説明

端末及びデータ配信システム

【課題】端末の利用頻度の少ない時間帯に有用なデータを優先してデータを更新する。
【解決手段】ホスト計算機から配信されたデータを受信する端末であって、ホスト計算機から配信されたデータを格納するデータベース及び端末のスケジュールを管理するスケジュール管理部を備え、データベースに格納されたデータの更新要求を受け付けた場合には、スケジュール管理部によって、端末の利用頻度の少ない状態が継続する時間をデータ更新可能時間として抽出し、更新要求に基づいてホスト計算機に更新要求を送信し、ホスト計算機から送信された更新対象のデータを含む更新情報に基づいて、更新対象のデータの更新に必要な処理時間及び更新対象のデータの有用性を示す値を算出し、算出された更新対象データの処理時間及び有用性を示す値に基づいて、更新対象のデータの処理順序を決定し、決定された処理順序に基づいて、データベースに格納されたデータを更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホスト計算機と端末とを含むシステムにおいて、端末のデータを更新する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カーナビゲーション装置、携帯電話、及びPDA(Personal Digital Assistant)などの端末(移動ホスト)は、高機能化しているため、取り扱われるデータの容量が増大している。そこで、移動ホストは、内部にデータベース管理システムを備えることによって、大量のデータを効率的に管理できるようになった。移動ホストのデータベースは、固定型サービスホスト(以下、「サービスホスト」)のデータベースの一部、又はすべてのデータを格納する。例えば、車載装置向け地図配信システムでは、車載装置が地図センタ(サービスホスト)で管理される地図データベースの内容をデータベースに格納する。
【0003】
しかし、サービスホストに備えられたデータベースに格納されたデータが更新されると、移動ホストのデータベースに格納されているデータと整合しなくなり、利用者に無効なデータを提供してしまうおそれがある。このとき、移動ホストは、サービスホストと無線通信を行い、サービスホストから最新データを取得することによって、データベースに格納されているデータを更新する。
【0004】
移動ホストのデータベースの更新は、移動ホストとサービスホストとの間の無線通信が高速でなく、さらに、移動ホストのハードウェア性能が低いため、データベースの更新件数が多ければ、より多くの更新時間を必要とする。したがって、利用者が必要とするデータのみを更新する差分更新が有効である。差分更新では、移動ホストがデータベースに格納されている一部のデータを更新する。例えば、特許文献1には、車載用データ更新システムにおいて、車載装置が、地図センタから利用者の希望するエリアに含まれる最新のPOI(Point of Interest)データのみを取得する技術が開示されている。このとき、地図センタは、車載装置に送信するPOIデータの最大件数を設定する。このように、更新されるデータの件数を制限することによって、POIデータの件数が急激に追加されたエリアの更新を更新する場合に通信負荷が増大することを防ぐことができる。
【特許文献1】特開2006−293696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
移動ホストのデータベースを更新する際の問題点として、利用者の要求内容によって、移動ホストがサービスホストにデータベースの更新を要求してから、データベースの更新を完了させるまでの時間(以下、「データベース更新完了時間」)が長くなる点が挙げられる。データベース更新完了時間の大部分は、サービスホストが移動ホストに無線通信によって更新データを送信する時間と、移動ホストが受信した更新データをデータベースに反映させる時間である。
【0006】
特許文献1に開示された技術では、地図センタがデータベースへの更新件数を制限し、移動ホストにPOIデータを送信するため、データベース更新完了時間の増大を抑制できる。一方、データベースの更新に費やす時間をある程度許容し、データベースの更新件数を多くしたい場合もある。すなわち、利用者がデータベースの更新に費やすことができる時間を設定し、当該時間内でデータベースの更新件数をできるだけ多くする処理が要求される。特許文献1に開示された技術では、このような要求に対応することは困難である。
【0007】
また、特許文献1に開示された技術では、移動ホストがデータベースの更新をトランザクション処理によって実行されることを想定していない。トランザクション処理は、関連する複数の処理を一つの処理単位で実行する。例えば、車載装置のPOIデータベースの更新では、店舗及び当該店舗の駐車場のデータをトランザクション処理で、同時に追加したいという要求が考えられる。
【0008】
さらに、移動ホストのデータベースが更新されている間には、利用者が移動ホスト上で別の処理を円滑に実行できない点が挙げられる。データベースの更新処理には、移動ホストの計算資源の大部分が割り当てられるためである。データベース更新完了時間が長くなる場合には、特に深刻な問題となる。移動ホストは、利用者が移動ホストを利用していない間に、データベースが更新されることが望ましい。
【0009】
一方、利用者が長い時間をかけて、データベースの更新を要求した場合に、更新途中で移動ホストを利用するために、更新処理を中断する状況が考えられる。このとき、利用者は、更新途中のデータベースを利用することになる。移動ホストは、利用者が更新処理を中断することを想定し、利用者に有益な更新操作を含むトランザクションを優先して実行する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の代表的な一形態では、ホスト計算機から配信されたデータを受信する端末であって、前記ホスト計算機から配信されたデータを格納するデータベース、及び、前記端末のスケジュールを管理するスケジュール管理部を備え、前記データベースに格納されたデータの更新要求を受け付けた場合には、前記スケジュール管理部によって、前記端末の利用頻度が少なくなるタイミングを検知し、前記検知されたタイミングから利用頻度の少ない状態が継続する時間をデータ更新可能時間として抽出し、前記受け付けられた更新要求に基づいて、前記ホスト計算機に更新要求を送信し、前記ホスト計算機から前記更新要求の応答として送信された更新対象のデータを含む更新情報に基づいて、前記更新対象のデータの更新に必要な処理時間、及び、前記更新対象のデータの有用性を示す値を算出し、前記算出された更新対象データの処理時間及び有用性を示す値に基づいて、前記更新対象のデータの処理順序を決定し、前記決定された処理順序に基づいて、前記データベースに格納されたデータを更新する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一形態によれば、端末の利用頻度が少ない時間帯に、利用者にとって有用なデータを優先してデータを更新することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明の実施の形態では、サービスホストを地図センタに、移動ホストを車載装置に対応させ、車載装置に格納されたナビゲーションシステムのPOI表を更新する例を説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態の移動ホスト用データベース配信システムのシステム構成を示す図である。
