説明

積層型電子部品及びその製造方法

【課題】 積層体の端面と側面とで外部端子の大きさが異なるので、ツームストーン現象が発生する。また、小型のものは素子の上面でマイグレーションが発生しやすい。
【解決手段】 絶縁体層と導体パターンを積層して、積層体内に導体パターンによって回路素子が形成され、回路素子が積層体の外表面に形成された複数の外部端子間に接続される。複数の外部端子は、積層体の側面に形成された外部端子の幅と積層体の端面に形成された外部端子の幅が同じで、かつ、全ての外部端子の長さが積層体の厚みよりも薄くなる様に、積層体の底面から側面及び底面から端面に跨ってフォトリソ技術を用いて導体を形成することにより形成される。
【効果】 ツームストーン現象を防止できると共に、形状が小型化した積層型電子部品においても上面での端子間のマイグレーションを低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁体層と導体パターンを積層して、積層体内に導体パターンによって回路素子が形成され、回路素子が積層体の外表面に形成された複数の外部端子間に接続された積層型電子部品及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の積層型電子部品に、図10に示す様に、絶縁体層101と導体パターン102を積層し、これらの積層体内にコイルとコンデンサが形成され、このコイルとコンデンサが積層体の外表面に形成された外部端子間に接続されたものがある。図11(A)はこの様な従来の積層型電子部品の外観を示しており、外部端子111、112は、導体ペーストを積層体110の端面と側面に、浸漬、転写、印刷等により塗布し、これらを一体に焼成し、これにメッキを施すことにより形成される。
【0003】
この様な従来の積層型電子部品は、積層体の端面に形成された外部端子111と積層体の側面に形成された外部端子112の大きさが異なるため、外部端子によってメッキの厚さが異なり、この積層型電子部品を実装基板に実装し、はんだで接続する際に、チップ立ち(ツームストーン現象)が発生するという問題があった。また、この様な従来の積層型電子部品は、形状の小型化により、素子に分割した後に治具等で保持することが難しい上、導体ペーストのダレや滲みにより外部端子の寸法がバラツキ易かった。
【0004】
このチップ立ち(ツームストーン現象)を防止するために、図11(B)に示す様に、積層体110の端面に形成される外部端子111と積層体110の側面に形成される外部端子112の大きさが同じになる様に、積層体の端面と側面に導体ペーストを塗布し、これにメッキを施すことが行われている。
しかし、この様な従来の積層型電子部品は、上面にも外部端子が形成されているため、形状が小型化したものでは上面における外部端子間の間隔が狭くなり、湿度等の影響を受けて上面の外部端子間でマイグレーションが発生し易かった。また、この様な従来の積層型電子部品は、形状の小型化により、素子に分割した後に治具等で保持することが難しいという課題が解決できなかった。
【0005】
素子を治具等で保持することの困難性を改善するために、図11(C)に示す様に、積層体を形成した後、積層体の外部端子を形成する部分に貫通孔を設け、貫通孔内に導体ペーストを充填し、各素子110に分割して貫通孔内の導体ペーストによって外部端子111、112を形成したり、図11(D)に示す様に、積層体を形成した後、積層体の外部端子を形成する部分に貫通孔を設け、貫通孔の内面に導体を形成し、各素子110に分割して貫通孔の内面に形成された導体によって外部端子111、112を形成したりすることが行われている(例えば、特許文献1を参照。)。
しかし、この様な従来の積層型電子部品は、各素子に分割する前に、加工機で積層体に1〜数箇所ずつ貫通孔を外部端子分形成する必要があり、加工機での加工時間が長く、その分コストが増大するという問題があった。また、貫通孔の形成にドリルやパンチを用いた場合、現在の加工機では直径200〜100μmが限界であり、それよりも小さな貫通孔を形成できず、0603サイズ(0.6mm×0.3mm×0.3mm)や0402サイズ(0.4mm×0.2mm×0.2mm)といったように小型化が進んでいる積層型電子部品では外部端子間の距離を十分に確保することができなかった。さらに、貫通孔の形成にレーザを用いた場合、素子の厚み分を貫通するためには複数回照射する必要があり、その分コストが増大すると共に、焦点深度の差異から貫通孔の上径と下径に差が生じ、高精度の外部端子を形成できなかった。
【0006】
この様な問題を解決するために、セラミックシートに貫通孔を形成し、この貫通孔内に端子電極を形成し、この端子電極が形成されたセラミックシートを複数枚積層して積層体を形成し、この積層体を各素子に分割して素子に外部端子を形成したり、セラミック層に貫通孔を形成し、この貫通孔内に導体ペーストを印刷して端子電極を形成し、これらを積み重ねて積層体を形成し、この積層体を各素子に分割して素子に外部端子を形成したりすることが行われている(例えば、特許文献2、特許文献3を参照。)。
【0007】
【特許文献1】特開平7-297080号公報
【特許文献2】特開平6-181141号公報
【特許文献3】特開平11-214235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、この様な従来の積層型電子部品は、ドリル、パンチ、レーザ等の加工機を用いて、1層毎にセラミックシートに貫通孔を形成するため、製造時間が長くなり、その分コストが増大するという問題があった。また、貫通孔の形成にレーザを用いた場合、焦点深度の差異から各セラミックシートの貫通孔の上径と下径に差が生じ、さらに、セラミックシートを積層する際のズレによって、外部端子に層数分の凹凸が生じて鋸歯状となり、高精度の外部端子を形成できなかった。さらに、特許文献3の様に外部端子が形成された積層型電子部品は、セラミック層を印刷する際に貫通孔を形成しているため、セラミックペーストのダレや滲みにより、貫通孔の形状がバラツキ易く、また、0603サイズや0402サイズといった小型のものにおいては貫通孔を形成することができなかった。
