説明

粘度指数向上剤および潤滑油組成物

【課題】 剪断安定性、粘度指数向上能および低温粘度に優れた粘度指数向上剤を提供する。
【解決手段】 一般式(1)で示されるアルキル(メタ)アクリレート(a)を必須構成単量体としてなる共重合体(A)からなる粘度指数向上剤である。
【化12】


式中、R1は水素原子またはメチル基であり;
【化13】


における炭素数は28〜80であって、R2、R3は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり;R4、R5は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、但し、R3、R5は同時に水素原子ではない;n,kは4〜36の整数であり;A1は炭素数2〜4のアルキレン基であり;mは0または1〜20の整数である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粘度指数向上剤、それを含む潤滑油組成物、およびビニル単量体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境保護の気運が高まり、自動車の省燃費性がより一層要求されてきている。省燃費化の1つの手段として潤滑油の低粘度化による粘性抵抗の低減が挙げられる。しかしながら、単に低粘度化すると液漏れや焼き付きといった問題が生じてくる。また、自動車の快適性能への要求もより一層厳しくなり、中でも低温でのシフト操作性や低温始動性が求められている。これらの問題を解決するためには、一般に粘度指数を上げることが必要とされ、従来から各種の粘度指数向上剤が提案され、特にポリメタクリレート系の共重合体からなる粘度指数向上剤が多く提案されている(例えば特許文献−1〜6)。さらに、最近ではスラッジ分散性、摩擦特性、低温粘度およびせん断安定性に優れた粘度指数向上剤として、特に分岐アルキル基を有するポリメタクリレート系共重合体およびこれらと燐系化合物との組み合わせなどが提案されている(特許文献−7、8)。
【特許文献−1】特開平7−48421号公報
【特許文献−2】特開平7−62372号公報
【特許文献−3】特許公報第2732187号
【特許文献−4】特許公報第2941392号
【特許文献−5】特許2732187号公報
【特許文献−6】特開2002−302687号公報
【特許文献−7】特開2004−124080号公報
【特許文献−8】特開2005−187736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のポリメタクリレート系粘度指数向上剤は、粘度指数効果は十分であるが、低温粘度が悪いという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の分岐構造を有するアルキル(メタ)アクリレート系単量体から構成される共重合体が、剪断安定性、粘度指数向上能および低温粘度に優れていることを見出し本発明に至った。
すなわち本発明は、一般式(1)で示されるアルキル(メタ)アクリレート(a)を必須構成単量体としてなる共重合体(A)からなる粘度指数向上剤;10〜90重量%の該粘度指数向上剤および10〜90重量%の希釈溶剤(D)からなる粘度指数向上剤組成物;該粘度指数向上剤および基油を含有し、基油が2〜10mm2/sの100℃での動粘
度と160℃以上の引火点を有し、潤滑油組成物の重量に基づいて共重合体(A)を0.1〜30重量%含むことを特徴とする潤滑油組成物;および、それを構成する特定の単量体である。
【0005】
【化5】

【0006】
式中、R1は水素原子またはメチル基であり;
【0007】
【化6】

【0008】
における炭素数は28〜80であって、R2、R3は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり;R4、R5は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、但し、R3、R5は同時に水素原子ではない;n,kは4〜36の整数であり;A1は炭素数2〜4のアルキレン基であり;mは0または1〜20の整数である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の粘度指数向上剤は、剪断安定性、粘度指数向上能、抗酸化性および摩擦特性に優れているだけでなく、低温粘度にも優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の粘度指数向上剤は共重合体(A)[以下において、単に(A)と表記することがある]からなり、(A)は一般式(1)で示される(メタ)アクリレート(a)を必須構成単量体とする。
なお、「(メタ)アクリレート」はメタクリレート(メタクリル酸エステル)およびアクリレート(アクリル酸エステル)を意味する。
【0011】
【化7】

【0012】
一般式(1)においてR1は好ましくはメチル基である。
一般式(1)のうちの下記一般式(2)で示されるアルキル基部分の炭素数は通常28〜80、低温粘度の観点から好ましくは28〜56、さらに好ましくは28〜48、特に好ましくは28〜36とりわけ好ましくは32〜36である。
【0013】
【化8】

【0014】
2、R3、R4およびR5のうちの炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基およびイソプロピル基が挙げられる。
2およびR4のうち好ましいのは水素原子およびメチル基であり、特に好ましくは水素原子である。
3およびR5のうち好ましいのは水素原子およびメチル基である。
nおよびkは通常4〜36の整数であって、低温粘度の観点から好ましくは8〜15で
ある。
また、低温粘度の観点から、n個のR3およびk個のR5の合計のうち、少なくとも1個、好ましくは1〜6個、さらに好ましくは1〜4個がメチル基であり、残りが水素原子であることが好ましく、n個のR3およびk個のR5のいずれにも少なくとも1個のメチル基を有することは特に好ましい。
また、k個のR5がいずれも水素原子の場合は、n個のR3のうち、少なくとも1個、好ましくは1〜4個、さらに好ましくは1〜3個がメチル基であり、残りが水素原子であることが好ましい。
一般式(1)におけるAは炭素数2〜4のアルキレン基であり、例えばエチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基および1,4−ブチレン基が挙げられる。これらのうち好ましいのはエチレン基および1,2−プロピレン基である。
mは、溶解性と低温粘度の観点から、好ましくは0または1〜10、さらに好ましくは0または1〜5、特に好ましくは0である。
【0015】
一般式(1)で示される(メタ)アクリレート(a)の具体例としては、以下のものが挙げられ、これらの混合物も使用できる。
(1)n個のR3およびk個のR5のうち1個がメチル基で残りが水素原子であるもの;
一般式(2)で示されるアルキル基の炭素数が28で、n=12、k=9のもの;
2−ドデシル−3−メチルペンタデシル、2−ドデシル−4−メチルペンタデシル、2−ドデシル−5−メチルペンタデシル、2−ドデシル−6−メチルペンタデシル、2−ドデシル−7−メチルペンタデシル、2−ドデシル−8−メチルペンタデシル、2−ドデシル−9−メチルペンタデシル、2−ドデシル−10−メチルペンタデシル、2−ドデシル−11−メチルペンタデシル、2−ドデシル−12−メチルペンタデシル、2−ドデシル−13−メチルペンタデシルおよび2−ドデシル−14−メチルペンタデシル(メタ)アクリレートなど:
一般式(2)で示されるアルキル基の炭素数が30で、n=12、k=11のもの;
2−テトラデシル−3−メチルペンタデシル、2−テトラデシル−4−メチルペンタデシル、2−テトラデシル−5−メチルペンタデシル、2−テトラデシル−6−メチルペンタデシル、2−テトラデシル−7−メチルペンタデシル、2−テトラデシル−8−メチルペンタデシル、2−テトラデシル−9−メチルペンタデシル、2−テトラデシル−10−メチルペンタデシル、2−テトラデシル−11−メチルペンタデシル、2−テトラデシル−12−メチルペンタデシル、2−テトラデシル−13−メチルペンタデシルおよび2−テトラデシル−14−メチルペンタデシル(メタ)アクリレートなど:
一般式(2)で示されるアルキル基の炭素数が32でn=12、k=13のもの;
2−(1−メチルトリデシル)オクタデシル、2−(2−メチルトリデシル)オクタデシルおよび2−(12−メチルトリデシル)オクタデシル(メタ)アクリレートなど:
一般式(2)で示されるアルキル基の炭素数が34でn=12、k=15のもの;
2−(1−メチルトリデシル)エイコシル、2−(2−メチルトリデシル)エイコシルおよび2−(12−メチルトリデシル)エイコシル(メタ)アクリレートなど:
一般式(2)で示されるアルキル基の炭素数が36でn=12、k=17のもの;
2−(1−メチルトリデシル)ドコシル、2−(2−メチルトリデシル)ドコシルおよび2−(12−メチルトリデシル)ドコシル(メタ)アクリレートなど:
【0016】
(2)n個のR3およびk個のR5のいずれにも1個のメチル基を有し、残りが水素原子であるもの;
一般式(2)で示されるアルキル基の炭素数が28でn=10、k=10のもの:
2−(1−メチルウンデシル)−5−メチルペンタデシル,2−(10−メチルウンデシル)−5−メチルペンタデシル、2−(1−メチルウンデシル)−14−メチルペンタデシルおよび2−(10−メチルウンデシル)−14−メチルペンタデシル(メタ)アクリ
レートなど;
一般式(2)で示されるアルキル基の炭素数が32でn=12、k=12のもの:
2−(1−メチルトリデシル)−5−メチルヘプタデシル,2−(12−メチルトリデシル)−5−メチルヘプタデシル、2−(1−メチルトリデシル)−16−メチルヘプタデシルおよび2−(12−メチルトリデシル)−16−メチルヘプタデシル(メタ)アクリレートなど;
一般式(2)で示されるアルキル基の炭素数が34でn=13、k=13のもの:
2−(1−メチルテトラデシル)−5−メチルオクタデシル,2−(13−メチルテトラデシル)−5−メチルオクタデシル、2−(1−メチルテトラデシル)−17−メチルオクタデシルおよび2−(13−メチルテトラデシル)−17−メチルオクタデシル(メタ)アクリレートなど;
【0017】
(3)n個のR3およびk個のR5のうちの3個がメチル基で残りが水素原子であるもの;一般式(2)で示されるアルキル基の炭素数が32でn=11、k=12のもの:
2−(1,5−ジメチルドデシル)−5−メチルヘプタデシルおよび2−(4,12−ジメチルドデシル)−5−メチルヘプタデシル(メタ)アクリレートなど;
一般式(2)で示されるアルキル基の炭素数が34でn=12、k=13のもの:
、2−(1,5−ジメチルトリデシル)−5−メチルオクタデシルおよび2−(4,12−ジメチルトリデシル)−17−メチルオクタデシル(メタ)アクリレートなど;
(4)n個のR3およびk個のR5のうちの4個がメチル基で残りが水素原子であるもの;一般式(2)で示されるアルキル基の炭素数が32でn=11、k=11のもの:
2−(1,5−ジメチルドデシル)−5,10−ジメチルヘキサデシル,2−(5,11−ジメチルドデシル)−5,10−ジメチルヘキサデシル、2−(1,5−ジメチルドデシル)−7,15−ジメチルヘキサデシルおよび2−(5,11−ジメチルドデシル)−7,15−ジメチルヘキサデシル(メタ)アクリレートなど;
一般式(2)で示されるアルキル基の炭素数が34でn=12、k=12のもの:
2−(1,5−ジメチルトリデシル)−5,10−ジメチルヘプタデシル,2−(5,12−ジメチルトリデシル)−5,10−ジメチルヘプタデシル、2−(1,5−ジメチルトリデシル)−7,16−ジメチルヘプタデシルおよび2−(5,11−ジメチルトリデシル)−7,16−ジメチルヘプタデシル(メタ)アクリレートなど;
【0018】
(メタ)アクリレート(a)のうち、粘度指数の観点から好ましいのは、一般式(1)におけるn個のR3およびk個のR5のうちの1〜4個がメチル基であって残りが水素原子である(メタ)アクリレート、または(a)が2種以上からなり、一般式(1)におけるn個のR3およびk個のR5のうちの平均で1〜4個がメチル基であって残りが水素原子である(メタ)アクリレートの混合物である。
さらに好ましいのは、(a)が、一般式(2)で示されるアルキル基の炭素数が28〜36、とりわけ炭素数が32〜34であり、mが0であるアルキル(メタ)アクリレートの2種以上の混合物である。
【0019】
(a)は、通常、下記一般式(7)で示される脂肪族飽和アルコールもしくはそのアルキレンオキサイド付加物、および(メタ)アクリル酸もしくはその低級アルキルエステルから合成される。
【0020】
【化9】

