説明

粒子に作用する光学力を測定する方法および装置

捕獲粒子に作用する光学力を測定するための装置および方法。一実施形態では、本装置および方法は、顕微鏡の上または内部に配置されたチャンバの入口面と出口面の間において、単一の光ビームを用いて浮遊媒体中に浮遊する粒子を捕獲するように構成された光学顕微鏡の光学列中で使用することができる。この装置および方法は単一の収集レンズ系を使用し、この収集レンズ系は、チャンバ中に粒子を浮遊させるための浮遊媒体の屈折率以上の開口数を有し、浮遊チャンバの出口面近傍またはこの出口面と接触させて設置することができる。光検知デバイスは、収集レンズの後焦点面内または後焦点面の近くに配置されるか、あるいは後焦点面の光学等価物に配置され、収集レンズによって光検知デバイスの上に投影された光分布の重心のx座標とy座標から導出される、前記粒子に作用する光学力の測定値を直接または間接に生成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡の試料に作用する光学力を測定するシステムおよび方法に関し、より具体的には、光ピンセットアセンブリに捕獲された粒子に作用する分力を決定するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
捕獲された顕微鏡の試料に作用する光学力を測定するには、本質的に「間接」および「直接」という2つの従来技術の手法がある。間接方法では一般に、単一ビームレーザを使用することが共通しており、これには、トラップ(調和ポテンシャル)および環境(低いレイノルズ数条件のもとで、均質な屈折率および粘性を有する流体)の複雑な数学モデルを使用することが、形が球形でなければならない試料に作用する力を決定するために必要になる。捕獲試料に対する力を間接的に測定する方法は、Svoboda,K.&Block,S.M.の「Biological Applications of Optical Forces」、Annual Review of Biophysics and Biomolecular Structure Vol.23、247〜285頁(1994年)およびその中の参考文献、またJ.Finer、R.Simmons、J.SpudichおよびS.Chuの米国特許第5512745号(1996年)「Optical trap system and method」に開示されている。また、この測定方法の背後の理論はGittes、F.&Schmidt、C.F.の「Interference model for back−focal−plane displacement detection in optical tweezers」、Optics Letters Vol.23、7〜9頁(1998年)に、また光トラップの剛性定数を決定する較正手順はK.Berg−SφrensenおよびH.Flyvbjergの「Power spectrum analysis for optical tweezers」、Review of Scientific Instruments Vol.75、594〜612頁(2004年)に開示されている。
【0003】
「間接」単一ビームシステムには多くの欠点がある。例えば、その測定値は、実験ごとに変化する多くの実験変数に依存する(例えば、温度、試料と媒体の間の相対的屈折率、試料のサイズ、レーザ出力、対物レンズの開口数など)。実際に、これらのシステムは、使用されるごとに再較正する必要がある。これは、専用機器(ピエゾアクチュエータ)および人間の専門技術を必要とする複雑な手順であり、そのためこれらのシステムは、商業用途には非実用的なものになっている。「間接」単一ビーム方法に付随するいくつか他の問題もある。まず、非球形の試料に対する力を測定することが可能ではない。これらの試料ではミクロスフェア「ハンドル」を使用することが必要である。第2に、非ガウス分布のレーザビームを用いて測定することは、これらのビームが調和ポテンシャルを生成しないために、可能ではない。これにより、光選別に使用される周期的ポテンシャル、または回転を誘発するベッセルビームおよびラゲール−ガウスビームなどの興味のある特性を持つビームが除外される。第3に、非均質媒体中で測定をすることが可能ではなく、そのため、生体外で行われる実験の実施可能性が本質的に制限される。重要な一例は、生きている細胞内部の実験であり、これは、場所ごとにサイトゾルの光学特性が変化するので可能ではない。細胞は、単純化された形で再形成されなければならない。実際、細胞分野において光ピンセットを用いる実験の利点の一部は、この困難を克服できることにある。
【0004】
捕獲試料に対する光学力を測定する従来技術の「直接」方法では、2つの後方励起レーザビームを必要とする。この方法は、米国特許第7,133,132号(Bustamante 他)、ならびに題名「Overstretching B−DNA: The Elastic Response of Individual Double−Stranded and Single−Stranded DNA Molecules」、Science、Vol.271、795〜799頁(1996年)、および「Optical−Trap Force Transducer That Operates by Direct Measurement of Light Momentum」、Methods of Enzymology、Vol.361、134〜162頁(2003年)の2つの先行する論説に開示されている。この方法はまた、Grangeらの論説で題名「Optical tweezers system measuring the change in light momentum flux」、Review of Scientific Instruments、Vol. 23、No. 6、2308〜2316頁(2002年)、およびS.Smithの博士論文「Stretch Transitions Observed in Single Biopolymer Molecules (DNA or Protein) using Laser Tweezers」、University of Twente、The Netherlands (1998年)にも記載されている。
【0005】
捕獲試料に対する光学力を測定する従来技術の「直接」方法では、力を運動量変化により直接測定することによって測定する。これらの従来技術のトラップは、対になった特殊な光学機構(2つのレーザ、2つの顕微鏡、2つの顕微鏡対物レンズ、2つのPSD検出器など)を必要とする二重後方励起ビームに基づいており、そのため、市販の顕微鏡の光学列の中、および現在入手可能な光ピンセットシステムの中に組み込むことが実現不可能となる。
【0006】
さらに、対になった光学構成要素を使用することで、これらのシステムは高価になり、また操作が困難になる。重要な点は、当業者の間での意見では、力を測定するための単一ビームトラップを「直接」方法を用いて使用することが不可能なことである。Bustamanteらは、上で論じた題名「Optical−Trap Force Transducer That Operates by Direct Measurement of Light Momentum」の論説の140頁でそのように宣言している。Neumanらは「Optical trapping (review article)」、Review of Scientific Instruments、75、2787〜2809頁(2004年)の論説の2802頁で同じことを宣言している。Williamsは、題名「Optical Tweezers: Measuring Piconewton Forces」の論文の5頁で同じ見解を述べている。また、Grangeらは題名「Optical tweezers system measuring the change in light momentum flux」の2308頁の論説で同じことを述べており、S.Smithは、自分の博士論文「Stretch Transitions Observed in Single Biopolymer Molecules (DNA or Protein) using Laser Tweezers」の17頁で同じ意見を述べている。
【0007】
この意見の理由は、これらの当業者が、単一のビームトラップでは細い光のコーンが、その光のコーンが試料によって誘発された偏向にもかかわらず集光レンズによって(解析のために)捕獲されるべきである場合は、必要になると考えていることである。当業者は、高開口数レンズが代わりに使用される場合、最も外側の出て行く光線は、解析レンズによって集めることができないと考えている。その必要とされる細さの光のコーンは、反射光による散乱力が軸傾斜(捕獲)力に打ち勝つので、対象物を捕獲するのに不十分である。このジレンマを回避するために、実験の複雑さが高まることを代償として、後方励起レンズ設計を用いてトラップが作り出される。
【0008】
捕獲試料に作用する光学力を測定するための、前に述べた問題を解決する簡略化されたシステムおよび方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本発明の一態様によれば、単一の光ビームを発生する光源と、浮遊媒体中の粒子を収容するチャンバと、高い傾斜力を用いることによって光ビーム光子に粒子を捕獲させるように粒子上に光ビームを集束するトラップ対物レンズと、粒子によって偏向された光子、および粒子によって偏向されなかった光子の両方を捕獲するように配置された単一の収集レンズ系と、収集レンズの後焦点面またはその近くに配置された、あるいは後焦点面の光学等価物に配置された光検知デバイスとを含むシステムが提供される。
【0010】
