説明

神経病症候群の治療の為のPDE−4阻害剤としての、4−(4−アルコキシ−3−ヒドロキシフェニル)−2−ピロリディン誘導体。

【課題】選択的にPDE4酵素を阻害し、特に副作用が改善された、細胞内、特に神経細胞内への導入が容易な新規化合物、製造方法、及びそれを用いた患者を治療する方法を提供する。
【解決手段】選択的にPDE4阻害をする4-(置換-フェニル)-2-ピロリディノン化合物。この化合物はロリプラムのような化合物より改善されたPDE4阻害効果を示し、他の群の各種PDEの阻害については選択性を示した。本発明の化合物は化学式(I)で表され、ここで、R1,R2,およびR3は本文書中で定義されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的なホスホジエステラーゼ4(PDE4)酵素を阻害する化合物に関する。より具体的には、本発明は、PDEを選択的に阻害する、例えば4-(置換-フェニル)-2-ピロリディノン化合物のような新規化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
環状ヌクレオチド特異的各種ホスホジエステラーゼ(PDE)は様々な環状ヌクレオシド一燐酸(cAMPおよびcGMPを含む)の加水分解を触媒する酵素である。これ等の環状ヌクレオチドは、細胞内で第二メッセンジャーとして働き、メッセンジャーとして様々なホルモンおよび神経伝達物と結合した細胞表面からのインパルスを担う。各種PDEは細胞内の環状ヌクレオチドのレベルを調節し、メッセンジャーとしての役割を終えた環状モノヌクレオチドを分解することによって、環状ヌクレオチドのホメオスタシスを維持する。
【0003】
PDE酵素はcAMP又はcGMPの加水分解に対する夫々の特異性、カルシウム、カルモデュリンまたはcGMPによる調節に対する感受性、および、様々な化合物による選択的阻害の観点から11族に分類される。例えば、PDE1はCa2+/カルモデュリンにより刺激される。PDE2はcGMP依存的で、心臓および副腎に見出される。PDE3はcGMP阻害的で、この酵素の阻害により正の筋収縮活性が生まれる。PDE4はcAMP特異的で、この酵素の阻害により気道弛緩、抗炎症、抗欝活性が生まれる。PDE5は様々な血管平滑筋中のcGMPを調節するようである、従ってPDE5阻害剤は心臓血管活性を持つ。各種PDEは明確な特徴を有するので、この酵素類は様々な異なった形の調節を受けると解される。
【0004】
PDE4はcAMPに対する低ミカエリス定数、およびある種の薬剤に対する感受性を含む様々な反応特性によって区別される。PDE4酵素族は4種の遺伝子からなり、これ等の遺伝子により、PDE4酵素のPDE4A,PDE4B,PDE4CおよびPDE4Dと名づけられている4種のイソ型が作られる[Wang他、“ヒトcAMP特異的ホスホジエステラーゼ(PDE4)亜型A,B,CおよびDの発現、精製および、特徴づけ”、Biochem. Biophys. Res. Comm., 234, 320-324(1997)](非特許文献1)。加えて、各PDE4イソ型に対し、各種のスプライス変異体が同定されている。
【0005】
PDE4イソ酵素は細胞質に局在化しており、いずれの膜構造とも会合していない。PDE4イソ酵素はcAMPのアデノシン5’-一燐酸(AMP)への加水分解を触媒し、特異的にcAMPを不活化する。cAMP活性の調節は、炎症および記憶のような、多くの生物過程において重要である。ロリプラム、ピクラミラスト、CDP-840およびアリフロのような、PDE4イソ酵素の阻害剤は強力な抗炎症剤であり、したがって、喘息または関節炎のように、炎症が問題含みの疾患を治療する上で重要である。さらに、ロリプラムは、学習パラダイムにおけるラットおよびマウスの認知行動を改善する。


【0006】
さらに、ロリプラム、および、キサンチン誘導体(ペントキシフィリン、デンブフィリン、および、テオフィリンなど)はPDE4を阻害し、認知を促進する効果を有することから最近注目されている。cAMPおよびcGMPは二次メッセンジャーであり、多くの異なるホルモンおよび神経伝達物質に対する細胞応答を媒介する。このように、治療上重要な効果はPDE阻害、および、阻害による、神経系および体内の他の箇所にある、キイとなる細胞の細胞内cAMPまたは、cGMPの増加から生まれる。
【0007】
以前抗欝剤として開発されたロリプラムはPDE4酵素を選択的に阻害し、PDE酵素の亜族分類の標準試薬となった。PDE4分野の以前の研究は鬱病と炎症に集中されてきたが、その後、痴呆のような兆候に対して拡大されてきた[一般総説“PDEIV族のカルシウム・ホスホジエステラーゼ酵素”、John A. LoweIII,他、Drugs of the Future 1992, 17(9):799-807を参照のこと](非特許文献2)。ロリプラムと第一世代PDE4阻害剤の更なる臨床的展開は、これ等の化合物の副作用プロファイルによって終息した。霊長類における主要な副作用は嘔吐であり、他方、げっ歯動物における主要な副作用は精巣の脱顆粒、血管平滑筋の弱体化、向精神薬効果、胃酸増加、および、胃糜爛である。ヒトにおいては、主要な副作用は吐き気と嘔吐である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Wang他、Biochem. Biophys. Res. Comm., 234, 320-324(1997)
【非特許文献2】John A. LoweIII,他、Drugs of the Future 1992, 17(9):799-807
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、好ましくは選択的にPDE4酵素を阻害し、特に側面としての副作用が改善されている、即ち(既に記載した先行技術の化合物に比べ)比較的に催吐作用がすくない新しい化合物を提供することを目的とするものである。本発明は、特に新規ロリプラム類似化合物を提供することを目的とするものである。
【0010】
本発明の化合物は同時に細胞内、特に神経細胞内への導入が容易であるので、本発明の化合物は、以下に述べる患者の治療に用いることができる。ここで患者とはヒトを含む哺乳類を意味し、PDE阻害-特にPDE4阻害-を必要とする患者であり、疾患状態は細胞内PDE4濃度が増加するかcAMP濃度が減少することによるもので、例えば神経疾患症候群-特に記憶障害と結びついた状態である。具体的には、記憶障害は特に長期の障害で、少なくとも部分的には、PDE4酵素による細胞内cAMPの異化作用によって起こる記憶障害か、または、cAMPレベルの増加により改善されるような記憶障害である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の化合物はPDE4酵素を阻害することによって、催吐作用または他の副作用をを生じない投与量で、上記疾患を改善することができる。
本明細書と添付した特許請求の範囲の更なる検討により、本発明の更なる態様、目的、効果が当業者に明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は化学式Iで表される化合物であって、エナンチオマー(鏡像異性体)混合物、ジアステレオマーの混合物、単一のエナンチオマー型又はジアステレオマー型である化合物又は生理学的に許容できるこれ等の塩である。
化学式I:


【0013】
式中のXはO原子であり;
R1は、1又は2以上のハロゲン原子、オキソ基、又は、それらのコンビネーションで置換されると共に、1又は2以上の-CH2CH2-基が、適宜-CH=CH-基または-C≡C-基に置き換えられる、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、
非置換または、ハロゲン原子、オキソ基、1から4個の炭素原子を有するアルキル基、又はそのコンビネーションで、1若しくは2以上置換された3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル基、
【0014】
非置換、または、ハロゲン原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、または、それらのコンビネーションで1又は2以上置換された、少なくとも1個のN、O又はS原子を有する5〜10個のリング原子からなる、飽和、部分的に飽和、又は完全に不飽和な複素環式基(例えば、3-チエニル、2-チエニル、-3テトラヒドロフラン)、
【0015】
非置換、または、ハロゲン原子、CF3基,OCF3基,アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ニトロ基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、カルボキシ基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、フェノキシ基、アシルアミド基(例えば、アセトアミド基)、および、アシロキシ基(例えば、アセトキシ基)、またはそれらのコンビネーションにより、1または2以上置換された炭素原子数6〜14のアリール基、
【0016】
非置換、又は、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、またはこれ等のコンビネーションにより1または2以上置換されている5〜14の炭素原子を有する部分的に不飽和の炭素環式基(例えば、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、インダニル基、および、テトラヒドロナフテニル基)、
【0017】
5個までの炭素原子を有するアルケニル基が、非置換または、置換、好ましくはアリール基部分が、ハロゲン原子、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ニトロ基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、カルボキシ基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、フェノキシ基、アシルアミド基(例えば、アセトアミド基)、および、アシロキシ基(例えば、アセトキシ基)、またはそれらのコンビネーションにより1又は2以上置換された、8個から16個の炭素原子からなるアリールアルケニル基、
【0018】
複素環部分が非置換または、ハロゲン原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシ基、または、それらのコンビネーションにより、および/または、アルキル基部分が非置換または、ハロゲン原子、オキソ基、シアノ基、又はそれらのコンビネーションで1又は2以上置換された、少なくとも1個のN、O又はS原子を有する5〜10個のリング原子からなる、飽和、部分的に飽和、又は完全に不飽和な複素環式アルキル基、
【0019】
非置換または、ハロゲン原子、オキソ基、アルキル基又はそれらのコンビネーションで1又は2以上置換されている、炭素原子数4〜16のシクロアルキルアルキル基(例えば、シクロペンチルエチル基、および、シクロプロピルメチル基)である。
【0020】
R2は、非置換、または1又は2以上のハロゲン原子で置換されている、炭素原子数1〜4のアルキル基である。
【0021】
R3は水素原子、
1又は2以上の-CH2CH2-基が、適宜-CH=CH-基または-C≡C-基で置換される炭素原子数1〜8のアルキル基、
非置換、またはハロゲン原子、オキソ基若しくはそれらのコンビネーションにより1又は2以上置換されると共に、1又は2以上の-CH2CH2-基が-CH=CH-基または-C≡C-基で適宜置き換えられてなる炭素原子数1〜8のアルキル基、
非置換、または、ハロゲン原子、オキソ基、アルキル基又はそれらのコンビネーションで置換されている、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基、3〜8個の炭素原子を有するアルコキシアルキル基、または-C(O)R4基である。
【0022】
R4は、1又は2以上の-CH2CH2-基が-CH=CH-基または-C≡C-基によって適宜置き換えられた、炭素原子数1〜12のアルキル基、
ハロゲン原子、オキソ基、又はこれ等のコンビネーションで、1又は2以上置換されており、1又は2以上の-CH2CH2-基が-CH=CH-基または-C≡C-基で適宜置き換えられた、炭素原子数1〜12のアルキル基、
非置換、または、ハロゲン原子、オキソ基、アルキル基又はそれらのコンビネーションで置換された炭素原子数3〜8のシクロアルキル基、
【0023】
非置換または、ハロゲン原子、オキソ基、アルキル基又はそれらのコンビネーションで1又は2以上置換された、炭素原子数4〜16のシクロアルキルアルキル基(例えば、シクロペンチルエチル基、および、シクロプロピルメチル基)、
非置換、または、ハロゲン原子、CF3基,OCF3基,アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ニトロ基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、カルボキシ基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、フェノキシ基、アシルアミド基(例えば、アセトアミド基)、および、アシロキシ基(例えば、アセトキシ基)、またはそれらのコンビネーションにより1または2以上置換された、炭素原子数6〜14のアリール基、
【0024】
非置換または置換、好ましくはアリール基部分が、ハロゲン原子、CF3基、OCF3基、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ニトロ基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、カルボキシ基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、フェノキシ基、アシルアミド基(例えば、アセトアミド基)、および、アシロキシ基(例えば、アセトキシ基)、またはそれらのコンビネーションにより1または2以上置換された、炭素原子数8〜16のアリールアルキル基、
【0025】
非置換、または、ハロゲン原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、または、それらのコンビネーションで1又は2以上置換された、少なくとも1個のN、O又はS原子を有する5〜10個のリング原子からなる、飽和、部分的に飽和、又は完全に不飽和な複素環式基(例えば、3-チエニル、2-チエニル、3-テトラヒドロフラン)、または、
