説明

監視システム及び警報器

【課題】相互に連携して動作する連動型の警報器に対し利用者の操作による定期的な点検を確実に行わせることを可能とする。
【解決手段】マスタ住警器10−1の点検タイマ84は操作部38の点検操作を必要とする所定の点検周期を設定して計時する。点検要求管理部76は、点検タイマ84の計時による点検周期の到来前に操作部38の点検操作を検知した場合は、点検処理部74を介して報知部36に点検結果を報知させると共に点検タイマ84を再スタートさせ、操作部38の点検操作を検知することなく点検タイマ84の計時による点検周期の到来を検知した場合は、操作部38の点検操作を求める点検要求情報を報知部36から報知させると共に、他の住警器10−2〜10−6へ点検要求を示すイベント信号を送信して点検要求情報を報知させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災等の異常を検知して警報を出力する複数の警報器を相互に連携させた監視システム及び警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅における火災やガス漏れなどの異常を検知して警報する警報器が普及している。このうち、住宅用火災警報器を住警器と言う。
【0003】
このような住警器にあっては、住警器内にセンサ部と警報部を一体に備え、センサ部の検出信号から火災を検知すると警報部から所定パターンの火災警報音を出力するようにしており、専用の受信設備等を必要とせず住警器単体で火災監視と警報ができることから、設置が簡単でコスト的にも安価であり、一般住宅での設置義務化に伴い広く普及している。
【0004】
また、複数の住警器間で通信を行うことによって、任意の住警器で火災警報音が出力されると、他の住警器でも連動して火災警報音を出力させる連動型の住警器システムも提案されている。
【0005】
このような連動型の住警器システムでは、住警器で火災を検知した場合、火災を検知した連動元の住警器は、メッセージと警報音を含む所定パターンの火災警報音、例えば「ウーウー火災警報器が作動しました 確認してください」を出力し、一方、連動先の警報器では例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」といった連動先を示す火災警報音を出力するようにしている。
【0006】
また従来の住警器にあっては、センサや検出回路、音声報知回路故障の有無、汚損等による感度異常などセンサ障害を検知する自動点検を周期的に実行してメモリに記憶しており、火災警報を出力していない通常状態で警報停止スイッチを操作すると点検指示として受け付けられ、メモリに記憶された自動点検の結果を報知するようにしている。
【0007】
また、電池電源で動作する住警器の場合には、内部で電池電圧を周期的にチェックしており、電池電圧が所定未満に低下するとローバッテリー障害を判定して電池切れ予告警報(ローバッテリー障害警報)を出力するようにしており、その報知方法を工夫して確実に電池交換が行われるように配慮している。(特許文献1)
【0008】
一方で、点検指示操作に基づく点検動作時に、他の障害と合わせてローバッテリー障害の有無についても点検結果に含めて報知するものがある。
【0009】
点検結果の報知は、障害がなければ、例えば火災警報音と同じ「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」といった警報音や「ピッ 正常です」といった報知音を、スピーカの音声出力機能を点検するため比較的低音量で1回出力する。一方、ローバッテリー障害を検知していれば例えば「ピッ 電池切れです」といった障害警報音を所定回数出力し、また、センサ障害を検知していれば「ピッ 故障です」といった障害警報音を所定回数出力する。
【0010】
このように従来の住警器にあっては、ローバッテリー障害やセンサ障害を検知する点検機能については内部で定期的に自動実施され、障害を検知した場合にメモリに記憶され、一方、点検結果の音声報知は上記のように通常状態で点検指示操作した場合に行うようにしている。
【0011】
このように、内部で自動的に行われている点検の結果をその都、度或いは障害発生を検出する度に報知するのではなく、手動で点検指示操作が行われた場合に報知するのは、不急の(緊急性の高くない)障害について、利用者の在/不在に関わらず報知することが、無駄な電力消費に繋がる場合があることや、夜間就寝中等に報知音を出力することで利用者を煩わせる可能性があること等を緩和するためである。もちろん、緊急の報知を要する一部障害等については、これに関わらず、その発生が判定された時点で報知を開始しても良い。
【0012】
ここで、特に音響報知機能(警報音等の出力機能)については、例えば利用者の意図しないタイミングで住警器が自動的に音響出力動作をしたとしても、故障等の障害により実際に音響が出力できない状況では利用者がそれを確認することができない。
【0013】
また、音響出力機能が故障した場合には表示によってそれを出力するようにしたとしても、例えば音響出力器としてのスピーカに機械的不具合(例えば振動板損傷等)がある場合などは、これを電気的に検知することが出来ないことがあり、したがって利用者の意思によりその聴覚をもって出力異常の有無を確認することが是非とも必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特許第3895646号公報
【特許文献2】実用新案登録第3154579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
このため、利用者等による外部からの点検指示操作は所定頻度で確実に実行されるべきであり、これが適切に行われない場合、例えば住警器の音響報知機能に障害がある場合等に、利用者はこれを認知することが出来ない結果、例えば火災警報機能が損なわれたまま報知されるといった危険が考えられる。
【0016】
それにもかかわらず、このような従来の連動型の住警器にあっては、取扱説明書などに所定期間毎に点検を実施すべき旨の推奨記載が行われているだけであり、手動点検を実際に行うか否か、またどのようなタイミングで手動点検を行うかは利用者に任されているため、長期に亘り利用者による点検指示操作がない場合、適切な周期で点検が行われないこととなり、いざ火災という場合に障害のため住警器が正常に機能しない恐れがあった。
【0017】
このような問題点は、上記の例に限らず、住警器を含む警報器全般において、何らかの点検を利用者の意思に基づく手動実施に任せる場合について、共通のものであった。
【0018】
本発明は、相互に連携して動作する連動型の警報器に対し利用者の点検指示操作を適切に行わせることを可能とする監視システム及び警報器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
(基本発明)
本発明は、環境変化を観測して監視領域の異常を検知し、他の警報器と相互に連携して報知する警報器に於いて、
点検時機到来により点検要求情報を連動報知する処理部を設けたことを特徴とする。
【0020】
また本発明は、環境変化を観測して監視領域の異常を検知し、相互に連携して報知する複数の警報器を設けた監視システムに於いて、
警報器は点検時機到来により点検要求情報を連動報知することを特徴とする。
【0021】
(第1発明)
本願の第1発明は、環境変化を観測して監視領域の異常を検知し、相互に連携して報知する複数の警報器を設けた監視システムに於いて、
複数の警報器の各々に、
外部からの所定の点検操作により点検処理の実行を指示する操作部と、
点検操作を検出した場合に、所定の点検処理を実行して結果を報知させる点検処理部と、
点検操作を必要とする点検時機の所定の周期を設定して計時する点検タイマと、
所定の周期の到来前に点検操作を検出した場合は点検結果を報知させると共に点検タイマを再スタートさせ、所定の周期の到来前に他の警報器から点検要求を示すイベント信号を有効受信した場合は点検操作を求める点検要求情報を報知させると共に点検タイマを再スタートさせ、点検タイマによる所定の周期の到来を検出した場合は点検操作を求める点検要求情報を報知させると共に他の警報器に点検要求を示すイベント信号を送信して前記点検タイマを再スタートさせる点検要求管理部と、
を設けたことを特徴とする。
【0022】
ここで、警報器の点検要求管理部は、起動時に、点検タイマに基づく点検要求情報の報知を許容するマスタモードを初期設定し、点検タイマによる所定の周期の到来前に他の警報器から点検要求を示すイベント信号を有効受信した場合はマスタモードを解除して点検タイマに基づく点検要求情報の報知を禁止するスレーブモードを設定する。
【0023】
警報器の点検要求管理部は、スレーブモードを設定した後に、点検タイマによる所定の周期を経過しても他の警報器から点検要求を示すイベント信号を有効受信しない場合はスレーブモードを解除してマスタモードを再設定する。
【0024】
警報器の点検要求管理部は、点検タイマによる所定の周期の到来検知から所定の待ち時間を経過しても他の警報器から点検要求を示すイベント信号を有効受信しない場合は、スレーブモードを解除してマスタモードを再設定する。ここで、所定の待ち時間を、警報器毎に異ならせる。
【0025】
点検タイマに設定する所定の周期を、警報器毎に異ならせても良い。
【0026】
警報器の点検要求管理部は、スレーブモードを解除してマスタモードを設定した場合、マスタモードへの切替を報知させる。
【0027】
警報器の各々は、
警戒エリアの物理的現象を検出して検出信号を出力するセンサ部と、
所定周期毎に、電池電源の電圧低下およびセンサ部の故障をはじめとする障害検知を実行して検知した障害情報を記憶部に記憶する障害検知部と、
警報音と警報表示により異常警報又は障害警報をはじめとする警報を出力する報知部と、
センサ部の検出信号出力から検知した異常の有無、障害検知部による障害検知、及び操作部による警報停止操作や点検指示操作をはじめとするイベントを検出するイベント検出部と、
イベント検出部で検出したイベントを示すイベント信号を送信する送信部と、
他の警報器からのイベント信号を受信する受信部と、
イベント検出部で異常を検知した場合に、報知部から連動元を示す異常警報を出力させると共に、異常を示すイベント信号を他の警報器に送信させ、一方、イベント検出部で他の警報器から異常を示すイベント信号を有効受信した場合に、前記報知部から連動先を示す異常警報を出力させる異常報知処理部と、
イベント検出部で障害検知を検出した場合に、報知部から障害元を示す障害警報を出力させると共に障害を示すイベント信号を他の警報器に送信させ、一方、イベント検出部で他の警報器から障害を示すイベント信号を有効受信した場合に、報知知部から障害先を示す障害警報を出力させる障害報知処理部と、
を備え、
点検処理部は、イベント検出部で操作部の点検操作を検出した場合、憶部の障害情報に基づいて報知部から点検結果を報知させる
警報器の点検要求管理部は、点検要求情報として報知部に点検要求表示を行わせ、所定の待ち時間が経過しても操作部の点検操作を検出しない場合は、点検要求表示を停止する。
【0028】
警報器の点検要求管理部は、点検要求情報として報知部に点検要求表示を行わせ、所定の待ち時間が経過しても操作部の点検操作を検出しない場合は報知部から点検要求を示すメッセージを含む警報音を出力させ、警報音の出力中に所定の待ち時間が経過しても操作部の点検操作を検出しない場合は点検要求表示及び警報音を停止する。
【0029】
警報器の点検要求管理部は、所定の待ち時間が経過しても操作部の点検操作を検出しない場合、点検タイマに設定している所定の周期を短い所定の周期に変更して再スタートさせる。
【0030】
警報器の点検要求管理部は、所定の待ち時間が経過しても操作部の点検操作を検出しない状態が複数回連続した場合、点検タイマに設定している点検周期を段階的に短い点検周期に変更して再スタートさせる。
