説明

発電プラントおよび発電プラント運転方法

【課題】 より正確なパワーロードアンバランスの検出を行えるようにすること。
【解決手段】 ガスタービンの出力を算出するガスタービン出力演算手段42と、蒸気タービンの出力を算出する蒸気タービン出力演算手段40−1と、ガスタービン出力および蒸気タービン出力を加算してタービン出力を算出するタービン出力演算手段44と、発電機の発生する発電機出力を求める発電機出力演算手段34と、タービン出力と発電機出力との偏差を検出する出力偏差検出手段46と、検出した偏差が予め設定されている規定値を超えるとパワーロードアンバランスを検出するパワーロードアンバランス検出手段47〜50と、パワーロードアンバランス検出手段47〜50の出力したパワーロードアンバランス信号により蒸気タービンの加減弁に対し急速閉止指令を出力する制御手段52〜54とを備え、蒸気タービン出力演算手段40−1は、再熱器よりも下流の任意の1箇所で計測される蒸気圧力の累乗値に基づいて蒸気タービン出力を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、パワーロードアンバランス検出機能を備えた発電プラントおよび発電プラント運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図8は、従来のパワーロードアンバランス検出回路を備えた複合サイクル発電プラントの構成の一例を示す図である。
図8の複合サイクル発電プラントは一軸型であり、ガスタービン(GT)1と、ガスタービン空気圧縮機(COMP)2と、蒸気タービン3と、発電機4とを同一軸上に直結しており、これにガスタービン1の排ガスを回収して蒸気を発生させる排熱回収ボイラ(HRSG)5を設置して構成されている。
【0003】
なお、前記ガスタービン空気圧縮機(COMP)2は、吸気フィルタ6で浄化された空気を吸引して高圧高温の圧縮空気を得て燃焼器7に送り、この燃焼器7で、圧縮空気によって燃料を燃焼させ、燃焼ガスを前記ガスタービン1に導入するようになっている。
また、蒸気タービン3は高圧タービン(HP)3a、中圧タービン(IP)3bおよび低圧タービン(LP)3cから構成されている。
【0004】
前記排熱回収ボイラ5は、例えば横長筒状のケーシング内に、排ガスの上流側から下流側に向かって、高圧第二過熱器8、再熱器9、高圧第一過熱器10、中圧過熱器11および低圧過熱器12を配置し、さらに、ケーシング外に高圧蒸気ドラム(HP)13、中圧蒸気ドラム(IP)14、低圧蒸気ドラム(LP)15を備えており、高圧蒸気ドラム13で発生した蒸気は高圧第一過熱器10および高圧第二過熱器8によって順次過熱されたのち、高圧主蒸気管16に設置されている高圧主蒸気止め弁(図示せず)や高圧主蒸気加減弁17を通って前記高圧タービン3aに導入され、当該高圧タービン3aを駆動する。
【0005】
高圧タービン3aで仕事を行った蒸気は、低圧再熱蒸気管18によって排気され、中圧蒸気ドラム14で発生して中圧過熱器11で過熱された後の中圧蒸気と合流し、前記再熱器9に導かれて加熱され、高温再熱蒸気管19に設置されている再熱蒸気加減弁20を通って前記中圧タービン3bに導入され、当該中圧タービン3bを駆動する。
【0006】
なお、中圧タービン3bには、低圧蒸気ドラム15で発生したのち低圧過熱器12で過熱された低圧蒸気が低圧主蒸気管21の低圧主蒸気加減弁22を経て途中段または排気側に導入され、中圧タービン3b内で仕事を終えた蒸気と合流したのち、クロスオーバー管によって低圧タービン3cに導入され、当該低圧タービン3cを駆動する。
23は復水器であり、低圧タービン3cで仕事を終えた蒸気を復水にする。24は、復水ポンプであり、復水を前記排熱回収ボイラ5の低圧蒸気ドラム15に給水する。
【0007】
図8中、29は前記低圧再熱蒸気管18上に設けた蒸気圧力検出器(圧力センサ)である。33は前記発電機4の出力回路に設置した発電機電流を検出するための変流器(CT)である。60は前記ガスタービン1の排ガス温度Tを計測する排ガス温度検出器(温度センサ)であり、61は前記ガスタービン燃焼器7に供給される燃料の流量Gを計測する燃料流量検出器(流量センサ)である。
【0008】
上記のように構成された従来の複合サイクル発電プラントにおいて、発電機4から電力を供給している電力系統に事故が発生した場合、図示しない電力系統の保護継電システムは、機器保護のために遮断器を遮断して発電機4を電力系統から開放する。すると、この瞬間からガスタービン1および蒸気タービン3から成る一軸型タービンは、過出力状態となって過速するが、遮断器開放(負荷遮断発生)の検出により、蒸気タービンの回転数を制御する高圧主蒸気加減弁17、再熱蒸気加減弁20および低圧主蒸気加減弁22を急速に閉止し、蒸気タービン3の過速を抑制する。
【0009】