本発明の別の態様によれば、単一の光ビームを発生する光源と、浮遊媒体中の粒子を収容するチャンバと、高い傾斜力を用いることによって光ビーム光子に粒子を捕獲させるように粒子上に光ビームを集束する高開口数トラップ対物レンズと、粒子によって偏向された光子、および粒子によって偏向されなかった光子の両方を、捕獲されるべき粒子の上半球中に捕獲するように配置された単一の収集レンズ系であって、収集レンズが、チャンバ中に粒子を浮遊させるための浮遊媒体の屈折率以上の開口数を有する収集レンズ系と、収集レンズの後焦点面またはその近くに配置された、あるいは後焦点面の光学等価物に配置された光検知デバイスとを含むシステムが提供される。
【0011】
別の態様によれば、粒子に作用する光学力を測定する方法が提供され、この方法は、チャンバ内の浮遊媒体中に粒子を浮遊させることと、高い傾斜力を用いることによって、粒子上に単一の光ビームを集束して光ビーム光子に粒子を捕獲させることと、粒子によって偏向された光子、および粒子によって偏向されていない光子を、収集レンズに対する粒子の隔たりを制御し、チャンバを離れる光子の屈折を制御することによって単一の収集レンズ系で捕獲することと、捕獲された光子を、収集レンズの後焦点面またはその近くに置かれた、あるいは後焦点面の光学等価物に置かれた光検知デバイスに向けることとを含む。
【0012】
別の態様によれば、チャンバの入口カバーと出口カバーの間の浮遊媒体中に浮遊する粒子を単一の光ビームを用いて捕獲するように構成されている光学顕微鏡の光学列中に設置されるシステムが提供され、このシステムは、顕微鏡のチャンバの出口カバーまたはその近くに設置する単一の収集レンズを備え、収集レンズの開口数は、チャンバ中に粒子を浮遊させるための浮遊媒体の屈折率以上の開口数になるように設計され、システムはさらに、収集レンズの後焦点面またはその近くに配置された、あるいは後焦点面の光学等価物に配置された光検知デバイスを備え、光検知デバイスは、光検知デバイスの上に投影された光分布の重心のx座標とy座標から導出される粒子に作用する光学力の測定値を直接または間接に生成することができる。一実施形態では、収集レンズおよび光検知デバイスは単一のデバイスに組み込まれる。
【0013】
別の態様によれば、チャンバの入口カバーと出口カバーの間の浮遊媒体中に浮遊する粒子を単一の光ビームを用いて捕獲するように構成されている光学顕微鏡の光学列中に設置されるシステムが提供され、このシステムは、粒子によって偏向された光子、および粒子によって偏向されなかった光子を粒子の上半球中に捕獲するために顕微鏡のチャンバの出口カバーまたはその近くに設置する単一の収集レンズ系を備え、収集レンズの開口数は、チャンバ中に粒子を浮遊させるための浮遊媒体の屈折率以上の開口数になるように設計され、システムはさらに、収集レンズの後焦点面の光学等価物またはその近くに配置された光検知デバイスであって、光検知デバイスの上に投影された光分布の重心のx座標とy座標から導出される粒子に作用する光学力の測定値を直接または間接に生成することができる光検知デバイスと、収集レンズの前レンズと光検知デバイスの間に配置された、後焦点面の光学等価物を作り出すためのリレーレンズとを備える。一実施形態では、収集レンズ、リレーレンズおよび光検知デバイスは単一のデバイスに組み込まれる。
【0014】
別の態様によれば、チャンバの入口カバーと出口カバーの間の浮遊媒体中に浮遊する粒子を単一の光ビームを用いて捕獲するように構成されている光学顕微鏡の光学列中に設置されるシステムが提供され、このシステムは、粒子によって偏向された光子、および粒子によって偏向されなかった光子を粒子の上半球中に捕獲するために顕微鏡のチャンバの出口カバーまたはその近くに設置する単一の収集レンズ系を備え、収集レンズの開口数は、チャンバ中に粒子を浮遊させるための浮遊媒体の屈折率以上の開口数になるように設計され、システムはさらに、収集レンズの後焦点面の光学等価物またはその近くに配置された光検知デバイスであって、光検知デバイスの上に投影された光分布の重心のx座標とy座標から導出される粒子に作用する光学力の測定値を直接または間接に生成することができる光検知デバイスと、収集レンズの前レンズと光検知デバイスの間に配置された、後焦点面の光学等価物を作り出すためのリレーレンズと、収集レンズの前レンズと光検知デバイスの間に配置された、光検知デバイスの飽和を防止するためのフィルタとを備える。一実施形態では、収集レンズ、リレーレンズ、フィルタおよび光検知デバイスは単一のデバイスに組み込まれる。
【0015】
別の態様によれば、チャンバの入口カバーと出口カバーの間の浮遊媒体中に浮遊する粒子を単一の光ビームを用いて捕獲するように構成されている光学顕微鏡の光学列中に設置されるシステムが提供され、このシステムは、粒子によって偏向された光子、および粒子によって偏向されなかった光子を粒子の上半球中に捕獲するために顕微鏡のチャンバの出口カバーまたはその近くに設置する単一の収集レンズ系を備え、収集レンズの開口数は、チャンバ中に粒子を浮遊させるための浮遊媒体の屈折率以上の開口数になるように設計され、システムはさらに、収集レンズの後焦点面の光学等価物またはその近くに配置された光検知デバイスであって、光検知デバイスの上に投影された光分布の重心のx座標とy座標から導出される粒子に作用する光学力の測定値を直接または間接に生成することができる光検知デバイスと、収集レンズの前レンズと光検知デバイスの間に配置された、後焦点面の光学等価物を作り出すためのリレーレンズと、収集レンズの前レンズと光検知デバイスの間に配置された、顕微鏡のチャンバで生じた反射損失を補償する透過マスクとを備える。一実施形態では、収集レンズ、リレーレンズ、透過マスクおよび光検知デバイスは単一のデバイスに組み込まれる。
【0016】
別の態様によれば、チャンバの入口カバーと出口カバーの間の浮遊媒体中に浮遊する粒子を単一の光ビームを用いて捕獲するように構成されている光学顕微鏡の光学列中に設置されるシステムが提供され、このシステムは、粒子によって偏向された光子、および粒子によって偏向されなかった光子を粒子の上半球中に捕獲するために顕微鏡のチャンバの出口カバーまたはその近くに設置する単一の収集レンズ系を備え、収集レンズの開口数は、チャンバ中に粒子を浮遊させるための浮遊媒体の屈折率以上の開口数になるように設計され、システムはさらに、収集レンズの後焦点面の光学等価物またはその近くに配置された光検知デバイスであって、光検知デバイスの上に投影された光分布の重心のx座標とy座標から導出される粒子に作用する光学力の測定値を直接または間接に生成することができる光検知デバイスと、収集レンズの前レンズと光検知デバイスの間に配置された、後焦点面の光学等価物を作り出すためのリレーレンズと、収集レンズの前レンズと光検知デバイスの間に配置された、光検知デバイスの飽和を防止するためのフィルタと、収集レンズの前レンズと光検知デバイスの間に配置された、顕微鏡のチャンバで生じた反射損失を補償する透過マスクとを備える。一実施形態では、収集レンズ、リレーレンズ、フィルタ、透過マスクおよび光検知デバイスは単一のデバイスに組み込まれる。
【0017】
別の態様によれば、チャンバの入口カバーと出口カバーの間の浮遊媒体中に浮遊する粒子を単一の光ビームを用いて捕獲するように構成されている光学顕微鏡の光学列中に設置されるシステムが提供され、このシステムは、粒子によって偏向された光子、および粒子によって偏向されなかった光子を粒子の上半球中に捕獲するために顕微鏡のチャンバの出口カバーまたはその近くに設置する単一の収集レンズ系を備え、収集レンズの開口数は、チャンバ中に粒子を浮遊させるための浮遊媒体の屈折率以上の開口数になるように設計され、システムはさらに、収集レンズの後焦点面またはその近くに配置された光検知デバイスであって、光検知デバイスの上に投影された光分布の重心のx座標とy座標から導出される粒子に作用する光学力の測定値を直接または間接に生成することができる光検知デバイスと、収集レンズの前レンズと光検知デバイスの間に配置された、光検知デバイスの飽和を防止するためのフィルタとを備える。一実施形態では、収集レンズ、フィルタおよび光検知デバイスは単一のデバイスに組み込まれる。
【0018】
別の態様によれば、チャンバの入口カバーと出口カバーの間の浮遊媒体中に浮遊する粒子を単一の光ビームを用いて捕獲するように構成されている光学顕微鏡の光学列中に設置されるシステムが提供され、このシステムは、粒子によって偏向された光子、および粒子によって偏向されなかった光子を粒子の上半球中に捕獲するために顕微鏡のチャンバの出口カバーまたはその近くに設置する単一の収集レンズ系を備え、収集レンズの開口数は、チャンバ中に粒子を浮遊させるための浮遊媒体の屈折率以上の開口数になるように設計され、システムはさらに、収集レンズの後焦点面またはその近くに配置された光検知デバイスであって、光検知デバイスの上に投影された光分布の重心のx座標とy座標から導出される粒子に作用する光学力の測定値を直接または間接に生成することができる光検知デバイスと、収集レンズの前レンズと光検知デバイスの間に配置された、顕微鏡のチャンバで生じた反射損失を補償する透過マスクとを備える。一実施形態では、収集レンズ、透過マスクおよび光検知デバイスは単一のデバイスに組み込まれる。
【0019】
別の態様によれば、チャンバの入口カバーと出口カバーの間の浮遊媒体中に浮遊する粒子を単一の光ビームを用いて捕獲するように構成されている光学顕微鏡の光学列中に設置されるシステムが提供され、このシステムは、粒子によって偏向された光子、および粒子によって偏向されなかった光子を粒子の上半球中に捕獲するために顕微鏡のチャンバの出口カバーまたはその近くに設置する単一の収集レンズ系を備え、収集レンズの開口数は、チャンバ中に粒子を浮遊させるための浮遊媒体の屈折率以上の開口数になるように設計され、システムはさらに、収集レンズの後焦点面またはその近くに配置された光検知デバイスであって、光検知デバイスの上に投影された光分布の重心のx座標とy座標から導出される粒子に作用する光学力の測定値を直接または間接に生成することができる光検知デバイスと、収集レンズの前レンズと光検知デバイスの間に配置された、光検知デバイスの飽和を防止するためのフィルタと、収集レンズの前レンズと光検知デバイスの間に配置された、顕微鏡のチャンバで生じた反射損失を補償する透過マスクとを備える。一実施形態では、収集レンズ、フィルタ、透過マスクおよび光検知デバイスは単一のデバイスに組み込まれる。
