説明

粉体搬送装置、現像装置及び画像形成装置

【課題】粉体収容器の排出部を本体側接続部に対して着脱する際、排出部の粉体排出口に粉体が付着しにくいようにした粉体搬送装置、当該粉体搬送装置を備えた現像装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】粉体を収容すると共に少なくとも一部が変形可能なトナー収容器66と、トナー収容器66内の粉体を外部へ排出するための排出部67と、トナー収容器66の変形可能な部分を内側へ押し込んだ状態で排出部67側へ移動して粉体を排出部67へ送り出す送出部材81とを備えた粉体搬送装置である。当該粉体搬送装置は、排出部67に振動を付与する振動付与手段としての偏心錘93を備える。そして、送出部材81の送り出し動作の後の所定時間、偏心錘93の駆動手段94の駆動を継続するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体収容器に収容された粉体を排出部へ搬送する粉体搬送装置、この粉体搬送装置を備えた現像装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の電子写真方式の画像形成装置では、一般的にトナーやキャリアと呼ばれる現像剤を用いて、現像装置によりトナー像を形成して画像を作成している。この種の画像形成装置は、画像形成と共に現像剤が消費されるため、トナーボトルやトナーカートリッジ等の現像剤を収容する現像剤収容器(粉体収容器)を画像形成装置に装着して当該容器から画像形成装置の現像装置へ現像剤を補給し、使用していた容器の現像剤がなくなると新しい現像剤を収容した容器に交換している。
【0003】
画像形成装置に装着した現像剤収容器から現像装置に対して現像剤を補給する方式として、現像剤収容器内部にスクリュー、オーガ、コイル、アジテータなどの搬送部材を設け、これら搬送部材を現像剤収容器の外部から駆動して現像剤を搬送するものがある。また、現像剤容器自体に螺旋状の溝あるいは突起を形成したスクリューボトルと呼ばれる容器を回転することで現像剤を補給する方式もある。
【0004】
前記スクリュー、オーガ、コイル、アジテータなどの搬送部材を使用した方式は構造が複雑となる欠点がある。また、この搬送方式では、容器内に堆積したトナーを搬送部材で強制的に搬送するため、トナーに負荷がかかり、トナーの凝集や劣化の虞がある。さらに、交換する容器内部に搬送部材を設けるので消耗品のコストが高まり、資源の消費による環境負荷増大になる。
【0005】
前記スクリューボトルによる搬送方式は、容器内部にスクリューを設ける必要がないため、構成がシンプルである。しかし、この搬送方式では、容器自体を回転させて使用するため、通常、容器の形状は円筒状の容器本体の一側面に出口を設けた形状(ビンを横にしたような形状)となり、直方体の容器と比較して収容できるトナー量が少ないという欠点や、交換時に手が滑りやすく持ちにくいという欠点がある。
【0006】
また、オーガを内装した容器やスクリューボトルは、PET等で形成された、いわゆる「ハードボトル」と呼ばれる容器で構成されているため、使用済みの容器のリサイクルに大きな課題がある。すなわち、一般に、使用済みの容器はメーカーがユーザー先から回収し、再生や再利用又は焼却処分が行われるが、ハードボトルタイプの容器は潰して減容化し難いので、嵩張り、回収・運搬のコストが高額となる。さらに、回収された容器にトナーを再充填して容器の再利用を図る場合に、回収容器の洗浄作業が困難であり、トナー充填効率も良くないことから、回収容器の再利用化に要するコストも高額となる。
【0007】
減容可能な容器を有する現像剤供給装置として、可撓性のトナー収容器にノズルを差し込み、このノズルを通してポンプでトナーを吸い出し、それを現像装置に補給する現像剤供給装置が知られている(特許文献1:特開2005−91879号公報参照)。この装置では、ポンプでトナーを吸い出すにつれてトナー収容器が自然に減容し、容器が潰れた状態で容器内にトナーがほとんど無くなくなるため、使用済み容器の回収、運搬、再利用に要するコストの低減が可能である。また、容器内のトナー残量に応じて容器が減容するため、外観でトナー残量がわかる利点もある。
【0008】
しかしながら、ポンプでトナーを吸い出す方式では、排出口(吸出口)からトナーを吸い出しやすくするために、容器の排出口を下方に向けて配置しなければならない。仮に、排出口を横向きにして容器を水平方向に配置すると、重力によってトナーを排出口付近に集めることができず、トナーが架橋して排出されないまま容器内に残ることがある。このことから、ポンプでトナーを吸い出すタイプの容器は、水平に配置することが困難であり、容器の配置に大きな制約がある。具体的に、容器内のトナーをスムーズに排出できるようにするには、容器を水平面に対して50°以上に傾斜させて配置する必要がある。従って、この種の容器を用いた構成では、実質的に縦方向に長い容器の設置スペースを確保しなければならず、水平方向に長い感光体や現像装置との適合性が悪く、画像形成装置全体の大きさを縦方向にコンパクト化するのには不向きである。
【0009】
また、前記のスクリューボトルやオーガを用いないトナー搬送方式として、外部から容器に衝撃を与えたり、容器をストッパーに当接させたりして、容器に振動(水平往復運動、楕円運動又は円運動)を与え、トナーの慣性力によってトナーを移動/排出する方式がある(特許文献2:特開2002−046843号公報、特許文献3:特開2002−268346号公報)。これらの搬送方式は、トナーが大量に収容されている状態では、容器中で積載されているトナーが振動によりまとまって移動するため、振動一往復あたりのトナーの搬送速度を大きくすることができる。
【0010】
しかしながら、容器中のトナー量が少なくなるに連れて、トナーの山が崩れ薄く広がってしまうため、振動一往復あたりのトナーの搬送速度がトナーの山の高さに応じて低下し、搬送速度を維持することができなくなるといった問題がある。また、容器に生じる振動が書き込み系に影響を与え、画像を乱すといった問題もある。引用文献2の搬送方式は往路と復路で加速度の異なる往復運動を使用するのでそれによる振動の影響もある。さらに、トナーが流動化するのに時間がかかったり、逆に振動によってタッピングと同様の作用が生じ、トナーの凝集(ブロッキング)が発生したりすることがある。また、容器の下方に排出口を向けているため容器及び搬送装置をどこに配置するかといったレイアウト上の問題がある。
【0011】
また、振動を使わないトナー補給方式として、水平配置した可撓性の長袋状容器の底部に外側から凸部材を押し当てて長手方向に移動させることにより、容器内部のトナーを容器端部に形成した排出口から押し出す方法が提案されている(特許文献4:特開平11−143195号公報)。この方法によれば、容器を水平方向に長く配置した状態でも振動を使わないトナーの排出が可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、前記のように水平配置の可撓性容器の底部を凸部材で押してトナーを排出する方式は、容器が空になるまでは排出口付近にある程度の量のトナーが常時集積していることが多い。排出口にトナーが残留していると容器を取り外す際に排出口のトナーが外部に飛散し周囲を汚染することがある。また、着脱容器の排出口には通常容器の着脱と連動して開閉するシャッタが配置されるが、このような容器では容器着脱の際にシャッタのガイド溝にトナーが噛み込むことがある。
【0013】
そこで、本発明は、斯かる事情に鑑み、現像剤容器としての粉体収容器の交換時に、粉体収容器の排出部に粉体(トナー)が付着しない粉体搬送装置、当該粉体搬送装置を備えた現像装置及び画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の発明は、粉体を収容すると共に少なくとも一部が変形可能な粉体収容器を着脱自在に接続可能であって、当該接続状態で前記粉体収容器の内部の粉体を当該粉体収容器の接続側に設けた排出部から外部へ排出するための本体側接続部と、前記本体側接続部に装着した粉体収容器の変形可能な部分を内側へ押し込んだ状態で前記排出部側へ前進して粉体を排出部へ送り出す送出部材と、前記排出部に振動を付与する振動付与手段とを備え、前記振動付与手段は、前記送出部材の送り出し動作の後の所定時間駆動を継続するようにしたことを特徴とする粉体搬送装置である。
【0015】
送出部材による送り出し動作の後は排出部内にトナーが不安定な状態で残ってしまうことが多い。このように不安定な残留トナーがある状態でトナー収容器を本体側接続部に対して着脱すると、排出部の排出口から残留トナーが飛散して周囲を汚染する虞がある。
請求項1に記載の構成によれば、送出部材の送り出し動作の後の振動付与手段の駆動によって、粉体収容器の排出部内に残留する粉体(トナー)を当該排出部から本体側接続部に払い出すことが可能となる。これにより、粉体収容器の着脱時に排出部の排出口から粉体(トナー)が飛散して周囲を汚染するのが防止される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、送出部材の送り出し動作の後の所定時間振動付与手段による駆動を継続することで、排出部内の残留粉体(トナー)を本体側接続部に払い出すことができる。これにより、本体側接続部に対する粉体収容器の着脱時に当該粉体収容器の排出部の排出口から粉体(トナー)が周囲に飛散して周囲を汚染するのが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置としてのプリンタを示す構成図である。
【図2】前記画像形成装置の作像部を示す拡大図である。
【図3】トナー補給装置の斜視図である。
【図4】トナーカートリッジの構成図である。
【図5】トナーカートリッジの分解図である。
【図6】(a)は、トナーカートリッジを引出トレイに装着する前の状態を示す平面図、(b)は、トナーカートリッジを引出トレイに装着した状態を示す平面図である。
【図7】固定部の拡大図である。
【図8】固定部の断面図である。
【図9】偏心錘の斜視図である。
【図10】固定部の斜視図である。
【図11】固定部の斜視図である。
【図12】固定部にトナーカートリッジを固定した状態の断面図である。
【図13】引出トレイの斜視図である。
【図14】引出トレイを本体側フレームに取り付けた状態の斜視図である。
【図15】本体側フレームの拡大図である。
【図16】本体側フレーム及び引出トレイの断面側面図である。
【図17】引出トレイ等の断面側面図である。
【図18】トナー搬送装置の構成図である。
【図19】引出トレイの断面側面図である。
【図20】送出部材と脚部材の側面図である。
【図21】送出部材が起立した状態から倒れた状態に切り換わるときの動作を説明するための図である。
【図22】送出部材が倒れた状態から起立した状態に切り換わるときの動作を説明するための図である。
【図23】トナーの送出動作を説明するための図である。
【図24】送出部材を戻す際の動作を説明するための図である。
【図25】送出部材と振動付与手段との動作タイミングチャートの一例を示す図である。
【図26】前記タイミングチャートの他の例を示す図である。
【図27】前記タイミングチャートのさらに別の例を示す図である。
【図28】トナー収容器の排出部内におけるトナー残留状態を示すもので、(a)はトナー収容器がほぼ空の状態、(b)はトナー収容器にトナーがかなり残っているが振動で排出部内のトナーが排出された状態、(c)はトナー収容器にトナーがかなり残っているが送り出し部材の戻り作動終了後に振動を付与せずに排出部内とスライドシャッタ付近にトナーが残留している状態を示す概略図である。
