられる。反応スキーム2の方法Dにおいて、FまたはClのような潜在的脱離基は、塩基性条件下でフェノキサイドまたはチオレートのような求核試薬との処理において置換反応を受ける。
【0110】
式(II)の中間体製造のための他の方法は、スキーム2−方法Cに描かれている。アミン(V)の適切な置換クロロピリジンとの縮合は以前に特許文献に記載されており、そして本発明の化合物に適応できる。例えば、Dumas,et al,WO99/32111,“Method for The Treatment of Neoplasm by Inhibition of raf Kimase using N−Heteroaryl−N‘− (hetero)arylureas”;Dumas,et al,WO99/32110,“Inhibition of raf Kinase using Aryl−and Heteroaryl−Substitated Heterocyclic Ureas”を見よ。
【0111】
反応スキーム3:式(I)の尿素の代替合成
【化27】

【0112】
本発明の化合物は、上の一般法およびGに示した反応シーケンスに従って式(VII)の化合物からも合成することができる。方法Gを使用して式(VI)の尿素はTHFのような溶媒中で塩化マグネシウムのようなルイス酸と適当な置換アミンで置換アミドを提供するように処理される。方法Hにおいては、式(VI)の尿素は、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムのような塩基で脱エステル化される。式(VII)のカルボン酸はTHF,AcCNまたはDMFのような溶媒中で当業者には普通に知られている方法(例えばDCC/DMAPまたはEDC/HOBTによるカルボン酸の処理)に従って適当なアミンと連結される。加えて、RおよびRが水素である式(I)の化合物は、方法Iに示した反応スキームに従って合成することができる。シアノ化合物(VIII)は、アセトン/水のような水性溶媒中20〜100℃の温度においてNaOHまたは過炭酸ナトリウムの存在下で加水分解される。式(VI)および(VIII)の化合物は方法AまたはB、またはこの分野で普通に知られた方法に従って合成される。
【0113】
ピリジン環がその窒素原子上にヒドロキシ置換基を有し、A,B,Lが上のように広く定義されるピリジン−1−オキシドまたは式(I)の化合物は、対応するピリジンからこの分野で既知の酸化条件を用いて製造することができる。いくつかのその例は以下のとおりである。
【0114】
クロロメタン、ジクロロエタンまたはクロロホルムのような塩素化溶媒中、クロロ過安息香酸のような過酸(Markgraf et al,Tetrahedron 1991,47,183);
ジクロロメタンのような塩素化溶媒中、触媒量の過レニウム酸の存在下(MeSiO)(Coperet et al,Tetrahedron lett.1998,39,761);
ハロゲン化溶媒のいくつかの組合せ中、ペルフロロ−シス−2−ブチル−3−プロピルオキサジリジン(Anome et al,Tetrahedron 1998,54,7831);
クロロホルム中、次亜フッ素酸−アセトニトリルコンプレックス(Dayan et al,Synthesis 1999,1427);
水中、KOHのような塩基の存在下オキソン(Robker et al,J.Chem.Res.Synop.1993,10,412);
氷酢酸の存在下モノペルオキシフタル酸マグネシウム(Klemm et al,J.Heterocyclic Chem.1990,6,1537);
水および酢酸の存在下過酸化水素(Lin et al,Prep.Proced.Int.1991,23(1),114);
アセトン中ジメチルジオキシラン(Boyd et al,J.Chem.Soc.Perkin Trans.1991,9,2189)
加えて、ジアリール尿素および中間体化合物(II)の製造のための特定の方法は以下の特許文献に既に記載され、本発明の化合物に適応させることができる。
【0115】
Miller S.et al,WO99/32463;
Miller S.et al,WO99/32436;
Dumas,J.et al,WO99/32111;
Dumas,J.et al,WO99/32106;
Dumas,J.et al,WO99/32110;
Dumas,J.et al,WO99/32455;
Riedl,B.et al,WO00/42012;
Riedl,B.et al,WO00/41698;
Dumas,J.et al,米国特許公開20020065296;
Dumas,J.et al,WO02/62763;
Dumas,J.et al,WO02/85857;
Dumas,J.et al,米国特許公開20020165394
【0116】
上記すべての特許出願をここに参照として取入れる。
【0117】
化合物(III)または(IV)と(II)との反応は好ましくは溶媒中で実施される。好適な溶媒は反応条件下不活性な慣用の有機溶媒を含む。非限定的例は、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタンのようなエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、鉱油フラクションのような炭化水素類;ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールのようなアルコール類;酢酸エチルのようなエステル類;アセトンのようなケトン類;アセトニトリルのようなニトリル類;ピリジンのようなヘテロ芳香族類;ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリスアミドのような極性溶媒;および上記溶媒の混合物を含む。トルエン、ベンゼンおよびジクロロメタンが好ましい。
【0118】
化合物(III)は一般に化合物(II)1モルに対して約1ないし3モルの量で使用され、化合物(III)の等モルまたは僅か過剰が好ましい。
【0119】
化合物(II)と(III)の反応は一般に比較的広い温度範囲内で実施される。一般に反応は約−20℃から200℃の範囲内、好ましくは約0℃から100℃、最も好ましくは約25ないし50℃において実施される。この反応のステップは一般に大気圧で実施される。しかしながらそれらを超大気圧または減圧下(例えば約0.5ないし5バール)で実施することも可能である。反応時間は一般に広い範囲内で変動する。一般に反応は約2ないし24時間、好ましくは約6ないし12時間の期間の後に終了する。
【0120】
J.March.Advanced Organic Chemistry,4th ed.;John Wiley,New York(1992);
R.C.Larock.Comprehensive Organic Transfomations,2nd ed.;Wiley−VCH:New York(1999);
F.A.Carey;R.J.Sundberg.Advanced Organic Chemistry,2nd ed.;Plenum Press:New York(1984);
T.W.Greene;P.G.M.Wuts.Protective Groups in Organic Synthesis,3rd ed.;John Wiley,New York(1999);
L.S.Hegedus.Transition Metals in the Synthesis of Complex Organic Molecules,2nd ed.;University Science Books:Mill Valley,CA(1994);
L.A.Paquette,Ed.The Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis;John Wiley;New York(1994);
A.R.Katrizky;O.Meth−Cohn;C.W.Rees,Eds.Comprehensive Organic Functijonal Group Transfomations;Pergemon Press:Oxford,UK(1995);
G.Wikinson;F.G A.Stone;E.W.Abel,Eds.Comprehensive Organometallic Chemistry;Pergamon Press;Oxford,UK(1982);
B.M.Trost;I.Fleming.Comprehensive Organic Synthesis;Pergamon Press:Oxford,UK(1991);
A.R.Katrizky;C.W.Rees Eds.Comprehensive Heterocylic Chemistry;Pergamon Press;Oxford,UK 1984);
A.R.Katrizky;C.W.Rees;E.F.V.Scriven,Eds,Comprehensive Heterocylic Chemistry //;Pergamon Press;Oxford,UK(1996);
C.Hansch;P.G.Sammes;J.B.Taylor,Eds.Comprehensive Medicinal Chemistry;Pergamon Press;Oxford,UK(1990);
【0121】
加えて、合成方法論および関係するトピックの評論は、Organic Reactions,John Wiley,New York;Organic Syntheses,John Wiley,New York;The Total Synthesis Natural Products,John Wiley,New York;Reagents for Organic Synthesis,John Wiley,New York;The Organic Chemistry of Drug Synthesis,John Wiley,New York;Annual Reports in Organic Syntheses,Academic Press,San Diego Ca;Methodender Orannischon Chemie,(Houben−Weyl),Thieme,Stuttgart,Germanyに見られる。さらに合成変換のデータベースは、CAS OnLineまたはSciFinderを用いて検索し得るChemical Abstracts,SpotFireを用いて検索し得るHandbuch der Organischen Chemie(Beilstein)、およびREACCSを含む。
【0122】
本発明の化合物の組成物
本発明は、1以上の本発明の化合物を含む医薬組成物にも関する。これらの組成物はそれを必要とする患者へ投与することによって所望の薬理効果を達成するために利用される。本発明の目的のための患者は特定の状態および疾病のための処置を含むヒトを含む哺乳類である。それ故本発明は、薬学的に許容し得る担体と、本発明の化合物(ジアステレオイソマー形を含む式(I)の化合物、それらの塩、プロドラッグおよび代謝産物)よりなる医薬組成物を含む。薬学的に許容し得る担体は、好ましくは担体に帰すべき副作用が活性成分の有益な効果を損なわないように、活性成分の有効活性と矛盾しない濃度において無毒性でありかつ患者に対して無害の担体である。化合物の薬学的に有効量は、好ましくは処置されている特定の状態に結果を産むまたは影響する量である。本発明の化合物は、薬学的に許容し得る担体と共に、即時、遅延および時間放出製剤を含む有効な慣用の投与単位形において経口、非経口、局所、経鼻、経眼、光学的、舌下、経直腸、経膣等により投与することができる。
【0123】
経口投与のため、化合物はカプセル、ピル、錠剤、トローチ、ひし形錠、溶融物、粉末、溶液、サスペンジョン、またはエマルジョンに製剤することができ、そして医薬製剤の分野において知られた方法によって製造することができる。固形単位投与形は、例えば界面活性剤、滑沢剤、および乳糖、ショ糖、リン酸カルシウムおよびコーンスターチのような不活性フィラーを含んでいる通常の硬また軟ゼラチンシェルのカプセルであることができる。
【0124】
他の具体例において、本発明の化合物は、アカシア、コーンスターチまたはゼラチンのようなバインダー、バレイショデンプン、アルギン酸、コーンスターチ、グアーガム、トラガントガム、アカシアのような投与後錠剤の崩壊を助けることを意図した崩壊剤、錠剤顆粒の流動を改善し、そして錠剤臼および杵の表面への錠剤原料の付着を防止することを意図した滑沢剤例えばタルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、カルシウムまたは亜鉛、染料、着色剤および錠剤の美的品質を増強しそしてそれらの患者に対して受入れ易くすることを意図した、染料着色料、およびペパーミント、ウインターグリーンまたはチェリー香料のような香料と組合せて乳糖、ショ糖およびコーンスターチのような錠剤ベースと共に打錠することができる。経口液体形に使用するための好適な補助剤は、リン酸ジカルシウム、および薬学的に許容し得る界面活性剤、懸濁剤または乳化剤の添加ありなしの水およびアルコール、例えばエタノール、ベンジルアルコールおよびポリエチレンアルコールのような希釈剤を含む。コーティングとして、または他のように投与単位の物理的形状を修飾するための種々の他の材料が存在し得る。例えば錠、ピルまたはカプセルはシェラック、糖または両者でコーティングし得る。
【0125】
分散し得る粉末および顆粒は水性懸濁液の調製に適している。それらは活性成分を分散または湿潤剤、懸濁剤および一以上の保存剤との混合物で提供する。適当な分散または湿潤剤および懸濁剤は上で既に述べたものによって例示される。他の補助剤、例えば上で記載した甘味剤、香味剤も存在することができる。
【0126】
本発明の医薬組成物は水中油型エマルジョンの形でも良い。油相は液体パラインおよび植物油混合物のような植物油でよい。好適な乳化剤は、(1)アカシアガムおよびトラガントガムのような天然ガム、(2)大豆およびレシチンのような天然ホスフアチド、(3)脂肪酸および無水ヘキシトールから誘導されたエステルまたは部分エステル、例えばソルビタンモノオレエート、(4)前記部分エステルとエチレンオキサイドの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートでよい。乳化剤は甘味剤および香味剤を含んでも良い。
【0127】
油性懸濁液は、例えばアラキス油、オリーブ油、ゴマ油またはココナット油のような植物油に、または液体パラフィンのような鉱油に活性成分を懸濁することによって処方することができる。油性懸濁液は一以上の保存剤、例えばp−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはプロピルエステル、一以上の着色剤、一以上の香味剤、ショ糖またはサッカリンのような一以上の甘味剤、および例えば蜜ロウ、ハードパラフィンまたはセチルアルコールのような増粘剤を含むことができる。
【0128】
シロップおよびエリキサーは、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはショ糖のような甘味剤と共に処方することができる。その様な製剤は緩和剤およびメチルおよびプロピルパラベンのような保存剤、香味剤および着色剤を含むこともできる。
【0129】
本発明の化合物は、水、食塩水、デキストロース水溶液および関連する糖溶液、エタノール、イソプロパノールまたはヘキサデシルアルコールのようなアルコール類、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールのようなグリコール類、2,2−ジメチル−1,4−ジオキソラン−4−メタノールのようなグリセロールケタール、ポリエチレングリコール400のようなエーテル類、油、脂肪酸、脂肪酸エステルまたは脂肪酸グリセライドまたはアセチル化脂肪酸グリセライドのような無菌液体または液体混合物であることができる、薬剤担体を有する生理学的に許容し得る希釈剤中の、石鹸または洗剤のような界面活性剤、ペクチン、カルボマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロースのような懸濁剤、または乳化剤および他の薬学的アジュバントの添加ありなしで化合物の注射可能な投与形として、非経口的に、すなわち皮下、静脈内、眼内、滑液内、筋内または腹腔内投与することができる。
【0130】
