説明

皮膚清澄複合体、前記複合体の使用、前記複合体を含む化粧又は医薬組成物及びその適用のための方法

本願は、没食子酸及びリノール酸を含む皮膚清澄複合体を開示する。本願は、没食子酸がサンショウモドキ属(Shinus sp)から得られ、リノール酸がトケイソウ油から得られることをさらに開示する。本願は、清澄複合体の化粧又は医薬的使用及び0.25〜10重量%の清澄複合体を含む化粧又は医薬組成物を開示する。清澄複合体は、皮膚、しみ及びそばかすを清澄する高い効果を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、没食子酸及びリノール酸を得てこれらを組み合わせることによって調製される皮膚清澄複合体に関する。本発明はさらに、化粧又は医薬組成物を調製するための前記複合体の化粧又は医薬的使用、前記複合体を含む化粧又は医薬組成物、並びに前記複合体を含む化粧又は医薬組成物の適用のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メラニンは、細胞質突起を介してケラチン生成細胞と接触している表皮の基底層由来の細胞であるメラニン形成細胞によって生成される。この伸長により、生成されたメラニン色素はケラチン生成細胞上に沈着する。
【0003】
メラニン合成は、基本的にメラニン形成細胞のゴルジ体において濃縮される酵素チロシナーゼの存在によって媒介される。かかる色素は、チロシナーゼの作用を介したアミノ酸であるチロシンの重合に由来し、無色アミノ酸から茶色色素へと変色する。メラノソームと呼ばれる小胞は、メラニン形成細胞の細胞質突起を越えて移動し、ケラチン生成細胞によって食作用を受ける小胞であり、かかる小胞上に重合チロシンは沈着されケラチン層上で濃縮される。
【0004】
メラニンを有するケラチン生成細胞の複数の層は、太陽光線、特に紫外線由来の有害な影響に対する効果的な防御をその下層組織に供する。
【0005】
このメラニン生成カスケードの化粧及び薬理学的介入は、当技術分野で周知であり、これらは局所的な色素脱色を供する又は皮膚色相を調整することを目的とする。これに関して、その目的用の植物フェノール化合物及び脂質分子から選択された1又は2以上の成分、例えば、タンニン及び脂肪酸の使用に対する関心は高い。
【0006】
米国特許出願第2005/0163731号は、色素脱色反応促進剤として機能するアダパレンの有効量と組み合わせる、少なくとも1つの脱色素活性成分を含む皮膚の脱色素を目的とする局所組成物であって、生理学的に許容される媒体中の組成物に関する。脱色素剤は、フェノール化合物、植物抽出物及びリノール酸から成る。
【0007】
韓国特許出願第2003/0007990号は、ドクダミ(Houttuynia cordata)、草綿(Gossypium indicum)、ゲットウ(Alpinia speciosa)、カズラ(Schum)及びマグワ(Morus alba)由来の抽出物を含む化粧組成物に関し、これにより皮膚上の抗老化及び美白効果が促進される。これらの植物抽出物は、他の成分に加えて、セラミド、水素付加レシチン、スフィンゴリピド誘導体及びリノール酸を含む液晶リポソーム中に安定化される。
【0008】
日本国特許出願第2005272471号は、皮膚美白、つまりチロシナーゼの抑制及び抗炎症性(COX-1及びCOX-2の抑制)効果を有する没食子酸とリノール酸とのエステル複合物を記載する。
【0009】
米国特許出願第2006/0198800号は、アセチル-ヘキサペプチドから成る抗しわ剤及び天然のピーリング複合体を含む化粧組成物に関する。さらに、当該文献は、その組成物の調製における、例えば、皮膚清澄(clarifying)活性成分(active)等の化粧品アジュバントの使用を記載し、清澄剤の選択の中で、没食子酸、フェノール化合物及び複数の植物抽出物が認められる。
【0010】
最後に、ブラジル特許第9916440-0号は、リノール酸複合物及び/又はその誘導体を含む局所性組成物に関し、皮膚科学的に許容されるビヒクルに加え、総成分の1%はリノール酸の10-トランス及び12-シス形態成分を主とする。当該文献は、ヒトの皮膚を清澄することを目的とする最終産物を開示する。
【0011】