【図29】排出部内にトナーセンサを設けた実施形態を示す図であって、(a)は、トナー収容器内にトナーが多く残っている状態、(b)は、トナー収容器内にトナーが少なくなった状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0019】
(画像形成装置)
まず、図1及び図2にて、画像形成装置全体の構成及び動作について説明する。
図1は画像形成装置としてのプリンタを示す構成図であり、図2はその作像部を示す拡大図である。
【0020】
図1に示すように、中間転写ユニット10の中間転写ベルト11に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6Y,6M,6C,6Bkが並設されている。なお、装置本体100に設置される4つの作像部6Y,6M,6C,6Bkは、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外はほぼ同一構造であるので、図2において、作像部6と感光体ドラム1と1次転写バイアスローラ9とにおける符号のアルファベット(Y,M,C,Bk)を省略して図示する。
【0021】
図2を参照して、作像部6は、像担持体としての感光体ドラム1と、感光体ドラム1の周囲に配設された帯電部4、現像部としての現像装置5、クリーニング部2等で構成されている(図1では現像装置5のみ表示)。感光体ドラム1上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)が行われ、感光体ドラム1上に所望のトナー像が形成される。
【0022】
作像部6を構成する、感光体ドラム1、帯電部4、現像装置5、クリーニング部2は、それぞれ、画像形成装置本体100に対して着脱自在に設置できるように構成されている。そして、それぞれが、寿命に達したときに、新品のものに交換可能となっている。
【0023】
なお、本実施形態では、作像部6を構成する、感光体ドラム1、帯電部4、現像装置5、クリーニング部2を、それぞれ、単独のユニットとしたが、これらを一体化して、装置本体100に着脱自在に設置されるプロセスユニットとすることもできる。その場合、作像部6のメンテナンスを行う際の作業性が向上する。
【0024】
図2に基づき、作像部6における現像装置5の構成についてさらに詳しく説明する。
図2に示すように、現像装置5は、感光体ドラム1に対向する現像剤担持体としての現像ローラ51、現像ローラ51の下方に設置された現像剤規制部材としてのドクターブレード52、現像剤収容器53,54内に配設された現像剤攪拌搬送部材としての2つの搬送スクリュー55,56、現像剤Gを収容するケース50等で構成されている。ここで、現像剤Gとしては、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤を用いている。また、現像装置5には、現像剤G中のトナー濃度を検知する図示しないトナー濃度センサが設けてある。
【0025】
図2を参照して、感光体ドラム1は、不図示の駆動部によって図2中の時計方向に回転駆動される。そして、帯電部4の位置で、帯電ローラ4aにより感光体ドラム1の表面が一様に帯電される(帯電工程)。
その後、感光体ドラム1の表面は、不図示の露光部から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によって静電潜像が形成される(露光工程)。
【0026】
その後、感光体ドラム1の表面は、現像装置5の現像ローラ51との対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、所望のトナー像が形成される(現像工程)。
その後、感光体ドラム1の表面は、中間転写ベルト11及び第1転写バイアスローラ9との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト11上に転写される(1次転写工程)。このとき、感光体ドラム1上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
【0027】
その後、感光体1の表面は、クリーニング部2との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによって回収される(クリーニング工程)。
最後に、感光体ドラム1の表面は、不図示の除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム1上で行われる一連の作像プロセスが終了する。
【0028】
なお、上述した作像プロセスは、4つの作像部6Y,6M,6C,6Bkで、それぞれ行われる。すなわち、図1に示す読み取り部32で読み取った画像情報に基づいて、作像部の下方に配設された図示しない露光部から、レーザ光L(図2参照)が、各作像部6Y,6M,6C,6Bkの感光体ドラム1上に向けて照射される。詳しくは、露光部は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して感光体ドラム1上に照射する。その後、現像工程を経て各感光体ドラム1上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト11上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト11上にカラー画像が形成される。
【0029】
4つの1次転写バイアスローラ9Y,9M,9C,9BKは、それぞれ、中間転写ベルト11を感光体ドラム1Y,1M,1C,1Bkとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写バイアスローラ9Y,9M,9C,9Bkに、トナーの極性とは逆極性の転写バイアスが印加される。
そして、中間転写ベルト11は、図の矢印方向に走行して、各1次転写バイアスローラ9Y,9M,9C,9Bkの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Bk上の各色のトナー像が、中間転写ベルト11上に重ねて1次転写される。
【0030】
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト11は、2次転写ローラ19との対向位置に達する。この位置では、2次転写バックアップローラ12が、2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト11を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト11上に形成されたカラートナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された転写紙等の被転写材P上に転写される。このとき、中間転写ベルト11には、被転写材Pに転写されなかった未転写トナーが残存するが、中間転写ベルト11上の残存トナーは図示しないベルトクリーニング装置によって除去される。
こうして、中間転写ベルト11上で行われる一連の転写プロセスが終了する。
【0031】
ここで、2次転写ニップの位置に搬送された被転写材Pは、装置本体100の下方に配設された給紙部26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、給紙部26には、転写紙等の被転写材Pが複数枚重ねて収容されている。そして、給紙ローラ27が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上の被転写材Pがレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
【0032】
レジストローラ対28に搬送された被転写材Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト11上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、被転写材Pが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、被転写材P上に、所望のカラー画像が転写される。
【0033】
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写された被転写材Pは、定着部20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ローラ及び圧力ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像が被転写材P上に定着される。
その後、被転写材Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対29によって装置本体100外に排出された被転写Pは、出力画像として、スタック部30上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における一連の画像形成プロセスが完了する。
【0034】
また、図1において、中間転写ユニット10の上方には、トナー補給部31が配設されている。トナー補給部31は、各色のトナーが充填された4つのトナー補給装置60Y,60M,60C,60Bkを有する。各トナー補給装置60Y,60M,60C,60Bkからは、対応する現像装置5Y,5M,5C,5Bkにトナー搬送経路が延びており、このトナー搬送経路を介して、トナー補給装置60Y,60M,60C,60Bkから現像装置5Y,5M,5C,5Bkにトナーが供給されるようになっている。これにより、各現像装置5Y,5M,5C,5Bkでのトナー消費量に応じてトナーを新たに供給することができ、長期に亘って現像装置を利用することが可能である。
【0035】
前記4つのトナー補給装置60Y,60M,60C,60Bkは、異なる色のトナーを収容している以外は同様の構成となっている。そこで、以下、1つのトナー補給装置の構成について説明する。
【0036】
(トナー補給装置)
図3は、トナー補給装置の斜視図である。なお、図3において、トナー補給装置60における符号のアルファベット(Y,M,C,Bk)は省略している。
図3に示すように、トナー補給装置60は、トナーを充填したトナー収容器(粉体収容器)としてのトナーカートリッジ61と、トナーカートリッジ61を保持する保持部材としての引出トレイ62と、トナーカートリッジ61を固定する固定部63と、トナーカートリッジ61から排出されたトナーを貯留するサブホッパ64等によって構成されている。また、サブホッパ64には、内部に貯留されたトナーを現像装置に向けて搬送するための図示しないトナー搬送パイプが接続されている。
【0037】
引出トレイ62は、本体側フレーム65に対して水平方向に移動可能に取り付けられている。引出トレイ62を図の矢印X1方向に移動させた場合は、引出トレイ62を装置本体から引き出すことができ、反対に、引出トレイ62を図の矢印X2方向に移動させた場合は、引出トレイ62を装置本体に収容できるようになっている。
【0038】
(トナーカートリッジ)
図4は、トナーカートリッジ61の構成図である。同図において、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は底面図、(d)は断面図を示す。
図4に示すように、トナーカートリッジ61は、粉体としてのトナーを収容するトナー収容器(粉体収容器)66と、トナー収容器66内のトナーを外部へ排出するための排出部67によって構成されている。
【0039】
