説明

空間選択的堆積によるミクロスケール及びナノスケールの加工及び製造

基板(10)上に固相アレイを形成するように、化学物質を空間選択的に堆積することによってマイクロメートル規模及びナノメートル規模で製作又は製造する方法であって、静電気的潜像の形成のように、基板上の少なくとも一つの領域に基板の他の領域の電荷とは異なる静電荷を形成することによって、少なくとも一つの領域(15)を定義する工程と、基板にエマルジョンを塗布する工程とを含む方法。エマルジョン(16)は、帯電した不連続相及び該不連続相の中に担持された、又は該不連続相を含んでなる選択的に堆積されるべき成分を有している。このエマルジョンの不連続層は、当該領域上の静電荷により引寄せられることによって予め選択された領域に引寄せられ、反応を伴って又は伴わずに堆積が得られる。光導電体の使用によって、静電画像を形成することができる。形成されるアレイは、フラットスクリーンディスプレーパネルのためのものであってよく、DNAチップ、印刷回路、半導体チップ、ナノテクノロジー、ミクロ電気機械的システム、可撓性印刷回路等を製造するためのものであってよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学物質の反応を伴った、又は伴わない空間選択的堆積による、マイクロメートル規模及びナノメートル規模での加工及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商業的なナノ加工は、現在のところ、利用可能な技術によって制限されている。ナノメートル範囲における操作が可能である技術は少ない。本発明による空間選択的堆積は、固相アレイの製造のため、又は印刷回路、フラットパネルディスプレー、半導体チップ、ナノ技術、マイクロエレクトロメカニカルシステム、可撓性印刷回路、タンパク質チップ、ラボ・オン・チップミクロ流体工学及びDNAチップの製造のような他の物理的若しくは化学的反応のためであってよい。
その最も広義の形態において、本発明は、何等かの予め定められた表面上における、何れか広範な化学物質の空間的に規定された堆積に関する。この物質には、着色物質、染料、薬物、ポリマー、触媒、抗湿潤剤、顔料、エッチング用化学薬品、導電体、金のような金属、固相化学基の脱ブロック、ブロック、保護及び脱保護、誘導化及び活性化のための被覆材及び薬剤が含まれてよいが、これらに限定されない。アレイは、ディスプレーパネルの画素アレイ、デオキシリボ核酸(DNA)、ペプチド、ペプチド核酸(PNA)、リボ核酸(RNA)、及び他の固相化学アレイ及びコンビナトリアルケミストリーによって組立てられるアレイを含むことができる。
【0003】
本発明の一つの形態を、基板、特に平坦基板上のDNAチップとして一般に知られたタイプのDNAアレイの製造に関して一般的に説明するが、本発明はこの特定の用途に限定されることなくさらに広範な変形を含むものであり、このようなDNAチップの製造に限定されるものではない。
【0004】
DNAチップ(マイクロアレイ)は、既知の場所に既知の配列をもった数千の遺伝子断片(一本鎖DNAとして)の短い切片が固定化された、切手サイズの表面である。それらは組織サンプル中におけるメッセンジャーRNAの存在、及び/又は特定遺伝子の発現レベルについての試験に使用されるので、これら係留されたDNA配列(オリゴデオキシヌクレオチド)は「プローブ」と称される。
【0005】
一つの使用形態において、科学者は、悪性腫瘍からの組織サンプルをプロファイルするために、腫瘍内における遺伝子指令の実行に関与する伝達分子(mRNA)を抽出し、多くは増幅反応、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、ターゲットと称されるDNA又はRNAのコピーを作製し、これらを蛍光マーカーで標識し、これらターゲットをDNAチップ全体に注ぐ。該チップ上のDNAプローブは、患者の腫瘍抽出物が一以上のプローブ配列に適合してそれにハイブリダイズする一以上の蛍光標識された分子(遺伝子指令)を含むときには、その標識されたターゲットにハイブリダイズし蛍光を発するであろう。
【0006】
プローブに結合する該分子は「ターゲット」と称される。対照に比較してより活発に発現する特定の遺伝子を含んだ組織サンプルは、DNAチップ上に結合するときに、当該遺伝子が僅かしか発現せず又は発現しない組織サンプルよりも、より強く蛍光を発するプローブ細胞を生じる。この手順が正常組織又は基準組織について繰り返され、次いでコンピュータが蛍光のレベルを分析して、例えば悪性組織及び正常組織での遺伝子活性パターンを比較する視覚的画像を調製する。この方法では、蛍光の特徴に関する特定のゾーンを、DNAチップ上の既知の位置に係留された特定の遺伝子切片(プローブ)に関連付けることができるので、悪性に関与し又は関与する可能性のある特定の遺伝子を同定することが可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
直接の光活性化化学又は光で除去可能な脱保護技術による選択的脱保護が開発されているが、これらは多少不充分であり、10〜50μmの大きさのやや大きいユニットではなく、短い不純な固相オリゴデオキシヌクレオチドを生じる。驚くべきことに、出願人は、化学的脱保護剤を含有し、且つ電界の影響下において平坦又は他の形状の基板の予め定められたエリアに選択的に堆積される本発明の組成物を使用することによって、より正確で且つ局在化された効率的な脱保護が可能であることを見出した。本発明の目的は、より効率的な化学的脱保護プロセスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
フラットパネルディスプレーの製造に関して、本発明のもう一つの形態を説明する。この形態において、本発明は、ポリマー又は有機発光ダイオード(OLEDs)のような発光ダイオード(LEDs)を活性層として使用したディスプレーの製造方法に関する。この方法は、LEDs又は、発光体をドープされたパターン化したポリマーのようなLEDs用フィルターの直接堆積、及びこれら有機膜からのOLEDs及び他の半導体装置の加工を含んでいる。
【0009】
有機ポリマーから作製された発光ダイオードに対する興味が増大しているが、これはその潜在的な低コスト、及びカラーフラットパネルディスプレーに対するその潜在的な適用可能性のためである。有機物質は、典型的にはスピンコーティング(ポリマー材料の場合)によって、又は蒸着(有機小分子の場合)によって堆積される。何れの場合にも、単一材料が基板を覆う結果、一般には単一色の装置だけを製造することができる。多重有機層の直接的集積(カラーディスプレー用画素として赤、緑、及び青のエミッタを製造するため)は、マスク及びスクリーンを使用して、個々の有機層をパターンニングすることを必要とする。それらの水溶液及び多くの溶媒中における溶解度及びこれに対する感度のために、従来のフォトレジスト及び湿式加工技術による、このような有機材料のパターンニングは困難である。例えばドライエッチマスクのようなシャドウマスクを通してのカソード気相成長を使用するような、異なる色を放出する材料を用いた有機発光ダイオードを同じ基板上に集積するためのこれまでの努力は、特に高解像度画面については充分に成功してはいなかった。
【0010】
発光ダイオードにおける異なる色は、赤、緑及び青のフィルター材料を白色LEDs上に配置することによって、又はフォトレジストのパターンニング及びエッチング技術を使用して、赤、緑及び青の発光材料を相互に近接して配置し、該フォトレジストパターンをポリマーに転写することによって得ることができるが、該フォトレジストプロセスのために使用される化学薬品は有機材料には適合できないので、このようなフォトレジスト技術は有機材料には適用できない。同様に、有機材料の頂面にあるその後の層(例えば金属コンタクト)のパターンニングも、同じ理由で困難である。真空蒸着された有機層及び金属は、シャドウマスクを通してそれを気相成長させることによってパターンニングしてもよいが、この技術を大面積及び小画素サイズに拡大することは困難であり、結果的に位置合わせの問題を伴う。
【0011】
ポリマー又は有機発光ダイオードの魅力的な特徴は、それらの非常に単純なアーキテクチャーである。基本的な装置は、好ましくはガラス若しくはプラスチック基板上の酸化インジウム錫であるアノードからなっており、次いで二つの薄いポリマー層が使用されるが、そのうちの一方はポリマー製ホール導電層(ポリエチレン-ジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホネート(PEDT/PSS)の膜であることができる)であり、他方は共役ポリマー発光層である。次いで、背面に反射性カソードが設けられる。次いで、水の侵入を防止するために、装置の全体が封止される。一つの形態において、本発明は特に一以上のこれらポリマー薄層の堆積に関する。
【0012】
OLEDs用ポリマー層又はOLEDs用ポリマーのための色素の堆積のために、インクジェット技術の使用が提案されて来たが、この製造方法には問題が存在する可能性がある。この技術は、変動する液滴サイズ、サテライト液滴、処理時間、位置合わせ、液滴の跳ね返り、及び送達限定の問題を有している。また、OLEDポリマー「インク」の粘度も、ポリマー堆積についての制限因子である。
【0013】
発光ダイオードアレイは、パッシブマトリックス若しくはアクティブマトリックス型のアレイであってよい。パッシブアレイは、導電体アレイによって電力を直接供給され、またアクティブマトリックス型アレイは、より均一な活性化をLEDsに提供するように、一つ又は多数のトランジスタスイッチングを含んでいる。このシステムは、LEDsのためのスイッチ導電体アレイ及び別の電源を使用する。本発明による方法は、何れのタイプのLEDアレイにも適用可能であるが、特にアクティブマトリックス型アレイに適用可能である。
【0014】
本発明の一つの目的は、フラットパネルディスプレーのための多色発光ダイオードアレイ又は発光ポリマーアレイの別の製造方法を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、広範な化学物質のうちの何れかの、何れかの予め定められた表面に対する空間的に規定された堆積方法を提供することである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
一つの形態において、本発明は、基板上におけるマイクロメートル規模及びナノメートル規模の空間選択的な化学物質の堆積による製造方法にあると言うことができ、該方法は:
(a)前記基板上の少なくとも一つの領域に前記基板の他の領域における電荷とは異なる静電荷を形成することによって、前記少なくとも一つの領域を規定する工程と;
(b)前記基板にエマルジョンを塗布し、該エマルジョンは、帯電した不連続相及び該不連続相の中に担持された、又は該不連続相を含んでなる選択的に堆積されるべき成分を有する工程と;
(c)前記領域の電荷との間の引力又は斥力により、前記エマルジョンの不連続相を前記少なくとも一つの領域に向けさせる工程と;
を含んでなるものである。
この方法は、さらに、前記基板上の同じ位置又は別の位置において段階的な堆積プロセスを与えるために、工程(a)〜(c)の反復を実行する工程を含んでもよい。
【0016】
更なる形態において、本発明は、基板上におけるマイクロメートル規模及びナノメートル規模の空間選択的な化学物質の堆積による製造方法にあると言うことができ、該方法は:
(a)基板上における静電気的潜像の形成のように、前記基板上の少なくとも一つの領域に前記基板の他の領域における電荷とは異なる静電荷を形成することによって、前記少なくとも一つの領域を規定する工程と;
(b)前記基板にエマルジョンを塗布し、該エマルジョンは、帯電した不連続相及び該不連続相の中に担持され又は該不連続相を含む固相アレイの形成に寄与する化学試薬を有する工程と;
(c)必要とされない領域における堆積を低減するために、前記領域の静電荷による引力によって、任意にバイアス電圧の使用によって、前記エマルジョンの不連続相を前記少なくとも一つの領域に堆積する工程と;
(d)前記少なくとも一つの領域において、化学反応又は物理反応を起こさせる工程と;
(e)前記エマルジョンを除去する工程と;
を含んでなるものである。
【0017】
この方法は、さらに、前記基板上の同じ位置又は別の位置において段階的な堆積プロセスを与えるために、工程(a)〜(e)の反復を実行する工程を含んでもよい。
あるいは、この方法は、先に空間選択的堆積が生じた場所でのみ反応が生じるさらなる試薬で上記基板を浸漬するさらなる反応工程を含んでもよい。
【0018】
本発明の一つの実施形態において、前記不連続相中に担持された化学試薬は、活性化されたヌクレオシドアミダイト(A,C,G又はT)を含んでよく、従って、前記化学反応を起こさせる工程は、脱保護された基板の選択された領域にヌクレオシドを直接堆積させる工程を含んでよい。あるいは、前記不連続相中に担持された化学試薬は活性化されたオリゴヌクレオチドを含んでよく、従って、前記化学反応を起こさせる工程は、脱保護された基板の選択された領域にオリゴヌクレオチドを直接堆積させる工程を含んでよい。
【0019】
前記帯電したエマルジョンは、正又は負の電荷を有していてよい。この電荷パターンは、通常は電子のパターンである。エマルジョンが正の電荷を有するときには、堆積は負の電荷をもつ部分に対して、またエマルジョンが負に帯電する場合には、堆積は負の電荷を持たない部分に対して行われる。
【0020】