従って、本発明の以下の記載から、好適にはサンショウモドキ抽出物から得られる没食子酸及び好適にはトケイソウ油から得られるリノール酸を含む清澄複合体は、技術的に知られていないということを結論付けることができる。さらに、本願の複合体を含む化粧又は医薬組成物もまた、本発明の目的であり、皮膚脱色素における効果の増大を示す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的
本発明の目的は、没食子酸及びリノール酸を含む清澄複合体を供することである。
【0013】
本発明の目的はまた、皮膚脱色素に増強効果を有する、上記の清澄複合体を含む化粧又は医薬組成物を供することである。
【0014】
さらに、本発明の目的は、本願の化粧又は医薬組成物の皮膚への適用の方法に加えて、化粧又は医薬組成物の製造において清澄複合体の使用を供することである。
【0015】
本発明の簡単な説明
本発明の目的は、没食子酸及びリノール酸を含む皮膚清澄複合体である。
【0016】
以下もまた本発明の目的である:
−サンショウモドキから没食子酸を得ること
−トケイソウ油からリノール酸を得ること
−清澄複合体の化粧又は医薬的使用、
−(i) 脱色素する身体部位を選択する工程、及び
(ii) 前記身体部位へ清澄複合体を適用する工程、
から成る清澄複合体の適用方法、
-(i) 前記清澄複合体、及び
(ii) 生理学的に許容されるビヒクル、
を含む化粧又は医薬組成物
-(i)脱色素のための身体部位を選択する工程、及び(ii)前記清澄複合体を含む化粧又は医薬用脱色素組成物をその身体部位へ適用する工程、から成る化粧又は医薬用の脱色素組成物の適用方法。
【0017】
図に示す例に基づいて、本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の目的であるサンショウモドキ抽出物を得るための好適な技術経路の工程の詳細を示すフローチャートを表す。
【図2】図2は、本発明の目的であるトケイソウ油を得るための好適な技術経路の工程の詳細を示すフローチャートを表す。
【図3】図3は、本発明の対象である清澄複合体によって行われるメラニン合成の減少の分析を説明するグラフを示す。
【図4】図4は、医薬活性成分と比較した、清澄複合体によって行われるメラニン合成の減少の分析を説明するグラフを示す。
【図5】図5は、個々の成分及びコウジ酸と比較した、清澄複合体によって行われるメラニン濃度の低下の分析のグラフを示す。
【図6】図6は、個々の成分及びコウジ酸と比較した、清澄複合体によって行われるメラニン濃度の低下の分析のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
好適な実施形態及び図1〜6に見られるように、本発明は清澄複合体、当該清澄複合体の化粧又は医薬的使用、当該複合体を特定濃度含む化粧又は医薬組成物、及び当該複合体及び化粧及び医薬組成物の適用方法に関する。
【0020】
本明細書中で記載する場合、複合体とは、皮膚清澄剤(clarifier)としては公知の2つの活性成分の組み合わせであって、今回初めて組み合わせによる増強効果が認められたものを意味するものとする。
【0021】
このような組み合わせにより、非常に高い清澄力が達成され、皮膚清澄が最適化され、単独使用の場合に必要な活性成分の量が低減される相乗作用を示した。従って、このような複合体は、皮膚清澄、皮膚美白、しみ及びそばかすの沈静化に使用することができ、これらの抽出物の単独使用より効果的である。
【0022】
結論として、上記知見から、従来技術よりもシンプルな解答を導き出すことができる。すなわち、2つを超える数の清澄化合物の組み合わせや、化学反応による新規化合物の開発は不要である。
【0023】
清澄複合体
本発明の目的である清澄複合体は、没食子酸及びリノール酸を含む。
【0024】
好適な実施形態において、清澄複合体は、リノール酸0.025 mg/ml〜5 mg/ml、より好適には0.025 mg/ml〜0.075 mg/ml、及び没食子酸0.025 mg/ml〜5 mg/mlを含む。
【0025】
好適には没食子酸は、サンショウモドキ(Schinus terenbinthifolius)(別名「アロエイラ」(aroeira))抽出物から得られる。
【0026】
好適には、リノール酸はトケイソウ油(Passiflora alata)から得られる。
【0027】
従って、好適な実施形態は、複合体の総質量に基づいて、0.025 mg/ml〜5 mg/mlのリノール酸及び0.025 mg/ml〜5 mg/mlのサンショウモドキ抽出物を含む清澄複合体とすることもまたできる。
【0028】
没食子酸
