説明

真空処理装置およびその制御方法、制御プログラムおよびその記録媒体

【課題】複数の処理室を有しかつラダープログラムで工程が制御される真空処理装置で、工程管理、各種機器の進捗確認について可視性を向上させ、工程管理と進捗確認を容易に行える真空処理装置とその制御方法等を提供する。
【解決手段】この真空処理装置111は、制御用コンピュータ110と処理室114を備え、処理室の動作が制御コンピュータに用意されたラダープログラム51に従って制御され、処理室はPLC54を備え、制御データは制御用コンピュータから通信手段を経由してPLCに与えられ、ラダープログラムは予め制御用コンピュータ上でテーブル化され、テーブル化された制御データはPLCの記憶領域に書き込まれ、PLCは、記憶領域に書き込まれた制御データを分解し、処理室が必要とする入力および状態に係るデータを取り込み、取り込んだデータに基づいて処理動作に関係する進行条件の判定を実行し、処理室での処理動作を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空を利用して対象物に所定の処理を施し、制御プログラムとしてラダープログラムで制御される真空処理装置、この真空処理装置の制御方法、この制御方法を実現する制御プログラム、および当該制御プログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の真空処理装置の構成の一般的な例として図8を参照して説明する。
【0003】
真空処理装置111は、いわゆるクラスタ型の装置構成を有し、中央の搬送室112の周囲に複数の室を備えている。これらの複数の室は、例えば、2室のロードロック室113A,113B、複数室の処理室114である。2室のロードロック室113A,113Bは、大気環境である外部と所定の真空環境である装置内部との間で、基板の搬入と搬出を行うための室である。基板の搬入と搬出は複数枚の基板を収容するカセットの状態で行われる。複数室の処理室114は、それぞれ、各種の成膜室、膜表面等をクリーニングする室等である。
【0004】
各処理室114では、真空処理装置111内で、予め定められた順序で移動する基板に対して決められた処理を行う。真空処理装置111内で順次に移動する基板は、1枚ごとである。搬送室112、2室のロードロック室113A,113B、複数室の処理室114のそれぞれには、内部を所要の真空状態(減圧状態)にするための排気機構(図示せず)が付設されている。また、基板の搬入と搬出が行われる各室の出入口部分あるいは境界部分にはゲートバルブ(図示せず)が設けられている。真空処理装置111内部では、ゲートバルブを開閉し、開状態にすることによって、成膜環境等の環境が異なる2室間で1枚の基板の出し入れが行われる。
【0005】
真空処理装置111の動作制御に関しては、例えば、全体の動作を管理する上位コンピュータ(上位ホスト)110が設けられている。上位コンピュータ110は例えばパーソナル・コンピュータ(PC)やサーバーで構成される。信号またはデータの伝送系または通信系としては、コンピュータ(SCを含む)間の接続およびコンピュータと制御対象の間の接続としてイーサネット(登録商標)17というLANが用いられている。プログラマブル・ロジック・コントローラ(以下「PLC」と記す)を用いて、このような真空処理装置111の各部の一連の工程を自動制御する制御方式が知られている。PLCは、予め作成された制御プログラム(以下「シーケンスプログラム」と記す)に従って、真空処理装置111の各部の動作状態を監視し、動作状態の変化に応じて制御を行う。
【0006】
上記のシーケンスプログラムの中にラダー図を用いたラダープログラムがある。ラダー図を構成する代表的な構成要素として例えば「入力接点」、「出力コイル」、「論理回路」がある。「入力接点」は制御対象機器の接点のオン/オフ状態を入力し記憶し、「出力コイル」は上記の「入力接点」等に対するオン/オフの指示を記憶し、出力する。また「論理回路」は複数の「入力接点」のオン/オフ情報の論理演算(アンド論理、オア論理等)を行う。
【0007】
なお本発明に関連する従来技術として下記の特許文献1および特許文献2を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−099110号公報
