管内調査装置
【課題】 パイプインパイプ工法を実施するための既設管路の管内を詳細に調査できるようにする。
【解決手段】 管路1の内部を走行可能であるとともに管路1を構成する管に対してそれぞれ心出しされることが可能な第1の測定ユニット13と第2の測定ユニット14とを備える。第1の測定ユニット13と第2の測定ユニット14とのいずれかに、その測定ユニット13、14が管に心出しされてその管と同軸とされたときに周方向に沿った複数の位置でその管の内径を測定可能な内径測定装置41を備える。管路1の管継手を構成する一方の管3に第1の測定ユニット13が心出しされてその管3と同軸とされるとともに他方の管2に第2の測定ユニット14が心出しされてその管2と同軸とされたときに、これら第1の測定ユニット13と第2の測定ユニット14との屈曲角を測定することで管継手の屈曲角を測定可能な屈曲角測定装置53を備える。
【解決手段】 管路1の内部を走行可能であるとともに管路1を構成する管に対してそれぞれ心出しされることが可能な第1の測定ユニット13と第2の測定ユニット14とを備える。第1の測定ユニット13と第2の測定ユニット14とのいずれかに、その測定ユニット13、14が管に心出しされてその管と同軸とされたときに周方向に沿った複数の位置でその管の内径を測定可能な内径測定装置41を備える。管路1の管継手を構成する一方の管3に第1の測定ユニット13が心出しされてその管3と同軸とされるとともに他方の管2に第2の測定ユニット14が心出しされてその管2と同軸とされたときに、これら第1の測定ユニット13と第2の測定ユニット14との屈曲角を測定することで管継手の屈曲角を測定可能な屈曲角測定装置53を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は上水道管などの管内を調査するための管内調査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
管路の敷設方法の一つとして、既設管路の内部に新管を挿入するパイプインパイプ工法が知られている。このパイプインパイプ工法を実施する際には、事前に既設管路の管内を調査して、どのような新管を挿入可能かを検討しておく必要がある。
【0003】
このための管内調査装置として、たとえば特許文献1には、既設管路における一定距離をおいた2箇所の位置の間に光を通すことによって、その既設管路の有効径を測定することが記載されている。
【特許文献1】特公平6−48175号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のものは、上記のように既設管路の有効径を測定するだけのものでしかないため、パイプインパイプ工法を実施するための情報量としては満足なものではない。
【0005】
そこで本発明は、パイプインパイプ工法を実施するための既設管路の管内を詳細に調査できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するため本発明は、管路内を走行可能であるとともに前記管路を構成する管に対してそれぞれ心出しされることが可能な第1の測定ユニットと第2の測定ユニットとを備え、前記第1の測定ユニットと第2の測定ユニットとのいずれかに、その測定ユニットが管に心出しされて管と同軸とされたときに周方向に沿った複数の位置でその管の内径を測定可能な内径測定装置を備え、前記管路における管継手を構成する一方の管に第1の測定ユニットが心出しされてこの一方の管と同軸とされるとともに、前記管継手を構成する他方の管に第2の測定ユニットが心出しされてこの他方の管と同軸とされたときに、これら第1の測定ユニットと第2の測定ユニットとの屈曲角を測定することで前記管継手の屈曲角を測定可能な屈曲角測定装置を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
したがって本発明によれば、管路を構成する管の内径を内径測定装置によってその管の周方向に沿った複数の位置で測定することができて、パイプインパイプ工法においてその管路に挿入することができる新管の口径を正確に知ることができるのみならず、屈曲角測定装置によって管路の管継手の屈曲角を測定することができるため、パイプインパイプ工法においてその屈曲した継手を通過させることが必要な新管であって、複数の管が継手接合された新管における、各管の許容最大長さなどを正確に知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図12は、本発明の実施の形態の管内調査装置の全体の概略構成を示す。ここで、1は調査対象としての既設の管路で、複数の管が継手接合された構成となっており、地中において水平方向に敷設されて、上水道などを構成している。この管路1は、人が入ることができない、たとえば口径400〜700mm程度の管路であるとする。管内の調査を行う際には、管路1における適当箇所を地表から開削してピットを形成し、このピットを利用して、本発明にもとづく管内調査装置10を管路1の内部に搬入する。
【0009】
管内調査装置10は、自走台車11と、この自走台車11を走行させるためにこの自走台車11の後方に配置された制御台車12とが互いに連結された構成となっている。自走台車11はモータによって管路1の内部をその軸心方向に走行するように構成され、制御台車12には、このモータに電力を供給するためのバッテリや、モータの駆動を制御するための信号を受ける無線機や、エア供給源などが搭載されている。すなわち管内調査装置10は、上記したピット内などに設けられた制御盤からの無線制御によって走行および管内調査を行うように構成されている。
【0010】
自走台車の前方には管内径測定ユニット13が配置され、さらにこの管内径測定ユニット13の前方には継手屈曲角測定ユニット14が配置されている。これら管内径測定ユニット13と継手屈曲角測定ユニット14とは、管路1の内部をその軸心方向に走行自在である。そして、継手屈曲角測定ユニット14と、管内径測定ユニット13と、自走台車11と、制御台車12とは、それぞれユニバーサルジョイント15によってこの順に互いに連結されている。これにより、これら継手屈曲角測定ユニット14と管内径測定ユニット13と自走台車11と制御台車12とは、自走台車11の走行駆動力によって、継手屈曲角測定ユニット14を先頭として管路1の内部を一体に走行可能とされている。