【0020】
本明細書および特許請求の範囲の全体を通して、「備える」およびこの語のバリエーションは、他の技術的特徴、付加物、構成要素、またはステップを排除するものではない。
【0021】
本発明のさらなる目的、利点および特徴は、本明細書を検討することによって当業者には明らかになり、あるいは本発明を実施することによって知ることができよう。以下の諸例および図面は、例として提示されており、本発明を限定するものではない。さらに、本発明は、本明細書に記載された特定の実施形態および好ましい実施形態のすべての実現可能な組合せを包含する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】粒子を捕獲し、捕獲された粒子に作用する光学力を測定するための本発明の一実施形態のシステムを示す図である。
【図2】レンズの後焦点面におけるコヒーレント光分布の運動量構成を示す図である。
【図3A】捕獲試料によって屈折および偏向される収束光線の例を示す図である。
【図3B】捕獲試料によって屈折および偏向される収束光線の例を示す図である。
【図4】水中に浮遊させた均質ガラスミクロスフェアについて、散乱光の強度を角度の関数としてグラフ化したものである。
【図5】本発明の一実施形態の光収集システムを示す図である。
【図6】試料の上半球中に捕獲された光の百分率比を浮遊チャンバ中の試料の深さの関数として示すグラフである。
【図7】本発明の原理により生成された油浸顕微鏡コンデンサの後焦点面の像を示す図である。
【図8】異なるレーザ出力で、光トラップを作り出すための異なるトラップ対物レンズを用いて、異なる直径、屈折率の捕獲ポリスチレンミクロスフェアに既知の力を加えた実験の結果を示すグラフである。
【図9A】光学顕微鏡と一体化されている本発明の一実施形態を示す図である。
【図9B】光学顕微鏡と一体化されている本発明の一実施形態を示す図である。
【図10】浮遊チャンバ内部の媒体中に浮遊させた捕獲粒子に作用する光学力の測定を可能にするために、光学顕微鏡の光学列中に設置することができる一実施形態のシステム/デバイスを示す図である。
【図11】浮遊チャンバ内部の媒体中に浮遊させた捕獲粒子に作用する光学力の測定を可能にするために、光学顕微鏡の光学列中に設置することができる別の実施形態のシステム/デバイスを示す図である。
【図12】浮遊チャンバ内部の媒体中に浮遊させた捕獲粒子に作用する光学力の測定を可能にするために、光学顕微鏡の光学列中に設置することができるさらに別の実施形態のシステム/デバイスを示す図である。
【図13】浮遊チャンバ内部の媒体中に浮遊させた捕獲粒子に作用する光学力の測定を可能にするために、光学顕微鏡の光学列中に設置することができる別の実施形態のシステム/デバイスを示す図である。
【図14】浮遊チャンバ内部の媒体中に浮遊させた捕獲粒子に作用する光学力の測定を可能にするために、光学顕微鏡の光学列中に設置することができる別の実施形態のシステム/デバイスを示す図である。
【図15】浮遊チャンバ内部の媒体中に浮遊させた捕獲粒子に作用する光学力の測定を可能にするために、光学顕微鏡の光学列中に設置することができるさらに別の実施形態のシステム/デバイスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の説明では、本発明の完全な理解が得られるように多数の具体的な細部を示す。しかし、本発明は、これらの具体的な細部の一部または全部がなくても実施できることが当業者には理解されよう。他の場合では、よく知られている処理操作は、本発明を不必要に不明瞭にしないように、詳細に記述していない。添付の図面は原寸に比例して描かれていないことに留意することもまた重要である。
【0024】
図1は、本発明の一実施による、粒子108に作用する光学力を測定するシステム100を示す。システム100は、通常はガラスでできている入口カバー109aと出口カバー109bの間の浮遊流体中に粒子108を浮遊させるためのチャンバ109を含む。粒子108の捕獲は、高開口数トラップ対物液浸レンズ107を使用して浮遊粒子上に光ビーム124を集束させることによって、高い傾斜力を用いて光ビーム光子に粒子を捕獲させるようにして実現される。図1の実施形態では、レーザビーム120を作り出すためにレーザ光源101が使用され、レーザビーム120は、捕獲光ビーム124を作り出すように操作することができる。レーザ光源101は、数百ミリワットから数ワットまでの定格出力を有する高出力レーザ光源が好ましい。レーザ光源101出口に配置されたファラデーアイソレータ102を使用して、出力を不安定にしうるレーザ光源101の方への後方反射をなくすることができる。接眼レンズ130および対物レンズ132を有する望遠鏡103は、レーザビーム120の光路内に置かれ、ここでレーザビームが対物レンズ132によって再平行化され広げられる。好ましい実施形態では、レンズ132および130の焦点距離は、トラップ対物レンズ107の入口瞳106を満たす、またはわずかにあふれさせる直径を有するレーザビーム122を作り出すように選択される。レーザビーム122が直線偏光、または別の非円偏光を有する場合、半波長板104、または他の適切なデバイスを望遠鏡対物レンズ132とトラップ対物レンズ107の間に配置して、円偏光または実質的な円偏光を有する光ビーム123を作り出すことができる。円偏光または実質的な円偏光でトラップ対物レンズ107に入る光ビームにより、トラップ対物レンズが、直角の2つの方向で実質的に等しい、または実質的に等しい半径方向剛性を持つ光トラップを作り出すことが可能になる。
【0025】
上述のように、システム100は、高い傾斜力を用いることによって、単一の光ビーム124を利用して粒子108を捕獲することができる。効果的に粒子を捕獲するために必要な高い傾斜力を作り出すために、高開口数トラップ対物レンズ107を使用して、ビームを回折が制限されたスポットになるまで粒子の上に集束する。トラップ対物レンズ107は一般に、入口瞳108、一連の内部レンズ140、および出口レンズ142を含み、出口レンズ142はチャンバ109の入口カバー109aと、水または油などで、油が好ましい液浸媒体(図示せず)を介して整合する。代替実施形態では、トラップ対物レンズ107の開口数は、約0.90と約1.40の間で変化することが好ましい。入口瞳106を満たす、またはあふれさせることを実現するために、望遠鏡103は、約2.5×と約6.0×の間の倍率を有することが好ましい。
【0026】
粒子108に作用する光学力の測定は、粒子によって偏向された光子、および粒子によって偏向されていない光子を、チャンバ109内部で粒子108を浮遊させる媒体の屈折率以上の開口数を有する高開口数液浸レンズ110を使用して捕獲することによって、実現される。収集レンズ110は一般に、前部レンズ150と、捕獲光子を平行にし、光検知デバイス115の方に向ける一連の内部レンズ152とを含む。前部レンズ150はチャンバ109の出口カバー109bと、水または油などで、油が好ましい液浸媒体(図示せず)を介して整合する。代替実施形態では、収集レンズ110の開口数は、約1.32と約1.40の間で変化することが好ましい。特に、粒子浮遊媒体の屈折率と収集レンズ液浸媒体の屈折率との間に相対的に大きな差があることが望ましい。代替実施形態では、液浸媒体と浮遊媒体の屈折率の比は、約1.13と約1.2の間で変化し、前部レンズ150の直径は、約2.0ミリメートルと約20ミリメートルの間で変化することが好ましい。
【0027】
粒子108に作用する光学力の直接測定は、光場の運動量構成が収集レンズ110の後焦点面111で目に見えるようになることによって可能になる。図2および後の記述によって、この現象の背後にある理論を説明する。
【0028】
ヘルムホルツ波式のどんな解も、次のように書き表すことができる。


ここで、重み因子A(α,β)は次式を満たす。

【0029】
つまり、これらは任意の平面z=0における元の場のフーリエ変換である。
【0030】
これらの式は、物理的意味を有する。すなわち、任意の電磁場は、式2によって与えられる振幅Aを持つ平面波の重ね合わせとして考えることができる。平面波は、方向余弦s=(α,β,γ)によって与えられる同じ方向にすべてが進む光子の束として形成されるので、最も簡単な波の種類である。ある平面波の運動量は次式によって決定されることが、本発明者らの方法に関連している。

【0031】
言い換えると、平面波は、すべてが同じ運動量pを有する光子からなり、したがって上式(1)は、所与の光場をその構成運動量に分解することと考えることができる。また、これらの要素平面波が保持する単位時間(および単位面積)当たりエネルギーは、ポインティングの定理により振幅A(α,β)の平方(放射照度I(α,β))に比例する。すなわち、上の3つの式は、運動量pを有する場U(x,y,z)における単位時間当たりの光子の数(エネルギーに比例する)は、場のフーリエ変換の大きさの平方に比例することを示す。重要なことは、コヒーレント照明のもとで、無関係の相および換算係数を無視すると、レンズの後焦点面における光分布は、レンズの前の場のフーリエ変換と一致することである。このフーリエ変換を行うレンズの能力は、広く適合する収差補正基準であるアッベの正弦条件(r=f’sinΘ、図2)を満たすようにレンズが設計されているならば、高開口数であっても有効である。
【0032】
図2を参照すると、レンズ200の後焦点面202に、平面201内のコヒーレント光分布の運動量構成を見ることができ、その平面内の点203における放射パワーは、運動量pを保持する光子の数を直接示す。光場の運動量構成がレンズの後焦点面で目に見えるようになるので、この運動量構成に変化があれば容易に検出される。これにより、場によって試料に加えられる力を評価する直接方法が得られる。ニュートンの第2法則では、物体に加えられる力は、単位時間当たりの物体の正味の運動量変化と等しいとする。また、光子によって試料に加えられる力は、試料によって光子に加えられる力と同じ大きさを有し(ニュートンの第3法則)、また光ビーム光子の運動量の変化と等しく、これは後焦点面で容易に明らかになる。光が試料に入る前と後の運動量の差を取ることにより、必要な変化が得られる。
