説明

等方性移動層を有する電磁放射及びイオン化放射線検出デバイス

【課題】電磁放射線及びイオン化放射線、特にX−線及び/又はγ線を検出するデバイスに関する。
【解決手段】電磁放射線、特にX−線又はγ線を検出するデバイスであって、検出される前記電磁放射線と相互作用することが可能な少なくとも1つの材料から構成され、可動電荷キャリアを解放するためのものであり、前記可動電荷キャリアの移動が電流を発生する検出層(21);前記解放された電荷キャリアの複数の基本コレクター(23,29)を備えて提供され、前記基本コレクターが、離散的に分配された基板(22);前記検出層によって解放された前記電荷キャリアを、前記基本コレクターに移動させるのに適しており、前記検出層(21)に接続されている移動層(25);前記複数の基本コレクター(23,29)及び前記移動層(25)を接合させるための、絶縁性の接着性接合層(26);を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁放射線及びイオン化放射線、特にX−線及び/又はγ線を検出するデバイスに関する。従って、本発明は、センサー分野に関し、これらが、1つ若しくは2つの方向性を有するマトリクスセンサーであるか又は他の構造のセンサーである。
【0002】
特に、本発明は、電気相互接続及びこのようなセンサーの部材間における接合のための構造に関する。
【背景技術】
【0003】
デジタル画像を生成するために設計されたセンサーの分野において、従来技術では、電磁波を電子に、従ってデジタル信号に変換するための2つの異なる原理を含んでいる。これらの2つのうちの第一の原理は、“間接変換”と呼ばれるものであり、X−線をシンチレーター材料における可視光量子に変換し、その後、アモルファスシリコンのような、半導体材料のボード上に作成された光ダイオードを用いて可視光量子を電子に変換する。
【0004】
しかしながら、本来周知の方法では、この第一の原理に従って操作するセンサーは、低い照射線量に対する解像度及び感度の観点では性能を制限する。本来周知の方法では、解像度は、2つの点−生成されるデジタル画像におけるオブジェクトを区別するためのセンサーの能力として定義される。本来周知の方法では、感度は、ある量の入射光子を検出するためのセンサーの能力として定義される。
【0005】
つい最近に開発及び実施された第二の変換原理は、“直接変換”と呼ばれる。この第二の原理に従って操作するセンサーは、以前のセンサーよりも優れた性能、特に低い量に対するより上質な解像度及びより高い感度を有することが必要とされる。
【0006】
これは、センサーの基礎的な性能であるため、この性能に対するいずれの改良は、センサーが、デジタル画像を生成するために使用される、特に医療画像、科学的な及び宇宙計測又は非破壊試験の分野の全ての分野に関係しうる。
【0007】
直接変換原理は、従来技術のセンサーの断面の略図である図1に関連して本願明細書に記述される。直接変換は、X又はγ型の入射電磁放射線の周波数レンジにかかわらず達成される。
【0008】
図1に示される直接変換センサーが、作製され及び“フリップチップ”と呼ばれる技術によって操作される。CdTeのような高原子密度、又はPbI及びHgI等のようなハロゲン化鉛又は水銀を有する材料から通常作製される検出層11内において、入射電磁波が、直接的に、電子に変換される。従って、入射光子と検出層11との相互作用によって生成される電子が、電流を形成し、その強さは、入射光子のエネルギー及び数に比例する。これらの電流は、集められ、リード回路に移動するために導電性パッド15内に流れるが、これは定量化され及び従ってその中で“デジタル化”させるためである。
【0009】
本来周知の方法では、それぞれの導電性パッド15が、デジタル画像を形成するマトリクスのピクセルに対応する。そのため、導電性パッド15が、離散的に分配され、センサーの2つの面積において一定である。
【0010】
それぞれのパッド15と検出層11との間には、電極16が通常配置され、この電極16は、金のような導電材料から形成され、光子と物体との間の相互作用に由来する電荷キャリア、電子又はホールの効果的な収集に適している。
【0011】
導電性パッド15は、それぞれ、例えばアルミニウムのような導電性パッド13上に備え付けられ、導電性パッド13の役割は、集められた電流をリード基板12に送ることである。リード基板12が、アモルファス又は多結晶シリコンから形成されるボード、又はさらには“特定用途向け集積回路(ASIC)”、又はCMOS半導体型のものを含んでよい。その結果、観察されるシーンのデジタル画像表現を実現するために、リード回路による本来周知の方法で、電流がリードされ及び使用されてよい。
【0012】
さらに、導電性パッド15が、等方性の導電性を有する接着材料から形成される。このような接着材料は、均一に分配された金属電荷を含むポリマーマトリクスから通常構成され、その金属電荷の役割は、電気伝導を提供することである。
【0013】
パッド15を形成する接着材料が、リード回路のパッド13と、通常電極16を備えて提供される検出層11との間の機械的接着を提供する機能も有する。従って、図1に示されるセンサーが、センサーのマトリクスのピクセルの配置に対応する規則的なグリッドに分配された多数の接着点を用いた2つの平面部材の相互接合及び結合によって作製される。
【0014】
センサーの製造の間、導電性パッド15が、リード回路のそれぞれのパッド13に配置され、その後、検出層11が導電性パッド上に追加され、その後、全体のアセンブリに、接着パッド15の硬化のための処理が施される。
【0015】
従って、図1に示されるセンサーの構造が、上記の機械的接合に加え、検出層11からリード回路12−13への信号又は電流の完全な伝送に役立つ。本発明の範囲において、“完全な(integral)”は、インター−ピクセル(inter−pixel)リーク電流、すなわち、隣接する導電性パッド15間のリーク電流を発生しない伝送を意味する。
【0016】
実際には、検出層11の1つのような連続する平面構造において、電荷キャリアが存在し、最も近いピクセル又は導電性パッド15に向かって移動する代わりに、相互作用部位の隣接するピクセルに向かって導かれる。本来周知の方法において、これらのインター−ピクセルリーク電流又は検出層11内のリーク電流が、画質の劣化を引き起こす、すなわち、望ましくないノイズに対するコヒーレント信号の割合が低下する。この劣化が、可能ならばいつでも、複雑な及びそれ故に高価な画像処理によって弱められなければならない。