図4(d)に示すように、トナー収容器66は、一端部側で開口したトナー投入口(粉体投入口)66aを有する変形可能な長手状の袋部材で構成されている。このトナー収容器66の素材としては、柔軟な素材が用いられ、例えば、PET製の薄いシート材などが挙げられる。図4に示すトナー収容器66は、4枚のシート材を貼り合わせて構成したものであるが、1枚のシート材を袋状につなぎ合わせて構成することも可能である。また、トナー収容器66には、トナー投入口66aからトナーを充填しやすいように、トナー投入口66aを開口した状態に保持する開口保持部材68が設けられている。本実施形態では、(株)リコー社製のPxPトナー(平均粒径5.8μm)をトナー収容器66内に収容している。例えば、トナー収容器66のおよその内寸が60mm×60mm×400mmの場合、トナー収容器66にはトナーを約500g収容することができる。
【0040】
また、トナー収容器66の素材には、PA(ポリアミド樹脂、ナイロン)、PE(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン)、PC(ポリカーボネート樹脂)、PP(ポリプロピレン樹脂)、PS(ポリスチレン樹脂)、PAN(ポリアクリロニトリル樹脂)、PET(ポリエステル樹脂)、PVC(ポリ塩化ビニル樹脂)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン樹脂)等の様々な樹脂のシートを単独又は複合した材料を用いることができる。本実施形態では、PP、PET、PA、LDPE(低密度ポリエチレン)の4種類の樹脂シートを貼り合わせて構成している。シートの形成方法としては、PVD(Physical Vapor Deposition)法やCVD(Chemical Vapor Deposition )法等の薄膜形成方法を適用することが可能である。また、シートの接着を熱溶着で行う場合は、最内側のシート層にLDPEを用いることにより接着性が向上する。
【0041】
図4(d)に示すように、排出部67には、トナーを導入するための導入口67aと、トナーを排出するための排出口67bとが形成されている。本実施形態では、排出口67bは下方を臨むように配設されている。これにより、トナーを排出口67bから重力によって落下させてサブホッパ64へ送ることができ、トナーを排出する構成の簡素化を図ることが可能である。また、排出部67内には、導入口67aから排出口67bに向かって下方に傾斜した傾斜面67cが設けられており、トナーが排出口67bへスムーズに搬送されるようになっている。この傾斜面67cの水平面に対する傾斜角度は、10°以上に設定することが望ましい。また、排出口67bの底面(下面)には、排出口67bを開閉するための開閉部材としてのスライドシャッタ67dが図4(b)の矢印Y方向にスライド移動可能に設けられている。
【0042】
このように開閉部材としてのスライドシャッタ67dを排出口67bに設けた場合、送出部材81の送り出し動作の後に排出部67に振動を付与しないままトナー収容器66を取り外すと、排出部67内に残ったトナーがスライドシャッタ67dの一部に付着しやすくなる。そして、このようにスライドシャッタ67dにトナーが付着すると、当該トナーがトナー収容器66を取り外した後で周囲に飛散してユーザーの手や衣服などを汚す虞がある。本発明の実施形態は、後述するように、送出部材81の送り出し動作の後も排出部67に対する振動付与を継続することにより、トナー収容器66を取り外す際に開閉部材にトナーが付着してユーザーの手や衣服などを汚染するのを防止する。
【0043】
スライドシャッタ67dは、図7(a)(b)のように、振動付与手段である偏心錘93に近接して配置するのが望ましい。図7(a)(b)ではスライドシャッタ67dの直近前方に偏心錘93を配置している。これにより、スライドシャッタ67dに対して偏心錘93の振動を効果的に伝達することができ、トナーの付着をより効果的に抑制することができる。従って、トナー付着によるスライドシャッタ67dの作動不良をより確実に防止することができる。トナーの噛み込みによりスライドシャッタ67dが一時的に作動不良に陥ることがあっても、偏心錘93の振動によってトナーのパッキングが崩されるため、スライドシャッタ67dを軽い力で開放することができる。
【0044】
図5は、トナーカートリッジ61の分解図である。同図において、(a)は排出部67の斜視図、(b)は開口保持部材68の斜視図、(c)は開口保持部材68をトナー収容器66に設けた状態の斜視図を示す。
図5(b)に示すように、開口保持部材68は、短筒状の挿入部68aと、フランジ状の連結部68bとが一体成型されて構成されている。図5(c)に示すように、挿入部68aは、トナー収容器66のトナー投入口66aに挿入可能となっている。本実施形態では、トナー収容器66と開口保持部材68とを熱容着にて接着するようにしているが、接着剤等により接着してもよい。また、熱容着する際に、挿入部68aの挿入箇所を図5(c)の上下方向から抑えやすいように、挿入部68aの外形は略六角形状に形成されている。
【0045】
図5(a)に示すように、排出部67の導入口67a側には、開口保持部材68の連結部68aと係合可能な一対の溝部67eが設けられている。前記のように、開口保持部材68をトナー収容器66に挿入して接着した後、開口保持部材68を溝部67eに上方から挿入して係合させることにより、トナー収容器66と排出部67とを一体的に連結させることが可能となっている。また、排出部67の開口保持部材68との連結部には、当該連結部からトナーが漏れないようにシール材69が設けられている。
【0046】
図6(a)は、トナーカートリッジ61を引出トレイ62に装着する前の状態を示す平面図、同図の(b)は、トナーカートリッジ61を引出トレイ62に装着した状態を示す平面図である。
図6(b)に示すように、排出部67の両側面にはそれぞれ凹部67fが設けられている。一方、各凹部67fに対応する引出トレイ62の部位には、凸部62aが設けてあり、各凸部62aは対応する凹部67f内に挿入可能となっている。また、トナー収容器66の排出部67側とは反対側の端部には、相手側の係止部に係止される被係止部としての孔部66bが形成されている。一方、孔部66bに対応する引出トレイ62の部位には、係止部としてのフック状の引っ掛け部62bが設けられている。
【0047】
そして、この引っ掛け部62bを孔部66bに挿入して係止すると共に、前記凸部62aを前記凹部67f内に挿入することによって、トナーカートリッジ61は引出トレイ62に対して装着された状態となる。また、このようにトナーカートリッジ61を装着した状態では、通常、凸部62aと凹部67fは互いに非接触状態となっている。しかし、引出トレイ62を装置本体に対し引き出す又は収容する際に、トナーカートリッジ61が長手方向に移動した場合、凸部62aが凹部67fに当接することでトナーカートリッジ61の長手方向の移動を規制するようになっている。
【0048】
また、トナーカートリッジ61を引出トレイ62から取り外すには、凹部67fを凸部62aから離脱させ、引っ掛け部62bを孔部66bから離脱させればよい。本実施形態では、各凸部62a(又は各凹部67f)は、互いに同じ形状に形成されているが、異なる形状とすることで、トナーカートリッジ61の誤装着を防止することも可能である。
【0049】
図6(a)に示すように、前記引っ掛け部62bは、引出トレイ62に対して図の矢印Qの方向へ移動可能に取り付けられている。すなわち、引っ掛け部62bは、トナーカートリッジ61を引出トレイ62に装着した状態(図6(b)に示す状態)で、排出部67側とそれと逆方向へ移動可能に構成されている。また、図6(a)に示すように、引っ掛け部62bは、弾性部材としての捩りコイルバネ62kによって図の右側へ付勢されている。これにより、引っ掛け部62bをトナー収容器66の孔部66bに挿入して引っ掛けた状態にすると、引っ掛け部62bは捩りコイルバネ62kの付勢力によって排出部67とは逆方向へ引っ張られ、トナー収容器66が所定の位置に保持されるようになっている。なお、引っ掛け部62bを引っ張るための弾性部材として捩りコイルバネ以外の部材を適用することも可能であるが、ここでは、捩りコイルバネ62kを用いることで、引っ掛け部62bを引っ張る構成をコンパクトにしている。
【0050】
(固定部)
図7は、前記固定部63の拡大図である。同図において、(a)は固定部63にトナーカートリッジ61を固定する前の状態を示し、(b)は固定部63にトナーカートリッジ61を固定した状態を示す。
図7に示すように、固定部63は、サブホッパ64の上部に接続された本体側接続部70と、本体側接続部70の上部に取り付けられた固定アーム71と、固定アーム71と本体側接続部70とに渡って取り付けられたバネ部材72と、固定アーム71よりも下方で本体側接続部70に取り付けられたシャッタ開放部材73を有している。なお、固定アーム71、バネ部材72及びシャッタ開放部材73は、それぞれ、図の手前側と奥側に1つずつ設けられている。
【0051】
固定アーム71は、凹部71aを有する略C字状に形成されている。また、固定アーム71は、その中間部に配設された水平方向の支軸71bを中心に本体側接続部70に回動可能に取り付けられている。この支軸71bを中心に固定アーム71が回動することで、固定アーム71は、図7(a)に示す固定解除位置と、図7(b)に示す固定位置とに切り換えられるようになっている。
【0052】
バネ部材72は、引張コイルバネであり、その一端部は固定アーム71に取り付けられ、他端部は本体側接続部70に取り付けられている。図7(a)(b)に示すように、固定アーム71が固定位置と固定解除位置との間で回動すると、バネ部材72の固定アーム71に取り付けられた端部が固定アーム71の回動支点(支軸71b)を越えて移動するようになっている。このように、固定アーム71の回動に伴ってバネ部材72が回動支点を越えることで、バネ部材72は固定アーム71をその回動させる方向へ付勢するようになっている。
【0053】
一方、排出部67には、前記固定アーム71によって固定される被固定部としての突起部67gが設けられている。この突起部67gは、排出部67の両側面にそれぞれ1つずつ設けられている(図4(a)又は(c)参照)。
【0054】
シャッタ開放部材73は、水平方向の支軸73bを中心に本体側接続部70に回動可能に取り付けられている。また、シャッタ開放部材73は、排出部67に設けられたスライドシャッタ67dの凸部670dを保持するための凹部73aを有する。
また、固定部63の本体側接続部70には、切欠き部70aが形成されている。一方、排出部67の両側面には、それぞれ、前記切欠き部70aの上部に当接可能なL字状の突片部67hが突設されている。
【0055】
トナーカートリッジ61を固定部63に固定するには、まず、前記図6において説明したようにトナーカートリッジ61を引出トレイ62に装着する。そして、引出トレイ62を装置本体に収容する方向(図3の矢印X2方向)へ移動させる。この収容動作に伴って、図7(a)に示すように、トナーカートリッジ61の排出部67が固定部63に接近すると、排出部67に設けてある突起部67gが固定アーム71の一端部(図の下方の端部)71cに当接し、バネ部材72の付勢力に抗して固定アーム71を図の反時計方向に回動させる。これにより、固定アーム71は、図7(a)に示す固定解除位置から図7(b)に示す固定位置へと切り換えられる。
【0056】