【0021】
式中、R2、R3、R4、R5、nおよびkはいずれも一般式(1)におけるものと同様である。
上記のアルコールとしては、メチル分岐オレフィンのオキソアルコール同士をゲルベ反応により2量化したアルコール、オキソアルコールとメチル分岐オレフィンのオキソアルコールをゲルベ反応により縮合させたアルコール、天然系アルコールとメチル分岐オレフィンのオキソアルコールをゲルベ反応により縮合させたアルコールおよびこれらアルコールのアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。これらのなかで、低温粘度の観点から好ましくは、メチル分岐オレフィンのオキソアルコール同士をゲルベ反応により2量化したアルコールである。前駆体のメチル分岐オレフィンのオキソアルコールとしては「ネオドール67」(Shell Chemicals社製)(「ネオドール」は登録商標)が市販されている。オキソアルコールとしては、「ネオドール23」および「ネオドール45」(シェル化学株式会社製)が挙げられる。
なお、エチレン/プロピレンオリゴマーなどのビニル重合体を残基とするアルコールは炭素数の分布が広いので好ましくない。
【0022】
共重合体(A)は、(a)以外に、必要により、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(b1);炭素数8〜17のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび炭素数18〜24の直鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上の単量体(b2);並びにその他の単量体(c)〜(m)からなる群から選ばれる1種以上の単量体;から構成されていてもよい。
【0023】
(b1)には、メチル、エチル、n−およびイソ−プロピル、並びにn−、イソ−、sec−およびtert−ブチル(メタ)アクリレートが含まれる。
【0024】
(b2)には、炭素数8〜17の直鎖アルキル(メタ)アクリレートおよび炭素数8〜17の分岐アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(b21)、並びに炭素数18〜24の直鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(b22)が含まれる。
【0025】
(b21)には、炭素数8〜17の直鎖アルキル(メタ)アクリレート(b211)および炭素数8〜17の分岐アルキル(メタ)アクリレート(b212)が含まれる。
(b211)としては、例えばn−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシルおよびn−オクタデシルメタクリレート、並びにn−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−トリデシルおよびn-ペンタデシルメタクリレートなどが挙げられ、さらにこれらに対応するアクリレート、例えばn−ドデシルアクリレートなど、およびチーグラーアルコールの(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(b212)としては、例えばイソオクチル、2−エチルヘキシル、イソノニル、イソデシル、2−メチルウンデシル、および2−メチルドデシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
(b21)としてはさらに、炭素数8〜17の直鎖アルコールおよび炭素数8〜17の分岐アルコールの混合物の(メタ)アクリレート(b213)が挙げられる。
(b211)と(b212)の混合物としては、例えばオキソアルコールの(メタ)アクリレートが挙げられ、オキソアルコールとしては、「ネオドール23」および「ネオドール45」(シェル化学株式会社製)、並びに「オキソコール1213」および「オキソコール1415」(日産化学株式会社製)などが挙げられる。
(b21)のうちで好ましいのは、粘度指数および低温粘度の観点から、炭素数12〜17(さらに炭素数12〜15)アルキル(メタ)アクリレート、特に炭素数12〜17の(さらに12〜15)直鎖アルキル(メタ)アクリレートである。
【0026】
(b22)には炭素数18〜24の直鎖アルキル(メタ)アクリレート、例えばn−オクタデシル(アクリレート、n−ノナデシル(メタ)アクリレート、n−エイコシルメタクリレート、n−エイコシルアクリレート、n−ドコシル(メタ)アクリレートおよびn−テトラコシル(メタ)アクリレートが挙げられる。(b22)のうち、粘度指数および低温粘度の観点から好ましいのはn−オクタデシル(メタ)アクリレートである。
【0027】
単量体(c)〜(m)としては以下のものが挙げられる。
【0028】
(c)水酸基、アミド基またはカルボキシル基含有単量体:
(c1)水酸基含有単量体、
(c11)水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル
炭素数2〜4のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート[例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよび2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなど]および3〜8個の水酸基を含有する多価アルコールの(メタ)アクリレート[グリセリンモノ−およびジ−(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ−およびジ−(メタ)アクリレート並びに蔗糖(メタ)アクリレートなど]
(c12)炭素数2〜12のアルケノール:
ビニルアルコール(酢酸ビニル単位の加水分解により形成される)、及び炭素数3〜12のアルケノール[(メタ)アリルアルコール、(イソ)プロペニルアルコール、1−ブテン−3−オール、1−ブテン−4−オールおよび1−オクテノールなど]。
(c13)炭素数3〜12のアルケニル基を有する水酸基含有アルケニルエーテル;
例えばヒドロキシアルキル(炭素数1〜6)アルケニル(炭素数3〜12)エーテル[例えば2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、並びに多価アルコールの炭素数3〜12のアルケニルエーテル{トリメチロールプロパンモノ−およびジ−(メタ)アリルエーテルおよび蔗糖(メタ)アリルエーテルなど}]。
(c14)水酸基含有芳香族単量体;
o−、m−またはp−ヒドロキシスチレンなど。
(c15)単量体(c11)〜(c14)の(ポリ)オキシアルキレンエーテル;
【0029】
(c1)のうちで好ましいのは(c11)、特に炭素数2〜4のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、とりわけ好ましいのはヒドロキシエチルアクリレート、特にヒドロキシエチルメタクリレートである。
【0030】
(c2)アミド基含有単量体:
(c21)(メタ)アクリルアミド類:
非置換およびアルキル置換アクリルアミド[例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−モノ−アルキル(炭素数1〜4))およびN,N−ジ−アルキル(炭素数1〜4)−置換(メタ)アクリルアミド]、ヒドロキシアルキル置換アクリルアミド[例えばN−モノ−ヒドロキシアルキル(炭素数1〜4)およびN,N−ジ−ヒドロキシアルキル(炭素数1〜4)置換(メタ)アクリルアミド]、およびN−ビニルカルボン酸アミド[例えばN−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドおよびN−ビニルラクタム(N−ビニルピロリドンなど)]。
【0031】
(c2)のうちで好ましいのは非置換およびアルキル置換アクリルアミド、特に(メタ)アクリルアミド、とりわけアクリルアミドである。
【0032】
(c3)カルボキシル基含有単量体:
不飽和モノカルボン酸[メタクリル酸、アクリル酸、(イソ)クロトン酸およびシンナミック酸など]、不飽和ジカルボン酸[マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸など]、および不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜8)エステル[モノア
