説明

組電池モジュール

【課題】簡単な方法で、個々の電池を冷却することができる組電池モジュールを提供する。
【解決手段】電池2A1の電極端子11,12のオフセット方向と電池2B1の電極端子13,14のオフセット方向とが互いに反対方向で、電極端子11,13のオフセット量が発電要素の厚さの1/2より大きく形成され、電極端子12,14のオフセット量が発電要素の厚さの1/2に形成され、電極端子11と電極端子13とを接合するとともに、電極端子12と電極端子14とをホルダ部材3で保持することにより、電池2A1と電池2B1との間に冷却風が通流することができる空間が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電池を積層してなる組電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の電池を電気的に直列に接続することにより、高出力(高電圧)の組電池とする技術が種々提案されている。この種の組電池では、充放電が繰り返されることで発熱するため、組電池を適宜冷却する必要がある。例えば、複数の電池を積層してなる電池モジュールと電池モジュールとを空間を隔てて積層し、その空間に冷却風を流すことで各電池モジュールを冷却する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−42578号公報(段落0053、図9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、3個以上の電池を積層することによって電池モジュールを構成している場合、電池モジュールを構成する電池間(例えば、3個の電池を積層したときの中間の電池)には冷却手段がないため、個々の電池の冷却が不十分になる問題がある。また、個々の電池を冷却する方法として、2つの電池間に放熱板を設けることも考えられるが、部品点数が増えるため、組立工程が複雑化し、重量が増加する問題がある。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、簡単な方法で、個々の電池を冷却することができる組電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、発電要素を外装材で封止するとともに一対の板状の電極端子を前記外装材の前記発電要素の厚さ方向の中央から外部に導出してなり、前記電極端子の発電要素側と端部側とが屈曲部を介してオフセットして形成され、一方の電極端子のオフセット方向と他方の電極端子のオフセット方向とが互いに反対方向であり、前記一方の電極端子のオフセット量は前記発電要素の厚さの1/2より大きく形成され、前記他方の電極端子のオフセット量は前記発電要素の厚さの1/2に形成され、前記一方の電極端子と前記他方の電極端子は異種金属で形成された、少なくとも第1の電池および第2の電池からなる組電池と、絶縁部材により形成され、前記第1の電池の他方の電極端子と前記第2の電池の他方の電極端子とを保持するホルダ部材と、前記ホルダ部材および前記電極端子を含む領域を覆うカバー部材と、を備え、前記第1の電池の一方の電極端子と前記第2の電池の一方の電極端子は、前記異種金属で形成されるとともに、互いに当接する向きでクラッド材を介して超音波接合により直列に接続され、前記カバー部材には、前記組電池の出力端子を貫通させる貫通孔が形成され、前記カバー部材で覆われた前記領域がポッティング部材によって封止されていることを特徴とする。
【0007】
これによれば、第1の電池と第2の電池との間に空間を形成することが可能になり、この空間に冷却風を通流させることにより、第1の電池と第2の電池を個々に冷却することが可能になる。その結果、冷却手段として電池間に放熱板を設けるといったことが不要になり、組電池モジュールの軽量化が図れる。しかも、クラッド材を用いて超音波溶接によって電極端子同士を接合しているため、ボルトなどの締結部材が不要となり、組電池モジュールのさらなる軽量化が図れる。
【0008】
また、前記外装材のうち、前記電極端子を有しない側の縁部は、前記第1の電池と前記第2の電池との間に形成された空間とは反対側に折り曲げられていることを特徴とする。
