監視カメラ及び監視システムの制御方法
【課題】 監視対象の不審者などを従来よりも早く、より鮮明な画像で撮影することが可能な監視カメラを提供する。
【解決手段】 互いに撮影対象領域が異なる複数のカラー撮像手段(監視カメラ)を所定の通信回線を介して互いに通信可能な状態で接続して構成した監視システムに用いられる監視カメラ1であり、自装置以外の他の監視カメラが撮影した画像の色情報に基づいて、自装置の色に関する光学フィルタ特性、量子化特性、符号化特性などの動作条件を決定する設定情報変更部3を備える。また、この監視システムに接続される複数の監視カメラの各々の設置場所についての少なくとも位置に関する情報を保持するカメラ群情報格納部2を備えている。
【解決手段】 互いに撮影対象領域が異なる複数のカラー撮像手段(監視カメラ)を所定の通信回線を介して互いに通信可能な状態で接続して構成した監視システムに用いられる監視カメラ1であり、自装置以外の他の監視カメラが撮影した画像の色情報に基づいて、自装置の色に関する光学フィルタ特性、量子化特性、符号化特性などの動作条件を決定する設定情報変更部3を備える。また、この監視システムに接続される複数の監視カメラの各々の設置場所についての少なくとも位置に関する情報を保持するカメラ群情報格納部2を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに撮影対象領域が異なる複数のカラー撮像手段を所定の通信回線を介して互いに通信可能な状態で接続して構成した監視システムに用いられる監視カメラ及びこの監視システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不審者などを監視するために、複数の監視カメラを通信回線を介して互いに接続して構成した監視システムの従来技術については、例えば特許文献1に開示されているような技術が知られている。
【0003】
この従来技術においては、図20に示すように複数の監視カメラ装置(A,B)101が、それぞれ画像撮影手段102で撮影した撮影画像の画像認識をするための特徴情報抽出手段103と特徴情報比較手段104とを備えている。また、監視カメラ装置101は、撮影画像中の移動物体の特徴情報を認識した画像を、映像伝送手段105によりネットワーク111を介し遠隔地のモニタ装置107に伝送するとともに、移動物体の特徴情報を特徴情報交換手段106によりネットワーク111を介して他の監視カメラ装置101に送る。特徴情報を受け取った監視カメラ装置101では、撮影した画像の中に送られた特徴情報と一致した画像があれば、同一の被監視対象であると判断して、この画像をネットワーク111を介してモニタ装置107に伝送する。
【0004】
つまり、複数の監視カメラ装置がそれぞれ撮影により検出した特徴情報が一致すれば、同一の被監視対象であると判断するので、監視カメラ装置で追跡対象をリレー式に追跡し続けることができる。
【0005】
しかし、従来の監視カメラ装置においては、検出された特徴情報を対象物を継続して追跡するための同一性の判断材料としてしか使用していなかった。
【0006】
監視カメラの制御についてはカメラ毎に独立しているため、例えば既に他の監視カメラが不審者を捉えていたとしても、それぞれの監視カメラは自分の監視領域の画角内に不審者が入ったことを検出した後で、その都度、各カメラにおけるオートホワイトバランス回路やオートゲインコントロールなどの機能を動作させ、不審者部分の画像を明瞭に捉えることができるように自動的に調整を行う。
【0007】
このため、各カメラの画角内に不審者が現れてから画像上で不審者を明瞭に捉えるまでには時間がかかり、認識率の低下や処理の遅れが生じることになる。つまり、複数の監視カメラで監視システムが構成され、一部の監視カメラが既に不審者の特徴を捉えている場合であっても、カメラ毎にその都度、明瞭な撮影、認識、追尾のための調整や設定をやり直すことになるので処理に時間が掛かってしまう。撮影条件が最適化されるまでの間は、画像が不鮮明になる可能性が高く、不審者の行動など決定的なタイミングを撮り逃してしまう可能性がある。
【0008】
また、LAN(Local Area Network)のような通信ネットワークを利用して複数の監視カメラを接続したシステムにおいては、データの伝送帯域に制限があるため、伝送する画像データは符号化により圧縮した状態で伝送せざるを得ない。しかし、画像符号化によって注目したい不審者の領域の画像の鮮明度も失われてしまう可能性がある。
【0009】
また、不審者の領域を認識し切り出して別途符号化する技術も知られているが、前述のように、不審者を明瞭に撮影し、認識できるまでに時間が掛かるため、その期間は画像が不鮮明になる可能性がある。
【0010】
【特許文献1】特開2003−324720号公報(段落番号0007〜0034)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、監視対象の不審者などを従来よりも早く、より鮮明な画像で撮影することが可能な監視カメラ及び監視システムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の監視カメラは、複数のカラー撮像手段を所定の通信回線を介して互いに通信可能な状態で接続して構成した監視システムに前記カラー撮像手段の1つとして用いられる監視カメラであって、自装置以外の他のカラー撮像手段が撮影した画像の色情報に基づいて、自装置の色に関する動作条件を決定する動作色変更手段を備えるものである。
【0013】
これにより、例えば他のカラー撮像手段が既に不審者等の監視対象を捉えていた場合には、自装置の撮影範囲(画角内)に監視対象が現れる前に、監視対象に関する色情報を取得して自装置の色に関する動作条件を事前に決定することができる。したがって、例えば監視対象の特徴である色情報に対して撮影の感度が高くなるように調整したり、監視対象の特徴である色情報に対して撮影画像の解像度を上げるような処理を行うことも可能である。その結果、監視対象が到来する前に待ち構えておき、監視対象が撮影画角に進入してきた当初から監視対象を鮮明に撮影できるため、より鮮明で動き滑らかな画像でタイミングを逃すことなく監視を行うことができる。よって、監視対象の不審な行動など決定的なタイミングが不鮮明になってしまうリスクを少なくすることができ、高精度、短時間で監視対象を不審者として認識することも可能となる。
【0014】
また、本発明は、上記の監視カメラであって、前記監視システムに接続される複数のカラー撮像手段のそれぞれの設置場所の、少なくとも位置に関する情報を保持するカメラ群情報格納手段を更に備え、前記動作色変更手段は、自装置以外の他のカラー撮像手段が撮影した画像の色情報と前記カメラ群情報格納手段に保持されている情報とに基づいて、自装置の色に関する動作条件を決定するものとする。
【0015】
これにより、カメラ群情報格納手段が保持している情報に基づいて、既に不審者等の監視対象を検出した他のカメラ(カラー撮像手段)の位置や、監視対象の移動先にあるカメラを特定することができるので、不審者などの被写体の動きを先回りして、監視対象の撮影のために事前に待ち構えるべきカメラを絞り込むことができ、より効率的に監視システムを稼働させることができる。監視対象の捕捉に不必要なカメラについては通常通りの監視を継続すればよい。
【0016】
また、本発明は、上記の監視カメラであって、前記動作色変更手段は、自装置が撮影して得られる画像信号の色に関する信号処理の条件を、自装置以外の他のカラー撮像手段が撮影した画像の色情報に基づいて変更するものとする。
【0017】
これにより、例えば他のカメラによって検出された不審者等の監視対象の特徴を表す色の領域だけを自装置のカメラで撮影した画像の中から抽出したり、それ以外の領域を不要な情報とみなして事前に除外することもできる。このため、自装置のカメラで撮影した画像からより早く不審者等を見つけることができ、鮮明で動き滑らかな画像でタイミングを逃すことなく監視を行うことができる。
【0018】
また、本発明は、上記の監視カメラであって、前記動作色変更手段は、自装置が被写体を撮影する際に使用する光学フィルタの色特性を、自装置以外の他のカラー撮像手段が撮影した画像の色情報に基づいて変更するものとする。
【0019】
これにより、自装置のカメラに複数種類の光学フィルタが選択可能に装着されている場合には、例えば他のカメラによって検出された不審者等の監視対象の特徴を表す色成分を高感度で撮影し、それ以外の色成分の感度を下げるように光学フィルタを切り替えることもできる。したがって、自装置のカメラで撮影した画像からより早く不審者等を見つけることができ、鮮明で動き滑らかな画像でタイミングを逃すことなく監視を行うことができる。
【0020】
また、本発明は、上記の監視カメラであって、自装置が撮影して得られる画像信号に対する、量子化と画像符号化の少なくとも一方の信号処理について、色の違いを反映する信号処理手段を更に備え、前記動作色変更手段は、前記信号処理手段における処理の条件を、自装置以外の他のカラー撮像手段が撮影した画像の色情報に基づいて変更するものとする。
【0021】
これにより、自装置で撮影した画像信号に対する量子化誤差や、符号化(圧縮)に伴う情報の損失を色の違いに応じて変更することができ、他のカメラで検出された不審者等の監視対象の色に相当する画像成分が、量子化や符号化によって劣化するのを防止することができる。したがって、限られた伝送帯域の中で、監視対象が撮影画角に進入してきた当初から監視対象を更に鮮明に、動き滑らかな画像で監視できる。
【0022】
本発明の監視カメラシステムは、カラー撮像手段を備えた第1の監視カメラ及び第2の監視カメラが所定の通信回線を介して互いに通信可能な状態で接続された監視カメラシステムにおいて、第1の監視カメラのカラー撮像手段が撮影した画像の色情報に基づいて、第2の監視カメラの色に関する動作条件を決定する動作色変更手段を備えるものである。
【0023】
これにより、複数の監視カメラが接続された監視カメラシステムにおいて、監視対象の不審者などを従来よりも早く、より鮮明な画像で撮影することが可能となる。
【0024】
本発明の監視システムの制御方法は、複数のカラー撮像手段を所定の通信回線を介して互いに通信可能な状態で接続して構成した監視システムに用いられる監視カメラを制御するための監視システムの制御方法であって、第1のカラー撮像手段が撮影した画像の色情報に基づいて、第2のカラー撮像手段の色に関する動作条件を決定するステップを有するものである。
【0025】
これにより、例えば他のカラー撮像手段が既に不審者等の監視対象を捉えていた場合には、自装置の撮影範囲(画角内)に監視対象が現れる前に、監視対象に関する色情報を取得して自装置の色に関する動作条件を事前に決定することができる。このため、監視対象の不審者などを従来よりも早く、より鮮明な画像で撮影することができる。