ルキルマレート、モノアルキルフマレートおよびモノアルキルイタコネートなど]
単量体(c)のうちで、粘度指数および剪断安定性の観点から好ましいのは(c1)および(c2)、特に(c1)である。
【0033】
(d)(a)、(b1)および(b2)以外のアルキル(メタ)アクリレート:
(d1)炭素数5〜7のアルキル(メタ)アクリレート[n−、ネオ−およびイソ−ペンチル、並びにn−およびイソ−ヘキシル(メタ)アクリレートなど];
(d2)(a)以外の炭素数18〜36の分岐アルキル(メタ)アクリレート[2−デシルテトラデシル(メタ)アクリレート、2−オクチルドデシル(メタ)アクリレート、2−ドデシルヘキサデシル(メタ)アクリレートなど]。
【0034】
(e)炭素数2〜20の不飽和炭化水素:
(e1)炭素数2〜20の不飽和脂肪族炭化水素[炭素数2〜20のアルケン(エチレン、プロピレン、イソブテン、ブテン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセンおよびオクタデセン)、炭素数4〜12のアルカジエン(ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘプタジエンおよび1,7−オクタジエン)];
(e2)炭素数5〜20の不飽和脂環式炭化水素[シクロアルケン(シクロヘキセンなど)、ジシクロアルカジエン(シクロペンタジエンおよびジシクロペンタジエンなど)、環式テルペン(ピネンおよびリモネンなど)、ビニル(ジ)シクロアルケン(ビニルシクロヘキセンなど)、エチリデン(ジ)シクロアルケン(エチリデンビシクロヘプテンおよびエチリデンノルボルネンなど)および芳香環含有シクロアルケン(インデンなど)];
(e3)不飽和芳香族炭化水素[スチレンおよびその誘導体、例えば炭素数1〜20のハイドロカルビル置換スチレン(α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、4−エチルスチレン、4−イソプロピルスチレン、4−ブチルスチレン、4−フェニルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ベンジルスチレンおよび4−クロチルベンゼンなど)および炭素数2〜10のアルケニルナフタレン(2−ビニルナフタレンなど)]。
【0035】
(f)ビニルケトン:
炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数6〜8のアリールビニルケトン(メチルビニルケトン、エチルビニルケトンおよびフェニルビニルケトンなど。
【0036】
(g)エポキシ基含有不飽和単量体:
エポキシ基含有アクリル系単量体{グリシジル(メタ)アクリレートなど}およびエポキシ基含有する炭素数2〜10のアルケニル(好ましくは炭素数3〜6のアルケニル)エーテル{グリシジル(メタ)アリルエーテルなど}。
(h)ハロゲン原子含有不飽和単量体:
ビニルまたはビニリデンハロゲン化物(塩化ビニル、臭化ビニルおよび塩化ビニリデン)、炭素数3〜6のアルケニルハロゲン化物{塩化(メタ)アリル}およびハロゲン置換スチレン{(ジ)クロロスチレンなど}。
(i)アルキルアルケニルエーテル:
アルキル(炭素数1〜10)アルケニル(炭素数2〜10)エーテル[アルキルビニルエーテル(メチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテルおよびエチルビニルエーテル)並びにアルキル(メタ)アリルエーテルおよび(イソ)プロペニルエーテル(メチルアリルエーテルおよびエチルアリルエーテル)など];
【0037】
(j)アルケニルカルボキシレート:
アルケニル(炭素数2〜10)カルボキシレート(炭素数1〜10)[酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、ヘプタン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニルおよびn−オクタン酸ビニルなど]。(j)のうちで好ましいのは酢酸ビニル
およびプロピオン酸ビニルである。
【0038】
(K)アミド基含有単量体(c2)以外の窒素原子含有不飽和単量体:
(k1)アミノ基含有単量体、
(k11)アミノ基含有脂肪族単量体、
アミノ基含有(メタ)アクリレート[(モノ−アルキル(炭素数1〜4))アミノアルキル(炭素数2〜6)(メタ)アクリレート{アミノエチル、アミノプロピル、メチルアミノエチル、エチルアミノエチル、ブチルアミノエチルおよびメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート}、ジ−アルキル(炭素数1〜4)アミノアルキル(炭素数2〜6)(メタ)アクリレート{ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート}]、これらの(メタ)アクリレートに対応するアミノ基含有(メタ)アクリルアミド、およびアルケニルアミン[例えば(ジ)(メタ)アリルアミンおよび(イソ)クロチルアミンなど];
(k12)アミノ基含有複素環式単量体、
アミノ基含有複素環式アクリル系単量体[モルホリノ−アルキル(炭素数2〜6)(メタ)アクリレート{モルホリノエチル(メタ)アクリレート}]、ビニル置換複素環式アミン[ビニルピリジン(4−および2−ビニルピリジン)]、N−ビニルピロールおよびN−ビニルピロリジンなど;。
(k13)アミノ基含有芳香族単量体、
アミノスチレン類[アミノスチレンおよび(ジ)メチルアミノスチレンなど]。
(k14)上記のアミノ基含有単量体の塩[塩酸塩、リン酸塩および炭素数1〜8のカルボン酸塩];
【0039】
(k2)第4級アンモニウム塩基含有単量体、
上記の(k11)〜(k13)の4級化によって得られる第4級アンモニウム塩であって、4級化剤としては炭素数1〜8のアルキルハロゲン化物(メチルクロライドなど)、ベンジルハライド(塩化ベンジルなど)、ジアルキル(炭素数1〜2)サルフェート(ジメチルサルフェートおよびジエチルサルフェート)およびジC1-2アルキルカーボネート(
ジメチルカーボネートなど)が使用できる。
また、(k2)には、1種または2種以上のアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド)で(k14)を4級化することにより得られ第4級アンモニウム塩も含まれる。
【0040】
(k3)ニトリルまたはニトロ基含有単量体[(メタ)アクリロニトリルおよびニトロスチレンなど]。
【0041】
(A)が清浄性を必要とされる場合は、単量体(k)[特に(k112)および(k121)、とりわけジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびモルホリノエチル(メタ)アクリレート]を使用することが好ましい。
【0042】
(m)不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステル:
不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびシトラコン酸など)炭素数1〜40(好ましくは1〜20)のハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキルおよびアラルキル)エステル[ジメチル、ジエチルおよびジオクチルマレート、並びに対応するフマレートおよびイタコネートなど]。
【0043】
共重合体(A)は、(a)以外に、さらに他の単量体を構成単量体とする場合、下記の(1)〜(3)を構成単量体としてなる共重合体であることが低温粘度と粘度指数の観点から好ましい。
(1):(a)好ましくは3〜95重量%、
(2):炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(b1)を好ましくは5〜70重量%、
(3):炭素数8〜17のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート並びに炭素数18〜24の直鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上の単量体(b2)を好ましくは0.1〜90重量%。
共重合体(A)のさらに好ましい構成単量体の構成割合は下記表1に示した通りである。
【0044】
【表1】