その結果、図7(b)に示すように、突起部67gは、固定アーム71の凹部71a内に収容されると共に、固定アーム71の他端部(図の左側の端部)71dと本体側接続部70の縁とによって挟まれて固定される。また、固定アーム71の回動に伴ってバネ部材72が固定アーム71の回動支点を越えると、バネ部材72は固定アーム71を切換後の位置に保持する方向に付勢するようになる。
また、トナーカートリッジ61の排出部67が固定部63に接近することにより、排出部67に設けてある突片部67hが本体側接続部70の切欠き部70aに挿入され、突片部67hが切欠き部70aの上部に当接する(図7(b)参照)。これにより、排出部67の上下方向のがたつきが防止される。
【0057】
さらに、排出部67に設けてあるスライドシャッタ67dがシャッタ開放部材73に当接し、シャッタ開放部材73を図の時計方向へ回動させる。そして、図7(b)に示すように、スライドシャッタ67dの凸部670dがシャッタ開放部材73の凹部73aに挿入され保持される。また、このとき、シャッタ開放部材73が回動して本体側接続部70に当接することにより、シャッタ開放部材73のそれ以上の回動が規制されるため、スライドシャッタ67dはシャッタ開放部材73によって排出部67の後方へと押されて移動する。これにより、スライドシャッタ67d(排出口)が完全に開放され、排出部67からサブホッパ64へトナーを排出することが可能となる。
以上のようにして、トナーカートリッジ61の固定部63への固定が完了する。
【0058】
また、トナーカートリッジ61の固定を解除する場合は、引出トレイ62を装置本体に対して引き出す方向(図3の矢印X1方向)へ移動させる。この引出動作により、トナーカートリッジ61は図7(b)において左方向へ移動し、排出部67に設けてある突起部67gが固定アーム71の他端部71dを押して、バネ部材72の付勢力に抗して固定アーム71を図の時計方向に回動させる。これにより、固定アーム71は図7(b)に示す固定位置から図7(a)に示す固定解除位置へ移動し、突起部67gが固定アーム71から離脱する。また、これと同時に、排出部67に設けてある突片部67hとスライドシャッタ67dとが、それぞれ切欠き部70aとシャッタ開放部材73とから離脱し、トナーカートリッジ61の固定が解除される。また、シャッタ開放部材73から離脱したスライドシャッタ67dは、スライドシャッタ67dに取り付けた図示しないバネ等の付勢力により、閉塞方向にスライド移動して排出口67bを閉塞する。これにより、排出部67内の排出口67b付近にトナーが残っていた場合でも、当該トナーが排出口67bから外部に漏れ出るのを防止し、かつ排出口67bに異物が侵入するのを防止する。
【0059】
前記のように、本実施形態では、引出トレイ62の引出・収容操作(固定部63への着脱動作)に連動して、固定アーム71の回動操作と、スライドシャッタ67dの開閉動作を行うことができるので、トナーカートリッジ61の固定及びその解除と、排出口67bの開閉を容易に行うことができ、操作性に優れる。また、固定アーム71の回動に伴ってバネ部材72が固定アーム71の回動支点を越えることにより、当該バネ部材72は固定アーム71をその回動方向へ付勢するようになるので、固定アーム71を切換後の位置に確実に保持することが可能である。さらに、突片部67hが切欠き部70aに当接することにより、排出部67の上下方向のがたつきを防止できるので、トナーカートリッジの固定状態を安定させることができる。なお、本実施形態では、トナー収容器66と排出部67とを一体として、引出トレイ62に対して着脱されるように構成しているが、排出部67が引出トレイ62(又は固定部63)に据え置きになっていて、トナー収容器66を着脱するように構成してもよい。
【0060】
図8は、固定部63の断面図である。
図8に示すように、固定部63には、振動付与手段として、回転軸に付設された偏心錘93が設けられている。また、図9に示すように、偏心錘93には、その中心からずれた位置に挿通孔93aが形成されており、偏心錘93は、その挿通孔93aに挿通された回転軸を介して固定部63に回転可能に取り付けられている。そして、固定部63に設けられた駆動手段94から偏心錘93に駆動力が付与され回転することによって、振動を発生させる仕組みとなっている。また、偏心錘93の偏心量(回転中心からのずれ量)は、1mm以下となるように設定されており、発生する振動は非常に微小なものとなっている。また、偏心錘93に挿通された前記回転軸の両端には、一対の矩形の支持部材95(図10参照)が取り付けられており、各支持部材95は偏心錘93と共に回転するようになっている。
【0061】
また、図10及び図11に示すように、固定部63の本体側接続部70は、装置本体に固定された基台部96に対し、揺動支持部97を介して水平方向(図の矢印V方向)に揺動可能に取り付けられている。具体的には、揺動支持部97は、基台部96の両側面に形成された水平方向の長孔97aと、その長孔97aに挿通されるボルト97bによって構成されており、長孔97aに挿通されたボルト97bによって本体側接続部70の一端部側が基台部96に取り付けられている。このように、本体側接続部70を揺動可能に構成することによって、本体側接続部70を効果的に振動させるようにしている。さらに、本実施形態では、本体側接続部70をより効果的に振動させるために、前記偏心錘93を、揺動支持部97を設けた端部と離れた端部側に設けている。
【0062】
図12は、固定部63にトナーカートリッジ61を固定した状態の断面図である。
図12に示すように、固定部63の本体側接続部70には、排出部67の排出口67bと、サブホッパ64のトナー搬送路(粉体搬送路)の入口部64aとを連通させる、連通路70bが形成されている。また、この連通路70bと排出口67bとの接続部には、トナー漏れ防止用の第1のシール部材91が配設され、連通路70bとサブホッパ64の入口部64aとの接続部には、トナー漏れ防止用の第2のシール部材92が配設されている。第2のシール部材92は、第1のシール部材91よりも厚く形成された弾性体で構成されている。この弾性体の素材としては、例えば、低反発性のウレタンフォーム等が挙げられる。また、第2のシール部材92を、固定部63とサブホッパ64との間に介在させていることで、固定部63とサブホッパ64は互いに離間して(非接触状態で)接続されている。このように、固定部63とサブホッパ64とを、弾性体(第2のシール部材92)を介して互いに離間して(非接触状態で)接続することにより、固定部63で発生させた振動がサブホッパ64に伝達されないようにしている。
【0063】
また、図12に示すように、排出部67が固定部63に固定された状態では、引出トレイ62と排出部67は互いに非接触状態となっている。これにより、固定部63から排出部67に付与された振動は、排出部67から引出トレイ62には伝達されないようになっている。
【0064】
(引出トレイ)
図13は、引出トレイ62の斜視図である。
図13に示すように、引出トレイ62は、前記トナーカートリッジ61の両側面を支持する一対の側壁62cと、トナーカートリッジ61を載置する載置面62dとを有する。各側壁62cの図の手前側の端部には、前記本体側フレーム65に取り付ける際に主基準となる主基準軸62eが配設されている。なお、本実施形態では、この主基準軸62eは、後述のトナー搬送装置に駆動力を伝達する伝達ギヤ74の支軸として用いられている。また、各側壁62cの図の奥側の端部には、それぞれ本体側フレーム65に取り付ける際に従基準となる従基準軸62fが1つずつ配設されている。
【0065】
図14は、引出トレイ62を本体側フレーム65に取り付けた状態の斜視図である。
図14に示すように、本体側フレーム65は、引出トレイ62の引出方向X1及び収容方向X2に伸びる一対のガイドレール65aを有する。また、各ガイドレール65aの上端縁は、引出トレイ62の両側壁62cに形成された溝62g内に挿入されている。これにより、引出トレイ62はガイドレール65aに沿って引出方向X1と収容方向X2とに移動可能に構成されている。
【0066】
また、本体側フレーム65の図の手前側の端部には、引出トレイ62の前記主基準軸62eと嵌合可能な第1の位置決め凹部65bが形成され(図15参照)、本体側フレーム65の図の奥側の端部には、前記従基準軸62fと嵌合可能な第2の位置決め凹部65cが形成されている。これにより、引出トレイ62を収容方向X2に移動させた際、主基準軸62e及び従基準軸62fが、第1及び第2の位置決め凹部65b,65cに挿入されて互いに嵌合することにより、引出トレイ62は本体側フレーム65に対して所定の位置に位置決めされるようになっている。
【0067】
また、図14に示すように、本体側フレーム65の図の手前側の端部には、駆動装置によって駆動される駆動ギヤ75が設けられている。この駆動ギヤ75は、引出トレイ62を装置本体内に収容し本体側フレーム65に位置決めした状態で、伝達ギヤ74と連結されるようになっている。
【0068】
また、図16に示すように、本体側フレーム65には、引出トレイ62を加圧して固定する加圧部材76が設けられている。本実施形態では、加圧部材76を2つのレバーを組み合わせたもので構成している。引出トレイ62を収容方向X2に移動させた際、これら2つのレバーで引出トレイ62の下面に設けた凸部62hを挟み込むように加圧することによって、引出トレイ62を第1及び第2の位置決め凹部65b,65c側へ押し付けて固定するようになっている。
【0069】
(粉体搬送装置)
また、図17に示すように、引出トレイ62には、トナー収容器66内のトナーを排出部67側へ搬送するためのトナー搬送装置(粉体搬送装置)8が設けてある。以下、図17〜図20に基づき、トナー搬送装置8の構成を詳しく説明する。
【0070】
図18に示すように、前記トナー搬送装置8は、ベース部材80と、ベース部材80に取り付けられた送出部材81及び一対の脚部材82と、ベース部材80を移動させる移動手段としてのベルト部材83と、ベース部材80をガイドするガイド部材としての一対のガイドレール84等によって構成されている。なお、図18において、手前側のガイドレール84は図示省略している。
【0071】
ベース部材80は、上部80aと下部80bとに分割されており、これら上部80aと下部80bによってベルト部材83を挟み込むことによって、ベルト部材83にベース部材80が取り付けられている。ベルト部材83は、無端状のベルトで構成されており、引出トレイ62に設けられた2つのローラ77,78(図17参照)によって張架されている。一方のローラ77に前記伝達ギヤ74(図13参照)から駆動力が伝達されることにより、ベルト部材83は正逆両方向に回転可能に構成されている。このように、ベルト部材83が正方向又は逆方向に回転することによって、ベース部材80と、これに取り付けられた送出部材81及び脚部材82は、一体的に、排出部67側へ向かう送出方向Z1と、それとは逆方向の戻り方向Z2とに、往復移動可能となっている。
【0072】
また、ベース部材80の両側面には、ガイドレール84上を転動する回転体としてのコロ85が2つずつ設けてある。このように、ベース部材80にコロ85を設けることで、ベース部材80がガイドレール84に沿って円滑に移動できるようになっている。なお、一対のガイドレール84は、引出トレイ62に固定されている。
【0073】
また、図18に示すように、送出部材81と脚部材82は、水平方向の支軸86を介して互いに開閉可能に取り付けられている。詳しくは、送出部材81と脚部材82は、それぞれ、前記支軸86を中心に互いに独立して回動可能に構成されており、送出部材81又は脚部材82が当該支軸86を中心に回動することで、送出部材81と脚部材82は互いに開閉可能となっている。また、送出部材81と脚部材82は、図示しない付勢部材としての捩りコイルバネによって互いに開く方向に付勢されている。また、送出部材81には、脚部材82を閉じた際に当該脚部材82を収容するための収容凹部81aが形成されている。
