説明

硬化性組成物

本発明は、硬化性組成物に関する。本発明は、優秀な加工性及び作業性を示し、硬化されて優れた光抽出効率、耐クリック性、硬度、耐熱衝撃性及び接着性を示し、高温及び/または高湿条件での信頼性及び長期信頼性が優秀であり、白濁及び表面のベタツキ(タック性)が防止される硬化物を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(Light Emitting Diode)、特に発光波長が約250nm乃至550nmである青色または紫外線LEDとして、GaN、GaAIN、InGaN及びInAlGaNのようなGaN系列の化合物半導体を利用した高輝度製品が得られている。また、赤色及び緑色LEDを青色LEDと組み合わせる技法により高画質のフルカラー画像の形成も可能になっている。例えば、青色LEDまたは紫外線LEDを蛍光体と組み合わせて白色LEDを製造する技術が知られている。このようなLEDは、LCD(Liquid Crystal Display)のバックライトまたは一般照明用などしい需要が拡がっている。
【0003】
LED封止剤として、接着性が高くて力学的な耐久性が優れたエポキシ樹脂が幅広く利用されている。しかし、エポキシ樹脂は、青色乃至紫外線領域の光に対する透過率が低くて、耐光性も落ちる問題点がある。これによって、例えば、特許文献1乃至特許文献3などでは、前記のような問題点を改良するための技術を提案している。しかし、前記文献で開示する封止剤は、耐光性が十分ではない。
【0004】
低波長領域に対して耐光性が優れた材料としてシリコーン樹脂が知られている。しかし、シリコーン樹脂は、耐熱性が低く、硬化後に表面でベタツキ(タック性)が生じる短所がある。また、シリコーン樹脂がLEDの封止剤として効果的に適用されるためには、高屈折特性、耐クラック性、表面硬度、接着力及び耐熱衝撃性などの特性が確保される必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−274571号公報
【特許文献2】特開第2001−196151号公報
【特許文献3】特開第2002−226551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、前記のような従来の諸問題点を解消するために提案されたものであって、本発明の目的は、硬化性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、(A)下記化学式1の平均組成式で表示され、ケイ素原子に結合したアルケニル基の全体ケイ素原子に対するモル比が0.02乃至0.2である線形オルガノシロキサン化合物と、(B)下記化学式2の平均組成式で表示され、ケイ素原子に結合したアルケニル基の全体ケイ素原子に対するモル比が0.15乃至0.35である架橋型オルガノシロキサン化合物と、(C)下記化学式3で表示され、ケイ素原子に結合した水素原子の全体ケイ素原子に対するモル比が0.2乃至0.8である水素シロキサン化合物と、を含み、前記シロキサン化合物(B)は、前記シロキサン化合物(A)100重量部に対して50重量部乃至700重量部の重量の割合で含まれ、前記シロキサン化合物(A)及び(B)に含まれるケイ素原子に結合したアルケニル基に対する前記シロキサン化合物(C)に含まれるケイ素原子に結合した水素原子のモル比が0.8乃至1.2である硬化性組成物に関する。
【0008】
【化1】

