説明

移動電子装置および移動電子装置の制御方法

【課題】移動電子装置の空間的位置付けに応じた、可聴信号または触覚信号の出力により、場所への方向を通知する移動電子装置およびその方法である。
【解決手段】一実施形態に係る移動電子装置100は、入出力システム20、ナビゲーションシステム30、これら入出力システムおよびナビゲーションシステムを動作可能とするように接続されたプロセッサ10を備える。プロセッサの制御の下、入出力システムは、ナビゲーションシステムを用いて決定した装置位置情報に基づき選択した、可聴方向指示信号および触覚方向指示信号の少なくとも1つを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動電子装置用のナビゲーションシステムに関するものである。特には、本発明は、方向を通知する表示マップにより場所を示す必要がない、移動電子装置用のナビゲーションシステムにおける移動電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ユーザが存在する現在地と、所望の場所に対する方向とを示したマップを表示するナビゲーションシステムを実装した携帯電話、携帯情報端末(PDA)、およびポケットピーシー(pocket PC)などの移動電子装置が知られている。例えば、これら公知の移動電子装置は、ユーザの場所を示す「X」と、ユーザの場所から所望の場所までの地図上の方向を示す矢印とを表示する全地球測位システム(GPS)を備えている。
【特許文献1】米国特許第3736551号明細書(1973年5月29日発行))
【特許文献2】米国特許第3786571号明細書(1974年1月22日発行))
【特許文献3】米国特許第3902687号明細書(1975年9月2日発行)
【特許文献4】米国特許第4484191号明細書(1984年11月20日発行)
【特許文献5】米国特許第5334987号明細書(1994年8月2日発行)
【特許文献6】米国特許第5446465号明細書(1995年8月29日発行)
【特許文献7】米国特許第5883861号明細書(1999年3月16日発行)
【特許文献8】米国特許第6320496号明細書(2001年11月20日発行)
【特許文献9】米国特許出願公開第2004/0030494号明細書(2004年2月12日公開)
【特許文献10】米国特許出願公開第2003/0016144号明細書(2003年1月23日公開)
【特許文献11】米国特許出願公開第2005/0062604号明細書(2005年3月24日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来のナビゲーションシステムは、ユーザに対して効果的に方向を提示する一方で、概して複雑なソフトウェアと、高解像度の表示装置と、大容量のメモリとを必要とする。さらにまた、このようなナビゲーションシステムでは、概して、マップを最新状態としておくために、定期的なソフトウェアのアップデートが必要となる。
【0004】
すなわち、上記従来の構成では、ユーザに対して効果的に目的までの方向を提示するための表示を実現するために、複雑なソフトウェアと、高解像度の表示装置と、大容量のメモリとを必要とするという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、高解像度の表示装置、および大容量のメモリを備える必要がなく、目標までの方向を効果的に通知する移動電子装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る移動電子装置は、上記課題を解決するために、ユーザにより携行され移動する移動電子装置であって、現時点における当該移動電子装置の方位と、目標に対する方位との差を通知するための、聴覚で感知できる信号である可聴方向指示信号および、触覚で感知できる信号である触覚方向指示信号のうちの少なくとも1つを出力する入出力システムと、当該移動電子装置と、目標とする場所との配置関係を規定する情報である位置確認情報を決定するナビゲーションシステムと、これら入出力システムおよびナビゲーションシステムを動作可能とするように接続されたプロセッサとを備え、上記プロセッサが、上記ナビゲーションシステムを用いて決定した、当該移動電子装置の位置確認情報に基づき選択した、上記可聴方向指示信号および触覚方向指示信号の少なくとも1つを出力するように入出力システムを制御することを特徴とする。
【0007】
上記の構成によれば、ナビゲーションシステムを備えているため、上記移動電子装置は、位置確認情報を決定し当該移動電子装置と目標とする場所との配置関係を把握することができる。また、入出力システムを備えているため、上記可聴方向指示信号や上記触覚方向指示信号など、聴覚や蝕覚で感知できる、ユーザの視覚に依存しない形式の信号を出力することができる。また、プロセッサを備えるため、ナビゲーションシステムによって決定された位置確認情報に基づき、目的とする場所への方向を可聴方向指示信号または触覚方向指示信号の出力により通知することができる。
【0008】
このように、本発明に係る移動電子装置は、目標とする場所まで当該移動電子装置のユーザを案内するために、従来のように表示を行う必要がない。
【0009】
したがって、本発明に係る移動電子装置は、高解像度の表示装置、および大容量のメモリを備える必要がなく、目標までの方向を効果的に通知することができるという効果を奏する。
【0010】
本発明に係る移動電子装置の制御方法は、上記した課題を解決するために、当該移動電子装置のユーザに、場所に対する方向を通知する方法であって、上記移動電子装置における入力として目標とする場所を識別するための情報である場所情報を受付ける第1ステップと、現時点での上記移動電子装置の、地理上の位置を規定する情報である位置情報を算出する第2ステップと、上記第1ステップにおいて受付けた、この目標とする場所の場所情報と、上記第2ステップにおいて算出した、現時点での上記移動電子装置の位置情報とに基づき、上記移動電子装置の目標に対する方位を決定する第3ステップと、現時点での移動電子装置の方位を決定する第4ステップと、上記第4ステップにおいて決定した上記移動電子装置の現時点での方位と、上記第3ステップにおいて決定した目標に対する方位とに基づき、現時点における当該移動電子装置の方位と、目標に対する方位との差を通知するための、聴覚で感知できる信号である可聴方向指示信号を決定する第5ステップと、上記移動電子装置から、上記第5ステップにおいて決定した上記可聴方向指示信号を出力する第6ステップとを含むことを特徴とする。
【0011】
上記方法によれば、第1ステップを含むため、本発明に係る移動電子装置は、目的とする場所の場所情報を取得することができる。また、第2ステップを含むため、現時点での移動電子装置の位置情報も取得することができる。このように第1ステップおよび第2ステップにより、目的とする場所の場所情報と、現時点での移動電子装置の位置情報とを取得することができるため、これらの情報から第3ステップにおいて、上記移動電子装置の目標に対する方位を決定することができる。