【0026】
非置換、または、ヘテロアリール基部分が、ハロゲン原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシ基、または、それらのコンビネーションで、及び/または、アルキル基部分がハロゲン原子、オキソ基、シアノ基、または、これ等のコンビネーションにより1又は2以上置換された、少なくとも1個のN、O又はS原子を有する5〜10個のリング原子からなる、飽和、部分的に飽和、又は完全に不飽和な複素環式アルキル基である。
【0027】
但し、以下の条件が必要である。
(a) R2がCH3でR3がH原子のとき、R1は以下の置換基ではない:即ち、
フェニル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンテニル基、メチルシクロペンチル基、シクロプロピルメチル基、シクロペンチルメチル基、N-置換-2-ピペラジニルエチル基、ノルボルニル基、3-テトラヒドロフリル基、2-テトラヒドロフリル基、3-テトラヒドロチエニル基、2-オキサシクロプロピル基、2-オキサシクロペンチル基、3-オキサシクロペンチル基、2-クロロエチル基、2-ブロモエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、3-ブロモプロピル基、3-クロロプロピル基、または、4-ブロモブチル基ではない;
(b) Rlがシクロペンチル基でR2がメチル基の場合、R3はH原子またはアセチル基ではない。
【0028】
化学式I'で表される本発明の化合物は、減少したcAMPレベル、および/または、増加した細胞内PDE4レベルをともなう、疾病状態(例えば、記憶障害)に悩む患者(例えば、人間のような哺乳類)の治療に使用することができる。
化学式I':


【0029】
式中、XはO原子であり、
R1は、非置換、またはハロゲン原子、オキソ基若しくはそれらのコンビネーションにより1又は2以上置換されると共に、1又は2以上の-CH2CH2-基が-CH=CH-基または-C≡C-基で適宜置き換えられてなる、炭素原子数1〜8のアルキル基、
非置換または、ハロゲン原子、オキソ基、または、1個から4個の炭素原子を有するアルキル基又はそれらのコンビネーションで1又は2以上置換されている、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基、
【0030】
非置換または、ハロゲン原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、または、それらのコンビネーションで1又は2以上置換された、少なくとも1個のリング原子がN、OまたはS原子である5個から10個のリング原子を有する飽和、部分的に飽和、又は完全に不飽和な複素環式基(例えば、3-チエニル、2-チエニル、-3テトラヒドロフラン)、
【0031】
非置換または、ハロゲン原子、CF3基、OCF3基,アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ニトロ基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、カルボキシ基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、フェノキシ基、アシルアミド基(例えば、アセトアミド基)、および、アシロキシ基(例えば、アセトキシ基)、またはそれらのコンビネーションにより、1又は2以上置換された、6個〜14個の炭素原子からなるアリール基、
【0032】
非置換、または、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、又は、そのコンビネーションにより1又は2以上置換された、5個〜14個の炭素原子を有する部分的に不飽和な炭素環式基(例えば、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、インダニル基、および、テトラヒドロナフテニル基)、
【0033】
非置換又は、ヘテロアリール基部分が、ハロゲン原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシ基、または、それらのコンビネーションにより、および/または、アルキル基部分がハロゲン原子、オキソ基、シアノ基、又はそれらのコンビネーションで1又は2以上置換された、少なくとも1個のN、O又はS原子を有する5〜10個のリング原子からなる、飽和、部分的に飽和、又は完全に不飽和な複素環式アルキル基、または
【0034】
非置換、または、ハロゲン原子、オキソ基、アルキル基又はそれらのコンビネーションで1又は2以上置換された、炭素原子数4〜16のシクロアルキルアルキル基(例えば、シクロペンチルエチル基、および、シクロプロピルメチル基)である。
【0035】
R2は、非置換または、ハロゲン原子で、1または2以上置換された、1個〜4個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0036】
R3は、H原子、1又は2以上の-CH2CH2-基が-CH=CH-基または-C≡C-基に置き換えられた1個〜8個の炭素原子を有するアルキル基、
非置換、またはハロゲン原子、オキソ基若しくはそれらのコンビネーションにより1又は2以上置換されると共に、1又は2以上の-CH2CH2-基が-CH=CH-基または-C≡C-基で適宜置き換えられた炭素原子数1〜8のアルキル基、
非置換、または、ハロゲン原子、オキソ基、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、又はそのコンビネーションで1若しくは2以上置換された、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基、3〜8個の炭素原子を有するアルコキシアルキル基、または-C(O)R4基である。
【0037】
R4は、1又は2以上の-CH2CH2-基が-CH=CH-基または-C≡C-基によって適宜置き換えられた、炭素原子数1〜12のアルキル基、
ハロゲン原子、オキソ基、又はこれ等のコンビネーションで、1又は2以上置換されており、1又は2以上の-CH2CH2-基が-CH=CH-基または-C≡C-基で適宜置き換えられた、炭素原子数1〜12のアルキル基、
非置換、または、ハロゲン原子、オキソ基、アルキル基又はそれらのコンビネーションで置換された炭素原子数3〜8のシクロアルキル基、
【0038】
非置換、または、ハロゲン原子、オキソ基、アルキル基又はそれらのコンビネーションで1又は2以上置換された、炭素原子数4〜16のシクロアルキルアルキル基(例えば、シクロペンチルエチル基、および、シクロプロピルメチル基)、
非置換、または、ハロゲン原子、CF3基,OCF3基,アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ニトロ基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、カルボキシ基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、フェノキシ基、アシルアミド基(例えば、アセトアミド基)、および、アシロキシ基(例えば、アセトキシ基)、またはそれらのコンビネーションにより1または2以上置換された、炭素原子数6〜14のアリール基、
【0039】
非置換または置換、好ましくはアリール基部分が、ハロゲン原子、CF3基、OCF3基、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ニトロ基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、カルボキシ基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、フェノキシ基、アシルアミド基(例えば、アセトアミド基)、および、アシロキシ基(例えば、アセトキシ基)、またはそれらのコンビネーションにより1または2以上置換された、炭素原子数8〜16のアリールアルキル基、
【0040】
非置換、または、ハロゲン原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、または、それらのコンビネーションで1又は2以上置換された、少なくとも1個のN、O又はS原子を有する5〜10個のリング原子からなる、飽和、部分的に飽和、又は完全に不飽和な複素環式基(例えば、3-チエニル、2-チエニル、3-テトラヒドロフラン)、または
【0041】
非置換、若しくは、ヘテロアリール基部分がハロゲン原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシ基、または、それらのコンビネーションで、及び/または、アルキル基部分がハロゲン原子、オキソ基、シアノ基、あるいは、これ等のコンビネーションにより1又は2以上置換された、少なくとも1個のN、O又はS原子を有する5〜10個のリング原子からなる、飽和、部分的に飽和、又は完全に不飽和な複素環式アルキル基である。
【0042】
本発明の化合物は、哺乳類などの動物、特にヒトのPDE4活性を阻害するか、調節する上で効果がある。これらの化合物は、神経病学的活性、特にPDE4活性が、長期の記憶を含め、認識力に影響するような神経病学的活性を示す。これ等の化合物はまた、cAMP濃度の減少が関与する疾患を治療する上で有効であろう。この効果は炎症性疾患を包含するが、それだけに制限されるものではない。これら化合物は抗欝剤としても機能を有し、精神分裂病患者の認識能力や陰性症状を治療する上でも有用であろう。PDE4阻害活性の検定、PDE4阻害活性の選択性およびPDE4イソ酵素阻害の選択性は既知の技術として知られている。例えば、米国特許第6,136,821号を参照。その開示内容を本明細書に援用する。
【0043】
此処で、ハロゲン原子はF, Cl, Brおよび、I原子を表す。好ましいハロゲン原子はFおよびCl原子である。
【0044】
アルキル基は、直鎖状または分枝状の脂肪族炭化水素基を意味する。R3の場合における適切なアルキル基は、好ましくは1〜8個の炭素原子、特に1〜4個の炭素原子を有することが好ましい。R2における適切なアルキル基は、好ましくは1〜4個の炭素原子を持つ。R4における適切なアルキル基は、1〜12個の炭素原子、好ましくは1〜8個の炭素原子、特に好ましくは1〜4個の炭素原子を持つ。
【0045】
適切なアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、アンデシル基およびドデシル基が挙げられる。他の適切なアルキル基の例としては、1-、2-又は3-メチルブチル基、1,1-、1,2-または2,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、1,2,3-又は4-メチルペンチル基、1,1-、1,2-、1,3-、2,2-、2,3-又は3,3-ジメチルブチル基、1-又は2-エチルブチル基、エチルメチルプロピル基、トリメチルプロピル、メチルヘキシル基、ジメチルペンチル基、エチルペンチル基、エチルメチルブチル基、ジメチルブチル基などが挙げられる。
【0046】
これらのアルキル基においては、1又は1個以上の-CH2CH2基を、各々のケースに応じて適宜-CH=CH-基または-C≡C-基に置き替えることが出来る。適切なアルケニル基またはアルキニル基は、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-プロピニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ブチニル基、1,3-ブタジエニル基、および、3-メチル-2-ブテニル基である。
【0047】
Rl, R3,およびR4に対して置換されるアルキル基は上記したものであり、このアルキル基は、1または2以上のハロゲン原子および/またはオキソ基で置換される。好ましい置換基はハロゲン原子、特にFとCl原子である。R2に対する置換アルキル基は、1または2以上のハロゲン原子、特にFとCl原子で置換された、例えば、最高5つのF原子によって置き換えられたCl-C4のアルキルである。
【0048】
アリールアルキル基、複素環式アルキル基、シクロアルキル-アルキル基及びアルコキシアルキル基における“アルキル基”は二価のアルキレン基を表し、一般的に、およそ13個以下の炭素原子を有する。R3,およびR4のアリールアルキル基の場合における“アルキル基”部分は、1〜10個の炭素原子を有することが好ましい。複素環式アルキル基における“アルキル基”部分は、1〜12個の炭素原子を持つことが好ましい。アルコキシアルキル基における“アルキル基”部分は、2〜7個の炭素原子を持つことが好ましい。シクロアルキルアルキル基における“アルキル基”部分は、1〜13個の炭素原子を持つことが好ましい。
【0049】
アルキル基が置換基(例えば、アリール基および複素環式基上のアルキル置換基)であるか置換体の一部である場合(例えば、アリール基上の、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、および、アルキルスルホニル基)におけるアルキル基部分は、1〜12個の炭素原子、好ましくは1〜8個の炭素原子、特に好ましくは1〜4個の原子を有する。
【0050】
アルコキシ基は、アルキル基部分が1〜8個の炭素原子を有するアルキル-O-基である。適切なアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基、ヘプトキシ基、オクトキシ基、およびトリフルオロメトキシ基が挙げられる。好ましいアルコキシ基は、メトキシ基およびエトキシ基である。R3に対するアルコキシアルキル基は、3〜8個の炭素原子を有することが好ましく、例えば、メトキシエチル基である。同様に、アルコキシカルボニル基は、アルキル基部分が1〜8個の炭素原子であるアルキル-O-CO-基を意味する。
【0051】
アルケニル基は、2〜12個の炭素原子を有し、1又は2以上の-CH2CH2-構造が-CH=CH-基に置き換えられた、直鎖又は分枝鎖状の脂肪族基である。適切なアルケニル基は、エセニル基、1-プロペニル基、2-メチルエセニル基、1-ブテン基、2-ブテン基、1-ペンテニル基、および2-ペンテニル基である。アリールアルケニル基におけるアルケニル基は、2〜5個の炭素原子を有するアルケニレン基を表す。
【0052】