【0011】
継手屈曲角測定ユニット14の先端には、管路1の内部を観察可能なCCDカメラ16が搭載されている。
【0012】
図1は、図12における継手屈曲角測定ユニット14と管内径測定ユニット13とがユニバーサルジョイント15によって連結されている状態を示す。なお、図1においてはCCDカメラは図示を省略しており、それに代えて、必要に応じて継手屈曲角測定ユニット14の前方に他の測定ユニットを配置して、この測定ユニットをユニバーサルジョイント15によって継手屈曲角測定ユニット14に連結可能なことを示している。
【0013】
継手屈曲角測定ユニット14および管内径測定ユニット13は、いずれも、管路1の内部を走行自在であるとともに、管路1を構成する管に心出しされてこの管と同軸とされることが可能である。以下、この点について説明する。
【0014】
継手屈曲角測定ユニット14および管内径測定ユニット13は、いずれもその中心部に管路11の軸心方向の中心軸18を有し、この中心軸18は、パイプなどによって構成されている。各測定ユニット14、13は、それぞれ一対の、走行機能を有する心出し装置19を備えている。
【0015】
走行機能を有する心出し装置19について説明する。図1、図2、図5、図7、図10に示すように、中心軸18には第1のスリーブ20が外ばめ固定され、この第1のスリーブ20から中心軸18の軸心方向に距離をおいた位置には第2のスリーブ21が外ばめ固定されている。また第1のスリーブ20から第2のスリーブ21を越えて中心軸18の軸心方向に距離をおいた位置には、第3のスリーブ22が、中心軸18の軸心方向にスライド自在に外ばめされている。さらに第2のスリーブ21から第3のスリーブ22を越えて中心軸18の軸心方向に距離をおいた位置には、第4のスリーブ24が外ばめ固定されており、第2のスリーブ21に設けられたブラケット25と第4のスリーブ24に設けられたブラケット26との間には、周方向に沿った適当位置において、中心軸18と平行な方向の単数または複数のガイドバー27が設けられている。第3のスリーブ22は、このガイドバー27に案内されてスライド自在である。
【0016】
第2のスリーブ21における周方向に沿った3箇所の位置には、中心軸18の軸心を含む面内で揺動自在なようにこの第2のスリーブ21によって支持されたクレビス形のエアシリンダ30が設けられている。このエアシリンダ30は、心出し装置19の径方向に沿って伸縮可能とされている。そして、各エアシリンダ30の伸縮端と第1のスリーブ20との間には、間隔をおいて配置された一対の板材によって構成された第1のリンク31がわたされ、各エアシリンダ30の伸縮端と第3のスリーブ22との間には、同様に一対の板材によって構成された第2のリンク32がわたされている。第1のリンク31と第2のリンク32とは同じ長さで形成され、第1のリンク31と第1のスリーブ20との連結点33と、第2のリンク32と第3のスリーブ22との連結点34とは、中心軸18の軸心からの径方向に沿った距離が等しくなるように構成されている。35は、エアシリンダ30の伸縮端と第1および第2のリンク31、32との連結点であり、この連結点35は、連結点33、34よりも中心軸18の軸心からの径方向に沿った距離が遠くなるように構成されている。これらによって傘の骨に類似した開閉機構が構成され、エアシリンダ30が伸縮することで、クレビス形のエアシリンダ30の揺動と第3のスリーブ22のスライドとを伴って、連結点35が連結点33を中心として心出し装置19の径方向に往復揺動可能である。
【0017】
連結点35には、押圧体36が取り付けられている。詳細には、押圧体36は、間隔をおいて配置された一対の板材によって構成されたフレーム37を有し、このフレーム37は、心出し装置19の長さ方向に沿って配置されるとともに、第1および第2のリンク31、32を構成する一対の板材どうしの間に設けられ、その長さ方向に沿った中心部において連結点35に揺動自在に取り付けられている。フレーム37には、このフレーム37すなわち心出し装置19の長さ方向に沿って、複数のローラ38が遊転自在に支持されている。ローラ38は、その周面がフレーム37よりも心出し装置19の径方向に若干突出するように構成されている。
【0018】
心出し装置19は、このような構成であるため、エアシリンダ30の伸縮によって押圧体36が心出し装置19の径方向に移動する。そして、管路1の内部で押圧体36が径方向の外向きに移動すると、この押圧体36のローラ38が、エアシリンダ30に対応した周方向の3箇所の位置で管路1の内面に押圧され、これによって心出し装置19は管路1に対して心出しされこの管路1と同軸とされることになる。このとき、フレーム37は連結点35に揺動自在に取り付けられているため、管路1の内部に管壁の腐食や錆などによる微小な凹凸が存在するような場合にも、それに対応して揺動することで、心出し装置19を管路1の内面に確実に対応させることができる。また心出し装置19は、フレーム37にローラ38が設けられていることから、このように押圧体36が管路1の内面に押圧された心出し状態を維持しながら、管路1の内部をこの管路1の軸心の方向に走行自在となる。このとき、押圧体36は、エアシリンダ30のエア圧によって管路1の内面に押圧されているとともに連結点35に揺動自在に取り付けられているため、管路1の内部に管壁の腐食や錆などによる微小な凹凸が存在するような場合や、管路1の内径が変化するような場合や、管路1を構成する管どうしの継手の部分に段差が存在するような場合でも、それに応じてエアシリンダ30が伸縮したり押圧体36が揺動したりすることで、心出し装置19を管路1の内部において安定して走行させることができる。
【0019】