【0009】
これによれば、外装材の縁部を、第1の電池と第2の電池との間に形成された空間とは反対側に折り返して形成することで、前記空間に冷却風を通流させたときに冷却風の通過が妨げられるのを防止できる。また、このように構成することで、冷却風を巻き込んで乱気流を生じさせることがなくなり、冷却風を円滑に流すことが可能になる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡単な方法で、個々の電池を冷却することができる組電池モジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態の組電池モジュールを示す分解斜視図である。
【図2】本実施形態の組電池モジュールの組立後の状態を示す外観斜視図である。
【図3】本実施形態の組電池モジュールに用いられる電池を示す平面図である。
【図4】図2のA−A線断面図である。
【図5】本実施形態の組電池モジュールにおける第1の電池と第2の電池の積層状態を示す断面図である。
【図6】本実施形態の組電池モジュールの一部を拡大した分解斜視図である。
【図7】図2のB−B線で切断したときの一部省略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る組電池モジュールを図1ないし図7を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の組電池モジュール1は、電池2A1(第1の電池),2A2,・・・、電池2B1(第2の電池),2B2,・・・、電池2A6,2B6、ホルダ部材3,・・・,4,・・・,5,6,7、出力端子8,9、カバー部材20,21などで構成されている。なお、電池の積層枚数は、本実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。また、本実施形態では、電池2A1,2A2,・・・,2A6,2B1,2B2,・・・,2B6によって組電池10(図1および図2参照)が構成されている。
【0013】
本実施形態における組電池10は、電池2A(第1の電池)と電池2B(第2の電池)とからなる組が5組積層され、さらに最上段に電池2B6(2B)が積層され、最下段に電池2A6(2A)が積層されて構成されている。
【0014】
なお、特許請求の範囲にいう第1の電池と第2の電池との組み合わせは、電池2A1と電池2B1との組み合わせ、電池2A2と電池2B2との組み合わせ、電池2A3と電池2B3との組み合わせ、電池2A4と電池2B4との組み合わせ、電池2A5と電池2B5との組み合わせを意味している。
【0015】
図1の上から2段目の電池2A1(2A)と3段目の電池2B1(2B)との組み合わせを例に挙げて説明する。電池2A1は、一方と他方に板状の電極端子11,12を有し、電池2B1は、一方と他方に板状の電極端子13,14を有しており、電池2A1の一方の電極端子11と電池2B1の一方の電極端子13とが接合されることで、電池2A1と電池2B1とが電気的に直列に接続されるようになっている。
【0016】
また、電池2A1の他方の電極端子12と電池2B1の他方の電極端子14との間には、ホルダ部材3が設けられ、電池2A1と電池2B1との間に空間S(図4、図5および図7参照)が形成されるようになっている。なお、複数のホルダ部材3〜7のうち、ホルダ部材3が、特許請求の範囲にいうホルダ部材に相当している。
【0017】
また、電池2B1の一方の電極端子13と、その下段に位置する第1の電池と第2の電池の他の組み合わせである電池2A2の電極端子11との間には、ホルダ部材4が設けられ、電池2B1と電池2A2とが接した状態で配置されるようになっている。
【0018】
また、電池2A1の電極端子11と、その上段の電池2B6の電極端子13との間には、ホルダ部材4および出力端子8が設けられている。また、電池2B6の電極端子14の上側には、ホルダ部材5が設けられている。
【0019】
また、電池2B5の電極端子13と、その下段の電池2A6の電極端子11との間には、ホルダ部材6および出力端子9が設けられている。また、電池2A6の電極端子12の下側には、ホルダ部材7が設けられている。