【0009】
本発明は、チップ立ち(ツームストーン現象)を防止できると共に、形状が小型化した積層型電子部品においても上面での外部端子間のマイグレーションを低減することができる積層型電子部品及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、絶縁体層と導体パターンを積層して、積層体内に導体パターンによって回路素子が形成され、回路素子が積層体の外表面に形成された複数の外部端子間に接続された積層型電子部品において、複数の外部端子は、積層体の側面に形成された外部端子の幅と積層体の端面に形成された外部端子の幅が同じで、かつ、全ての外部端子の長さが積層体の厚みよりも薄くなる様に、積層体の底面から側面及び底面から端面に跨ってフォトリソ技術を用いて導体を形成することにより形成される。この外部端子は、その幅が100μm以下に形成される。
また、本発明は、絶縁体層と導体パターンを積層して、積層体内に導体パターンによって回路素子が形成され、回路素子が積層体の外表面に形成された複数の外部端子間に接続された積層型電子部品の製造方法において、感光性絶縁体ペーストを用いて感光性絶縁体膜を形成し、感光性絶縁体膜を乾燥、露光、現像して外部端子となる部分に絶縁体層を貫通する貫通孔を形成する工程と、絶縁体層の貫通孔内に感光性導体ペーストを用いて感光性導体を形成し、乾燥、露光、現像して外部端子を構成する導体を形成する工程を繰り返すか又は、感光性導体ペーストを用いて感光性導体膜を形成し、感光性導体膜を乾燥、露光、現像して外部端子を構成する導体を形成する工程と、導体の周囲に感光性絶縁体ペーストを用いて感光性絶縁体膜を形成し、感光性絶縁体膜を乾燥、露光、現像して外部端子となる部分に導体を有する絶縁体層を形成する工程を繰り返すことにより、積層体の側面に形成された外部端子の幅と積層体の端面に形成された外部端子の幅が同じで、かつ、全ての外部端子の長さが積層体の厚みよりも薄くなる様に、積層体の底面から側面及び底面から端面に跨って外部端子が形成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の積層型電子部品は、複数の外部端子が、積層体の側面に形成された外部端子の幅と積層体の端面に形成された外部端子の幅が同じで、かつ、全ての外部端子の長さが積層体の厚みよりも薄くなる様に、積層体の底面から側面及び底面から端面に跨ってフォトリソ技術を用いて導体を形成することにより形成されるので、チップ立ち(ツームストーン現象)を防止できると共に、形状が小型化した積層型電子部品においても上面での外部端子間のマイグレーションを低減することができる。
また、本発明の積層型電子部品の製造方法は、感光性絶縁体ペーストを用いて感光性絶縁体膜を形成し、感光性絶縁体膜を乾燥、露光、現像して外部端子となる部分に絶縁体層を貫通する貫通孔を形成する工程と、絶縁体層の貫通孔内に感光性導体ペーストを用いて感光性導体を形成し、乾燥、露光、現像して外部端子を構成する導体を形成する工程を繰り返すか又は、感光性導体ペーストを用いて感光性導体膜を形成し、感光性導体膜を乾燥、露光、現像して外部端子を構成する導体を形成する工程と、導体の周囲に感光性絶縁体ペーストを用いて感光性絶縁体膜を形成し、感光性絶縁体膜を乾燥、露光、現像して外部端子となる部分に導体を有する絶縁体層を形成する工程を繰り返すことにより、積層体の側面に形成された外部端子の幅と積層体の端面に形成された外部端子の幅が同じで、かつ、全ての外部端子の長さが積層体の厚みよりも薄くなる様に、積層体の底面から側面及び底面から端面に跨って外部端子が形成されるので、チップ立ち(ツームストーン現象)を防止できると共に、形状が小型化した積層型電子部品においても上面での外部端子間のマイグレーションを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の積層型電子部品は、絶縁体層と導体パターンを積層して、積層体内に導体パターンによって回路素子が形成され、回路素子が積層体の外表面に形成された複数の外部端子間に接続される。この複数の外部端子は、積層体の側面に形成された外部端子の幅と積層体の端面に形成された外部端子の幅が同じで、かつ、全ての外部端子の長さが積層体の厚みよりも薄くなる様に、積層体の底面から側面及び底面から端面に跨ってフォトリソ技術を用いて導体を形成することにより形成される。この時、外部端子の幅は、100μm以下に形成される。
この様な本発明の積層型電子部品は、積層体の側面に形成された外部端子のめっきの厚さと積層体の端面に形成された外部端子のめっきの厚さが等しくなるので、実装時の素子の安定性が良くなる。また、本発明の積層型電子部品は、積層体の上面に外部端子が存在しないので、積層体の上面における外部端子間の距離を考慮する必要がなくなると共に、上面を平坦にできる。さらに、本発明の積層型電子部品は、形状が小型のものや、外部端子の数が多いものでも、外部端子の形状のバラツキを少なくできるので、高精度の外部端子を形成することができる。
【実施例】
【0013】
以下、本発明の積層型電子部品及びその製造方法を図1乃至図9を参照して説明する。
図1は本発明の積層型電子部品の第1の実施例を示す分解斜視図、図2は本発明の積層型電子部品の実施例の説明図である。
図1において、11A〜11Hは絶縁体層、12A、12B、12C、13A、13Bは導体パターンである。
絶縁体層11A〜11Hは、磁性体、非磁性体、誘電体等絶縁性を有する材料を用いて形成される。
絶縁体層11Aは、対向する端面の外部端子を形成すべき位置と対向する側面の外部端子を形成すべき位置にそれぞれ貫通孔(図1では4つ)が形成される。貫通孔内には、絶縁体層11Aと同じ厚みの導体14A1、14A2、14A3、14A4が形成される。導体14A1と導体14A3は、その端面が絶縁体層11Aの端面にそれぞれ露出する様に形成される。また、導体14A2と導体14A4は、その端面が絶縁体層11Aの側面にそれぞれ露出する様に形成される。導体14A1、導体14A2、導体14A3、導体14A4は、絶縁体層11Aの端面又は側面に露出している幅が同じになる様に形成される。
