説明

緊急情報の追加伝達システム及びその方法

【課題】遅滞なく情報を伝達する。
【解決手段】親局送信所は、信号を多重してOFDMフレーム形式にして出力する際に、TMCC信号と受信端末での復調時に位相及び周波数補正に使用する信号であるパイロット信号とを生成し、該パイロット信号の振幅を増加させて緊急信号として出力する変調器1を備え、前記中継送信所は、前記TMCC信号と前記パイロット信号との出力を比較し、前記TMCC信号と前記パイロット信号との出力に差がある場合、パイロット信号の振幅を増加させる振幅調整を行う補償器5を備え、受信端末は、TMCC信号とパイロット信号との出力に差がある場合、緊急情報が伝送されていると判別する受信機8A、8Bと、このパイロット信号を前記緊急情報として出力する受像機9A、9Bと、を備え、補償器5は、外部から別途緊急情報が入力されると、パイロット信号の振幅を増加させて緊急情報が含まれた信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上デジタル放送網で緊急情報を伝送する緊急情報の追加伝達システム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地上デジタル放送では、現在、大規模地震が想定される東海地震や津波警報が発令されるような大災害が予測される状況になると、緊急警報信号を放送波に多重して伝送している。又、震度5弱以上の地震が想定されるP波を受け取った場合には、緊急地震速報を放送波に乗せている。
【0003】
その他、特許文献1には、無線通信による地域防災告知システムに係る発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−299597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、震源地や海岸線等の問題発生要因に近い場所では、予想情報が発生時刻までに間に合わないことが問題となっている。
【0006】
地上デジタル放送では、緊急情報は緊急警報信号と緊急地震速報の二つがある。どちらも、同情報の伝送に大きな遅延が発生すると問題発生までに情報が伝わらず、大きな被害につながる可能性がある。
【0007】
現在、特に問題になっているのは緊急地震速報で、同情報は映像キャリア信号に情報を乗せているため、地上デジタル放送の方式では映像信号の変復調や、時間インターリーブ等の信号処理の処理時間が原因で視聴者への伝達が数秒遅延している。一方、放送形式として多段中継を行うことがあるが、後段中継局での情報伝達の遅延や事故による情報の遮断等の影響があり、これらの影響を軽減する必要がある。
【0008】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、多段中継のため伝送遅延が大幅に発生するような場合でも、遅滞なく情報を伝達できる緊急情報の追加伝達システム及びその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の問題を解決するため、本発明に係る緊急情報の追加伝達システムは、親局送信所、中継送信所及び受信端末を有する地上デジタル放送網で緊急情報を伝送する緊急情報の追加伝達システムであって、前記親局送信所は、信号を多重してOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)フレーム形式にして出力する際に、伝送制御情報(TMCC:Transmission and Multiplexing Configuration Control)信号と前記受信端末での復調時に位相及び周波数補正に使用する信号であるパイロット信号とを生成し、該パイロット信号の振幅を増加させて緊急信号として出力する変調器を備え、前記中継送信所は、前記TMCC信号と前記パイロット信号との出力を比較し、前記TMCC信号と前記パイロット信号との出力に差がある場合、前記緊急情報が伝送されていると判別して前記パイロット信号の振幅を増加させる振幅調整を行う補償器を備え、前記受信端末は、前記TMCC信号と前記パイロット信号との出力を比較し、前記TMCC信号と前記パイロット信号との出力に差がある場合、前記緊急情報が伝送されていると判別する受信機と、前記緊急信号が伝送されていると判別された場合に、前記パイロット信号を前記緊急情報として出力する受像機と、を備え、前記補償器は、外部から別途緊急情報が入力されると、前記パイロット信号の振幅を増加させる振幅調製を行って該緊急情報が含まれた信号を出力することを特徴とする。