管内径測定ユニット13と継手屈曲各測定ユニット14とは、いずれも、一本の中心軸18の前後において、一対の心出し装置19、19を管路1の軸心方向に近接した位置に設けた構成であるため、これら心出し装置19、19の押圧体36が管路1の内面に押圧されることで同様に管路1に対して心出しされて管路1と同軸にされる。また、その状態で図12に示す自走台車11を走行させることで、この自走台車11に押されて、心出しされて同軸とされた状態を維持したまま管路1の内部をその軸心方向に移動することができる。
【0020】
管内径測定ユニット13における一対の心出し装置19、19どうしの間には、管内径測定装置41が設けられている。以下、この管内径測定装置41について説明する。図1、図3、図8、図9に示すように、中心軸18にはフランジ状のブラケット42が一体に設けられている。ブラケット42における周方向に沿って等ピッチの8箇所の位置には、それぞれ開閉機構43が設けられている。この開閉機構43において、ブラケット42と一対のリンク44、44とフレーム45とによって、管内径測定装置41の径方向に揺動可能な平行リンク機構46が構成されている。この平行リンク機構46において、フレーム45は間隔をおいて配置された一対の板材によって構成され、リンク44、44は、フレーム45を構成するこれら一対の板材とブラケット42とを間に挟むさらに一対の板材によって構成されている。
【0021】
フレーム45を構成する一対の板材どうしの間には、遊転式のローラ47と、エアシリンダ48と、位置センサ49とが設けられている。ローラ47は、その周面がフレーム45よりも管内径測定装置41の径方向に若干突出するように構成されている。エアシリンダ48は、フレーム45とブラケット42との間で伸縮するように構成されている。位置センサ49は、管内径測定装置41の中心から、フレーム45よりも径方向に突出したローラ47の周面までの距離を測定可能な、ワイヤ式変位計などによって構成されている。
【0022】
管内径測定ユニット13における前側の心出し装置19においては、ガイドバー27は、第2のスリーブ21のブラケット25と管内径測定装置41のブラケット42との間に設けられている。
【0023】
管内径測定装置41は、このような構成であるため、エアシリンダ48が伸縮することによって平行リンク機構46が径方向に揺動し、これによってフレーム45は、図示の姿勢を保ったまま径方向に移動する。心出し装置19、19によって管内径測定装置41を管路1に対して心出しして管路1と同軸としたときに、フレーム45が径方向の外向きに移動すると、ローラ47が管路1の内面に押圧され、このときの管内径測定装置41の中心からローラ47の周面までの距離が位置センサ49によって検出される。開閉機構43は、上述のようにブラケット42における周方向に沿って等ピッチの8箇所の位置に設けられているため、周方向に180度の間隔を置いて配置された一対の開閉機構43の位置センサ49によって、管路1におけるある方向に沿った内径を検出することができ、また全体としては周方向に沿った等ピッチの4箇所の位置で管路1の内径を検出することができる。また、各位置センサ49からの個別の検出データにもとづき管路1の横断面の楕円度やその他の情報を得ることもできる。
【0024】
エアシリンダ48によってローラ47を管路1の内面に常時押し続けることができるので、その状態で上述のように管路1に対する管内径測定ユニット13の同軸心出し状態を維持しながらこのユニット13を走行させることで、管路1の内径を連続的に検出することができる。このとき、管路1の内径が変化したり、管路1を構成する管どうしの継手の部分に段差が存在したりするような場合でも、エアシリンダ48がそれに応じて伸縮することにより、対応することができる。段差のある部分では、それに応じて開閉機構43が伸縮することで、管内径測定装置41によって、その段差の大きさなどを検出することができる。
【0025】
次に継手屈曲角測定ユニット14について説明する。図1、図4、図5、図6、図7、図11に示すように、中心軸18の後端部における第4のスリーブ24に設けられたブラケット26には、さらにフランジ状のブラケット52が取り付けられている。このブラケット52における、中心軸18の軸心から径方向に距離をおきかつ周方向に沿って等ピッチとされた3箇所の位置であって、心出し装置19のエアシリンダ30やリンク31、32や押圧体36を避けた位置には、それぞれ屈曲角測定装置53が設けられている。各屈曲角測定装置53は、中心軸18の軸心と平行な方向の距離を測定可能な距離センサ54を備えている。この距離センサ54は、対象物に接触可能な接触子55と、この接触子55を距離測定対象に押し当てるためのエアシリンダとを有した構成となっている。すなわち、屈曲角測定装置53は、継手屈曲角測定ユニット14における後側の心出し装置19の内部に配置された形で設けられている。
【0026】
図1、図2、図7、図11に示すように、管内径測定ユニット13における前側の心出し装置19の第1のスリーブ20には、屈曲角測定装置53に対応した周方向の3箇所の位置において、ブラケット56によって、屈曲角測定装置53の方を向いた面板57が取り付けられている。この面板57は、上述した対象物を構成するもので、距離センサ54の接触子55が押し当てられるように構成されている。これにより距離センサ54は、継手屈曲角測定ユニット14のたとえばブラケット52における距離センサ54の取り付け部から、面板57までの距離を検出可能である。
【0027】
継手屈曲角測定ユニット14においては、たとえばブラケット52における上述の距離センサ54の取り付け部は周方向に沿った3箇所に存在するため、これら3箇所の取り付け部によって、図11に示すように第1の基準面58を規定することができる。また面板57も距離センサ54に対応して周方向に沿った3箇所に存在するため、これら3箇所の面板57によって第2の基準面59を規定することができる。
【0028】
