説明

組織材料およびマトリックス

本発明は概して、細胞および組織の、成長、発達および分化を促進するまたは容易にするのに有用な組織細胞およびその抽出物を含む組織調製物に関する。より詳細には、本発明は、無傷のまたは抽出された細胞外マトリックスおよび/もしくは細胞、ならびにサイトカイン、成長因子および他の成分を含む筋肉由来の材料を提供する。本発明の筋肉調製物は、基底膜に似ており、かつ細胞に基づいた材料に由来する。筋肉調製物はとりわけ、種々の組織工学用途において、ならびに前脂肪生成細胞などの前駆体および幹細胞を含むがこれに限定されないある範囲の種類の細胞を育てるおよび濃縮するための他の細胞系における細胞の足場としてインビトロまたはインビボで用いられる可能性がある。筋肉調製物はまた、例えば美容のおよび局所治療の業界などにおけるクリームのための基剤としても、ならびに食品業界におけるマトリックスまたは添加剤としても有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は概して、細胞および組織の、成長、発達、および分化を促進するまたは容易にするために有用である組織細胞およびその抽出物を含む組織調製物に関する。より詳細には、本発明は、無傷のまたは抽出された細胞外マトリックスおよび/または細胞、ならびにサイトカイン、成長因子および他の成分を含む筋肉由来の材料を提供する。本発明の筋肉調製物は、基底膜に似ており、かつ細胞に基づいた材料に由来する。筋肉調製物はとりわけ、種々の組織工学用途において、ならびに前脂肪生成細胞(pre-adipogenic cell)などの前駆体および幹細胞を含むがこれに限定されないある範囲の種類の細胞を育てるおよび濃縮するための他の細胞培養システムにおいて、細胞の足場として、インビトロまたはインビボで用いられる可能性がある。筋肉調製物はまた、例えば美容のおよび局所治療の業界などにおけるクリームの基剤として、ならびに食品業界におけるマトリックスまたは添加剤としても有用である。
【背景技術】
【0002】
先行技術の説明
本明細書において参照文献の詳細はまた、本明細書の最後部にも列挙される。
【0003】
本明細書における任意の先行技術への言及は、その先行技術が任意の国において通常の一般的な知識の一部をなすことの承認またはいかなる形の示唆でもなく、かつそうとられるべきではない。
【0004】
基底膜は、間質および周囲神経、筋肉線維、平滑筋細胞ならびに脂肪細胞と上皮とを分ける薄い連続的なシートである。電子顕微鏡分析は、基底膜の成分が、膜を形成するよう相互作用する微細線維の網状組織であることを示す。この網状組織は、一部には、分子間ジスルフィド結合を介して相互に連結しているコラーゲンIV分子の存在に起因する(Inoue et al., J Cell Biol, 97:1524-1539, 1983(非特許文献1))。
【0005】
基底膜の種々の成分は、お互いに相互作用することが公知である。例えば、基底膜の一成分であるラミニンは、コラーゲンIVならびにヘパラン硫酸プロテオグリカンに結合する。
【0006】
基底膜調製物は、細胞の成長、発達、および分化を特徴づける生理的に関連性のある環境を提供し得る。これら調製物は多くの場合、組成および活性において不均一である。いくつかの調製物は、例えば、可溶性であり、細胞マトリックスとして適当ではない(Terranova et al., Cell 22:719-726, 1980(非特許文献2))。
【0007】
エンゲルブレスホルムスワム(Engelbreth Holm-Swarm )(EHS)マウス肉腫由来の1つの調製物は、商品名「マトリゲル」[商標、BD Biosciences]で販売される基底膜に富むマトリックスで、Kleinman et al., Biochem 21:8188-6193, 1982(非特許文献3)により記載されている。マトリゲルは、細胞の成長、発達および分化を容易にする有用な製品である。しかしながら、いくつかの場合、いくつかの細胞が有する、マウス由来マトリゲルとの相互作用のレベルにおいて種特異的な違いがある可能性があり、これはこの製品をヒト細胞などの非マウス細胞での使用に適さないようにする。それはまた、非マウス宿主において不正な免疫反応である可能性がある。
【0008】
本発明に従って、新しい、基底膜に富む組織調製物は、ヒト細胞を含む細胞の範囲において特に有用な成長、形態学的な、および分化の促進活性が与えられる。
【0009】
【非特許文献1】Inoue et al., J Cell Biol, 97:1524-1539, 1983
【非特許文献2】Terranova et al., Cell 22:719-726, 1980
【非特許文献3】Kleinman et al., Biochem 21:8188-6193, 1982
【発明の開示】
【0010】
発明の概要
本明細書を通じて、文脈上他の意味を要する場合を除き、「含む(comprise)」という語、または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などの変化形は、規定された要素もしくは完全体、または要素もしくは完全体の群の包含を意味するが、任意の他の要素もしくは完全体、または要素もしくは完全体の群の排除を意味しないと理解されると考えられる。
【0011】
本発明は、細胞の成長、発達、および分化を支持するため、および細胞への形態学的な変化を支持するかまたはもたらすための足場として有用である、細胞材料ならびに無傷のおよび抽出された細胞外マトリックス材料を提供する。組織材料は、好ましくは筋肉組織由来であり、かつ基底膜成分を含む調製物を含む。これらの成分は、限定されないが、ラミニン、コラーゲンI、コラーゲンIV、エンタクチン/ニドゲン、ヘパラン硫酸プロテオグリカンの1つまたは複数、ならびに限定されないが、EGF、bFGF、NGF、PDGF、IGF-1、TGF-β、VEGFおよびTNF-αの1つまたは複数を含む。概して、組織材料は、細胞に基づいた調製物、または無傷のもしくは抽出された細胞外マトリックスのいずれかを含む。無傷のまたは抽出された無細胞調製物は概して、尿素もしくはSDS抽出または洗浄する段階が続く凍結/融解法もしくは凍結乾燥法のような方法を用いて調製される。細胞に基づいた調製物は概して、ミンシング(mincing)、グルタルアルデヒド固定法、および/またはDMSOもしくは他の凍結保存剤中での凍結などの技術を用いて調製される。凍結乾燥法は無傷の細胞を保存しないが、臨界点乾燥法は保存する。
【0012】
組織材料はまた、本明細書において、筋肉マトリックス、筋基底膜マトリックス、ミオマトリックス(myomatrix)、ミオトリックス(myotrix)、筋肉足場(muscle scaffold)、ミオゲル(myogel)、および細胞培養組成物としても都合良く言及される。「筋肉マトリックス」という用語は、細胞に基づいた調製物および無細胞調製物の両方に及ぶという理解で簡潔に都合良く用いられる。無細胞調製物は、無傷のおよび抽出された細胞外マトリックスを含む。
【0013】
本発明の筋肉マトリックスは、例えば組織工学における、組織の修復、増大および/または置換療法のための多量な組織の産生を容易にするためなどの多種多様の用途を有する。筋肉マトリックスはまた、限定されないが、筋肉および脂肪などの培養組織のための足場としても有用である。それはまた、適切な幹細胞部位から適切な前脂肪生成細胞を濃縮するおよび育てる手段としても有用である。研究手段として、本発明の筋肉マトリックスは、細胞の成長、発達、ならびに内皮細胞、上皮細胞、グリア細胞、神経細胞、筋肉細胞および前脂肪細胞などの分化の研究において有用である。美容および食品の業界において、筋肉調製物は、クリームのための基剤および食品添加剤として有用であり、ならびに細胞修復組成物として治療的に有用である。
【0014】
本発明の筋肉マトリックスは、より広い範囲の細胞活性を誘導またはそうでなけでば容易にし、かつ種保存的方法で適用され得るため、他の基底膜調製物より特に優れている。
【0015】
本明細書において用いられる略語は表1に定義される。
【0016】
(表1)略語