シクロアルキル基は、3〜8個の炭素原子、好ましくは4〜6個の炭素原子、特に炭素原子が5の、単環式、二環式、または、三環式飽和炭化水素基を意味する。適切なシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基及びノルボルニル基が挙げられる。他の適当なシクロアルキル基としては、スピロペンチル基、ビシクロ[2,1,0]ペンチル基、ビシクロ[3,1,0]ヘキシル基、スピロ[2,4]ヘプチル基、スピロ[2,5]オクチル基、ビシクロ[5,1,0]オクチル基、スピロ[2,6]ノニル基、ビシクロ[2,2,0]ヘキシル基、スピロ[3,3]へプチル基、および、ビシクロ[4,2,0]オクチル基が挙げられる。好ましいシクロアルキル基はシクロペンチル基である。
【0053】
シクロアルキル基は、ハロゲン原子、オキソ基、および/または、アルキル基で置換される。ハロゲン原子および/またはアルキル基は好ましい置換基である。
【0054】
シクロアルキル-アルキルはシクロアルキル部分およびアルキル部分が前記したとおりであるシクロアルキル-アルキル-基を表す。適切な例としては、シクロペンチルエチル基およびシクロプロピルメチル基が挙げられる。
【0055】
それ自体官能基もしくは置換基として、または、官能基もしくは置換基の一部としてのアリール基は芳香族炭素環式ラジカルを表し、6〜14個の炭素原子、好ましくは6〜12個の炭素原子、特に好ましくは6〜10個の炭素原子を有する。適切なアリール基としては、フェニル基、ナフチル基およびビフェニル基が挙げられる。置換-アリール基としては、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、カルボキシ基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、フェノキシ基、および、アシロキシ基、(例えば、アセトキシ基)で1又は2以上置換された、上記のアリール基があげられる。
【0056】
アリールアルキル基は、アリール基部分とアルキル基部分が前記したようなものである、アリール-アルキル-基を表す。適切な例としては、1-フェネチル基、、2-フェネチル基、フェンプロピル基、フェンブチル基、フェンペンチル基とナフチレンメチル基がある。
【0057】
アリールアルケニル基はアリール-アルケニル-基を表しており、アリール部とアルケニル部は、前記したアリール基とアルケニル基に従う。適切な例としては、3-アリール-2-プロペニル基がある。
【0058】
複素環式基は、単環または2環を有する飽和、部分飽和、および、完全に不飽和な複素環式基を表し、少なくとも一つのリング原子はN、OまたはS原子である、全体で5〜10個のリング原子を有し、好ましくは、複素環式基はN、OまたはS原子から選んだ、1〜3個、特に1又は2個のヘテロリング原子を含む。飽和し、部分的に飽和した適切な複素環式基は、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチエニル基、ピロリジニル基、イソクサゾリニル基等を含むが、これらには限られない。適切な、ヘテロアリール基は、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、インドリル基、キノリニル基、ナフチリジニル基、その他などを含むが、これらには限られない。好ましい、複素環式基および、ヘテロアリール基としては、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、2-チエニル基,3-チエニル基、2-,3-又は4-ピリジル基、2-,3-,4-,5-,6-,7-又は8-キノリニル基,および、1-,3-,4-,5-,6-,7-又は8-イソキノリニル基がある。
【0059】
置換-複素環式基は、ハロゲン原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、および、ジアルキルアミノ基で1又は2以上置換された、上記複素環式基を表す。
【0060】
複素環式-アルキル基は、前述した複素環部分およびアルキル基部分からなる複素環式-アルキル基を表す。適切な例としては、ピリジルメチル基、チエニルメチル基、ピリミジニルメチル基、ピラジニルメチル基、イソキノリニルメチル基、ピリジルエチル基および、チエニルエチル基が挙げられる。
【0061】
部分的に不飽和な炭素環式構造は、5〜14個の炭素原子、好ましくは、6〜10個の炭素原子からなり、少なくとも一つのC=C結合を有する、非芳香族性の単環または二環構造である。適切な例としては、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、テトラヒドロナフテニル基および、インダン-2-イルがある。
【0062】
アシル基は1〜13個の炭素原子を有するアルカノイル基を表し、アルキル基部分は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルキル基、アリール基および/またはアルコキシ基で置換されるか;または、7〜15個の炭素原子を有するアロイル基を表し、アリール基部分は、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシ基および/またはヒドロキシ基で置換される。適切なアシル基としては、フォルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基およびベンゾイル基がある。
【0063】
置換された基は、好ましくは1〜3個の置換基、特に、1〜2個の置換基を有する。
【0064】
R1は、好ましくは適宜置換されたシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、複素環式基または、部分的に不飽和の環状炭化水素基であるか、またはCHF2基である;例えば、CHF2基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルエチル基、シクロプロピルメチル基、フェニル基、ナフチル基、フラニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリジル基、キノリニル基、イソキノリニル基、チエニル基、インダニル基、テトラヒドロフラニル基、および、フェニルプロペニル基、置換-フェニル基、である。好ましい置換基は、オキソ基、F原子、Cl原子、CF3基、アルキル基(メチル基、エチル基のような)、アルコキシ基、(メトキシ基、エトキシ基のような)、CN基、ビニル基、メチレンジオキシ基、COOH基およびこれ等のコンビネーションである。R3がH原子以外の場合、R1は、CHF2基または複素環式基はもとより、好ましくは、シクロアルキル基、または、シクロアルキルアルキル基である。このような場合、R1は3-テトラヒドロフラニル基、CHF2基、および、シクロプロピルメチル基はもとより、特に、適宜置換されたシクロペンチル基である。
【0065】
R2は、置換されたまたは非置換の、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であることが好ましく、最も好ましくはCHF2基およびCH3基である。
【0066】
R3は、好ましくはH原子、置換された又は非置換のアルキル基またはCOR4基であり、特に、H原子が好ましい。適切なR3基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基が挙げられる。
【0067】
R4は、存在する場合には、好ましくは適宜置換されたフェニル基のようなアリール基、または、適宜置換された複素環式基である。R4に対する好ましい置換基としてはF原子、C原子、CH3基、C2H5基、OCH3基、COOH基、およびCN基がある。
【0068】
さらに、本発明の好ましいPDE4阻害剤は、化学式Iに対応する派生式Ia-Ioで記載される化合物であるが、下記に好ましい基を示す:
Ia R2はCH3基又はCHF2基である。
Ib R2はCH3基又はCHF2基であり;R3はH原子である。
Ic R3はH原子であり;Rlは、適宜置換されたシクロアルキル基、複素環基、複素環式アルキル基またはシクロアルキルアルキル基であるか、CHF2基である。
Id R2はCH3基またはCHF2基;Rlは、CHF2基はもとより、シクロペンチル基、テトラヒドロフラン基またはシクロプロピルメチル基であり;R3はH原子ではない。
【0069】
本発明のさらに好ましい化合物の態様では、化学式Iの化合物は以下の化合物から選ばれる:
4-[4-メトキシ-3-(4-メトキシフェノキシ)フェニル]-2-ピロリドン、
4-[4-メトキシ3-(3-チエニルオキシ)フェニル]-2-ピロリドン、
4-[3-(4-フルオロフェノキシ)-4-メトキシフェニル]-2-ピロリドン、
4-(3-(3-シクロヘキシル-1-プロピルオキシ)-4-メトキシフェニル)-2-ピロリドン、
4-(4-メトキシ-3-(2-フェニルエトキシ)フェニル)-2-ピロリドン
4-(4-メトキシ-3-(3-フェニル-1-プロポキシ)フェニル)-2-ピロリドン,
メチル4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-2-ピロリドン-1-アセテート、
4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-シアノメチル-2-ピロリドン、
4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-シクロペンチル-2-ピロリドン、
4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-(4-メトキシベンゾイル)-2-ピロリドン、
または、
生理学的に許容できるこれ等の塩であり、いずれの場合でも、各化合物はラセミ化合物のようなエナンチオマー(鏡像異性体)混合物、または、ジアステレオマーの混合物、または、単一のエナンチオマー型又はジアステレオマー型である。
【0070】
本発明の、さらに好ましい化合物の態様では、化学式Iの化合物は以下の化合物から選ばれる:
(4S)-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-エチル-2-ピロリドン、
(4S)-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-プロピル-2-ピロリドン、
(4S)-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-ブチル-2-ピロリドン、
(4S)-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-(2-メトキシエチル)-2-ピロリドン、
(4R)-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-エチル-2-ピロリドン、
(4R)-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-プロピル-2-ピロリドン、
(4R)-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-ブチル-2-ピロリドン、
(4R)-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-(2-メトキシエチル)-2-ピロリドン、
若しくは
生理学的に許容できるこれ等の塩であり、いずれの場合でも、各化合物はラセミ化合物のようなエナンチオマー(鏡像異性体)混合物、または、ジアステレオマーの混合物、または、単一のエナンチオマー型又はジアステレオマー型である。
【0071】
本発明の好ましい方法的態様では、化学式Iの化合物は以下のものから選ばれる:
4-[4-メトキシ-3-(4-メトキシフェノキシ)フェニル]-2-ピロリドン、
4-[4-メトキシ-3-(3-チエニルオキシ)フェニル]-2-ピロリドン、
4-[3-(4-フルオロフェノキシ)-4-メトキシフェニル]-2-ピロリドン、
4-[3-(3-シクロヘキシル-1-プロピルオキシ)-4-メトキシフェニル]-2-ピロリドン、
メチル4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-2-ピロリドン1-アセテート
4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-シアノメチル-2-ピロリドン、
4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1シクロペンチル-2-ピロリドン、
4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-(4-メトキシベンゾイル)-2-ピロリドン、
(4S)-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-エチル-2-ピロリドン、
(4S)-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-プロピル-2-ピロリドン、
(4S)-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-ブチル-2-ピロリドン、
(4S)-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-(2-メトキシエチル)-2-ピロリドン、
(4R)-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-エチル-2-ピロリドン、
(4R)-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-プロピル-2-ピロリドン、
(4R)-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-ブチル-2-ピロリドン、
(4R)-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-(2-メトキシエチル)-2-ピロリドン、
4-(R)-[4-メトキシ-3-(3-(R)-テトラヒドロフリルオキシ)フェニル]-2-ピロリドン、
4-(S)-[4-メトキシ-3-(3-(R)-テトラヒドロフリルオキシ)フェニル]-2-ピロリドン、
4-(R)-[4-メトキシ-3-(3-(S)-テトラヒドロフリルオキシ)フェニル]-2-ピロリドン、
4-(S)-[4-メトキシ-3-(3-(S)-テトラヒドロフリルオキシ)フェニル]-2-ピロリドン、