【特許文献2】特開2005−316922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述した通りラダープログラムによれば、入力接点のオン/オフ状態を入力し記憶させるために、真空処理装置111の各室での動作としての制御を進行させるための条件(以下では単に「条件」と記す)の元となる、例えば、真空処理装置111では真空計、基板処理用ガスの流量計などの各種の複数の計測機器からの入力値であるアナログ信号に関する情報を束ねてフラグ化する必要がある。しかしながら、ラダープログラムの表記上の特徴から、1つの状態に1つ対応するフラグを不必要に重複させて多数複数箇所設定してしまったり、または条件の選定について真空処理装置111としての全体の可視性に乏しいことから操作ミスを誘発するプログラム(いわゆるバグ)を作成してしまうなどの可能性があった。また上記の特許文献1,2に開示される発明でも上記の問題を解消し得るものではない。
【0010】
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、少なくとも1つの処理室を有しかつラダープログラムでシーケンス(工程)が制御される真空処理装置において、当該真空処理装置における条件からなる工程管理、および、制御対象である各種機器の進捗確認についてそれらの可視性を向上させることができ、これにより工程管理と進捗確認を容易に行うことができる真空処理装置を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、上記の真空処理装置を実現するための真空処理装置の動作を制御する制御方法、当該制御方法を実現する制御プログラム、および当該制御プログラムを格納する記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る真空処理装置等は、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
【0013】
本発明に係る真空処理装置(請求項1に対応)は、
制御用コンピュータと少なくとも1つの処理室とを備え、処理室での処理動作が制御コンピュータに用意されたラダープログラムの手順に従って制御される真空処理装置であって、
処理室はプログラマブル・ロジック・コントローラを備え、処理室の制御に必要な制御データは制御用コンピュータから通信手段を経由してプログラマブル・ロジック・コントローラに与えられ、
制御データは予め制御用コンピュータ上でテーブル化され、
テーブル化された制御データは処理室のプログラマブル・ロジック・コントローラの記憶領域に書き込まれ、
プログラマブル・ロジック・コントローラは、記憶領域に書き込まれた制御データを分解し、処理室が必要とする入力および状態に係るデータを取り込み、取り込んだデータに基づいて処理動作に関係する進行条件の判定を実行し、処理室での処理動作を実行するように構成される。
本発明に係る真空処理装置の制御方法(請求項2に対応)は、
制御用コンピュータと少なくとも1つの処理室とを備え、制御用コンピュータはラダープログラムを有し、処理室は記憶領域を有するプログラマブル・ロジック・コントローラを備え、ラダープログラムは通信手段を介して制御用コンピュータからプログラマブル・ロジック・コントローラに送信されて記憶領域に記憶され、処理室での処理動作がラダープログラムの手順に従って制御される真空処理装置の制御方法であって、
ラダープログラムを予め制御用コンピュータ上でテーブル化する工程と、
テーブル化されたラダープログラムを、処理室のプログラマブル・ロジック・コントローラの記憶領域に書き込む工程と、
プログラマブル・ロジック・コントローラで、テーブル化されたラダープログラムを分解し、処理室が必要とする入力および状態に係るデータを取り込み、取り込んだデータに基づいて処理動作に関係する進行条件の判定を実行し、処理室での処理動作を実行する工程と、
有することを特徴としている。
上記の真空処理装置の制御方法において、好ましくは、制御用コンピュータから処理室のプログラマブル・ロジック・コントローラに送信されるラダープログラムはマトリックス状の表示態様で表示されることを特徴とする(請求項3に対応)。
本発明に係る真空処理装置の制御プログラム(請求項4に対応)は、
少なくとも1つの処理室を備える真空処理装置の制御用コンピュータに、