【0017】
好ましい態様の詳細な説明
本発明は、とりわけ、組織工学、組織の増大、修復および研究に関係する脂肪生成用途および他の用途に有用である組織調製物を提供する。調製物はまた、局所治療、美容および食品の業界における用途も有する。材料の1つの好ましい形態は、可溶化され、抽出された、筋肉由来の基底膜材料を含む。もう1つの形態は、溶解された細胞および基底膜材料を伴う無傷のマトリックスを含む。さらにもう1つの好ましい形態は、無傷の組織および細胞を含む。したがって、組織材料は、筋肉抽出物材料、筋肉マトリックス、ミオマトリックス、ミオトリックス、筋基底膜マトリックス、筋足場、ミオゲルおよび細胞組成物または調製物として様々に言及される。これらの用語は、明細書を通じて互換的に用いられるが、「筋肉マトリックス」という用語により包含される。
【0018】
したがって、筋肉マトリックス調製物は、細胞に基づいた、または無傷のもしくは抽出された細胞外マトリックスのいずれかである可能性がある。無細胞抽出物は概して、尿素抽出またはSDS抽出などの方法を用いて調製される。無傷の細胞抽出物材料は概して、洗浄する段階が続く凍結/融解法により調製されるが、抽出後に残留物を含み得る。細胞に基づいた調製物は概して、ミンシング、グルタルアルデヒド固定、および/または凍結乾燥法などの技術を用いて調製される。他の類似の方法が用いられる可能性があり、このような方法の全てが本発明により包含される。これらは、臨界点乾燥法、グルタルアルデヒド以外の固定剤を用いるタンパク質の架橋結合法、および機械的に新鮮な筋肉を粉砕する方法を含む。加えて、産物をさらに増大するように用いてもよく、または単独で用いてもよい、多種多様な抽出前または抽出後技術が存在する。これらは、種々の物理化学的手法(例えば、製粉、微粉砕、TIPSなど)、凍結およびすすぎ後の組織の固定、ならびに凍結後の改変された洗浄を経る材料の操作を含む。出発組織でさえ、平滑筋または心筋を用いるなど、変更され得る。全てのこのような変化形は、本発明の範囲の範囲内である。
【0019】
本発明の好ましい組織材料は概して、限定されないが、ラミニン、コラーゲンI、コラーゲンIV、エンタクチン/ニドゲン、ヘパラン硫酸プロテオグリカンの1つまたは複数、ならびにEGF、bFGF、NGF、PDGF、IGF-1、TGF-β、VEGFおよびTNF-αの1つまたは複数などだがこれらに限定されないサイトカインならびに成長因子を含む他の成分を含む。組織材料は、筋基底膜成分に富んでいる。本発明の組織材料は、とりわけ脂肪、筋肉、肝臓および膵臓を含むがこれに限定されない組織の研究および工学技術を含む有用性の範囲を有する。それはまた、起源材料、すなわち種々の部位由来の脂肪に対する、脂肪細胞および前駆細胞の脂肪生成の可能性についてのインビトロバイオアッセイのための基盤も提供する。調製物は、局所治療、美容および食品の業界における用途をさらに有する。
【0020】
従って、本発明は、細胞または組織における分化、増殖、分裂および/または形態学的変化を含む細胞成長を促進するのにに有用な組成物を提供し、該組成物は、限定されないが、ラミニン、コラーゲンI、コラーゲンIV、エンタクチン/ニドゲン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、ならびにEGF、bFGF、NGF、PDGF、IGF-1、TGF-β、VEGFおよびTNF-αまたはそれらの相同物の1つまたは複数などだがこれに限定されないサイトカインおよび成長因子を含む他の成分の起源を提供する筋肉組織調製物の、細胞に基づいたまたは無細胞の抽出物のいずれかを含む。
【0021】
好ましい態様において、組織材料は、ラミニン、エンタクチン/ニドゲン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、コラーゲンIV、bFGF、PDGF、TGF-β、VEGFおよびTNF-αを含む。
【0022】
便宜上、「細胞効果」という用語は、細胞の成長および分裂、分化、増殖ならびに形態学的変化を包含するよう用いられる。
【0023】
組織材料の起源は、任意の動物、および好ましくは、限定されないが、ヒト、非ヒト霊長類(例えばゴリラ、マーモセットまたはオランウータン)、家畜動物(例えばウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ロバ、ヤギ、ラクダ)、実験動物(例えばマウス、ラット、ウサギ、モルモット、ハムスター)またはコンパニオンアニマル(例えばイヌ、ネコ)などの哺乳類由来である可能性がある。本発明はまた、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、シチメンチョウおよび他の家禽または狩猟鳥などのトリ起源、ヘビおよびトカゲなどの爬虫類起源、ならびにカエルおよびヒキガエルなどの両生類起源にも及ぶ。
【0024】
特に好ましい態様において、ブタ、マウス、ラットまたはヒト由来の筋肉組織が用いられる。
【0025】
従って、本発明のもう1つの局面は、哺乳類由来の筋肉調製物を含む組成物を提供し、該組成物は以下を含む:
(i)細胞に基づいたまたは無細胞の材料;
(ii)限定されないが、ラミニン、コラーゲンIV、エンタクチン/ニドゲン、ヘパラン硫酸プロテオグリカンの1つまたは複数を含むリストから選択される成分;
(iii)限定されないが、EGF、bFGF、NGF、PDGF、IGF-1、TGF-β、VEGFおよびTNF-αまたはそれらの相同物の1つまたは複数を含むリストから選択されるサイトカインまたは成長因子;
(iv)約1 μg/mlから約100 mg/mlの間の総タンパク含量。
【0026】
ラミニン、コラーゲンIV、エンタクチン/ニドゲン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、またはEGF、bFGF、NGF、PDGF、IGF-1、IGF-2、TGF-β、VEGFおよびTNF-αなどの上記成分への言及は、それらの成分として見なされるべきだがそれらの成分に限定される必要はなく、言い換えれば、調製物は列挙されない他の成分を含む可能性がある。
【0027】
組織材料の成分は、全体として筋肉組織に由来し、または、限定されないが(塩類、溶質および/または糖類のなどの)追加のゲル化剤、サイトカイン、抗生物質、成長増強剤、遺伝子発現増強剤、増殖阻害剤および/または幹細胞分化助長剤などの追加の因子が、調製中に添加される可能性がある。
【0028】
組織材料は、1つの態様において、インビトロまたはインビボで細胞培養、細胞の分化、脱分化、または成長を容易にする組成物と見なされる可能性がある。
【0029】
特に好ましい態様において、組織材料は、とりわけ幹細胞、上皮細胞、皮膚細胞、器官細胞および内皮細胞から選択される細胞の成長および分化を促進する。
【0030】
「無細胞材料」への言及は、抽出マトリックス単独、または細胞が溶解されかつ大部分は取り除かれている調製物を含む。
【0031】
本発明は、細胞の成長および分化を容易にするか、または細胞または組織形態における形態学的な変化をもたらすのに有用である細胞培養組成物をさらに提供し、ここで該細胞培養組成物は、限定されないが、ラミニン、コラーゲンI、コラーゲンIV、エンタクチン/ニドゲン、ヘパラン硫酸プロテオグリカンの1つまたは複数、ならびに限定されないが、EGF、bFGF、NGF、PDGF、IGF-1、IGF-2、TGF-β、VEGFおよびTNF-αまたはそれらの相同物の1つまたは複数などのサイトカインおよび増殖因子を含む他の成分の1つまたは複数を含み、かつ細胞培養組成物は重合してゲルになる。
【0032】
「サイトカイン」への言及は、提供されたリストから選択された単一のまたは複数のサイトカインを含む。当然ながら、追加のサイトカインが存在するかまたは含まれる可能性がある。同様に、ラミニン、コラーゲンIV、エンタクチン/ニドゲンおよび/またはヘパラン硫酸プロテオグリカンの1つが存在する可能性があり、またはこれらの成分のうち2つもしくはそれ以上が存在する可能性がある。追加の細胞外マトリックス材料がまた、存在するまたは添加される可能性もある。
【0033】
重合は概して、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50℃などの約15℃から約50℃の温度で生じる。変動温度がまた、用いられてもよい。
【0034】
「ゲル」という用語は、そのもっとも広い意味で用いられ、食品添加剤として使用に適している材料を含む、半液体、半剛体の材料、弾力性のある材料、高濃度の液体、クリーム、固体支持剤またはその組合せを含む。
【0035】
好ましい態様において、サイトカインは以下の量で存在する:
bFGF:約0.3 ng/mlから約4 ng/ml、例えば