【0014】
移動ホスト用データベース配信システムは、サービスホスト1及び移動ホスト2を含む。サービスホスト1及び移動ホスト2は、無線通信網3を介して接続される。無線通信網3は、例えば、携帯電話網又は無線LAN(Local Area Network)網である。
【0015】
サービスホスト1は、移動ホスト2に配信される地図データを管理する。また、移動ホスト2からの要求に基づいて、地図データの更新情報を送信する。
【0016】
移動ホスト2は、地図データを格納する。また、格納された地図データを利用するナビゲーション機能を備えている。本発明の実施の形態では、移動ホスト2は、利用者の指示に基づいて、道路情報及び店舗情報などを提示する。
【0017】
サービスホスト1は、演算装置11、メモリ12、通信装置13、データベース14、及び更新要求処理部15を備える。
【0018】
演算装置11は、メモリ12に格納されたプログラムを実行し、各種処理を実行する。具体的には、データベースの更新処理、移動ホスト2からの更新要求に対する処理、更新要求に適合する更新ログの抽出処理、及び移動ホスト2への更新ログの送信処理など、サービスホスト1で実行されるすべての処理が実行される。
【0019】
メモリ12は、演算装置11によって処理されるプログラム及び処理に必要なデータを記憶する。通信装置13は、無線通信網3を介して、移動ホスト2との間でデータを送受信する。
【0020】
データベース14は、移動ホスト2のナビゲーション機能で利用される地図データを管理する。地図データは、具体的には、背景地図データ、経路探索用データ、及びPOIデータなどである。本発明の実施の形態では、サービスホスト1において更新されたPOIデータを、移動ホスト2のデータベースに反映させる処理について説明する。POIデータを格納するPOI表については、図2にて後述する。また、データベース14は、POI表に対する更新操作を更新ログとして記録される更新ログ表を管理する。更新ログ表については、図3にて後述する。
【0021】
更新要求処理部15は、更新ログ管理部151及び要求適合更新ログ抽出部152を含む。更新ログ管理部151及び要求適合更新ログ抽出部152は、演算装置11によって実行されるプログラムである。
【0022】
更新ログ管理部151は、演算装置11に実行されることによって、POIデータの更新時に、データの更新、削除及び追加を記録した更新ログを時系列順に更新ログ表に書き込む。
【0023】
要求適合更新ログ抽出部152は、演算装置11に実行されることによって、移動ホスト2から更新要求を受け付けた場合に、更新ログ表から、移動ホスト2の要求を満たす更新ログを抽出する。例えば、指定された目的地周辺のPOIデータの更新が要求されると、当該目的地を中心とした円領域に含まれるPOIデータの更新ログが抽出される。
【0024】
移動ホスト2は、演算装置21、メモリ22、入力装置23、出力装置24、通信装置25、データベース26、スケジュール管理部27、及びデータベース更新制御部28を備える。
【0025】
演算装置21は、メモリ22に格納されたプログラムを処理し、各種処理を実行する。具体的には、データベース更新可能時間の予測、サービスホスト1への更新要求の生成処理及び送信処理、サービスホスト1からの更新ログの受信処理、トランザクションの制御処理など、移動ホスト2で実行されるすべての処理を実行する。
【0026】
メモリ22は、演算装置21で処理されるプログラム及び処理に必要なデータを記憶する。通信装置25は、無線通信網3を介して、サービスホスト1との間でデータを送受信する。
【0027】
入力装置23は、ナビゲーション機能における目的地の入力及びデータベース26の更新要求などを受け付ける。入力装置23は、例えば、タッチパネルなどである。
【0028】
出力装置24は、移動ホスト2のナビゲーション機能に必要な情報を出力する。出力装置24は、例えば、液晶ディスプレイなどである。出力装置24には、例えば、地図、移動経路、又は目的地までの所用時間が表示される。さらに、出力装置24は、データベース26の更新状況を表示することが可能である。
【0029】
データベース26は、サービスホスト1によって管理されるデータベース14と同じスキーマのテーブルが格納される。データベース26には、ナビゲーション機能に必要な地図データが格納される。また、データベース26は、サービスホスト1と同様に、データベース26に対応する更新ログ表が格納される。
【0030】
スケジュール管理部27は、演算装置21に実行されることによって、利用者の行動スケジュールを管理するプログラムを含む。本発明の実施の形態では、ナビゲーション機能がスケジュール管理部27に該当する。スケジュール管理部27の情報は、後述する更新可能状態予測部282によって、利用者が移動ホストを利用しない時間帯を予測する処理に利用される。本発明の実施の形態では、スケジュール管理部27は、利用者が高速道路を運転する時間帯を予測するために利用される。
【0031】
データベース更新制御部28は、更新ログ管理部281、更新可能状態予測部282、更新要求部283、及びトランザクション制御部284を含む。更新ログ管理部281、更新可能状態予測部282、更新要求部283、及びトランザクション制御部284は、演算装置21によって実行されるプログラムである。
【0032】
更新ログ管理部281は、演算装置21に実行されることによって、サービスホスト1の更新ログ管理部151と同等の機能を備え、データベース26のPOI表への更新操作を記録する。更新可能状態予測部282は、演算装置21に実行されることによって、スケジュール管理部27の情報に基づいて、移動ホスト2の利用頻度の少ない時間帯を取得する。本発明の実施の形態では、移動ホスト2のナビゲーション機能によって、高速道路を運転している時間帯を更新可能時間帯に設定する。
【0033】
更新要求部283は、演算装置21に実行されることによって、サービスホスト1に要求する内容を決定し、決定された要求内容をサービスホスト1に送信する。トランザクション制御部284は、演算装置21に実行されることによって、サービスホスト1から送信された更新ログをトランザクション実行した場合のトランザクション処理時間を見積もり、更新可能時間内に十分に余裕をもって、すべてのトランザクションが実行可能か否かを判定する。また、トランザクション制御部284は、利用者の要求に基づいて、トランザクションの実行順序を決定し、トランザクションを実行する。
【0034】
図2は、本発明の実施の形態のPOI表の構成を示す図である。
【0035】
POI表は、サービスホスト1及び移動ホスト2の両方のデータベース14及び26に格納される。サービスホスト1のPOI表は、最新のPOIデータが格納される。移動ホスト2のPOI表は、自動的又は利用者の要求に基づいて、最新のPOIデータに更新される。
【0036】
POI表は、POI_ID2201、カテゴリ2202、名称2203、位置2204を含む。
【0037】