【0017】
従って、図1に関して記述された構造が、導電性パッド15を互いに分離させる利点を有し、それ故に、それらのレベルにリーク電流を防ぐ。従って、電極16に達する電子が、隣接する導電性パッド15によって“捕獲され”、これによって、デジタル画像の信号対ノイズ比を最大化する傾向がある。
【0018】
しかしながら、導電性接着部15のそれぞれのパッドを離散的に配置するセンサーの製造段階が、所望の解像度がより上質となるように、特に高い正確性を要求する。
【0019】
さらに、接合される部分間における効果的な電気的接続を保障するために、それぞれのパッド15に対して、同一量の接着材料を堆積することが重要である。従って、この量の材料のバッチングが、正確でなければならない。
【0020】
実際には、パッド15のバッチング及び配置に対して正確性が必要とされるため、使用される技術(スクリーン−印刷、ディスペンス等)にかかわらず、しばしば調達が困難となり、常に、センサーの製造コストを増加させる。
【0021】
さらに、パッド15を作製するために選択される接着材料によって、全てのパッド15の堆積速度が、接合の質及びそれ故に電気伝導にある影響を及ぼしうる。センサーの寸法がさらに大きくなるにつれ、この速度が、ましてやさらに重要なパラメータを示す。
【0022】
さらに、このタイプの接続は、十分な全体的な機械的強度を可能としない。
【0023】
2つの部材の電気的相互接続との関連で、特許文献1には、等方性の抵抗率を有し、同時に、相互接続の機能を行い、前記部材の接合を行う導電層の使用が記載されている。修復の可能性が記述されており、電気的導電層として、周知の低接着能を有する熱可塑性材料を使用する。
【0024】
従って、この文献の教示の適応は、均一な導電性及び接合特性の完全な制御に対する大きな困難性に直面する。
【0025】
特許文献2には、検出される放射線に透明な基板上に作製されるCdTeから形成されるセンサーを含む電磁波検出デバイスが記載されており、それぞれCdS及びa−Si:H、すなわち、アモルファスシリコンから形成され、それぞれ電子停止層及び電荷蓄積層の役割を行うそのそれぞれの面上に連続する電極を備えて提供される。電極及び離散的に分配された接続パッドを介したリード回路への電荷の移動を可能にするために、この後者は、電気的導電性である。
【0026】
アモルファスシリコンとの接触を形成するために、センサーのピクセライゼーション(pixelization)が必要である場合において、このタイプのデバイスは、ある制限を有する。実際には、このピクセライゼーションが、複雑な接合整合装置に加え、フォトリソグラフィー技術を使用する慎重且つ高価な段階を構成する。さらに、この接合は、この接続パッドを介してのみ効果的となり、この重要な点が、機械的強度及びセンサー全体の信頼性に影響を及ぼす。加えて、センサー材料と接触する電極の作製が、この材料への局所的なダメージのリスクを招く。
【0027】
最後に、特許文献3には、透明な導体及び光伝導体と関連する透明な基板を含む撮像装置が記載されており、この透明な導体及び光伝導体は、電子ホールブロッキング層、即ち、電気的キャリアをブロックするための層、及び電気的ブロッキング層を備えてその末端に提供される。また、例えばa−Se又はa−Siのようなアモルファス半導体材料から作製される抵抗性保護層が記載されている。インジウムから形成される導電性ハイブリッド化ビーズが、接合機能を提供し、この結果、形成されたアセンブリをリード回路に配置される電極に結合する。
【0028】
この構造からすると、このインヂウムの場合において、積層を実行するためには、軟質材料と共にリード回路をハイブリッド化する必要があると考えられる。
【0029】
アモルファス半導体の抵抗性保護層上の結合層が存在しない場合には、結局、全体の機械的強度が極めて低下する。
【0030】
要するに、我々は、現在、正確性及び性能の問題を克服し、信頼性のある機械的強度、長寿命、及びまた使用の単純さを備え、並びにある実施形態に従い容易に修復可能なアセンブリを生成するために役立つ、検出層とリード回路との間における電気的な相互接続のための技術を持っていない。
【0031】
従って、本発明は、電磁放射線を検出し、及び従来技術のセンサーの欠点を有しないデバイスに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【特許文献1】米国特許第6396712号明細書
【特許文献2】特開平05−167057号明細書
【特許文献3】特開2002−334983号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
直接変換を伴う、放射線、特にX−線又はγ線のセンサーの構成を提案し、通常10×10cm以上の大きな撮像装置を製造し、及びさらに、フォトリソグラフィーのような高価な方法の技術を使用しない、単純で、丈夫で及び効果的な方法を提供することにより、本発明が、特に、上述された技術的課題を解決するために役立つ。さらに具体的には、本発明が、相互接続の機能を切り離すことを提案する、すなわち、リード回路に向かう光検出層内における放射線の作用下において形成された電荷の接続、及びリード回路への前記光検出層の接合が、そうすることにより、それぞれの機能、収集及び接合の性能をそれぞれ最適化することが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0034】
この目的のために、本発明が、電磁放射線及びイオン化放射線、特にX−線又はγ線を検出するデバイスを提案する。このデバイスは以下を含む。
−検出される前記電磁放射線と相互作用することが可能な少なくとも1つの材料から構成され、可動電荷キャリアを解放するためのものであり、その移動が電流を発生する検出層;
−上に説明したように解放された電荷キャリアの複数の基本コレクターを備えて提供され、前記基本コレクターが、離散的に分配される基板;