絶縁体層11Bは、絶縁体層11Aの貫通孔と対応する位置(すなわち、対向する端面の外部端子を形成すべき位置と対向する側面の外部端子を形成すべき位置)にそれぞれ貫通孔が形成される。これらの貫通孔は、絶縁体層11Bの端面又は側面から先端までの距離が絶縁体層11Aに形成された貫通孔よりも短くなる様に形成される。貫通孔内には、絶縁体層11Bと同じ厚みの導体14B1、14B2、14B3、14B4が形成される。導体14B1と導体14B3は、その端面が絶縁体層11Bの端面に露出する様に形成される。また、導体14B2と導体14B4は、その端面が絶縁体層11Bの側面に露出する様に形成される。導体14B1乃至導体14B4は、絶縁体層11Bの端面又は側面に露出している幅が同じに形成される。この時、導体14B1〜14B4の幅は、導体14A1〜14A4の幅と同じに形成される。
絶縁体層11Cは、絶縁体層11Bの貫通孔と対応する位置にそれぞれ貫通孔が形成される。これらの貫通孔は、絶縁体層11Cの端面又は側面から先端までの距離が絶縁体層11Bに形成された貫通孔と等しくなる様に形成される。貫通孔内には、導体14C1、14C2、14C3、14C4が形成される。導体14C1と導体14C3は、その端面が絶縁体層11Cの端面に露出する様に形成される。導体14C2と導体14C4は、その端面が絶縁体層11Cの側面に露出する様に形成される。導体14C1乃至導体14C4は、絶縁体層11Cの端面又は側面に露出している幅が同じに形成される。この時、導体14C1〜14C4の幅は、導体14B1〜14B4の幅と同じに形成される。この様に導体14C1〜14C4が形成された絶縁体層11Cの表面には、コンデンサ用導体パターン12Aが形成される。このコンデンサ用導体パターン12Aは、導体14C2と導体14C4に連なって形成される。
絶縁体層11Dは、絶縁体層11Cの貫通孔と対応する位置にそれぞれ貫通孔が形成される。貫通孔内には、導体14D1、14D2、14D3、14D4が形成される。導体14D1と導体14D3は、その端面が絶縁体層11Dの端面に露出する様に形成される。導体14D2と導体14D4は、その端面が絶縁体層11Dの側面に露出する様に形成される。導体14D1乃至導体14D4は、絶縁体層11Dの端面又は側面に露出している幅が同じに形成される。この時、導体14D1〜14D4の幅は、導体14C1〜14C4の幅と同じに形成される。この様に導体14D1〜14D4が形成された絶縁体層11Dの表面には、コンデンサ用導体パターン12Bとコンデンサ用導体パターン12Cが形成される。コンデンサ用導体パターン12Bとコンデンサ用導体パターン12Cは、コンデンサ用導体パターン12Aと対向する位置に形成される。コンデンサ用導体パターン12Bは導体14D1に連なって形成される。また、コンデンサ用導体パターン12Cは導体14D3に連なって形成される。
絶縁体層11Eは、絶縁体層11Dの貫通孔と対応する位置にそれぞれ貫通孔が形成される。貫通孔内には、導体14E1、14E2、14E3、14E4が形成される。導体14E1と導体14E3は、その端面が絶縁体層11Eの端面に露出する様に形成される。導体14E2と導体14E4は、その端面が絶縁体層11Eの側面に露出する様に形成される。導体14E1乃至導体14E4は、絶縁体層11Eの端面又は側面に露出している幅が同じに形成される。この時、導体14E1〜14E4の幅は、導体14D1〜14D4の幅と同じに形成される。
絶縁体層11Fは、絶縁体層11Eの端面に形成された貫通孔と対応する位置(すなわち、対向する端面の外部端子を形成すべき位置)にそれぞれ貫通孔が形成される。貫通孔内には、導体14F1、14F2が形成される。導体14F1と導体14F2は、その端面が絶縁体層11Fの端面に露出する様に形成される。導体14F1、導体14F2は、絶縁体層11Fの端面に露出している幅が同じに形成される。この時、導体14F1、14F2の幅は、導体14E1、14E3の幅と同じに形成される。この様に導体14F1、14F2が形成された絶縁体層11Fの表面には、コイル用導体パターン13Aが形成される。コイル用導体パターン13Aは、一端が導体14F1に連なって形成される。
絶縁体層11Gは、絶縁体層11Fの貫通孔と対応する位置にそれぞれ貫通孔が形成される。貫通孔内には、導体14G1、14G2が形成される。導体14G1と導体14G2は、その端面が絶縁体層11Gの端面に露出する様に形成される。導体14G1、導体14G2は、絶縁体層11Gの端面に露出している幅が同じに形成される。この時、導体14G1、14G2の幅は、導体14F1、14F2の幅と同じに形成される。この様に導体14G1、14G2が形成された絶縁体層11Gの表面には、コイル用導体パターン13Bが形成される。コイル用導体パターン13Bは、一端がコイル用導体パターン13Aの他端に接続され、他端が導体14G2に連なって形成される。このコイル用導体パターン13Aとコイル用導体パターン13Bが接続されることによりコイルが形成される。
絶縁体層11Gの上面には、絶縁体層11Hが積層される。
