説明

積層チップ

【課題】貫通ビアを設けることなく、半導体基板のバルク自身をチップ相互間の電気的結合手段とする積層チップにおいて、第2のチップの半導体基板の裏面と第1のチップの電極との間の接触抵抗を抑制する。
【解決手段】基板の一側の面(表面)に複数個の第1の電極を備えた第1のチップと、導電性の半導体基板の表面に半導体素子、及び基板の表面の第1の電極に対応する位置に各々第2の電極を備えた第2のチップとを含み、第2のチップの裏面には、導電性樹脂層が形成され、第1のチップの第1の電極と、第2のチップの他側の面(裏面)とが、第2のチップの裏面の導電性樹脂層を介して接着されて積層形成され、第1、前記第2の電極、及び第1と第2の電極に挟まれた第2のチップの基板内部の領域を、基板に貫通ビアを設けることなく、第1及び前記第2のチップ間の電気的結合手段とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層チップ、特に積層チップに適したチップ相互間の電気的結合パスを備えたチップを複数個積層してなる積層チップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体では、数10cm径のウェファの1面(表面)全面にトランジスタや配線などの素子からなるアクティブ領域を一斉に形成した後、ウェファを縦・横に切断し、数mm角のチップを得て、これを1個ずつ数cm角のパッケージに収容し、このパッケージを数cmピッチで回路基板に搭載してシステムを形成している。
そのためシステムレベルでは集積密度がチップレベルよりも2桁程度低下するだけでなく、チップ間の信号伝播に要する伝播時間・消費電力積がチップ内よりもやはり2桁程度悪化し、システムの高速化、低消費電力化、及びサイズ縮小が困難であった。
従って、複数個のチップを積層、即ち厚さ方向に重畳して1個のパッケージに収容するならば、集積密度とチップ間の信号伝播性能を飛躍的に向上できるので、チップの積層は半導体技術における永年の夢であった。
【0003】
チップを積層するためには、チップ相互間の電気的結合構造が鍵になる。
その実現方法としては、例えばチップのサイズを順次縮小して雛段状に重畳し、チップとパッケージ間の接続と同じようにワイヤ・バンプ等でボンディングする方法がある。
しかしながら、この方法では、構造自身が集積密度の向上を妨げている上に、バッチ(一斉)処理が困難であるので、生産性・信頼性が上げられない。
【0004】
そこで、積層された第1と第2のチップ内又はチップ上にバッチ処理により一斉に形成できる電気的結合手段が各種提案されてきた。
電気的結合手段としては、光、インダクタンス性手段、キャパシタンス性手段、抵抗性(導電性)手段がある。
しかしながら、いずれの場合にも、ウェファの厚さ、従ってチップの厚さはウェファのハンドリング上の要請から、少なくとも数10μm必要であることが障害になっている。
【0005】
例えば特許文献1には、第1のチップの表面に発光素子を設け、その上に積層した第2のチップの表面に受光素子を設け、第2のチップのバルク内部を透過する光でデータを伝送する方法が開示されている。
しかしながら、この方法は、少なくとも現在主流となっているシリコン系半導体の場合、チップのバルク内部を透過できる光に対する適切な発受光素子を形成するのが困難である。
【0006】
次に、インダクタンス性手段、即ち第1と第2のチップの表面に各々コイルを形成し、第2のチップのシリコンを介した両コイル間の相互インダクタンスカップリングにより、データを伝送する方法が提案されたが、この方法は、チップ上に小面積で適切なインダクタンス値を得ることが困難な上に、大きなドライブ電流が必要になり、従って低電力高速化が困難であった。
【0007】
また、キャパシタンス性手段、即ち第1と第2のチップの表面に各々平面電極を形成して第2のチップのシリコンを誘電体層とする容量を用いた、キャパシタンスカップリングによりデータを伝送する方法が提案されたが、この方法も、チップ上に大面積を要する上に、上層チップへの電力供給が困難であり、しかも2層より多くの積層が困難であった。
【0008】
そこで、抵抗性(導電性)手段、即ち、「貫通ビア」と呼ばれる、チップの基板の裏面から表面に向かって、基板のバルク内部を厚さ方向に貫通する孔を形成し、孔の内壁を絶縁体で被覆して絶縁壁を形成し、さらにその内部を導電体で被覆して導電層を形成して、基板から電気的に絶縁された導電手段を設ける各種の方法が提案され研究されてきた。
例えば、特許文献2には、貫通ビアを設けた上に、その内部に導電性ピンを埋め込む技術が開示されている。
【0009】
しかしながら、半導体基板の厚さは通常数100μm、裏面研磨などにより薄くした場合でも数10μmあるので、周辺のシリコンバルク及びアクティブ領域(半導体素子・配線の形成領域)にダメージを与えずに、このバルクを貫く「貫通ビア」を設けることは、機械的ドリリング、化学的又は物理化学的エッチングいずれの手段によるにしても、チップ上に大面積を要しても精度が上がらない上に生産性が低く製造コストが高いという多大の困難を伴った。
ちなみにアクティブ領域の形成に用いられる(物理)化学的エッチングの対象とする膜厚はせいぜい1μ程度以内である。
【0010】
特許文献3には、これらの問題を解決するために本願の発明者により先になされた発明が記載されており、その要点は、第2のチップに貫通ビアを設けることなく、第1と第2の電極に挟まれた第2のチップの基板内部の領域、即ち、導電性の半導体基板のバルク自身を電気的結合手段として用いることにあった。
【0011】
図1はこの発明の一実施形態に係る積層チップの断面図であって、基本となる2層積層の場合である。