−検出層に接続され、検出層によって解放された電荷キャリアを、基本コレクターに移動させるのに適している電気的導電性の等方性接着性移動層;
−複数の基本コレクター及び移動層を接合させるための、電気的絶縁性の接着性接合層。
【0035】
本発明によると、移動層が、検出層と接触する電気的導電性の接着性ポリマー層から構成され、接合層が、前記第一層及びその基本コレクターを備えて提供される基板に接触する絶縁性の接着性ポリマー層から構成される。
【0036】
換言すると、本発明は、相互接続機能と、一方が抵抗性であり他方が絶縁性である2つの接着性ポリマーを用いた及び接着性機能とを分離することにある。
【0037】
そうすることにより、接合機能とは無関係に、相互接続層(抵抗性層)の抵抗性挙動の均一性を最適化することが可能になる。
【0038】
本発明によると、導電性、又は抵抗性の接着性ポリマー層が、連続し、及び等方抵抗性を有する。
【0039】
換言すると、本発明のセンサーが、全ての基本コレクターに共通である移動又は相互接続層を有し、電荷キャリアが、いずれの優先的な方向を持つことなくに移動することが出来る。
【0040】
本発明によると、抵抗性の接着性ポリマー層の移動率が、50%よりも高く、及び特に75%よりも高く、前記移動率が、
式:(R+R+Rin)/[R+(R+Rin)・(1+K)]
によって定義される。ここで、Rは、基本コレクターと実質的に垂直に測定される移動層(25)の抵抗であり;、Rは、検出層と実質的に平行な面を含む方向に測定される移動層(25)の抵抗であり、リーク電流が斜めの経路に移動しうるが、この抵抗が、“水平の”として限定されてよく;、Rinは、入力抵抗であり、基本コレクターのいずれか1つの“入力インピーダンス”とも呼ばれ、これは、接続されるデバイスから見た抵抗であり;、Kは4の倍数の数であり、考慮される基本コレクターに隣接する基本コレクターの数を表す。
【0041】
換言すると、電流によって横断される抵抗が、“実用的な(useful)”又は“横方向(transverse)”電流を最大化するために、“平面(planar)”リーク電流を制限する抵抗性及び寸法を有する。
【0042】
実際には、移動層の抵抗が、移動層の基本コレクターに実質的に垂直に測定され、これは、同じ基本コレクターに実質的に垂直に測定された検出層の抵抗と比較すると、ごくわずかである。さらに、それぞれの基本コレクターの固有の抵抗は、上記2つの抵抗の合計と比較すると、ごくわずかである。さらに、検出層に実質的に平行な面を含む方向に測定された移動層の抵抗による分子と、基本コレクターのいずれか1つの入力抵抗及び基本コレクターに実質的に垂直に測定された移動層の抵抗の合計による分母と、において定義された商が、3よりも大きい、及び特に最も近くに隣接する4つのみを考慮する場合(すなわち、K=4)、11よりも大きい。
【0043】
本発明によると、抵抗性の接着性ポリマーが、有機物、熱可塑性又は熱硬化性材料であり、例えば、エポキシ,アクリレート,ポリウレタン,及びシリコーンを含む群から選択されるポリマーから構成される。この材料が、例えばカーボン,金,白金,銀,ニッケル,アルミニウム及び銅を含む群から選択された原子から構成される導電性粒子を含む。
【0044】
有利に、これらの導電性粒子が、サブミクロンサイズを有する。
【0045】
有利に、結果として生じる接着材料が、重合化された場合、100未満のショアD硬度を有する。
【0046】
あるいは、抵抗性の接着性ポリマー層を構成する材料が、従って、エポキシ又はアクリレート型のポリマー接着材料に組み込まれるポリマーのような、ポリアニリン,ポリピロール,ポリチオフェンを含む群から選択される真性導電性のポリマーから構成されてよい。
【0047】
本発明の他の特徴によると、電気的に絶縁性の接着性ポリマー層が、エポキシ,アクリレート,及びシリコーンを含む群から選択される有機物、熱可塑性又は熱硬化性材料から構成される。
【0048】
有利に、それが、100Pa.s未満の、又はさらには10Pa.s未満の粘度を有する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】従来技術によるセンサーの断面の略図である。
【図2】抵抗等方性移動層を使用したセンサーのモデルの略図である。
【図3】本発明によるセンサーの簡易化した断面の略図である。
【図4】本発明によるセンサーのマッチング方法を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明を実施することが出来る方法及びその利点が、添付した図面とともに、参考のために提供され、制限するものではない以下の例となる実施形態からより明確になるだろう。
【0051】
図3は、本発明による電磁放射線及びイオン化放射線を検出するデバイスを示す。この場合において、このデバイスは、特に、X−線又はγ線を検出を対象とするが、本発明は、異なるエネルギースペクトル又は荷電粒子を有する電磁放射線の検出にも適用しうる。
【0052】
本発明によると、センサーは、光検出器とも呼ばれる検出層21を含み、この検出層21は、可動電荷キャリアを解放するために、入射線と相互に作用することが可能な1つ以上の材料から構成される。これらの可動電荷キャリアが、電子又はホールであってよく、従って、負又は正の電荷を運ぶ。
【0053】
本来周知の方法では、バイアス電圧28の動作下における、これらの可動電荷キャリアの移動が、電流を発生し、その強さが、入射線によって蓄えられたエネルギー、従って観察されるシーンのエネルギーを表す。
【0054】
2次元の画像を再現するために、検出層21内のこの直接変換段階の後、電荷キャリア又は電流が、入射線の衝突領域において局所的に集められなければならない。この目的のため、本発明の検出器が、グリッド又はマトリクスを形成するために、離散的に分配された多数の基本コレクター23を有する基板22を含む。この基本コレクター23が、光子と物体との間の相互作用によって解放された電荷キャリアを集める又は排出するのに役立つ。
【0055】
記載された実施例では、基本コレクター23は、突起したパッドから構成される。これらのパッド又は基本コレクター23は、それぞれが、それらのピクセルで生成された電荷キャリアのみを集めるように、互いに独立しており、すなわち、これらは、互いに電気的に絶縁されている。本質的に、ピクセルが、画像の、ひいてはセンサーの基本領域を表す。この基本領域は、通常、正方形に構成される。従って、それぞれの基本コレクター23は、その側面上で電気絶縁によって囲まれており、その基部が、リード基板22を構成する。