没食子酸は、皮膚清澄物として技術的に公知の化合物である。
【0029】
好適には、それはサンショウモドキ又は「アロエイラ」から得られ、また他の起源から得ることもできる。
【0030】
好適な実施形態において、サンショウモドキ(Schinus terenbinthifolius) 抽出物は、蒸気圧下で水性抽出経路を介して得られる。
【0031】
図1に示されるフローチャートにおいて見られるように、まずサンショウモドキ (「アロエイラ」)の新鮮な葉を選択し、水で粉砕する。続いて、7倍水性抽出(この割合は、85℃〜110℃且つ1.60〜2.4 Kgf/cm2の蒸気圧下で、植物1に対して7倍の抽出ビヒクル(水)の比から成る)を行う。続いて、得られる抽出物溶液を、粗い布濾過を使用して、例えば、85℃〜95℃の温度で加圧濾過機を介して濾過し、これにより濾液及び上清が得られる。
【0032】
水性抽出物は真空下で濃縮し、水の量を3倍量まで減少させる。この濃縮工程に続いて、1 :3の比率でアルコール(エタノール) での精製/沈殿を行い、続いて濾液を0℃〜10℃の温度まで冷却し、アルコール(エタノール) を蒸発させる。
【0033】
最終的に、例えば、スプレー乾燥機中で濾液を乾燥させ、サンショウモドキの葉の精製抽出物が得られる。
【0034】
精製抽出物は、HPLCによる定量的な没食子酸用量分析において特徴付け、100分の1分析による組成を、未精製抽出物と比較して以下の表1に示す。
【0035】
【表1】

【0036】
上記表1に見られるように、精製抽出物は総タンニンの高含有量(%)を示し、このような抽出物のためのバイオマーカーは没食子酸であり、それは未精製抽出物と比較してサンショウモドキ抽出物の脱色素活性に関与する主要部である。従って、本発明において記載される方法は、「アロエイラ」中に存在する没食子酸の量に関して最適収率を供し、後述の清澄効果を導く。
【0037】
リノール酸
リノール酸はまた、皮膚清澄物として知られる。
本願の清澄複合体に存在するリノール酸は、その遊離又は結合形態で存在し、好適には遊離形態で使用することができる。
【0038】
リノール酸に関して、これは植物油、好適にはトケイソウ油から、より好適には図2に示されるように酵素加水分解及び分子蒸留を含む経路を介して得られる。
【0039】
まず、脂肪酸を生成するために、植物油(トリグリセリド及び他のもの) を温度50℃〜60℃で酵素反応に供する。その後、分子蒸留の第一工程を0.13 mBarの真空下で温度約120℃で行う。残渣及び第一の留出物を分離する。この第一の留出物を温度約160℃且つ0.002 mBarの真空下で分子蒸留の第二工程に供し、61%の容積収率及び換算率100%の遊離脂肪酸で第二の残渣及び最終留出物が得られる。
【0040】
この方法において使用される酵素は、
- リポザイムTL 100l、
- CALB、及び
- CALA、から選択される。
【0041】
有用な酵素混合物は、リポザイム TL 100L x CALB又はCALAが1 :1〜9: 1の変動比で認められる。
【0042】
酵素リポザイム TL 100l : CALA (1 :1)の混合物は、換算率95.9%の最も良好な結果を示した。これは酵素CALAによる最も良好な加水分解能力、及びその非特異性 (トリグリセリド鎖の2位における加水分解) と共に、酵素リポザイムTL 100l に関する1.3の特異性によって説明することができる。
【0043】
従って、本発明の目的は、予想外に皮膚清澄を増強するそれらの2つの活性成分の組み合わせであると結論付けることができ、このことは今回まで知られていなかった。
【0044】
任意の成分
本清澄複合体は任意に、ゲル形態の血清濃縮製剤用に、0.025 mg/ml〜15 mg/mlの割合でアスコルビン酸及び/又はその誘導体を含む。この実施形態は、さらに増強効果を示すことができる。
【0045】
好適には、本発明の同一出願人に帰属するブラジル特許第9704418-0号及び第9704728-7号に記載されるように、本発明においてアスコルビン酸を安定化する方法を使用する。
【0046】
本発明の混合物の作用
本願の清澄複合体の作用機序は、2つの主たる原理、1) チロシナーゼの抑制及び2) チロシナーゼの分解、に基づく。
【0047】
1) チロシナーゼの抑制
サンショウモドキ抽出物中で高含有量で存在する加水分解性タンニン(没食子酸)は、酵素チロシナーゼ活性に必須の補助因子である銅のキレートに対するその特性を介して、チロシナーゼ活性を抑制し、これによりメラニンに作用することを阻害する。