【0010】
上述の問題を解決するため、本発明に係る緊急情報の追加伝達の方法は、親局送信所、中継送信所及び受信端末を有する地上デジタル放送網で緊急情報を伝送する緊急情報の追加伝達の方法であって、前記親局送信所が、信号を多重してOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)フレーム形式にして出力する際に、伝送制御情報(TMCC:Transmission and Multiplexing Configuration Control)信号と前記受信端末での復調時に位相及び周波数補正に使用する信号であるパイロット信号とを生成する手順と、前記親局送信所が、該パイロット信号の振幅を増加させて緊急信号として出力する手順と、前記中継送信所が、前記TMCC信号と前記パイロット信号との出力を比較し、前記TMCC信号と前記パイロット信号との出力に差がある場合、前記緊急情報が伝送されていると判別して前記パイロット信号の振幅を増加させる振幅調整を行う手順と、前記中継送信所が、外部から別途緊急情報が入力された場合に、前記パイロット信号の振幅を増加させる振幅調製を行って該緊急情報が含まれた信号を出力する手順と、前記受信端末が、前記TMCC信号と前記パイロット信号との出力を比較し、前記TMCC信号と前記パイロット信号との出力に差がある場合、前記緊急情報が伝送されていると判別する手順と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、パイロット信号の振幅を増加させて緊急信号として出力することにより、多段中継のため伝送遅延が大幅に発生するような場合でも、遅滞なく情報を伝達できる緊急情報の追加伝達システム及びその方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る実施の形態の装置系統図(放送波中継の場合)を示す図である。
【図2】本発明に係る実施の形態の変調器の伝送路符号化部の系統図である。
【図3】本発明に係る実施の形態の変調器での処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】標準の放送波のスペクトラムの概形を示す図である。
【図5】本発明に係る実施の形態を適応した場合のスペクトラムの概形を示す図である。
【図6】本発明に係る実施の形態の受信機の処理の系統図(一部)である。
【図7】本発明に係る実施の形態の受信機での処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明に係る実施の形態の補償器での追加処理の系統図である。
【図9】本発明に係る実施の形態の補償器での本発明のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。ここで、図1は、本発明に係る実施の形態の装置系統図(放送波中継の場合)を示す図である。
【0014】
この図1によると、地上デジタル放送では、放送局からTS(Transport Stream)信号が親局送信所に入力される。親局送信所では、変調器1が、入力されるTSより、映像キャリア信号の変調と信号処理、及び伝送制御情報(TMCC:Transmission and Multiplexing Configuration Control)やAC(Auxiliary Channel)とその他の伝送情報に切り分け各部分を生成、変調を行い、各信号を多重してOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)フレーム形式にして出力する。
【0015】
本発明の実施の形態では、各種緊急情報を検知できた場合、変調器1にて生成するパイロット信号の振幅を意図的に変更させて(例えば、振幅を増加させ)、緊急情報として出力するようにした。この場合、OFDM形式を崩さずにそのまま送信することとする。ここで、パイロット信号とは主に受信機にて復調時、位相、周波数補正に使用する信号である。この信号を本来の受信機にてそのままでも補正できるようであれば、検知さえ出来れば、振幅方向には処理を行うことができる。
【0016】
ここで、図2は本発明に係る実施の形態の変調器の伝送路符号化部の系統図である。この図2では、通常のOFDM形式の出力に係るTS再多重部101、外符号102、階層分割103、階層毎の信号処理104、階層合成105、時間インターリーブ106、周波数インターリーブ107、OFDMフレーム構成108、IFFT109及びガードインターバル付加110を備える。
