説明

直接変換プロセスにおける局部発振器漏洩制御

【課題】直接変換プロセスにおける局部発振器の漏洩制御。
【解決手段】ゼロ中間周波数(IF)受信機あるいは送信機における、局部発振器(LO)周波数を発生するためのシステムおよび方法が与えられる。電圧制御発振器(VCO)から信号が受信される。信号はVCO周波数を有している。VCO周波数は分周された周波数を有している信号を生成するために数値Nによって分周される。VCO周波数を有している信号はそこで、出力周波数を有している出力信号を生成するために、分周された周波数を有している信号と混合される。局部発振器漏洩が減少される。したがって、受信機あるいは送信機は、複数の無線通信帯域およびモードで動作し、そして組み合わせられた規格を満足することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[分野]
本発明は一般的に無線通信に関する。とくに本発明は、直接変換トランシーバのためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[背景および関連する技術]
通信の分野は、大部分は無線デバイスの改善された能力に起因して、巨大な成長を経験してきている。無線デバイスは、線路に基づいた、システムの物理的制約なしに遠距離通信を可能とするために電波を使用する。音声、データ、あるいはページング情報などの情報は、あらかじめ設定された周波数帯域上に送信された電波によって伝達される。利用可能な周波数スペクトルの割り当ては、多数のユーザが不当な干渉なしに通信が可能であることを保証するために規制されている。
【0003】
ソースから宛先に送信されるべき情報は、ほとんど、無線伝送のために用意されているフォーマットとして得られてはいない。典型的には、送信機は入力信号を受け取り、そしてあらかじめ設定された周波数帯域に送信するためにそれをフォーマットする。ベースバンド信号としても参照される入力信号は、必要とされる周波数帯域における搬送波を変調する。たとえば、音声入力信号を受信する無線送信機はその入力信号で搬送周波数を変調する。
【0004】
送信機と同一の搬送周波数に同調された対応する遠隔受信機は、送信された信号を受信し復調しなければならない。これは、遠隔受信機が変調された搬送波からベースバンド信号を回復しなければならないということである。ベースバンド信号は、直接にユーザに与えられるかも知れず、あるいはユーザに与えられるのに先立って、さらに処理されるかも知れない。ラジオ、テレビジョン、およびページャ等の多くの民生用無線デバイスは、単に受信機である。
【0005】
トランシーバは1個のパッケージ内に送信機および受信機を集積した無線デバイスである。トランシーバはほとんど瞬間的な双方向通信が可能である。トランシーバの例は、双方向ラジオ、ウオーキートーキー、双方向ページャ、および無線電話を含む。
【0006】
受信機設計の有効性の評価にあたっては、いくつかの性能指数(figures-of-merit)が重要である。感度は、弱い信号を検出するための受信機の能力を決定する。受信機感度は、受信機が背景雑音から微小な識別可能な信号(MDS)を検出できるようでなければならない。雑音は、電圧および電流にランダムな変動を与える。MDSは、与えられたシステムの帯域幅を組み込んだ受信機固有の感度の尺度である。他方、受信機選択度は、受信機に与えられるオフチャネル干渉からの保護を示している。受信機は選択度が大きいほどより良く不必要な信号を排除することが可能である。
【0007】
減感(desense)は、人工的あるいは自然の無線周波干渉(RFI)に起因する受信機の総合的感度の減少である。減感は、非常に強い干渉信号が受信機を過負荷とする場合に生じ、より弱い信号の検出をより困難とする。受信機の減感特性は、妨害電波(jammer)などの強い干渉のもとにおいて正常に動作するその能力を決定する。
【0008】
雑音指数は、受信機の特性の他の主要な尺度である。雑音指数は、受信経路内の各継続的な段階において劣化する。それは増加するということである。増幅あるいは減衰技術は、許容可能な雑音指数を得るために、受信機内で応用されることが可能である。歪とともに雑音は、雑音の存在下における受信機の特性を示すデシベルで表される比、信号対雑音および歪(SINAD)を決定する。
【0009】
歪は、受信機のRF周波経路内のデバイスの出力における、不必要な信号の存在である。歪は、高調波歪、相互変調歪、および混変調歪を含むかも知れない。高調波歪は、必要とされる入力信号が受信機を圧縮するのに十分なほどに大きいときに生じ、そして典型的には、ベースバンド出力において、必要とされる信号からの周波数オフセットの関数として、そして必要とされる信号電力の関数として測定される。クロスオーバ歪は、送信機(たとえばCDMA無線電話機)からの振幅変調された成分が、デバイスの出力(LNA出力)において他の搬送波(妨害電波)に移動されるときに生じる。歪の最も一般的な形態は、相互変調歪(IMD)である。
【0010】
相互変調歪は、信号帯域内に付加的な不必要な歪を生じるように互いに混合している2個あるいはそれ以上の信号の結果である。2個の入力に対しては、相互変調積は、もとの周波数の整数倍の和および差において発生する。それは、周波数fおよびfを有する2個の入力信号に対して、出力周波数成分は、mf±nfとして示されることが可能である。ここで、mおよびnは、1に等しいか1よりも大きい整数である。相互変調積の次数はmおよびnの和である。“2トーン”3次成分(2f−fおよび2f−f)は、必要とされる、あるいは干渉する信号に近い周波数で発生することが可能であり、そしてしたがって容易に濾波されることが不可能である。より高次の相互変調積は、より小さい振幅を有しており、それだけではそれらはより問題にならない。2次の相互変調妨害積(intermodulation jamming products)は、トーンの間隔が信号帯域幅の2分の1以内にある場合は、ベースバンド周波数において発生されることが可能である。
【0011】
図1は、基本、2次、および3次IMD成分のレベルを、入力レベルに対してプロットしているグラフである。2次および3次レベルが基本を遮断する理論的な点は、2次遮断点(IP2あるいはSOI)および3次遮断点(IP3あるいはTOI)として知られる。受信機のIIP2は、入力レベル2次遮断点である。IIP3は、入力レベル3次遮断点である。
【0012】
3次遮断点および受信機の雑音指数は、受信機のダイナミックレンジに直接に関係する。ダイナミックレンジは、受信機が、受信機の規定された機能内で取り扱うことが可能な信号の範囲を定義している。それは、受信機が許容可能なSINADをもって正確な出力を生成することの可能な範囲である。とくに、アナログディジタル変換器などのベースバンド受信機に対しては、ダイナミックレンジは、デバイスのノイズフロアからクリッピングが生じる前の最大信号までにわたる、スプリアスフリーダイナミックレンジ(SFDR)として示されるかも知れない。
【0013】
局部発振器(LO)漏洩は、LO信号が受信機入力に漏洩するときに発生する。このような漏洩は、トランシーバアンテナによってスプリアス放射として送信されるかも知れず、そしてそれは他のデバイスに妨害を与えるかも知れない。さらに、LO漏洩は、受信機それ自身に反射されて戻るかも知れず、そして復調に先立って除去されない場合は、受信機を減感するかも知れない。
【0014】
妨害電波漏洩は、妨害電波信号が、受信機内のデバイスのLO入力あるいは出力に漏洩するときに生じる。このような漏洩は、妨害電波信号の振幅変調(AM)成分に比例した直流(DC)信号レベルなどの不必要な信号を発生するように妨害電波信号と混合するかも知れない。AM妨害電波信号は、受信周波数帯域内の任意の周波数に位置されることが可能である。
【0015】
低周波数フリッカ(1/f)雑音は、バイポーラ接合トランジスタのエミッタベース接合の欠陥によって引き起こされる。典型的には小さいが、フリッカ雑音および他のこのような雑音は、ベースバンドにおける信号の完全性を保つために、受信機内において除去される必要があるかも知れない。
【0016】
アイソレーションは、デバイスの一つの端子対に印加された電力レベルの、他の端子対に現れる同一周波数をもった、結果的に生じる電力レベルに対する比(dB)である。アイソレーションの反対である逆アイソレーションは、受信機構成部分に対する性能係数である。逆アイソレーションは、出力端子対に注入されたどの位のエネルギーが入力ソースに戻るかに関する尺度である。低いLOおよび妨害電波漏洩を得るためには、高い逆アイソレーションが必要とされる。
【0017】
増幅器の1dB圧縮点は、増幅器利得が小信号利得(the small signal gain)よりも1dB低いときの出力電力レベルの尺度である。増幅器の飽和点は、増幅器の最大出力電力能力の尺度である。これらの性能係数は図1に示される。
【0018】