一方、送電系統の事故が、より遠方で発生した場合には、遠方であるが故に複合サイクル発電プラントを有する発電所で、事故発生系統の遮断器開放(遠方負荷遮断)を検出することが困難である。この問題を解消するためにタービン出力(パワー)45と発電機出力(ロード)35との偏差に基づいてパワーロードアンバランスを検出するパワーロードアンバランス検出回路25が設けられている。
【0010】
以下、図9を参照して、従来技術のパワーロードアンバランス検出回路25について具体的に説明する。
【0011】
タービン出力(パワー)45は、次のようにして求められる。まず、蒸気タービン出力を算出するために圧力代表計測点として高圧タービン3aの排気蒸気が流れる低温再熱蒸気管18に設置した蒸気圧力検出器29の高圧タービン排気蒸気圧力信号30を蒸気タービン出力演算部40に導入し演算によって蒸気タービン出力41を求める。次に、排ガス温度検出器60からガスタービン1の排ガスの測定温度Tを、または燃料流量検出器61からガスタービン燃焼器7に供給される燃料の流量信号Gをガスタービン出力演算部42に導入し演算によってガスタービン出力43を求める。そして、これらを加算器44で加算することによってタービン出力(パワー)45が求められる。
【0012】
一方、発電機出力(ロード)35は、発電機4の端子に設けた変流器33で計測した電流33aを発電機出力演算部34に導入し演算によって求められる。
【0013】
そして、減算器46にてタービン出力(パワー)45から発電機出力(ロード)35を減算し、その偏差δを規定値以下検出コンパレータ47に入力する。規定値以下検出コンパレータ47は、入力された偏差δが予め定めてある規定値(例えば、40%)を超えると論理値「1」なる出力信号をアンド回路49の一方の入力端子に出力する。
【0014】
一方、発電機出力変化率演算部36は、前記発電機出力35を入力して発電機出力変化率37を求め、これを規定値以下検出コンパレータ38に入力する。この規定値以下検出コンパレータ38は、発電機出力変化率37が予め定めてある規定値(例えば、−40%/20msec)以下の場合(即ち、発電機出力変化率37の絶対値が規定値の絶対値以上である場合)、論理値「1」なる出力信号39を前記アンド回路49の他方の入力端子に出力する。
【0015】
アンド回路49は、タービン出力45と発電機出力35との偏差δが40%を超えたという条件と、発電機出力変化率37が−40%/20msec以下であるという条件とを同時に満たしたとき、パワーロードアンバランス発生を検出し、論理値「1」なる出力信号を、SRフリップフロップ回路で構成されたホールド回路50のセット端子Sに入力する。ホールド回路50は、アンド回路49の出力信号を一旦セット端子Sに入力すると、タービン出力45と発電機出力35との偏差δが規定値以下検出コンパレータ47の検出レベル未満まで減少したことによりノット回路48からリセット端子Rに規定値以下検出コンパレータ47の反転信号が入力される迄の間、継続して出力信号51を出力する。この出力信号は高圧主蒸気加減弁制御装置52、再熱蒸気加減弁制御装置53および低圧主蒸気加減弁制御装置54に入力され、高圧主蒸気加減弁操作指令26、再熱蒸気加減弁操作指令27および低圧主蒸気加減弁操作指令28を出力する。
【0016】
なお、図9で示した従来の複合サイクル発電プラントのパワーロードアンバランス検出回路25は、例えば、特許文献1に記載の負荷遮断時制御装置と同等の機能を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2002−227610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
前述したように従来の複合サイクル発電プラントにおいては、蒸気タービン出力41を算出するための圧力代表計測点として、高圧タービン3aの排気側の低温再熱蒸気管18に設置した蒸気圧力検出器29で計測される高圧タービン排気蒸気圧力信号30を用いている。
【0019】
しかしながら、実際には高圧タービン3aで仕事をした蒸気は、中圧ドラム14から発生した蒸気との合流後に再熱器9で過熱されて中圧タービン3bに導入されてここで仕事をし、さらに低圧ドラム15から発生した蒸気と中圧タービン3bの途中段または排気側で合流した後に低圧タービン3cで仕事をする。
【0020】
このように、高圧タービン3aの排気側の蒸気圧力検出器29で計測された高圧タービン排気蒸気圧力信号30から算出される蒸気タービン出力41は、中圧ドラム14および低圧ドラム15から発生する蒸気により生成される出力分を計上していないため、実出力を反映していない。このため、パワーロードアンバランス検出回路25は、正確なパワーロードアンバランス検出を行っているとはいえない。
【0021】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、より正確なパワーロードアンバランスの検出を行えるようにした発電プラントおよび発電プラント運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