堆積は、バイアス電圧の補助を用いて行われてもよい。バイアス電圧は、前記基板上の選択された距離にあるバイアスプレートの使用によって供給されてよく、該バイアスプレートには電圧(1〜100V)が印加される。必要とされるバイアス電圧の大きさは、バイアスプレートから基板までの距離、正電荷の最初のレベル、及び静電荷の残留レベルに依存することができる。バイアスプレートに印加される電圧は、正又は負であることができる。バイアス電圧は、望まない領域における堆積を防止し、堆積の密度を制御し、また反転堆積での補助のために使用される。エマルジョン液滴が正に帯電される場合には、バイアスプレートに対する正の電圧の使用が、基板表面の望まない領域での堆積を低減する補助となることができる。エマルジョン液滴が負に帯電される場合には、バイアスプレートに対する負の電圧の使用が、基板表面の負に帯電されない領域での堆積を補助するであろう。
【0021】
固相化学アレイの形態であるDNAチップの一般的製造は、それぞれが次の分子ユニットを添加するときに除去される保護基を備えた複数の分子ユニットを、基板上に選択的及び逐次的に付加することを含んでいる。DNAアレイを製造するこのような一つの方法は、ホスホロアミダイトプロセスとして知られる方法を使用するものであり、該プロセスは保護基としてトリチル基又はトリチル基の誘導体を使用する。本発明はこの方法に関して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0022】
ホスホロアミダイト法は、ポリマー、特にDNAの一部を形成するDNAオリゴヌクレオチドの配列を化学合成するための、四段階の反復プロセス(脱保護、カップリング、キャッピング及び酸化)である。
ホスホロアミダイト法においては、DNAを構成する四つの成分である四つのヌクレオチド、即ち、A,T,G及びCのうちの一つ(ホスホロアミダイト形態で)を逐次的に付加することによって、一本鎖形態のDNAの一部が構築される。各ヌクレオチドは、化学的に除去可能な保護基を有している。脱保護剤として知られる化学試薬は、保護基を除去して反応性ヒドロキシル基を露出させ、次の段階では、ヌクレオシド(活性化されたホスホロアミダイト形態で)が反応性ヒドロキシル基で成長するDNAストリングに結合される。次の段階はキャッピング工程であり、ここでは脱保護され且つヌクレオチドが結合されていない如何なるDNAストリングも、後の結合段階において望まないヌクレオチドが当該分子に加えられるのを防止するために、永久的にキャップされる。最後の工程では、新たに形成されたヌクレオシド間の亜リン酸エステル結合の酸化が行われて、該結合の三リン酸結合への変換が行われる。
【0023】
DNAアレイの製造においては、生化学的分析を生じさせるのを可能にするために、多くの異なる配列のDNA鎖が基板上に構築される。このプロセスでは、特徴構造又はセルと称されるアレイの種々の部分を選択的に脱保護することが必要とされ、本発明の特定の実施形態が目指しているのは、特にこの選択的脱保護のための要件である。
【0024】
もう一つの形態において、本発明は、段階的反応プロセスを使用することにより、基板上に固相化学アレイを形成する方法にあると言うことができ、該方法は、
(f)基板上における静電気的潜像の形成のように、前記基板上の少なくとも一つの領域に前記基板の他の領域における電荷とは異なる静電荷を形成することによって、前記少なくとも一つの領域を規定する工程と;
(g)前記基板にエマルジョンを塗布し、該エマルジョンは、帯電した不連続相液滴及び該不連続相の中に担持された、又は該不連続相を含んでなる化学試薬を有する工程と;
(h)必要とされない領域における堆積を低減するために、前記領域の静電荷による引力によって、任意にバイアス電圧の使用によって、前記エマルジョンの不連続相を前記少なくとも一つの領域に堆積する工程と;
(i)前記少なくとも一つの領域において、化学反応を起こさせる工程と;
(j)前記エマルジョンを除去する工程と;
(k)前記段階的反応プロセスの後続の工程を実施する工程と;
を含んでなるものである。
本発明の好ましい形態では、前記基板にエマルジョンを塗布する工程は、前記エマルジョンを塗布する前に、前記基板に連続相の液体、又はもう一つの液体のコーティングを塗布する工程を含むことができる。これは、望ましくない領域での無用の堆積を防止する補助となり得るので、有利であることができる。
【0025】
別の実施形態では、それは、各カップリング工程の前に化学的な脱保護工程を備えた段階的カップリングプロセスを使用して基板上にDNAアレイを形成する方法において使用してよく、該方法は、
(l)除去可能な保護基により保護された表面官能基を備えた基板を調製する工程と;
(m)基板上に静電気的潜像の形成のように、前記基板上の少なくとも一つの領域に電界を形成することによって、前記基板の他の領域における電界とは異なる前記一つの領域を規定する工程と;
(n)前記基板にエマルジョンを塗布し、該エマルジョンは、帯電した不連続相液滴及び該不連続相の中に担持された、又は該不連続相を含んでなる化学的脱保護剤を有する工程と;
(o)必要とされない領域における堆積を低減するために、前記領域の電界による引力によって、任意にバイアス電圧の使用によって、前記エマルジョンの不連続相を前記少なくとも一つの領域に堆積する工程と;
(p)前記少なくとも一つの領域において、化学的脱保護を起こさせる工程と;
(q)前記エマルジョンを除去する工程と;
(r)前記段階的カップリングプロセスの後続の工程を実施する工程と;
を含んでなるものである。
段階的カップリングプロセスの後続の工程は、オリゴデオキシヌクレオチドを合成するための標準のホスホロアミダイト化学において実施されるようなものでよいが、先に述べたように、本発明はこの特定の化学に限定されない。
【0026】
上記で述べたプロセスは、何れかの配列及び少なくとも100量体までの長さの選択されたオリゴヌクレオチドを、基板上での予め定められた空間的順序、位置、DNA密度及び形状で合成するのに充分な回数だけ、反復されてよいことが理解されるであろう。
【0027】
上記の基板は、支持体、該支持体上の導電層、電荷を保持する誘電性又は光伝導性の層、及び化学的官能層を含んでよい。支持体は、金属、ガラス、セラミック、又はポリマー材料から選択することができ、また該支持体は透明又は不透明であることができ、可撓性又は剛性であることできる。好ましい実施形態において、該支持体は導電体層と組合されてよい。該導電体層は非常に薄い層であってよく、また透明であってよい。該導電体層は、支持体上に真空蒸着されてよい。導電体層は、金属又は酸化インジウム錫のスパッタ層から選択されてよい。誘電体又は光伝導体層は活性層であってよく、この層の電荷は、赤外線、可視光線、紫外線又はX線から選択される光線の照射によって影響されてよい。該誘電体層又は光伝導体層は、入射光線が表面に衝突したときに、既に帯電された該表面を選択的に放電させることによって、その上に形成された電荷パターンを有するように適合される材料のものであってよい。基板上の既に帯電した表面は、コロナ放電、電子ビーム銃、ドナーローラ等によって提供されてよい。あるいは、該誘電体層は、ソフトリソグラフィーのようなプロセスにより帯電可能であってよい。
【0028】
誘電体層は、ガラス、又はメチルメタクリレート(MMA)等のようなポリマー樹脂であってよい。誘電体層が光伝導体である場合、該層の材料は酸化亜鉛、硫化カドミウム、非晶質セレン、又はセレン−テルル、セレン化鉛、セレン−砒素のようなセレン合金から選択されてよい。加えて、例えばポリビニルカルバゾール(PVK)、又はトリニトロフルオレノン及びPVKの複合体を含む種々の有機光伝導体材料を、光反応性撮像部材として選択することができる。また、アリールアミンホール輸送分子及び光発生層を備えた重層された光反応性装置も米国特許第4,265,990号に開示されており、これに言及することによってその開示の全体を本明細書の一部として援用する。
【0029】
化学的官能層は、エマルジョン中に担持された液体又は試薬及び当該プロセスに使用される他の液体と、誘電体層又は光伝導体層の成分との間の反応又はアクセスを防止するために適合されてよい。その代りに、又はこれに加えて、化学的官能層は、その後の反応のための誘導体化又は官能化された表面を形成するために、リンカー分子のようなもう一つの化合物との化学反応を可能にする反応性材料であってよい。あるいは、化学的官能層は本来的に反応性であってよい。
【0030】
化学的官能層は、シラン、二酸化シリコン、窒化シリコン(Sixy)、二酸化チタン、Tyzor(登録商標)、架橋若しくは部分架橋されたエポキシノボラック樹脂、重合オリゴマー、架橋樹脂、官能化パリレン(一以上の官能基をもったジ−パラ−キシレンのポリマー)、官能基を含んでよいアクリレート及びメタクリレート、マルチ−アクリレート及びメタクリレートモノマー、光開始剤で架橋されたモノマー等から形成されてよい。マルチ−アクリレート及びメタクリレートモノマーとは、複数の二重結合を持ったモノマーを言う。官能基は、活性エステル、エポキシ、芳香族、酸、脂肪族及びヒドロキシル等であってよい。
【0031】
化学的官能層の形成は、反応性化学薬品中での基板の浸漬、「ペインティング」、ディップコーティング、スピンコーティング、真空蒸着、及び気相成長を含む幾つかのプロセスを使用して達成すればよく、ここでの化学的官能層は、共有結合又は溶媒蒸発後の他の引力によって、又は加熱若しくは例えばUVの照射による樹脂の硬化によって、又は過酸化物若しくは触媒での処理により、又はフリーラジカル機構によって付着されるに至る。このような層は、空気中、又は窒素のような不活性雰囲気下において形成されてよい。
【0032】
少なくとも一つの領域に堆積させる工程は、非帯電領域での堆積を可能にする反転堆積の工程を含んでよい。
静電画像パターンの形成は、基板が光伝導体であり、且つ静電界の形成が帯電及びその後の選択的放電(例えば選択的光照射によるもの)であってよい。好ましくは、DNAアレイの製造において、短波長紫外領域における放射はDNA分子を損傷する可能性があるので、光照射には含まれない可能性がある。しかし、他の化学チップ又はアレイのアセンブリーの組み立てについてはUV照射が使用されてもよい。
【0033】
エマルジョンを除去する工程は、該エマルジョンの中の何等かの残留する化学的脱キャッピング剤を中和して、それが当該アレイの望ましくない部分で反応するのを防止すること、及び該表面を洗浄する工程を含んでよい。
【0034】
上記で述べたように、本発明の一つの実施形態において使用するためのエマルジョンは、フルオロ化学薬品のような電気的に絶縁性の連続相、水性又は非水性の不連続相、例えばその中に化学的脱キャッピング剤、好ましくは界面活性剤及び好ましくは電荷制御剤を溶液で担持する炭化水素油を含有する。
不連続相が炭化水素油である場合、該化学的脱保護剤は、強力な有機又は無機のプロトン酸であってよい。
【0035】
化学的脱保護剤は、ルイス酸又はプロトン酸であってよい。該ルイス酸は、臭化亜鉛、四塩化チタン、硝酸セリンアンモニウムから選択されてよいがこれらに限定されない。一方、使用できる希釈プロトン酸には、希鉱酸、トリクロロ酢酸(TCA)、ジクロロ酢酸(DCA)、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、ジフルオロ酢酸、過塩素酸、オルトリン酸、及びトルエンスルホン酸が含まれるが、これらに限定されない。他の酸には、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフチルジスルホン酸(DNNDSA)、ジノニルナフチルスルホン酸(DNNSA)、パーフルオロオクタン酸(PFOA)及びジフェニル酸ホスフェートが含まれてよい。
【0036】
本発明に適したエマルジョンには、連続相、該連続相中の非混和性の不連続相、及び界面活性剤を含むことができ、該界面活性剤は前記連続相と相溶性の第一の部分及び前記不連続相と相溶性の第二の部分を有し、前記連続相は高い体積抵抗率を有し、前記不連続相は選択された化学試薬を含み且つ帯電されており、また前記界面活性剤は前記連続相の体積抵抗率を有意に低下させないように選択されることを特徴とする。
【0037】
「体積抵抗率を有意に低下させない」の用語は、前記エマルジョンの連続相の体積抵抗率が、基板又は不連続相の電荷が無効になるような範囲までは低減されないことを意味するものである。このような状況では、不連続相が電界の影響下でパターン状に堆積できない可能性がある。
また、不連続相又はその何れかの成分の選択は、連続層の中に有意に分配されず、それによって連続相の体積抵抗率を有意に低減したり、連続相に化学反応性を付与しないようなものにすべきである。
【0038】
好ましくは、界面活性剤は、連続相と相溶性の第一の部分及び不連続相と相溶性の第二の部分を有するものである。従って、それは連続相及び不連続相の主要成分との類似性を有するように選択されてよい。
界面活性剤は、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性、又は両イオン性の化合物、ポリマー界面活性剤物質、又はリン脂質から選択されてよい。
例えば、界面活性剤は、アルコール/脂肪酸エステル、アルコキシ化ひまし油、アルキルフェノールエトキシレート、エトキシ化アルコール、ソルビタンエステル、グリセリンエステル、ポリエチレングリコール、及びリン脂質であってよい。
【0039】
上記で述べたように、連続相は電気的に絶縁性の液体で構成され、また特定の系の特性は実験的に決定されなければならないが、このような液体は、好ましくは少なくとも1×106オーム・cmの体積抵抗率を有するであろう。