4-[4-ジフルオロメトキシ-3-(3-(R)-テトラヒドロフルリルオキシ)フェニル]-2-ピロリドン、
4-[4-ジフルオロメトキシ-3-(2-シクロヘキシルエトキシ)フェニル]-2-ピロリドン、
4-[4-ジフルオロメトキシ-3-(シクロプロピルメトキシ)フェニル]-2-ピロリドン、
4-[4-ジフルオロメトキシ-3-シクロペントキシフェニル]-2-ピロリドン、
4-[4-ジフルオロメトキシ-3-シクロブチルメトキシフェニル]-2-ピロリドン、
または、
生理学的に許容できるこれ等の塩であり、いずれの場合でも、各化合物はラセミ化合物のようなエナンチオマー(鏡像異性体)混合物、または、ジアステレオマーの混合物、または、単一のエナンチオマー型又はジアステレオマー型である。
【0072】
本発明の化合物は、医薬的に許容される担体、および、適宜、以下で考察する他の活性薬剤等からなる製薬用組成物として使用することができ、PDE4酵素、特に、あるイソ酵素を阻害する方法で、in vitro(試験管内)または、in vivo(生体内)における(動物モデル、哺乳動物または、ヒトのような、動物において)慣用的検定、または、本願で記載する検定法で検知する方法;記憶(特に長期の記憶)喪失、認知障害又は減退、記憶障害などの神経症候群を治療する方法;哺乳動物、特にヒト、PDE4活性の変化による疾患状態(此処で述べた疾患状態)の治療に使用することができる。
本発明の化合物は慣用的に調製出来る。公知の調整法の幾つかを以下に記載する。全ての出発物質は既知であるか、または、既知の出発物質から慣用的に調製出来る。
【0073】
出発物質の調製(模式図1)


【0074】
エナンチオマーとしては純粋なロリプラム、4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-2-ピロリドン、および、出発物質である4-(3-ベンジルオキシ-4-メトキシフェニル)-2-ピロリドンは模式図1に示されるように、また、既に報告されている同様の方法(J.Demnitz他、“(R)および(S)-ロリプラムのエナンチオ多肢合成”、Molecules, 1998, 3, 107-119)によって調製される。



このようにして、適切に濃縮されたベンズアルデヒドはマロン酸モノメチルと縮合反応し、脱カルボキシル化の後、対応するメチル・ケイ皮酸エステルになる。塩基としてテトラメチルグアニジンを用いて、ニトロメタンを共役付加し、メチル-4-ニトロ-3-(置換-フェニル)酪酸塩が得られる。NiCl2、およびNaBH4を用いた脂肪族ニトロ化合物のアミン体への選択的還元(Osby, J. O. ; Ganem, B.,“脂肪族ニトロ化合物の対応するアミンへの急速で効率の良い還元”、Tetrahedron Lett., 1985, 26, 6413-6416)、およびその後のK2CO3処理により、85%の収率でラセミ化合物4-(3-ベンジルオキシ-4-メトキシフェニル)-2-ピロリドンが生成される。
【0075】
メチル-4-ニトロ-3-(置換-フェニル)ブチレートは模式図1に示すように、ジアステレオマーであるフェネチルアミン・アミドを合成することにより鏡像異性的に分割される。J. Demnitz, Molecules, 1998, 3, 107-119に記載されている触媒的な水素化によるニトロ基の還元は不成功であった。しかしながら、NiCl2、およびNaBH4を用いた還元により、光学異性的に純粋なニトロアミドは90%の収率で、対応する鏡像異性的に純粋なアミンに変換される。暖めたキシレン中の還流により環化の収率は(S)-(+)-ロリプラムで51%、(R)-(-)-ロリプラムで24%であり、どちらもキラルHPLCによる決定では99%ee(純度)である(Kusters,E.; Spondlin,C.;“キラル-ODによるロリプラムと構造的に関係のあるラセミ化合物の鏡像異性分離における温度効果”、J. Chromatography A, 1996, 737, 333-337)。鏡像異性的に純粋な3-ベンジルオキシ誘導体8(R=ベンジル基)は環化の後類似した収率と純度で得られる。
【0076】
3-アリールオキシ・ロリプラム誘導体は、アミン塩基存在下で銅触媒を用い、アリール・ボロン酸とのクロス・カップリング反応で調整される。適切な銅触媒としては、ジアセチル銅、塩素化銅(II)、等が挙げられる。一般的に、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン等のようなハロゲン化した溶媒を用いる。良く使われる塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、および、ピロリジンが挙げられる。また3-フェニルオキシロリプラムは、以前記載したように(Schmiechen, R., ; Horowski, R. ;Palenschat D. : Paschelke, G. ; Wachtel ,H. ; Kehr, W.,“4-(ポリアルコキシフェニル)-2-ピロリドン”、米国特許第4.193.926,3月18日(1980)にファイル。)、ウルマンタイプカップリング反応により、ヨウ化ベンゼン、および、3-ヒドロキシロリプラムを出発化合物として調製出来る。3-位をアリールアルキル基、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロアルキル基、または、シクロアルキルアルキル基で置換した化合物は、フェノール9(R1=H原子)とアルコールの間の光延反応、または、フェノール9(R1=H原子)とR1Xの間のアルキル化反応で調製出来る。ここでXはCl,Br,メタンスルホニル基、トシロキシ基その他のような適当な脱離基である。


【0077】
一連の鏡像異性的に純粋なN-置換したロリプラム誘導体は既知の技術で合成することができる(Christensen, S. B.,他、“1,4-シクロヘキサンカルボキシ体:喘息治療の為のホスホジエステラーゼ4の強力で選択的阻害剤”、J. Med. Chem., 1998, 41, 821-835.)。



このようにして、標的化合物は、NaH又はLDAのような非―親核的塩基を用い、15-クラウン-5-エーテルのような相間移動触媒を用いて、極性の非プロトン性溶媒中(例えば、DMF, THF, DMSO)で、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化シクロアルキル、塩化アリールアシル、アルファ・ブロム化酢酸、適切に置換したアルファ・ブロム化物、および、ハロゲン化アリールアルキル(例えば、ベンジルブロマイド)と、アルキル化反応することによって得られる。
【0078】
上記のように、メチル・アルファ・ブロモアセテートとロリプラム誘導体との反応によって、メチルN-酢酸エステル12(R=CH3基)が生成され、これはNaOH又はKOHのような塩基処理により、エステル加水分解で酸12(R=H原子)となり、塩化チオニル、または、塩化オキザリルのような多くの試薬と反応して酸に変換される。このような酸塩化物はアニリンのような多くの親核試薬と反応し、14型の化合物が生成される。
【0079】
或いは、酸12(R=H原子)はアミンとカップリング反応を行い、ジクロロメタン、又はTHFのような非プロトン性溶媒の下でDCCまたはHBTUのような適切なカップリング試薬を用いることにより14型のアミドが生成される。R1がベンジル基のような保護基であるような例では、この保護基は選択的に14型から除かれ、対応する化合物(R1=H原子)になる。このフェノールは、適切な塩基の存在下で臭化シクロペンチルとの反応のような既知の方法、または、3(S)-ヒドロキシ-テトラヒドロフランとの光延反応によって置換され、望みの標的化合物が得られる。


【0080】
通常の当業者は、化学式(I)の化合物の幾つかは異なった幾何学的異性体型を持つことに気がつく。さらに、本発明の幾つかの化合物は一又は一以上の不斉炭素原子を有し、したがって、ラセミ化合物または非ラセミ混合物と同様に、光学異性体および、ジアステレオマー、とりわけジアステレオマー混合物として存在する。例えば、ピロリドン構造において、4-環位置の炭素原子はキラルである。シス異性体、トランス異性体、ジアステレオマー混合物、ラセミ化合物、エナンチオマーの非ラセミ混合物、および純粋なエナンチオマーを含め、これ等全ての化合物は本発明の適用範囲内である。実質的に純粋なエナンチオマーは対応する反対のエナンチオマーを5%w/w以上、好ましくは2%以上、最も好ましくは1%以上は含まない。
【0081】
化学式Iの化合物において、R3がH原子の場合には4(R)エナンチオマーが好ましい、また、R3がH原子以外の場合には、4(S)エナンチオマーが好ましい。R1が3-テトラヒドロフランの場合には、3(R)エナンチオマーが3(S)エナンチオマーより好ましい。
【0082】
光学異性体はラセミ化合物の混合物を慣用的処方で分割して得られる。例えば、光学的に活性な酸又は塩基を用いたジアステレオアイソマー塩の形成、または、共有結合によるジアステレオマーの形成により分割できる。適切な酸の例としては、酒石酸、酒石酸ジアセチル、酒石酸ジベンゾイル、酒石酸ジトルオイル、カンファースルホン酸がある。当業者に知られた手法に拠れば、ジアステレオマーの混合物はそれらの物理的な性質、および/または、化学的な差異、例えば、クロマトグラフィーまたは分別晶析によって、個々のジアステレオマーに分けることが出来る。光学活性のある塩基又は酸は、その後、分離したジアステレオマー塩から遊離させられる。光学異性体の分離に関する異なる手法としてはキラルクロマトグラフィー(例えば、キラルHPLCカラム)があるが、エナンチオマーの分離を最高にするように、適宜選ぶ慣用的な派生体形成を伴っても、伴わなくとも良い。適切なキラルHOLCカラムがDiacelにより製造されており、例えば、他の多くの製品の中にChiracel OD およびChiracel OJがあり、すべてルーチン化され、選択することができる。派生体形成を伴っても、伴わなくとも、酵素的分離も有用である。さらに、化学式Iの光学活性化合物は、ラセミ化を起こさない反応条件下で、キラル合成過程で光学活性出発物質を用いることによって得ることが出来る。
【0083】
さらに当業者は、この化合物は例えば2H,3H,11C,13C、および/または、14C量の豊富化のように、異なる豊富化同位体型を使用することができることを知っている。ある特別な実施例において、化合物は重水素化される。重水素化型は米国特許第5,846,514号、同第6,334,997号に記載されている手法によってなされる。米国特許第5,846,514号、同第6,334,997号に記載されているように、重水素化型はこの薬効を増し、薬剤の作用時間を増す。
【0084】
重水素化した化合物は、下記に記載した多くの方法により合成することができる:即ち、Dean,Dennis C.; 編.“薬剤発見と開発の為の放射性標識化合物の合成と応用の最近の進歩“[:Curr.Pharm.Des.,2000;6(10)内 ](2000),110pp.CAN133:68895 AN 2000:473538CAPLUS;Kabalka,George W.;Varma,Rajender S.
“標識化した化合物VIA有機金属中間体の合成”Tetrahedron(1989),45(21)6601-21,CODEN:TETRAB ISSN:0040-4020.CAN 112:20527 AN 1990:20527 CAPLUS および Evans,E.Anthony.“放射性標識化合物の合成”,J.Radioanal. Chem.(1981),64(1-2),9-32.CODEN:JRACBN ISSN: 0022-4081,CAN 95:76229AN 1981:476229 CAPLUS.
【0085】
本発明は又、此処で開示した、例えば、医薬学的に許容される塩のように、化合物の有用な形、または、本発明の、塩又はプロドラッグの準備の為の、全化合物のプロドラッグに関するものである。医薬学的に許容される塩は、主化合物が塩基として働き、無機または有機酸と反応して形成される塩であり、例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、メタンスルホン酸塩、カンファスルホン酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、琥珀酸塩、および、クエン酸塩がある。また、医薬学的に許容される塩は、主要化合物が酸として働き、適切な塩基と反応して形成される塩であり、例えば、ナトリウム塩、カリ塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニア塩、および、コール酸塩がある。さらに、当業者は、多くの既知の方法により、請求した化合物と適切な無機または有機酸との反応により、これ等化合物の酸添加塩が得られることを知っている。または、様々な既知の方法により、本発明の化合物と適切な塩基との反応により、アルカリまたは、アルカリ土金属塩が作られる。
【0086】
以下の化合物は無機又は有機酸との反応で得られる酸塩の更なる例である:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、酸性硫酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ジグルコン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、臭素酸塩、沃素酸塩、2-ヒドロキシ・エタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、および、ウンデカン酸塩。
【0087】
好ましくは、塩類は哺乳動物への投与のために医薬学的に許容されている。しかしながら、医薬学的に許容されない化合物の塩は中間体として好ましく、例えば、化合物を塩として単離し、しかる後に、アルカリ試薬と処理することにより、塩を遊離した塩基に変換することが出来る。所望に応じて、遊離した塩基は医薬学的に許容されうる付加塩に変換することができる。
【0088】
本発明の化合物は単独で、または、処方の活性成分として投与することができる。このように、本発明は化学式Iの化合物と、例えば一または一以上の医薬学的に許容される担体を含有する製薬用組成物を含む。
【0089】
本発明の化合物を投与するに適した、様々な処方を調合する方法を記載した多くの標準的な参考書を手に入れることができる。可能性のある処方と調合の例が、例えば、“医薬賦形剤のハンドブック”米国薬学会(現行版);“医薬投薬形態”:“錠剤”(Lieberman, Lachman and Schwartz,編)現行版、発行所 Marcel Dekker,Inc.,同じく、“レミントンの医薬科学”(Arthur Osol,編), 1553-1593(現行版)に掲載されている。