そして、図11に示すように、管路1における継手屈曲角測定ユニット14が存在する部分の管2と管内径測定ユニット13が存在する部分の管3とがその継手部において互いに屈曲して、それに伴い継手屈曲角測定ユニット14と管内径測定ユニット13とが互いに屈曲している場合には、それに対応して第1の基準面58と第2の基準面59とが互いに傾斜することになる。そこで、各距離センサ54によってその距離センサ54の位置における第1の基準面58から第2の基準面59までの距離を検出することによって、第1の基準面58と第2の基準面59との傾きθを求めることができる。それによって、継手部における管2、3どうしの屈曲角を求めることができ、この継手部を通過することができる新管の許容最大長さなどを正確に知ることができる。
【0029】
図示のように、管2、3どうしが屈曲している部分では、それに対応した段差4が発生しているのが通例である。この段差4の存在およびその大きさは、前述のように管内径測定ユニット13の管内径測定装置41によって求めることができる。
【0030】
管内径測定ユニット13と継手屈曲角測定ユニット14との内部には、その前後方向に沿って、エアシリンダ30、48へのエア配管や、センサ49、54などへの配線のために制御台車12から導かれるサービスパイプ60がわたされている。このサービスパイプ60は、図示のように、管内径測定ユニット13や継手屈曲角測定ユニット14における各部と干渉しない位置に設けられている。
【0031】
上記のような構成の管内調査装置10を用いた管内調査方法について説明する。調査を行おうとする管路1に対して地表からピットを開削し、その部分の管路1を解体などにより開口させて、図12に示すように、CCDカメラ16を備えた継手屈曲角測定ユニット14と、管内径測定ユニット13と、自走台車11と、制御台車12とを管路1の内部に搬入し、これらをユニバーサルジョイント15によって互いに連結する。なお、管内調査装置10を搬入する前に、管路1の内部をスクレーパなどにより清掃しておくことが好ましい。
【0032】
管路1の内部を調査するときには、その調査している箇所の特定が必要である。このため、上記のピットから管内調査装置10までの距離を測定可能な手段を用いる。たとえば簡便には、管内調査装置10にワイヤロープを接続したうえで、その繰り出し長さを測定することによって、管内調査装置10までの距離を測定することができる。
【0033】
管内調査に際しては、自走台車11によって、継手屈曲角測定ユニット14と管内径測定ユニット13とを移動させる。このとき、心出し装置19を作用させることで、これら継手屈曲角測定ユニット14と管内径測定ユニット13とは、管路1に対して同軸に心出しされた状態で、この管路1の内部を走行可能である。そして、このように走行しながら、CCDカメラ16は、管路1の内部の画像を取得する。管内径測定ユニット13は、走行しながら、管路1の内径を連続的に測定可能である。
【0034】
図11に示すように、管路1を構成する管2と管3とがその継手部において互いに屈曲している箇所では、図示のように継手屈曲角測定ユニット14を一方の管2の内部に同軸に心出しされた状態で位置させるとともに、管内径測定ユニット13を他方の管3の内部に同軸に心出しされた状態で位置させ、この状態で上述のようにして管2、3どうしの屈曲角を求める。また、管2、3どうしの屈曲部では段差4が発生していることが通例であるため、管内径測定ユニット13によってこの段差を測定する。
【0035】
このとき、たとえばロータリエンコーダを用いることで、管内調査装置10のローリング状況を調べることができる。また、たとえば振り子やジャイロなどを用いることによって管内調査装置10の軸心の傾きと回転とを測定可能であり、その測定データと、管内径データおよび屈曲角データとを合わせれば、管路1の状況を正確に把握することができる。
【0036】
以上のようにすれば、
(1)CCDカメラ16による管内状況の測定と、
(2)管内径測定ユニット13による管内径の測定および段差の測定と、
(3)継手屈曲角測定ユニット14による管路1における管継手の屈曲角の測定と、
(4)距離測定手段による発進位置からの進行距離の測定と、
(5)ロータリエンコーダなどによる管内調査装置10のローリング状況の測定や、振り子やジャイロなどを用いることによる管内調査装置10の軸心の傾きおよび回転の測定などと、
を行うことができ、パイプインパイプ工法を実施するための既設管路の管内を詳細に調査することができる。なお、上述のように管内調査装置10すなわち制御台車12は無線制御方式のものであるため、ピットからたとえば500m程度はなれた位置においても管内を調査することができ、その調査スパンを大きくとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態の管内調査装置の要部を示す図である。
【図2】図1における走行機能を有する心出し装置の動作を説明する図である。
【図3】図1における管内径測定ユニットの要部の詳細図である。
【図4】図1における継手屈曲角測定ユニットの要部の詳細図である。
【図5】図1におけるA−A線に沿った横断面の拡大図である。
【図6】図1におけるB−B線に沿った横断面の拡大図である。
【図7】図1におけるC−C線に沿った横断面の拡大図である。
【図8】図1におけるD−D線に沿った横断面の拡大図である。
【図9】図1におけるE−E線に沿った横断面の拡大図である。
【図10】図1におけるF−F線に沿った横断面の拡大図である。
【図11】図1における継手屈曲角測定ユニットの動作を説明する図である。
【図12】本発明の実施の形態の管内調査装置の全体を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
1 既設の管路
11 自走台車
13 管内径測定ユニット
14 継手屈曲角測定ユニット
19 走行機能を有する心出し装置
41 管内径測定装置
53 屈曲角測定装置
【技術分野】
【0001】
本発明は上水道管などの管内を調査するための管内調査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
管路の敷設方法の一つとして、既設管路の内部に新管を挿入するパイプインパイプ工法が知られている。このパイプインパイプ工法を実施する際には、事前に既設管路の管内を調査して、どのような新管を挿入可能かを検討しておく必要がある。
【0003】