【0020】
図2に示すように、電池2A1〜2A6,2B1〜2B6を積層して組電池10とした後、一方(電極端子11,13側)からカバー部材20、他方(電極端子12,14側)からカバー部材21を取り付けることにより、カバー部材20に形成された貫通孔20a1,20b1からは、出力端子8,9が突出するようになっている。
【0021】
図3に示すように、電池2A(2A1〜2A6)は、例えば、ラミネート型のリチウムイオン二次電池からなり、四角扁平形状を呈している。なお、電池2Aは、アルミ箔にコバルト酸リチウムなどの活物質を塗工した正極、セパレータ、銅箔にハードカーボンなどの活物質を塗工した負極を順番に積層した四角形状の発電要素Q(中央の四角破線部分)を有し、一方と他方の両端部(相対する方向)から電極端子11,12が延出している。また、発電要素Qの全体と電極端子11,12の各端部を除く部分が、ラミネートフィルムなどの外装材15によって封止されている。また、外装材15は、電極端子11,12が露出していない側(紙面上下方向の側)が発電要素Qおよび電極端子11,12よりも若干長く形成されている。
【0022】
ラミネートフィルムは、例えば、高分子樹脂と金属とを複合して四角状に形成され、その周囲を熱融着しながらその内部の空気を抜いて減圧し、発電要素Qおよび電極端子11,12の基部側(発電要素Q側)が真空包装されるようにして構成されている。
【0023】
また、電池2A(2A1〜2A6)は、発電要素Qから板状の電極端子11が一方に延びて形成され、電極端子11の先端部分が外装材15から外部に導出して形成されている。また電池2A(2A1〜2A6)は、発電要素Qから板状の電極端子12が他方に延びて形成され、電極端子12の先端部分が外装材15から外部に導出して形成されている。
【0024】
また、電極端子11には、外装材15から外部に導出する部分の長手方向(図示上下方向)の両端部に円形のピン挿通孔11a,11aが形成されている。また、電極端子12にも同様にして挿通孔12a,12aが形成されている。
【0025】
図4に示すように、外装材15は、例えば、2枚のシート材15A,15Bが発電要素Qよりも大きい面積で形成され、シート材15Aとシート材15Bとで発電要素Qを挟んで、シート材15Aとシート材15Bとを貼り合わせることによって発電要素Qの全体および先端部を除く電極端子11,12を被覆している。なお、図4は、電極端子11,12が設けられていない側を一部断面で図示している。また、シート材15A,15Bを貼り合わせて熱融着した両方の縁部に折返し部15s,15sを形成したものである。この電池2A1の折返し部15s,15sは、折り返し方向が、後記する空間Sとは反対方向となるように形成されている(他の電池2A2〜2A6も同様)。
【0026】
なお、電池2B(2B1〜2B6)についても、同様に、発電要素Qを有し、発電要素Qの厚さ方向の中央から一方に板状の電極端子13が延びて形成され、電極端子13の先端部分が外装材15から外部に導出して形成され、他方に板状の電極端子14が延びて形成され、電極端子14の先端部分が外装材15から外部に導出して形成されている(図1参照)。また、電極端子13には、挿通孔13a,13aが形成され、電極端子14には、挿通孔14a,14aが形成されている(図1参照)。また、電池2B(2B1〜2B6)の電極端子13,14が設けられていない両方の縁部に折返し部15t,15tが形成されている。
【0027】
図5に示すように、電池2A1(2A)は、発電要素Q(図3および図4参照)が位置する領域において厚く形成され、発電要素Qの厚み方向の中央から一方に電極端子11、他方に電極端子12が延びて形成されている。また、電池2A1(2A)の一方の電極端子11は、図示下方(厚さ方向)に直角に折り曲げられた屈曲部11bを有し、他方の電極端子12は、図示上方(厚さ方向)に直角に折り曲げられた屈曲部12bを有している。すなわち、電極端子11,12の発電要素Q側と端部側(先端部11c,12c側)とが屈曲部11b,12bを介してオフセットして形成されるとともに、電極端子11(一方の電極端子)のオフセット方向と電極端子12(他方の電極端子)のオフセット方向とが互いに反対方向となるように構成されている。