PDGF:約1 pg/mlから約3000 pg/ml、例えば


TGF-β:約1 pg/mlから約2000 pg/ml、例えば


EGF:約0 ng/mlから約100 ng/ml、例えば


VEGF:約1 pg/mlから約3000 pg/ml、例えば


TNF-α:約0 pg/mlから約1000 pg/ml、例えば


【0036】
1つの態様において、IGF-1は存在しない。
【0037】
したがって、本発明は、細胞の成長および発達において、かつ細胞または組織形態に変化をもたらすのに有用な、細胞に基づいた、または無細胞の調製物の形態の、組織由来の材料を提供する。該材料はヒト、非ヒト霊長類、家畜動物、コンパニオンアニマル、鳥類、爬虫類または両生類の筋肉に由来し、かつ約1.0 ng/mlから約4 ng/mlのbFGF、約1 pg/mlから約3000 pg/mlのPDGF、約1 pg/mlから約2000 pg/mlのTGF-β、約1 pg/mlから約3000 pg/mlのVEGF、約0 pg/mlから約1000 pg/mlのTNF-αおよび約0 ng/mlから約100 ng/mlのEGFを含むがこれに限定されないリストから選択される1つまたは複数のサイトカインおよび/または成長因子を含み、該材料はさらに、ラミニン、コラーゲンIV、エンタクチン/ニドゲンおよび/またはヘパラン硫酸プロテオグリカンから選択されるがこれに限定されない1つまたは複数の成分を含む。
【0038】
組織材料は、好ましくは基底膜および/またはその成分と類似する層状構造を伴うゲル形態である。組織材料はゲル形態である可能性があり、またはゲル形態に重合可能な「前駆体」形態である可能性があり、または細胞に基づいている可能性がある。都合のよいことに、組織材料は、前駆体の形態である場合、ゲル形態またはマトリックス形態に再構成可能である。さらに都合のよいことに、再構成された前駆体のマトリックス形態は、本明細書において「筋肉マトリックス」として言及される。細胞に基づいた調製物を含むゲル形態または前駆体形態のいずれかである本発明の筋肉マトリックスは、ビーズ、スポンジおよびクリームなどに作られるか、またはその中に組み込まれる可能性もある。ゲル形態は調製物の1つの好ましい形態であるが、ゲルに類似の「ゲル化」性質を有する細胞に基づいた調製物もまた本発明により企図される。
【0039】
従って、本発明の筋肉マトリックスは、多種多様な細胞の細胞成長および細胞分化の促進ならびに細胞または組織の形態に変化をもたらすのに有用である。上皮細胞、内皮細胞、神経細胞および幹細胞は、筋肉マトリックスによる成長および分化に対する影響を特に受けやすい。それはまた、細胞接着、ならびにニューロン、肝細胞、セルトリ細胞、毛包および甲状腺細胞などから選択されるがこれに限定されない細胞の成長、発達、分化および/または増殖も助ける。上記に示されるように、「筋肉マトリックス」は、細胞に基づいたおよび無細胞の調製物の両方に及ぶものとして理解されるべきである。
【0040】
細胞は、筋肉マトリックス上でインビトロで培養し、その後、その起源である動物へ、または免疫抑制したもしくは組織適合性の動物中に戻してもよい。この文脈で、「動物」は、ヒト、非ヒト哺乳類、家畜動物、コンパニオンアニマルまたはトリ、爬虫類もしくは両生類種を含む。同様に、筋肉マトリックスは、特定の部位で細胞成長または組織成長を促進するためにインビボで、または体内に移植されるチャンバーもしくは他の足場中で、単独で用いられる可能性がある。
【0041】
本発明の筋肉マトリックスは概して、約1℃から約10℃まで、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10℃またはこの範囲の非整数の温度などの低い温度で調製される。4℃の温度は、特に有用である。新鮮な筋肉が採取される。約10gから約100gまでが扱うのに便利である。目に見える脂肪を筋肉から切り取り、緩衝剤(例えばNaCl緩衝剤)中で組織をプロテアーゼ阻害剤に曝露する。無細胞抽出物の調製のために、結果として生じる組織をホモジナイズし、その後、上清を取り除くために遠心分離する。緩衝剤(例えばNaCl)中でペレット状の組織を再懸濁し、再ホモジナイズする。2回の洗浄段階を繰り返す。最後の洗浄後、ペレットを尿素緩衝剤中で再懸濁する。ホモジネートを夜通し攪拌し、一連の洗浄を完了し、各回で上清を収集する。その後、遊離の浮遊性脂肪を取り除くために、上清をガーゼを通してろ過する。その後、材料を滅菌するために、これを溶媒(例えばクロロホルム)に対して夜通し透析する。溶媒を緩衝剤に交換し、溶媒を取り除くために透析を続ける。最後の透析後、用いられる最後の緩衝剤はDMEMまたはその同等物である。結果として生じるプレマトリックス材料(pre-matrix material)を分配し、-20℃で保管する。
【0042】
必要とされる場合、プレマトリックス材料の試料を回収し、およそ37℃から42℃などの約20℃から約50℃でインキュベートし、ここで材料はゲル様の形態に重合する。血漿を含むがこれに制限されないゲル化を助けるための添加剤もまた、添加され得る。
【0043】
抽出物はまた、SDSを用いて調製される可能性もある。あるいは、調製物は、凍結/融解法とこれに続く洗浄する段階を用いて調製される可能性がある。これは、無傷のマトリックスとして言及される。細胞に基づいた調製物(すなわち、無傷の組織)は、ミンシング、凍結乾燥法および/またはグルタルアルデヒド固定法を用いて、好都合に調製される。
【0044】
本発明の組織抽出物材料または筋肉マトリックスは、販売のためにプレマトリックス形態でまたはマトリックス形態で梱包してもよく、使用方法についての説明書を同梱してもよい。追加の成分がパッケージまたはキット中に存在し、使用前に含まれるまたは使用時に混合される可能性がある。
【0045】
上記に示されるように、筋肉マトリックスは、脂肪細胞、3T3-L1細胞、HUVEC、MCF-7およびMDA-MB-231乳癌細胞、PC-12細胞およびNG-108神経細胞、ならびに標準的な手法により単離される前脂肪細胞の範囲を含むがこれに限定されない多種多様な細胞の培養に、特に適応する。
【0046】
筋肉マトリックスはまた、起源材料の脂肪生成の可能性に対するインビトロバイオアッセイにおいても有用である。調製物はまた、上皮、神経、内皮などの他の基底膜反応細胞型の分化ならびに癌および糖尿病などの多くの病原性状態についてのインビトロバイオアッセイにおける能力も有する。
【0047】
この局面に従って、筋肉マトリックスは、脂肪生成を誘導する細胞および/または分子成分を含む構成成分を決定するためのインビトロアッセイに供される。本アッセイは、筋肉マトリックスの抽出物などの試験される潜在的な脂肪生成成分の1つの層または複数の層で容器(recepticle)の表面をコーティングする段階、脂肪生成分化をうける可能性を有する細胞を播種する段階、その後、脂肪生成をスクリーニングする段階を含む。あるいは、筋肉マトリックスを表面上にコーティングし、他の成分を添加し、その後、増強されたまたは減ぜられた脂肪生成についてこの系をスクリーニングする。もう1つの態様において、脂肪生成分化をうける可能性を有する細胞が、懸濁培養物中で、および筋肉マトリックスの抽出物または画分などの試験される潜在的な脂肪生成成分が追加される培地中で維持される。細胞懸濁液の長所は、これらが分化をうけているかどうか決定するために培養培地からの細胞の迅速な単離を可能にする。あるいは、本アッセイは、潜在的な脂肪生成成分または抽出物を含む三次元の足場を作製する段階、脂肪生成分化をうける可能性を有する細胞を播種する段階、およびその後、脂肪生成をスクリーニングする段階を含む。したがって、本発明のアッセイシステムはまた、組織工学における使用のための前脂肪細胞の最適化集団を提供する、または選択する、または発達させる追加の長所も有する可能性もある。本アッセイは、適した容器中でインビトロで好都合に実施される可能性がある。この場合、マトリックスの表面は、細胞材料調製物でコーティングされてもよい。容器はまた、販売のために使用のための説明書と共に梱包されてもよい。
【0048】