本発明の非経口製剤に使用できる油の例は、石油、動物、植物または合成起源のもの、例えば落花生油、大豆油、ゴマ油、綿実油、コーン油、オリーブ油、ペトロラタムおよび鉱油である。好適な脂肪酸はオレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸およびミリスチン酸を含む。好適な脂肪酸エステルは、例えばオレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルである。好適な石鹸は脂肪酸アルカリ金属塩、アンモニウム塩およびトリエタノールアミン塩であり、そして好適な洗剤はカチオン性洗剤、例えばジメチルジアルキルアンモニウムハライド、アルキルピリジニウムハライド、アルキルアミンアセテート;アニオン性洗剤、例えばアルキル、アリールおよびオレフィンスルホネート、アルキル、オレフィン、エーテルおよびモノグリセライドサルフェートおよびスルホサクシネート;非イオン洗剤、例えば脂肪アミンオキサイド、脂肪酸アルカノールアミド、およびポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)、またはエチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体;および両性洗浄剤、例えばアルキル−β−アミノプロピオネートおよび2−アルキルイミダゾリン4級アンモニウム塩、および混合物を含む。
【0131】
本発明の非経口組成物は、典型的には溶液中約0.5%ないし約25%の活性成分を含むであろう。保存剤およびバッファーも有利に使用し得る。注射部位での刺激を最小化またはなくすために、そのような組成物は、好ましくは約12ないし約17のHLBを有する非イオン界面活性剤を含むことができる。そのような製剤中の界面活性剤の量は好ましくは約5ないし約15重量%の範囲である。界面活性剤は上のHLBを有する単一成分か、または所望のHLBを有する2以上の成分の混合物であることができる。
【0132】
非経口製剤に使用される界面活性剤の例は、ポリエチレンソルビタン脂肪酸エステルクラス、例えばソルビタンモノオレエートおよびポリエチレンオキシドとプロピレングリコールとの縮合によって生成したエチレンオキシドと疎水性ベースの高分子量付加物である。
【0133】
医薬組成物は無菌の注射可能水性懸濁液の形でもよい。そのような懸濁液は、既知の方法に従って、適当な分散または湿潤剤および、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トランガントガムおよびアカシアガムのような懸濁剤;レシチンのような天然ホスファチド、エチレンオキシドと脂肪酸との縮合物、例えばポリオキシエチレンステアレート、エチレンオキシドと長鎖脂肪酸との縮合生成物例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートのような脂肪酸およびヘキシトールから誘導された部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、または脂肪酸および無水ヘキシトールから誘導された部分エステルとエチレンオキシドの縮合生成物例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであることができる分散または湿潤剤を使用して処方することができる。
【0134】
無菌の注射可能な製剤は、非毒性の非経口的に許容し得る希釈剤または溶媒中の無菌の注射溶液または懸濁液であることもできる。
【0135】
採用し得る希釈剤または溶媒は、例えば水、リンゲル液、等張塩化ナトリウム溶液または等張グルコース溶液である。加えて、無菌の固定油を溶媒または懸濁媒として慣用的に採用し得る。この目的のため合成モノまたはジグリセライドを含む任意のブランドの固定油を採用することができる。加えてオレイン酸のような脂肪酸を注射製剤に使用することができる。
【0136】
本発明の組成物は薬物の直腸投与のための坐剤の形で投与することもできる。そのような組成物は、常温では固体であるが直腸温度において液体であり、それ故薬物を放出するため直腸内で溶融する適当な非刺激性補助剤と薬物を混合することによって調製することができる。そのような材料は、例えばカカオバターおよびポリエチレングリコールである。
【0137】
本発明の方法において採用し得る他の製剤は経皮送達デバイス(パッチ)を採用する。そのような経皮パッチは、本発明の化合物を制御された量で連続または非連続注入することを提供するために使用し得る。薬剤の送達のための経皮パッチの構造および使用はこの分野では良く知られている(例えば米国特許第5,023,252号、1991年6月11日発行を見よ。参考としてここに取り入れる)。
【0138】
非経口投与のための制御された放出製剤は、この分野で既知のリポソーム、ポリマーマイクロスフェアおよびポリマーゲル製剤を含む。
【0139】
医薬組成物は機械的送達器具を用いて患者へ導入することが望ましいか必要である。薬剤の送達のための機械的送達器の構造および使用は当分野で良く知られている。例えば薬物を脳へ直接投与するための直接の技術は、通常血液−脳バリヤーをパイパスするため患者の心室系に配置された薬物送達カテーテルを含む。薬剤を体の特定の解剖学的区域へ輸送するため内植し得る送達システムの一例は、1991年4月30日発行の米国特許第5,011,472号記載されている。
【0140】
本発明の組成物は、必要または所望に応じ、一般に担体または希釈剤と呼ばれる他の慣用の薬学的に許容し得る配合成分を含むことができる。適切な投与形のそのような組成物を調製するための慣用操作を利用することができる。そのような成分および操作はここに参照として取り入れる以下の参考文献に記載されているものを含む。Powell,M.F.et al,Compendium of Excipients for Parenteral Formulations,PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology 1993,52(5),238−311;Strickey,R.G.,Parenteral Formulations of Small Molecule Therapeutics Marketed in the Vnited States(1999)Part−1,PDA Jounal of Pharmacentical Science & Technology 1999,53(6),324−348;Nema,S.et al,Excipients and Their Use in injjectable Products,PDA Jounal of Pharmacentical Science & Technology 1997,51(4),166−171。
【0141】
意図した投与ルートのための組成物を処方するために適切として使用することができる普通に使用される薬剤成分は以下のものを含む。
【0142】
酸性化剤(非限定的な例は、酢酸、クエン酸、フマル酸、塩酸、硝酸を含む);
アルカリ化剤(非限定的な例は、アンモニア溶液、炭酸アンモニウム、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、水酸化カリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、トロールアミンを含む);
吸着剤(非限定的な例は、粉末セルロースおよび活性炭を含む);
エアゾル噴射剤(非限定的な例は、二酸化炭素、CCl,FClC−CClFおよびCClF);
空気置換剤(非限定的な例は、窒素およびアルゴンを含む);
抗カビ保存剤(非限定な例は、安息香酸、ブチルパラベン、エチルパラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウムを含む);
抗微生物保存剤(非限定的な例は、塩化ベンズアルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニム、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、およびメチロサールを含む);
抗酸化剤(非限定的な例は、アスコルビン酸、アスコルビルパルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、メタ重亜硫酸ナトリウムを含む);
結合物質(非限定的な例は、ブロック共重合体、天然および合成ゴム、ポリアクリレート、ポリウレタン、シリコーン、ポリシロキサン、スチレンブタジエン共重合体を含む);
緩衝剤(非限定な例は、メタリン酸カリウム、リン酸二カリウム、酢酸ナトリウム、無水クエン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム二水和物を含む);
担持剤(非限定的な例は、アカシアシロップ、芳香シロップ、芳香エリキサー、チェリーシロップ、ココアシロップ、オレンジシロップ、シロップ、コーンオイル、鉱油、落花生油、ゴマ油、静菌塩化ナトリウム注射液、注射用静菌水を含む);
キレート剤(非限定的な例は、エデト酸ジナトリウムおよびエデト酸を含む);
着色剤(非限定的な例は、FD & CレッドNo.3,FD & CレッドNo.20,FD & CイエローNo.6,FD & CブルーNo.2,D & CグリーンNo.5,D & CオレンジNo.5,D & CレッドNo.8,カラメル、赤色酸化鉄を含む);
乳化剤(非限定的な例は、アカシア、セトマクロゴール、セチルアルコール、グリセリルモノステアレート、レシチン、ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン50モノステアレートを含む);
カプセル化剤(非限定的な例は、ゼラチンおよびセルロースアセテートフタレートを含む);
香味剤(非限定的な例は、アニス油、シナモン油、ココア、メンソール、オレンジ油、ペパーミント油、バニリンを含む);
調湿剤(非限定的な例は、グリセロール、プロピレン、グリコール、ソルビトールを含む);
オイル(非限定的な例は、アラキス油、鉱油、オリーブ油、グリセリンを含む);
軟膏基剤(非限定的な例は、ラノリン、親水性軟膏、ポリエチレングリコール軟膏、ペテロラタム、親水性ペトロラタム、白色軟膏、黄色軟膏、ローズウォーター軟膏を含む);
浸透促進剤(経皮送達)(非限定的な例は、モノまたはポリヒドロキシアルコール、モノまたは多価アルコール、飽和または不飽和脂肪アルコール、飽和または不飽和脂肪エステル、飽和または不飽和ジカルボン酸、精油、ホスフェチジル誘導体、セファリン、テルペン、アミド、エーテル、ケトンおよび尿素を含む);
可塑剤(非限定的な例は、フタル酸ジエチルおよびグリセロールを含む);
溶媒(非限定的な例は、エタノール、コーンオイル、綿実油、グリセロール、イソプロパノール、鉱油、オレイン酸、落花生油、精製水、注射用水、注射用無菌水、洗浄のための無菌水を含む);
硬化剤(非限定的な例は、セチルアルコール、セチルエステルワックス、微結晶ワックス、パラフィン、ステアリルアルコール、白ロウ、黄色ロウを含む);
界面活性剤(非限定的な例は、塩化ベンゼトニウム、ノノキシノール10、オキシトキシリノール9、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンモノパルミテートを含む);
懸濁剤(非限定的な例は、寒天、ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カオリン、メチルセルロース、トラガントガム、ビーガムを含む);
甘味剤(非限定的な例は、アスパルテーム、デキストロース、グリセロール、マンニトール、プロピレングリコール、サッカリンナトリウム、ソルビトール、ショ糖を含む);
錠剤抗粘着剤(非限定的な例は、ステアリン酸マグネシウム、タルクを含む);
錠剤バインダー(非限定的な例は、アカシア、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、圧縮性糖、エチルセルロース、ゼラチン、液体グルコース、メチルセルロース、非架橋ポリビニルピロリドン、プレゼラチン化デンプンを含む);
錠剤およびカプセル希釈剤(非限定的な例は、二塩基性リン酸カルシウム、カオリン、乳糖、マンニトール、微結晶セルロース、粉末セルロース、沈降性炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ソルビトール、デンプンを含む);
錠剤コーティング剤(非限定的な例は、液体グルコース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、シエラックを含む);
錠剤直打賦形剤(非限定的な例は、二塩基性リン酸カルシムウムを含む);
錠剤崩壊剤(非限定的な例は、アルギン酸、カルボキメチルセルロースカルシウム、微結晶セルロース、ポラクリンカリウム、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンを含む);
錠剤滑剤(非限定的な例は、コロイド状シリカ、コーンスターチおよびタルクを含む);
錠剤滑沢剤(非限定的な例は、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛を含む);
錠剤/カプセル不透明化剤(非限定な例は、二酸化チタンを含む);
錠剤研磨剤(非限定的な例は、カルナウバロウ、シロロウを含む);
濃化剤(非限定的な例は、蜜ロウ、セチルアルコール、パラフィンを含む);
浸透圧調節剤(非限定的な例は、デキストロース、塩化ナトリウムを含む);
増粘剤(非限定的な例は、アルギン酸、ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、トラガントガムを含む);そして
湿潤剤(非限定的な例は、ペプタデカエチレンオキシセタノール、レシチン、ソルビトールモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートを含む)
【0143】
本発明に従って医薬組成物は以下に例示することができる。
【0144】
無菌IV溶液:本発明の所望の化合物の5mg/ml溶液は、無菌の注射用水を使用して製造することができ、そしてもし必要ならpHが調節される。この溶液は無菌5%デキストロースで投与のため1−2mg/mlに希釈され、そして60分にわたるIV注入液として投与される。
【0145】
IV投与のための凍結乾燥粉末:無菌製剤は、(i)凍結乾燥粉末として本発明の所望の化合物100−1000mgと、(ii)32−327mg/mlクエン酸ナトリウムと、そして(iii)300−3000mgのデキストラン40とで調製することができる。この処方は無菌注射用食塩水またはデキストロースで10−20mg/mlの濃度で復元され、これはさらに食塩または5%デキストロースで0.2−0.4mg/mlへ希釈され、ボーラスIVとしてまたは15−60分にわたるIV注入によって投与される。
【0146】
筋肉内懸濁液:筋肉内注射のため以下の溶液または懸濁液を調製することができる。
本発明の所望の水不溶性化合物 50mg/ml
カルボキシメチルセルロースナトリウム 5mg/ml
TWEEN80 4mg/ml
塩化ナトリウム 9mg/ml
ベンジルアルコール 9mg/ml
【0147】
硬カプセル:多数の単位カプセルは、標準2片硬ゼラチンカプセルへ、各自活性成分粉末100mgと、乳糖150mgと、セルロース50mgと、そしてステアリン酸マグネシウム6mgを充填することによって調製することができる。
【0148】
軟ゼラチンカプセル:大豆油、綿実油またはオリーブ油のような消化し得る油中の活性成分の混合物が調製され、そして積極移動ポンプにより溶融ゼラチン中へ注入され、活性成分100mgを含有する軟ゼラチンカプセルに形成される。活性成分は、水混和性薬物ミックスを調製するためポリエチレングリコールと、グリセリンと、ソルビトールの混合物中に溶かすことができる。
【0149】
錠剤:投与単位が活性成分100mg、コロイド状二酸化ケイ素0.2mg、ステアリン酸マグネシウム5mg、微結晶セルロース275mg、デンプン11mg、および乳糖98.8mgであるように、慣用の操作に従って多類の錠剤が調製される。服用性を増大し、エレガンスおよび安定性を改良し、また遅延吸収のため、適切な水性および非水性コーティングを適用することができる。
【0150】
即時放出錠剤/カプセル:これらは慣用および新しいプロセスによって製造された固形経口投与形である。これらの単位は即時溶解および投薬の送達のため水なしで服用される。活性成分は糖、ゼラチン、ペクチンおよび甘味剤のような液体含有成分中に混合される。これらの液体は凍結乾燥および固相抽出技術によって固体錠剤またはカプセルに固化される。薬物化合物は、水なしで即時放出を意図した多孔質マトリックスを製造する粘弾性および熱弾性糖およびポリマーまたは発泡成分と共に圧縮することができる。
【0151】
高増殖性障害の処置方法