【0056】
検出層21と基本コレクター23との間において、本発明によるセンサーは、以下を備える。
・移動層25、それが実行する機能のためこのように呼ばれ、光子と物体との間の相互作用によって解放された電荷キャリアの、検出層21から様々な基本コレクター23への
移動を可能にする。
・及び接合層26、コレクター23と移動層25とを接合する。
【0057】
本発明によると、相互接続層25が、検出層21と基本コレクター23との間に連続的に広がる。従って、これは、検出層21とリード基板の基本コレクター23との間の電気的接触を確保する。
【0058】
相互接続層25の構造的な特徴が、自動的に、従来技術のセンサーの欠点を排除するために役立つ。実際には、前記層が、センサーの全体表面、この場合では、検出層21の全体表面上に連続的にこれ以降に堆積されるため、高い位置決めの正確性又はバッチングと伴う操作は、もはや必要ではない。この層が、例えば、制御され且つ等方抵抗性を備えた接着ポリマー膜の形状を有してよい。
【0059】
換言すると、それを通り抜けて流れる電流の方向にかかわらず、相互接続層25の抵抗性が、同一である。この特徴が、検出層21から基本コレクター23に向う電流の適切な循環を保証するために役立ち、これによって、センサーの正しい一般操作を確保する。
【0060】
従って、この等方抵抗性が、前記相互接続層25における、1つのピクセルから他のピクセルに向うのと実質的に同様な電荷キャリアの道程時間を保証し、これによって、最終的なデジタル画像の質を保証する。
【0061】
この連続する相互接続層25の抵抗性が、また、相互接続パッドに垂直に向う電荷の移動を可能にするほど十分に低くなければならないが、隣接するピクセル間の絶縁を確保するほど十分に高くなければならない。
【0062】
換言すると、記述された実施例において、検出層21から信号処理基板の基本コレクター23への垂直な電荷移動を同時に可能にすることが出来、非−物理的なピクセル化光検出器からの機能的なピクセル化画像センサーの製造を可能にするために、検出層21のそれぞれの仮想のピクセル(fictive pixel)間におけるある電気的絶縁を同時に提供するように、この連続する相互接続層によって構成される電極(及び例えば負の電荷キャリアの場合におけるアノード)が、高い抵抗性導電挙動を有する材料から形成される。
【0063】
さらに、本発明の他の特徴によると、相互接続層25の移動率が、50%よりも高く、及びさらには75%よりも高い。この移動率が、隣接する基本コレクターに向かうリーク電流の形態で分散された電荷キャリアの量に対する、検出層21から基本コレクター23に効果的に移動された電荷キャリアの量の比に対応する。この移動率が、式:(R+R+Rin)/[R+(R+Rin)・(1+K)]によって定義されることが出来る。ここで、Rは、基本コレクター23と実質的に垂直に測定される相互接続層25の抵抗であり;、Rは、検出層21と実質的に平行な面を含む方向に測定される相互接続層25の抵抗であり;、Rinは、基本コレクター23のいずれか1つの固有抵抗であり;、Kは4の倍数の数であり、考慮される基本コレクターに隣接する基本コレクター23の数を表す。
【0064】
従って、本発明による相互接続層25が、50%よりも高く、及びさらには75%よりも高い移動率を有し、センサーが、デジタル画像を生成するために十分な信号対ノイズ比を有する。明らかに、適用及びそれ故の所望の画質により、高い又は低い移動率を有する移動層を選択することが可能である。
【0065】
このような移動率を達成するために、本発明の原理のモデリングに従い、図2に示されるセンサーが、以下の特徴を有する。
【0066】
第一に、基本コレクター23に実質的に垂直に測定される相互接続層25の抵抗は、同じ基本コレクター23に実質的に垂直に測定される検出層21の抵抗と比較すると、ごくわずかである。本発明との関連において、ごくわずかは、これらの2つの抵抗間の比が、10よりも高い、又はさらには100よりも高いことを意味する。
【0067】
この特徴は、センサーに加えられるバイアス電圧28が、検出層21において高い電位差から構成されることを意味する。これによって、光子と物体との間における相互作用の間に、リード回路を構成する基本コレクター23に向かって解放された電荷キャリアをシフトさせるために十分な強度を持った、電界が生成される。
【0068】
さらに、それぞれの基本コレクター23の固有抵抗は、相互接続層25の垂直抵抗と検出層21の垂直抵抗の合計と比較して、ごくわずかである。この特徴により、基本コレクター23が、検出層21に由来する電荷キャリアを効果的に集めるためのリード回路を構成することが可能である。実際には、この結果、可動電荷キャリアが、パッド又は基本コレクター23内に容易に浸入することが出来る。
【0069】
さらに、図2にモデル化されたセンサーは、検出層21に実質的に平行な面を含む方向に測定された相互接続層25の抵抗による分子と、基本コレクター23のいずれか1つの固有抵抗及び基本コレクター23に実質的に垂直に測定された相互接続層25の抵抗の合計による分母と、において定義された商が、3よりも大きい、及び特に7よりも大きいことを特徴とする。
【0070】
この特徴が、50%よりも大きな移動率を確保するために貢献し、すなわち、考慮される基本コレクター23において生成され、隣接する基本コレクターによって集められる電荷キャリアと比較して、言い換えれば、リーク電流と比較して、基本コレクター23においてさらに電荷キャリア又は電流が集められる。
【0071】
換言すると、平らな水平型のセンサーを考慮する場合、これは、実質的に斜めの、又はさらには水平のリーク電流に対する、基本コレクターに垂直に集められる電流の比である。
【0072】
この比が100%である理論上の場合では、信号対ノイズ比が、最大であり、実質的には完全な画質に達する。逆に、この比が小さく、例えば50%よりも小さい場合、この効果が、画像の解像度を実質的に下げるリーク電流のスケールを説明するための、“空間的活発化(spatial blossoming)”と呼ばれる。