以上に述べた性能係数および信号現象は、無線通信デバイスを設計するときに考慮されるべきである。より一般的には、無線通信の展望は、符号分割多元接続(CDMA)、拡散スペクトルの形式、あるいはブロードバンド、無線信号が非常に広い帯域幅上に拡散される通信によって支配されてきている。CDMA技術はCDMA(IS−95およびCDMA200)およびWCDMA(IMT2000)などの多くの変調標準に対する基礎になってきている。これらの変調あるいはエアインタフェース標準のそれぞれは、セルラ(日本セルラおよび米国セルラ)、PCS(米国および韓国の帯域における個人向け通信システム)、およびIMT(国際電気通信連合)を含む多くの無線周波数帯域に影響を与えている。他の変調標準は、FM(周波数変調、IS−19)、GSM(移動通信のためのグローバルシステム)、US−TDMA(IS−136)、GPS(全地球位置発見システム)、無線LAN(802.11)、およびブルートゥース(Bluetooth(登録商標))を含む。
【0019】
周波数帯域は種々の通信モードに割り当てられて来ている。無線トランシーバに対しては、米国PCS受信(RX)周波数帯域は1930〜1990MHzでありそして、組み合わせられた送信(TX)周波数帯域は1850〜1910MHzである。米国セルラ受信周波数帯域は869〜894MHzでありそして、組み合わせられた送信周波数帯域は824〜849MHzである。同様に、受信および送信周波数帯域は、日本セルラ、IMTおよび韓国PCSに割り当てられている。
【0020】
通信標準は、無線通信デバイスが満足しなければならない規格を示している。たとえば、スプリアス放射、感度、妨害(2トーン相互変調および単一トーン減感)、および残留側波帯規格が満足されなければならない。
【0021】
無線通信はまだ国際的あるいは国内的ベースでさえも標準化されて来ていない。現在の技術は、一つの帯域以上であるいは一つのモード以上で動作することが可能なトランシーバは、可搬性を増加して来ていることを認めて来ている。とくに、2帯域(dual band)ハンドセットは2つの周波数帯域上で動作する。たとえば、2帯域CDMAハンドセットは、800MHz(米国セルラ)および1.9GHz(米国PCS)周波数帯域の両方で動作することが可能である。もしもこれらの2つの周波数で動作している基地局がCDMA標準を使用する場合は、そこで2帯域CDMAハンドセットを有している移動ユニットはこれらの基地局の何れか、あるいは両者からサービスを受けることが可能である。さらに、2モードCDMA/FMハンドセットは、CDMAおよびFMモードの両者で動作することが可能である。それにも拘らず、変調標準および組み合わせられた周波数帯域に関する現在の多重性を与えられて、2モードおよび2帯域電話機は、世界の通信システムに対して多くても限定された両立性を、加入者に提供している。
【0022】
図2は、従来のデュアルダウンコンバージョン受信機に関する高レベルブロック線図である。受信機101はスーパーヘテロダインアーキテクチャが取り入れられている。とくに、受信されたRF信号11はRF信号経路に沿って伝送され、そして前処理される(段階1)。前処理されたRF信号13はまず、中間周波数(IF)を有している信号15に変換すなわちダウンコンバートされる(段階2)。IF信号15はそこで再び、“同相”(I)および“直交”(Q)位相成分を含むベースバンド信号17にダウンコンバートされる(段階3)。IおよびQベースバンド信号成分は90度位相が異なる。このIおよびQ成分はそこで、さらに処理されるために、ベースバンド処理装置等の受信機101の他の部分に送出される(段階4)。同様に、デュアルアップコンバージョン送信機においては、アナログIおよびQベースバンド信号は、まずIF信号にアップコンバートされ、そしてIF信号はそこで送信されたRF信号にアップコンバートされる。
【0023】
図3は、受信機101をより詳細に示す。受信機101は、いくつかの固有の利点を有する。たとえば、設計は、優れた感度および選択度、拡大された信号ダイナミックレンジ、柔軟な周波数計画、そしてIF濾波器70以降の受信機101内のエレメントに対しては、より低いダイナミックレンジおよび電流消費を提供する。さらに、IおよびQチャネル106、107間の位相および振幅の整合は、IF信号がより低い周波数帯域にあるために、より容易に達成されることが可能である。これらの利点のために受信機101は、複数モード(multi mode)そして複数帯域(multi band)の応用に適している。ここでは受信されたRF信号−複数のモードで変調され、そして複数の周波数帯域で伝送された−が処理されることが可能である。
【0024】
動作に関する複数の帯域およびモードをサポートするために、受信機101は、若干のモード固有の構成部分を含まなければならない。たとえば、複数帯域受信機においては、典型的には、それぞれの周波数帯域に対して個々のRF信号経路が必要とされる。複数モード受信機においては、妨害電波ダイナミックレンジ要求条件に従って、各モードに対して個々のベースバンド経路が必要とされるかも知れない。
【0025】
受信機101などの従来の受信機においては、典型的にはIF信号経路は、増幅器、濾波、そして自動利得調整(AGC)回路を含む。このように、受信機101は、信号帯域以外の雑音および妨害電波を除去することが可能であり、変化している信号電力および受信機利得変化を補償することが可能である。複数モード受信機においては、IF信号の濾波はモード固有である。その結果、受信機101はモードごとに1個のIF濾波器70を有している。たとえば、2モード電話機の受信機は2個のIF SAW(表面弾性波濾波器)を含む。CDMA 1X、CDMA 3X、WCDMA、GSM、FM、ブルートゥース、およびGPSモードをサポートする受信機に対しては、4〜6個のSAWおよび1個の個別LC濾波器が、IF信号経路内に必要とされるかも知れない。
【0026】
各モードに対してIF濾波器を必要とすることは、受信機101の重大な欠点である。各IF濾波器は受信機のコスト、重要な部品の数、および受信機の基板面積を増加する。各IF濾波器は高い損失を有するかも知れないので、IF前置増幅器あるいはAGCがまた必要とされるかも知れない。IF電圧制御発振器(VCO)および位相ロックループ(PLL)65がまた、IFミクサ60に入力される局部発振器(LO)周波数を発生するために必要とされる。受信機101の付加的な欠点は、スイッチマトリックスあるいは複数のIF増幅器およびAGCモジュールを必要とすること、不要の側波帯雑音を減少するための低損失RF帯域通過濾波器(BPF)を必要とすること、および付加的なIFミクサを必要とすることを含む。このように、デュアルダウンコンバージョン受信機のIF段階は、コスト、設計の複雑さ、そしてこのような受信機の回路基板面積を増加する。
【0027】
図4は、直接ダウンコンバージョン、すなわちゼロIF受信機200のブロック線図である。直接ダウンコンバージョン受信機においては、受信されたRF信号201は、ベースバンド信号225に直接にダウンコンバートされる。同様に、直接アップコンバージョン、すなわちゼロIF送信機においては、ベースバンド信号は送信されたRF信号に直接にアップコンバートされる。受信機200においては、受信されたRF信号はベースバンド信号を発生するために局部発振器(LO)周波数と混合される。IF信号経路を組み込まれないために、受信機200は、コスト、基板面積、そしてIF SAW、LC整合および個別濾波器、前置増幅器、AGC、IFミクサ、およびIF VCOおよびPLLを含むIF構成部分と組み合わせられた電力消費を削減する。さらに、各部分の(part-to-part)そして温度の変動が少なくなる。
【0028】
受信機200の設計は、チャネル選択度濾波などのさらなる信号処理が、集積回路によってベースバンドのアナログあるいはディジタル領域内で起こることを考慮に入れる。従って受信機200のRFおよびアナログ部分が性質上より一般的になることを可能にする。AGCはディジタルであるために、較正の簡易化、あるいは無較正さえもが必要とされるかも知れない。GPS、ブルートゥース、およびGSMなど一定した動作モードに対しては、受信機200は、この濾波器の第1の目的がCDMAセルラおよびPCSモードにおける混変調を減少させることであることから、RF濾波器を必要としないことが可能である。しかしながら、GPSモードは、もしもGPS変調された信号が他の変調された信号と同時に受信される場合は、RF濾波器を必要とするかも知れない。
【0029】
上述の利点にもかかわらず、直接ダウンコンバージョンは、無線電話には広く組み込まれて来てはいない。その理由は、受信機に対する固有のダイナミックレンジを達成すると同時に、基幹的な受信機設計目標を達成することが非常に困難であることである。受信機200などの受信機に対する設計目標は、高利得および低雑音指数、高いIIP3およびIIP2の値、そして低い電力消費を達成することを含む。複数モードおよび複数帯域受信機は、非常に広いダイナミックレンジを必要とするかも知れない。したがって、これらの受信機に対してこれらの設計目標を達成することはさらになお困難である。
【0030】
