説明

発光装置及び発光装置の製造方法

【課題】小型のパッケージでありながら高い気密性をもって発光素子を封止してなる発光装置を提供する。
【解決手段】光を出射する発光素子2と、発光素子2を横向きの姿勢で実装した第1の基板3と、第1の基板3との間に発光素子2の封止空間19を形成する第2の基板4と、第1の基板3から出射された光を取り出すための光取り出し窓5とを備える発光装置1の構成として、劈開性を有するシリコン基板を用いて第2の基板4を構成するとともに、第2の基板4の前端面12を劈開面とし、この劈開面に光取り出し窓5を取り付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置及び発光装置の製造方法に関する。詳しくは、半導体レーザに代表される半導体発光素子を備える発光装置(半導体発光装置)とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体レーザのパッケージは、CANパッケージと呼ばれる金属製の材料で構成されている。このパッケージのサイズは、光ディスク光源用は1980年代の直径9mm、1990年代では直径5.6mm、2000年代ではフレームと呼ばれる樹脂材料で、一辺の長さが3mmのパッケージサイズが主流である。現状では、さらなるパッケージの小型化が求められている。その背景には、半導体レーザを光源として用いる光ディスク装置(記録再生装置)の薄型、小型化の要請がある。
【0003】
一方、光源側での小型パッケージ化の課題は、発光素子の発熱に起因する信頼性低下の対策や、封止性に起因する信頼性低下の対策が挙げられる。すなわち、高封止性を確保することが必要であった時期においては、直径9mmから直径5.6mmへの小型化が図られた。この実現にあたっては、低電力化による発熱の低減や、プロセス・構造による高耐性化の工夫があった。さらに、端面保護膜の膜質改善、あるいは端面形成技術の向上等から、封止性能を緩和しても信頼性を確保できるようになった。これに伴い、パッケージ材料として樹脂を用いることができるようになり、小型化が実現した。
【0004】
その一方で、例えば光ディスクの高密度化を実現するために、光源の短波長化の要請がある。このため、高密度のブルーレイディスク用途では、405nmという短波長の光源が用いられている。この波長帯光源においては、その特性を維持するために高い気密封止性が求められている。このため、短波長帯域の光源には、上述のフレームパッケージが採用されていない。その他の波長の光源、例えばDVDに適用される650nmの中波長帯域の光源においては、短波長帯域の光源ほど高い気密封止性能が求められていないため、フレームパッケージが採用されている。
【0005】
図15はCANパッケージを用いた従来の発光装置の構成を示す側断面図である。図示した発光装置51は、ベース部材(ステム)52に接合されたキャップ部材53の内部に発光素子54が封止されている。発光素子54は、チップ状の半導体レーザ素子を用いて構成されている。発光素子54は、例えばAlN(窒化アルミニウム)からなるサブマウント55を介してヒートシンク56に実装されている。ヒートシンク56の表面にはメッキ処理(例えば、金メッキ処理)が施されている。
【0006】
発光素子54による光(レーザ光)の出射方向には光取り出し窓57が設けられている。光取り出し窓57は、キャップ部材53の天井部に設けられた孔58を塞ぐ状態で、当該キャップ部材53に接合されている。また、ベース部材52には複数本のリードピン59が取り付けられている。発光素子54は、金属ワイヤ60を介してリードピン59に電気的に接続されている。
【0007】
上記構成からなる発光装置51においては、発光素子54の端面から光が発せられる。この光は光取り出し窓57を通して外部に出射される。このため、発光素子54と光取り出し窓57の間には、光を反射・屈折させる部材が存在せず、光が直接、光取り出し窓57を透過する仕組みになっている。かかる構成の発光装置51は、各々の発光装置単位で組み立てられている。
【0008】
一方、金属や樹脂以外にも、発光素子が接続される基板としてリードフレームやセラミックで構成するパッケージも存在する。構成上の特徴として、発光素子と光取り出し窓の間に光を反射させる部材が配置されていることが挙げられる。また、組立工程の特徴として、取り付け基板の集合体に対して発光素子を接続し、光取り出し窓はこの集合体、あるいは分離体に対して接続されることが挙げられる。すなわち、発光装置の組立工程に含まれる発光素子の接続工程においては、バッチ処理(一括処理)がされており、その製造効率を高めることから低価格化が図られている。その反面、パッケージの内部に、光を反射、屈折させるための光学部品を組み込む必要があるため、部材費が多くかかるという欠点がある。また、光取り出し窓とそれを支持する支持部との接合においては、光取り出し窓を取り付ける面(以下、「窓取り付け面」)の面精度の悪さから、接着剤として封止樹脂が多く用いられている。このため、CANパッケージで採用されているハーメチックシールに比べて気密封止性能が低いものとなっている。
【0009】
また、パッケージの小型化(特に、薄型化)を図るうえで有利な発光装置の構成として、発光素子が直接、又はサブマウント等の部材を介して搭載される支持基板の主面に対して、発光素子の光軸が平行に配置されるように、上記支持基板に発光素子を横向きの姿勢で実装した構成が公知となっている(例えば、特許文献1〜3など)。
【0010】
【特許文献1】特開平5−129712号公報
【特許文献2】特開昭63−67794号公報
【特許文献3】特表2004−527917号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