これらの積層体内に導体パターンによってコイルとコンデンサが形成され、図2(A)に示す様に、積層体20の対向する端面に外部端子21が、積層体20の対向する側面に外部端子22が形成される。外部端子21は、積層体の一方の端面に露出した導体14A1、14B1、14C1、14D1、14E1、14F1、14G1又は、積層体の他方の端面に露出した導体14A3、14B3、14C3、14D3、14E3、14F3、14G3によって形成される。外部端子22は、積層体の一方の側面に露出した導体14A2、14B2、14C2、14D2、14E2又は、積層体の他方の側面に露出した導体14A4、14B4、14C4、14D4、14E4によって形成される。外部端子21と外部端子22は、図2(B)と図2(C)に示す様に、その幅Wが等しく、外部端子21の長さH1と外部端子22の長さH2が積層体の厚みHよりも小さく形成される。また、コンデンサよりも上層に配置されたコイルと接続される外部端子21の長さH1が、コンデンサと接続される外部端子22の長さH2よりも長くなる様に形成される。この積層体20の底面には、図2(D)に示す様に、導体14A1、導体14A2、導体14A3、導体14A4が露出することにより外部端子21と外部端子22が形成される。外部端子21の積層体の端面から先端間の距離と外部端子22の積層体の側面から先端間の距離は、等しくなる様に形成される。
この積層体に形成された外部端子21と外部端子22には、めっきが施される。
この様に形成された積層型電子部品は、積層体の上面に外部端子が形成されることがなくなると共に、積層体の側面に形成された外部端子の幅と積層体の端面に形成された外部端子の幅が同じで、かつ、全ての外部端子の長さが積層体の厚みよりも小さくなる。
【0014】
この様な積層型電子部品は、次の様にして製造される。まず、図3(A)に示す様に、PETフィルム等の支持体(図示を省略)の表面全体に感光性絶縁体ペーストを塗布し、乾燥させて、支持体上に感光性絶縁体膜31が形成される。感光性絶縁体ペーストは、磁性体や誘電体等の絶縁性セラミックスに感光剤が混入されてペースト状に形成され、スクリーン印刷、スピンコート、ドクターブレード等の方法を用いて厚みが一様になる様に支持体上に塗布される。
次に、この感光性絶縁体膜31に光線を照射して露光した後、現像液で現像し、これを乾燥させることにより、図3(B)に示す様に、各素子の端面と側面の外部端子を形成すべき位置に貫通孔Hを有する絶縁体層11Aが形成される。
続いて、図3(C)に示す様に、この絶縁体層11Aの表面及び貫通孔内に感光性導体ペーストを塗布し、乾燥させて、絶縁体層11Aの貫通孔内に感光性導体34が充填される。感光性導体ペーストは、銀、銀とパラジウムの合金、銅、ニッケル等の導電材料に感光剤が混入されてペースト状に形成され、スクリーン印刷、スピンコート、ドクターブレード等の方法を用いて絶縁体層11Aの表面に塗布することにより、貫通孔H内に充填される。
さらに、この感光性導体34に光線を照射して露光した後、現像液で現像し、これを乾燥させることにより、図3(D)に示す様に、絶縁体層11Aの貫通孔内に導体14A1、14A2、14A3、14A4が形成される。
次に、図3(A)〜図3(D)の工程を所定の回数繰り返して、この導体14A1〜14A4が形成された絶縁体層11A上に、導体14B1、14B2、14B3、14B4を有する絶縁体層11Bが所定の層数形成される(図3では1層)。この時、絶縁体層11Bの貫通孔は下層の導体が露出する様に形成され、この貫通孔内に形成された導体が下層の導体と接続される。
続いて、この導体14B1〜14B4を有する絶縁体層11Bの表面全体に感光性絶縁体ペーストを厚みが一様になる様に塗布し、乾燥させることにより、図4(A)に示す様に、絶縁体層11B上に感光性絶縁体膜31Cが形成される。
さらに、この感光性絶縁体膜31Cに光線を照射して露光した後、現像液で現像し、これを乾燥させることにより、図4(B)に示す様に、絶縁体層11B上に各素子の端面と側面の外部端子を形成すべき位置に貫通孔Hを有する絶縁体層11Cが形成される。この絶縁体層11Cの貫通孔Hの底面には導体14B1〜14B4が露出している。
次に、この絶縁体層11Cの表面全体に感光性導体ペーストを厚みが一様になる様に塗布し、乾燥させることにより、図4(C)に示す様に、絶縁体層11Cの貫通孔内に感光性導体が充填されると共に、絶縁体層11Cの表面に感光性導体膜32が形成される。
続いて、この感光性導体膜32に光線を照射して露光した後、現像液で現像し、これを乾燥させることにより、図4(D)に示す様に、絶縁体層11Cの貫通孔内に導体14C1、14C2、14C3、14C4が形成されると共に、絶縁体層11Cの表面にこの導体14C2、14C4に連なって接続されたコンデンサ用導体パターン12Aが形成される。導体14C1、14C2、14C3、14C4は、絶縁体層11Cの貫通孔の底面にそれぞれ露出していた導体14B1、14B2、14B3、14B4と接続される。
さらに、このコンデンサ用導体パターン12Aが形成された絶縁体層11Cの表面全体に感光性絶縁体ペーストを厚みが一様になる様に塗布し、乾燥させることにより、図4(E)に示す様に、絶縁体層11C上に感光性絶縁体膜31Dが形成される。
さらに続いて、この感光性絶縁体膜31Dに光線を照射して露光した後、現像液で現像し、これを乾燥させることにより、図4(F)に示す様に、絶縁体層11C上に各素子の端面と側面の外部端子を形成すべき位置に貫通孔Hを有する絶縁体層11Dが形成される。この絶縁体層11Dの貫通孔Hの底面には導体14C1〜14C4が露出している。
次に、この絶縁体層11Dの表面全体に感光性導体ペーストを厚みが一様になる様に塗布し、乾燥させることにより、図4(G)に示す様に、絶縁体層11Dの貫通孔内に感光性導体が充填されると共に、絶縁体層11Dの表面に感光性導体膜32が形成される。
続いて、この感光性導体膜32に光線を照射して露光した後、現像液で現像し、これを乾燥させることにより、図4(H)に示す様に、絶縁体層11Dの貫通孔内に導体14D1、14D2、14D3、14D4が形成されると共に、絶縁体層11Dの表面に導体14D1に接続されたコンデンサ用導体パターン12Bと、導体14D3に接続されたコンデンサ用導体パターン12Cが形成される。導体14D1〜14D4は、絶縁体層11Dの貫通孔の底面にそれぞれ露出していた導体14C1〜14C4と接続される。
さらに、このコンデンサ用導体パターン12B、12Cが形成された絶縁体層11Dの表面全体に感光性絶縁体ペーストを塗布し、乾燥させた後、露光、現像し、これを乾燥させることにより、図4(I)に示す様に、絶縁体層11D上に貫通孔Hを有する絶縁体層11Eが形成される。