【0074】
前記ベルト部材83の回転方向の切換は、図19に示す2つのスイッチ87,88によって行う。移動方向切換手段としての各スイッチ87,88は、それぞれ、送出部材81の移動方向切換位置に配設されている。具体的には、一方のスイッチ87は、引出トレイ62の送出方向Z1の端部(図の左側の端部)に配設され、他方のスイッチ88は、引出トレイ62の戻り方向Z2の端部(図の右側の端部)に配設されている。また、送出部材81が移動方向切り換え位置の一方に到達した際、その位置に配設されたスイッチ87又は88に対して、ベース部材80が接触するようになっている。すなわち、ベース部材80は、各スイッチ87,88に接触してオンにする入力手段として機能する。このように、ベース部材80がスイッチ87又は88に接触することにより、送出部材81の移動方向が送出方向Z1又は戻り方向Z2に切り換えられるので、トナーの送出動作を連続的に行うことが可能である。また、接触式のスイッチの代わりに非接触式のセンサを配設し、ベース部材80等に設けた被検知部(入力手段)がその非接触式のセンサに近接することで当該センサをオンにするようにしてもよい。
【0075】
図20は、送出部材81と脚部材82の側面図である。
図20に示すように、脚部材82は、前記引出トレイ62の載置面62dに当接しており、この載置面62dに沿って送出方向Z1と戻り方向Z2に往復移動可能となっている。すなわち、載置面62dは、脚部材82をガイドするガイド面としての機能も有する。前記のように、送出部材81と脚部材82は捩りコイルバネによって互いに開くように付勢されているが、脚部材82は、載置面62dに当接することによって水平方向に配設された状態で支持されている。一方、送出部材81は、水平方向に支持されている脚部材82に対して送出方向Z1(排出部67側)へ回動して開くように付勢されているが、図示しないストッパー等の規制部が前記捩りコイルバネの付勢力に抗して送出部材81の開く方向への回動を規制している。これにより、送出部材81は載置面62dに対して起立した状態(図の実線で示す状態)となるように支持されている。このように、載置面62dと規制部とによって、送出部材81が載置面62dに対して所定の起立した状態となるように、送出部材81と脚部材82とが成す開き角度は所定の角度αに保持されている。
【0076】
また、図20において、開き角度βは、送出部材81を前記規制部によって規制しないようにした場合の角度である。すなわち、この角度βは、前記捩りコイルバネが自然状態である場合の開き角度を示す。図20に示すように、自然状態の捩りコイルバネによって保持される開き角度βは、送出部材81が所定の起立した状態となる開き角度αより大きく、かつ、180°よりも小さい範囲内で設定されている。
【0077】
また、前記図6(a)に示すように、脚部材82が載置面62d上で往復移動する方向(送出方向Z1及び戻り方向Z2)の両端部側に、それぞれ、脚部材82が侵入可能な凹部62i,62jが設けられている。本実施形態では、これら凹部62i,62jを設けることで、送出部材81を載置面62dに対して起立した状態と倒れた状態とに切換可能に構成している。
以下、図21と図22に基づき、送出部材81を起立した状態と倒れた状態とに切り換える切り換え動作について説明する。
【0078】
図21(a)は、送出部材81が、送出方向Z1の端部側の凹部62iに到達する前の状態を示す。この状態では、送出部材81と脚部材82とが成す開き角度は、図示しない規制部と載置面62dによって所定の角度αに保持されており、送出部材81は載置面62dに対して所定の起立した状態となっている。
【0079】
そして、図21(b)に示すように、送出部材81が送出方向Z1に移動し、脚部材82が凹部62iの位置に到達すると、この位置では脚部材82を支持する載置面62dが存在しないため、脚部材82は図示しない捩りコイルバネの付勢力を受けて下方に開き、脚部材82が凹部62i内に侵入する。このときの送出部材81と脚部材82との間の開き角度は、前記捩りコイルバネの自然状態で保持される角度βとなる。
【0080】
また、送出部材81が凹部62iの位置に到達したとき、図19に示すスイッチ87にベース部材80が接触し、送出部材81の移動方向が切り換えられる。
【0081】
図21(c)に示すように、移動方向が切り換えられ、送出部材81が戻り方向Z2へ移動すると、脚部材82が凹部62iの縁(開口部付近)に当接し、脚部材82の先端が上方へ持ち上げられる。このように脚部材82が持ち上げられ、さらに開く方向に脚部材82が回動すると、開き角度が前記角度βより大きくため、前記捩りコイルバネによる付勢力は閉じる方向へ作用する。その結果、送出部材81は閉じる方向に付勢力を受け載置面62d上に倒される。
【0082】
そして、図21(d)に示すように、脚部材82が凹部62iから脱すると、送出部材81及び脚部材82は、載置面62d上に水平状に倒れた状態で保持される。詳しくは、この状態で、送出部材81と脚部材82とが成す開き角度は、180°に近い角度に開いているため、送出部材81と脚部材82は捩りコイルバネによって互いに閉じる方向に付勢力を受けているが、載置面62dによって送出部材81と脚部材82の回動が規制されているので、送出部材81と脚部材82は水平状に倒れた状態で保持される。なお、送出部材81と脚部材82は、互いに180°以上開かないように構成されている。
【0083】
図22(a)は、前記のようにして倒された送出部材81が、戻り方向Z2の端部側の凹部62jに到達する前の状態を示す。この状態では、前記図21(d)に示す状態と同様に、送出部材81と脚部材82とが成す開き角度は、180°に近い角度に開いており、送出部材81と脚部材82は載置面62d上で水平状に倒れた状態で保持されている。
【0084】
そして、図22(b)に示すように、脚部材82が凹部62jの位置に到達すると、この位置では脚部材82を支持する載置面62dが存在しないため、脚部材82は前記捩りコイルバネの付勢力を受けて下方に閉じ、脚部材82が凹部62j内に侵入する。また、このときの送出部材81と脚部材82との間の開き角度は、捩りコイルバネの自然状態で保持される角度βとなる。なお、送出部材81は、凹部62j内に侵入できないように構成されているため、送出部材81は凹部62j上を通過する。
【0085】
また、送出部材81が凹部62jの位置に到達したとき、図19に示すスイッチ88にベース部材80が接触し、送出部材81の移動方向が切り換えられる。
【0086】
図22(c)に示すように、移動方向が切り換えられ、送出部材81が送出方向Z1へ移動すると、脚部材82が凹部62jの縁(開口部付近)に当接し、脚部材82の先端が上方へ持ち上げられる。このように脚部材82が持ち上げられ、さらに閉じる方向に脚部材82が回動すると、開き角度が前記角度βより小さくため、前記捩りコイルバネによる付勢力は開く方向へ作用する。その結果、送出部材81は開く方向に付勢力を受け起立させられる。
【0087】
そして、図22(d)に示すように、脚部材82が凹部62jから脱すると、送出部材81は、所定の開き角度αで起立した状態に保持される。
【0088】
(トナー送出動作)
以下、図23に基づいて、本発明に係るトナー搬送装置8のトナーの送出動作(搬送動作)について説明する。
なお、図23の(a)(b)(c)では、それぞれトナーカートリッジ61が引出トレイ62に装着され、さらに、その引出トレイ62が装置本体内に収容された状態となっている。従って、この状態で装置本体側の駆動装置からベルト部材83に駆動力が伝達可能となっており、送出部材81を往復移動させ得る状態となっている。
【0089】
図23(a)は、トナー収容器66内のトナーTの残量がある程度減った状態を示す。
この場合、送出部材81は捩りコイルバネの付勢力を受けて起立した状態となっており、これによりトナー収容器66の下面は、起立した送出部材81によって内側へ押し込まれた状態となっている。そして、送出部材81がトナー収容器66を内側へ押し込んだ状態で送出方向Z1に移動することにより、内部のトナーTは送出部材81によって押されて排出部67側へ移動させられる。そして、排出部67側へ移動させられたトナーTは、慣性力と重力によって排出部67から下方へ排出され、サブホッパ64へと送られる。また、前記の如く、排出部67には傾斜面67cを設けているので(図4(d)参照)、トナーTはこの傾斜面67c上を滑ることでスムーズに排出される。さらに、前記振動付与手段によって排出部67に微小な振動を付与することで、排出部67からのトナーTの排出が促進されると共に、排出部67の傾斜面67cなどにトナーTが堆積したり付着したりするのが防止される。
【0090】
また、図23(b)は、トナー収容器66内にトナーTが大量に充填されている状態を示す。
このように、トナー収容器66内にトナーTが大量に存在する箇所では、トナーTが詰まっていることでトナー収容器66が硬くなっていると共に、トナーTの重量で重くなっている。このため、図23(b)に示すように、送出部材81は倒れた状態となり、トナー収容器66に対する送出部材81の押し込み量が少なくなる。そして、送出部材81は、トナーTが大量に存在する箇所では倒れた状態のまま送出方向Z1に移動する。その後、送出部材81が排出部67付近のトナーTの比較的少ない位置に達すると、図23(c)に示すように、送出部材81は起立した状態となることで、送出部材81の押し込み量が多くなる。このように、排出部67付近で送出部材81が起立して押し込み量が多くなることにより、排出部67付近の動かし易いトナーTから順次排出することができる。
【0091】
前記のように、本実施形態では、トナー収容器66内のトナー量に応じて、送出部材81の押し込み量が変化するようになっているので、トナー収容器66内のトナー残量にかかわらずトナーを排出部67へ安定して確実に送り出すことができる。
【0092】
また、トナー収容器66の材質(柔軟性等)や最大トナー収容量などに応じて、送出部材81を付勢する捩りコイルバネの付勢力を適宜変更することにより、送出部材81の押し込み力を適切な値に調整することが可能である。その場合、捩りコイルバネの付勢力を大きくしても、本発明の実施形態では、図示しない規制部によって送出部材81の回動が規制されるので、送出部材81を所定の起立した状態に保持することができる。
【0093】
また、図24に示すように、送出部材81を元の位置へ戻す際は、送出部材81が倒れた状態に切り換えられる。これにより、戻り方向Z2へ移動する送出部材81によってトナーが戻されるのを防止できる。しかも、本実施形態の場合、前記図21及び図22で説明したように、送出部材81の起立した状態と倒れた状態との切換動作を、脚部材82が凹部62i又は62jに侵入するだけの簡単な機構によって実現できるので、構成の簡素化を図ることができる。なお、凹部62i,62jの代わりに、貫通した孔部とすることも可能である。
【0094】
また、図23に示すように、トナーの送出動作時、移動する送出部材81によってトナー収容器66が排出部67側に押されることにより、トナー収容器66の端部を係止する引っ掛け部62bも排出部67側(図の矢印A方向)に引っ張られて移動する。このように、本実施形態では、トナー収容器66が押されるのに伴って引っ掛け部62bが移動するので、送出部材81がトナー収容器66を押す際に生じるトナー収容器66への急激な負荷の増加を軽減することができ、トナー収容器66の損耗を抑制することが可能である。
【0095】