【0009】
【化2】

【0010】
【化3】

【0011】
前記化学式1乃至3において、R乃至R12は、各々独立的に、アルコキシ、ヒドロキシ基、エポキシ基または1価の炭化水素基を示し、R乃至Rの中で一つ以上は、アルケニル基であり、R乃至R12の中の一つ以上は、アルケニル基であり、Rは、各々独立的に水素、エポキシ基または1価炭化水素基を示す。また、aは、0乃至0.5であり、bは0.5乃至0.98であり、cは、0乃至0.2であり、dは、0乃至0.1であり、eは、0乃至0.5であり、fは、0乃至0.3であり、gは、0.3乃至0.85であり、hは、0乃至0.2であり、nは、1乃至10であり、a+b+c+dは、1であり、e+f+g+hは、1である。
【0012】
以下、本発明の硬化性組成物について詳細に説明する。
【0013】
本発明の組成物は、(A)シロキサン化合物及び(B)シロキサン化合物に含まれるケイ素原子に結合されたアルケニル基及び、(C)シロキサン化合物に含まれるケイ素に結合された水素原子の反応により硬化する組成物である。本発明では、優れた加工性と作業性を示し、硬化されて優れた耐クラック性、硬度特性、耐熱衝撃性及び接着性を示す硬化性組成物を提供することができる。また、本発明の組成物及びその硬化物は、高温及び/または高湿条件での信頼性及び長期信頼性が優れる。また、本発明の組成物は、劣悪な条件での白濁及び表面のベタツキ(タック性)などを誘発しない硬化物を提供することができる。
【0014】
本発明の組成物は、前記化学式1の平均組成式で表示される(A)線形オルガノシロキサン化合物を含む。本明細書において、オルガノシロキサン化合物が所定の平均組成式で表される場合、前記化合物が所定の平均組成式で表示される単一のシロキサン化合物成分を含む場合はもちろん、2個以上の成分の混合物の場合に前記各成分の組成の平均が、所定の平均組成式で表示される場合も含む。
【0015】
前記化学式1の平均組成式において、R乃至Rは、ケイ素原子に直接結合されている置換基であり、各々独立的にアルコキシ、ヒドロキシ基、エポキシ基または1価炭化水素基を示す。ここで、1価炭化水素基の例としては、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アリール基またはアリールアルキル基が挙げられる。ここで、アルコキシ基または1価炭化水素基などは、必要によって適切な置換基により置換されてもよい。
【0016】
前記アルコキシ基は、炭素数1乃至12、好ましくは、1乃至8、より好ましくは、1乃至4の直鎖状、分枝状または環状アルコキシ基であり、好ましくは、メトキシ基、エトキシ基またはプロポキシ基などである。
【0017】
前記アルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数1乃至12、好ましくは、1乃至8、より好ましくは、1乃至4の直鎖状、分枝状または環状アルキル基であり、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、クロロメチル基、3−クロロプロピル基または3,3,3−トリフルオロプロピル基であり、より好ましくは、メチル基である。。
【0018】
また、前記アルケニル基は、炭素数2乃至12、好ましくは、2乃至8、より好ましくは、2乃至4のアルケニル基であり、好ましくは、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基またはヘキセニル基であり、より好ましくは、ビニル基である。
【0019】
また、前記アリール基は、炭素数6乃至18、好ましくは、炭素数6乃至12のアリール基であり、好ましくは、フェニル基、トリル基、キシリル基及びナフチル基であり、より好ましくは、フェニル基である。
【0020】
また、前記アリールアルキル基は、炭素数6乃至19、好ましくは、炭素数6乃至13のアリールアルキルであり、好ましくは、ベンジル基またはフェネチル基である。
【0021】
前記化学式1において、R乃至R中少なくとも一つはアルケニル基である。具体的には、前記アルケニル基は、シロキサン化合物(A)に含まれている全体ケイ素原子(Si)に対する前記ケイ素原子に結合したアルケニル基(Ak)のモル比(Ak/Si)が0.02乃至0.2、好ましくは、0.02乃至0.15になる量で存在する。前記モル比(Ak/Si)を0.02以上で調節することで、成分(C)との反応性を適切に維持し、未反応成分が硬化物の表面に染み出る現象を防止することができる。また、前記モル比(Ak/Si)を0.2以下で調節することで、硬化物の耐クラック性を優秀に維持することができる。
【0022】
また、前記化学式1において、R乃至R中少なくとも一つは、アリール基、好ましくは、ペニル基である。これによって、硬化物の屈折率及び硬度特性などを効果的に制御することができる。具体的に、前記アリール基、好ましくは、フェニル基は、シロキサン化合物(A)に含まれる全体ケイ素原子(Si)に対する前記アリール基(Ar)のモル比(Ar/Si)が0.3乃至1.3、好ましくは、0.4乃至1.3になる量で存在することができ、より好ましくは、0.6乃至1.3になる量で存在する。前記モル比(Ar/Si)を0.3以上で調節することで、硬化物の屈折率及び硬度特性を極大化することができ、また、1.3以下で調節することで、組成物の粘度なども適切に維持することができる。
【0023】
本発明の前記化学式1の平均組成式において、a、b、c及びdは、各シロキサン単位のモルの割合を示し、その総合は、1であり、aは、0乃至0.5であり、bは、0.5乃至0.98であり、cは、0乃至0.2であり、dは、0乃至0.1である。本発明では、硬化物の耐クラック性を極大化するために、前記式で、(a+b)/(a+b+c+d)を0.9超過、好ましくは、0.95超過の範囲で調節することができる。また、(a+b)/(a+b+c+d)の上限は、例えば、1である。
【0024】
本発明において、前記(A)線形シロキサン化合物は、25℃で粘度が1,000mPa・s 乃至100,000mPa・s、好ましくは、1,000mPa・s乃至50,000mPa・sである。この範囲で組成物の硬化前の加工性及び作業性と硬化後の硬度特性などを優秀に維持することができる。
【0025】
また、本発明において、前記(A)線形シロキサン化合物は、例えば、1,000乃至50,000、好ましくは、1,000乃至30,000の重量平均分子量(Mw:Weight Average Molecular Weight)を有する。(A)シロキサン化合物の重量平均分子量を1,000以上で調節することで、粘度が適切に維持されて、硬化されて優れた強度及び耐クラック性を有する組成物を提供することができる。また、重量平均分子量を50,000以下で調節することで、組成物の粘度を適切に維持し、作業性及び加工性を優秀に維持することができる。本明細書における用語「重量平均分子量」は、GPC(Gel Permeation Chromatograph)で測定した標準ポリスチレンに対する換算数値を意味する。また、特定しない限り、以下の説明において分子量は重量平均分子量を意味する。