【0028】
また、電池2A1(2A)の発電要素Qの厚さをDとしたときに、電極端子11(一方の電極端子)のオフセット量t1がD/2よりも大きく形成され、かつ、電極端子12(他方の電極端子)のオフセット量t2がD/2となるように形成されている。すなわち、電池2A1の発電要素Qが位置する最下面m1よりも、電極端子11の先端部11cの下面が下方に位置し、また、電池2A1の発電要素Qが位置する最上面m2と、電極端子12の先端部12cの上面とが同一面上に位置するように構成されている。
【0029】
また、電池2B1(2B)は、発電要素Q(図3および図4参照)が位置する領域において厚く形成され、発電要素Qの厚み方向の中央から一方に電極端子13、他方に電極端子14が延びて形成されている。また、電池2B1(2B)の一方の電極端子13は、図示上方(厚さ方向)に直角に折り曲げられた屈曲部13bを有し、他方の電極端子14は、図示下方(厚さ方向)に直角に折り曲げられた屈曲部14bを有している。すなわち、電極端子13,14の発電要素Q側と端部側(先端部13c,14c側)とが屈曲部13b,14bを介してオフセットして形成されるとともに、電極端子13(一方の電極端子)のオフセット方向と電極端子14(他方の電極端子)のオフセット方向とが互いに反対方向となるように構成されている。
【0030】
また、電池2B1(2B)の発電要素Qの厚さをDとしたときに、電極端子13(一方の電極端子)のオフセット量t1がD/2よりも大きく形成され、かつ、電極端子14(他方の電極端子)のオフセット量t2がD/2となるように形成されている。
【0031】
また、電池2A1(2A)の電極端子11(一方の電極端子)のオフセット方向と、電池2B1(2B)の電極端子13(一方の電極端子)のオフセット方向とは互いに反対方向(電極端子11,13が互いに当接する向き)である。よって、電池2A1(2A)の電極端子12(他方の電極端子)のオフセット方向と、電池2B1(2B)の電極端子14(他方の電極端子)のオフセット方向も互いに反対方向(電極端子12,14が互いに当接しない向き)である。
【0032】
電池2A1の電極端子11の先端部(端部)11cと電池2B1の電極端子13の先端部(端部)13cとを当接させて接合するとともに、電池2A1の電極端子12の先端部(端部)12cと電池2B1の電極端子14の先端部(端部)14cとの間にホルダ部材3を設けることにより、電池2A1と電池2B1との間に所定の間隔を有する空間Sが形成される。
【0033】
このように電池2A1と電池2B1との間に空間Sが形成されるように構成することにより、他の第1の電池と第2の電池の組合わせである、電池2A2と電池2B2との間、電池2A3と電池2B3との間、電池2A4と電池2B4との間、電池2A5と電池2B5との間、にもそれぞれ空間Sが形成されるようになっている(図7参照)。
【0034】
また、電池2A1の電極端子11(一方の電極端子)と電極端子12(他方の電極端子)とは異種金属で形成され、また、電池2B1の電極端子13(一方の電極端子)と電極端子14(他方の電極端子)とは異種金属で形成されている。例えば、電池2A1の電極端子11(一方の電極端子)がAL(アルミニウム)で、電極端子12(他方の電極端子)がCu(銅)である場合、電池2B1の電極端子13(一方の電極端子)がCuで、電極端子14(他方の電極端子)がALとなる。つまり、電極端子11,13(一方の電極端子)と電極端子12,14(他方の電極端子)とは異種金属であり、電極端子11(一方の電極端子)と電極端子13(一方の電極端子)とは異種金属である。また、同様に、他の電池2A2〜2A6の電極端子11はALであり、電極端子12はCuであり、電池2B2〜2B6の電極端子13はCuであり、電極端子14はALである。
【0035】
