説明

発振部材の固定構造

【課題】 回路基板へ発振部材を固定するための接着部材の充填量管理や充填作業を容易とする発振部材の固定構造を提供する。
【解決手段】 回路基板2に実装される発振部材1の固定構造に関し、二つの端子11を設けた発振部材1と、この発振部材1の端子11とそれぞれ半田接続するランド部21と、発振部材1に重なる位置において貫通する穴部22とを設けてなる回路基板2と、発振部材1と回路基板2とに接し穴部22に充填される接着部材3とを備えてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板に実装される発振部材の固定構造に関するものであり、例えば、車両用計器に好適である。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用計器として指針や液晶表示パネルによる表示などの視覚性表示に加えて、発振部材、例えばブザー等を用いて音により車両の状態を運転者に報知することが行われており、例えば、特許文献1に記載されている。また、この場合、発振部材は、電気接続の利便性や運転者との距離等を考慮して車両用計器内の回路基板に固定されている。
【0003】
また、これらの発振部材は、特に、振動や熱衝撃を受ける場所に配置される場合に、この振動の影響を受けて共振する電子部品の振動を抑制したり、熱応力による電子部品の接続部の断絶を回避するため、接着部材を用いて電子部品を回路基板に固定したものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−3630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような回路基板への実装構造は、接着部材の充填量の管理が難しく、また、接着部材の充填においても作業性が悪いといった問題点を有していた。
【0006】
そこで本発明の目的とするところは、接着部材の充填量管理や充填作業を容易とする発振部材の固定構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、二つの端子を設けた発振部材と、この発振部材の前記端子とそれぞれ半田接続するランド部と、前記発振部材に重なる位置において貫通する穴部とを設けてなる回路基板と、前記発振部材と前記回路基板とに接し前記穴部に充填される接着部材とを備えてなることを特徴とする発振部材の固定構造である。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、回路基板に実装される発振部材の固定構造に関し、接着部材の充填量管理や充填作業を容易とする発振部材の固定構造となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態を一部断面にて示す図。
【図2】同上実施の形態における発振部材の固定構造を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明が適用された実施の形態について添付図面を用いて説明する。
【0011】
図1および図2は、本発明の発振部材の固定構造を車両用計器に適用した実施例であり、発振部材1と、回路基板2と、接着部材3と、制御手段4とを備えている。
【0012】
発振部材1は、制御手段4からの制御信号に基づいて警報音などを発するもので、例えば、圧電ブザーを適用できる。また、発振部材1は、合成樹脂製のパッケージや二つの端子11を設けてなり、各端子11が回路基板2に半田接続されて電気的な接続を行う。この場合、発振部材1は、回路基板2との対向面において、二つの端子11を結ぶ直線A上以外の箇所に回路基板2方向に突出する凸部12を2個形成している。
【0013】
回路基板2は、制御手段4や発振部材1などの電子部品と電気的に接続して実装するものであり、電気的に絶縁性のある樹脂を含浸した基板(例えば、紙フェノール基板やガラスエポキシ基板)上に、所定の配線パターンからなる銅箔など導電体を構成するものを適用できる。回路基板2は、発振部材1の端子11とそれぞれ半田接続するランド部21と、発振部材1を実装した際に発振部材1に重なる位置において回路基板2を貫通する穴部22とを設けている。この場合、回路基板2の穴部22は、発振部材1の凸部12に対応する部分に設けられ、接着部材3の充填する前において、穴部22を介して凸部12が臨めるように設けられる。
【0014】
接着部材3は、液状もしくはゲル状の接着剤を適用でき、回路基板2の穴部22から充填された後、硬化することによって回路基板2と発振部材1とを接着固定することができる。この場合、接着部材3は、車両用計器としての使用環境状態において、弾性を有した状態で回路基板2と発振部材1とを接着固定する。また、接着部材3は、穴部22を介して所定位置から所定量充填することで、適正な充填量を容易に管理することができる。
【0015】
また、接着部材3を充填した後であっても、穴部22を介して容易に充填でき、かつ穴部22を介して接着部材3の有無を判別することができるだけでなく、穴部22の充填状態からある程度の充填量を推測することが可能となる。なお、接着部材3は、判別性を高めるために、発振部材1のパッケージと異なる色のものが好適である。
【0016】
制御手段4は、マイクロコンピュータを適用でき、車両に搭載される各種センサからの車両情報を入力し、発振部材1や図示しない表示パネルなどの報知手段に制御信号を発することによって、車両利用者に計測値や警報などを表現するための演算処理を行う。制御手段4は、発振部材1を制御できるように回路基板2の配線パターンと接続される。
【0017】
上述した構成によって、接着部材3は、発振部材1を回路基板2に接着固定することで、車両が振動した場合や、発振部材1から大きな振動が生じた場合であっても、発振部材1の倒れ込むスペースに介在することで、半田接続された端子11への応力集中を緩和することができる。また、接着部材3は、発振部材1が発して回路基板2へ伝播する振動を、弾性によって吸収できる。また、発振部材1を回路基板2面に半田接続する前に接着固定することによって、発振部材1の仮止めとして用いることも可能となる。
【0018】
また、接着部材3を発振部材1の凸部12に接着固定することによって、発振部材1と接着部材3とが接する面積を広くとることができ、大量の充填を行うことなく強固な接着固定を行うことができる。また、回路基板2の穴部22に接着固定することによって、回路基板1と接着部材3とが接する面積を広くとることができ、同様の効果を得ることができる。
【0019】
斯かる発振部材の固定構造は、二つの端子11を設けた発振部材1と、この発振部材1の端子11とそれぞれ半田接続するランド部21と、発振部材1に重なる位置において貫通する穴部22とを設けてなる回路基板2と、発振部材1と回路基板2とに接し穴部22に充填される接着部材3とを備えてなる。
【0020】
従って、接着部材の充填量管理や充填作業を容易とする発振部材の固定構造となる。
【0021】
なお、本発明の発振部材の固定構造を上述した実施の形態の構成にて例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の構成においても、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良、並びに設計の変更が可能なことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明に係る発振部材の固定構造は、例えば、自動車やオートバイなどの移動体に搭載される車両情報を聴覚にて報知する発振部材の固定構造に適用できる。
【符号の説明】
【0023】
1 発振部材
11 端子
2 回路基板
21 ランド部
22 穴部
3 接着部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの端子を設けた発振部材と、
この発振部材の前記端子とそれぞれ半田接続するランド部と、前記発振部材に重なる位置において貫通する穴部とを設けてなる回路基板と、
前記発振部材と前記回路基板とに接し前記穴部に充填される接着部材とを備えてなることを特徴とする発振部材の固定構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−219082(P2010−219082A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60407(P2009−60407)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】