本発明は、哺乳類高増殖障害を処置するための塩およびエステルを含む上に記載した式(I)の化合物の使用方法に関する。この方法は、ヒトを含むそれを必要とする哺乳動物に対し、この障害を処置するのに有効な量の本発明の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩もしくはエステルを投与することよりなる。非限定的な高増殖障害は、乳房、呼吸器官、脳、生殖臓器、消化管、尿道、眼、肝臓、皮膚、頭部および頸部、甲状腺、上皮小体およびそれらの転移した癌のような固形腫瘍を含む。これらの障害はまた、リンパ腫、肉腫および白血病を含む。
【0152】
非限定な乳癌の例は、侵襲性管カルチノーマ、侵襲性小葉カルチノーマ、その場の管カルチノーマ、またはその場の小葉カルチノーマを含む。
【0153】
非限定的な呼吸管癌の例は、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、気管支アデノーマまたは胸膜肺芽腫を含む。
【0154】
非限定的な脳癌の例は、脳幹腫瘍、下垂体神経膠腫、小脳星状細胞腫、大脳星状細胞腫、神経胚葉または松果体腫瘍を含む。
【0155】
非限定的な男性生殖器腫瘍は前立腺または睾丸癌を含む。非限定的な女性生殖器腫瘍は子宮内膜、頸部、卵巣、外陰部、膣の癌および子宮筋腫を含む。
【0156】
非限定的な消化管腫瘍は肛門、結腸、結腸直腸、食道、胆のう、胃、膵臓、直腸、小腸、唾液、腺の癌を含む。
【0157】
非限定的な尿管腫瘍は膀こう、陰莖、腎臓、腎孟、尿管および尿道の癌を含む。
【0158】
眼の癌は眼内黒色腫および網膜芽腫を含む。
【0159】
非限定的な肝臓癌の例は肝細胞エルチノーマ、線維ラメラ変異ありなしの肝細胞カルチノーマ、胆管腫および混合肝細胞胆管腫を含む。
【0160】
非限定的な皮膚癌は鱗片状細胞カルチノーマ、カプシ肉腫、亜性黒色腫、メルケン細胞皮膚癌および非黒色腫皮膚癌を含む。
【0161】
非限定的な頭部および頸部癌は喉頭、下咽頭、口腔咽頭、唇および口腔癌を含む。
【0162】
非限定的なリンパ腫はAIDS関連リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、ホジキン病および中枢神経系のリンパ腫を含む。
【0163】
非限定的な肉腫は軟組織の肉腫、骨肉腫、悪性線維組織球腫、リンパ肉腫および横紋筋肉腫を含む。
【0164】
非限定的な白血病は急性骨髄白血病、急性リンパ芽白血病、慢性リンパ球白血病、慢性骨髄性白血病および毛状細胞白血病を含む。
【0165】
これら障害はヒトでは良く特徴化されているが他の哺乳動物にも同様な病因が存在し、そして本発明の医薬組成物を投与することによって処置することができる。
【0166】
高増殖障害処置のために有用な化合物を評価するために既知の標準的研究室技術に基いて標準的毒性試験および哺乳動物において上で同定した状態の処置のための標準的薬理学的アッセイにより、およびこれらの結果をこれら状態を処置するために使用される既知の医薬の結果と比較することにより、本発明の化合物の有効投与量はそれぞれの所望の適応症の処置のために容易に決定することができる。これらの状態の一つの処置において投与すべき有効成分の量は、特定の化合物および採用した投与ユニット、投与モード、処置の期間、処置される患者の年令と性、および処置される状態の性格および程度のような配慮に従って広く変動することができる。
【0167】
投与すべき活性成分の総量は1日体重kgあたり、一般に約0.001mg/kgないし約200mg/kg、好ましくは約0.01mg/kgないし約20mg/kgの範囲であろう。単位投与量は活性成分約0.5mgないし約1500mgを含有することができ、例えば1日1回以上投与することができる。ある場合には1日置きまたは1週毎の投与が適当である。臨床的に有用な投与スケジュールは1日3回投与から4週毎の投与までの範囲であろう。加えて、患者が一定期間薬物を投与されない薬物休日が薬理効果と耐薬性の間の全体バランスにとって有益であり得る。静脈内、皮下および非経口注射を含む注射および注入技術の使用による1日平均投与は約0.01ないし200mg/kg全体重であることが好ましいであろう。直腸投与療法の平均1日投与量は好ましくは0.01ないし200mg/kg全体重であろう。経膣投与療法の平均1日投与量は好ましくは0.01ないし200mg/kg全体重であろう。局所投与療法の平均1日投与量は、好ましくは1日1ないし4回の間で投与される0.01ないし200mg/kg全体重であろう。経皮濃度は、好ましくは約0.01ないし200mg/kgの平均1日投与量の維持するのに要する量であろう。吸入療法の平均1日投与量は好ましくは約0.01ないし100m/kgであろう。
【0168】
各患者のための特定な初期および継続投与療法は、立会診断医によって決定された状態の性格および重篤度、患者の年令および一般状態、薬物組合せ等に応じて変動するであろう。本発明の化合物またはその薬学的に許容し得る塩またはエステルの処置モードおよび投与回数は慣用の処置テストを使用して当業者によって確かめることができる。
【0169】
本発明の化合物は単独の薬剤として、または組合せが許容できない有害効果を生じない場合は1種以上の他の薬剤と組合せて投与することができる。例えば、本発明の化合物は既知の抗高増殖または他の適応症剤等と、またそれらとの混合物および併用と組合せることができる。非限定的な既知の抗高増殖または他の適応症剤の例は以下のものを含む。
【0170】
アルデスロイキン、アレンドロン酸、アルファフェロン、アリトレチノイン、アロプリノール、アロプリム、アロキシ、アルトレタミン、アミノグルテチミド、アミフォスチン、アムルビシン、アムサクリン、アナストロゾール、アンズメット、アラネスプ、アルグラビン、三酸化ヒ素、アロマシン、5−アザシチジン、アザチオプリン、BCGまたはタイスBCG、ベスタチン、ベーターメタゾンアセテート、ベーターメタジンソジウムフォスフェート、ベキサロテン、ブレオマイシンサルフェート、ブロクスウリジン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カルシトニン、カムパス、カペシタビン、カルボプラチン、カソデックス、セフエゾン、セルモロイキン、セルビジン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドニン酸、シクロフォスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、DaunoXome、デカドロン、デカドロンフォスフェート、デレストロゲン、ドニロイキン、デイクチトックス、デポメドロール、デスロレニン、デクスラゾキサン、ジエチルスルチベストロール、デイフルカン、ドセタクセル、ドキシフルリジン、ドロナビノール、DW−166HC、エリガード、エリテック、エレンス、エメンド、エピルビシン、エポエチンアルファ、エポゲン、エプタプラチン、エルガミソール、エストレース、エストラジオール、エストラムスチンフォスフェートナトリウム、エチニルエストラジオール、エチオール、エチドロン酸、エトポホス、エトポシド、ファドロゾール、ファルストン、フィルグラスチム、フィナステライド、フリグラスチン、フロクスウリジン、フルコゾール、フルダラビン、5−フロロデオキシウリジンモノリン酸、5−フロロウラシル(5−FU)、フルオキシメステロン、フルタミド、フォルメスタン、フォステアビン、フォテムスチン、フルベストラント、ガンマガード、ゲムシタビン、ゲムツズマブ、グレエベック、グリアデル、ゴセレリン、グラニセトロンHCl、ヒストレリン、ヒカムチン、ヒドロコルトン、エリスロヒドロキシノニルアデニン、ヒドロキシウレア、イブリツモマブチウキセタン、イダルビシン、イフォスファミド、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ−2、インターフェロンアルファ−2A、インターフェロンアルファ−2B、インターフェロンアルファ−n1、インターフェロンアルファ−n3、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ−1a、インターロイキン−2、イントロンA、イレッサ、イリノテカン、キトリル、レンチナンサルフェート、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロライド、ロイプロライドアセテート、レバミソール、レポフォリン酸カルシウム塩、レボスロイド、レボキシル、ロムスチン、ローダミン、マリノール、メクロレサミン、メコバラミン、メドロキシプロゲステロンアセテート、メゲステロールアセテート、メルファラン、メネスト、6−メルカプトプリン、メスナ、メトトレキセート、メトビックス、ミルテフォシン、ミノサイクリン、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、モドレナール、ミオセット、ネダプラチン、ニューラスタ、ニューメガ、ニューポゲン、ニルタミド、ノルバデックス、NSC−631570、OCT−43、オクトレオチド、オンダンセトロンHCl、オラプレッド、オクサリプラチン、パクリタクセル、ペディアプレッド、ペガスパルガーゼ、ペガシス、ペントスタチン、ピシバニル、ピロカルポンHCl、ピラルビシン、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、プレドニムスチン、プレドニソロン、プレドニソン、プレマリン、プロカルバジン、プロクリット、ラルチトレキセド、レビフ、レニウム‐186エチドロネート、リッキシマブ、ロフェロン‐A、ロムルチド、サラゲン、サンドスタチン、サルグラモスチム、セムスチン、シゾフィラン、ソブゾキサン、ソルメドロール、スパルフォシック酸、幹細胞療法、ストレプトゾシン、ストロンチウム−89塩化物、シンスロイド、タモキシフェン、タムスロシン、タソネルミン、タストラクトン、タクソテレ、テセロイキン、テモゾロミド、テニポシド、テストステロンプロピオネート、テストレッド、チオグアニン、チオテパ、タイロトロビン、チルドロン酸、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トランスツズマブ、トレオスルファン、トレチノイン、トレキソール、トリメチルメラミン、トリメトレキセート、トリプトレリンアセテート、トリプトレリンパモエート、UFT、ウリジン、バルルビシン、ベスナリノン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビルリジン、ジネカード、ジノスタチンステイマラマーおよびゾフラン。
【0171】
加えて本発明の化合物は、抗高増殖または他の適応症剤等として使用するため目下研究中の1以上の他の薬剤、およびそれらの混合物および併用と組合せて投与することができる。抗高増殖または他の適応症剤等として目下研究中の薬剤の非限定例は、以下のものを含む。
【0172】
ABI−007、アコルビフェン、アクチミユーン、アフィニタク、アミノプテリン、アルゾキシフェン、アソプリスニル、アタメスタン、アトラセンタン、BAY43−9006、アバスチン、CCI−779、CDC−501、セレブレックス、セツキシマブ、クリスナトール、シプロテロンアセテート、デシタビン、DN−101、ドキソルビシン−MTC、dSLIM、ズタステリド、エドテカリン、エフロルニチン、エキサテカン、フェンレチニド、ヒスタミンジヒドロクロライド、ヒストレリンヒドロゲルインプラント、ホルミウム−166DOTMP、イバンドロン酸、インターフエロンガンマ、イントロン−PEG、イクサベピロン、キーホールイムペットヘモシアニン、L−651582、ランレオチド、ラソフォキシフェン、リブラ、ロナファルニブ、ミプロキシフェン、ミノドロネート、MS−209、リポソーマルMTP−PE、MX−6、ナファレリン、ネモルビシン、ネオバスタット、ノラトレキセド、オブリメルセン、オンコーTCS、オシデム、パクリタキセル、ポリグルタメート、パミドロネートジナトリウム、PN−401、QS−21、クアゼパム、R−1549、ラロキシフェン、ランピルナーゼ、13−シス−レチノン酸、サトラプラチン、セオカルシトール、T−138067、タルセバ、タキソプレキシン、チモシンアルファ1、チアゾフリン、チピファルニブ、チラパザミン、TLK−286、トレミフェン、トランスMID−107R、バルスポダル、バプレオチド、バタラニブ、ベルテポルフィン、ビンフルニン、2−100およびゾレドロン酸。
【0173】
一般に本発明の化合物または組成物と組合せる細胞毒剤および/または静細胞剤の使用は以下の役目を果す。
(1)どちらの剤単独の投与と比較して、腫瘍成長の減少または腫瘍除去により良い有効性を得る。
(2)投与した化学療法財のより少量の投与を提供する。
(3)単一剤化学療法およびある腫の併用療法で観察されるよりもより少ない有害薬理学的合併症をもって患者が耐えられる化学療法を提供する。
(4)哺乳類、特にヒトにおいて種々の癌タイプのより広いスペクトルの処置を提供する。
(5)処置した患者の中のより高い応答率を提供する。
(6)標準的化学療法処置に比較して処置した患者の中でより長い生存期間を提供する。
(7)腫瘍進行のためのより長い時間を提供する。
(8)他の抗癌剤併用が拮抗効果を生じる既知の場合に比較して、少なくとも単独で使用した剤と同程度に良い有効量および耐薬性を得る。
【0174】
当業者は以上の情報およびこの分野で利用し得る情報を使用して本発明をその最大限に利用できるものと信じられる。
【0175】
当業者には、ここで述べた本発明の精神および範囲を逸脱することなく本発明に変更および修飾をなし得ることが明らかである。
【0176】
以上および以下において述べたトピックスの題目は、特定の情報が本出願中に見られる場合はガイダンスとして意味し、そのようなトピックの情報が見られる場合この出願中の唯一のソースであることを意図しない。
【0177】
以上および以下に引用したすべての発表および特許はここに参照として取り入れられる。
【0178】
本発明は、限定でなく以下のパラグラフに規定された具体例を提供する。
【実施例】
【0179】
特記しない限り、反応条件、方法、略号および試薬は以下にリストされる。すべての温度は摂氏(℃)であり、すべての部および%は重量による。市販の試薬および溶媒がさらに精製することなく使用された。
【0180】
本明細書中に使用される略号
DBU 1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデ−7−セン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DCM ジクロロメタン
DCE 1,2−ジクロロエタン
DMSO ジメチルスルホキシド
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
MPLC 中圧液体クロマトグラフィー
LC−MS 液体クロマトグラフィー連続質量分析
RT 保持時間
MP 融点
NMR 核共鳴分析
TLC 薄層クロマトグラフィー
ES エレクトロスプレー
DMAC N,N−ジメセルアセタミド
HRMS 高解像質量分析
CDI 1,1’−カルボニルジイミダゾール
HOBT 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
DCC 1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド
EDCl 1−〔3−(ジメチルアミノ)プロピル〕−3−エチルカルボジイミド塩酸塩
DMAP 4−ジメチルアミノピリジン
TMSCl トリメチルシリルクロライド
m−CPBA 3−クロロ過安息香酸
HEPES N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)
トリス/塩酸 トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩
Triton X−100 t−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール,Rohm & Haas,USA
【0181】
以下の実施例の収率%は最低モル数で使用した出発成分に関する。
LC−MS(方法1):
MS機器:Micromass Quattro LCZ
イオン化モード:ESI正/負
HPLC機器:HP1100
UV検出:208−400nm
温度:40℃
カラム:TMSymmetry C 18
50mm×2.1mm 3.5μm
供給者:Waters
勾配:時間 A:% B:流れ
〔min.〕 〔ml/min.〕
0.00 90.0 10.0 0.50
4.00 10.0 90.0 0.50
6.00 10.0 90.0 0.50
A:0.05%強度ギ酸
B:0.05%強度アセトニトリル中ギ酸