その後、図24に示すように、送出部材81を戻すときは、引っ掛け部62bが前記捩りコイルバネ62k(図6(a)参照)によって排出部67側とは逆方向(図の矢印B方向)へ引き戻され、トナー収容器66が所定の位置に保持される。
【0096】
本実施形態では、排出部67の下方にサブホッパ64を設け、排出部67から排出されたトナーを、一旦サブホッパ64内で滞留させた後、サブホッパ64から現像装置に搬送するようにしている。このように構成しているのは、排出部67からのトナーの排出は間歇的であるため、サブホッパ64を介さずに排出部67から現像装置へ直接トナーを送ると、精度の良いトナー補給がしにくくなるからである。このため、本実施形態では、サブホッパ64を設け、現像装置へのトナー補給を精度良く行えるようにしている。また、サブホッパ64から現像装置へトナーを送る手段としては、重力による自然落下や、公知のスクリュー、コイル、あるいはポンプ等の搬送手段を採用することができる。また、サブホッパ64を設けることにより、搬送手段としてのスクリューやコイル等の隙間からトナーが自然に流れ出すのを防止することも可能となる。
【0097】
また、本実施形態では、トナー収容器66の全体を変形可能な部材で構成しているため、使用済みのトナー収容器66をコンパクトに折り畳むことができる。これにより、回収や運搬、再利用にあたっての環境負荷を軽減することが可能である。また、トナー収容器66の送出部材81によって押し込まれる部分など、一部のみを変形可能な部材で構成してもよい。
【0098】
(振動付与手段の動作)
また、本実施形態では、振動付与手段としての駆動手段94と偏心錘93によって、排出部67を、30Hzの振動数、0.3mmの振幅で振動させる。振動数及び振幅は、使用するトナーの種類によって異なるが、良好な振動数及び振幅の範囲は、振動数が10〜100Hz、振幅が0.1〜1mmである。振動数が10Hzより小さい場合、又は振幅が0.1mmより小さい場合は、トナーの排出を促進させる効果と排出部67へのトナー付着を防止する効果が小さくなってしまう。一方、振動数が100Hzより大きい場合、又は振幅が1mmより大きい場合は、振動が大きくなりすぎて画像形成装置本体も振動し、画像形成に影響を与える虞がある。従って、本実施形態では、振動数及び振幅を前記範囲内に設定することにより、画像形成への影響を抑制しつつ、トナーの排出促進とトナー付着防止の効果を良好に発揮できるようにしている。
【0099】
図25は、送出部材と振動付与手段との動作タイミングチャートの一例を示す図である。
図25において、(a)は前記送出部材81による送出動作のON/OFFのタイミングチャートを示し、(b)は送出部材81による戻り動作のON/OFFのタイミングチャートを示す。すなわち、図25の(a)でONとなっている間は、送出部材81が前記排出部67側へ移動している状態であり、(b)でONとなっている間は、送出部材81が排出部67側とは反対側に移動している状態である。また、図25の(c)は、前記振動付与手段(駆動手段94)の駆動のON/OFFのタイミングチャートを示している。
【0100】
この場合、送出部材81の送出動作と戻り動作のいずれの場合においても、駆動手段94の駆動をONにして排出部67に振動を付与するようにし、さらに送出部材81の戻り動作の終了後も、少なくとも所定時間tは排出部67の振動を継続するようにしている。このように、送出部材81の移動に同期させて駆動手段94を駆動させることにより、送出部材81が排出部67側へ移動する際(送出動作時)に、排出部67内にトナーが存在していたとしても、駆動手段94で駆動される偏心錘93の振動によってトナーがほぐされ、トナー粒子同士の間に空間ができるので、送出部材81の送出動作によってトナーが圧縮されるほどの力が加わることはない。これにより、トナーのブロッキングを防止することができ、トナーを排出部67の排出口67bから円滑に排出することが可能となる。また、送出部材81によって押されたトナーが振動でほぐされることにより、搬送されるトナーの嵩が安定化するので、トナー搬送の安定性が増す。
【0101】
また、前述のように送出部材81の戻り動作の終了後も少なくとも所定時間tは排出部67の振動を継続することにより、送出部材81の戻り動作終了時に排出部67内の傾斜面67cに残留していたトナーや、スライドシャッタ67dのガイド溝に付着していたトナーを排出口67bに払い落とすことができる。これにより、トナーカートリッジ61ないしトナー収容器66をトナーがかなり残った状態で取り出す時でも、排出部67の開口部67bやスライドシャッタ67dがトナーで汚れるのを防止することができる。所定時間tは、短すぎるとトナーの払い落とし作用が不足する一方、長すぎると払い落とすトナーがない状態で不要な駆動エネルギーを消費することになる。そこで、所定時間tは例えば少なくとも0.5秒以上、望ましくは1秒以上であって、かつ、長くても10秒以下、望ましくは5秒以下とするのがよい。なお、この時間tは振動エネルギの大きさを増大すること、すなわち偏心錘93の重量、振動数又は振幅の少なくとも1つを増大することにより、トナーの払い落とし作用を同程度に維持したまま短縮することが可能である。
【0102】
ところで、トナーが凝集しやすいかどうかは、トナー収容器66内のトナー量や、トナーの流動性によって異なる。具体的には、トナー収容器66内にトナーが多く残っている場合や、周辺環境が高温湿度でトナーの流動性が低下している場合は、送出部材81の押圧によってトナーが凝集しやすい状態にある。このため、特にトナーが凝集しやすい状態にある場合は、前記のように送出動作中と戻り動作中の両方において振動を発生させることで、円滑なトナー搬送性を確保することが好ましい。
【0103】
しかし、トナー収容器66内のトナー量が少なくなった場合は、戻り動作時に排出部67に振動が付与されると、送り動作時に形成されたトナーの山が崩れて平面的に広がり排出部67からトナー収容器66へトナーが戻され、トナー搬送量が低下してしまうことがある。そこで、トナー量が少ない場合は、図26に示すタイミングチャートのように、戻り動作時の少なくとも一部において振動付与手段の駆動をOFFにすることが好ましい。このように、トナー量が少ない場合は、送出動作時のみ振動を付与し、戻り動作時には振動を付与しないように制御することで、排出部67でのトナーの山が崩れることによるトナー搬送性の低下を防止することが可能となる。
但し、少なくとも送出部材81の戻り動作の終了後も少なくとも所定時間tは排出部67の振動は継続することにする。これにより、送出部材81の戻り動作の終了時に排出口の傾斜面67cに残留していたトナーや、スライドシャッタ67dのガイド溝に付着していたトナーを排出口67bに払い落とすことができる。
【0104】
また、トナーの流動性が高い場合は、振動によるトナー搬送の補助はそれほど必要ではない。従って、トナーの流動性が高い場合は、図27に示すように、送出部材81が排出部67付近を移動しているときに振動付与手段を駆動させるだけで、トナーを排出部67から円滑に排出することが可能である。このように、必要なタイミングで振動付与手段を駆動させることにより、不要な駆動エネルギーの消費を軽減することができる。
但し、少なくとも送出部材81の戻り動作の終了後も所定時間tは排出部67の振動は継続することにする。これにより、送出部材81の戻り動作の終了時に排出口67bの傾斜面67cに残留していたトナーや、スライドシャッタ67dのガイド溝に付着していたトナーを排出口67bに払い落とすことができる。なお、トナーの流動性が高い場合は振動によるトナーの払い落とし作用がよくなるので、送出部材81の戻り動作の終了後の排出部67の振動時間tを、トナーの流動性が低い場合に比べて所定割合で短縮するようにしてもよい。
【0105】
以上のように振動付与手段を駆動制御することによる排出部67内のトナー残留状態を図28(a)〜(c)の略図により説明する。図28(a)はトナー収容器66がほぼ空の状態である。この状態であれば排出部67内にトナーが残っていないので、送出部材81の送り出し動作終了後にトナー収容器66の排出部67を振動させることなくトナー収容器66を本体側接続部70から取り外しても、排出口67b付近からトナーが飛散する心配はない。すなわち、トナー収容器66を本体側接続部70から取り外すと、スライドシャッタ67dが不図示のバネによって自動的に閉塞するが、この際、スライドシャッタ67dのガイド溝やその周囲にトナーが付着していないので、スライドシャッタ67dが円滑に閉塞し、スライドシャッタ67dの先端部にもトナーが付着することがない。従って、スライドシャッタ67dや排出口67b付近からトナーが飛散する虞がない。
【0106】
図28(b)はトナー収容器66にはトナーTがかなり残っているが、図25〜図27に示す振動付与手段の動作により、排出部67内ではトナーTが払い出されてほとんどない状態を示す。この状態では、送出部材81が戻り動作を終了してトナー収容器66の排出部67から遠く離れているので、排出部67の導入口67aに続くトナー収容器66の底面の傾斜が水平状態に近くなり、これにより排出部67に対するトナーTの自然流入が抑制される。この結果、排出部67の傾斜面67cなどに堆積ないし付着した残留トナーを振動によって払い落とす作用がより効果的になる。排出部67の振動によって払い出されたトナーTは本体側接続部70のサブホッパ64にすべて収容される。排出部67から排出されたトナーTを一時的に収容する収容部(サブホッパ64)を設けることで、排出部67から排出されたトナーTを一旦サブホッパ64に溜めることができる。このため、排出部67に対する振動付与により当該排出部67から排出されたトナーTが直接現像装置5に流入するのを防止でき、このようなトナーTの直接流入による現像装置5での現像剤の帯電異常の発生を防止することができる。
【0107】
このように排出部67の傾斜面67cなどに残ったトナーTを振動によって払い出すことによって、トナーカートリッジ61ないしトナー収容器66をトナーTがかなり残った状態で取り出す時でも、排出部67の開口部67bやスライドシャッタ67dが汚れるのを防止することができる。また、取り外したトナー収容器66を長期保存するような場合、スライドシャッタ67dの周囲にトナーTが残っていると当該トナーが経年変化でロッキング(固化)することあるが、このようなロッキングが発生すると長期保存後にトナー収容器66を本体側接続部70に装着する場合にスライドシャッタ67dが作動不良でうまく開かないことがある。しかし、本発明の実施形態ではこのような長期保存の場合でも、トナー収容器66を取り外した後のスライドシャッタ67dの周囲にトナーTが残らないので、ロッキングによるスライドシャッタ67dの作動不良の虞がない。
【0108】
トナー収容器66内のトナーTは、送出部材81の送り出し動作(前進動作)によって順次排出部67側に向けて移動する。このように移動したトナーは排出部67の導入口67aから内部の傾斜面67cに流れ込むが、トナー収容器66内のトナーTの残量が少なくなってくると、送出部材81の一回の送り出し動作当たりのトナー搬送量も少なくなる。そうすると、傾斜面67cに流れ込んだ少量のトナーTが傾斜面67cに沿って流れ落ちる勢い(速度)が低下し、送出部材81の送り出し動作が停止して、排出部67の振動が停止した途端に傾斜面67c上のトナーTが移動しなくなることがある。この状態で排出部67を振動させることなくトナー収容器66を本体側接続部70から取り外すと、その際の振動で傾斜面67c上のトナーTが排出口67bに落下する一方、排出口67bのスライドシャッタ67dが閉まる際に、排出口67bに付着したトナーTをスライドシャッタ67dの先端で押し出してしまう。そうすると排出口67bの周囲とスライドシャッタ67dにトナーが付着し、このトナーTが周囲に飛散することで、ユーザーの手や衣服などを汚したり、トナー収容器66を汚したりする。本発明の実施形態では、前述した図25〜図27の振動付与手段の動作により、トナー収容器66を本体側接続部70から取り外す前に、予め傾斜面67c上に残ったトナーTを排出口67bに払い出すことができるので、トナーTが周囲に飛散することでユーザーの手や衣服などを汚したり、トナー収容器66を汚したりするのを防止することができる。