【0033】
次に図3Aを参照すると、微粒子305に当たってこの微粒子を光学的に捕獲する収束光ビーム301が示されている。図3Aでは、微粒子305がビーム301の焦点を中心にして示されている。光線光学に関して相互作用を記述すると、光は屈折302または反射303され、その結果、伝搬の方向変化が生じることになりうる。方向変化は、図3Bで表されるように、試料が収束光ビーム301に対して横に移動した場合に増大しうる。図示のように、試料が横移動すると、屈折光線302および反射光線303は、ほとんどどの方向にも伝搬することになりうる。結果として、すべての光ビーム運動量変化を解析できるようにするには、試料の周囲すべての点で、つまり4πの立体角をカバーして、光を収集することが必要になる。しかし、本発明者らによって、後方散乱光がないものとすることで生じる誤差は小さく、耐えられるものであることが確認された。図表として、図4は、水(n=1.32)に浮遊し、集束赤外線レーザビーム(λ=1.064μm、NA=1)に捕獲された均質ガラスミクロスフェア(r=1μm、n=1.56)について、厳密に一般化されたロレンツミー理論によって計算された分散光の強度の(任意の単位、対数目盛の)を角度の関数としてグラフ化したものを描いている。図4に示されるように、試料の下半球に入る散乱光は、合計光強度の1%未満になる。本発明はこの現象を、試料の上半球中に捕獲される光の量を最大にすることによって、かつ試料に作用する光学力を測定するときに後方散乱光を無視してよいようにすることによって、利用する。上半球中の光捕獲は、上記のように、高開口数液浸収集レンズ110を用いることによって最大化される。これにより多くの利点がもたらされ、かつ光を収集するのに非常に簡単な光学構成が可能になる。とりわけ、そうすることで、本発明のシステムおよび/またはデバイスを従来の光学顕微鏡の光学列の中、および既存の光トラップシステムの中に組み込むこと、または後付けすることが可能になる。
【0034】
図5を例として参照すると、本発明の一実施形態による収集システムが表されている。前述のように、試料108は、水(n=1.333)などの浮遊媒体406を収容するチャンバ109内部にあり、入口カバー109aと出口カバー109bの間に挟まれている。収集レンズ110の前レンズ150は、セダー油または合成顕微鏡油(n’=1.515)などの高屈折率流体407と接触しており、高屈折率流体407は、好ましい一実施形態では、出口カバー109bおよび前レンズ150の屈折率に対応する。図示のように、試料108により偏向された、光軸に対して大きな角度α(半角ε)をなして収集レンズ110の方向に伝搬する光は、次式のスネルの法則により、水−出口カバー109bの境界面で屈折し、
n.sinε=n’.sinε’ (4)
小さな角β(半角ε’)をなして収集レンズ110の前レンズ150の中に、偏向されずに進行する。収集レンズ110の開口数は、浮遊媒体406の屈折率以上になるように選択されるので、屈折角ε’は次式となる。
n.sin90°=n=n’sinε’≦NA=n’sinθ→ε’≦θ (5)
【0035】
あるいは、言い換えると、反射光線は収集レンズの捕獲角θ内にとどまる。
【0036】
収集システムの全開口数を利用するために、チャンバ109の出口カバー109bと収集レンズ110の前レンズ150の間の作動距離wが制御される。一実施形態では、スペーサ(図示せず)が出口カバー109bと収集レンズ110の間に配置されて、式(5)の有効性条件に適合するように作動距離を既定値に維持する。作動距離があまりに小さい、またはあまりに大きい場合、有効開口数が不必要に制限されて、好ましくない光損失をまねく。本発明の代替実施形態では、作動距離は、好ましくは3ミリメートル未満、好ましくは約1.0ミリメートルと約3.0ミリメートルの間、より好ましくは約1.5ミリメートルと約2.5ミリメートルの間に設定される。
【0037】
別の重要な考慮すべき事項は、チャンバ109の出口カバー109bの内面に対する試料108の深さh、位置である。図6の結果は、試料の上半球中に捕獲された光の百分率比をチャンバ109内の試料の深さの関数として示す。データは、以下の収集レンズ110のパラメータを用いて計算された。(1)収集レンズの開口数(NA)=1.40、(2)前レンズ150と出口カバー109bの間の油浸の屈折率(n’)=1.51、(3)試料浮遊媒体の屈折率(n)=1.33、(4)前レンズの直径=9.5020mm、および(5)作動距離=1.92mm。図6に示されるように、上半球から伝搬する光の大部分を捕獲するには、試料の深さは、好ましくは0と約200マイクロメートルの間、より好ましくは0と約100マイクロメートルの間、最も好ましくは0と50マイクロメートルの間になる。これら分かったことの結果として、本発明では薄いマイクロ流体チャンバ109を利用して、試料108を収集レンズ110とトラップ対物レンズ107の両方に近接して保つ。本発明の代替実施形態によれば、チャンバ109の厚さは、約50から約200ミクロンの間が好ましい。試料108がチャンバ109の入口カバー109aからより大きい距離のところで捕獲されることを可能にするために、水浸トラップ対物レンズ107を使用することがあり、これにより性能を低下させることなく、数百ミクロンの距離が可能になる。水浸トラップ対物レンズ107を使用することで、有利なことに、より厚いマイクロ流体チャンバ109を使用することが可能になる。
【0038】
図1を引き続き参照すると、光検知デバイス115が、収集レンズ110の下流光路に設けられている。捕獲粒子108に作用する力は、光検知デバイス115の上に投影される光128中のすべての光子の個々の運動量変化を合計することによって得られる。一実施形態によれば、これは、側面効果に基づく二次元位置検知デバイス(PSD)を収集レンズの後焦点面111、または光学的等価物のところに設置することによって行われる。側面効果PSDは、露光抵抗層を照明する光スポットの放射パワー、ならびに照明スポットと基準電極の間の距離の両方に比例する光電流により応答する光検出器である。すなわち、二次元PSDは少なくとも2つの信号を供給し、これらの信号により、二次元PSDで照光領域内の光スポットの位置を次式に従って測定することができる。


ここで、kは検出器の応答性および形状によって決まる定数であり、I(x,y)は検知領域の(x、y)位置203における照明光の放射強度を意味する。分解レンズの後焦点面に設置された場合、座標x座標とyは、適正な尺度で光運動量の横成分を表現する。


実質的には、


式3により、アッベの正弦条件に従って次式のように書き表せるる。


証明終わり。またy座標についても同様。I(x,y)dxdyが点(x、y)における放射パワーであり、したがって横運動量(p,p)を有する単位時間当たりの光子の数に比例するので、式6中の積分はそれぞれ、すべての運動量のx成分とy成分の順次加算を表現している。すなわち、光が試料を通過する前および後の信号SxおよびSyの変化は、光学力に比例する。
【0039】
本発明の利点は、力の測定が第1の原理のみに基づきうることである。図1の実施形態では、光検知デバイスは、収集レンズ110の外側にあり、リレーレンズ114は、収集レンズ110の後焦点面111の光学的等価物を光検知デバイス115の上に投影するために使用される。収集レンズの後焦点面の光学的等価物を作り出すためにリレーレンズが使用される実施形態では、リレーレンズの直径は、収集レンズの後焦点面に置かれた開口絞り(図1に示されていない)より大きいか等しいことが好ましく、また光検知デバイスの直径を開口絞りの直径で割ったものに等しい倍率を有することが好ましい。
【0040】
一代替実施形態では、光検知デバイスは、収集レンズ110の後焦点面111の光学像に対応する像を生成することができるカメラまたは他のデバイスとすることができ、その像は、粒子108に作用する光学力の測定値を生成するためにコンピュータで可読である。
【0041】
PSDなどの光検知デバイス115の飽和を排除するために、中性光フィルタ113を収集レンズ110と光検知デバイス115の間の光路に設置して、トラップから来る光を減衰することがある。
【0042】
図7は、3μmポリスチレンミクロスフェアによって散乱された光を収集している、開口数が1.40の油浸顕微鏡コンデンサの後焦点面の像を示しており、このポリスチレンミクロスフェアは、水中(λ=1.064μmでn=1.32)に浮遊され、開口数が1.20の水浸顕微鏡対物レンズにより作り出された単一ビームの光トラップで捕獲され、チャンバ109の出口カバー109b(h=0)と接触させられている。この平面は、既知の特性を持ついくつかの顕微鏡対物レンズの開口絞りを投影することによって、開口数に関して較正することができる。別法として、既知の波長の平行ビームによって照明された既知の周期の回折格子で光を既知の角度で回折し、この光を後焦点面で単一スポットに集束する。これらの回折次数を使用しても、焦点面を較正することができる。像は、像の右上隅および左下隅において容易に目に見えるように、収集されている光がNA=1.32の理論的限界(水中で90°に近い半角に対応する)に近いことを示す。実験的に決定された収集光の強度は、合計ビーム強度(試料なしでの読み取り、4π球全体に散乱した光と等価)の95%に近い。比較として、収集レンズの有効開口数が0.95に低減されると、光損失は、試料によって散乱される合計光のおよそ15%〜30%という量になる。一定した均一な(角度に依存しない)光損失は、ただ暗いだけで全く同じ光パターンを後焦点面に生成するので、力の測定に関係しないことに留意されたい。PSDからの信号は小さくなるが(しかし比例している)、下で論じるように、較正定数Cを使用して対処することができる。
【0043】