【0073】
それにもかかわらず、ピクセルが、互いに完全に電気的に絶縁されている場合の従来技術のセンサーの場合においてさえも、理論上は100%の移動率又はこのような比を得ることは不可能であると考えられているが、これは、電荷キャリアの活発化(blossoming)が、その高い抵抗性にもかかわらず検出層においても発生することが可能であるためである。
【0074】
この結果、相互接続層25の抵抗性が、従って、本発明のこれらの抵抗に関する特徴を得るように選択される。換言すると、移動層の抵抗性が、解放された電荷キャリアの図2の意味における“垂直な”収集を可能にするように十分に小さく、これらの電荷キャリアが、光子と物体の間における相互作用の代わりに隣接するパッドに向かう水平方向にそって“活発化(blossoming)”しないように十分に大きくなければならない。この移動層の電気的挙動が、完全に特有のものであり、従って、導電材料の抵抗性と、半導体材料の抵抗性との間の、特に、半導体材料の抵抗性に近い、中間の抵抗性を示さなければならない。
【0075】
上に示したように、移動率が、式:(R+R+Rin)/[R+(R+Rin)・(1+K)]によって表現される。
【0076】
実際には、隣接する基本コレクターの数が、3(関係している基本コレクターが、マトリクスの角の1つを占める場合)から8(関係している基本コレクターが、マトリクス内のいずれの箇所に存在する場合)に及んでよい。後者の場合、これらは、関係している基本コレクターから同じ距離に全てが配置されるとは限らないので、隣接する基本コレクター間に区別を設けることが必要である。従って、パッドの周囲の正方形に位置された8つの隣接するものの中で、この正方形の角を占める4つのパッドが、中心のパッドから遠く、他の4つは、近い。
【0077】
固有抵抗Rinが、抵抗R及びRと比較してごくわずかである特定の場合が存在する。この場合、移動率を定義する式が、単純化されることが可能であり、その結果、抵抗R及びRのみに依存する。この単純化された式は、:(R+R)/[R+(R)・(1+K)]として記述される。
【0078】
通常、相互接続層25の抵抗が、10と10Ω.cmの間であり、検出層21が、通常、10と1012Ω/cmの間の抵抗を有する。
【0079】
本発明の他の不可欠な特徴によると、接合及びその後の検出層21と基本コレクター23を備えて提供される基板22に対する相互接続層25とから構成されるアセンブリのメンテナンスを実行するために、また、センサーが、接合層26を含む。
【0080】
従って、この接合層26が、制限的に、この接合機能のみのために設けられる。電気的絶縁が、基本コレクター23による電荷の収集の妨害することを回避する。
【0081】
当然の結果として、相互接合層25が、検出層21に接続される。これは、検出層21と基本コレクター23との間の電気的な相互接続を提供する。
【0082】
この配置、相互接続及び接合機能が、物理的に分離される。
【0083】
相互接続層25に関して、接合層26に対しては接着ポリマー膜が使用されるが、この場合、これは電気的絶縁性である。
【0084】
特に、及び有利に、等方性相互接続層を構成するために使用される接着材料は、実際の接合段階の前に、部分的にのみ又は全面的に重合化され、これによって、相互接続機能にのみ従う範囲において、広い範囲の接着の使用を可能にし、これが、接合の制限を排除する。
【0085】
そうすることで、高い重合温度において接着材料が使用されることが出来、また、溶剤を含む接着材料も使用されることが出来る。
【0086】
さらに、いったん架橋されると、この相互接続層を構成する接着材料の電気的挙動の良好な均一性を得ることが出来る。
【0087】
さらに、所望のインターピクセル抵抗に関して排他的に、及び接合されるための部材の平面性(planeity)と無関係に、これが、相互接続層25の厚さの調整を可能にする。
【0088】
機械的接合を提供する絶縁性接着層26を用いた熱−圧縮プロセスによって、検出層21及び相互接続層25から構成されるアセンブリが、基板22及び基本コレクター23から構成されるリード回路に接合される。
【0089】
リード回路22の基本コレクター23と相互接続層25との間の電気的接触を可能にするために、突起部29が、基本コレクター23上に提供される。
【0090】
そうすることによって、熱−圧縮により、相互接続層25と基本コレクター23の突起部29との間の相互接続が、直接的な接触により得られる。
【0091】
図4に関連して、本発明による電磁放射線センサーを作製する方法が、これから記載される。
【0092】
相互接続層25を構成する接着材料が、第一に作製される。上述した数値例における目的は、この層に対して10と10Ω.cmの間の抵抗を得ることである。
【0093】
この目的のため、EPOTEKよりリファレンスE320で販売されるような、接着材料が使用される。この等方性接着材料は、接着性エポキシ型マトリクスに組み込まれるサブミクロン−スケールの粒子から構成される。この複合材料が、ベースと約20重量%のサブミクロン−スケールカーボン粒子を含んだ硬化剤とを含む。
【0094】
この接着材料が、他のエポキシ系接着材料、化学的相溶性物質、完全な誘電体、及びEPOTEKより販売されるリファレンスE301のようなものと共に混合される。これらの2つの接着材料の混合物の相対的比率は、上述した範囲内に存在する所望の抵抗が得られるように選択される。
【0095】
インターピクセルの絶縁を最大化するために、誘電接着材料E301の重量比は、50%を超えないようにすべきである。
【0096】
すでに記載したように、検出層21が、放射線、この場合には、X−線又はγ線を検出することが出来る材料から構成される。これらの材料は、周知であり、II−VI又はIII−V族に属し、通常、大きな原子番号を有する高抵抗性半導体から構成される。最も知られている及び最も一般的に使用されるのは、特にCdTe,塩素がドープされたCdTe,CdZnTe,HgCdTe,シリコン、ヒ化ガリウム(AsGa),酸化鉛(PbO),ヨウ化鉛(PbI),ヨウ化水銀(HgI),セレニウム等である。
【0097】
光伝導体21が、自己支持型(self−supportive type)であり、半導体を生成するための従来技術によって製造されてよい。