ある実施形態によれば、高圧タービン、中圧タービンおよび低圧タービンにより構成される蒸気タービンと、前記蒸気タービンと同軸に配置されたガスタービンと、前記蒸気タービンおよび前記ガスタービンと同軸に配置された発電機と、前記ガスタービンの排ガスを回収して蒸気を発生させ、高圧ドラム、中圧ドラム、低圧ドラムおよび再熱器を有する排熱回収ボイラと、を備え、前記高圧ドラムで発生した蒸気を高圧主蒸気加減弁を経て前記高圧タービンに導入してこれを駆動し、当該高圧タービンの排気蒸気を前記中圧ドラムで発生した蒸気と合流後に前記再熱器に供給して加熱し、当該再熱器で再熱された蒸気を再熱蒸気加減弁を経て前記中圧タービンに導いて当該中圧タービンを駆動し、前記低圧ドラムで発生し低圧主蒸気加減弁を通過した蒸気を前記中圧タービンに導かれて仕事をした蒸気とともに前記低圧タービンに導いて当該低圧タービンを駆動するように構成し、前記ガスタービンの出力を算出するガスタービン出力演算手段と、前記蒸気タービンの出力を算出する蒸気タービン出力演算手段と、ガスタービン出力および蒸気タービン出力を加算してタービン出力を算出するタービン出力演算手段と、前記発電機の発生する発電機出力を求める発電機出力演算手段と、前記タービン出力と前記発電機出力との偏差を検出する出力偏差検出手段と、前記出力偏差検出手段にて検出した前記偏差が予め設定されている規定値を超えるとパワーロードアンバランスを検出するパワーロードアンバランス検出手段と、前記パワーロードアンバランス検出手段の出力したパワーロードアンバランス信号により前記蒸気タービンの加減弁に対し急速閉止指令を出力する制御手段と、をさらに備えた複合サイクル発電プラントにおいて、前記蒸気タービン出力演算手段は、前記再熱器よりも下流の任意の1箇所で計測される蒸気圧力の累乗値に基づいて蒸気タービン出力を算出することを特徴とする複合サイクル発電プラントが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態1に係るパワーロードアンバランス検出回路を備えた複合サイクル発電プラントの構成の一例を示す図。
【図2】同実施形態1のパワーロードアンバランス検出回路の構成の一例を示す図。
【図3】高温再熱蒸気温度の変化時における蒸気タービン出力と再熱蒸気加減弁下流の蒸気圧力の変化率を示すグラフ。
【図4】高温再熱蒸気温度の変化時における蒸気タービン出力と再熱蒸気加減弁下流の蒸気圧力の累乗値の変化率を示すグラフ。
【図5】本発明の実施形態2に係るパワーロードアンバランス検出回路を備えた複合サイクル発電プラントの構成の一例を示す図。
【図6】本発明の実施形態3に係るパワーロードアンバランス検出回路を備えた複合サイクル発電プラントの構成の一例を示す図。
【図7】同実施形態3のパワーロードアンバランス検出回路の構成の一例を示す図。
【図8】従来のパワーロードアンバランス検出回路を備えた複合サイクル発電プラントの構成の一例を示す図。
【図9】従来のパワーロードアンバランス検出回路の構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0025】
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1に係るパワーロードアンバランス検出回路を備えた複合サイクル発電プラントの構成の一例を示す図であり、図2は、同実施形態1のパワーロードアンバランス検出回路の構成の一例を示す図である。
図1中、前述の図8および図9で説明した要素と同一の要素には同一符号を付して説明する。
【0026】
図1において、本実施形態1の複合サイクル発電プラントは、図8に示したシステム構成と同様に、ガスタービン1、圧縮機2、蒸気タービン3および発電機4の回転軸が一軸に結合されて一軸型コンバインドプラントを構成している。そして、ガスタービン1の排ガスは、排熱回収ボイラ5に導入されて順次、高圧第二過熱器8、再熱器9、高圧第一過熱器10、中圧過熱器11、低圧過熱器12および図示しない各圧力の蒸発器等を流通する給水や蒸気と熱交換した後、煙突を経て大気中に放散されるようになっている。
【0027】
高圧ドラム13で発生した蒸気は、高圧第一過熱器10および高圧第二過熱器8で過熱された後、高圧主蒸気管16上の図示しない高圧主蒸気止め弁、高圧主蒸気加減弁17を経て高圧タービン3aに導入されてここで仕事を行う。仕事を行った高圧蒸気は低温再熱蒸気管18から排気され、中圧過熱器11からの蒸気と合流して再熱器9に導入される。この再熱器9で再熱された高温再熱蒸気は、高温再熱蒸気管19を通り、再熱蒸気加減弁20を介して中圧タービン3bに導入される。この中圧タービン3bで仕事を行った蒸気は、低圧ドラム15から低圧過熱器12、低圧主蒸気管21および低圧主蒸気加減弁22を介して導入される低圧蒸気と中圧タービンの途中段または排気側で合流した後に低圧タービン3cに導入されてここで仕事を行う。