【0031】
警報器の点検処理部は、イベント検出部で操作部の点検操作を検出した場合、記憶部に障害情報を記憶している場合は報知部から障害警報を出力させ、記憶部に障害情報が記憶されていない正常を判別した場合は報知部から所定の確認音を出力させる。
【0032】
(第2発明)
本願の第2発明は、環境変化を観測して監視領域の異常を検知し、相互に連携して報知する複数の警報器を設けた監視システムに於いて、
複数の警報器のずれか1つをマスタ警報器として、
外部からの所定の点検操作により点検処理の実行を指示する操作部と、
点検操作を検出した場合に、所定の点検処理を実行して結果を報知させる点検処理部と、
点検操作を必要とする点検時機の所定の周期を設定して計時する点検タイマと、
所定の周期の到来前に点検操作を検出した場合は点検結果を報知させると共に点検タイマを再スタートさせ、点検タイマによる所定の周期の到来を検出した場合は、点検操作を求める点検要求情報を報知させると共に他の警報器に点検要求を示すイベント信号を送信して点検タイマを再スタートさせるマスタ点検要求管理部と、
を設け、
マスタ警報器以外の警報器をスレーブ警報器として、
外部からの所定の点検操作により点検処理の実行を指示する操作部と、
点検操作を検出した場合に、所定の点検処理を実行して結果を報知させる点検処理部と、
マスタ警報器から点検要求を示すイベント信号を受信した場合に、点検操作を求める点検要求情報を報知させるスレーブ点検要求管理部と、
を設けたことを特徴とする。
【0033】
ここで、マスタ警報器及び他の警報器の各々は、
警戒エリアの物理的現象を検出して検出信号を出力するセンサ部と、
所定周期毎に、電池電源の電圧低下および前記センサ部の故障をはじめとする障害検知を実行して検知した障害情報を記憶部に記憶する障害検知部と、
警報音と警報表示により異常警報又は障害警報をはじめとする警報を出力する報知部と、
センサ部の検出信号出力から検知した異常の有無、障害検知部による障害検知、及び操作部による警報停止操作や点検指示操作をはじめとするイベントを検出するイベント検出部と、
イベント検出部で検出したイベントを示すイベント信号を送信する送信部と、
他の警報器からのイベント信号を受信する受信部と、
イベント検出部で異常を検知した場合に、報知部から連動元を示す異常警報を出力させると共に、異常を示すイベント信号を他の警報器に送信させ、一方、イベント検出部で他の警報器から異常を示すイベント信号を有効受信した場合に、報知部から連動先を示す異常警報を出力させる異常報知処理部と、
イベント検出部で障害検知を検出した場合に、報知部から障害元を示す障害警報を出力させると共に障害を示すイベント信号を他の警報器に送信させ、一方、イベント検出部で他の警報器から障害を示すイベント信号を有効受信した場合に、報知部から障害先を示す障害警報を出力させる障害報知処理部と、
を備え、
点検処理部は、イベント検出部で操作部の点検操作を検出した場合、記憶部の障害情報に基づいて報知部から点検結果を報知させる。
【0034】
マスタ点検要求管理部及びスレーブ点検要求管理部は、点検要求情報として報知部に点検要求表示を行わせ、所定の待ち時間が経過しても操作部の点検操作を検出しない場合は、点検要求表示を停止する。
【0035】
マスタ点検要求管理部及びスレーブ点検要求管理部は、点検要求情報として報知部に点検要求表示を行わせ、所定の待ち時間が経過しても操作部の点検操作を検出しない場合は報知部から点検要求を示すメッセージを含む警報音を出力させ、警報音の出力中に所定の待ち時間が経過しても操作部の点検操作を検出しない場合は点検要求表示及び警報音を停止する。
【0036】
マスタ点検要求管理部は、所定の待ち時間が経過しても操作部の点検操作を検出しない場合、点検タイマに設定している所定の周期を短い所定の周期に変更して再スタートさせる。
【0037】
マスタ点検要求管理部は、所定の待ち時間が経過しても操作部の点検操作を検出しない状態が複数回連続した場合、点検タイマに設定している所定の周期を段階的に短い所定の周期に変更して再スタートさせる。
【0038】
マスタ点検要急管理部及びスレーブ点検要求管理部は、イベント検出部で操作部の点検操作を検出した場合、記憶部に障害情報を記憶している場合は報知部から障害警報を出力させ、記憶部に障害情報が記憶されていない正常を判別した場合は報知部から所定の確認音を出力させる。
【発明の効果】
【0039】
(基本発明及び第1発明の効果)
本発明の監視システムによれば、複数の警報器のうちいずれかで、点検操作を行わずに所定の点検周期が経過して点検時期が到来すると、点検操作を要求する点検要求表示が行われ、この表示に気付いた利用者が点検操作を行うことで、所定の点検処理を実行して結果を報知し、点検操作を行った利用者に直接認識させることができる。
【0040】
また他の住警器に対し点検要求を示すイベント信号(点検要求イベント信号)が送信され、他の警報器側でも点検要求表示が連動して行われ、近くにいる利用者に手動点検時機の到来を知らせることができる。
【0041】
また最初に点検周期の経過により手動点検時機の到来を検出した警報器は所定設定している自己の点検タイマに基づく点検要求を許容するマスタモードを維持し、これに対し自己の点検タイマに基づく点検周期の到来前に他の警報器から点検要求イベント信号を有効受信した警報器は初期設定したマスタモードを解除し、自己の点検タイマに基づく点検要求を禁止するスレーブモードを設定し、その後は、マスタモードを維持している警報器の点検タイマに同期して複数の警報器での点検要求報知が行われ、各住警器間で点検周期のばらつきを防止することができる。
【0042】
またマスタモードで動作している警報器が故障した場合等においては、スレーブモードで動作している他の複数の警報器は、点検要求イベント信号を受信せずに自己の点検タイマに基づく点検周期の到来から所定時間を経過したタイミングで、それまでのスレーブモードを解除してマスタモードを再設定し、このうち最初に自己の点検タイマに基づき点検周期が到来した警報器がマスタモードを維持し、この警報器から点検を示すイベント信号を有効受信した残りの警報器がスレーブモードに切り替わり、マスタ警報器とスレーブ警報器の関係を自動的に再構築して各住警器間で点検周期のばらつきを防止することができる。
【0043】
また点検タイマによる所定の周期の到来検知から所定の待ち時間を経過しても他の警報器から点検要求を示すイベント信号を有効受信しない場合は、スレーブモードを解除してマスタモードを再設定するが、このための待ち時間を警報器毎に異ならせることで、複数の住警器が同時にマスタモードとなることや、マスタモードとなった住警器から同時に点検要求イベント信号が送信されることを防止できる。
【0044】
また点検タイマに設定する所定の周期を、警報器毎に異ならせることによっても、複数の住警器が同時にマスタモードとなることや、マスタモードとなった住警器から同時に点検要求イベント信号が送信されることを防止できる。
【0045】
(第2発明の効果)
本発明の監視システムによれば、相互に連携して警報する複数の警報器の1台をマスタ警報器とし、残りをスレーブ警報器とし、マスタ警報器は点検タイマに基づき点検要求の報知を行うと共に点検要求イベント信号を送信し、スレーブ警報器は点検タイマを持たず、マスタ警報器からの点検要求イベント信号を有効受信して点検要求を報知することで、マスタ警報器にスレーブ警報器を同期連動させた点検要求報知を行って各住警器間で点検周期のばらつきを防止することができる。
【0046】
(第1発明と第2発明に共通な効果)
また点検結果の報知は、障害を検知していた場合の障害警報音にとどまらず、障害を検知していない場合には正常を示す所定の確認音を出力することで音響出力機能、例えばスピーカの音声出力機能を利用者の聴覚により判断できる。
【0047】
また点検要求表示に対して所定待ち時間を経過しても点検検操作がない場合は、点検要求メッセージを含む要求音を出力することで、利用者の注意を強く喚起し、利用者が在宅していれば手動点検時機の到来を確実に知らせて点検操作を促すことができる。
【0048】
また点検要求表示に対して所定待ち時間を経過しても点検操作を検出せずに点検タイマを再スタートする場合、点検周期を短い周期に変更して再スタートすることで、次に到来する点検時機を早めて点検操作要求を報知し、手動点検未実施期間が長くなり過ぎないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の連動型の住警器による監視システムを設置した住宅を示した説明図
【図2】本発明による住警器の外観を示した説明図
【図3】本願の第1発明による住警器の実施形態を示したブロック図
【図4】最初の点検時機に到達した場合の第1発明の実施形態による点検要求表示の連携動作を示した説明図
【図5】マスタモードの住警器が故障した場合の連携動作の再構築を示した説明図
【図6】図3の実施形態で使用するイベント信号および装置イベント信号のフォーマットを示した説明図
【図7】図3の住警器による監視処理を示したフローチャート
【図8】図7に続く住警器の監視処理を示したフローチャート
【図9】本願の第1発明による点検管理処理の実施形態を示したフローチャート
【図10】図9に点検タイマの周期を変更する処理を加えた本願の第1発明による点検管理処理の他の実施形態を示したフローチャート
【図11】点検操作要求を音声出力で行う本願の第1発明による点検管理処理の実施形態を示したフローチャート
【図12】本願の第2発明におけるマスタ住警器の実施形態を示したブロック図
【図13】本願の第2発明におけるスレーブ住警器の実施形態を示したブロック図
【図14】本願第2発明の実施形態による点検要求表示の連携動作を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は住宅に対する本願第1発明による住警器を用いた監視システムの設置状態例を示した説明図である。図1の例にあっては、住宅24に設けられている台所、居間、子供部屋、主寝室、階段室のそれぞれの警戒エリア(監視領域)に、火災を検知して連動警報する無線式の住警器(住宅用火災警報器)10−1〜10−6が設置されている。以下、住警器10−1〜10−6をそれぞれ区別せず総称する場合は住警器10という。
【0051】
住警器10は、イベント信号を無線により相互に送受信する機能を備え、住宅各所の、それぞれ対応する監視領域について火災発生有無の監視を行っている。いま住宅24の台所で万一、火災が発生したとすると、住警器10−1が火災を検知して警報を開始する。この火災を検知して警報を開始することを、住警器における「発報」という。
【0052】
住警器10−1が発報するとき、住警器10−1は連動元として機能し、連動先となる他の住警器10−2〜10−6に対し、火災を示すイベント信号(火災イベント信号)を無線送信する。他の住警器10−2〜10−6は、連動元の住警器10−1からの火災発生を示すイベント信号を有効受信した場合に、警報音と警報表示により連動先としての警報動作を行う。
【0053】
ここで、住警器10は、受信したイベント信号に含まれるグループ符号がメモリに登録しているグループ符号に一致し、且つ信号内容を正常認識したときに、このイベント信号を有効受信したことを検出するようにしている。また住警器10から送信するイベント信号には、送信元の住警器を示す識別情報として例えばシリアル番号等を利用した送信元符号が含まれている。なお、イベント信号を有効受信した住警器100は必要に応じイベント信号の中継送信を行う。
【0054】
連動元となった住警器10−1の警報動作としては、例えば「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージによる火災警報音を出力する。一方、連動先の住警器10−2〜10−6にあっては、「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージによる火災警報音を出力する。