POI_ID2201は、POIデータを識別する識別子である。カテゴリ2202は、POIが属する施設の種類を示す。例えば、レストラン、駐車場、銀行、コンビニエンスストアなどが該当する。名称2203は、POIの名称である。位置2204は、地図上のPOIの中心位置となる地点の座標値である。例えば、緯度と経度の組み合わせによって表される。
【0038】
図2に示されたPOI表には、4つの属性が含まれているが、さらに、地域、住所、電話番号などの属性が含まれていてもよい。
【0039】
図3は、本発明の実施の形態の更新ログ表の構成を示す図である。
【0040】
更新ログ表は、NO2303、TID2304、操作2305、旧値2306、及び新値2307を含む。
【0041】
更新ログ表は、サービスホスト1によって、更新前のPOI表2301が更新され、更新後のPOI表2302を取得する際に生成される。また、POI表2302の網掛けの部分は、更新箇所である。POI表2301に対する更新操作を具体的に説明すると、まず、POI表2301のPOI_IDが“3”のレコードが削除される。次に、POI_IDが“4”のレコードの名称が更新される。最後に、POI_IDが“5”、“6”及び“7”のレコードが挿入される。
【0042】
NO2303は、更新ログ番号であって、更新ログを一意に識別する識別子である。TID2304は、トランザクションIDであって、一連の更新処理を管理するトランザクションを識別する識別子である。
【0043】
操作2305は、データベースの変更操作が記録され、「挿入」(INSERT)、「削除」(DELETE)、「更新」(UPDATE)が含まれる。
【0044】
旧値2306は、更新前のPOI表2301に含まれていた値である。また、新値2307は、更新後のPOI表2302に含まれる値である。旧値2306と新値2307は、POI表と同じ属性を有する。更新操作が「挿入」の場合には、新値2307にデータが記録され、旧値2306にはNULL値が格納される。なお、図3の更新ログ表に記述されている「N」は、NULL値を示す。更新操作が「削除」の場合には、旧値のデータのみが記録され、新値がNULL値となる。更新操作が「更新」の場合には、旧値と新値の両方のデータが記録される。
【0045】
図3の更新操作では、例えば、更新ログ表のNO2303の値が“1”のレコードに、POI表2200のPOI_ID2201が“3”のレコードに対する更新操作が記録される。
【0046】
また、更新ログ表のNO2303の値が“4”及び“5”のレコードは、TID2304の値が同じ値になっている。TID2304の値が同じ値になっている場合には、同じトランザクション処理によって更新されている。したがって、POI_IDが“6”の「◎◎スーパー」及びPOI_IDが“7”の「■■駐車場」が依存関係を有していることがわかる。例えば、「■■駐車場」が「◎◎スーパー」の駐車場になっている場合などである。このように、複数の更新操作が一つのトランザクションで実行される場合には、更新ログ表において、TID2304に同じ値が設定される。
【0047】
図4は、本発明の実施の形態の移動ホスト2のデータベース26を更新する手順を示すフローチャートである。本処理は、移動ホスト2の入力装置23を介して更新指示が受け付けられてから実行される。
【0048】
移動ホスト2の演算装置21は、更新可能状態予測部282を実行することによって、移動ホスト2が高速道路に進入したことを検知すると、高速道路運転時間を更新可能時間として取得し、目的地を更新地点に設定する(S201)。
【0049】
移動ホスト2の演算装置21は、更新要求部283を実行することによって、更新可能状態予測部282の処理から更新可能時間及び目的地を入力情報として受信する。演算装置21は、利用者の目的地の情報に基づいて、サービスホスト1に要求する内容を決定し、サービスホスト1に送信する(S202)。
【0050】
サービスホスト1の演算装置11は、移動ホスト2から更新要求を受信すると、要求適合更新ログ抽出部152を実行することによって、更新ログを抽出し、抽出された更新ログを移動ホスト2に送信する(S203)。
【0051】
移動ホスト2の演算装置21は、トランザクション制御部284を実行することによって、サービスホスト1から送信された更新ログに基づいて、受信した更新ログに含まれるトランザクションの実行時間を計算する(S204)。また、演算装置21は、トランザクションを実行した場合の利用者への有益度を、トランザクションの利得値として計算する(S205)。演算装置21は、トランザクションの利得値の大きい順に、トランザクションの実行順序を決定する(S206)。
【0052】
移動ホスト2の演算装置21は、S201の処理で取得された更新可能時間内ですべてのトランザクションを十分に実行可能であるか否かを確認する(S207)。更新可能時間内ですべてのトランザクションを十分に実行可能な場合には(S207の結果が「Yes」)、演算装置21は、更新要求部283を実行することによって、サービスホスト1から、より多くの更新ログを取得するために、更新可能時間の残り時間に応じて更新要求の条件を拡大する(S209)。そして、S202以降の処理を実行する。一方、更新可能時間内ですべてのトランザクションを十分に実行可能でない場合は(S207の結果が「No」)、決定されたトランザクションの実行順序に従って、各トランザクションを実行する(S208)。
【0053】
図5は、本発明の実施の形態のデータベース更新可能状態を予測する手順を示すフローチャートである。本フローチャートは、図2のS201の処理の詳細を示している。
【0054】
移動ホスト2の演算装置21は、更新可能状態予測部282を実行し、データベース26を更新可能であるか否かを判定する(S301)。具体的には、スケジュール管理部27から利用者の行動スケジュールを取得し、利用者が移動ホスト2を利用する頻度が少ない時間帯であるか否かを判定する。
【0055】
移動ホスト2の演算装置21は、データベース26が更新可能でないと判定された場合には(S301の結果が「No」)、データベース26の状態を継続して監視する。
【0056】
移動ホスト2の演算装置21は、データベース26が更新可能と判定された場合には(S301の結果が「Yes」)、データベースが更新可能な状態が継続する時間を予測し、予測された継続時間を更新可能時間に設定する(S302)。そして、更新可能時間及び目的地をメモリ22に記憶し、データベース更新要求を生成する(S202)。
【0057】
図6は、本発明の実施の形態の高速道路においてデータベース更新可能状態を予測する手順を示すフローチャートである。本処理では、利用者が移動ホスト2を利用する頻度が少ない時間帯として、図5に示した処理を具体的に示したものである。
【0058】
移動ホスト2の演算装置21は、移動ホスト2を搭載した車両が高速道路に進入したか否かを判定する(S401)。車両が高速道路に進入したか否かの判定は、現在位置と地図データベースとを照合してもよいし、車両が高速道路に進入する際にETC(Electronic Toll Collection)の信号を受信してもよい。
【0059】
移動ホスト2の演算装置21は、車両が高速道路に進入した場合には(S401の結果が「Yes」)、移動ホスト2のナビゲーション機能を利用して、車両が高速道路を通過して一般道路に出るまでの所要時間を計算し、高速道路の走行時間を更新可能時間に設定する(S402)。そして、更新可能時間及び目的地をメモリ22に記憶し、データベース更新要求を生成する(S202)。