【0026】
本発明において前記のような(A)シロキサン化合物では、下記化学式で表示されるシロキサン化合物を使用することができ、これに制限されるものではない。
【0027】
(ViMeSiO1/2)(MePhSiO2/2)30;
(ViMeSiO1/2)(PhSiO2/2)10(MeSiO2/2)10;
(ViMeSiO1/2)(MePhSiO2/2)20(PhSiO2/2)10(MeSiO2/2)20;
(ViMeSiO1/2)(MePhSiO2/2)50(MeSiO2/2)10;
(ViMeSiO1/2)(MeSiO2/2)50(PhSiO2/2)30(PhSiO3/2);
(ViMeSiO1/2)(ViMeSiO2/2)(MeSiO2/2)30(PhSiO2/2)30
【0028】
前記式中、Viは、ビニル基を示し、Meは、メチル基を示し、Phは、フェニル基を示す。
【0029】
本発明において、前記のような(A)線形シロキサン化合物は、この分野で公知されている一般的な方式で製造することができる。例えば、前記(A)線形シロキサン化合物は、ハロゲン原子またはアルコキシ基などのような加水分解性基を有するオルガノシランの一種または2種以上を加水分解及び縮合させて製造することができる。前記加水分解及び縮合反応は、例えば、一般的な酸性触媒または塩基触媒の存在下で実行することができる。また、前記加水分解及び縮合に利用されるオルガノシランの例としては、RSiX(4−n)で表される化合物が挙げられる。ここで、Xは、加水分解性基として、塩素などのハロゲン原子またはアルコキシ基であり、nは、0乃至3の定数である。また、ここで、Rは、ケイ素原子に結合された置換基として、目的とするシロキサン化合物の置換基を考慮して適切に選択することができる。また、線形シロキサン化合物は、環状シロキサン(cyclic siloxane)を塩基性触媒下で開環反応させて製造してもよい。この分野では、前記の方式を含んでシロキサン化合物を製造することができる多様な方法が知られており、平均的な技術者はこのような方式を適切に採用して目的とするシロキサン化合物を製造することができる。
【0030】
本発明の組成物は、(B)前記化学式2の平均組成式で表示される架橋型オルガノシロキサン化合物を含む。用語「架橋型シロキサン化合物」は、(RSiO1.5)または(SiO)で表示されるシロキサン単位を必ず含むシロキサン化合物を意味し、ここで、Rは、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エポキシ基または1価炭化水素基である。
【0031】
前記(B)架橋型オルガノシロキサン化合物は、前記化学式2の平均組成式で表示される。ここで、R乃至R12は、ケイ素原子に直接結合した置換基として、各々独立的にアルコキシ基、ヒドロキシ基、エポキシ基または1価炭化水素基を示す。前記各置換基の具体的な種類は、前記化学式1の場合と同一である。
【0032】
前記化学式2において、R乃至R12中少なくとも一つは、アルケニル基であり、具体的には、前記アルケニル基は、前記シロキサン化合物(B)に含まれている全体ケイ素原子(Si)に対する前記ケイ素原子に結合したアルケニル基(Ak)のモル比(Ak/Si)が0.15乃至0.35、好ましくは、0.15乃至0.3になる量で存在する。前記モル比(Ak/Si)を0.15以上で調節することで、成分(C)との反応性を適切に維持して、未反応成分が硬化物の表面に染み出る現象を防止することができる。また、前記モル比(Ak/Si)を0.35以下で調節することで、硬化物の硬度特性、耐クラック性及び耐熱衝撃性などを優秀に維持することができる。
【0033】
また、前記化学式2において、R乃至R12中少なくとも一つは、アリール基、好ましくは、フェニル基である。これによって、硬化物の屈折率及び硬度特性などを効果的に制御することができる。具体的に、前記アリール基、好ましくは、フェニル基は、オルガノシロキサン化合物(B)に含まれる全体ケイ素原子(Si)に対する前記アリール基(Ar)のモル比(Ar/Si)が0.35乃至1.2、好ましくは、0.5乃至1.1になる量で存在することができる。前記モル比(Ar/Si)を0.35以上で調節することで、硬化物の屈折率及び硬度特性を極大化することができ、また、1.2以下で調節することで、組成物の粘度及び耐熱衝撃性なども適切に維持することができる。
【0034】
本発明の前記化学式2の平均組成式において、e、f、g及びhは、各シロキサン単位のモルの割合を示し、その総合は、1であり、eは、0乃至0.5であり、fは、0乃至0.3であり、gは、0.35乃至0.85であり、hは、0乃至0.2である。本発明では、硬化物の強度、耐クラック性及び耐熱衝撃性を極大化するために、前記式中、(g+(4/3)h)/(e+2f)を2乃至5、好ましくは、2乃至4で調節し、g/(g+h)を0.85超過、好ましくは、0.9超過の範囲で調節することができる。また、g/(g+h)の上限は、例えば、1である。
【0035】
本発明において、前記(B)架橋型オルガノシロキサン化合物は、25℃での粘度が5,000mPa・s以上、好ましくは、10,000mPa・s以上であり、これによって、硬化前の加工性と硬化後の硬度特性などを適切に維持することができる。
【0036】
また、前記(B)架橋型オルガノシロキサンは、例えば、1,000乃至5,000、好ましくは、1,000乃至4,000の分子量を有することができる。(B)シロキサン化合物の分子量を1,000以上で調節することで、硬化前の成形性や硬化後の強度を効果的に維持することができ、分子量を5,000以下で調節することで、粘度などの特性を適切に維持することができる。
【0037】
本発明において、前記のような(B)シロキサン化合物としては、下記化学式で表示されるシロキサン化合物を使用することができるが、これに制限されるものではない。
【0038】
(ViMeSiO1/2)(PhSiO3/2)10;
(ViMeSiO1/2)(MePhSiO2/2)(PhSiO3/2)15;
(ViMeSiO1/2)(PhSiO2/2)(PhSiO3/2);
(ViMeSiO1/2)(PhSiO3/2)(SiO4/2);
(ViMeSiO1/2)(MePhSiO2/2)(PhSiO3/2)(SiO4/2);