【0028】
このようにして、ガスタービン1と、高圧タービン3a、中圧タービン3bおよび低圧タービン3cからなる蒸気タービン3との駆動力によって発電機4が回転駆動され、電力を発生する。
【0029】
本実施形態1が従来技術と異なる点は、蒸気タービン出力41を算出するための蒸気圧力の代表計測点を、図8のように高圧タービン3aの排気側低温再熱蒸気管18上に設けるのではなく、再熱器9よりも下流の任意の1箇所に設けた(図1の例では、再熱蒸気加減弁20よりも下流にある高温再熱蒸気管19上の任意の1箇所に、蒸気圧力を計測する蒸気圧力検出器29を設けた)こと、さらには計測された蒸気圧力の信号を入力処理するパワーロードアンバランス検出回路25−1の回路構成を一部変えた(図2の例では、計測された蒸気圧力の値の累乗演算を行う累乗演算部55を更に設けた)ことなどにある。
【0030】
以下、パワーロードアンバランス検出回路25−1の詳細について、図2を参照して説明する。
【0031】
図2のパワーロードアンバランス検出回路25−1において、変流器33で計測した電流33aは、パワーロードアンバランス検出回路25−1の発電機出力演算部34に導入され、所定の演算式により発電機出力(ロード)35が求められる。求められた発電機出力(ロード)35は、後述する減算器46に入力されるとともに、発電機出力変化率演算部36に導入されて発電機出力変化率37が求められる。求められた発電機出力変化率37は、規定値以下検出コンパレータ38に入力され、予め定められた規定値(例えば、−40%/20msec)と比較される。規定値以下検出コンパレータ38は、発電機出力変化率37が規定値以下の場合(即ち、発電機出力変化率37の絶対値が規定値の絶対値以上である場合)、論理値「1」なる出力信号39をアンド回路49の一方の入力端子に出力する。
【0032】
また、蒸気圧力検出器29によって計測された高温再熱蒸気圧力信号30は、累乗演算部55に導入される。高温再熱蒸気圧力信号30の値は、累乗演算部55の内部で予め設定されている累乗係数αで累乗され、これにより累乗圧力信号55aが得られる。ここで、高温再熱蒸気圧力信号30の値をx、累乗圧力信号55aの値をyとすると、y=xαと表現することができる。累乗圧力信号55aの値(即ち、高温再熱蒸気圧力信号30の値を累乗係数αで累乗した値)は、高温再熱蒸気温度が変化する場合においても、蒸気タービンの実出力に精度良く比例する関係にある。
【0033】
累乗係数αの設定に際しては、実際に適用する複合サイクル発電プラントのヒートバランスに基づいて、累乗圧力信号55aの値(即ち、高温再熱蒸気圧力信号30の値を累乗係数αで累乗した値)の変化率が蒸気タービン出力の値の変化率に最も精度良く比例する関係を成立せしめるような最適値を選定するようにする。なお、累乗係数αの最適値は、圧力検出位置によって異なる。
【0034】
累乗係数αの最適値は、例えばコンピュータによるシミュレーションを実施することにより求めることができる。例えば、上記ヒートバランスに基づき、高温再熱蒸気温度の変化時における「蒸気タービン出力の変化率」と「高温再熱蒸気圧力値を累乗した値の変化率」との関係をグラフ上にて関数で表現する。ここで、例えば累乗係数αを変えて関数を変化させることにより、双方の変化率が最も精度良く比例する関係を成立せしめる位置を見出し、そのときの累乗係数αの値を選定する。図3のグラフは、累乗係数αが「0」のとき(即ち、累乗演算が行われない場合)に、理想的な比例関係(破線)からかけ離れた関係(実線)が形成される例を示している。一方、図4のグラフは、累乗係数αが「1.8」のときに、理想的な比例関係(破線)に最も近い関係(実線)が形成される例を示している。本実施形態では、当該「1.8」を累乗係数αの最適値とみなして累乗演算部55に設定している。
【0035】
累乗演算部55から出力される累乗圧力信号55aは、蒸気タービン出力演算部40−1に導入される。蒸気タービン出力演算部40−1の設定器40aには、比例関係のプロポーション(傾き)を決定するゲインPが予め設定されている。ゲインPと累乗圧力信号55aの値とが乗算器40bにより乗算され、これにより蒸気タービン出力41の値が得られる。即ち、累乗圧力信号55aの値をy、蒸気タービン出力41をy´とすると、y´=P・yと表現することができる。こうして算出される蒸気タービン出力41の値は、蒸気タービンの実出力の値に略一致する。
【0036】
なお、図2では、累乗演算部55を蒸気タービン出力演算部41−1の外側に設ける場合が例示されているが、当該累乗演算部55を蒸気タービン出力演算部41−1の内部に設けるようにしてもよい。
【0037】
上記説明以外のパワーロードアンバランス検出回路25−1内の構成および作用は、従来技術と同様であるため、重複する説明を省略する。
【0038】