ラダープログラムを予め制御用コンピュータ上でテーブル化する手順と、
テーブル化したラダープログラムを制御用コンピュータから処理室のプログラマブル・ロジック・コントローラへ通信手段を介して送信する手順と、
テーブル化されたラダープログラムを、処理室のプログラマブル・ロジック・コントローラの記憶領域に書き込む手順と、
プログラマブル・ロジック・コントローラで、テーブル化されたラダープログラムを分解し、処理室が必要とする入力および状態に係るデータを取り込み、取り込んだデータに基づいて処理動作に関係する進行条件の判定を実行し、処理室での処理動作を実行する手順と、
を実行させることを特徴とする。
本発明に係るコンピュータで読み取り可能な記録媒体(請求項5に対応)は、上記の真空処理装置の制御プログラムを記録したことを特徴としている。
なおここで、「テーブル化」とは、後述する通り、ラダープログラムの新たな表示形態であり、マトリックス(行列)状の形態をなしてデータベース構造で取り扱うことができることをいう。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、少なくとも1つの処理室を有しかつラダープログラムで各部の動作についてのシーケンス(工程)が制御される真空処理装置において、制御データは予め制御用コンピュータ上でテーブル化され、テーブル化された制御データを処理室のPLCの記憶領域に書き込み、PLCは、記憶領域に書き込まれた制御データを分解し、処理室が必要とする入力および状態に係るデータを取り込み、取り込んだデータに基づいて処理動作に関係する進行条件の判定を実行し、処理室での処理動作を実行するようにしたため、真空処理装置における条件からなる工程管理、および、制御対象である各種機器の進捗確認についてそれらの可視性を向上させることができ、これにより工程管理と進捗確認を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る真空処理装置に適用される制御プログラムの実施形態を示し、アナログ値フラグの作成を示す説明図である。
【図2】本実施形態におけるアナログ値フラグから状態フラグの作成を示す説明図である。
【図3】本実施形態のける状態フラグから統合状態フラグの作成を示す説明図である。
【図4】本実施形態における統合状態フラグから操作条件フラグの作成を示す説明図である。
【図5】真空処理装置での制御方法を実施するための制御プログラム(ラダープログラム)の取扱いについてのプロセス(自動工程)を示す図である。
【図6】本発明に係る制御プログラムの他の実施形態の説明図である。
【図7】本発明に係る真空処理装置の他の構成例(A),(B)を示す図である。
【図8】従来の真空処理装置の基本的な構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
【0017】
本発明に係る真空処理装置の基本的な構成は、「背景技術」の箇所で図8を参照して説明した構成と同じである。すなわちクラスタ型の装置構成を有する真空処理装置111であり、中央の搬送室112の周囲に、2室のロードロック室113A,113B、複数室の処理室114を備えた構成である。
【0018】
真空処理装置111の動作制御は、全体の動作を管理する上位コンピュータ(PC)110の制御の下で行われ、プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)を用いて、かつ、信号またはデータの伝送系であるイーサネット(登録商標)17を経由して、各処理室114等に制御プログラム(「シーケンスプログラム」)を与え、この制御プログラムに基づいて各処理室114の動作が制御される。制御プログラムには、ラダー図を用いたラダープログラムが使用される。複数の処理室114の各々にはPLCが配置されている。
【0019】
複数の処理室114の各々にPLCが設けられ、装置の全体がラダープログラムで制御される真空処理装置111において、真空処理装置111の上位コンピュータ110からイーサネット(登録商標)17を介して各処理室114に提供されるラダープログラムについて、その中からテーブル化可能なデータの作成例として図1〜図4を参照して説明する。図1〜図4では、真空処理装置114を制御するラダープログラムのうちマトリックス状に表示した箇所を示している。
