説明

粉体含有乳化皮膚外用剤

【課題】 粉体を5質量%以上含有しながら、粘度が低く、以て、使用性に優れる乳化剤形の皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】 表面を親油化処理されていても良い、粉体を5〜30質量%含有する、水中油乳化剤形の皮膚外用剤において、1)アシル乳酸及び/又はその塩0.05〜5質量%と、2)アシル化ポリグリセリン0.1〜10質量%と、3)硫酸系アニオン界面活性剤0.01〜1質量%とを、皮膚外用剤に含有させる。前記アシル乳酸は、ステアロイル乳酸が好ましく、前記粉体は、その表面をN−アシルアミノ酸塩被覆処理、メチルハイドロジェンポリシロキサン焼付処理及びアルキルアルコキシシランによるシランカップリング処理から選択される少なくとも1種の表面処理を施されていることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に関し、更に詳細には、粉体含有化粧料に好適な皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料などの皮膚外用剤において、乳化剤形を適用することは、油溶性成分と、水溶性成分の両方を同一製剤に製剤化出来る点で非常に有用であり、特に、化粧料のように有効成分を多種含有する商品では、この有用性は非常に大きなものとなる。又、乳化剤形は通常安定な水−油界面を有するので、この界面を利用して、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、マイカ、チタンマイカ、タルクなどの粉体成分を安定に分散する分散媒にも使用される。特に、粉体類は金属酸化物を主成分とするため、油性成分のみ、或いは、水性成分のみの系では、その比重の大きさ故に、容易に沈降してしまうが、界面に配位することにより、安定に分散状態を保つことが出来る。又、その様な要件、即ち、しっかりとした界面構造を形成する剤形でなければ粉体含有乳化製剤の剤形として適さないとも言える。この様な界面構造は、従来の技術においては、脂肪酸石鹸と高級アルコールによって形成される構造や、有機変性ヘクトライトと多価アルコールと水によって形成される網目構造が利用されてきた。その反面で、この様な界面の形成には相間の相互作用が伴い、且つ、粉体と油相、或いは粉体と水相の相互間力が新たに生じるため、前記の安定な粉体分散乳化剤形における粘度は非常に高いものになり、剪断応力でも容易に壊れない構造を取りやすい。この為、高粘度を呈するようになり、使用性の面では、構造が崩れにくく、のびが重くなる傾向にあった。特に、粉体を5質量%以上含有する、高粉体含有乳化組成物では、粉体同士の相互作用も加わり、チキソトロピー性を有する粘流動体を形成しやすい。この様な状況になると、のびの重さなどの使用性の欠如は更に著しくなる。即ち、粉体を含有する乳化剤形の皮膚外用剤において、実測の粘度が低く、それにより、のびなどの使用性も向上した製剤の開発が望まれていた。
【0003】
前記の高級アルコール・脂肪酸石鹸構造や有機変性ヘクトライト・多価アルコール・水構造に代わる新規の乳化構造系としては、粉体の含有量の少ない乳化剤形においては、ステアロイル乳酸とアシル化ポリグリセリンの作る乳化系が粉体分散性と、その安定性に優れる系を創出することが知られている(例えば、特許文献1を参照)。しかしながら、この様な系に於いても、粉体量が多くなると、均一分散性が損なわれることが本発明者により見いだされている。
【0004】
一方、ステアロイル乳酸等のアシル乳酸とアシル化ポリグリセリンの乳化構造系については、安定な水中油乳化系を作ることが知られている(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8を参照)し、アシル乳酸とアニオン界面活性剤とを組み合わせて乳化する技術もすでに知られている(例えば、特許文献9)が、アシル乳酸とアシル化ポリグリセリンと硫酸系アニオン界面活性剤との組み合わせは知られていないし、粉体との組み合わせも特許文献1以外は知られていない。
【0005】
【特許文献1】特開平10−194964号公報
【特許文献2】特開2006−63060号公報
【特許文献3】特開2005−220119号公報
【特許文献4】特開2001−335496号公報
【特許文献5】特開平11−276881号公報
【特許文献6】特開平10−194967号公報
【特許文献7】特開2002−53431号公報
【特許文献8】特開平9−48705号公報
【特許文献9】特表2004−532340号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、粉体を5質量%以上含有しながら、粘度が低く、以て、使用性に優れる乳化剤形の皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、粉体を5質量%以上含有しながら、粘度が低く、以て、使用性に優れる乳化剤形の皮膚外用剤を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、表面を親油化処理されていても良い、粉体を5〜30質量%含有する、水中油乳化剤形の皮膚外用剤において、1)ステアロイル乳酸及び/又はその塩0.05〜5質量%と、2)アシル化ポリグリセリン0.1〜10質量%と、3)硫酸系アニオン界面活性剤0.01〜1質量%ととを含有する、水中油乳化剤形の皮膚外用剤がその様な特性を有していることを見いだし、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