(ViMeSiO1/2)(MeSiO2/2)(MePhSiO2/2)(PhSiO2/2)(PhSiO3/2)19(SiO4/2)
【0039】
前記式中、Viは、ビニル基を示し、Meは、メチル基を示し、Phは、フェニル基を示す。
【0040】
本発明の前記(B)架橋型オルガノシロキサン化合物を製造する方法は、特別に制限されないで、例えば、前記(A)シロキサン化合物の場合と同一な方式を適用することができる。
【0041】
本発明において、前記(B)架橋型オルガノシロキサン化合物は、(A)線形シロキサン化合物100重量部に対して、50重量部乃至700重量部、好ましくは、50重量部乃至500重量部で含むことができる。本明細書で単位重量部は、重量の割合を意味する。前記(B)シロキサン化合物の重量の割合を50重量部以上で調節することで、硬化物の強度を優秀に維持し、また、700重量部以下で調節することで、耐クラック性及び耐熱衝撃性を優秀に維持することができる。
【0042】
本発明の組成物は、(C)前記化学式3で表示される水素シロキサン化合物を含む。前記(C)シロキサン化合物は、ケイ素原子と直接結合している水素原子を含む化合物として、前記水素原子は、(A)及び(B)のシロキサン化合物に含まれるケイ素原子に結合したアルケニル基と反応することができる。
【0043】
前記化学式3のシロキサン化合物において、Rは、水素、エポキシ基または1価炭化水素基を示し、ここで、1価炭化水素基の具体的な種類は上述のようである。
【0044】
前記(C)シロキサン化合物は、分子鎖の両末端がケイ素原子に結合された水素原子により封鎖されており、必要によっては分子の測鎖に存在するR中一つ以上も水素原子である。具体的に、本発明では、前記(C)シロキサン化合物に含まれる全体ケイ素原子(Si)に対するケイ素原子結合水素原子(H)のモル比(H/Si)が0.2乃至0.8、好ましくは、0.3乃至0.75である。前記モル比を0.2以上で調節することで、組成物の硬化性を優秀に維持し、また、0.8以下で調節することで、耐クラック性及び耐熱衝撃性などを優秀に維持することができる。
【0045】
また、前記化学式3のRの中で少なくとも一つはアリール基、好ましくは、フェニル基である。これによって、硬化物の屈折率及び硬度特性などを効果的に制御することができる。具体的に、前記アリール基、好ましくは、フェニル基は、オルガノシロキサン化合物(C)に含まれる全体ケイ素原子(Si)に対する前記アリール基(Ar)のモル比(Ar/Si)が、0.3乃至1、好ましくは、0.4乃至0.8になる量で存在することができる。前記モル比(Ar/Si)を0.3以上で調節することで、硬化物の屈折率及び硬度特性を極大化することができ、また、1以下で調節することで、組成物の粘度及び耐クラック性を適切に維持することができる。
【0046】
前記化学式3において、nは、1乃至10、好ましくは、1乃至5であり、これによって、硬化物の強度及び耐クラック性を優秀に維持することができる。
【0047】
本発明で前記(C)シロキサン化合物は、25℃での粘度が300mPa・s以下である。(C)シロキサン化合物の粘度を前記のように制御することで、組成物の加工性及び硬化物の硬度特性などを優秀に維持することができる。
【0048】
また、本発明で前記(C)シロキサン化合物は、例えば、1,000未満、好ましくは、800未満の分子量を有することができる。前記(C)シロキサン化合物の分子量が1,000以上であれば、硬化物の強度が低下される恐れがある。前記(C)シロキサン化合物の分子量の下限は特別に制限されないで、例えば、250である。
【0049】
本発明において、前記のような(C)シロキサン化合物としては、下記化学式で表示されるシロキサン化合物を使用することができるが、これに制限されるものではない。
【0050】
(HMeSiO1/2)(MePhSiO2/2);
(HMeSiO1/2)(PhSiO2/2)1.5;
(HMeSiO1/2)(MePhSiO2/2)1.5(PhSiO2/2)1.5;
(HMeSiO1/2)(MeSiO2/2)2.5(PhSiO2/2)2.5;
(HMeSiO1/2)(MeSiO2/2)1.5(PhSiO2/2)2.5;
(HMeSiO1/2)(HMeSiO1/2)(PhSiO2/2)2;
【0051】
前記式中、Viは、ビニル基を示し、Meは、メチル基を示し、Phは、フェニル基を示す。
【0052】
本発明で前記(C)シロキサン化合物を製造する方法は、特別に制限されないで、例えば、前記(A)及び(B)シロキサン化合物と同一な方式を適用することができる。
【0053】
本発明において、前記(C)シロキサン化合物の含量は、前述した(A)及び(B)のシロキサン化合物に含まれているケイ素原子に結合したアルケニル基全体に対して特定のモル比を満足するように選択される。具体的に、本発明で前記(A)及び(B)シロキサン化合物に含まれるケイ素原子に結合したアルケニル基(Ak)全体に対する前記(C)シロキサン化合物に含まれるケイ素原子に結合した水素原子(H)のモル比(H/Ak)は、0.8乃至1.2、好ましくは、0.85乃至1.15、より好ましくは、0.9乃至1.1である。前記モル比(H/Ak)を制御することで、硬化前に優秀な加工性と作業性を示し、硬化されて優れた耐クラック性、硬度特性、耐熱衝撃性及び接着性を示し、劣悪条件での白濁や表面のベタツキ(タック性)などを誘発しない組成物を提供することができる。
【0054】
前記(C)シロキサン化合物の含量は、重量の割合では、(A)線形シロキサン化合物100重量部に対して、50重量部乃至500重量部、好ましくは、50重量部乃至400重量部の範囲である。
【0055】
本発明の組成物は、硬化物の屈折率及び硬度特性などの観点から、前記(A)、(B)及び(C)のシロキサン化合物が全部ケイ素原子に結合したアリール基、好ましくは、ケイ素原子に結合したフェニル基を含むことが好ましい。このように、(A)、(B)及び(C)のシロキサン化合物が全てアリール基を含む場合、前記(A)、(B)及び(C)のシロキサン化合物に含まれる全体ケイ素原子(Si)に対する、(A)、(B)及び(C)のシロキサン化合物に含まれるケイ素原子に結合したアリール基(Ar)全体のモル比(Ar/Si)が、0.3を超過1.2未満であルことが好ましくて、より好ましくは、0.4乃至1.2である。前記モル比を0.3を超過するようにすることで、硬化物の硬度及び屈折率特性を優秀に維持することができ、また、1.2未満にすることで、組成物の粘度特性などを効果的に制御することができる。
【0056】
また、本発明において、前記のように(A)、(B)及び(C)のシロキサン化合物が全てのアリール基を含む場合、本発明の組成物は、下記一般式1及び2の条件を満足することが好ましい。
【0057】
式1
【数1】