LC−MS(方法2):
MS機器:Micromass LCZ
イオン化モード:ESI
HPLC機器:Gilson215
UV検出:254nm
カラム:YMCproC−18
23mm×2mm 120Å
供給者:YMC
勾配:時間 A:% B:流れ
〔min.〕 〔ml/min.〕
0.50 90.0 10.0 1.0
3.50 5.0 95.0 1.0
4.00 5.0 95.0 1.0
4.01 90.0 10.0 1.0
4.80 90.0 10.0 1.0
A:0.02%強度2%アセトニトリル/98%水中のトリフロロ酢酸
B:0.02%強度98%アセトリトリル/2%水中のトリフロロ酢酸溶液

HPLC(方法3):
HPLC機器:Gilson215
UV検出:220and254nM
温度:25℃
カラム:YMC−Pack Pro C18
50mm×4.6mm 5μm
供給者:waters
勾配:時間 A:% B:流れ
〔min.〕 〔ml/min.〕
0.00 10.0 90.0 4.00
3.50 90.0 10.0 4.00
4.50 90.0 10.0 4.00
4.60 10.0 90.0 4.00
5.00 10.0 90.0 4.0
A:0.1%強度TFAアセトニトリル溶液
B:0.1%強度TFA水溶液

HPLC(方法4):
HPLC機器:Gilson215
UV検出:220and254nM
温度:25℃
カラム:YMC−Pack Pro C18
75mm×30mm 5μm
供給者:waters
勾配:時間 A:% B:流れ
〔min.〕 〔ml/min.〕
0.00 20.0 80.0 25.00
20.00 80.0 20.0 25.00
A:アセトニトリル
B:0.1%強度TFA水溶液

【0182】
出発物質および中間体の製造
一般法A:アミノフェノールの製造
方法A−1
5−アミノインダゾール−1−カルボン酸t−ブチルエステルの製造
【化28】

【0183】
ステップ1:5−ニトロインダゾール−1−カルボン酸t−ブチルエステルの製造
【化29】

アセトニトリル(60ml)中の5−ニトロインダゾール(5g,30.6mmolo),EtN(4.7ml,33.7mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(0.75g,6.1mmol)の0℃スラリーへ、アセトニトリル(40ml)中ジ−t−ブチルジカーボネート(8g,36.8mmol)溶液を滴下した。生成した混合物を30分かきまぜ、次に減圧濃縮した。残渣をEtO(200ml)および水(100ml)に溶かした。水層のpHを1N HCl溶液を用いて2へ調節した。有機相を分離し、乾燥(NaSO)し、減圧濃縮して5−ニトロインダゾール−1−カルボン酸t−ブチルエステル(7.8g,96%)を黄色固体として得た。TLC(30%EtOAc/ヘキサン)、Rf=0.70;ES−LCMS(相対的存在度)m/z264(MH,100%)
【0184】
ステップ2:5−アミノインダゾール−1−カルボン酸t−ブチルエステルの製造
カーボン上のパラジウム(780mg)を不活性雰囲気下EtOH(15ml)へ入れて懸濁した。EtOH(100ml)およびEtOAc(100ml)中の5−ニトロインダゾール−1−カルボン酸t−ブチルエステル(7.78g,29.5mmol)の溶液を加えた。反応混合物をH雰囲気下(1気圧)に置き、一夜かきまぜた。生成した混合物をセライトのパッドで濾過し、濾液を減圧濃縮して緑色の泡状固体を得た。この粗生成物をCHClに溶かし、Biotage Flash 40M(EtOAc/ヘキサン30%から50%までの勾配)によって精製し、白色固体として標題化合物(6.55g,95%)を得た。TLC(50%EtOAc/ヘキサン)、Rf=0.41;ES−LCMS(相対的存在度)m/z234(MH,66%)
【0185】
A:アミノフェノール類の製造方法
方法A1.
4−アミノ−3−メチルチオフェノールの製造
ステップ1. 3−メチルチオ−4−ニトロフェノールの製造
【化30】

DMF(100ml)中の3−フロロ−4−ニトロフェノール(3.00g,19.10mmol)とナトリウムメトキサイド(2.68g,38.19mmol)の混合物へKCO(7.92g,57.3mmol)を加え、混合物を12時間かきまぜた。翌日ナトリウムメトキサイドの全量が消費された。水(500ml)を溶液へ加え、生成物をEtOAc(3×200ml)を用いて抽出した。合併した有機層を乾燥(NaSO)し、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(20%EtOAc/ヘキサン)を用いて精製し、明黄色固体として3−メチルチオ−4−ニトロフェノール(3.25g,92%)を得た。TCL Rf=0.34(35%EtOAc/ヘキサン)
【0186】
ステップ2. 4−アミノ−3−メチルチオフェノールの製造
【化31】

酢酸(25ml)中の3−メチル−4−ニトロフェノール溶液へ鉄粉(754mg,13.5mmol)を加えた。混合物を室温で一夜かきまぜ、白色沈澱を得た。個体の鉄を磁石で除去し、スラリーを濾紙で濾過した。濾液を水(100ml)で希釈し、飽和NaCO溶液で中和し、CHCl(3×100ml)で抽出した。合併した有機層を乾燥(NaSO)し、減圧乾燥して赤褐色固体として4−アミノ−3−メチルチオフェノール(260mg,62%)を得た。TLC(35%EtOAc/ヘキサン)Rf=0.33
【0187】
B:B延長アニリンの製造方法
方法B1 4−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−2−カルボニトリルの製造
【化32】

無水DMF(9.2ml)中の4−アミノフェノール(10g,9.16mmol)の溶液をカリウムt−ブトキサイド(1.08g,9.62mmol,1.05当量)で処理し、オレンジ褐色の反応混合物を室温で1時間かきまぜた。中味を2−シアノ−4−クロロピリジン(1.27g,9.16mmol,1.0当量)とKCO(497mg,5.04mmol,0.55当量)とで処理し、90℃で17時間加熱した。混合物を室温へ冷却し、EtOAc(250ml)と飽和食塩水(100ml)の間に分配した。水相はEtOAc(300ml)で逆抽出した。合併した有機層を食塩水で洗い、NaSO上で乾燥し、減圧濃縮した。MPLC(Biotage,30%EtOAc/ヘキサン)上の精製は黄色固体として4−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−2−カルボニトリル1.83g(94.6%)を与えた。TLC(50%ETOAc/ヘキサン)Rf=0.28;H−NMR(DMSO−d)δ8.52(d,J=6.3Hz,1H),7.54(d,J=2.4Hz,1H),7.07(dd,J=5.4,2.4Hz,1H),6.86(d,J=8.7Hz,2H),6.62(d,J=8.7Hz,2H),5.21(s,2H);ES−LCMS(相対的存在度)m/z212(M+H)
【0188】
方法B2 4−(4−アミノ(4−アミノ−3−フロロ)ピリジン−2−カルボニトリルの製造
【化33】

標題化合物は4−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−2−カルボニトリルについて記載した同じ操作において4−アミノフェノールに代えて4−アミノ−3−フロロフェノールを用いて製造された。H−NMR(DMSO−d)δ8.52(d,J=6.0Hz,1H),7.61(d,J=2.7Hz,1H),7.12(dd,J=5.7,2.7Hz,1H),7.02(dd,J=11.7,2.1Hz,1H),6.82−6.78(m,2H),5.25(s,2H)
【0189】
方法B−3 4−(4−アミノ−3−トリフロロメチルフェノキシ)ピリジン−2−カルボニトリルの製造
【化34】

標題化合物は4−アミノフェノールを4−アミノ−3−トリフロロメチルフェノールに代え、4−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−2−カルボニトリルについて記載した同じ態様において製造された。H−NMR(DMSO−d)δ8.54(d,J=6.0Hz,1H),7.64(d,J=2.7Hz,1H),7.22−7.17(m,2H),7.12(dd,J=5.7,2.4Hz,1H),6.92(d,J=8.7,1H),5.74(s,2H)
【0190】
方法B4 4−(4−アミノ−3−メチルフェノキシ)ピリジン−2−カルボニトリルの製造
【化35】

標題化合物は4−アミノフェノールを4−アミノ−3−メチルフェノールに代えて、4−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−2−カルボニトリルについて記載した同じ態様において製造された。ES−LCMS(相対的存在度)m/z226(M+H)
【0191】
方法B5 4−(4−アミノ−3−ニトロフェノキシ)ピリジン−カルボニトリルの製造
【化36】

標記化合物は4−アミノフェノールを4−アミノ−3−ニトロフェノールに代えて、4−(4−アミノフェノキシ)ピリジン−2−カルボニトリルについて記載した同じ態様において製造された。ES−LCMS(相対的存在度)m/z257(M+H)
【0192】
方法B6 4−(4−アミノ−3−ニトロフェノキシ)ピリジン−2−カルボニトリルの製造
【化37】

標題化合物は4−アミノフェノールを4−アミノ−3−ニトロフェノールに代えて、4−(4−アミノフェノキシ)−ピリジン−2−カルボニトリルについて記載した同じ態様で製造された。ES−LCMS(相対的存在度)m/z257(M+H)
【0193】
方法B7 4−(4−アミノ−3−フロロフェノキシ)ピリジン−2−カルボニトリルの製造
【化38】