本実施形態1によれば、高温再熱蒸気圧力信号30の値を累乗係数αで累乗して求めた累乗圧力信号55aの値から蒸気タービン出力41を演算するようにしているので、高温再熱蒸気温度が増減しても蒸気タービン出力41を良好な精度で算出することができる。よって遠方負荷遮断の発生時には的確にパワーロードアンバランス検出を精度良く行うことができるため、遠方負荷遮断発生に伴うガスタービン1および蒸気タービン3から成る一軸型タービンの過速を抑制するように蒸気タービンの回転数を制御する高圧主蒸気加減弁17、再熱蒸気加減弁20および低圧主蒸気加減弁22を急速に閉止し、またこのとき同時に、ガスタービン1の出力を保炎が可能である最低出力まで急減させて過速を抑制することができる。
【0039】
また、本実施形態1によれば、蒸気タービン出力演算部41−1は、従来と同様にシンプルな乗算手段のみで所望の蒸気タービン出力41を得る構成としているため、複雑な演算処理や設定処理を行う要素(関数発生器等)を新たに設ける必要がない。
【0040】
なお、図1の例ではパワーロードアンバランス検出のための蒸気圧力として、高温再熱蒸気圧力を使用し、高温再熱蒸気圧力の代表計測点として再熱蒸気加減弁20の下流に設置した蒸気圧力検出器29により高温再熱蒸気圧力信号30を得るようにした。これは、圧力検出器の現実的な設置方法やその保守・点検等の実際的な側面を考えると、再熱蒸気加減弁20から高圧蒸気タービン3aまでのリード管に蒸気圧力検出器29を設置した方が当該検出器29を取り扱いやすいためである。但し、累乗圧力信号55aと蒸気タービンの実出力との間に比例関係の相関を与える蒸気圧力は、再熱蒸気加減弁20の下流に限らず、高温再熱蒸気管19を含む再熱器9の下流の任意の位置で得られるため、蒸気圧力検出器29は再熱器9の下流のどの位置に設置してもよい。例えば中圧タービン3bの途中段落の圧力においても蒸気タービン出力41と累乗圧力信号55aの比例関係は成立する(例えば後述する実施形態3では、中圧タービン3bの途中段落に圧力検出位置を設けた例を示している)。中圧タービン3bの途中段落より更に下流の圧力検出位置になると、蒸気タービン出力41と累乗圧力信号55aは次第に精度の高い比例関係を形成することが難しくなるものの、従来よりもパワーロードアンバランス検出の精度を高めることができる。
【0041】
[実施形態2]
図5は、本発明の実施形態2に係るパワーロードアンバランス検出回路を備えた複合サイクル発電プラントの構成の一例を示す図である。なお、本実施形態2のパワーロードアンバランス検出回路の構成は、図2に示した実施形態1のパワーロードアンバランス検出回路25−1と同じであるため、その図示および説明を省略する。
【0042】
本実施形態2の複合サイクル発電プラントにおいては、高効率化のため、高圧タービン3aの排気蒸気が流れる低温再熱蒸気系統に、前記ガスタービンの高温部を冷却するための冷却蒸気系統が分岐して備えられる。即ち、図5に示すように高圧タービン3aの排気側の低温再熱蒸気管18から分岐した冷却蒸気系統63によってガスタービンの高温部(例えば、動翼や静翼)を冷却するように構成された蒸気冷却ガスタービンが形成されている。
【0043】
このような構成においては、ガスタービンの高温部を冷却した多量の蒸気が、著しく高温に加熱された状態で低温再熱蒸気管18に再流入し、実施形態1で示した複合サイクル発電プラントよりも更に著しく高温再熱蒸気温度が大きく変動する。そのため、従来技術のパワーロードアンバランス検出方法では、もはやパワーロードアンバランス検出を精度良く行うことが不可能となる。これに対し、本実施形態2によれば、蒸気圧力検出器29が、冷却蒸気系統63内のガスタービン用の冷却ユニット(図示せず)よりも下流に設置されているため、前述した累乗演算の手法などを用いて蒸気タービン出力41と累乗圧力信号55aとの比例関係を成立させることができ、パワーロードアンバランス検出を精度良く行うことができる。
【0044】
[実施形態3]
図6は、本発明の実施形態3に係るパワーロードアンバランス検出回路を備えた複合サイクル発電プラントの構成の一例を示す図であり、図7は、同実施形態3のパワーロードアンバランス検出回路の構成の一例を示す図である。なお、実施形態1の図1、図2の構成と共通する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0045】
本実施形態3は、前述した実施形態1,2のようにガスタービン1、蒸気タービン3および発電機4を一軸上に並べた一軸型の複合サイクル発電プラントではなく、多軸型の複合サイクル発電プラントを示す。
【0046】
図6に示されるように、多軸型の複合サイクル発電プラントでは、高圧蒸気タービン3a、中圧蒸気タービン3bおよび低圧蒸気タービン3cで構成される蒸気タービン3と、ガスタービン1および空気圧縮機2とをそれぞれ異なる軸に設置し、蒸気タービン3側の軸に発電機4aを設置し、ガスタービン1側の軸に発電機4bを設置している。
【0047】