【0026】
また、本発明は、上記いずれかの監視カメラの各手段の機能を実現させるためのプログラムを提供する。
【0027】
このプログラムを所定のコンピュータで実行することにより、上記の監視カメラと同様の機能を実現できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、監視対象の不審者などを従来よりも早く、より鮮明な画像で撮影することが可能な監視カメラ及び監視システムの制御方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る監視カメラの構成例を示すブロック図である。図2は監視システムを使用する環境の具体例を示す平面図である。
【0030】
本実施形態では、図1に示すような構成の監視カメラ1を複数台用いると共に、複数の監視カメラ1をネットワーク15を介して互いに通信できるように接続して監視システムを構成する場合を想定している。この監視システムを使用する環境の具体例が図2に示されている。図2に示す例では、互いに異なる位置に設置した8台の監視カメラ1A(カメラA),1B(カメラB),1C(カメラC),1D(カメラC),1E(カメラE),1F(カメラF),1G(カメラG)及び1H(カメラH)を用いて監視システムを構成する場合を想定している。
【0031】
図1に示すように、第1の実施形態の監視カメラ1は、カメラ群情報格納部2,設定情報変更部3,回線制御インタフェース部4,撮像部5,マイク6,スピーカ7,画像信号処理部8,符号化部9,音声信号処理部10,復号化部11及び回転台12を備えている。
【0032】
カメラ群情報格納部2は、この監視システムに接続されている全ての監視カメラ1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G及び1Hのそれぞれの設置場所に関する情報を予め保持している。
【0033】
設定情報変更部3は、ネットワーク15及び回線制御インタフェース部4を介して他の監視カメラ1から送信される色情報を取得し、この色情報とカメラ群情報格納部2内の情報とに基づいて、自装置におけるカメラの動作条件の設定を変更する。この動作条件については、カメラで撮影して得られる信号に対する信号処理の条件や、カメラの光学フィルタの特性が考えられる。
【0034】
他の監視カメラ1から取得する色情報としては、三原色であるRGBの各色成分の情報や、色相、明度、彩度のそれぞれを表す情報、光度、スペクトル、波長などの情報を用いることが考えられる。特にカメラやモニタでよく用いられていることから、RGB情報や輝度情報、色差情報を色情報として用いることが最も望ましい。
【0035】
ネットワーク15については、有線で構成されても無線で構成されても良いが、監視カメラ1の設置台数が多くなる場合には設置工事の平易さから、無線ネットワークであるのがより好ましい。また最近ではビル内や集合住宅内にLAN配線が敷設されている所謂「LAN対応」のオフィスビルや集合住宅も増加していることから、有線LANによる接続も好ましい。
【0036】
無線ネットワークとしては、無線LAN、Bluetoothなどのローカルエリアの無線規格やPHS(登録商標)、PDC、W−CDMAなどの公衆無線回線規格によるものが使用可能であるが、常時接続での利用も容易である点において、無線LAN規格による無線ネットワークがより好ましい。無線LAN規格としてはIEEE802.11aやIEEE802.11b, IEEE802.11gなど標準化された規格や独自規格が使用可能である。また有線ネットワークの場合は、前述のとおり、有線LANによる接続がより好ましい。
【0037】
撮像部5は、二次元カラーイメージセンサを内蔵しており、所定の監視対象領域内にある被写体を連続的に、あるいは周期的に撮影してカラーの画像信号を出力する。なお、撮像部5には撮影に必要な色の波長成分を通過させたり、不要な色の波長成分を遮断したりする光学フィルターを装備するのが望ましい。ガラスフィルタや樹脂フィルタ、干渉フィルタ、薄膜フィルタ、誘電体フィルタ、フィルムコーティングによる光学機能フィルターなどを用いればよい。
【0038】
画像信号処理部8は、撮像部5から出力されるカラーの画像信号をアナログ−ディジタル変換した後、符号化部9に送る。また、画像信号処理部8は、不審者検知/異常検知のために、撮影画像から、動き情報を検出したり、物体を認識して不審者などの特定の物体を検出するための機能を備えている。
【0039】
画像信号処理部8における不審者検知/異常検知の結果に関する情報(色情報を含む)は、回線制御インタフェース部4及びネットワーク15を介して他の監視カメラ1に向けて送信される。
【0040】
画像信号処理部8が情報を送信する際には、カメラ群情報格納部2に保持されている情報を参照することにより、伝送先の監視カメラ1を選択したり、伝送先のIPアドレスを指定することができる。また、自装置における不審者検知/異常検知の結果を伝送先の監視カメラ1が監視制御に反映して指令13を出すように制御することもできる。
【0041】
音声信号処理部10は、マイク6で取得した周辺の音声をアナログ−ディジタル変換し符号化部9に送るとともに、復号化部11から送られた音声データをディジタル−アナログ変換し、スピーカ7に送る。
【0042】
監視カメラ1は、それ自身の姿勢を調整して目標撮影位置にパン、チルト動作を可能とするために、回転台12を介して所定の部位に設置されている。この回転台12は、電気的に制御可能な駆動機構を内蔵しており、設定情報変更部3からの指令13に基づいて、監視カメラ1の撮影方向に関するパン、チルトの調整が可能になっている。
【0043】
なお、設定情報変更部3については演算装置が用いられる。演算装置としては、電子回路、リレー回路などが用いられ、特に小型で構成が簡単に行える電子回路が好ましい。電子回路としては、マイクロプロセッサやディジタルシグナルプロセッサのようなディジタル情報の演算処理を行う演算部品、コンパレータなどのアナログ部品による比較器、またはそれらを包含する演算回路やコンピュータが用いられる。
【0044】
カメラ群情報格納部2についてはメモリにより構成される。メモリとしては、書き換え可能な記録読み出し媒体を用いることができ、例えば半導体メモリ、ハードディスクドライブ、光磁気ディスクドライブ、磁気テープドライブなどが使用可能である。特に、高速に読み出しが可能で小型であることから半導体メモリが好ましい。また、メモリは、カード型やリムーバブルメディアのように監視カメラ1から、着脱可能に構成されるとなおよい。
【0045】
回線制御インタフェース部4は、ネットワーク15とのデータ送受信や回線制御を行う。ネットワーク15としては、有線LANまたは無線LANが適当である。回線制御インタフェース部4は、ネットワーク15の所定のプロトコルに基づいて、符号化部9から送出されるAV(音声及び映像)多重データや復号化部11に送られる音声符号化データなどのAVデータのほか、他の監視カメラ1との間で情報を交換し連係動作を行うために必要な信号を調停して、ネットワーク15との間でデータ送受を行う。
【0046】
図1に示す監視カメラ1は、自装置のカメラが不審者などを検出した場合に、検出した不審者などに関する色情報を他の特定のカメラに伝送する。伝送先のカメラの場所やIPアドレスについては、設定情報変更部3がカメラ群情報格納部2に保持されている情報に基づいて決定する。
【0047】
一方、自装置(監視カメラ1)が他のカメラからの色情報を受け取った場合には、自装置の設定情報変更部3は、受信した色情報(送信元のカメラで撮影された不審者などの特徴を表す色)に基づいて、自装置のカメラにおける監視条件の設定を変更する。
【0048】
従って、複数の監視カメラ1が互いに連係して動作することができる。例えば、既に不審者を捉えた第1のカメラの色情報をまだ不審者を捉えていない第2のカメラに伝送することにより、第2のカメラにおいては、不審者などの被写体の行動を先回りして、不審者画像の色の特徴を利用して自装置における撮影や認識のパラメータを最適化することができる。
【0049】
本実施形態では、監視システムを構成する各監視カメラ1が図2に示すようにそれぞれ異なる位置に設置されている。図2に示す全ての監視カメラ1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G及び1Hは、ネットワーク15を介して互いに接続され、それぞれが図1に示す構成になっている。
【0050】
図2に示す例では、監視対象の構内は玄関を真ん中にして、中央廊下と西廊下、東廊下のU字型の廊下を中心に構成されており、その廊下の各ポイントに、監視カメラ1A〜1Hが設置されている。この例では、玄関から直接つながる経路は中央廊下であり、また西廊下側から東廊下側へ行くためには、物理的に中央廊下を通過する必要がある。
【0051】
図3はカメラ群情報格納部に保持される情報の内容の具体例を示す模式図である。監視カメラ1A〜1Hのそれぞれに内蔵されたカメラ群情報格納部2は、図3に示すような情報を保持している。すなわち、カメラ群情報格納部2には、図2に示すような各カメラの構内配置が、構内の物理的経路によるノード情報と関連付けられた状態で格納されている。
【0052】
例えば、西廊下に設置されている監視カメラ1E側から、東廊下に設置されている監視カメラ1G側に移動する際には、中央廊下にある監視カメラ1B付近を通過する必要があるというノード情報がカメラ群情報格納部2に格納されている。また、各々のカメラが設置されている絶対位置の座標や、各カメラのIPアドレスなどが関連付けられてカメラ群情報格納部2に格納されている。
【0053】
次に第1の実施形態に係る監視システムを構成する各監視カメラ1の具体的な動作例について、図4〜図12を参照しながら説明する。ここで、図4〜図6はカメラAが不審者を検知した第1の状態を示し、図4は監視システムを使用する環境の具体例を示す平面図、図5は監視システムの動作例(情報伝達系統)を示す模式図、図6は監視システムの動作例を一覧表に示した図である。この例では、図2に示したような状況において、玄関から入った不審者が、中央廊下を通じて、西廊下側へ移動する場合を想定している。
【0054】
まず、赤い服が特徴的な不審者が図2に示す玄関から建物内部に侵入してきた場合を想定する。この場合、図4に示すように玄関に設置されている監視カメラ1A(カメラA)においては次のような動作を行う。
【0055】