【0012】
また、移動電子装置の制御方法では、第4ステップを含むため、上記移動電子装置の現時点での方位についての情報も決定することができる。このように第3ステップおよび第4ステップにて移動電子装置の目標に対する方位と、該移動電子装置の現時点での方位とを取得することができるため、本発明に係る移動電子装置の制御方法では、移動電子装置が、目標に対する方位と、現時点での方位との差を把握することができる。
【0013】
また、上記第5ステップおよび第6ステップを含むため、上記移動電子装置は、目標に対する方位と、現時点での方位との差に基づき決定された可聴方向指示信号を出力することができる。
【0014】
したがって、本発明に係る移動電子装置の制御方法では、目標とする場所までの方位を、ユーザの聴覚に対する刺激により通知し、この目標とする場所まで、移動電子装置のユーザを案内することができる。
【0015】
このために、従来のように、ユーザを目標とする場所まで案内するために表示を行う必要がなく、それ故、本発明に係る移動電子装置の制御方法では、移動電子装置が高解像度の表示装置、および大容量のメモリを備える必要がなく、目標までの方向を効果的に通知することができるという効果を奏する。
【0016】
本発明に係る移動電子装置の制御方法は、上記した課題を解決するために、当該移動電子装置のユーザに、場所に対する方向を通知する移動電子装置の制御方法であって、上記移動電子装置における入力として目標とする場所を識別するための情報である場所情報を受信する第1ステップと、現時点での上記移動電子装置の、地理上の位置を規定する情報である位置情報を算出する第2ステップと、上記第1ステップにおいて受付けた、この目標とする場所の場所情報と、上記第2ステップにおいて算出した、現時点での上記移動電子装置の位置情報とに基づき、上記移動電子装置の目標に対する方位を決定する第3ステップと、現時点での移動電子装置の方位を決定する第4ステップと、上記第4ステップにおいて決定した上記移動電子装置の現時点での方位と、上記第3ステップにおいて決定した目標に対する方位とに基づき、現時点における当該移動電子装置の方位と、目標に対する方位との差を通知するための、触覚で感知できる信号である触覚方向指示信号を決定する第5ステップと、上記移動電子装置から、上記第5ステップにおいて決定した上記触覚方向指示信号を出力する第6ステップとを含むことを特徴とする。
【0017】
上記方法によれば、第1ステップを含むため、本発明に係る移動電子装置は、目的とする場所の場所情報を取得することができる。また、第2ステップを含むため、現時点での移動電子装置の位置情報も取得することができる。このように第1ステップおよび第2ステップにより、目的とする場所の場所情報と、現時点での移動電子装置の位置情報とを取得することができるため、これらの情報から第3ステップにおいて、上記移動電子装置の目標に対する方位を決定することができる。
【0018】
また、移動電子装置の制御方法では、第4ステップを含むため、上記移動電子装置の現時点での方位についての情報も決定することができる。このように第3ステップおよび第4ステップにて移動電子装置の目標に対する方位と、該移動電子装置の現時点での方位とを取得することができるため、本発明に係る移動電子装置の制御方法では、移動電子装置が、目標に対する方位と、現時点での方位との差を把握することができる。
【0019】
また、上記第5ステップおよび第6ステップを含むため、上記移動電子装置は、目標に対する方位と、現時点での方位との差に基づき決定された触覚方向指示信号を出力することができる。
【0020】
したがって、本発明に係る移動電子装置の制御方法では、目標とする場所までの方位を、ユーザの触覚に対する刺激により通知し、この目標とする場所まで、移動電子装置のユーザを案内することができる。
【0021】
このために、従来のように、ユーザを目標とする場所まで案内するために表示を行う必要がなく、それ故、本発明に係る移動電子装置の制御方法では、移動電子装置が高解像度の表示装置、および大容量のメモリを備える必要がなく、目標までの方向を効果的に通知することができるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る移動電子装置は、以上のように、ユーザにより携行され移動する移動電子装置であって、現時点における当該移動電子装置の方位と、目標に対する方位との差を通知するための、聴覚で感知できる信号である可聴方向指示信号および、触覚で感知できる信号である触覚方向指示信号のうちの少なくとも1つを出力する入出力システムと、当該移動電子装置と、目標とする場所との配置関係を規定する情報である位置確認情報を決定するナビゲーションシステムと、これら入出力システムおよびナビゲーションシステムを動作可能とするように接続されたプロセッサとを備え、上記プロセッサが、上記ナビゲーションシステムを用いて決定した、当該移動電子装置の位置確認情報に基づき選択した、上記可聴方向指示信号および触覚方向指示信号の少なくとも1つを出力するように入出力システムを制御することを特徴とする。
【0023】
したがって、本発明に係る移動電子装置は、高解像度の表示装置、および大容量のメモリを備える必要がなく、目標までの方向を効果的に通知することができるという効果を奏する。
【0024】
本発明に係る移動電子装置の制御方法は、以上のように、当該移動電子装置のユーザに、場所に対する方向を通知する方法であって、上記移動電子装置における入力として目標とする場所を識別するための情報である場所情報を受付ける第1ステップと、現時点での上記移動電子装置の、地理上の位置を規定する情報である位置情報を算出する第2ステップと、上記第1ステップにおいて受付けた、この目標とする場所の場所情報と、上記第2ステップにおいて算出した、現時点での上記移動電子装置の位置情報とに基づき、上記移動電子装置の目標に対する方位を決定する第3ステップと、現時点での移動電子装置の方位を決定する第4ステップと、上記第4ステップにおいて決定した上記移動電子装置の現時点での方位と、上記第3ステップにおいて決定した目標に対する方位とに基づき、現時点における当該移動電子装置の方位と、目標に対する方位との差を通知するための、聴覚で感知できる信号である可聴方向指示信号を決定する第5ステップと、上記移動電子装置から、上記第5ステップにおいて決定した上記可聴方向指示信号を出力する第6ステップとを含むことを特徴とする。
【0025】
このために、従来のように、ユーザを目標とする場所まで案内するために表示を行う必要がなく、それ故、本発明に係る移動電子装置の制御方法では、移動電子装置が高解像度の表示装置、および大容量のメモリを備える必要がなく、目標までの方向を効果的に通知することができるという効果を奏する。
【0026】