【0045】
共重合体(A)の重量平均分子量は(以下Mwと略す)通常5,000〜1,000,000である。
Mwが5,000未満では、粘度指数向上能に乏しい。1,000,000を越えると剪断安定性に乏しくなる。なお、Mwは、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーによって測定されるものであり、ポリスチレンに換算して求めたものである。
(A)のMwは、基油の種類、(A)の添加の目的および得られる潤滑油組成物の用途によって異なるが、粘度指数向上能と剪断安定性の観点から、潤滑油組成物の用途によって下記表2に記載の範囲が好ましい。(A)のMwは、重合時の温度、単量体濃度(溶媒濃度)、触媒量または連鎖移動剤量などにより調整できる。
【0046】
【表2】

【0047】
(A)は通常8.6〜11、基油への溶解性と粘度指数向上効果の観点から好ましくは9.2〜10.5、特に9.4〜9.8のSP値を有する。SP値はFedorsによる方法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]によって計算できる。
(A)のSP値は、構成単位のそれぞれのSP値を計算し、目的のSP値になるように単量体の種類とモル比を採択することにより調整できる。
例えば、アルキル(メタ)アクリレートの場合、アルキル基の長さによりSP値を調整することができる。
【0048】
(A)は、抗乳化性の観点から好ましくは0.5〜7、さらに好ましくは1〜6.5、特に好ましくは1.5〜6のHLBを有する。本発明におけるHLBは小田法のHLBであり、有機化合物の有機性と無機性の概念(「新.界面活性剤入門」藤本武彦著、三洋化成工業株式会社発行、p197−201)に基づいて定義されるものである。
【0049】
共重合体(A)は、公知の製造方法によって得ることができる。例えば前記の単量体を溶剤中で重合触媒存在下にラジカル重合することにより得られる。
【0050】
溶剤としては、例えば、トルエン、キシレンまたは炭素数9〜10のアルキルベンゼンなどの芳香族溶剤、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンおよびオクタンなどの脂肪族炭化水素(炭素数6〜18)、2−プロパノール、1−ブタノールまたは2−ブタノールなどのアルコール系溶剤(炭素数3〜8)、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、GTL基油および鉱物油などが使用できる。好ましいのは鉱物油およびGTL基油である。
重合触媒としては、アゾ系触媒[例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(以下、ADVNと略記)、ジメチル2,2−アゾビスイソブチレートなど]、過酸化物系触媒[例えば、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3
−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジブチルパーオキシトリメチルアジペート、ベンゾイルパーオキシド、クミルパーオキシド、ラウリルパーオキシドなど]が使用できる。
さらに、必要により連鎖移動剤[例えば、アルキル(炭素数2〜20)メルカプタンなど]を使用することもできる。反応温度としては、50〜140℃、好ましくは60〜120℃である。また、上記の溶液重合の他に、塊状重合、乳化重合または懸濁重合により得ることもできる。さらに、共重合体の重合様式としては、ランダム付加重合、交互共重合、グラフト共重合、ブロック共重合のいずれでもよい。
【0051】
本発明の粘度指数向上剤は無溶剤または粘度指数向上剤組成物[希釈溶剤(D)に溶解した溶液]の形態である。粘度指数向上剤組成物の方が、共重合体(A)のみでは粘稠であっても稀釈溶剤(D)を含有させることによって、基油に添加する際に容易に溶解できる点で好ましい。
本発明の粘度指数向上剤組成物は、好ましくは10〜90重量%(以下において、特に限定しない限り%は重量%を表す)、さらに好ましくは20〜90%、特に好ましくは30〜90%の粘度指数向上剤、および好ましくは10〜90%、さらに好ましくは10〜80%、特に好ましくは10〜70%の希釈溶剤(D)からなる粘度指数向上剤組成物である。
希釈溶剤(D)の比率が高いほうが基油に容易に溶解する点で好ましいが、あまり多いのは経済的ではない。
稀釈溶剤(D)としては、前述の重合工程で使用できる溶剤をそのまま使用してもよく、新たに加えてもよい。
希釈溶剤(D)としては、脂肪族溶剤[炭素数6〜18の脂肪族炭化水素(ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、オクタン、デカリン、灯油など)];芳香族溶剤{炭素数7〜15の芳香族溶剤[トルエン、キシレン、エチルベンゼン、炭素数9の芳香族混合溶剤(トリメチルベンゼン、エチルトルエンなどの混合物)、炭素数10〜11の芳香族混合溶剤など]、鉱物油[例えば、溶剤精製油、パラフィン油、イソパラフィンを含有するおよびまたは水素化分解による高粘度指数油、ナフテン油]、合成潤滑油[炭化水素契合性
潤滑油(ポリαオレフィン系合成潤滑油、GTL基油)、エステル系合成潤滑油]などであり、これらのうち好ましいものは鉱物油およびGTL基油である。
【0052】
GTL基油は、天然ガスからGTL技術により合成されたCOやH2を原料にしてフィッシャー−トロプシュ合成プロセスにより液化炭化水素を製造し、さらに処理して得られる潤滑油基油であり、具体的な液化炭化水素の製造法としては米国特許5384336号明細書、米国特許6740621号明細書に、液化炭化水素からGTL基油を製造する方法としては特表2006−509899号公報などに記載されている
【0053】
稀釈溶剤(D)として好ましいのは120℃以上、さらに好ましくは130℃以上、特に好ましくは150℃以上、とりわけ好ましくは160℃以上の引火点を有する稀釈溶剤である。 稀釈溶剤(D)の引火点が120℃以上であると、稀釈溶剤(D)を含む粘度指数向上剤組成物を高温でも安全に取り扱うことができる。
引火点が120℃以上の稀釈溶剤としては、「SK Corporation製;YU
BASE 2」(引火点:160℃)、「SK Corporation製;YUBASE
3」(引火点:194℃)などが挙げられる。
【0054】
本発明の潤滑油組成物は、上記の粘度指数向上剤および基油を含有し、基油が2〜10mm2/sの100℃での動粘度と160℃以上の引火点を有し、潤滑油組成物の重量に基づいて共重合体(A)を0.1〜30%含むことを特徴とする。
なお、粘度指数向上剤が粘度指数向上剤組成物の形態で基油に添加される場合は、潤滑油組成物には希釈溶剤(D)も含まれる。
【0055】
基油としては前述の鉱物油および合成潤滑油などが挙げられる。
これらのうち好ましくは、イソパラフィンを含有するおよびまたは水素化分解による高粘度指数油、ポリαオレフィン系合成潤滑油、エステル系合成潤滑油およびGTL基油であり、特に好ましくはGTL基油である。これらは単独でも2種以上を併用してもよい。
【0056】
基油の100℃での動粘度は、潤滑油組成物の用途に応じて表3に示した好ましい範囲がある。
基油の動粘度が2mm2/s未満であると油膜切れを生じて焼きつけを起こし易い。また10mm2/sを超えると粘度指数が低下する。
また、基油の引火点は、通常160℃以上、好ましくは180℃以上、さらに好ましくは190℃以上、特に好ましくは200℃以上である。引火点が160℃未満の基油を使用すると、潤滑油組成物の引火点が低くなり、火災の危険性が高く、安全に使用できない。
【0057】
また、基油の粘度指数は好ましくは80〜180、さらに好ましくは100〜180、特に好ましくは105〜180、さらに好ましくは120〜180である。このような基油を使用すると、粘度指数がさらに高くなり省燃費性がさらに良好となる。
【0058】
また、基油の流動点は−15℃以下が好ましい。さらに好ましくは−20℃以下、特に好ましくは−25℃以下、とりわけ好ましくは−27℃以下である。基油の曇点がこの範囲であるとワックスの析出量が少なく低温粘度が良好である。
【0059】
また、基油の曇点(JIS K2269−1993年)は−5℃〜−70℃が好ましい。さらに好ましくは−15℃〜−60℃である。基油の曇点がこの範囲であるとワックスの析出量が少なく低温粘度が良好である。
【0060】
潤滑油組成物の重量に基づく共重合体(A)の含量は通常0.1〜30%であり、潤滑油組成物の用途に応じて表3に示した好ましい範囲がある。
【0061】
【表3】