まず、監視カメラ1Aの撮像部5が不審者を被写体として撮影し、画像信号処理部8が不審者を検知する。画像信号処理部8は、不審者の色の特徴として「赤色」を認識する。また、画像信号処理部8は、連携すべき他の監視カメラ1を自装置内のカメラ群情報格納部2に保持されている情報(図3参照)に基づいて決定する。図4〜図6に示した第1の状態では、不審者の可能性の高い次の移動経路上で最も距離の近い監視カメラ1B(カメラB)を連携すべき他の監視カメラ1として認識することになる。従って、監視カメラ1Aの画像信号処理部8は、「赤色に注意」という色情報を回線制御インタフェース部4を介してネットワーク15に出力し、監視カメラ1B宛に送信する。
【0056】
これにより、監視カメラ1Bは「不審者を検知し次にカメラBの位置に移動する、赤色が特徴なので赤色に注意するよう」を表す情報を監視カメラ1Aから受け取ることになる。監視カメラ1Bは次のように動作する。
【0057】
監視カメラ1B内の設定情報変更部3は、監視カメラ1Aから送信された情報を回線制御インタフェース部4を介して取得し、取得した情報に従って自装置の監視動作に関する動作条件を変更する。図4〜図6に示した第1の状態では、監視カメラ1Aで検出された不審者の特徴色が赤色なので、監視カメラ1B内で撮影した画像に対する信号処理や、光学フィルタの特性に関するパラメータの設定を、「不審者の特徴である赤色」が最も撮影、検知しやすい条件に自動的に変更する。そして、監視カメラ1Bは不審者が玄関方向から入ってくるのを、予め待ち構える。この場合、監視カメラ1Bは不審者が撮影範囲内に現れる前に、予め赤色が最も撮影、検知しやすい条件に自動調整されているため、高感度で不審者を撮影、認識して捕捉する。そして、カメラのパン、チルト、ズーム、フォーカスを不審者に合わせて追尾を開始する。
【0058】
次の段階として、不審者が中央廊下部に侵入してきた場合の各監視カメラ1の具体的な動作について図7〜図9を参照しながら説明する。図7〜図9はカメラBが不審者を検知した第2の状態を示し、図7は監視システムを使用する環境の具体例を示す平面図、図8は監視システムの動作例(情報伝達系統)を示す模式図、図9は監視システムの動作例を一覧表に示した図である。
【0059】
監視カメラ1Bにおいて、画像信号処理部8は前述の動作により不審者の特徴色が赤色であることを既に把握しているので、自装置のカメラで撮影した不審者の色の特徴として「赤色」の成分を再認識しながら不審者の追尾を開始する。そして、不審者の次の移動先となる可能性がある場所を特定するために、カメラ群情報格納部2に保持されている情報を参照する。
【0060】
図7〜図9に示した第2の状態では、図3に示すような情報を参照することにより、監視カメラ1Bの画像信号処理部8は、この構内経路に基づいて、次は監視カメラ1Cの設置位置及び監視カメラ1Dの設置位置が最も可能性が高いことを認識する。そして、監視カメラ1Bの回線制御インタフェース部4は、監視カメラ1C及び監視カメラ1Dに対して、「不審者を検知し次にカメラCかカメラDの位置に移動する、赤色が特徴なので赤色に注意するよう」との情報を伝達する。
【0061】
この場合、監視カメラ1Cの内部では、回線制御インタフェース部4を通じて監視カメラ1Bからの情報を受け取り、この情報を自装置のカメラの制御に反映する。すなわち、監視カメラ1Cの設定情報変更部3は、自装置のカメラの画像信号処理の条件やカメラの光学系に付加する光学フィルタの特性を、「不審者の特徴である赤色」が最も撮影、検知しやすい条件に自動的に切り替える。そして、不審者が玄関方向から中央廊下に移動してくるのを、予め待ち構える。
【0062】
このとき、監視カメラ1Cは予め赤色成分を最も撮影及び検知しやすい動作条件に切り替えてあるので、赤色が特徴的な不審者を高感度で撮影及び認識して捕捉し、カメラのパン、チルト、ズーム、フォーカスを不審者に合わせて追尾を開始する。
【0063】
監視カメラ1Dについても同様であり、カメラ内の回線制御インタフェース部4を通じて監視カメラ1Bからの情報を受け取り、この情報を自装置のカメラの制御に反映する。すなわち、監視カメラ1Dの設定情報変更部3は、自装置のカメラの画像信号処理の条件やカメラの光学系に付加する光学フィルタの特性を、「不審者の特徴である赤色」が最も撮影、検知しやすい条件に自動的に切り替える。そして、不審者が玄関方向から中央廊下に移動してくるのを、予め待ち構える。
【0064】
この場合、監視カメラ1Dは予め赤色成分を最も撮影及び検知しやすい動作条件に切り替えてあるので、赤色が特徴的な不審者を高感度で撮影及び認識して捕捉し、カメラのパン、チルト、ズーム、フォーカスを不審者に合わせて追尾を開始する。
【0065】
最後に、不審者が中央廊下部から西廊下部方向へ移動している場合について各監視カメラ1の具体的な動作について図10〜図12を参照しながら説明する。図10〜図12はカメラDが不審者を検知した第3の状態を示し、図10は監視システムを使用する環境の具体例を示す平面図、図11は監視システムの動作例(情報伝達系統)を示す模式図、図12は監視システムの動作例を一覧表に示した図である。
【0066】
第3の状態では、前述の動作と同様に、不審者を検出した監視カメラ1Dは、不審者の移動先にある監視カメラ1Eに対して、監視カメラ1Dが検出した不審者の色の特徴を表す色情報を伝達する。従って、監視カメラ1Eにおいては、監視カメラ1Dから送信された色情報に基づいて、自装置のカメラの画像信号処理の動作条件やカメラ光学系の光学フィルタの特性を、「不審者の特徴である赤色」が最も撮影、検知しやすい条件に設定しておき、不審者がカメラの画角に侵入してくるのを待ち構える。
【0067】
なお、各監視カメラ1を支持する回転台12については、カメラのパン、チルト、ズームの自動調整により不審者を撮影範囲内の例えば中央部で捉えるように追尾する。
【0068】
次に、他の監視カメラ1から伝達された色情報に基づいて自装置のカメラの動作条件を切り替えるための具体的な構成及び動作について説明する。図13は本実施形態の撮像部の具体的な構成例を示すブロック図である。図14は光学フィルタを切り替えるように動作させた場合の、複数の動作モードのそれぞれにおける感度特性を示すグラフである。
【0069】
図13及び図14に示す例では、カメラの撮影に使用する光学フィルタの特性を他の監視カメラ1から伝達された色情報に応じて切り替える場合を想定している。なお、図13においては一部の構成要素の記載を省略してあるが、実際には図1に示すような構成要素も備えている。
【0070】
監視カメラ1の撮像部5は、レンズ5a、光学フィルタ部5b,5c、光学系切り替え部5d,5e、二次元イメージセンサ5fを備えている。2つの光学フィルタ部5b,5cのうち一方の光学フィルタ部5bはIR(赤外線)フィルタを有し、他方の光学フィルタ部5cはIRフィルタを有していない。従って、2種類の光学フィルタ部5b,5cを切り替えることにより、赤色成分とそれ以外の波長成分とに対する感度特性を図14に示すように切り替えることができる。
【0071】
すなわち、通常撮影時には、設定情報変更部3が光学系切り替え部5d,5eを制御して、IRフィルタを有する光学フィルタ部5bがレンズ5aと二次元イメージセンサ5fとの間の光路に挿入されるように切り替える。
【0072】
また、他の監視カメラ1から回線制御インタフェース部4を介して色情報を受け取り、この色情報が「不審者の特徴である赤色に注意せよ」を表す情報であった場合には、設定情報変更部3は学系切り替え部5d,5eを制御して、IRフィルタが無い光学フィルタ部5cがレンズ5aと二次元イメージセンサ5fとの間の光路に挿入されるように切り替える。すなわち、2つの光学フィルタ部5b,5cを切り替えて使用することにより、図14に示す通常モードと赤注目モードとを切り替えることができる。
【0073】
赤注目モードの場合には、IRフィルタが無くなりCCDそのものの感度特性がでてくるため、遠赤外領域を含む赤色領域のCCD撮影感度が向上し、図14において、カメラ感度は、(a)通常モードから(b)赤注目モードまで遷移し、赤色の波長帯域の感度は、ΔSだけ上昇する。このように設定情報変更部3の指示によってIRフィルタの使用/不使用を切り替えることにより、「不審者画像の特徴である赤色」に対する撮影感度を上げることができる。
【0074】
なお、上記の例では「赤色」に着目したIRフィルタの切り替えの場合のみを想定しているが、他の色成分を通過又は遮断する光学フィルタを装備し、切り替えるよう動作してもよい。
【0075】
図15は第1の変形例として、バンドパスフィルタを切り替えるように動作させた場合の、複数の動作モードのそれぞれにおける透過特性を示すグラフである。図15に示す例では、青注目モードとして、青色だけを通過させるバンドパスフィルタを切り替えるように制御する場合の特性の変化を示している。この場合、バンドパスフィルタについては、光学系として用意されてもよいし、画像信号処理部8の内部に電気的な演算回路として用意してもよい。この場合、撮影感度そのものをあげることはできないが、他の非着目色が遮断されているため、「不審者画像の特徴色の青」が特に強くCCDに入射されることになり、不審者の認識、識別が容易となる。
【0076】
また、図16は第2の変形例として、ホワイトバランス調整点を移動させるように動作させた場合の、ホワイトバランス調整点を表す色信号ベクトル図である。図16に示す例では、撮影特性のホワイトバランス調整点を伝達された色情報に従って移動するように制御する場合を想定している。この色信号ベクトル図においては、緑色注目モードとして説明している。
【0077】
通常、B−Y、R−Yの交点(1)付近で調整されるホワイトバランスを、緑色のベクトル点(2)付近で調整することにより、着目色である緑色に対する感度を調整することができる。もしくは調整点は必要に応じて、緑色のベクトル点(2)を基にした新しい基準点に調整されてもよい。以上の制御については、画像信号処理部8の内部に電気的な演算回路として用意されることが望ましい。
【0078】
また、図17は第3の変形例として、ガンマ値を変化させるように動作させた場合の、ガンマ特性の例を表すグラフである。図17に示す例では、色情報に従ってガンマ値を変化させるよう制御する場合の特性例を表している。この場合、設定情報変更部3からの指示によって、画像信号処理部8でガンマ補正が行われ、不審者の色特徴を最も撮影、検知しやすいガンマ値に設定することができる。
【0079】
以上のように、第1の実施形態の監視カメラにおいては、設定情報変更部3が、カメラ群情報格納部2に保持されている情報に基づいて、動作条件を変更すべき送信先の他の監視カメラ1の場所とIPアドレスを特定してこの送信先に色情報を送信する。そして、色情報を受け取った監視カメラ1においては、設定情報変更部3が他の監視カメラ1から受け取った色情報に従って、自装置のカメラの動作条件を自動的に切り替えることができる。
【0080】