【0017】
本発明の実施の形態の変調器1は、これらの構成に加えて、TS再多重部101から分岐する緊急情報検知111、パイロット信号112又はTMCC信号113を経由して、OFDMフレーム構成108に合流する系統が存在する。
【0018】
親局送信所では、この後励振器2にて、生成したOFDM信号を放送周波数に周波数変換を行い、電力増幅3にて規定出力に信号増幅を行い、アンテナ10から放送波として出力する。
【0019】
この放送波を受信端末はアンテナ13A又はアンテナ13Bで受信する。この受信端末は、受信機8Aと受像機9Aと、又は受信機8Bと受像機9bと、をそれぞれ有する。
【0020】
例えば、アンテナ13Aにて受け取った放送波は受信機8Aに入力される。入力された信号の復調処理として高速フーリエ変換(FFT)の処理を行った後に、パイロット成分を分け、その振幅を検知することで緊急情報の有無を検知することが可能となる。
【0021】
振幅レベルの確認により緊急情報の発生が認められる場合は、パイロット成分の信号を受像機9Aに出力し、映像処理とは別回路にてランプもしくは音声(ブザー)等で緊急情報発生を知らせるようにすることでその情報を即座に知らせることが出来る。伝送されてきたパイロット信号は周波数、位相情報は変更せず、相対振幅レベルが増えた形になるだけであるので、従来のパイロット信号の役割を使用しつつ、その振幅レベルの検波回路を追加することで緊急情報の有無に使用することができる。
【0022】
一方、放送形式としては中継局を使用しての多段中継を行う場合がある。このとき、中継局の装置にはパイロット信号の振幅を利用して等化処理等の補償処理を行う補償器5がオプションとして含まれていることが考えられる。この場合、補償器の仕様によっては、変調器にて変動させたパイロット信号の振幅にて誤作動する、又は変動させたパイロット信号の振幅を従来の値に戻す可能性が考えられる。例えば、信号中に含まれるパイロット信号の振幅と位相を等化する等化処理では、そうした問題点が顕在化する。
【0023】
従って、本発明の実施の形態では、必要に応じて補償器5で補償処理行う前に、パイロット信号の振幅を検知することにより緊急情報が伝送されているかを判別し、補償処理の前でパイロット信号の振幅調整を行う必要がある。又、補償器5の出力にてパイロット信号の振幅を増加させたものを出力する必要もある。
【0024】
本発明の実施の形態では、パイロット信号の振幅を増加させる回路の追加が必要であるが、この回路が追加されていると、補償器5に緊急情報の外部入力を追加することができる。外部入力が入力されると、補償器5の出力にてパイロット信号の振幅を増加させる処理を、上位局送信機を介さず行うことが可能になる。又、補償器5の部分の前段でのパイロット信号の振幅検知・修正と、補償器5の部分の後段での振幅再変更と、を補償処理を介さず直接行うことが出来る。これにより多段中継の場合に発生する伝送遅延や補償器による処理遅延を減らすことが出来る。
【0025】
この場合も、アンテナ13Bにて受け取った放送波は受信機8Bに入力される。入力された信号の復調処理として高速フーリエ変換(FFT)の処理を行った後に、パイロット成分を分け、その振幅を検知することで緊急情報の有無を検知することが可能となる。
【0026】
振幅レベルの確認により緊急情報の発生が認められる場合は、パイロット成分の信号を受像機9Bに出力する。
【0027】
[実施の形態の構成]
本発明の実施の形態では、緊急情報のうち、緊急警報信号は、伝送制御情報(TMCC:Transmission and Multiplexing Configuration Control)の中に緊急警報信号用のフラグを多重して伝送している。一方、緊急地震速報は、テロップと同様に、映像信号に情報を乗せて伝送している。
【0028】
なお、緊急地震速報情報も、現在リザーブとなっているTMCCの空き部分やオプション扱いとなっているACに乗せれば良い。送信所からの放送波情報を従来と変えたくないのであれば、TSにおける1つのOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)フレームに含まれるACの情報量をマッピング可能なビット数以上にし、破棄される分に同情報を乗せるということも可能である。