【0109】
図28(c)は図28(b)と対比するためのもので、図25〜図27の振動付与手段の動作をさせないで、トナー収容器66にトナーがかなり残っている状態でトナー収容器66を取り外す時の状態を示している。送出部材81の送り出し動作の間に排出部67に振動を付与しても、送り出し動作の後(戻り作動終了後)に振動を付与しないと、傾斜面67c上のトナーTの一部が本体側接続部70に落下せずに残ってしまうことがある。また、送出部材81の送り出し動作の期間中排出部67に付与される振動によって、送出部材81の送り出し動作の終了直後にトナー収容器66から排出部67の傾斜面67c上にトナーTが流れ込むこともある。このようにして傾斜面67cにトナーTが残ったままであると、トナー収容器66を本体側接続部70から取り外すために後方に移動させると、当該トナーTが傾斜面67cから滑り落ちてスライドシャッタ67d付近に溜まる。そして、この状態でトナー収容器66を本体側接続部70から取り外すと、スライドシャッタ67dがその先端にトナーTを付着させた状態で矢印方向に閉じる。この結果、スライドシャッタ67dの周囲に付着したトナーTでトナー収容器66を交換するユーザーの手や衣服などを汚したり、トナー収容器66を汚したりする。
【0110】
図28の(b)と(c)を比較すると分かるように、本発明の実施形態によれば、送出部材81の送り出し動作の後の所定時間t振動付与手段による駆動を継続することで、排出部67内の残留トナーを本体側接続部70に払い出すことができる。これにより、本体側接続部70に対するトナー収容器66の着脱時に当該トナー収容器66の排出部67の排出口67bから残留トナーが周囲に飛散して周囲を汚染するのが防止される。
【0111】
本体側接続部70からトナー収容器66を取り外す際の安全装置として、トナー収容器66の排出部67を本体側接続部70に対して装着状態にロックするロック手段を設けることも可能である。前述したように、トナー収容器66を取り付けたトナーカートリッジ61を本体側接続部70の固定部63から固定解除する場合、排出部67の突起部67gが固定アーム71の他端部71dを押して、バネ部材72の付勢力に抗して固定アーム71を図の時計方向に回動させる。そこで、例えばこの際の固定アーム71の回動を振動付与手段の駆動中は阻止する部材を設けることによって、前記ロック手段を構成することができる。このようなロック手段を設けることにより、振動付与手段の駆動中であるにもかかわらず不注意によりトナーカートリッジ61を本体側接続部70の固定部63から固定解除するような誤操作を防止することができ、トナーの飛散をより確実に防止することができる。そして送出部材81の送り出し動作が停止し、振動付与手段の駆動が停止した後に、前記ロック手段が自動的に解除することでトナーカートリッジ61ないしトナー収容器66を本体側接続部70から取り外すことが可能になる。
【0112】
トナーカートリッジ61の固定を解除する場合は、引出トレイ62を装置本体に対して引き出す方向(図3の矢印X1方向)へ移動させる。この引出動作により、トナーカートリッジ61は図7(b)において左方向へ移動し、排出部67に設けてある突起部67gが固定アーム71の他端部71dを押して、バネ部材72の付勢力に抗して固定アーム71を図の時計方向に回動させる。これにより、固定アーム71は図7(b)に示す固定位置から図7(a)に示す固定解除位置へ移動し、突起部67gが固定アーム71から離脱する。また、これと同時に、排出部67に設けてある突片部67hとスライドシャッタ67dとが、それぞれ切欠き部70aとシャッタ開放部材73とから離脱し、トナーカートリッジ61の固定が解除される。また、シャッタ開放部材73から離脱したスライドシャッタ67dは、図示しないバネ等の付勢力を受けて排出口を閉塞する方向にスライド移動させられるようになっており、排出口からのトナー漏れを防止する。
【0113】
また、トナー収容器66内のトナー量を検知するトナー量検知手段(粉体量検知手段)や、トナーの流動性を検知するトナー流動性検知手段(粉体流動性検知手段)を設け、これらの検知情報(トナー量又はトナー流動性)に基づいて振動付与手段の駆動タイミングを変更するように構成してもよい。
【0114】
例えば、図29に示すように、排出部67内にトナー量検知手段としてのトナーセンサ40を設け、送出部材81によってトナーTが排出部67に搬送されてきたとき、トナーセンサ40によってトナーの有無を検知する。図29(a)に示すように、トナーセンサ40によってトナーTが検知された場合は、トナー収容器66内にトナーTが多く残っているので、図25に示すタイミングチャートのように、送出部材81が戻るときも振動付与手段を駆動させるようにする。一方、図29(b)に示すように、トナーセンサ40によってトナーTが検知されなかった場合は、トナー収容器66内のトナー量が少ないので、図26に示すタイミングチャートのように、送出部材81が戻るときは振動付与手段の駆動を停止する。このように、トナー量を自動的に検知して振動のタイミングを変更することにより、トナー量に応じた適切なトナー搬送を行えるようになる。
【0115】
トナー量検知手段としては、圧電センサや光学センサなどを用いることができる。圧電センサは、例えばTDK製のTSP15シリーズの粉体レベルセンサなどがよい。また、光学センサとして、透過型光学センサを用いる場合は、例えば、排出部67内の対向する位置に発光部と受光部を設ける。そして、発光部と受光部の間の光路をトナーが遮断した場合は「トナー有り」と検知し、反対に、光が透過した場合は「トナー無し」と検知する。なお、発光部と受光部の互いに対向する面にトナーが付着したままの状態とならないように、フィルムなどから成る清掃部材によって付着したトナーを定期的に掻き取ることが望ましい。
【0116】
また、トナー流動性検知手段としては、例えば、温湿度計等を用いることができる。温湿度計で装置周辺の温湿度を測定し、その測定結果に基づいて、振動付与手段の駆動タイミングを図25に示すタイミング又は図27に示すタイミングに変更する。これにより、トナー流動性が高い場合は、自動的に振動付与手段の駆動時間を減少させてエネルギー消費の軽減を図ることができ、トナー流動性に応じた適切なトナー搬送を行えるようになる。
【0117】
以上のように、本発明によれば、送出部材の動作に応じて振動付与手段の駆動を制御することにより、トナーの流動化を効率良く行うことができる。これにより、トナーのパッキングやブロッキングを防止でき、円滑で安定したトナー搬送を行うことができるようになる。また、最終的にトナー収容器内に残留するトナー量を減らすことができるので、ランニングコストの低減を図れるようになる。また、振動付与手段の駆動タイミングを、トナー収容器内のトナー量やトナー流動性に応じて変更可能に構成した場合は、各種条件に応じて適切なトナー搬送を実現することが可能となる。
【0118】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。例えば、トナー収容器66は、透明の部材で構成されていてもよいし、半透明や不透明の部材で構成されていてもよい。また、トナー収容器66を内部のトナーと同色に着色してもよい。
【0119】
また、トナー収容器66の底面(送出部材81との接触面)の耐摩耗性を高くしたり、当該底面をPVDやCVD等の各種方式を用いて形成した摩擦係数の小さい薄膜で構成したりすることにより、送出部材81の摺接によるトナー収容器66の底面の磨耗を抑制することもできる。あるいは、送出部材81とトナー収容器66の少なくとも一方に潤滑剤を塗布する機構を設けることにより、両者間の摩擦を小さくして磨耗を抑制することも可能である。
【0120】
また、トナー収容器66に予め折り目を付けておき、内部のトナー量が減少すると、送出部材81による送出動作に伴ってトナー収容器66が折り目に沿って折り畳まれるように構成してもよい。この場合、使用済みのトナー収容器66を廃棄する際にトナー収容器66を潰す手間が不要となり利便性が向上する。また、トナー収容器66が変形しやすくなるので、トナーの排出も行いやすくなる。
【0121】
また、本発明の構成をトナー以外の粉体を搬送する粉体搬送装置に適用することも可能である。また、本発明に係る粉体搬送装置を、図1に示すプリンタに限らず、その他のプリンタ、複写機、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等に搭載することも可能である。
【0122】
(トナーの成分)
以下、本発明に用いるトナーの詳細について説明する。
トナーには主に樹脂成分、顔料成分、ワックス成分及び外側の添加剤から形成されている。
【0123】
樹脂としては、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、スチレンアクリル樹脂、スチレンメタクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレンブタジエン樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、シリコン樹脂、ブチラール樹脂、テルペン樹脂、ポリオール樹脂等がある。ビニル樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体:スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体:ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等がある。
【0124】
ポリエステル樹脂としては以下のA群に示したような2価のアルコールと、B群に示したような二塩基酸塩からなるものであり、さらにC群に示したような3価以上のアルコールあるいはカルボン酸を第三成分として加えてもよい。
【0125】
A群:エチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4ブテンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2,0)−2,2'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等。
【0126】
B群:マレイン酸、フマール酸、メサコニン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタール酸、イソフタール酸、テレフタール酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、リノレイン酸、またはこれらの酸無水物または低級アルコールのエステル等。
【0127】
C群:グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3価以上のアルコール、トリメリト酸、ピロメリト酸等の3価以上のカルボン酸等。ポリオール樹脂としては、エポキシ樹脂と2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物、もしくはそのグリシジルエーテルとエポキシ基と反応する活性水素を分子中に1個有する化合物と、エポキシ樹脂と反応する活性水素を分子中に2個以上有する化合物を反応してなるものなどがある。