DMA(5ml)中のカリウムt−ブトキサイド(1.83g,16.36mmol)の溶液を脱気(Nパージ)し、0℃へ冷却した。別に4−アミノ−2−フロロフェノールへDMA(5ml)を加え、得られた混合物を脱気(Nパージ)し、すべての固体が溶けるまでかきまぜ、これを0℃においてカリウムt−ブトキサイドへ滴下した。得られた暗色混合物へDMA(5ml)中の4−クロロピリジン−2−カルボニトリルの溶液へ滴下した。溶液を0℃で1時間かきまぜ、次に80℃へ一夜加熱した。生成した混合物へ水を加え、水性混合物を減圧濃縮した。残渣をNaOH溶液(1:1:1 1N NaOH/水/飽和食塩水、200ml)で処理し、EtOAc(3×100ml)で抽出した。合併した有機層を乾燥(NaSO)し、減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(40% EtOAc/ヘキサン)を用いて精製し、4−(4−アミノ−2−フロロフェノキシ)ピリジン−2−カルボニトリル(2.31g,64%)を得た。TLC Rf0.83(100%EtOAc);H−NMR(DMSO−d)δ5.51(s,2H),6.38(d,J=3Hz,1H),6.50(dd,J=3.14Hz,1H),6.98(appt,J=9H,1H),7.10(dd,3.6Hz,1H),7.63(d,J=3Hz,1H),8.53(d,J=6Hz,6H);ES−LCMS(相対的存在度)m/z230(M+H)
【0194】
方法B8 4−アミノ−3,5−ジフロロフェノールの製造
ステップ1. 5−ベンジルオキシ−1,3−ジフロロ−2−ニトロベンゼンの製造
【化39】

DMF(10ml)中の1,3,5−トリフロロ−2−ニトロベンゼン(6.1g,34mmol)と、ベンジルアルコール(3.7mg,34mmol)と、炭酸カリウム(7.1g,52mmol)の混合物を室温で一夜かきまぜた。反応混合物を水(30ml)へ加え、数時間冷蔵庫内に置いた。生成した黄色沈澱を回収し、水で洗い、減圧乾燥して5−ベンジルオキシ−1,3−ジフロロ−2−ニトロベンゼンと1−ベンジルオキシ−3,5−ジフロロ−2−ニトロベンゼンを約1:1混合物(6.5g,71%)として得た。この混合物はさらに精製することなく直接次のステップに使用された。TLC Rf=0.48(10%EtOAc/ヘキサン);H−NMR(CDCl)δ7.46−7.36(m,5H),6.75−6.60(m,2H),5.19(s,1H),5.11(s,1H)
【0195】
ステップ2 4−アミノ−3,5−ジフロロフェノールの製造
【化40】

メタノール(250ml)中のステップ1で得た化合物(6.4mg,24mmol)の溶液を窒素雰囲気下にあるパラジウム炭(10%、720mg)を入れたフラスコへ加えた。混合物を水素雰囲気下室温で一夜かきまぜた。水素は1ガロン風船によって導入された。終了後反応混合物を窒素雰囲気下でセライトのパッドで濾過し、減圧乾燥して4−アミノ−3,5−ジフロロフェノールと2−アミノ−3,5−ジフロロフェノールの混合物(3.4g,97%)を得る。この混合は精製することなく次のステップに使用された。H−NMR(DMSO−d)δ9.50(bs,1H),6.54−6.22(m,2H),4.36(s,2H);ES−LCMS(相対的存在度)m/z146(M+H)
【0196】
ステップ3 4−(4−アミノ−3,5−ジフロロフェノキシ)ピリジン−2−カルボニトリルの製造
【化41】

乾燥DMF(12ml)中のステップ2で得た化合物(1.5g,10mmol)をカリウムt−ブトキサイド(1.2g,11mmol)で処理し、混合物を室温で2時間かきまぜた。中味を乾燥DMF(8ml)中の4−クロロピリジン−2−カルボニトリル(1.4g,10mmol)と炭酸カリウム(0.76g,5.5mmol)で処理し、次に窒素雰囲気下60時間80℃へ加熱した。混合物を室温へ冷却し、減圧濃縮した。残渣をシリカカラム(10%EtOAc/ヘキサンから20%EtOAc/ヘキサンまでの勾配)で精製し、標題化合物0.55g(22%)を得た。H−NMR(DMSO)δ8.51(d,J=5.7Hz,1H),7.19(d,J=2.5Hz,1H),7.00(dd,J=5.7Hz,2.4Hz,2H),6.64(dd,J=6.7Hz,1.2Hz,2H),3.57(s,2H);ES−LCMS(相対的存在度)m/z248(M+H)
【0197】
C.尿素の製造法
方法C1:CDI仲介尿素生成
N−〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−フロロフェニル〕{〔2−(トリフロロメチル)(4−ピリジル)〕アミノ}カルボキサマイドの合成
【化42】

【0198】
ステップ1:
CHCl(1ml)中のCDI(300mg,1.85mmol)のスラリーへ、CHCl(1ml)中の2−(トリフロロメチル)−4−ピリジルアミン(300mg,1.85mmol)を加えた。この反応混合物を20時間かきまぜ、生成する淡黄色溶液を10mlの総体積へ希釈し、精製することなく使用した。
【0199】
ステップ2:
CHCl(1ml,0.19mmol)中のCDI−2−(トリフロロメチル)−4−ピリジルアミンの溶液へ4−(4−アミノ−3−フロロフェノキシ)ピリジン−2−カルボニトリル(42mg,0.19mmol)を加えた。生成した混合物をBiotage Flash 12M(SiO,80%EtOAc/ヘキサン)を用いて精製し、白色固体としてN−〔4−(2−シア)(4−ピリジルオキシ)〕−2−フロロフェニル〕{2−(トリフロロメチル)(ピリジル)〕アミノ}カルボキサマイド(58mg,75%)を得た。mp192−193;TLC(50%EtOAc/ヘキサン)Rf0.33;H−NMR(DMSO−d)δ7.08−7.12(m,1H),7.25(dd,J=2.7,5.9Hz,1H),7.37(dd,J=2.7,11.5Hz,1H),7.55(dd,J=2.1,5.5Hz,1H),7.74(d,J=2.5Hz),8.06(d,J=1.9Hz,1H),8.15(t,J=9.0Hz,1H),8.54(d,J=5.6Hz,1H),8.60(d,J=5.6Hz,1H),8.95(d,J=1.5Hz,1H),9.85(s,1H);ES−LCMS(相対的存在度)m/z248(M+H),100%)
【0200】
方法C2:イソシアネートカップリング
N−〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−フロロフェニル〕〔(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔2,4−e〕1,3−ジオキシン−6−イル)アミノ〕カルボキサマイドの製造
【化43】

2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔e〕1,3−ジオキサン−6−イソシアネート(5.47mg,21.9mmol)をCHCl(30ml)中の4−(4−アミノ−3−メチルフェノキシ)ピリジン−2−カルボニトリル(5.03g,21.9mmol)の溶液へ加え、混合物を室温でかきまぜた。15分後沈澱が生成し始め、すぐかきまぜを困難にする程濃くなった。1時間後固体を除去し、CHCl中50%のヘキサンで洗浄した。粗生成物をEtOAc/ヘキサンに溶かし、絶縁した容器中で一夜冷却することによってゆっくり結晶化させた。生成した結晶を乳鉢と乳棒で粉砕し、真空下(0.1mm,100℃)に置き、白色結晶として標題化合物5.47g(52%)を得た。mp=174℃;H−NMR(DMSO−d)δ9.43(s,1H),8.76(d,J=2.5Hz,1H),8.59(dd,J=5.8Hz,1H),8.17(dd,J=9.1Hz,1H),8.12(d,J=2.3Hz,1H),7.71(dd,J=2.5Hz,0.5Hz),7.60(dd,J=9.25Hz,1H),7.42(d,J=9Hz,1H),7.33(dd,J=11.5,2.5Hz,1H),7.23(dd,J=5.8Hz,1H),7.06(ddd,J=1.3,2.5,9Hz,1H);ES−LCMS(相対的存在度)m/z479(M+H)
【0201】
D:尿素の合成修飾
方法D1:2−シアノピリジンN−オキサイドの合成
N−〔4−(2−シアノ−1−ヒドロキシ(4−ピリジルオキシ)フェニル〕〔(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキシン−6−イル)アミノ〕カルボキサマイドの製造
【化44】

CHCl(5ml)およびTHF(5ml)中のN−〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕〔(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4,e〕1,3−ジオキシン−6−イル)アミノ〕アルボキサマイド(150mg,1.3mmol)へmCPBA(純度50%、450mg,1.3mmol)を加えた。反応混合物を2日間かきまぜた。生成する混合物をBiotage Flash 12M(EtOAc)で精製し、白色固体(33mg,21%)としてN−〔4−(2−シアノ−1−ヒドロキシ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕〔(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキシン−6−イル)アミノ〕カルボキサマイドを得た。TLC(EtOAc)Rf=0.30;H−NMR(DMSO−d)δ7.11−7.16(m,2H),7.24(dd,J=3.6,7.5Hz,1H),7.42(d,J=9.2Hz,1H),7.52−7.57(m,2H),7.63−7.68(m,1H),7.78(dd,J=0.2,3,4Hz,1H),8.09(d,J=2.5Hz,1H),8.33(d,J=1.5,7.3Hz,1H),8.99(s,1H),9.12(s,1H);ES−LCMS(相対的存在度)m/z477(M+H),100%)
【0202】
方法D2:N−オキシドのシアノピリジンへ変換
N−〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ)−2−フロロフェニル〕〔(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキシン−6−イル)アミノ〕カルボキサマイドの製造
【化45】

CHCl(2ml)中のN−〔2−フロロ−4−(1−オキシ(4−ピリジルオキシ)フェニル〕〔(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキシン−6−イル)アミノ〕カルボキサマイド(150mg,0.32mmol)の懸濁液をトリメチルシリルシアナイド(150mg,0.32mmol)で処理した。5分間かきまぜた後、ジメチルカルバモイルクロライド(30μL,0.32mmol,1.1当量)を加え、混合物を室温でかきまぜた。反応物は徐々に均質となったが、しかしこの濃度では非常にゆっくり進行した。48時間後混合物をCHCl(10ml)と10%KCO(10ml)で希釈し、10分間かきまぜた。生成する水層をCHClで2回洗った。合併した有機層を乾燥(NaSO)し、減圧濃縮した。フラッシュカラム(Biotage)による精製はN−〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ)〕−2−フロロフェニル〕〔(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキシン−6−イル)アミノ〕カルボキサマイド102mg(67%)を白色固体として与えた。
【0203】
方法D3:チオメチルアナログのメチルスルホニルアナログへの変換
【化46】

CHCl中のN−〔4−(2−シアノ(4−ピリジル)オキシ)−2−メチルチオフェニル〕〔(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキシン−6−イル)アミノ〕カルボキサマイド(97.0mg,0.19mmol)の溶液へ、0℃においてmCPBA(132.21mg,0.42mmol)を加えた。生成するスラリー混合物を一夜かきまぜた。TLCはスルホキシドとスルホンの混合であることを示した。それ故追加のmCPBA(3当量)を加え、反応混合物を4時間かきまぜた。この反応混合物を飽和Na溶液(50ml)で処理し、EtOAc(3×50ml)で抽出した。合併した有機層を飽和NaCl水で洗い、乾燥(NaSO)し、減圧濃縮し、N−〔4−(2−シアノ(4−ピリジル)オキシ)−2−メチルスルホニ〕フェニル〕〔(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキシン−6−イル)アミノ〕カルボキサマイドを得た。TLC Rf
=0.20(40%EtOAc/ヘキサン);ES−LCMS(相対的存在度)m/z539(M+H)
【0204】
表1に示した追加の化合物が、容易に入手できるかおよび/またはその後合成がここに教えられている適当な出発物質を選択し、そして上に記載された方法Eのプロセスまたはこの分野で知られた他の標準的化学的プロセスを使用することによって上に記載したように製造された。
【0205】
表1:好ましい式(I)の化合物の例
【表1】