【0058】
式2
【数2】

【0059】
前記一般式1及び2において、X(A)は、前記(A)オルガノシロキサン化合物に含まれるすべてのケイ素原子(Si)に対する前記(A)オルガノシロキサン化合物に含まれる全てのケイ素原子に結合したアリール基(Ar)のモル比(Ar/Si)を示し、X(B)は、前記(B)オルガノシロキサン化合物に含まれるすべてのケイ素原子(Si)に対する前記(B)オルガノシロキサン化合物に含まれる全てのケイ素原子に結合したアリール基(Ar)のモル比(Ar/Si)を示し、X(C)は、前記(C)水素シロキサン化合物に含まれる全てのケイ素原子(Si)に対する前記(C)水素シロキサン化合物に含まれるすべてのケイ素原子に結合されたアリール基(Ar)のモル比(Ar/Si)を示す。
【0060】
前記一般式1及び2において、|X(A)―X(B)|及び|X(B)―X(C)|は、X(A)及びX(B)の差の絶対値及びX(B)及びX(C)の差の絶対値を意味し、前記各々は、より好ましくは、0.35未満であり、また、前記各々の下限は、特別に制限されない。
【0061】
本発明では、前記一般式1及び1の条件を満足するようにアリール基の割合を制御することで、硬化前の組成物を構成する成分の相溶性が優秀に維持され、加工性及び作業性が優秀であり、硬化後に優れた屈折率特性や光透過率特性及び硬度特性などを示す組成物を提供することができる。
【0062】
本発明の組成物は、ヒドロシリル化触媒を追加で含むことができる。前記ヒドロシリル化触媒は、上述した(A)または(B)のシロキサン化合物に含まれたアルケニル基; 及び(C)のシロキサン化合物に含まれるケイ素原子に結合された水素原子の反応を促進するために使用される。使用できるヒドロシリル化触媒の種類は、特別に制限されないで、この分野で公知されている一般的な成分を全て使用することができる。このような触媒の例としては、白金、パラジウムまたはロジウム系触媒などを挙げることができる。本発明では、触媒効率などを考慮して、白金系触媒を使用することができ、このような触媒の例としては、塩化白金酸、四塩化白金、白金のオレフイン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体または白金のカルボニル錯体などが挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0063】
本発明において、前記ヒドロシリル化触媒の含量は、触媒量、すなわち触媒として作用できる量で含まれる限り特別に制限されない。通常的に、白金、パラジウムまたはロジウムの原子量を基準で、0.1ppm乃至500ppm、好ましくは、0.2ppm乃至100ppmの量で証することができる。
【0064】
また、本発明の組成物は、各種基材に対する接着性の追加的な向上の観点から、接着性付与剤を追加で含むことができる。前記接着性付与剤は、組成物または硬化物に自己接着性を改善することができる成分として、特に金属及び有機樹脂に対する自己接着性を改善することができる。
【0065】
本発明で使用することができる接着性付与剤の例としては、ビニル基などのアルケニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ヒドロシリル基(SiH基)、エポキシ基、アルコキシ基、アルコキシシリル基、カルボニル基及びフェニル基よりなる群から選択される1種以上、好ましくは、2種以上の官能基を有するシラン; または、2乃至30、好ましくは、4乃至20個のケイ素原子を有する環状または直鎖状シロキサンなどの有機ケイ素化合物が挙げられるが、これに制限されるものではない。本発明では、前記のような接着性付与剤の1種または2種以上の混合を使用することができる。
【0066】
前記のような接着性付与剤が本発明の組成物に含まれる場合、その含量は、(A)シロキサン化合物100重量部に対して、0.1重量部乃至20重量部であるが、前記含量は目的とする接着性改善効果などを考慮して適切に変更できる。
【0067】
本発明の組成物は、上述の成分に追加で、必要によって、2−メチル−3−ブチン−2−オール、2−フェニル−3−1−ブチン−2ホール、3−メチルー3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチルー3−ヘキセン−1−イン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラヘキセニルシクロテトラシロキサンまたはエチニルシクロヘキサンなどの反応抑制剤; シリカ、アルミナ、ジルコニアまたはチタニアなどの無機充填剤; エポキシ基及び/またはアルコキシシリル基を有する炭素官能性シラン、その部分加水分解縮合物またはシロキサン化合物; ポリエーテルなどと併用できる煙霧状シリカなどの揺変性付与剤; 銀、銅またはアルミニウムなどの金属粉末や、各種カーボン素材などのような導電性付与剤; 顔料または染料などの色調調整剤などの添加剤を1種または2種以上を追加で含むことができる。
【0068】
また、本発明は、上述の硬化性組成物を硬化された状態で含む封止剤により封止された半導体素子を有する半導体装置に関する。
【0069】
本発明の組成物で封止することができる半導体素子の種類としては、ダイオード、トランジスター、サイリスター、固体状画像ピックアップ素子、一体式IC及び混成ICに使われた半導体素子などが例示できる。追加で半導体装置では、ダイオード、トランジスター、サイリスター、フォトカフラ、CCD、一体式IC混成IC、LSI、VLSI及び発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)などが例示できる。
【0070】
本発明の一つの例示において前記半導体装置は、本発明の組成物を硬化された状態で含む封止剤で封止された発光素子を含む発光ダイオードである。本発明で使用できる発光素子の種類は特別に限定されない。例えば、基板上に半導体材料を積層して形成した発光素子を使用することができる。この場合、半導体材料としては、例えば、GaAs 、GaP、GaAlAs、GaAsP、AlGaInP、GaN、InN、AlN、InGaAlNまたはSiCなどが挙げられるが、これに制限されるものではない。また、前記基板の例としては、サファイア、スピンネル、SiC、Si、ZnOまたはGaN単結晶などを使用することができる。
【0071】
また、本発明では、必要によって、基板と半導体材料との間にバッファー層を形成してもよい。この時、バッファー層としては、GaNまたはAlNなどを使用することができる。基板上への半導体材料の積層方法は、特別に制限されないで、例えば、MOCVD法、HDVPE法または液状成長法などを使用することができる。また、本発明で発光素子の構造は、例えば、MIS接合、PN接合、PIN接合を有するモノー接合、ヘテロ接合、二重ヘテロ接合などである。また、単一または多重量子井戸(MQW)構造で前記発光素子を形成することができる。
【0072】
本発明の一様態において、前記発光素子の発光波場は、例えば、250nm乃至550nm、好ましくは、300nm乃至500nm、より好ましくは、330nm乃至470nmである。前記発光波場は、主発光ピーク波長を示す。発光素子の発光波場を前記範囲で設定することで、より長い寿命で、エネルギー効率が高くて、色再現性が高い白色発光ダイオードを得ることができる。
【0073】