【0090】
本発明の化合物は、その高度に選択的なPDE4阻害からみて、PDE4の阻害を要求する全ての者に投与できる。投与は患者の必要性、例えば、経口、経鼻、非経口的に(皮下経由、静脈内、筋肉内、胸骨内、および、輸液)、吸入、直腸経由、膣経由、局所的、および、眼経由投与である。
【0091】
様々な経口固体投与処方が本発明の化合物の投与に用いられる。固体処方としては、錠剤、ゲル蓋、カプセル、キャプレット、顆粒、トローチ剤、および、ばらの粉末がある。本発明の化合物は単独で、または、医薬学的に許容される担体、希釈物(例えば、砂糖、マンニトール、ラクトース、澱粉)および、既知の賦形剤と混ぜ合わせて投与することができる。賦形剤としては懸濁薬剤、安定剤、緩衝薬剤、結合物、錠剤分割物質、保存剤、着色剤、香料、潤滑剤その他が含まれるが、これらに限定されるものではない。時間とともに放出するカプセル、錠剤、ゲルもまた本発明の化合物の投与にとって有利である。
【0092】
また、様々な液体経口投与処方も本発明の化合物の投与に用いることが出来、これには水溶液、非水溶液、エマルジョン、懸濁駅、シロップ、および、エリキシルがある。このような投与処方もまた、既知の適切な不活性な希釈物、例えば水、および、適切な既知の賦形剤を含むが、賦形剤としては本発明の化合物の乳化剤および/または懸濁剤以外にも、保存薬剤、加湿剤、甘味料、香料が含まれる。本発明の化合物は等張の滅菌溶液の形で、例えば、静脈内に、注入しても良い。他の調剤も又可能である。
【0093】
本発明の化合物の直腸経由投与の為の座薬は、化合物を、ココアバター、サリチル酸塩、ポリエチレングリコール等のような、適切な賦形剤と混合することによって調製できる。膣経由投与の調剤は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、発泡体、または活性な構成成分に加えて、既知の適切な添加剤を含んでいる噴霧処方である。
【0094】
局処的な投与の為の、医薬学的配合は、皮膚、目、耳、または鼻への投与に適した、クリーム、軟膏、塗布薬、ローション、乳濁液、懸濁液、ゲル、溶液、ペースト、噴霧剤、粉末、およびドロップ状のものである。局処的投与は経皮的パッチのような手段による経皮的投与を含む。
【0095】
吸入による投与に適したアエロゾル調剤も調製可能である。例えば、気管の疾患治療のために、本発明の化合物は、粉末(例えば、微粉にして、)または霧状にした溶液、または懸濁液の状態で投与できる。アエロゾル調剤は加圧された、許容された、圧力剤の中に置かれる。
【0096】
化合物は単独の活性試薬として投与される他、認知障害および/または精神障害の治療に用いられる他の試薬、例えば、他のPDE4阻害剤、カルシウムチャンネル遮断剤、コリン作用性試薬、アデノシン受容体調節剤、アムファカインNMDAR調節剤、mGluR調節剤、コリンエステラーゼ阻害剤(例えば、ドネペジル、リバスティギミン、およびグランタナミン)のような、他の医薬学的な化合物と組み合わせて投与することも出来る。このような組み合わせにおいて、各活性成分は通常の投与量であっても、通常の投与量より少量であっても良い。
【0097】
本発明の化合物は、PDE4酵素の阻害に関わる治療に使用することができる。従って、本発明の化合物は動物、例えば、哺乳動物、特にヒトにおけるPDE4酵素の選択的阻害に使用することができ、この酵素の選択的阻害は治療効果をもち、この酵素阻害は、特に長期の記憶に関する、記憶喪失のような神経学的病理群にかかわる状態を緩和する。この阻害方法は、必要な動物、特に哺乳動物、ことにヒトに、阻害に必要な化合物の量を、単独もしくは上記したように、調剤の一部として投与することである。
【0098】
記憶損傷の状態は、新情報の学習能力の減退および/または過去に学習した情報の想起不能で明らかにされる。記憶損傷は痴呆の初期兆候であり、アルツハイマー病、精神分裂症、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルト-ヤコブ病、HIV、心臓血管病、および頭部損傷ばかりでなく、勿論、加齢による記憶減退などの病気の兆候でもある。
【0099】
痴呆は、記憶喪失および記憶とは別の付加的な知性損傷を伴う病気である。本発明は、あらゆるかたちの、痴呆による記憶損傷に罹った患者治療の方法を含む。痴呆は原因別に分類でき、それらには、神経変性(例えば、アルツハイマー、パーキンソン病、ピック病)、血管系(例えば、梗塞、脳出血、心筋疾患)、血管系とアルツハイマーの複合、バクテリア性脳膜炎、クロイツフェルト-ヤコブ病、多発性硬化症、外傷性(例えば、硬膜下出血または外傷性脳障害)、感染性(例えば、HIV)、毒物性(例えば、重金属、アルコール、幾つかの薬物)、代謝性(例えば、ビタミンB12または葉酸欠乏)、CNS低酸素症、クッシング病、精神性(例えば、抑鬱および精神分裂症)および水頭症がある。
【0100】
本発明の化合物は、痴呆とは別に記憶喪失、例えば軽い認知障害(MCI)、および加齢による認知減退を治療に使用することができる。本発明の化合物は、ハンチントン病、ダウン症候群のような、疾患の結果としての記憶障害を治療に使用することができる。他の応用例としては、本発明は通常の麻酔、化学療法、放射線治療、術後外傷、および治療中断に起因する記憶喪失をも治療に使用することができる。
【0101】
本発明の化合物は、分裂病、二極性または躁性の鬱病、大鬱病、および麻薬常用の治療にも用いることが出来る。PDE4阻害剤はcAMP濃度を上げ、神経細胞がアポトーシス死を起こすことを防ぐ。PDE4阻害剤は抗炎症作用を持つことも知られている。抗アポトーシスと抗炎症作用の組み合わせにより、本化合物は、脳卒中、アルツハイマー病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化(ALS)、多系統萎縮症(MSA)などの如何なる疾患、障害に起因する神経変性を治療する上で有用である。
【0102】
このように、好ましい実施態様に従い、本発明は、HIV、また心臓血管疾患はもとより記憶障害を持つ患者を治療する方法を含むが、記憶障害は、例えば、加齢による軽い記憶障害、アルツハイマー病、精神分裂病、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルト−ヤコブ病、鬱病、加齢、頭部外傷、脳卒中、CNS低酸素症、大脳老衰、多発脳梗塞性痴呆、他の神経疾患に起因するものであり、治療方法は効果ある投与量の化学式(I)で表される化合物または医薬学的に許容されるこれ等の塩を投与することからなる。
【0103】
既に述べたように、本発明の化合物はまた抗炎症活性をもつ。結果として、本発明の化合物は、特にcAMP濃度の減少またはPDE4活性の増加によって特徴付けられる、多くの種類のアレルギー疾患や炎症疾患の治療に有用である。この治療の方法は、効果ある投与量の化学式(I)で表される化合物または医薬学的に許容されるこれ等の塩を投与することを特徴とする。このような疾患としては:喘息、慢性気管支炎、慢性閉塞性呼吸器系疾患(COPD)、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、春季結膜炎、エオジン嗜好性肉芽腫、乾癬、炎症性関節炎、リウマチ性関節炎、敗血性ショック、潰瘍性大腸炎、クローン病、心筋および脳の再潅流障害、慢性糸球体腎炎、内毒性ショック、成人呼吸窮迫症候群、嚢胞性線維症、動脈性レステノシス、関節硬化症、角化症、リウマチ性脊椎炎、変形性関節症、ピレシス、糖尿病、塵肺、慢性閉塞性気道疾患、慢性閉塞性肺疾患、毒物性およびアレルギー性接触湿疹、アトピー性湿疹、脂蝋性湿疹、慢性単純性苔癬、日焼け、肛門性器の掻痒、円形脱毛症、肥厚性瘢痕、円板状エリテマトーデス、全身性紅斑性狼瘡、濾胞性および広範囲膿皮症、内因性および外因性座瘡、赤鼻、ベーチェット病、アナフィラキシー性紫斑性腎炎、炎症性膀胱炎、白血病、多発性硬化症、消化器疾患、自己免疫疾患、その他が挙げられる。本発明の化合物はまた、精神分裂症のような、NMDA機能の低下で特徴付けられる疾患に罹った、患者の治療にも用いることが出来る。また、この化合物は、例えば、躁鬱病患者、大鬱病、および、精神的もしくは神経的不調による、様々な種類の鬱病のように、PDE4濃度の増加で特徴付けられる精神疾患の治療にも用いられる。
【0104】
喘息、慢性気管支炎、疥癬、アレルギー性鼻炎、および他の炎症性疾患を治療する為、および、腫瘍壊死因子を阻害するために、三置換されたフェニル誘導体を用いることは既知技術として知られている。参考として、例えば、WO98/58901、特開平11-18957、特開平10-072415、WO93/25517、WO94/14742、米国特許第5,814,651号および、米国特許第5,935,9978号がある。これ等の参考文献には、PDE4阻害活性を示すといわれている、1,3,4-三置換-フェニル化合物が記載されている。これ等の文献にはまた、PDE4阻害活性の検定法、およびこのような化合物を合成する方法が記載されている。その全開示内容を本明細書に援用する
【0105】
PDE4阻害剤は、抗生物質として、骨粗しょう症を予防もしくは改善する為に、また、コレステロールをアテローム性損傷部位から移動して心血管症を治療する為に、また、移植後の長期間の間葉細胞増殖を抑えることによって、リウマチ性関節炎(RA)や良性の前立腺肥大後の尿道閉塞症を治療する為に、また、大腸がん細胞の化学走行性の抑制および浸潤を縮小させる為に、また、B細胞性慢性リンパ性白血病(BCLL)を治療する為に、また、子宮の萎縮を阻害する為に、また、肺血管虚血再潅流障害(IRI)を緩和する為に、また、角膜加湿の為に、また、IL-2R発現阻害およびそれによるHIV-1DNAの記憶T細胞への取り込み阻止の為に、また、グルコースによるインシュリン分泌増加の為に、また、大腸炎防止と治療の為に、また、肥満細胞脱顆粒阻害の為に用いられる。
【0106】
本発明の化合物は、単独で活性医薬品として投与できるだけでなく、認知障害の治療および/または精神疾患の治療に使われる医薬品のような、他の医薬品と組み合わせても投与できる。他の医薬品としては、例えば、他のPDE4阻害剤、カルシウムチャンネル遮断剤、コリン作用性試薬、アデノシン受容体調節剤、アムファカインNMDA-R調節剤、mGluR調節剤、およびコリンエステラーゼ阻害剤(例えば、ドネペジル、リバスティジミン、およびグランタナミン)が挙げられる。このような組み合わせにおいて、各活性成分は夫々の通常の投与量範囲内で投与するか、または個々の投与量以下の投与量で投与される。
【0107】
本発明の化合物の投与量は、治療する疾患の種類、症状の重篤さ、投与方法、投与間隔の頻度、用いる化合物の種類、効率、毒物学的特長、化合物の医薬学的特長、有害な副作用の存在、その他、を含む様々の因子に依存する。
【0108】
本発明の化合物は、一般的には、上記した既知化合物のようなPDE4阻害剤に対する投与量および哺乳動物の場合の慣例に従って、投与する。例えば、ある化合物は経口的に、一回または多数回、投与量として一般的に0.001-100mg/Kg/日であり、例えば、0.01-100mg/Kg/日、好ましくは0.1-70mg/Kg/日、特に0.5-10mg/Kg/日投与できる。単位投与処方としては、一般的に0.01-1000mgの活性化合物を含むことが出来、例えば、0.1-50mgの活性化合物を含ませられる。静脈注射投与の場合には、当該化合物は、一回または多数回、投与量として、例えば、0.001-50mg/Kg/日、好ましくは0.001-10mg/Kg/日、出来れば0.01-1mg/Kg/日投与できる。単位投与処方として、例えば、0.1-10mgの活性化合物を含ませることが出来る。
【0109】
本発明の処置を実行する上で、特定の緩衝液、培地、試薬、細胞、培養条件、等々に対する引用例は制限をつけることを意図しているわけではなく、関係する全ての事項を含むよう読むべきである、それによって、当業者は、検討した特定の状況において特に興味深い、もしくは価値があるということを認識できる。例えば、ある緩衝液または培地を他のものに置き換えることはしばしば可能であり、しかも、同等といわないまでも、類似の結果を得るということがある。当業者は、実験をすることなく、此処で開示した方法、処置を用いる上で、このような置き換えを目的に添って適切に使えるようにする、体系や方法の充分な知識を持っている。
【0110】
本発明は、更に、以下に示す非制限の実施例によって更に記述される。これ等の開示した実例を応用するに際し、次のこと、すなわち、本発明によって開示された方法の、他のまたは異なる実施態様は、疑いも無く、それ自体を当業者に提案すると言うことをはっきりと留意しなければならない。
【0111】
前述および後述の例において、全て温度は無修正に、摂氏を用い、特に指示無ければ、全ての割合、および、%は重量にもとづく。
上記および下記の全ての応用、特許および発行物の開示内容は本明細書に援用する。
実施例
【0112】
中間体A
4-(3-ベンジルオキシ-4-メトキシフェニル)-2-ピロリドン
750mLのMeOHとNiCl2-6H208.3g(34.8mmol)の混合物に14g(104.5mmol)のNaBH4をゆっくり添加した。この混合物を30分間0℃で攪拌し、500mlのメタノールと25gのメチル3-(3-ベンジルオキシ-4-メトキシフェニル)-4-ニトロブタン酸塩のMeOH溶液を添加した。その後、8.3g(34.8mmol)のNiCl2-6H2Oを反応混合液に加え、その後、ゆっくり、少量ずつ9.2g(243mmol)のNaBH4を加えた。混合物を0℃、1時間攪拌し、150gのK2C03を一度に加えた。混合物を室温まで暖め、18時間攪拌を続けた。懸濁液を一パッドのセライトを通してろ過し、1000mlのMeOHで2回洗浄し、濃縮した。残渣に2000mlのEtOAcを加え、有機分画を連続して、200mlのH2O,250mlの塩水で洗浄し、乾燥(Na2SO4)して濃縮し固体とした。ヘキサン/EtOAcと伴に粉砕し、13gの目的物を得た。水相をEtOAcで抽出し、さらに、2.3gの生成物を得、これと粉砕溶媒を混ぜ、濃縮し、EtOAc/ヘキサンと共に粉砕した。全収量は15.3g(74%収量)であった。1H NMR(400MHz,CDC13)、化学シフトδ:7.44-7.26(m,5H)、6.87-6.70(m,3H)、5.75(bs,1H)、5.14(s,2H)、3.87(s,3H)、3.70-3.50(m,2H)、3.28(t,1H)、2.70-2.63(m,1H)、及び2.42-2.35(m,1H).