第1のチップ10は、基板13の第1の面(以下、表面という)16に接する内部に第1の半導体素子からなる電気回路を有し(図示せず)、第2のチップ20との電気的接続は、第1の複数個の電極19(通常、円形又は正方形でパッドと呼ばれる)を介して行われる。
第1の電極19は金属性で例えばアルミニウムからなり、基板13を覆う絶縁膜17の上に設けられ、ビア18を通じて基板内の電気回路に結合されている。
【0012】
一方第2のチップ20も、基板23の表面26に接する内部に、第2の半導体素子からなる電気回路(図示せず)と並んで、前記第1のチップの第1の電極19に対応する直上の位置に各々、第2の電極25を備える。
基板13は導電性であっても絶縁性であってもよいが、基板23はp型又はn型のドーパントを有する導電性半導体である。
第2の電極25は、金属電極、もしくは、金属電極と基板23の表面に形成した基板23のドーパントと同一導電型で且つ高濃度のドーパント層(図示せず)からなり、平面形状は本実施形態では第1の電極19と同形であるが、これに限られない。
【0013】
さて、第1のチップの基板の表面側に第2のチップをその基板23の裏面21が接するように置いて、矢印aaで示すように、第1の電極19を第2のチップの第2の面(以下、裏面という)21に接着すると、2層積層チップが得られる。
この状態で第1、第2の電極19、25は、第1と第2の電極に挟まれた第2のチップの導電性基板内部の領域24(1点鎖線で挟まれたバルク領域)を主とする抵抗器により接続され、これを、第1、第2のチップ間の電気的結合手段とすることができる。
この発明によれば、簡単な構造とプロセスにより経済的なチップ相互間の電気的結合手段を備えた積層チップを提供することができる。
しかしながら、特に第2のチップの比抵抗が高い場合、第2のチップの裏面と第1の電極との間のオーミックコンタクトが取り難いので、接触抵抗が大きく、且つその値の変動範囲が実用的な範囲に収まるよう制御するのが困難であるので、電気的結合手段としての特性に悪影響を及ぼす場合があることが分かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特許出願公告平05−068105号
【特許文献2】特許出願公開平05−183019号
【特許文献3】特許出願特願2008−175780
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明が解決しようとする課題は、貫通ビアを設けることなく、半導体基板のバルク自身を利用してチップ相互間の電気的結合手段とする積層チップにおいて、第2のチップの半導体基板の裏面と第1のチップの電極との間の接触抵抗を抑制できる積層チップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態による積層チップは、基板の一側の面(表面)に複数個の第1の電極を備えた第1のチップと、導電性の半導体基板の表面に半導体素子、及び基板の表面の前記第1の電極に対応する位置に各々第2の電極を備えた第2のチップとを含み、前記第2のチップの裏面には、導電性樹脂層が形成され、前記第1のチップの第1の電極と、前記第2のチップの他側の面(裏面)とが、前記第2のチップの裏面の導電性樹脂層を介して接着されて積層形成され、前記第1、前記第2の電極、及び、前記第1と前記第2の電極に挟まれた前記第2のチップの基板内部の領域を、基板に貫通ビアを設けることなく、前記第1及び前記第2のチップ間の電気的結合手段とすることを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決するための本発明の他の実施形態による積層チップは、基板の一側の面(表面)に複数個の第1の電極を備えた第1のチップと、導電性の半導体基板の表面に半導体素子、及び基板の表面の前記第1の電極に対応する位置に各々第2の電極を備えた第2のチップとを含み、さらに、前記第2のチップの裏面には、前記複数個の第1の電極に対応する位置に各々、第3の電極を備え、前記第1の電極と、対応する前記第3の電極が接着されて積層形成され、接着された前記第1と前記第3の電極、前記第2の電極、及び前記第3と前記第2の電極に挟まれた前記第2のチップの基板内部の領域を、基板に貫通ビアを設けることなく、前記第1及び前記第2のチップ間の電気的結合手段とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、第2のチップの導電性基板の表面と、第2のチップの裏面に接着される別の第1のチップの表面に各々電極を設けるだけで、両電極間の第2のチップの基板バルク領域を抵抗性の電気的結合手段とするので、基板に貫通ビアを設けることなく、即ち、基板よりも導電性の高い、基板を貫通する導電体を設けることなく、また、この導電体を包囲して周囲の基板の部分から絶縁する、基板を貫通する絶縁体を設けることなく、簡単な構造とプロセスにより経済的に形成できるチップ相互間の電気的結合手段を備えた積層チップにおいて、第2のチップの基板の裏面に導電性樹脂層が形成されているので、第2の基板の裏面に接触する別の第1のチップ上の電極との接触抵抗を抑制できる。
【0019】