【0098】
しかしながら、グラファイト,アルミニウム,及びさらに一般的には、光伝導体と化学的に相溶性のある、いずれの導電性低原子量要素のような、検出される放射線に透明な基板上の厚い層に堆積されてもよい。例えば、この使用が、昇華近接法(CSS)によってグラファイト基板上に得られるCdTeをベースとする光伝導体層からなされることが可能である。
【0099】
X−線又はγ放射線の検出に関する適用のために、検出層21の厚さが、通常、50マイクロメートルと1センチメートルの間である。この厚さを、他の適用に対しては、増加又は減少させることが出来る。その抵抗は、通常、10と1012Ω.cmの間である。
【0100】
前記光検出器21が自己支持型である場合、共通の電極27が、特に金属薄膜堆積のいずれの技術によって、特に、蒸着、スパッタリング、又は無電解成長(electroless growth)でも堆積される。
【0101】
次の段階は、相互接続層25を構成する接着材料の堆積である(図4C)。
【0102】
前述したように作製され重合化されていない接着材料が、膜の形態で光伝導体21上に広げられる。前記接着材料を堆積するために、いずれのスクリーン印刷技術、特にコーティング、スピンコーティング、又はさらに一般的には、粘稠液の薄膜を形成するために適したいずれの技術が、使用される。
【0103】
この膜の厚さは、通常、1から20μmの間である。厚い層が、光検出器の平面性に関してアセンブリをさらに耐性の高いものにする、及び/又はリード回路のパッド又は基本コレクター23の突起部29の厚さを均一にするのに対し、実際には、極めて薄い厚さが、インターピクセルの漏れを制限するために役立つ。
【0104】
いったんポリマー層が、膜の形態で堆積されると、それが、熱サイクルによって部分的に又は全面的に重合化される。しかしながら、その後、リード回路の基本コレクター23の突起部29との密接な接触を得るために、この層が、ある柔軟性、それ故に前記層の架橋又は部分的な重合化の利点を保つことが重要であるが、一方、以下に記載するように、全体の架橋が、接合段階の間又はその後に得られる。
【0105】
次に、リード回路が作製される(図4D)。
【0106】
リード回路は、導電性パッド23を備えて提供される基板である。既に記載したように、これらの導電性パッド又は基本コレクター23が、相互接続層25を介して光検出器21に光形成された電荷を集めることを可能にする。その最も単純な形態では、これらのパッドが、試験又は出力パッド(相互接続パッドと呼ばれる基板)に個々に接続されている。さらに発展した形態では、基板が、電気的信号処理部品を含む。これは、ASIC,CMOS回路,TFT(薄膜トランジスタ)をベースとしたボード,電荷結合素子(CCD)ボード等であってよい。通常、導電の明白な理由のために、リード回路の相互接続パッド23が、アルミニウム又は銅仕上げを有する。
【0107】
突起部29を生成するために、仕上げとして、数十マイクロメートルの導電性金属特性を有する、酸化されない金属が、好ましくは選択される。この金属は、金、白金、パラジウム又は銀であってよい。リード回路の仕上げと突起部の仕上げとの間において、通常厚い(通常10マイクロメートル未満の)、例えば、ニッケル、銅、チタン、ジルコニウム、タンタル、タングステン、モリブデン、バナジウム、クロム、又は、これらの原子の1つ以上の合金若しくは窒化物のような、仕上げのそれと異なる金属を使用することも可能である。
【0108】
リード回路は、通常、金属パッドを分離する無機物パッシベーションを備えて提供される。このパッドが、無電解(electroless electrolysis)によって生成されてよく、これによって、数マイクロメートルの厚さ、通常1から10マイクロメートルのNi/Auパッドを生成するのに役立つ。
【0109】
次に、実際の接合が、実行される(図4E)。
【0110】
光検出器21及び相互接続層25、並びにリード回路22、23から構成されるアセンブリを接合するために、2つの代替案が使用可能である。
【0111】
第一の代替案では、部分的に重合化された(例として50℃で1時間)等方抵抗性相互接続層25を備えて提供される光伝導体21が、そのパッド又は基本コレクター23を備えて提供されるリード基板に面して配置され、及び、例えば75マイクロメートルのステップにパッドのマトリックスを有するCMOS画像回路から構成される。光伝導体25上に電極が存在しない場合、リード回路の基板22を備えた相互接続層25を備えて提供される光検出器21の配置が、比較的精密でない(coarse)ことが強調されるべきである。
【0112】
熱−圧縮サイクルが、低い圧力、通常、10−1MPa未満において50℃で1時間の間適応される。このサイクルが、等方抵抗性相互接続層25の完全な架橋をえるために役立ち、接合点のみが、突起部29に位置されるため、アセンブリの中程度の機械的強度を確保する。強化された機械的強度を得るために、アセンブリの一側面からの毛管現象によって、接着材料が浸透させられ、等方性ポリマー層25とリード回路との間の空間を満たす。結果として、この組み込まれた接着材料が、その後重合化される。
【0113】
このような構成において、極めて流動性の接着材料が、有利に使用されることが出来、これは、既に記載したEPOTEKからのリファレンスE301のようなものであり、例えば50℃で2時間といった、低温で重合化することも出来る。
【0114】
この接合プロセスが、小さな面積(数平方ミリメートル)を有するセンサーを接合する場合に適している。
【0115】
大きな接合面積の場合、毛管現象の制御が複雑であり、以下に記載する他の技術の使用につながる泡の形成に有利である。
【0116】
この第二の構成において、リード回路が、前述したタイプの絶縁性接着材料(E320−EPOTEK)の薄膜でコーティングされる。リード回路と等方抵抗性相互接続層25との間の空間を完全にではあるが過剰になることなく満たすために、この膜厚、及びそれによる接着材料の量が、突起部23の高さに従って計算される。完全に重合化された等方抵抗性層25を備えて提供される光伝導体21が、その後、反対に配置され、例えば、50℃の温度に2時間の間さらされ、リード基板が、絶縁性接着材料26でコーティングされる。ここでまた、光伝導体が電極を有しない場合、一方の他方に対する配置が、比較的精密でないことに注目すべきである。