【0113】
4-(3-ベンジルオキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)-2-ピロリドンはメチル3-(3-ベンジルオキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)-4-ニトロブタン酸塩から出発し、同様にして調製された。
【0114】
中間体B
4-(3-ヒドロキシ -4-メトキシフェニル)-2-ピロリドン
3.5g(11.6 mmol)の4-(3-ベンジルオキシ-4-メトキシフェニル)-2-ピロリドンと、50mlのMeOHおよび10mlのCH2Cl2の10%Pd/C350mgとの混合物を、20psi、H2気流中のパール装置上で8時間振動させた。混合物をセライトを通してろ過し、濃縮して2.4g(収率99%)の例1から例3までに用いる粗製品を得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)、δ:6.82(s,1H)、6.79(d,J=7.6Hz,1H)、6.70(d,J=7.6Hz,1H)、6.50(s,1H)、3.87(s,3H)、3.77(t,J=8.4Hz,1H)、3.62(t,J=8.0Hz,1H)、3.40(t,J=8.4Hz,1H)、2.71(dd,J=16.8、8.8Hz,1H)、2.49(dd,J=16.8,9.0Hz,1H).
【0115】
4-(4-ジフルオロメトキシ-3-ヒドロキシフェニル)-2-ピロリドンは、4-(3-ベンジルオキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)-2-ピロリドンを出発物質として同様に調整することが出来た。
【実施例1】
【0116】
4-(4-クロロフェノキシ-3-メトキシフェニル)-2-ピロリドン
4-(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-2-ピロリドン(63mg,0.3mmol)、4-クロロフェニルホウ素酸(61mg,0.45mmol)、酢酸銅(II)(54mg,0.3mmol)、トリエチルアミン(152mg,1.5mmol)、ジクロロメタン(3ml)および少量のモレキュラーシーブ(分子篩い)を室温で攪拌した。18時間後混合物をセライトでろ過し、ろ液を真空中で濃縮した。生じた残渣を30mlの酢酸エチルに溶かし、重炭酸ナトリウムの飽和水溶液と、食塩水を用いて連続して洗浄した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン1:1からメタノール/ジクロロメタン3:97)で精製し、26mg(27%)の4-(3-(4-クロロフェニルオキシ)-4-メトキシフェニル)-2-ピロリドンが得られた:1H NMR(300MHz,CDC13)化学シフトδ:7.24(d,J=9.2Hz,2H)、7.03(d,J=8.4Hz,1H)、6.95(d,J=8.4Hz,1H)、6.87(s,1H)、6.83(d,J=9.2Hz,2H)、5.83(b,1H)、3.80(s,3H)、3.72(t,J=8.4Hz,1H)、3.65-3.62(m,1H)、3.34(t,J=8.4Hz,1H)、2.68(dd,J=16.8,8.8Hz,1H)、2.41(dd,J=16.8,9.2Hz,1H)。
【0117】
次の化合物を、異なるアリールホウ素酸およびビニルホウ素酸から出発し、同様にして調製した:
A. 4-(4-メトキシ-3-フェノキシフェニル)-2-ピロリドン
B. 4-(4-メトキシ-3-(4-メトキシフェノキシ)フェニル)-2-ピロリドン
C. 4-(4-メトキシ-3-(3-チエニルオキシ)フェニル)-2-ピロリドン
D. 4-(3-(4-フルオロフェノキシ)-4-メトキシフェニル)-2-ピロリドン
E. 4-(3-シアノフェノキシ-4-メトキシフェニル)-2-ピロリドン
F. 4-(4-メトキシ-3-ナフチルオキシフェニル)-2-ピロリドン
G. 4-(4-メトキシ-3-((2-フェニル)エテニルオキシ)フェニル)-2-ピロリドン
H. 4-[4-メトキシ-3-((2-(4-クロロフェニル)エテニルオキシ)フェニル)]-2-ピロリドン
【0118】
光学活性のある出発物質を用いるか、または、キラルHPLCのような慣用的な分離技術を用いて、上にリストアップしたラセミ化合物の個別のエナンチオマーを得ることが出来る。
【実施例2】
【0119】
4-(3-シンナミルオキシ-4-メトキシフェニル)-2-ピロリドン
ジイソプロピルアゾジカルボキシル酸塩(61mg,0.6mmol)を4-(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-2-ピロリドン(63mg,0.3mmol)、ケイ皮酸アルコール(43mg,0.3mmol)、および、トリフェニルフォスフィン(157mg,0.6mmol)のテトラヒドロフラン溶液(3ml)に加え、反応混合物を70度で攪拌した。12時間後、実施例1と同じ操作過程を経て、70mg(70%)の4-(3-シンナミルオキシ-4-メトキシフェニル)-2-ピロリドンを得た:1H NMR(300MHz,CDC13)化学シフトδ:7.40(d,J=6.8Hz,2H)、7.31(t,J=6.8Hz,2H)、7.25(d,J=7.2Hz,lH)、6.86-6.81(m,2H)、6.71(d,J=15.6Hz,1H)、6.42(m,1H)、5.92(b,1H)、4.76(dd,J=6.0,1.2Hz,2H)、3.87(s,3H)、3.71(t,J=8.8Hz,1H)、3.64-3.56(m,1H)、3.35(t,J=8.8Hz,1H)。
【0120】
以下の化合物を、異なるアルコールから出発し、同様の操作によって調製した:
A. 4-(3-(3-シクロヘキシル-1-プロピルオキシ)-4-メトキシフェニル)-2-ピロリドン
C. 4-[4-メトキシ-3-インダニルオキシフェニル]-2-ピロリドン
F. 4-[4-メトキシ-3-(2-(2-チエニル)エトキシ)フェニル]-2-ピロリドン
I. 4-[4-メトキシ-3-(2-(4-ピリジル)エトキシ)フェニル]-2-ピロリドン
J. 4-[4-メトキシ3-(3-(R)-テトラヒドロフリルオキシ)フェニル]-2-ピロリドン
K. 4-[4-メトキシ-3-(3-(S)-テトラヒドロフリルオキシ)フェニル]-2-ピロリドン
O. 4-(R)-[4-メトキシ-3-(3-(R)-テトラヒドロフリルオキシ)フェニル]-2-ピロリドン
P. 4-(S)-[4-メトキシ-3-(3-(R)-テトラヒドロフリルオキシ)フェニル]-2-ピロリドン
Q. 4-(R)-[4-メトキシ-3-(3-(S)-テトラヒドロフリルオキシ)フェニル]-2-ピロリドン
R. 4-(S)-[4-メトキシ-3-(3-(S)-テトラヒドロフリルオキシ)フェニル]-2-ピロリドン
S. 4-[4-メトキシ-3-シクロプロピルメトキシフェニル]-2-ピロリドン
T. 4-[4-メトキシ-3-シクロブチルメトキシフェニル]-2-ピロリドン
U. 4-[4-メトキシ-3-シクロヘプチルオキシフェニル]-2-ピロリドン
V. 4-[4-メトキシ-3-シクロヘキシルメトキシフェニル]-2-ピロリドン
W. 4-[4-メトキシ-3-(2-シクロヘキシル)エトキシフェニル]-2-ピロリドン
X. 4-[4-メトキシ-3-シクロペンチルメトキシフェニル]-2-ピロリドン
Y. 4-[4-メトキシ-3-シクロヘキシルオキシフェニル]-2-ピロリドン
Z. 4-[4-メトキシ-3-(3-シクロペンチル)プロポキシフェニル]-2-ピロリドン
AA. 4-[4-ジフルオロメトキシ-3-(3-(R)-テトラヒドロフリルオキシ)フェニル]-2-ピロリドン
BB. 4-[4-ジフルオロメトキシ-3-(2-シクロヘキシルエトキシ)フェニル]-2-ピロリドン
DD. 4-[4-ジフルオロメトキシ-3-(シクロプロピルメトキシ)フェニル]-2-ピロリドン
【0121】
光学活性のある出発物質を用いるか、または、キラルHPLCのような慣用的な分離技術を用いて、上にリストアップしたラセミ化合物の個別のエナンチオマーを得ることが出来る。
【実施例3】
【0122】
4-(4-メトキシ-3-フェンプロピルオキシフェニル)-2-ピロリドン
4-(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-2-ピロリドン(42mg,0.2mmol)、3-臭化フェニルプロピル(44mg,0.22mmol)、炭酸カリウム(83mg,0.6mol)および、N,N-ジメチルホルムアミド(3ml)の混合物を100度で攪拌した。18時間後、反応混合物を摂氏25度に冷却した。固体をろ過して除き、ろ液を真空中で濃縮した。同一の操作手順により、47mg(収率72%)の4-(3-(3-フェニルプロポキシ)-4-メトキシフェニル)-2-ピロリドンが生成した: 1H NMR(300MHz,CDC13)化学シフトδ:7.34-7.17(m,5H)、6.82(d,J=8.4Hz,1H)、6.78(d,J=12Hz,1H)、6.70(s,1H)、6.02(b,1H)、4.03(t,J=7.2Hz,2H)、3.84(s,3H)、3.75(t,J=8.8Hz,1H)、3.63-3.55(m,1H)、3.36(t,J=8.8Hz,1H)、2.82(t,J=8.0Hz,2H)、2.71(dd,J=16.8,8.8Hz,2H)、2.47(dd,J=16.6,8.8Hz)、2.20-2.1(m,2H)。
【0123】
以下の化合物を、異なる臭化アリールアルキルおよび臭化アルキルを出発物質とし、同様にして調製した:
C. 4-[4-メトキシ-3-[1-(3-フェニル-2-プロペニル)オキシフェニル]-2-ピロリドン
D. 4-[4-メトキシ-3-(2-シクロプロピルエトキシ)フェニル]-2-ピロリドン
E. 4-[4-メトキシ-3-(2-シクロペンチルエトキシ)フェニル]-2-ピロリドン
F. 4-[4-ジフルオロメトキシ-3-シクロペントキシフェニル]-2-ピロリドン
G. 4-[4-ジフルオロメトキシ-3-シクロブチルメトキシフェニル]-2-ピロリドン
【0124】
光学活性のある出発物質を用いるか、または、キラルHPLCのような慣用的な分離技術を用いて、上にリストアップしたラセミ化合物の個別のエナンチオマーを得ることが出来る。
【実施例4】
【0125】
(4S)-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジフルオロベンジル)-2-ピロリドン
2mlのN,Nジメチルホルムアミド中の4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-2-ピロリドン(110mg,0.4mmol)および110マイクロ・リットルの15-クラウン-5を、室温の窒素気流中で、水素化ナトリウム(20mg,0.5mmol)で処理する。3時間後、混合物を0℃に冷却し、2mlのテトラヒドロフラン中の2,3-臭化ジフルオロベンジル(166mg,0.8mmol)と処理する。得られた混合物を室温で6時間攪拌する。100mlの酢酸エチルを加え、次に、100mlの氷冷却水を加える。通常の水溶液処理の後、粗製品をフラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン2:1)により精製し、112mg(70%)の1-(2,3-ジフルオロベンジル)-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-2-ピロリドンが得られる:1H NMR(300MHz,CDCl3)化学シフトδ:7.18-6.98(m,3H)、6.79(d,J=8.1Hz,1H)、6.90(d,J=8.1Hz,1H)、6.68(s,1H)、4.71-4.69(m,1H)、4.60(s,2H)、3.81(s,3H)、3.68(t,J=9.0Hz,1H)、3.66-3.54(m,1H)、3.29(dd,J=9.6,7.2Hz,1H)、2.84(dd,J=16.8,9.0Hz,1H)、2.57(dd,J=16.8,8.4Hz,1H)、2.00-1.75(b, 6H)、1.70-1.52(b,2H)。
【0126】
以下の化合物を、異なる出発物質4-(3-置換)-オキシ-4-メトキシフェニル)-2-ピロリドンを用い、異なる臭化アリールアルキルおよび臭化アルキルと反応させ、同様にして調製した。
Y. (4S)-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-エチル-2-ピロリドン
Z. (4S)-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-プロピル-2-ピロリドン
AA. (4S)-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-ブチル-2-ピロリドン
BB. (4S)-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-(2-メトキシエチル)-2-ピロリドン
BBB. (4R)-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-エチル-2-ピロリドン
CCC. (4R)-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-プロピル-2-ピロリドン
DDD. (4R)-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-ブチル-2-ピロリドン
EEE. (4R)-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-(2-メトキシエチル)-2-ピロリドン
HHH. (4R)-メチル-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-2-ピロリドン-1-酢酸塩
III. 4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-シアノメチル-2-ピロリドン
JJJ. 4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-シクロペンチル-2-ピロリドン
KKK. 4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-(4-メトキシベンゾイル)-2-ピロリドン
LLL. 4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-(4-クロロベンゾイル)-2-ピロリドン
MMM. 4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-(4-ニトロベンゾイル)-2-ピロリドン
NNN. 4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-ベンゾイル-2-ピロリドン
【0127】
光学活性のある出発物質を用いるか、または、キラルHPLCのような慣用的な分離技術を用いて、上にリストアップしたラセミ化合物の個別のエナンチオマーを得ることが出来る。
【実施例5】
【0128】
4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-2-ピロリドン-1-酢酸塩