【0206】
表2:好ましい式(I)の化合物のキャラクタリゼーション
【表2】



【0207】
LCMS条件は以下のとおりである。
HPLC−エレクトロスプレー質量スペクトル(HPLC ES−MS)は、Gilson306ポンプ2台、Gilson215オートサンプラー、Gilsonダイオード配列デテクター、YMC Pro C−18カラム(2×23mm、120A)、および2−スプレーエレクトロスプレーイオン化を備えたMicromass単一極4重極質量分析計を備えたGilson HPLCシステムを使用して得られた。スペクトルには2秒にわたり120−1000amuから走査された。ELSD(蒸発光散乱デテクター)もアナログチャンネルとして得られた。勾配溶離は0.02%TFAの水中2%アセトニトリルとしてのバッファーAと、そして0.02%TFAを含むアセトニトリル中の2%水としてパッファーBを1.5ml/minにおいて使用した。サンプルは以下のように溶離した。0.5分間90%Aを3.5分かけて95%Bへ傾斜させ、0.5分間95%Bに保持し、そしてカラムを0.1分かけて最初の条件へ戻した。合計ラン時間は4.8分である。
【0208】
式(I)の他の化合物はここに記載した方法または他のこの分野で知られた方法を使用し、そして当業者には容易に認識し得る適当な出発物質および/または中間体を使用して製造することができる。
【0209】
生物学的試験
インビボp38キナーゼアッセイNo.1
精製し、His−標識したp38α2(E.Coli中に発現)をMMK−6により高比活性へインビトロで活性化した。マイクロタイターフォーマットを使用し、すべての反応はアッセイパッファー(25mM HEPES 7.4,20mM MgCl,150mM NaCl)中に活性化p38α2の0.05μg/ウエルとミエリン塩基性タンパク10μg/ウエルを得るように希釈された試薬で100μL体積において実施された。テスト化合物(水中10%DMSO溶液5μL)が調製され、そして5nMから2.5μMまでの最終濃度をカバーするように希釈された。キナーゼアッセイはウエルあたりゴールドATP 10μMおよび〔γ−33P〕ATP0.2μCi(200−400dpm/pmolATP)最終濃度を与えるようにATPカクテル25μLの添加によって開始された。プレートを32℃において35分間インキュベートし、反応を1N HCl水溶液の7μLで停止した。サンプルはTomTec1295ハーベスター(Wallac,Inc.)を用いてP30フィルターマット(Wallac,Inc.)上に収穫され、そしてLKB 1205ベータプレート液体シンチレーションカウンター(Wallac,Inc.)中でカウントされた。陰性対照は基質プラスATP単独を含んでいた。
SW1353細胞アッセイ:細胞(ヒトコンドロ肉腫)が96ウエルプレート中に接種(1000細胞/100μL DMEM10%FCS/ウエル)され、そして一夜インキュベートされた。培地置換後、細胞はテスト化合物へ37℃において1時間曝露され、その時ヒトIL−1(1ng/ml,Endogen,Woburn,WA)と、組換えヒトTNFα(10ng/ml)が添加された。培養物は37℃で48時間インキュベートされ、次に上清IL−6値がELISAによって決定される。本発明の化合物はp38キナーゼの有意な阻害を示す。
【0210】
ネズミVFEGFR−2 生化学アッセイ:
このアッセイはTR−FRETフォーマットにおいて96ウエルオパックプレート(Costar3915)中で実施された。反応条件は以下のとおり。10μM ATP,25μM ポリGT−ビチオン、2nM Eu−標識ホスホ−Tyr Ab,10nM APC,7nM F1k−1(キナーゼドメイン)、1%DMSO,50mM HEPES pH7.5,10mM MgCl,0.1mM EDTA,0.015%BRIJ,0.1mg/ml BSA,0.1%メルカプトエタノール。反応は酵素の添加によって開始される。各ウエル中の最終体積は100μLである。プレートはPerkin Elmer Vitor V マルチラベルカウンター上で開始後約1.5−2.0時間において615および665nmの両方において読み取られる。信号は各ウエルについて比(665nm/615nm)×10000として計算される。本発明の化合物はVEGFR2キナーゼの有意な阻害を示す。
【0211】
ネズミPDGFR FRET生化学アッセイ
このアッセイは96ウエルブラックプレート(Costa 3915)中にフォーマット化された。以下の試薬が使用される:ユーロピウム標識抗ホスホチロシン抗体pY20(Perand ストレプトアビジン−APC;ポリGT−ビオチンから)およびマウスPDGFR。反応条件は以下のとおり:1μMマウスPDGFRが、20μM ATP,7nMポリGT−ビオチン、1nMpY20抗体、5nMストレプトアビジン−APC、およびアッセイバッファー(50mM HEPES pH7.5,10mM MgCl,0.1mM EDTA,0.015%BRIJ35,0.1mg/ml BSA,0.1%メルカプトエタノール)中の1%DMSOと組合される。各ウエルの最終反応体積は100μLである。90分後、反応は10μL/ウエルの5μMスタウロスポリンの添加によって停止される。プレートは反応停止後約1時間においてPerkin Elmer Victor マルチラベルカウンター上で615および665nmの両方において読み取られる。信号は各ウエルについて比:(665nm/615nm)×10000として計算される。本発明の化合物はPDGFRキナーゼの有意な阻害を示す。
【0212】
PDGFRおよびF1k−1のためのIC50の発生のため、化合物は酵素開示の前に加えられた。50%DMSO/50%dHO溶液中に1:3に系統的に希釈した化合物を有する50倍ストックプレートがつくられた。アッセイへのストックの2μL添加は1%DMSO中10μMないし4.56μMの範囲の最終化合物濃度を与えた。データは%阻害として表された。
%阻害=100−((阻害剤なしの信号−バックグラント)/(阻害剤なしの信号−バッググランド))×100
【0213】
AoSMC細胞中のpPDGFR−b ELISA
100K P3−P6大動脈SMCが標準的細胞培養技術を用いてSGM−2の1000μL体積/ウエルにおいて12ウエルクラスターの各ウエル中に加えられた。翌日、細胞が1000μL D−PBSで1回洗浄され、次に一夜500μL SBM(平滑筋細胞ベーサル培地)中で0.1%BSAにより血清欠乏された。化合物はDMSO中最終DMSO濃度0.1%の10倍希釈において10μMから1nMまでの投与範囲において希釈された。すばやくシンク中への反転により古い培地を除き、次に各希釈液の100μLを細胞の対応するウエルへ37℃で1時間加える。次に細胞は10ng/mlのPDGF BBリガンドで37℃において7分間刺激された。培地が傾斜され、そしてプロテアーゼ阻害剤錠剤(完全;EDTA不含)を含む等張溶解バッファー150μLと0.2mMバナジン酸ナトリウムが加えられる。細胞は冷室中ジエーカー上4℃において15分間溶解される。溶解液はエッペンドルフ試験管に入れられ、これへアガロース接合抗PDGFR−b抗体が加えられ、4℃で一夜インキュベートされる。翌日ビーズがPBSの50体積で3回洗浄され、そして1×LDSサンプルバッファー中で5分間煮沸される。サンプルは3−8%勾配トリス−アセテートゲル上に注がれ、ニトロセルロース上に移される。膜は、ブロッキングバッファー(1:1000希釈)中の抗ホスホPDGFR−b(Tyr−857)抗体中で1時間インキュベーションする前に1%BSA/TBS−Tでブロックされた。TBS−Tで3回洗浄した後、膜はヤギ抗ウサギHRP IgG(1:25000希釈)中で1時間インキュベートされた。さらに3回の洗浄がECL基質の添加前に続きた。膜はHyperfilm−ECLへ露出された。その後膜は剥がされ、そして総PDGFR−bのために抗PDGFR−b抗体で再プローブされた。
【0214】
c−ラット(Raf−1)生化学アッセイ
アッセイに使用されるタンパクの精製
c−Raf生化学アッセイはLckキナーゼで活性化(ホスホリル化)されたc−Rafで実施された。Lck−活性化c−Raf(Lck/c−Raf)は、ポリヘドリンプロモーターと、GST−c−Raf(アミノ酸302からアミノ酸648まで)と、Lck(全長)のコントロールのもとで細胞をバクロウイルス発現で同時感染することによってSf9昆虫細胞中につくられた。両方のバキュロウィールスは2.5の感染数において使用され、そして細胞は感染48時間後に収穫された。
【0215】
MEK−1タンパクは細胞を5の感染数においてバキュロウイルス発現GST−MEK−1(全長)融合タンパクで感染させ、感染後48時間で細胞を収穫することによって作られた。
【0216】
形質転換した細胞は、10mMリン酸ナトリウム、140mM塩化ナトリウムpH7.3,0.5%トリトンX−100およびプロテアーゼ阻害剤カクテルを含んでいるバッファー中にmlあたり湿った細胞バイオマス100mgに懸濁された。細胞はポリトロンホモジナイザーで破壊され、30分間30,000Gで遠心された。30,000G上清はGSH−セファロースへ適用された。樹脂は50mMトリスpH8.0,150mM NaClおよび0.01%トリトンX−100を含んでいるバッファーで洗浄された。GST標識タンパクは100mMグルタチオン、50mMトリスpH8.0,150mM NaClおよび0.01%トリトンX−100を含む溶液で溶出された。精製したタンパクは20mMトリスpH7.5,150m NaClおよび20%グリセロールを含むバッファー中に透析された。
【0217】
生化学アッセイプロトコールおよび結果
化合物は3倍希釈を用いて典型的には5μMないし20nM(1μMないし0.4nMのアッセイ範囲にある最終濃度)の範囲のストック濃度へDMSO中に系統希釈された。c−Raf生化学アッセイは96ウエルCostarポリプロピレンプレート(Costar3365)中の放射活性フィルターマットアッセイとして実施された。プレートは50mM HEPES pH7.5,70mM NaCl,80ng Lck/c−Rafおよび1μg MEK−1を含む溶液75μLで負荷された。その後系統希釈された個々の化合物2μLがATPの添加前に反応へ添加された。反応は5μM ATPおよび0.3μCi〔33P〕−ATPを含む溶液で開始された。プレートはシールされ、32℃で1時間インキュベートされた。反応は4%リン酸50μLの添加により停止され、P30フィルターマット(Perkin Elmer)上にWallac Tomtec ハーベスターを用いて収穫された。フィルターマットは最初1%リン酸、次に脱イオン水で洗浄された。フィルターはマイクロウェーブ中で乾燥され、シンチレーヨン液中に浸漬され、そしてWallac 1205 ベータプレートカウンター(Wallac Inc.,Atlanta,U.S.A.)中で読み取られた。結果は%阻害として表された。
【0218】
%阻害=〔100−(Tib/Ti)〕×100
Tib=(阻害剤ありのカウント/分)−(バックグランド)
Ti=(阻害剤なしのカウント/分)−(バックグランド)
【0219】
アッセイ結果
本発明の化合物の生物学的阻害活性は、上に記載したような種々の阻害ヲッセイにおいて試験された。化合物は以下に記載する範囲の阻害活性を示した。
a)h−Flt4 V2アッセイ:本発明の好ましい化合物のIC50(nM)値は0.66ないし3000の範囲である。
b)m−Flt4アッセイ:本発明の好ましい化合物のIC50(nM)値は11.4ないし>10,000の範囲である。
c)Flk 1 FRETアッセイ:本発明の好ましい化合物のIC50(nM)値は6.97なしい186の範囲である。
d)c−RAF−1アッセイ:本発明の好ましい化合物のIC50(nM)値は7.86ないし>1600の範囲である。
e)cRaf v2アッセイ:本発明の好ましい化合物のIC50(nM)値は7.9ないし1000の範囲である。
【0220】
全体として本発明の化合物は、癌を含む病気の処置のために関心あるすべての分子標的である。raf,p38,PDGFR,VEGFR3およびVEGFR2のようないくつかのキーキナーゼに対して改良された阻害プロフィルにより、血管形成および腫瘍細胞増殖のユニークな組合せを提供する。
【0221】
上の実施例は、本発明の一般的または特定的に記載した反応剤および/または作業条件で以上の実施例に用いたそれらを置き換えることによって同様の成功度をもって繰り返すことができる。以上の記載から当業者は本発明の本質的特徴を容易に確かめることができ、そしてその精神および範囲から逸脱することなく種々の用途および条件に適応化させるため本発明の種々の変更および修飾をなすことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、プロドラッグまたは代謝物;
【化1】