さらに続いて、図4(J)に示す様に、この絶縁体層11Eの表面及び貫通孔内に感光性導体ペーストを塗布し、乾燥させて、絶縁体層11Eの貫通孔内に感光性導体34Eが充填される。
次に、この感光性導体34Eに光線を照射して露光した後、現像液で現像し、これを乾燥させることにより、図4(K)に示す様に、絶縁体層11Eの貫通孔内に導体14E1、14E2、14E3、14E4が形成される。
さらに、この導体14E1〜14E4が形成された絶縁体層11Eの表面全体に感光性絶縁体ペーストを厚みが一様になる様に塗布し、乾燥させることにより、図5(A)に示す様に、絶縁体層11E上に感光性絶縁体膜31Fが形成される。
続いて、この感光性絶縁体膜31Fに光線を照射して露光した後、現像液で現像し、これを乾燥させることにより、図5(B)に示す様に、絶縁体層11E上に各素子の端面の外部端子を形成すべき位置に貫通孔Hを有する絶縁体層11Fが形成される。この絶縁体層11Fの貫通孔Hの底面には導体14E1、14E3が露出している。
次に、この絶縁体層11Fの表面全体に感光性導体ペーストを厚みが一様になる様に塗布し、乾燥させることにより、図5(C)に示す様に、絶縁体層11Fの貫通孔内に感光性導体が充填されると共に、絶縁体層11Fの表面に感光性導体膜33が形成される。
続いて、この感光性導体膜33に光線を照射して露光した後、現像液で現像し、これを乾燥させることにより、図5(D)に示す様に、絶縁体層11Fの貫通孔内に導体14F1、14F2が形成されると共に、絶縁体層11Fの表面に導体14F1に接続されたコイル用導体パターン13Aが形成される。導体14F1、14F2は、絶縁体層11Fの貫通孔の底面にそれぞれ露出していた導体14E1、14E3と接続される。
さらに続いて、このコイル用導体パターン13Aが形成された絶縁体層11Fの表面全体に感光性絶縁体ペーストを厚みが一様になる様に塗布し、乾燥させて、図5(E)に示す様に、絶縁体層11F上に感光性絶縁体膜31Gが形成される。
次に、この感光性絶縁体膜31Gに光線を照射して露光した後、現像液で現像し、これを乾燥させることにより、図5(F)に示す様に、絶縁体層11F上に各素子の端面の外部端子を形成すべき位置に貫通孔Hを、コイル用導体パターン13Aの一端と対向する位置にスルーホールSを有する絶縁体層11Gが形成される。この貫通孔Hの底面には導体14F1、14F2が、スルーホールSの底面にはコイル用導体パターン13Aがそれぞれ露出している。
続いて、この絶縁体層11Gの表面全体に感光性導体ペーストを厚みが一様になる様に塗布し、乾燥させることにより、図5(G)に示す様に、絶縁体層11Gの貫通孔内とスルーホール内に感光性導体が充填されると共に、絶縁体層11Gの表面に感光性導体膜33が形成される。
さらに続いて、この感光性導体膜33に光線を照射して露光した後、現像液で現像し、これを乾燥させることにより、図5(H)に示す様に、絶縁体層11Gの貫通孔内に導体14G1、14G2が形成されると共に、絶縁体層11Gの表面に導体14G2に接続されたコイル用導体パターン13Bが形成される。導体14G1、14G2は、絶縁体層11Gの貫通孔の底面にそれぞれ露出していた導体14F1、14F2と接続される。
このコイル用導体パターン13Bが形成された絶縁体層11Gの表面には、絶縁体層11Hが形成される。この様に積層された積層体は、図5(I)に示す様に、一点鎖線で示す部分で切断し各素子に分割される。分割された各素子は、図1、図2に示す様に積層体の対向する端面に外部端子21が、積層体の対向する側面に外部端子22がそれぞれ形成される。この外部端子21、22には、めっきが施される。
この様に形成された本発明の積層型電子部品は、貫通孔の上下で径の大きさを等しくできるので、外部端子に層数分の凹凸が生じて鋸歯状となることもなく、かつ、外部端子を構成する下層の導体へのダメージもなく、高精度の外部端子を形成できる。
【0015】
図6は本発明の積層型電子部品の第2の実施例を示す分解斜視図である。
絶縁体層61Aには、外部端子を形成すべき位置に4つの貫通孔が形成され、各貫通孔内に絶縁体層61Aと同じ厚みの導体64Aが形成される。4つの導体64Aは、絶縁体層61Aの端面又は側面に露出している幅が同じになる様に形成される。
絶縁体層11Bには、外部端子を形成すべき位置に4つの貫通孔が形成され、各貫通孔内に絶縁体層61Bと同じ厚みの導体64Bが形成される。4つの導体64Bは、絶縁体層61Bの端面又は側面に露出している幅が導体64Aと同じになる様に形成されると共に、端面から先端までの距離が導体64Aよりも短く形成される。
絶縁体層61Cには、外部端子を形成すべき位置に4つの貫通孔が形成されると共に、中央部分にコンデンサ用導体パターンと同じ大きさの貫通孔Hが形成される。4つの貫通孔内には、その端面が絶縁体層61Cの端面又は側面に露出する導体64Cが形成される。また、貫通孔H内には、絶縁体層61Cの側面に露出する2つの導体64Cに接続されたコンデンサ用導体パターン62Aが形成される。導体64Cとコンデンサ用導体パターン62Aは、絶縁体層61Cの厚みと同じ厚みになる様に形成される。
絶縁体層61Dには、外部端子を形成すべき位置に4つの貫通孔が形成され、各貫通孔内に絶縁体層61Dと同じ厚みの導体64Dが形成される。導体64Dは、端面が絶縁体層61Dの端面又は側面に露出する様に形成される。
絶縁体層61Eには、外部端子を形成すべき位置に4つの貫通孔が形成されると共に、中央部にコンデンサ用導体パターンと同じ大きさの2つの貫通孔Hが形成される。4つの貫通孔内には、その端面が絶縁体層61Eの端面又は側面に露出する導体64Eが形成される。また、2つの貫通孔H内には、絶縁体層61Eの端面にそれぞれ露出する導体64Eにそれぞれ接続されたコンデンサ用導体パターン62B、62Cが形成される。導体64Eとコンデンサ用導体パターン62B、62Cは、絶縁体層61Eの厚みと同じ厚みになる様に形成される。