(1)表面を親油化処理されていても良い、粉体を5〜30質量%含有する、水中油乳化剤形の皮膚外用剤において、1)アシル乳酸及び/又はその塩0.05〜5質量%と、2)アシル化ポリグリセリン0.1〜10質量%と、3)硫酸系アニオン界面活性剤0.01〜1質量%ととを含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
(2)前記アシル乳酸は、ステアロイル乳酸であることを特徴とする、(1)に記載の皮膚外用剤。
(3)前記粉体は、その表面をN−アシルアミノ酸塩被覆処理、メチルハイドロジェンポリシロキサン焼付処理及びアルキルアルコキシシランによるシランカップリング処理から選択される少なくとも1種の表面処理を施されていることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の皮膚外用剤。
(4)前記アシル化ポリグリセリンはデカグリセリンペンタステアレートであることを特徴とする、(1)〜(3)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
(5)前記硫酸系アニオン界面活性剤は、脂肪酸グリセリン硫酸塩であることを特徴とする、(1)〜(3)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
(6)更に、アルキレンオキシド変性シリコーン及び/又はグリセリン変性シリコーンを含有することを特徴とする、(1)〜(5)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
(7)粘度がB型粘度計4号ローター毎分12回転の測定条件下、1万mP・s以下であることを特徴とする、(1)〜(6)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、粉体を5質量%以上含有しながら、粘度が低く、以て、使用性に優れる乳化剤形の皮膚外用剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(1)本発明の皮膚外用剤の必須成分であるアシル乳酸
本発明の皮膚外用剤は、アシル乳酸を必須成分として含有することを特徴とする。アシル乳酸を構成する、アシル基としては、炭素数8〜30の直鎖、分岐乃至は環状構造を有することあるアルキロイル基又はアルケロイル基が好ましく例示できる。この様なアシル基の具体的な例としては、例えば、2−エチルヘキサノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、イソステアロイル基、ベヘノイル基、オレオイル基、リノロイル基、リノレノイル基などが好適に例示できる。これらの内ではステアロイル乳酸が特に好ましい。かかるアシル乳酸は、ジメチルホルムアミドなどを反応溶媒として、乳酸と対応する酸クロリドとをピリジン乃至はトリエチルアミンなどのアルカリの存在下縮合させることにより得ることが出来る。前記酸クロリドは、脂肪酸と塩化チオニルなどのハロゲン化剤とを反応させることにより得ることが出来る。かかるアシル乳酸はそのまま使用することも出来るし、一部乃至は全部をアルカリ塩に誘導して使用することも出来る。これらの塩としては、皮膚外用剤で使用されるものであれば、特段の限定無く使用でき、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、モノエタノールアミン塩等の有機アミン塩、リジン塩、アルギン酸塩等の塩基性アミノ酸塩等が好適に例示できる。特に好ましい塩はアルカリ金属塩であり、中でもナトリウム塩である。この様なアシル乳酸及び/又はその塩には、例えば、ステアロイル乳酸カルシウムのように食品添加物に指定されて市販されているものもの存するし、ステアロイル乳酸ナトリウムのように化粧料原料として市販されているものも存する。この様な市販品を購入して利用することも出来る。かかる成分は、乳化安定剤としての機能を有し、低粘度でありながら、粉体類の沈降を抑制する乳化構造を、後記のアシル化ポリグリセリンとともに形成する。この様な効果を奏するためには、かかるアシル乳酸は、1種乃至は2種以上を総量で、皮膚外用剤全量に対し、0.05〜5質量%、より好ましくは0.1〜1質量%含有することが好適である。
【0010】
(2)本発明の皮膚外用剤の必須成分であるアシル化ポリグリセリン