本発明によれば、第2のチップの導電性基板の表裏2面に各々第2、第3の電極を設けて、両電極間の基板バルク領域を抵抗性の電気的結合手段とするので、基板に貫通ビアを設けることなく、即ち、基板よりも導電性の高い、基板を貫通する導電体を設けることなく、また、この導電体を包囲して周囲の基板の部分から絶縁する、基板を貫通する絶縁体を設けることなく、簡単な構造とプロセスにより経済的に形成できるチップ相互間の電気的結合手段を備えた積層チップにおいて、第2のチップの基板の裏面の、第1のチップの第1の電極に対応する位置に第3の電極が形成されているので、第2の基板の裏面に接着される別の第1のチップの表面に設けた第1の電極との接触抵抗を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本願の発明者の発明になる従来技術による積層チップの断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る積層チップの断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る積層チップの断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の第1の変形例である。
【図5】本発明の第2の実施形態の第2の変形例である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る積層チップの断面図である。(第3の電極)
【図7】本発明の第3の実施形態の第1の変形例である。(第3の電極と高濃度ドーパント層)
【図8】本発明の第3の実施形態の第2の変形例である。(第3の電極と金拡散層)
【図9】本発明の第4の実施形態の第1の変形例である。(導電体の部分的埋め込み)
【図10】本発明の第4の実施形態の第2の変形例である。(導電体の部分的埋め込み)
【図11】本発明の第4の実施形態の第3の変形例である。(導電体の部分的埋め込み)
【図12】本発明の第5の実施形態による積層チップの断面図である。(3層積層)
【図13】本発明の第6の実施形態による電気的結合手段の信号伝達係数の算出方法の説明図であり、(A)は第1、2のチップの部分断面図、(B)は第1、2のチップの部分平面図、(C)は信号伝達係数の等価回路図である。
【図14】本発明の第7の実施形態による電気的結合手段にシールドを施す方法と、その場合の信号伝達係数の算出方法の説明図であり、(A)は第2のチップの部分断面図、(B)は第2のチップの部分平面図、(C)は信号伝達係数の等価回路図である。
【図15】本発明の第8の実施形態に係る3重ウェル型CMOS第2のチップの断面図である。
【図16】本発明の第9の実施形態に係る第1電極のサイズ拡大であり、(A)は第2のチップの部分断面図、(B)は第2の電極の平面図、(C)(D)(E)は第1の電極の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
デジタル系、特に高性能プロセッサの設計においては、CPUと(外付けキャッシュ)メモリを従来通り「フェースアップ」で、即ちチップの表面(アクティブ領域のある面)を上にして個別にパッケージに収容した場合、両者間の信号伝播遅延がシステム性能を致命的に下げており、この信号伝播のワイドバンド化、即ちコンパクト化による高速化が切望されてきた。
【0022】
この要請に対しては、CPU・メモリのチップをパッケージに収容せずに「フェースダウン」で、即ちチップの表面(アクティブ領域のある面)を裏返しにして直接基板に搭載する方法もあるが、肝心のチップの(アクティブ領域)の信頼性確保が極めて高価につくか、もしくは困難であった。
【0023】
本発明の契機がこの要請にあったので、以下の説明では例えば第1のチップはCPU、第2及び第3のチップはメモリであってもよいが、本発明の範囲はこれに留まらず、複数のCPUを含むデジタル系、アナログ系、さらにはデジタル・アナログ混載系などの、任意の複数個のチップを含む系(システム)に適用できることは言うまでもない。
以下に本発明の利点と特徴、及びそれらを達成する方法を、図面を参照して説明する。
なお、明細書全体において上述の従来技術に係る図面(図1)を含めて、同様の参照符号は同様の構成要素を示す。
[実施の形態1]
【0024】
図2は本発明の第1の実施形態に係る積層チップの断面図であって、基本となる2層積層の場合である。
本実施例に係る図2と従来技術に係る図1との相違点は、図2では第2のチップ20の裏面21に導電性樹脂層90を備えることであり、その他の構成は同様であるので、繰り返さない。
第2のチップの裏面21には通常、薄い自然酸化膜層が存在するので、これを除去した後、その上に導電性樹脂層90を形成する。
導電性樹脂層90としては具体的にはカーボンブラック入りエポキシ樹脂が好ましい。
第1のチップ10の第1の電極19は導電性樹脂層90を介して第2のチップの裏面21と良好なオーミックコンタクトが取れる。
導電性樹脂層90は第2のチップの裏面21の全面に形成すればよいので、マスキング工程を要さず、安価に製造できる。
【0025】
導電性樹脂層90は、第2のチップ20の基板バルク領域と同程度の比抵抗を有することが望ましい。
導電性樹脂層90の比抵抗が大きすぎると、電気的結合手段に寄生する直列抵抗値が大きくなり、小さすぎると、電気的結合手段に寄生する並列(漏洩)抵抗値が小さくなるからである。
さらに、導電性樹脂層90の厚さは、第2のチップの基板の厚さの0.1倍程度が望ましい。
導電性樹脂層90の厚さが大きすぎると、電気的結合手段に寄生する直列抵抗値が大きくなり、小さすぎると、電気的結合手段に寄生する並列(漏洩)抵抗値が小さくなるからである。
これら導電性樹脂層90の比抵抗及び厚さがもたらす影響の見積もり方法については後述する[実施の形態6]。
【0026】
最近の半導体チップの基板厚は、回路の電気的特性を向上するため、年々薄くなっており、厚さ50μmクラスが現実的になりつつある。その場合、導電性樹脂層90の厚さは5μm程度以内にせねばならないが、上記導電性樹脂層内の導電性粒子(上記カーボンブラックなど)のサイズは5μm程度以下の微小化を要し、その実現がコスト的に困難な場合がある。