連続相は、ヘキサン、ナフタレン、デカリン、シクロヘキサン、イソオクタン、ヘプタン、芳香族炭化水素、及びイソデカンのような炭化水素、並びにExxonが製造するIsopars(登録商標)及びNorpars(登録商標)のような商業的に入手可能な炭化水素混合物から選択されてよい。連続相はまた、フルオロ炭素化合物を含むフルオロ化学薬品から選択してもよい。これらのフルオロ化学薬品は、一般には、2〜16の炭素原子を含んでなり、線状、環状、又は多環状のパーフルオロアルカン、ビス(パーフルオロアルキル)アルケン、パーフルオロエーテル、パーフルオロアルキルアミン、3Mが製造するFluorinerts(登録商標)のような臭化パーフルオロアルキル及び塩化パーフルオロアルキルが含まれるが、これらに限定されない。連続相はまた、ポリフェニルメチルシロキサン、ジメチルポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、及び環状ジメチルシロキサン等のようなシリコーン液から選択されてもよい。本発明の方法におけるポリフルオロ化学薬品の使用は、これら化合物が水を吸収しないので、顕著な利点を提供する可能性があり、この特性は望ましいものである。
また、連続相はゲル又は高粘性液体であってもよい。
【0040】
不連続相は、連続相と混和せず、連続相に実質的に不溶であり、又は連続相の中に分配されないものであるべきである。
不連続相は、水性又は非水性であってよい。
溶液中に化学的脱保護剤を担持する非水性の不連続相は、アセトン、アセトニトリル、シクロヘキサノン、ジブロモメタン、ジクロロメタン(塩化メチレン、DCM)、トリクロロメタン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジオキサン、1,2−ジクロロエタン(DCE)、ニトロメタン、テトラヒドロフラン、トルエン、ジメチルホルムアミド、イソブタノール、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、並びにIsopar(登録商標)及びNorpar(登録商標)を含む商業的に入手可能な炭化水素の混合物、又はイソプロパノール/塩化メチレン、ニトロメタン/メタノール、ニトロメタン/イソプロパノール、トリクロロメタン/メタノール、若しくはイソプロパノール/塩化メチレンのような化合物の混合物から選択されてよい。また、デカリンのような他の炭化水素を使用してもよい。
不連続相は、化学的脱保護剤のような試薬であってよく、又は該活性な化学試薬を担持する溶媒であってもよい。あるいは、該活性な化学試薬は、不連続相の中に分散された個体又は不溶性の液体であってよい。
【0041】
本発明によるエマルジョンは、また、荷電制御剤を含んでもよい。
電荷制御剤は、連続相及び不連続相の主成分との類似性を有するように選択すればよい。例えば、連続相がフルオロ化学薬品である場合、電荷制御剤は以下に列記する化合物のフッ素類縁体を含んでよい。
幾つかの実施形態において、電荷制御剤の機能は界面活性剤によって与えられてよく、又は化学物質、例えば脱保護のための酸を担持するエマルジョン液滴に固有のものであってもよい。
荷電制御剤は、酸及びその塩、有機酸及びその塩又はイオン性若しくは双性イオン性化合物であってもよい。
【0042】
電荷制御剤は金属石鹸から選択されてよく、ここでの金属にはバリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、鉛、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、ジルコニウム、及びコバルトが含まれ、また酸部分はカルボン酸、例えばカプロン酸、オクタン(カプリル)酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、エルカ酸、タリチン酸(tallitic acid)、レシン酸(resinic acid)、ナフテン酸、コハク酸等によって与えられる。金属石鹸の例には、三ステアリン酸アルミニウム、二ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム、カルシウム、鉛及び亜鉛;リノレン酸コバルト、マンガン、鉛及び亜鉛;オクタン酸アルミニウム、カルシウム及びコバルト;オレイン酸カルシウム及びコバルト;パルミチン酸亜鉛;ナフテン酸カルシウム、コバルト、マンガン、鉛及び亜鉛;レシン酸若しくはペトロン酸カルシウム、コバルト、マンガン、鉛及び亜鉛が含まれる。電荷制御剤は、レシチンのようなリン脂質又はアルキルスクシンイミドであってもよい。
【0043】
不連続相中の化学試薬は、生体活性剤、活性化されたヌクレオシドアミダイト(A,C,G又はT)、活性化されたオリゴヌクレオチド、又は酸若しくは塩基、ブロック化学薬品、有機若しくは無機の誘導体化化学薬品、触媒、医薬、及び染料若しくは顔料を含む試薬若しくは反応体であってよい。
【0044】
本発明によるエマルジョンは、約20〜99.99容量パーセントの範囲で存在する連続相、約0.01〜80容量パーセントの範囲で存在する不連続層、任意に0.1〜35質量パーセントの範囲で存在する界面活性剤、及び任意に0.01〜10質量パーセントの範囲で存在する電荷制御剤を有していてよい。
【0045】
この明細書の全体を通して、エマルジョンの用語は、エマルジョン、ミニエマルジョン及びミクロエマルジョンを示すために使用される。従って、本発明によるエマルジョンは真正エマルジョン、即ち、震盪、撹拌、高剪断などの機械的エネルギーの入力により形成されるエマルジョンであってよい。あるいは、該エマルジョンは、標準のエマルジョンの場合よりも多くのエネルギーの印加で形成されるミニエマルジョンであってもよい。あるいは、該エマルジョンは、温度及び化学組成の正しい条件が存在すれば実質的に自然に形成されるミクロエマルジョンであってもよい。エマルジョンは、約100μm〜0.2μmの液滴サイズを有してよく、ミニエマルジョンは500ナノメートル〜約50ナノメートルの液滴サイズを有してよく、またミクロエマルジョンは、約200ナノメートル〜1ナノメートルの液滴サイズを有してよい。それぞれのサイズ範囲に対する厳格で不変の規則は存在しないことに留意する。サイズ範囲は、各々の相及び使用される界面活性剤の種類及び量に依存するであろう。乳化装置によって印加されるエネルギーもまた、サイズ範囲に影響する可能性がある。温度及び圧力もまた、液滴サイズ範囲に影響する可能性がある。
【0046】
液滴の用語は、エマルジョン中の不連続相の種々の形態学的な形態を意味するものである。それは球以外の形状、例えば立方体、円柱形又は層形状を含んでよい。
本発明によるエマルジョンは、ピカリング(Pckering)エマルジョンとして知られる種類のエマルジョンをも含んでよい。これらのエマルジョンは、連続相、微細に分散された不連続相、及び200nmより小さい平均粒子サイズを有し且つ両親媒性の特徴を示す少なくとも一つの種類のミクロ微小粒子の系である。ミクロ微細粒子は、アルミナ、ベントナイト、珪酸マグネシウムアルミニウム、脂肪結晶、酸化マグネシウム、三珪酸マグネシウム、二酸化チタン、処理済みヒュームドシリカ、シリカ及び酸化錫から選択されてよい。ピカリングエマルジョンの安定性は、濡れ接触角、粒子サイズ、粒子濃度、粒子間相互作用及び粘度に依存する。
【0047】
本発明について、エマルジョンの粒子又は液滴は、エマルジョンの種類及び該エマルジョンが塗布される応用に依存して、100ミクロン以下のサイズで変動してよい。好ましくは、ホスホロアミダイトプロセスにおける化学的脱保護のためのエマルジョンの場合、該エマルジョンは50μmから20ナノメートルのサイズ範囲を有してよい。
【0048】
本発明のエマルジョンの使用によって、該エマルジョン中の液滴のサイズ及びその堆積物質又は試薬を選択された部位に運ぶ能力のために、化学物質の空間選択的堆積によるマイクロメートル規模又はナノメートル規模での製造が可能となることが理解されよう。
エマルジョン液滴の帯電機構は完全には理解されていないが、出願人は、連続相と不連続相の間の界面における極性又はイオン性の種の集積に関連していると考えている。エマルジョンの静電的帯電は、電荷制御剤及び界面活性剤を使用する場合も使用しない場合にも認められている。
【0049】
本発明によるエマルジョンにおける不連続相の液滴上の電荷は、正であっても負であってもよい。出願人は、選択された組成に応じてその両方を製造してきた。
好ましくは、当該エマルジョンの連続相がフルオロ化学薬品である場合、該フルオロ化学薬品はパーフルオロオクタン、線状、環状又は多環状パーフルオロアルカン、ビス(パーフルオロアルキル)アルケン、パーフルオロエーテル、パーフルオロアルキルアミン、臭化パーフルオロアルキル及び塩化パーフルオロアルキルのような、パーフルオロカーボンである。
あるいは、連続相はシリコーン液又は有機液体、例えばヘキサン、シクロヘキサン、イソオクタン、ヘプタン、デカリン、ナフタレン、芳香族炭化水素、イソデカン、並びにExxonが製造するIsopars(登録商標)及びNorpars(登録商標)等の商業的に入手可能な炭化水素混合物であってよい。
一つの実施形態において、連続相は超臨界二酸化炭素(cCO2)であってよい。この液体は、フッ素化界面活性剤と適合する性質を有している。
【0050】
好ましくは、連続相がフルオロ化学薬品である場合、界面活性剤は親フッ素部分と、親油性部分のような不連続相と適合する部分とを有するフルオロ化学薬品である。これらの化合物はまた、両親媒性物質とも称される。これらの例は、パーフルオロカーボン−プロポキシプロピレン、クエン酸フルオロアルキル、パーフルオロアルキル−アルキレンモノ若しくはジモルホリノホスフェート、及びフッ素化リン脂質、アルコール、ポリオール、又はアミンオキシドを含むポリヒドロキシル化若しくはアミン化された誘導体、アミノ酸誘導体、及びAOT(1,4−ビス(2−エチルヘキシル)スルホスクシネート)のフッ素化類縁体である。
フッ素化界面活性剤はまた、疎水性、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、又は双性イオン性の部分を備えていてよい。このような部分には、例えばリン脂質、並びにポリオキシエチレン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン型及びポリオキシエチレンソルビタンエステルの共重合体が含まれる。
【0051】
不連続相が水である場合の当該エマルジョンのための界面活性剤は、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、又は双性イオン性の界面活性剤から選択されてよい。
また、上記で述べた種々の界面活性剤の組合せが使用されてもよい。
上記で述べたように、本発明のこの実施形態によるエマルジョンは、真正エマルジョン又はミニエマルジョン、即ち、震盪、撹拌等の機械的エネルギーの入力によって形成されるエマルジョンであってよい。あるいは、当該エマルジョンは、温度及び化学組成の正確な条件が存在するときに実質的に自然に形成されるミクロエマルジョンであってよい。
あるいは、この実施形態のフルオロ化学薬品はシリコーン液のような別の化合物で置換えられてよく、従って、この場合の界面活性剤は親シリコーン部分を有する化合物から選択されるであろう。
【0052】
別の形態において、本発明は、別々に照明可能な画素を有するタイプのフラットスクリーンディスプレーを製造する方法にあると言うことができ、該方法は、
i)複数の画素部位を規定する発光ダイオードアレイをもった基板を準備する工程であって、各画素部位が電極を含む工程と;
ii)選択された画素部位の電極に電荷を印加する工程と;
iii)着色剤を適用するために適合された液体組成物を準備する工程であって、該液体組成物は絶縁性液体及び選択された色の帯電された着色剤を含む工程と;
iv)前記基板上に前記液体組成物を配置する工程と;
v)前記着色剤を前記選択された画素部位に引き寄せる工程と;
vi)前記基板から過剰な液体組成物を除去する工程と;
vii)前記着色剤を前記基板に固定する工程と;
viii)他の選択された色のさらなる着色剤を他の選択された画素部位に適用するために、工程ii)から工程vii)を繰り返す工程と;
を含むものである。
【0053】
好ましくは、前記選択された色には、赤色、緑色及び青色が含まれる。
好ましくは、前記LEDアレイのうちの選択されたものを活性化することによって、前記電荷は、前記選択された画素部位に印加される。
本発明の一つの形態において、前記発光ダイオードは、有機発光ダイオードであってよい。
好ましくは、前記絶縁性液体は、炭化水素液、シリコーン液、塩素化炭化水素及びパーフルオロカーボンから選択される。
好ましくは、着色剤はエマルジョンの不連続相である帯電した液滴であるか、又は該液滴の中に組込まれる。該着色剤は、活性樹脂及び顔料又は染料を含有してよい。
【0054】
従って、本発明の一つの形態のエマルジョンは、連続相としての絶縁性液体と、該連続相と混和しない液状の不連続相とを含んでなるものであり、該不連続相の液体は着色剤を包含又は含有し、該着色剤は顔料又は染料であってよい。
基板は、ガラス、ポリエステル箔、ポリカーボネート、Mylar(登録商標)、ステンレス鋼等から選択されてよい。
基板は、酸化インジウム錫(ITO)のコーティングを含むことができ、このITOコーティングは電極のアレイにパターンニングすることができる。
【0055】
本発明の別の形態は、別々に照明可能な画素を有するタイプのフラットスクリーンンディスプレーを製造する方法にあると言うことができ、該方法は、
i)複数の画素部位を定義する伝導体アレイをもった基板を準備する工程であって、各画素部位が電極を含む工程と;
ii)選択された画素部位の電極に電荷を印加する工程と;
