説明

細長い物体の表面分析

複数の光源(4)がリング形状で平面に配置され、個々に連続してこのリングを回転するように放射する。入射ビームは、このリングの軸(5)に向けられ、この軸に直角ではない角度で傾斜している。このビームは、ほぼこの軸(5)に沿って位置している物体(2)により反射され、ただちに、ソースのリングに平行な平面に位置している光検出器(8a、8b、8c)の1つにより受光される。形状の欠陥、表面の不規則さ、又は色の変化の存在は、光検出器により受容されたエネルギを変調することにより決定される。この測定は、物体の表面の非常に小さい領域の連続的な照明の非常に良好な解像度を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤ、ファイバ、ケーブル、長い押出し成形品などのような細長い物体の表面状態を分析する装置と、方法とに関する。主な用途は、通常高速で製造する製造ラインに関する。本発明は、表面状態(粗さ)を測定することと、表面の欠陥を検出すること(外観)と、形状及び色の欠陥と、非常に繊細に、これら(表面、形状)を特徴づけることとにある。
【背景技術】
【0002】
ワイヤ又はパイプの表面の欠陥を検出することを目的とする装置は、既知である。
文書EP 0 841 560では、プラスチックのパイプがその表面状態を検査するために導入される機器が説明されている。6つの固定された光のソースがこのパイプと同心の円に位置している。径方向に、このソースの不変な照明が、軸方向の短い長さにわたってパイプの環状部分を照明する。このパイプを中心として分布している6つのセンサの各々は、6つの不変なソースからの、パイプにより拡散された光を受ける。
【0003】
このパイプの表面の形状の欠陥は、複数のセンサにより受容される全体のエネルギの変化により検出され、この欠陥の位置又は表面領域を正確に決定することはできない。したがって、文書EP 0 841 560で説明されている機器は、良好な解決法を提供していない。この機器は、重大な欠陥の存在を明らかにすることに限定され、この欠陥の位置及びサイズを正確に検出しない。このことは、目的とされる用途の性能の必要条件に見合わない。
【0004】
文書US 4 616 139とUS 4 645 921とに記載されている装置は、異なる構成だが、同じ類似性と限定とを示す。
【0005】
文書 EP 0 119 565では、ケーブルの表面の欠陥の位置を決定するための異なる光学検査装置が説明されている。振動するミラーにより偏向された光のソースは、次に、異なる複数の固定されたミラーに向けられ、これらミラーが、次に、光をケーブルに向けて反射する。固定された各ミラーは、発散するビームを返し、ミラーと同じだけ多くのケーブルの部分を連続的にスイープする。ケーブルにより拡散された光は、2つの組み合わされた半球に位置している2つのセンサにより捉えられる。複数の欠陥が、これら欠陥が空間のいたるところに拡散するエネルギにより観測される。連続的なスイープの結果、表面の欠陥の位置を決定することが可能となる。しかしながら、照明は、径方向ではなく、位置は、ケーブルの位置に大きく依存する。この装置は、他の装置のように、拡散されたエネルギを利用し、このエネルギは、この場合、ケーブルの表面へのビームの入射により変化し、また、欠陥を詳細に特徴付けない。この装置は、直接に反射されたエネルギを観測しないので、この装置では、鏡に準じる表面の状態を特徴付けることが可能とならない。さらに、この装置のスイープ周波数は、容易には3kHzに到達しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の発明の制限を解消し、非常に詳細に連続的に、好ましくは円柱状の、物体の表面を、この物体の表面状態(粗さ)を、鏡に準じる表面さえも、測定し、その欠陥(表面積、サイズ、位置)を特徴付けて、分析するための装置と方法とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、第1の態様によると、本発明は、ワイヤなどのような細長い物体の表面状態を分析するための以下を有する装置に関する。
前記物体は、この物体の表面の分析される領域が、この入射ビームの行路上に位置するように、前記軸の近傍に位置することを意図され、各々前記リングの軸に向けられた主入射ビームを放射するようにデザインされている、平面上のリングにほぼ配置されている複数の光のソース。