絶縁体層61Fには、外部端子を形成すべき位置に4つの貫通孔が形成され、各貫通孔内に絶縁体層61Fと同じ厚みの導体64Fが形成される。導体64Fは、端面が絶縁体層61Fの端面又は側面に露出する様に形成される。
絶縁体層61Gには、外部端子を形成すべき位置に2つの貫通孔が形成され、各貫通孔内に絶縁体層61Gと同じ厚みの導体64Gが形成される。導体64Gは、端面が絶縁体層61Gの端面に露出する様に形成される。
絶縁体層61Hには、外部端子を形成すべき位置に2つの貫通孔が形成されると共に、中央部にコイル用導体パターンと同じ大きさの貫通孔Hが形成される。2つの貫通孔内には、その端面が絶縁体層61Hの端面に露出する導体64Hが形成される。また、貫通孔H内には、絶縁体層61Hの一方の端面に露出する導体64Hにその一端が接続されたコイル用導体パターン63Aが形成される。導体64Hとコイル用導体パターン63Aは、絶縁体層61Hの厚みと同じ厚みになる様に形成する。
絶縁体層61Iには、外部端子を形成すべき位置に2つの貫通孔が形成されると共に、コイル用導体パターンの他端と対応する位置にスルーホールが形成される。2つの貫通孔内には、その端面が絶縁体層61Iの端面に露出する、絶縁体層61Iと同じ厚みの導体64Iが形成される。また、スルーホール内には、導体Sが形成される。
絶縁体層61Jには、外部端子を形成すべき位置に2つの貫通孔が形成されると共に、中央部にコイル用導体パターンと同じ大きさの貫通孔Hが形成される。2つの貫通孔内には、その端面が絶縁体層61Jの端面に露出する導体64Jが形成される。また、貫通孔H内には、絶縁体層61Jの他方の端面に露出する導体64Jにその一端が接続されたコイル用導体パターン63Bが形成される。導体64Jとコイル用導体パターン63Bは、絶縁体層61Jの厚みと同じ厚みになる様に形成する。コイル用導体パターン63Bの他端は導体Sを介してコイル用導体パターン63Aの他端と接続される。このコイル用導体パターン63Aとコイル用導体パターン63Bが接続されることによりコイルが形成される。
この絶縁体層61Jの上面には、絶縁体層61Kが積層される。
これらの積層体内に導体パターンによってコイルとコンデンサが形成され、図2(A)に示す様に、積層体20の対向する端面に外部端子21が、積層体20の対向する側面に外部端子22が形成される。外部端子21と外部端子22は、図2(B)と図2(C)に示す様に、その幅Wが等しく、外部端子21の長さH1と外部端子22の長さH2が積層体の厚みHよりも小さく形成される。また、コンデンサよりも上層に配置されたコイルと接続される外部端子21の長さH1が、コンデンサと接続される外部端子22の長さH2よりも長くなる様に形成される。
【0016】
この様な積層型電子部品は、次の様にして製造される。まず、図7(A)に示す様に、PETフィルム等の支持体(図示を省略)上に、感光性絶縁体ペーストを塗布し、露光、現像することにより形成された各素子の端面と側面の外部端子を形成すべき位置に貫通孔を有する絶縁体層61A、61Bと、感光性導体ペーストを塗布し、露光、現像することにより絶縁体層61A、61Bの貫通孔内に形成された導体とを積層した後、絶縁体層61Bの表面全体に感光性絶縁体ペーストを塗布し、乾燥させることにより、絶縁体層61B上に感光性絶縁体膜71Cが形成される。
次に、この感光性絶縁体膜71Cに光線を照射して露光した後、現像液で現像し、これを乾燥させることにより、図7(B)に示す様に、各素子の端面と側面の外部端子を形成すべき位置の4つの貫通孔と、各素子の中央部のコンデンサ用導体パターンと同じ形状の貫通孔Hを有する絶縁体層61Cが形成される。貫通孔Hは、各素子の対向する側面の外部端子を形成すべき位置に形成された2つの貫通孔と連なる様に形成される。4つの貫通孔の底面には絶縁体層61Bに形成された導体が露出している。
続いて、この絶縁体層61Cの表面、各素子の端面と側面の外部端子を形成すべき位置の4つの貫通孔内及び、各素子の中央部の貫通孔H内に感光性導体ペーストを塗布し、乾燥させて、図7(C)に示す様に、絶縁体層61Cの各素子の端面と側面の外部端子を形成すべき位置の4つの貫通孔内と、各素子の中央部の貫通孔H内に感光性導体72が充填された後、感光性導体72を露光、現像し、これを乾燥させて、図7(D)に示す様に、各素子の端面と側面の外部端子を形成すべき位置の4つの貫通孔内に導体64Cが、各素子の中央部の貫通孔内にコンデンサ用導体パターン62Aがそれぞれ形成される。コンデンサ用導体パターン62Aは、各素子の対向する側面に露出する導体64Cに連なって形成される。また、導体64Cは、絶縁体層61Cの4つの貫通孔の底面にそれぞれ露出していた導体と接続される。
さらに、このコンデンサ用導体パターン62Aと導体64Cを備えた絶縁体層61Cの表面全体に感光性絶縁体ペーストを厚みが一様になる様に塗布し、乾燥させて、図7(E)に示す様に、絶縁体層61C上に感光性絶縁体膜71Dを形成した後、感光性絶縁体膜71Dを露光、現像し、これを乾燥させて、図7(F)に示す様に、各素子の端面と側面の外部端子を形成すべき位置に4つの貫通孔が形成された絶縁体層61Dが形成される。4つの貫通孔の底面には導体64Cが露出している。
次に、この絶縁体層61Dの表面及び、各素子の端面と側面の外部端子を形成すべき位置の4つの貫通孔内に感光性導体ペーストを塗布し、乾燥させて、図7(G)に示す様に、絶縁体層61Dの各素子の端面と側面の外部端子を形成すべき位置の4つの貫通孔内に感光性導体74を充填した後、感光性導体74を露光、現像し、これを乾燥させて、図7(H)に示す様に、各素子の端面と側面の外部端子を形成すべき位置の4つの貫通孔内に導体64Dが形成される。導体64Dは、絶縁体層61Dの4つの貫通孔の底面に露出していた導体64Cと接続される。