【0055】
また連動元となった住警器10−1の火災警報に伴う警報表示としては、例えばLEDを点灯する。一方、連動先の住警器10−2〜10−6にあっては、LEDを点滅する。これによって、連動元警報と連動先警報におけるLEDによる警報表示を区別できるようにしている。
【0056】
なお、連動元のLEDを点滅とし、連動先のLEDを明滅としても良いし、連動元警報と連動先警報のいずれについても、同じLEDの明滅または点滅、点灯、周期やデューティーの異なる点滅または明滅表示であっても良い。また例えば赤色LEDと黄色LEDを設け、連動元は赤色LEDを駆動し、連動先は黄色LEDを駆動するといった2色表示としても良い。もちろん、2つのLEDを一体として、赤色と黄色の両方を発光可能な2色LEDが採用できる。
【0057】
住警器10が警報音を出している状態で、警報停止スイッチを操作すると、警報音及び警報表示の停止処理が行われる。
【0058】
このとき例えば、連動元である住警器10−1で警報停止操作が行われた場合には、全ての住警器10の警報(警報音出力および/または警報表示出力)を停止し、連動先である住警器10−2〜10−6の何れかで警報停止操作が行われた場合には、連動元の住警器10−1の警報は停止せず、連動先の住警器10−2〜10−6の警報を停止するようにする。
【0059】
また住警器10は電池電源から供給される電源電圧の低下からローバッテリー障害を判別する監視処理を所定周期毎にバックグラウンドで自動実行している(ビルトインテスト)。このビルトインテストの結果は、自己の記憶部に更新保持されている。
【0060】
また住警器10は点検スイッチを操作した場合、ビルトインテスト結果によりローバッテリー障害を判定し、記憶している場合には、ローバッテリー障害警報として例えば「ピッ 電池切れです」を所定回数繰り返して出力すると共にLEDを例えば点滅し、一方、ローバッテリー障害が判定されていない場合には、スピーカ動作を確認するために例えば「ピッ 正常です」の確認音を1回出力する。
【0061】
また住警器10はローバッテリー障害と同様にしてセンサ障害を判別するビルトインテストを実行しており、このビルトインテストの結果を自己の記憶部に更新保持している。
【0062】
この他、音声報知回路や各種回路故障の有無、汚損等による感度異常などについても、同様にビルトインテストを実施して結果を記憶するようにすることができる。
【0063】
また住警器10は点検スイッチを操作した場合ビルトインテスト結果としてセンサ障害を記憶している場合には、スピーカから障害警報音として例えば「ピッ 故障です」を所定回数繰り返して出力させると共に、LEDを例えば点滅する。
【0064】
また住警器10は点検スイッチを操作した場合、ビルトインテスト結果としてセンサ障害を記憶している場合には、センサ障害警報として例えば「ピッ 電池切れです」を所定回数繰り返して出力すると共にLEDを例えば点滅する。
【0065】
一方、センサ障害が判定されていない場合には、スピーカ動作を確認するために例えば「ピッ 正常です」の確認音を1回出力する。
【0066】
また住警器10は点検タイマを備え、点検タイマによる所定点検周期の計時により例えば30日に1回となる点検時機が到来した場合、点検スイッチの点検操作を求める点検要求情報をLED22の例えば所定パターンの点滅により報知し、同時に点検要求イベント信号を他の住警器に送信し、これを有効受信した住警器でも同様の点検要求情報を報知させて利用者に点検操作を行うことを促すようしている。
【0067】
なお、上記のようなビルトインテスト(の結果記憶内容に基づく点検結果報知)に依らず、点検スイッチの操作(点検操作)が行われた場合に各種障害検知動作を行って(リアルタイムテスト)その結果を報知するようにしても良いし、検知対象とする障害の種類によってビルトインテストとリアルタイムテストを分けても良い。
【0068】
また、全ての障害について点検スイッチの操作による手動点検時に結果報知するようにする必要は無く、障害の種類によっては、点検操作が行われない段階でもビルトインテスト結果を適宜の方法で自動報知(障害警報出力)するようにしても良い。
【0069】
例えば、ローバッテリー障害についてはビルトインテストによってそれが検知された段階で自動報知を行い、更に他の住警器へその旨のイベント信号を送信して連動報知させ、その後は定期通報タイマ等を利用した周期的な定期通報時機到来検知の度に、自己の報知部による報知やローバッテリーを示すイベント信号の送信を行うようにしても良い。
【0070】
即ち本発明は、何らかの障害有無について、利用者の手動操作による点検結果報知を行うものであれば、障害の種類やその数、ビルトインテスト結果自動報知の有無に関わらず、本発明を適用し得る。この点については後に説明する本願第2発明や他の実施例についても同様である。
【0071】
住警器10の点検タイマは、いずれかの住警器で手動点検時機の到来が検出されて点検要求イベント信号が送信された場合、当該住警器で再スタートされると共に、これを有効受信した各住警器にそれぞれ設けている点検タイマも再スタートされることで同期し、各住警器間で点検時機のばらつきを防止できる。
【0072】
また点検タイマの同期後は、点検タイマの点検時機の到来検出による点検要求報知と、他の住警器からの点検要求イベント信号の有効受信による点検要求報知とが重複する。これを回避するため、自己の点検タイマに基づく点検要求報知を許容とするマスタモードと、自己の点検タイマに基づく点検要求報知を禁止してイベント信号の有効受信による点検要求表示を許容とするスレーブモードとを設け、次のようにしてその設定と解除を行うようにしている。
【0073】
住警器10は電源投入による起動時にはマスタモードを初期設定して動作する。この状態で、例えば住警器10−1が点検タイマのよる点検周期30日の計時により最初に点検時機の到来を検出したとすると、点検要求報知を行うと共に点検要求イベント信号を住警器10−2〜10−6に送信する。住警器10−2〜10−6は点検要求イベント信号を有効受信すると、点検要求報知を行うと共に、初期設定しているマスタモードを解除してスレーブモードを設定する。
【0074】
この結果、住警器10−1は引き続きマスタモードで動作し、他の住警器10−2〜10−6はスレーブモードに切り替わって動作することとなり、以降は住警器10−1の点検タイマに基づく周期的な点検時機の到来検出に同期して住警器10の点検要求情報報知が行われることになる。
【0075】
このような方法に限らず、マスタモードとスレーブモードの切り替えは、設定スイッチ等の切り替え手段によって予め設定するようにしても良い。
【0076】
図2は本願第1発明による無線連動型の煙式住警器の外観を示した説明図であり、図2(A)に正面図を、図2(B)に側面図を示している。なお、取付フック15を設けているほうを上側とする。
【0077】
図2において、本実施形態の住警器10の筐体はカバー12と本体14で構成されている。カバー12の中央には突出部を設け、突出部の周囲に複数の煙流入口を開口し、その内部には検煙部16が配置され、火災に伴う煙が検煙部に流入して所定濃度に達したときに火災を検知するようにしている。検煙部16としては、散乱光式の煙検出器等の検煙機構が適用できる。
【0078】
カバー12の左下側には音響孔18が設けられ、この背後にブザーやスピーカを内蔵し、警報音や音声メッセージを出力できるようにしている。カバー12の下側には警報停止スイッチ20が設けられている。
【0079】
本実施形態においては、警報停止スイッチ20は住警器10の機能の自己点検を指示する点検スイッチとしての機能を兼ねている。たとえば、火災警報出力中に警報停止スイッチ20が操作されると当該火災警報を停止し、通常状態で警報停止スイッチ20が操作されると所定の機能点検を実施して結果を報知する。ここで通常状態とは、少なくとも火災警報出力中または障害警報出力中でない状態を指す。
【0080】
即ち、住警器10は警報停止スイッチが操作されたときに、自己の報知動作状況等に応じてそれが警報停止指示であるか点検指示であるかを識別して、識別した指示内容に基づいて処理を行うようにしている。
【0081】
警報停止スイッチ20は、半透明部材で形成されたスイッチカバーと、スイッチカバーの内部に配置されたプッシュスイッチ(図示せず)とで構成されている。即ち、スイッチカバーを押圧操作すると、プッシュスイッチが押圧されるようになっている。スイッチカバー内部のプッシュスイッチ近傍には、点線で示すように警報等表示を行うLED22が配置されており、LED22が点灯、点滅、明滅作動すると、作動光が警報停止スイッチ20のスイッチカバーの部分を透過して作動状態が外部から視認できるようにしている。
【0082】
また本体14の裏側上部にはその略中央部に挿通孔を有する取付フック15が設けられており、設置する部屋の壁にビスなどをねじ込み、この取付フック15の挿通孔にビスを通して引っかけることで、壁面に住警器10を所謂壁掛け状に固定設置することができる。
【0083】
なお図2の住警器10にあっては、検煙部16を備え、火災に伴い発生する煙を観測して監視領域の火災を検知する煙式住警器を例に取っているが、これ以外に火災に伴う熱を検出するサーミスタ等の温度検出素子を備えた熱式住警器や火災に伴うその他の環境変化を検知する住警器、火災以外にガス漏れを検出する警報器、侵入者や地震その他の異常(異状)を検知する各種の警報器、これらを組み合わせて成る警報器についても、本発明の対象に含まれる。そして、本発明の監視システムは、これら各種の警報器を混在させて構成しても良い。
【0084】
図3は本願第1発明の監視システムに設けた住警器の要部構成を示したブロック図である。これは一例であり、各機能の分離、統合は任意に行うことができる。また各機能のそれぞれの一部または全部は、ソフトウェア(プログラム)によって実行されるものであっても、ハードウェアによって実行されるものであっても良い。
【0085】
また図3では、台所に設置した住警器10−1について示しているが、他の住警器10−2〜10−6についても同様の構成となる。
【0086】
住警器10−1はワンチップCPUとして知られたプロセッサ28を備え、プロセッサ28に対してはアンテナ31を備えた無線通信部30、メモリ32、センサ部34、報知部36、操作部38及び電池電源40を設けている。
【0087】
無線通信部30には送信回路42と受信回路44が設けられ、他の住警器10−2〜10−6との間で連動信号としてのイベント信号を無線により送受信できるようにしている。無線通信部30としては、日本国内の場合には、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−30(小電力セキュリティシステム無線局の無線設備標準規格)またはSTD−T67(特定小電力無線局テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備の標準規格)に準拠した構成を備える。
【0088】
もちろん無線通信部30としては、日本国内以外で使用する場合は、その地域の割当無線局の標準規格に準拠した内容を持つことになる。
【0089】
なお、アンテナ31、送信回路42及び送信処理部60を併せて送信部として機能し、アンテナ31、受信回路44及び受信処理部62を併せて受信部として機能する。
【0090】
メモリ32には、イベント信号の生成順或いは送信順を示す連続番号である連番48、各住警器を特定する住警器識別情報となる送信元符号50、図1のように住宅に設置した各住警器10で、連動警報を行う連動グループを構成するためのグループ符号52が格納されている。
【0091】
連番48は例えばイベント信号を送信する毎に、所定のルールに則って自動生成、更新される(例えばインクリメントされる)符号であり、各住警器毎個別に生成する。これは警報器間の、特に無線通信に於いてイベント信号の中継処理等を管理するためのものであるが、本発明に直接関係しないので詳細な説明を省略する。