iii)前記選択された画素部位に選択されたポリマーフィルムを適用するために適合された液体組成物を準備する工程であって、該液体組成物は、絶縁性液体を含有する連続相と、ポリマーフィルムを堆積するためのポリマーの帯電した液滴又は該ポリマーを含む帯電した液滴を含有する不連続相とを具備したエマルジョンを含んでなる工程と;
iv)前記基板上に前記液体組成物を配置する工程と;
v)前記液滴を前記選択された画素部位に引き寄せる工程と;
vi)前記基板から過剰な液体組成物を除去する工程と;
vii)前記ポリマーを前記基板に固定する工程と;
viii)更なる選択されたポリマーフィルムを他の選択された画素部位に適用するために、工程ii)から工程vii)を繰り返す工程と;
を含むものである。
【0056】
前記ポリマーは、ポリ(フェニレンビニレン)(PPV)、パリレン、ポリビニルカルバゾール(PVK)及びポリフルオレンのような、エレクトロルミネッセンスを示す何れかの材料であってよい。これらの材料は、発光ポリマー(LEP)として知られているものであってもよい。
ポリマーフィルムは、赤、緑及び青の有機発光ダイオードを提供するための増感剤を含むことができる。
好ましくは、電荷は、伝導体アレイの選択された部位を活性化することによって、選択された画素に印加される。
好ましくは、絶縁性液体は炭化水素液、シリコーン液及びパーフルオロカーボンから選択され、また基板はガラス、ポリエステル箔、ポリカーボネート、Mylar又はステンレス鋼から選択される。基板が導電体でなく、且つLEDの電極の一つとして導電体が必要とされる場合、基板は酸化インジウム錫(ITO)のコーティングを含むことができる。
【0057】
更なる形態において、本発明は、別々に照明可能な画素を有するタイプのフラットスクリーンディスプレーを製造する方法にあると言うことができ、該方法は、
i)複数の画素部位を規定する導電体アレイをもった基板を準備する工程であって、各画素部位が電極を含む工程と;
ii)前記複数の画素部位の全ての電極に電荷を印加する工程と;
iii)選択された画素部位に選択されたポリマーフィルムを適用するために適合された液体組成物を準備する工程であって、該液体組成物は、絶縁性液体を含有する連続相と、ポリマーフィルムを堆積するためのポリマーの帯電した液滴又は該ポリマーを含む帯電した液滴を含有する不連続相とを具備したエマルジョンを含んでなる工程と;
iv)前記基板上に前記液体組成物を配置する工程と;
v)前記帯電した液滴を前記選択された画素部位に引き寄せる工程と;
vi)前記基板から過剰な液体組成物を除去する工程と;
vii)前記ポリマーを前記基板に固定する工程と;
viii)前記複数の画素部位の電極うちの選択された電極に電荷を印加する工程と;
ix)選択された画素部位に染料を適用するために適合された第二の液体組成物を準備する工程であって、該第二の液体組成物は、絶縁性液体を含有する連続相と、前記ポリマーフィルム上に堆積させる前記染料の帯電した液滴又は該染料を含む帯電した液滴を含有する不連続相とを具備したエマルジョンを含んでなる工程と;
x)前記第二の液体組成物を前記基板上に配置する工程と;
xi)前記帯電した液滴を前記選択された画素部位に引寄せる工程と;
xii)過剰な液体組成物を前記基板から除去する工程と;
xii)前記ポリマーを前記基板に固定する工程と;
xiv)更なる選択された染料を他の選択された画素部位に適用するために、工程viii)から工程xiii)を繰り返す工程と;
を含むものである。
【0058】
前記ポリマーは、好ましくはポリビニルカルバゾール(PVK)であり、前記染料はクマリン7、クマリン47及びナイル赤から選択される。
好ましくは、前記電荷は、伝導体アレイの選択された部位を活性化することによって、前記選択された画素部位に印加される。
好ましくは、前記絶縁性液体は炭化水素液、シリコーン液及びパーフルオロカーボンから選択される。
好ましくは、前記基板はガラス、ポリエステル箔、ポリカーボネート、Mylar(PET、ポリエチレンテレフタレート)又はステンレス鋼から選択され、また可撓性又は剛性であってよい。
前記電極は、発光ポリマー中で生じた光を前方にできるだけ多く反射するように、銀のような高度に反射性のものであってよい。
【0059】
本発明の一つの形態において、前記基板に固定されたポリマーフィルムは光伝導体であり、工程ix)は、画素部位の選択的照明によって達成される。例えば、前記ポリマーのポリビニルカルバゾール(PVK)は光伝導体であることができ、また必要とされるときに帯電したエマルジョン液滴の静電的引寄せを可能にするために、帯電及び選択的に放電されてよい。
【0060】
別の形態において、本発明は、別々に照明される画素を有するタイプのフラットスクリーンディスプレーを製造する方法にあると言うことができ、該方法は、
i)基板上に静電気アレイのパターンを発生させることによって、前記基板上に複数の画素部位を規定する工程と;
ii)前記規定された画素部位に選択されたポリマーフィルムを適用するために適合された液体組成物を準備する工程であって、該液体組成物は、絶縁性液体を含有する連続相と、ポリマーフィルムを堆積するためのポリマーの帯電した液滴又は該ポリマーを含む帯電した液滴を含有する不連続相とを具備したエマルジョンを含んでなる工程と;
iii)前記基板上に前記液体組成物を配置する工程と;
iv)前記液滴を前記規定された複数の画素部位に引き寄せる工程と;
v)前記基板から過剰な液体組成物を除去する工程と;
vi)前記ポリマーを前記基板に固定する工程と;
vii)更なる選択されたポリマーフィルムを他の規定された画素部位に適用するために、工程i)から工程vi)を繰り返す工程と;
を含むものである。
【0061】
当該ポリマーフィルムは、OLEDを生じさせるために、各画素部位において二回適用されてよい。第一のポリマーは、正孔伝導層を提供する(例えばポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホネート(PEDT/PSS))ものであってよく、また他のポリマーは、共役ポリマー発光層を提供するものであることができる。この後者のポリマーは、ポリ(フェニレンビニレン)(PPV)、パリレン、ポリビニルカルバゾール(PVK)、及びポリフルオレンのような、エレクトロルミネッセンスを示す何れの材料から選択されてもよい。堆積の順番は、OLEDが背面から正面へと堆積されるか、又は正面から背面へと堆積されるかどうかによって決定されるであろう。好ましくは、正孔伝導層は発光層の正面にある。
【0062】
本発明のこれら何れかの形態に使用されるエマルジョンは、連続相、該連続相中に混和しない不連続層、及び界面活性剤を含み、該界面活性剤は、前記連続相と相溶性の第一の部分及び前記不連続層と相溶性の第二の部分を有し、前記連続相は高い体積抵抗率を有し、前記不連像層は帯電され、前記界面活性剤は前記連続相の体積抵抗率を有意に低下させないように選択されることを特徴とする。
【0063】
上記で述べたように、前記連続相は電気的に絶縁性の液体からなり、特定の系の特徴は実験的に決定されなければならないであろうが、斯かる液体は、好ましくは約1×106オーム・cm以上の体積抵抗率を有するであろう。
前記連続相は、ヘキサン、シクロヘキサン、イソオクタン、ヘプタン、芳香族炭化水素、デカリン及びイソデカン、並びにExxonが製造するIsopas(登録商標)及びNorpars(登録商標)のような商業的に入手可能な炭化水素混合物から選択されてよい。また、該連続層は、フルオロカーボン化合物を含むフルオロ化学薬品から選択されてもよい。これらのフルオロ化学薬品は、一般には2〜16の炭素原子を含んでなり、これには線状、環状又は多環状のパーフルオロアルカン、ビス(パーフルオロアルキル)アルケン、パーフルオロエーテル、パーフルオロアルキルアミン、臭化パーフルオロアルキル及び塩化パーフルオロアルキルが含まれるが、これらに限定されない。フルオロカーボン溶媒の一つの商品名は、3M社のFluorinet(登録商標)である。連続相もまた、ポリフェニルメチルシロキサン、ジメチルポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、環状ジメチルシロキサン等のようなシリコーン液から選択されてよい。
連続相はまた、ゲル又は高粘性液体であってもよい。
【0064】
不連続層は、好ましくは非水性である。不連続層が非水性である場合、それは連続相中に混和しないか、又は実質的に不溶性であるべきである。
不連続層は上記で述べた種類の試薬であってよく、又は活性な化学試薬を担持する溶媒であってよい。あるいは、活性な化学試薬は、不連続層中に分散された個体又は不溶性液体であってよい。
また、本発明によるエマルジョンは、上記で述べたような電荷制御剤を含んでいてもよい。
次に、理解を助けるために、幾つかの詳細なプロセスを参照して本発明を一般的に説明するが、本発明はこれらプロセスに限定されるものではない。
【0065】
<DNAアレイの製造プロセス>
本発明によるDNAアレイを形成するプロセスは、一つの実施形態においては下記の工程を含んでなるものである。
(a)基板: 平坦な基板が選択されるが、これは部分的に誘電体又は光伝導体である。即ち、電荷が形成又は印象されることができ、それによって選択された一以上の領域に電荷を形成し、又は選択された一以上の領域で電荷を放電することができる。
(b)基板の調製: 次に、バインダ分子が該基板上に共有結合される。このバインダ分子は一般に、基板の表面に共有結合される一つの部分と、化学的に除去可能な部分又は化学的に脱保護可能な部分を有しており、該部分は、脱保護に際して、化学的に除去可能な末端部分を有するリンカーが結合されている反応基を露出させる。この部分の選択的な除去は、ホスホロアミダイト形態におけるヌクレオシドが、DNAオリゴヌクレオチドを形成するように結合されることを可能にする。リンカー分子は、最終的に組立てられたDNAオリゴヌクレオチド(プローブ)を基板の表面から離間させるように延長させる機能を有し、それによって、蛍光体又は他の検出体に結合された一本鎖DNA又はRNA分子ファミリー等の他の被検DNA分子(ターゲット)へのさらに効率的なアクセスを提供して、ハイブリダイゼーションを促進する。次いで、結合された蛍光体又は他の種が直接分析される。バインダ分子を使用することなく、基板上に直接DNAアレイを構築してよい場合も幾つか存在するかもしれない。
【0066】
(c)基板の帯電: 基板はその上に帯電された電荷を有する。コロナ放電、電子ビーム銃の使用、又はドナーローラによる印加のように、平坦な基板に電荷を帯びさせるための多くの技術が知られている。この電荷は正でも負でもよい。
(d)アレイの規定: 空間的に選択されたアレイ部位で電荷を放電させて静電荷パターンを残すために、基板は選択的に光照射される。あるいは、これらの選択された部位以外の基板の全ての部分で電荷を消失させてもよい。選択的光照射は、パルス化され、調節され、ステップ状の若しくは制御されたレーザの使用、又はマスク又は透明体のような種々の光学技術の使用、及び適切な焦点集光の使用によるものであってよい。好ましくは、DNAに対して有害である可能性があるので、該光照射はスペクトルの短波長紫外領域における光照射を含まないが、他のアレイ形態についてはUVを使用してもよい。あるいは、空間的に選択されたアレイ部位は、マスクを用いて、又は用いずに、選択的に帯電されてよい。
【0067】
(e)プレコーティング工程: 任意に、前記基板は、次の工程で塗布されるエマルジョンの連続相を形成する液体の薄層でコートすることができる。このプレコートは、望ましくないエリアにおける堆積を防止するのを補助する。
(f)脱保護工程: 前記基板上に本発明の帯電された液体エマルジョンを注ぐ。該エマルジョンはその連続相が絶縁性であり、その帯電された不連続相に溶液中の化学的脱保護試薬を有している。該試薬は電気的に帯電された場所に引き付けられ、化学的に除去可能な部分(保護基)と反応して当該部分を除去する。この化学的脱保護試薬は、好ましくはルイス酸、有機酸、又は無機酸である。当該エマルジョンの連続相は好ましくはフルオロ化学薬品であり、また不連続相は好ましくは有機溶媒である。前記界面活性剤は、好ましくはパーフルオロカーボン及び有機化合物の分子であり、パーフルオロカーボン部分はフルオロ化学薬品中に可溶性であり、有機化合物部分は有機溶媒中に可溶性である。当該反応を起こさせた後に、該エマルジョンは適切な溶媒により洗い流される。また、このエマルジョンを洗い流す前に、該エマルジョン中に残っている脱保護試薬を中和して、それが当該アレイの望ましくない部分で反応するのを防止するのが望ましい。
【0068】
(g)ヌクレオシド結合工程: 次いで、ホスホロアミダイトの形態の選択された活性化されたヌクレオシドを含む試薬を、基板上に注ぐ。該ヌクレオシドは、先の脱保護工程で前記化学的に除去可能な部分又は保護基が除去された場所で、前記リンカー分子に化学的に結合されるに至る。この選択されたヌクレオシドは、次のヌクレオシドがその領域に堆積されるまで該領域を保護する化学的に除去可能な保護基を含んでいる。次いで、過剰の試薬が除去される。
(h)キャッピング工程: 化学的キャッピングプロセスは、先に脱保護されたけれども、これに結合されたヌクレオシドを有していない全てのリンカー分子上に、永久的キャップ(例えばアセチル基)を配置するために使用される。これは、ホスホロアミダイトプロセスの既知の工程である。ヌクレオシド付加工程が完全又は実質的に完全であることが期待される場合は、このキャッピング工程は必要でないかもしれない。
【0069】
(h)酸化工程: 新たに形成された亜リン酸エステル結合がリン酸エステル(三リン酸エステル)の形態に酸化されて、一つの合成サイクルが完了する。これもまた、ホスホロアミダイトプロセスの既知の工程である。