【0060】
なお、データベース26を更新可能な状態は、移動ホストが郊外の一本道を走行している場合、渋滞中の道路を走行している場合、交差点で停止している場合など、利用者が移動ホストを利用する可能性が低い状態であればよい。
【0061】
図7は、本発明の実施の形態の移動ホスト2のデータベース更新要求を生成する手順を示すフローチャートである。
【0062】
移動ホスト2の演算装置21は、まず、本処理が実行される前に更新要求の条件拡大の処理(S209)が実行されたか否かを判定する(S501)。更新要求の条件拡大の処理が実行された場合には(S501の結果が「Yes」)、既にPOIデータの更新方法等の条件が設定されているため、更新要求を生成する処理を実行する(S506)。
【0063】
一方、移動ホスト2の演算装置21は、本処理が実行される前に条件拡大の処理が実行されていない場合には(S501の結果が「No」)、利用者からPOI表の更新方法の指定を受け付ける(S503)。利用者は、移動ホスト2の入力装置を介して、目的地周辺の更新又は移動経路沿いの更新のいずれかを設定する。
【0064】
移動ホスト2の演算装置21は、指定された更新方法が目的地周辺の更新の場合には(S503の結果が「目的地周辺の更新」)、目的地を中心に、所定の半径の円領域に含まれる更新されたPOIデータを取得するように条件を設定する(S504)。
【0065】
一方、移動ホスト2の演算装置21は、指定された更新方法が移動経路沿いの更新の場合には(S503の結果が「移動経路沿いの更新」)、高速道路から一般道路に進入する地点から、目的地までの移動経路を中心に、所定の距離幅に含まれる更新されたPOIデータを取得するように条件を設定する(S505)。
【0066】
移動ホスト2の演算装置21は、設定された条件に基づいて、更新要求を生成する(S506)。更新要求には、更新要求領域が目的地周辺の更新の場合には、目的地と円領域の半径の情報が含まれる。一方、更新要求領域が移動経路沿いの更新の場合には、移動経路及び経路幅の情報が含まれる。そして、移動ホスト2の演算装置21は、生成された更新要求をサービスホスト1に送信する(S507)。
【0067】
図8は、本発明の実施の形態の移動ホスト2から送信された更新要求に適合する更新ログを抽出する手順を示すフローチャートである。
【0068】
サービスホスト1の演算装置11は、まず、データベース14に格納されている更新ログ表の更新ログレコードを1件読み出す(S601)。初期状態では、更新ログ表の先頭レコードが読み出される。
【0069】
サービスホスト1の演算装置11は、読み出された更新ログレコードの旧値2306又は新値2307の位置が更新要求領域に含まれるか否かを判定する(S602)。読み出された更新ログレコードの旧値2306又は新値2307の位置が更新要求領域に含まれる場合には(S602の結果が「Yes」)、読み出された更新ログが移動ホスト2に要求されているため、更新ログリストに更新ログレコードを追加する(S603)。更新ログリストには、サービスホスト1が移動ホスト2に送信する更新ログが格納される。
【0070】
サービスホスト1の演算装置11は、S603の処理の実行後、又は、更新ログレコードの旧値2306又は新値2307の位置が更新要求領域に含まれない場合には(S602の結果が「No」)、更新ログ表の読み出し対象のレコードが末尾に到達したか否かを判定する(S604)。
【0071】
サービスホスト1の演算装置11は、更新ログ表の読み出し対象のレコードが末尾のレコードに到達していない場合には(S604の結果が「No」)、次の更新ログレコードを読み出し、更新ログの抽出処理を継続する(S601)。一方、更新ログ表の読み出し対象のレコードが末尾のレコードに到達した場合には(S604の結果が「Yes」)、移動ホスト2に更新ログリストに含まれる更新ログを送信する(S605)。
【0072】
本発明の実施の形態では、更新ログ表の先頭レコードから順に要求領域に含まれる更新ログを探索する方法を記述したが、更新ログ表のレコード数が多くなると、探索時間が非常に長くなる。そこで、更新ログに含まれる位置の情報に基づいて、空間インデックスを構築し、要求領域に含まれる更新ログを効率的に探索することができる。
【0073】
また、移動ホスト2から送信された更新要求に、移動ホスト2に格納されたデータのバージョン情報などを含ませることによって、既に適用済みの更新ログを移動ホスト2に送信することを防ぐことができる。
【0074】
図9は、本発明の実施の形態の移動ホスト2のトランザクション処理時間の計算手順を示すフローチャートである。
【0075】
移動ホスト2は、サービスホスト1から送信された更新ログリストを参照し、更新ログレコード(以下、「レコード」)のトランザクションIDが同じ更新ログレコードを一つのトランザクションとする。同じトランザクションに含まれる更新ログの実行時間を見積もり、更新ログの実行時間の和をトランザクション処理時間とする。
【0076】
移動ホスト2の演算装置21は、まず、トランザクション処理時間を0に設定する。さらに、計算対象となるトランザクションIDをサービスホスト1から送信された更新ログリストの先頭レコードのトランザクションIDに設定する(S701)。
【0077】
移動ホスト2の演算装置21は、サービスホスト1から送信された更新ログリストを1件読み出し(S702)、現在の計算対象となっているトランザクションIDと読み出されたレコードのトランザクションIDが異なるか否かを判定する(S703)。
【0078】
移動ホスト2の演算装置21は、トランザクションIDが異なっている場合には(S703の結果が「Yes」)、計算されたトランザクションの処理時間をトランザクション特性表に記録する。なお、トランザクション特性表については、図10にて後述する。
【0079】
移動ホスト2の演算装置21は、計算対象となっているトランザクションIDを、S702の処理で読み出されたレコードのトランザクションIDに変更し(S705)、トランザクション処理時間を0にする(S706)。
【0080】
移動ホスト2の演算装置21は、トランザクションIDが同じと判定された場合(S703の結果が「No」)、又は、S706の処理が終了した場合には、S702の処理によって読み出されたレコードのトランザクションが既に実行されたか否かを判定する(S707)。トランザクションが実行されたか否かの判定は、移動ホスト2で実行されたトランザクションが記録される更新ログ表に当該トランザクションIDが含まれていれば、既に実行されたトランザクションと判定される。
【0081】
移動ホスト2の演算装置21は、読み出されたトランザクションが既に実行されたトランザクションである場合には(S707の結果が「Yes」)、更新ログリストからレコードを削除し(S708)、S702の処理を実行する。読み出されたトランザクションが既に実行されたトランザクションでない場合には(S707の結果が「Yes」)、レコードに含まれるデータベースの操作に基づいて、実行時間を算出し、トランザクション処理時間の値に加算する(S709)。
【0082】