これにより、まだ不審者を撮影範囲内に捉えていない監視カメラ1においても、既に不審者を捉えた他の監視カメラ1が伝達する色情報を利用して、不審者などの被写体の行動を先回りして、不審者画像の色特徴を撮影、認識するのに最適なカメラ設定を予め行っておき、待ち構えることができる。従って、不審者が撮影画角に進入してきた当初から不審者をより鮮明に撮影でき、鮮明で動き滑らかな画像でタイミングを逃すことなく監視ができる。また、そのため、不審者の不審な行動など決定的なタイミングが不鮮明になってしまうリスクを少なくすることができ、高精度、短時間で不審者として認識することも可能となる。
【0081】
(第2の実施形態)
図18は本発明の第2の実施形態に係る監視カメラの構成例を示すブロック図、図19は処理画像の一例を示す図で、(A)は撮影画像、(B)は符号化画像を示した図である。
【0082】
第2の実施形態は第1の実施形態の変形例である。第1の実施形態と異なる部分について以下に説明する。なお、図18においては主要な構成要素だけを示してあるが、図1と同様の構成要素を設けても良い。
【0083】
第2の実施形態では、他の監視カメラ1から受け取った色情報を用いて、自装置のカメラの量子化と画像符号化の少なくとも一方の条件を変更するように設定情報変更部3が制御する。そして、画像信号処理部8には、赤色透過BPF(バンドパスフィルタ)8a及び赤色遮断BEF(バンドエリミネートフィルタ)8bが設けてあり、符号化部9には2種類の符号化部9a,9bが設けてある。
【0084】
図18に示す例では、「不審者の特徴である赤色」に着目して動作する場合を想定している。すなわち、赤色の衣服を着用しているなど、赤色が特徴的な不審者が撮像部5で撮影され、得られた監視画像の信号が画像信号処理部8に入力される。
【0085】
設定情報変更部3の指示により、撮影により得られた画像の信号は画像信号処理部8内の赤色透過BPF8a及び赤色遮断BEF8bにそれぞれ量子化の後で入力される。赤色の特徴に合わせた量子化のあと赤色透過BPF8aを通過した信号は、符号化部9aで、赤色の特徴に合わせた符号化が行われる。
【0086】
この例では、赤色は不審者の特徴色であるため、情報量が多くなっても、より精細で滑らかな画像が得られるように、量子化及び符号化されることが望ましく、例えば、赤色成分 に対しては量子化ビット数を高く切り替えて、符号化の圧縮率は低くなるように切り替えるのが好ましい。
【0087】
また、赤色以外の特徴に合わせた量子化のあとで赤色遮断BEF8bを通過した信号については、符号化部9bで、赤色以外の特徴に合わせた量子化、符号化が行われる。この例では、赤色以外の成分は殆どが背景画像であるため、多少画像が荒くブロックノイズが出たとしても、情報量が少なくなるように量子化、符号化されるのが望ましい。
【0088】
例えば、量子化ビット数を低く設定し、符号化の圧縮率は高く設定されるように設定するのが好ましい。注目色(赤)とそれ以外の色に分けて量子化、符号化された画像は、回線制御インタフェース部4を介してネットワークに送出される。
【0089】
従って、図19(A)に示すような撮像部5で撮影された撮影画像は、上記のような処理によって、符号化部9から出力される符号化画像として、図19(B)に示すような画像(なお、ここでは復号化されたものを示す)になる。すなわち、画像中の不審者の領域についてはその画像が注目すべき赤色成分が主体であるため、画像が精細で滑らかであるが、不審者以外の背景の領域についてはその画像の色成分が赤色以外であるため、この背景画像は荒い画像になっている。
【0090】
なお、図18に示した例では、着目すべき赤色部分のみの画質が上がるように量子化及び符号化を行う場合を想定したが、着目すべき赤色部分を中心とした、例えば不審者の顔や髪型も含まれる)領域について、画質が上がるように量子化及び符号化するよう制御すれば、不審者の顔や髪型などもより精細に判別可能になる。
【0091】
また、図18に示す例では、サブバンド符号化の考え方で、フィルタにより赤色とそれ以外の色とでそれぞれ特化した量子化、符号化を行うように設定情報変更部3が指示する場合を想定しているが、符号化部9において、Cr/Crの色情報の圧縮時に赤色成分の多いブロックは圧縮率を落として画像符号化するように設定情報変更部3が指示をする構成としてもよい。
【0092】
第2の実施形態の監視カメラ1においては、他の監視カメラ1が送出する色情報を受け取った監視カメラ1の設定情報変更部3が、この色情報に従って、カメラの量子化と画像符号化の少なくとも一方の条件を変更するので、画像の中で不審者など注目すべき画像の特徴色領域を量子化、符号化するに最適なカメラ設定で画像伝送ができるため、不審者が撮影画角に進入してきた当初から不審者を、より鮮明に動き滑らかな画像で監視できる。
【0093】
上述したように、本実施形態によれば、他のカメラが撮影した画像に基づいて検出される不審者など注目すべき監視対象の画像の特徴的な色情報を利用して、自装置のカメラの画角内に不審者等の監視対象が近づく前に、監視対象の色に関して撮影、認識、量子化、符号化等を行うのに最適なカメラ設定を行っておき、不審者などの被写体の移動を先回りして撮影を待ち構えることができる。
【0094】
したがって、監視カメラを利用して監視システムを構成する場合に、各監視カメラが各々の撮影範囲内に不審者などの被写体をまだ捉えていない時であっても、既に監視対象を捉えた他の監視カメラが送出する色情報を利用することにより、監視対象の移動先にある監視カメラにおいては先回りして、監視対象を最適な動作条件で撮影できる状態で事前に待ち構えることができる。このため、監視対象が撮影画角に進入してきた当初から監視対象をより鮮明で動き滑らかな画像で監視できる。また、不審者等の監視対象の行動など、決定的なタイミングの撮り逃しを少なくすることができ、監視カメラによる不審者等の確実な撮影や、監視カメラの省電力化等を実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、監視対象の不審者などを従来よりも早く、より鮮明な画像で撮影することが可能となる効果を有し、互いに撮影対象領域が異なる複数のカラー撮像手段を所定の通信回線を介して互いに通信可能な状態で接続して構成した監視システムに用いられる監視カメラ及びこの監視システムの制御方法等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る監視カメラの構成例を示すブロック図
【図2】本実施形態の監視システムを使用する環境の具体例を示す平面図
【図3】本実施形態の監視カメラのカメラ群情報格納部に保持される情報の内容の具体例を示す模式図
【図4】カメラAが不審者を検知した第1の状態における、監視システムを使用する環境の具体例を示す平面図
【図5】第1の状態における監視システムの動作例を示す模式図
【図6】第1の状態における監視システムの動作例を一覧表に示した図
【図7】カメラBが不審者を検知した第2の状態における、監視システムを使用する環境の具体例を示す平面図
【図8】第2の状態における監視システムの動作例を示す模式図
【図9】第2の状態における監視システムの動作例を一覧表に示した図
【図10】カメラDが不審者を検知した第3の状態における、監視システムを使用する環境の具体例を示す平面図
【図11】第3の状態における監視システムの動作例を示す模式図
【図12】第3の状態における監視システムの動作例を一覧表に示した図
【図13】本実施形態の撮像部の具体的な構成例を示すブロック図
【図14】光学フィルタを切り替えるように動作させた場合の、複数の動作モードのそれぞれにおける感度特性を示すグラフ
【図15】第1の変形例として、バンドパスフィルタを切り替えるように動作させた場合の、複数の動作モードのそれぞれにおける透過特性を示すグラフ
【図16】第2の変形例として、ホワイトバランス調整点を移動させるように動作させた場合の、ホワイトバランス調整点を表す色信号ベクトル図
【図17】第3の変形例として、ガンマ値を変化させるように動作させた場合の、ガンマ特性の例を表すグラフ
【図18】本発明の第2の実施形態に係る監視カメラの構成例を示すブロック図
【図19】第2の実施形態における処理画像の一例を示す図で、(A)は撮影画像、(B)は符号化画像を示した図
【図20】従来例の監視システムの構成例を示すブロック図
【符号の説明】
【0097】
1 監視カメラ
2 カメラ群情報格納部
3 設定情報変更部
4 回線制御インタフェース部
5 撮像部
5a レンズ
5b、5c 光学フィルタ部
5d、5e 光学系切り替え部
5f 二次元イメージセンサ
6 マイク
7 スピーカ
8 画像信号処理部
8a 赤色透過BPF
8b 赤色遮断BEF
9 符号化部
10 音声信号処理部
11 復号化部
12 回転台
13 指令
15 ネットワーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに撮影対象領域が異なる複数のカラー撮像手段を所定の通信回線を介して互いに通信可能な状態で接続して構成した監視システムに用いられる監視カメラ及びこの監視システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不審者などを監視するために、複数の監視カメラを通信回線を介して互いに接続して構成した監視システムの従来技術については、例えば特許文献1に開示されているような技術が知られている。
【0003】
この従来技術においては、図20に示すように複数の監視カメラ装置(A,B)101が、それぞれ画像撮影手段102で撮影した撮影画像の画像認識をするための特徴情報抽出手段103と特徴情報比較手段104とを備えている。また、監視カメラ装置101は、撮影画像中の移動物体の特徴情報を認識した画像を、映像伝送手段105によりネットワーク111を介し遠隔地のモニタ装置107に伝送するとともに、移動物体の特徴情報を特徴情報交換手段106によりネットワーク111を介して他の監視カメラ装置101に送る。特徴情報を受け取った監視カメラ装置101では、撮影した画像の中に送られた特徴情報と一致した画像があれば、同一の被監視対象であると判断して、この画像をネットワーク111を介してモニタ装置107に伝送する。
【0004】
つまり、複数の監視カメラ装置がそれぞれ撮影により検出した特徴情報が一致すれば、同一の被監視対象であると判断するので、監視カメラ装置で追跡対象をリレー式に追跡し続けることができる。
【0005】
しかし、従来の監視カメラ装置においては、検出された特徴情報を対象物を継続して追跡するための同一性の判断材料としてしか使用していなかった。
【0006】
監視カメラの制御についてはカメラ毎に独立しているため、例えば既に他の監視カメラが不審者を捉えていたとしても、それぞれの監視カメラは自分の監視領域の画角内に不審者が入ったことを検出した後で、その都度、各カメラにおけるオートホワイトバランス回路やオートゲインコントロールなどの機能を動作させ、不審者部分の画像を明瞭に捉えることができるように自動的に調整を行う。