より特別に、IおよびQミクサLO端子対への局部発振器(LO)漏洩および妨害電波漏洩は、直接ダウンコンバージョン受信機の重大な問題の原因となる。セルラおよびPCSに対しては、スプリアス放射要求条件はとくに厳重である。このように、より高い逆アイソレーションが必要とされる。さらに、直接ダウンコンバージョン受信機においては、IおよびQミクサのLO端子対への妨害電波漏洩と同様に、受信機それ自身に反射されて戻るLO漏洩は、直接ダウンコンバージョン回路によって処理されるかも知れない。このように、これもまた、ベースバンドスペクトル成分を含むかも知れない不必要なDCオフセット電圧が、必要とされるベースバンド信号に加えてミクサの出力に表れるかも知れない。したがって、DCオフセットは、信号対雑音比が十分に高いことを保証するために除去されなければならない。
【0031】
CDMAにおいては感度は、一定したフレーム誤り率(FER)が満足されるようなレベルにセットされた信号で試験される。IS−98は、供試デバイスは0.5%FERより以下で、−104dBm(信号電力)の感度レベルを満足しなければならないと規定している。相互変調試験は、−101dBm(感度試験の3dB上)にセットされた信号レベルにおいて、RF信号に関係したオフセットの2トーン(帯域内歪積を発生するオフセットにおいて−43dBm/トーン、あるいは典型的には、±900および、±1700kHz)で、1%FERより以下で行われる。周波数帯域によって、試験される電力レベルおよび妨害電波のための周波数オフセットには差があるかも知れない。単一トーン減感試験に対しては、IおよびQミクサのRF端子対における妨害電波レベルは、900kHzに等しいかより大きいオフセットにおいて、信号レベルよりも71dBだけ大きい。
【0032】
妨害電波電力は各ミクサのLO端子対に漏洩し、そしてRF妨害電波の振幅に比例したDCレベルを生成するように、ミクサRF端子対において妨害電波レベルと混合するかも知れない。典型的には、妨害電波は競合している無線システムにおける基地局の順方向リンクによって発生される。妨害電波の電力は、使用されている変調、あるいはフェージングの関数として変化するかも知れない。最悪の妨害電波は、必要とされる信号帯域幅と同等の振幅変調を有するかも知れない。このように、AM成分はダウンコンバージョン後のベースバンドにおける信号エネルギーのいずれものトップにあり、そしてベースバンド濾波で除去されることは不可能である。この問題は、妨害するRF信号が増加するにつれて悪化させられる。たとえば、もしも妨害するRF信号が10dB増加する場合、ベースバンド歪は20dB増加する。このベースバンド歪は、もしも妨害電波の自己ミクシングに影響する、RFミクサのLOアイソレーションに対するRFおよび、2次の歪効果を表すRFミクサのIIP2の両者が不十分であれば、1対2(two-for-one)スロープよりも実際に大きいことが可能である。
【0033】
さらに、直接ダウンコンバージョン受信機における、ミクサに対する妨害電波およびLO漏洩要求条件は非常に負担になる。このような受信機はIF濾波を欠いているために、受信機ベースバンドエレメントのダイナミックレンジは、ベースバンドアナログ濾波、および各部分、周波数、そして利得の温度変動によって、30dBあるいはそれ以上増加されることを必要とするかも知れない。種々の変調基準に対する残留側波帯規格もまた満足されなければならない。このような受信機は、そのベースバンド段階以前はより少ない利得を有するために、ベースバンドにおけるフリッカー雑音は、FM変調された信号を処理するための受信機の能力に対してより大きな影響を有する。
【0034】
その結果、必要とされるものは、複数の帯域および複数のモードにおいてRF信号を変調することが可能な、直接コンバージョントランシーバである。
【発明の開示】
【0035】
[概要]
開示された実施例は、直接コンバージョン無線通信デバイスにおける、局部発振器(LO)周波数を発生するための新しいそして改善されたシステムおよび方法を示している。一つの実施例においては、システムは、電圧制御発振器(VCO)、分周器、およびミクサを組み込んでいる。分周器は、入力および、入力信号を分周することによって生成される出力を有している。分周器入力は、動作的にVCOと結合されている。ミクサは、動作的にVCOと結合された第1のミクサ入力と、動作的に分周器出力と結合された第2のミクサ入力と、そして出力を有している。ミクサ出力は、LO周波数を位相シフタおよび第2の分周器に並行して与える。
【0036】
他の実施例においては、システムはVCO、第1の分周器、第2の分周器、およびミクサを組み込んでいる。第1の分周器は、入力と、入力信号を分周することによって生成された出力とを有している。第1の分周器の入力は、動作的にVCOと結合されている。第2の分周器は入力と、入力信号を分周することによって発生された出力とを有している。第2の分周器の入力は、動作的に第1の分周器の出力と結合されている。ミクサは、第1の分周器の出力と動作的に結合された第1のミクサ入力と、第2の分周器の出力と動作的に結合された第2のミクサ入力と、そして出力とを有している。
【0037】
他の実施例においては、システムは、LO発振器、周波数帯域選択機構、および配列選択機構を組み込んでいる。LO発振器は、1個あるいはそれ以上の配列を有し、VCO周波数をVCO周波数の分周された形態(a divided-down version)と混合するよう配列されたミクサを含む。各配列は、RF信号の周波数帯域と組み合わせられており、その周波数がRF信号の周波数帯域と組み合わせられている出力信号を生成する。周波数帯域選択機構は、RF信号の周波数帯域を選択するように配列されている。配列選択機構は、RF信号の選択された周波数帯域と組み合わせられた配列を選択するように配置されている。
【0038】
[詳細な記載]
開示された実施例の特徴、目的、そして利点が、図面と関連させた場合に以下に記述する詳細な説明からより明白になろう。図面において同様の参照符号は、全体を通して同一のものと認定する。
【0039】
図4は、本発明の一つの実施例に従った、直接ダウンコンバージョン受信機200に関する高レベルブロック線図である。受信機200は、RF信号経路210、直接ダウンコンバータ220、およびベースバンド処理装置230を含む。
【0040】
RF信号経路210はRF信号201を受信する。RF信号201は複数のモードに変調され、そして複数の周波数帯域に伝送された信号を含むことが可能である。RF信号経路210は、種々のモード、そして種々の帯域の中から選択するための選択機構を含むことが可能である。さらに、RF信号経路210は、さらなる処理のためにRF信号201を準備するための増幅器、あるいは濾波器を含むことが可能である。このような準備された信号は、図4における予備処理されたRF信号215として示されている。直接ダウンコンバータ220は、RF信号経路210から予備処理されたRF信号215を受信し、そしてこれらの信号をベースバンド信号225にダウンコンバートする。
【0041】
ベースバンド処理装置230は、たとえば、DC相殺、整合されたおよび妨害電波の濾波、サンプルデシメーション(sample decimation)、自動利得制御、信号電力測定(受信信号強度表示器、RSSI)、逆拡散、デインターリービング、誤り訂正、およびディジタルデータあるいは音声ストリームへの復号化等の、ベースバンド信号225への後の処理を行うことが可能である。処理された情報はそこで、ディスプレー、ラウドスピーカー、あるいはデータ端子対を含むかも知れない無線デバイス内の出力機構などの、適切な宛先に発送されることが可能である。ベースバンド処理装置230はまた、受信機200と相補的な送信機によって使用されることが可能であることは留意されるべきである。
【0042】
図5は、受信機200をさらに詳細に示している。アンテナ301は、到来するRF信号に対する受信機200のインタフェースの働きをする。アンテナ301はまた、アンテナ301に結合された送信機からのRF信号を放送することも可能である。複数のアンテナが動作中の帯域の分離、あるいは同時に動作中のモードを互いに隔離するために使用されるかも知れない。インタフェース305は、受信機200および送信機がともにアンテナ301を使用可能なように、送信されたRF信号から受信されたRF信号を隔離することが可能である。
【0043】
インタフェース305は、1個あるいはそれ以上のデュプレクサ312を含むことが可能である。デュプレクサ312は、到来している受信帯域中の信号を濾波する。さらに、デュプレクサ312は、到来している受信帯域中の信号を出てゆく送信帯域の信号から分離する。複数のデュプレクサ312が、もしも複数の動作帯域が個々の受信機あるいは送信機の応用において必要とされる場合は、使用されることが可能である。図5に示されたように、組み合わせられた動作中の帯域がデュプレクサ312の帯域の中にすべて適合すると仮定した場合、1個のデュプレクサ312は、CDMA、FM、およびIMTモードに変調された信号を処理することが可能である。
【0044】