式中、
Aは、任意に置換されたピリジニル、ナフチル、O,N,Sまたはその組合せである1−4のヘテロ原子を有する8−10員双環ヘテロアリール基、ベンゼン基を介して尿素部分へ結合した部分飽和C−C10双環炭素環基、O,N,Sまたはその組合せである1−4のヘテロ原子を有し、ベンゼンまたは構造のヘテロアリール基を介して結合する部分飽和8−10員双環複素環基;
Bは、任意に置換されたフェニルまたはナフチル;
Lは、OまたはS;
mは、0,1,2または3の整数;そして
各Rは、独立にC1−5アルキル、C1−5ハロアルキル、C1−3アルコキシ、N−オキソまたはN−ヒドロキシから選ばれる。
【請求項2】
式(I)のAは、少なくとも1個の酸素原子と、そして部分飽和8−10員双環複素環基の飽和炭素原子上に少なくとも1個のハロ置換基を有する部分飽和8−10員双環複素環基である、請求項1の化合物。
【請求項3】
式(I)の部分飽和8−10員双環複素環基のすべての飽和炭素原子はペルフッ素化されている請求項2の化合物。
【請求項4】
Aは(R)nによって置換され、ここにnは0,1,2,3,4,5または6の整数であり;各Rは独立にハロゲン、R,OR,S(O)R,C(O)R,C(O)NR,オキソ、シアノまたはNOであり;そしてRおよびRは独立に水素、C1−6アルキルまたはペルハロまでのハロC1−6アルキルである;請求項1または2または3の化合物。
【請求項5】
Bは(Rによって置換され、ここにPは0,1,2,3または4の整数であり;各Rは独立にハロゲン、C1−5ハロアルキル、NO,C(O)NR,C1−6アルキル、C1−6ジアルキルアミン、C1−3アルキルアミン、CN,アミノ、ヒドロキシまたはC1−3アルコキシである;請求項1ないし4のいずれかの化合物。
【請求項6】
Aは任意に、ピリジルで置換されている、請求項1ないし4のいずれかの化合物。
【請求項7】
Aは任意に、ナフタレニルで置換されている、請求項1ないし4のいずれかの化合物。
【請求項8】
Aは任意に、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−キノリニル、1−、3−、4−、5−、6−、7−または8−イソキノリニル、ベンズイミダゾール−5−イル、ベンズイミダゾール−6−イル、1,3−ベンゾチアゾール−2−イル、1,3−ベンゾチアゾール−2−イル、1,3−ベンゾチアゾール−6−イル、1H−インダゾール−5−イル、2H−インダゾール−5−イル、1H−インダゾール−6−イル、1H−インドール−5−イル、キノキサリン−2−イル、またはキノキサリン−6−イルで置換されている、請求項1ないし4のいずれかの化合物。
【請求項9】
Aは任意に、2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−イル、2,3−ジヒドロ−1H−インドール−6−イル、2,3−ジヒドロ−1H−インデン−4−イル、または2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルで置換されている、請求項1ないし4のいずれかの化合物。
【請求項10】
Aは任意に、少なくとも1個のハロゲンで置換された、1,1−ジオキシド−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾチエン−6−イル、1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−イル、2H−ベンゾ〔d〕1,3−ジオキソレン−5−イル、2H−ベンゾ〔d〕1,3−ジオキソレン−4−イル、2,3−ジヒドロベンゾ〔b〕フル−5−イル、2H,3H−ベンゾ〔e〕1,4−ジオキサン−6−イル、2H,4H−ベンゾ〔e〕1,3−ジオキサン−6−イル、または2H,4H−ベンゾ〔e〕1,3−ジオキサン−8−イルで置換されている、請求項1ないし4のいずれかの化合物。
【請求項11】
Bはフェニルである請求項1ないし10のいずれかの化合物。
【請求項12】
Bは少なくとも1個のハロゲンで置換されたフェニルである請求項1ないし10のいずれかの化合物。
【請求項13】
Bは少なくとも1個のフッ素原子によって置換されたフェニルである請求項1ないし10のいずれかの化合物。
【請求項14】
Lは酸素である請求項1ないし9および11ないし13のいずれかの化合物。
【請求項15】
はフッ素、塩素、臭素、メチル、NO、C(O)NH、メトキシ、SCH、トリフロロメチル、またはメチルスルホニルである請求項1ないし9および11ないし14のいずれかの化合物。
【請求項16】
はメチル、エチル、プロピル、酸素またはシアノである請求項1ないし9および11ないし15のいずれかの化合物。
【請求項17】
はトリフロロメチル、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、塩素、フッ素、臭素、シアノ、メトキシ、アセチル、トリフロロメチルスルホニル、トリフロロメトキシ、またはトリフロロメチルチオである請求項1ないし9および11ないし16のいずれかの化合物。
【請求項18】
{〔2−クロロ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ)フェニル〕アミノ}−N−インダン−5−イルカルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−フロロフェニル〕アミノ}−N−インダン−5−イルカルボキサマイド;
{〔2−クロロ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(1−オキソインダン−5−イル)カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−フロロフェニル〕アミノ}−N−(2−ナフチル)カルボキサマイド;
N−(2,2−ジフロロベンゾ〔d〕1,3−ジオキソラン−5−イル){〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ)フェニル〕アミノ}カルボキサマイド;
N−(2,2−ジフロロベンゾ〔d〕1,3−ジオキソラン−5−イル){〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}カルボキサマイド;
N−(2,2−ジフロロベンゾ〔d〕1,3−ジオキソラン−5−イル){〔2−クロロ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}カルボキサマイド;
N−(2,2−ジフロロベンゾ〔d〕1,3−ジオキソラン−5−イル){〔3−クロロ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}カルボキサマイド;
N−(2,2−ジフロロベンゾ〔d〕1,3−ジオキソラン−5−イル){〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−3−フロロフェニル〕アミノ}カルボキサマイド;
N−(2,2−ジフロロベンゾ〔d〕1,3−ジオキソラン−5−イル){〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−3−フロロフェニル〕アミノ}カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−(トリフロロメチル)フェニル〕アミノ}−N−(2,2,3,3−テトラフロロベンゾ〔e〕1,4−ジオキサン−6−イル)カルボキサイド;
{〔2−クロロ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(2,2,3,3−テトラフロロベンゾ〔e〕1,4−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−フロロフェニル〕アミノ}−N−(2,2,3,3−テトラフロロベンゾ〔e〕1,4−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ)−2,6−ジフロロフェニル〕アミノ}−N−(2,2,3,3−テトラフロロベンゾ〔e〕1,4−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2,5−ジフロロフェニル〕アミノ}−N−(2,2,3,3−テトラフロロベンゾ〔e〕1,4−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔3−クロロ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(2,2,3,3−テトラフロロベンゾ〔e〕1,4−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−メチルフェニル〕アミノ}−N−(2,2,3,3−テトラフロロベンゾ〔e〕1,4−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−ニトロフェニル〕アミノ}−N−(2,2,3,3−テトラフロロベンゾ〔e〕1,4−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−フロロフェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔3−クロロ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔2−クロロ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−3−フロロフェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−(トリフロロメチル)フェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2,3−ジフロロフェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2,5−ジフロロフェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2,6−ジフロロフェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−3−メチルフェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔3−ブロモ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−メチルフェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−3−メチルフェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
5−(2−シアノ(4−ピリジル)オキシ)−2{〔N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルバモイル〕アミノ}ベンズアミド;
{〔4(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−ニトロフェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4(2−シアノ−1−ヒドロキシ(4−ピリジルオキシ))−2−フロロフェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4(2−シアノ−1−ヒドロキシ(4−ピリジルオキシ))−2−フロロフェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4(2−シアノ(4−ピリジル)オキシ−2−メチルチオフェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4(2−シアノ(4−ピリジル)オキシ−2−(メチルスルホニル)フェニル〕アミノ}−N−(2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル)カルボキサマイド;
{〔4(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−フロロフェニル〕アミノ}−N−〔2−(トリフロロメチル)(4−ピリジル)〕カルボキサマイド;
N−〔4−(t−ブチル)(2−ピリジル)〕{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}カルボキサマイド;
N−〔4−(t−ブチル)(2−ピリジル)〕{〔3−クロロ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}カルボキサマイド;
N−〔4−(t−ブチル)(2−ピリジル)〕{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−3−フロロフェニル〕アミノ}カルボキサマイド;
N−〔4−(t−ブチル)(2−ピリジル)〕{4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−フロロフェニル〕アミノ}カルボキサマイド;
N−〔4−(t−ブチル)(2−ピリジル)〕{〔3−ブロモ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}カルボキサマイド;
2−({N−〔4−(t−ブチル)(2−ピリジル)〕カルバモイル}アミノ)−5−(2−シアノ(4−ピリジル)オキシ)ベンズアミド;
N−〔4−(t−ブチル)(2−ピリジル)〕{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−3−フロロフェニル〕アミノ}カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−(トリフロロメチル)フェニル〕アミノ}−N−〔4−(トリフロロメチル)(2−ピリジル)カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2,6−ジフロロフェニル〕アミノ}−N−〔4−(トリフロロメチル)(2−ピリジル)〕カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(4−トリフロロメチル)(2−ピリジル)〕カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(4−エチル)(2−ピリジル)カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(2−メチル)(6−キノリル)カルボキサマイド;
{〔3−クロロ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(2−メチル(6−キノリル)カルボキサマイド;
{〔3−クロロ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(6−キノリル)カルボキサマイド;
{〔2−クロロ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(6−キノリル)カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−(トリフロロメチル)フェニル〕アミノ}−N−(6−キノリル)カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(3−イソキノリル)カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−フロロフェニル〕アミノ}−N−(3−イソキノリル)カルボキサマイド;
{〔3−クロロ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(3−イソキノリル)カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(1−メチル(1H−インダゾール−5−イル))カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−フロロフェニル〕アミノ}−N−(1−メチル(1H−インダゾール−5−イル))カルボキサマイド;
{〔2−クロロ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(1−メチル(1H−インダゾール−5−イル))カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−(トリフロロメチル)フェニル〕アミノ}−N−(1−メチル(1H−インダゾール−5−イル))カルボキサマイド;
{〔3−クロロ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−(1−メチル(1H−インダゾール−5−イル))カルボキサマイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−〔2−(トリフロロメチル)ベンズイミダゾール−5−イル〕カルボキサマイド;
{〔3−クロロ−4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))フェニル〕アミノ}−N−〔2−(トリフロロメチル)ベンズイミダゾール−5−イル〕カルボキサマイド;
N−ベンズイミダゾール−5−イル{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−2−ニトロフェニル〕アミノ}カルボキサイド;
{〔4−(2−シアノ(4−ピリジルオキシ))−3−メチルフェニル〕アミノ}−N−〔2−メチルベンズイミダゾール−5−イル〕カルボキサマイド;または
それらの塩およびそれらの立体異性体より選ばれた化合物。
【請求項19】
式(I)の化合物の有機酸の薬学的に許容し得る塩基塩である請求項1または2または3の化合物。
【請求項20】
有機塩基および無機塩基よりなる群から選ばれた式(I)の化合物の薬学的に許容し得る酸塩である請求項1ないし18のいずれかの化合物。
【請求項21】
下記式Xの化合物またはその薬学的に許容し得る塩:
【化2】

式中、
Aは、任意に置換されたピリジニル、ナフチル、O,N,Sまたはその組合せである1−4のヘテロ原子を有する8−10員双環ヘテロアリール基、ベンゼン基を介して尿素部分へ結合した部分飽和C8−10双環炭素環基、O,N,Sまたはその組合せである1−4のヘテロ原子を有する部分飽和8−10員双環ヘテロアリール基;
各Rは独立にC1−5アルキル、C1−5ハロアルキル、C1−3アルコキシ、N−オキソまたはN−ヒドロキシから選ばれ;
mは0,1,2または3であり;
ただし、フェニル環Bは少なくとも1個のフッ素原子によって置換されていることを条件とする。
【請求項22】
フェニル環Bは2−4個のフッ素原子によって置換されている請求項21の化合物。
【請求項23】
Aは(R)nによって置換され、ここにnは0,1,2,3,4,5または6の整数であり;各Rは独立にハロゲン、R,OR,S(O)R,C(O)R,C(O)NR,オキソ、シアノまたはNOであり;そしてRおよびRは独立に水素、C1−6アルキルまたはペルハロまでのハロC1−6である;請求項21または22の化合物。
【請求項24】
Aは任意に、ピリジルで置換されている、請求項21ないし23のいずれかの化合物。
【請求項25】
Aは任意に、ナフタレニルで置換されている、請求項21ないし23のいずれかの化合物。
【請求項26】
Aは任意に、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−キノリニル、1−、3−、4−、5−、6−、7−または8−イソキノリニル、ベンズイミダゾール−5−イル、ベンズイミダゾール−6−イル、1,3−ベンゾチアゾール−2−イル、1,3−ベンゾチアゾール−2−イル、1,3−ベンゾチアゾール−6−イル、1H−インダゾール−5−イル、2H−インダゾール−5−イル、1H−インダゾール−6−イル、1H−インドール−5−イル、キノキサリン−2−イル、またはキノキサリン−6−イルで置換されている、請求項21ないし23のいずれかの化合物。
【請求項27】
Aは、2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−イル、2,3−ジヒドロ−1H−インドール−6−イル、2,3−ジヒドロ−1H−インデン−4−イル、または2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルである、請求項21ないし23のいずれかの化合物。
【請求項28】
Aは、少なくとも1個のハロゲンで置換された、1,1−ジオキシド−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾチエン−6−イル、1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−イル、2H−ベンゾ〔d〕1,3−ジオキソレン−5−イル、2H−ベンゾ〔d〕1,3−ジオキソレン−4−イル、2,3−ジヒドロベンゾ〔b〕フル−5−イル、2H,3H−ベンゾ〔e〕1,4−ジオキサン−6−イル、2H,4H−ベンゾ〔e〕1,3−ジオキサン−6−イル、または2H,4H−ベンゾ〔e〕1,3−ジオキサン−8−イルである、請求項21ないし23のいずれかの化合物。
【請求項29】
下記式Yの化合物またはその薬学的に許容し得る塩:
【化3】