前記ソースのリングにほぼ平行な平面に位置している少なくとも3つの光検出器。
前記ソースは、前記主入射ビームが、前記リングの軸と直角ではなく、ゼロではない角度(α)を形成するように配置され、前記光検出器は、入射ビームの前記物体での直接かつ完全な反射により形成される各反射ビームを、これら3つの光検出器の各々が部分的に受容することができるように、配置されている。
【0008】
「直接かつ完全な反射により形成される反射ビーム」という用語は、(円柱状の)物体の欠陥のない表面領域により反射され、また、前記入射ビームの角に対称に、前記ソースのリングの軸と角度αを形成するビームを意味するものとして理解される。換言すれば、前記光検出器は、これら光検出器が常に前記物体での前記ソースの直接の反射の一部を受容しているように位置している。
【0009】
前記ソースからの放射錐(co^ne d’ e’mission)は、測定領域と称する、前記軸を中心とした領域の全てを、ほぼ一定の空間エネルギ密度で、照明するように十分広い。前記主入射ビームは、放射の主軸に対応する。
【0010】
好都合だが、必ずしも用途によらないことは、前記ソースの放射領域は、可能な限り小さく、例えば、5mm未満で典型的には0.1mm未満であると好ましく、発散に準じるビームを生じ、前記3つの光検出器の各々から単一の直接反射が見られることである。ある瞬間に、ソースが1つだけ放射する。光検出器の2つだけが、この放射するソースの角度位置により同時に作動しており、したがって、同一のソースの2つの異なる反射が、同時に測定される。この放射するソースの最も反対近くの角度位置の光検出器は、作動しない。
【0011】
単一の作動するソースは、ソースからソースへと前記リングの中を前記物体を中心としてソースビームの角度を持つ入射ビームを円形にスイープするように順次スイッチされ、この結果、この物体の表面で反射の角度を持つスイープを発生させる。この方法により、詳細に連続して、正確に位置が決定された点ごとにこの物体の全ての表面を観測することができる。
【0012】
前記物体の表面で反射された複数の点の角度分解能(角度ピッチ)「Rf」は、前記ソースの角度分解能(Rs)のみに依存する。Rf=Rs/2である。このことの結果は、前記物体の点の数は、ソースの数より2倍大きいということである。空間分解能「Rp」は、それ自身、前記物体の半径「r」に比例し、したがって、Rp=r*Rfである。表面の点のサイズは、ソースと受光錐との面積に依存する。
【0013】
良好な空間分解能「Rp」を得るために、用途に応じ、センサの感受性にしたがって、必要とされる解像度に適したソースの数のように、小さな放射面と小さな受光錐とが求められる。
【0014】
このように、前記光検出器が最大の反射光を受容するという事実は、欠陥がないことを示し、表面状態を特徴付ける。したがって、本発明による装置で、鏡に準じるワイヤの場合を含めて、前記物体の表面全体の分析を実行することが可能である。
【0015】
さらに、角度αだけ傾斜した光が放射される結果、前記ソースは、光検出器により観測される、反対側のソースでの見せかけの反射を発生することができない。
【0016】
各光検出器は、この光検出器と前記測定領域との間に位置し、反射された光エネルギを集めるための関連した光学系を有している。
【0017】
したがって、これら光検出器とそれらの光学系とは、前記リングの軸に対して前記ソースの主入射角にほぼ対称で、主入射ビームとこのリングの軸との間の交差点を通過する角度で同軸上に位置している。この光学系により、前記物体が前記測定領域で振動するときに反射位置の変化に備えられなければならない。
【0018】
前記光学系とセンサの感受面とは、受光錘を規定し、この受光錘は、前記物体で観測される反射のサイズと、したがって、測定の分解能とを規定する。この配置の結果、前記物体の前記リングの軸に対しての振動又は位置に比較的依存しない測定が可能となる。
【0019】
例えば、前記光検出器の平面は、入射ビームとリングの軸との間の交差点に対して、前記ソースの平面にほぼ平行である。
【0020】