本発明の発光ダイオードは、発光素子、特に発光波場が250nm乃至550nmの発光素子を本発明による熱硬化性組成物で封止することで製造することができる。この場合、発光素子の封止は、本発明による組成物のみで実行でき、場合によっては、他の封止剤と併用して実行することもできる。2種の封止剤を併用する場合、本発明の組成物を使用した封止後に、その周りを他の封止剤で封止してもよいし、他の封止剤で先に封止した後、その周りを本発明の組成物で封止してもよい。この時、使用できる他の封止剤としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレア樹脂、イミド樹脂またはガラスなどが挙げられる。
【0074】
本発明の組成物で発光素子を封止する方法では、例えば、モールド型枠に熱硬化性組成物をあらかじめ注入し、そこに発光素子が固定されたリードフレームなどを浸漬した後硬化させる方法、発光素子を挿入した型枠中に熱硬化性組成物を注入して硬化する方法などを使用することができる。この時、熱硬化性組成物を注入する方法の例としては、ディスペンサーによる注入、トランスファー成形、射出成形などが挙げられる。また、その以外の封止方法としては、熱硬化性組成物を発光素子上に積荷、孔板印刷、スクリーン印刷またはマスクを媒介で塗布して硬化させる方法、底部に発光素子を配置したコップなどに熱硬化性組成物をディスペンサーなどにより注入し硬化させる方法などを使用することができる。また、本発明の熱硬化性組成物を、発光素子をリード端子やパッケージに固定するダイボンド剤、発光素子上に不動化(passivation)膜、パッケージ基板などとして利用してもよい。
【0075】
ここで、本発明の組成物を硬化させる方法は特別に制限されないで、例えば、60℃乃至200℃の温度で10分乃至5時間加熱して実行することもでき、必要によっては、適正温度及び時間での2段階以上の過程を経て段階的な硬化工程を進行してもよい。
【0076】
封止部分の形状は特別に限定されないないで、例えば、砲弾型のレンズ形状、板状または薄膜状などで構成することができる。
【0077】
また、本発明では、従来の公知された方法によって発光ダイオードの追加的な性能向上を図ることができる。性能向上の方法としては、例えば、発光素子の背面に光の反射層または集光層を設置する方法、補色着色部を底部に形成する方法、主発光ピークより短波長の光を吸収する層を発光素子上に設置する方法、発光素子を封止した後追加で硬質材料でモールディングする方法、発光ダイオードを貫通ホールに挿入して固定する方法、発光素子をフリップチップ接続などによりリード部材と接続して基板方向から光を取り出す法などが挙げられる。
【0078】
本発明の発光ダイオードは、例えば、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)のバックライト、照明、各種センサー、プリンター、コピー機などの光源、車両用計器光源、信号灯、表示灯、表示装置、面状発光体の光源、ディスプレー、飾りまたは各種ライトなどに効果的に適用できる。
【発明の効果】
【0079】
本発明の硬化性組成物は、優秀な加工性及び作業性を示す。また、本発明の組成物は、優れた耐クラック性、耐熱衝撃性及び接着性を示し、また、高温及び/または高湿条件下での信頼性及び長期信頼性が優れる。追加で、本発明の組成物は、白濁が誘発されないで、表面での接着性が適切に調節されて表面でのベタツキ(タック性)が防止される硬化物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0080】
以下、 本発明による実施例及び本発明によらない比較例を通じて本発明をより詳しく説明するが、本発明の範囲は、下記提示された実施例により限定されるものではない。
【0081】
以下、本実施例において、Viは、ビニル基を示し、Phは、フェニル基を示し、Meは、メチル基を示し、Epは、エポキシ基を示す。
【0082】
1.光透過度の測定
実施例及び比較例における硬化物の光透過度は下記の方式で評価した。まず、製造された組成物を約1mm間隔で離れている二枚のガラス板の間に注入し、150℃で1時間の間維持して硬化させて、厚さが1mmである試片を製造する。その後、常温でUV−VISスペクトロメータ(spectrometer)を使用して450nm波長に対する前記試片の厚さ方向の光透過率を測定して下記基準によって評価する。
【0083】
<光透過度の評価基準>
○:光透過度が98.5%以上の場合
×:光透過度が98.5%以下の場合
【0084】
2.表面ベタツキ(タック性)の評価
硬化性組成物をモールドに注入し、150℃で1時間の間維持して硬化させる。次に、製造された硬化物の表面を手で接触して、下記基準によって表面ベタツキ(タック性)を評価する。
【0085】
<表面ベタツキ(タック性)の評価基準>
○:表面タックが感じられない場合
△: 表面タックが多少感じられる場合
×: 表面タックがひどく感じられる場合
【0086】
3.素子特性の評価
ポリフタルアミド(PPA)で製造された5630LEDパッケージを使用して素子特性を評価する。具体的に、ポリフタルアミドコップ内に硬化性樹脂組成物をディスフェンシングして、60℃で30分間維持した後、更に150℃で1時間維持して硬化させて、表面実装型LEDを製造する。その後、下記条件で熱衝撃及び高温及び高湿条件での長期信頼性を評価する。
【0087】
<熱衝撃評価条件>
製造された表面実装型LEDを−40℃で30分間維持してからさらに100℃で30分間維持することを1サイクルとして、それを10サイクル繰り返す。その後、表面実装型LEDを室温で冷凍させた後LEDの剥離状態を評価して耐熱衝撃性を評価する(実施例及び比較例当り総10個の表面実装型LEDを製造して、前記10個のLEDの剥離状態を調査する)。
【0088】
<高温/高湿条件での長期信頼性>
製造された表面実装型LEDを85℃の温度及び85%の相対湿度の条件下で維持した状態でLEDに60mAの電流を印加しながら100時間の間動作させる。その後、動作後のLEDの輝度を測定して初期輝度対比減少率を計算して、下記基準によって信頼性を評価する。
【0089】
<評価基準>
○:初期輝度対比輝度が10%以下で減少した場合
×:初期輝度対比輝度が10%以上で減少した場合
【0090】
第1の実施例
公知の方式で製造されたもので、各々下記化学式で表される線形オルガノシロキサン化合物(化学式1、全体ケイ素原子に対するケイ素原子に結合されたアルケニル基(Vi)のモル比(以下、「Ak/Si」):0.08)、架橋型オルガノシロキサン化合物(化学式1、Sk/Si:0.154)、水素シロキサン化合物(化学式3、全体ケイ素原子に対するケイ素原子に結合された水素原子のモル比(以下、「H/Si」):0.667)及び接着性付与剤(下記化学式4)を合成した。次に、線形オルガノシロキサン化合物(化学式1)100g、架橋型オルガノシロキサン化合物(化学式2)50g、水素シロキサン化合物(化学式3)20.7g及び接着性付与剤(化学式4)3.5gを混合した(線形及び架橋型シロキサン化合物に含まれるケイ素原子に結合したアルケニル基(Vi)に対する水素シロキサン化合物に含まれたケイ素原子に結合した水素原子のモル比(以下、「H/Ak」)が1.0になる量)。次に、前記混合物にPt(0)の含量が10ppmになる量で触媒(Platinum(0)−1,3−divinyl−1,1,3,3−tetramethyldisiloxane)を配合して、均一に混合及び脱泡して硬化性組成物を製造した。
【0091】
化学式1
【化4】