(i)反復工程: 選択的光照射は異なるアレイ領域を放電するように、又は異なるアレイの領域に電荷を残すように構成されてよいこと、また化学的除去工程は、バインダ分子から、又は先に堆積された保護されたヌクレオチドから保護基を除去することを除いて、工程(c)〜(h)が反復される。反復は、おそらく60ヌクレオチド以上が結合されて、一以上の領域にDNAオリゴマーが形成されるまで実行される。これは、何れか一つの部位及び何れか一つのサイクルにおいて、四つのヌクレオチドA,C,G又はTの何れか一つが結合され得ることを保証するために、240サイクルまでを必要とするかもしれない。さらに長いオリゴマーを合成してもよい。
【0070】
ホスホロアミダイトプロセスに関連して固相コンビナトリアル化学合成プロセスを述べてきたが、該プロセスは、化学的なキャッピング若しくは脱保護工程、又は化学的な活性化若しくは不活性化工程又は誘導体化工程を伴った、段階的プロセスを使用する他のプロセスにも適用可能であることが理解されるべきである。
本発明の方法によりエマルジョンの不連続相中の試薬を選択的に適用することによって、基板上のアレイ又はチップ上に形成される一以上のDNAオリゴデオキシヌクレオチドの脱保護のような、空間選択的化学反応を可能にする構成が提供されることが、本発明によって一般に理解されるであろう。
【0071】
本発明のもう一つの応用は、金属の無電解堆積用又は自己触媒堆積用のものである。
本発明の静電的に帯電されたエマルジョンの空間的プロセスを使用した無電解堆積は、化学的に官能基コートされた光伝導体である基板を用いて達成することができ、あるいは、該基板はガラス又は化学的に抵抗性のポリマープラスチックであってもよい。ガラス若しくはプラスチックの場合、表面は、望ましい静電パターンに静電気的に帯電させ、該パターンに従って、不連続相中に化学触媒(例えば金属誘導体)又はプロモータを含有するエマルジョンを堆積させることができるであろう。静電的に帯電させる別の方法は、コンピュータ制御の電子ビームを用いた誘電体表面への書込みであることができるであろう。更なる方法は、ソフトリソグラフィーを使用して、誘電体基板表面にパターンを帯電させることであることができるであろう。ソフトリソグラフィーとは、導電性エラストマースタンプから、コンホメーション接触した誘電体基板へのパターンの転写に基づく高解像度の帯電技術を言う。
【0072】
この無電解堆積のための方法は、無電解堆積をトリガーするために使用される触媒又は化学薬品が、本発明を使用することにより静電的潜像の上に堆積されることを除き、無電解堆積のための標準工程を含むであろう。堆積のための触媒の一例は、パラジウムアクチベータである。種々の金属のための堆積プロモータである他の化学薬品は、ホルムアルデヒド、エチレンジアミン、エチレンジアミンとプロピレンオキシドの付加物、水素化ホウ素、及びアミンボラン系である。無電解堆積の多くは、電気メッキ又は半導体工業における種々の業者から供給される特許保護された無電解溶液を用いて行われる。これらの会社は、通常、湿潤剤及び例えば堆積される無電解銅の粒子サイズ制御のための添加剤のような、特許保護された成分を組込んでいる。これらは、本発明のエマルジョンの不連続相の中にも含めることができるであろう。堆積され得る金属には、金、銅、コバルト、ニッケル及び銀が含まれてよい。
同様に、無電解メッキは半導体工業においても回路の堆積のために使用されており、本発明はこの技術にも同様に適用されるであろう。
【0073】
次に、本発明のDNAアレイの形成及びホスホロアミダイトプロセス、並びに空間選択的堆積の理解を助けるために、以下では、本発明の好ましい実施形態を示す添付の図面を参照して本発明を一般的に説明する。
【0074】
図面を詳細に参照すると、図1は、DNAチップの書込みに適用されるときの本発明の基本的原理を示している。段階1では基板10が準備され、該基板は、その表面全体に末端保護基を備えたスペーサ分子を有している。段階2において、全体の表面がコロナ放電12の使用によって静電的に負に帯電される。段階2は、基板10上の、全て負に帯電された帯電領域13のアレイを示している。次いで、段階3においては、調節されたレーザ14を使用して、第一の堆積を必要としない部位が照射される。これにより、負に帯電されたプローブセル又は機能領域15のアレイが残され、これは第一のヌクレオシド(例えばA)で誘導体化されることになる。次いで、段階4において、本発明によるエマルジョンが基板に塗布される。該エマルジョンは、その不連続相の中に、正に帯電し且つ前記スペーサ分子上の保護基を除去する酸を含んだ液滴16を有している。この不連続相の液滴16は、静電的に帯電されたプローブセル15に引寄せられ、段階5において酸に媒介された保護基の除去が生じ、これにより、段階6に示すように反応性ヒドロキシル基が残される。次いで、段階6では反応性アミダイト(例えばAアミダイト)が基板上に配置され、反応性ヒドロキシル基が存在する場所で反応が生じる。これらの反応性アミダイトは各々が末端保護基を有しているので、第一のサイクルが完了した段階7においては、次のヌクレオシド(非アミダイト形)を選択されたアレイに堆積させるための準備ができている保護基で基板が覆われる。60量体以上の長さのオリゴデオキシヌクレオチドを与えるために、段階1〜7の240以上のサイクルを実施してよい。
【0075】
図2は、DNAチッププローブの一般的構造を示している。基板20は、表面誘導体化が可能な基22(X)を含む化学的官能層21をその上に有している。これらの誘導体化が可能な基22の表面バインダ上に、アンカー及び/又は官能化のための基23(Y)を化学的に結合していてよい。これら官能基には、リンカー及び/又はスペーサ基24が結合されてよい。該リンカー/スペーサ基の上に、必要に応じてDNA25が構築される。
【0076】
図3は、本発明の範囲内にある部分を含んだホスホロアミダイトプロセスの種々の段階を示している。段階100では、その全表面を覆って、官能化されたバインダ102、及び末端保護基104を備えたスペーサ分子103を有する基板101が準備される。段階105では、その全表面が静電的に負に帯電され且つ放電されて、ヌクレオシドで誘導体化されることになる予め定められた負に帯電したプローブセル又は機能領域のアレイが残される。次いで、段階107において、本発明によるエマルジョンが基板に適用される。該エマルジョンは、その不連続相の中に、正に帯電し且つ選択されたスペーサ分子の保護基を除去する酸を含んだ液滴106を有している。この不連続相の液滴106は、段階108において、静電的に帯電されたプローブセルへと引寄せられ、酸に媒介された保護基の除去109が起こり、これにより、段階110に示すように反応性ヒドロキシル基が残される。次に、段階112においては、反応性アミダイト113(例えばAアミダイト)が該基板上に配置され、反応性ヒドロキシル基が存在する場所で反応が生じる。連結されたヌクレオシド誘導体114は、各々が末端保護基115を有している。
次いで、先に脱保護され且つヌクレオシドが結合していない全てのリンカー分子上に、永久的なキャップ(例えばアセチル基)を配置するために、化学的キャッピングプロセス116を使用することができる。
【0077】
段階118では、この新たに形成された亜リン酸エステル結合がリン酸エステル(三リン酸エステル)の形態に酸化されて、合成の1サイクルが完了する。こうして、この基板は、次のオリゴヌクレオチドを選択されたアレイに堆積させるための準備ができている保護基で完全覆われる。次いで、このプロセスが再循環されて、第二の又は後続の塩基が、上記で述べた酸脱保護を使用する更なる段階100,105,107,108及び110によって発生した反応性ヒドロキシル基を有する指定された機能領域に付加される。60量体以上の長さのオリゴデオキシヌクレオチドを得るために、これら段階の240サイクル以上を実施してよい。
【0078】
図4は、エマルジョンを使用した化学薬品の堆積のために、本発明による基板を帯電し得る一つの方法を示している。この構成において、基板20は単一点コロナ放電装置30を用いて帯電され、該基板上には均一な負の電荷パターン32が与えられる(図4A)。次いで、マスク34が該基板を覆って保持され、又は該基板上に配置され、光36により該マスク34が照射される(図4B)。マスク34に透明部分38がある場所では光伝導体層26が伝導性になり、これら領域における電荷パターンは伝導体層27へと消失する。これにより、非露光領域に静電的な電荷パターン40が残され(図4C)、従って後続の堆積工程では、正に帯電した液滴を備えたエマルジョンを用いれば、これらの領域に不連続相の液滴を結合させることができる。
【0079】
図5は、本発明による基板がエマルジョンを用いた化学薬品の堆積のために帯電され得る別の方法を示している。この構成において、層52は誘電体材料である。金属又は他の導電性マスク50が基板54を覆って保持され、又は該基板上に配置され、次いで、該基板は単一点コロナ放電装置56を用いて帯電される(図5A)。これにより、該マスクに孔が存在する領域においては、基板54の誘電体層52に電荷パターン58が与えられ、またこれら領域に不連続相の液滴が引き付けられる(図5B)。
【0080】
負に帯電したエマルジョン液滴は、好ましくはバイアス電圧プレートの補助を用いて、負の電荷が存在しない表面領域に堆積されるであろう。
この構成は図6に示されている。この場合、基板120は、例えば図4及び図5に示した方法により、その上に形成された負に帯電した領域122を有している。バイアス電圧プレート204が、負に帯電された液滴208をその中に有するエマルジョンと共に、基板200に近接して配置されている。電源212によって、導電層210に対して負の電圧が該バイアスプレートに印加される。負に帯電した液滴208は、負に帯電された領域202の間の中性領域214へと強制的に着床される。このプロセスは反転堆積と称することができる。
【0081】
図7は、本発明によるエマルジョンの機能の詳細な性質を示している。図7Aに示した第一の段階は、電気的に絶縁性の連続相61及び不連続相の液滴62からなるエマルジョン60を示している。該液滴は堆積すべき化学物質64を担持しており、また正電荷66を担持しているが、この電荷は該液滴の本来のものであってもよく、又は界面活性剤67若しくは電荷制御剤68によって供給されてもよい。エマルジョンは、負に帯電した領域72を有する基板70上に配置される。正に帯電した液滴62は、図7Bに示した基板上の負に帯電した領域72に引き寄せられ、また化学物質64は、基盤表面との反応を伴って、又は伴わずに堆積する。次いで、過剰なエマルジョンを除去して、図7Cに示すように、基板70上に堆積された化学物質64を残すことができる。
【0082】
図8は、本発明の一つの実施形態に従って、基板表面上でのエマルジョンに媒介された反応の詳細な性質を示している。
図8Aに示した最初の段階は、電気的に絶縁性の連続相81及び不連続相の液滴82からなるエマルジョン80を示している。この液滴は、リンカーを脱保護するための酸(H+-)を担持しており、また、また正電荷86を担持しているが、この電荷は該液滴の本来のものであってもよく、又は界面活性剤87若しくは電荷制御剤88によって供給されてもよい。該エマルジョンは基板90上に配置されるが、該基板は、基板の全表面を覆うバインダ分子(B)92が化学的に結合された化学的官能層91を有している。バインダ分子上には、保護されたリンカー93が存在する。この場合、該リンカーはジメチルオキシトリチル(DMTr)基によって保護されている。94で指定された領域は、DNAチップセル又は機能領域である。
【0083】
基板の表面には、負に帯電された領域95及び中性領域96が含まれている。正に帯電された液滴82は、図8Bに示した基板上の正に帯電した領域95に引き付けられ、また該液滴中の酸84は保護されたリンカー93と反応する。次いで、エマルジョン80を除去し、図8Cに示すように、先に負に帯電された基板90の領域95に、脱保護されたリンカー98の反応性ヒドロキシル基を残すことができる。次いで、脱保護されたリンカーの反応性ヒドロキシル基は、例えば活性化されたホスホロアミダイト形態のDNA塩基への結合のために利用可能である。
【実施例】
【0084】
帯電したエマルジョンが、その上に静電的パターンの形成された反対極性に帯電された基板上に堆積するかどうかを決定するために、実験を行った。この目的のために、絶縁性の連続相及び酸を含有する不連続層でエマルジョンを形成し、また酸化亜鉛光伝導体を備えた基板を負のパターンで帯電させた。この光伝導体を、シクロヘキサノン中のButvar72(1% w/v)及びpH指示薬であるメチルオレンジの溶液(飽和)中で浸漬コーティングし、55℃で30分間乾燥させた。
【0085】
エマルジョンは下記の成分を含有していた:
連続相 FC40 0.89mL
不連続層 トルエン中の5%ジクロロ酢酸(w/v) 0.1mL
F6H14(FC40中の1%、v/v) 0.01mL
F6H14は、Apollo Scientific Ltd,UKによって供給される半フッ素化アルキルアルカンである、1−(パーフルオロ−n−ヘキシル)テトラデカンである。
酸化亜鉛光伝導体は、アプライドリサーチ・オブ・オーストラリアPty Ltdによって供給されるものであり、アルミニウムメタライズされたPETフィルム上にコーティングされた絶縁性樹脂に結合された酸化亜鉛を含んでいる。
【0086】
不連続相は、電荷パターンの領域にのみ堆積されて、黄色からピンク色へのpHに依存した色変化を生じることが分かった。