したがって、本発明は、脂肪生成を調節する成分、抽出物または細胞系に対するインビトロアッセイを企図し、該アッセイは、脂肪細胞分化の性向を有する細胞の集団を同定するために筋肉調製物をスクリーニングする段階、潜在的な脂肪生成を調節する成分または抽出物または細胞系を生じさせるまたは入手する段階、該成分または抽出物の上に脂肪細胞分化の性向を有する該細胞の集団を播種する段階、該細胞を脂肪生成を生じさせるのに十分な時間インキュベートする段階、およびその後、該細胞を脂肪細胞分化についてスクリーニングする段階を含む。この文脈における「細胞系」は、細胞に基づいた調製物と同じ意味を有する。
【0049】
いくつかの態様において、潜在的な脂肪生成を調節する成分または抽出物または細胞系は、脂肪生成を促進する。他の態様において、脂肪生成を調節する成分または抽出物または細胞系は、脂肪生成を阻害する。
【0050】
「調節する」により、直接的にまたは間接的にのいずれかで、脂肪生成のレベルを増加させるまたは減少させることを意味する。
【0051】
潜在的な脂肪生成を調節する成分または抽出物または細胞系の層を、入手するかまたは生じさせてもよい。あるいは、潜在的な脂肪生成を調節する成分または抽出物または細胞系を含む三次元支持マトリックスを、入手するかまたは生じさせてもよい。ある態様において、脂肪細胞分化をうける性向を有する細胞は、懸濁培養液中で維持してもよく、本培地は潜在的な脂肪生成を調節する成分または抽出物が追加される。「層」への言及は、2つまたはそれ以上の層を含む。本方法は、潜在的な脂肪生成促進作用物質を筋肉マトリックスへ添加する段階に及ぶ。
【0052】
本発明のさらにもう1つの局面は、レシピエント内への移植に適しているドナー血管化組織を生じさせる方法を提供し、該方法は、機能的な循環系を含みかつ血管茎に浸透する、結合するまたは他の方法で関連する組織または組織抽出物またはそれらの成分を有する血管茎を作製する段階;支持マトリックス内および/またはその上に血管茎を結合する段階;支持マトリックスに、脂肪生成を促進するとしてインビトロアッセイを用いて同定された、単離された細胞または組織の断片を播種する段階;またはレシピエント内に、機能的な循環系が局所の動脈または静脈に吻合される部位で、血管茎を含有する支持マトリックスを移植する、いくつかの他の有用なエンドポイント;ならびに血管化新組織の成長を可能にする十分な期間、移植部位に支持マトリックスを残す段階を含む。ここで浸透する材料または播種する材料は、例えば脂肪細胞分化の性向を有する細胞の集団を同定するために組織または組織抽出物をスクリーニングする段階、潜在的な脂肪生成を促進する成分または抽出物を生じさせるかまたは入手する段階、該成分または抽出物の上に脂肪細胞分化の性向を有する細胞の集団を播種する段階、該細胞を脂肪生成が生じるのに十分な時間インキュベートする段階、およびその後、該細胞を脂肪細胞分化についてスクリーニングする段階を含むアッセイにより決定される場合、脂肪生成を促進する特定の根拠で選択される。
【0053】
好ましい態様において、血管茎は、付着脂肪もしくは他の脂肪組織、または筋芽細胞、繊維芽細胞、前脂肪細胞および脂肪細胞、心筋細胞、ケラチノサイト、内皮細胞、平滑筋細胞、軟骨細胞、周皮細胞、骨髄由来ストローマ前駆細胞、胚性、間葉系、もしくは造血性の幹細胞、シュワン細胞ならびに末梢神経系および中枢神経系の他の細胞、嗅細胞、肝細胞および他の肝臓細胞、メサンギウム細胞および他の腎臓細胞、膵島β細胞および導管細胞、甲状腺細胞、他の内分泌器官の細胞、ならびに前述の細胞のスフェロイドを含む組織を含む。全てのこれらの細胞は、選択前に、マトリックス上で成長する/生存する可能性または他の有用な組織へ分化する能力、例えば脂肪生成の可能性についてインビトロで試験される。血管茎上に付着する組織の存在は、支持マトリックス中またはその周りの新しい脂肪組織の成長をさらに容易にする。代替の態様において、組織抽出物、または組換え型の、合成のもしくは精製された組織成分は、血管茎に関連する。例えば、および好ましい態様において、これら成分および抽出物は、マトリックス材料に由来し、脂肪生成の可能性についてインビトロでスクリーニングされる。
【0054】
マトリックスは固定してもよく、脂肪細胞分化の能力を有する細胞を、完全培地(FCSを含むDMEMなど)または分化培地(1 μMのデキサメタゾン、インスリン、インドメタシンおよびIBMXが追加された完全培地)の存在下でマトリックスの単層上に蒔いた。脂肪生成を、14日間にわたって観察する。好適な脂肪細胞の例は、3T3-L1細胞または標準的な手法により単離される前脂肪細胞を含む。
【0055】
したがって、本発明は、脂肪生成促進成分または抽出物のためのインビトロアッセイを企図し、該アッセイは、容器の表面上の筋肉マトリックスから潜在的な脂肪生成抽出物の層を生じさせるまたは入手する段階、該層の上に脂肪細胞分化の性向を有する細胞の集団を播種する段階、脂肪生成が生じるのに十分な時間該細胞をインキュベートする段階、およびその後、脂肪細胞分化について該細胞をスクリーニングする段階を含む。
【0056】
もう1つの態様において、アッセイは、実質的に筋肉マトリックスから構成されるかまたは筋肉マトリックスでコーティングされた足場を含む可能性がある三次元支持マトリックス上で実施され、それに関して、当業者に公知の三次元細胞培養技術が実施され、例えばスピナーフラスコ技術(Mueller-Klieser J Cancer Res Clin Oncol 13: 101-122,1986)、液体重層技術(liquid- overlay technique)(Yuhas, et al., Cancer Res 37: 3639-3643,1977)である。三次元細胞培養技術のもう1つの例は、細胞を懸濁する間、流体で満たされた培養管を水平軸の周りで回転することにより重力ベクトルを無作為化するよう特に設計された回転培養管で、細胞が最小流体剪断力で凝集する。これらの装置は、米国特許第5,153,131号、第5,153,132号、第5,153,133号、第5,153,034号および第5,155,035号に記載されている。
【0057】
三次元マトリックスの長所は、培養中の細胞の活発な増殖が単層システムより長時間持続することである。これは、1つには長期間の細胞の活発な増殖期間の延長をもたらす三次元マトリックスの増大された領域のためである可能性がある。マトリックスは、培養における細胞の長期間の活発な増殖を持続するのに必要な支持体、成長因子および調節因子を提供する。支持体の存在下での細胞の成長は、タンパク質、糖タンパク質、グリコサミノグリカン、細胞マトリックスおよび他の材料を支持体自体に添加することにより、またはこれらの材料で支持体をコーティングすることにより、さらに増強される可能性がある。マトリックスの三次元性は、細胞の成熟および遊走を促す微小環境の形成を可能にする。この三次元システム中で成長した場合、増殖細胞は、インビボ対応物に類似する成体組織の成分を形成するよう適切に成熟しかつ分離する。
【0058】
三次元構造が生細胞の活性を維持しうるために、三次元マトリックスは、適切な空間および組成上の性質を示すべきである。このようなマトリックスは、ヒドロゲル、または線維に基づいたもしくはスポンジ様マトリックスなどの多孔性マトリックスを含む。三次元マトリックスにおいて用いられる通常の材料は、天然ポリマーまたは「バイオマトリックス」、合成ポリマーおよび無機複合物である。本態様において、方法がインビトロアッセイに対する三次元マトリックスの使用を企図する場合、マトリックスの生体適合性は特に重要ではない。
【0059】
バイオマトリックスの好ましい例は、筋肉マトリックスから抽出されるかもしくはそれに類似の、または筋肉マトリックスを含む細胞系を有するものである。
【0060】
本発明は、細胞成長を促進する組成物の製造における筋肉マトリックスの使用をさらに企図する。本発明の筋肉調製物はまた、筋肉調製物に特有の選択された成長および形態学的特徴に基づく複合細胞混合物に対する特定の細胞型(例えば前脂肪細胞)の選択的な精製に対しても有用である。
【0061】
冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、本明細書において、冠詞の文法上の対象の1つより多い(すなわち、少なくとも1つ)ことを指すよう用いられる。例として、「1つの成分(an component)」は1つの成分または1つより多くの成分を意味する。