【0007】
このため、各カメラの画角内に不審者が現れてから画像上で不審者を明瞭に捉えるまでには時間がかかり、認識率の低下や処理の遅れが生じることになる。つまり、複数の監視カメラで監視システムが構成され、一部の監視カメラが既に不審者の特徴を捉えている場合であっても、カメラ毎にその都度、明瞭な撮影、認識、追尾のための調整や設定をやり直すことになるので処理に時間が掛かってしまう。撮影条件が最適化されるまでの間は、画像が不鮮明になる可能性が高く、不審者の行動など決定的なタイミングを撮り逃してしまう可能性がある。
【0008】
また、LAN(Local Area Network)のような通信ネットワークを利用して複数の監視カメラを接続したシステムにおいては、データの伝送帯域に制限があるため、伝送する画像データは符号化により圧縮した状態で伝送せざるを得ない。しかし、画像符号化によって注目したい不審者の領域の画像の鮮明度も失われてしまう可能性がある。
【0009】
また、不審者の領域を認識し切り出して別途符号化する技術も知られているが、前述のように、不審者を明瞭に撮影し、認識できるまでに時間が掛かるため、その期間は画像が不鮮明になる可能性がある。
【0010】
【特許文献1】特開2003−324720号公報(段落番号0007〜0034)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、監視対象の不審者などを従来よりも早く、より鮮明な画像で撮影することが可能な監視カメラ及び監視システムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の監視カメラは、複数のカラー撮像手段を所定の通信回線を介して互いに通信可能な状態で接続して構成した監視システムに前記カラー撮像手段の1つとして用いられる監視カメラであって、自装置以外の他のカラー撮像手段が撮影した画像の色情報に基づいて、自装置の色に関する動作条件を決定する動作色変更手段を備えるものである。
【0013】
これにより、例えば他のカラー撮像手段が既に不審者等の監視対象を捉えていた場合には、自装置の撮影範囲(画角内)に監視対象が現れる前に、監視対象に関する色情報を取得して自装置の色に関する動作条件を事前に決定することができる。したがって、例えば監視対象の特徴である色情報に対して撮影の感度が高くなるように調整したり、監視対象の特徴である色情報に対して撮影画像の解像度を上げるような処理を行うことも可能である。その結果、監視対象が到来する前に待ち構えておき、監視対象が撮影画角に進入してきた当初から監視対象を鮮明に撮影できるため、より鮮明で動き滑らかな画像でタイミングを逃すことなく監視を行うことができる。よって、監視対象の不審な行動など決定的なタイミングが不鮮明になってしまうリスクを少なくすることができ、高精度、短時間で監視対象を不審者として認識することも可能となる。
【0014】
また、本発明は、上記の監視カメラであって、前記監視システムに接続される複数のカラー撮像手段のそれぞれの設置場所の、少なくとも位置に関する情報を保持するカメラ群情報格納手段を更に備え、前記動作色変更手段は、自装置以外の他のカラー撮像手段が撮影した画像の色情報と前記カメラ群情報格納手段に保持されている情報とに基づいて、自装置の色に関する動作条件を決定するものとする。
【0015】
これにより、カメラ群情報格納手段が保持している情報に基づいて、既に不審者等の監視対象を検出した他のカメラ(カラー撮像手段)の位置や、監視対象の移動先にあるカメラを特定することができるので、不審者などの被写体の動きを先回りして、監視対象の撮影のために事前に待ち構えるべきカメラを絞り込むことができ、より効率的に監視システムを稼働させることができる。監視対象の捕捉に不必要なカメラについては通常通りの監視を継続すればよい。
【0016】
また、本発明は、上記の監視カメラであって、前記動作色変更手段は、自装置が撮影して得られる画像信号の色に関する信号処理の条件を、自装置以外の他のカラー撮像手段が撮影した画像の色情報に基づいて変更するものとする。
【0017】
これにより、例えば他のカメラによって検出された不審者等の監視対象の特徴を表す色の領域だけを自装置のカメラで撮影した画像の中から抽出したり、それ以外の領域を不要な情報とみなして事前に除外することもできる。このため、自装置のカメラで撮影した画像からより早く不審者等を見つけることができ、鮮明で動き滑らかな画像でタイミングを逃すことなく監視を行うことができる。
【0018】
また、本発明は、上記の監視カメラであって、前記動作色変更手段は、自装置が被写体を撮影する際に使用する光学フィルタの色特性を、自装置以外の他のカラー撮像手段が撮影した画像の色情報に基づいて変更するものとする。
【0019】
これにより、自装置のカメラに複数種類の光学フィルタが選択可能に装着されている場合には、例えば他のカメラによって検出された不審者等の監視対象の特徴を表す色成分を高感度で撮影し、それ以外の色成分の感度を下げるように光学フィルタを切り替えることもできる。したがって、自装置のカメラで撮影した画像からより早く不審者等を見つけることができ、鮮明で動き滑らかな画像でタイミングを逃すことなく監視を行うことができる。
【0020】
また、本発明は、上記の監視カメラであって、自装置が撮影して得られる画像信号に対する、量子化と画像符号化の少なくとも一方の信号処理について、色の違いを反映する信号処理手段を更に備え、前記動作色変更手段は、前記信号処理手段における処理の条件を、自装置以外の他のカラー撮像手段が撮影した画像の色情報に基づいて変更するものとする。
【0021】
これにより、自装置で撮影した画像信号に対する量子化誤差や、符号化(圧縮)に伴う情報の損失を色の違いに応じて変更することができ、他のカメラで検出された不審者等の監視対象の色に相当する画像成分が、量子化や符号化によって劣化するのを防止することができる。したがって、限られた伝送帯域の中で、監視対象が撮影画角に進入してきた当初から監視対象を更に鮮明に、動き滑らかな画像で監視できる。
【0022】
本発明の監視カメラシステムは、カラー撮像手段を備えた第1の監視カメラ及び第2の監視カメラが所定の通信回線を介して互いに通信可能な状態で接続された監視カメラシステムにおいて、第1の監視カメラのカラー撮像手段が撮影した画像の色情報に基づいて、第2の監視カメラの色に関する動作条件を決定する動作色変更手段を備えるものである。
【0023】
これにより、複数の監視カメラが接続された監視カメラシステムにおいて、監視対象の不審者などを従来よりも早く、より鮮明な画像で撮影することが可能となる。
【0024】
本発明の監視システムの制御方法は、複数のカラー撮像手段を所定の通信回線を介して互いに通信可能な状態で接続して構成した監視システムに用いられる監視カメラを制御するための監視システムの制御方法であって、第1のカラー撮像手段が撮影した画像の色情報に基づいて、第2のカラー撮像手段の色に関する動作条件を決定するステップを有するものである。
【0025】
これにより、例えば他のカラー撮像手段が既に不審者等の監視対象を捉えていた場合には、自装置の撮影範囲(画角内)に監視対象が現れる前に、監視対象に関する色情報を取得して自装置の色に関する動作条件を事前に決定することができる。このため、監視対象の不審者などを従来よりも早く、より鮮明な画像で撮影することができる。
【0026】
また、本発明は、上記いずれかの監視カメラの各手段の機能を実現させるためのプログラムを提供する。
【0027】
このプログラムを所定のコンピュータで実行することにより、上記の監視カメラと同様の機能を実現できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、監視対象の不審者などを従来よりも早く、より鮮明な画像で撮影することが可能な監視カメラ及び監視システムの制御方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る監視カメラの構成例を示すブロック図である。図2は監視システムを使用する環境の具体例を示す平面図である。
【0030】
本実施形態では、図1に示すような構成の監視カメラ1を複数台用いると共に、複数の監視カメラ1をネットワーク15を介して互いに通信できるように接続して監視システムを構成する場合を想定している。この監視システムを使用する環境の具体例が図2に示されている。図2に示す例では、互いに異なる位置に設置した8台の監視カメラ1A(カメラA),1B(カメラB),1C(カメラC),1D(カメラC),1E(カメラE),1F(カメラF),1G(カメラG)及び1H(カメラH)を用いて監視システムを構成する場合を想定している。
【0031】
図1に示すように、第1の実施形態の監視カメラ1は、カメラ群情報格納部2,設定情報変更部3,回線制御インタフェース部4,撮像部5,マイク6,スピーカ7,画像信号処理部8,符号化部9,音声信号処理部10,復号化部11及び回転台12を備えている。
【0032】
カメラ群情報格納部2は、この監視システムに接続されている全ての監視カメラ1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G及び1Hのそれぞれの設置場所に関する情報を予め保持している。
【0033】
設定情報変更部3は、ネットワーク15及び回線制御インタフェース部4を介して他の監視カメラ1から送信される色情報を取得し、この色情報とカメラ群情報格納部2内の情報とに基づいて、自装置におけるカメラの動作条件の設定を変更する。この動作条件については、カメラで撮影して得られる信号に対する信号処理の条件や、カメラの光学フィルタの特性が考えられる。
【0034】
他の監視カメラ1から取得する色情報としては、三原色であるRGBの各色成分の情報や、色相、明度、彩度のそれぞれを表す情報、光度、スペクトル、波長などの情報を用いることが考えられる。特にカメラやモニタでよく用いられていることから、RGB情報や輝度情報、色差情報を色情報として用いることが最も望ましい。
【0035】
ネットワーク15については、有線で構成されても無線で構成されても良いが、監視カメラ1の設置台数が多くなる場合には設置工事の平易さから、無線ネットワークであるのがより好ましい。また最近ではビル内や集合住宅内にLAN配線が敷設されている所謂「LAN対応」のオフィスビルや集合住宅も増加していることから、有線LANによる接続も好ましい。
【0036】