【0128】
本発明で用いる顔料としては以下のものが用いられる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラック等のアジン系色素、金属塩アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物が挙げられる。
【0129】
黄色顔料としては、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ニッケルンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキが挙げられる。
【0130】
また、橙色顔料としては、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGKが挙げられる。
【0131】
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bが挙げられる。
【0132】
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。
【0133】
青色顔料としては、コバルトブルー、アルカリブルー、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBCが挙げられる。
【0134】
緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ等がある。
【0135】
これらは1種または2種以上を使用することができる。特にカラートナーにおいては、良好な顔料の均一分散が必須となり、顔料を直接大量の樹脂中に投入するのではなく、一度高濃度に顔料を分散させたマスターバッチを作製し、それを希釈する形で投入する方式が用いられている。この場合、一般的には、分散性を助けるために溶剤が使用されていたが、環境等の問題があり、本発明では水を使用して分散させた。水を使用する場合、マスターバッチ中の残水分が問題にならないように、温度コントロールが重要になる。
【0136】
本発明のトナーには電荷制御剤をトナー粒子内部に配合(内添)している。電荷制御剤によって、現像システムに応じた最適の電荷量コントロールが可能となり、特に本発明を適用した現像装置では、粒度分布と電荷量とのバランスを更に安定したものとすることが可能である。トナーを正電荷性に制御するものとして、ニグロシンおよび四級アンモニウム塩、トリフェニルメタン系染料、イミダゾール金属錯体や塩類を、単独あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。また、トナーを負電荷性に制御するものとしてサリチル酸金属錯体や塩類、有機ホウ素塩類、カリックスアレン系化合物等が用いられる。
【0137】
また、本発明におけるトナーには、定着時のオフセット防止のために離型剤を内添することが可能である。離型剤としては、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックスなどの天然ワックス、モンタンワックスおよびその誘導体、パラフィンワックスおよびその誘導体、ポリオレフィンワックスおよびその誘導体、サゾールワックス、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキルリン酸エステル等がある。これら離型剤の融点は65〜90[℃]であることが好ましい。この範囲より低い場合には、トナーの保存時のブロッキングが発生しやすくなり、この範囲より高い場合には定着温度が低い領域でオフセットが発生しやすくなる場合がある。
【0138】
離型剤等の分散性を向上させるなどの目的の為に、添加剤を加えても良い。添加剤としては、スチレンアクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、スチレンメタクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレンブタジエン樹脂、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、テルペン樹脂、ポリオール樹脂等があり、それぞれの樹脂を2種以上混合した物でも良い。
【0139】
樹脂は、結晶性ポリエステルを用いても良い。結晶性を有し、分子量分布がシャープでかつその低分子量分の絶対量を可能な限り多くした脂肪族系ポリエステルである。この樹脂はガラス転移温度(Tg)において結晶転移を起こすと同時に、固体状態から急激に溶融粘度が低下し、紙への定着機能を発現する。この結晶性ポリエステル樹脂の使用により、樹脂のTgや分子量を下げ過ぎることなく低温定着化を達成することができる。そのため、Tg低下に伴う保存性の低下はない。また、低分子量化に伴う高すぎる光沢や耐オフセット性の悪化もない。したがってこの結晶性ポリエステル樹脂の導入は、トナーの低温定着性の向上に非常に有効である。
【0140】
トナーとしては、流動性向上剤として無機微粉体をトナー表面に付着または固着させてもよい。この無機微粉体の平均粒径は10〜200[nm]が適している。10[nm]より小さい粒径の場合には流動性に効果のある凹凸表面を作り出すことが難しく、200[nm]より大きい粒径の場合には粉体形状がラフになり、トナー形状の問題が生じる。
【0141】
本発明の無機微粉体としてはSi、Ti、Al、Mg、Ca、Sr、Ba、In、Ga、Ni、Mn、W、Fe、Co、Zn、Cr、Mo、Cu、Ag、V、Zr等の酸化物、水酸化物、炭酸化物、硫化物や複合酸化物が挙げられ、これらのうち安全性・安定性等から以下の酸化物を採用する事が多い。特に、酸化珪素(シリカ)、酸化チタン、酸化アルミ(アルミナ、コランダム)の微粒子が好適に用いられる。さらに、疎水化処理剤等により添加剤の表面改質処理することが有効である。疎水化処理剤の代表例はシランカップリング剤で、以下のものが挙げられる。
【0142】
ジメチルジクロルシラン、トリメチルクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルジクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、p−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、クロルメチルトリクロルシラン、ヘキサフェニルジシラザン、ヘキサトリルジシラザン等。
【0143】
添加剤を疎水化処理することによって、ナノ粒子である添加剤の表面に水分が吸着しにくくなり、トナーの安定性が向上する。
【0144】
無機微粉体はトナーに対して0.1〜2[重量%]使用されるのが好ましい。0.1[重量%]未満では、トナー凝集を改善する効果が乏しくなり、2[重量%]を超える場合は、細線間のトナー飛び散り、機内の汚染、感光体の傷や摩耗等の問題が生じやすい傾向がある。
【0145】
また、少なくとも樹脂、顔料からなる粉体の表面に電荷制御剤を付着または固着させ、粉体表面形状を小さな周期と大きな周期を持つようにしても良い。その平均粒径は5〜200[nm]の小さい粒径のものが最適である。
【0146】
また、本発明のトナーには、実質的な悪影響を与えない範囲内で更に他の添加剤、例えば有機物の粉末であるテフロン(登録商標)粉末、ステアリン酸亜鉛粉末等の金属石鹸粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末、あるいは酸化セリウム粉末、炭化珪素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末などの研磨剤、あるいは、カーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸化スズ粉末、酸化インジウム粉末等の導電性粒子及び絶縁性の粉末に導電性粒子を被覆処理した粉体等の、導電性付与剤を現像性向上剤として少量用いることもできる。
【0147】
トナーに微粉体が添加されていることによって、送出部材81が動作するときにトナーがほぐされやすくなり、しばらく補給動作が無くトナーの流動性が低下してしまった場合においても、トナーを容器から排出することができる。
【符号の説明】
【0148】
8 トナー搬送装置(粉体搬送装置)
61 トナーカートリッジ(粉体収容器)
66 トナー収容器(粉体収容器)
67 排出部
67a 導入口
67b 排出口
67c 傾斜面
67d スライドシャッタ
70 本体側接続部
71 固定アーム
81 送出部材
93 偏心錘(振動付与手段)
94 駆動手段(振動付与手段)
T トナー(粉体)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0149】
【特許文献1】特開2005−91879号公報
【特許文献2】特開2002−046843号公報
【特許文献3】特開2002−268346号公報
【特許文献4】特開平11−143195号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を収容すると共に少なくとも一部が変形可能な粉体収容器を着脱自在に接続可能であって、当該接続状態で前記粉体収容器の内部の粉体を当該粉体収容器の接続側に設けた排出部から外部へ排出するための本体側接続部と、
前記本体側接続部に装着した粉体収容器の変形可能な部分を内側へ押し込んだ状態で前記排出部側へ前進して粉体を排出部へ送り出す送出部材と、
前記排出部に振動を付与する振動付与手段とを備え、
前記振動付与手段は、前記送出部材の送り出し動作の後の所定時間駆動を継続するようにしたこと
を特徴とする粉体搬送装置。
【請求項2】
前記本体側接続部が、前記粉体収容器の排出部から排出された粉体を所定量収容可能な収容部を有することを特徴とする請求項1の粉体搬送装置。
【請求項3】
前記粉体収容器と前記排出部を装着状態にロックするロック手段を有し、当該ロック手段は、前記振動付与手段の駆動中はロック作動を継続し、前記振動付与手段の駆動が停止するとロック解除することを特徴とする請求項1の粉体搬送装置。
【請求項4】
前記粉体収容器の排出部の開口部に、当該開口部を開閉する開閉部材を設けたことを特徴とする請求項1の粉体搬送装置。
【請求項5】
前記開閉部材を前記振動付与手段に近接して配置したことを特徴とする請求項4に記載の粉体搬送収容装置。
【請求項6】
前記送出部材が前記排出部側へ移動している間、前記送出部材が前記排出部側から元の位置へ戻る間中、及び前記送出部材が前記排出部側から元の位置へ戻った後の所定時間、前記振動付与手段の駆動を継続するようにした請求項1に記載の粉体搬送装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1に記載の粉体搬送装置を備えることを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1に記載の粉体搬送装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2013−37127(P2013−37127A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172067(P2011−172067)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】