現在、光ディスク用途で主流のCANパッケージは、製造方式が非バッチ方式であるという点で量産性に劣るものとなっている。また、CANパッケージは、放熱性能や組上げ後の気密封止性を確保できるという利点を有するものの、小型化が困難である。これに対して、発光素子が接続される基板を樹脂で構成したフレームレーザでは、その素材が樹脂であるため、小型化に適する反面、放熱性能や気密封止性能に劣るものとなっている。
【0012】
一方、支持基板に発光素子を横向きに実装した発光装置では、窓取り付け面の面精度の悪さから、気密封止性能が低いという問題があった。例えば、光取り出し窓の取り付けに際して半田を接着剤として用いる場合は、窓取り付け面の面精度の悪さから、半田の溶融時に表面張力の影響を受けて半田面の平坦性が悪化する。このため、半田層に厚みのむらが生じ、これが原因で半田硬化後に隙間が生じる恐れがある。その結果、高い気密性をもって発光素子を封止することができなくなる。この点は、半田に変えて樹脂の接着剤を用いた場合も同様である。
【0013】
また、特許文献3に記載されているように、セラミックの積層体からなるケーシングに光取り出し窓を取り付ける場合は、セラミックが焼結時に溶剤揮発むら、及び、形状に起因する収縮不均一から、窓取り付け面の面精度は20μmであることが一般的である。さらに積層工程での位置合わせ精度や、各層での硬化収縮の違いからくるサイズのばらつき等を勘案すると、さらに窓取り付け面の面精度が悪化することが想定される。したがって、ソルダガラス等を用いて高い気密封止性を確保することは困難である。また、そもそも積層工程が必要であることから、工程数の増加に伴う生産性の悪化や価格の増大の点で難点がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る発光装置は、光を出射する発光素子と、前記発光素子を実装した第1の基板と、前記第1の基板との間に前記発光素子の封止空間を形成する第2の基板と、前記発光素子から出射された光を取り出すための光取り出し窓とを備え、前記第1の基板及び前記第2の基板のうち、少なくとも一方の基板は、劈開性を有し、かつ前記光取り出し窓が取り付けられる窓取り付け面を劈開面としてなるものである。
【0015】
本発明に係る発光装置においては、発光素子を第1の基板に実装し、当該第1の基板との間で第2の基板が発光素子の封止空間を形成することにより、パッケージの小型化が図られる。また、少なくとも一方の基板に関して、光取り出し窓が取り付けられる窓取り付け面を劈開面とすることにより、当該窓取り付け面の面精度(平坦性)が高いものとなる。このため、発光素子を高い気密性をもって封止することが可能となる。
【0016】
本発明に係る発光装置の製造方法は、第1の基板に複数の発光素子を実装する工程と、前記第1の基板に実装される前記複数の発光素子の実装位置に対応して第2の基板に複数の凹部を形成する工程と、前記発光素子を前記凹部に収容するように前記第1の基板と前記第2の基板を張り合わせて接合する工程と、前記第1の基板及び前記第2の基板のうち、少なくとも一方の基板を劈開する工程と、前記少なくとも一方の基板の劈開面に、当該劈開面に開孔している導光孔を塞ぐ状態で光取り出し窓を取り付ける工程とを有するものである。
【0017】
本発明に係る発光装置の製造方法においては、複数の発光素子を第1の基板に実装した後、発光素子を凹部に収容するように第1の基板と第2の基板を張り合わせて接合することにより、小型のパッケージが形成される。また、第1の基板及び第2の基板のうち、少なくとも一方の基板を劈開した後、当該劈開面に光取り出し窓を取り付けることにより、凹部に収容された発光素子が高い気密性をもって封止される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、小型のパッケージでありながら高い気密性をもって発光素子を封止してなる発光装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本発明の技術的範囲は以下に記述する実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
【0020】
<第1の実施の形態>
図1は本発明の第1の実施の形態に係る発光装置の構成を示す側断面図である。図示した発光装置1は、大きくは、発光素子2と、第1の基板3と、第2の基板4と、光取り出し窓5とを備えた構成となっている。
【0021】
発光素子2は、例えば半導体レーザ等の半導体発光素子を用いて構成されるものである。発光素子2は、図中矢印方向(右方向)に光を出射するものである。発光素子2は、例えば発光波長が450nm以下の素子であり、特に、ブルーレイディスク用の光源として使用する場合は、発光波長405nmの素子を用いる。ちなみに、DVD用の光源では、発光波長が650nmの素子を用いる。発光素子2は、第1の基板3の上面に、例えば半田を接着剤に用いて接合されている。だだし、これに限らず、例えば公知のウエハ融着法(ウエハボンディング法)を用いて発光素子2を第1の基板3の上面に接合してもよい。ウエハ融着法とは、もともとは2枚のウエハを、接着剤等を用いずに一体化する接合技術であるが、ウエハだけでなく、発光素子2と第1の基板3の接合にも適用可能である。ウエハ融着法では、例えば、接合対象となる2者の接合面を清浄化(洗浄、酸化膜除去等)した後、2者の接合面同士を接触させ、この状態で熱処理を加えることにより、2者を強固に接合する。
【0022】
ちなみに、半田を接着剤に用いて発光素子2を第1の基板3に接合した場合は、その後の熱工程で接着材料の再溶融が起きないように、当該熱工程の加熱温度よりも融点の高い半田材料を用いる必要がある。これに対して、ウエハ融着法を用いて発光素子2を第1の基板3に接合した場合は、その接合部に接着材料が介在しない。このため、応力による劣化が低減されるとともに、その後の熱工程で接着材料の再溶融が発生せず、望ましいものとなる。