【0062】
本発明の潤滑油組成物は、さらに一般式(3)〜(6)のいずれかで示される有機燐化合物(P)の1種以上を含有していてもよい。有機燐化合物(P)を含むことによって摩
耗防止効果がさらに発揮しやすくなる。
O=P(OR6)a(OH)3-a (3)
式中、aは1〜3の整数;R6は各々炭素数4〜24でアルキル基、アルケニル基、アリール基またはアルキル置換アリール基であり、a個のR6は同一でも異なっていてもよい。
具体的にはモノアルキルホスフェート、ジアルキルホスフェート、トリアルキルホスフェートまたはこれらに相当するアリールエステルなどが挙げられる。
【0063】
O=P(OR7)b(OH)3-b・NHcR83-c (4)
式中、bおよびcは各々1または2の整数;R7およびR8は各々炭素数4以上でアルキル基、アルケニル基、アリール基またはアルキル置換アリール基であり、R7およびR8は同一でも相異なったものでもよい。
例えばモノアルキルホスフェート、モノアリールホスフェート、ジアルキルホスフェート、ジアリールホスフェートなどと、モノアルキルアミンまたはジアルキルアミンとの塩が挙げられる。
【0064】
P(OR9)a(OH)3-a (5)
式中、aは1〜3の整数;R9は各々炭素数4以上でアルキル基、アルケニル基、アリール基またはアルキル置換アリール基である。
例えばモノアルキルホスファイト、ジアルキルホスファイト、トリアルキルホスファイト、またはこれらに相当するアリールホスファイトなどがある。
【0065】
P(OR10)b(OH)3-b・NHcR113-c (6)
式中、bおよびcは各々1または2の整数;R10およびR11は各々炭素数4以上のアルキル基、アルケニル基、アリール基またはアルキル置換アリール基であり、R10およびR11は同一でも相異なったものでもよい。
例えばモノアルキルホスファイト、モノアリールホスファイト、ジアルキルホスファイト、ジアリルアリールホスファイトなどと、モノアルキルアミンまたはジアルキルアミンとの塩が挙げられる。
【0066】
一般式(2)〜(5)におけるR6〜R11で各々示される基の具体例としては、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、オレイル基などの炭素数4〜30もしくはそれ以上、好ましくは4〜20のアルキル基もしくはアルケニル基;フェニルなどのアリール基;並びに、トルイル基などのアルキル置換アリール基が挙げられる。
有機燐化合物(P)として例示したもののうちで好ましいものは一般式(3)で示されるもののうちのアルキル基の炭素数4〜18のアルキルホスフェートである。
【0067】
これらの有機燐化合物(P)は、潤滑油組成物の重量に基づいて、好ましくは0.01〜5%、さらに好ましくは0.1〜3%含有する。
【0068】
本発明の潤滑油組成物は、さらに、前述の(A)以外のアルキル(メタ)アクリレート系共重合体(B)を含有してもよい。
(B)は前述の(a)以外の単量体、すなわち;炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(b1);(a)以外の炭素数8〜17のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび炭素数18〜24の直鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートから選ばれる単量体(b2);および(c)〜(m);からなる群から選ばれる2種またはそれ以上からなる共重合体である。
【0069】
(B)のうち好ましいのは、(b1)と(b2)の共重合体[共重合モル比(b1)/
(b2)=0.01〜40/60〜99.99]、および(b2)のうちの2種以上の共重合体であり、さらに好ましいのは(b2)のうちの2種以上からなる共重合体である。
(b2)のうちの2種以上からなる共重合体のうち、特に好ましいのは、2種以上の該単量体のアルキル基の平均炭素数(モル平均、以下、Cavと略記)が12.0〜13.0である共重合体(B1)および/または該(b2)のうちの2種以上から構成され該単量体のアルキル基の平均炭素数が13.0を超え15.0以下である共重合体(B2)である。とりわけ好ましい(B1)および(B2)はアルキル基がいずれも直鎖アルキル基のものであり、分岐アルキル基は30%以下、特に10%以下である。
(B)としては(B1)と(B2)の併用、または(B1)もしくは(B2)の単独使用のいずれでもよいが、好ましいのは併用である。
(B1)と(B2)の具体例としては、n−ドデシルメタクリレート/n−オクタデシルメタクリレート(60〜90%/10〜40%、Cav=12.5〜14.0)、n−ドデシルメタクリレート/n−ヘキサデシルメタクリレート(50〜90%/10〜50%、Cav=12.3〜13.8)、n−ドデシルメタクリレート/n−テトラデシルメタクリレート(30〜90%/10〜70%、Cav=12.2〜13.4)およびn−ドデシルアクリレート/n−ドデシルメタクリレート(10〜40%/90〜60%、Cav=12)の共重合体などが挙げられる。
【0070】
(B)のMwは、好ましくは10,000〜1,000,000、さらに好ましくは15,000〜370,000である。
【0071】
(B)の添加量は潤滑油組成物の重量に基づいて、好ましくは0〜20%、さらに好ましくは0.1〜5%、特に好ましくは0.1〜1%である。
また、(B)が(B1)と(B2)の併用の場合の重量比率は、通常1/99〜99/1、好ましくは20/80〜80/20、さらに好ましくは30/70〜70/30である。
(B)は上記の(A)と同様の方法で製造できる。
【0072】
本発明の潤滑油組成物はさらに従来から公知の他の添加剤(C)を含有してもよい。
他の添加剤(C)としては、以下のものが使用できる。
分散剤:ポリアルケニルコハク酸イミド(ビス−およびモノ−ポリブテニルコハク酸イミド類)、マンニッヒ縮合物およびボレート類など;
清浄剤:塩基性、過塩基性または中性の金属塩[スルフォネート(石油スルフォネート、アルキルベンゼンスルフォネート、アルキルナフタレンスルフォネートなど)の過塩基性またはアルカリ土類金属塩]、サリシレート類、フェネート類、ナフテネート類、カーボネート類、フォスフォネート類およびこれらの混合物など;
酸化防止剤:ヒンダードフェノール類および芳香族2級アミン類など;
消泡剤:シリコン油、金属石けん、脂肪酸エステルおよびフォスフェート化合物など;
油性向上剤:長鎖脂肪酸およびそれらのエステル(オレイン酸およびオレイン酸エステルなど)、長鎖アミンおよびそれらのアミド(オレイルアミンおよびオレイルアミドなど)など;
摩擦摩耗調整剤:モリブデン系および亜鉛系化合物(モリブデンジチオフォスフェート、モリブデンジチオカーバメートおよびジンクジアルキルジチオフォスフェートなど);
極圧剤:硫黄系化合物(モノ−およびジ−スルフィド、スルフォキシドおよび硫黄フォスファイド化合物)、フォスファイド化合物および塩素系化合物(塩素化パラフィン)など;
抗乳化剤:第4級アンモニウム塩(テトラアルキルアンモニウム塩)、硫酸化油、フォスフェート(ポリオキシエチレン含有非イオン性界面活性剤のフォスフェート)など;
腐食防止剤:窒素原子含有化合物(ベンゾトリアゾールおよび1,3,4−チオジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカーバメート)など。
【0073】
他の添加剤(C)は、以下の表4記載の量(重量%、但し消泡剤はppm)を潤滑油組成物の重量に基づいて使用することができる。
【0074】
【表4】

【0075】
添加剤合計の添加量は潤滑油組成物の重量に基づいて、30%以下、好ましくは10〜20%である。
【0076】
本発明の潤滑油組成物の100℃での動粘度は、潤滑油組成物の用途に応じて表5に示した好ましい範囲がある。潤滑油組成物の動粘度がそれぞれの用途の下限値以上であれば、漏れや焼き付きを起こしにくくなり、上限値以下であれば、粘性抵抗が少なくなり、エネルギーロスを起こしにくい。
本発明の潤滑油組成物は従来の潤滑油組成物に比べ、低い動粘度であるため、省燃費性に優れる。
また、本発明の潤滑油組成物の粘度指数は、潤滑油組成物の用途に応じて表5に示した好ましい範囲がある。
【0077】
【表5】

【0078】
本発明の潤滑油組成物は、デファレンシャル油および工業用ギヤ油などのギヤ油、マニュアルトランスミッション油(以下、MTFと略記)、オートマチックトランスミッション油(以下、ATFと略記)およびベルト−CVTFなどの変速機油、トロイダル−CVT油などのトラクション油、ショックアブソーバー油、パワーステアリング油、建設機械用作動油および工業用作動油などの作動油、並びにエンジン油などに好適に用いられる。これらのうち好ましいのはデファレンシャル油、ATF、ベルト−CVT油、エンジン油およびMTFでる。さらに好ましくはATF、ベルト−CVT油およびMTFである。特に好ましくはATFである。
【0079】
本発明の潤滑油組成物は剪断安定性が良好であり、CEC L45−45−A−99で規定された方法に従い試験時間を20時間として試験した場合、粘度低下率は好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下、特に好ましくは10%以下である。
【0080】
本発明の単量体は、一般式(1)で示される(メタ)アクリレート(a)からなる。
【0081】
【化10】

【0082】
式中、R1は水素原子またはメチル基であり;一般式(2)で示されるアルキル基の炭素数は28〜80であって、R2、R3、R4およびR5は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、但し、R3およびR5は同時に水素原子ではなく;nおよびkは4〜36の整数であり;A1は炭素数2〜4のアルキレン基であり;mは0または1〜20の整数である。
【0083】
【化11】