【0117】
機械的接合を確保する絶縁層26の完全な架橋を達成するために、熱−圧縮サイクルが、低い圧力、通常、10−1MPa未満において50℃で2時間の間適応される。
【0118】
場合によっては突起部29の上に位置される絶縁性接着材料26が、熱−圧縮プロセスの間にそこから排除され、これによって、前記突起部29と移動又は相互接続層25との間の電気的接触を確保する。
【0119】
熱−圧縮段階において、基本コレクター23の突起部29が、等方抵抗性相互接続層25との接触領域からまばらな泡を排除し、これによって、良好な電気的接触を確保することが注意されるべきである。この方法のみが、アセンブリ内における泡を制限された数にし、さらに、機械的接合の質に対して害を及ぼさない。
【0120】
この代替案のアセンブリを最適化し、アセンブリ内における泡の出現をさらに減少するために、中程度の真空下における熱−圧縮を実行することも可能である。
【0121】
本発明による方法及びセンサーが、以下に記載するいくつかの利点を有する。
【0122】
第一に、実際の相互接続機能と接合機能との間のアンカップリングに圧力を加えることが重要である。そうすることにより、特に、その界面において捕えられて残る傾向があり、導電接着材料を使用する場合における相互接続の欠陥を増加させる泡の消滅又は劇的な減少によって、接合機能とは無関係に相互接続層25の抵抗挙動の均一性を最適化することが可能となる。この創意、発明力のある方法との関連で、等方導電性相互接続層25が、接合される前に、少なくとも部分的に重合化され、これによって、光検出器21との接触においてそのような泡が存在しないことを保証する。熱−圧縮段階の間、いずれの泡が、突起部29の外側に排除され、リード回路のパッド23の間において、相互接続層25とリード回路との間の電気的相互接続に影響を及ぼさず、機械的接着を著しく減少させることもない。
【0123】
接合(絶縁)層として修復材料(reparable material)を使用することが考慮されてもよい。この場合、この使用が、適当な溶剤内でその接着特性を失う特定のシリコーンからなされることが可能であり、この溶媒が例えばトリクロロエチレン(CHCl)から構成されてよい。
【0124】
本発明のセンサーにおいては、アノードのピクセライゼーションが存在せず、センサーのバイアス電圧28から生じる電解の向きの線が、前記センサーを全体的に覆い、これによって、光伝導体の“デッド(dead)”領域を排除し、これによって、光形成電荷の収率、その結果として、信号対ノイズ比を最大化するために役立つ。これは、光伝導体内において生成される電荷が、電解の向きの線に沿ってアノードによって集められ、“デッド”領域の形成を引き起こし、テーリング(tailing)及びゴースト効果を生じさせる従来技術のセンサーに反する。
【0125】
換言すると、本発明のセンサーにおいては、前記センサーのデピクセライゼーション(depixelization)が存在せず、画像のピクセライゼーションが、センサーによってではなく、信号処理基板(リード回路)の電極のジオメトリーによって、与えられる。
【0126】
本発明の前記センサーの関連において、電荷が、等方抵抗性層(相互接続層25)を用いて直接的に集められる。電極が、光検出器上又は中間の半導体層上に直接的に生成され、高価なフォトリソグラフィープロセスの使用を必要とし、光検出器の性能を低下させる傾向がある従来技術に反する。
【0127】
さらに、この抵抗性層25が、アモルファスシリコン又は他の材料の薄膜から構成されず、単に、接着性ポリマー材料から構成され、簡単な、例えばスクリーン印刷、及び全てのコーティング技術、又はさらに一般的には、粘稠液の薄膜の形成に適したいずれの技術のような安価な技術によって得ることが出来る。
【0128】
さらに、相互接続抵抗性層として接着性ポリマー材料を使用することは、通常100℃未満、又はさらには50℃未満の低温下において重合化される接着材料を使用するために役立ち、これによって、これが、硬質材料(リード回路のパッド)/軟質材料(接着性ポリマーの層)の接触を含みながら、光伝導体の電気的特性にダメージを与えるリスクを制限し、重合化後においてさえも、結果として生成される層内おけるいくらかの柔軟性を維持し、過度の圧力を加えることなく、リード回路の突起部29上のその後の熱−圧縮による良好な電気的接触を獲得しそして保証するために役立つ。
【0129】
加えて、接着性ポリマー材料といったものの使用により、単独で、低い加圧によって、試験基板上のセンサーの性能を試験することが可能である。
【0130】
さらに、柔軟性及び圧縮性ポリマー層を使用することは、センサー及び/又はリード基板の製造に内在する全ての平面性の欠点を許容するために役立つ。
【0131】
相互接続層25を構成する等方性接着材料内に含まれるフィラーに対して、カーボン又は本質的に安定性があり光伝導体21と化学的に相溶性のある導電ポリマーのような他の導電材料を使用することが可能であることが強調されてもよい。これは、拡散によってセンサーと反応する金属電極材料の使用を回避するために役立つ。
【0132】
実際に接合するために絶縁性接着材料を使用することにより、それが、通常100℃未満、又はさらには50℃未満の低い重合化温度を有するように、選択されることが可能となり、これは、大きな寸法の部材(数百平方センチメートル)を接合するために特に有利である。実際には、光伝導体21及びリード回路を構成するシリコンが、同じ熱膨張係数を有さず、これが、高温で接合された場合における熱機械応力、又はダメージさえも生成しうる。さらに、低温重合化が、検出層にダメージを与えるリスクを制限するために役立つ。
【0133】
さらに、本発明において、相互接続材料(層25)が、固体層に堆積され、これは、フォトリソグラフィーによる減法の技術、又はスクリーン若しくはインクジェット印刷による追加法の技術のいずれかによって相互接続材料を離散的に構造化することが必要であって、これらの技術は全て、それぞれの相互接続パッド用の材料の量を制御する必要があり、この制御が、ピクセルステップが、通常、100マイクロメートル未満となり及び50マイクロメール未満のステップに対しては実質的に実現不可能となる場合に特に重要となる従来技術と反する。