移動ホスト2の演算装置21は、更新ログリストから全レコードが読み出されたか否かを判定する(S710)。更新ログリストから全レコードが読み出されていない場合には(S710の結果が「No」)、S702の処理を実行する。更新ログリストから全レコードが読み出された場合には(S710の結果が「Yes」)、トランザクションの利得値を計算する処理に遷移する(S205)。
【0083】
以上の処理によって、更新ログに含まれるトランザクションの実行時間をトランザクション特性表に記録することができる。
【0084】
図10は、本発明の実施の形態の更新ログに基づいて生成されるトランザクション特性表を示す図である。
【0085】
トランザクション特性表は、TID2401、処理時間2402、及び利得値2403を含む。
【0086】
TID2401は、トランザクションIDを識別する識別子である。
【0087】
処理時間2402は、トランザクションの実行に必要な処理時間である。処理時間2402の値は、例えば、移動ホスト上でデータベースにレコードの追加(INSERT)、削除(DELETE)、更新(UPDATE)の処理時間を事前に計測し、トランザクションに含まれる各操作の個数に基づいて計算することができる。
【0088】
利得値2403は、TID2401によって識別されたトランザクションが実行された場合に、当該トランザクションによって更新される情報が利用者にどの程度有益かを示す数値である。本発明の実施の形態では、有益さを表す数値を利得値とし、利得値の計算については、図11及び図12にて後述する。
【0089】
図11は、本発明の実施の形態の目的地周辺の更新が選択された場合のトランザクション利得値の計算手順を示すフローチャートである。本処理では、トランザクションに含まれる各更新ログを実行した場合の利得値を計算し、計算された利得値の和を当該トランザクションの利得値とする。
【0090】
移動ホスト2の演算装置21は、まず、トランザクションの利得値を0に設定する。さらに、計算対象となるトランザクションIDをサービスホスト1から送信された更新ログリストの先頭レコードのトランザクションIDに設定する(S801)。
【0091】
移動ホスト2の演算装置21は、サービスホスト1から送信された更新ログリストを1件読み出し(S802)、現在の計算対象となっているトランザクションIDと読み出されたレコードのトランザクションIDが異なるか否かを判定する(S803)。
【0092】
移動ホスト2の演算装置21は、トランザクションIDが異なる場合には(S803の結果が「Yes」)、計算されたトランザクションの利得値をトランザクション特性表の利得値2403に記録する。そして、計算対象となっているトランザクションIDを、S802の処理で読み出されたレコードのトランザクションIDに変更し(S805)、トランザクション利得値を0に設定する(S806)。
【0093】
移動ホスト2の演算装置21は、トランザクションIDと同じと判定された場合(S803の結果が「No」)、又は、S806の処理が終了した場合には、目的地周辺更新の場合の利得値を計算する。具体的には、目的地から近いPOIデータほど利得値が大きいものとし、目的地から更新地点までの直線距離の逆数を利得値とする。
【0094】
移動ホスト2の演算装置21は、S807の処理で計算された利得値をトランザクション利得値に加算する(S808)。そして、更新ログリストからすべてのレコードが読み出されたか否かを判定する(S809)。
【0095】
移動ホスト2の演算装置21は、すべてのレコードが読み出された場合には(S809の結果が「Yes」)、トランザクションの実行順序を決定する処理を実行する(S206)。すべてのレコードが読み出されていない場合には(S809の結果が「No」)、S802の処理を実行し、トランザクション利得値の計算を継続する。
【0096】
図12は、本発明の実施の形態の移動経路沿いの更新が選択された場合のトランザクション利得値の計算手順を示すフローチャートである。本処理は、目的地周辺の更新の場合とほぼ同じ処理が実行されるが、トランザクション利得値の計算処理(S907)が相違する。以下、相違点を説明する。
【0097】
移動経路沿いのPOIデータを更新する場合、トランザクション利得値は、高速道路から一般道路に進入した地点から目的地までの移動経路を中心として、移動経路に近いPOIデータほど利得値が大きいものとする。具体的には、移動経路からPOIデータの地点までの直線距離の逆数を利得値として計算する。
【0098】
図13は、本発明の実施の形態のトランザクションの実行順序を決定する手順を示すフローチャートである。本処理では、トランザクションの利得値が大きい順に、トランザクションが実行されるように、トランザクションキューにトランザクションIDを挿入する。
【0099】
移動ホスト2の演算装置21は、まず、トランザクション特性表のレコードを利得値の大きい順に並び替える(S1001)。
【0100】
移動ホスト2の演算装置21は、次に、トランザクション特性表からトランザクション特性レコード(以下、レコード)を1件読み出し(S1002)、トランザクション処理の実行時間をトランザクション総実行時間に加算する(S1003)。トランザクション総実行時間は、データベースの更新処理が開始されるとき、つまり、データベース更新可能状態の予測処理が開始されるときに、0にセットされる。
【0101】
移動ホスト2の演算装置21は、更新可能時間がトランザクションの総実行時間よりも十分に大きいか否かを判定する(S1004)。更新可能時間がトランザクションの総実行時間よりも十分に大きい場合には(S1004の結果が「Yes」)、レコードのトランザクションIDをトランザクションキューに挿入する(S1006)。ここで、十分に大きい場合とした理由は、更新可能時間の予測精度が低い場合には、更新可能時間内にトランザクションの実行が完了しない可能性があるからである。
【0102】
移動ホスト2の演算装置21は、更新可能時間がトランザクションの総実行時間よりも十分大きくない場合には(S1004の結果が「No」)、本処理を終了し、図2のS207の処理を実行する。
【0103】
移動ホスト2の演算装置21は、S1006の処理が終了すると、更新ログリストからすべてのレコードが読み出されたか否かを判定する(S1007)。そして、すべてのレコードを読み出された場合には(S1007の結果が「Yes」)、本処理を終了し、S207の処理を実行する。一方、更新ログリストから全レコードを読み出されていない場合には(S1007の結果が「No」)、S1002の処理を実行し、トランザクションの実行順序を決定する処理を継続する。
【0104】
図14は、本発明の実施の形態のトランザクション実行時の具体的な処理の手順を示すフローチャートである。本処理は、トランザクションキューに挿入されたトランザクションIDの順に、該当するトランザクションを実行する。
【0105】
移動ホスト2の演算装置21は、まず、トランザクションキューの先頭のトランザクションIDを参照する(S1101)。次に、更新ログリストから、トランザクションIDに該当する更新ログレコードを取得する(S1102)。
【0106】
移動ホスト2の演算装置21は、取得された更新ログレコードのデータベース操作を一つのトランザクションとして実行する(S1103)。また、一つのトランザクションに含まれる更新ログレコードが複数存在する場合には、複数のデータベース操作を一つのトランザクションとして実行する。
【0107】