前記装置は、前記物体の表面で前記光検出器の方への回転する反射が生じるように、回転する入射ビームを発生させるために、前記リングで局所化され回転するように、前記ソースを個々に連続して作動させることを目的とする手段を有している。必要な場合には、前記ソースの個々の特性が何であれ、前記リングの全てのソースが一定のエネルギを放射するために、各ソースにより放射される光の出力を規制することを可能とすることができる。反射されたエネルギの変化は、この場合、表面状態、粗さ、形状、外観、色の変化にだけ対応する。
【0021】
さらに、この装置は、前記物体により反射されたエネルギを集め、それを前記光検出器に向けるように、各光検出器と、主入射ビームとリングの軸との交差点との間に位置しているレンズを有している。
【0022】
この装置の主な用途は、物体がその軸で高速で進行する製造ライン(引き抜き、押出し、ファイバ成形)に関連する。この場合、物体の表面での反射のスイープは、ピッチ(長手方向すなわち軸方向解像度)が、前記ソースの回転速度とこの物体のその軸上での進行速度とに依存するらせんに対応する。
【0023】
例えば、前記リングに20MHzの周波数でスイッチされる100個のソースがある場合、前記物体を中心に毎秒20*10/100=200000回転がある。もし、この物体が製造中に毎秒30メートルの最大速度で進行するならば、この物体の、2つの回転の間の、長手方向の解像度は、0.15mmであろう。周囲の解像度は、200点で、ソースの数の2倍である。
【0024】
前記装置を前記物体の速度の測定値を供給する外部機器に接続することにより、この物体の移動が、常に、知られる。この結果、本発明により、表面の欠陥があるかどうかを決定するだけではなく、この物体の位置と周方向及び軸方向の寸法とを正確に決定することも可能となる。この装置により、軸方向に動く円柱の全表面を、この物体の表面の点ごとのらせん状のスイープにより、観測することができ、非常に正確に非常に迅速にこの表面の得られた画像を生じることができる。この結果、欠陥の特性の詳細な分析を生ずることができる。
【0025】
この装置は、リングの中にほぼ等間隔で分布している少なくとも10個のソースを有することができる。
【0026】
前記入射ビームを前記軸の近傍で細い線へと集中させるために、この軸に中心が合わせられるように、トーリックレンズを、前記ソースのリングとリングの軸との間に位置させることができる。
【0027】
例えば、この装置は、互いに周期的な角度で離間された少なくとも3つの光検出器を有している。
この装置は、また、前記光検出器からの信号を取得し比較する装置を有し、これら光検出器から受容されたエネルギの変化を測定し、この物体の表面でこれらエネルギの起点の位置を定め、前記欠陥の寸法を定めることを可能とする。
【0028】
第2の態様によると、本発明は、ワイヤなどのような細長い物体の表面状態を分析する、以下の工程を有する方法に関する。
各々が、リングの軸に向けて入射ビームを放射するようにデザインされ、直角ではなくゼロの角度ではない角度(α)をこの軸と形成し、前記リングの中にほぼ位置している複数の光のソースを提供すること。
物体の表面の分析される環状の領域がほぼ前記入射ビームの工程に位置するように、この物体をほぼ前記リングの軸に位置させること。
入射ビームの前記物体での直接かつ完全な反射により形成される各反射ビームが3つの光検出器のうちの少なくとも2つにより受容されることができるように位置し、前記ソースのリングにほぼ平行な平面に位置している少なくとも3つの光検出器を提供すること。
受容されたエネルギを点ごとに測定する前記光検出器により受容された、前記物体の表面での反射の周方向のスイープを生じさせるように、前記リングで回転するように、個々に連続して前記ソースを作動させること。
【0029】
表面状態の変化、形状の欠陥の存在、物体の表面の不規則さ、又は物体の表面の色の変化は、反射され、少なくとも2つの光検出器により受容されるエネルギの変化を測定することにより決定される。
【0030】
この方法は、また、らせん状の走査により前記物体の全表面を分析するために、前記リングの軸に沿ってこの物体を次第に移動させる工程を有していてもよい。
【0031】
添付された図面を参照して、非限定的な例として、本発明の可能な実施形態の説明が続く。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