【0048】
2) 培地におけるチロシナーゼの分解
リノール酸は、培地に存在するチロシナーゼに作用し、その分解工程を促進する。従って、少量の酵素でもメラニン形成細胞によるメラニンの形成において有用に作用し得る。
【0049】
図3及び4は、本発明のリノール酸とサンショウモドキ抽出物との清澄複合体の活性を評価するための試験の結果を説明する。
【0050】
5日間にわたる試験に関するアッセイ方法において、最初に、B16系統のメラニン形成細胞を、12個のウェルの条件容器上に75,000 細胞/プレートの割合で蒔いた。
【0051】
3日後に、混合物中の成分の10mg (リノール酸へ11 μl) を100μlのDMSO (ジメチルスルホキシド) に希釈し、続いて9.9mlの血清非含有のDMEM (培地)を添加し、最終的に1 mg/mlの保存液を得た。
【0052】
続いて、試料の可溶化を補助するためにこれらの溶液を37℃でインキュベートした。10% ウシ胎児血清(BFS)を最終希釈に添加した。
【0053】
以下の表2は、対象の試験下で使用した混合物の組成物に関する情報を示す。
【0054】
【表2】

強調しておくと、α-MSHは、メラニンの産生及び放出に作用するメラニン形成細胞刺激ホルモンである。
【0055】
以下の表3は、活性成分を単独で含む溶液の濃度及び組成を示す。活性成分は没食子酸及びリノール酸である。
【0056】
【表3】

【0057】
試験5日目に、細胞を特性決定の2つの工程に分けた:
- 細胞をPBSで最初に「洗浄」し、続いて細胞層を500μlの3N NaOH中に溶解し懸濁液をピペットによってホモジナイズした、メラニンの評価。2部の懸濁液200μlを400nmにおける光学的読み取りに供した。
【0058】
表4は、リノール酸及び没食子酸の単独溶液での細胞の処置後に検出されたメラニン量の測定結果を示し、表5は、上記表2中の混合物セット1、2及び3での細胞の処置後に検出されたメラニン量の測定結果を示す。
【0059】
【表4】

【0060】
【表5】

【0061】
図3中のグラフで説明するように、活性成分単独溶液の処置で得られた結果と比較して、3つの混合物(1、2及び3)は、メラニン合成の減少能力の増強を示した。
【0062】
従って、メラニン合成による美白効果の評価は、表2において確認されるように混合物2に関して特に興味深い結果を示し、特に対照のアッセイと比較してメラニン量で38.2%の減少結果を供している、と結論付けることができる。
【0063】
混合物2は、0.025mg/mlの没食子酸及び0.075mg/mlのリノール酸を含む。
【0064】
混合物1、2及び3の相乗効果は、以下の表8から証明される。3つの混合物について、得られ効果を期待される効果と比較して、さらなる抑制効果を得た。
【0065】
【表6】

【0066】
上記試験は、没食子酸とリノール酸との組み合わせによって得られた予想外の相乗効果を明らかに示し、皮膚清澄の良好な結果を示す。
【0067】
0.025mg/mlの没食子酸及び0.075mg/mlのリノール酸を含み、合計0.01 mg/mlの活性成分を含む混合物2は、同一濃度で試験した場合にアルブチン (医薬産業における清澄物の本質成分) より良好な効果を示した。この結果を図4に示す。さらに、混合物2は、0.01 mg/mlで使用される市販の活性成分より良好な効果を示した。同一濃度でのヒドロキノンが顕著な細胞死を生じていることが強調されたことは重要であり、このことは清澄効果用として最も一般的に使用される医薬活性成分より混合物2の細胞毒性が低いことを示している。
【0068】
【表7】

【0069】
他の実施例において、サンショウモドキの抽出物(A)、リノール酸(B)及び活性成分リノール酸及び没食子酸の混合物(A+B) を含む試料を、メラニン量の減少が関与する範囲で対照及びコウジ酸とそれぞれ比較した。各試料を表皮に相当する培地に適用し、処置の6日後にメラニン濃度を測定した。図5、6及び表8に結果を示す。
【0070】
表8-処置6日後の表皮から抽出されたメラニンの減少の割合
【0071】
【表8】

【0072】
メラニン減少を対照(コウジ酸250 μΜ) と比較し、混合物A+Bは、対照に比べより大きな減少を示した。表8に示されるように、コウジ酸で得られ減少は約21.02%であり、試料Aに関する減少は15.9%であり、試料Bに関する減少は19.3%であり、一方複合混合物A+Bは23.19%の減少が得られた。