インタフェース305はまた、1個あるいはそれ以上のスイッチ314および帯域通過濾波器316を含むことが可能である。スイッチ314は受信および送信動作の間を選択する。たとえば、スイッチ314は、信号が同時に受信されそして送信されないGSM、あるいはブルートゥースモードに対応することが可能である。帯域通過濾波器316は、到来している受信帯域内のGPS信号を濾波する。GPS信号は受信され、そして送信されないために、デュプレクサは使用される必要がない。他の帯域通過濾波器316は、他の類似した受信のみのモードのために受信機200の中に含まれるかも知れない。
【0045】
低雑音増幅器(LNA)320は、インタフェース305に結合され、そして受信されたRF信号を増幅する。LNA320は、受信帯域においては最小の雑音指数を、しかし受信機200内の次の段階からの雑音指数寄与を最小とするために十分に高い利得を、与えるように選択されることが可能である。LNA320の利得は、LNA利得制御324によって制御されることが可能である。送信電力は、インタフェース305から受信機200に漏洩するかも知れない。たとえば、デュプレクサ312は、送信電力を完全には濾波できないかも知れない。したがって、LNA320は、高い圧縮および3次の遮断点を必要とするかも知れない。
【0046】
LNA320は、RX帯域通過濾波器(BPF)330に結合される。BPF330はさらに、受信帯域の外側にある送信機信号を除去する。BPF330は本発明の若干の実施例においては必要とされないかも知れないことに留意すべきである。たとえば、さきに指摘したように、GSMモードで変調された信号は、もしもGPRS(一般パケット無線サービス)における最大のデータレートがサポートされていない場合は、同時に受信されおよび送信されないかも知れない。
【0047】
図5は、1個のデュプレクサ312、1個のLNA320、および1個のBPF330を含む1個のRF信号経路を示している。しかしながら、受信機200には、複数の信号経路が含まれることが可能である。各信号経路は、受信機200の1個あるいはそれ以上の個々の動作中の周波数帯域に対応することが可能である。たとえば、受信機200は、それぞれの、セルラ、PCS、IMT、およびGSM信号経路を含むことが可能である。各RF経路は、必要に応じて、デュプレクサ、スイッチ、および/あるいは帯域通過濾波器、LNA、BPF、およびIおよびQミクサを含むことが可能である。さらに、他のモードで動作している間の同時のGPS受信は、別々のLO発振、ベースバンド増幅、アナログ低域通過濾波器、アナログディジタル変換器、I/Qディジタル処理、および復調を必要とするかも知れない。
【0048】
選択機構310は、与えられた時刻に動作中の動作周波数帯域に従って、異なったRF信号経路間で切り替える。選択機構310は、たとえば、種々のデュプレクサおよびBPFに接続された帯域選択デバイスを含むことが可能である。選択機構310はまた、IおよびQチャネルミクサ340A、340Bに結合されることが可能である。たとえば、米国セルラ帯域において受信された信号に対して選択機構310は、ともに受信された信号を適切に濾波し増幅する、デュプレクサ312、LNA320、およびBPF330に切り替えることが可能である。
【0049】
BPF330の出力は、IおよびQチャネルミクサ340A、340Bの入力に結合される。典型的実施例においては、BPF330は、ミクサ340A、340Bの差動入力(図示せず)に接続するための差動出力(図示せず)を有することが可能である。したがって、BPF330の正および負の出力端子はミクサ340Aの正および負の入力端子に、そしてミクサ340Bの正および負の入力端子に結合されることが可能である。このような差動信号経路配列は、RF信号経路へのLOおよびTX結合を減少させ、そして振幅変調された妨害電波のコモンモードの除去を増加する(ミクサ入力におけるより高い2次入力遮断レベル)。したがって、受信機200におけるアイソレーションおよび妨害電波の除去は改善される。
【0050】
代わりに、変圧器がBPF330のシングルエンデッド出力に結合されることが可能である。変圧器は、シングルエンデッド信号を、ミクサ340A、340Bの差動入力に結合されることが可能な、差動信号に変換することが可能である。
【0051】
図5に示されるように、局部発振器(LO)350は、バッファ増幅器351A、351Bに結合される。バッファ増幅器351A、351Bは、ミクサ340Aの第2の入力342Aに、そしてミクサ340Bの第2の入力342Bにそれぞれ結合される。バッファ増幅器351A、351Bは、もしもIおよびQミクサ340A、340Bが差動入力を有している場合は、差動出力を有することが可能である。若干の実施例においては、バッファ増幅器は受信機200の設計に含まれる必要はない。
【0052】
LO350は、種々の周波数で出力信号を発生することが可能な周波数発振器を含むかも知れない。たとえば、LO350は、第1の信号および第1の信号から90度位相シフトされている第2の信号を出力するかも知れない。LO350は、位相ロックループ(PLL)、電圧制御発振器(VCO)、周波数混合機構、および位相シフト機構を含むかも知れない。LO350は、受信されたRF信号の動作周波数によってLO350を制御する帯域選択354を含むかも知れない。典型的実施例においては、LO350は、LO漏洩、およびIおよびQミクサRF端子対における信号経路への、およびこれからの雑音結合を軽減するために差動経路を使用する。
【0053】
各ミクサ340A、340BはBPF330から受信されたRF信号を、ミクサ340A、340Bの第2の入力342A、342BにおいてLO350から受信された信号と混合する。混合処理は信号をともに乗算する。したがって、ミクサ340A、340Bは、受信されたRF信号をIおよびQベースバンド信号に直接にダウンコンバートする。典型的実施例においては、ミクサ340A、340Bは、ミクサ利得制御341A、341Bによって調整されることが可能な関係づけられた利得を有している。
【0054】
ダウンコンバージョンの後に、IおよびQ信号はそれぞれの信号経路365A、365Bに沿って処理される。I信号経路365Aは、両信号経路の標本であり、そして増幅器360A、アンチエイリアシング濾波器370A、およびIチャネルアナログディジタル変換器(ADC)380Aを含むことが可能である。増幅器360Aは、ミクサ340Aの出力に結合される。それぞれの信号経路に沿って処理およびアナログディジタル変換された後に、ディジタルIチャネルデータ382およびQチャネルデータ385は、さらに処理されるかも知れない。若干の実施例においては、IおよびQ信号は動作中のモードに固有の経路に沿って処理されることが可能である。他の実施例においては、IおよびQ信号経路はモードの中で共有されることが可能である。
【0055】
受信機200は、ブルートゥース固有のモジュールを含むことが可能である。図5に示されるように、ブルートゥース直接ダウンコンバータ390およびブルートゥースベースバンド処理装置395は、機能的におよび構造的に以上に述べた構造に類似している。しかしながら、ブルートゥースは、CDMAなどの他の動作モードと同時に動作可能であるために、ブルートゥース直接ダウンコンバータ390およびベースバンド処理装置395は、ブルートゥース専用のモジュールとして実現されるかも知れない。同様にして、GPSは同時に動作し、そして別々のベースバンド信号経路およびLO発振器回路を必要とするかも知れない。
【0056】
図6は、本発明の実施例に従って局部発振器周波数を発生するためのシステム400を示している。システム400は無線受信機、送信機、あるいはトランシーバの中に組み込まれることが可能であることに留意すべきである。たとえば、システム400は、図5におけるLO350として受信機200の中に組み込まれることが可能である。システム400は、位相ロックループ(PLL)410、ループ濾波器401、ミクサ450、電圧制御発振器(VCO)420、およびスイッチ440を含む。
【0057】
スイッチ440は複数の位置を有するように配列されるかも知れない。図6においては、スイッチ440は3個の位置を有しているクロスポイントスイッチである。ここで“フィードフォーワード”として述べられた、第1の位置(1−2)においては、スイッチ440は、VCO420を分周器430の入力に結合する。第2の位置(2−3)“フィードバック”においては、スイッチ440はミクサ450の出力を分周器430の入力に結合する。第3の位置(1−3)“バイパス”においては、スイッチ440は、VCO420をミクサ450の出力に結合し、そしてミクサ450の出力は使用禁止とされる。システム400はスイッチを含んで示されるが、他の実施例においては、システム400は、スイッチを含む必要はない。たとえば、VCO420は分周器430に直接に結合されることが可能である。スイッチ440の位置は、受信されたRF信号の周波数帯域に従って帯域選択などの制御機構(図示せず)によって制御されることが可能である。
【0058】