【0023】
第1の基板3は、発光素子2を横向きの姿勢で実装するものである。ここで記述する「横向きの姿勢」とは、第1の基板3の主面(上面又は下面)に対して発光素子2の光軸が平行に配置される姿勢をいう。第1の基板3は、例えばセラミックや金属を用いて構成される。第1の基板3にセラミックを用いる場合で、かつ高い放熱性能を要求される場合は、第1の基板3にAlN(窒化アルミニウム)セラミックを用いることが望ましい。第1の基板3には、当該第1の基板3を板厚方向に貫通するビア(導通路)6が設けられている。第1の基板3の上面には、後述するワイヤボンディングのために、例えば、Ti(チタン)/Ni(ニッケル)/Au(金)の3層構造を有するボンディングパッド(不図示)が形成されている。第1の基板3の、発光素子2の取り付け面とは反対側の面には、ビア6に導通する電極部7が形成されている。特に、第1の基板3の上面及び下面では、発光素子2と電極部7を裏表の関係で配置している。このため、発光装置1全体のサイズを小さくすることが可能である。
【0024】
第2の基板4は、劈開性を有する基板を用いて構成されている。ここでは一例として第2の基板4を、劈開性を有するシリコン基板で構成するものとする。第2の基板4は、第1の基板3と対向する側に凹部8を有している。第2の基板4は、凹部8の存在により、第1の基板3との間に発光素子2の封止空間9を形成している。封止空間9内においては、発光素子2の上面と図示しないボンディングパッドとが、金線等のワイヤ10を介して電気的に接続されている。
【0025】
第2の基板4は、平面的に見て、第1の基板3よりも大きな外形寸法を有している。第2の基板4には凹部8に臨む状態で導光孔11が設けられている。導光孔11は、発光素子2から出射された光を外部に導出するための孔である。このため、導光孔11は、第1の基板3に支持(実装)された発光素子2から見て、光の出射方向(光軸上)に設けられている。導光孔11は、凹部8によって形成された封止空間9に通じている。
【0026】
光取り出し窓5は、例えば透明なガラス板を用いて構成されるものである。光取り出し窓5は、第2の基板4の前端面12に取り付けられている。第2の基板4の前端面12は、当該第2の基板4の劈開性を利用して、当該第2の基板4を劈開することにより形成された劈開面となっている。第2の基板4の前端面12には、導光孔11が開孔している。このため、光取り出し窓5は、導光孔11を塞ぐ状態で第2の基板4の前端面12に取り付けられている。
【0027】
上記構成からなる発光装置1においては、発光素子2から出射された光が第2の基板4の導光孔11を通して光取り出し窓5に入射した後、当該光取り出し窓5を透過して外部に取り出される。この場合、発光素子2は、第1の基板3の上面に横向きに実装されていることから、発光素子2の光線は、第1の基板3の上面(発光素子2が支持される面)と平行に出射されることになる。
【0028】
本発明の第1の実施の形態に係る発光装置1においては、発光素子2を第1の基板3に実装し、当該第1の基板3との間で第2の基板4が凹部8の存在によって封止空間9を形成している。このため、周知のCANパッケージと比較して、パッケージのサイズを小さくすることができる。さらに、第1の基板3に対して発光素子2を横向きの姿勢で実装しているため、パッケージの厚さ(高さ)を低く抑えることができる。このため、パッケージのさらなる小型化を図ることが可能となる。また、第2の基板4の前端面12を劈開面とし、当該劈開面を窓取り付け面として、光取り出し窓5を第2の基板4の前端面12に取り付けている。この場合は、窓取り付け面の面精度(特に、平坦性)が非常に高いものとなる。このため、例えば半田を接着剤に用いて光取り出し窓5の取り付けを行なう場合は、半田の表面張力による厚みのむらを抑えることができる。したがって、半田硬化後の隙間の発生を防止し、高い気密性を確保することができる。また、窓取り付け面の面精度が高くなることで、光取り出し窓5の取り付けにウエハ融着法を用いることができる。ウエハ融着法では、半田等の接着剤を用いることなく、高い気密性を確保することができる。
【0029】
続いて、本発明の第1の実施の形態に係る発光装置の製造方法について説明する。図2は本発明の第1の実施の形態に係る発光装置の製造手順を示す工程フロー図である。発光装置の製造は、大きくは、工程F1〜F9を経て行なわれる。工程F1は、素子実装工程である。工程F2は、第1の切り出し工程である。工程F3は、ワイヤボンディング工程である。工程F4は、基板加工工程である。工程F5は、基板張り合わせ工程である。工程F6は、劈開工程である。工程F7は、孔あけ工程である。工程F8は、窓取り付け工程である。工程F9は、第2の切り出し工程である。
【0030】
素子実装工程F1では、図3(A)に示すように、大径の矩形基板である第1の基板3に複数の発光素子2をマトリクス状の配置で実装(チップマウント)する。この場合、第1の基板3には、前述したビア6や電極部7、ボンディングパッド(不図示)が予め形成されているものとする。また、第1の基板3としては、AlN基板を用いるものとする。
【0031】
第1の切り出し工程F2では、図3(B)に示すように、上記素子実装工程F1で複数の発光素子2が実装された第1の基板3を短冊状(バー形状)に切り出す。これにより、例えば、上記素子実装工程F1において、第1の基板3にm行×n列(m,nはいずれも2以上の自然数)の配置で合計m×n個の発光素子2を実装し、その後、第1の切り出し工程F2において、行単位で第1の基板3を短冊状に切り出すものとすると、短冊状に切り出された単個の第1の基板3には、発光素子2がn個ずつ実装された状態となる。