【0020】
図1〜図4の各々は、本発明に係るマトリックス状表示の作成過程、すなわち工程1(図1)→工程2(図2)→工程3(図3)→工程4(図4)を示している。
【0021】
最初に、工程1として、図1に示されるように「アナログ値フラグ」を作成する。
ここで「アナログ値フラグ」とは、各処理室114等に設けられた各種の計測機器で計測される計測値(アナログ値)に対して、それぞれに設定された閾値との大小関係等の状態から生成されたフラグである。
図1に示した例では、1つの計測値すなわちアナログ値11について、テーブル12の形式で、3つの閾値1〜3が示され、さらに3つの閾値1〜3の各々について下限値(DOWN)と上限値(UP)が示されている。3つの閾値1〜3の各々についての下限値(DOWN)と上限値(UP)のそれぞれが「アナログ値フラグ」として設定される。
なおテーブル12では、当該アナログ値11についてのその値がとり得る「スパン(範囲)」と、「計測最小値(スケーリングMIN)」と、「計測最大値(スケーリングMAX)」の数値が示される。
【0022】
次に、工程2として、図2に示されるように上記の「アナログ値フラグ」から“状態フラグ”を作成する。ここでは、一例としてアナログ値フラグAを対象としている。
図2に示すテーブル21は、“1”と“0”とで表記され、行(縦方向)に「状態」を表し、列(横方向)に「入力[X]」および「アナログ値フラグA」を表したマトリックス(行列)で構成されている。
「状態」は、一通りしかない真空処理装置111の処理上の一状態を表すものであり、例えば、「安全スイッチは作動中か」、「シリンダセンサは正常か」等の安全に関するもの、あるいは、各種機器から出力される計測値等に関するもので構成される。
「入力」は、真空計、ガス流量計等の各種機器に依存する部分である。
「アナログ値フラグA」は、前述の通り、各種機器で計測される計測値に対して、それぞれに設定された閾値との大小関係等の状態から生成されたフラグである。
そこで、これらの「状態」に対応する新たなフラグを、上記の「入力」および「アナログ値フラグA」を組み合わせて「状態フラグ」とする。この「状態フラグ」によって各種機器を中心にした真空処理装置111の「状態」をラダー図と切り離して図示しないモニター等に表示する。
【0023】
次に、工程3として、図3に示されるように「状態フラグ」から「統合状態フラグ」を作成する。ここでは、一例として状態フラグBを対象としている。
図3に示すテーブル31は、工程2で作成した「状態フラグB」から、新たに、行(縦方向)に「統合状態」を表し、列(横方向)に「状態フラグB」を表したマトリックス(行列)で構成されている。
ここで、「統合状態」とは、図2の工程2で示したいくつかの「状態」から構成され、上位にくる真空処理装置111の一状態を示す項目であり、各種機器からの情報等で構成される「状態」を束ねるものである。前述した例示の「安全スイッチは作動中か」、「シリンダセンサは正常か」等を合わせて、例えば、「搬送系正常」などで括られるものである。
これらの「統合状態」に対応する新たなフラグを「統合状態フラグ」とする。
従って、テーブル21の「状態」とテーブル31の「統合状態」は、重複する内容も含まれることが生じるが、プログラムとして、一つの「統合状態」からその次の「統合状態」に移るためには、全ての「状態フラグ」が満足されなければならない。
なお、本発明に係る真空処理装置では、「統合状態フラグ」は、各処理室114に設けられたPLC内で記憶され、実行される。
【0024】
最後に、工程4として、図4に示されるように「統合状態フラグ」から「操作可能フラグ」を作成する。ここでは、一例として統合状態フラグCを対象としている。
図4に示すテーブル41は、工程3で作成した「統合状態フラグC」から、新たに、行(縦方向)に「操作条件」を表し、列(横方向)に「状態」および「統合状態フラグC」とを表したマトリックス(行列)で構成されている。
ここで、「操作条件」とは、工程3の図3で示したいくつかの「統合状態」から構成され、さらに、上位にくる真空処理装置の一状態を示す項目であって、真空処理装置による処理の一動作を示すものであり。上記の工程3で例示した「搬送系正常」などで括られ、例えば「搬送実行」となる。
【0025】