無線ネットワークとしては、無線LAN、Bluetoothなどのローカルエリアの無線規格やPHS(登録商標)、PDC、W−CDMAなどの公衆無線回線規格によるものが使用可能であるが、常時接続での利用も容易である点において、無線LAN規格による無線ネットワークがより好ましい。無線LAN規格としてはIEEE802.11aやIEEE802.11b, IEEE802.11gなど標準化された規格や独自規格が使用可能である。また有線ネットワークの場合は、前述のとおり、有線LANによる接続がより好ましい。
【0037】
撮像部5は、二次元カラーイメージセンサを内蔵しており、所定の監視対象領域内にある被写体を連続的に、あるいは周期的に撮影してカラーの画像信号を出力する。なお、撮像部5には撮影に必要な色の波長成分を通過させたり、不要な色の波長成分を遮断したりする光学フィルターを装備するのが望ましい。ガラスフィルタや樹脂フィルタ、干渉フィルタ、薄膜フィルタ、誘電体フィルタ、フィルムコーティングによる光学機能フィルターなどを用いればよい。
【0038】
画像信号処理部8は、撮像部5から出力されるカラーの画像信号をアナログ−ディジタル変換した後、符号化部9に送る。また、画像信号処理部8は、不審者検知/異常検知のために、撮影画像から、動き情報を検出したり、物体を認識して不審者などの特定の物体を検出するための機能を備えている。
【0039】
画像信号処理部8における不審者検知/異常検知の結果に関する情報(色情報を含む)は、回線制御インタフェース部4及びネットワーク15を介して他の監視カメラ1に向けて送信される。
【0040】
画像信号処理部8が情報を送信する際には、カメラ群情報格納部2に保持されている情報を参照することにより、伝送先の監視カメラ1を選択したり、伝送先のIPアドレスを指定することができる。また、自装置における不審者検知/異常検知の結果を伝送先の監視カメラ1が監視制御に反映して指令13を出すように制御することもできる。
【0041】
音声信号処理部10は、マイク6で取得した周辺の音声をアナログ−ディジタル変換し符号化部9に送るとともに、復号化部11から送られた音声データをディジタル−アナログ変換し、スピーカ7に送る。
【0042】
監視カメラ1は、それ自身の姿勢を調整して目標撮影位置にパン、チルト動作を可能とするために、回転台12を介して所定の部位に設置されている。この回転台12は、電気的に制御可能な駆動機構を内蔵しており、設定情報変更部3からの指令13に基づいて、監視カメラ1の撮影方向に関するパン、チルトの調整が可能になっている。
【0043】
なお、設定情報変更部3については演算装置が用いられる。演算装置としては、電子回路、リレー回路などが用いられ、特に小型で構成が簡単に行える電子回路が好ましい。電子回路としては、マイクロプロセッサやディジタルシグナルプロセッサのようなディジタル情報の演算処理を行う演算部品、コンパレータなどのアナログ部品による比較器、またはそれらを包含する演算回路やコンピュータが用いられる。
【0044】
カメラ群情報格納部2についてはメモリにより構成される。メモリとしては、書き換え可能な記録読み出し媒体を用いることができ、例えば半導体メモリ、ハードディスクドライブ、光磁気ディスクドライブ、磁気テープドライブなどが使用可能である。特に、高速に読み出しが可能で小型であることから半導体メモリが好ましい。また、メモリは、カード型やリムーバブルメディアのように監視カメラ1から、着脱可能に構成されるとなおよい。
【0045】
回線制御インタフェース部4は、ネットワーク15とのデータ送受信や回線制御を行う。ネットワーク15としては、有線LANまたは無線LANが適当である。回線制御インタフェース部4は、ネットワーク15の所定のプロトコルに基づいて、符号化部9から送出されるAV(音声及び映像)多重データや復号化部11に送られる音声符号化データなどのAVデータのほか、他の監視カメラ1との間で情報を交換し連係動作を行うために必要な信号を調停して、ネットワーク15との間でデータ送受を行う。
【0046】
図1に示す監視カメラ1は、自装置のカメラが不審者などを検出した場合に、検出した不審者などに関する色情報を他の特定のカメラに伝送する。伝送先のカメラの場所やIPアドレスについては、設定情報変更部3がカメラ群情報格納部2に保持されている情報に基づいて決定する。
【0047】
一方、自装置(監視カメラ1)が他のカメラからの色情報を受け取った場合には、自装置の設定情報変更部3は、受信した色情報(送信元のカメラで撮影された不審者などの特徴を表す色)に基づいて、自装置のカメラにおける監視条件の設定を変更する。
【0048】
従って、複数の監視カメラ1が互いに連係して動作することができる。例えば、既に不審者を捉えた第1のカメラの色情報をまだ不審者を捉えていない第2のカメラに伝送することにより、第2のカメラにおいては、不審者などの被写体の行動を先回りして、不審者画像の色の特徴を利用して自装置における撮影や認識のパラメータを最適化することができる。
【0049】
本実施形態では、監視システムを構成する各監視カメラ1が図2に示すようにそれぞれ異なる位置に設置されている。図2に示す全ての監視カメラ1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G及び1Hは、ネットワーク15を介して互いに接続され、それぞれが図1に示す構成になっている。
【0050】
図2に示す例では、監視対象の構内は玄関を真ん中にして、中央廊下と西廊下、東廊下のU字型の廊下を中心に構成されており、その廊下の各ポイントに、監視カメラ1A〜1Hが設置されている。この例では、玄関から直接つながる経路は中央廊下であり、また西廊下側から東廊下側へ行くためには、物理的に中央廊下を通過する必要がある。
【0051】
図3はカメラ群情報格納部に保持される情報の内容の具体例を示す模式図である。監視カメラ1A〜1Hのそれぞれに内蔵されたカメラ群情報格納部2は、図3に示すような情報を保持している。すなわち、カメラ群情報格納部2には、図2に示すような各カメラの構内配置が、構内の物理的経路によるノード情報と関連付けられた状態で格納されている。
【0052】
例えば、西廊下に設置されている監視カメラ1E側から、東廊下に設置されている監視カメラ1G側に移動する際には、中央廊下にある監視カメラ1B付近を通過する必要があるというノード情報がカメラ群情報格納部2に格納されている。また、各々のカメラが設置されている絶対位置の座標や、各カメラのIPアドレスなどが関連付けられてカメラ群情報格納部2に格納されている。
【0053】
次に第1の実施形態に係る監視システムを構成する各監視カメラ1の具体的な動作例について、図4〜図12を参照しながら説明する。ここで、図4〜図6はカメラAが不審者を検知した第1の状態を示し、図4は監視システムを使用する環境の具体例を示す平面図、図5は監視システムの動作例(情報伝達系統)を示す模式図、図6は監視システムの動作例を一覧表に示した図である。この例では、図2に示したような状況において、玄関から入った不審者が、中央廊下を通じて、西廊下側へ移動する場合を想定している。
【0054】
まず、赤い服が特徴的な不審者が図2に示す玄関から建物内部に侵入してきた場合を想定する。この場合、図4に示すように玄関に設置されている監視カメラ1A(カメラA)においては次のような動作を行う。
【0055】
まず、監視カメラ1Aの撮像部5が不審者を被写体として撮影し、画像信号処理部8が不審者を検知する。画像信号処理部8は、不審者の色の特徴として「赤色」を認識する。また、画像信号処理部8は、連携すべき他の監視カメラ1を自装置内のカメラ群情報格納部2に保持されている情報(図3参照)に基づいて決定する。図4〜図6に示した第1の状態では、不審者の可能性の高い次の移動経路上で最も距離の近い監視カメラ1B(カメラB)を連携すべき他の監視カメラ1として認識することになる。従って、監視カメラ1Aの画像信号処理部8は、「赤色に注意」という色情報を回線制御インタフェース部4を介してネットワーク15に出力し、監視カメラ1B宛に送信する。
【0056】
これにより、監視カメラ1Bは「不審者を検知し次にカメラBの位置に移動する、赤色が特徴なので赤色に注意するよう」を表す情報を監視カメラ1Aから受け取ることになる。監視カメラ1Bは次のように動作する。
【0057】
監視カメラ1B内の設定情報変更部3は、監視カメラ1Aから送信された情報を回線制御インタフェース部4を介して取得し、取得した情報に従って自装置の監視動作に関する動作条件を変更する。図4〜図6に示した第1の状態では、監視カメラ1Aで検出された不審者の特徴色が赤色なので、監視カメラ1B内で撮影した画像に対する信号処理や、光学フィルタの特性に関するパラメータの設定を、「不審者の特徴である赤色」が最も撮影、検知しやすい条件に自動的に変更する。そして、監視カメラ1Bは不審者が玄関方向から入ってくるのを、予め待ち構える。この場合、監視カメラ1Bは不審者が撮影範囲内に現れる前に、予め赤色が最も撮影、検知しやすい条件に自動調整されているため、高感度で不審者を撮影、認識して捕捉する。そして、カメラのパン、チルト、ズーム、フォーカスを不審者に合わせて追尾を開始する。
【0058】
次の段階として、不審者が中央廊下部に侵入してきた場合の各監視カメラ1の具体的な動作について図7〜図9を参照しながら説明する。図7〜図9はカメラBが不審者を検知した第2の状態を示し、図7は監視システムを使用する環境の具体例を示す平面図、図8は監視システムの動作例(情報伝達系統)を示す模式図、図9は監視システムの動作例を一覧表に示した図である。
【0059】
監視カメラ1Bにおいて、画像信号処理部8は前述の動作により不審者の特徴色が赤色であることを既に把握しているので、自装置のカメラで撮影した不審者の色の特徴として「赤色」の成分を再認識しながら不審者の追尾を開始する。そして、不審者の次の移動先となる可能性がある場所を特定するために、カメラ群情報格納部2に保持されている情報を参照する。
【0060】
図7〜図9に示した第2の状態では、図3に示すような情報を参照することにより、監視カメラ1Bの画像信号処理部8は、この構内経路に基づいて、次は監視カメラ1Cの設置位置及び監視カメラ1Dの設置位置が最も可能性が高いことを認識する。そして、監視カメラ1Bの回線制御インタフェース部4は、監視カメラ1C及び監視カメラ1Dに対して、「不審者を検知し次にカメラCかカメラDの位置に移動する、赤色が特徴なので赤色に注意するよう」との情報を伝達する。
【0061】
この場合、監視カメラ1Cの内部では、回線制御インタフェース部4を通じて監視カメラ1Bからの情報を受け取り、この情報を自装置のカメラの制御に反映する。すなわち、監視カメラ1Cの設定情報変更部3は、自装置のカメラの画像信号処理の条件やカメラの光学系に付加する光学フィルタの特性を、「不審者の特徴である赤色」が最も撮影、検知しやすい条件に自動的に切り替える。そして、不審者が玄関方向から中央廊下に移動してくるのを、予め待ち構える。
【0062】