【0062】
本発明は、以下の限定されない実施例によりさらに説明される。
【0063】
実施例1
マトリックス抽出-I
筋肉試料を、新たに屠殺された動物(ラットおよびブタ)または再建外科をうけた患者のいずれかから採取した。全ての試料を、適切な倫理委員会承認下でかつ十分なインフォームドコンセントと共に、採取した。手法の全ての段階を氷上または4℃で行った。
【0064】
筋肉を収集し、計量し、かつマトリックス抽出前に脂肪を切り取った。その後、試料を洗浄し、プロテアーゼ阻害剤(0.5mM PMSF、2mM EDTA、0.1M EACA、2mM NEM)が添加された氷冷3.4M NaCl緩衝剤中でホモジナイズした。その後、ホモジネートを4℃で15分間10,000rpmで遠心分離し、それに続いて上清を捨て、ペレットを3.4M NaCl緩衝剤中で再懸濁する。この段階は2〜3回繰り返す。
【0065】
その後、ペレットを組織の最初の量と等量で2M尿素緩衝剤中で再懸濁し、ホモジナイズし、4℃で夜通し攪拌する。これに続いて、抽出物を4℃で30分間14,000RPMで遠心分離し、上清を保存する。ペレットを最初の量の半分の2M尿素緩衝剤中で再度ホモジナイズし、その後、遠心分離段階を繰り返す。その後、上清を前に保存していた上清と混合し、濾過する。
【0066】
その後、滅菌段階として、0.05M Tris/0.15M NaCl緩衝剤(TBS)中で0.5% v/vクロロホルムに対して4℃で夜通し抽出物を透析する。その後、TBSのみを数回替え、続いてDMEMに替えることにより抽出物を透析する。分配された抽出物を-20℃で保管した。
【0067】
実施例2
マトリックス抽出-II
全ての段階を4℃でまたは氷上で行った。筋肉組織をできるだけ新鮮に採取し(好ましくは最少で約20〜30gm)、計量した。全ての目に見える脂肪を鋼製解剖用トレイの中で筋肉からできるだけ迅速に切り取った。冷たい3.4M NaCl緩衝剤をプロテアーゼ阻害剤と一緒に2:1容量比(例えば50gmの筋肉に対して100mlの緩衝剤)で氷上のビーカーに添加し、筋肉を添加した。その後、試料を完全にホモジナイズした。筋肉のホモジネートを4℃ 15分間 10,000RPMで遠心分離した。その後、上清を廃棄し、ペレットを同量の3.4M NaCl緩衝剤中で再懸濁し、再ホモジナイズした。この段階を2回繰り返し、NaCl中での合計3〜4回の洗浄を行った。第3の洗浄後、1:1量の0.5M NaClを含みプロテアーゼ阻害剤を含む(例えば50mgの筋肉に対し50ml)50mM Tris-HCl(pH 7.4)中で、ペレットを再懸濁かつホモジナイズする。試料をマグネチックスターラを用い4℃で夜通し回転させた。その後、試料を30分間 14,000RPM、4℃で遠心分離し、上清を取り除き、試料を保管した。その後、2.0Mグアニジンハイドロクロライドを含み0.2mMのジチオスレイトールを含む50mM Tris-HCl(pH 7.4)中でペレットをホモジナイズした。ホモジネートを夜通し攪拌し、30分間 14,000rpm、4℃で遠心分離し、上清を取り除き保管した。
【0068】
後続の全ての段階を、これらの段階を通して別々に保存された、2つの上清に対して実施した。
【0069】
遊離の浮遊性脂肪などを取り除くために上清をガーゼを通して濾過した。抽出物を、4℃でマグネチックスターラ上で、1〜2リットルの0.2% v/vクロロホルムを含むTBS緩衝剤(5ml/リットル)に対して夜通し透析した。これは滅菌段階であった。緩衝剤をきれいなTBSに変え、少なくとも8時間透析した。この段階を3回繰り返した。透析緩衝剤を変えた場合、混合を確実にするために管系の端を数回回転した。最後のTBS透析の後に、緩衝剤をDMEMに交換し、夜通し透析する。ブタ筋肉マトリックスなどのより濃い溶液はより長く必要とする。その後、ゲル化を向上させるために、異なる構造のマトリックスを与えるようこれら2つの抽出物を一緒に混合する。その後、試料を滅菌試験管の中に等分した。これをフローキャビネット下の氷上で行った。その後、試料を-20℃で保存した。
【0070】
実施例3
SDS-PAGE
タンパク質濃度をビシンコニン酸(BCA タンパク質アッセイキット)により測定した。マトリックス試料を0.5〜1.0mg/mLのレムリ(Laemmli)溶液(Laemmli, Nature 227:680-685, 1970)で調製し、SDS-PAGEゲル上で分離する前に、5分間煮沸した。15μLの試料量をレーンにロードし、4〜12% w/vの勾配ポリアクリルアミドゲル(Invitrogen)上でSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離した。ゲルを50分間200Vの定電圧で泳動し、その後ゲルを取り除き、クーマシーブリリアントブルーで染色またはイムノブロット解析のための転写のいずれかを行った。
【0071】
実施例4
イムノブロット解析
タンパク質を実施例3に記載されているようにSDS-PAGEゲル上で分離し、未染色のゲルをニトロセルロースシートに転写した。転写は、100Vの定電圧に1時間印加することによるウェット転写手法(wet transfer procedure)に従い、電流は220mAで開始した。最初に、5% w/v脱脂粉乳を含むTris緩衝生理食塩水(TBS)に0.1% v/vのTween20を加えたもの(TTBS)の中で、非特異的反応を減ずるために夜通しブロットをインキュベートした。一次抗体を室温で1時間インキュベートし、TTBSで3回すすぎ、その後ペルオキシダーゼ複合二次抗体(1:5000〜1:10000)で1時間インキュベートした。高感度化学発光ウェスタンブロッティング検出システム(Amersham Pharmacia)を用いることにより免疫反応性タンパク質を視覚化する前に、再びTTBSで3回ブロットをすすいだ。以下の6つの一次抗体が用いられた:HSPG 1:5000(生化学工業株式会社)、ラミニン 1:5000(Dako)、ニドゲン 1:10000(Chemicon)、およびコラーゲンIV 1:10000(Dako)、フィブロネクチン 1:10000、およびSPARC 1:10000。
【0072】
実施例5
筋肉マトリックスの分析
BD Biosciencesからの調製物(マトリゲル)と比較した筋肉マトリックスの成分の分析を実施した、結果を表2、3および4に示す。
【0073】
成長因子の特徴付け
Quantikine ELISAキット(R&D Systems)を用いて、キットの説明書に従って成長因子/サイトカインレベルを測定した。試験された成長因子は、血管内皮細胞成長因子(VEGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、トランスフォーミング成長因子β(TGF-β)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、上皮成長因子(EGF)、インスリン様成長因子1(IGF-1)、白血病抑制因子(LIF)および神経成長因子(Chemiconキット)(NGF)を含んだ。簡潔には、抽出物を希釈(1:5〜1:10)し、標準および対照と共に、抗体がコーティングされたプレートで2〜3時間インキュベートした。プレートを洗浄し、ポリクローナルHRP-複合二次抗体を添加した。インキュベーションに続いて、過剰な複合体を取り除き、プレートを着色物質と一緒に3回目のインキュベートを行った。停止液の添加後、λ550nmでセットされた補正読み取り値を用い、λ450nmの吸光度でセットされたマイクロプレートリーダー(Axion、Mutliskan、USA)を使用してプレートを判読した。全ての測定および計算は、Genesis 2.0プレートリーディングソフトウェア(plate reading software)を用いて(詳細に)行われ、値は、pg/マトリックスmgに変換された。表2は、製造者により報告された、およびELASAにより測定された、マトリゲル(登録商標)中の成長因子レベルを含む。
【0074】
(表2)