一実施形態では、浮遊媒体406と出口カバー109bの境界面における角度依存反射損失を、レーザの波長に調整された出口カバー109b内面の広角反射防止コーティングを用いて低減または除去することができる。別法として、振幅が反射係数の逆数に比例する非均一透過マスク(図1に示されていない)を収集レンズの後焦点面に、またはその共役面に(例えば、PSDに)設置することが、浮遊チャンバ内部の平行な光束がこれらの平面で単一点に集束されるので、可能である。
【0044】
上で述べたように、かつ力の決定のための間接方法(モデルに基づくトラップ剛性較正など)と対照的に、本発明は第1の原理に基づいている。PSDの読取値(単位はボルト)と光学力(単位はpN)の間の比例定数Cが見出されると、温度、屈折率、試料のサイズおよび外形、レーザ出力およびトラップ形状などの実験条件の変化を無視して測定を行うことができる。
【0045】
図8は、異なるレーザ出力で、光トラップを作り出すための異なるトラップ対物レンズを用いて、異なる直径、屈折率の捕獲ポリスチレンミクロスフェアに既知の力を加えた実験の結果を示す。外部力は、マイクロチャンバを保持する圧電ステージを所与の速度で動かすことによって得られた浮遊流体の制御された流れで作られた。流体速度、その粘度、および粒子の半径はすべて分かっていたので、ビーズ上に誘発されたストークス力が計算された。この力は粒子に作用して、粒子をその置かれている位置から横方向に、トラップによって加えられた力が粘性抵抗を相殺するまで移動する。したがって、トラップによって加えられる実際の光学力は、これらの粒子の状態に対して決定することができる。そのグラフ化したものは、圧電ステージが正弦波信号によって駆動されたときの、本発明の方法に従うPSDにおける読取値(y軸)と既知の光学力(ストークス力、x軸)との間の関係を示す。図8で、線形の関係、および様々な実験条件に対する平均傾きの独立性が明らかである。また、この傾きの逆数が較正定数C(単位はpN/V)であり、これにより、PSD読取値を光学力に変換することが可能になる。したがって、この実験では、測定定数Cを得るための方法も確立する。
【0046】
図1を再び参照すると、第1のダイクロイックミラー105および第2のダイクロイックミラー112はそれぞれ、光トラップレーザ光を選択的に反射する一方で他の光波長を通過させることによって、光トラップが光学顕微鏡の像列内に共存できるようにシステム100の中に組み込むことができる。例えば、ダイクロイックミラー112は、光学顕微鏡の照明列内に組み込むことができるのに対し、ダイクロイックミラー105は、顕微鏡の像列内に組み込むことができる。
【0047】
図9Aおよび図9Bに表されるように、本発明による、光を捕獲しその成分運動量に分解する収集レンズは、常用の光学顕微鏡600に装着される液浸コンデンサとすることが、非常に都合よくできる。一方、この顕微鏡は、同時に光ピンセットを後付けして完全なシステムを形成することができる。市販の光ピンセットは、容易に入手可能であり、主要なブランドの研究用顕微鏡と適合し、またそれ自体で顕微鏡対物レンズを使用して光トラップを作り出す。
【0048】
図9Aおよび図9Bは、常用の光学顕微鏡600が例えばKohler照明器の光学列の中に容易に収まるので、常用の光学顕微鏡600との本発明の方法およびシステムの適合性を表している。図9Aは像列を概略的に示し、図9Bは反転光学顕微鏡の照明列を概略的に示し、これらは、光捕獲システムと組み合わせて使用されるものと類似している。
【0049】
図9Bで、ハロゲンランプ601からの光は、コレクタレンズ602によって方向を変えられ、視野絞り603を通り、コリメーティングレンズ604によってコンデンサレンズ610の開口絞り606の上に集束される。開口絞り606がコンデンサレンズ610の後焦点面に置かれているので、光はコンデンサの後で平行化され、試料608を照明し、対物レンズ607によって、その後焦点面に置かれたその開口絞り609の上に集束される。また、図9Aを参照すれば、視野絞り603は、コリメータ604およびコンデンサ610のレンズによって試料面の上に投影される。これら2つの光学列は、一連の共役面として記述することができる。例えば、像列では、試料面608と視野絞り603は共役であり、一方、照明列では、ハロゲンランプ601、コンデンサ610の開口絞り606、および対物レンズ607の開口絞り609ともまた共役である。重要なことは、照明列の共役面と像列内の共役面とは、これらが中間レンズの後焦点面にあるとき、フーリエ変換関係にあると言えることである。特に、コンデンサ開口絞り606は、試料面608とフーリエ対を形成する。この構成はもちろん、本発明の測定システムを図9Bに示される照明列に一体化するために使用することができる。試料を浮遊させるための媒体の屈折率以上の開口数を有する高開口数レンズ610(例えば、修正した油浸コンデンサ)が、通常のコンデンサと置き換わって、逆に収集レンズとして働く。ダイクロイックミラー605を使用して、トラップから来る光の方向を、収集レンズの後焦点面に、または後焦点面の光学等価物に設置されたPSDなどの光検知デバイス612の方へ変えることができる。照明器から来る反対方向の光は、ダイクロイックミラー605を通り抜け、前のように試料に達する。リレーレンズ614は、レンズ610の後焦点面を容易に使用できない場合に使用して(図9Bに示す)、その面をPSDの上に投影することができる。このような実施形態では、顕微鏡は完全に動作可能のままであることができる。
【0050】
図10は、浮遊チャンバ701内の媒体中に浮遊させた捕獲粒子に作用する光学力の測定を可能にするために、光学顕微鏡の光学列中に設置することができる一実施形態のシステム/デバイス700を示す。このデバイスは、顕微鏡のコンデンサレンズに取って代わるように構成される。図10の実施形態では、このデバイスは、前レンズ703と、1つまたは複数の内部レンズ704とを有する収集レンズ702を含む。収集レンズ702の機能および構造は、光検知デバイス115、フィルタ113、およびリレーレンズ114が単一デバイスを好ましく形成するように収集レンズ702と一体化されていることを除いて、上で論じた収集レンズ110と類似している。図示の実施形態では、PSDまたはカメラなどの光検知デバイス115は、収集レンズ筐体705の側壁に取り付けられている。代替実施形態では、光検知デバイス115は、収集レンズ702の筐体705に取り付けられているが、ブラケットまたは他の適切な手段を使用して側壁からある間隔をおいて配置される。筐体705内に、後焦点面706の光場を光検知デバイス115の上に投影するリレーレンズ114が置かれる。ダイクロイックミラー112は、トラップから来る光を光検知デバイス115の中に入れるように偏向する一方で、異なる波長の光がレンズを通り抜けることを可能にする。フィルタ113は、ダイクロイックミラー112と光検知デバイス115の間に配置され、偏向された光を減衰して光検知デバイスの飽和を防止する。光検知デバイス115は、可読フォーマットの力測定値を生成するために、1つまたは複数のコネクタまたはケーブル708を介して、または無線伝送によって、コンピュータまたは他のデバイスと接続可能であることが好ましい。収集レンズ702は、水または油などの液浸媒体を介して浮遊チャンバ701の出口カバー701aと整合するように設計され、かつチャンバ701内に試料を浮遊させるための媒体の屈折率以上の開口数を有するように設計される。一代替実施形態では、スペーサが、収集レンズ702に取外し可能に取り付けられ、あるいは、収集レンズとチャンバ701の出口カバー701aとの間に望ましい作動距離wを維持する機能と共に、筐体705と一体化して形成される。
【0051】
図11は、浮遊チャンバ701内の媒体中に浮遊させた捕獲粒子に作用する光学力の測定を可能にするために、光学顕微鏡の光学列中に設置することができる一実施形態のシステム/デバイス720を示す。このデバイスは、顕微鏡のコンデンサレンズに取って代わるように構成される。図11の実施形態では、このデバイスは、前レンズ703と、1つまたは複数の内部レンズ704とを有する収集レンズ702を含む。収集レンズ702の機能および構造は、光検知デバイス115、リレーレンズ114、および透過マスク721が単一デバイスを好ましく形成するように収集レンズ702と一体化されていることを除いて、上で論じた収集レンズ110と類似している。図示の実施形態では、PSDまたはカメラなどの光検知デバイス115は、収集レンズ筐体705の側壁に取り付けられている。代替実施形態では、光検知デバイス115は、収集レンズ702の筐体705に取り付けられているが、ブラケットまたは他の適切な手段を使用して側壁からある間隔をおいて配置される。筐体705内に、後焦点面706の光場を光検知デバイス115の上に投影するリレーレンズ114が置かれる。ダイクロイックミラー112は、トラップから来る光を光検知デバイス115の中に入れるように偏向する一方で、異なる波長の光がレンズを通り抜けることを可能にする。光検知デバイス115の近く、または好ましくは光検知デバイス115に配置される透過マスク721は、試料浮遊チャンバ701の出口カバー701aで発生することが予想される反射損失を補償するために設けられる。光検知デバイス115は、可読フォーマットの力測定値を生成するために、1つまたは複数の接続部またはケーブル708を介して、または無線伝送によって、コンピュータまたは他のデバイスと接続可能であることが好ましい。収集レンズ702は、水または油などの液浸媒体を介して浮遊チャンバ701の出口カバー701aと整合するように設計され、かつチャンバ701内に試料を浮遊させるための媒体の屈折率以上の開口数を有するように設計される。一代替実施形態では、スペーサが収集レンズに取外し可能に取り付けられ、あるいは筐体705と一体化して形成され、このスペーサは、収集レンズ702とチャンバ701の出口カバー701aとの間に望ましい作動距離wを維持するように機能する。
【0052】