【0092】
送信元符号50としては、国内に提供される住警器の何れとも同一符号として重複しないように、例えば26ビットの多ビット符号コードとし、例えば住警器のシリアル番号等を利用している。
【0093】
住警器10は、他の住警器10からイベント信号を有効受信した場合、このイベント信号を必要に応じて中継送信することができるが、連番48や送信元符号50を利用してイベント信号の中継送信や再中継送信を許可したり禁止したりすることができ、不要な通信を避ける処理を行うことで、必要に応じた最適な中継を行うことができる。また例えば、連動先住警器で中継送信されるイベント信号には、当該連動先住警器の送信元符号に加えて連動元住警器の送信元符号を付加するようにして、この連動元住警器送信元符号から再送信の可否を判定して処理するようにすることもできる。また、中継送信の許可および禁止はこれに加え、イベント信号が示すイベントの内容毎に設定することもできる。
【0094】
グループ符号52は連動グループを構成する複数の住警器に対し例えば共通に設定される符号であり、受信処理部62は、無線通信部30で受信したイベント信号に含まれるグループ符号がメモリ32に登録しているグループ符号52に一致したときに、このイベント信号を有効な信号として処理することになるので、近隣の住宅等に設置された、連動を要しない他のグループに属する住警器との不要な連動を回避できる。
【0095】
グループ符号52は各住警器について必ずしも同一の符号である必要は無く、これを元に演算等を行うことによって自己が属するグループと他の住警器が属するグループが同じか否かを判定できるものであれば良い。グループ符号52の登録は、出荷前や運用開始前に、外部スイッチの設定や通信機能を使った自動登録等、適宜の方法で行う。
【0096】
またメモリ32にはバックグラウンドでの定期的な障害監視(ビルトインテスト)による障害検知結果として、例えばローバッテリー障害フラグ78またはセンサ障害フラグ80が、それぞれ各障害の検知結果として更新記憶される。更にメモリ32には周期的な点検時機の到来を計時して利用者に手動点検操作を促す報知処理に使用する点検タイマ84が配置される。なお、点検タイマ84はメモリ32に配置せず、プロセッサ28で実行されるプログラム上に配置しても良いし、別の計時回路として設けても良い。
【0097】
センサ部34には、散乱光式の煙検出原理によって煙を検出して煙濃度に応じた検出信号を出力する検煙部16を設けている。前述のように、センサ部34には検煙部16に代えて、火災による温度変化を検出して検出信号を出力する素子やセンサ、火災に伴うその他の環境変化を検出して検出信号を出力する各種素子やセンサを設けても良い。
【0098】
報知部36には警報音等を出力する音響出力器であるスピーカ56と警報表示等を行うLED22が設けられている。スピーカ56は、図示しない音声合成回路部から、自己が保持している各種のデータ等に基づいて音声メッセージや警報音等を、図示しない増幅部を介して出力する。LED22は点滅や明滅、点灯などにより、火災などの異常その他を表示する。スピーカ56に代えて、ブザー等を用いても良い。またLED22に代え、2色LEDや液晶表示器等を設けても良い。もちろん、LEDと液晶表示器を併設するなどしても良い。
【0099】
操作部38には点検スイッチを兼ねる警報停止スイッチ20が設けられている。警報停止スイッチ20は、報知部36からスピーカ56により火災や障害の警報音を出力しているとき又はLED22により警報表示を行っているときに警報停止スイッチとして機能する。
【0100】
例えば連動元を示す警報出力中に警報停止スイッチ20を操作すると、警報音及び警報表示は停止され、一方、連動先を示す警報出力中に警報停止スイッチ20を操作すると、警報音は停止し、警報表示は維持または停止、または警報音停止から所定時間後に停止するといった警報停止処理が行われる。
【0101】
連動元または連動先を示す火災警報または障害警報を出力していない通常状態においては、警報停止スイッチ20は点検スイッチとして機能し、この状態で警報停止スイッチ20を操作すると所定の点検操作が検出され、ビルトインテスト結果としてメモリ32に記録されているローバッテリー障害フラグ78またはセンサ障害フラグ80のセット状態を判別し、何れかの障害フラグがセットされていれば報知部36のスピーカ56から対応する障害内容を示す音声メッセージなどの障害警報を出力する。複数の障害フラグがセットされていれば、それぞれ対応する障害内容を示す音声メッセージを順次出力する。
【0102】
またメモリ32に何れの障害フラグもセットされていない場合には、点検結果は正常であることから、スピーカ56からの音響出力機能を確認するための確認音として例えば「ピッ 正常です」といった音声メッセージを1回出力する。このとき、音響出力の中でも最も重要な火災警報音について確認させる場合には火災警報音と同じ内容及び音量で例えば「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」の音声メッセージ警報を出力し、続いてこれが点検に伴う出力であることを示すため例えば「ピッ 正常です」の音声メッセージを出力するようにすれば良い。
【0103】
なお、点検操作による点検処理は、ビルトインテストの結果に基づいて点検結果を報知するものではなく、リアルタイムテストによりその結果を報知するものとしても良い。即ち、通常状態で警報停止スイッチ20の操作を検出した場合(点検を指示した場合)に、例えばバッテリー障害検知及びセンサ障害検知を含む所定の点検動作を実施して結果を報知するようにしても良い。
【0104】
また、障害警報中に警報停止スイッチ20が操作された場合には、バッテリー障害検知及びセンサ障害検知を含む所定の点検動作をあらためて実施して結果を報知した後に障害警報停止処理を行うようにしても良い。このようにすれば、例えばセンサ故障等を再チェックした後に障害警報停止処理が行われるので、ユーザに対し、故障障害状態をより明確に認知させることができる。そして、このとき障害状態が解消(障害復旧)している場合には、例えば「障害は解消しました」等の音声メッセージを出力して、障害停止(復旧)処理に移行しても良い。
【0105】
電池電源40は、例えば所定セル数のリチウム電池やアルカリ乾電池を使用しており、電池容量としては住警器10−1における無線通信部30を含む回路部全体の低消費電力化により、例えば10年の電池寿命を保証している。
【0106】
プロセッサ28にはプログラムの実行により実現される機能として、イベント検出部58、送信処理部60、受信処理部62、異常報知処理部64、障害検知部66、障害報知処理部72、点検処理部74及び点検要求管理部76の機能が設けられ、障害検知部66には例えばローバッテリー障害監視部68とセンサ障害監視部70の機能が設けられている。もちろん、ローバッテリー障害監視部68やセンサ障害監視部70の一方や両方に代えて、或いは一方や両方に加えて、適宜の障害監視部を設けることができる。
【0107】
イベント検出部58は、センサ部34に設けた検煙部16からの検出信号出力に基づいて検知した火災の有無、操作部38による警報停止指示入力の有無や点検指示入力の有無、センサ部34に設けた検煙部16からの検出信号出力が低下して火災検知状態が解消される火災復旧、障害検知部66からの検知信号によるセンサ障害やローバッテリー障害有無、点検タイマ84の計時に基づく手動点検周期到来等のイベントを検知する。またイベント検出部58は受信部を介して他の住警器10−2〜10−6からのイベント信号の解読結果として得られたイベント信号有効受信の有無およびそのイベント内容を検出する。
【0108】
送信処理部60は、イベント検出部58による検煙部16からの検出信号出力に基づく火災検知、操作部38による警報停止や点検指示入力、検煙部16からの検出信号出力が低下して火災検知状態が解消される火災復旧等、自己のイベントを検出した場合に、検出したイベント内容を示すイベント信号を、無線通信部30の送信回路42、アンテナ31を介して連動先の住警器に送信する。また送信処理部60は他の住警器から有効に受信したイベント信号を、必要に応じて中継送信する。
【0109】
受信処理部62は、他の住警器10−2〜10−6からのイベント信号を、アンテナ31、無線通信部30の受信回路44を介して受信し解読する。
【0110】
異常報知処理部64は、イベント検出部58で自己の監視領域における検出対象である異常として火災を検知した場合にイベント検出部58から信号を受け、報知部36のスピーカ56から連動元を示す警報音を出力させると共に、LED22を例えば点灯駆動させて連動元を示す警報表示を行い、更に連動元として、送信部に、火災を示すイベント信号を他の住警器10−2〜10−6へ送信させる。
【0111】
具体的に説明すると、異常報知処理部64は、センサ部34に設けた検煙部16の煙検出信号に基づきイベント検出部58で火災を検知した場合に、イベント検出部58からその旨を示す信号を受け取り、これに基づき報知部36に対しスピーカ56から連動元を示す警報音例えば「ウーウー 火事です 火事です 確認して下さい」の音声メッセージを繰り返し出力させる制御を行うと共に、LED22を点灯させて連動元を示す警報表示を行わせる制御を行い、更に、送信処理部60および送信回路42を介して火災を示すイベント信号をアンテナ31から他の住警器10−2〜10−6に向けて送信させる。
【0112】
また異常報知処理部64は、無線通信部30の受信回路44により他の住警器10−2〜10−6の何れかから火災イベント信号を有効受信したことを、受信処理部62を経てイベント検出部58で検出した場合に、報知部36のスピーカ56から連動先を示す警報音(報知音)例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」となる音声メッセージを繰り返し出力させ、同時にLED22を例えば点滅させて連動先を示す警報表示を行わせるよう制御する。
【0113】
また異常報知処理部64は連動元を示す火災警報音または連動先を示す火災警報音の出力中に警報停止スイッチ20の操作を検出した場合、又は他の住警器10−2〜10−6の何れかからの警報停止を示すイベント信号(警報停止イベント信号)の有効受信を検出した場合、報知部36を制御してスピーカ56からの音声メッセージとLED22の警報表示による火災警報の出力を停止させる。このときはLED22による警報表示については、警報音の停止から所定時間継続した後に停止しても良い。なお、連動元を示す火災警報出力中には、警報停止を示すイベント信号の有効受信があっても、少なくとも警報音の出力は継続させるようにしても良い。
【0114】
本実施の形態においては、障害検知部66にはローバッテリー障害監視部68とセンサ障害監視部70との機能が設けられている。
【0115】
ローバッテリー障害監視部68は、所定の測定時間間隔、例えばT1=4時間間隔で電池電源40から供給される電源電圧を、図示しない電圧検出回路を介して直接的又は間接的に観測し、これをA/D変換により読み込んで所定の閾値電圧と比較するビルトインテストを実施し、この閾値電圧未満の時にローバッテリー障害を予備判定し、更にローバッテリー障害の予備判定が連続して所定回数続いたときにローバッテリー障害と判定(確定)して検知し、ローバッテリー障害フラグ78をセットしてメモリ32に更新記憶する。
【0116】
センサ障害監視部70は、ローバッテリー障害同様のビルトインテストとして、所定の測定時間間隔、例えばT2=1秒間隔でセンサ部34の検煙部16から出力される煙検出信号をA/D変換により読み込んでメモリ32のバッファ領域に保持し、例えば所定の時間間隔T3=10分毎に、メモリ32のバッファ領域に保持している直近10分間ぶんの検出データの平均値を求め、この平均値が所定の基準レベル(零点レベルという)を下回った場合に、出力停止状態である等としてセンサ部34の障害と判定して検知し、センサ障害フラグ80をセットしてメモリ32に更新記憶する。