【0092】
化学式2
【化5】

【0093】
化学式3
【化6】

【0094】
化学式4
【化7】

【0095】
第2の実施例
化学式1の線形オルガノシロキサン化合物100g、化学式2の架橋型シロキサン化合物100g、化学式3の水素シロキサン化合物31.2g及び化学式4の接着性付与剤4.7gを混合したことの以外は、第1の実施例と同一に硬化性組成物を製造した(H/Akが1.0になる量)。
【0096】
第3の実施例
化学式1の線形オルガノシロキサン化合物100g、化学式2の架橋型シロキサン化合物300g、化学式3の水素シロキサン化合物73.3g及び化学式4の接着性付与剤9.7gを混合したことの以外は、第1の実施例と同一に硬化性組成物を製造した(H/Akが1.0になる量)。
【0097】
第4の実施例
化学式1の線形オルガノシロキサン化合物100g、化学式2の架橋型シロキサン化合物700g、化学式3の水素シロキサン化合物157.2g及び化学式4の接着性付与剤19.6gを混合したことの以外は、第1の実施形態と同一に硬化性組成物を製造した(H/Akが1.0になる量)。
【0098】
第5の実施例
線形オルガノシロキサン化合物として、下記化学式5で表示される化合物(Ak/Si:0.02)100g、化学式2の架橋型シロキサン化合物50g、化学式3の水素シロキサン化合物13.5g及び化学式4の接着性付与剤3.4gを混合したことの以外は、第1の実施例と同一に硬化性組成物を製造した(H/Akが1.0になる量)。
【0099】
化学式5
【化8】

【0100】
第6の実施例
前記化学式5の線形オルガノシロキサン化合物100g、化学式2の架橋型シロキサン化合物100g、化学式3の水素シロキサン化合物23.9g及び化学式4の接着性付与剤4.6gを混合したことの以外は、第1の実施例と同一に硬化性組成物を製造した(H/Akが1.0になる量)。
【0101】
第7の実施例
前記化学式5の線形オルガノシロキサン化合物100g、化学式2の架橋型シロキサン化合物300g、化学式3の水素シロキサン化合物64.1g及び化学式4の接着性付与剤9.5gを混合したことの以外は、第1の実施例と同一に硬化性組成物を製造した(H/Akが1.0になる量)。
【0102】
第8の実施例
前記化学式5の線形オルガノシロキサン化合物100g、化学式2の架橋型シロキサン化合物700g、化学式3の水素シロキサン化合物145.2g及び化学式4の接着性付与剤19.2gを混合したことの以外は、第1の実施例と同一に硬化性組成物を製造した(H/Akが1.0になる量)。
【0103】
第9の実施例
線形オルガノシロキサン化合物として、下記化学式で表示される化合物(Ak/Si:0.2)100g、化学式2の架橋型シロキサン化合物50g、化学式3の水素シロキサン化合物37.2g及び化学式4の接着性付与剤3.9gを混合したことの以外は、第1の実施例と同一に硬化性組成物を製造した(H/Akが1.0になる量)。
【0104】
化学式6
【化9】

【0105】
第10の実施例
前記化学式6の線形オルガノシロキサン化合物00g、化学式2の架橋型シロキサン化合物100g、化学式3の水素シロキサン化合物47.8g及び化学式4の接着性付与剤5.1gを混合したことの以外は、第1の実施例と同一に硬化性組成物を製造した(H/Akが1.0になる量)。
【0106】
第11の実施例
前記化学式6の線形オルガノシロキサン化合物100g、化学式2の架橋型シロキサン化合物300g、化学式3の水素シロキサン化合89.7g及び化学式4の接着性付与剤10.0gを混合したことの以外は、第1の実施例と同一に硬化性組成物を製造した(H/Akが1.0になる量)。
【0107】
第12の実施例
前記化学式6の線形オルガノシロキサン化合物100g、化学式2の架橋型シロキサン化合物700g、化学式3の水素シロキサン化合物173.6g及び化学式4の接着性付与剤19.8gを混合したことの以外は、第1の実施例と同一に硬化性組成物を製造した(H/Akが1.0になる量)。
【0108】
第1の比較例
線形オルガノシロキサン化合物として、下記化学式7で表示される化合物(Ak/Si:0.013)100g、化学式2の架橋型シロキサン化合物300g、化学式3の水素シロキサン化合物65.0g及び化学式4の接着性付与剤9.5gを混合したことの以外は、第1の実施例と同様に硬化性組成物を製造した(H/Akが1.0になる量)。
【0109】
化学式7
【化10】

【0110】
第2の比較例
線形オルガノシロキサン化合物として、下記化学式8で表示される化合物(Ak/Si:0.29)100g、化学式2の架橋型シロキサン化合物300g、化学式3の水素シロキサン化合物102.5g及び化学式4の接着性付与剤10.2gを混合したことの以外は、第1の実施例と同一に硬化性組成物を製造した(H/Akが1.0になる量)。
【0111】
化学式8
【化11】

【0112】
第3の比較例
化学式1の線形オルガノシロキサン化合物100g、化学式2の架橋型シロキサン化合物45g、化学式3の水素シロキサン化合物19.8g及び化学式4の接着性付与剤3.4gを混合したことの以外は、第1の実施例と同一に硬化性組成物を製造した(H/Akが1.0になる量)。
【0113】
第4の比較例
化学式1の線形オルガノシロキサン化合物100g、化学式2の架橋型シロキサン化合物750g、化学式3の水素シロキサン化合物167.8g及び化学式4の接着性付与剤21.0gを混合したことの以外は、第1の実施例と同一に硬化性組成物を製造した(H/Akが1.0になる量)。
【0114】
第5の比較例
化学式1の線形オルガノシロキサン化合物100g、化学式2の架橋型シロキサン化合物300g、化学式3の水素シロキサン化合物40.0g及び化学式4の接着性付与剤9.0gを混合したことの以外は、第1の実施例と同一に硬化性組成物を製造した(H/Akが0.6になる量)。
【0115】
第6の比較例
化学式1の線形オルガノシロキサン化合物100g、化学式2の架橋型シロキサン化合物300g、化学式3の架橋型シロキサン化合物11.5g及び化学式4の水素シロキサン化合物150.0gを混合したことの以外は、第1の実施例と同一に硬化性組成物を製造した(H/Akが1.4になる量)。
【0116】
前記製造された硬化性組成物に対する評価結果を下記表1に整理して記載した。
【0117】
【表1】