この実施例は、第一に、本発明の新規な帯電エマルジョンが基板上に選択的に堆積され得ることを示している。
【0087】
帯電したエマルジョンが、静電的パターンの形成された反対極性に帯電した基板上に堆積されるかどうかを決定するために、もう一つの実験を行った。この目的のために、絶縁性の連続相と、堆積の最中及び堆積の後に水及び空気の両者から染料を保護するように、不連続相中に溶解された染料及びポリマーを含む不連続相を用いて、エマルジョンを形成した。酸化亜鉛光導電体を備えた基板の全体を帯電させ、次いで露光の前にマスクで覆い、該マスクの複製画像である電荷パターンを形成した。
エマルジョンは下記の成分を含有していた:
連続相 FC40 0.99mL
不連続相 DMSO中の1%Butvar72(w/v),
0.1%(w/v)クリスタルバイオレット 0.005mL
DMSO中の1%(w/v)Atlox4912 0.005mL
クリスタルバイオレットは、George T. Gurr、 Searle Scientific Services, Bucks, UKによって供給される。
FC40は、3Mが製造するフルオロカーボン溶媒である。
Butvar72は、Solutiaが製造するポリビニルブチラールである。
Atlox 4912は、 ICIのUniqema businessが製造する12−ヒドロキシステアリン酸ポリエチレングリコール共重合体である。
DMSOは、Ajax Fine Chemicals, Australiaによって供給された。
不連続相は、露光されなかった電荷パターンの領域にのみ堆積されて、紫色の着色を与えることが分かった。
【0088】
更なる実験においては、エマルジョン組成がFC40の連続相と、ポリマー、界面活性剤としてのAOT及びピンクの蛍光染料であるローダミンBを組込んだ不連続相で構成されるときに、匹敵する結果が得られた。
エマルジョンは下記の成分を含有していた:
連続相 FC40 0.99mL
不連続相 両者共にDMSO中の1%Butvar72(w/v),
0.1%(w/v)ローダミンB 0.005mL
DMSO中の10%(w/v)AOT 0.005mL
ローダミンBは、SigmaAldrich Chemical Co.によって供給された。
不連続相は、露光されなかった電荷パターンの領域にのみ堆積されて、蛍光性のピンクの着色を与えることが分かった。
【0089】
帯電されたエマルジョンが、別の界面活性剤を使用してその上に静電界が形成された帯電された基板上に堆積されるかどうかを決定するために、更なる実験を行った。この場合にも、不連続相は、堆積の最中及び堆積後に水及び空気の両者から染料を保護するように、該不連続相の中に溶解された染料及びポリマーを含んでいた。これは、OLED製造において染料を保護するための要件をモデル化している。酸化亜鉛光伝導体を備えた基板は、その全体を帯電させ、次いで露光の前にマスクで覆って、マスクの複製画像である電荷パターンを形成した。
【0090】
エマルジョンは下記の成分を含有していた:
連続相 FC40 0.99mL
不連続相 DMSO中の1%Butvar72(w/v),
0.1%(w/v)クリスタルバイオレット 0.005mL
DMSO中の10%(w/v)SDS 0.005mL
SDSは、SigmaAldrich Chemicalsによって供給された。
不連続相は、露光されなかった電荷パターンの領域にのみ堆積されて、紫色の着色を与えることが分かった。
【0091】
帯電されたエマルジョンが、別の界面活性剤を使用してその上に静電界が形成された帯電された基板上に堆積されることを確認するために、更なる実験を行った。この場合にも、不連続相は、堆積の最中及び堆積後に水及び空気の両者から染料を保護するように、該不連続相中に染料と共に溶解されたポリマーを含んでいた。酸化亜鉛光伝導体を備えた基板は、マスクの複製画像である電荷パターンを形成するように、その全体を帯電させ、次いで露光の前にマスクで覆った。
【0092】
エマルジョンは下記の成分を含有していた:
連続相 FC40 0.99mL
不連続相 DMSO中の1%Butvar72(w/v),
0.1%(w/v)クリスタルバイオレット 0.005mL
DMSO中の10%(w/v)FC134 0.005mL
FC134は、一般構造RfSO2NHC36+(CH33-の陽イオン性界面活性剤であり、ここでRf=Cn2n+1であり、nは大部分は8である。
不連続相は、露光されなかった電荷パターンの領域にのみ堆積されて、紫色の着色を与えることが分かった。
【0093】
可撓性印刷回路の製造における本発明の潜在的役割を示す目的で、帯電したエマルジョンから逆極性に帯電した基板上への金の堆積を実証するために、一つの実験を行った。クロロ金酸(AuCl4.H)の溶液をDMSO中で調製し、FC−40の連続相中に乳化させた。マスクで覆いながら酸化亜鉛光伝導体を備えた基板を帯電させて、光伝導体上に負の電荷パターンを形成した。前記エマルジョンで該潜像を現像した後、光伝導体を110℃で15分間加熱してクロロ金酸を分解させ、金属金を生じさせた。
【0094】
エマルジョンは下記の成分を含有していた:
連続相 FC40 0.995mL
不連続相 DMSO中の10%クロロ金酸(w/v) 0.005mL
金溶液の選択的堆積は、白色の光伝導体上での紫のパターンとして現れた。
【0095】
可撓性印刷回路の製造における本発明の潜在的役割を示す目的で、帯電したエマルジョンから逆極性に帯電した基板上への金の堆積を実証するために、更なる実験を行った。クロロ金酸(AuCl4.H)の溶液をDMSO中で調製し、FC−40の連続相中に乳化させた。マスクで覆いながら0.1%Butvar72で被覆したガラスカバースリップを備えた基板を帯電させて、該カバースリップ上に負の電荷パターンを形成した。前記エマルジョンで該潜像を現像した後、該カバースリップを約300℃で15分間加熱してクロロ金酸を分解させ、金属金を生じさせた。
【0096】
エマルジョンは下記の成分を含有していた:
連続相 FC40 0.995mL
不連続相 DMSO中の10%クロロ金酸(w/v) 0.005mL
金溶液の選択的堆積は、透明なカバースリップ上の紫のパターンとして現れたが、加熱後に、該パターンは反射された光の中で金色に見えた。
【0097】
可撓性印刷回路の製造における本発明の潜在的役割を示す目的で、帯電したエマルジョンから逆極性に帯電した基板上への金の堆積を実証するために、更なる実験を行った。クロロ金酸(AuCl4.H)の溶液をDMSO中で調製し、FC−40の連続相中に乳化させた。マスクで覆いながら、1%Butvar72でコートしたガラスカバースリップを備えた基板を帯電させて、該カバースリップ上に負の電荷パターンを形成した。前記エマルジョンで該潜像を現像した後、該カバースリップを約300℃で15分間加熱してクロロ金酸を金属金に分解させた。
【0098】
エマルジョンは下記の成分を含有していた:
連続相 FC40 0.995mL
不連続相 DMSO中の10%クロロ金酸(w/v) 0.005mL
金溶液の選択的堆積は、透明なカバースリップ上の紫のパターンとして現れたが、加熱後に、該パターンは反射された光の中で金色に見えた。
【0099】
更なる実験が行われて、下記のことが示された:
・誘電体表面上のオリゴデオキシヌクレオチド(その上に化学的ブロック基を持つ)の存在は、それが電荷パターンを受取ることを妨げないこと;
・予め作製されたオリゴデオキシヌクレオチド(保護基が除去されたもの)は、体積抵抗率に影響することなく、空間的に規定されたパターンで堆積され得ること;
・光伝導体表面は、それに結合された化学薬品(オリゴデオキシヌクレオチド)を空間的に規定されたパターンで有するように修飾され得ること。
【0100】
表面においてインサイチュー合成されたオリゴデオキシヌクレオチドの存在が、電荷パターンを保持する当該表面の能力を損なわないことを立証するための実験において、その上で(dT)12及び(dT)25を含むオリゴヌクレオチドが合成されたガラス表面上に画像が形成された。ガラスカバースリップ(24mm×50mm×0.13mm)を、Perspex(登録商標)の前面及びポリプロピレンの背面を備えた反応チャンバの中にサンドイッチした。該チャンバの容積(0.2mL〜0.4mL)は、ポリプロピレンを貫通して加工された試薬の導入及び排出を可能にする穴を備えた、シリコーンゴムシートから切り出されたガスケットによって規定された。導入ポート及び出口ポートは、反応ブロックが、標準のオリゴ合成カラムの代りに、アプライド・バイオシステムズ394DNA/RNAシンセサイザーにインラインで適合され得るように設計された。
【0101】
カバースリップを、使用する直前に110℃で乾燥する前に、0.1%Pyroneg(登録商標)、1%NaOH、及び10%エタノールを含む溶液中で洗浄し、Milli Q(登録商標)水で徹底的に濯いだ。シランの化学的官能層を合成するために、カバースリップを、トルエン中の5%v/vグリシドキシプロピルトリメトキシシランの溶液中に室温で30分間浸漬し、トルエンで濯ぎ、110℃で30分間ベークした。0.5M HCl中で30分間インキュベートすることにより、グリシドキシ環を開環させてホスホロアミダイトとの反応を促進させた。反応チャンバの中で、カバースリップの表面は、(dT)12及び(dT)25を合成するためのABI394標準合成サイクルを1回受けた。
【0102】
反応チャンバから取出したときに、単一点コロナ及びマスクを使用してカバーグラス上に電荷パターンが形成され、該電荷パターンは、粒状の静電的液体トナーを使用して現像された。(dT)12及び(dT)25が合成された領域における強い画像の存在によって、電荷パターンを保持する誘電体表面の能力がそれらの存在により損なわれないことが確認された。
【0103】
更なる実験によって、予め作製されたオリゴデオキシヌクレオチドは、エマルジョン中に組込まれることができ且つ予め定められたパターンで堆積され得ることが立証され、エマルジョン中におけるそれらの存在は連続層の体積抵抗率を妨害しないであろうこと、及びそれらは当該表面と化学的に反応してそこに結合するであろうことが確認された。
【0104】
λファージ一本鎖の尾部を部分的に含む塩基配列の、染料で標識された29量体のアミノオリゴデオキシヌクレオチドをGeneWorks(Thebarton,南オーストラリア)から購入し、188mMでMilliQ水の中に溶解し、超音波プローブを使用して、TritonX−100(最終0.0003%,w/v)と共に0.6%(v/v)の不連続層としてFC40の中に乳化させた。単一点コロナ及びマスクを使用して、Eppendorfの「CreativeChip(登録商標)オリゴスライド」(Eppendorf,Germany)上に電荷パターンを形成し、その上の潜像にエマルジョンを塗布し、暫く放置して排液及び乾燥した。
次いで、製造業者のインストラクションに従ってエポキシスライドへのオリゴデオキシヌクレオチドの結合を行い、またGenePix 4000B(Axon Instruments Inc., Australia)の中で該スライドを走査することにより、それがマスクパターンの形態で存在することを確認した。
【0105】
ステンレス鋼支持体上の硫化カドミウム光伝導体を使用して、同じ実験を行った。最初にメルカプトプロピルトリメトキシシランを用いて、次いでグリシドキシプロピルトリメトキシシランを用いて(両試薬ともSigma−Aldrich社製)硫化カドミウムの表面をシラン化し、0.5MのHCl(上記と同じ)で開環した。この修飾された硫化カドミウムを、マスクを通した暗所での多ピンコロナ放電を使用して負に帯電させ、その表面に潜像を生じさせた。先の実施例と同じ組成のエマルジョンをその表面に堆積させ、CreativeChip(登録商標)オリゴスライドについてEppendorfが推奨する「カップリング」手順に従った。スライドへのオリゴデオキシヌクレオチドの結合は、GenePix 4000B(Axon Instruments Inc.)中でスライドを走査し、また光伝導体表面に化学的に結合したオリゴデオキシヌクレオチドのマスクパターンを同定することによって確認された。
【0106】
本発明の一つの実施形態は、コンビナトリアルケミストリーによりインサイチューで合成されたオリゴデオキシヌクレオチドにおける末端ヌクレオチドの、空間的に方向付られた脱トリチル化にある。DNAチップの表面上での規定された場所(機能領域又はセルと称する)での、この特定のオリゴデオキシヌクレオチドからのトリチル保護基の除去(脱トリチル化)は、反応性ヒドロキシル基を生じさせる。これらのヒドロキシル基は、伸長するオリゴデオキシヌクレオチド鎖に付加されるべき次のヌクレオシド(ホスホロアミダイト形態)が化学的に結合されるための部位を提供する。この方法において、本発明の空間的に方向付けられた脱トリチル化は、例えば疾患の臨床診断のために、生物学的サンプル中での遺伝子発現のパターン及びレベルを決定する際に使用され得るような、DNAチップ上の多様なオリゴデオキシヌクレオチドのアレイを製造するために、オリゴデオキシヌクレオチドのための(ミクロ若しくはナノ規模での)標準のホスホロアミダイト合成が適用される場所を決定するための別の手段を提供する。
【0107】
ここでは、保護されたデオキシヌクレオチドホスホロアミダイトの空間的に方向付けられた脱トリチル化のために、本発明がどのようにして適用されているかを示す二つの実施例を提示する。
【0108】
実施例1:
酸化亜鉛光伝導体のストリップに、無水アセトニトリル中のデオキシアデノシン−ホスホロアミダイト(ジメチルトリチル保護されたもの)の50mM溶液をドープし、55℃で30分間乾燥した。ジトリチル化エマルジョンは、次のようにして調製した:
連続相: FC−40 0.99mL