本発明に係る移動電子装置の制御方法は、以上のように、当該移動電子装置のユーザに、場所に対する方向を通知する移動電子装置の制御方法であって、上記移動電子装置における入力として目標とする場所を識別するための情報である場所情報を受信する第1ステップと、現時点での上記移動電子装置の、地理上の位置を規定する情報である位置情報を算出する第2ステップと、上記第1ステップにおいて受付けた、この目標とする場所の場所情報と、上記第2ステップにおいて算出した、現時点での上記移動電子装置の位置情報とに基づき、上記移動電子装置の目標に対する方位を決定する第3ステップと、現時点での移動電子装置の方位を決定する第4ステップと、上記第4ステップにおいて決定した上記移動電子装置の現時点での方位と、上記第3ステップにおいて決定した目標に対する方位とに基づき、現時点における当該移動電子装置の方位と、目標に対する方位との差を通知するための、触覚で感知できる信号である触覚方向指示信号を決定する第5ステップと、上記移動電子装置から、上記第5ステップにおいて決定した上記触覚方向指示信号を出力する第6ステップとを含むことを特徴とする。
【0027】
このために、従来のように、ユーザを目標とする場所まで案内するために表示を行う必要がなく、それ故、本発明に係る移動電子装置の制御方法では、移動電子装置が高解像度の表示装置、および大容量のメモリを備える必要がなく、目標までの方向を効果的に通知することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明に係る実施形態および他の実施形態は、以下に概略的に説明する図面とともに行う、詳細な説明を参照することでよりよく理解できよう。また、もちろん本発明の特徴については、添付した特許請求の範囲に示されている。
【0029】
本発明に係る一実施形態では、移動電子装置100は、現時点での移動電子装置100の方位と、該移動電子装置100の目標に対する方位との間における角度差に基づき、可聴方向指示信号および触覚方向指示信号のうちの少なくとも1つを出力することによって、当該移動電子装置100のユーザを目標とする場所まで案内する。なお、可聴方向指示信号とは現時点における当該移動電子装置100の方位と、目標に対する方位との差を通知するための聴覚で感知できる信号である。一方、触覚方向指示信号とは現時点における当該移動電子装置100の方位と、目標に対する方位との差を通知するための、触覚で感知できる信号である。図1では、現時点での移動電子装置100の方位ADBと、移動電子装置100の目標に対する方位TDBとから角度差αがどのくらいであるか算出することを示す。移動電子装置100は、現時点での該移動電子装置100の方位ADBを、この移動電子装置100の長手方向軸(縦軸)上に該移動電子装置100から延ばした第1仮想線から、この移動電子装置100を真北に延ばした第2仮想線までを、時計周りに測定した水平方向の角距離として求める。また、移動電子装置100は、上記移動電子装置100の目標に対する方位TDBを、この移動電子装置100と目標とする位置300とを結んだ第1仮想線から、この移動電子装置100を真北に延ばした第2仮想線までを、時計回りに測定した水平方向の角距離として求める。そして、移動電子装置100は、現時点での移動電子装置100の方位ADBと、移動電子装置100の目標に対する方位TDBとの間における角度差αを算出する。そして、上記角度差αを示す作用として、適切な可聴出力(可聴方向指示信号の出力)、および蝕覚出力(触角方向指示信号の出力)のうちの少なくとも1つを選択する。
【0030】
図2を参照すると、この図では移動電子装置100の構成がより詳細に示されている。この移動電子装置100は、例えば、携帯電話、インターネットプロトコル(IP)電話、PDA、またはポケットPCであってもよい。移動電子装置100は、入出力(I/O)システム20と、ナビゲーションシステム30とに通信可能に接続されたプロセッサ10を備えている。このプロセッサ10は、ソフトウェアを実行するためのオペレーティングシステムを実装した汎用のマイクロプロセッサである。このプロセッサ10は、ソフトウェアアプリケーションを実行したり、入出力システム20およびナビゲーションシステム30の構成要素間における相互関係を管理したりする。つまり、プロセッサ10は、入出力システム20が備える各部、ならびにナビゲーションシステム30が備える各部それぞれの各種制御を行う。
【0031】
入出力システム20は、スピーカ21、表示部22、キーパッド23、およびバイブレータ24を備えてなる構成である。スピーカ21は、ステレオの出力信号を含む、様々な音および音量で、移動電子装置100から音出力信号(可聴方向指示信号)を出力させるための左スピーカおよび右スピーカを備える。表示部22は、LCD(liquid crystal display)スクリーンなどによって実現でき、キーパッド23にて受付けた入力を視覚的に示したり、移動電子装置100からの出力を視覚的に示したりする。キーパッド23は、移動電子装置100におけるユーザからの入力を受付けるためのキーを備えている。この移動電子装置100における入力としては、人気スポットの名前および所在地住所など、目標とする場所を示す情報を含んでいる。なお、移動電子装置100では、キーパッド23により受付けた目標とする場所を示す情報は、プロセッサ10を介してナビゲーションシステム30に出力される。また、いくつかの実施形態では、上記キーパッド23は、ソフトキーを補助的に備えた、12のキーを有する電話のキーパッドである。バイブレータ24は、様々な強度の振動形態で、移動電子装置100から触覚出力信号を出力する電気機械装置である。
【0032】
ナビゲーションシステム30は、GPS受信部31、ナビゲーションクライアント部32、場所情報格納部(location cache)33、およびコンパス34を備えてなる構成である。また、ナビゲーションシステム30は、GPS衛星150と無線により通信可能となっている。そして、本実施の形態に係る移動電子装置100では、このGPS衛星150と上記GPS受信部31とによって本発明のGPSシステムを実現する。
さらには、移動電子装置100の外部に後述する場所サーバ・データベース(遠隔場所サーバ・データベース)160が設けられており、このナビゲーションシステム30は、無線によりこの場所サーバ・データベース160と通信できるようになっている。上記GPS受信部31は、GPS衛星150から絶えず、位置情報を受信し、それに基づき、移動電子装置100の現時点での位置を演算する。この現時点での位置を示す情報には、経度および緯度の座標が含まれる。なお、この現時点での位置の情報は、GPS受信部31により算出されると、該GPS受信部31からナビゲーションクライアント部32に送信される。
【0033】