【0032】
ワイヤボンディング工程F3では、図4(A)に示すように、短冊状に切り出された各々の第1の基板3を整列基板15に並べて整列させ、この整列状態で各々の発光素子2をワイヤボンディングによって第1の基板3に電気的に接続する。整列基板15上では、個々の第1の基板3を互いに平行な向きで並べるとともに、静電吸着法等によって第1の基板3を固定状態に保持する。この状態でワイヤボンディングを行なうことにより、図4(B)に示すように、第1の基板3に実装されている各々の発光素子2がワイヤ10を介して第1の基板3に電気的に接続された状態となる。ワイヤボンディングは、第1の基板3を短冊状に切り出す前の段階で行なってもよい。ただし、ワイヤ10が接続された状態で第1の基板3の切り出しを行なう場合は、切り出し時にワイヤ切れが発生する恐れがあるため、切り出し後にワイヤボンディングを行なった方が望ましい。
【0033】
基板加工工程F4では、図5(A)に示すように、劈開性を有する第2の基板4に複数の凹部8を形成する。第2の基板4としては、半導体ウエハとして用いられるシリコン基板を用いるものとする。この場合、第2の基板4には、前述した複数(m×n個)の発光素子2と1対1の対応関係で複数の凹部8を形成する。凹部8の形成は、例えば、次のような方法で行なうことが可能である。まず、フォトリソグラフィ法で第2の基板4の一面にマスクを形成し、このマスクを介して第2の基板4の一面をエッチング(ドライエッチング又はウェットエッチング)することにより行なう。この方法では、マスクで遮蔽されなかった部分にエッチングによって凹部8が形成される。エッチングによって形成される凹部8の深さ寸法は、少なくとも上記封止空間9内に発光素子2とワイヤ10を収容し得る条件のもとで、第2の基板4の板厚寸法よりも小とする。
【0034】
基板張り合わせ工程F5では、互いに対応する発光素子2と凹部8の位置を合わせた状態で、図5(B)に示すように、短冊状をなす複数個の第1の基板3を第2の基板4に張り合わせて接合する。この場合、第1の基板3に実装されている発光素子2は、当該発光素子2に対応して第2の基板4に形成されている凹部8に収容された状態となる。また、第1の基板3と第2の基板4は、例えばウエハ融着法や半田材料を用いて接合する。接合する前に、例えばアルゴンガスを用いたプラズマ洗浄を行なうことが好ましい。
【0035】
劈開工程F6では、第2の基板4として用いたシリコン基板の劈開性を利用して、第2の基板4を劈開する。具体的には、第1の基板3の長手方向に沿って第2の基板4にケガキ等で分割線を形成し、この分割線の位置で第2の基板4を劈開する。これにより、図6(A)に示すように、第1の基板3と第2の基板4の張り合わせ基板(3,4)を短冊状に分離する。
【0036】
その際、第2の基板4の劈開は、少なくとも光取り出し窓5が取り付けられる面(前端面12)を劈開面とするように行なう。第2の基板4において、光取り出し窓5が取り付けられる面と反対側の面は、必ずしも劈開面としなくてもよい。このため、光取り出し窓5が取り付けられる面と反対側はダイサーで切り出してもよい。ただし、光取り出し窓5が取り付けられる面と反対側の面を劈開面としておけば、第2の基板4の前端面12と後端面の平行度が非常に高くなる。このため、光取り出し窓5を取り付ける際に、第2の基板4の前端面12に光取り出し窓5を均一に押し付けることができるなど、都合がよい。また、第1の基板3と同様に第2の基板4についても、個片までに分離せずに短冊状の状態としておくことで、後工程でのハンドリングが容易になる。
【0037】
孔あけ工程F7では、図6(B)に示すように、劈開工程F6を経て短冊状に切り出された第2の基板4の前端面12に導光孔11を形成する。導光孔11の形成は、例えばDeep RIE(Reactive Ion Etching)法を用いて行なう。導光孔11は、Deep RIE法等による孔あけ加工によって凹部8に通じるように形成される。また、導光孔11は、短冊状をなす張り合わせ基板(3,4)の長手方向に、発光素子2と同じ間隔で形成される。このため、導光孔11は、発光素子2と1対1の対応関係で形成される。
【0038】
窓取り付け工程F8では、図6(C)に示すように、透明で平らな円形のガラス板16の一面に、第2の基板4の前端面12(導光孔11が開孔している面)を突き当てた状態で、両者(4,16)を接合する。ガラス板16の上には、複数の張り合わせ基板(3,4)を並べて配置する。さらに、窓取り付け工程F8では、図7(A)に示すように、張り合わせ基板(3,4)ごとにガラス板16をダイサーで切り離す。
【0039】
ここで、ガラス板16と第2の基板4を接合するにあたっては、第2の基板4の前端面12が劈開面となっているため、そこでの面精度(特に、平坦性)が非常に高いものとなる。このため、例えば、半田材料を用いてガラス板16の一面に第2の基板4を接合する場合は、表面張力の影響による半田材料の厚みのむらを抑えて、高い気密封止性能を確保することができる。また、面精度が非常に高くなることにより、高い気密封止性能が得られるウエハ融着法を用いてガラス板16に第2の基板4を接合することができる。
【0040】