[実施の形態2]
【0027】
図3、図4は本発明の第2の実施形態に係る積層チップの断面図であって、導電性樹脂層として異方性導電フィルムを用いる。
図3では、異方性導電プラスチックフィルム92を用いている。より具体的には日立化成株式会社製の商品名アニソルム、ACF(Anisotropic_Conductive_Film)がある。異方性導電プラスチックフィルム92は、母体プラスチック921に導電性粒子922が散在してなり、フィルム92が部分的に圧縮されると、所在の導電性粒子925が圧縮されながら、その一部がフィルムの両面に露出して両面間を短絡する。
【0028】
図4では、異方性導電ゴムフィルム93を用いている。異方性導電ゴムフィルム93には、母体ゴム931に導電性線材932が散在してなり、ゴムフィルム93が部分的に圧縮されると、所在の導電性線材935が圧縮されながら、その一部がフィルムの両面に露出して両面間を短絡する。
【0029】
本実施の形態では、いずれの場合も、異方性導電フィルムを局所的に圧縮するために、第1電極は第1のチップ10の表面から突出するバンプ191構造を備える。
バンプ191としては、金バンプ、ハンダバンプ、銀ペーストを塗布したハンダバンプの他、図5に示すように、スタッドバンプ192を用いることができる。
【0030】
スタッドバンプ192は、通常のネイルヘッドボンディング技術を用いて、電極パッド193にボンディング後のスタッド194を残して、ボンディングワイヤ196を切除したものである。ボンディングワイヤの切れ端195は残っていても、全体の特性に実質的に影響しない。
このように、スタッドバンプは、金バンプ、ハンダバンプなどのようにマスクを要さず、安価にバンプを形成できる。
【0031】
以上の第1、第2の実施形態における導電性樹脂層の特徴は、第2のチップの裏面全面に何らのマスキングを要さず形成すればよく、安価な工程で実現できることである。
[実施形態3]
【0032】
図6は、本発明の第3の実施形態に係る積層チップの断面図であって、上記第1の実施形態に係る図2との相違点は、第2のチップ20の裏面21に、図2における導電性樹脂層90の代わりに第3の電極22を備えていることである。
第2のチップ20は、その基板23の裏面21の、第1のチップ10の第1の電極19に対応する位置に各々、同形の平面形状で導電性の第3の電極22を備えており、第1の電極19と対応する第3の電極22が接着されて積層チップが形成される。
このようにすると、第1の電極と第2のチップの基板の裏面との間の接触抵抗を低下させ、第1、第2のチップ間の電気的結合手段の抵抗値を第2のチップの基板23のバルクで決まる比較的低い値に安定化できる。
【0033】
第3の電極22は各種の方法で形成できるが、いずれにしても、第3の電極を第1のチップの第1の電極19に対応する場所・形状に選択的に形成するためには、一般にマスキングが必要である。
ただし、このマスキング精度はせいぜい数μm程度でよく、一般に半導体内部の素子形成のような高精度を要さない。
【0034】
具体的実施例に係る第3の電極22は、例えば銀ペーストをスクリーン印刷により選択的に塗布して形成できる。
【0035】
また、別の実施例に係る第3の電極22は、第2のチップの裏面全面に金属薄膜を蒸着又はスパッタなどにより形成し、次に第1の電極の位置に対応する部分を選択的にレーザ照射して形成されるシリサイド層からなり、レーザ照射されなかった部分の金属を除去して形成できる。シリサイド層は、金属とシリコンの共晶をなしており、第3電極表面と半導体基板バルクとは良好なオーミックコンタクトを形成する。金属としては、金が望ましく、大気中でのレーザ照射が可能になる。
【0036】
さらに別の実施例に係る第3の電極22は、第2のチップ20の裏面21をマスキングして選択的に金属薄膜を蒸着又はスパッタにより形成し、次に第2のチップをシンタリング(sintering)して形成できる。
【0037】
本実施の形態においても、上述の第2の実施形態におけると同様に、第1の電極19が第1のチップ10の表面から突出するバンプ(金バンプ、ハンダバンプ、スタッドバンプ、又はスタッドバンプ+銀ペースト)を備えていると、第1の電極19と第3の電極22とのオーミックコンタクトがより確実になる。
【0038】
図7は、本実施形態の第1の変形例である。
図6と比較すると、第2のチップの基板23の裏面21の、第3の電極22に接する部分には、基板23と同一の導電型で基板23のドーパント濃度よりもドーパント濃度が高い高濃度ドーパント層22aが設けられており、ドーパントの型が基板のドーパントの導電型と同じであるから、第3の電極22の基板23に対するオーミックコンタクトを取り易くなり、電気的結合手段の抵抗値をさらに低い値に安定化できる。
【0039】
図8は、本実施形態の第2の変形例であり、第2のチップの第3の電極22の材質を金に限定し、基板の導電型をp型に限定した場合である。
上記図6と比較すると、第2のチップの基板23の裏面21の第3の電極22に接する部分には、第3の電極に由来する金の拡散層22bが形成されており、第3の電極の基板に対するオーミックコンタクトを取り易くすると同時に、基板内部の電気的結合手段のバルク領域24のバルク抵抗値を低下し、第1、第2のチップ間の電気的結合手段の抵抗値をさらに低い値に安定化できる。
[実施形態4]
【0040】
図9、10、11は、本実施形態の第1、第2、第3の変形例であり、各々、第2のチップ20の基板23の内部に、表面側、裏面側、表面側と裏面側の双方、から導電体を埋設して形成した場合であり、いずれも上述の第1〜第3の実施形態の各実施例と組み合わせて使うことができる。