上記場所情報格納部33は、移動電子装置100におけるデータベースであり、選択した目標とする場所を特定する情報(場所情報)と目標とする場所の地理上の位置を規定する情報(位置情報)との間におけるマッピングを記憶する。場所サーバ・データベース160は、上記場所情報格納部33にて記憶されていない、目標とする場所情報と、目標とする位置情報との間でのマッピングをも記憶する遠隔サーバ・データベースである。つまり、場所サーバ・データベース160には、場所情報格納部33よりも広範囲にわたり、詳細かつ最新の場所情報と位置情報との対応関係が記憶されている。上記目標とする場所情報には、人気スポット名や所在地住所が含まれている。また、目標とする位置情報には、目標とする場所に関する経度および緯度座標が含まれている。いくつかの実施形態では、このマッピングは、キーパッド23からの入力により、場所情報格納部33において固定的なものとして作成されてもよい。また、いくつかの実施形態では、このマッピングは、固定的なものとして作成される代わりに、もしくは固定的なものとして作成された上に、場所サーバ・データベース160を用いることによって、目標とする場所情報を目標とする位置情報に置き換え、場所情報格納部33にて、ナビゲーションクライアント部32によって動的に作成されてもよい。そのようにすれば、同様の、目標とする場所が2度目に入力された際は、場所サーバ・データベース160を用いることなく、場所情報格納部33だけを参照することにより、目標とする場所情報を、目標とする位置情報に置き換えることができる。また、いくつかの実施形態では、所定期間経過後に場所情報格納部33に関するタイムアウトのマッピングを動的に作成してもよい。なお、この場所情報格納部33は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)によって実現することができる。
【0034】
さらにまた、いくつかの実施形態では、移動電子装置100において、ユーザが、キーパッド23からの入力により、現在地を示す場所名または所在地住所を通知したり、この名前または住所と、GPS受信部31から受信した現時点での位置情報との間のマッピングを場所情報格納部33に作成するように、ナビゲーションクライアント部32に指示したりすることができる構成であってもよい。このように構成する場合、ユーザが現在地に戻ることを所望する場合、現在地を示す場所名または所在地住所(現時点での場所情報)と、現時点での位置情報との間のマッピングは、後の使用のために、固有に格納することとなる。
【0035】
上記コンパス34は、図1を参照して上述したように、現時点での移動電子装置100の方位を、継続的に算出するフラックス・ゲート・コンパスである。このコンパス34は、算出した、現時点での移動電子装置100の方位を、ナビゲーションクライアント部32に送信する。
【0036】
ナビゲーションクライアント部32は、キーパッド23で受付けた、目標とする場所情報の入力を、上記プロセッサ10を介して受信し、該プロセッサ10からの制御指示に応じて、この目標とする場所情報を目標とする位置情報に変換するように、1以上の場所情報格納部33および場所サーバ・データベース160とのインターフェースをとるものである。ナビゲーションクライアント部32は、まず、目標とする場所情報が、場所情報格納部33において目標とする位置情報とマッピングされているか否か確認する。ここでマッピングされていると確認した場合、ナビゲーションクライアント部32は、そのマッピングを用いて、目標とする場所情報を目標とする位置情報に変換する。一方、ここでマッピングされていないと確認した場合、ナビゲーションクライアント部32は、場所サーバ・データベース160において、目標とする場所情報のマッピングを調べ、目標の場所情報を目標の位置情報に変換する。
【0037】
また、ナビゲーションクライアント部32は、プロセッサ10からの制御指示に応じて、GPS受信部31から、本実施の形態に係る移動電子装置100の現時点での位置情報を受信する。また、ナビゲーションクライアント部32は、図1を参照して上述したように、プロセッサ10からの制御指示に応じて、移動電子装置100の現時点での位置情報と目標とする位置情報とから、低俗的に、目標に対する移動電子装置100の方位を決定する。
【0038】
また、ナビゲーションクライアント部32は、プロセッサ10からの制御指示に応じて、コンパス34から上記現時点での移動電子装置100の方位を受信する。ナビゲーションクライアント部32は、現時点での移動電子装置100の方位と、移動電子装置100の目的に対する方位との間における角度差を、継続的に決定している。そして、ナビゲーションクライアント部32は、この角度差に基づき、適切な可聴方向指示信号および触覚方向指示信号のうちの少なくとも1つを、継続的に選択している。また、このナビゲーションクライアント部32は、角度差に関する作用として、適切な可聴方向指示信号および触覚方向指示信号のうちの少なくとも1つを選択するためのアルゴリズムを実装している。
【0039】
図3は、本発明に係るいくつかの実施形態において、目標に対する移動電子装置100の方位に一致するように、回転軸を中心にどのように移動電子装置100を回転するかについて示す。つまり、ユーザは、水平となる位置に移動電子装置100を保持し、現時点での移動電子装置100の方位を変更させるように、時計回りまたは反時計回りにこの移動電子装置100を回転させる。この回転により、現時点での移動電子装置100の方位と、目標に対する移動電子装置100の方位との間の角度差が変化し、それにより、移動電子装置100から出力される可聴方向指示信号および触覚方向指示信号のうちの少なくとも1つに変化が生じる。この可聴方向指示信号および触覚方向指示信号のうちの少なくとも1つにおいて生じる変化により、ユーザに対して、現時点での移動電子装置100の方位が、目標に対する移動電子装置100の方位に近づいているか、もしくは離れているか、すなわち、現時点での移動電子装置100の方位と目標に対する移動電子装置100の方位との間の角度差が減少しているのか、あるいは増加しているのかについて知らせる。また、この可聴方向指示信号および触覚方向指示信号のうちの少なくとも1つにおいて生じる変化によって、目標に対する移動電子装置100の方位と一致したこと、すなわち、上記角度差がゼロもしくは略ゼロとなったことをユーザに知らせる。
【0040】
また、その一実施形態では、現時点での移動電子装置100の方位が、目標に対する移動電子装置100の方位と一致するように近づいた場合、可聴方向指示信号が大きくなり、現時点での移動電子装置100の方位が、目標に対する移動電子装置100の方位から離れた場合、可聴方向指示信号は和らぐ、すなわち小さくなる。そのような実施形態では、スピーカ21は、ナビゲーションクライアント部32によってなされたアルゴリズムの演算に基づき、様々な音量で音を出力できる構成を有している。つまり、スピーカ21は、移動電子装置100を、目標に対する移動電子装置100の方位に向かって最小の角距離だけ時計回りに回転させたことをユーザに通知するように、移動電子装置100を時計回りに回転させると、徐々に音が大きくなるように音をたてる。一方、スピーカ21は、反時計回りに移動電子装置100を回転させると、徐々に和らぐように音をたてる。同様にして、スピーカ21は、移動電子装置100を、目標に対する移動電子装置100の方位に向かって、最小の角距離だけ反時計周りに回転させたことをユーザに通知するように構成されていてもよい。このように構成される場合、スピーカ21は、移動電子装置100を反時計回りに回転させると、徐々に音が大きくなるように音をたて、時計回りに移動電子装置100を回転させると、徐々に和らぐように音をたてる。