これに加え、本実施形態3では、ガスタービン1、空気圧縮機2、発電機4bおよび排熱回収ボイラ5で構成される第1ユニットと同じ機器構成を有する第2ユニット(図示せず)が更に設けられている。第2ユニットの排熱回収ボイラ5の高圧主蒸気管16、高温再熱蒸気管19および低圧主蒸気管21はそれぞれ第1ユニットの排熱回収ボイラ5の高圧主蒸気管16、高温再熱蒸気管19および低圧主蒸気管21と接続されている。従って、それぞれの高圧主蒸気、高温再熱蒸気および低圧主蒸気は、全ユニット分が合流されて蒸気タービン3に供給される。なお、本実施形態では、多軸型の複合サイクル発電プラントが2つのユニットを有する場合の例を示しているが、3つ以上のユニットを有するように構成してもよい。
【0048】
即ち、多軸型の複合サイクル発電プラントにおいて、各ユニットの高圧ドラム13で発生した蒸気を全ユニット分で合流させて、これを高圧主蒸気加減弁17を経て高圧タービン3aに導入してこれを駆動し、当該高圧タービン3aの排気蒸気を中圧ドラム14で発生した蒸気と合流後に再熱器9に供給して加熱し、各ユニットの再熱器9で再熱された蒸気を全ユニット分で合流させて、これを再熱蒸気加減弁20を経て中圧タービン3bに導いて当該中圧タービン3bを駆動し、各ユニットの低圧ドラム15で発生した蒸気を全ユニット分で合流させて、これを低圧主蒸気加減弁22を通過した蒸気を中圧タービンに導かれて仕事をした蒸気とともに低圧タービンに導いて当該低圧タービンを駆動するように構成する。
【0049】
また、本実施形態3においては、第1ユニットの高温再熱蒸気管19と第2ユニットの高温再熱蒸気管19aとが接続される位置よりも下流、即ち、第1ユニットの再熱器9から排出される蒸気と第2ユニットの再熱器9aから排出される蒸気とが全て合流する位置よりも下流の任意の1箇所で蒸気圧力を計測し、その蒸気圧力の累乗値に基づいて蒸気タービン出力を算出するようにする。なお、図6では、中圧タービン3bの途中段落に、蒸気圧力を計測するための蒸気圧力検出器29aを設置した場合の例を示している。
【0050】
そのほか、本実施形態3が実施形態1,2と異なる点は、図6に示されるように、パワーロードアンバランス検出回路25−2に入力される発電機電流が、発電機4aの発電機電流33aのみであり、発電機4bの発電機電流はパワーロードアンバランス検出回路25−2には入力されないことである。これは、パワーロードアンバランス検出回路25−2が蒸気タービン3の出力と発電機4aの出力との間のパワーロードアンバランスを検出するためのものであり、また、蒸気タービン3が駆動するのは発電機4aのみであり発電機4bは関係ないからである。なお、ガスタービン1の出力と発電機4bの出力との間のパワーロードアンバランスの検出は、図6には図示されていない別のパワーロードアンバランス検出回路により行われる。
【0051】
さらに、本実施形態3が実施形態1,2と異なる点は、図7に示されるように、パワーロードアンバランス検出回路25−2の内部において、前記と同じ理由によりガスタービン出力演算部42を設けておらず、蒸気タービン出力演算部41−1より算出された蒸気タービン出力(パワー)41と発電機出力(ロード)35との偏差δに基づいてパワーロードアンバランスを検出するようにしていることである。これ以外の部分については、図2のパワーロードアンバランス検出回路25−1と同様となる。
【0052】
本実施形態3によれば、複合サイクル発電プラントが多軸型である場合において、一軸型の複合サイクル発電プラントの場合と同様、高温再熱蒸気圧力信号30の値を累乗係数αで累乗して求めた累乗圧力信号55aの値から蒸気タービン出力41を演算するようにしているので、高温再熱蒸気温度が増減しても蒸気タービン出力41を良好な精度で算出することができ、また、この蒸気タービン出力41と発電機出力35との偏差δに基づいてパワーロードアンバランスを検出するようにしているので、遠方負荷遮断の発生時には的確にパワーロードアンバランス検出を精度良く行うことができる。
【0053】
[その他]
前述の実施形態1〜3ではガスタービンおよび排熱回収ボイラを用いる複合サイクル発電プラントを例にとって説明したが、通常のボイラを用いる一般的な発電プラントにも本発明が適用できることは明らかである。
【0054】
例えば、高圧タービン、中圧タービンおよび低圧タービンにより構成される蒸気タービンと、前記蒸気タービンと同軸に配置された発電機と、前記高圧タービン用の主蒸気を発生する過熱器および前記高圧タービンの排気蒸気を加熱する再熱器を有するボイラとを備え、前記過熱器からの主蒸気を主蒸気加減弁を経て前記高圧タービンに導入してこれを駆動し、当該高圧タービンの排気蒸気を前記再熱器に供給して加熱し、当該再熱器で再熱された蒸気を再熱蒸気加減弁を経て前記中圧タービンに導いてこれを駆動し、当該中圧タービンの排気蒸気を前記低圧タービンに導いてこれを駆動するように構成された火力発電プラントへの適用が可能である。
【0055】