また、ガラス板16と第2の基板4との接合に際しては、光取り出し窓5となるガラス板16に光学反射率を設計した、SiO2、MgF2、Al2N3等の光学膜を設けておくと透過率が高められる、戻り光が減ることによるノイズ発生の対策がはかれる。また、最表面をSiO2とした場合は、接合前のプラズマ洗浄を施すと接合力を高められるという利点がある。また、より好適な方法として、まず、第1の基板3と第2の基板4の張り合わせ基板を図示しない整列基板上に整列させる。次に、整列基板上に並べた各々の張り合わせ基板(3,4)とガラス板16との位置合わせを行なって、両者を接触、加重印加、加熱で仮接着を行なう。次に、さらなる加重、加熱により張り合わせ基板(3,4)とガラス板16の本接着を行なう。このとき、張り合わせ基板(3,4)の光軸方向の長さばらつきが大きいときには、個々の張り合わせ基板単位(バー単位)で加重をかけられるようにするとよい。特に、第2の基板4の後端面を劈開面とした場合は、第2の基板4の前端面12と後端面の平行度が確保されているため、バー単位で加重をかけるうえで好都合である。
【0041】
第2の切り出し工程F9では、図7(B)に示すように、短冊状の張り合わせ基板(3,4)をガラス板16とともにダイサーで個片に切り出す。このとき、ガラス板16は、光取り出し窓5として切り出される。これにより、上記図1に示す発光装置1が得られる。
【0042】
本発明の第1の実施の形態に係る発光装置の製造方法においては、複数の発光素子2を第1の基板3に実装した後、発光素子2を凹部8に収容するように第1の基板3と第2の基板4を張り合わせて接合することにより、小型のパッケージが形成される。また、第2の基板4を劈開した後、当該劈開面に光取り出し窓5を取り付けることにより、凹部8に収容された発光素子2が高い気密性をもって封止される。このため、小型のパッケージでありながら高い気密性をもって発光素子を封止してなる発光装置が得られる。
【0043】
また、第1の実施の形態に係る発光装置の製造方法においては、大径の第1の基板3に対してm×n個分の発光素子2の実装をまとめて行ない、その後、n個の発光素子2を含むように短冊状に切り出された第1の基板3を一つの単位としたバッチ処理により、基板張り合わせ工程F5〜窓取り付け工程F8を行なうことができる。このため、高い生産性をもって発光装置1を製造することが可能となる。
【0044】
<第2の実施の形態>
図8は本発明の第2の実施の形態に係る発光装置の構成を示す側断面図である。なお、本発明の第2の実施の形態においては、上記第1の実施の形態で挙げた構成要素と対応する部分に同じ符号を付して説明する。図示した発光装置1は、大きくは、発光素子2と、第1の基板3と、第2の基板4と、光取り出し窓5とを備えた構成となっており、この点は上記第1の実施の形態と同様である。ただし、第2の実施の形態においては、下記の点が第1の実施の形態と異なる。
【0045】
すなわち、上記第1の実施の形態においては、劈開性を有しないAlNの基板を用いて第1の基板3を構成している。これに対して、第2の実施の形態においては、劈開性を有するシリコン基板を用いて第1の基板3を構成している。これにより、第2の実施の形態においては、第1の基板3と第2の基板4の両方が、劈開性を有するシリコン基板を用いた構成となっている。
【0046】
また、上記第1の実施の形態においては、第2の基板4の前端面12を劈開面とし、当該劈開面を窓取り付け面として、第2の基板4の前端面12に光取り出し窓5を取り付けた構成となっている。これに対して、第2の実施の形態においては、第1の基板3の前端面13と第2の基板4の前端面12をそれぞれ劈開面とし、当該劈開面を窓取り付け面として、第1の基板3の前端面13と第2の基板4の前端面12に光取り出し窓5を取り付けた構成となっている。各基板3,4の前端面12,13の面方位(劈開面の面方位)は一致している。
【0047】
光取り出し窓5は、第2の基板4の前端面12に開孔している導光孔11を塞ぐ状態で取り付けられている。導光孔11は、上記第1の実施の形態と同様に第2の基板4に形成されるものでもよいし、第1の基板3と第2の基板4とを結合した状態で形成されるものでもよい。第1の基板3の前端面13と第2の基板4の前端面12は、面一な状態で配置されている。また、第1の基板3と第2の基板4は、平面的に見て、互いに同じ外形寸法を有している。
【0048】
上記構成からなる発光装置1においては、発光素子2から出射された光が第2の基板4の導光孔11を通して光取り出し窓5に入射した後、当該光取り出し窓5を透過して外部に取り出される。この場合、発光素子2は、第1の基板3の上面に横向きに実装されていることから、発光素子2の光線は、第1の基板3の上面(発光素子2が支持される面)と平行に出射されることになる。
【0049】
本発明の第2の実施の形態に係る発光装置1においては、上記第1の実施の形態と同様に、発光素子2を第1の基板3に実装し、当該第1の基板3との間で第2の基板4が凹部8の存在によって封止空間9を形成している。このため、周知のCANパッケージと比較して、パッケージのサイズを小さくすることができる。さらに、第1の基板3に対して発光素子2を横向きの姿勢で実装しているため、パッケージの厚さ(高さ)を低く抑えることができる。このため、パッケージのさらなる小型化を図ることが可能となる。また、第2の基板4の前端面12を劈開面とし、当該劈開面を窓取り付け面として、光取り出し窓5を第2の基板4の前端面12に取り付けている。この場合は、窓取り付け面の面精度(特に、平坦性)が非常に高いものとなる。このため、例えば半田を接着剤に用いて光取り出し窓5の取り付けを行なう場合は、半田の表面張力による厚みのむらを抑えることができる。したがって、半田硬化後の隙間の発生を防止し、高い気密性を確保することができる。また、窓取り付け面の面精度が高くなることで、光取り出し窓5の取り付けにウエハ融着法を用いることができる。ウエハ融着法では、半田等の接着剤を用いることなく、高い気密性を確保することができる。
【0050】