このための管内調査装置として、たとえば特許文献1には、既設管路における一定距離をおいた2箇所の位置の間に光を通すことによって、その既設管路の有効径を測定することが記載されている。
【特許文献1】特公平6−48175号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のものは、上記のように既設管路の有効径を測定するだけのものでしかないため、パイプインパイプ工法を実施するための情報量としては満足なものではない。
【0005】
そこで本発明は、パイプインパイプ工法を実施するための既設管路の管内を詳細に調査できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するため本発明は、管路内を走行可能であるとともに前記管路を構成する管に対してそれぞれ心出しされることが可能な第1の測定ユニットと第2の測定ユニットとを備え、前記第1の測定ユニットと第2の測定ユニットとのいずれかに、その測定ユニットが管に心出しされて管と同軸とされたときに周方向に沿った複数の位置でその管の内径を測定可能な内径測定装置を備え、前記管路における管継手を構成する一方の管に第1の測定ユニットが心出しされてこの一方の管と同軸とされるとともに、前記管継手を構成する他方の管に第2の測定ユニットが心出しされてこの他方の管と同軸とされたときに、これら第1の測定ユニットと第2の測定ユニットとの屈曲角を測定することで前記管継手の屈曲角を測定可能な屈曲角測定装置を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
したがって本発明によれば、管路を構成する管の内径を内径測定装置によってその管の周方向に沿った複数の位置で測定することができて、パイプインパイプ工法においてその管路に挿入することができる新管の口径を正確に知ることができるのみならず、屈曲角測定装置によって管路の管継手の屈曲角を測定することができるため、パイプインパイプ工法においてその屈曲した継手を通過させることが必要な新管であって、複数の管が継手接合された新管における、各管の許容最大長さなどを正確に知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図12は、本発明の実施の形態の管内調査装置の全体の概略構成を示す。ここで、1は調査対象としての既設の管路で、複数の管が継手接合された構成となっており、地中において水平方向に敷設されて、上水道などを構成している。この管路1は、人が入ることができない、たとえば口径400〜700mm程度の管路であるとする。管内の調査を行う際には、管路1における適当箇所を地表から開削してピットを形成し、このピットを利用して、本発明にもとづく管内調査装置10を管路1の内部に搬入する。
【0009】
管内調査装置10は、自走台車11と、この自走台車11を走行させるためにこの自走台車11の後方に配置された制御台車12とが互いに連結された構成となっている。自走台車11はモータによって管路1の内部をその軸心方向に走行するように構成され、制御台車12には、このモータに電力を供給するためのバッテリや、モータの駆動を制御するための信号を受ける無線機や、エア供給源などが搭載されている。すなわち管内調査装置10は、上記したピット内などに設けられた制御盤からの無線制御によって走行および管内調査を行うように構成されている。
【0010】
自走台車の前方には管内径測定ユニット13が配置され、さらにこの管内径測定ユニット13の前方には継手屈曲角測定ユニット14が配置されている。これら管内径測定ユニット13と継手屈曲角測定ユニット14とは、管路1の内部をその軸心方向に走行自在である。そして、継手屈曲角測定ユニット14と、管内径測定ユニット13と、自走台車11と、制御台車12とは、それぞれユニバーサルジョイント15によってこの順に互いに連結されている。これにより、これら継手屈曲角測定ユニット14と管内径測定ユニット13と自走台車11と制御台車12とは、自走台車11の走行駆動力によって、継手屈曲角測定ユニット14を先頭として管路1の内部を一体に走行可能とされている。
【0011】
継手屈曲角測定ユニット14の先端には、管路1の内部を観察可能なCCDカメラ16が搭載されている。
【0012】
図1は、図12における継手屈曲角測定ユニット14と管内径測定ユニット13とがユニバーサルジョイント15によって連結されている状態を示す。なお、図1においてはCCDカメラは図示を省略しており、それに代えて、必要に応じて継手屈曲角測定ユニット14の前方に他の測定ユニットを配置して、この測定ユニットをユニバーサルジョイント15によって継手屈曲角測定ユニット14に連結可能なことを示している。
【0013】
継手屈曲角測定ユニット14および管内径測定ユニット13は、いずれも、管路1の内部を走行自在であるとともに、管路1を構成する管に心出しされてこの管と同軸とされることが可能である。以下、この点について説明する。
【0014】
継手屈曲角測定ユニット14および管内径測定ユニット13は、いずれもその中心部に管路11の軸心方向の中心軸18を有し、この中心軸18は、パイプなどによって構成されている。各測定ユニット14、13は、それぞれ一対の、走行機能を有する心出し装置19を備えている。
【0015】
走行機能を有する心出し装置19について説明する。図1、図2、図5、図7、図10に示すように、中心軸18には第1のスリーブ20が外ばめ固定され、この第1のスリーブ20から中心軸18の軸心方向に距離をおいた位置には第2のスリーブ21が外ばめ固定されている。また第1のスリーブ20から第2のスリーブ21を越えて中心軸18の軸心方向に距離をおいた位置には、第3のスリーブ22が、中心軸18の軸心方向にスライド自在に外ばめされている。さらに第2のスリーブ21から第3のスリーブ22を越えて中心軸18の軸心方向に距離をおいた位置には、第4のスリーブ24が外ばめ固定されており、第2のスリーブ21に設けられたブラケット25と第4のスリーブ24に設けられたブラケット26との間には、周方向に沿った適当位置において、中心軸18と平行な方向の単数または複数のガイドバー27が設けられている。第3のスリーブ22は、このガイドバー27に案内されてスライド自在である。