VCO420は、組み合わせられた受信機、送信機、あるいはトランシーバを含むチップの外部の、シングルエンデッド出力VCOを含むことが可能である。外部のVCOは、ASIC(特定用途向け集積回路)の中に集積されたVCOよりもよりすぐれた位相雑音を有することが可能である。しかしながら、集積されたVCOは、与えられた動作帯域に固有な妨害要求条件によっては十分であるかも知れない。外部のVCO420に対しては、PLL410は、VCO420に直接に結合されることが可能である。さらに、PLL410は、もしもPLL410がシステム400の中に集積される場合は、ミクサ450の出力に結合されることが可能である。PLL410は、各動作中の帯域の中に個々のチャネル間隔を作るために、参照周波数405で信号を受信する。
【0059】
図6に示された実施例は、PLL入力スイッチ445を含む。スイッチ445は、PLL410をVCO420に、ミクサ450の出力に、あるいは分周器430の出力に、結合することが可能である。当業界においてはよく知られるように、PLL410、ループ濾波器401、およびVCO420は、VCO周波数を有している信号を出力するように協動する。VCO周波数は、受信されたあるいは送信された信号の周波数の上、あるいは下にあることが可能である。分周器430は、周波数が入力信号の分周された形態である信号を出力する周波数分周器を含むことが可能である。たとえば、分周器430は、整数Nによって分周することが可能であり、ここでNの値は、制御信号によってセットされることが可能である。
【0060】
VCO420は、ミクサ450の第1の入力に結合される。上に述べたように、スイッチ440の位置に基づいて、ミクサ450の第2の入力は、分周器430を経由してVCO420(フィードフォーワード)、ミクサ450の出力(フィードバック)、あるいは開いた回路(バイパス)に結合されることが可能である。ミクサ450は、1個の基本ミクサ積(primary mixer product)のみを出力する、単側波帯(SSB)ミクサ、あるいはイメージ除去ミクサを含むことが可能である。SSBミクサは、ミクサ出力における不必要なミクサ積を最小とする。とくにSSBミクサは、2個の入力周波数の和(上側の側波帯すなわちUSB)、あるいは2個の入力周波数の差(下側の側波帯すなわちLSB)の何れかである周波数出力を与える。上側のSSBミクサは、上側の側波帯を保存し、そして下側のSSBを無効にする。逆に、下側のSSBミクサは、下側の側波帯を保存し、そして上側の側波帯を無効にする。ミクサ450は、ミクサ450に結合された制御信号によって、USBおよびLSBモードの間で動作するように配列されることが可能である。
【0061】
システム400はまた、直交LO信号490を作成するために第2の分周器470を含むことが可能である。第2の分周器470は、入力周波数を整数Mによって分周することが可能であり、フリップフロップを含むかも知れない。分周器470が2個のフリップフロップを含む場合、第1のフリップフロップは入力信号の立ち上がり端部を記録し、他方第2のフリップフロップは立ち下がり端部を記録する。フリップフロップの個々の出力は、位相差が90度となることが可能である。このように、それぞれのフリップフロップは、IおよびQミクサ340A、340Bの何れかを、差動的に駆動することが可能である。他の実施例においては、バッファ増幅器351A、351Bは、第2の分周器470およびIおよびQミクサ340A、340Bの間に位置されることが可能である。M=2の場合、そこで第2の分周器470は2によって分周するが、第2の分周器470は、分周器430とともに使用される場合、周波数の広範囲に対して効果を有している、広帯域(broadband)位相シフタとして機能する。第2の分周器470は、米国および日本のセルラ帯域に対してIおよびQミクサLO信号を発生することが可能である。
【0062】
位相シフタ460は、第2の分周器470と並列にシステム400内に含まれることが可能である。代わりに、システム400は、位相シフタ460のみを含むかも知れない。LCRネットワークあるいはアクティブエレメントを含むことが可能な位相シフタ460は、ミクサ450の出力に結合されるかも知れない。位相シフタ460は、入力信号を受信し、そして直交LO出力信号480を発生するかも知れない。受信機の場合、各直交信号は、そのRF信号をIおよびQベースバンド成分にダウンコンバートするために、受信されたRF信号と混合されるかも知れない。典型的な実施例においては、位相シフタ460は、PCS(米国あるいは韓国)およびIMTのより高い動作帯域に対して有効である。
【0063】
本発明の実施例に従って、分周器430に対するNの値、スイッチ440の位置、およびミクサ450のモードは、広範囲のLO周波数を発生するために変えられることが可能である。さらに、第2の分周器470に対するMの値も変えられることが可能である。広範囲のLO周波数の発生されることが可能であるにもかかわらず、VCO420は、比較的狭い同調範囲内で動作することのみを必要とする。したがって、システム400は、無線複数帯域、および複数モード受信機、送信機、あるいはトランシーバ内に実現されることが可能である。
【0064】
典型的実施例においては、システム400は、差動信号経路を含む。たとえば、VCO420の出力、およびミクサ450および分周器430の入力および出力は、差動であることが可能である。このように放射されたIおよびQ LOエネルギー、およびシステム400を組み込んでいる無線デバイス内のRF信号経路への伝導された結合は、最小化されることが可能である。
【0065】
システム400を含む無線デバイスにおいて、マイクロ処理装置(図示せず)はRF信号に対して適用可能な周波数帯域を決定する。選択された帯域に基づいて、図5における帯域選択354などの配列選択機構は、選択された周波数帯域と組み合わせられた配列をシステム400内で選択することが可能である。このように、分周器430に対するNの値、スイッチ440の位置、ミクサ450のモード、および第2の分周器470に対するMの値をセットするための適切な制御信号が、システム400内で発生されることが可能である。
【0066】
表1は、受信機環境において実行されるときのシステム400に対する典型的配列を示す。VCO420は、約1600から1788MHzで動作するよう制御される。VCO420は、無線デバイスにおける放射された、および伝導された雑音の第1のソースであるかも知れない。表1が示すように、VCO周波数帯域は、組み合わせられたRF受信周波数帯域とは別個のものである。したがって、以下の配列は、無線デバイス内のVCO雑音の影響を最小にする。
【表1】

【0067】
表1 複数帯域直接ダウンコンバージョン受信機に対するLO制御配列
本発明と矛盾なく、他の配列も、異なった受信周波数帯域に対して、また、外部VCOあるいは集積されたVCO実現などの異なった設計技術に対して、VCO420の同調範囲および中心周波数を最適化するように準備されることが可能である。付加的な分周器が、このような配列を与えるためにシステム400に含まれるかも知れない。
【0068】
分周器430およびミクサ450は、必要とされる受信帯域の外にある不必要なLO分岐部(spurs)を生成するかも知れない。しかしながら、ミクサ450の出力は、このような分岐部を圧縮するであろう。さらに、IおよびQミクサ340A、340Bの端子対342A、342B(図5参照)は、またこのような分岐部を圧縮する共振子を含むかも知れない。RF信号経路はまた、LO分岐部と同じ周波数における妨害積を除去することの可能な、複数のRF BPF応答を有するかも知れない。
【0069】
論じたように、第2の分周器470は直交LO信号480を作成する。IおよびQミクサ340A、340Bは、入力としてバッファ351A、351Bによって通過されることが可能な、直交LO信号480を受信する。このように、IおよびQミクサ340A、340Bの負荷抵抗器およびコンデンサ内における位相変動は、システム誤差の原因であるかも知れない。しかしながら、位相整合要求条件は、同じチップ上でIおよびQミクサ340A、340Bを実現することによって満足されることが可能である。したがって、受信器に対する残留側波帯規格は、満足されることが可能である。
【0070】
IおよびQチャネル間の振幅整合が必要とされるかも知れない。典型的な振幅整合アプローチは、アナログ、あるいはディジタル利得補償を通して、IおよびQチャネル利得を較正することを含む。アナログ利得補償を達成するためには(図示せず)、独立した、あるいは切り替え可能な電力検出機構が、チャネルの受信された信号強度表示器(RSSI)を測定するために、そして対応して利得をオフセットするために、IおよびQチャネルのそれぞれに結合されることが可能である。ASICが、IおよびQチャネルに対する較正値を保存するかも知れない。ASICおよび電力検出機構の間のディジタル母線インタフェースを介して、較正値は調査されることが可能であり、そして利得は補償されることが可能である。ディジタル利得補償を達成するためには(図示せず)、ベースバンド経路はIおよびQ信号をともに乗算するADCの後に、ディジタル乗算機を含むことが可能である。したがって、ASICに保存された較正値は調査されることが可能であり、そしてIおよびQチャネル利得は、対応して補償されることが可能である。