移動ホスト2の演算装置21は、トランザクション処理が完了すると、実行された更新ログの内容を更新ログ表に記録し(S1104)、トランザクションキューの先頭のトランザクションIDを削除する(S1105)。
【0108】
移動ホスト2の演算装置21は、次のトランザクションを実行するために、トランザクションキューにトランザクションIDが存在するか否かを判定する(S1106)。トランザクションキューにトランザクションIDが存在する場合には(S1106の結果が「Yes」)、S1101の処理を実行し、トランザクションの実行を継続する。一方、トランザクションキューにトランザクションIDが存在しない場合には(S1106の結果が「No」)、トランザクション処理がすべて完了したものとして、トランザクションの実行処理を終了する。
【0109】
図15は、本発明の実施の形態のデータベース更新要求の条件拡大の詳細な手順を示すフローチャートである。
【0110】
更新要求の条件拡大処理は、サービスホスト1から受信した更新ログリストに含まれる更新ログをすべて実行しても更新可能時間内に更新処理が完了する場合に、サービスホスト1から更新ログをさらに取得するために実行される。
【0111】
移動ホスト2の演算装置21は、まず、サービスホスト1に既に更新要求された領域の面積を拡大するように要求条件を設定する(S1201)。具体的には、目的地周辺の更新であれば、目的地を中心とした円領域の半径を大きくする。一方、移動経路沿いの更新であれば、移動経路を中心とした領域の幅を大きくする。このように、移動ホスト2がサービスホスト1からPOIデータを要求する領域を拡大することによって、より多くのPOIデータを移動ホスト2のデータベース26に登録することができる。なお、具体的に要求領域を拡大する方法については、図16及び図17にて後述する。
【0112】
図16は、本発明の実施の形態の目的地周辺の更新が選択された場合のデータベース更新要求の条件拡大を説明する図である。
【0113】
目的地Gを中心とした半径rの白い円領域は、移動ホスト2によって要求された更新領域を示している。また、同じく目的地Gを中心とした半径r’の円領域から、先に更新された半径rの円領域を除いた網掛けの領域が、更新要求の条件拡大によって新たに更新される領域である。
【0114】
移動ホスト2の演算装置21は、サービスホスト1に網掛けの領域に含まれるPOIデータに対応する更新ログを要求する。ここで、トランザクションの実行時間が要求された領域の面積に比例すると仮定すると、r’は、数式1301によって表現される。数式1301では、t1をトランザクションの総実行時間、t2を更新可能時間の残り時間、rを前回要求された領域の半径を示す。そして、数式1301に基づいて、新しく設定される更新要求は、目的地Gを中心とした半径r’の円に含まれ、かつ、目的地Gからの距離がr以上の領域に含まれるPOIデータに対応する更新ログとなる。
【0115】
図17は、本発明の実施の形態の移動経路の更新が選択された場合のデータベース更新要求の条件拡大を説明する図である。
【0116】
移動経路Rを中心とした幅dの領域は、移動ホスト2によって要求された更新領域を示している。移動経路Rを中心とした幅d’の領域から幅dの領域を除外した網掛けの領域が、更新要求の条件拡大によって新たに更新される領域になる。
【0117】
移動ホストの演算装置21は、サービスホスト1に網掛けの領域内のPOIデータに対応する更新ログを要求する。ここで、トランザクションの実行時間が要求された領域の面積に比例すると仮定すると、d’は、数式1401によって表現される。なお、数式1401では、t1がトランザクションの総実行時間、t2が更新可能時間の残り時間、dが前回要求された移動経路Rからの距離を示す。そして、数式1401に基づいて、新しく設定される更新要求は、移動経路Rから幅d’の領域に含まれ、かつ、移動経路Rからの最短距離がd以上のPOIデータに対応する更新ログを取得する。
【0118】
以下、本発明の実施の形態において、移動ホスト2がデータベースを更新する場合に、移動ホスト2の出力装置24に出力される内容について説明する。
【0119】
図18は、本発明の実施の形態の目的地までの移動経路が探索された後の移動ホスト2の画面を示す図である。
【0120】
利用者が移動ホスト2に目的地を設定すると、移動ホスト2の画面1501は、目的地までの所要時間及び高速道路の運転時間1502、現在位置1508から目的地1503までの移動経路1504が表示される。
【0121】
本発明の実施の形態の移動経路には、途中に高速道路の区間が存在するため、高速道路の入口となるインターチェンジ1507及び高速道路の出口となるインターチェンジ1505が表示され、高速道路の区間1506が強調表示される。
【0122】
また、移動ホスト2の画面下部には、利用者に情報を提示するステータスバー1509が表示される。目的地までの移動経路が探索された後には、ステータスバー1509に更新の種類の選択を受け付けるボタンが表示される。地図更新の選択を受け付けるステータスバーには、目的地周辺で更新させるボタン1510と、高速道路の出口となるインターチェンジから目的地までの移動経路沿いで更新させるボタン1511が表示される。
【0123】
図19は、本発明の実施の形態の移動ホストが高速道路の入口となるインターチェンジに進入した後の移動ホスト2の画面を示す図である。
【0124】
図19には、目的地までの移動経路が探索された後に、ステータスバー1509の目的地周辺のボタン1510が操作され、移動ホスト2が高速道路に進入した後の状態が示されている。
【0125】
また、移動ホスト2が高速道路に進入すると、ステータスバー1509には、利用者に地図データの更新を開始する旨の通知が表示される。ステータスバー1509には、更新状況を確認するボタン1602及び更新を中止するボタン1603が表示される。
【0126】
更新状況を確認するボタン1602が操作されると、所定の時間が経過した後にPOIデータが更新される領域を画面に表示される。表示される画面については、図23及び図24にて後述する。また、更新を中止するボタン1603が操作されると、現在進行中の更新処理が中断される。
【0127】
図20は、本発明の実施の形態のサービスホスト1から更新ログを受信中の移動ホスト2の画面を示す図である。
【0128】
ステータスバー1509には、移動ホスト2が更新データを受信している場合に、目的地周辺の更新データを受信している旨が表示されている。また、ステータスバー1509には、更新処理が完了するまでの時間が表示される。利用者は、更新データを受信中であっても、更新状況を確認することが可能であり、また、更新処理を中断することも可能である。
【0129】
図21は、本発明の実施の形態の移動ホスト2がサービスホスト1からの更新データの受信を完了し、トランザクション実行中の移動ホスト2の画面を示す図である。
【0130】
ステータスバー1509には、移動ホスト2のデータベースに対して、目的地周辺のPOIデータを更新している旨が表示されている。
【0131】
図22は、本発明の実施の形態のデータベースの更新完了後の移動ホスト2の画面を示す図である。
【0132】
ステータスバー1509には、目的地周辺のPOIデータについて、移動ホスト2のデータベースの更新が完了した旨が表示されている。図22には、移動ホスト2が高速道路の出口となるインターチェンジ1505の付近において、データベースの更新が完了した状態が示されている。