【0016】
第2のスリーブ21における周方向に沿った3箇所の位置には、中心軸18の軸心を含む面内で揺動自在なようにこの第2のスリーブ21によって支持されたクレビス形のエアシリンダ30が設けられている。このエアシリンダ30は、心出し装置19の径方向に沿って伸縮可能とされている。そして、各エアシリンダ30の伸縮端と第1のスリーブ20との間には、間隔をおいて配置された一対の板材によって構成された第1のリンク31がわたされ、各エアシリンダ30の伸縮端と第3のスリーブ22との間には、同様に一対の板材によって構成された第2のリンク32がわたされている。第1のリンク31と第2のリンク32とは同じ長さで形成され、第1のリンク31と第1のスリーブ20との連結点33と、第2のリンク32と第3のスリーブ22との連結点34とは、中心軸18の軸心からの径方向に沿った距離が等しくなるように構成されている。35は、エアシリンダ30の伸縮端と第1および第2のリンク31、32との連結点であり、この連結点35は、連結点33、34よりも中心軸18の軸心からの径方向に沿った距離が遠くなるように構成されている。これらによって傘の骨に類似した開閉機構が構成され、エアシリンダ30が伸縮することで、クレビス形のエアシリンダ30の揺動と第3のスリーブ22のスライドとを伴って、連結点35が連結点33を中心として心出し装置19の径方向に往復揺動可能である。
【0017】
連結点35には、押圧体36が取り付けられている。詳細には、押圧体36は、間隔をおいて配置された一対の板材によって構成されたフレーム37を有し、このフレーム37は、心出し装置19の長さ方向に沿って配置されるとともに、第1および第2のリンク31、32を構成する一対の板材どうしの間に設けられ、その長さ方向に沿った中心部において連結点35に揺動自在に取り付けられている。フレーム37には、このフレーム37すなわち心出し装置19の長さ方向に沿って、複数のローラ38が遊転自在に支持されている。ローラ38は、その周面がフレーム37よりも心出し装置19の径方向に若干突出するように構成されている。
【0018】
心出し装置19は、このような構成であるため、エアシリンダ30の伸縮によって押圧体36が心出し装置19の径方向に移動する。そして、管路1の内部で押圧体36が径方向の外向きに移動すると、この押圧体36のローラ38が、エアシリンダ30に対応した周方向の3箇所の位置で管路1の内面に押圧され、これによって心出し装置19は管路1に対して心出しされこの管路1と同軸とされることになる。このとき、フレーム37は連結点35に揺動自在に取り付けられているため、管路1の内部に管壁の腐食や錆などによる微小な凹凸が存在するような場合にも、それに対応して揺動することで、心出し装置19を管路1の内面に確実に対応させることができる。また心出し装置19は、フレーム37にローラ38が設けられていることから、このように押圧体36が管路1の内面に押圧された心出し状態を維持しながら、管路1の内部をこの管路1の軸心の方向に走行自在となる。このとき、押圧体36は、エアシリンダ30のエア圧によって管路1の内面に押圧されているとともに連結点35に揺動自在に取り付けられているため、管路1の内部に管壁の腐食や錆などによる微小な凹凸が存在するような場合や、管路1の内径が変化するような場合や、管路1を構成する管どうしの継手の部分に段差が存在するような場合でも、それに応じてエアシリンダ30が伸縮したり押圧体36が揺動したりすることで、心出し装置19を管路1の内部において安定して走行させることができる。
【0019】
管内径測定ユニット13と継手屈曲各測定ユニット14とは、いずれも、一本の中心軸18の前後において、一対の心出し装置19、19を管路1の軸心方向に近接した位置に設けた構成であるため、これら心出し装置19、19の押圧体36が管路1の内面に押圧されることで同様に管路1に対して心出しされて管路1と同軸にされる。また、その状態で図12に示す自走台車11を走行させることで、この自走台車11に押されて、心出しされて同軸とされた状態を維持したまま管路1の内部をその軸心方向に移動することができる。
【0020】
管内径測定ユニット13における一対の心出し装置19、19どうしの間には、管内径測定装置41が設けられている。以下、この管内径測定装置41について説明する。図1、図3、図8、図9に示すように、中心軸18にはフランジ状のブラケット42が一体に設けられている。ブラケット42における周方向に沿って等ピッチの8箇所の位置には、それぞれ開閉機構43が設けられている。この開閉機構43において、ブラケット42と一対のリンク44、44とフレーム45とによって、管内径測定装置41の径方向に揺動可能な平行リンク機構46が構成されている。この平行リンク機構46において、フレーム45は間隔をおいて配置された一対の板材によって構成され、リンク44、44は、フレーム45を構成するこれら一対の板材とブラケット42とを間に挟むさらに一対の板材によって構成されている。
【0021】
フレーム45を構成する一対の板材どうしの間には、遊転式のローラ47と、エアシリンダ48と、位置センサ49とが設けられている。ローラ47は、その周面がフレーム45よりも管内径測定装置41の径方向に若干突出するように構成されている。エアシリンダ48は、フレーム45とブラケット42との間で伸縮するように構成されている。位置センサ49は、管内径測定装置41の中心から、フレーム45よりも径方向に突出したローラ47の周面までの距離を測定可能な、ワイヤ式変位計などによって構成されている。
【0022】
管内径測定ユニット13における前側の心出し装置19においては、ガイドバー27は、第2のスリーブ21のブラケット25と管内径測定装置41のブラケット42との間に設けられている。
【0023】