装置1により、ワイヤ2などのような、細長く、好ましくは円形のしかし円形に限定されない物体の表面品質を検査することができる。このワイヤ2は、例えば、連続的に生産され、分析は、ラインからの出口の点で半永久的に実行される。このワイヤは、例えば、金属ワイヤ(鋼、ステンレス鋼、など)、銅電線、完全反射ワイヤ(un fil parfaitement reflechissant)(金のワイヤ)、光ファイバなどでよいが、また、長い押し出し型材(棒など)でもよい。
【0033】
装置1は、金属のリングと複数の光のソース4が取りつけられている柔軟性のあるプリント回路とにより形成されている。このソース4は、発光ダイオード、レーザダイオード、又は小型の放射装置でよい。これらは、この場合、直径0.2mm(0.03mm)の放射部分を備え、面積が1×1.5mmの寸法のSMCパッケージのLEDである。この結果、装置1は、平面に位置し、この平面に垂直な軸5のリングにおおよそ均等に配置されている、20を超え得て、50さえも超え得る多数のソース4を有している。
【0034】
例として、このソース4のリングは、20μmと5mmとの間、好ましくは2mm未満の直径のワイヤ2に対して、およそ40mmの直径を有していてもよい。より大きく又はより小さい寸法を特定の用途で想像することができる。
【0035】
複数のソース4は、各々、前記軸5に向けられ、70°より大きい角度α、例えばおよそ85°、だけこの軸5に対して傾斜している、主入射ビーム6を放射する。したがって、これら入射ビーム6のセットは、頂角αの円錐と頂点7とを形成する。この頂点7は、入射ビーム6と軸5との交差点である。
【0036】
この装置1は、また、ほぼソース4の平面に平行で、入射ビーム6により形成される円錐の頂点に対してこの平面に対称な平面に位置している3つの光検出器8a、8b、8cを有している。
【0037】
光学系は、レンズ9からなり、適当な場合には、隔壁21(図7)も、各光検出器8と頂点7の間で同一軸上に位置し、適当な方法で物体2で反射されたエネルギを集め、光検出器8に投射する。
【0038】
これら3つの光検出器8とそれらの光学系とは、120°の角度で互いに離間されている。ソース4の円錐状の放射領域によりソース4は、光検出器8により観測される対向するソースでの不要な反射を発生させないことができる。
【0039】
ソース4からの入射ビーム6の円錐10のセットの交差点は、「測定領域11」と称する、軸5を中心とする円柱状の領域を規定している。表面が分析されるワイヤ2は、この測定領域11に位置し、ソース4の平面に垂直で軸5上に位置していると好ましい。
【0040】
装置の2つの異なる構成が説明される。
【0041】
図2と図4とでは、トーリックレンズ22が、ソース4からの入射ビーム6を軸5の細線へと、測定領域11を通してこの軸5に直角に集中させている。このトーリックレンズ22を、容積の観点から許容可能な、パフォーマンス特性と費用とを備えた、機械加工された又は成形されたプラスチックから構成することができる。
【0042】
したがって、測定領域で軸5に平行に位置する物体2は、その周囲を直線により照明される。物体2で反射され、光検出器8が受容する全てのビーム12は、この線から出て、この線は、物体2での測定の軸方向の解像度を規定する。
【0043】
この場合、光検出器8は、レンズ9の焦点面にある。受光錐は、レンズ9の焦点距離Fと光センサ8の感受領域とにより規定されている。このために、物体2の面で反射された全てのビーム12は、測定領域の物体2の位置がどこであっても(振動)、常にこの光学系の軸に沿って配向されている受光錐の中に入っている。この結果、この物体の位置に比較的依存性のない測定が可能となる。この装置は、非常に高い振動数で振動しているファイバ、極微細ワイヤに適用可能である。
【0044】
図7では、光検出器8は、軸5に垂直に向けられ、直線状(de forme lineare)である。これら光検出器は、これらの像が測定領域11の中央に投射されるように、レンズ9から所定距離に位置している。典型的に、拡大率1が得られる。この場合、物体2で反射され光検出器8により受容されるエネルギは、物体2に投射される光検出器8の領域に対応している。光検出器8の光感受性ライン(ligne photosensible)23の太さは、物体2の軸方向の解像度を決定する。隔壁21は、受光角を規定し、光検出器8の長さは、測定領域を決定する。図4の配置より単純なこの配置では、優れた軸方向及び周方向の解像度が与えられるが、当然より大きな入射エネルギが必要とされることになる。平均的なサイズの押し出し成形された、又はファイバとして成形された製品により適用できる。