【0133】
図23は、本発明の実施の形態のデータベース更新中の更新状況を表示する画面を示す図である。図23には、現在時刻から5分後の更新状況が示されている。
【0134】
更新状況ボタン1602が操作されると、現在時刻から所定の時間経過後に、POI情報が更新される領域2001が強調表示される。移動ホスト2がデータベースを更新する前に、トランザクションの実行順序が決定されているため、トランザクションの実行順序及びトランザクション特性表に格納された各トランザクションの実行情報に基づいて、POI情報が更新される領域2001を表示することが可能となる。
【0135】
更新状況ボタン1602が操作されると、ステータスバー2002に現在時刻からの経過時間を示すメッセージが表示される。ステータスバー2002には、経過時間の他に、経過時間を調整するボタン2003及び2005と、経過時間を示すゲージ2004とが含まれる。ボタン2003を操作すると、経過時間を戻すことができる。また、ボタン2005を操作すると、経過時間を進めることができる。本発明の実施の形態では、ゲージ2004の一目盛は5分である。
【0136】
利用者は、現在時刻からの経過時間を調節する場合には、ボタン2003又はボタン2005を操作する。例えば、経過時間を戻すボタン2003を操作すると、10分経過後の更新状況が表示されている場合には、5分経過後の更新状況が表示される。一方、利用者が経過時間を進めるボタン2005を操作すると、5分経過後の更新状況が表示されている場合には、10分経過後の更新状況が表示される。ゲージ2004には、設定されている現在時刻からの経過時間が示される。
【0137】
また、ステータスバー2002には、ボタン2008、ボタン2006及びボタン2007が含まれる。ボタン2008は、終了設定ボタンである。ボタン2008を操作すると、現在表示されている更新状況で更新処理を終了するように設定することができる。こうすることによって、利用者が更新領域又は更新時間を指定することが可能となる。
【0138】
さらに、ボタン2006を操作すると、移動経路を表示する前画面に戻すことができる。ボタン2007を操作した場合には、更新を中止することができる。
【0139】
図24は、本発明の実施の形態のデータベース更新中の更新状況を表示する画面を示す図である。図24には、現在時刻から20分後の更新状況が示されている。
【0140】
図24を参照すると、図23の場合と比べて、POIデータが更新される領域の面積が広くなる。また、図24の状態でボタン2008を操作すると、20分後に更新処理が中止され、図24に示す状態まで移動ホスト2のデータベースが更新される。
【0141】
本発明の実施の形態によれば、移動ホストの利用頻度が少ない時間帯に、可能な限り多くのトランザクション処理を実行することができるため、データベースの更新処理によって利用者の移動ホストに対する作業を阻害しにくくなる。
【0142】
また、本発明の実施の形態によれば、利用者に有益なデータの更新を含むトランザクションが優先して実行されるため、利用者が短時間でデータベースの更新処理を中止しても、データベースから有益な情報を取得することができる。
【0143】
さらに、本発明の実施の形態によれば、指定された時間後の更新状況を確認して更新処理を実行する対象の領域を指定できるため、最小限の更新時間で有益な情報を更新することができる。
【0144】
なお、本発明の実施の形態では、車両に搭載された移動ホストを対象としたが、携帯電話又はPDAなどであっても本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明の実施の形態の移動ホスト用データベース配信システムのシステム構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態のPOI表の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態の更新ログ表の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態の移動ホストのデータベースを更新する手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態のデータベース更新可能状態を予測する手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態の高速道路におけるデータベース更新可能状態を予測する手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態の移動ホストのデータベース更新要求を生成する詳細な手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態のサービスホストが移動ホストから送信された更新要求に適合した更新ログを抽出する手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態の移動ホストのトランザクション処理時間の計算手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態の更新ログに基づいて生成されるトランザクション特性表を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態の目的地周辺の更新が選択された場合のトランザクション利得値の計算手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態の移動経路沿いの更新が選択された場合のトランザクション利得値の計算手順を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態のトランザクションの実行順序を決定する手順を示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施の形態のトランザクション実行時の具体的な処理の手順を示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態のデータベース更新要求の条件拡大の詳細な手順を示すフローチャートである。
【図16】本発明の実施の形態の目的地周辺の更新が選択された場合のデータベース更新要求の条件拡大を説明する図である。
【図17】本発明の実施の形態の移動経路の更新が選択された場合のデータベース更新要求の条件拡大を説明する図である。
【図18】本発明の実施の形態の目的地までの移動経路が探索された後の移動ホストの画面を示す図である。
【図19】本発明の実施の形態の移動ホストが高速道路の入口となるインターチェンジに進入した後の移動ホストの画面を示す図である。
【図20】本発明の実施の形態のサービスホストから更新ログを受信中の移動ホストの画面を示す図である。
【図21】本発明の実施の形態の移動ホストがサービスホストからの更新データの受信を完了し、トランザクション実行中の移動ホストの画面を示す図である。
【図22】本発明の実施の形態のデータベースの更新完了後の移動ホストの画面を示す図である。
【図23】本発明の実施の形態のデータベース更新中の更新状況を表示する画面を示す図である。