【0117】
このように煙検出信号の10分間平均値が零点レベルを下回る原因は、検煙部16に設けている発光素子や受光素子の故障、受光素子からの出力信号線断線、受光アンプの停止などの障害が発生したことによるものである可能性が高いためセンサ障害とする。
【0118】
なお、センサ部34にサーミスタなどの温度検出素子を設けた熱式住警器等の場合にも、各種の処理により、同様にセンサ障害を検出することができる。その他、スピーカ56への出力線の断線や他の回路故障、通信異常等を同様に障害監視することができる。このような障害についても、検知後はセンサ障害と同様の処理を行う。
【0119】
このように本実施形態におけるローバッテリー障害監視部68とセンサ障害監視部70のビルトインテストはバックグラウンドで自動実行されている。
【0120】
点検処理部74は、イベント検出部58により通常状態で点検スイッチとして機能する警報停止スイッチ20の操作による点検指示操作(点検指示入力)を検知した場合、メモリ32にローバッテリー障害フラグ78がセット記憶されていることを判別した場合には、障害警報処理部72により例えば「ピッ 電池切れです」を所定回数繰り返し出力させると共にLED22を例えば点滅させ、更に、送信部によりローバッテリー障害イベント信号を他の住警器10−2〜10−6に送信させることで、これを有効受信した連動先となる住警器で、連動先を示すローバッテリー障害警報の警報音として「ピッ 別の警報器が電池切れです」の音声メッセージを出力させると共に連動元とは異なるパターンの点滅表示を行わせる。
【0121】
また点検処理部74は、イベント検出部58で警報停止スイッチ20の操作による点検指示操作(点検指示入力)を検知した場合、メモリ32にセンサ障害フラグ80がセット記憶されていることを判別した場合には、障害報知処理部72により例えば「ピッ 故障です」を所定回数繰り返し出力させると共にLED22を例えば点滅させ、更に、送信部によりセンサ障害イベント信号を他の住警器10−2〜10−6に送信することで、これを有効受信した連動先となる住警器で、連動先を示すセンサ障害警報の警報音として「ピッ 別の警報器が電池切れです」の音声メッセージを出力させると共に、連動元とは異なるパターンの点滅表示を行わせる。
【0122】
このように手動点検のために警報停止スイッチ20を操作した場合には、住警器の前に必ず操作者がいることから、ローバッテリー障害やセンサ障害を確実に知らせることができ、また点検結果の報知音を操作者の聴覚で確実に確認することができる。
【0123】
また点検処理部74は、イベント検出部58で警報停止スイッチ20の操作による点検指示操作(点検指示入力)を検知した場合、メモリ32にローバッテリー障害フラグ78、センサ障害フラグ80の何れもセット記憶されていない場合は、障害はなく正常と判断し、この場合には、報知部36に設けているスピーカ56から正常に警報音等が出力されることを確認する音響出力機能確認のため、「ピッ 正常です」の音声メッセージによる確認音を1回出力させる。
【0124】
なお、点検処理部74は、イベント検出部58で警報停止スイッチ20の操作による点検指示操作(点検指示入力)を検知した場合、障害検知部66にローバッテリー障害およびセンサ障害の検知処理(自動点検)をあらためて実行させ、このとき障害を検知すれば障害警報を出力し、正常を検知すればスピーカ56から確認音を出力させるようにしても良い。これにより、最新の点検結果を報知することができる。
【0125】
点検要求管理部76は、イベント検出部58と協働してメモリ32に配置した点検タイマ84を使用して報知部36に手動点検時機の到来を報知させる。即ち、イベント検出部58で点検タイマ84の手動点検時機の到来を検知して点検用急管理部76に検知結果を入力することで手動点検時機の到来を報知させる。
【0126】
点検タイマ84には操作部38に設けた警報停止スイッチ20により手動の点検操作を必要とする所定の点検周期、例えば30日の点検周期を設定して計時させる。なお、点検周期は住警器毎に例えばある住警器は30日、他の住警器は31日、32日というように異ならせても良い。
【0127】
このようにすれば、後に説明するスレーブモードからマスタモードへの切り替えが複数の住警器で同時に切り替わる確率を低くすることができ、複数の住警器が同時にマスタモードとなることや、マスタモードとなった住警器から同時に点検要求イベント信号が送信されることを防止できる。なお、このような点検周期は上記の具体的例示に限定されない。
【0128】
点検要求管理部76は、電源投入に伴う起動時に、点検タイマ84に基づく点検要求情報の報知を許容するマスタモードを初期設定しており、点検タイマ84による初期の点検周期30日の到来前にイベント検出部58により警報停止スイッチ20の点検操作を検知した場合は、点検処理部74から報知部36に対する点検結果報知制御を行わせた後に点検タイマ84を再スタートさせる。
【0129】
また、点検要求管理部76はイベント検出部58と協働して点検タイマ84による点検周期30日が経過して手動点検時機の到来を検知した場合は、点検処理部74を介して監視領域の利用者に対し警報停止スイッチ20の点検操作を求める点検要求情報を報知部36から出力させると共に、送信処理部60、送信回路42及びアンテナ31からなる送信部により点検要求イベント信号を他の住警器10−2〜10−6に送信させ、更に点検タイマ84を再スタートさせる(マスタ動作)。
【0130】
また、点検タイマ84による点検周期30日の到来前にイベント検出部58が他の住警器10−2〜10−6のいずれかからの点検要求イベント信号の有効受信を検知した場合は、点検操作管理部76は点検処理部74を介して利用者に対し警報停止スイッチ20の点検操作を求める点検要求情報を報知部36から出力させると共に、初期設定したマスタモードを解除して点検タイマ84に基づく点検要求情報の報知を禁止して点検要求イベント信号の有効受信に基づく点検要求情報の報知を許容するスレーブモードを設定する。
【0131】
スレーブモードを設定すると、それ以降、点検タイマ84に基づく点検要求情報の報知は行われず、他の住警器からの点検要求イベント信号の有効受信のみに基づく点検要求情報の報知、即ちマスタモードを設定している他の住警器の点検タイマに同期した点検要求情報の報知動作(スレーブ動作)を行うこととなる。
【0132】
図4は図3の住警器10−1に設けた点検要求処理部76で最初に点検時機到来が検知された場合の点検要求情報報知の連携動作を示した説明図である。図4(A)において、各住警器10には点検タイマ84−1〜84−6が設けられ、説明を容易にするため、これを30日周期で1回転するアナログ時計として擬似的に示している。
【0133】
各住警器10の電源を投入して起動した場合、それぞれの点検タイマ84−1〜84−6は任意の時間を表示しており、計時同期は取られていない。なお、実際には、工場出荷時や設置場所で監視システムを構築する住警器10についてグループ符号などの登録操作を行う際に、ほぼ同時期に電池電源を入れることから、その時点で点検タイマ84−1〜84−6の計時ずれは小さい。
【0134】
この状態で運用を開始し、例えば住警器10−1の点検タイマ84−1の計時が最初に点検周期30日に到達して内部で手動点検時機到来が検知されたとすると、住警器10−1は自己の報知部から例えばLED22の点滅により点検要求情報を出力すると共に、図4(A)に矢印で示すように、点検要求イベント信号を他の住警器10−2〜10−6に送信し、他の住警器10−2〜10−6ではこの点検要求イベント信号の有効受信に基づき、それぞれの報知部から例えば住警器10−1とは異なるパターンでLED22を点滅させることにより点検要求情報を報知すると共に、点検タイマ84−2〜84−6の再スタートが行われ、これによって図4(B)に示すように、点検タイマ84−1〜84−6が同期することになる。
【0135】
なお、住警器10−1はその後も初期設定したマスタモードを維持する(マスタモードを上書き設定しても良い)。
【0136】
一方、他の住警器10−2〜10−6は、初期設定したマスタモードを解除してスレーブモードを設定する。なお、スレーブモードは点検タイマにハッチングを入れて図示している。
【0137】
このため、住警器10−1の手動点検時機到来でタイマの計時同期が行われた後は、他の住警器10−2〜10−6は自己の点検タイマ84−2〜84−6に依存せず、住警器10−1の点検タイマ10−1に依存して点検要求情報表示を行うこととなり、各住警器間で点検要求情報表示時期のばらつきをなくすことができる。
【0138】
図5は、例えば図4(B)に示したようにマスタスレーブ関係が構築され点検タイマの計時同期が図られた状態で、マスタモードで動作している住警器10−1が故障した場合の、マスタスレーブ関係の再構築処理について示した説明図である。
【0139】
図5(A)は住警器10−1がマスタモードで動作し、他の住警器10−2〜10−6がスレーブモードで動作しており、点検タイマ84−1〜84−6は同期している。この状態で図5(B)に示すようにマスタモードで動作している住警器10−1に、例えば何らかの障害が発生して点検要求イベント信号が送信不能となったり、或いは点検タイマ84−1の計時による手動点検時機到来検知に基づく点検要求イベント信号が所定期間以上送信されず遅延したとする。
【0140】
この場合、住警器10−1を除いて正常に動作している住警器のうち、例えば住警器10−2の点検タイマ84−2の計時が最初に点検周期30日に達して手動点検時機到来を検知したとすると、住警器10−2は、この点検時機到来検知から所定時間を経過しても点検要求イベント信号を有効受信しなかった場合、自己のスレーブモードを解除してマスタモードを設定する。
【0141】
このようにしてマスタモードとなった住警器10−2は、マスタ動作を行う。即ち、自己の報知部から点検要求情報を報知すると共に、他の住警器10−1、10−3〜10−6に対して点検要求イベント信号を送信する。この点検要求イベント信号を有効受信した住警器では、スレーブ動作として点検要求情報報知が行われ、その後スレーブモードで動作することになる。
【0142】
このため障害を起こした住警器10−1に代えて住警器10−2がマスタモードとなり、点検要求のマスタスレーブ関係を再構築し、各住警器間で点検時機のばらつきを防止することができる。
【0143】
ここで、住警器10−2がスレーブモードを解除してマスタモードとなるためにその経過が条件となる自己の点検タイマによる点検時機到来検知からの所定の待ち時間は、例えば住警器10−2では1時間、住警器10−3では2時間といったように、住警器毎に異なる時間としても良く、このようにすれば、複数の住警器が同時にスレーブモードからマスタモードへ切り替わる確率を低くすることができ、複数の住警器が同時にマスタモードとなることや、マスタモードとなった住警器から同時に点検要求イベント信号が送信されることを防止できる。なお、このような所定の待ち時間は具体的例示に限定されない。
【0144】
なお、マスタモードである住警器10−1に代わってマスタモードとなる住警器10−2では、このモード切替を行う場合に、自己の報知部から例えば「別の警報器から点検要求を受信できません マスタモードに切り替えます」といった音声メッセージ等により、その旨を報知するようにしても良い。
【0145】
このようにすれば、マスタモードである住警器10−1や自己の信号受信機能等に何らかの障害が発生していることを利用者に知らせることができる。更に、これに気づいた利用者が、各住警器に現在設定されているモードがマスタモード、スレーブモードの何れであるかを確認できる手段を設けることが好ましい。例えばスイッチ操作等により表示や音声でこれを知らせるようにすることができ、このようにして上記例の住警器10−1の不具合等を特定し易くなる。