管内径測定装置41は、このような構成であるため、エアシリンダ48が伸縮することによって平行リンク機構46が径方向に揺動し、これによってフレーム45は、図示の姿勢を保ったまま径方向に移動する。心出し装置19、19によって管内径測定装置41を管路1に対して心出しして管路1と同軸としたときに、フレーム45が径方向の外向きに移動すると、ローラ47が管路1の内面に押圧され、このときの管内径測定装置41の中心からローラ47の周面までの距離が位置センサ49によって検出される。開閉機構43は、上述のようにブラケット42における周方向に沿って等ピッチの8箇所の位置に設けられているため、周方向に180度の間隔を置いて配置された一対の開閉機構43の位置センサ49によって、管路1におけるある方向に沿った内径を検出することができ、また全体としては周方向に沿った等ピッチの4箇所の位置で管路1の内径を検出することができる。また、各位置センサ49からの個別の検出データにもとづき管路1の横断面の楕円度やその他の情報を得ることもできる。
【0024】
エアシリンダ48によってローラ47を管路1の内面に常時押し続けることができるので、その状態で上述のように管路1に対する管内径測定ユニット13の同軸心出し状態を維持しながらこのユニット13を走行させることで、管路1の内径を連続的に検出することができる。このとき、管路1の内径が変化したり、管路1を構成する管どうしの継手の部分に段差が存在したりするような場合でも、エアシリンダ48がそれに応じて伸縮することにより、対応することができる。段差のある部分では、それに応じて開閉機構43が伸縮することで、管内径測定装置41によって、その段差の大きさなどを検出することができる。
【0025】
次に継手屈曲角測定ユニット14について説明する。図1、図4、図5、図6、図7、図11に示すように、中心軸18の後端部における第4のスリーブ24に設けられたブラケット26には、さらにフランジ状のブラケット52が取り付けられている。このブラケット52における、中心軸18の軸心から径方向に距離をおきかつ周方向に沿って等ピッチとされた3箇所の位置であって、心出し装置19のエアシリンダ30やリンク31、32や押圧体36を避けた位置には、それぞれ屈曲角測定装置53が設けられている。各屈曲角測定装置53は、中心軸18の軸心と平行な方向の距離を測定可能な距離センサ54を備えている。この距離センサ54は、対象物に接触可能な接触子55と、この接触子55を距離測定対象に押し当てるためのエアシリンダとを有した構成となっている。すなわち、屈曲角測定装置53は、継手屈曲角測定ユニット14における後側の心出し装置19の内部に配置された形で設けられている。
【0026】
図1、図2、図7、図11に示すように、管内径測定ユニット13における前側の心出し装置19の第1のスリーブ20には、屈曲角測定装置53に対応した周方向の3箇所の位置において、ブラケット56によって、屈曲角測定装置53の方を向いた面板57が取り付けられている。この面板57は、上述した対象物を構成するもので、距離センサ54の接触子55が押し当てられるように構成されている。これにより距離センサ54は、継手屈曲角測定ユニット14のたとえばブラケット52における距離センサ54の取り付け部から、面板57までの距離を検出可能である。
【0027】
継手屈曲角測定ユニット14においては、たとえばブラケット52における上述の距離センサ54の取り付け部は周方向に沿った3箇所に存在するため、これら3箇所の取り付け部によって、図11に示すように第1の基準面58を規定することができる。また面板57も距離センサ54に対応して周方向に沿った3箇所に存在するため、これら3箇所の面板57によって第2の基準面59を規定することができる。
【0028】
そして、図11に示すように、管路1における継手屈曲角測定ユニット14が存在する部分の管2と管内径測定ユニット13が存在する部分の管3とがその継手部において互いに屈曲して、それに伴い継手屈曲角測定ユニット14と管内径測定ユニット13とが互いに屈曲している場合には、それに対応して第1の基準面58と第2の基準面59とが互いに傾斜することになる。そこで、各距離センサ54によってその距離センサ54の位置における第1の基準面58から第2の基準面59までの距離を検出することによって、第1の基準面58と第2の基準面59との傾きθを求めることができる。それによって、継手部における管2、3どうしの屈曲角を求めることができ、この継手部を通過することができる新管の許容最大長さなどを正確に知ることができる。
【0029】
図示のように、管2、3どうしが屈曲している部分では、それに対応した段差4が発生しているのが通例である。この段差4の存在およびその大きさは、前述のように管内径測定ユニット13の管内径測定装置41によって求めることができる。
【0030】
管内径測定ユニット13と継手屈曲角測定ユニット14との内部には、その前後方向に沿って、エアシリンダ30、48へのエア配管や、センサ49、54などへの配線のために制御台車12から導かれるサービスパイプ60がわたされている。このサービスパイプ60は、図示のように、管内径測定ユニット13や継手屈曲角測定ユニット14における各部と干渉しない位置に設けられている。
【0031】
上記のような構成の管内調査装置10を用いた管内調査方法について説明する。調査を行おうとする管路1に対して地表からピットを開削し、その部分の管路1を解体などにより開口させて、図12に示すように、CCDカメラ16を備えた継手屈曲角測定ユニット14と、管内径測定ユニット13と、自走台車11と、制御台車12とを管路1の内部に搬入し、これらをユニバーサルジョイント15によって互いに連結する。なお、管内調査装置10を搬入する前に、管路1の内部をスクレーパなどにより清掃しておくことが好ましい。
【0032】
管路1の内部を調査するときには、その調査している箇所の特定が必要である。このため、上記のピットから管内調査装置10までの距離を測定可能な手段を用いる。たとえば簡便には、管内調査装置10にワイヤロープを接続したうえで、その繰り出し長さを測定することによって、管内調査装置10までの距離を測定することができる。
【0033】