【図24】本発明の実施の形態のデータベース更新中の更新状況を表示する画面を示す図である。
【符号の説明】
【0146】
1 サービスホスト(ホスト計算機)
2 移動ホスト(端末)
3 無線通信網
11 演算装置
12 メモリ
13 通信装置
14 データベース
15 更新要求処理部
21 演算装置
22 メモリ
23 入力装置
24 出力装置
25 通信装置
26 データベース
27 スケジュール管理部
28 データベース更新制御部
151 更新ログ管理部
152 要求適合更新ログ抽出部
281 更新ログ管理部
282 更新可能状態予測部
283 更新要求部
284 トランザクション制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト計算機から配信されたデータを受信する端末であって、
前記ホスト計算機から配信されたデータを格納するデータベース、及び、前記端末のスケジュールを管理するスケジュール管理部を備え、
前記データベースに格納されたデータの更新要求を受け付けた場合には、前記スケジュール管理部によって、前記端末の利用頻度が少なくなるタイミングを検知し、前記検知されたタイミングから利用頻度の少ない状態が継続する時間をデータ更新可能時間として抽出し、
前記受け付けられた更新要求に基づいて、前記ホスト計算機に更新要求を送信し、
前記ホスト計算機から前記更新要求の応答として送信された更新対象のデータを含む更新情報に基づいて、前記更新対象のデータの更新に必要な処理時間、及び、前記更新対象のデータの有用性を示す値を算出し、
前記算出された更新対象データの処理時間及び有用性を示す値に基づいて、前記更新対象のデータの処理順序を決定し、
前記決定された処理順序に基づいて、前記データベースに格納されたデータを更新することを特徴とする端末。
【請求項2】
前記ホスト計算機から送信される更新情報は、前記ホスト計算機に格納されたデータが更新された場合に記録される更新ログであって、
前記端末は、
前記ホスト計算機から送信された更新ログに基づいて、前記データベースを更新するトランザクションを生成し、
前記算出された更新対象のデータの処理時間及び有用性を示す値に基づいて、前記生成されたトランザクションの実行時間、及び、前記生成されたトランザクションによって更新されるデータの有用性を示す値を算出し、
前記算出されたトランザクションの実行時間及び前記生成されたトランザクションによって更新されるデータの有用度を示す値に基づいて、前記更新対象のデータの処理順序を決定することを特徴とする請求項1に記載の端末。
【請求項3】
前記端末は、前記データ更新可能時間内に前記データベースに格納された前記更新対象のデータを更新可能な場合には、前記ホスト計算機にさらに更新要求を送信することを特徴とする請求項1に記載の端末。
【請求項4】
前記端末は、
前記データベースに格納されたデータが更新されている間に、前記データの更新状況を表示し、
前記データベースに格納されたデータの更新が開始されてから経過した時間の入力を受け付け、
前記データベースに格納されたデータの更新が開始されてから前記入力された時間が経過した後の前記データの更新が完了している範囲を表示することを特徴とする請求項1に記載の端末。
【請求項5】
前記端末は、
前記データベースに格納されたデータの更新終了時刻の入力を受け付け、
前記入力された更新終了時刻に前記データベースに格納されたデータの更新を終了させることを特徴とする請求項1に記載の端末。
【請求項6】
データを配信するホスト計算機と、前記データを受信する端末とを含むデータ配信システムであって、
前記ホスト計算機は、前記データを格納する第1のデータベースを備え、
前記端末は、
前記ホスト計算機から配信されたデータを格納する第2のデータベース、及び、前記端末のスケジュールを管理するスケジュール管理部を備え、
前記第2のデータベースに格納されたデータの更新要求を受け付けた場合には、前記スケジュール管理部によって、前記端末の利用頻度が少なくなるタイミングを検知し、前記検知されたタイミングから利用頻度の少ない状態が継続する時間をデータ更新可能時間として抽出し、
前記受け付けられた更新要求に基づいて、前記ホスト計算機に更新要求を送信し、
前記ホスト計算機は、
前記送信された更新要求に基づいて、前記第1のデータベースから更新対象のデータを抽出し、
前記抽出された更新対象のデータを含む更新情報を前記端末に送信し、
前記端末は、
前記ホスト計算機から送信された更新情報に基づいて、前記更新対象のデータごとに、データの更新に必要な処理時間、及び、前記更新対象のデータの有用性を示す値を算出し、
前記算出された更新対象データの処理時間及びデータの有用性を示す値に基づいて、前記更新対象のデータの処理順序を決定し、
前記決定された処理順序に基づいて、前記第2のデータベースに格納されたデータを更新することを特徴とするデータ配信システム。
【請求項7】
前記第1データベースは、前記第1データベースに格納されたデータが更新された場合には、更新ログが記録され、
前記ホスト計算機は、前記端末から更新情報の要求を受け付けた場合には、前記更新情報として更新されたデータに対応する前記更新ログを前記端末に送信し、
前記端末は、
前記ホスト計算機から送信された更新ログに基づいて、前記第2のデータベースを更新するトランザクションを生成し、
前記算出された更新対象のデータの処理時間及び有用性を示す値に基づいて、前記生成されたトランザクションの実行時間、及び、前記生成されたトランザクションによって更新されるデータの有用性を示す値を算出し、
前記算出されたトランザクションの実行時間及び前記生成されたトランザクションによって更新されるデータの有用度を示す値に基づいて、前記更新対象のデータの処理順序を決定することを特徴とする請求項6に記載のデータ配信システム。
【請求項8】
前記端末は、前記データ更新可能時間内に前記第2のデータベースに格納された前記更新対象のデータを更新可能な場合には、前記ホスト計算機にさらに更新要求を送信することを特徴とする請求項6に記載のデータ配信システム。
【請求項9】
前記端末は、
前記第2のデータベースに格納されたデータが更新されている間に、前記データの更新状況を表示し、
前記第2のデータベースに格納されたデータの更新が開始されてから経過した時間の入力を受け付け、
前記第2のデータベースに格納されたデータの更新が開始されてから前記入力された時間が経過した後の前記データの更新が完了している範囲を表示することを特徴とする請求項6に記載のデータ配信システム。
【請求項10】
前記端末は、
前記第2のデータベースに格納されたデータの更新終了時刻の入力を受け付け、
前記入力された更新終了時刻に前記第2のデータベースに格納されたデータの更新を終了させることを特徴とする請求項6に記載のデータ配信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2009−20660(P2009−20660A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−182039(P2007−182039)
【出願日】平成19年7月11日(2007.7.11)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】