なお、最上段の電池2B6(図5参照)は、電極端子14のオフセット量t2がD/2に形成されているので、電池2A1の上部に電池2B6を積層したときに、電池2A1と電池2B6とが発電要素Qが位置する中央部において当接した状態で積層される。また、最下段の電池2A6についても、その上段の電池2B5と当接した状態で積層される(図7参照)。
【0036】
図6に示すように、ホルダ部材3は、ポリプロピレン(PP)などの絶縁部材により形成され、電極端子12,14に沿って細長い直方体形状を呈している。また、ホルダ部材3は、電極端子12の先端部12cと電極端子14の先端部14cとで挟まれた状態で積層されている。また、ホルダ部材3の上下方向(高さ方向)の寸法は、電池2A(2A1〜2A5)と電池2B(2B1〜2B5)とが互いに平行に配置されるような高さに設定されている。
【0037】
また、ホルダ部材3の上面には、長手方向の両端部にピン3a,3aが突出して形成され(図1参照、図6では一方のみ図示)、ホルダ部材3の下面には、下側のホルダ部材3のピン3aが挿入されるピン挿入穴3bが形成されている。また、ホルダ部材3には、軽量化のための複数の角孔3cが所定間隔毎に形成されている。
【0038】
また、電池2A5(2A)と電池2B4(2B)とを接続する際には、電池2A5の電極端子12と電池2B4の電極端子14との間に、板状のクラッド材16を挟んだ状態で、超音波を用いた接合(超音波接合)によって電極端子12と電極端子14とが接合される。これにより、電池2A5と電池2B4とが電気的に直列に接続される。
【0039】
なお、超音波接合とは、接合面に圧力を加えながら並行振動を与えることにより原子拡散を誘起させ、相互金属を原子結合させる接合を意味している。また、クラッド材16としては、例えば、Ni−AL合金、Cu−AL合金を用いることができる。
【0040】
図6に示すように電極端子12と電極端子14とを接合した後、電極端子12のピン挿通孔12a、クラッド材16のピン挿通孔16aおよび電極端子14のピン挿通孔14aにホルダ部材3のピン3aを挿通して、さらにその上部のホルダ部材3のピン挿入穴3bにピン3aを挿入してホルダ部材3を積層する。なお、図6では、電極端子12,14(他方の電極端子)同士における接合について説明したが、電極端子11,13(一方の電極端子)同士の接合についても、前記と同様にしてクラッド材16と超音波接合との組み合わせにより異種金属同士である電極端子11と電極端子13とが接合される。
【0041】
図7に示すように、ホルダ部材5は、電池2B6の電極端子14の上側に配置され、電極端子14のカバー部材21の内壁(上壁)からの距離が一定に保たれるように構成されている。ホルダ部材5は、合成樹脂からなる絶縁材料で形成され、ホルダ部材3よりも高さ方向(上下方向)の寸法が低く形成され、その下面に、下側に位置するホルダ部材3のピン3aが挿入される挿入穴(図示せず)が形成されている。
【0042】
ホルダ部材6は、電池2A6の電極端子11と電池2B5の電極端子13との間に配置されている。このホルダ部材6は、合成樹脂からなる絶縁材料で形成された保持部6a、およびゴムなどの弾性材料(絶縁材料)で形成された端子支持部6bで構成されている。保持部6aは、上面が切り欠かれた凹部6a1(図1参照)を有し、両端の上面に、上側のホルダ部材4に挿入されるピン6a2,6a2(図1参照)が突出して形成されている。端子支持部6bは、凹部6a1に嵌合する直方体形状を呈し、その下面に突起部6b1,6b1(図1参照)が形成されている。この突起部6b1,6b1は、凹部6a1の底面に形成された嵌合穴6a3,6a3(図1参照)に嵌合して保持部6aと端子支持部6bとが連結される。
【0043】
ホルダ部材7は、電池2A6の電極端子12の下側に配置され、電極端子12のカバー部材21の内壁(底壁)からの距離が一定に保たれるように構成されている。このホルダ部材7は、合成樹脂などの絶縁材料で形成された保持部7a、およびゴムなどの弾性材料(絶縁材料)で形成された端子支持部7bで構成されている。保持部7aは、上面が切り欠かれた凹部7a1(図1参照)を有し、両端の上面にホルダ部材3に挿入されるピン7a1(図1において一方のみ図示)が突出して形成されている。端子支持部7bは、凹部7a1に嵌合する直方体形状を呈し、その両端部の下面に突起部7b1(図1において一方のみ図示)が形成されている。この突起部7b1は、凹部7a1の底面に形成された嵌合穴7a3に嵌合して保持部7aと端子支持部7bとが連結される。