本発明の皮膚外用剤は、必須成分としてアシル化ポリグリセリンを含有することを特徴とする。前記アシル化ポリグリセリンを構成するアシル基としては、炭素数8〜30の直鎖、分岐乃至は環状構造を有することあるアルキロイル基又はアルケロイル基が好ましく例示できる。この様なアシル基の具体的な例としては、例えば、2−エチルヘキサノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、イソステアロイル基、ベヘノイル基、オレオイル基、リノロイル基、リノレノイル基などが好適に例示できる。これらの中ではステアロイル基が特に好ましい。又、ポリグリセリンとしては、重合度5〜15のポリグリセリンが好ましく、7〜12が特に好ましい。かかるポリグリセリンのフリーの水酸化の内、前記アシル基で修飾されるものは半分以下であることが好ましく、少なくとも複数のアシル基を同一分子内に有することが好ましい。具体的には、本発明の皮膚外用剤では、ペンタアシル化デカグリセリン、テトラアシル化デカグリセリン、テトラアシル化オクタグリセリンなどが好適に例示できる。この様なアシル化ポリグリセリンは唯一種を含有することも出来るし、二種以上を組み合わせて含有させることも出来る。かかる成分は、本発明の皮膚外用剤においては、前記アシル乳酸とともに働いて、低粘度でありながら、粉体類の沈降を抑制する乳化構造を形成する。この様な効果を奏するためには、かかるアシル化ポリグリセリンを、皮膚外用剤全量に対して、総量で0.1〜10質量%、より好ましくは0.2〜2質量%含有させることが好ましい。又、かかるアシル化ポリグリセリンとアシル乳酸との質量比は、1:1〜5:1が特に好ましい。かかるアシル化ポリグリセリンと、アシル乳酸及び/又はその塩とを作用させて、低粘度で、安定な乳化構造を形成させるためには、アシル化ポリグリセリン、アシル乳酸、及び、ベヘニルアルコールやセチルアルコールなどの高級アルコールとを加温して相溶させ、これに水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ水溶液を添加して、プレミックスを作製し、かかるプレミックスにその他の成分を加えて調整することが、より低粘度で、安定性の高い乳化構造が創出できるので好ましい。
【0011】
(3)本発明の皮膚外用剤の必須成分である粉体
本発明の皮膚外用剤は、必須成分として、表面を親油化処理されていても良い、粉体を5〜30質量%、より好ましくは10〜25質量%含有することを特徴とする。かかる粉体は、表面処理をしない形でも、表面処理した形でも含有せしめることが出来るが、親油化処理を施して含有させることが、分散性を更に向上させるので好ましい。かかる親油化処理としては、通常化粧料などの皮膚外用剤用の粉体で行われている処理であれば特段の限定無く、例えば、N−アシルアミノ酸塩被覆処理、メチルハイドロジェンポリシロキサン焼付処理或いはアルキルアルコキシシランによるシランカップリング処理が好適に例示できる。かかる表面処理は唯一種の処理でも構わないし、2種以上の処理を施しても構わない。特に好ましい処理は、少なくともN−アシルアミノ酸塩で被覆処理した形態である。該N−アシルアミノ酸塩としては、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、イソステアロイル基、オレオイル基など、アシル基として炭素数10〜30の脂肪族のアシル基を好ましく有し、アミノ酸部分としては、リジン残基乃至はグルタミン酸残基を好ましく有し、塩としては、アルミニウム塩乃至は亜鉛塩を好ましく採用するものである。具体的な例示としては、N−ラウロイルグルタミン酸アルミニウム塩、N−ラウロイルグリシンアルミニウム塩、N−ラウロイルグルタミン酸亜鉛塩、N−ラウロイルグリシン亜鉛塩、N−ステアロイルグルタミン酸アルミニウム塩、N−ステアロイルグルタミン酸亜鉛塩等が好適に例示でき、N−ラウロイルグルタミン酸アルミニウム塩が特に好適に例示できる。この様なN−アシルアミノ酸塩の被覆は、例えば、N−ステアロイルグルタミン酸アルミニウム被覆を例に取れば、N−ステアロイルグルタミン酸ナトリウムの水溶液に粉体を分散させ、しかる後、かかる粉体に、塩化アルミニウムの水溶液を添加し、N−ステアロイルグルタミン酸アルミニウムを粉体上に沈着させればよい。かかる表面処理は、粉体の質量に対し、1〜20%の質量の被覆を行うことが適当である。以下に製造例を示す。かかる表面処理は、粉体の質量に対し、1〜20%の質量の被覆を行うことが適当である。以下に製造例を示す。
【0012】
<製造例1>
二酸化チタン100gを500mlの1%N−ステアロイルグルタミン酸ナトリウム水溶液に分散させ、これに125mlの1%塩化アルミニウム水溶液を加え、緩やかに4時間攪拌し、N−ステアロイルグルタミン酸アルミニウムを二酸化チタン表面に沈積させた。反応終了後遠心分離(3000g、10分)して上清を捨て、更に1000mlの水を加え、攪拌した後、遠心分離し、洗浄する作業を3回行った。沈殿した粉体を乾燥させ、擂壊機で壊砕し、1mmヘリングボーンスクリーンを装着したパルベライザーで粉砕し、N−ステアロイルグルタミン酸アルミニウム被覆二酸化チタンである粉体1を得た。
【0013】
<製造例2>
二酸化チタンをベンガラに代えて、同様に処置し、粉体2を得た。
【0014】
<製造例3>
二酸化チタンを黄色酸化鉄に代えて、同様に処置し、粉体3を得た。
【0015】
<製造例4>