【0071】
他の実施例(図示せず)においては、GPS固有の信号経路が無線受信機あるいはトランシーバ内に含まれることが可能である。GPS変調された信号は、ただ一つの周波数において受信される。したがって、受信機は一つのGPS周波数に同調することのみを必要とする。とくに、GPS固有の経路は、GPS信号に対して独占的にPLLおよびVCOを有することが可能である。チップ上あるいはチップ外にあるかも知れないVCOは、3150.84MHz、あるいはGPS周波数の2倍で動作することが可能である。GPS VCOはそこで、GPS RF信号の直接ダウンコンバージョンのためのLO周波数を発生するために、分周器(2で分周)に結合されそして分周されることが可能である。受信機内に、別々のGPS RF信号経路が与えられるかも知れないが、それにもかかわらずGPSベースバンド経路は、他の変調標準に従って変調された信号と分離され、あるいは共有されることが可能である。分離する場合は、GPS信号のベースバンド処理は、他の変調された信号のベースバンド処理と同時に生じることが可能である。共有された場合は、電流および基板面積の節減を達成することが可能である。
【0072】
ブルートゥースは、CDMA等の他の動作モードと同時に動作することが可能であるために、分離したVCOおよびLO発振器は、ブルートゥース信号の直接ダウンコンバージョンのためのLO周波数の発生を助けるために受信機あるいはトランシーバ内に含まれるかも知れない。
【0073】
図7は、局部発振器周波数を発生するための、代わりのシステム500を示す。システム500は、PLL570,ループ濾波器560、複数帯域VCO501、VCO分周器520、SSBミクサ540、SSB分周器530、およびRX分周器550を含んでいる。複数帯域VCO501、PLL570、およびループ濾波器560は、異なった周波数範囲にVCO周波数を出力するためにともに協動する。帯域選択510は、複数帯域VCO501のための適切な周波数範囲を決定する。
【0074】
VCO分周器520は、複数帯域VCO501に結合される。VCO分周器520は、2などの整数PによってVCO周波数を分周することが可能である。VCO分周器520の分周された出力はSSB分周器530の入力に結合される。SSB分周器530は、VCO分周器520の出力周波数を、2などの整数によって分周することが可能である。SSB分周器530の出力およびVCO分周器520の出力は、SSBミクサ540のそれぞれの入力に結合される。SSBミクサ540は、信号をともに混合する。SSBミクサ540がUSBミクサあるいはLSBミクサとして動作しているかによって、入力信号の和あるいは差がミクサ540によって出力される。その結果VCO分周器520、SSB分周器530、およびSSBミクサ540は、協動して部分的周波数乗算器として動作する。ミクサ540の出力はRX分周器550の入力に結合される。RX分周器550は、1あるいは2などの整数によって、入力信号を分周することが可能である。
【0075】
SSBミクサ540のモードと同様に、複数帯域VCO501の周波数帯域、そしてVCO分周器520、SSB分周器530、およびRX分周器550の分周値を変えることによって、広範囲のLO周波数がシステム500によって発生されることが可能である。表2は、複数帯域無線受信機において実現するのに適したシステム500を作成する、システム500のための典型的な配列を示している。
【表2】

【0076】
表2 複数帯域直接ダウンコンバージョン受信機のためのLO制御配列
システム500においては他の配列も可能である。たとえば、システム500は、複数帯域VCO501およびRX分周器550に結合された乗算器バイパススイッチ580を含むことが可能である。スイッチが閉じられている場合、複数帯域VCO501は、受信された信号の動作周波数の2倍、あるいは4倍で動作する(run)ことが可能である。RX分周器550はそこで、必要とされるLO周波数を発生するためにVCO出力周波数を2あるいは4で、それぞれ分周することが可能である。とくに、セルラIおよびQミクサLO信号を発生するために、VCO501は受信周波数の4倍で動作されることが可能であり、そしてRX分周器550は、4で分周されることが可能である。しかしながら、同調は複数帯域VCO501の広い動作範囲のために、より問題があるかも知れない。システム500は、複数帯域VCO501をRX分周器550に直接に結合するかも知れないこと、および乗算器バイパススイッチ580,SSB分周器530、SSBミクサ540、およびVCO分周器520はシステム500から消去されるかも知れないことは、正しく評価されるべきである。
【0077】
さらにシステム500は、複数帯域VCO501およびSSBミクサ540の入力545に結合されたスイッチ(図示せず)を含むかも知れない。スイッチが閉じられている場合、SSBミクサ540はVCO周波数をVCO周波数の分周された形態と混合するかも知れない。このように、システム500は、上記システム400で使用されたと同様の方法で、IおよびQミクサLO信号を発生することが可能である。
【0078】
図8は、直接アップコンバージョン、すなわちゼロIF送信機600の実施例を示している。送信機600は、局部発振器周波数を発生するシステム602を含む。システム602は、上記システム400に類似しているが、特別に構成され、そして無線直接アップコンバージョン送信機内で動作する。システム602は、PLL610、ループ濾波器601、第1および第2のSSBミクサ645、650、VCO620、PLL入力スイッチ641、LOスイッチ640A、および640B、および第2の分周器670を含む。
【0079】
送信機のための位相雑音要求条件は、妨害要求条件を満足しなければならない受信機のためのそれよりもより少ない。その結果、VCO620は、送信機あるいはトランシーバASIC上により容易に集積されることが可能である。しかしながら、他の実施例においては、VCO620はチップ外で実現されるかも知れない。VCO620,ループ濾波器601、PLL610、および参照発振器605は、VCO出力周波数を生成するために、ともに協動する。PLL入力スイッチ641は、PLL610をVCO620に、分周器630の出力に、あるいは第1のSSBミクサ645の出力に、選択的に結合することが可能である。このように、PLL610のための入力ソースは、VCO620から、分周器630の出力における信号、あるいは第1のSSBミクサ645の出力における信号の何れかに切り替えられることが可能である。したがって、必要とされるRF周波数が発生される場合はその周波数に対するロッキングが生じるかも知れない。
【0080】
スイッチ640A,640Bそれぞれは、2個の位置を有している。付加的な位置は、他の実施例において可能である。他の実施例においては、スイッチ640A,640Bは含まれる必要はない。スイッチ640Aのフィードフォーワード位置においては、スイッチ640AはVCO620を第1のSSBミクサ645の入力に結合する。フィードバック位置においては、スイッチ640Aは、SSBミクサ645の出力を、SSBミクサ645のLO端子対に結合する。スイッチ640Bのフィードフォーワード位置においては、スイッチ640Bは、VCO620を第2のSSBミクサ650の入力に結合する。フィードバック位置においては、スイッチ640Bは、SSBミクサ650の出力をSSBミクサ650のLO端子対に結合する。
【0081】
VCO620は、分周器630の入力に結合される。分周器630は、VCO出力周波数を整数Nで分周する。分周器630は、第1および第2の出力信号を生成する。分周器630の第1の出力は、第1のSSBミクサ645に結合される。分周器630の第2の出力は、第2のSSBミクサ650に結合される。第1および第2の分周器出力における信号は、ともに入力周波数の形態に分周されるが、しかし位相は90度異なる。
【0082】
スイッチ640Aがフィードフォーワード位置にあるときは、第1のSSBミクサ645は、VCO出力周波数を分周器630によって出力された分周された形態と混合する。同様に、第2のSSBミクサ650は、VCO出力周波数を分周器630によって出力された分周された形態と混合する。第1および第2のSSBミクサ645、650の出力は、周波数は同一であり、そして位相は90度異なっている。第1および第2のSSBミクサ645、650の出力は、システム602の送信機LO周波数である。
【0083】
第2のSSBミクサ650の出力は、第2の分周器670に結合される。第2の分周器670は、入力周波数を整数Mで分周することが可能である。第2の分周器670は、第1および第2の出力信号を生成する。第1および第2の出力信号は直交している。第2の分周器670の出力はシステム602の送信機LO周波数である。
【0084】