【0041】
また、別の一実施形態では、上記触覚方向指示信号は、現時点での移動電子装置100の方位が目標に対する移動電子装置100の方位と一致するよう近づいた場合、強度が増し、現時点での移動電子装置100の方位が、目標に対する移動電子装置100の方位から離れる場合、強度が低減する振動である。そのような実施形態では、バイブレータ24は、ナビゲーションクライアント部32によってなされたアルゴリズムの演算に基づき、様々な強度の振動を出力できる。つまり、バイブレータ24は、移動電子装置100を、目標に対する移動電子装置100の方位に向かって、最小の角距離だけ時計回りに回転させたことをユーザに通知するように、移動電子装置100を時計回りに回転させると、徐々に振動が強くなるようにする。一方、バイブレータ24は、反時計回りに移動電子装置100を回転させると、徐々に振動が弱まるようにする。同様にして、バイブレータ24は、移動電子装置100を、目標に対する移動電子装置100の方位に最小の角距離だけ反時計回りに回転させたことをユーザに通知するため、移動電子装置100を反時計回りに回転させると、徐々に振動が大きくなるようにし、時計回りに移動電子装置100を回転させると、徐々に振動が弱まるようにする構成されていてもよい。
【0042】
また、他の実施形態では、現時点での移動電子装置100の方位と目標に対する移動電子装置100の方位との間における角度差を低減させるように、この移動電子装置100を時計回りに回転させるか、または反時計回りに回転させるかについて、反復的な可聴方向指示信号および触覚方向指示信号の少なくとも1つをユーザに通知する構成であってもよい。そして、可聴方向指示信号および触覚方向指示信号のうちの少なくとも1つにおける変化により、現時点での移動電子装置100の方位が目的とする装置の方位と一致した時点、すなわち、角度差がゼロ、もしくは略ゼロとなった時点をユーザに通知する。
【0043】
また、そのような一実施形態では、可聴方向指示信号を、周波数スイープ信号とし、この周波数スイープ信号により、目標に対する移動電子装置100の方位と一致するように時計回り、または反時計回りに移動電子装置100を回転させるか否かユーザに通知する。スピーカ21は、例えば、1000−2000Hz範囲において10Hz間隔など、ある周波数範囲での固定間隔で音を出力することができる左右のスピーカそれぞれを備える。目標に対する移動電子装置100の方位に最小の角距離だけ時計回りに回転させたことをユーザに通知するように、上記左のスピーカが、第1期間(例えば2秒間)の間に、周波数範囲で最も低い周波数(例えば1000Hzなど)から、中間範囲の周波数(例えば1500Hzなど)まで、全固定期間で連続する音を出力する。その後、即座に右スピーカが、第2期間(例えば2秒)の間に、次の中間範囲の周波数(例えば、1510Hz)から最も高い周波数(例えば2000Hz)まで、全固定期間で連続する音を出力する。この音の連続の結果として、ユーザは、時計回りに移動電子装置100を回転させていることを知らせる、左から右へのスイープノイズ(sweeping noise)を聞く。移動電子装置100が回転され、該移動電子装置100の方位が目標に対する移動電子装置100の方位と一致すると、上記周波数スイープ信号は停止し、スピーカ21は通常の音を出力する。また、移動電子装置100を、目標に対する移動電子装置100の方位に最小の角距離だけ反時計回りに回転させたことをユーザに通知する場合は、上記音の連続の順序および方向を反転させる。当然、上記周波数スイープ信号は、他の音の連続を利用して実現されるものであってもよい。例えば、スピーカ21では、左右のスピーカにおいて、同時に同じ音の連続を出力するとともに、上記第1期間の間は左スピーカで大きな音を出力し、上記第2期間の間では右スピーカで大きな音を出力するようにコントロールする構成としてもよい。さらにまた、他の周波数および期間を利用する構成としてもよい。
【0044】
また、他の実施形態では、可聴方向指示信号および触覚方向指示信号を連携させて利用する構成とすることもできる。例えば、上記目標に対する移動電子装置100の方位へと回転させると、移動電子装置100において、大きな音と強い振動とを同時に出力させる構成とする。
【0045】
図4は、本発明の一実施形態に係る、移動電子装置100のユーザに方向指示信号を通知するための方法を示すフロー図である。まず、移動電子装置100は、目標とする位置情報を決定する(ステップS410)。すなわち、ユーザが、キーパッド23によって、人気スポット名や所在地住所など目標とする場所情報を入力する。このように、キーパッド23によって目標とする場所情報を受付けると、ナビゲーションクライアント部32は、この目標とする場所情報を受信し、場所情報格納部33においてこの目標とする場所情報を検索する。ここで、この場所情報格納部33において目標とする場所情報に関するマッピングが存在する場合、ナビゲーションクライアント部32は、このマッピングを用いて、目標とする場所情報を目標とする位置情報に変換させる。一方、この場所情報格納部33において目標とする場所情報に関するマッピングが存在しない場合、ナビゲーションクライアント部32は、目標とする場所情報を目標とする位置情報に変換するために、場所サーバ・データベース160を検索する。なお、ここで、目標とする位置情報として、目標とする場所情報を示す経度および緯度を含んでいる。
【0046】
移動電子装置100は、自装置の現時点での位置を、継続的に決定する(S420)。GPS受信部31は、GPS衛星150から継続的に、自装置の現時点での位置を示す情報を受信しており、これらの位置を示す情報に基づき、移動電子装置100の現時点での位置情報を算出する。なお、上記現時点での位置を示す情報は、現時点での移動電子装置100の位置を示す経度と緯度を含む。また、GPS受信部31は、上記現時点での位置を示す情報を、ナビゲーションクライアント部32に送信する。
【0047】
移動電子装置100は、継続的に、目標に対する移動電子装置100の方位を決定する(S430)。すなわち、ナビゲーションクライアント部32は、GPS受信部31から受信した上記現時点での位置を示す情報と、場所情報格納部33または場所サーバ・データベース160を用いて変換した対象となる位置の情報とから、目標に対する移動電子装置100の方位を継続的に決定する。この目標に対する移動電子装置100の方位は、上記現時点での位置と、目標となる位置とを結んだ第1仮想線から、上記現時点での位置から真北に延ばした第2仮想線へ、時計回りに測定した水平方向の角距離として算出される。
【0048】