図9〜11では、第1の実施形態(図2)に対応する場合で代表して示してある。
【0041】
図9では、導電体85が第2のチップ20の基板の表面26側から基板内部に第2の電極25を延伸して形成され、図10では、導電体82が第2のチップ20の基板の裏面21側から、基板内部に延伸して形成され、図11では、導電体85が第2のチップ20の基板の表面26側から基板内部に第2の電極25を延伸して形成されると共に、導電体82が第2のチップ20の基板の裏面21側から基板内部に延伸して形成されている。
【0042】
導電体85、82は、各々基板の表面及び裏面にトレンチ(溝)を形成した後、トレンチの内部に導電体を充填して形成される。
又は、トレンチの内部の側壁に沿って筒状に(内部に空洞を残して)導電体を形成してもよい。
トレンチの深さは深いほど信号伝達特性が改善されるが、一方製造工程が急激にコスト高になるので、基板内部の途中で留められ、図9、図10の場合に反対側に到達することはなく、図11の場合に表裏双方からのトレンチが連通することはない。
【0043】
下記の実施形態は、以上第1〜第4の実施形態とその変形例の全てに適用可能であることは言うまでもないが、便宜上第1又は第3の実施形態のいずれかを対象として説明する。
[実施形態5]
【0044】
図12は本実施形態に係る積層チップの断面図であって、3層積層の場合である。便宜上、第1の実施形態(図2)の場合で説明する。
図2と比較すると本実施形態では、第1のチップ10と第2のチップ20との間に第3のチップ30が介挿されている。
第3のチップは、導電性の導電性樹脂層95、基板33、第2の電極35、絶縁膜37、ビア38、第1の電極39、即ち、第1、第2のチップ双方の構成部品を備え、上下の第1、第2のチップ各々との電気的結合手段を有する。
その結果、例えば第1のチップ(CPU)の上に順次第3のチップ(1次キャッシュメモリ)、第2のチップ(2次キャッシュメモリ)をコンパクトに搭載することができる。
第3のチップをさらに介挿するならば、4個又はそれ以上のチップを積層できることが分かる。
【0045】
以上により、2層積層の場合をベースとして任意の層数の積層が可能であることが分かったので、以下の実施の形態の説明は、2層積層について、特に第2のチップ20内の電気的結合手段の詳細を主とするが、これらが3層以上の積層チップの場合にも適用できることは明らかであろう。
[実施形態6]
【0046】
本実施形態は上記の諸形態における電気的結合手段の特性を信号伝達係数として見積もる方法に係る。
その説明は、上記第1、2の実施形態、即ち上記図2〜5に示すように導電性樹脂層90がある場合を対象とし、第1段階では、導電性樹脂層90が仮に無いものとして、信号伝達係数を算出し、第2段階では、導電性樹脂層90の存在による影響を信号伝達係数への補正量として見積もる。
上記第3の実施形態、即ち、上記図6〜8に示すように導電性樹脂層90が無く、代わりに第3の電極22がある場合には、第2段階による補正は不要になる。
【0047】
図13は、電気的結合手段の信号伝達係数の算出方法の説明図である。
第1段階では、上記のように導電性樹脂層90の存在を仮に無視して、第1の電極19は第2のチップの基板に直接接着しているものとする。
図13(A)の、接着した第1、第2のチップ10、20の断面図に示すように、第1と第2の電極の間に形成される電気的結合手段は、第1の電極19と第2の電極25を両端とする円柱状のバルク領域24による主抵抗と、隣接する周辺の第1び第2の電極への寄生抵抗とからなる3次元の連続抵抗網をなしている。
【0048】
図13(B)は第1、2のチップの部分的平面図であり、第1の電極19、第2の電極25の平面形状が共に同一サイズの円形で、第2チップの厚さがt、第1、第2の電極の水平方向の代表的寸法、即ちここでは円の直径がd、隣接して取り囲む電気的結合手段との代表的距離、即ちここでは最隣接円の中心間距離がL/2、の場合である。
【0049】
この場合、図13(C)の等価回路図に示すように、隣接する周辺の第1及び第2の電極(図では8組ある)を一括して一つのノード「O(オー)」と見なして、第1の電極19、第2の電極25、及びノードOの3節点間の抵抗器に集中定数化する。
【0050】
さらに、第1の電極19、第2の電極25間の主抵抗に当たる信号コンダクタンスgcを平行平板電極間コンダクタンスで近似し、第1の電極19、第2の電極25とノード「O」間の抵抗に当たる寄生コンダクタンス2・gpを共軸円筒電極間コンダクタンスで近似すると、第1の電極19から第2の電極25への信号伝達係数Avの概数が次式で算出される。
[数式1]
Av= gc/(gc+gp)
= 1/(1+(1/((d/(2・t))・2・ln(L/d))))
ただし、ここで基板の比抵抗をρとして、
[数式2]
gc=π・d・d/(4・ρ・t)
2・gp=2・π・t/(ρ・ln(L/d))
【0051】
この見積方法により注目されることは、寄生コンダクタンスgp、従って信号伝達係数Avが電極直径(d)と隣接電極間距離(L/2)の比に対数的にしか依存しないことである。
即ち、電極の形状が円と異なっても、あるいは隣接電極の位置や距離がばらついている場合に、適当な代表的数値を用いても、信号伝達係数Avの概数が比較的安定に得られる。
【0052】
例えば、基板比抵抗ρ=20Ωcm、基板厚さt=20μm、電極直径d=40μm、隣接電極間距離の2倍、L=120μmの場合、gc=gp=0.63mSとなり、信号伝達係数Av=0.5となる。