NおよびMの値、SSBミクサ645、650のモード、およびスイッチ640A、640Bの位置を変えることによって、システム602は、広範囲の送信機LO周波数を発生することが可能である。したがって、システム602は、送信機600などの直接アップコンバージョン送信機における実現のために適している。表3は、送信機動作帯域と組み合わせられた典型的な配列を示している。本発明の教えと矛盾のない付加的な配列が準備されるかも知れない。上に記述したように、必要とされる周波数帯域は周波数帯域選択機構によって選択されることが可能であり、そして組み合わせられた配列は配列選択機構によって選択されることが可能である。
【表3】

【0085】
表3 複数帯域直接アップコンバージョン送信機のためのLO制御配列
他の実施例(図示せず)においてはシステム602は、受信機のための受信LO周波数を固定されたオフセットLO周波数と混合することによって、送信LO周波数を発生することが可能である。このアプローチは、表4に示されるように、次の変調標準がTXおよびRXチャネル間の固定された周波数オフセットを有することを認める。
【表4】

【0086】
表4 RXチャネル周波数に関係のあるTXオフセット
とくに、システム602のLO発生回路(PLL610、ループ濾波器601、第1および第2のSSBミクサ645、650、VCO620、およびスイッチ640A、640B)は、受信LO周波数を発生することが可能である。固定されたオフセットLOである第2の発振器は、第1および第2のSSBミクサ645、650のそれぞれの入力に結合されていることが可能である。したがって、第1のSSBミクサ645および第2のSSBミクサ650は、送信LO周波数を発生するために、受信LO周波数をオフセットLOと混合することが可能である。しかしながら、受信LOは、スプリアス出力を発生するかも知れないことは正しく評価すべきである。したがって、送信機あるいは受信機内におけるチップ外の濾波が、受信帯域における伝導スプリアス漏洩規格を満足するために必要とされるかも知れない。このような濾波は、受信周波数における分岐部積(spur product)を排除することが可能である。
【0087】
送信機600は、RF信号を送信するためにシステム602によって発生されたLO周波数を使用することが可能である。ベースバンド処理装置608は、図8に示されるように送信機600の外側にあるか、あるいは送信機600を含むトランシーバ内に集積されるかも知れない。ベースバンド処理装置608は、1対の出力信号を与える。各出力信号は、平衡したあるいは差動の対として実現されることが可能である。2個の出力は、各モードに対するIおよびQベースバンドアナログ信号を表し、そして信号の直交変調が送信機600の後の段階で実行されることが可能であるように、分離した信号経路として与えられる。
【0088】
典型的実施例においては、送信機600は、3個のRF出力を含む。出力のうち2個は、PCSあるいはIMT信号帯域に対応することが可能であり、そして他はセルラ帯域に対応することが可能である。PCS RF出力に対しては、第1のRFミクサ651はSSBミクサ645、およびベースバンド処理装置608の第1のベースバンド出力に結合される。第1のRFミクサ651は、必要とされるRF周波数に直接に、ベースバンド信号をアップコンバートする。第2のRFミクサ653は、SSBミクサ650およびベースバンド処理装置608の第2のベースバンド出力に結合される。第2のRFミクサ653は、第1のRFミクサ651の出力におけると同じRF周波数に直接にベースバンド信号をアップコンバートする。第1および第2のRFミクサ651、653の出力は、ベースバンド信号をアップコンバートするのに使用されたLO信号の相対的位相差に起因して直交している。
【0089】
直交RF信号はそこで、2個の直交信号を1個の信号に結合する信号加算器660に結合される。信号加算器660の入力は、第1および第2のRFミクサ651、653それぞれからの平衡した出力に対応して平衡していることが可能である。信号加算器660の出力はまた、コモンモード雑音ソースからの信号干渉を最小とするために、平衡した信号であることが可能である。
【0090】
信号加算器660の出力は、2個の増幅器チェーンに同時に結合されることが可能である。両増幅器チェーンは、PCS送信帯域において動作するよう配列されることが可能である。図8に示されたように、第1の増幅器チェーンは、AGC増幅器662および664を含むかも知れない。第2の増幅器チェーン670は、AGC増幅器662および666を含むかも知れない。
【0091】
セルラRF出力に対しては、第3のRFミクサ652は、第2の分周器670の第1の出力およびベースバンド処理装置608の第1のベースバンド出力に結合される。第3のRFミクサ652は、ベースバンド信号を必要とされるRF周波数に直接にアップコンバートする。第4のRFミクサ654は、第2の分周器670の第2の出力およびベースバンド処理装置608の第2のベースバンド出力に結合される。第4のRFミクサ654は、ベースバンド信号を、第3のRFミクサ652の出力におけると同じRF周波数に直接にアップコンバートする。第3および第4のRFミクサ652、654の出力は、ベースバンド信号をアップコンバートするのに使用されたLO信号の相対的位相差に起因して直交している。
【0092】
直交RF信号は、そこで、2個の直交信号を1個の信号に結合する信号加算器670に結合される。信号加算器670の入力は、第3および第4のRFミクサ652、654それぞれからの平衡した出力に対応して平衡していることが可能である。信号加算器の出力もまた、コモンモード雑音ソースからの信号干渉を最小にするために、平衡した信号であることが可能である。
【0093】
信号加算器670の出力は、第3の増幅器チェーンに結合されるかも知れない。第3の増幅器チェーンは、セルラ送信帯域において動作するように配列されるかも知れない。図8に示されたように、第3の増幅器チェーンは、AGC増幅器672および674を含むかも知れない。
【0094】
送信機600は、いつでも1個だけの増幅器チェーンが動作するように配列されることが可能である。このように、送信機600がそれぞれの周波数帯域において送信するよう配列されている場合、その周波数帯域をサポートしている増幅器チェーンのみが動作可能である。休止中の増幅器チェーンは、電力を節約するために制御回路(図示せず)によってパワーダウンされることが可能である。図8に示された3個の増幅器チェーン、および他のこのような増幅器チェーンはまた、当業界においてよく知られている方法に従って、送信濾波器、アイソレータ、あるいはディプレクサを含み、あるいは結合されることが可能である。
【0095】
以上の詳細な説明は、本発明の典型的な実施例を示している添付された図面を参照している。他の実施例が可能であり、そして本発明の精神、および範囲から逸脱することなしに、実施例に対する変形が実行可能である。たとえば、上述のデバイスの多くは、デバイスが濾波器あるいは増幅器などの中間のデバイスによって分離されているなどのように、互いに間接に結合されることが可能である。さらに本発明の教えは、将来発展する変調標準および動作帯域に適用されることが可能である。その結果、この詳細な記述は、発明を限定することを意味するものではなく、むしろ本発明の範囲は特許請求の範囲によって規定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】飽和および圧縮点、そして2次および3次の遮断点をプロットしているグラフである。
【図2】従来のデュアルコンバージョン受信機に関する高レベルブロック線図である。
【図3】従来のデュアルコンバージョン受信機に関するブロック線図である。
【図4】直接コンバージョン受信機に関する高レベルブロック線図である。
【図5】直接コンバージョン受信機に関するブロック線図である。
【図6】本発明の実施例に従って局部発振器周波数を発生するためのシステムに関するブロック線図である。
【図7】本発明の実施例に従って局部発振器周波数を発生するためのシステムに関するブロック線図である。
【図8】ゼロIF送信機の実施例を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数帯域直接変換無線通信デバイスにおいて、局部発振器(LO)周波数を発生するための方法であって、方法は、
電圧制御発振器(VCO)からVCO周波数を有している信号を受信し、
分周された周波数を有している信号を発生するために、数値NによってVCO周波数を分周し、そして
出力周波数を有している出力信号を生成するために、VCO周波数を有している信号を分周された周波数を有している信号と混合する
ことを含む方法。
【請求項2】
出力周波数はLO周波数である、請求項1の方法。
【請求項3】
さらに、第2の出力周波数を生成するために、数値Mによって出力周波数を分周することを含む、請求項1の方法。
【請求項4】
さらに、出力信号の位相をシフトすることを含む、請求項1の方法。
【請求項5】
ここで、制御信号が受信される場合は、VCO周波数は数値Nによって分周される、請求項1の方法。
【請求項6】
ここで、デバイスは受信機を含む、請求項1の方法。
【請求項7】
ここで、出力周波数は、受信機のためのLO周波数であり、さらに、送信機のためのLO周波数を生成するために、出力信号をオフセット周波数を有している信号と混合することを含む、請求項6の方法。