式中、
Qは、少なくとも1個のフッ素原子で置換されたO,N,Sまたはその組合せである1−4のヘテロ原子を有する8−10員双環複素環基;
mは0,1,2または3の整数;そして
各R2は独立にC1−5アルキル、C1−5ハロアルキル、C1−3アルコキシ、N−オキソまたはN−ヒドロキシから選ばれ;
ただし、フェニル環Bは少なくとも1個のフッ素原子で置換されていることを条件とする。
【請求項30】
フェニル環Bは2−4個のフッ素原子で置換されている請求項29の化合物。
【請求項31】
Aは(R)nによって置換され、ここにnは0,1,2,3,4,5または6の整数であり;各Rは独立にハロゲン、R,OR,S(O)R,C(O)R,C(O)NR,オキソ、シアノまたはNOであり;そしてRおよびRは独立に水素、C1−6アルキルまたはペルハロまでのハロC1−6である;請求項29または30の化合物。
【請求項32】
Aは少なくとも1個のハロゲンで置換された、2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−イル、2,3−ジヒドロ−1H−インドール−6−イル、2,3−ジヒドロ−1H−インデン−4−イル、または2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル、1,1−ジオキシド−2,3−ジヒドロ−1−ベンゾチエン−6−イル、1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−イル、2H−ベンゾ〔d〕1,3−ジオキソレン−5−イル、2H−ベンゾ〔d〕1,3−ジオキソレン−4−イル、2,3−ジヒドロベンゾ〔b〕フル−5−イル、2H,3H−ベンゾ〔e〕1,4−ジオキサン−6−イル、2H,4H−ベンゾ〔e〕1,3−ジオキサン−6−イル、または2H,4H−ベンゾ〔e〕1,3−ジオキサン−8−イルで置換である、請求項29ないし30の化合物。
【請求項33】
Aは、2,2,4,4−テトラフロロベンゾ〔3,4−e〕1,3−ジオキサン−6−イル、2,2,3,3−テトラフロロベンゾ〔e〕1,4−ジオキサン−6−イル、または2,2−ジフロロベンゾ〔d〕1,3−ジオキサン−5−イルである請求項29または30の化合物。
【請求項34】
下記式IIの化合物:
【化4】

式中、式IIIのBは
【化5】

であり;
尿素基−NH−C(O)−NH−および連結基LはBの隣接する環炭素原子へ結合しておらず、その間にそれらを引き離す1または2の環炭素原子を有し;
式IIのAは、
【化6】

であり、ここでnは0,1,2,3または4であり;
そしてRはトリフロロメチル、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、塩素、フッ素、臭素、シアノ、メトキシ、トリフロロメタンスルホニル、トリフロロメトキシまたはトリフロロメチルチオ;である。
【請求項35】
各Rはフッ素で置換されている請求項34の化合物。
【請求項36】
式IIのAは、
【化7】

であり、
式IIのBはフェニレン、フロロ置換フェニレン、またはジフロロ置換フェニレンである請求項34の化合物。
【請求項37】
下記式Za,Zb,ZcまたはZdの化合物、またはその薬学的に許容し得る塩、プロドラッグまたは代謝物:
【化8】

式中、各Rは独立にハロゲンまたはトリフロロメチルであり;各Rは独立にハロゲン、R,OR,S(O)R,C(O)R,C(O)NR,オキソ、シアノまたはニトロ(NO)であり;nは0,1,2,3または4であり:Pは0,1または2である。
【請求項38】
はフロロ、トリフロロメチル、メチルまたはt−ブチルである請求項37の化合物。
【請求項39】
請求項1または2または3の化合物またはその薬学的に許容し得る塩と、生理学的に許容し得る担体を含む医薬組成物。
【請求項40】
請求項1ないし18,20,34および37のいずれかの化合物、またはその薬学的に許容し得る塩またはエステルの治療的に有効な量をそれを必要とする哺乳動物に投与することよりなる、高増殖障害の処置方法。
【請求項41】
前記高増殖障害は癌である請求項40の方法。
【請求項42】
前記癌は、乳房、呼吸管、脳、生殖臓器、消化管、尿道、眼、肝臓、皮膚、頭部および/または頸部,甲状腺、上皮小体およびそれらの転移した癌である請求項40または41の方法。
【請求項43】
前記癌はリンパ腫、肉腫または白血病である請求項40または41の方法。
【請求項44】
前記乳癌は、侵襲性管カルチノーマ、侵襲性小葉カルチノーマ、その場の管カルチノーマ、またはその場の小葉カルチノーマである請求項42の方法。
【請求項45】
前記呼吸管の癌は、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、気管支アデノーマまたは胸膜肺芽腫である請求項42の方法。
【請求項46】
前記脳の癌は、脳幹腫瘍、下垂体神経膠腫、小脳星状細胞腫、大脳星状細胞腫、髄質芽腫、上衣細胞腫、神経外胚葉または松果体腫瘍である請求項42の方法。
【請求項47】
前記男性生殖器の腫瘍は前立腺または睾丸癌である請求項42の方法。
【請求項48】
前記女性生殖器の癌は子宮内膜、頸部、卵巣、外陰部、膣の癌または子宮筋腫である請求項42の方法。
【請求項49】
前記消化管の癌は肛門、結腸、結腸直腸、食道、胆のう、胃、膵臓、直腸、小腸、唾液腺の癌である請求項12の方法。
【請求項50】
前記尿管の癌は膀こう、陰莖、腎臓、腎孟、尿管または尿道である請求項42の方法。
【請求項51】
前記眼の癌は眼内黒色腫、または網膜芽腫である請求項42の方法。
【請求項52】
前記肝臓癌は肝細胞カルチノーマ、線維ラメラー変異ありなしの肝細胞カルチノーマ、胆管腫または混合肝細胞胆管腫である請求項42の方法。
【請求項53】
前記皮膚癌は鱗状細胞カルチノーマ、カポシ肉腫、亜性黒色腫、メルケル細胞皮膚癌または非黒色腫皮膚癌である請求項42の方法。
【請求項54】
前記頭部一頸部癌は喉頭、下咽頭、口腔咽頭、唇または口腔癌である請求項42の方法。
【請求項55】
前記リンパ腫はAIDS関連リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、ホジキン病または中枢神経系のリンパ腫である請求項42の方法。
【請求項56】
前記肉腫は軟組織の肉腫、骨肉腫、悪性線維組織球腫、リンパ肉腫または横紋筋肉腫である請求項42の方法。
【請求項57】
前記白血病は急性骨髄白血病、急性リンパ芽白血病、慢性リンパ球白血病、慢性骨髄性白血病または毛状細胞白血病である請求項42の方法。
【請求項58】
請求項1ないし18の化合物またはその薬学的に許容し得る塩またはエステルの治療的有効量をそれを必要とする哺乳動物に投与することよりなる、血管形成障害を処置するための方法。
【請求項59】
追加の薬剤をさらに含んでいる請求項39の組成物。
【請求項60】
追加の抗癌剤をさらに含んでいる請求項39の組成物。
【請求項61】
追加の抗高増殖剤をさらに含んでいる請求項39の組成物。
【請求項62】
前記抗高増殖剤はエポシリンまたはその誘導体、イリノテカン、ラロキシフェンまたはハポテカンである請求項61の組成物。
【請求項63】
前記追加の薬剤は、アルデスロイキン、アレンドロン酸、アルファフェロン、アリトレチノイン、アロプリノール、アロプリム、アロキシ、アルトレタミン、アミノグルテチミド、アミフォスチン、アムルビシン、アムサクリン、アナストロゾール、アンズメット、アラネスプ、アルグラビン、三酸化ヒ素、アロマシン、5−アザシチジン、アザチオプリン、BCGまたはタイスBCG、ベスタチン、ベーターメタゾンアセテート、ベーターメタジンソジウムフォスフェート、ベキサロテン、ブレオマイシンサルフェート、ブロクスウリジン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カルシトニン、カムパス、カペシタビン、カルボプラチン、カソデックス、セフエゾン、セルモロイキン、セルビジン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドニン酸、シクロフォスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、DaunoXome、デカドロン、デカドロンフォスフェート、デレストロゲン、ドニロイキン、デイクチトックス、デポメドロール、デスロレニン、デクスラゾキサン、ジエチルスルチベストロール、デイフルカン、ドセタクセル、ドキシフルリジン、ドロナビノール、DW−166HC、エリガード、エリテック、エレンス、エメンド、エピルビシン、エポエチンアルファ、エポゲン、エプタプラチン、エルガミソール、エストレース、エストラジオール、エストラムスチンフォスフェートナトリウム、エチニルエストラジオール、エチオール、エチドロン酸、エトポホス、エトポシド、ファドロゾール、ファルストン、フィルグラスチム、フィナステライド、フリグラスチン、フロクスウリジン、フルコゾール、フルダラビン、5−フロロデオキシウリジンモノリン酸、5−フロロウラシル(5−FU)、フルオキシメステロン、フルタミド、フォルメスタン、フォステアビン、フォテムスチン、フルベストラント、ガンマガード、ゲムシタビン、ゲムツズマブ、グレエベック、グリアデル、ゴセレリン、グラニセトロンHCl、ヒストレリン、ヒカムチン、ヒドロコルトン、エリスロヒドロキシノニルアデニン、ヒドロキシウレア、イブリツモマブチウキセタン、イダルビシン、イフォスファミド、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ−2、インターフェロンアルファ−2A、インターフェロンアルファ−2B、インターフェロンアルファ−n1、インターフェロンアルファ−n3、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ−1a、インターロイキン−2、イントロンA、イレッサ、イリノテカン、キトリル、レンチナンサルフェート、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロライド、ロイプロライドアセテート、レバミソール、レポフォリン酸カルシウム塩、レボスロイド、レボキシル、ロムスチン、ローダミン、マリノール、メクロレサミン、メコバラミン、メドロキシプロゲステロンアセテート、メゲステロールアセテート、メルファラン、メネスト、6−メルカプトプリン、メスナ、メトトレキセート、メトビックス、ミルテフォシン、ミノサイクリン、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、モドレナール、ミオセット、ネダプラチン、ニューラスタ、ニューメガ、ニューポゲン、ニルタミド、ノルバデックス、NSC−631570、OCT−43、オクトレオチド、オンダンセトロンHCl、オラプレッド、オクサリプラチン、パクリタクセル、ペディアプレッド、ペガスパルガーゼ、ペガシス、ペントスタチン、ピシバニル、ピロカルポンHCl、ピラルビシン、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、プレドニムスチン、プレドニソロン、プレドニソン、プレマリン、プロカルバジン、プロクリット、ラルチトレキセド、レビフ、レニウム‐186エチドロネート、リッキシマブ、ロフェロン‐A、ロムルチド、サラゲン、サンドスタチン、サルグラモスチム、セムスチン、シゾフィラン、ソブゾキサン、ソルメドロール、スパルフォシック酸、幹細胞療法、ストレプトゾシン、ストロンチウム−89塩化物、シンスロイド、タモキシフェン、タムスロシン、タソネルミン、タストラクトン、タクソテレ、テセロイキン、テモゾロミド、テニポシド、テストステロンプロピオネート、テストレッド、チオグアニン、チオテパ、タイロトロビン、チルドロン酸、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トランスツズマブ、トレオスルファン、トレチノイン、トレキソール、トリメチルメラミン、トリメトレキセート、トリプトレリンアセテート、トリプトレリンパモエート、UFT、ウリジン、バルルビシン、ベスナリノン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビルリジン、ジネカード、ジノスタチンステイマラマー、ゾフラン、ABI−007、アコルビフェン、アクチミユーン、アフィニタク、アミノプテリン、アルゾキシフェン、アソプリスニル、アタメスタン、アトラセンタン、BAY43−9006、アバスチン、CCI−779、CDC−501、セレブレックス、セツキシマブ、クリスナトール、シプロテロンアセテート、デシタビン、DN−101、ドキソルビシン−MTC、dSLIM、ズタステリド、エドテカリン、エフロルニチン、エキサテカン、フェンレチニド、ヒスタミンジヒドロクロライド、ヒストレリンヒドロゲルインプラント、ホルミウム−166DOTMP、イバンドロン酸、インターフエロンガンマ、イントロン−PEG、イクサベピロン、キーホールイムペットヘモシアニン、L−651582、ランレオチド、ラソフォキシフェン、リブラ、ロナファルニブ、ミプロキシフェン、ミノドロネート、MS−209、リポソーマルMTP−PE、MX−6、ナファレリン、ネモルビシン、ネオバスタット、ノラトレキセド、オブリメルセン、オンコーTCS、オシデム、パクリタキセル、ポリグルタメート、パミドロネートジナトリウム、PN−401、QS−21、クアゼパム、R−1549、ラロキシフェン、ランピルナーゼ、13−シス−レチノン酸、サトラプラチン、セオカルシトール、T−138067、タルセバ、タキソプレキシン、チモシンアルファ1、チアゾフリン、チピファルニブ、チラパザミン、TLK−286、トレミフェン、トランスMID−107R、バルスポダル、バプレオチド、バタラニブ、ベルテポルフィン、ビンフルニン、2−100、ゾレドロン酸、またはそれらの組合せである、請求項59の組成物。

【公表番号】特表2006−519264(P2006−519264A)
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508977(P2006−508977)
【出願日】平成16年3月1日(2004.3.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/006286
【国際公開番号】WO2004/078747
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(504210617)バイエル、ファーマシューテイカルズ、コーポレイション (11)
【Fターム(参考)】