二酸化チタンをタルクに代えて、同様に処置し、粉体4を得た。
【0016】
(4)本発明の皮膚外用剤の必須成分である硫酸系アニオン界面活性剤
本発明の皮膚外用剤は、硫酸系アニオン界面活性剤を必須成分として含有することを特徴とする。硫酸系アニオン界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸塩等のアルキル硫酸塩、スルホコハク酸ラウリルエステルナトリウム塩等のスルホコハク酸エステル塩、ココグリセリル硫酸ナトリウムなどの脂肪酸グリセリル硫酸エステル塩等が好適に例示でき、脂肪酸グリセリル硫酸エステル塩が特に好ましい。該脂肪酸グリセリン硫酸エステル塩を構成する脂肪酸残基(アシル基)としては、炭素数10〜30のものが好ましく、例えば、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、イソステアロイル基、ベヘノイル基、オレオイル基などが好適に例示でき、これらの天然混合物であるヤシ油脂肪酸残基、牛脂脂肪酸残基、パーム油脂肪酸残基などを使用することも出来る。中でもヤシ油脂肪酸グリセリル硫酸エステル塩が最も好ましい。これらの塩としては、皮膚外用剤で使用されるものであれば、特段の限定無く使用でき、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、モノエタノールアミン塩等の有機アミン塩、リジン塩、アルギン酸塩等の塩基性アミノ酸塩等が好適に例示できる。特に好ましい塩はアルカリ金属塩であり、中でもナトリウム塩である。かかる成分は、親油化されていても良い粉体の、系への分散性を向上せしめ、チキソトロピー性を低減させる作用を有する。この様な効果を奏するためには、前記硫酸系アニオン界面活性剤から選択される1種乃至は2種以上を、0.01〜1質量%、より好ましくは、0.05〜0.5質量%である。これは少なすぎると前記効果を奏しない場合が存し、多すぎると系の安定性を損なう場合が存するからである。
【0017】
(5)本発明の皮膚外用剤
本発明の皮膚外用剤は、前記必須成分を含有し、乳化在家であることを特徴とする。乳化剤形としては水中油乳化剤形が好ましい。かかる水中油乳化剤形は、最外相が水相である乳化剤形の総称であり、水中油中水(W/O/W)剤形等の複合多層剤形も包含する。本発明の皮膚外用剤としては、皮膚に外用で投与されるものであれば特段の限定無く適用でき、例えば、医薬部外品を包含する化粧料、皮膚外用医薬、皮膚外用雑貨などが好適に例示できる。特に好ましいものは、化粧料である。これは粉体の応用範囲が広いためである。
【0018】
本発明の皮膚外用剤には、前記必須成分以外に、通常化粧料などの皮膚外用剤で使用される任意の成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)等の硫酸系アニオン界面活性剤に分類されないアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類;レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤、;桂皮酸系紫外線吸収剤、;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノール等の抗菌剤などが好ましく例示できる。中でも、粉体の分散性を更に向上させるために、アルキレンオキシド変性シリコーン及び/又はグリセリン変性シリコーンを含有することが好ましい。かかる成分の好ましい含有量は、総量で、皮膚外用剤全量に対して、好ましくは、0.01〜1質量%、より好ましくは、0.05〜0.5質量%である。かかる必須成分と任意成分とを常法に従って処理することにより、本発明の皮膚外用剤は製造できる。
【0019】
以下に、本発明について、実施例を挙げて更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0020】
以下に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤である、ファンデーション(メークアップ化粧料)を作製した。即ち、処方成分イ、ロ、ハをそれぞれ80℃に加温し、一様に混合し、攪拌下イに徐々にロを加え、これに更に、ニを加え、デイスパーで分散させ、これに攪拌下ハを徐々に加え、攪拌冷却し、水中油乳化剤形の化粧料1を得た。同様に操作して、「ニッコールSGC−80N」をセチル乳酸ナトリウムに置換した比較例1、デカグリセリンペンタステアリン酸エステルをPOE(2)ステアリン酸エステルに置換した比較例2、セチル乳酸ナトリウムを「ニッコールSGC−80N」に置換した比較例3も作製し、20℃に24時間保存して、恒量化した後、外観で性状を、顕微鏡観察(300倍)で乳化状態(平均粒子径;μm)と粉体分散性(5視野における100μm以上の径を有する粉体の固まりの個数の総和;個)と粘度(B型粘度計4号ローター毎分12回転;mPa・s)を観察した。加えて、40℃に1ヶ月保存し、外観の性状も併せて検討した。結果を表2に示す。これより、本発明の皮膚外用剤は、粉体分散性に優れ、使用性にも優れることがわかる。
【0021】
【表1】