【0146】
図6は本実施形態で連動警報に使用するイベント信号のフォーマットを概略的に示した説明図である。図6において、イベント信号46は連番48、送信元符号50、グループ符号52及びイベント符号54で構成されている。なお、中継送信するイベント信号に対しては、連動元の送信元符号と、中継送信元としての自己の送信元符号の両方を付加する。
【0147】
ここで、イベント符号54は、火災、ガス漏れ(例えばガス漏れ警報器やガス漏れ検出機能を併せ持つ住警器等の場合)などのイベント内容を表す符号であり、本実施形態にあっては4ビット符号を使用しており、例えば
0001=火災
0010=ガス漏れ
0011=警報停止(火災警報停止、ガス漏れ警報停止、障害警報停止)
0100=復旧(火災復旧、ガス漏れ復旧、障害復旧)
0101=センサ障害
0110=ローバッテリー障害
0111=点検要求
としている。ここで、0000はイベント検出を伴わない、例えば定期通報に使用する。また、センサ障害やローバッテリー障害のイベント符号は、各障害の自動報知について連動を行う場合等に使用する。
【0148】
なおイベント符号42のビット数は5ビット、6ビットと増加させることで、更に多くのイベント内容を表すことができる。例えば、復旧のイベント符号は火災復旧,ガス漏れ復旧、障害復旧に分けても良い。また、センサ障害やローバッテリー障害以外の各種障害についても適宜イベント符号を割り当てることができる。
【0149】
また、火災以外の異常を検知する警報器では、上記の0001を検出対象となる異常イベントに置き換えても良いし、検出対象となる異常イベントの種類を、例えば上記に追加しても良い。本発明の監視システムでは、このようにして、例えば同じグループ内に、検出対象とする異常種別の異なる警報器を混在させることもできる。
【0150】
図7及び図8は図3の住警器10における監視処理の概略例を示したフローチャートである。図7において、住警器10の電池電源40による電源供給が開始されると、ステップS1で初期化、自己診断、動作モード(マスタモード/スレーブモード)の設定を含む各種設定の読み込み等を実行し、異常がなければステップS2に進み、火災を監視している。ステップS1で初期化異常があった場合にはその旨を報知して動作を途中停止するか、或いは再度ステップS1の処理を行うようにしているが、図示を省略している。
【0151】
ステップS2において、センサ部34に設けた検煙部16から出力された煙検出信号が所定の火災レベルを超えるとイベント検出部58で火災が検知されてステップS3に進み、連動元として連番、自己の識別子である送信元符号、グループ符号、火災を示すイベント符号を含むイベント信号(火災イベント信号)を他の住警器に無線送信した後、ステップS4で報知部36のスピーカ56から音声メッセージやブザー音等による警報音とLED22の例えば点灯による警報表示とにより連動元を示す火災警報を出力する。
【0152】
続いて、ステップS5で検煙部16からの煙検出信号が低下して火災検知状態が解消する火災復旧の有無を判別しており、火災復旧を判別するとステップS6で連番、送信元符号、グループ符号、火災復旧を示すイベント符号を含むイベント信号(火災復旧イベント信号)を他の住警器に送信した後、ステップS7でスピーカ56からの警報音とLED22の点灯による警報表示とによる、連動元を示す火災警報を停止する。なお、LED22による警報表示は警報音の停止から所定時間経過後に消灯しても良い。
【0153】
続いてステップS8で警報停止スイッチ20の警報停止指示操作の検出有無を判別し、スイッチ操作が判別されるとステップS9で警報中か否かを判別する。ステップS9で警報中であることが判別されると、ステップS10に進んで連番、送信元符号、グループ符号、警報停止を示すイベント符号を含むイベント信号(警報停止イベント信号)を他の住警器に送信し、ステップS11に進んでスピーカ56からの連動元を示す警報音出力を停止し、LED22の点灯による警報表示を消灯する。なお、LED22による警報表示は警報音の停止からは所定時間経過後に消灯しても良い。
【0154】
ステップS9で警報中でないと判別した場合には、ステップS8で検出した警報停止スイッチの操作を点検指示動作と認定し(点検指示入力として検知し)、所定の点検処理を実施して結果を報知するようにしているが、ここでは図示を省略している。この場合を含め、点検処理については、後に説明する。
【0155】
続いて図8のステップS12に進み、他の住警器から送信または中継送信された火災を示すイベント信号(火災イベント信号)の有効受信検知有無を判別している。他の住警器からの火災イベント信号の有効受信を検知すると、ステップS13に進んで連動先を示す火災警報として自己のスピーカ56から警報音を出力し、例えばLED22の点滅による警報表示を行う。
【0156】
次にステップS14で他の住警器から送信または中継送信された火災復旧イベント信号の有効受信検知有無を判別しており、火災復旧イベント信号の有効受信を検知すると、ステップS15に進んで連動先の警報として行っているスピーカ56からの警報音出力とLED22の点滅による警報表示を停止する。
【0157】
次にステップS16で他の住警器から送信または中継送信された警報停止イベント信号の有効受信検知有無を判別しており、警報停止イベント信号の有効受信を検知すると、ステップS17に進んで警報中か否かを判別し、警報中であることを判別するとステップS18に進んで連動先としての警報音出力を停止し、警報表示も停止させる。
【0158】
続いてステップS19に進み、ローバッテリー障害検知の有無を判別し(ビルトインテスト)、ローバッテリー障害を検知するとステップS20に進んでメモリ32にローバッテリー障害フラグ78をグセットして記憶する。
【0159】
続いてステップS21に進み、センサ障害検知の有無を判別し、センサ障害を検知するとステップS22に進んでメモリ32にセンサ障害フラグ80をセットして記憶する。
【0160】
図9は図3のプロセッサ28に設けた点検要求管理部76による本願第1発明における点検要求管理処理の概略例を示したフローチャートである。
【0161】
図10において、点検要求管理処理は、電源投入後、まずステップS31でマスタモードを初期設定すると共に、所定の点検周期、例えば30日を初期設定した点検タイマ84をスタートして計時動作を開始した後、ステップS32に進み、イベント検出部58により通常状態での警報停止スイッチ20の操作による点検操作検知(点検指示入力検知)の有無を判別している。
【0162】
ステップS32で点検操作が検知されるとステップS33に進み、そのときメモリ32に記憶されている各障害フラグを参照して、記憶内容に応じて点検結果を報知する。即ち、ビルトインテストの結果としてメモリ32に障害フラグがセット記憶されているか否か判別し、障害フラグのセット記憶無し(障害無し)を判別した場合は、確認音として例えば「ピッ 正常です」を1回出力させ、障害が発生していないことに加え、住警器10の警報音等音響出力機能が正常であることを利用者に知らせる。
【0163】
このときあわせて、例えばLED22を所定の数パルス連続駆動させる等によって確認用の表示を行うようにすれば、利用者は表示機能も正常であることを再確認できる。
【0164】
またローバッテリー障害フラグ78のセット記憶有りを判別した場合は報知部36からローバッテリー障害警報を出力させ、センサ障害フラグ80のセット記憶有りを判別した場合は報知部36からセンサ障害警報を出力させる。ローバッテリー障害フラグ78とセンサ障害フラグ80の両方がセット記憶されている場合には、報知部36からそれぞれの障害警報を順次出力させる。
【0165】
続いてステップS34に進み、点検タイマ84をリスタート(再スタート)させ、ステップS33の点検結果報知時点を起点に点検周期30日の計時動作を再開する。
【0166】
ステップS32で点検操作が検知されない場合はステップS35に進んで現在の設定がマスタモードか否か判別し、マスタモードであることを判別した場合にはステップS36に進み、点検タイマ84の点検周期30日の計時動作による手動点検時機到来検知の有無を判別している。
【0167】
ステップS32で利用者による手動点検操作が行われることなく点検タイマ84による点検周期の計時が30日に達すると、ステップS36で点検時機到来が検知されてステップS37に進み、点検要求イベント信号を他の住警器に送信する。
【0168】
続いてステップS38に進み、点検要求情報報知として、報知部30のLED22を例えば点滅して点検要求表示を行い、手動点検時機が到来したことを利用者に知らせて点検操作を促す。
【0169】
続いてステップS39に進んで警報停止スイッチ20による利用者の点検操作検知の有無を判別しており、利用者の操作による点検指示入力を検知するとステップS40に進み、そのときメモリ32に障害フラグとして記憶されているビルトインテスト結果に応じて、障害の無い場合の確認報知、ローバッテリー障害報知、センサ障害報知を行い、ステップS41でLED22の点滅による点検要求表示を停止する。
【0170】
一方、ステップS39で点検操作が検知されない場合はステップS43に進んで所定の待ち時間が経過したか否かを判別しており、点検操作を検知することなく待ち時間が経過したことを判別するとステップS41に進み、LED22の点滅による点検要求表示を停止する。続いてステップS43で点検タイマ84をリスタートしてステップS32に戻る。
【0171】
ここで、ステップS38で行った点検要求表示は最長でステップS42の所定待ち時間に亘り(例えば間欠的に)行われることになるが、この待ち時間としては、利用者が点検時機の到来を認識できるに充分な時間、例えば24時間を設定する。また、点検要求の報知をLED22の表示駆動としているため、例えば夜間の睡眠中に点検時機の到来検出が判別されても、音響で報知する場合に比べて、利用者を煩わすことはない。
【0172】
ステップS35でスレーブモードが検知された場合、またステップS36で点検タイマ84による手動点検時機の到来が検知されない場合はステップS44に進み、他の住警器から送信された点検要求イベント信号の有効受信検知の有無を判別している。
【0173】
ステップS44で、他の住警器から送信された点検要求イベント信号の有効受信を検知すると、ステップS45に進んでスレーブモードを設定し、自己の点検タイマ84に基づく点検要求処理を禁止し、他の住警器から有効受信された点検要求イベント信号に基づく点検要求処理を許容する。なお、このようなスレーブモードに対してマスタモードは自己の点検タイマに基づく点検要求処理と他の住警器からの点検要求イベント信号有効受信に基づく点検要求処理の両方を許容するものである。
【0174】
ステップS44で、マスタモードで動作している他の住警器からの点検要求イベント信号の有効受信検知無しが判別されると、ステップS46で、ステップS36における点検タイマ84の計時による手動点検時機到来検知から所定時間を経過したか否か判別しており、自己の点検タイマの計時による点検周期30日から所定時間を過ぎても点検要求イベント信号の有効受信検知無しが判別されている場合はステップS47に進み、マスタモードを設定して、点検要求イベント信号を判別した場合と同様にステップS38〜S43の処理を行う。
【0175】
このようなマスタモードの再設定により、マスタモードで動作していた住警器の障害に対する再構築(マスタモードで動作している住警器の切替)が自動的に行われ、各住警器間で点検要求情報報知時期のばらつきを防止できる。即ち本願第1発明の実施形態にあっては、複数の住警器にいずれか1台をマスタモードとし、残りの住警器をスレーブモードとする関係が動的(ダイナミック)に構築される。
【0176】