管内調査に際しては、自走台車11によって、継手屈曲角測定ユニット14と管内径測定ユニット13とを移動させる。このとき、心出し装置19を作用させることで、これら継手屈曲角測定ユニット14と管内径測定ユニット13とは、管路1に対して同軸に心出しされた状態で、この管路1の内部を走行可能である。そして、このように走行しながら、CCDカメラ16は、管路1の内部の画像を取得する。管内径測定ユニット13は、走行しながら、管路1の内径を連続的に測定可能である。
【0034】
図11に示すように、管路1を構成する管2と管3とがその継手部において互いに屈曲している箇所では、図示のように継手屈曲角測定ユニット14を一方の管2の内部に同軸に心出しされた状態で位置させるとともに、管内径測定ユニット13を他方の管3の内部に同軸に心出しされた状態で位置させ、この状態で上述のようにして管2、3どうしの屈曲角を求める。また、管2、3どうしの屈曲部では段差4が発生していることが通例であるため、管内径測定ユニット13によってこの段差を測定する。
【0035】
このとき、たとえばロータリエンコーダを用いることで、管内調査装置10のローリング状況を調べることができる。また、たとえば振り子やジャイロなどを用いることによって管内調査装置10の軸心の傾きと回転とを測定可能であり、その測定データと、管内径データおよび屈曲角データとを合わせれば、管路1の状況を正確に把握することができる。
【0036】
以上のようにすれば、
(1)CCDカメラ16による管内状況の測定と、
(2)管内径測定ユニット13による管内径の測定および段差の測定と、
(3)継手屈曲角測定ユニット14による管路1における管継手の屈曲角の測定と、
(4)距離測定手段による発進位置からの進行距離の測定と、
(5)ロータリエンコーダなどによる管内調査装置10のローリング状況の測定や、振り子やジャイロなどを用いることによる管内調査装置10の軸心の傾きおよび回転の測定などと、
を行うことができ、パイプインパイプ工法を実施するための既設管路の管内を詳細に調査することができる。なお、上述のように管内調査装置10すなわち制御台車12は無線制御方式のものであるため、ピットからたとえば500m程度はなれた位置においても管内を調査することができ、その調査スパンを大きくとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態の管内調査装置の要部を示す図である。
【図2】図1における走行機能を有する心出し装置の動作を説明する図である。
【図3】図1における管内径測定ユニットの要部の詳細図である。
【図4】図1における継手屈曲角測定ユニットの要部の詳細図である。
【図5】図1におけるA−A線に沿った横断面の拡大図である。
【図6】図1におけるB−B線に沿った横断面の拡大図である。
【図7】図1におけるC−C線に沿った横断面の拡大図である。
【図8】図1におけるD−D線に沿った横断面の拡大図である。
【図9】図1におけるE−E線に沿った横断面の拡大図である。
【図10】図1におけるF−F線に沿った横断面の拡大図である。
【図11】図1における継手屈曲角測定ユニットの動作を説明する図である。
【図12】本発明の実施の形態の管内調査装置の全体を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
1 既設の管路
11 自走台車
13 管内径測定ユニット
14 継手屈曲角測定ユニット
19 走行機能を有する心出し装置
41 管内径測定装置
53 屈曲角測定装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管路内を走行可能であるとともに前記管路を構成する管に対してそれぞれ心出しされることが可能な第1の測定ユニットと第2の測定ユニットとを備え、
前記第1の測定ユニットと第2の測定ユニットとのいずれかに、その測定ユニットが管に心出しされて管と同軸とされたときに周方向に沿った複数の位置でその管の内径を測定可能な内径測定装置を備え、
前記管路における管継手を構成する一方の管に第1の測定ユニットが心出しされてこの一方の管と同軸とされるとともに、前記管継手を構成する他方の管に第2の測定ユニットが心出しされてこの他方の管と同軸とされたときに、これら第1の測定ユニットと第2の測定ユニットとの屈曲角を測定することで前記管継手の屈曲角を測定可能な屈曲角測定装置を備えたことを特徴とする管内調査装置。
【請求項1】
管路内を走行可能であるとともに前記管路を構成する管に対してそれぞれ心出しされることが可能な第1の測定ユニットと第2の測定ユニットとを備え、
前記第1の測定ユニットと第2の測定ユニットとのいずれかに、その測定ユニットが管に心出しされて管と同軸とされたときに周方向に沿った複数の位置でその管の内径を測定可能な内径測定装置を備え、
前記管路における管継手を構成する一方の管に第1の測定ユニットが心出しされてこの一方の管と同軸とされるとともに、前記管継手を構成する他方の管に第2の測定ユニットが心出しされてこの他方の管と同軸とされたときに、これら第1の測定ユニットと第2の測定ユニットとの屈曲角を測定することで前記管継手の屈曲角を測定可能な屈曲角測定装置を備えたことを特徴とする管内調査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−234525(P2006−234525A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−48109(P2005−48109)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【出願人】(501468828)有限会社インテス (20)
【上記1名の代理人】
【識別番号】100113859
【弁理士】
【氏名又は名称】板垣 孝夫
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【出願人】(501468828)有限会社インテス (20)
【上記1名の代理人】
【識別番号】100113859
【弁理士】
【氏名又は名称】板垣 孝夫
【Fターム(参考)】
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