図12は、浮遊チャンバ701内の媒体中に浮遊させた捕獲粒子に作用する光学力の測定を可能にするために、光学顕微鏡の光学列中に設置することができる一実施形態のシステム/デバイス730を示す。このデバイスは、顕微鏡のコンデンサレンズに取って代わるように構成される。図12の実施形態では、このデバイスは、前レンズ703と、1つまたは複数の内部レンズ704とを有する収集レンズ702を含む。収集レンズ702の機能および構造は、光検知デバイス115、フィルタ113、リレーレンズ114、および透過マスク721が単一デバイスを好ましく形成するように収集レンズ702と一体化されていることを除いて、上で論じた収集レンズ110と類似している。図示の実施形態では、PSDまたはカメラなどの光検知デバイス115は、収集レンズ筐体705の側壁に取り付けられている。代替実施形態では、光検知デバイス115は、収集レンズ702の筐体705に取り付けられているが、ブラケットまたは他の適切な手段を使用して側壁からある間隔をおいて配置される。筐体705内に、後焦点面706の光場を光検知デバイス115の上に投影するリレーレンズ114が置かれる。ダイクロイックミラー112は、トラップから来る光を光検知デバイス115の中に入れるように偏向する一方で、異なる波長の光がレンズを通り抜けることを可能にする。フィルタ113は、ダイクロイックミラー112と光検知デバイス115の間に配置され、偏向された光を減衰して光検知デバイスの飽和を防止する。光検知デバイス115の近く、または好ましくは光検知デバイス115に配置される透過マスク721は、試料浮遊チャンバ701の出口カバー701aで発生することが予想される反射損失を補償するために設けられる。光検知デバイス115は、可読フォーマットの力測定値を生成するために、1つまたは複数のコネクタまたはケーブル708を介して、または無線伝送によって、コンピュータまたは他のデバイスと接続可能であることが好ましい。収集レンズ702は、水または油などの液浸媒体を介して浮遊チャンバ701の出口カバー701aと整合するように設計され、かつチャンバ701内に試料を浮遊させるための媒体の屈折率以上の開口数を有するように設計される。一代替実施形態では、スペーサが、収集レンズに取外し可能に取り付けられ、あるいは、収集レンズとチャンバ701の出口カバー701aとの間に望ましい作動距離wを維持する機能と共に、筐体705と一体化して形成される。
【0053】
図13は、浮遊チャンバ701内の媒体中に浮遊させた捕獲粒子に作用する光学力の測定を可能にするために、光学顕微鏡の光学列中に設置することができる一実施形態のシステム/デバイス740を示す。このデバイスは、顕微鏡のコンデンサレンズに取って代わるように構成される。図13の実施形態では、このデバイスは、前レンズ703と、1つまたは複数の内部レンズ704とを有する収集レンズ702を含む。収集レンズ702の機能および構造は、光検知デバイス115、フィルタ113が、収集レンズ702の後焦点面またはその近くに光検知デバイス115が置かれた単一デバイスを好ましく形成するように収集レンズ702と一体化されていることを除いて、上で論じた収集レンズ110と類似している。収集レンズ筐体705内に置かれたダイクロイックミラー112は、収集レンズ702の後焦点面へ行く光場を光検知デバイス115の中に入れるように偏向する一方で、異なる波長の光がレンズを通り抜けることを可能にする。後焦点面を光検知デバイスの上に適正に平行移動させるために、鏡112と後焦点面706の間の距離「s」と、鏡112と光検知デバイス115の間の距離「s」とは等しくされ、または実質的に等しくされる。フィルタ113は、ダイクロイックミラー112と光検知デバイス115の間に配置され、偏向された光を減衰して光検知デバイスの飽和を防止する。光検知デバイス115は、可読フォーマットの力測定値を生成するために、1つまたは複数のコネクタまたはケーブル708を介して、または無線伝送によって、コンピュータまたは他のデバイスと接続可能であることが好ましい。収集レンズ702は、水または油などの液浸媒体を介して浮遊チャンバ701の出口カバー701aと整合するように設計され、かつチャンバ701内に試料を浮遊させるための媒体の屈折率以上の開口数を有するように設計される。一代替実施形態では、スペーサが、収集レンズに取外し可能に取り付けられ、あるいは、収集レンズとチャンバ701の出口カバー701aとの間に望ましい作動距離wを維持する機能と共に、筐体705と一体化して形成される。
【0054】
図14は、浮遊チャンバ701内の媒体中に浮遊させた捕獲粒子に作用する光学力の測定を可能にするために、光学顕微鏡の光学列中に設置することができる一実施形態のシステム/デバイス750を示す。このデバイスは、顕微鏡のコンデンサレンズに取って代わるように構成される。図14の実施形態では、このデバイスは、前レンズ703と、1つまたは複数の内部レンズ704とを有する収集レンズ702を含む。収集レンズ702の機能および構造は、光検知デバイス115および透過マスク721が、収集レンズ702の後焦点面またはその近くに光検知デバイス115が置かれた単一デバイスを好ましく形成するように収集レンズ702と一体化されていることを除いて、上で論じた収集レンズ110と類似している。収集レンズ筐体705内に置かれたダイクロイックミラー112は、収集レンズ702の後焦点面へ行く光場を光検知デバイス115の中に入れるように偏向する一方で、異なる波長の光がレンズを通り抜けることを可能にする。後焦点面を光検知デバイスの上に適正に平行移動させるために、鏡112と後焦点面706の間の距離「s」と、鏡112と光検知デバイス115の間の距離「s」とは等しくされ、または実質的に等しくされる。光検知デバイス115と同じ平面に配置される透過マスク721は、試料浮遊チャンバ701の出口カバー701aで発生することが予想される反射損失を補償するために設けられる。光検知デバイス115は、可読フォーマットの力測定値を生成するために、1つまたは複数のコネクタまたはケーブル708を介して、または無線伝送によって、コンピュータまたは他のデバイスと接続可能であることが好ましい。収集レンズ702は、水または油などの液浸媒体を介して浮遊チャンバ701の出口カバー701aと整合するように設計され、かつチャンバ701内に試料を浮遊させるための媒体の屈折率以上の開口数を有するように設計される。一代替実施形態では、スペーサが、収集レンズに取外し可能に取り付けられ、あるいは、収集レンズとチャンバ701の出口カバー701aとの間に望ましい作動距離wを維持する機能と共に、筐体705と一体化して形成される。
【0055】
図15は、浮遊チャンバ701内の媒体中に浮遊させた捕獲粒子に作用する光学力の測定を可能にするために、光学顕微鏡の光学列中に設置することができる一実施形態のシステム/デバイス760を示す。このデバイスは、顕微鏡のコンデンサレンズに取って代わるように構成される。図15の実施形態では、このデバイスは、前レンズ703と、1つまたは複数の内部レンズ704とを有する収集レンズ702を含む。収集レンズ702の機能および構造は、光検知デバイス115、フィルタ113、および透過マスク721が、収集レンズ702の後焦点面またはその近くに光検知デバイス115が置かれた単一デバイスを好ましく形成するように収集レンズ702と一体化されていることを除いて、上で論じた収集レンズ110と類似している。収集レンズ筐体705内に置かれたダイクロイックミラー112は、収集レンズ702の後焦点面へ行く光場を光検知デバイス115の中に入れるように偏向する一方で、異なる波長の光がレンズを通り抜けることを可能にする。後焦点面を光検知デバイスの上に適正に平行移動させるために、鏡112と後焦点面706の間の距離「s」と、鏡112と光検知デバイス115の間の距離「s」とは等しくされ、または実質的に等しくされる。フィルタ113は、ダイクロイックミラー112と光検知デバイス115の間に配置され、偏向された光を減衰して光検知デバイスの飽和を防止する。光検知デバイス115と同じ平面に配置される透過マスク721は、試料浮遊チャンバ701の出口カバー701aで発生することが予想される反射損失を補償するために設けられる。光検知デバイス115は、可読フォーマットの力測定値を生成するために、1つまたは複数のコネクタまたはケーブル708を介して、または無線伝送によって、コンピュータまたは他のデバイスと接続可能であることが好ましい。収集レンズ702は、水または油などの液浸媒体を介して浮遊チャンバ701の出口カバー701aと整合するように設計され、かつチャンバ701内に試料を浮遊させるための媒体の屈折率以上の開口数を有するように設計される。一代替実施形態では、スペーサが、収集レンズに取外し可能に取り付けられ、あるいは、収集レンズとチャンバ701の出口カバー701aとの間に望ましい作動距離wを維持する機能と共に、筐体705と一体化して形成される。
【0056】
再び図1を参照すると、システム100が備える構成要素は、描かれたあらゆる構成要素より少なくてもよいことに留意することが重要である。加えて、各素子および/または構成要素の他の組合せをあるシステムまたはデバイスに一体化して、粒子に作用する光学力を測定することが、本発明の範囲および広さから逸脱することなく可能である。一実施形態では、このシステムは、光源101と、チャンバ109と、高開口数トラップ対物レンズ107と、チャンバの中に粒子を浮遊させるための浮遊媒体の屈折率以上の開口数を有する収集レンズ110と、収集レンズの後焦点面またはその近くに配置された、あるいは後焦点面の光学等価物に配置された光検知デバイスとを備えることができる。構成要素102、104、105、112、114、130および132に関しては、これらは個々に、あるいは1つまたは複数の他の構成要素と組み合わせて、システムから省くことができる。例えば、システムが顕微鏡の光学列内で一体化される必要はない。このようなシステムでは、レーザ光源101および光検知デバイスは、トラップ対物レンズ107および収集レンズ110の光路と直列に並べることができ、それによってダイクロイックミラー105および112が不要になる。加えて、レーザ光源101は、構成要素102、103、130、132および104のうちの1つ以上を必要とせずに、トラップ対物レンズ107の入口瞳106をちょうど満たす、またはあふれさせることができる平行化および円偏波された光ビームを生成するように構築できることが企図されている。システム性能を向上するために、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、追加の構成要素または特徴をシステム100に組み込むことが可能なことが企図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の光ビームを発生する光源と、