【0022】
【表2】

【実施例2】
【0023】
化粧料1のN−ステアロイルグルタミン酸アルミニウム処理粉体を通常の粉体に置換して、実施例1と同様にファンデーション(化粧料2)を作製した。このものは20℃、40℃1ヶ月の保存後でも外観に異常は認められず、平均乳化粒子径は1.7μmであり、粉体分散性は、粉体塊が3個(5視野合計)であり、粘度は7200mPa・sであった。本発明の皮膚外用剤には、通常の粉体も使用可能であることが確認されたが、粉体としては、少なくともN−ステアロイルグルタミン酸アルミニウムで表面処理されたものが好ましいこともわかる。
【0024】
【表3】

【実施例3】
【0025】
化粧料1のN−ステアロイルグルタミン酸アルミニウム処理粉体をハイドロジェンメチルポリシロキサン焼付処理(5%)粉体に置換して、実施例1と同様にファンデーション(化粧料3)を作製した。このものは20℃、40℃1ヶ月の保存後でも外観に異常は認められず、平均乳化粒子径は1.1μmであり、粉体分散性は、粉体塊が1個(5視野合計)であり、粘度は6900mPa・sであった。本発明の皮膚外用剤には、通常の粉体も使用可能であることが確認されたが、粉体としては、少なくともN−ステアロイルグルタミン酸アルミニウムには及ばないものの、無処理粉体よりは好ましく、親水性に表面処理されたものが好ましいこともわかる。
【0026】
【表4】

【実施例4】
【0027】
化粧料1のセチル乳酸ナトリウムをステアリル乳酸ナトリウムに置換して、実施例1と同様にファンデーション(化粧料4)を作製した。このものは20℃、40℃1ヶ月の保存後でも外観に異常は認められず、平均乳化粒子径は1.8μmであり、粉体分散性は、粉体塊が0個(5視野合計)であり、粘度は7000mPa・sであった。
【0028】
【表5】

【実施例5】
【0029】
化粧料1のデカグリセリンペンタステアレートをペンタグリセリンジステアレートに置換して、実施例1と同様にファンデーション(化粧料5)を作製した。このものは20℃、40℃1ヶ月の保存後でも外観に異常は認められず、平均乳化粒子径は2.4μmであり、粉体分散性は、粉体塊が3個(5視野合計)であり、粘度は7300mPa・sであった。
【0030】
【表6】

【実施例6】
【0031】
下記の処方に従って、本発明の皮膚外用剤である抗炎症皮膚外用医薬を作製した。このものは20℃、40℃1ヶ月の保存後でも外観に異常は認められず、平均乳化粒子径は1.7μmであり、粉体分散性は、粉体塊が14個(5視野合計)であり、粘度は7600mPa・sであった。
【0032】
【表7】

【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、化粧料などの皮膚外用剤に応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を親油化処理されていても良い、粉体を5〜30質量%含有する、水中油乳化剤形の皮膚外用剤において、1)アシル乳酸及び/又はその塩0.05〜5質量%と、2)アシル化ポリグリセリン0.1〜10質量%と、3)硫酸系アニオン界面活性剤0.01〜1質量%ととを含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
【請求項2】
前記アシル乳酸は、ステアロイル乳酸であることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
前記粉体は、その表面をN−アシルアミノ酸塩被覆処理、メチルハイドロジェンポリシロキサン焼付処理及びアルキルアルコキシシランによるシランカップリング処理から選択される少なくとも1種の表面処理を施されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
前記アシル化ポリグリセリンはデカグリセリンペンタステアレートであることを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
前記硫酸系アニオン界面活性剤は、脂肪酸グリセリン硫酸塩であることを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
更に、アルキレンオキシド変性シリコーン及び/又はグリセリン変性シリコーンを含有することを特徴とする、請求項1〜5何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項7】
粘度がB型粘度計4号ローター毎分12回転の測定条件下、1万mP・s以下であることを特徴とする、請求項1〜6何れか1項に記載の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2008−120756(P2008−120756A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−308596(P2006−308596)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】