次に、移動電子装置100は、継続的に、現時点での移動電子装置100の方位を決定する(S440)。すなわち、コンパス34は、上記現時点での移動電子装置100の方位を、この移動電子装置100の縦軸方向に該移動電子装置100の先端部から延ばした第1仮想線から、この移動電子装置100の現時点での位置から真北に延ばした第2仮想線へ、時計回りに測定した水平方向の角距離として算出する。そして、コンパス34は、現時点での移動電子装置100の方位を示す情報をナビゲーションクライアント部32に送信する。
【0049】
次に、移動電子装置100は、現時点での移動電子装置100の方位と目標に対する移動電子装置100の方位とに基づき、可聴方向指示信号および触覚方向指示信号のうちの少なくとも1つを、継続的に出力する(S450)。すなわち、ナビゲーションクライアント部32は、上記コンパス34から現時点での移動電子装置100の方位を受信するとともに、現時点での移動電子装置100の方位と目標に対する移動電子装置100の方位との間における角度差を決定する。そして、ナビゲーションクライアント部32は、この角度差に基づき、適切な可聴方向指示信号および触覚方向指示信号の少なくとも1つを、継続的に決定する。
【0050】
いくつかの実施形態では、移動電子装置100が、複数種類の方向指示信号を出力できるように対応しており、ユーザは、キーパッド23での入力により、この種類の中の1つを実行させるように選択する構成としてもよい。
【0051】
入出力(I/O)システム20およびナビゲーションシステム30は、カスタムロジック(custom logic)およびソフトウェアの様々な組み合わせを用いて実装されたものであってもよい。また、いくつかの実施形態では、GPS受信部31は、カスタム回路(custom circuitry)で実現され、ナビゲーションクライアント部32は、プロセッサ10によって実行されるソフトウェアアプリケーションで実現されてもよい。
【0052】
また、本発明は、本発明の精神または本質的な特徴において、他の特定の形態により実施することができることは、当業者において認められることであろう。例えば、いくつかの実施形態では、ナビゲーションシステム30は、移動電子装置100の現時点での位置を決定するために、他のアプローチを用いてもよく、例えば、3つの携帯電話基地局(cellular towers)間における三角測量によるアプローチや、移動電子装置100の現時点での位置を算出する遠隔サーバに、該移動電子装置100が生のGPSデータを送信するアプローチなどが挙げられる。本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0053】
なお、上記した本実施の形態に係る移動電子装置100は、以下に示す構成を有するものとすることができる。
【0054】
すなわち、本実施の形態に係る移動電子装置は、入出力システムと、ナビゲーションシステムと、これら入出力システムとナビゲーションシステムとを動作可能とするように接続されたプロセッサとを備え、上記プロセッサの制御の下、入出力システムが、上記ナビゲーションシステムを用いて決定した移動電子装置の位置確認情報に基づき選択した、可聴方向指示信号および触覚方向指示信号の少なくとも1つを出力するように構成されていてもよい。
【0055】
また、本実施の形態に係る移動電子装置は、上記した構成において、上記ナビゲーションシステムは、上記位置確認情報の変化を、継続的に監視しており、上記入出力システムは、上記ナビゲーションシステムを用いて決定した、修正された上記位置確認情報に基づき選択された、修正された可聴方向指示信号および触覚方向指示信号の少なくとも1つを出力するように構成されていてもよい。
【0056】
また、本実施の形態に係る移動電子装置は、上記した構成において、上記位置確認情報は、コンパスを使用して決定した当該移動電子装置の現時点での方位とGPSシステムを使用して決定した、当該移動電子装置の目標に対する方位とを含むように構成されていてもよい。
【0057】
また、本実施の形態に係る移動電子装置は、上記した構成において、上記移動電子装置の目標に対する方位は、上記入出力システムにて入力として受付けた、目標とする場所情報に基づき決定されるように構成されていてもよい。
【0058】
また、本実施の形態に係る移動電子装置は、上記した構成において、上記目標とする場所情報を、目標とする位置情報に変換する一方、上記移動電子装置の目標に対する方位を、該目標とする位置情報に基づき決定するように構成されていてもよい。
【0059】
また、本実施の形態に係る移動電子装置は、上記した構成において、上記目標とする場所情報は、この場所情報格納部を参照することにより、目標とする位置情報に変換されるように構成されていてもよい。
【0060】
また、本実施の形態に係る移動電子装置は、上記した構成において、上記目標とする場所情報を、この遠隔場所情報サーバ・データ部ベースを参照することにより、目標とする位置情報に変換するように構成されていてもよい。
【0061】
また、本実施の形態に係る移動電子装置は、上記した構成において、上記可聴方向指示信号は、音を含んでいてもよい。
【0062】
また、本実施の形態に係る移動電子装置は、上記した構成において、上記可聴方向指示信号は、周波数スイープ信号を含んでいてもよい。
【0063】
また、本実施の形態に係る移動電子装置は、上記した構成において、上記触覚方向指示信号は、振動を含んでいてもよい。
【0064】
また、本実施の形態に係る移動電子装置は、上記した構成において、当該移動電子装置は、可聴方向指示信号および触覚方向指示信号を同時に出力するように構成されていてもよい。
【0065】
また、上記した本実施の形態に係る移動電子装置100の制御方法は、以下に示すステップを含むものとすることができる。
【0066】
本発明に係る移動電子装置の制御方法は、以上のように、移動電子装置のユーザに、場所に対する方向を通知する方法であって、上記移動電子装置における入力として目標とする場所情報を受信するステップと、この目標とする場所情報に基づき、移動電子装置の目標に対する方位を決定するステップと、現時点での移動電子装置の位置確認情報に基づき、現時点での移動電子装置の方位を決定するステップと、上記移動電子装置の現時点での方位と目標に対する方位とに基づき、可聴方向指示信号を決定するステップと、上記移動電子装置から上記可聴方向指示信号を出力するステップとを含んでいてもよい。
【0067】
また、本発明に係る移動電子装置の制御方法は、上記した方法において、上記移動電子装置の現時点での方位が、継続的に決定されるとともに、上記可聴方向指示信号が、この移動電子装置の現時点での方位における変化に応じて絶えず修正されてもよい。
【0068】
また、本発明に係る移動電子装置の制御方法は、上記した方法において、上記移動電子装置の現時点での方位が、フラックスゲートコンパスを用いて決定されてもよい。
【0069】
また、本発明に係る移動電子装置の制御方法は、上記した方法において、上記移動電子装置の目標に対する方位が、GPSシステムを用いて決定されてもよい。
【0070】
また、本発明に係る移動電子装置の制御方法は、上記した方法において、上記可聴方向指示信号は、音を含んでもよい。