【0029】
[実施の形態の動作の説明]
本発明の実施の形態では、親局送信所の変調器1にて図3の処理を行う。ここで、図3は、本発明に係る実施の形態の変調器での処理の流れを示すフローチャートである。
【0030】
まず、放送局から入力されるTSデータより緊急情報を検知する(ステップF001)。なお、緊急情報のうち、緊急警報信号は、伝送制御情報(TMCC:Transmission and Multiplexing Configuration Control)の中に緊急警報信号用のフラグを多重して伝送している。一方、緊急地震速報は、テロップと同様に、映像信号に情報を乗せて伝送している。
【0031】
次に、検知した緊急情報の有無判断し(ステップF002)、パイロット信号の生成回路にて緊急情報を多重する処理を行う。本実施の形態では、追加伝送する緊急情報の信号は1ビット信号として取り扱う。そのため、パイロット信号の出力ビットの座標を変更する。
【0032】
通常仕様の場合(ステップF002:NO)、地上デジタル放送のパイロット信号はWi(0)=(+4/3,0)、Wi(1)=(−4/3,0) を基準としてBPSK(Binary Phase Shift Keying)変調を施した信号であるが(ステップF004)、緊急情報が入力されたときは(ステップF002:YES)、Wi(0)=(+8/3,0)、Wi(1)=(−8/3,0)を基準としてBPSK変調を行う(ステップF003)。
【0033】
このときのパイロット信号は振幅レベルを一律変更(増加)したのみで、周波数、位相成分を変更していない。この回路より生成したパイロット信号をOFDMフレーム構成に含めて送出すると、変調器出力の出力波形は、通常は図4のようなスペクトラム波形なのに対し、本発明に係る実施の形態では、図5のようにパイロット成分がキャリア成分から飛び出る形の波形となる。
【0034】
ここで、図6は、本発明に係る実施の形態の受信機8A、8Bの処理の系統図(一部)である。この図6によると、受信機8A、8Bは、通常の受信機と同様に、アンテナ2001、IF回路203、直交復調206、FFT(Fast Fourier transform)207、キャリア復調208等を介して階層合成219に至る系統の他に、直交復調206又はFFT207から分岐して、パイロット信号レベル検知218、緊急情報出力217を介してキャリア復調208に戻る系統を有する。
【0035】
処理の系統が図6である受信機8A、8Bでは、信号を受信すると図7の処理を行う。ここで、図7は、本発明に係る実施の形態の受信機8A、8Bでの処理を示すフローチャートである。
【0036】
図7によると、本発明に係る実施の形態の受信機8A、8Bは、図6での直交復調206、FFT207までは通常の復調処理を行う(ステップF101)。
【0037】
FFT207での処理後、パイロット信号成分を分離させてその振幅を検知する(ステップF102)。この振幅レベルの基準からの増減を検知することで緊急情報を取り出すことが出来るが、パイロット信号のみを検証するのでは基準情報がないため、確認することが出来ない。今回はその基準としてTMCCの情報を使用することにした。そのため、TMCC信号をキャリア信号としてその振幅を検知する(ステップF103)。
【0038】
次いで、キャリア信号とパイロット信号との出力を比較する(ステップF104)。TMCCはDPBSK変調のため若干パイロット信号と異なるが、その基準信号は通常のパイロット信号と同じくWi(0)=(+4/3,0)、Wi(1)=(−4/3,0)であるため、復調後の振幅情報を比較することで容易に緊急情報の有無を確認することが出来る。
【0039】
キャリア信号とパイロット信号との出力に差がある場合、取得した緊急情報は1ビット信号である。それを受信機8A、B又は受像機9A、Bにて視聴者に分かるよう、同信号をフラグにしてLEDやブザー、もしくは規定映像信号の出力等を行う必要がある(ステップF105)。
【0040】
一方で、キャリア信号とパイロット信号との出力に差がない場合は、そのまま処理を終了する。
【0041】
なお、直交変復調、及びFFT/IFFT(逆高速フーリエ変換:Inverse FFT)等の処理は、時間インターリーブ/デインターリーブ等の信号処理に比べ、処理時間が短いため、これにより処理遅延は大幅に減らすことが可能になる。
【0042】