図4に示したテーブル41を真空処理装置111においてモニター等に表示し実行させることにより、ラダープログラミングによるシーケンス制御が行われる。上記構成によれば、ラダープログラミングに使用される「操作条件」の設定(主に手動操作により行われる)、自動工程の設定、および警報発生に関する設定などを、テーブル化したデータベース構造で取扱うことが可能となり、ラダープログラムの簡素化と可視化を向上させることが可能となった。
【0026】
図5に、真空処理装置111での制御方法を実施するための制御プログラム(ラダープログラム)の取扱いについてのプロセス(自動工程)を示す。このプロセスは、「テーブル化」、「書込」、「分解」、「判定」に到るプロセスである。
真空処理装置111の上位コンピュータ110(PC)において、状態と入力で構成されるマトリックス状のラダープログラム51について、テーブル入力値を2進数変換してテーブル52を作る。さらにこれを16進数変換してテーブル53を作り、このテーブル53を上位コンピュータ(PC)110の書込ボタンの押下で各PLC54の記憶領域に書き込む(ステップ55)。テーブル53のデータは、さらにテーブル56の形式でイーサネット(登録商標)117を経由して伝送され、テーブル56に含まれる格納先アドレスに基づいて分解され(ステップ57)、関係付けられた各処理室114のPLC54に書き込まれる。各PLC54では、制御用データについて状態フラグのON状態に基づいて判定して制御を実行する(ステップ58)。
【0027】
上記の真空処理装置111の制御方法によれば、
ラダープログラム51を予め制御用の上記コンピュータ110上でテーブル化する工程(ステップ201)と、
テーブル化されたラダープログラム51を、各処理室114のPLC54の記憶領域に書き込む工程(ステップ55)と、
PLC54で、テーブル化されたラダープログラム51を分解し(ステップ57)、各処理室114が必要とする入力および状態に係るデータを取り込み、取り込んだデータに基づいて処理動作に関係する進行条件の判定を実行し(ステップ58)、各処理室114での前記処理動作を実行する工程と、有している。
【0028】
次に、図6を参照して、本発明に係る制御プログラムの他の実施形態を説明する。
図6に示したテーブル61は、自動工程に関するものであり、行(縦方向)に工程のステップ(STEP001〜STEP013)と、列(横方向)に進捗条件となる「統合状態フラグ」および「操作可能フラグ」とを設定している。
テーブル61において「保持時間」は、条件成立後、次のステップに移行するまでの保持時間である
同様に「繰り返し回数」は、そこを起点として「繰り返し時ジャンプ」の工程に戻り、設定の回数まで繰り返すという内容である。
「タイムアップ時間」は、条件成立せず、エラーとするまでの時間であり、エラー時は「エラー時ジャンプ」の工程まで移行するものとする。
この図6に示すテーブル61を真空処理装置111においてモニター等に表示し実行させることによって、ラダープログラミングによるシーケンス制御に使用される自動工程を、テーブル化したデータベース構造で取扱うことが可能となり、ラダープログラムの簡素化と可視化を向上させることが可能となる。
【0029】
上記の実施形態の説明では、真空処理装置の構成を、図8に示したクラスタ型の装置構成を有する真空処理装置111としたが、図7の(A)に示されるような巡回型の構成を有した成膜処理室71Aからなる真空処理装置71であって上位コンピュータ(PC)72によって制御される構成のもの、あるいは、図7の(B)に示されるような複数の成膜処理室81Aが上位コンピュータ(PC)82にハブ83およびイーサネット(登録商標)84を介して接続されて制御可能に構成された真空処理装置81であっても良い。
【0030】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明に係る真空処理装置の制御方法等は、複数の処理室を有しかつラダープログラムでシーケンス(工程)が制御される真空処理装置に適用され、当該真空処理装置における条件からなる工程管理、および、制御対象である各種機器の進捗確認についてそれらの可視性を向上させ、工程管理と進捗確認を容易に行うことに利用される。
【符号の説明】
【0032】
11 アナログ値
12 テーブル
21 テーブル
31 テーブル
41 テーブル
51 ラダープログラム
52,53 テーブル