浮遊媒体中の粒子を収容するチャンバと、
高い傾斜力を用いることによって光ビーム光子に前記粒子を捕獲させるように前記粒子上に光ビームを集束する高開口数トラップ対物レンズと、
前記粒子によって偏向された光子と前記粒子によって偏向されなかった光子の両方を、捕獲されるべき前記粒子の上半球中に捕獲するように配置された単一の収集レンズであって、前記チャンバ中に前記粒子を浮遊させるための浮遊媒体の屈折率以上の開口数を有する収集レンズと、
前記収集レンズの後焦点面またはその近くに配置された、あるいは後焦点面の光学等価物に配置された光検知デバイスと
を備えるシステム。
【請求項2】
前記光源が高出力レーザ光源である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記収集レンズが約1.32から約1.40の間の開口数を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記対物レンズが約0.90から約1.40の間の開口数を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記光源によって生成された前記光ビームが直線偏光を有し、前記システムがさらに、前記直線偏光を円偏光または実質的な円偏光に変えるために前記光源と前記トラップ対物レンズとの間に配置された半波長板を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記光検知デバイスが位置検知デバイスまたはカメラである、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記位置検知デバイスが、前記位置検知デバイスの上に投影された光分布の重心のx座標およびy座標に比例する2つの電気信号を生成するデュオラテラル検出器型である、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記収集レンズの前レンズと前記光検知デバイスの間に配置されて、前記光検知デバイスの飽和を防止するフィルタをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記チャンバが出口カバーを含み、前記システムが、前記光検知デバイスまたはその近くに配置されて前記出口カバーでの反射損失を補償する透過マスクをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記後焦点面またはその近くの前記光分布の光学等価物を前記光検知デバイスの上に投影するリレーレンズをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記トラップ対物レンズが入口瞳を有し、前記システムがさらに、前記光源と前記入口瞳の間に配置された1つまたは複数のレンズを備え、前記1つまたは複数のレンズが、前記光ビームの直径を変更して前記トラップ対物レンズの入口瞳を満たすように、またはわずかにあふれさせるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記チャンバが、出口カバーでの光ビーム光子の反射を最小限にする反射防止特性を保有する前記出口カバーを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記反射防止特性により前記出口カバーでの反射に起因する光子の損失が、前記出口カバーの表面に沿った任意の所与の点で、前記点に当たる光子の入射角に関係なく実質的に一定になる、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記光検知デバイスが、前記光検知デバイスの上に投影された光分布の重心のx座標とy座標から導出される、前記粒子に作用する光学力の測定値を直接または間接に生成することができる、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記光検知デバイスが、前記収集レンズの後焦点面の光学像に対応する像を生成することができ、前記像が、前記粒子に作用する光学力の測定値を生成するためにコンピュータで可読である、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記試料と前記収集レンズの前レンズとの間に特定の作動距離を維持するように配置されたスペーサをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
粒子に作用する光学力を測定する方法であって、
チャンバ内の浮遊媒体中に前記粒子を浮遊させることと、
高開口数対物レンズを使用するとともに高い傾斜力を用いることによって、前記粒子上に単一の光ビームを集束して光ビーム光子に粒子を捕獲させることと、
前記粒子によって偏向された光子と前記粒子によって偏向されていない光子とを、前記浮遊流体の屈折率以上の開口数を有する単一の収集レンズ系によって前記粒子の上半球中に捕獲することと、
前記捕獲された光子を、前記収集レンズの後焦点面またはその近くに置かれた、あるいは後焦点面の光学等価物に置かれた光検知デバイスに向けることと
を含む方法。
【請求項18】
前記光検知デバイスの上に投影された光分布の重心のx座標およびy座標に比例する電気信号を生成することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記粒子上に集束される光ビームに円偏光または実質的な円偏光を持たせる、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記チャンバが入口カバーと出口カバーとを備え、前記粒子を前記入口カバーより前記出口カバーに近いところに浮遊させる、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記後焦点面の光学的等価物を、前記収集レンズと前記光検知デバイスとの間に配置されたリレーレンズによって生成させる、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記チャンバが出口カバーを備え、前記方法が、前記後焦点面またはその近くに配置された、あるいは後焦点面の等価物に配置された非均一な透過マスクを使用することによって、前記出口カバーでの反射損失を補償することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記チャンバが出口カバーを備え、前記方法が、前記出口カバー上に配置された、または前記出口カバー中に混合された反射防止材料を使用することによって、前記出口における反射損失を補償することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記チャンバが出口カバーを備え、前記方法が、前記出口カバーでの反射による光子の損失を、前記出口カバーの表面に沿った任意の所与の点において、前記点に当たる前記光子の入射角に関係なく実質的に一定に保つことをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記トラップ対物レンズが入口瞳を有し、前記方法が、前記入口瞳に向けられる光ビームの直径を修正することによって、前記トラップ対物レンズの入口瞳を満たすか、またはわずかにあふれさせることをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
前記捕獲された光子を位置検知デバイスまたはカメラに向けて、前記収集レンズの後焦点面またはその近くの前記光学像に対応する光学像を前記位置検知デバイスまたはカメラのところに作り出す、請求項17に記載の方法。
【請求項27】
チャンバの入口カバーと出口カバーの間の浮遊媒体中に浮遊する粒子を単一の光ビームを用いて捕獲するように構成されている光学顕微鏡の光学列中に設置されるシステムであって、
前記粒子によって偏向された光子と前記粒子によって偏向されなかった光子とを前記粒子の上半球中に捕獲するために前記顕微鏡のチャンバの前記出口カバーまたはその近くに設置される単一の収集レンズ系であって、前記チャンバ中に前記粒子を浮遊させるための浮遊媒体の屈折率以上になるように設計された開口数を有する前記収集レンズと、
前記収集レンズの前記後焦点面またはその近くに配置された、あるいは後焦点面の光学等価物に配置された光検知デバイスであって、前記光検知デバイスの上に投影された光分布の重心のx座標とy座標から導出される前記粒子に作用する光学力の測定値を直接または間接に生成することができる前記光検知デバイスと
を備えるシステム。
【請求項28】
前記光検知デバイスが、前記光置検知デバイスの上に投影された光分布の重心のx座標およびy座標に比例する電気信号を生成することができる、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記光検知デバイスが、前記収集レンズの後焦点面の光学像に対応する像を生成することができ、前記像が、前記力の測定値を生成するためにコンピュータで可読である、請求項27に記載のシステム。
【請求項30】
前記光検知デバイスが位置検知デバイスまたはカメラである、請求項27に記載のシステム。
【請求項31】