このとき、監視カメラ1Cは予め赤色成分を最も撮影及び検知しやすい動作条件に切り替えてあるので、赤色が特徴的な不審者を高感度で撮影及び認識して捕捉し、カメラのパン、チルト、ズーム、フォーカスを不審者に合わせて追尾を開始する。
【0063】
監視カメラ1Dについても同様であり、カメラ内の回線制御インタフェース部4を通じて監視カメラ1Bからの情報を受け取り、この情報を自装置のカメラの制御に反映する。すなわち、監視カメラ1Dの設定情報変更部3は、自装置のカメラの画像信号処理の条件やカメラの光学系に付加する光学フィルタの特性を、「不審者の特徴である赤色」が最も撮影、検知しやすい条件に自動的に切り替える。そして、不審者が玄関方向から中央廊下に移動してくるのを、予め待ち構える。
【0064】
この場合、監視カメラ1Dは予め赤色成分を最も撮影及び検知しやすい動作条件に切り替えてあるので、赤色が特徴的な不審者を高感度で撮影及び認識して捕捉し、カメラのパン、チルト、ズーム、フォーカスを不審者に合わせて追尾を開始する。
【0065】
最後に、不審者が中央廊下部から西廊下部方向へ移動している場合について各監視カメラ1の具体的な動作について図10〜図12を参照しながら説明する。図10〜図12はカメラDが不審者を検知した第3の状態を示し、図10は監視システムを使用する環境の具体例を示す平面図、図11は監視システムの動作例(情報伝達系統)を示す模式図、図12は監視システムの動作例を一覧表に示した図である。
【0066】
第3の状態では、前述の動作と同様に、不審者を検出した監視カメラ1Dは、不審者の移動先にある監視カメラ1Eに対して、監視カメラ1Dが検出した不審者の色の特徴を表す色情報を伝達する。従って、監視カメラ1Eにおいては、監視カメラ1Dから送信された色情報に基づいて、自装置のカメラの画像信号処理の動作条件やカメラ光学系の光学フィルタの特性を、「不審者の特徴である赤色」が最も撮影、検知しやすい条件に設定しておき、不審者がカメラの画角に侵入してくるのを待ち構える。
【0067】
なお、各監視カメラ1を支持する回転台12については、カメラのパン、チルト、ズームの自動調整により不審者を撮影範囲内の例えば中央部で捉えるように追尾する。
【0068】
次に、他の監視カメラ1から伝達された色情報に基づいて自装置のカメラの動作条件を切り替えるための具体的な構成及び動作について説明する。図13は本実施形態の撮像部の具体的な構成例を示すブロック図である。図14は光学フィルタを切り替えるように動作させた場合の、複数の動作モードのそれぞれにおける感度特性を示すグラフである。
【0069】
図13及び図14に示す例では、カメラの撮影に使用する光学フィルタの特性を他の監視カメラ1から伝達された色情報に応じて切り替える場合を想定している。なお、図13においては一部の構成要素の記載を省略してあるが、実際には図1に示すような構成要素も備えている。
【0070】
監視カメラ1の撮像部5は、レンズ5a、光学フィルタ部5b,5c、光学系切り替え部5d,5e、二次元イメージセンサ5fを備えている。2つの光学フィルタ部5b,5cのうち一方の光学フィルタ部5bはIR(赤外線)フィルタを有し、他方の光学フィルタ部5cはIRフィルタを有していない。従って、2種類の光学フィルタ部5b,5cを切り替えることにより、赤色成分とそれ以外の波長成分とに対する感度特性を図14に示すように切り替えることができる。
【0071】
すなわち、通常撮影時には、設定情報変更部3が光学系切り替え部5d,5eを制御して、IRフィルタを有する光学フィルタ部5bがレンズ5aと二次元イメージセンサ5fとの間の光路に挿入されるように切り替える。
【0072】
また、他の監視カメラ1から回線制御インタフェース部4を介して色情報を受け取り、この色情報が「不審者の特徴である赤色に注意せよ」を表す情報であった場合には、設定情報変更部3は学系切り替え部5d,5eを制御して、IRフィルタが無い光学フィルタ部5cがレンズ5aと二次元イメージセンサ5fとの間の光路に挿入されるように切り替える。すなわち、2つの光学フィルタ部5b,5cを切り替えて使用することにより、図14に示す通常モードと赤注目モードとを切り替えることができる。
【0073】
赤注目モードの場合には、IRフィルタが無くなりCCDそのものの感度特性がでてくるため、遠赤外領域を含む赤色領域のCCD撮影感度が向上し、図14において、カメラ感度は、(a)通常モードから(b)赤注目モードまで遷移し、赤色の波長帯域の感度は、ΔSだけ上昇する。このように設定情報変更部3の指示によってIRフィルタの使用/不使用を切り替えることにより、「不審者画像の特徴である赤色」に対する撮影感度を上げることができる。
【0074】
なお、上記の例では「赤色」に着目したIRフィルタの切り替えの場合のみを想定しているが、他の色成分を通過又は遮断する光学フィルタを装備し、切り替えるよう動作してもよい。
【0075】
図15は第1の変形例として、バンドパスフィルタを切り替えるように動作させた場合の、複数の動作モードのそれぞれにおける透過特性を示すグラフである。図15に示す例では、青注目モードとして、青色だけを通過させるバンドパスフィルタを切り替えるように制御する場合の特性の変化を示している。この場合、バンドパスフィルタについては、光学系として用意されてもよいし、画像信号処理部8の内部に電気的な演算回路として用意してもよい。この場合、撮影感度そのものをあげることはできないが、他の非着目色が遮断されているため、「不審者画像の特徴色の青」が特に強くCCDに入射されることになり、不審者の認識、識別が容易となる。
【0076】
また、図16は第2の変形例として、ホワイトバランス調整点を移動させるように動作させた場合の、ホワイトバランス調整点を表す色信号ベクトル図である。図16に示す例では、撮影特性のホワイトバランス調整点を伝達された色情報に従って移動するように制御する場合を想定している。この色信号ベクトル図においては、緑色注目モードとして説明している。
【0077】
通常、B−Y、R−Yの交点(1)付近で調整されるホワイトバランスを、緑色のベクトル点(2)付近で調整することにより、着目色である緑色に対する感度を調整することができる。もしくは調整点は必要に応じて、緑色のベクトル点(2)を基にした新しい基準点に調整されてもよい。以上の制御については、画像信号処理部8の内部に電気的な演算回路として用意されることが望ましい。
【0078】
また、図17は第3の変形例として、ガンマ値を変化させるように動作させた場合の、ガンマ特性の例を表すグラフである。図17に示す例では、色情報に従ってガンマ値を変化させるよう制御する場合の特性例を表している。この場合、設定情報変更部3からの指示によって、画像信号処理部8でガンマ補正が行われ、不審者の色特徴を最も撮影、検知しやすいガンマ値に設定することができる。
【0079】
以上のように、第1の実施形態の監視カメラにおいては、設定情報変更部3が、カメラ群情報格納部2に保持されている情報に基づいて、動作条件を変更すべき送信先の他の監視カメラ1の場所とIPアドレスを特定してこの送信先に色情報を送信する。そして、色情報を受け取った監視カメラ1においては、設定情報変更部3が他の監視カメラ1から受け取った色情報に従って、自装置のカメラの動作条件を自動的に切り替えることができる。
【0080】
これにより、まだ不審者を撮影範囲内に捉えていない監視カメラ1においても、既に不審者を捉えた他の監視カメラ1が伝達する色情報を利用して、不審者などの被写体の行動を先回りして、不審者画像の色特徴を撮影、認識するのに最適なカメラ設定を予め行っておき、待ち構えることができる。従って、不審者が撮影画角に進入してきた当初から不審者をより鮮明に撮影でき、鮮明で動き滑らかな画像でタイミングを逃すことなく監視ができる。また、そのため、不審者の不審な行動など決定的なタイミングが不鮮明になってしまうリスクを少なくすることができ、高精度、短時間で不審者として認識することも可能となる。
【0081】
(第2の実施形態)
図18は本発明の第2の実施形態に係る監視カメラの構成例を示すブロック図、図19は処理画像の一例を示す図で、(A)は撮影画像、(B)は符号化画像を示した図である。
【0082】
第2の実施形態は第1の実施形態の変形例である。第1の実施形態と異なる部分について以下に説明する。なお、図18においては主要な構成要素だけを示してあるが、図1と同様の構成要素を設けても良い。
【0083】
第2の実施形態では、他の監視カメラ1から受け取った色情報を用いて、自装置のカメラの量子化と画像符号化の少なくとも一方の条件を変更するように設定情報変更部3が制御する。そして、画像信号処理部8には、赤色透過BPF(バンドパスフィルタ)8a及び赤色遮断BEF(バンドエリミネートフィルタ)8bが設けてあり、符号化部9には2種類の符号化部9a,9bが設けてある。
【0084】
図18に示す例では、「不審者の特徴である赤色」に着目して動作する場合を想定している。すなわち、赤色の衣服を着用しているなど、赤色が特徴的な不審者が撮像部5で撮影され、得られた監視画像の信号が画像信号処理部8に入力される。
【0085】
設定情報変更部3の指示により、撮影により得られた画像の信号は画像信号処理部8内の赤色透過BPF8a及び赤色遮断BEF8bにそれぞれ量子化の後で入力される。赤色の特徴に合わせた量子化のあと赤色透過BPF8aを通過した信号は、符号化部9aで、赤色の特徴に合わせた符号化が行われる。
【0086】
この例では、赤色は不審者の特徴色であるため、情報量が多くなっても、より精細で滑らかな画像が得られるように、量子化及び符号化されることが望ましく、例えば、赤色成分 に対しては量子化ビット数を高く切り替えて、符号化の圧縮率は低くなるように切り替えるのが好ましい。
【0087】
また、赤色以外の特徴に合わせた量子化のあとで赤色遮断BEF8bを通過した信号については、符号化部9bで、赤色以外の特徴に合わせた量子化、符号化が行われる。この例では、赤色以外の成分は殆どが背景画像であるため、多少画像が荒くブロックノイズが出たとしても、情報量が少なくなるように量子化、符号化されるのが望ましい。
【0088】
例えば、量子化ビット数を低く設定し、符号化の圧縮率は高く設定されるように設定するのが好ましい。注目色(赤)とそれ以外の色に分けて量子化、符号化された画像は、回線制御インタフェース部4を介してネットワークに送出される。
【0089】
従って、図19(A)に示すような撮像部5で撮影された撮影画像は、上記のような処理によって、符号化部9から出力される符号化画像として、図19(B)に示すような画像(なお、ここでは復号化されたものを示す)になる。すなわち、画像中の不審者の領域についてはその画像が注目すべき赤色成分が主体であるため、画像が精細で滑らかであるが、不審者以外の背景の領域についてはその画像の色成分が赤色以外であるため、この背景画像は荒い画像になっている。