【0118】
前記表1から確認できるように、本発明の実施例による硬化性組成物は、硬化後に優れた光透過率を示し、表面でのベタツキ(タック性)も誘発されなかった。また、実施例の組成物は、耐熱衝撃性及び高温/高湿条件下の長期信頼性試験でも優れた結果を示した。
【0119】
一方、他の条件は全て本発明の範疇に含まれるが、線形オルガノシロキサン化合物のAk/Siが低いか高い第1の比較例及び第2の比較例の場合、耐熱衝撃性及び信頼性などが大きく落ちた。また、(A)線形オルガノシロキサン化合物に対する(B)架橋型オルガノシロキサン化合物の重量の割合が低いか高い第3の比較例及び第4の比較例の場合も耐熱衝撃性及び信頼性などが大きく落ちたし、特に、第3の比較例3は、表面でベタツキ(タック性)も誘発された。また、H/Akが低いか高い第5の比較例及び第6の比較例の場合も耐熱衝撃性及び信頼性などが大きく落ちることを確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記化学式 1の平均組成式で表示され、ケイ素原子に結合したアルケニル基の全体ケイ素原子に対するモル比が0.02乃至0.2である線形オルガノシロキサン化合物、
(B)下記化学式2の平均組成式で表示され、ケイ素原子に結合したアルケニル基の全体ケイ素原子に対するモル比が0.15乃至0.35である架橋型オルガノシロキサン化合物、及び
(C)下記化学式3で表示され、ケイ素原子に結合した水素原子の全体ケイ素原子に対するモル比が0.2乃至0.8である水素シロキサン化合物と、を含み、
前記シロキサン化合物(B)は、前記シロキサン化合物(A)100重量部に対して50重量部乃至700重量部の重量の割合で含まれ、
前記シロキサン化合物(A)及び(B)に含まれるケイ素原子に結合したアルケニル基に対する、前記シロキサン化合物(C)に含まれるケイ素原子に結合した水素原子のモル比が0.8乃至1.2である、硬化性組成物。
【化1】

【化2】

【化3】

前記化学式1乃至3において、R乃至R12は、各々独立的に、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エポキシ基または1価の炭化水素基を示し、R乃至Rの中で一つ以上は、アルケニル基であり、R乃至R12の中の一つ以上は、アルケニル基あり、Rは、各々独立的に水素、エポキシ基または1価炭化水素基を示し、aは、0乃至0.5であり、bは0.5乃至0.98であり、cは、0乃至0.2であり、dは、0乃至0.1であり、eは、0乃至0.5であり、fは、0乃至0.3であり、gは、0.3乃至0.85であり、hは、0乃至0.2であり、nは、1乃至10であり、a+b+c+dは、1であり、e+f+g+hは、1である。
【請求項2】
前記(A)オルガノシロキサン化合物は、前記(A)シロキサン化合物に含まれている全体ケイ素原子に対するケイ素原子に結合されたアルケニル基のモル比が0.02乃至0.15である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項3】
前記(A)オルガノシロキサン化合物は、ケイ素原子に結合されたアリール基を一つ以上含む、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項4】
前記(A)オルガノシロキサン化合物は、前記(A)シロキサン化合物に含まれている全体ケイ素原子に対する、ケイ素原子に結合されたアリール基のモル比が0.3乃至1.3である、請求項3に記載の粘着剤組成物。
【請求項5】
前記(A)オルガノシロキサン化合物は、重量平均分子量が1,000乃至50,000である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項6】
前記(B)オルガノシロキサン化合物は、前記(B)シロキサン化合物に含まれる全体ケイ素原子に対するケイ素原子に結合されたアルケニル基のモル比が0.15乃至0.3である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項7】
前記(B)オルガノシロキサン化合物は、ケイ素原子に結合されたアリール基を一つ以上含む、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項8】
前記(B)オルガノシロキサン化合物は、前記(B)シロキサン化合物に含まれる全体ケイ素原子に対するケイ素原子に結合されたアリール基のモル比が0.35乃至1.2である、請求項7に記載の粘着剤組成物。
【請求項9】
前記(B)オルガノシロキサン化合物は、重量平均分子量が1,000乃至5,000である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項10】
前記(C)水素シロキサン化合物は、前記(C)水素シロキサン化合物に含まれる全体ケイ素原子に対するケイ素原子に結合された水素原子のモル比が0.3乃至0.75である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項11】
前記(C)水素シロキサン化合物は、ケイ素原子に結合されたアリール基を一つ以上含む、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項12】
前記(C)水素シロキサン化合物は、前記(C)シロキサン化合物に含まれる全体ケイ素原子に対するケイ素原子に結合されたアリール基のモル比が0.3乃至1である、請求項12に記載の粘着剤組成物。
【請求項13】
前記(C)水素シロキサン化合物は、重量平均分子量が1,000未満である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項14】
前記シロキサン化合物(A)及び(B)に含まれているケイ素原子に結合したアルケニル基に対する、 前記シロキサン化合物(C)に含まれているケイ素原子に結合した水素原子のモル比が0.85乃至1.15である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項15】
前記(A)、(B)及び(C)のシロキサン化合物は、全てケイ素原子に結合されたアリール基を一つ以上含む、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項16】
下記一般式1及び2の条件を満足する、請求項15に記載の粘着剤組成物。
【数1】

【数2】

前記一般式2及び3において、X(A)は、前記(A)オルガノシロキサン化合物に含まれているすべてのケイ素原子に対する、前記(A)オルガノシロキサン化合物に含まれているケイ素原子に結合されたアリール基のモル比を示し、X(B)は、前記(B)オルガノシロキサン化合物に含まれている全体ケイ素原子に対する、前記(B)オルガノシロキサン化合物に含まれているケイ素原子に結合されたアリール基のモル比を示し、X(C)は、前記(C)水素シロキサン化合物に含まれているす全体ケイ素原子に対する前記(C)水素シロキサン化合物に含まれているケイ素原子に結合されたアリール基のモル比を示す。
【請求項17】
請求項1による組成物を硬化された状態で含む封止剤により封止された半導体素子を含む、半導体装置。
【請求項18】
請求項1による組成物を硬化された状態で含む封止剤により封止された発光素子を含む、半導体装置。
【請求項19】
請求項19による発光ダイオードをバックライトユニットに含むことを特徴とする液晶表示装置。

【公表番号】特表2013−518142(P2013−518142A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549949(P2012−549949)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【国際出願番号】PCT/KR2011/000520
【国際公開番号】WO2011/090361
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】