即ち、第1のチップ側の送信信号は、半分に減衰して第2のチップ側の受信信号となる。
例えばデジタル信号の場合、この程度の減衰ならば、第2のチップ側のラッチ又はアンプにより十分元のレベルを回復できることが分かる。
【0053】
ただし、この見積は、周辺の隣接電極の信号電圧が全て静止状態にあるという前提に立っている。
実際には、周辺の隣接電極の信号電圧が全て、注目している電極の信号電圧と逆方向に動くという最悪ケースがあり得る。
【0054】
その場合、寄生コンダクタンス2gpに相当するノイズが生じ、ノイズ伝達係数はAg=gp/(gc+gp)となるので、最終的な信号伝達係数はAf=Av−Agになると考えられる。
従って、この概算方法から、gc/gpを上記のように1としてはAf=0、即ち動作不能になり、Af=1/3〜1/2で動作可能にするためには、gc/gp=2〜3が必要であることが分かる。
【0055】
次に第2段階では、導電性樹脂層90が介在することによる、信号伝達係数Avへの影響の程度を見積もる。
導電性樹脂層90の厚さtjと比抵抗ρjを、第2のチップの基板の厚さtと比抵抗ρに対して次のように最適に選択することにより、導電性樹脂層90の介在による信号伝達係数Avの劣化を最小限に抑えることができる。
即ち、導電性樹脂層90が介在する場合の信号伝達係数Avjを算出する。
まずその場合の信号コンダクタンス、寄生コンダクタンスを各々、gcj、gpjとすると、信号伝達係数Avの変化率、(Avj−Av)/Avとして数式3が得られる。
[数式3]
Avの変化率= (Avj−Av)/Av
= (1+(gp/gc))/(1+(gpj/gcj))−1
【0056】
ここで、(gpj/gcj)と(gp/gc)の比を(1+δ)とおくと、数式4のようになる。
[数式4]
(gpj/gcj)/(gp/gc)=1+δ
=(1+(ρ・tj)/(ρj・t))・(1+(ρj・tj)/(ρ・t))
さらに実際的には、δ<<1であることを考慮すると、
[数式5]
Avの変化率(概数)= −(1−Av)・δ
= −(1−Av)・(ρ/ρj+ρj/ρ)・(tj/t)
となる。
【0057】
数式5から分かるように、Avの変化率を最小限に抑えるためには、基板と導電性樹脂層90の厚さの比を大きくとり、両者の比抵抗は同程度であることが望ましい。
例えば、上記Avの算出例においては基板比抵抗ρ=20Ωcm、基板厚さt=20μm、電極直径d=40μm、隣接電極間距離の2倍、L=120μmの場合、gc=gp=0.63mSとなり、信号伝達係数Av=0.5、であった。
さらに例えば、導電性樹脂層90の厚さtjと比抵抗ρjを、比抵抗ρj=10Ωcm、厚さtj=4μm、とすると、
Avの変化率=−(0.5)・(2.5)・(0.10)= −0.125、
即ち、12.5%程度の低下で済むことが分かる。
[実施形態7]
【0058】
図14は電気的結合手段にシールドを施す方法と、その場合の信号伝達係数の算出方法の説明図であり、上述の積層チップの実施形態1〜3のいずれにも適用可能である。
図14(A)は、接着した第1、第2のチップ10、20の部分断面図であり、図14(B)は第1、2のチップの部分平面図である。
【0059】
シールド手段は、第1のチップ10の基板の表面16上と第2のチップ20の基板の表面26上に各々形成された円環状の第1のシールド用電極43、第2のシールド用電極45と、その間に挟まれた円筒状のバルク領域44とからなり、円形の第1の電極19、バルク領域24、円形の第2の電極25からなる円柱状の電気的結合手段は、円筒状のシールド手段の中心部に位置する。
【0060】
円形の第1の電極19、第2の電極25の直径をd、シールド手段との代表的距離、即ちシールド手段の円筒の直径の中央値をLとする。
この場合も、図14(C)の等価回路図に示すように、シールド手段全体をノード「G」と見なして、第3の電極22、第2の電極25、及びノードGの3節点間の抵抗器に集中定数化する。
【0061】
この場合、シールド手段のノードGは接地電位で概略静止していると見なせるので、上記図13でノイズ伝達係数は概略ゼロ、従って、最終的な信号伝達係数は概略、Af=Av=gc/(gc+gp)となり、シールド手段を施さない場合に比べて同じgc/gp比でもAf値を上げることができる。
【0062】
また図14では、1個の電気的結合手段に個別に1個のシールド手段を施す場合を示したが、隣接する複数個の電気的結合手段にシールド手段を施す場合には、シールド手段の平面形状を複数の三角、四角、又は六角形からなる格子状にして、格子の各目に電気的結合手段を置いてもよい。
これにより、隣接する電気的結合手段がシールド手段を共有できるので、チップ面積の効率化を図ることができる。
[実施形態8]
【0063】
図15は、本実施形態に係る3重ウェル型CMOS第2のチップの断面図である。
3重ウェル型CMOSは、最近の高性能デジタル半導体CMOS_LSIにおいて賞用されているデバイス構造であるが、図15に示すように、本発明による第2の電極25は、3重ウェルのうちのn−MOST用のpウェルとそのコンタクト用p+層とを転用して同一マスク工程で、別工程を追加することなく形成することができ、さらに、全てのMOST素子はnウェルに収容されているので、信号が電気的結合手段に印加されても、基板側からのノイズとしてMOST素子に影響することはなく、好都合である。
【0064】
以上、図2〜図15を参照して実施の形態1〜8として述べてきた本発明による積層チップは、デジタル、アナログ、又は両者の混載を含む半導体LSIに適用可能であるが、特に高密度、高性能デジタルLSIに対して有効であり、その場合、上述の電気的結合手段は、経時的に変化する0又は1に対応する電圧又は電流を伝送するデジタル信号パスとなる。