続いて、この導体64Dを備えた絶縁体層61Dの表面全体に感光性絶縁体ペーストを厚みが一様になる様に塗布し、乾燥させて、図7(I)に示す様に、絶縁体層61D上に感光性絶縁体膜71Eを形成した後、感光性絶縁体膜71Eを露光、現像し、これを乾燥させて、図7(J)に示す様に、各素子の端面と側面の外部端子を形成すべき位置の4つの貫通孔と、各素子の中央部のコンデンサ用導体パターンと同じ形状の貫通孔H1、H2を有する絶縁体層61Eが形成される。貫通孔H1、H2は、各素子の対向する端面の外部端子を形成すべき位置に形成された2つの貫通孔と連なる様に形成される。4つの貫通孔の底面には導体64Dが露出している。
さらに、この絶縁体層61Eの表面、各素子の端面と側面の外部端子を形成すべき位置の4つの貫通孔内及び、各素子の中央部の貫通孔H1、H2内に感光性導体ペーストを塗布し、乾燥させて、図7(K)に示す様に、絶縁体層61Eの各素子の端面と側面の外部端子を形成すべき位置の4つの貫通孔内と、各素子の中央部の貫通孔H1、H2内に感光性導体72を充填した後、感光性導体72を露光、現像し、これを乾燥させて、図7(L)に示す様に、各素子の端面と側面の外部端子を形成すべき位置の4つの貫通孔内に導体64Eが、各素子の中央部の貫通孔内にコンデンサ用導体パターン62B、62Cがそれぞれ形成される。コンデンサ用導体パターン62B、62Cは、各素子の対向する端面に露出する導体64Eにそれぞれ連なって形成される。また、導体64Eは、絶縁体層61Eの4つの貫通孔の底面に露出していた導体64Dと接続される。
次に、導体64Eとコンデンサ用導体パターン62B、62Cを備えた絶縁体層61Eの表面全体に感光性絶縁体ペーストを厚みが一様になる様に塗布し、乾燥させることにより、図7(M)に示す様に、絶縁体層61E上に感光性絶縁体膜71Fが形成される。
続いて、この感光性絶縁体膜71Fを露光、現像し、これを乾燥させて各素子の端面と側面の外部端子を形成すべき位置に4つの貫通孔を備えた絶縁体層を形成した後、この絶縁体層の表面及び、各素子の端面と側面の外部端子を形成すべき位置の4つの貫通孔内に感光性導体ペーストを塗布し、露光、現像し、乾燥させることにより、図7(N)に示す様に、絶縁体層61Fの各素子の端面と側面の外部端子を形成すべき位置の4つの貫通孔内に導体64Fが形成される。導体64Fは、絶縁体層61Fの4つの貫通孔の底面に露出していた導体64Eと接続される。
さらに、導体64Fを備えた絶縁体層61Fの表面全体に感光性絶縁体ペーストを厚みが一様になる様に塗布し、乾燥させて、図8(A)に示す様に、絶縁体層61F上に感光性絶縁体膜71Gを形成した後、この感光性絶縁体膜71Gを露光、現像し、これを乾燥させて、図8(B)に示す様に、各素子の端面の外部端子を形成すべき位置の2つの貫通孔を有する絶縁体層61Gが形成される。2つの貫通孔の底面には、それぞれ導体64Fが露出している。
さらに続いて、絶縁体層61Gの表面及び、各素子の端面の外部端子を形成すべき位置の2つの貫通孔内に感光性導体ペーストを塗布し、乾燥させて、図8(C)に示す様に、絶縁体層61Gの貫通孔内に感光性導体74を充填した後、感光性導体74を露光、現像し、これを乾燥させて、図8(D)に示す様に、各素子の端面の外部端子を形成すべき位置の2つの貫通孔内に導体64Gが形成される。導体64Gは、絶縁体層61Gの貫通孔の底面に露出していた導体64Fと接続される。
次に、導体64Gを備えた絶縁体層61Gの表面全体に感光性絶縁体ペーストを厚みが一様になる様に塗布し、乾燥させて、図8(E)に示す様に、絶縁体層61G上に感光性絶縁体膜71Hを形成した後、感光性絶縁体膜71Hを露光、現像し、これを乾燥させて、図8(F)に示す様に、各素子の端面と側面の外部端子を形成すべき位置に2つの貫通孔と、各素子の中央部のコイル用導体パターンと同じ形状の貫通孔Hを有する絶縁体層61Hが形成される。2つの貫通孔の底面には、それぞれ導体64Gが露出している。
続いて、絶縁体層61Hの表面、各素子の端面の外部端子を形成すべき位置の2つの貫通孔及び、各素子の中央部の貫通孔H内に感光性導体ペーストを塗布し、乾燥させて、図8(G)に示す様に、絶縁体層61Gの各素子の端面の外部端子を形成すべき位置の2つの貫通孔と各素子の中央部の貫通孔H内に感光性導体73を充填した後、感光性導体73を露光、現像し、これを乾燥させて、図8(H)に示す様に、絶縁体層61Hの各素子の端面の外部端子を形成すべき位置の2つの貫通孔内に導体64Hが、絶縁体層61Hの各素子の中央部の貫通孔内にコイル用導体パターン63Aが形成される。コイル用導体パターン63Aは、その一端が各素子の一方の端面に露出する導体64Hに連なって形成される。
さらに、導体64Hとコイル用導体パターン63Aを備えた絶縁体層61Hの表面全体に感光性絶縁体ペーストを厚みが一様になる様に塗布し、乾燥させて、図8(I)に示す様に、絶縁体層61H上に感光性絶縁体膜71Iを形成した後、感光性絶縁体膜71Iを露光、現像し、これを乾燥させて、図8(J)に示す様に、各素子の端面と側面の外部端子を形成すべき位置の2つの貫通孔と、コイル用導体パターンの他端と対応する位置のスルーホールを有する絶縁体層61Iが形成される。
さらに続いて、この絶縁体層61Iの表面、各素子の端面の外部端子を形成すべき位置の2つの貫通孔及び、コイル用導体パターンの他端と対応する位置のスルーホール内に感光性導体ペーストを塗布し、乾燥させて、図8(K)に示す様に、各素子の端面の外部端子を形成すべき位置の2つの貫通孔とコイル用導体パターンの他端と対応する位置のスルーホール内に感光性導体74を充填した後、感光性導体74を露光、現像し、これを乾燥させて、図8(L)に示す様に、絶縁体層61Iの各素子の端面の外部端子を形成すべき位置の2つの貫通孔内に導体64Iが、絶縁体層61Iのスルーホール内に導体Sが形成される。
次に、この導体64Iと導体Sを備えた絶縁体層61Iの表面全体に感光性絶縁体ペーストを厚みが一様になる様に塗布し、乾燥させて、図8(M)に示す様に、感光性絶縁体膜71Jを形成した後、この絶縁体膜71Jを露光、現像し、これを乾燥させて図8(N)に示す様に、各素子の端面と側面の外部端子を形成すべき位置に2つの貫通孔と、各素子の中央部のコイル用導体パターンと同じ形状の貫通孔Hを有する絶縁体層61Jが形成される。