【0044】
このような弾性部材(ゴムなど)を含むホルダ部材6,7を設けることにより、電池2A,2Bを積層して組み付けたときに、各部品寸法のばらつきを吸収することができるようになっている。
【0045】
図7に示すように、カバー部材20は、合成樹脂などの絶縁材料で形成され、ホルダ部材4,6および電極端子11,13を含む領域を覆う凹部20sを有している。カバー部材21は、同様な材料で形成され、ホルダ部材3,5,7および電極端子12,14を含む領域を覆う凹部21sを有している。
【0046】
カバー部材20の側面には、上部にシール部材20aが嵌めこまれ,このシール部材20aに、後記する出力端子8が密着した状態で挿通されるスリット状の貫通孔20a1が形成されている。また、カバー部材20の側面の下部には、シール部材20bが嵌めこまれ、このシール部材20bに、後記する出力端子9が密着した状態で挿通されるスリット状の貫通孔20b1が形成されている。
【0047】
出力端子8は、ホルダ部材4の上面に沿って細長く形成される基部8aを有し(図1参照)、この基部8aが、電池2B6の電極端子13とホルダ部材4とで挟まれている。また、基部8aには、長手方向の略中央部(図1参照)において、L字型の電極取出部8bが一体に形成され、電極取出部8bの先端8c(図7参照)が、貫通孔20a1からカバー部材20の外部に突出している。
【0048】
また、出力端子9は、ホルダ部材6の下面に沿って細長く形成された基部9aを有し(図1参照)、ホルダ部材6と電池2A6の電極端子11とで挟まれている。また、基部9aには、長手方向の略中央部(図1参照)において、L字型の電極取出部9bが一体に形成され、電極取出部9bの先端9c(図7参照)が、貫通孔20b1からカバー部材20の外部に突出している。
【0049】
また、図7に示すように、カバー部材20が電極端子11,13などを含む領域,カバー部材21が電極端子12,14などを含む領域をそれぞれ覆うように配置され、カバー部材20の凹部20sと、カバー部材21の凹部21sにそれぞれウレタン樹脂やエポキシ樹脂などで形成されたポッティング部材30,31を流し込むことで、カバー部材20,21内がそれぞれ樹脂で封止される。これにより、カバー部材20,21内を防水構造とすることができる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態の組電池モジュール1によれば、電池2A1,・・・,2A5(2A)に設けられた電極端子11,12のオフセット方向を互いに反対方向となるように屈曲させて、電極端子11(一方の電極端子)をD/2より大きくなるように形成し、電極端子12(他方の電極端子)をD/2となるように形成し、電池2B1,・・・,2B5(2B)に設けられた電極端子13,14のオフセット方向を互いに反対方向となるように屈曲させて、一方の電極端子13をD/2より大きくなるように形成し、他方の電極端子12をD/2となるように形成し、電極端子11と電極端子13とが互いに当接する向きに配置して接続し、電極端子12と電極端子14とをホルダ部材3を介して保持することにより、電池2A1,2B1間、電池2A2,2B2間、・・・電池2A5,2B5間に空間Sをそれぞれ形成することが可能になる(図7参照)。
【0051】
このように形成された空間Sに冷却風(空気など、図2参照)を通流させることにより、電池2A1,・・・,2A5と電池2B1,・・・,2B5の各電池を冷却することができる。なお、最上段に位置する電池2B6と最下段に位置する電池2A6については、電池2B6の上面側に、電池2A6の下面側に、それぞれ冷却風を通流させることにより、電池2B6,2A6を冷却することができる。このようにして、個々の電池2A(2A1〜2A6),2B(2B1〜2B6)すべてを冷却することが可能になる。
【0052】
したがって、従来のように、冷却のために電池間に放熱板(金属板など)を設けることが不要になり、組電池モジュール1の軽量化を図ることが可能になる。