BD Full = 市販のマトリゲル(登録商標)
BD GFR = 成長因子が減ぜられたマトリゲル(登録商標)
KK Full = 発明者ら自身のマトリゲル(登録商標)調製物
KK GFR = 発明者ら自身の成長因子が減ぜられた調製物
NR = 未記録
【0075】
表3および4は、ラット、ブタおよびヒトから作られる筋肉マトリックスにおける、ELISAにより測定される成長因子レベルを含む。表3は値の範囲を表す。表4はデータの平均およびSEMを表す。

(表3)


(表4)

# = 1つの非常に高い読み取り値 - 他の全ては339pg/mg以下
## これらの試料は確認のために泳動され、異種間の結合が問題になるかどうか調べた
NB:これらELISAを用いて観察したこれら試料において、結合は観察されなかった
NM:未測定
【0076】
総タンパク質濃度の測定
ビシンコニン酸アッセイ(Amersham Biosciences Corporation New Jersey、USA)を用いてマトリックスの総タンパク質レベルを測定した。試料を1:10希釈で測定し、一連のBSA標準に対して、キットの説明書に従ってアッセイした。インキュベーション後、分光光度計を用いて562nmの波長で試料を分析した。ラットおよびブタの筋肉マトリックスについてそれぞれ10試料を、ヒト筋肉マトリックスについては6試料を分析した。表5は、BCA総タンパク質アッセイにより測定される、筋肉マトリックスおよびマトリゲル(登録商標)中の総タンパク質レベルを示す。
【0077】
(表5)

【0078】
筋肉マトリックスはまた、図1から図4中にも記載されている。図1は、他の組織のマトリックスとのマトリゲルのSDS-PAGE比較を提供する。図2は、骨格筋由来の筋肉マトリックスの写真表示である。図3は、ブタ筋肉由来の筋肉マトリックスの写真である。図4は、ラットにおける組織の成功した生成を示す顕微鏡写真である。図5。
【0079】
ECM成分の測定
1,9-ジメチルメチレンブルー、ダイレクトレッド80(シリウスレッド)、コンドロイチン硫酸A、パパイン、ジチオスレイトールおよびコラーゲンIは全てSigma-Aldrichからの購入であった。ミオゲル試料中で1,9-ジメチルメチレンブルー(DMMB)色素で沈殿させることにより硫酸化グルコサミノグリカン(GAG)を定量した。0.6 mg/mlパパイン、2 mM EDTAおよび4 mM DTTを含む等量の40 mMリン酸ナトリウム緩衝剤(pH 6.8)の添加により、妨害タンパク質を消化し、引き続き60℃で60分間インキュベートした(Farndale et al. Biochimica ET Biophysica Acta 882:173-177, 1986)。その後、各試料の一定分量(100μL)を1 mLのDMMB溶液(16 mg/L DMMBを含む0.2M GuHCl、1g/L ギ酸ナトリウムおよび1ml/L ギ酸)と共に30分間インキュベートし、回転ホイール上で連続的に混合した。GAG-DMMB複合体の調製に続いて、遠心分離(10,000×g 10分間)により上清から不溶性材料を分離し、上清を取り除いた。1mLの脱複合体形成(decomplexation)緩衝剤(10% プロパン-1-オールおよび4M GuHClを含む50 mM 酢酸ナトリウム緩衝剤、pH 6.8)の添加によりペレットから色素を遊離した(Barbosa et al. Glycobiology 13:647-653, 2003)。その後、マイクロプレートリーダー(Multiskan RC、Labsystems)において緩衝剤の吸光度(λ650nm)を決定した。標準としてコンドロイチン硫酸Aを用いた。
【0080】
ラミニンを、1mLヘパリンアフィニティカラム(Amersham Biosciences、Uppsala,、Sweden)からのその溶出に従って推定した(Talts et al. EMBO J 18:863-870, 1999)、(Talts et al. J Biol Chem 275:35192-35199, 2000)。簡単に言えば、等量の4M GuHCl+2mM DTTを含む50 mM Tris-HCl(pH 7.4)との4℃で24時間のインキュベーションによりミオゲル試料を可溶化した。50 mM Tris-HCl(pH 7.4)+0.15M NaClに対する夜通しの透析に続いて、1 mLの一定分量をアフィニティカラムにアプライした。非ラミニンタンパク質を5 mLの50 mM Tris-HCl(pH 7.4)+0.15M NaClでカラムから洗浄し、ラミニンを5mLの0.5M NaClを含む50 mM Tris-HCl(pH 7.4)で溶出した。その後、上記のようなマイクロプレートマイクロアッセイ手法を用いるBio-Radプロテインアッセイでラミニンを推定した。
【0081】
ポリアゾ色素シリウスレッド(Marotta and Martino Analytical Biochemistry 150:86-90, 1985)による沈殿を介してコラーゲンを決定した。一定分量のミオゲル(100 μL)を1 mLの50 μMシリウスレッドを含む0.5 M酢酸と共に室温で30分間インキュベートした。遠心分離(10,000×g、10分間)に続いて、上清の吸光度(λ550 nm)をマイクロプレートリーダーにおいて決定した。ラット尾部由来のコラーゲンIを標準として用いた。
【0082】
キットの説明書に従ってELISA(Echelon、UT、USA)によりヒアルロン酸レベルを測定した。
【0083】
表6および7は、ラット、ブタおよびヒトから作られた筋肉マトリックス中の細胞外マトリックス成分を示す。表6は値の範囲を表す一方で、表7はデータの平均値およびSEMを表す。
【0084】
(表6)