【0065】
また、その場合、単一又は複数個の前記デジタル信号パスに対して、前記0と1の中間値に対応する電圧又は電流を伝送する参照信号パスをさらに含み、受信側では、各デジタル信号と参照信号を差動増幅することにより、コモンモードノイズを抑えることができる。
特に、デジタル信号パスに対して参照信号パスを1対1で備える場合、参照信号をデジタル信号と逆相にすると、隣接するデジタル信号パスとのノイズ干渉を軽減できる。
[実施形態9]
【0066】
図16は、本実施形態に係り、図16(A)の断面図に示すように、第1の電極19のサイズが第2の電極25に比べて拡大されている。
具体的には、図16(B)の平面図に示すように第2の電極25が直径drの円形であるのに対して、第1の電極19の平面形状は、図16(C)(D)(E)に示すように、その代表的寸法ddは、いずれも図示するように例えばdrの5倍ある。
【0067】
ただし、(C)の場合、第1の電極19は第2の電極25と同寸の5個の小電極からなり、図2も参照すると、それらの小電極は一点鎖線で示すように、第1のチップのビア18よりも第1のチップの内部側で配線(図示せず)により短絡されている。
【0068】
第2のチップの第3の電極22が存在する場合、その平面形状は、第1の電極19と合同であってもよく、又は、第1の電極19より小さく、例えば第2の電極25と同寸であってもよい。
【0069】
このように、拡大された第1の電極を有する電気的結合手段は、特に信号コンダクタンスgcを増大でき、従って最終的な信号伝達係数Afを増大できるので、例えば、デジタル系におけるクロック信号の信号パスとして好適である。
【0070】
さらに、このようなクロック信号パスに対する電気的結合手段に上記の環状のシールド手段を施し、その際、環状のシールド用電極の環の幅を、一般信号パスに対する電気的結合手段の環状のシールド用電極の環の幅よりも大きくとると、クロック信号の波形の近隣信号からのノイズによる歪みを抑制することができる。
【0071】
以上の説明では、第1のチップから第2のチップへの信号伝達の場合を扱ったが、本電気的結合手段は双方向性があり、送信側と受信側を交換した、第2のチップから第1のチップへの信号伝達の場合も、その信号伝達係数Av、Afの算出を含めて同様に扱うことができる。
ただし、上記第9の実施形態の場合については、第2の電極25(送信側)のサイズを第1(第3、及び第1)の電極(受信側)のサイズよりも拡大する。
【0072】
また、以上の実施形態では、全ての層のチップの基板の表面に電極と半導体素子を備えた場合を示したが、一部の層のチップの基板は、半導体素子を欠いてもよい。
例えば、2層又は3層以上の積層チップの最下層のチップの基板は半導体素子を欠き、電極だけを備えていてもよく、その場合、この最下層のチップの基板は電極に接続された配線専用の基板となる。
また、その場合、この最下層のチップの基板に、別チップの半導体素子もしくは抵抗器、キャパシタを含む受動素子を、周知のワイヤボンド、又はフリップチップボンドなどにより搭載してもよい。
【符号の説明】
【0073】
10、20、30 第1、第2、第3のチップ
11、21、31 基板の裏面
12、22、32 第3の電極
22a 高濃度ドーパント層
22b 金の拡散層
13、23、33 基板
14、24、34 バルク領域
15、25、35 第2の電極
16、26、36 基板の表面
17、27、37 絶縁膜
18、28、38 ビア
19、29、39 第1の電極
43、44、45 第1のシールド用電極、バルク領域、第2のシールド用電極
82、85 導電体
90、95 導電性樹脂層
92 異方性導電プラスチックフィルム
93 異方性導電ゴムフィルム
191 バンプ
192 スタッドバンプ
193 電極パッド
194 スタッド
195 ボンディングワイヤの切れ端
196 ボンディングワイヤ
921 母体プラスチック
922 導電性粒子
925 圧縮された導電性粒子
931 母体ゴム
932 導電性線材
935 圧縮された導電性線材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一側の面(表面)に複数個の第1の電極を備えた第1のチップと、導電性の半導体基板の表面に半導体素子、及び基板の表面の前記第1の電極に対応する位置に各々第2の電極を備えた第2のチップとを含み、
前記第2のチップの裏面には、導電性樹脂層が形成され、前記第1のチップの第1の電極と前記第2のチップの他側の面(裏面)とが、前記第2のチップの裏面の導電性樹脂層を介して接着されて積層形成され、
前記第1、前記第2の電極、及び、前記第1と前記第2の電極に挟まれた前記第2のチップの基板内部の領域を、基板に貫通ビアを設けることなく、前記第1及び前記第2のチップ間の電気的結合手段とすることを特徴とする積層チップ。
【請求項2】
前記導電性樹脂層はカーボンブラック入りエポキシ樹脂からなる、ことを特徴とする請求項1に記載の積層チップ。
【請求項3】
前記導電性樹脂層は異方性導電フィルムであり、前記第1の電極は前記第1のチップの表面から突出するバンプを備え、前記第1と第2のチップの接着に際して押圧により、前記異方性導電フィルムのうち前記バンプにより圧縮された部分が、前記バンプにより圧縮されない部分に比べて高い導電率を有するように変化する、ことを特徴とする請求項1に記載の積層チップ。
【請求項4】
基板の一側の面(表面)に複数個の第1の電極を備えた第1のチップと、導電性の半導体基板の表面に半導体素子、及び基板の表面の前記第1の電極に対応する位置に各々第2の電極を備えた第2のチップとを含み、