【0071】
また、本発明に係る移動電子装置の制御方法は、上記した方法において、上記可聴方向指示信号は、周波数スイープ信号を含んでいてもよい。
【0072】
本発明に係る移動電子装置の制御方法は、以上のように、移動電子装置のユーザに、場所に対する方向を通知する方法であって、上記移動電子装置における入力として目標とする場所情報を受信するステップと、この目標とする場所情報に基づき、移動電子装置の目標に対する方位を決定するステップと、現時点での移動電子装置の位置確認情報に基づき、現時点での移動電子装置の方位を決定するステップと、上記移動電子装置の現時点での方位と目標に対する方位とに基づき、触覚方向指示信号を決定するステップと、上記移動電子装置から上記触覚方向指示信号を出力するステップとを含んでもよい。
【0073】
また、本発明に係る移動電子装置の制御方法は、上記した方法において、上記移動電子装置の現時点での方位が、継続的に決定されるとともに、上記触覚方向指示信号が、この移動電子装置の現時点での方位における変化に応じて絶えず修正されてもよい。
【0074】
また、本発明に係る移動電子装置の制御方法は、上記した方法において、上記触覚方向指示信号は、振動を含んでもよい。
【0075】
すなわち、上記した本実施の形態によると、移動電子装置の空間的位置付けに応じた可聴信号または触覚信号(tactile signals)の出力により、目的とする場所への方向を通知する移動電子装置、およびその方法を提供する。
【0076】
本発明に係る一形態では、上記移動電子装置は、入出力システム、ナビゲーションシステム、およびこれら入出力システムおよびナビゲーションシステムを動作可能とするように接続されたプロセッサを備え、このプロセッサの制御の下、上記入出力システムが、上記ナビゲーションシステムを用いて決定した、移動電子装置の位置確認情報(orientation information)に基づき、選択した可聴方向指示信号および触覚方向指示信号のうちの少なくとも1つを出力する。上記ナビゲーションシステムは、上記位置確認情報の変化を、継続的に監視しており、上記プロセッサからの制御の下、上記ナビゲーションシステムは、上記位置確認情報の変化に基づき、可聴方向指示信号および触覚方向指示信号のうちの少なくとも1つを選択して修正する。さらにまた、上記プロセッサからの制御の下、上記入出力システムは、このナビゲーションシステムを用いて決定した上記位置確認情報の修正、すなわち変化後の位置確認情報に応じて修正した可聴方向指示信号および触覚方向指示信号のうちの少なくとも1つを出力する。
【0077】
なお、上記移動電子装置の位置確認情報は、移動電子装置と目標との配置関係を規定する情報であり、より具体的には、コンパスを用いて決定した移動電子装置の現時点での方位と、GPSシステムを用いて決定した移動電子装置の目標に対する方位とが含まれる。この移動電子装置の目標に対する方位は、入出力システムにより受付けた、入力された目標とする場所の情報を用いて決定される。上記可聴方向指示信号には、音(tone)および周波数スイープ信号(a frequency sweep)のうちの少なくとも1つが含まれる。上記触覚方向指示信号には振動が含まれる。
【0078】
また、本発明に係る別の形態では、場所に対する方向を移動電子装置のユーザに通知する方法において、入力として、目標とする場所の情報を受付けるステップと、この目標とする場所の情報に基づき、移動電子装置の目標に対する方位を決定するステップと、現時点での移動電子装置の位置確認情報に基づき、現時点での移動電子装置の方位を決定するステップと、移動電子装置の現時点での方位と、移動電子装置の目標に対する方位とに基づき、可聴方向指示信号および触覚方向指示信号のうちの少なくとも1つを選択するステップと、選択した信号を移動電子装置から出力するステップとを含んでいる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の移動電子装置は、高解像度の表示装置、および大容量のメモリを備える必要がなく、目標までの方向を通知することができるため、ユーザに携行されるため小型化が求められる装置全般に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施形態を示すものであり、現時点での移動電子装置と目標とする装置との方位から、可聴方向指示信号または触覚方向指示信号を選択するために用いられる角度差がどのくらいであるか算出されることを示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る移動電子装置の要部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態において、目標とする装置の方位となるように回転軸を中心に移動電子装置がどの様に回転するかを示す図である。
【図4】本発明の一実施形態において、方向指示信号を移動電子装置のユーザに通知するための方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0081】
10 プロセッサ
20 入出力システム
21 スピーカ
23 キーパッド
24 バイブレータ
30 ナビゲーションシステム
31 GPS受信部
32 ナビゲーションクライアント部
33 場所情報格納部
34 コンパス
100 移動電子装置
150 GPS衛星
160 場所サーバ・データベース
300 目標とする位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにより携行され移動する移動電子装置であって、
現時点における当該移動電子装置の方位と、目標に対する方位との差を通知するための、聴覚で感知できる信号である可聴方向指示信号および、触覚で感知できる信号である触覚方向指示信号のうちの少なくとも1つを出力する入出力システムと、
当該移動電子装置と、目標とする場所との配置関係を規定する情報である位置確認情報を決定するナビゲーションシステムと、
これら入出力システムおよびナビゲーションシステムを動作可能とするように接続されたプロセッサとを備え、
上記プロセッサが、上記ナビゲーションシステムを用いて決定した、当該移動電子装置の位置確認情報に基づき選択した、上記可聴方向指示信号および触覚方向指示信号の少なくとも1つを出力するように入出力システムを制御することを特徴とする移動電子装置。
【請求項2】
上記ナビゲーションシステムは、上記位置確認情報の変化を継続的に監視しており、
上記プロセッサは、上記位置確認情報の変化に基づき、上記可聴方向指示信号および触覚方向指示信号のうちの少なくとも1つを選択して修正するように上記ナビゲーションシステムを制御するとともに、
上記ナビゲーションシステムを用いて決定した、上記変化後の上記位置確認情報に基づき選択された、修正された可聴方向指示信号および触覚方向指示信号のうちの少なくとも1つを出力するように、上記入出力システムを制御することを特徴とする請求項1に記載の移動電子装置。
【請求項3】