【0045】
測定の基本原理は、上述した2つの構成で同じである。これは以下の通りである(図4と図7とでは、簡単にするために1つのソース4と1つの光検出器8とが示されている)。
【0046】
ソース4からの入射ビーム6が、ワイヤ2の領域に到達する。もし、この領域が完全な表面条件を有している(鏡)ならば、関連する反射点で、このワイヤ2の法線13に対して入射ビーム6と対称な反射ビーム12が得られる。レンズ9を通過した後、この反射ビーム12は、光検出器8に向けられる。
【0047】
ワイヤ2の表面条件は、反射エネルギの拡散の大小により測定される。もし、このワイヤが鏡ならば(例えば、金のワイヤ)、入射ビーム6のエネルギのほとんどは、受光錐14の中に入る。もし、この表面が完全でなければ(粗さ)、この表面は、入射ビーム6を、受光錐14よりも角度がはるかに大きな拡散錐(co^ne de diffusion)15の中に反射する。したがって、一定の入射エネルギでは、受光錐14の中に含まれるエネルギは、はるかに低く、光検出器8により受容されるエネルギに大きな変化を生じる。
【0048】
表面形状の欠陥のために、反射されるエネルギを変化させるのは、反射角の変化、又はひびの中での局所的な吸収である。色に関して、色フィルタを備えた3つの光検出器8を有し、各レンズ9が、比色分析(色の3つの基礎成分の光変化の分析)を行うことも想像できる。これら3つの光検出器8は、場合によっては、ワイヤ2でずらされ、又は場合によっては整列されている。
【0049】
この分析の間、各ソース4は、ワイヤ2を中心として単一の放射源が円形の回転を果たすように、個別に順次に作動される。この結果、表面の詳細な部分を連続的して走査することにより、ワイヤ2の表面の特性を明らかにすることが可能である。これは、このワイヤ2の小さな角度部分にわたって、光検出器8を介して一時に1つだけのソース4の反射が観測されるためである。
【0050】
固体状態の構成成分だけを用いて、本発明は、今現在の技術に制限されて、1秒当たり非常な多数回の回転を実行することを可能にしている。本出願では、回転周波数は、用いられている技術にかなって200000Hzである。したがって、測定は、非常に高速である。
【0051】
図3で、3つの領域に分離されているリングの作動しているソース4の位置により、作動している光検出器が異なることが見て取れる。この結果、領域Z1では、光検出器8a、8cが作動し、領域Z2では、光検出器8a、8bが作動し、領域Z3では、光検出器8b、8cが作動する。2つの作動するセンサの各々が、同一のソースからの単一の反射を検知する。換言すれば、2つの異なる反射が、同時に検知される。
【0052】
図4と図7とでは、前記ワイヤは、入射ビーム6と反射ビーム12との方向への、このワイヤの位置の影響を示すように、測定領域11の内側の他の位置(参照符号2’)で示されている。もし、このワイヤ2が測定領域11の内側を動くならば、同一のソース4は、同じ受光錐14に対して、ワイヤ2の同一な部分を正確に照明しない。ソース4のエネルギが測定領域11の内部で非常に一様であるとすると、この配置により、測定が、測定領域11の中でのワイヤ2の振動と位置とに比較的依存しないようになることが見て取れる。この特性は非常に重要である。なぜならば、この結果、ワイヤ2が完全に軸5の中心に位置していなくとも、また、まさに分析のときにワイヤが振動を受けても、品質計測を実行することが可能となるからである。
【0053】
もし、ソース4からワイヤ2までの距離が、このワイヤ2の全振動振幅4mmに対して、50mmならば、このワイヤ2の観測可能な反射領域の角度変化は、その直径が何であれ、1/2.arctg(4mm/50mm)=2.3°である。
【0054】
もし、86個のソース4が、ワイヤ2を中心として円形に位置しているならば、このワイヤの測定の角度分解能は、360°/(86×2)=2.1°となる。
【0055】