【0073】
インビボ(In vitro)における安全性試験
細胞毒性アッセイによって、3T3細胞を24時間インキュベートした場合の活性成分の細胞毒性濃度を測定することができる。活性成分と接触の24時間後、3T3細胞のニュートラルレッド、及び必須の色素でのインキュベーションにより生細胞に取り込まれるこれらの色素をモニターし、毒性を細胞生存率の関数として測定する。これらの評価は、国際的に認められたNational Institute of Health (NIH), USA(Guidance NIH, 2001) によって確立された方法を使用する。光毒性試験は、UVA 照射の非細胞毒性用量の存在及び不存在下における活性成分の毒性の比較に基づいている。光毒性は、活性成分との細胞の生存インキュベーションを通したニュートラルレッドの取り込みによって、既に確立されCOLIPA及びOECD(ZEBET/ECVAM/COLIPA, 1998; OECD, 2004)によって標準化された手順に従って測定する。光毒性/光刺激は、特定の生成物/活性成分への皮膚の最初の曝露及び続く太陽光への曝露後に生じる、又は活性成分/生成物の全身投与後の皮膚の放射線照射によって誘発される毒性反応として定義される。
【0074】
次の表9は、サンショウモドキ抽出物及びリノール酸で行った細胞毒性及び光毒性試験の結果を示す。
【0075】
【表9】

【0076】
清澄複合体の化粧又は医薬的使用
上述の清澄複合体の化粧又は医薬的使用は、例えば皮膚等のケラチン組織の色調を白色化又は調整するための化粧又は医薬組成物の製造を目的とする。
【0077】
化粧又は医薬組成物
本発明の化粧又は医薬組成物は、
(i)0.25%〜10重量%の本発明の清澄複合体、及び
(ii) 生理学的に許容されるビヒクル、
を含み、全ての量は組成物の総質量に基づく。
【0078】
好適には、このような組成物は、没食子酸及びリノール酸を含む0.25%〜10%の清澄複合体を含む。より好適には、生理学的に許容されるビヒクル中においてリノール酸の2に対して没食子酸が1の割合である。
【0079】
任意には、当該組成物中に含まれる清澄複合体は、0.025〜15 mg/mlのアスコルビン酸及び/又はその誘導体を含むことができる。
【0080】
当該清澄複合体又は清澄複合体を含む化粧及び医薬組成物から調製可能な生成物のガレニック形態(gallenic forms) の主な例は、
a) 例えば以下のような液体又は半固体乳濁液
−身体用水和ミルク;
−顔用水和ミルク;
−身体用水和ローション;
−顔用水和ローション;
−スポーツの練習時における使用又はそれ以外の使用を目的とする、成人及び小児用のサンプロテクター又はブロッカー;
−身体又は顔用水和生成物;
−身体又は顔用抗老化生成物;
−身体又は顔用収斂生成物;
−身体又は顔用清澄、均整化(uniformizing)及びタンニング用生成物;
−防虫剤;
−身体又は顔用皮膚美白水和生成物;
−抗セルライト生成物;
−敏感肌用生成物;
−制汗剤のための脱臭剤(皮膚の色調における清澄又は均整化作用を有する)
b) 例えば以下のようなゲル
−局所投与用医薬製剤;
−小児使用のための身体又は顔用化粧調製物;
−抗アクネ用生成物;
−抗老化用生成物;
−抗セルライト用生成物;
−敏感肌用生成物;
−ピーリング用生成物;
−身体又は顔用皮膚清澄及び/又は均整化生成物;
c) 例えば以下のような身体洗浄生成物
−液体及び棒状石鹸洗浄剤;
−ピーリング用生成物;
d) 例えば以下のような懸濁剤、
−軟膏;
−眼周囲領域、口唇輪郭、口唇、抗しみ、眼周囲のくま対策等に特定される局所使用のための化粧調製物;
−リニメント剤;
e) 例えば以下のような粉体、
−顔用粉体;
−身体用粉体;
−化粧用粉体;
f) さらなる例:
−トナー、
である。
【0081】
生理学的に許容されるビヒクルに関して、これは調製される組成物の目的用途に従って通常の化粧又は医薬基剤から成る。これらのビヒクルは、通常の生理学的に不活性な化合物及びアジュバントから成る。
【0082】
以下は、本願明細書中に記載の組成物の特性に適合し、さらにケラチン組織の脱色素を目的とする本願の化粧及び/又は医薬組成物に利用することができるアジュバント及び不活性成分の一部の例を説明するが、これらに限定するものではない。