さらに、第2の実施の形態に係る発光装置1においては、第1の基板3と第2の基板4を同種の材料(本形態例ではシリコン)で構成しているため、熱膨張係数差によって生じる応力を低減することができる。また、基板材料を同種とすれば、格子不整合からくる接合界面での応力が低減でき、劈開において良好な劈開面を得られやすく好適である。また、第1の基板3の前端面13と第2の基板4の前端面12の両方に光取り出し窓5を取り付けているため、上記第1の実施の形態と比較して、光取り出し窓5の接合面を広く確保することができる。このため、光取り出し窓5の取り付けによる封止が容易になる。また、図示はしないが、上記第2の基板4と同様に第1の基板3にも凹部を形成すると、導光孔の径が大きく取れる。このため、第1の基板、第2の基板による光のけられが発生しない領域が大きく取れるため、光軸方向の発光素子2の配置を決める際の自由度が高まる。
【0051】
続いて、本発明の第2の実施の形態に係る発光装置の製造方法について説明する。図9は本発明の第2の実施の形態に係る発光装置の製造手順を示す工程フロー図である。発光装置の製造は、大きくは、工程F21〜F27を経て行なわれる。工程F21は、素子実装工程である。工程F22は、ワイヤボンディング工程である。工程F23は、基板加工工程である。工程F24は、基板張り合わせ工程である。工程F25は、劈開工程である。工程F26は、窓取り付け工程である。工程F27は、切り出し工程である。
【0052】
素子実装工程F21では、図10(A)に示すように、劈開性を有する円形の第1の基板3に複数の発光素子2をマトリクス状の配置で実装(チップマウント)する。この場合、第1の基板3には、ビア6や電極部7、ボンディングパッド(不図示)が予め形成されているものとする。また、第1の基板3としては、半導体ウエハとして用いられるシリコン基板(シリコンウエハ)を用いるものとする。また、第1の基板3に対して、m×n個の発光素子2を実装するものとする。
【0053】
ワイヤボンディング工程F22では、第1の基板3に実装された各々の発光素子2をワイヤボンディングによって第1の基板3に電気的に接続する。これにより、図10(B)に示すように、第1の基板3に実装された各々の発光素子2がワイヤ10を介して第1の基板3に電気的に接続された状態となる。
【0054】
基板加工工程F23では、図11(A)に示すように、劈開性を有する円形の第2の基板4に複数の凹部8を形成する。第2の基板4としては、半導体ウエハとして用いられるシリコン基板(シリコンウエハ)を用いるものとする。凹部8の形成は、例えば、上記第1の実施の形態と同様の方法で行なうことが可能である。まず、フォトリソグラフィ法で第2の基板4の一面にマスクを形成し、このマスクを介して第2の基板4の一面をエッチング(ドライエッチング又はウェットエッチング)することにより行なう。この方法では、マスクで遮蔽されなかった部分にエッチングによって凹部8が形成される。エッチングによって形成される凹部8の深さ寸法は、少なくとも上記封止空間9内に発光素子2とワイヤ10を収容し得る条件のもとで、第2の基板4の板厚寸法よりも小とする。
【0055】
基板張り合わせ工程F24では、図11(B)に示すように、上記素子実装工程F21で複数の発光素子2が実装された第1の基板3と、上記基板加工工程F23で複数の凹部8が形成された第2の基板4とを、互いに対応する発光素子2と凹部8の位置を合わせた状態で張り合わせて接合する。この場合、第1の基板3に実装されている発光素子2は、当該発光素子2に対応して第2の基板4に形成されている凹部8に収容された状態となる。また、第1の基板3と第2の基板4は、例えば上記第1の実施の形態と同様にウエハ融着法や半田材料を用いて接合する。ここでは、ウエハ同士のバッチ処理が可能であり、作業効率が上がる。また、各々の基板3,4の劈開面の面方位を合わせておくことで、光取り付け窓の取り付け面が基板3、4で一致するために好適である。また、半導体ウエハを用いた各々の基板3,4の外周部に設けられるオリエンテーションフラット精度以上の位置合わせを行なうためには、予め各々の基板3,4に劈開を行なって、劈開面を出しておくことで達成可能である。
【0056】
劈開工程F25では、第1の基板3として用いたシリコン基板の劈開性と第2の基板4として用いたシリコン基板の劈開性を利用して、第1の基板3と第2の基板4を劈開する。具体的には、第1の基板3と第2の基板4にそれぞれケガキ等で分割線を形成し、この分割線の位置で第1の基板3と第2の基板4を劈開する。このとき、各々の基板3,4は同一線上で真っ直ぐに劈開される。これにより、図12(A)に示すように、第1の基板3と第2の基板4の張り合わせ基板(3,4)を短冊状に分離する。
【0057】
このとき、第2の基板4とともに短冊状に切り出された単個の第1の基板3には、発光素子2がn個ずつ実装された状態となる。また、上記素子実装工程F21で第1の基板3上に複数の発光素子2を実装する際に、光の出射方向が互いに対向するように2つの発光素子2を向かい合わせに配置しておけば、一つの劈開面を2つの発光素子2に共有させることが可能となり、好適である。また、第1の基板3及び第2の基板4の劈開は、少なくとも光取り出し窓5が取り付けられる面(前端面12,13)を劈開面とするように行なう。第1の基板3及び第2の基板4において、光取り出し窓5が取り付けられる面と反対側の面は、必ずしも劈開面としなくてもよい。このため、光取り出し窓5が取り付けられる面と反対側はダイサーで切り出してもよい。ただし、光取り出し窓5が取り付けられる面と反対側の面を劈開面としておけば、第1の基板3の前端面13と後端面の平行度や第2の基板4の前端面12と後端面の平行度が非常に高くなる。このため、光取り出し窓5を取り付ける際に、第1の基板3の前端面13と第2の基板4の前端面12に光取り出し窓5を均一に押し付けることができるなど、都合がよい。
【0058】