【0090】
なお、図18に示した例では、着目すべき赤色部分のみの画質が上がるように量子化及び符号化を行う場合を想定したが、着目すべき赤色部分を中心とした、例えば不審者の顔や髪型も含まれる)領域について、画質が上がるように量子化及び符号化するよう制御すれば、不審者の顔や髪型などもより精細に判別可能になる。
【0091】
また、図18に示す例では、サブバンド符号化の考え方で、フィルタにより赤色とそれ以外の色とでそれぞれ特化した量子化、符号化を行うように設定情報変更部3が指示する場合を想定しているが、符号化部9において、Cr/Crの色情報の圧縮時に赤色成分の多いブロックは圧縮率を落として画像符号化するように設定情報変更部3が指示をする構成としてもよい。
【0092】
第2の実施形態の監視カメラ1においては、他の監視カメラ1が送出する色情報を受け取った監視カメラ1の設定情報変更部3が、この色情報に従って、カメラの量子化と画像符号化の少なくとも一方の条件を変更するので、画像の中で不審者など注目すべき画像の特徴色領域を量子化、符号化するに最適なカメラ設定で画像伝送ができるため、不審者が撮影画角に進入してきた当初から不審者を、より鮮明に動き滑らかな画像で監視できる。
【0093】
上述したように、本実施形態によれば、他のカメラが撮影した画像に基づいて検出される不審者など注目すべき監視対象の画像の特徴的な色情報を利用して、自装置のカメラの画角内に不審者等の監視対象が近づく前に、監視対象の色に関して撮影、認識、量子化、符号化等を行うのに最適なカメラ設定を行っておき、不審者などの被写体の移動を先回りして撮影を待ち構えることができる。
【0094】
したがって、監視カメラを利用して監視システムを構成する場合に、各監視カメラが各々の撮影範囲内に不審者などの被写体をまだ捉えていない時であっても、既に監視対象を捉えた他の監視カメラが送出する色情報を利用することにより、監視対象の移動先にある監視カメラにおいては先回りして、監視対象を最適な動作条件で撮影できる状態で事前に待ち構えることができる。このため、監視対象が撮影画角に進入してきた当初から監視対象をより鮮明で動き滑らかな画像で監視できる。また、不審者等の監視対象の行動など、決定的なタイミングの撮り逃しを少なくすることができ、監視カメラによる不審者等の確実な撮影や、監視カメラの省電力化等を実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、監視対象の不審者などを従来よりも早く、より鮮明な画像で撮影することが可能となる効果を有し、互いに撮影対象領域が異なる複数のカラー撮像手段を所定の通信回線を介して互いに通信可能な状態で接続して構成した監視システムに用いられる監視カメラ及びこの監視システムの制御方法等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る監視カメラの構成例を示すブロック図
【図2】本実施形態の監視システムを使用する環境の具体例を示す平面図
【図3】本実施形態の監視カメラのカメラ群情報格納部に保持される情報の内容の具体例を示す模式図
【図4】カメラAが不審者を検知した第1の状態における、監視システムを使用する環境の具体例を示す平面図
【図5】第1の状態における監視システムの動作例を示す模式図
【図6】第1の状態における監視システムの動作例を一覧表に示した図
【図7】カメラBが不審者を検知した第2の状態における、監視システムを使用する環境の具体例を示す平面図
【図8】第2の状態における監視システムの動作例を示す模式図
【図9】第2の状態における監視システムの動作例を一覧表に示した図
【図10】カメラDが不審者を検知した第3の状態における、監視システムを使用する環境の具体例を示す平面図
【図11】第3の状態における監視システムの動作例を示す模式図
【図12】第3の状態における監視システムの動作例を一覧表に示した図
【図13】本実施形態の撮像部の具体的な構成例を示すブロック図
【図14】光学フィルタを切り替えるように動作させた場合の、複数の動作モードのそれぞれにおける感度特性を示すグラフ
【図15】第1の変形例として、バンドパスフィルタを切り替えるように動作させた場合の、複数の動作モードのそれぞれにおける透過特性を示すグラフ
【図16】第2の変形例として、ホワイトバランス調整点を移動させるように動作させた場合の、ホワイトバランス調整点を表す色信号ベクトル図
【図17】第3の変形例として、ガンマ値を変化させるように動作させた場合の、ガンマ特性の例を表すグラフ
【図18】本発明の第2の実施形態に係る監視カメラの構成例を示すブロック図
【図19】第2の実施形態における処理画像の一例を示す図で、(A)は撮影画像、(B)は符号化画像を示した図
【図20】従来例の監視システムの構成例を示すブロック図
【符号の説明】
【0097】
1 監視カメラ
2 カメラ群情報格納部
3 設定情報変更部
4 回線制御インタフェース部
5 撮像部
5a レンズ
5b、5c 光学フィルタ部
5d、5e 光学系切り替え部
5f 二次元イメージセンサ
6 マイク
7 スピーカ
8 画像信号処理部
8a 赤色透過BPF
8b 赤色遮断BEF
9 符号化部
10 音声信号処理部
11 復号化部
12 回転台
13 指令
15 ネットワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカラー撮像手段を所定の通信回線を介して互いに通信可能な状態で接続して構成した監視システムに前記カラー撮像手段の1つとして用いられる監視カメラであって、
自装置以外の他のカラー撮像手段が撮影した画像の色情報に基づいて、自装置の色に関する動作条件を決定する動作色変更手段を備える監視カメラ。
【請求項2】
前記監視システムに接続される複数のカラー撮像手段のそれぞれの設置場所の、少なくとも位置に関する情報を保持するカメラ群情報格納手段を更に備え、
前記動作色変更手段は、自装置以外の他のカラー撮像手段が撮影した画像の色情報と前記カメラ群情報格納手段に保持されている情報とに基づいて、自装置の色に関する動作条件を決定する請求項1に記載の監視カメラ。
【請求項3】
前記動作色変更手段は、自装置が撮影して得られる画像信号の色に関する信号処理の条件を、自装置以外の他のカラー撮像手段が撮影した画像の色情報に基づいて変更する請求項1または2に記載の監視カメラ。
【請求項4】
前記動作色変更手段は、自装置が被写体を撮影する際に使用する光学フィルタの色特性を、自装置以外の他のカラー撮像手段が撮影した画像の色情報に基づいて変更する請求項1または2に記載の監視カメラ。
【請求項5】
自装置が撮影して得られる画像信号に対する、量子化と画像符号化の少なくとも一方の信号処理について、色の違いを反映する信号処理手段を更に備え、
前記動作色変更手段は、前記信号処理手段における処理の条件を、自装置以外の他のカラー撮像手段が撮影した画像の色情報に基づいて変更する請求項1または2に記載の監視カメラ。
【請求項6】
カラー撮像手段を備えた第1の監視カメラ及び第2の監視カメラが所定の通信回線を介して互いに通信可能な状態で接続された監視カメラシステムにおいて、
第1の監視カメラのカラー撮像手段が撮影した画像の色情報に基づいて、第2の監視カメラの色に関する動作条件を決定する動作色変更手段を備える監視カメラシステム。
【請求項7】
複数のカラー撮像手段を所定の通信回線を介して互いに通信可能な状態で接続して構成した監視システムに用いられる監視カメラを制御するための監視システムの制御方法であって、
第1のカラー撮像手段が撮影した画像の色情報に基づいて、第2のカラー撮像手段の色に関する動作条件を決定するステップを有する監視システムの制御方法。
【請求項8】
コンピュータに、請求項1から5のいずれかに記載の監視カメラの各手段の機能を実現させるためのプログラム。
【請求項1】
複数のカラー撮像手段を所定の通信回線を介して互いに通信可能な状態で接続して構成した監視システムに前記カラー撮像手段の1つとして用いられる監視カメラであって、
自装置以外の他のカラー撮像手段が撮影した画像の色情報に基づいて、自装置の色に関する動作条件を決定する動作色変更手段を備える監視カメラ。
【請求項2】
前記監視システムに接続される複数のカラー撮像手段のそれぞれの設置場所の、少なくとも位置に関する情報を保持するカメラ群情報格納手段を更に備え、
前記動作色変更手段は、自装置以外の他のカラー撮像手段が撮影した画像の色情報と前記カメラ群情報格納手段に保持されている情報とに基づいて、自装置の色に関する動作条件を決定する請求項1に記載の監視カメラ。
【請求項3】
前記動作色変更手段は、自装置が撮影して得られる画像信号の色に関する信号処理の条件を、自装置以外の他のカラー撮像手段が撮影した画像の色情報に基づいて変更する請求項1または2に記載の監視カメラ。
【請求項4】
前記動作色変更手段は、自装置が被写体を撮影する際に使用する光学フィルタの色特性を、自装置以外の他のカラー撮像手段が撮影した画像の色情報に基づいて変更する請求項1または2に記載の監視カメラ。
【請求項5】
自装置が撮影して得られる画像信号に対する、量子化と画像符号化の少なくとも一方の信号処理について、色の違いを反映する信号処理手段を更に備え、
前記動作色変更手段は、前記信号処理手段における処理の条件を、自装置以外の他のカラー撮像手段が撮影した画像の色情報に基づいて変更する請求項1または2に記載の監視カメラ。
【請求項6】
カラー撮像手段を備えた第1の監視カメラ及び第2の監視カメラが所定の通信回線を介して互いに通信可能な状態で接続された監視カメラシステムにおいて、
第1の監視カメラのカラー撮像手段が撮影した画像の色情報に基づいて、第2の監視カメラの色に関する動作条件を決定する動作色変更手段を備える監視カメラシステム。
【請求項7】
複数のカラー撮像手段を所定の通信回線を介して互いに通信可能な状態で接続して構成した監視システムに用いられる監視カメラを制御するための監視システムの制御方法であって、
第1のカラー撮像手段が撮影した画像の色情報に基づいて、第2のカラー撮像手段の色に関する動作条件を決定するステップを有する監視システムの制御方法。
【請求項8】
コンピュータに、請求項1から5のいずれかに記載の監視カメラの各手段の機能を実現させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2006−295604(P2006−295604A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−114504(P2005−114504)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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