その場合、当該発電プラントに備えられるパワーロードアンバランス検出回路は、再熱器よりも下流の任意の1箇所で計測される蒸気圧力の累乗値に基づいて蒸気タービンのタービン出力を算出し、前記発電機の発生する発電機出力を求め、前記タービン出力と前記発電機出力との偏差を検出し、前記偏差が予め設定されている規定値を超える場合にパワーロードアンバランスを検出し、前記パワーロードアンバランスが検出された場合に前記蒸気タービンの加減弁に対し急速閉止指令を出力するように構成される。
【0056】
一般の火力発電プラントにおいては、主な再熱蒸気温度の変動要因である中圧ドラム14や実施形態2で説明したようなガスタービンの高温部を冷却するための冷却蒸気ユニット等がないため、高温再熱蒸気温度の変動程度は少ないものの、前述したように再熱器よりも下流で計測される蒸気圧力の圧力検出信号の値を累乗する手法などを適用することにより、再熱蒸気温度が増減しても、従来よりも蒸気タービン出力を精度良く算出することができ、遠方負荷遮断の発生時には的確にパワーロードアンバランス検出を行うことができる。
【0057】
以上詳述したように、各実施形態によれば、より正確なパワーロードアンバランスの検出を行えるようにした発電プラントおよび発電プラント運転方法を提供することが可能となる。
【0058】
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…ガスタービン、2…圧縮機、3…蒸気タービン、3a…高圧タービン、3b…中圧タービン、3c…低圧タービン、4…発電機、4a…蒸気タービン用発電機、4b…ガスタービン用発電機、5…燃焼器、6…吸気フィルタ、7…排熱回収ボイラ、8…高圧第二過熱器、9…再熱器、10…高圧第一過熱器、11…中圧過熱器、12…低圧過熱器、13…高圧ドラム、14…中圧ドラム、15…低圧ドラム、16…高圧主蒸気管、17…高圧主蒸気加減弁、18…低温再熱蒸気管、19…高温再熱蒸気管、20…再熱蒸気加減弁、21…低圧主蒸気管、22…低圧主蒸気加減弁、23…復水器、24…復水ポンプ、25,25−1,25−2…パワーロードアンバランス検出回路、26…高圧主蒸気加減弁操作指令、27…再熱蒸気加減弁操作指令、28…低圧主蒸気加減弁操作指令、29,29a…圧力検出点、30…高温再熱器圧力信号、33…変流器、33a…電流信号、34…発電機出力演算部、35…発電機出力、36…発電機出力変化率演算部、37…発電機出力変化率、38…規定値以下検出コンパレータ、39…発電機出力変化率規定値以下検出、40,40−1…蒸気タービン出力演算部、40a…設定器、40b…乗算器、41…蒸気タービン出力、42…ガスタービン出力演算部、43…ガスタービン出力、44…加算器、45…タービン出力、46…減算器、47…規定値以下検出コンパレータ、48…ノット回路、49…アンド回路、50…ホールド回路、51…パワーロードアンバランス発生、52…高圧主蒸気加減弁制御装置、53…再熱蒸気加減弁制御装置、54…低圧主蒸気加減弁制御装置、55…累乗演算部、55a…累乗圧力信号、60…排気ガス温度検出器、61…燃料流量検出器、63…冷却蒸気系統。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧タービン、中圧タービンおよび低圧タービンにより構成される蒸気タービンと、
前記蒸気タービンと同軸に配置されたガスタービンと、
前記蒸気タービンおよび前記ガスタービンと同軸に配置された発電機と、
前記ガスタービンの排ガスを回収して蒸気を発生させ、高圧ドラム、中圧ドラム、低圧ドラムおよび再熱器を有する排熱回収ボイラと、を備え、
前記高圧ドラムで発生した蒸気を高圧主蒸気加減弁を経て前記高圧タービンに導入してこれを駆動し、当該高圧タービンの排気蒸気を前記中圧ドラムで発生した蒸気と合流後に前記再熱器に供給して加熱し、当該再熱器で再熱された蒸気を再熱蒸気加減弁を経て前記中圧タービンに導いて当該中圧タービンを駆動し、前記低圧ドラムで発生し低圧主蒸気加減弁を通過した蒸気を前記中圧タービンに導かれて仕事をした蒸気とともに前記低圧タービンに導いて当該低圧タービンを駆動するように構成し、
前記ガスタービンの出力を算出するガスタービン出力演算手段と、
前記蒸気タービンの出力を算出する蒸気タービン出力演算手段と、
ガスタービン出力および蒸気タービン出力を加算してタービン出力を算出するタービン出力演算手段と、
前記発電機の発生する発電機出力を求める発電機出力演算手段と、
前記タービン出力と前記発電機出力との偏差を検出する出力偏差検出手段と、
前記出力偏差検出手段にて検出した前記偏差が予め設定されている規定値を超えるとパワーロードアンバランスを検出するパワーロードアンバランス検出手段と、
前記パワーロードアンバランス検出手段の出力したパワーロードアンバランス信号により前記蒸気タービンの加減弁に対し急速閉止指令を出力する制御手段と、をさらに備えた複合サイクル発電プラントにおいて、