図10は図3のプロセッサ24に設けた点検要求処理部76による本願第1発明による点検要求管理処理の他の実施形態を概略的に例示したフローチャートであり、本実施形態にあっては、手動点検時機到来による点検要求情報報知としての点検要求表示に対し点検操作が行われなかった場合、点検タイマの点検周期を短い点検周期に変更して再スタートするようにしたことを特徴とする。
【0177】
図10において、ステップS51〜S62及びS65〜S69の処理は図10のステップS31〜S47の処理と基本的に同じである。
【0178】
図10の実施形態に固有な処理としては、ステップS59で点検操作検知有りを判別することなくステップS62で所定の待ち時間が経過した場合、ステップS63に進んでLED22の点滅による点検要求表示を停止した後、ステップS64に進んでステップS51で初期設定した点検タイマ84の初期点検周期30日を例えば半分の点検周期15日と短い周期に変更してからステップS65で点検タイマ84をリスタートする。
【0179】
このため点検周期30日の経過による手動点検時機到来に基づく操作要求表示に対し利用者が点検操作を行わなかった場合、次の点検周期が例えば半分の15日に短縮され、利用者に対し早めに点検操作を要求することができる。このような点検周期の短縮処理は、ステップS59からステップS64の処理を連続して繰り返す度に、例えば15日、10日、5日と短くするようにしても良い。
【0180】
また、この処理が繰り返されて点検周期が所定の期間、例えば1日を下回った状態で、再度ステップS63,Yesとなった場合には、音声によっても点検要求情報を出力するようにしても良い。
【0181】
このような点検周期の短縮処理については、後に説明する図12の住警器についても同様に適用することができる。
【0182】
図11は図3のプロセッサ24に設けた点検要求管理部76による本願第1発明による点検操作管理処理の他の実施形態を概略的に例示したフローチャートであり、本実施形態にあっては、手動点検時機到来で点検要求情報報知として点検要求表示を行った後に所定の待ち時間が経過しても点検操作が行われなかった場合、点検要求情報報知として操作部30のスピーカ56から点検要求を示すメッセージを含む報知音を出力するようにしたことを特徴とする。
【0183】
図11において、ステップS71〜S82及びS87〜S90の処理は図9のステップS31〜S47の処理と基本的に同じである。
【0184】
図11の実施形態に固有な処理としては、ステップS79で点検操作を検知することなくステップS82で所定の待ち時間が経過した場合、ステップS83に進んで報知部36のスピーカ56から点検要求を示すメッセージを含む点検要求報知音、例えば「ピーピー 点検時機になりました 警報停止スイッチを押してください」のメッセージを出力する。
【0185】
続いてステップS84に進んで警報停止スイッチ20による点検操作検知の有無を判別しており、利用者の操作による点検指示入力有りを判別するとステップS80に進み、そのときメモリ32に記憶されているビルトインテスト結果に応じて、正常である旨の報知、ローバッテリー障害報知、センサ障害報知を行い、ステップS81でLED22の点滅による点検要求表示或いはスピーカ56からの点検要求報知音を停止し、ステップS86で点検タイマ84をリスタートしてステップS72に戻る。
【0186】
一方、ステップS84で点検操作が検知されない場合はステップS85で所定の待ち時間が経過したか否か判別し、待ち時間経過を判別するとステップS81に進んで点検要求表示或いは点検要求報知音を停止する。
【0187】
ステップS83ではステップS78で行っている表示報知を停止して音声報知を行っても良いが、音声報知に加えて表示報知も行っている場合には、ステップS81で音声及び表示報知を停止する。
【0188】
このように点検周期30日の経過による手動点検時機到来に基づく操作要求表示に対し利用者が点検操作を行わなかった場合、スピーカ56から点検操作要求を示すメッセージを含む報知音を出力することで、点検要求表示に気付かない利用者に対し確実に手動点検時機到来を知らせて点検操作を行わせることが可能となる。
【0189】
ここでステップS84の点検要求音声出力の最大継続時間は、ステップS86の待ち時間により決まるが、その時間の間、音声出力は例えば1時間に1回というように間欠的に行うことが望ましい。
【0190】
このような手動点検周期到来の音声報知処理については、次に説明する図12、図13の住警器についても同様に適用することができる。
【0191】
図12は本願第2発明におけるマスタ住警器の実施形態を例示した要部構成ブロック図であり、図13は図12のマスタ住警器と連携する本願第2発明におけるスレーブ住警器の実施形態を例示した要部構成ブロック図である。
【0192】
本願第2発明の実施形態は、例えば図1に示したと同じ住宅につき、例えば1台のマスタ住警器10−11と5台のスレーブ住警器10−12〜10−16を設置して監視システムを構築しており、各住警器間で点検要求情報報知時期のばらつきを防止するためのマスタスレーブ関係は予め固定的に設定される。
【0193】
このことから本願第2発明の実施形態にあっては、複数の住警器にいずれか1台をマスタモードとし、残りの住警器をスレーブモードとするマスタスレーブ関係が予め静的(スタティック)に構築されている。マスタモードとスレーブモードは、それぞれに設けた設定スイッチ等によって予め設定するようにしても良いが、以下で説明するように、ここでは点検タイマの有無によって設定するようにしている。
【0194】
図12において、マスタ住警器10−11は、図3の第1発明における住警器10−1と同様の機能、構成が設けられている。図12のマスタ住警器10−11に固有な構成は、図3の住警器10−1の点検要求管理部76がマスタ点検要求管理部90となっている点である。
【0195】
このようなマスタ住警器10−11の構成は図14に示すスレーブ住警器10−12についても同様であり、図12の住警器10−11のマスタ点検要求処理部90が図13ではスレーブ点検要求処理部92となっている点及び点検タイマ84を設けていない点で相違している。なお、スレーブ住警器10−13〜10−16も同じである。
【0196】
図12のマスタ住警器10−11に設けたマスタ点検要求管理部90は、メモリ32に配置した点検タイマ84の計時による所定の点検周期、例えば30日の到来前に操作部38に設けた警報停止スイッチ20による点検操作を検知した場合は、メモリ32に記憶しているビルトインテスト結果(正常、ローバッテリー障害又はセンサ障害)を報知部36により報知させた後に点検タイマ84を再スタートさせる。
【0197】
またマスタ点検要求処理部90は、警報停止スイッチ20による点検操作を検知することなく点検タイマ84による点検周期30日の計時を検知した場合は、監視領域の利用者に点検操作を求める点検要求情報を例えば報知部36のLED22の点滅により報知させると共に、スレーブ住警器10−12〜10−16に対し点検要求イベント信号を送信し、更に自己の点検タイマ84をリスタートさせる。
【0198】
これに対し図13のスレーブ住警器10−12に設けたスレーブ点検要求管理部92は、点検タイマを配置しておらず、マスタ警報器10−11から点検要求イベント信号を有効受信した場合に、監視領域の利用者に点検操作を求める点検要求情報を例えば報知部36のLED22の点滅(この場合例えばマスタ住警器10−11とは異なるパターンの点滅としても良い)により報知する。
【0199】
図14は図12及び図13に示したマスタ住警器10−11とスレーブ住警器10−12〜10−16で構築される第2発明の監視システムについて点検要求情報報知としての点検要求表示の連携動作を示した説明図である。図14(A)において、マスタ住警器10−11のみに点検タイマ84が設けられ、説明を容易にするため、点検タイマ84を30日周期で1回転するアナログ時計として擬似的に示している。
【0200】
住警器10−11〜10−16の電源を投入して起動して点検タイマをスタートし、その後、マスタ住警器10−11に設けた点検タイマ84の計時が点検周期30日に到達して手動点検時機到来が検知されたとすると、LED22を例えば点滅して点検要求表示を行い、また矢印で示すように、点検要求イベント信号をスレーブ住警器10−12〜10−16に送信し、点検タイマ84をリスタートする。
【0201】
スレーブ住警器10−12〜10−16は、図15(B)に示すように、マスタ住警器10−11から送信された点検要求イベント信号の有効受信に基づきLED22を例えば点滅して点検要求表示を行う。
【0202】
このようにマスタ住警器10−11の点検タイマ84の計時に基づく所定周期の点検時機到来に同期してスレーブ住警器10−12〜10−16でも点検要求表示が行われ、各住警器間で点検要求表示時期のばらつきをなくすことができる。
【0203】
なお、上記の実施形態は火災を検知して警報する住警器を例にとるものであったが、ガス漏れ警報器、CO警報器、各種の防犯用警報器を配置した監視システムやそれら各種の警報器を混在させて配置した監視システムについても同様に適用できる。
【0204】
また、上記の実施形態では点検内容としてローバッテリー障害やセンサ障害、また音響報知機能を例に取って説明したが、これらの一部または全部に代えて、或いはこれらの一部または全部に加えて、他の故障等任意の障害等点検について適用できる。
【0205】
また、本発明の監視システムは、点検要求について必ずしも全ての警報器が連動するものでなくても良く、一部の警報器は連動し、他の警報器は連動しないものとしても良い。
【0206】
また、警報器の各連携は無線通信によるものでなくても良く、有線通信によっても、また有線と無線を適宜混在させるものであっても良い。
【0207】
また、上記の実施形態で警報停止スイッチ20として示した操作手段は、必ずしもスイッチである必要は無く、リモコン装置等を使用して外部からの通信によって警報履歴出力を指示するもの等、どのような手段や方法を適用しても良い。
【0208】
また上記の実施形態におけるフローチャートは処理の概略例を説明したもので、処理の順番等はこれに限定されない。また各処理や処理と処理の間に必要に応じて遅延時間を設けたり、他の判定を挿入する等ができる。
【0209】
また、上記実施の形態で示した各機器のプロセッサは、その機能の一部又は全部を、例えばワイヤードロジック等による他の手段に代えることができる。プロセッサを含め他の電気的、機能的構成は適宜に統廃合することもできる。
【0210】
また、上記の実施形態では、電池電源によって動作する住警器を例に取ったが、電池電源以外の電源で動作するものにも本発明を適用できる。この場合にはローバッテリー障害に代えて電源障害を点検の対象とすることができる。
【0211】
また、上記の実施形態は住宅用に限らずビルやオフィス用など各種用途の警報器にも適用できる。
【0212】
また本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0213】
10,10−1〜10−6:住警器
10−11:マスタ住警器
10−12〜10−16:スレーブ住警器
12:カバー
14:本体
16:検煙部
17:取付フック
18:音響孔
20:警報停止スイッチ
22:LED
24:住宅
28:プロセッサ
31:アンテナ
30:無線通信部
32:メモリ
34:センサ部
36:報知部
38:操作部
40:電池電源
42:送信回路
44:受信回路
46:イベント信号
48:連番
50:送信元符号
52:グループ符号
54:イベント符号
56:スピーカ
58:イベント検出部
60:送信処理部
62:受信処理部
64:異常報知処理部
66:障害検知部
68:ローバッテリー障害検知部
70:センサ障害検知部
72:障害報知処理部
74:点検処理部
76:点検要求管理部
78:ローバッテリー障害フラグ
80:センサ障害フラグ
84,84−1〜84−6:点検タイマ
90:マスタ点検要求管理部