さらに、前記第2のチップの裏面には、前記複数個の第1の電極に対応する位置に各々、第3の電極を備え、
前記第1の電極と、対応する前記第3の電極が接着されて積層形成され、
接着された前記第1と前記第3の電極、前記第2の電極、及び前記第3と前記第2の電極に挟まれた前記第2のチップの基板内部の領域を、基板に貫通ビアを設けることなく、前記第1及び前記第2のチップ間の電気的結合手段とすることを特徴とする積層チップ。
【請求項5】
前記第3の電極は銀ペーストからなる、ことを特徴とする請求項4に記載の積層チップ。
【請求項6】
前記第3の電極は、前記第2のチップの裏面全面に金属薄膜を形成し、次に前記第1の電極の位置に対応する部分を選択的にレーザ照射して形成されるシリサイド層からなり、レーザ照射されなかった部分の金属は除去される、ことを特徴とする請求項4に記載の積層チップ。
【請求項7】
前記第3の電極は、前記第2のチップの裏面をマスキングして選択的に金属薄膜を形成し、次に前記第2のチップをシンタリング(sintering)して形成されることを特徴とする請求項4に記載の積層チップ。
【請求項8】
前記第1の電極は前記第1のチップの表面から突出するバンプを備える、ことを特徴とする請求項4に記載の積層チップ。
【請求項9】
前記第2のチップの裏面の、前記第3の電極を備える部分には、チップの基板と同一の導電型で基板より高濃度のドーパント層が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の積層チップ。
【請求項10】
前記第2のチップの基板の導電型はp型であり、前記第3の電極は金からなり、前記第2のチップの基板の裏面には、前記第3の電極に由来する金の拡散層が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の積層チップ。
【請求項11】
前記第2のチップの基板の内部には、前記第2の電極から延伸され、前記第2のチップの基板の裏面に達しない導電体、及び前記第2のチップの基板の裏面から延伸され前記第2のチップの基板の第1の電極に達しない導電体のいずれか一方又は双方が埋設されていることを特徴とする請求項1に記載の積層チップ。
【請求項12】
前記第2のチップの基板の内部には、前記第2の電極から延伸され前記第2のチップの第3の電極に達しない導電体、及び前記第3の電極から延伸され前記第2のチップの基板の第1の電極に達しない導電体のいずれか一方又は双方が埋設されていることを特徴とする請求項4に記載の積層チップ。
【請求項13】
前記電気的結合手段において、前記第2のチップの厚さをt、前記第1、前記第2の電極の水平方向の代表的寸法をd、隣接して取り囲む電気的結合手段との水平方向の代表的距離をL/2として、信号コンダクタンスgcを平行平板電極間コンダクタンスで近似し、寄生コンダクタンス2gpを共軸円筒電極間コンダクタンスで近似し、その結果、信号伝達係数Avの概数が次の数式で算出されることを特徴とする請求項1又は4に記載の積層チップ。
[数式1]
Av= 1/(1+(gp/gc))
= 1/(1+(1/((d/(2・t)・2・ln(L/d))))
【請求項14】
前記第1及び前記第2の電極は、各々、環状のシールド用電極に囲まれていることを特徴とする請求項1に記載の積層チップ。
【請求項15】
前記第1、前記第2、及び前記第3の電極は、各々、環状のシールド用電極に囲まれていることを特徴とする請求項4に記載の積層チップ。
【請求項16】
前記電気的結合手段は、経時的に変化する0又は1に対応する電圧又は電流を伝送するデジタル信号パスであることを特徴とする請求項1又は4に記載の積層チップ。
【請求項17】
前記電気的結合手段は、単一又は複数個の前記デジタル信号パスに対して、前記0と1の中間値に対応する電圧又は電流を伝送する参照信号パスをさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の積層チップ。
【請求項18】
前記デジタル信号がクロック信号と一般信号からなり、前記クロック信号パスに対する電気的結合手段の、少なくとも前記第1の電極の面積が、前記一般信号パスに対する電気的結合手段の、前記第2の電極の面積よりも大きいことを特徴とする請求項16に記載の積層チップ。
【請求項19】
前記デジタル信号がクロック信号と一般信号からなり、前記クロック信号パスに対する電気的結合手段の環状のシールド用電極の環の幅が、前記一般信号パスに対する電気的結合手段の環状のシールド用電極の環の幅よりも大きいことを特徴とする請求項16に記載の積層チップ。
【請求項20】
前記第2のチップの基板の厚さと比抵抗が各々t、ρであり、前記導電性樹脂層の厚さと比抵抗が各々tj、ρjであり、前記導電性樹脂層が無い場合と有る場合の信号伝達係数を各々Av、Avjとして、前記導電性樹脂層の介在による信号伝達係数Avの変化率、(Avj−Av)/Avの概数が次の数式で算出されることを特徴とする請求項1に記載の積層チップ。
[数式4]
Avの変化率= −(1−Av)・(ρ/ρj+ρj/ρ)・(tj/t)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−199220(P2010−199220A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40976(P2009−40976)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(508203208)ソーバスメモリ株式会社 (5)
【Fターム(参考)】