4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-2-ピロリドン-1-酢酸塩(250mg,0.72mmol)を95%メタノール中で8mlの1M水酸化カリウム溶液を用いて処理した。10時間後、反応溶液は2NのHClでpH3の酸性とし、30mlの水を加えて得られた混合物を、60mlの酢酸エチルで2回抽出した。有機相を濃縮し、クロマトグラフィー(メタノール/ジクロロメタン5:100)に掛け、242mg(定量的収量)の4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-2-ピロリドン-1-酢酸塩を得た:1H NMR(300MHz,CDC13)化学シフトδ:6.85-73(m,3H)、4.84-4.74(m,1H)、4.20(d,J=12.0Hz,1H)、4.12(d,J=12.0,1H)、3.82(s,4H)、3.66-3.46(m,2H)、2.89(dd,J=16.8, 8.7Hz,1H)、2.58(dd,J=16.8,8.4Hz,1H)、2.00-1.72(b,6H)、1.70-1.50(b,2H)。
【実施例6】
【0129】
4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-2-ピロリドン-1-塩化アセチル
4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-2-ピロリドン-1-酢酸(50mg,0.15mmol)を3mlのCH2Cl2に溶かし、塩化オキサリル(0.17mmol)と4℃で反応させた。反応混合物を室温で2時間攪拌し、真空中で濃縮した。
【実施例7】
【0130】
IV型ホスホジエステラーゼのin vitro測定
酵素調整:
組換え酵素を発現しているバキュロウィルス-感染Sf9細胞から、ヒトPDE4酵素を得た。hPDE-4D6をコード化しているcDNAは、バキュロウィルス・ベクターにサブクローンした。昆虫細胞(Sf9)をバキュロウィルスに感染させ、細胞をタンパク質が発現するまで培養した。バキュロウィルス感染細胞を溶解し、細胞溶解物をhPDE-4D6の酵素源とした。酵素をDEAEイオン交換クロマトグラフィーによって部分精製した。本操作は他のPDE-4酵素をコード化するcDNAに対しても繰り返し用いうる。
【0131】
検定法:
IV型ホスホジエステラーゼは、環状アデノシン一燐酸(cAMP)を5’-アデノシン一燐酸(5’-AMP)に変換する。ヌクレオチダーゼは5’-AMPをアデノシンに変換する。故に、PDE4およびヌクレオチダーゼの組合せ活性により、cAMPはアデノシンに変換される。アデノシンは、中性アルミナカラムを用いて、容易にcAMPと分離することができる。本検定では、ホスホジエステラーゼ阻害剤はcAMPのアデノシンへの変換を妨げ、その結果として、PDE4阻害剤はアデノシンの減少を引き起こす。
【0132】
hPDE-4D6を発現する細胞溶解物(40μl)を50μlの検定混合物および10μlの阻害剤と混ぜ、室温で12分インキュベートした。検定構成要素の最終濃度は:0.4μgの酵素、10mMのTris-HCl(pH7.5)、10mMのMgCl2、3μMのcAMP、0.002Uの5’-ヌクレオチダーセ、および、3×104 cpmの[3H]cAMPである。100μlの沸騰した5mNのHClを添加して反応を止めた。反応混合物の一部75μlを各ウエルからとり、アルミナカラム(Multiplate,Millipore)に移した。標識したアデノシンを、2分間2000rpmで回転させ、光学プレートに溶出させた;ウエルあたり150μlのシンチレーター液を光学プレートに加えた。プレートをシールし、30分間振とうし、[3H]アデノシンのcpmをPackerd Topcount 96 counterにより計測した。
【0133】
全てのテスト化合物を、100%DMSOに溶かし、検定の際DMSOの最終濃度が0.1%になるよう希釈した。この濃度ではDMSOは酵素に影響を与えない。
【実施例8】
【0134】
ラットにおける受動回避と、学習、記憶についてのin vivoテスト
テストは、既に記載したようにして行った(Zhang, H.T.; Crissman, A.M., Dorairaj, N.R., Chandler, L.J.,及び O'Donell, J.M., Neuropsychopharmacology, 2000,23,198-204)。装置(Model E10-16SC, Coulbourn Instruments, Allentown, PA)は、暗区画と照明された明区画がギロチン扉を通して連結する、二区画の部屋から出来ている。暗区画の床はステンレス鋼の棒から出来ており、定電流装置により電気的フットショックがかかるようになっている。全実験群は試験開始の前日に装置に住むことに慣らされた。練習の間、ラット(オスSpraque-Dawley(Harlan)、体重250から350g)は閉じたギロチン扉が開く1分前に、閉じた扉からそらされて、明区画に置かれる。暗区画に入る待ち時間は記録される。ラットが暗区画に入ると扉は閉ざされ、0.5mAの電流が3秒間与えられる。24時間後、ラットは、待ち時間テストの30分前にされる、生理的食塩水またはテスト化合物の注射(投与量;0.1から2.5 mg/Kg,i.p.)より更に30分前に、0.1 mg/Kg 試験化合物または生理的食塩水が与えられる。ラットは再び、ギロチン扉の開いた明区画に入れられる。暗区画に入るまでの待ち時間を180秒まで記録し、試行は終了する。
【0135】
全てのデータは差異分析(ANOVA)によって解析し、個々の比較をKewman-Keulsテストによって行った。実験未使用のラットは、平均30秒以下で明区画より暗区画へ渡る。
【実施例9】
【0136】
ラットにおけるラディアルアーム迷路テスト、学習と記憶のin vivoテスト
テストは既知の記載に従った(Zhang, H.T., Crissman, A.M,Dorairaj, N.R., Chandler, L.J.,及びO’Donell, J.M., Neuropsychopharmacology, 2000, 23, 198-204)。入荷5日後のラット(オス、Spraque-Dawley(Harlan)、体重250-350g)を、8本のアームのあるラジアル迷路(各アームは60×10×12cmの高さで、迷路は床から70cmの高架である)に環境順化の為に2日間置いた。その後、ラットを一匹づつ、固形餌ペレットとともに餌入れの近く、迷路の中心に5分間置き、翌日アームの末端の入れ物に置き、一日2回様子を見た。次に、4個のランダムに選んだアームに夫々1個の餌ペレットで餌付けをした。ラットは15秒間中心プラットホーム(直径26cm)に限定され、その後10分間以内、自由に迷路を通り全ての餌ペレットを集めさせた。4パラメーターを記録した:1)作業記憶違い、即ち、同じ試行で既に訪れた餌付けしたアームに入ったかどうか、2)参照記憶違い、即ち、餌付けしてないアームに入ったかどうか、3)全アームへ入ったかどうか、4)テストの持続時間(秒)、即ち迷路にある全てのペレットを集めるに要した時間。もし作業記憶間違いがゼロであり、また、平均参照違いが、5回の継続した試行のうち1回以下である場合には、そのラットは試薬テストを始める。試験化合物または生理食塩水を対照またはテスト試薬処理の15分前に注射したが、この対照処理等はテストの45分前にされる。実験は照明された部屋で行い、幾つかの視覚的な合図が見えるようにした。
【0137】
全てのデータ−を差異分析(ANOVA)によって解析した。個々の比較はKewman-Keulsテストにて行った。
【0138】
アデノシン濃度の減少がPDE活性阻害の指標となる。この方法は本発明の化合物のPDE阻害活性をスクリーンする上で用いられた。pIC50値を、化合物の濃度0.1nMから10,000nMの領域に渡り、6から12濃度スクリーンし、その後、薬剤濃度と3H-アデノシン濃度の関係をプロットすることによって定めた。Prism(登録商標)を用いて、pIC50を推定した。
【0139】
上記実施例で用いた反応物、および/または、操作条件を、一般的又は特異的に記載した反応物や本発明の操作条件と置き換えた場合も、前述の実施例は同様に成功裏に反復できた。
【0140】
本発明を本発明の製品および特別な化合物について説明してきたが、本発明の変形物および改良を、本発明の精神または意図から離れずに行うことが出来ることは自明である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式Iで示される化合物であって、エナンチオマー(鏡像異性体)混合物、ジアステレオマーの混合物、単一のエナンチオマー型又はジアステレオマー型である化合物又は生理学的に許容できるこれ等の塩:



式中のXはO原子であり;
R1は、1又は2以上のハロゲン原子、オキソ基、又は、それらのコンビネーションで置換されると共に、1又は2以上の-CH2CH2-基が、適宜-CH=CH-基または-C≡C-基に置き換えられる、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、
非置換または、ハロゲン原子、オキソ基、1から4個の炭素原子を有するアルキル基、又はそのコンビネーションで、1若しくは2以上置換された、3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル基、
非置換、または、ハロゲン原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、または、それらのコンビネーションで1又は2以上置換された、少なくとも1個のN、O又はS原子を有する5〜10個のリング原子からなる、飽和、部分的に飽和、又は完全に不飽和な複素環式基、
非置換、または、ハロゲン原子、CF3基,OCF3基,アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ニトロ基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、カルボキシ基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、フェノキシ基、アシルアミド基、および、アシロキシ基、またはそれらのコンビネーションにより1または2以上置換された、炭素原子数6〜14のアリール基、
非置換、又は、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、またはこれ等のコンビネーションにより1または2以上置換されている、5〜14の炭素原子を有する部分的に不飽和の炭素環式基、
5個までの炭素原子を有するアルケニル基が、非置換または、ハロゲン原子、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ニトロ基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、カルボキシ基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、フェノキシ基、アシルアミド基、および、アシロキシ基、またはそれらのコンビネーションにより1又は2以上置換された、8個から16個の炭素原子からなるアリールアルケニル基、
複素環式基が、非置換又は、ハロゲン原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシ基、または、それらのコンビネーションにより1又は2以上置換された、および/または、アルキル基部分がハロゲン原子、オキソ基、シアノ基、又はそれらのコンビネーションで置換された、少なくとも1個のN、O又はS原子を有する5〜10個のリング原子からなる、飽和、部分的に飽和、又は完全に不飽和な複素環式アルキル基、または、
非置換または、ハロゲン原子、オキソ基、アルキル基又はそれらのコンビネーションで1又は2以上置換されている、炭素原子数4〜16のシクロアルキルアルキル基であり;
R2は、非置換、または1又は2以上のハロゲン原子で置換された、炭素原子数1〜4のアルキル基;
R3は水素原子、
1又は2以上の-CH2CH2-基が、適宜-CH=CH-基または-C≡C-基で置換された炭素原子数1〜8のアルキル基、
非置換、または、ハロゲン原子、オキソ基若しくはそれらのコンビネーションにより1又は2以上置換されると共に、1又は2以上の-CH2CH2-基が-CH=CH-基または-C≡C-基で適宜置き換えられてなる炭素原子数1〜8のアルキル基、
非置換、または、ハロゲン原子、オキソ基、アルキル基又はそれらのコンビネーションで置換されている、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基、3〜8個の炭素原子を有するアルコキシアルキル基、または-C(O)R4基である。
R4は、1又は2以上の-CH2CH2-基が-CH=CH-基または-C≡C-基によって適宜置き換えられた、炭素原子数1〜12のアルキル基、
ハロゲン原子、オキソ基、又はこれ等のコンビネーションで、1又は2以上置換されており、1又は2以上の-CH2CH2-基が-CH=CH-基または-C≡C-基で適宜置き換えられた、炭素原子数1〜12のアルキル基、
非置換、または、ハロゲン原子、オキソ基、アルキル基又はそれらのコンビネーションで置換された炭素原子数3〜8のシクロアルキル基、
非置換または、ハロゲン原子、オキソ基、アルキル基又はそれらのコンビネーションで1又は2以上置換された、炭素原子数4〜16のシクロアルキルアルキル基、
非置換、または、ハロゲン原子、CF3基、OCF3基、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ニトロ基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、カルボキシ基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、フェノキシ基、アシルアミド基、および、アシロキシ基、または、それらのコンビネーションにより1または2以上置換された、炭素原子数6〜14のアリール基、
非置換または、ハロゲン原子、CF3基、OCF3基、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ニトロ基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、カルボキシ基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、フェノキシ基、アシルアミド基、および、アシロキシ基、またはそれらのコンビネーションにより1または2以上置換された、炭素原子数8〜16のアリールアルキル基、
非置換、または、ハロゲン原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、または、それらのコンビネーションで1又は2以上置換された、少なくとも1個のN、O又はS原子を有する5〜10個のリング原子からなる、飽和、部分的に飽和、又は完全に不飽和な複素環式基、
複素環式基が、非置換、または、ハロゲン原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシ基、または、それらのコンビネーションで、及び/または、アルキル基部分がハロゲン原子、オキソ基、シアノ基、または、これ等のコンビネーションにより1又は2以上置換された、少なくとも1個のN、O又はS原子を有する5〜10個のリング原子からなる、飽和、部分的に飽和、又は完全に不飽和な複素環式アルキル基である。
但し、以下の条件が必要である:
(a) R2がCH3、R3がH原子のとき、R1は以下の置換基ではない:即ち、