【請求項8】
ここで、デバイスは送信機を含む、請求項1の方法。
【請求項9】
複数帯域直接変換無線通信デバイスにおいて、局部発振器(LO)周波数を発生するための方法であって、方法は、
電圧制御発振器(VCO)からVCO周波数を有している信号を受信し、
分周された周波数を有している信号を生成するために数値NによってVCO周波数を分周し、
さらに分周された周波数を有している第2の信号を生成するために、数値Mによって分周された信号を分周し、そして、
出力周波数を有している出力信号を生成するために、 VCO周波数を有している信号を、さらに分周された周波数を有している第2の信号と混合する
ことを含む方法。
【請求項10】
さらに、出力周波数を数値Pによって分周することを含む、請求項9の方法。
【請求項11】
VCOは複数帯域VCOである、請求項9の方法。
【請求項12】
複数帯域直接変換無線通信デバイスにおいて、局部発振器(LO)周波数を発生するための方法であって、方法は、
1個あるいはそれ以上の配列を有するように、なお各配列は、RF信号の少なくとも1個の周波数帯域と組み合わせられており、そして少なくとも1個のRF信号の周波数帯域と組み合わせられている周波数の出力信号を生成しており、そしてVCO周波数をVCO周波数の分周された形態と混合するように、LO発振器を配列し、
RF信号の周波数帯域を選択し、そして
RF信号の選択された周波数帯域と組み合わせられた配列を選択する
ことを含む方法。
【請求項13】
さらに、選択に基づいてLO発振器を制御することを含む、請求項12の方法。
【請求項14】
複数帯域直接変換無線通信デバイスにおいて、局部発振器(LO)周波数を発生するためのシステムであって、システムは
電圧制御発振器(VCO)と、
入力および入力信号を分周することによって生成される出力を有している分周器と、なおその分周器入力はVCOに動作的に結合されており、および
VCOに動作的に結合された第1のミクサ入力、分周器出力に動作的に結合された第2のミクサ入力、および出力を有しているミクサと
を含むシステム。
【請求項15】
ここでミクサ出力はLO周波数を与える、請求項14のシステム。
【請求項16】
ここでVCOはデバイスを含むチップの外部にある、請求項14のシステム。
【請求項17】
ここでVCOはシングルエンデッド出力を有している、請求項16のシステム。
【請求項18】
ここでVCOはデバイスを含むチップ内に集積されている、請求項14のシステム。
【請求項19】
ここでVCOはRF信号の周波数以下で動作する、請求項14のシステム。
【請求項20】
ここでVCOはRF信号の周波数以上で動作する、請求項14のシステム。
【請求項21】
ここでVCOは1600および1788MHz間の周波数で動作する、請求項14のシステム。
【請求項22】
ここでVCOは位相ロックループ(PLL)に動作的に結合され、さらに、GPSモードにあるときに受信された信号に対する第2のPLLおよび第2のVCOを含み、第2のVCOは、受信されたGPS信号の周波数の2倍で動作している、請求項14のシステム。
【請求項23】
さらに、ブルートゥースモードにあるときに受信された信号に対する第3のPLLおよび第3のVCOを含む、請求項22のシステム。
【請求項24】
ここでミクサは単側波帯(SSB)ミクサを含む請求項14のシステム。
【請求項25】
ここでSSBミクサは低周波側SSBミクサである、請求項24のシステム。
【請求項26】
ここでSSBミクサは高周波側SSBミクサである、請求項24のシステム。
【請求項27】
ここでミクサ出力は位相ロックループ(PLL)に動作的に結合されており、ここでPLLはデバイスを含むチップの内部にある、請求項14のシステム。
【請求項28】
ここで分周器入力はVCOに選択的に結合されている、請求項14のシステム。
【請求項29】
ここでスイッチは、分周器入力をVCOに選択的に結合する、請求項28のシステム。
【請求項30】
ここでスイッチはRF信号の帯域に基づいて、スイッチ制御によって制御される、請求項29のシステム。
【請求項31】
ここで分周器入力はミクサ出力に選択的に結合される、請求項14のシステム。
【請求項32】
ここでミクサ出力はVCOに選択的に結合される、請求項14のシステム。
【請求項33】
さらに、ミクサ出力と結合された入力を有している位相シフタを含む、なお位相シフタは直交信号を生成する出力を有している、請求項14のシステム。
【請求項34】
ここで位相シフタはアクティブ位相シフタを含む、請求項33のシステム。
【請求項35】
さらに、ミクサ出力に動作的に結合された入力および入力信号を分周することにより生成された出力を有している第2の分周器を含む、請求項14のシステム。
【請求項36】
ここで第2の分周器は2によって分周する、請求項35のシステム。
【請求項37】
ここで第2の分周器は第1の信号および第2の信号を出力し、第1の信号は、第2の信号の位相と90度離れている、請求項35のシステム。
【請求項38】
ここで第1の信号はデバイス内のIおよびQミクサの一つを駆動する、請求項37のシステム。
【請求項39】
ここで
デバイスは受信機を含み、ここで
受信されたRF信号の帯域は、米国PCSであり、そしてここで
VCOは1716MHzおよび1769MHzの周波数間で動作し、
分周器は8によって分周し、そして
ミクサは高周波側SSBミクサである、
請求項14のシステム。
【請求項40】
ここで
デバイスは受信機を含み、ここで
受信されたRF信号の帯域はIMTであり、そしてここで
VCOは1688MHzおよび1736MHzの周波数間で動作し
分周器は4によって分周し、そして
ミクサは、高周波側SSBミクサである
請求項14のシステム。
【請求項41】
ここでデバイスは無線通信トランシーバの中に含まれる、請求項14のシステム。
【請求項42】
ここでデバイスは送信機を含む、請求項14のシステム。
【請求項43】
ここで
送信されたRF信号の帯域は米国PCSであり、そしてここで
VCOは1480MHzおよび1528MHz間の周波数で動作し、
分周器は4によって分周し、そして
ミクサは高周波側SSBミクサである
請求項42のシステム。
【請求項44】
さらに、第1の送信周波数帯域内で動作するよう配列された第1の増幅器チェーンを含む、なお増幅器チェーンはアップコンバータに動作的に結合されている、請求項42のシステム。
【請求項45】
ここでデバイスは受信機を含み、そしてさらにミクサの第3の入力に結合されたオフセットLOを含む、ここでミクサ出力は送信機のためのLO周波数を与える、請求項14のシステム。
【請求項46】
ここで第1のミクサ入力およびミクサ出力は差動である、請求項14のシステム。
【請求項47】
ここでデバイスは差動信号経路を組み込んだ受信機を含む、請求項14のシステム。
【請求項48】
複数帯域直接変換無線通信デバイスにおいて、局部発振器(LO)周波数を発生するためのシステムであって、システムは、
電圧制御発振器(VCO)と、
入力および入力信号を分周することによって生成された出力を有している第1の分周器と、なお第1の分周器の入力はVCOに動作的に結合されており、
入力および入力信号を分周することによって生成された出力を有している第2の分周器と、なお第2の分周器の入力は第1の分周器の出力と動作的に結合されており、そして
第1の分周器の出力と動作的に結合された第1のミクサ入力、第2の分周器の出力と動作的に結合された第2のミクサ入力、および出力とを有しているミクサと
を含むシステム。
【請求項49】
さらに、ミクサ出力と動作的に結合された第3の分周器を含む、請求項48のシステム。
【請求項50】
ここでVCOは複数帯域VCOである、請求項48のシステム。
【請求項51】
複数帯域直接変換無線通信デバイスにおいて、局部発振器(LO)周波数を発生するためのシステムであって、システムは、
1個あるいはそれ以上の配列を有しているLO発振器と、なお各配列はRF信号の少なくとも1個の周波数帯域と組み合わせられており、そしてRF信号の少なくとも1個の周波数帯域と組み合わせられた周波数の出力信号を生成しており、そしてVCO周波数をVCO周波数の分周された形態と混合するよう配列されたミクサと、そして
RF信号の選択された周波数帯域と組み合わせられた配列を選択するよう整列された配列選択機構と
を含むシステム。
【請求項52】
ここでLO発振器は配列選択機構に基づいて制御される、請求項51のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−306759(P2008−306759A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−203318(P2008−203318)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【分割の表示】特願2002−557031(P2002−557031)の分割
【原出願日】平成14年1月10日(2002.1.10)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】