なお、劈開によって短冊状に分離された各々の張り合わせ基板(3,4)のうち、第2の基板4の前端面12に設けられた複数の導光孔11は、上記基板加工工程F23で複数の凹部8と同時に、当該凹部8の一部として形成されたものである。導光孔11は、劈開工程F25の後に、例えばDeep RIE法等による孔あけ加工によって凹部8に通じるように形成してもよい。この場合は、張り合わせ基板(3,4)の劈開が容易になるという利点が得られる。
【0059】
窓取り付け工程F26では、図12(B)に示すように、透明で平らな円形のガラス板16の一面に、第1の基板3の前端面13と第2の基板4の前端面12を共に突き当てた状態で、短冊状の張り合わせ基板(3,4)をガラス板16に接合する。ガラス板16には上記第1の実施の形態と同様に、予め光学膜を設けておくとよい。ガラス板16の上には、複数の張り合わせ基板(3,4)を並べて配置する。さらに、窓取り付け工程F8では、図13(A)に示すように、張り合わせ基板(3,4)ごとにガラス板16をダイサーで切り離す。
【0060】
ここで、ガラス板16と張り合わせ基板(3,4)を接合するにあたっては、第1の基板3の前端面13と第2の基板4の前端面12がいずれも劈開面となっているため、そこでの面精度(特に、平坦性)が非常に高いものとなる。このため、例えば、半田材料を用いてガラス板16の一面に張り合わせ基板(3,4)を接合する場合は、表面張力の影響による半田材料の厚みムラを抑えて、高い気密封止性能を確保することができる。また、面精度が非常に高くなることにより、高い気密封止性能が得られるウエハ融着法を用いてガラス板16に張り合わせ基板(3,4)を接合することができる。
【0061】
切り出し工程F27では、図13(B)に示すように、短冊状の張り合わせ基板(3,4)をガラス板16とともにダイサーで個片に切り出す。このとき、ガラス板16は、光取り出し窓5として切り出される。これにより、上記図8に示す発光装置1が得られる。
【0062】
本発明の第2の実施の形態に係る発光装置の製造方法においては、上記第1の実施の形態と同様に、複数の発光素子2を第1の基板3に実装した後、発光素子2を凹部8に収容するように第1の基板3と第2の基板4を張り合わせて接合することにより、小型のパッケージが形成される。また、第1の基板3と第2の基板4をそれぞれ劈開した後、当該劈開面に光取り出し窓5を取り付けることにより、凹部8に収容された発光素子2が高い気密性をもって封止される。このため、小型のパッケージでありながら高い気密性をもって発光素子を封止してなる発光装置が得られる。
【0063】
また、第2の実施の形態に係る発光装置の製造方法においては、大径の第1の基板3に対してm×n個分の発光素子2の実装をまとめて行なうとともに、基板張り合わせ工程F24をウエハ単位で行ない、その後、n個の発光素子2を含むように短冊状に切り出された張り合わせ基板(3,4)を一つの単位としたバッチ処理により、劈開工程F25〜窓取り付け工程F26を行なうことができる。このため、高い生産性をもって発光装置1を製造することが可能となる。さらに、各々の発光素子2に対するワイヤボンディングや基板3,4の張り合わせをウエハ状態で行なうため、さらなる生産性の向上が期待できる。
【0064】
なお、光取り出し窓5としては、単に発光素子2からの光を透過する平板状のガラス板に限らず、例えば図14に示すように、発光素子2から出射される光の光軸に対して45度の傾きをもつ反射面5Aを有するプリズムで光取り出し窓5を構成してもよい。かかる構成においては、発光素子2からの光が光取り出し窓5の反射面5Aで直角に反射される。このため、発光素子2を横向きに実装した形態でありながら、発光素子2の光を上方(垂直方向)に取り出すことができる。したがって、擬似的な面発光機能を実現することが可能となる。反射面5Aを有するプリズムで光取り出し窓5を構成する点は、上記第1の実施の形態にも同様に適用可能である。
【0065】
また、上記第1の実施の形態においては、基板材料として、第1の基板3にAlNを、第2の基板4にSiを用いるものとし、第2の実施の形態においては、第1の基板3と第2の基板4の両方にSiを用いるものとしたが、基板材料は種々の変更が可能である。特に、窓取り付け面を有する基板に関しては、上記のSi、AlNの他にも、例えばGaAs(ガリウム・ヒ素)、GaP(ガリウム・リン)、InP(インジウム・リン)、GaN(窒化ガリウム)のいずれかの材料を用いることにより、発光装置1を安価に構成することができる。
【0066】
上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態においては、第1の基板3上に発光素子2を直に実装しているが、本発明はこれに限らず、例えば発光素子2を図示しないサブマウントを介して第1の基板3に実装してもよい。
【0067】
また、上記第1の実施の形態においては、第2の基板4だけを劈開性を有する基板とし、上記第2の実施の形態においては、第1の基板3と第2の基板4の両方をそれぞれ劈開性を有する基板としたが、本発明はこれに限らず、第1の基板3だけを劈開性を有する基板とすることも可能である。