【0084】
本発明の単量体の製造は、まず、前述の一般式(7)で示されるアルコールを製造し、得られたアルコールと(メタ)アクリル酸もしくはその低級アルキルエステルのエステル化もしくはエステル交換反応により、目的の単量体を製造することができる。
【0085】
一般式(7)で示されるアルコールは、例えば、下記一般式(8)で示されるアルコールをゲルベ(Guerbet)反応で2量化して得られる。一般式(8)のアルコールとしては「ネオドール67」(ShellChemicals社製)(「ネオドール」は
登録商標)が市販されている。
HO−CH2−[CH(R2)]n−CH3 (8)
式中、R2は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、;−CH2−[CH(R2
)]n−CH3における総炭素数は14〜40である。
【0086】
ゲルベ反応は、無溶媒法や溶媒法で実施される。アルコール、アルカリ触媒、脱水素触媒、溶媒(無溶媒法ではなし)を反応器に仕込み、常圧もしくは減圧で反応させる。
反応条件の詳細は、Ind.Eng.Chem.53,33(1961)、Journal of Molecular Catalysis, 33(1985)、特開平9−22742、特許2669553などに記載されているが具体的な例を挙げると、反応温度は120℃〜280℃、好ましくは135〜250℃である。
アルカリ触媒としては、例えば金属ナトリウム、ナトリウムアルコラート、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ナトリウム・アミド、金属カリウム、カリウム・アミド、水酸化カリウム、炭酸カリウム、燐酸カリウム、金属ルビジウム、炭酸ルビジウム、水酸化ルビジウム、金属セシウム、炭酸セシウム、水酸化セシウムなどが挙げられる。中でも水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムは反応性に優れ好ましい。更に水酸化カリウムは、コスト、入手の容易さ等に優れるため好ましい。使用量としては、アルコールに対して0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜3重量%の範囲で使用される。
脱水素触媒としては、例えば銅−クロマイト、銅−ニッケル、銅−ニッケル−ルテニウム、銅−ニッケル−パラジウム、銅粉末、銅−亜鉛、銅−亜鉛−ルテニウム、酸化亜鉛、亜鉛−クロマイト、安定化ニッケル、アルミナシリケート、又は活性炭に担持したニッケル、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、レニウムあるいはラネー系触媒(ニッケ
ル、クロム、銅等)、リン酸カリウム、酸化カルシウムなどが使用できる。
脱水素触媒の使用量は、アルコールに対して 0.001〜 1.0重量%が好ましく、
0.003〜0.2重量%が更に好ましい。
これら脱水素触媒は、必要により担持体に担持して使用して良い。担持体としては、シリカゲルなどのSiO2、あるいはTiO2−SiO2 、ZnO−SiO2、SiO2−MgO、SiO2−CaOなどの複合酸化物、あるいはAl23 などを含有する複合酸化物が挙げられ、合成品(シリカアルミナ、ゼオライト等)、天然品(ケイソウ土、活性白土、酸性白土、ゼオライト、モンモリロナイト等)などの鉱物酸化物が使用できる。中でもAl23 等を含有する複合酸化物(合成品、天然品)がその効果が大きく好ましい。更にケイソウ土は濾過における比抵抗が小さく、コスト、入手の容易さなどに優れることからより好ましい。
【0087】
エステル化反応あるいはエステル交換反応は、無溶媒法や溶媒法で実施される。アルコール、重合防止剤、溶媒(無溶媒法ではなし)、触媒並びに(メタ)アクリル酸もしくはそのエステル形成性誘導体を反応器に仕込み、常圧もしくは減圧で反応させる。反応温度は70〜140 ℃、好ましくは 100〜120 ℃である。
溶媒としては前述の芳香族系溶媒および鉱物油などが使用でき、好ましいのは副生する水もしくは低級アルコールが分離、除去し易いベンゼン、トルエンおよびキシレンなどである。
重合防止剤としては、キノン系化合物(ハイドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、p−ベンゾキノン、t−ブチルクレゾール、カテコールなど)、フェノチアジン、酸素、空気などを、単独で、もしくは併用して用いることができる。
また触媒としては、酸性触媒(例えば、硫酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸)、塩基性触媒(例えば、苛性ソーダ、苛性カリ、ナトリウムアルコラート、アミンなど)、無機担持体(シリカゲル、アルミナ、ヒドロキシアパタイト、ゼオライト、クレイ、モレキュラーシーブス)や高分子担持体(ポリマーやデンドリマー)に前述の酸触媒やアミン触媒などを担持したものを用いることができる。
反応が終了した反応液は、必要により、水洗またはアルカリ水溶液で洗浄されて、触媒、重合防止剤、未反応(メタ)アクリル酸などが除去され精製される。
本発明の単量体は、上記の粘度指数向上剤として使用される共重合体(A)の必須構成単量体(a)として適している。
【0088】
本発明の重合体は、上記一般式(1)で示される単量体をを構成単量体として含むMw5,000〜1,000,000の重合体であり、単独重合体および共重合体が含まれる。共重合体の場合の、共重合の相手の単量体としては、前述の(b1)、(b2)、および(c)〜(m)の単量体が挙げられる。また、共重合体における一般式(7)で示される単量体と他の単量体との重量比率は特に限定されないが、共重合体が上記の粘度指数向上剤として使用される場合は、上記の単量体(a)を、一般式(7)で示される単量体に置き換えた重量比率が好ましい。単独重合体および共重合体は、前述の共重合体(A)の製造法と同様にして得ることができる。
【0089】
<実施例>
以下に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、製造例、実施例、比較例中の部は重量部を表す。
(GPCによるMwの測定法)
装置 : 東洋曹達製 HLC−802A
カラム : TSK gel GMH6 2本
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.5重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 200μl
検出装置 : 屈折率検出器
標準 : ポリスチレン
【0090】
<ペンタン不溶解分の試験法>
JIS K2514の試験時間96時間、温度150℃とし、JPI−5S−18−80のペンタン不溶解分A法、B法によりスラッジ量を求めた。
<動摩擦係数測定方法>
(SAE No2試験法)JASO M348−95により2000サイクル目のμdを測定した。(標準油T2の2000サイクル目のμd=0.128)
<引火点の試験法>
JIS K2265のクリーブランド開放式で行った。
<低温粘度の試験方法>
JPI−5S−26−85の方法で−40℃の粘度を測定した。
<粘度指数の試験方法>
JIS−K−2283の方法で行った。
<剪断安定性の試験方法>
CEC L45−45−A−99の方法に従い試験時間を20時間とした。
<動粘度の測定方法>
JIS−K−2283の方法で行った。
<貯蔵安定性の試験方法>
試料油100mlをガラス製の200mlの容器に入れ、−20℃で2ヶ月間保管し、ポリマーの析出の有無について目視にて確認した。○は析出物なし、×は析出物あり。
【0091】
表中および以下において使用する略号は下記の通りである。
G67MA:「ネオドール67の2量化アルコール」のメタクリレート
G67EOMA:「ネオドール67の2量化アルコール」のEO1モル付加物のメタクリレート
DTM:2−デシルテトラデシルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
nHM:n−-ヘキサデシルメタクリレート
nOM:n−-オクタデシルメタクリレート
nDM:n−-ドデシルメタクリレート
nTM:n−-テトラデシルメタクリレート
DAE:ジメチルアミノエチルメタクリレート
【0092】
製造例1;フィッシャー−トロプシュ触媒の製造
チタニア粉末(Degussa社製品「P25」)143g、水酸化コバルト粉末(試薬)66g、酢酸マンガン・4水和物(試薬)10.3g及び水38gを混合し、15分間室温で混練した。
押出機を使用して混合物を直径1mm、長さ約4mmの円柱状に成型した。成型物を120℃で16時間乾燥し、500℃で2時間焼成した。得られた成型物はコバルト20%とマンガン1%を含んでいた。
【0093】
製造例2;水素化分解触媒の製造
非晶質シリカ−アルミナ[グレース ダビソン(Grace Davison)社製、細孔容積(H2O)0.77ml/g、アルミナ13重量%(乾燥基準)]1834.9gおよびアルミナ[クリテリオン キャタリスト社(Criterion Catalyst Co.)製]554.8gからなる混合物を磨砕混合機械の中に入れて、10分間室温で磨砕混合した。酢酸(10%水溶液)200.0gおよび水2190.3gを加え、その結果生成した混合物をさらに10分間磨砕混合した。その後、ポリアクリルアミド[スーパーフロック(Superfloc)A1839(三井化学アクアポリマー社製)、2%水溶液]40.0gを加えてからさらに10分間磨砕混合を続けた。
最後に、高分子電解質[ナルコ7879(Nalco社製)、4重量%水溶液]80.0gを加え、そしてその混合物を最後の5分間磨砕混合した。生成した混合物を、押出機を用いて円筒状ダイプレートを通して押出し、直径1.7mmの円柱状押出物を形成させた。生じた押出物を120℃の温度において2時間乾燥させてから、600℃の温度で2時間焼成した。
1Lのガラス製の容器に、ヘキサクロロ白金酸(H2PtCl6 ,2.45重量%)および硝酸(7.66重量%)を含む水溶液500gを調製した。細孔含浸法(Pore Impregnation technique)を用いて上記の円柱状押出物(担体)に上記の水溶液を含浸させて、最終的に円柱状押出物の重量に対して0.8%の白金を担体に担持させた。ついで、このように含浸された担体粒子を500℃の温度で1時間焼成して、最終的な触媒を生成させた。その結果生成した触媒は392m2 /gの表面積(BET法による測定)および、水銀ポロシメーターで測定される0.59ml/gの細孔容積を有していた。
【0094】
製造例3;脱ろう触媒の製造
ZSM−5(Zeolyst International社の乾燥ゼオライト「CBV8014」)30g(乾燥基準で)、無定形沈降性シリカ粉末(Degussa社から入手した「Sipernat−50」)35gおよび酸性コロイド状シリカ(PQ Corporation社「Nyacol 2034DI」)35gとを粉砕しながら混合し、均質混合物を得た。該混合物中の全水分含有量を脱イオン水で55%に調整した。 30分後、2.5%アンモニア水溶液2.5gを添加し、10分間混合した。混合物を押出機で押出して直径1.6mmの円柱押出物を作った。次にこの押出物を空気中、120℃で、2時間乾燥し、引き続き800℃で5時間焼成した。 こうして得られた押出物を水酸化白金テトラミンの2重量%水溶液に浸漬した後、乾燥し(120℃で2時間)、焼成した(300℃で2時間)。この焼成物を、100リットル/時間の水素速度下、350℃の温度で2時間の還元により活性化した。得られた触媒は、担体の重量に対して白金を0.7%担持したものであった。
【0095】
製造例4;GTL基油の製造
容積10mlのマイクロフロー反応器に製造例1で得られたフィッシャー−トロプシュ触媒を充填し、反応器を260℃の温度まで加熱し、窒素ガスの連続流で2バールまで加圧し、その後、触媒を窒素及び水素ガスの混合物で24時間in−situで還元した。還元中の混合ガス中の水素の相対量を0%から100%まで徐々に増加させた。還元後に圧力を26バールまで上げた。反応はH2 /CO比1.1:1の水素と一酸化炭素の混合物を使用して実施した。反応条件は、ガス時間毎空間速度(GHSV)=800Nl/l/h。反応温度は加重平均床温度(WABT)として208℃である。50時間運転後、時空収率(STY)は104(g/l/h)であり、総炭化水素生成物の中の炭素数5以上の生成物の選択性は94%であった。ここで、GHSVとは触媒粒子1リットル(粒子間の空隙を除く)と1時間に接触するガスの0℃、1バールの容量を表し、STYとは、1時間当たり触媒粒子(粒子間の空隙を含む)1リットル当たりの炭化水素生成物の重量を表す。
次いでこの合成反応の流出物から炭素数4以下の低沸点化合物を分離することにより、表6に示すような沸点を有するフィッシャー−トロプシュ生成物を作った。この原料は、炭素数30以上の生成物を約60重量%含有していた。炭素数60以上の生成物/炭素数30以上の生成物の比は約0.55であった。
【0096】
【表6】