【0053】
また、本実施形態によれば、クラッド材16と超音波接合(超音波溶接)との組み合わせにより電極端子11,13同士、および電極端子12,14同士を接合しているため、ボルトなどの締結部材が不要となり、組電池モジュール1のさらなる軽量化が図れる。
【0054】
また、本実施形態によれば、電極端子11,12が設けられていない側(カバー部材20,21で覆われていない側)の外装材15の縁部(端部)を、図4に示すように、冷却風が通流する空間Sとは反対方向に折返し部15s,15sを形成し、電極端子13,14が設けられていない側の外装材15の縁部(端部)を、冷却風が通流する空間Sとは反対方向に折返し部15t,15tを形成したので、組電池10(図2参照)の側面から空間Sに冷却風を供給したとしても、冷却風の通過を妨げることがなくなる。また、このような方向に折返し部15s,15s,15t,15tを形成することにより、冷却風を巻き込んで乱気流を発生させることもなくなり、冷却風を円滑に流すことが可能になる。よって、電池2A,2Bの冷却効率の向上を図ることができる。
【0055】
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、例えば、電池2A6,2B6を設けない構成であってもよい。この場合には、電池2A1の電極端子12(他方の電極端子)と出力端子8とが接続され、出力端子8がカバー部材21の貫通孔から突出し、電池2B5の電極端子12と出力端子9とが接続され、出力端子9がカバー部材21の貫通孔から突出するように構成される。
【符号の説明】
【0056】
1 組電池モジュール
2A1〜2A5 電池(第1の電池)
2B1〜2B5 電池(第2の電池)
3 ホルダ部材
10 組電池
11,12,13,14 電極端子
11b,12b,13b,14b 屈曲部
11c,12c,13c,14c 先端部(端部)
15 外装材
15s,15t 折返し部
16 クラッド材
20,21 カバー部材
20a,20b 貫通孔
30,31 ポッティング部材
Q 発電要素
S 空間
t1,t2 オフセット量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電要素を外装材で封止するとともに一対の板状の電極端子を前記外装材の前記発電要素の厚さ方向の中央から外部に導出してなり、前記電極端子の発電要素側と端部側とが屈曲部を介してオフセットして形成され、一方の電極端子のオフセット方向と他方の電極端子のオフセット方向とが互いに反対方向であり、前記一方の電極端子のオフセット量は前記発電要素の厚さの1/2より大きく形成され、前記他方の電極端子のオフセット量は前記発電要素の厚さの1/2に形成され、前記一方の電極端子と前記他方の電極端子は異種金属で形成された、少なくとも第1の電池および第2の電池からなる組電池と、
絶縁部材により形成され、前記第1の電池の他方の電極端子と前記第2の電池の他方の電極端子とを保持するホルダ部材と、
前記ホルダ部材および前記電極端子を含む領域を覆うカバー部材と、を備え、
前記第1の電池の一方の電極端子と前記第2の電池の一方の電極端子は、前記異種金属で形成されるとともに、互いに当接する向きでクラッド材を介して超音波接合により直列に接続され、
前記カバー部材には、前記組電池の出力端子を貫通させる貫通孔が形成され、前記カバー部材で覆われた前記領域がポッティング部材によって封止されていることを特徴とする組電池モジュール。
【請求項2】
前記外装材のうち、前記電極端子を有しない側の縁部は、前記第1の電池と前記第2の電池との間に形成された空間とは反対側に折り曲げられていることを特徴とする請求項1に記載の組電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−282767(P2010−282767A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133582(P2009−133582)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】