中継局による多段中継を行う場合、補償器5がない場合は、周波数変換及び電力増幅のみであるため、パイロット信号の振幅成分の処理は一切行われず、又、装置遅延もごく短いため本実施の形態からは除外して考える。一方、補償器5がある場合、本発明のパイロット信号の振幅変更が補償処理で悪影響を及ぼす可能性があるため、それを修正する必要がある。
【0043】
そのため、図8に示したような追加処理を行う。ここで、図8は、本発明に係る実施の形態の補償器5での追加処理の系統図である。
【0044】
図6では、従来入力による補償処理301とは別に、パイロット信号修正302、パイロット信号再調整303、直交復調304、FFT305、TMCC復号306、パイロット信号レベル検知307及び緊急情報出力308を備えた追加処理の系統を有する。
【0045】
この追加処理では、緊急情報の遅延時間短縮のため図9の処理を行う。ここで、図9は、本発明に係る実施の形態の補償器5での本発明のフローチャートである。
【0046】
まず、信号を復調し(ステップF201)、パイロット信号とTMCC信号の振幅を比較する処理までは受信機の処理と同じである(図8の304〜307、ステップF202〜F204)。
【0047】
次いで、TMCC信号とパイロット信号との出力を比較する(ステップF204)。
【0048】
TMCC信号とパイロット信号との出力に差がある場合、手順はステップF206に移行する。
【0049】
TMCC信号とパイロット信号との出力に差がある場合、手順はステップF205に移行するが、図8のように緊急情報の検出の箇所に、緊急情報の外部入力の回路を追加することで、上位局送信所を介さず、緊急情報の伝送が可能になる(図8の308)。
【0050】
ステップF205で外部からの緊急情報の入力があった場合は、手順はステップF206に移行する。
【0051】
緊急情報を取得した場合は(ステップF206)、後段の補償処理の仕様に応じ、入力のパイロット信号の振幅を従来のものに戻す必要がある(図8の302、ステップF207)。
【0052】
一方で、本発明に係る実施の形態では補償処理を介さず、パイロット信号の振幅成分を処理しているため、緊急情報の検知と同時に(ステップF208)、出力信号内のパイロット信号の振幅を調整することで(図8の303、ステップF209)、パイロット信号の処理時間は必要であるが、補償処理(図8の301)によらず外部に緊急情報が含まれた信号を出力することが可能になる。
【0053】
このパイロット信号の振幅調製は、前述の親局送信所と同様に、パイロット信号の振幅を増加させて緊急信号として出力する。
【0054】
又、本発明は、上記の実施の形態にある地上デジタル放送に限定されるものではなく、パイロット信号を使用して同期制御を行い、信号処理に時間がかかる伝送形式ならば、同様の活用をすることができる。
【0055】
なお、本発明は、装置の発明のみならず、方法の発明としても実施できる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、パイロット信号にて同期調整を行い、緊急情報を伝送する方式全般に利用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 変調器
2 励振器
3 電力増幅
4 受信変換
5 補償器
6 送信変換
7 電力増幅
8A、8B 受信機
9A、9B 受像器
10、11、12、13A、13B アンテナ
101 TS再多重部
102 外符号
103 階層分割
104 階層毎の信号処理
105 階層合成
106 時間インターリーブ
107 周波数インターリーブ
108 OFDMフレーム構成
109 IFFT
110 ガードインターバル付加
111 緊急情報検知
112 パイロット信号
113 TMCC信号
201 アンテナ
203 IF回路
205 A/D
206 直交復調
207 FFT
208 キャリア復調
209 フレーム抽出
210 同期再生
211 TMCC復号
212 周波数デインターリーブ
213 時間デインターリーブ
214 デマッピング
215 階層分別
216 階層毎の信号処理
217 緊急情報出力
218 パイロット信号レベル検知
219 階層合成
301 補償処理
302 パイロット信号修正
303 パイロット信号再調整
304 直交復調
305 FFT
306 TMCC復号
307 パイロット信号レベル検知
308 緊急情報出力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親局送信所、中継送信所及び受信端末を有する地上デジタル放送網で緊急情報を伝送する緊急情報の追加伝達システムであって、