【0097】
こうして得られたフィッシャー−トロプシュ生成物を連続的に水素化分解工程に供給した。水素化分解工程では、フィッシャー−トロプシュ生成物、及び工程の流出物中の370℃以上のフラクションよりなる再循環流を、製造例2で得られた水素化分解触媒と反応器温度330℃で接触させた。フィッシャー−トロプシュ生成物は、0.8kg/l/hrの空間速度(WHSV:1時間当たり、触媒1L当たり)で接触させ、また再循環流は、全圧35バール及び水素分圧33バールにおいて0.2kg/l/hrで接触させた。再循環ガスの割合は、全原料に対し2000Nl/kgであった。全原料中の370℃を越える沸点の化合物が370℃未満の沸点の化合物に転化した転化率は、55重量%であった。水素化分解工程の生成物は、蒸留により、ナフサ、ケロシン及びガス油の範囲の沸点を有する1種以上の燃料フラクションと、370℃よりも高い沸点を有する塔底生成物とに分けた。
こうして得られた370℃以上の沸点のフラクションは、今度は真空蒸留塔で蒸留した。この時、蒸留塔への原料の速度は750g/hであり、塔頂部の圧力は0.4mmHg(0.5ミリバール)に維持し、また塔頂部の温度は240℃に維持した。この温度は、大気カットオフ温度515℃に等しい。したがって、塔頂生成物の沸点範囲は、370〜515℃であった。別の特性として、+18℃の流動点及び3.8cStの100℃での動粘度を持っていた。この塔頂生成物は、脱ろう工程で基油前駆体として使用した。
続く脱ろう工程では、前記基油前駆体フラクションを、製造例3で得られた脱ろう触媒と接触させた。脱ろう条件は、全圧:40バール、反応器出口での水素分圧:36バール、WHSV:1kg/l.h、温度:340℃、再循環ガス速度:500Nl/kg原料である。WHSVとは空間速度であり、1時間、触媒1リットル当たりのオイルの重量を表す。
脱ろう油は蒸留し、軽質フラクション及び重質フラクションを除去して、以下に示す特性を有するGTL基油Aを得た。
15℃密度(g/cm3)=0.817、40℃動粘度(mm2/s)=18.0、100℃動粘度(mm2/s)=4.0、粘度指数=121、流動点(℃)=−50、NOACK(重量%)=11
【0098】
実施例1〜4、および比較例1〜3;
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、滴下ロート、および窒素吹き込み管を備えた反応容器に、鉱物油(高粘度指数油:引火点=164℃)25部を仕込み、別のガラス製ビーカ
ーに、表7に記載の単量体を合計100部、連鎖移動剤としてドデシルメルカプタン(DMと略記)を表6に記載の量(部)、およびラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル:ADVNと略記)を表7に記載の量(部)仕込み、20℃で撹拌、混合して単量体溶液を調製し、滴下ロートに仕込んだ。反応容器の気相部の窒素置換を行った後に密閉下85℃で4時間かけて単量体溶液を滴下し、滴下終了から2時間、85℃で熟成した後、得られたポリマーを130℃、3時間、減圧下で揮発性モノマーを除去し鉱物油(高粘度指数油:引火点=164℃)41.7部加え、さらに1時間撹拌して均一に溶解後、共重合体の含有量60%の粘度指数向上剤組成物を得た。含まれる共重合体の品名を、表7のようにそれぞれ(A−1)〜(A−4)または(X−1)〜(X−3)とした。得られた共重合体のMwは表7に示す。
【0099】
【表7】

【0100】
製造例5[(A)以外のアルキル(メタ)アクリレート系共重合体(B)]
単量体としてnOM20部およびnDM80部、連鎖移動剤としてのDM0.5部およびラジカル重合開始剤としてのADVN0.4部を用いたたこと以外は上記の実施例1と同様にして、共重合体(A)以外の共重合体(B−1)の含有量60%の希釈溶剤溶液を製造した。(B−1)のCav=12.9であり、Mwは5×104であった。
【0101】
実施例5〜8、比較例4〜6
撹拌混合装置の付いたステンレス製容器に、(B−1)の希釈溶剤溶液を0.5部入れた。さらに、得られる潤滑油組成物の100℃の動粘度が5.0±0.1(mm2/s)になり、かつ潤滑油組成物の合計が100部になるように上記の実施例1〜4または比較例1〜3の粘度指数向上剤組成物と基油(高粘度指数油、100℃の動粘度:3.0mm2/s、粘度指数:117)をそれぞれ添加し、実施例5〜8および比較例4〜6の潤滑油組成物を調製した。
得られた潤滑油組成物の粘度指数、−40℃での低温粘度、剪断安定性および貯蔵安定性の測定結果を表8に示す。
【0102】
【表8】

【0103】
実施例9〜12、比較例7〜9
撹拌混合装置の付いたステンレス製容器に、(B−1)の希釈溶剤溶液を0.5部入れた。さらに、得られる潤滑油組成物の100℃の動粘度が5.0±0.1(mm2/s)になり、かつ潤滑油組成物の合計が100部になるように上記の実施例1〜4または比較例1〜3の粘度指数向上剤組成物と基油(高粘度指数油、100℃の動粘度:4mm2/s、粘度指数:120)をそれぞれ添加し、実施例9〜12および比較例7〜9の潤滑油組成物を調製した。
得られた潤滑油組成物の粘度指数、−40℃での低温粘度、剪断安定性および貯蔵安定性の測定結果を表9に示す。
【0104】
【表9】

【0105】
実施例13〜16、比較例10〜12
撹拌混合装置の付いたステンレス製容器に、得られる潤滑油組成物の100℃の動粘度が5.0±0.1(mm2/s)になり、かつ潤滑油組成物の合計が100部になるように上記の実施例1〜4または比較例1〜3の粘度指数向上剤組成物と基油(製造例4のGTL基油A)をそれぞれ添加し、実施例13〜16および比較例10〜12の潤滑油組成物を調製した。
得られた潤滑油組成物の粘度指数、−40℃での低温粘度、剪断安定性および貯蔵安定性の測定結果を表10に示す。
【0106】
【表10】

【0107】
実施例17〜21、比較例13〜15
上記の実施例1〜4または比較例1〜3の粘度指数向上剤組成物、下記の他の添加剤(C)、および下記の基油を表11記載の配合割合(%)で配合し、実施例17〜21および比較例13〜15の潤滑油組成物を調製し、ペンタン不溶解分、動摩擦係数(μd)および引火点の測定行った。表11に結果を示す。
表10中において、A法とはISOT後のペンタン不溶解分であり、B法とは凝集剤を加えたときのペンタン不溶解分である。従って、A法とB法の差がスラッジ分散性を示すこととなる。また、A法、B法でのスラッジ量は抗酸化性を示し、少ない方が性能良好なことを示す。
【0108】
他の添加剤(C):
ジラウリルフォスフェートのオレイルアミン塩[有機燐化合物(P)に相当];1%、
ポリブテニルコハク酸イミド(エチルクーパー社製「Hitec E638」)[分散剤に相当];3%、
過塩基性Caスルフォネート(エチルクーパー社製「Hitec E611」)[清浄剤に相当];1%、
ジアルキルジチオリン酸亜鉛(アモコ社製「Amoco194」)[摩擦摩耗調整剤に相当];0.3%、
2,6−ジ−tertブチル−p−クレゾール(ルブリゾール社製「Lubrizol817」)[酸化防止剤に相当];0.2%。
【0109】
基油:
基油1;高粘度指数油(100℃動粘度:3mm2/s、粘度指数:115、引火点:200℃)
基油2;溶剤精製油(100℃動粘度:1.9mm2/s、引火点:152℃)
GTL基油A;製造例4で得られた基油
【0110】
【表11】