前記蒸気タービン出力演算手段は、前記再熱器よりも下流の任意の1箇所で計測される蒸気圧力の累乗値に基づいて蒸気タービン出力を算出することを特徴とする複合サイクル発電プラント。
【請求項2】
前記高圧タービンの排気蒸気が流れる低温再熱蒸気系統に、前記ガスタービンの高温部を冷却するための冷却蒸気系統が分岐して設けられることを特徴とする請求項1に記載の複合サイクル発電プラント。
【請求項3】
高圧タービン、中圧タービンおよび低圧タービンにより構成される蒸気タービンと、
前記蒸気タービンと同軸に配置された第1の発電機と、
少なくとも、前記蒸気タービンとは別の軸に配置されたガスタービンと、前記ガスタービンと同軸に配置された第2の発電機と、前記ガスタービンの排ガスを回収して蒸気を発生させ、高圧ドラム、中圧ドラム、低圧ドラムおよび再熱器を有する排熱回収ボイラと、から構成される1つのユニットを複数含む複数ユニットと、を備え、
各ユニットの前記高圧ドラムで発生した蒸気を全ユニット分で合流させて、これを高圧主蒸気加減弁を経て前記高圧タービンに導入してこれを駆動し、当該高圧タービンの排気蒸気を前記中圧ドラムで発生した蒸気と合流後に前記再熱器に供給して加熱し、各ユニットの前記再熱器で再熱された蒸気を全ユニット分で合流させて、これを再熱蒸気加減弁を経て前記中圧タービンに導いて当該中圧タービンを駆動し、各ユニットの前記低圧ドラムで発生した蒸気を全ユニット分で合流させて、これを低圧主蒸気加減弁を通過した蒸気を前記中圧タービンに導かれて仕事をした蒸気とともに前記低圧タービンに導いて当該低圧タービンを駆動するように構成し、
前記蒸気タービンの出力を算出する蒸気タービン出力演算手段と、
前記第2の発電機の発生する発電機出力を求める発電機出力演算手段と、
前記蒸気タービン出力と前記発電機出力との偏差を検出する出力偏差検出手段と、
前記出力偏差検出手段にて検出した前記偏差が予め設定されている規定値を超えるとパワーロードアンバランスを検出するパワーロードアンバランス検出手段と、
前記パワーロードアンバランス検出手段の出力したパワーロードアンバランス信号により前記蒸気タービンの加減弁に対し急速閉止指令を出力する制御手段と、をさらに備えた複合サイクル発電プラントにおいて、
前記蒸気タービン出力演算手段は、各ユニットの前記再熱器から排出された蒸気が全て合流する位置よりも下流の任意の1箇所で計測される蒸気圧力の累乗値に基づいて蒸気タービン出力を算出することを特徴とする複合サイクル発電プラント。
【請求項4】
前記計測された蒸気圧力の値に所定値を累乗した値は、前記蒸気タービン出力と比例関係にあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の複合サイクル発電プラント。
【請求項5】
前記計測された蒸気圧力の値を所定値により累乗して当該蒸気圧力の累乗値を得る累乗演算手段をさらに備え、
前記蒸気タービン出力演算手段は、前記累乗演算手段により得られた蒸気圧力の累乗値に対して所定の値を乗算して蒸気タービン出力を算出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の複合サイクル発電プラント。
【請求項6】
高圧タービン、中圧タービンおよび低圧タービンにより構成される蒸気タービンと、前記蒸気タービンと同軸に配置された発電機と、前記高圧タービン用の主蒸気を発生する過熱器および少なくとも前記高圧タービンの排気蒸気を加熱する再熱器を有するボイラとを備え、前記過熱器からの主蒸気を主蒸気加減弁を経て前記高圧タービンに導入してこれを駆動し、少なくとも当該高圧タービンの排気蒸気を前記再熱器に供給して加熱し、少なくとも当該再熱器で再熱された蒸気を再熱蒸気加減弁を経て前記中圧タービンに導いてこれを駆動し、少なくとも当該中圧タービンの排気蒸気を前記低圧タービンに導いてこれを駆動するように構成された発電プラントに適用される発電プラント運転方法であって、
タービン出力演算手段により、前記再熱器よりも下流の任意の1箇所で計測される蒸気圧力の累乗値に基づいて少なくとも前記蒸気タービンに基づくタービン出力を算出し、
発電機出力演算手段により、前記発電機の発生する発電機出力を求め、
出力偏差検出手段により、前記タービン出力と前記発電機出力との偏差を検出し、
パワーロードアンバランス検出手段により、前記偏差が予め設定されている規定値を超える場合にパワーロードアンバランスを検出し、
制御手段により、前記パワーロードアンバランスが検出された場合に前記蒸気タービンの加減弁に対し急速閉止指令を出力する
ことを特徴とする発電プラント運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−197750(P2012−197750A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63349(P2011−63349)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】