【0085】
(表7)

【0086】
SDS-PAGE/イムノブロットアッセイ
マトリックス試料をレムリ溶液(Laemmli, 1970)中で0.5〜1.0 mg/mLで調製し、SDS-PAGEゲル上で分離する前に5分間煮沸した。10 μLの試料量をレーンにロードし、3〜8%または4〜12%いずれかの勾配ポリアクリルアミドゲル(Invitrogen、Carlsbad、CA、USA)上でSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離した。ゲルを200Vの定電圧で45分間泳動し、その後、ゲルを取り除き、クーマシーブリリアントブルーでの染色またはイムノブロット解析のための転写のいずれかを行った。
【0087】
イムノブロットのために、上記のようにSDS-PAGEゲル上でタンパク質を分離し、未染色ゲルをニトロセルロースシートに転写した。転写は、30Vの一定電圧を1時間印加する、ウェット転写手法によった。転写後、非特異的結合を減ずるために5% 脱脂粉乳(Homebrand、Safeways AUS)を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に0.1%のTween 20を加えたもの(TPBS)の中で夜通しブロットをインキュベートした。ブロットを室温で1時間、1次抗体中でインキュベートし、TPBSで3回すすぎ、およびその後、最初に使用されることが適切(1:10000)な赤外線ラベルされた2次抗体(Molecular Probes、 UT、USAまたはRocklands、CA、USA)とともに1時間インキュベートした。免疫反応タンパク質をOdyssey Infrared 検出システム(Licor Biosciences、USA)内で走査する前に、ブロットを再びTPBS中で3回すすいだ。用いられる1次抗体は、抗HSPG 1:5000 (生化学工業株式会社、日本)、ラミニンα4およびα2 1:1000 (Lydia Soroken博士より寄贈)、ニドゲン 1:3000 (Chemicon、USA)、フィブロネクチン 1:5000、コラーゲンI: 1:10000、コラーゲンIV 1:10000ならびにSPARC 1:10000 (H Kleinman博士、NIH USAより提供)を含んだ。
【0088】
図6は、異なるミオゲル種に基づく種々のECM成分のウェスタンブロットの例を表す。全ての矢印はおよび数字は、MWレベルを表す。6Aは、3つの鎖(100、200、300 kD)をラベルする、ラット筋肉抽出物に基づくコラーゲンIに対するイムノブロッティングを対象とする。レーン1から10は10個の異なるラット筋肉抽出物調製物である。6Bは、ラット筋肉抽出物中のラミニンα4(180kD)およびα2(80kD断片および300kDで多少ぼんやしりたもの)を示す。レーン1はマトリゲル対照であり、レーン2から11は、特にα4鎖に対して強いバンドを示す、同じラット筋肉抽出物調製物である。6Cは、ラットミオゲルHSPGゲル中で結合するヘパリン硫酸プロテオグリカンを示し、レーン1は分子量標準であり、レーン2は200kDバーの上方を染色するパールカンを用いたマトリゲルであり、レーン3から11はラット筋肉抽出物である。6Dはラット筋肉抽出物試料において結合するフィブロネクチン断片を示し、レーン1はマトリゲル対照で、レーン2から11は同じラット筋肉抽出物である。
【0089】
インビトロ細胞分化アッセイ
ラット精巣上体の前脂肪細胞を用いてアッセイを開発した。本アッセイは形態分析のため24穴プレート中で行った。300 μlの細胞外マトリックス(ECM)/ウェルを24穴プレートへ添加した。マトリックスを37℃で20〜30分間置いた。これに続いて、細胞を各ウェルに添加した(24穴培養プレートに対し、0.3×106細胞/ウェル)。細胞が37℃/5% CO2で夜通しマトリックスに接着させた。4〜5日毎に撮影される写真により14日間にわたって分化を観察した。組織培養プラスチック上に単独で播種された細胞を対照として用いた。
【0090】
図5は、分化を示さない組織培養プラスチック上の対照前脂肪細胞を示す。5Bは、脂肪蓄積および成熟脂肪細胞への分化を示す、ミオゲル上の前脂肪細胞を示す。挿入図は、脂肪を蓄積する、単一の細胞のより高倍率の写真を示す。5Cは、脂肪生成を誘導している筋肉抽出物で満たされているマウス心室の低倍率電子顕微鏡写真を示す。
【0091】
当業者は、本明細書において記載された発明は具体的に記載されたほかに変更および改良が可能であることを理解していると考えられる。本発明が全てのこのような変更および改良を含むことが理解されるべきである。発明はまた、本明細書に個々にまたは集合的に言及されたまたは示された、全ての段階、特性、組成物および化合物、ならびに任意の2つまたはそれ以上の該段階または特性の、任意のおよび全ての組合せも含む。
【0092】
引用文献