【0111】
上記の表8〜表11の結果より、本発明の粘度指数向上剤を含む潤滑油組成物は、優れた抗酸化性、摩擦特性、粘度指数、せん断安定性および保存安定性を有し、さらに低温粘度においても優れていることがわかる。
【0112】
実施例22:G67MAの製造例
(1)ネオドール67の2量化アルコールの製造
温度計、攪拌機、脱水管、冷却管、窒素吹き込み管を取り付けた0.5リットルの反応器に、「ネオドール67」(Shell Chemicals社製)100部、水酸化カリウム1部、パラジウムカーボン0.01部を仕込み、撹拌下、窒素を30ml/分液中バブリングする。次に650torrの減圧度で温度を200℃まで昇温させる。温度が220℃に到達した後、減圧度を200torrに変更し、10時間反応させた。なお、生成水は系外に除去しながら反応させた。冷却後、触媒をろ別し、ろ液にトルエン200部、水200部および0.1N塩酸にて水層を中和する。トルエン層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、ろ別後、トルエンを留去し、ネオドール67の2量化アルコールを含む反応混合物を80部得た(ネオドール67の2量化アルコール含量:60wt%)。この反応混合物を分取GPC(日本分析工業製:LC09)にて分取し、目的のネオドール67の2量化アルコールを47部得た。
【0113】
(2)エステル化反応によるG67MAの製造
温度計、攪拌機、滴下ロートを取り付けた0.5リットルの反応器に、「ネオドール67の2量化アルコール」を47部、N,Nジメチルアミノピジンを1.9部仕込み、40℃に昇温させた。次に、メタクリル酸無水物15.9部を滴下ロートにて30分かけて滴下した。滴下終了後、40℃で4時間熟成し、30℃以下に冷却した。反応物に水100部、ジエチルエーテル100部加え、水層を0.1NKOH水溶液で中和し、分液後、エーテル層に無水硫酸マグネシウムを加え脱水、ろ別後、エーテルを留去し、ネオドール67の2量化アルコールのメタクリル酸エステル(G67MA)を52部得た。得られたG
67MAの1H−NMR、13C−NMR、IR、の測定を行った。
【0114】
図1〜3に1H−NMR、13C−NMR、IRのチャートを示す。
1H−NMR(CDCl3,300MHz):δ6.07(s,1H),5.50(s,1H),4.02(t,J=5.5Hz,2H),1.92(s,3H),1.7−1.5(m,4H),1.4−1.1(m,46.4H),0.90−0.81(m,15H)、
13C−NMR(CDCl3,300MHz):δ167.4,136.5,124.9,
67.4,37.1,32.7,31.9,30.0,29.9,29.7,29.5,29.4,27.1,26.7,22.7,22.6,19.7,18.3,14.1、IR:2922,2852,1720,1462,1319,1163,937,812,721cm-1
なお、ネオドール67の二量化アルコールのアクリレートも上記と同様の合成方法で製造することができた。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明の粘度指数向上剤は、輸送用機器用および各種工作機器用などの駆動系潤滑油[ギア油(マニュアルトランスミッション油、デファレンシャル油等)、自動変速機油(オートマチックトランスミッション油、ベルトCVT油、トロイダルCVT油など)]、作動油[機械の作動油、パワーステアリング油、ショックアブソーバー油など]、およびエンジン油[ガソリン用、ディーゼル用等]の潤滑油組成物に使用される粘度指数向上剤として適している。
本発明の単量体は、重合体を構成する単量体として使用でき、該重合体は粘度指数向上剤用の共重合体として適している。また、該重合体は、その他の用途、例えば塗料用、接着剤用または繊維処理剤用などのバインダー成分としても使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】G67MAの1H−NMRチャート
【図2】G67MAの13C−NMRチャート
【図3】G67MAのIRチャート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で示される(メタ)アクリレート(a)を必須構成単量体としてなる共重合体(A)からなる粘度指数向上剤。
【化1】

[式中、R1は水素原子またはメチル基であり;一般式(2)で示されるアルキル基部分の炭素数は28〜80であって、R2、R3、R4およびR5は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、但し、R3およびR5は同時に水素原子ではなく;nおよびkは4〜36の整数であり;A1は炭素数2〜4のアルキレン基であり;mは0または1〜20の整数である。]
【化2】

【請求項2】
該(メタ)アクリレート(a)が、一般式(1)におけるn個のR3およびk個のR5の合計のうちの1〜6個がメチル基であり、残りが水素原子である(メタ)アクリレートである請求項1記載の粘度指数向上剤。
【請求項3】
該(メタ)アクリレート(a)が、一般式(1)におけるn個のR3およびk個のR5の合計のうちの1〜6個がメチル基であり、残りが水素原子である(メタ)アクリレートの2種以上の混合物である請求項1記載の粘度指数向上剤。
【請求項4】
該(メタ)アクリレート(a)が、一般式(1)のうちの一般式(2)で示されるアルキル基の炭素数が28〜36である(メタ)アクリレートの2種以上の混合物である請求項1〜3のいずれか記載の粘度指数向上剤。
【請求項5】
該共重合体(A)が、以下の単量体(1)〜(3)を構成単量体としてなる共重合体である請求項1〜4いずれか記載の粘度指数向上剤。
(1):(a)を3〜95重量%
(2):炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(b1)を5〜70重量%
(3):炭素数8〜17のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび炭素数18〜24の直鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上の単量体(b2)を0.1〜90重量%
【請求項6】
10〜90重量%の請求項1〜5のいずれか記載の粘度指数向上剤および10〜90重量%の希釈溶剤(D)を含有してなる粘度指数向上剤組成物。
【請求項7】
稀釈溶剤(D)が、120℃以上の引火点を有する稀釈溶剤である請求項6記載の粘度指数向上剤組成物。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか記載の粘度指数向上剤および基油を含有し、基油が2〜10mm2/sの100℃での動粘度と160℃以上の引火点を有し、潤滑油組成物の重量に基づいて該共重合体(A)を0.1〜30重量%含むことを特徴とする潤滑油組成物。
【請求項9】
該基油がGTL基油であることを特徴とする請求項8記載の潤滑油組成物。
【請求項10】
該GTL基油が120〜180の粘度指数および−25℃以下の流動点を有するGTL基油であることを特徴とする請求項9記載の潤滑油組成物。
【請求項11】
さらに、下記一般式(3)〜(6)のいずれかで示される有機燐化合物(P)の1種以上を含有する請求項8〜10のいずれか記載の潤滑油組成物。
O=P(OR6)a(OH)3-a (3)
O=P(OR7)b(OH)3-b・NHcR83-c (4)
P(OR9)a(OH)3-a (5)
P(OR10)b(OH)3-b・NHcR113-c (6)
(式中、aは1〜3の整数;bおよびcは各々1または2の整数;R6〜R11は各々炭素数4〜24のアルキル基、アルケニル基、アリール基またはアルキル置換アリール基であり、R6〜R11は同一でも相異なったものでもよい。)
【請求項12】
さらに、(a)以外の炭素数8〜17のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび炭素数18〜24の直鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートから選ばれる単量体(b2)のうちの2種以上から構成され、該2種以上の単量体のアルキル基の平均炭素数が12.0〜13.0である共重合体(B1)、および/または該(b2)のうちの2種以上から構成され該2種以上の単量体のアルキル基の平均炭素数が13.0を超え15.0以下である共重合体(B2)を含有する請求項8〜10いずれか記載の潤滑油組成物。
【請求項13】
一般式(1)で示される(メタ)アクリレート(a)からなる単量体。
【化3】

[式中、R1は水素原子またはメチル基であり;一般式(2)で示されるアルキル基部分の炭素数は28〜80であって、R2、R3、R4およびR5は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、但し、R3およびR5は同時に水素原子ではなく;nおよびkは4〜36の整数であり;A1は炭素数2〜4のアルキレン基であり;mは0または1〜20の整数である。]
【化4】

【請求項14】
請求項13記載の単量体を構成単量体として含む重量平均分子量5,000〜1,000,000の重合体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−24908(P2008−24908A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−232531(P2006−232531)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】