具体的には、第1の基板3に基板加工によって素子収容のための凹部を形成するとともに、当該凹部に通じる導光孔を形成し、この導光孔が開孔する面を劈開面(窓取り付け面)として光取り出し窓を取り付けた構成とすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る発光装置の構成を示す側断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る発光装置の製造手順を示す工程フロー図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る発光装置の製造工程を説明する図(その1)である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る発光装置の製造工程を説明する図(その2)である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る発光装置の製造工程を説明する図(その3)である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る発光装置の製造工程を説明する図(その4)である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る発光装置の製造工程を説明する図(その5)である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る発光装置の構成を示す側断面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る発光装置の製造手順を示す工程フロー図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る発光装置の製造工程を説明する図(その1)である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る発光装置の製造工程を説明する図(その2)である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る発光装置の製造工程を説明する図(その3)である。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係る発光装置の製造工程を説明する図(その4)である。
【図14】本発明の実施の形態に係る発光装置の他の構成を示す側断面図である。
【図15】従来の発光装置の構成を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0069】
1…発光装置、2…発光素子、3…第1の基板、4…第2の基板、5…光取り出し窓、8…凹部、9…封止空間、11…導光孔、12,13…前端面(劈開面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する発光素子と、
前記発光素子を実装した第1の基板と、
前記第1の基板との間に前記発光素子の封止空間を形成する第2の基板と、
前記発光素子から出射された光を取り出すための光取り出し窓とを備え、
前記第1の基板及び前記第2の基板のうち、少なくとも一方の基板は、劈開性を有し、かつ前記光取り出し窓が取り付けられる窓取り付け面を劈開面としてなる
発光装置。
【請求項2】
前記第1の基板に前記発光素子を横向きの姿勢で実装してなる
請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記窓取り付け面を有する基板は、Si、GaAs、GaP、InP、AlN、GaNのいずれかの材料からなる
請求項1又は2記載の発光装置。
【請求項4】
前記光取り出し窓は、前記発光素子から出射された光を直角に反射する反射面を有する
請求項1又は2記載の発光装置。
【請求項5】
第1の基板に複数の発光素子を実装する工程と、
前記第1の基板に実装される前記複数の発光素子の実装位置に対応して第2の基板に複数の凹部を形成する工程と、
前記発光素子を前記凹部に収容するように前記第1の基板と前記第2の基板を張り合わせて接合する工程と、
前記第1の基板及び前記第2の基板のうち、少なくとも一方の基板を劈開する工程と、
前記少なくとも一方の基板の劈開面に、当該劈開面に開孔している導光孔を塞ぐ状態で光取り出し窓を取り付ける工程と
を有する発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記複数の発光素子が実装された前記第1の基板を短冊状に切り出す工程を含み、
前記短冊状に切り出された前記第1の基板の長手方向に沿って前記第2の基板を劈開する
請求項5記載の発光装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1の基板を短冊状に切り出した後に、前記第1の基板と前記発光素子とをワイヤボンディングによって電気的に接続する工程を有する
請求項6記載の発光装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1の基板と前記第2の基板を張り合わせて接合した後、前記第1の基板及び前記第2の基板の張り合わせ基板を短冊状に劈開し、その後、当該劈開面に開孔している導光孔を塞ぐ状態で、前記張り合わせ基板の劈開面に光取り出し窓を取り付ける
請求項5記載の発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1の基板に前記複数の発光素子を実装した後で、かつ前記第1の基板と前記第2の基板を張り合わせる前に、前記第1の基板と前記発光素子とをワイヤボンディングによって電気的に接続する
請求項8記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記導光孔は、前記第2の基板に前記凹部を形成する際に、当該凹部の一部として形成される
請求項5〜9のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−289775(P2009−289775A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−137472(P2008−137472)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】