周囲の走査時間は、非常に短く、例えば、およそ5マイクロ秒であり、この結果、このワイヤ2の振動は、比例して、非常に遅く(1000倍遅い)、このワイヤ2が動かされた場合にゆっくりとした角度のずれが生じても、分析は連続して続く。
【0056】
光検出器8からの信号を処理するための例示的な電子装置16が、図6に示されている。しかしながら、他の電子装置を想像することもでき、これらは、用途に応じて必要とされるだけの複雑さを備えうる。
【0057】
関数(function)17は、複数の前記ソースの論理スイッチを扱い、また、ソース4の個々の特性のばらつきがどのくらいであれ一定のエネルギ放射を維持するように、ソースごとに電流の規制を扱う。この結果、光検出器8a、8b、8cにより受容される反射ビーム12のエネルギ変化は、物体の変化(粗さ、形状、外観、色)のみにより起因する。ワイヤの表面状態の場合には、必要とされる全ては、検査される物体を中心として一様な角度間隔で分布している、3つ又は4つの光検出器8もしくはオプトエレクトロニクス受容システムである。
【0058】
複数の前記光検出器8からの各信号は、比較器18と対比される。この比較器の比較閾値(le seuil de comparaison)は、ソース4の相対的な位置に応じて変化しうる。作動するセンサに応じて、比較器18の出力は、チャネル切り替え論理(la logique de se’lection des voies)により有効にされ、また無効にされうる。欠陥が検出された場合同じセンサが欠陥を発見しないサイクルを行わない限り、周囲あたりの欠陥のある「点」の数のカウントを始めることができ、また、装置20を介してワイヤ2の欠陥のある表面領域の2次元測定を使うように物体の軸方向の速度と関連した周囲の数のカウントを始めることができる。
【0059】
比較器18と並行して、光検出器からのアナログ信号を、分析又は表示の目的のために欠陥の周囲のワイヤの表面の得られた(de’veloppe’)画像を生じさせるように記録することができる。
【0060】
このように、本発明は、簡単で堅牢な構成だが、欠陥がない場合さえも、物体の全表面を分析し、形状の欠陥と、表面の不規則性と、色変化とを正確に位置決定し、定量化することを可能にする、物体の表面状態を分析するための装置を提供することにより、従来技術に対する決定的な改良を加えている。実際、欠陥の位置は、ソースと関連するセンサとの位置により、明確に知られる。
【0061】
本発明が、例としての上述の実施形態に限定されず、逆に、実施形態の全ての変形例を含むことは、言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係る装置の部分概略的な斜視図である。
【図2】図1の装置の径方向に見た、部分概略的な図である。
【図3】図1の装置の軸方向に見た、部分概略的な図である。
【図4】ワイヤの表面状態の測定の原理を示す部分図である。
【図5】ソースの角度分解能とワイヤの角度分解能とを示す図である。
【図6】本発明に係る装置から光検出器により受信された信号を処理するための電子装置のダイヤグラムである。
【図7】隔壁を備えた変形例を示す、図4に類似の図である。
【図8】図7の隔壁の上面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤ(2)などのような細長い物体の表面の状態を分析するための装置であって、
平面でほぼリングに配置され、各々がこのリングの軸(5)に向けられた主入射ビーム(6)を放射するようにデザインされ、この主入射ビーム(6)が、前記リングの軸(5)と直角ではなくゼロではない角度である、角度(α)を形成するように配置されている複数の光のソース(4)と、
これらソース(4)のリングにほぼ平行な平面に位置し、入射ビーム(6)の前記物体(2)での直接かつ完全な反射により形成される各反射ビーム(12)が、3つの光検出器のうちの少なくとも2つで受光されることができるように位置している少なくとも3つの光検出器(8、8a、8b、8c)と、を具備し、
前記物体(2)は、この物体(2)の表面の分析される領域が前記入射ビーム(6)の光路上に位置するように、前記軸(5)の近傍に位置することを意図される、装置において、