-水: 水は、本発明の化粧組成物の多数の好適な実施形態における主成分であり、他の成分のビヒクルとして機能する。本発明の組成物は、本願の組成物の総重量に基づいて〜100%処方までの適切な割合(q.s.p.)で、好適には脱ミネラル化又は蒸留水を含む。本発明において明らかであるが、他の化粧上許容されるビヒクルを使用することができる。
【0083】
-抗酸化剤: BHT、BHA、トコフェロール及び/又はその誘導体、カテキン、タンニン及び/又はその誘導体、フェノール化合物等;
-防腐剤: メチルパラベン、プロピルパラベン、イソチアゾリノン誘導体、フェノキシエタノール;
-フィルム形成剤: 寒天ガム、カラゲニンガム、アルギン酸塩、アラビアゴム、ゼラチン;
-キレート剤: EDTA、クエン酸、エチドロン酸
-支持微結晶性ネットワーク形成剤: デキストラン、メチル-アクリル酸塩、PHB、PHA;
-重合剤及び/又は共重合剤: ケイ素共重合体、シロキサン及び/又は修飾ケイ素重合体、アクリル酸塩共重合体;
-変性剤: 安息香酸デナトニウム;
-増量剤: 植物ろう、ミネラル炭化水素、パラフィン、蜜ろう、白色パラフィン、鯨ろう、ココアバター、シアバター、サトウキビろう;
-皮膚軟化薬: 流動パラフィン、パーム油、クプアスバター、レシチン、ミルクアミノ酸、小麦タンパク質、植物性野菜タンパク質、植物油、リン脂質、セラミド、トケイソウセラミド、スフィンゴリピド、ラノリン、アーモンドオイル、炭酸ジカプリリル、ケイ素エラストマー、シクロメチコン;
-湿潤剤及び/又は水和剤: グリセリン、プロピレングリコール、ヒアルロン酸、尿素、PCA;
-調整剤: 第4級アンモニウム塩、ケイ素、シロキサン;
-例えば、皮膚老化処置の目的を果たす植物抽出物、多糖等のさらなる化粧活性成分; 及び
-UV照射グリセリンに対する保護剤(サンフィルター(sun filter)): オクチルメトキシ桂皮酸エステル、ベンゾフェノン等。
【0084】
化粧又は医薬組成物中に取り込まれる本発明の清澄複合体、及びそれらの組成物は、化粧又は医薬皮膚生成物において望まれる種々の利点及び特性を示す。それらの一部を以下に記載する:
1.少なくとも2年間安定である;
2.適用中に適切な手触りを示し、非粘着性であり且つ油っぽくない;
3.容易に広がる;
4.適用後に皮膚で油状とならない;
5.コメドジェニックを示さない;
6.光毒性及び細胞毒性を示さない;
7.アレルゲン性を示さない;
8.通常の使用条件又は強制発汗の下で、いかなる種類の皮膚又は眼性有害反応又はダメージを生じない;
9.良好な均一性及び安定性を有する;
10.皮膚に刺激を生じないのでより苦痛がなく、使用は日常的に又は1日1回以上可能である;
11.適切に化学的に安定である;
12.本発明の組成物の目的の感覚受容特性を変更しないように、清澄複合体は、不快に着色されていない又は不快な匂いがしない;
13.清澄複合体は、高い清澄効果を示し、皮膚清澄、皮膚美白、しみ及びそばかすの沈静化、及びしみ及びそばかすの除去に効果的である。
【実施例】
【0085】
本願の清澄複合体を含む化粧又は医薬組成物の実施例
実施例1-乳濁液
成分、適用 %
脱ミネラル化水、96.4480
BHT、0.5000
二ナトリウムEDTA、0.1000
安息香酸ナトリウム、0.1000
サンショウモドキ抽出物、0.2500
乾燥ココア抽出物、0.0010
乾燥精製緑茶抽出物、0.0010
アクリル酸ナトリウム同種重合体、0.1500
キサンタンゴム C1911 B、1.5000
トケイソウ油由来のリノール酸、0.7500
酢酸トコフェロール (ビタミンE)
【0086】
実施例2-乳濁液
成分、適用%
脱ミネラル化水 q.s.、100
トケイソウ油由来のリノール酸、0.2-3.0%
プロピレングリコール、10.0-30.0%
キサンタンゴム C1911 B、0.3-3.5%
水酸化ナトリウム、0.01-0.3%
安息香酸ナトリウム、0.1-0.5%
サンショウモドキ抽出物、0.05-0.6
アクリル酸ナトリウム 同種重合体、-0.02-0.4
グルタチオン、0.03-0.35%
エチドロン酸、0.02-0.42%
【0087】
実施例3-脱臭剤
成分、適用%
脱ミネラル化水、54.17
二ナトリウムEDTA、0.1000
PPG-15 ステアリン酸エーテル、1.0000
シクロメチコンD5/D6 VS7158、2.5000
セスキクロロアルミニウム水和物、40.0000
ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、0.1800
DMDM ヒダントイン-IPBC、0.05
トケイソウ油由来のリノール酸、0.7500
サンショウモドキ抽出物、0.2500
【0088】
清澄複合体又は清澄複合体を含む化粧若しくは医薬組成物の適用方法
清澄物の適用方法は基本的に、脱色素する身体部位を選択する工程、及び没食子酸及びリノール酸を含む清澄複合体をその身体部位に適用する工程から構成される。
【0089】
当該混合物はそれ自体で又は組成物として適用され、0.05〜15mg/mlのアスコルビン酸又はその誘導体をさらに含むことができる。
【0090】
好適な実施形態の例を記載したが、本発明の範囲は、添付の請求項によってのみ限定される他の可能な変更を包含すると共に、可能な均等物も含まれることと理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i) 0.025 mg/ml〜5 mg/mlの濃度の没食子酸、と
(ii) 0.025mg/ml〜0.075 mg/mlの濃度のリノール酸とを含む、皮膚清澄複合体。
【請求項2】
没食子酸がサンショウモドキ(Schinus terenbinthifolius)抽出物から得られる、請求項1に記載の複合体。
【請求項3】
0.025 mg/ml〜5 mg/mlのサンショウモドキ抽出物を含む、請求項2に記載の複合体。
【請求項4】
サンショウモドキ抽出物が、
(i) 乾燥「アロエイラ」の葉を選択する工程;
(ii) 葉を水で粉砕する工程;
(iii) 蒸気圧下で水性抽出を行う工程;
(iv) 工程(iii)由来の混合物を濾過し、濾液及び上清を得る工程;
(v) 工程(iv)由来の濾液を濃縮する工程;
(vi) アルコールで精製する工程;
(vii) 工程(vi)由来の生成物を冷却する工程;
(viii) アルコールを蒸発する工程;
(ix) 乾燥する工程、
を含む方法によって得ることができる、請求項2又は3に記載の複合体。
【請求項5】
リノール酸がトケイソウ油から得られる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項6】
リノール酸が、
(i) トケイソウ油を供する工程;
(ii) 50℃〜60℃の温度での酵素反応にトケイソウ油を供する工程;
(iii) 0.13 mBarの真空下且つ温度120℃での第一の分子蒸留に、工程(ii)で得られた生成物を供する工程;
(iv) 0.002 mBarの真空下且つ温度160℃での第二の分子蒸留に、工程(iii)で得られた留出物を供し、リノール酸を含む最終留出物を得る工程、
を含む方法によって得られる、請求項5に記載の複合体。
【請求項7】
0.05 mg/ml〜15 mg/mlのアスコルビン酸及び/又はその誘導体を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の清澄複合体及び生理学的に許容されるビヒクルを含む、化粧又は医薬組成物。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の清澄複合体の化粧又は医薬的使用であって、皮膚清澄、皮膚美白、しみ及びそばかすの沈静化及び除去の処置のための化粧又は医薬組成物の製造のための、使用。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の清澄複合体の適用方法であって、
(i) 脱色素される身体部位を選択する工程、及び
(ii) 清澄複合体を前記身体部位に適用する工程、
から成る、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−502380(P2013−502380A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525002(P2012−525002)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【国際出願番号】PCT/BR2010/000268
【国際公開番号】WO2011/020167
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(510057936)ナチュラ コスメティコス ソシエダッド アノニマ (3)
【Fターム(参考)】