92:スレーブ点検要求管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境変化を観測して監視領域の異常を検知し、他の警報器と相互に連携して報知する警報器に於いて、
点検時機到来により点検要求情報を連動報知する処理部を設けたことを特徴とする警報器。
【請求項2】
環境変化を観測して監視領域の異常を検知し、相互に連携して報知する複数の警報器を設けた監視システムに於いて、
前記警報器は点検時機到来により点検要求情報を連動報知することを特徴とする監視システム。
【請求項3】
環境変化を観測して監視領域の異常を検知し、相互に連携して報知する複数の警報器を設けた監視システムに於いて、
前記複数の警報器の各々に、
外部からの所定の点検操作により点検処理の実行を指示する操作部と、
前記点検操作を検出した場合に、所定の点検処理を実行して結果を報知させる点検処理部と、
点検操作を必要とする点検時機の所定の周期を設定して計時する点検タイマと、
前記所定の周期の到来前に点検操作を検出した場合は点検結果を報知させると共に前記点検タイマを再スタートさせ、前記所定の周期の到来前に他の警報器から点検要求を示すイベント信号を有効受信した場合は点検操作を求める点検要求情報を報知させると共に前記点検タイマを再スタートさせ、前記点検タイマによる前記所定の周期の到来を検出した場合は点検操作を求める点検要求情報を報知させると共に他の警報器に点検要求を示すイベント信号を送信して前記点検タイマを再スタートさせる点検要求管理部と、
を設けたことを特徴とする監視システム。
【請求項4】
請求項3記載の監視システムに於いて、前記警報器の点検要求管理部は、起動時に、前記点検タイマに基づく点検要求情報の報知を許容するマスタモードを初期設定し、前記点検タイマによる前記所定の周期の到来前に他の警報器から点検要求を示すイベント信号を有効受信した場合は前記マスタモードを解除して前記点検タイマに基づく点検要求情報の報知を禁止するスレーブモードを設定することを特徴とする監視システム。
【請求項5】
請求項4記載の監視システムに於いて、前記警報器の点検要求管理部は、前記スレーブモードを設定した後に、前記点検タイマによる前記所定の周期を経過しても他の警報器から点検要求を示すイベント信号を有効受信しない場合は前記スレーブモードを解除して前記マスタモードを再設定することを特徴とする監視システム。
【請求項6】
請求項5記載の監視システムに於いて、前記警報器の点検要求管理部は、前記点検タイマによる前記所定の周期の到来検知から所定の待ち時間を経過しても他の警報器から点検要求を示すイベント信号を有効受信しない場合は、前記スレーブモードを解除して前記マスタモードを再設定することを特徴とする監視システム。
【請求項7】
請求項6記載の監視システムに於いて、前記所定の待ち時間を、前記警報器毎に異ならせたことを特徴とする監視システム。
【請求項8】
請求項3記載の監視システムに於いて、前記点検タイマに設定する所定の周期を、前記警報器毎に異ならせたことを特徴とする監視システム。
【請求項9】
請求項4又は5記載の監視システムに於いて、前記警報器の点検要求管理部は、前記スレーブモードを解除して前記マスタモードを設定した場合、マスタモードへの切替を報知させることを特徴とする監視システム。
【請求項10】
請求項3記載の監視システムに於いて、前記警報器の各々は、
警戒エリアの物理的現象を検出して検出信号を出力するセンサ部と、
所定周期毎に、前記電池電源の電圧低下および前記センサ部の故障をはじめとする障害検知を実行して検知した障害情報を記憶部に記憶する障害検知部と、
警報音と警報表示により異常警報又は障害警報をはじめとする警報を出力する報知部と、
前記センサ部の検出信号出力から検知した異常の有無、前記障害検知部による障害検知、及び前記操作部による警報停止操作や点検指示操作をはじめとするイベントを検出するイベント検出部と、
前記イベント検出部で検出したイベントを示すイベント信号を送信する送信部と、
他の警報器からのイベント信号を受信する受信部と、
前記イベント検出部で異常を検知した場合に、前記報知部から連動元を示す異常警報を出力させると共に、異常を示すイベント信号を他の警報器に送信させ、一方、前記イベント検出部で他の警報器から異常を示すイベント信号を有効受信した場合に、前記報知部から連動先を示す異常警報を出力させる異常報知処理部と、
前記イベント検出部で障害検知を検出した場合に、前記報知部から障害元を示す障害警報を出力させると共に障害を示すイベント信号を他の警報器に送信させ、一方、前記イベント検出部で他の警報器から障害を示すイベント信号を有効受信した場合に、前記報知部から障害先を示す障害警報を出力させる障害報知処理部と、
を備え、
前記点検処理部は、前記イベント検出部で前記操作部の点検操作を検出した場合、前記記憶部の障害情報に基づいて前記報知部から点検結果を報知させることを特徴とする監視システム。
【請求項11】
請求項3記載の監視システムに於いて、前記警報器の点検要求管理部は、前記点検要求情報として前記報知部に点検要求表示を行わせ、所定の待ち時間が経過しても前記操作部の点検操作を検出しない場合は、前記点検要求表示を停止することを特徴とする監視システム。
【請求項12】
請求項3記載の監視システムに於いて、前記警報器の点検要求管理部は、前記点検要求情報として前記報知部に点検要求表示を行わせ、所定の待ち時間が経過しても前記操作部の点検操作を検出しない場合は前記報知部から点検要求を示すメッセージを含む警報音を出力させ、前記警報音の出力中に所定の待ち時間が経過しても前記操作部の点検操作を検出しない場合は前記点検要求表示及び警報音を停止することを特徴とする監視システム。
【請求項13】
請求項11又は12記載の監視システムに於いて、前記警報器の点検要求管理部は、所定の待ち時間が経過しても前記操作部の点検操作を検出しない場合、前記点検タイマに設定している前記所定の周期を短い所定の周期に変更して再スタートさせることを特徴とする監視システム。
【請求項14】
請求項11又は12記載の監視システムに於いて、前記警報器の点検要求管理部は、所定の待ち時間が経過しても前記操作部の点検操作を検出しない状態が複数回連続した場合、前記点検タイマに設定している前記所定の周期を段階的に短い所定の周期に変更して再スタートさせることを特徴とする監視システム。
【請求項15】
請求項3記載の監視システムに於いて、前記警報器の点検処理部は、前記イベント検出部で前記操作部の点検操作を検出した場合、前記記憶部に障害情報を記憶している場合は前記報知部から障害警報を出力させ、前記記憶部に障害情報が記憶されていない正常を判別した場合は前記報知部から所定の確認音を出力させることを特徴とする監視システム。
【請求項16】
環境変化を観測して監視領域の異常を検知し、相互に連携して報知する複数の警報器を設けた監視システムに於いて、
前記複数の警報器のずれか1つをマスタ警報器として、
外部からの所定の点検操作により点検処理の実行を指示する操作部と、
前記点検操作を検出した場合に、所定の点検処理を実行して結果を報知させる点検処理部と、
点検操作を必要とする点検時機の所定の周期を設定して計時する点検タイマと、
前記所定の周期の到来前に点検操作を検出した場合は点検結果を報知させると共に前記点検タイマを再スタートさせ、前記点検タイマによる前記所定の周期の到来を検出した場合は、点検操作を求める点検要求情報を報知させると共に他の警報器に点検要求を示すイベント信号を送信して前記点検タイマを再スタートさせるマスタ点検要求管理部と、
を設け、
前記マスタ警報器以外の警報器をスレーブ警報器として、
外部からの所定の点検操作により点検処理の実行を指示する操作部と、
前記点検操作を検出した場合に、所定の点検処理を実行して結果を報知させる点検処理部と、
前記マスタ警報器から点検要求を示すイベント信号を受信した場合に、点検操作を求める点検要求情報を報知させるスレーブ点検要求管理部と、
を設けたことを特徴とする監視システム。
【請求項17】
請求項16記載の監視システムに於いて、前記マスタ警報器及び他の警報器の各々は、
警戒エリアの物理的現象を検出して検出信号を出力するセンサ部と、
所定の周期毎に、前記電池電源の電圧低下および前記センサ部の故障をはじめとする障害検知を実行して検知した障害情報を記憶部に記憶する障害検知部と、
警報音と警報表示により異常警報又は障害警報をはじめとする警報を出力する報知部と、
前記センサ部の検出信号出力から検知した異常の有無、前記障害検知部による障害検知、及び前記操作部による警報停止操作や点検指示操作をはじめとするイベントを検出するイベント検出部と、
前記イベント検出部で検出したイベントを示すイベント信号を送信する送信部と、
他の警報器からのイベント信号を受信する受信部と、
前記イベント検出部で異常を検知した場合に、前記報知部から連動元を示す異常警報を出力させると共に、異常を示すイベント信号を他の警報器に送信させ、一方、前記イベント検出部で他の警報器から異常を示すイベント信号を有効受信した場合に、前記報知部から連動先を示す異常警報を出力させる異常報知処理部と、
前記イベント検出部で障害検知を検出した場合に、前記報知部から障害元を示す障害警報を出力させると共に障害を示すイベント信号を他の警報器に送信させ、一方、前記イベント検出部で他の警報器から障害を示すイベント信号を有効受信した場合に、前記報知部から障害先を示す障害警報を出力させる障害報知処理部と、
を備え、
前記点検処理部は、前記イベント検出部で前記操作部の点検操作を検出した場合、前記記憶部の障害情報に基づいて前記報知部から点検結果を報知させることを特徴とする監視システム。
【請求項18】
請求項16記載の監視システムに於いて、前記マスタ点検要求管理部及びスレーブ点検要求管理部は、前記点検要求情報として前記報知部に点検要求表示を行わせ、所定の待ち時間が経過しても前記操作部の点検操作を検出しない場合は、前記点検要求表示を停止することを特徴とする監視システム。
【請求項19】
請求項16記載の監視システムに於いて、前記マスタ点検要求部及びスレーブ点検要求管理部は、前記点検要求情報として前記報知部に点検要求表示を行わせ、所定の待ち時間が経過しても前記操作部の点検操作を検出しない場合は前記報知部から点検要求を示すメッセージを含む警報音を出力させ、前記警報音の出力中に所定の待ち時間が経過しても前記操作部の点検操作を検出しない場合は前記点検要求表示及び警報音を停止することを特徴とする監視システム。
【請求項20】
請求項18又は19記載の監視システムに於いて、前記マスタ点検要求管理部は、所定の待ち時間が経過しても前記操作部の点検操作を検出しない場合、前記点検タイマに設定している前記所定の周期を短い所定の周期に変更して再スタートさせることを特徴とする監視システム。
【請求項21】
請求項18又は19記載の監視システムに於いて、前記マスタ点検要求管理部は、所定の待ち時間が経過しても前記操作部の点検操作を検出しない状態が複数回連続した場合、前記点検タイマに設定している前記所定の周期を段階的に短い所定の周期に変更して再スタートさせることを特徴とする監視システム。
【請求項22】
請求項16記載の監視システムに於いて、前記マスタ点検処理部及びスレーブ点検要求管理部は、前記イベント検出部で前記操作部の点検操作を検出した場合、前記記憶部に障害情報を記憶している場合は前記報知部から障害警報を出力させ、前記記憶部に障害情報が記憶されていない正常を判別した場合は前記報知部から所定の確認音を出力させることを特徴とする監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−118851(P2012−118851A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269178(P2010−269178)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】