54 プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)
56 テーブル
61 テーブル
71 真空処理装置
81 真空処理装置
110 上位コンピュータ
111 真空処理装置
114 処理室
117 イーサネット(登録商標)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御用コンピュータと少なくとも1つの処理室とを備え、前記処理室での処理動作が前記制御コンピュータに用意されたラダープログラムの手順に従って制御される真空処理装置であって、
前記処理室はプログラマブル・ロジック・コントローラを備え、前記処理室の制御に必要な制御データは前記制御用コンピュータから通信手段を経由して前記プログラマブル・ロジック・コントローラに与えられ、
前記制御データは予め前記制御用コンピュータ上でテーブル化され、
テーブル化された前記制御データは前記処理室の前記プログラマブル・ロジック・コントローラの記憶領域に書き込まれ、
前記プログラマブル・ロジック・コントローラは、前記記憶領域に書き込まれた前記制御データを分解し、前記処理室が必要とする入力および状態に係るデータを取り込み、取り込んだ前記データに基づいて前記処理動作に関係する進行条件の判定を実行し、前記処理室での前記処理動作を実行することを特徴とする真空処理装置。
【請求項2】
制御用コンピュータと少なくとも1つの処理室とを備え、前記制御用コンピュータはラダープログラムを有し、前記処理室は記憶領域を有するプログラマブル・ロジック・コントローラを備え、前記ラダープログラムは通信手段を介して前記制御用コンピュータから前記プログラマブル・ロジック・コントローラに送信されて前記記憶領域に記憶され、前記処理室での処理動作が前記ラダープログラムの手順に従って制御される真空処理装置の制御方法であって、
前記ラダープログラムを予め前記制御用コンピュータ上でテーブル化する工程と、
テーブル化された前記ラダープログラムを、前記処理室の前記プログラマブル・ロジック・コントローラの前記記憶領域に書き込む工程と、
前記プログラマブル・ロジック・コントローラで、テーブル化された前記ラダープログラムを分解し、前記処理室が必要とする入力および状態に係るデータを取り込み、取り込んだ前記データに基づいて前記処理動作に関係する進行条件の判定を実行し、前記処理室での前記処理動作を実行する工程と、
有することを特徴とする真空処理装置の制御方法。
【請求項3】
前記制御用コンピュータから前記処理室の前記プログラマブル・ロジック・コントローラに送信される前記ラダープログラムはマトリックス状の表示態様で表示されることを特徴とする請求項2記載の真空処理装置の制御方法。
【請求項4】
少なくとも1つの処理室を備える真空処理装置の制御用コンピュータに、
ラダープログラムを予め前記制御用コンピュータ上でテーブル化する手順と、
テーブル化した前記ラダープログラムを前記制御用コンピュータから前記処理室のプログラマブル・ロジック・コントローラへ通信手段を介して送信する手順と、
テーブル化された前記ラダープログラムを、前記処理室の前記プログラマブル・ロジック・コントローラの記憶領域に書き込む手順と、
前記プログラマブル・ロジック・コントローラで、テーブル化された前記ラダープログラムを分解し、前記処理室が必要とする入力および状態に係るデータを取り込み、取り込んだ前記データに基づいて前記処理動作に関係する進行条件の判定を実行し、前記処理室での前記処理動作を実行する手順と、
を実行させることを特徴とする真空処理装置の制御プログラム。
【請求項5】
請求項4に記載した真空処理装置の制御プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータで読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−191887(P2011−191887A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55977(P2010−55977)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000227294)キヤノンアネルバ株式会社 (564)
【Fターム(参考)】