前記親局送信所は、信号を多重してOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)フレーム形式にして出力する際に、伝送制御情報(TMCC:Transmission and Multiplexing Configuration Control)信号と前記受信端末での復調時に位相及び周波数補正に使用する信号であるパイロット信号とを生成し、該パイロット信号の振幅を増加させて緊急信号として出力する変調器を備え、
前記中継送信所は、前記TMCC信号と前記パイロット信号との出力を比較し、前記TMCC信号と前記パイロット信号との出力に差がある場合、前記緊急情報が伝送されていると判別して前記パイロット信号の振幅を増加させる振幅調整を行う補償器を備え、
前記受信端末は、
前記TMCC信号と前記パイロット信号との出力を比較し、前記TMCC信号と前記パイロット信号との出力に差がある場合、前記緊急情報が伝送されていると判別する受信機と、
前記緊急信号が伝送されていると判別された場合に、前記パイロット信号を前記緊急情報として出力する受像機と、
を備え、
前記補償器は、外部から別途緊急情報が入力されると、前記パイロット信号の振幅を増加させる振幅調製を行って該緊急情報が含まれた信号を出力することを特徴とする緊急情報の追加伝達システム。
【請求項2】
前記補償器は、補償処理を行う前に、前記TMCC信号と前記パイロット信号との出力を比較し、前記TMCC信号と前記パイロット信号との出力に差がある場合、又は外部から別途緊急信号が入力された場合に、前記パイロット信号の振幅を増加させる振幅調整を行うことを特徴とする請求項1に記載の緊急情報の追加伝達システム。
【請求項3】
前記変調器は、前記パイロット信号の振幅レベルのみを一律に増加することを特徴とする請求項1又は2に記載の緊急情報の追加伝達システム。
【請求項4】
親局送信所、中継送信所及び受信端末を有する地上デジタル放送網で緊急情報を伝送する緊急情報の追加伝達の方法であって、
前記親局送信所が、信号を多重してOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)フレーム形式にして出力する際に、伝送制御情報(TMCC:Transmission and Multiplexing Configuration Control)信号と前記受信端末での復調時に位相及び周波数補正に使用する信号であるパイロット信号とを生成する手順と、
前記親局送信所が、該パイロット信号の振幅を増加させて緊急信号として出力する手順と、
前記中継送信所が、前記TMCC信号と前記パイロット信号との出力を比較し、前記TMCC信号と前記パイロット信号との出力に差がある場合、前記緊急情報が伝送されていると判別して前記パイロット信号の振幅を増加させる振幅調整を行う手順と、
前記中継送信所が、外部から別途緊急情報が入力された場合に、前記パイロット信号の振幅を増加させる振幅調製を行って該緊急情報が含まれた信号を出力する手順と、
前記受信端末が、前記TMCC信号と前記パイロット信号との出力を比較し、前記TMCC信号と前記パイロット信号との出力に差がある場合、前記緊急情報が伝送されていると判別する手順と、
を備えることを特徴とする緊急情報の追加伝達の方法。
【請求項5】
前記中継所が、補償処理を行う前に、前記TMCC信号と前記パイロット信号との出力を比較し、前記TMCC信号と前記パイロット信号との出力に差がある場合、又は外部から別途緊急信号が入力された場合に、前記パイロット信号の振幅を増加させる振幅調整を行うことを特徴とする請求項4に記載の緊急情報の追加伝達の方法。
【請求項6】
前記親局送信所が、該パイロット信号の振幅を増加させて緊急信号として出力する手順は、前記パイロット信号の振幅レベルのみを一律に増加させることを特徴とする請求項4又は5に記載の緊急情報の追加伝達の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−206485(P2010−206485A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49306(P2009−49306)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】