続いて、この絶縁体層61Jの表面、各素子の端面の外部端子を形成すべき位置の2つの貫通孔及び、各素子の中央部の貫通孔H内に感光性導体ペーストを塗布し、露光、現像することにより、図8(O)に示す様に、絶縁体層61Jの各素子の端面の外部端子を形成すべき位置の2つの貫通孔内に導体64Jが、絶縁体層61Jの各素子の中央部の貫通孔H内にコイル用導体パターン63Bが形成される。
この導体64Jとコイル用導体パターン63Bを備えた絶縁体層61Jの上面に絶縁体層61Kが形成された後、図5(I)と同様に、積層体が一点鎖線で示す部分で切断し各素子に分割される。分割された各素子は、図1、図2に示す様に積層体の対向する端面に外部端子21が、積層体の対向する側面に外部端子22がそれぞれ形成される。この外部端子21、22には、めっきが施される。
【0017】
以上、本発明の積層型電子部品及びその製造方法の実施例を述べたが、本発明はこの実施例に限られるものではない。例えば、導体、導体パターン及び、絶縁体層は、図9(A)に示す様に支持体上に感光性導体ペーストを塗布して感光性導体膜を形成し、この感光性導体膜を露光、現像して、図9(B)に示す様に支持体導体上に導体14を形成し、この導体14の周囲に感光性絶縁体ペーストを塗布し、露光、現像して図9(C)に示す様に導体14を備えた絶縁体層11を形成し、図9(D)に示す様にこの絶縁体層11表面全体に感光性導体ペーストを塗布し、この感光性導体ペーストを露光、現像して、図9(E)に示す様に絶縁体層11上に導体14を形成し、この絶縁体層11上の導体14の周囲に感光性絶縁体ペーストを塗布し、露光、現像して図9(F)に示す様に導体14を備えた絶縁体層11を形成し、これらの工程を所定回数繰り返すことにより、積み重ねられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の積層型電子部品の第1の実施例を示す分解斜視図である。
【図2】図2は本発明の積層型電子部品の実施例の説明図である。
【図3】本発明の積層型電子部品の第1の実施例の製造方法を説明する図である。
【図4】本発明の積層型電子部品の第1の実施例の製造方法を説明する図である。
【図5】本発明の積層型電子部品の第1の実施例の製造方法を説明する図である。
【図6】本発明の積層型電子部品の第2の実施例を示す分解斜視図である。
【図7】本発明の積層型電子部品の第2の実施例の製造方法を説明する図である。
【図8】本発明の積層型電子部品の第2の実施例の製造方法を説明する図である。
【図9】本発明の積層型電子部品の別の製造方法を説明する図である。
【図10】従来の積層型電子部品の分解斜視図である。
【図11】従来の積層型電子部品の製造方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0019】
11A〜11H 絶縁体層
12A〜12C コンデンサ用導体パターン
13A、13B コイル用導体パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁体層と導体パターンを積層して、積層体内に導体パターンによって回路素子が形成され、該回路素子が該積層体の外表面に形成された複数の外部端子間に接続された積層型電子部品において、
該複数の外部端子は、該積層体の側面に形成された外部端子の幅と該積層体の端面に形成された外部端子の幅が同じで、かつ、全ての外部端子の長さが積層体の厚みよりも薄くなる様に、該積層体の底面から側面及び底面から端面に跨ってフォトリソ技術を用いて導体を形成することにより形成されることを特徴とする積層型電子部品。
【請求項2】
前記外部端子の幅が100μm以下である請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
絶縁体層と導体パターンを積層して、積層体内に導体パターンによって回路素子が形成され、該回路素子が該積層体の外表面に形成された複数の外部端子間に接続された積層型電子部品の製造方法において、
感光性絶縁体ペーストを用いて感光性絶縁体膜を形成し、該感光性絶縁体膜を乾燥、露光、現像して外部端子となる部分に絶縁体層を貫通する貫通孔を形成する工程と、該絶縁体層の貫通孔内に感光性導体ペーストを用いて感光性導体を形成し、乾燥、露光、現像して外部端子を構成する導体を形成する工程を繰り返して、該積層体の側面に形成された外部端子の幅と該積層体の端面に形成された外部端子の幅が同じで、かつ、全ての外部端子の長さが積層体の厚みよりも薄くなる様に、該積層体の底面から側面及び底面から端面に跨って外部端子が形成されることを特徴とする積層型電子部品の製造方法。
【請求項4】
絶縁体層と導体パターンを積層して、積層体内に導体パターンによって回路素子が形成され、該回路素子が該積層体の外表面に形成された複数の外部端子間に接続された積層型電子部品の製造方法において、
感光性導体ペーストを用いて感光性導体膜を形成し、該感光性導体膜を乾燥、露光、現像して外部端子を構成する導体を形成する工程と、該導体の周囲に感光性絶縁体ペーストを用いて感光性絶縁体膜を形成し、該感光性絶縁体膜を乾燥、露光、現像して外部端子となる部分に該導体を有する絶縁体層を形成する工程を繰り返して、該積層体の側面に形成された外部端子の幅と該積層体の端面に形成された外部端子の幅が同じで、かつ、全ての外部端子の長さが積層体の厚みよりも薄くなる様に、該積層体の底面から側面及び底面から端面に跨って外部端子が形成されることを特徴とする積層型電子部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−50316(P2010−50316A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213798(P2008−213798)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000003089)東光株式会社 (243)
【Fターム(参考)】