上記ナビゲーションシステムが、現時点での当該移動電子装置の方位を算出するコンパスと、現時点での当該移動電子装置の、地理上の位置を規定する情報である位置情報を算出するためのGPSシステムとを有し、
上記入出力システムが目標とする場所の、場所を識別する情報である場所情報を受付けており、
上記位置確認情報は、上記コンパスを使用して決定した当該移動電子装置の現時点での方位と、上記GPSシステムにより算出された当該移動電子装置が存在する現時点での位置情報、および上記受付けた目標とする場所の場所情報に基づき決定した、当該移動電子装置の目標に対する方位とを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の移動電子装置。
【請求項4】
上記プロセッサは、上記入出力システムにより受付けた、目標とする場所の場所情報を、目標とする場所の位置情報に変換させるとともに、当該移動電子装置の目標に対する方位を、該目標とする場所の位置情報に基づき決定するようにナビゲーションシステムを制御することを特徴とする請求項3に記載の移動電子装置。
【請求項5】
上記場所情報と、該場所情報によって識別された場所の位置情報との対応関係を記憶する場所情報格納部をさらに備え、
上記プロセッサは、上記目標とする場所の場所情報を、この場所情報格納部を参照することにより、目標とする場所の位置情報に変換するようにナビゲーションシステムを制御することを特徴とする請求項4に記載の移動電子装置。
【請求項6】
上記場所情報と、該場所情報によって識別された場所の位置情報との対応関係を記憶する遠隔場所情報サーバ・データベースと通信可能に接続されており、
上記プロセッサは、上記目標とする場所の場所情報を、この遠隔場所情報サーバ・データベースを参照することにより、目標とする場所の位置情報に変換するようにナビゲーションシステムを制御することを特徴とする請求項4に記載の移動電子装置。
【請求項7】
上記可聴方向指示信号は、音を含むことを特徴とする請求項1に記載の移動電子装置。
【請求項8】
上記可聴方向指示信号は、周波数スイープ信号を含むことを特徴とする請求項1に記載の移動電子装置。
【請求項9】
上記触覚方向指示信号は、振動を含むことを特徴とする請求項1に記載の移動電子装置。
【請求項10】
上記プロセッサが、上記ナビゲーションシステムを用いて決定した当該移動電子装置の位置確認情報に基づき選択した、上記可聴方向指示信号および触覚方向指示信号を同時に出力するように入出力システムを制御することを特徴とする請求項1に記載の移動電子装置。
【請求項11】
当該移動電子装置のユーザに、場所に対する方向を通知する移動電子装置の制御方法であって、
上記移動電子装置における入力として目標とする場所を識別するための情報である場所情報を受付ける第1ステップと、
現時点での上記移動電子装置の、地理上の位置を規定する情報である位置情報を算出する第2ステップと、
上記第1ステップにおいて受付けた、この目標とする場所の場所情報と、上記第2ステップにおいて算出した、現時点での上記移動電子装置の位置情報とに基づき、上記移動電子装置の目標に対する方位を決定する第3ステップと、
現時点での移動電子装置の方位を決定する第4ステップと、
上記第4ステップにおいて決定した上記移動電子装置の現時点での方位と、上記第3ステップにおいて決定した目標に対する方位とに基づき、現時点における当該移動電子装置の方位と、目標に対する方位との差を通知するための、聴覚で感知できる信号である可聴方向指示信号を決定する第5ステップと、
上記移動電子装置から、上記第5ステップにおいて決定した上記可聴方向指示信号を出力する第6ステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
上記第4ステップにおいて、上記移動電子装置の現時点での方位を継続的に決定するとともに、上記第5ステップにおいて、上記可聴方向指示信号が、この移動電子装置の現時点での方位における変化に応じて絶えず修正されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
上記第4ステップでは、上記移動電子装置の現時点での方位が、フラックスゲートコンパスを用いて決定されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
上記第3ステップでは、上記移動電子装置の目標に対する方位が、現時点での当該移動電子装置の、地理上の位置を規定する情報である位置情報を算出するためのGPSシステムを用いて決定されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
上記可聴方向指示信号は、音を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項16】
上記可聴方向指示信号は、周波数スイープ信号を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項17】
当該移動電子装置のユーザに、場所に対する方向を通知する移動電子装置の制御方法であって、
上記移動電子装置における入力として目標とする場所を識別するための情報である場所情報を受信する第1ステップと、
現時点での上記移動電子装置の、地理上の位置を規定する情報である位置情報を算出する第2ステップと、
上記第1ステップにおいて受付けた、この目標とする場所の場所情報と、上記第2ステップにおいて算出した、現時点での上記移動電子装置の位置情報とに基づき、上記移動電子装置の目標に対する方位を決定する第3ステップと、
現時点での移動電子装置の方位を決定する第4ステップと、
上記第4ステップにおいて決定した上記移動電子装置の現時点での方位と、上記第3ステップにおいて決定した目標に対する方位とに基づき、現時点における当該移動電子装置の方位と、目標に対する方位との差を通知するための、触覚で感知できる信号である触覚方向指示信号を決定する第5ステップと、
上記移動電子装置から、上記第5ステップにおいて決定した上記触覚方向指示信号を出力する第6ステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
上記第4ステップにおいて、上記移動電子装置の現時点での方位を継続的に決定するとともに、上記第5ステップにおいて、上記触覚方向指示信号が、この移動電子装置の現時点での方位における変化に応じて絶えず修正されることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
上記触覚方向指示信号は、振動を含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−145418(P2008−145418A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−252700(P2007−252700)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】