この装置は、前記光検出器(8)に向けて前記物体(2)の表面で回転する反射を生じさせるように回転する入射ビーム(6)を発生させるために、前記ソース(4)を前記リングで局所的に回転させるように、個々に連続させて作動させることを目的とする手段を具備することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記物体(2)により反射されるエネルギを集め、このエネルギを前記光検出器(8)に向けるように、各光検出器(8)と、前記主入射ビーム(6)と前記リングの軸(5)との交差点(7)との間に位置しているレンズ(9)をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
リングでほぼ等間隔に分布している少なくとも10個のソース(4)を具備することを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記ソース(4)のリングと、このリングの軸(5)との間に位置し、この軸(5)に中心が合わせられたトーリックレンズ(22)を具備し、この結果、前記入射ビーム(6)を前記軸(5)の近傍で細い線へと集中させることが可能なことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の装置。
【請求項5】
互いに規則的な角度で離間された少なくとも3つの光検出器(8、8a、8b、8c)を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載の装置。
【請求項6】
前記光検出器(8)からの信号を取得し比較するための装置(16)を具備し、この結果、これら光検出器(8)により受容されたエネルギの変化を測定し、前記物体(2)の表面でこれらエネルギの変化の起点の位置を決定し、欠陥の寸法を決定することが可能なことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の装置。
【請求項7】
ワイヤ(2)などのような細長い物体の表面の状態を分析する方法であって、
ほぼリングに配置され、各々がこのリングの軸(5)に向けられた主入射ビーム(6)を放射するようにデザインされ、前記軸(5)と直角ではなくゼロではない角度である、角度(α)を形成している複数の光のソース(4)を提供する工程と、
前記物体(2)をほぼ前記リングの軸(5)上に位置させ、この物体(2)の表面の分析されるほぼ円環の領域が、前記入射ビーム(6)の光路上に位置する工程と、
前記ソース(4)のリングにほぼ平行な平面に位置している少なくとも3つの光検出器(8、8a、8b、8c)を提供し、これら光検出器(8)は、入射ビーム(6)の前記物体(2)での直接かつ完全な反射により形成される各反射ビーム(12)をこれら3つの光検出器(8)のうち少なくとも2つにより受光することができるように位置している、工程と、
受容されたエネルギを点ごとに測定する前記光検出器(8)により受光される、前記物体(2)の表面での反射が周方向にスイープするように、前記リングで回転するように、個々に連続的に前記ソースを作動させる行程と、
を具備する方法。
【請求項8】
前記表面の状態の変化、形状の欠陥の存在、前記物体の表面の不規則さ、又はこの物体の表面の色の変化が、反射され、少なくとも2つの光検出器(8)により受容されるエネルギの変化を測定することにより決定されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記物体の全表面をらせん状の走査により分析するために、前記物体(2)を前記リングの軸(5)に沿って次第に移動させる工程をさらに具備する請求項7又は8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−506939(P2008−506939A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520865(P2007−520865)
【出願日】平成17年7月18日(2005.7.18)
【国際出願番号】PCT/FR2005/001832
【国際公開番号】WO2006/008402
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(507016041)
【Fターム(参考)】