不連続相: テトラヒドロフラン中の50%(w/w)臭化亜鉛 0.01mL
これら成分を、Sonics & Materials Vibra−cell Model CV−17プローブシステム(USA)の1/4”l/4インチプローブを使用して、パワー設定4で4秒間超音波処理することにより乳化した。前記アミダイトドープした酸化亜鉛ストリップを負に帯電させ、続いてマスクを通しての光照射によりその上に電荷パターンの潜像を形成した後に、このエマルジョンのアリコートを塗布した。該ストリップは、エマルジョンを塗布する直前に、その表面の全体をFC−40で予め湿潤化した。アミダイトの脱保護の結果として生じる強いオレンジ色のジメトキシトリチル陽イオンの形成として、パターン化された脱トリチル化を観察した。ルイス酸である臭化亜鉛を担持したエマルジョン液滴が光照射に露出されなかったゾーン(それにより該ゾーンは負の電荷を維持している)に堆積されることによって示されるように、この脱トリチル化エマルジョンの液滴は正に帯電された。
【0109】
実施例2:
ボロ珪酸塩ガラスのカバースリップ(24mm×50mm×0.13mm)をクロム酸で洗浄し、メトキシ基の前加水分解を可能にするために15分間混合しながら放置したトルエン中の5%(v/v)3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APS)中で15分間インキュベーションすることによって、APSで誘導体化した。さらにトルエン中で15分間濯いだ後に、該カバースリップを110℃で60分間乾燥した。
次いで、該カバースリップを、Perspex(登録商標)の前面及びポリプロピレンの剛性背面を含んでなる反応チャンバの中にサンドイッチした。該チャンバの容積(0.25mL)は、試薬の導入及び排出を可能にするためにポリプロピレンを貫通する孔が加工されたViton(登録商標)「O」リングによって定義された。導入ポート及び排出ポートは、反応ブロックが、標準のオリゴ合成カラムの代りに、アプライド・バイオシステムズ394DNA/RNAシンセサイザーにインラインで適合され得るように設計された。
【0110】
カバースリップへのホスホロアミダイトのマニュアル結合は、ABI 394 DNAシンセサイザーのために特別に供給された合成試薬を使用して、TriLink BioTechnologies(USA)のTechnical Bulletin TL1002に記載されたものからの適合されたプロトコールに従った。このカバースリップを、最初に5mLの無水アセトニトリルを用いてインサイチューで濯いだ。次いで、その全体に亘って、活性化されたdAアミダイト試薬(0.4mL)を約2分間通し、続いて5mLの無水アセトニトリルで二回目の濯ぎを行った。次に、もう1回5mLの無水アセトニトリルで濯ぎ流す前に、1mLの酸化溶液を、該カバースリップの表面に1分間に亘りパルス送給した。
【0111】
カバースリップ(これは今や、アミノシランを介して表面に結合されたdTヌクレオチド上にジメトキシトリチル基を担持している)を反応チャンバから取出し、この誘導体化された表面を上に向けて、パターン化されたマスクを通した単一点コロナ放電によって負電荷の潜像を生じさせた。該カバースリップを、先の実施例のものと同じ組成のエマルジョンに短時間露出させる前に、FC−40で予め湿潤化させた。
【0112】
エマルジョン液滴中に含まれるルイス酸が保護基と反応して、強いオレンジ色のジメトキシトリチル陽イオンを放出するので、空間的に方向付けられた脱トリチル化が着色パターンの形態で観察された。この着色パターンはマスクにおける孔のパターンに一致し、エマルジョン液滴が正に帯電されて、誘導体化された表面の負に帯電した領域に引き付けられたことを示した。着色された脱トリチル化画像に酢酸セルロースSepraphoreIII電気泳動膜(Gelman Sciences, USA)を重ね、それによって前記パターンを該膜上に吸着させることによって、脱トリチル化パターンの「プリント」を作製した。
【0113】
上記実施例で試験したエマルジョンは、超音波発生器を使用して調製した。これは、下記の装置によって達成される。
Sonics and MaterialsのVibra−cell Model CV−17プローブシステム:電力600ワット、 制御された電力及び一定時間で出力する乳化1/4”超音波処理器プローブのために使用される。
【0114】
この明細書の全体を通して、本発明の範囲について種々の指示を与えてきたが、本発明はこれらの何れにも限定されず、これらの二以上を組合せにも本発明は存在する。これら実施例は例示のためだけのために与えられるものであり、限定のために与えられたものではない。
本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して、文脈がそれ以外の解釈を必要としない限り、「具備する」及び「含む」の語、並びに「具備している」及び「含んでいる」のような変形は、記載された整数又は一群の整数を含むことを意味し、記載されていない整数又は一群の整数を排除しないことを意味するように理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】図1は、DNAチップの書き込みに適用されるときの本発明の基本原理を示している。
【図2】図2は、DNAチッププローブの一般的構造を示している。
【図3】図3は、ホスホロアミダイトプロセスの種々の段階を示している。
【図4】図4は、本発明による基板を、エマルジョンを使用した化学薬品の堆積のために帯電させることができる一つの方法を示している。
【図5】図5は、本発明による基板を、エマルジョンを使用した化学薬品の堆積のために帯電させることができる別の方法を示している。
【図6】図6は、本発明による基板上に、エマルジョンを使用した化学薬品の堆積を実行できる一つの方法を示している。
【図7】図7は、本発明によるエマルジョンの機能的性質の詳細を示している。
【図8】図8は、本発明の一つの実施形態に従った、基板の表面上でのエマルジョンに媒介された反応の性質の詳細を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上におけるマイクロメートル規模及びナノメートル規模の空間選択的な化学物質の堆積による製造方法であって:該方法は、
(a)前記基板上の少なくとも一つの領域に前記基板の他の領域における電荷とは異なる静電荷を形成することによって、前記少なくとも一つの領域を規定する工程と;
(b)前記基板にエマルジョンを塗布し、該エマルジョンは、帯電した不連続相及び該不連続相の中に担持された、又は該不連続相を含んでなる選択的に堆積されるべき成分を含んでなる工程と;
(c)前記領域の電荷との間の引力又は斥力により、前記エマルジョンの不連続相を前記少なくとも一つの領域に向けさせる工程と;
を具備する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記選択的に堆積されるべき成分が、生体活性剤、活性化されたヌクレオシドアミダイト(A,C,G又はT)、活性化されたオリゴヌクレオチド、酸及び塩基を含む試薬若しくは反応体、ブロッキング化学薬品、脱ブロッキング化学薬品、有機若しくは無機の誘導体化化学薬品、触媒、医薬、染料若しくは顔料からなる群から選択される方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、さらに、前記基板上の同じ位置又は別の位置において段階的な堆積プロセスを与え、また前記基板上でのコンビナトリアル合成を達成するために、工程(a)〜(c)の反復を実行する工程を含んでなる方法。
【請求項4】
基板上におけるマイクロメートル規模及びナノメートル規模の空間選択的な化学物質の堆積による製造方法であって:該方法は、
(a)前記基板上の少なくとも一つの領域に前記基板の他の領域における電荷とは異なる静電荷を形成することによって、前記少なくとも一つの領域を規定する工程と;
(b)前記基板にエマルジョンを塗布し、該エマルジョンは、帯電した不連続相及び該不連続相の中に担持された、又は該不連続相を含んでなる固相アレイの形成に寄与する化学試薬を有する工程と;
(c)必要とされない領域における堆積を低減するために、前記領域の静電荷による引力によって、任意にバイアス電圧の使用によって、前記エマルジョンの不連続相を前記少なくとも一つの領域に堆積する工程と;
(d)前記少なくとも一つの領域において、化学反応又は物理反応を起こさせる工程と;
(e)前記エマルジョンを除去する工程と;
を具備する方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、さらに、前記基板上の同じ位置又は別の位置において段階的な堆積プロセスを与えるために、工程(a)〜(e)の反復を実行する工程を含んでなる方法。
【請求項6】
請求項4に記載の方法であって、さらに、前記基板に更なる試薬を注ぐ工程を含んでなり、ここで前記更なる試薬の反応は、先に空間選択的堆積が生じた場所でのみ生じる方法。
【請求項7】
段階的反応プロセスを使用することにより、基板上に固相化学アレイを形成する方法であって:該方法は、
(a)前記基板上の少なくとも一つの領域に前記基板の他の領域における電荷とは異なる静電荷を形成することによって、前記少なくとも一つの領域を規定する工程と;
(b)前記基板にエマルジョンを塗布し、該エマルジョンは、帯電した不連続相液滴及び該不連続相の中に担持された、又は該不連続相を含んでなる化学試薬を有する工程と;
(c)必要とされない領域における堆積を低減するために、前記領域の静電荷によって、任意にバイアス電圧の使用によって、前記エマルジョンの不連続相を前記少なくとも一つの領域に堆積する工程と;
(d)前記少なくとも一つの領域において、化学反応を起こさせる工程と;
(e)前記エマルジョンを除去する工程と;
(f)前記段階的反応プロセスの後続の工程を実施する工程と;
を具備する方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法であって、前記基板にエマルジョンを塗布する工程は、該エマルジョンを塗布する前に、前記基板に連続相の液体又はもう一つの液体のコーティングを塗布する工程を含んでなる方法。
【請求項9】
各結合工程の前に脱保護工程を備えた段階的結合プロセスを使用して、基板上にDNAアレイを形成する方法であって:該方法は、
(a)除去可能な保護基により保護された表面官能基を備えた基板を調製する工程と;
(b)前記基板上の少なくとも一つの領域に、前記基板の他の領域における電界とは異なる電界を形成することによって、前記一つの領域を規定する工程と;
(c)前記基板にエマルジョンを塗布し、該エマルジョンは、帯電した不連続相液滴及び該不連続相の中に担持された化学的脱保護剤を有する工程と;
(d)必要とされない領域における堆積を低減するために、前記領域の電界によって、任意にバイアス電圧の使用によって、前記エマルジョンの不連続相を前記少なくとも一つの領域に堆積する工程と;
(e)前記少なくとも一つの領域において、化学的脱保護を起こさせる工程と;
(f)前記エマルジョンを除去する工程と;
(g)前記段階的結合プロセスの後続の工程を実施する工程と;
を含んでなる方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記段階的結合プロセスの後続の工程が、オリゴデオキシヌクレオチドを合成するためのホスホロアミダイト化学における工程である方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法であって、前記エマルジョンの連続相は、約1×106オーム・cm以上の体積抵抗率を有する電気的に絶縁性の液体を含んでなる方法。
【請求項12】
請求項9に記載の方法であって、前記エマルジョンの連続相が、ヘキサン、シクロヘキサン、イソオクタン、デカリン、ヘプタン、芳香族炭化水素、及びイソデカンのような炭化水素並びに炭化水素の混合物;線状、環状、又は多環状のパーフルオロアルカン、ビス(パーフルオロアルキル)アルケン、パーフルオロエーテル、パーフルオロアルキルアミン、臭化パーフルオロアルキル及び塩化パーフルオロアルキルを含むフルオロ炭素化合物を含むフルオロ化学薬品;ポリフェニルメチルシロキサン、ジメチルポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、及び環状ジメチルシロキサンのようなシリコーン液を含んでなる群から選択される方法。
【請求項13】
請求項9に記載の方法であって、前記エマルジョンの連続相が、ゲル又は高粘性液体である方法。
【請求項14】
請求項9に記載の方法であって、前記エマルジョンの不連続相は、非水性で前記連続相と混和せず又は連続相中に実質的に不溶性である方法。
【請求項15】
請求項9に記載の方法であって、前記エマルジョンの不連続相は、試薬、活性化学試薬を担持する溶媒、又は該不連続相中に分散された固体又は不溶性液体のためのキャリア液を含んでなる群から選択される方法。
【請求項16】
請求項9に記載の方法であって、前記エマルジョンの不連続相は、アセトン、アセトニトリル、シクロヘキサノン、ジブロモメタン、ジクロロメタン(塩化メチレン、DCM)、トリクロロメタン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジオキサン、1,2−ジクロロエタン(DCE)、ニトロメタン、テトラヒドロフラン、トルエン、デカリン、ジメチルホルムアミド、イソブタノール、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、並びにIsopar(登録商標)及びNorpar(登録商標)を含む商業的に入手可能な炭化水素の混合物、又はイソプロパノール/塩化メチレン、ニトロメタン/メタノール、ニトロメタン/イソプロパノール、トリクロロメタン/メタノール、若しくはイソプロパノール/塩化メチレンのような化合物の混合物を含んでなる群から選択される方法。