【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】種々の他の組織マトリックスに対するマトリゲルのSDS PAGE比較を示す写真表示である。(左から右)レーン1および2は染色前分子量標準を表し、レーン3および4は市販のマトリゲル(BD Biosciences)を表し、レーン5はラット筋肉マトリックスを表し、レーン6はブタ筋肉マトリックスを表し、レーン7はヒト筋肉マトリックスを表す。全ての試料を約10 μg総タンパク質の濃度でロードした。
【図2】(a)ヒトの骨格筋由来の筋肉マトリックス調製物を示す写真表示である。写真(b)および(c)は、その代替形態の1つ、筋肉マトリックスのTIPS処理から形成されるスポンジ状の筋肉マトリックスを図示する。写真(c)は、写真2(b)中のスポンジの走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】(a)未精製のブタ筋肉由来筋肉マトリックスおよび(b)マトリゲルの写真表示である。
【図4】ラットにおける脂肪組織を含む組織の成功した発生を示す顕微鏡写真表示である。図4(a)および(b)は、移植前にミオゲルでコーティングされたラット組織工学心室モデル由来の切片を表示する。
【図5】図5Aは分化を示す組織培養プラスチック上の前脂肪細胞対照を示す写真表示である。5Bは、脂肪蓄積および成熟脂肪細胞への分化を示す、ミオゲル上の前脂肪細胞を示す。挿入図は、脂肪を蓄積する、単一の細胞のより高倍率の写真を示す。5Cは、脂肪生成を誘導している筋肉抽出物で満たされているマウス心室の低倍率顕微鏡写真を示す。
【図6】異なるミオゲル種上の種々のECM成分のウェスタンブロットの代表的な例である写真表示である。全ての矢印および数字はMWレベルを表す。6Aは、3つの鎖(100、200、300 kD)をラベルする、ラット筋肉抽出物に基づくコラーゲンIに対するイムノブロッティングを対象にする。レーン1から10は10個の異なるラット筋肉抽出物調製物である。6Bは、ラット筋肉抽出物中のラミニンα4(180kD)およびα2(80kD断片および300kDで多少ぼんやしりたもの)を示す。レーン1はマトリゲル対照であり、レーン2から11は、特にα4鎖に対して強いバンドを示す、同じラット筋肉抽出物調製物である。6Cは、ラットミオゲルHSPGゲル中で結合するヘパリン硫酸プロテオグリカンを示し、レーン1は分子量標準であり、レーン2は200kDバーの上方を染色するパールカンを用いたマトリゲルであり、レーン3から11はラット筋肉抽出物である。6Dはラット筋肉抽出物試料において結合するフィブロネクチン断片を示し、レーン1はマトリゲル対照であり、レーン2から11は同じラット筋肉抽出物である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調製物が、限定されないが、ラミニン、コラーゲンI、コラーゲンIV、エンタクチン/ニドゲン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、ならびに限定されないがEGF、bFGF、NGF、PDGF、IGF-1、TGF-β、VEGFおよびTNF-αまたはその相同体の1つまたは複数などのサイトカインおよび成長因子を含む他の成分の起源を提供する、筋肉組織調製物の細胞に基づいたまたは無細胞のいずれかの抽出物を含む、細胞効果の促進に有用な組成物。
【請求項2】
調製物が、ラミニン、エンタクチン/ニドゲン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、コラーゲンIV、bFGF、PDGF、TGF-β、VEGF、およびTNF-αの起源である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
細胞が、筋肉組織由来である、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
筋肉組織が、ヒト、非ヒト、霊長類、家畜動物、実験動物、コンパニオンアニマル、鳥類種、爬虫類または両生類由来である、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
筋肉組織が、ヒト、ブタまたはラット由来である、請求項3記載の組成物。
【請求項6】
調製物が、細胞に基づいた調製物である、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
調製物が、無傷の細胞外マトリックスを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
調製物が、抽出された細胞外マトリックスを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
調製物が、約1μg/mlから約100mg/mlの総タンパク含量を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
調製物が、重合してゲルになる、請求項1〜9いずれか一項記載の組成物。
【請求項11】
1つまたは複数の外因性サイトカイン、抗生物質、成長増強剤、遺伝子発現増強剤、増殖阻害剤、および/または幹細胞分化助長剤(facilitator)をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
組成物が、幹細胞、上皮細胞、皮膚細胞、器官細胞、および内皮細胞から選択された細胞に対する効果を促進する、請求項1記載の組成物。
【請求項13】
bFGFが約0.3ng/mlから約4ng/ml、PDGFが約1pg/mlから約3000pg/ml、TGF-βが約1pg/mlから約2000pg/ml、EGFが約0ng/mlから約100ng/ml、VEGFが約1pg/mlから約3000pg/ml、およびTNF-αが約0pg/mlから約1000pg/mlで存在する、請求項1記載の組成物。
【請求項14】
いくつかの材料の脂肪生成の可能性に対するバイオアッセイの製造における、請求項1〜13いずれか一項記載の組成物の使用。
【請求項15】
アッセイが、脂肪細胞分化の性向を有する細胞の集団を同定するために筋肉調製物をスクリーニングする段階、潜在的な脂肪生成を調節する成分または抽出物または細胞系を生じさせるまたは入手する段階、該成分または抽出物上に脂肪細胞分化の性向を有する細胞の集団を播種する段階、該細胞を脂肪生成が生じるのに十分な時間インキュベートする段階、およびその後、脂肪細胞分化について該細胞をスクリーニングする段階を含む、脂肪生成を調節する成分、抽出物、または細胞系のためのインビトロアッセイの製造における、請求項14記載の組成物の使用。
【請求項16】
方法が、機能的な循環系を含みかつ血管茎に浸透、結合、またはその他の方法で関連する組織または組織抽出物またはその成分を有する血管茎を作製する段階;支持マトリックス内および/またはその上に血管茎を結合する段階;脂肪生成を促進するとしてインビトロアッセイを用いて同定された、単離された細胞または組織の断片を支持マトリックスに播種する段階;またはレシピエント内に、機能的な循環系が局所の動脈および静脈に吻合される部位で、血管茎を含む支持マトリックスを移植するいくつかの他の有用なエンドポイント;ならびに血管化新組織の成長を可能にする十分な期間移植部位に支持マトリックスを残す段階を含む方法であって、浸透する材料または播種する材料が、例えば脂肪細胞分化の性向を有する細胞の集団を同定するために組織または組織抽出物をスクリーニングする段階、潜在的な脂肪生成を促進する成分または抽出物を生じさせるまたは入手する段階、脂肪細胞分化の性向を有する細胞の集団を該成分または抽出物上に播種する段階、脂肪生成が生じるのに十分な時間該細胞をインキュベートする段階、およびその後、脂肪細胞分化について該細胞をスクリーニングする段階を含むアッセイにより決定される場合、脂肪生成を促進するような特定の根拠によって選択される、レシピエントへの移植に適しているドナー血管化組織を生じる方法の製造における、請求項15記載の組成物の使用。
【請求項17】
血管茎が、付着した脂肪、もしくは他の脂肪組織、または筋芽細胞、繊維芽細胞、前脂肪細胞および脂肪細胞、心筋細胞、ケラチノサイト、内皮細胞、平滑筋細胞、軟骨細胞、周皮細胞、骨髄由来ストローマ前駆細胞、胚性、間葉系、または造血性の幹細胞、シュワン細胞ならびに末梢神経系および中枢神経系の他の細胞、嗅細胞、肝細胞および他の肝臓細胞、メサンギウム細胞および他の腎臓細胞、膵島β細胞および導管細胞、甲状腺細胞、他の内分泌器官の細胞、ならびに前述の細胞のスフェロイドを含む組織を含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
血管茎が、脂肪生成を促進する成分または抽出物に対するインビトロアッセイを含み、該アッセイが、容器の表面上に筋肉マトリックスからの潜在的な脂肪生成抽出物の層を生じさせるまたは入手する段階、脂肪細胞分化に対する性向を有する細胞の集団を該層上に播種する段階、該細胞を脂肪生成が生じるのに十分な時間インキュベートする段階、およびその後、脂肪細胞分化について該細胞をスクリーニングする段階を含む、請求項17記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−501724(P2008−501724A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−526112(P2007−526112)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【国際出願番号】PCT/AU2005/000840
【国際公開番号】WO2005/121316
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(507282875)ヴィクトリアン ティッシュ エンジニアリング センター プロプライアトリー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】