前記収集レンズの前レンズと前記光検知デバイスの間に配置されて前記後焦点面の光学等価物を作り出すリレーレンズをさらに備える、請求項27に記載のシステム。
【請求項32】
前記収集レンズの前レンズと前記光検知デバイスの間に配置されて前記光検知デバイスの飽和を防止するフィルタをさらに備える、請求項27に記載のシステム。
【請求項33】
前記収集レンズが約1.32から約1.40の間の開口数を有する、請求項27に記載のシステム。
【請求項34】
前記光検知デバイスまたはその近くに配置されて前記出口カバーで生じる反射損失を補償する透過マスクをさらに備える、請求項27に記載のシステム。
【請求項35】
前記位置検知デバイスが、前記位置検知デバイスの上に投影された光分布の重心のx座標およびy座標に比例する2つの電気信号を生成するデュオラテラル検出器型である、請求項30に記載のシステム。
【請求項36】
前記収集レンズが油浸レンズまたは水浸レンズである、請求項27に記載のシステム。
【請求項37】
前記収集レンズおよび光検知デバイスが単一のデバイスに組み込まれている、請求項27に記載のシステム。
【請求項38】
前記収集レンズ、リレーレンズおよび光検知デバイスが単一のデバイスに組み込まれている、請求項27に記載のシステム。
【請求項39】
前記収集レンズ、フィルタおよび光検知デバイスが単一のデバイスに組み込まれている、請求項27に記載のシステム。
【請求項40】
前記収集レンズ、透過マスクおよび光検知デバイスが単一のデバイスに組み込まれている、請求項27に記載のシステム。
【請求項41】
チャンバの入口カバーと出口カバーの間の浮遊媒体中に浮遊する粒子を単一の光ビームを用いて捕獲するように構成されている光学顕微鏡の光学列中に設置されるシステムであって、
前記粒子によって偏向された光子と前記粒子によって偏向されなかった光子とを前記粒子の上半球中に捕獲するために前記顕微鏡のチャンバの前記出口カバーまたはその近くに設置された単一の収集レンズ系であって、前記チャンバ中に前記粒子を浮遊させるための浮遊媒体の屈折率以上になるように設計された開口数を有する前記収集レンズと、
前記収集レンズの前記後焦点面またはその近くに配置された、あるいは後焦点面の光学等価物に配置された光検知デバイスであって、前記光検知デバイスの上に投影された光分布の重心のx座標とy座標から導出される前記粒子に作用する光学力の測定値を直接または間接に生成することができる光検知デバイスと、
前記収集レンズの前レンズと前記光検知デバイスの間に配置されて前記後焦点面の光学等価物を作り出すリレーレンズと、
前記収集レンズの前レンズと前記光検知デバイスとの間に配置されて前記光検知デバイスの飽和を防止するフィルタと
を備えるシステム。
【請求項42】
前記収集レンズ、リレーレンズ、フィルタおよび光検知デバイスが単一のデバイスに組み込まれている、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
チャンバの入口カバーと出口カバーとの間の浮遊媒体中に浮遊する粒子を単一の光ビームを用いて捕獲するように構成されている光学顕微鏡の光学列中に設置されるシステムであって、
前記粒子によって偏向された光子と前記粒子によって偏向されなかった光子とを前記粒子の上半球中に捕獲するために前記顕微鏡のチャンバの前記出口カバーまたはその近くに設置された単一の収集レンズ系であって、前記チャンバ中に前記粒子を浮遊させるための浮遊媒体の屈折率以上になるように設計された開口数を有する前記収集レンズ系と、
前記収集レンズの前記後焦点面またはその近くに配置された、あるいは後焦点面の光学等価物に配置された光検知デバイスであって、前記光検知デバイスの上に投影された光分布の重心のx座標とy座標から導出される前記粒子に作用する光学力の測定値を直接または間接に生成することができる光検知デバイスと、
前記収集レンズの前レンズと前記光検知デバイスとの間に配置されて前記後焦点面の光学等価物を作り出すリレーレンズと、
前記光検知デバイスまたはその近くに配置されて前記チャンバでの反射損失を補償する透過マスクと
を備えるシステム。
【請求項44】
前記収集レンズ、リレーレンズ、透過マスクおよび光検知デバイスが単一のデバイスに組み込まれている、請求項43に記載のシステム。
【請求項45】
チャンバの入口カバーと出口カバーの間の浮遊媒体中に浮遊する粒子を単一の光ビームを用いて捕獲するように構成されている光学顕微鏡の光学列中に設置されるシステムであって、
前記粒子によって偏向された光子と前記粒子によって偏向されなかった光子とを前記粒子の上半球中に捕獲するために前記顕微鏡のチャンバの前記出口カバーまたはその近くに設置された単一の収集レンズ系であって、前記チャンバ中に前記粒子を浮遊させるための浮遊媒体の屈折率以上になるように設計された開口数を有する前記収集レンズと、
前記収集レンズの前記後焦点面またはその近くに配置された、あるいは後焦点面の光学等価物に配置された光検知デバイスであって、前記光検知デバイスの上に投影された光分布の重心のx座標とy座標から導出される前記粒子に作用する光学力の測定値を直接または間接に生成することができる光検知デバイスと、
前記収集レンズの前レンズと前記光検知デバイスとの間に配置されて前記後焦点面の光学等価物を作り出すリレーレンズと、
前記収集レンズの前レンズと前記光検知デバイスとの間に配置されて前記光検知デバイスの飽和を防止するフィルタと、
前記光検知デバイスまたはその近くに配置されて前記チャンバでの反射損失を補償する透過マスクと
を備えるシステム。
【請求項46】
前記収集レンズ、リレーレンズ、フィルタ、透過マスクおよび光検知デバイスが単一のデバイスに組み込まれている、請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
チャンバの入口カバーと出口カバーの間の浮遊媒体中に浮遊する粒子を単一の光ビームを用いて捕獲するように構成されている光学顕微鏡の光学列中に設置されるシステムであって、
前記粒子によって偏向された光子と前記粒子によって偏向されなかった光子とを前記粒子の上半球中に捕獲するために前記顕微鏡のチャンバの前記出口カバーまたはその近くに設置された単一の収集レンズ系であって、前記チャンバ中に前記粒子を浮遊させるための浮遊媒体の屈折率以上になるように設計された開口数を有する収集レンズと、
前記収集レンズの前記後焦点面またはその近くに配置された光検知デバイスであって、前記光検知デバイスの上に投影された光分布の重心のx座標とy座標から導出される前記粒子に作用する光学力の測定値を直接または間接に生成することができる光検知デバイスと、
前記収集レンズの前レンズと前記光検知デバイスとの間に配置されて前記光検知デバイスの飽和を防止するフィルタと
を備えるシステム。
【請求項48】
前記収集レンズ、フィルタおよび光検知デバイスが単一のデバイスに組み込まれている、請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
チャンバの入口カバーと出口カバーの間の浮遊媒体中に浮遊する粒子を単一の光ビームを用いて捕獲するように構成されている光学顕微鏡の光学列中に設置されるシステムであって、
前記粒子によって偏向された光子と前記粒子によって偏向されなかった光子とを前記粒子の上半球中に捕獲するために前記顕微鏡のチャンバの前記出口カバーまたはその近くに設置された単一の収集レンズ系であって、前記チャンバ中に前記粒子を浮遊させるための浮遊媒体の屈折率以上になるように設計された開口数を有する収集レンズと、
前記収集レンズの前記後焦点面またはその近くに配置された光検知デバイスであって、前記光検知デバイスの上に投影された光分布の重心のx座標とy座標から導出される前記粒子に作用する光学力の測定値を直接または間接に生成することができる光検知デバイスと、
前記光検知デバイスまたはその近くに配置されて前記チャンバでの反射損失を補償する透過マスクと
を備えるシステム。
【請求項50】
前記収集レンズ、透過マスクおよび光検知デバイスが単一のデバイスに組み込まれている、請求項49に記載のシステム。
【請求項51】
チャンバの入口カバーと出口カバーの間の浮遊媒体中に浮遊する粒子を単一の光ビームを用いて捕獲するように構成されている光学顕微鏡の光学列中に設置されるシステムであって、
前記粒子によって偏向された光子と前記粒子によって偏向されなかった光子とを前記粒子の上半球中に捕獲するために前記顕微鏡のチャンバの前記出口カバーまたはその近くに設置された単一の収集レンズ系であって、前記チャンバ中に前記粒子を浮遊させるための浮遊媒体の屈折率以上になるように設計された開口数を有する前記収集レンズと、
前記収集レンズの前記後焦点面またはその近くに配置された光検知デバイスであって、前記光検知デバイスの上に投影された光分布の重心のx座標とy座標から導出される前記粒子に作用する光学力の測定値を直接または間接に生成することができる光検知デバイスと、
前記収集レンズの前レンズと前記光検知デバイスとの間に配置されて前記光検知デバイスの飽和を防止するフィルタと、
前記光検知デバイスまたはその近くに配置されて前記チャンバでの反射損失を補償する透過マスクと
を備えるシステム。
【請求項52】
前記収集レンズ、フィルタ、透過マスクおよび光検知デバイスが単一のデバイスに組み込まれている、請求項51に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2012−526978(P2012−526978A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510322(P2012−510322)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【国際出願番号】PCT/ES2010/000210
【国際公開番号】WO2010/130852
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(511275898)
【出願人】(511275902)
【Fターム(参考)】