【請求項17】
請求項9に記載の方法であって、前記エマルジョンはさらに電荷制御剤を含んでなる方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、前記電荷制御剤は、無機酸及びその塩、有機酸及びその塩、又はイオン性若しくは双性イオン性化合物を含んでなる群から選択される方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法であって、前記電荷制御剤は金属及び酸を含んでなる金属石鹸から選択され、ここでの金属はバリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、鉛、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、ジルコニウム、及びコバルトが含まれ、また前記酸部分はカルボン酸、カプロン酸、オクタン(カプリル)酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、エルカ酸、タリチン酸(tallitic acid)、レシン酸(resinic acid)、ナフテン酸、及びコハク酸;リン脂質又はアルキルスクシンイミドから選択される方法。
【請求項20】
請求項9に記載の方法であって、前記エマルジョンが約20〜99.99容量パーセントの範囲で存在する連続相、約0.01〜80容量パーセントの範囲で存在する不連続層、任意に0.01〜20重量パーセントの範囲で存在する界面活性剤、及び任意に0.01〜10重量パーセントの範囲で存在する電荷制御剤を含んでなる方法。
【請求項21】
請求項9に記載の方法であって、前記エマルジョンが、約100μm〜0.2μmの液滴サイズを有する不連続相を含んでなる方法。
【請求項22】
請求項9に記載の方法であって、前記エマルジョンが、500ナノメートル〜約50ナノメートルの液滴サイズを有する不連続相を備えたミニエマルジョンを含んでなる方法。
【請求項23】
請求項9に記載の方法であって、前記エマルジョンが、200ナノメートル〜1ナノメートルの液滴サイズを有する不連続相を備えたミクロエマルジョンを含んでなる方法。
【請求項24】
請求項9に記載の方法であって、前記基板上に静電荷を形成することによって前記基板の少なくとも一つの領域を規定する工程は、非帯電領域における堆積を可能にする画像反転の工程を含む方法。
【請求項25】
請求項9に記載の方法であって、前記静電画像パターンの形成工程は静電気的手段によるものであり、ここで前記基板は光伝導体であり、また前記静電界の形成は帯電及びその後の選択的光照射による放電によるものである方法。
【請求項26】
請求項9に記載の方法であって、前記エマルジョンを除去する工程は、前記エマルジョン中に残留する何れかの化学的脱キャッピング剤を、それが前記アレイの望ましくない部分において反応するのを防止するために中和する工程を含んでいる方法。
【請求項27】
請求項9に記載の方法であって、前記化学的脱保護剤が、ルイス酸、プロトン酸、臭化亜鉛、四塩化チタン、硝酸セリンアンモニウム、希鉱酸、トリクロロ酢酸(TCA)、ジクロロ酢酸(DCA)、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、ジフルオロ酢酸、過塩素酸、オルトリン酸、トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、及びジフェニル酸ホスフェートを含んでなる群から選択される方法。
【請求項28】
請求項9に記載の方法であって、前記エマルジョンはさらに界面活性剤を含み、該界面活性剤は連続相と相溶性の第一の部分及び不連続相と相溶性の第二の部分を有し、また該界面活性剤は前記連続相の体積低効率を有意に低下させないように選択される方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法であって、前記界面活性剤は、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性、又は両イオン性の化合物、ポリマー界面活性剤物質、リン脂質、又はこれらのフッ素化類縁体を含んでなる群から選択される方法。
【請求項30】
請求項9に記載の方法であって、前記基板は、支持体、該支持体上の伝導体層、電荷を保持する材料の誘電体若しくは光伝導体層、及び化学的官能層を含んでなる方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法であって、前記基板は、金属、ガラス、セラミック、又はポリマー材料を含んでなる群から選択される方法。
【請求項32】
請求項30に記載の方法であって、前記伝導体層は、金属のスパッタ層、酸化インジウムスズ、又は第四級アンモニウム塩のような塩を含んでなる群から選択される方法。
【請求項33】
請求項30に記載の方法であって、前記誘電体層又は光伝導体層は、ガラス、Mylar(PET,ポリエチレンテレフタレート)のようなポリマー樹脂、酸化亜鉛、硫化カドミウム、非晶質セレン、又はセレン−テルル、セレン化鉛、セレン−砒素のようなセレン合金、及びポリビニルカルバゾール(PVK)を含んでなる群から選択される方法。
【請求項34】
別々に照明可能な画素を有するタイプのフラットスクリーンディスプレーを製造する方法であって:該方法は、
i)複数の画素部位を規定する発光ダイオードアレイをもった基板を準備する工程であって、各画素部位が電極を含む工程と;
ii)選択された画素部位の電極に電荷を印加する工程と;
iii)着色剤を適用するために適合された液体組成物を準備する工程であって、該液体組成物は絶縁性液体及び選択された色の帯電された着色剤を含む工程と;
iv)前記基板上に前記液体組成物を配置する工程と;
v)前記着色剤を前記選択された画素部位に引き寄せる工程と;
vi)前記基板から過剰な液体組成物を除去する工程と;
vii)前記着色剤を前記基板に固定する工程と;
viii)他の選択された色の更なる着色剤を他の選択された画素部位に適用するために、工程ii)から工程vii)を繰り返す工程と;
を具備する方法。
【請求項35】
請求項34に記載のフラットスクリーンディスプレーを製造する方法であって、前記選択された色には、赤色、緑色及び青色が含まれる方法。
【請求項36】
請求項34に記載のフラットスクリーンディスプレーを製造する方法であって、前記LEDアレイのうちの選択されたものを活性化させることによって、前記電荷が前記選択された画素部位に印加される方法。
【請求項37】
請求項34に記載のフラットスクリーンディスプレーを製造する方法であって、前記発光ダイオードが有機発光ダイオードである方法。
【請求項38】
請求項34に記載のフラットスクリーンディスプレーを製造する方法であって、前記絶縁性液体が、炭化水素液、シリコーン液、塩素化炭化水素及びパーフルオロカーボンから選択される方法。
【請求項39】
請求項34に記載のフラットスクリーンディスプレーを製造する方法であって、前記着色剤はエマルジョンの不連続相である帯電した液滴であるか、又は該液滴の中に組込まれる方法。
【請求項40】
請求項34に記載のフラットスクリーンディスプレーを製造する方法であって、前記基板は、ガラス、ポリエステル箔、ポリカーボネート、Mylar(登録商標)、ステンレス鋼等から選択される方法。
【請求項41】
請求項34に記載のフラットスクリーンディスプレーを製造する方法であって、前記基板は、酸化インジウム錫(ITO)のコーティングを含んでいる方法。
【請求項42】
別々に照明可能な画素を有するタイプのフラットスクリーンンディスプレーを製造する方法であって:該方法は、
i)複数の画素部位を規定する伝導体アレイをもった基板を準備する工程であって、各画素部位が電極を含む工程と;
ii)選択された画素部位の電極に電荷を印加する工程と;
iii)前記選択された画素部位に選択されたポリマーフィルムを適用するために適合された液体組成物を準備する工程であって、該液体組成物は、絶縁性液体を含有する連続相と、ポリマーフィルムを堆積するためのポリマーの帯電した液滴又は該ポリマーを含む帯電した液滴を含有する不連続相とを具備したエマルジョンを含んでなる工程と;
iv)前記基板上に前記液体組成物を配置する工程と;
v)前記液滴を前記選択された画素部位に引き寄せる工程と;
vi)前記基板から過剰な液体組成物を除去する工程と;
vii)前記ポリマーを前記基板に固定する工程と;
viii)更なる選択されたポリマーフィルムを他の選択された画素部位に適用するために、工程ii)から工程vii)を繰り返す工程と;
を具備する方法。
【請求項43】
請求項42に記載のフラットスクリーンディスプレーを製造する方法であって、前記ポリマーは、ポリ(フェニレンビニレン)(PPV)、パリレン、ポリビニルカルバゾール(PVK)及びポリフルオレンを含んでなる群から選択される、エレクトロルミネッセンスを示す材料である方法。
【請求項44】
別々に照明可能な画素を有するタイプのフラットスクリーンディスプレーを製造する方法であって:該方法は、
i)複数の画素部位を規定する導電体アレイをもった基板を準備する工程であって、各画素部位が電極を含む工程と;
ii)前記複数の画素部位の全ての電極に電荷を印加する工程と;
iii)選択された画素部位に選択されたポリマーフィルムを適用するために適合された液体組成物を準備する工程であって、該液体組成物は、絶縁性液体を含有する連続相と、ポリマーフィルムを堆積するためのポリマーの帯電した液滴又は該ポリマーを含む帯電した液滴を含有する不連続相とを具備したエマルジョンを含んでなる工程と;
iv)前記基板上に前記液体組成物を配置する工程と;
v)前記帯電した液滴を前記選択された画素部位に引き寄せる工程と;
vi)前記基板から過剰な液体組成物を除去する工程と;
vii)前記ポリマーを前記基板に固定する工程と;
viii)前記複数の画素部位の電極うちの選択された電極に電荷を印加する工程と;
ix)選択された画素部位に染料を適用するために適合された第二の液体組成物を準備する工程であって、該第二の液体組成物は、絶縁性液体を含有する連続相と、前記ポリマーフィルム上に堆積させる前記染料の帯電した液滴又は該染料を含む帯電した液滴を含有する不連続相とを具備したエマルジョンを含んでなる工程と;
x)前記第二の液体組成物を前記基板上に配置する工程と;
xi)前記帯電した液滴を前記選択された画素部位に引寄せる工程と;
xii)過剰な液体組成物を前記基板から除去する工程と;
xiii)前記ポリマーを前記基板に固定する工程と;
xiv)更なる選択された染料を他の選択された画素部位に適用するために、工程iii)から工程xiii)を繰り返す工程と;
を具備する方法。
【請求項45】
請求項44に記載のフラットスクリーンディスプレーを製造する方法であって、前記基板に固定化されるポリマーフィルムは光伝導体であり、前記工程ix)は画素部位の選択的光照射によって達成される方法。
【請求項46】
別々に照明可能な画素を有するタイプのフラットスクリーンディスプレーを製造する方法であって:該方法は、
i)基板上に静電気アレイのパターンを発生させることによって、前記基板上に複数の画素部位を規定する工程と;
ii)前記規定された画素部位に選択されたポリマーフィルムを適用するために適合された液体組成物を準備する工程であって、該液体組成物は、絶縁性液体を含有する連続相と、ポリマーフィルムを堆積するためのポリマーの帯電した液滴又は該ポリマーを含む帯電した液滴を含有する不連続相とを具備したエマルジョンを含んでなる工程と;
iii)前記基板上に前記液体組成物を配置する工程と;
iv)前記液滴を前記規定された複数の画素部位に引き寄せる工程と;
v)前記基板から過剰な液体組成物を除去する工程と;
vi)前記ポリマーを前記基板に固定する工程と;
vii)更なる選択されたポリマーフィルムを他の規定された画素部位に適用するために、工程i)から工程vi)を繰り返す工程と;
を具備する方法。
【請求項47】
請求項34の方法により形成されたフラットスクリーンpディスプレーパネル。
【請求項48】
請求項42の方法により形成されたフラットスクリーンディスプレーパネル。
【請求項49】
請求項43の方法により形成されたフラットスクリーンディスプレーパネル。
【請求項50】
請求項45の方法により形成されたフラットスクリーンディスプレーパネル。
【請求項51】
請求項8の方法により形成された基板上のDNAアレイ。
【請求項52】
請求項1の方法により形成された基板上における、マイクロメートル規模及びナノメートル規模での化学物質の空間選択的堆積。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−523735(P2007−523735A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515558(P2006−515558)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【国際出願番号】PCT/AU2004/000864
【国際公開番号】WO2005/001120
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(506000173)ロウステック プロプライエタリー リミテッド (4)
【Fターム(参考)】