【0134】
上記から、本発明が、電磁放射線を検出するためのシステムの生成、特に、小さなステップ(100マイクロメートル未満)に対するものであるが、大きなステップに対しても適応可能なシステムの生成に対して、特に使いやすいものであることを立証すると考えられる。
【0135】
相互接続(層25)材料が、固体層に堆積されるという事実に加え、同じ光検出器が、同様に、異なるマトリクスサイズ又はピクセルステップを有し、センサーの個別の作製を必要としない様々なリード回路と共に組み込まれることが出来る。
【0136】
上記に記載された本発明が、同様に、半導体材料内におけるイオン化放射線の相互作用によって形成された電荷キャリアを、これらの電荷が正であるか又は負であるかによらず、うまく集めるように適応されることが出来る。記載された形状及び実施例は、負電荷の収集を示すものであるが、本発明が、正電荷の収集にも適応するものであることが理解されうる。
【符号の説明】
【0137】
11 検出層
12 リード基板
13 導電性パッド
15 導電性パッド
16 電極
21 検出層
22 基板
23 基本コレクター
25 移動層
26 接合層
27 電極
28 バイアス電圧
29 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁放射線及びイオン化放射線、特にX−線又はγ線を検出するデバイスであって、
検出される前記電磁放射線と相互作用することが可能な少なくとも1つの材料から構成され、可動電荷キャリアを解放するためのものであり、前記可動電荷キャリアの移動が電流を発生する検出層(21);
前記解放された電荷キャリアの複数の基本コレクター(23,29)を備えて提供され、前記基本コレクターが、離散的に分配された基板(22);
−電気的導電性のポリマー層から構成され、前記検出層によって解放された前記電荷キャリアを、前記基本コレクターに移動させるのに適しており、前記検出層(21)に接続されている移動層(25);
−前記複数の基本コレクター(23,29)及び前記移動層(25)を接合させるための、絶縁性の接着性接合層(26);
を含む電磁放射線及びイオン化放射線を検出するデバイス。
【請求項2】
前記移動層が、接着材料であり、前記接合層(26)が、絶縁性の接着性ポリマー層から構成されたことを特徴とする請求項1に記載の電磁放射線及びイオン化放射線を検出するデバイス。
【請求項3】
前記移動層(25)が、連続しており、及び等方抵抗性を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁放射線及びイオン化放射線を検出するデバイス。
【請求項4】
前記移動層(25)の移動率が、50%よりも高く、及び特に75%よりも高く、前記移動率が、
式:(R+R+Rin)/[R+(R+Rin)・(1+K)]
によって定義され、
は、前記基本コレクター(23)と実質的に垂直に測定される前記移動層(25)の抵抗であり;
は、前記検出層(21)と実質的に平行な面を含む方向に測定される前記移動層(25)の抵抗であり;
inは、前記基本コレクター(23)のいずれか1つの“入力インピーダンス”とも呼ばれる入力抵抗であり;
Kは、考慮される前記基本コレクターに隣接する基本コレクターの数を表す、4の倍数の数であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電磁放射線及びイオン化放射線を検出するデバイス。
【請求項5】
前記移動層(25)が、有機物熱可塑性又は熱硬化性材料から構成されたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電磁放射線及びイオン化放射線を検出するデバイス。
【請求項6】
前記有機物材料が、導電性粒子を組み込む、エポキシ,アクリレート,ポリウレタン及びシリコーンを含む群から選択されたポリマーから構成されたことを特徴とする請求項5に記載の電磁放射線及びイオン化放射線を検出するデバイス。
【請求項7】
前記導電性粒子が、サブミクロンサイズを有し、及びカーボン,金,白金,銀,ニッケル,アルミニウム及び銅を含む群から選択されたことを特徴とする請求項6に記載の電磁放射線及びイオン化放射線を検出するデバイス。
【請求項8】
前記移動層(25)を構成する前記接着材料が、重合化された場合に、100未満のショアD硬度を有することを特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載の電磁放射線及びイオン化放射線を検出するデバイス。
【請求項9】
前記移動層(25)が、真性導電性ポリマーを組み込む有機物熱可塑性又は熱硬化性材料から構成されたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電磁放射線及びイオン化放射線を検出するデバイス。
【請求項10】
前記有機物材料が、エポキシ,アクリレート,ポリウレタン及びシリコーンを含む群から選択されたポリマーから構成されたことを特徴とする請求項9に記載の電磁放射線及びイオン化放射線を検出するデバイス。
【請求項11】
前記真性導電性ポリマーが、ポリアニリン,ポリピロール,ポリチオフェンを含む群から選択されたことを特徴とする請求項9又は10に記載の電磁放射線及びイオン化放射線を検出するデバイス。
【請求項12】
前記電気的絶縁性の接着性ポリマー層(26)が、エポキシ,アクリレート及びシリコーンを含む群から選択された材料から構成されたことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の電磁放射線及びイオン化放射線を検出するデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−164602(P2009−164602A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−324626(P2008−324626)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(590000514)コミツサリア タ レネルジー アトミーク (429)
【Fターム(参考)】