フェニル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンテニル基、メチルシクロペンチル基、シクロプロピルメチル基、シクロペンチルメチル基、N-置換型2-ピペラジニルエチル基、ノルボルニル基、3-テトラヒドロフリル基、2-テトラヒドロフリル基、3-テトラヒドロチエニル基、2-オキサシクロプロピル基、2-オキサシクロペンチル基、3-オキサシクロペンチル基、2-クロロエチル基、2-ブロモエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、3-ブロモプロピル基、3-クロロプロピル基、または、4-ブロモブチル基ではない;
(b) Rlがシクロペンチル基、R2がメチル基の場合、R3はH原子又はアセチル基ではない。
【請求項2】
下記化学式Iで示される化合物であって、エナンチオマー(鏡像異性体)混合物、ジアステレオマーの混合物、単一のエナンチオマー型又はジアステレオマー型である化合物又は生理学的に許容できるこれ等の塩:



式中のXはO原子であり;
R1は、1又は2以上のハロゲン原子、オキソ基、又は、それらのコンビネーションで置換されると共に、1又は2以上の-CH2CH2-基が、適宜-CH=CH-基または-C≡C-基に置き換えられる、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、
非置換、または、ハロゲン原子、オキソ基、1から4個の炭素原子を有するアルキル基、又はそのコンビネーションで1若しくは2以上置換された、3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル基、
非置換、または、ハロゲン原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、または、それらのコンビネーションで1又は2以上置換された、少なくとも1個のN、O又はS原子を有する5〜10個のリング原子からなる、飽和、部分的に飽和、又は完全に不飽和な複素環式基、
非置換、または、ハロゲン原子、CF3基、OCF3基、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ニトロ基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、カルボキシ基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、フェノキシ基、アシルアミド基、および、アシロキシ基、またはそれらのコンビネーションにより1または2以上置換された、炭素原子数6〜14のアリール基、
非置換、又は、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、オキソ基、またはこれ等のコンビネーションにより1または2以上置換されている5〜14の炭素原子を有する部分的に不飽和の炭素環式基、
5個までの炭素原子を有するアルケニル基が非置換または、ハロゲン原子、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ニトロ基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、カルボキシ基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、フェノキシ基、アシルアミド基、および、アシロキシ基、またはそれらのコンビネーションにより1又は2以上置換された、8個から16個の炭素原子からなるアリールアルケニル基、
複素環式基が、非置換又は、ハロゲン原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシ基、または、それらのコンビネーションにより1又は2以上置換された、および/または、アルキル基部分がハロゲン原子、オキソ基、シアノ基、又はそれらのコンビネーションで置換された、少なくとも1個のN、O又はS原子を有する5〜10個のリング原子からなる、飽和、部分的に飽和、又は完全に不飽和な複素環式アルキル基、または
非置換、若しくは、ハロゲン原子、オキソ基、アルキル基又はそれらのコンビネーションで1又は2以上置換されている、炭素原子数4〜16のシクロアルキルアルキル基、
R2はCHF2基である。
R3は、H原子、3〜8個の炭素原子を有するアルコキシアルキル基、または-C(O)R4基である。
R4は、非置換、または、ハロゲン原子、CF3基,OCF3基,アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ニトロ基、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基、カルボキシ基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、フェノキシ基、アシルアミド基、および、アシロキシ基、またはそれらのコンビネーションにより1または2以上置換された、炭素原子数6〜14のアリール基、または
非置換、若しくは、ハロゲン原子、アリール基、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、または、それらのコンビネーションで1又は2以上置換された、少なくとも1個のN、O又はS原子を有する5〜10個のリング原子からなる、飽和、部分的に飽和、又は完全に不飽和な複素環式基である。
【請求項3】
R1がシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、複素環式基、部分的に不飽和な炭素環式基、または、CHF2基に適宜に置換されている、請求項1に記載された化合物。
【請求項4】
R1はシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルエチル基、シクロプロピルメチル基、フェニル基、ナフチル基、フラニル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ピリジル基、キノリニル基、イソキノリニル基、チエニル基、インダニル基、テトラヒドロフラニル基、フェニルプロペニル基又はフェニル基であると共に、フェニル基はオキソ基、F原子、Cl原子、CF3基,アルキル基、アルコキシ基、CN基、ビニル基、メチレンジオキシ基、COOH基、およびこれ等のコンビネエーションから選んだ1又は1以上の置換基で置換されている、請求項3に記載された化合物。
【請求項5】
R3がH原子ではなく、R1がCHF2基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基又は複素環式基である、請求項1に記載された化合物。
【請求項6】
請求項1に記載された化合物であって、R3がH原子ではなく、R1がCHF2であるか、シクロペンチル基、フェネチル基、3-テトラヒドロフラニル基、または、シクロプロピルメチル基である化合物。
【請求項7】
R2が置換または非置換の、炭素原子数1〜4のアルキル基である、請求項1に記載された化合物。
【請求項8】
R2がCHF2基またはCH3基である、請求項7に記載された化合物。
【請求項9】
R3がH原子、置換又は非置換のアルキル基、またはCOR4基である、請求項1に記載された化合物。
【請求項10】
R3がH原子である、請求項9に記載された化合物。
【請求項11】
R3がメチル基、エチル基、プロピル基、または、n−ブチル基である、請求項9に記載された化合物。
【請求項12】
R3がCOR4基であり、R4が適宜に置換されたアリール基または複素環式基である、請求項1に記載された化合物。
【請求項13】
R4がフェニル基、F原子、Cl原子、CH3基、C2H5基、OCH3基、COOH基、CN基、またはこれ等のコンビネーションから選択した1または2以上の置換基で置換されたフェニル基である、請求項12に記載された化合物。
【請求項14】
R2がCH3基またはCHF2基である、請求項3に記載された化合物。
【請求項15】
R2がCH3基またはCHF2基、R1がCHF2基、シクロペンチル基、テトラヒドロフラン基、または、シクロプロピルメチル基であり、R3がH原子ではない、請求項1に記載された化合物。
【請求項16】
下記から選択される、請求項1に記載された化合物:
4-[4-ジフルオロメトキシ-3-(3-(R)-テトラヒドロフリロキシ)フェニル]-2-ピロリドン、
4-[4-メトキシ-3-(4-メトキシフェノキシ)フェニル]-2-ピロリドン、
4-[4-メトキシ-3-(3-チエニルオキシ)フェニル]-2-ピロリドン、
4-[3-(4-フルオロフェノキシ)-4-メトキシフェニル]-2-ピロリドン、
4-[3-(3-シクロヘキシル-1-プロピルオキシ)-4-メトキシフェニル]-2-ピロリドン、
4-[4-メトキシ-3-(2-フェニルエトキシ)フェニル]-2-ピロリドン、
4-[4-メトキシ-3-(3-フェニル-1-プロポキシ)フェニル]-2-ピロリドン、
メチル4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-2-ピロリドン-1-アセテート
4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-シアノメチル-2-ピロリドン、
4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-シクロペンチル-2-ピロリドン、
4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-(4-メトキシベンゾイル)-2-ピロリドン。
【請求項17】
下記から選択される、請求項1に記載された化合物:
(4S)-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-エチル-2-ピロリドン、
(4S)-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-プロピル-2-ピロリドン、
(4S)-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-ブチル-2-ピロリドン、
(4S)-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-(2-メトキシエチル)-2-ピロリドン、
(4R)-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-エチル-2-ピロリドン、
(4R)-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-プロピル-2-ピロリドン、
(4R)-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-ブチル-2-ピロリドン、
(4R)-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-(2-メトキシエチル)-2-ピロリドン。
【請求項18】
4-[4-ジフルオロメトキシ-3-(3-(R)-テトラヒドロフリルオキシ)フェニル]-2-ピロリドン又はこれの生理学的に許容できる塩である、請求項17に記載された化合物。
【請求項19】
4-[4-メトキシ-3-(4-メトキシフェノキシ)フェニル]-2-ピロリドン、又はこれの生理学的に許容できる塩である、請求項17に記載された化合物。
【請求項20】
4-[4-メトキシ-3-(3-チエニルオキシ)フェニル]-2-ピロリドン、又はこれの生理学的に許容できる塩である、請求項17に記載された化合物。
【請求項21】
4-[3-(4-フルオロフェノキシ)-4-メトキシフェニル]-2-ピロリドン、又はこれの生理学的に許容できる塩である、請求項17に記載された化合物。
【請求項22】
4-[3-(3-シクロヘキシル-1-プロピルオキシ)-4-メトキシフェニル]-2-ピロリドン、又はこれの生理学的に許容できる塩である、請求項17に記載された化合物。
【請求項23】
4-[4-メトキシ-3-(2-フェニルエトキシ)フェニル]-2-ピロリドン、又はこれの生理学的に許容できる塩である、請求項17に記載された化合物。
【請求項24】
4-[4-メトキシ-3-(3-フェニル-1-プロポキシ)フェニル]-2-ピロリドン、又はこれの生理学的に許容できる塩である、請求項17に記載された化合物。
【請求項25】
メチル4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-2-ピロリドン-1-アセテートである、請求項17に記載された化合物。
【請求項26】
4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-シアノメチル-2-ピロリドン、又はこれの生理学的に許容できる塩である、請求項17に記載された化合物。
【請求項27】
4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-シクロペンチル-2-ピロリドン、又はこれの生理学的に許容できる塩である、請求項17に記載された化合物。
【請求項28】
4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)-1-(4-メトキシベンゾイル)-2-ピロリドン又はこれの生理学的に許容できる塩である、請求項17に記載された化合物。
【請求項29】
請求項1〜28の何れかに記載された化合物、及び生理学的に許容できる担体を含有するPDE4阻害剤。
【請求項30】
0.001〜1000mgの前記化合物を含有する、認識能力を向上させるための、請求項29に記載されたPDE4阻害剤。
【請求項31】
認知力を増進させるための、請求項29又は30に記載されたPDE4阻害剤。
【請求項32】
認知障害又は認知衰退を治療するための、請求項29又は30に記載されたPDE4阻害剤。
【請求項33】
記憶障害を治療するための、請求項29又は30に記載されたPDE4阻害剤。
【請求項34】
前記記憶障害が、アルツハイマー病、精神分裂病、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、クロイツフェルト-ヤコブ病、鬱病、加齢、頭部外傷、脳卒中、CNS低酸素症、大脳老衰、多発脳梗塞性痴呆、HIVまた心臓血管疾患に起因するものである、請求項33に記載されたPDE4阻害剤。
【請求項35】
cAMPレベルの減少に関わる疾患状態を治療するための、請求項29又は30に記載されたPDE4阻害剤。
【請求項36】
神経変性疾患による記憶障害を治療するための、請求項33に記載されたPDE4阻害剤。
【請求項37】
急性神経変性疾患による記憶障害を治療するための、請求項33に記載されたPDE4阻害剤。
【請求項38】
アレルギー性又は炎症性疾患を治療するための、請求項33に記載されたPDE4阻害剤。

【公開番号】特開2009−286797(P2009−286797A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205533(P2009−205533)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【分割の表示】特願2003−535784(P2003−535784)の分割
【原出願日】平成14年10月16日(2002.10.16)
【出願人】(503285645)メモリ ファーマセチカル コーポレーション (10)
【Fターム(参考)】