説明

繊維強化プラスチック製自動車用フードパネル

【課題】衝突事故時に「く」の字状の折れ曲がり変形による望ましい衝撃エネルギー吸収が確実に達成できる繊維強化プラスチック製の自動車用フードパネルを提供する。
【解決手段】外表面を形成する繊維強化プラスチック製アウター2に、アウターを補強する繊維強化プラスチック製インナー3が接合された繊維強化プラスチック製自動車用フードパネルであって、インナーが、アウターの周縁部に沿って外周を囲むように、車体前部において幅方向に延びる前部補強部4と車体後部において幅方向に延びる後部補強部5と前部補強部と後部補強部とをつなぐ側部補強部6を有し、前部補強部の前端から前記後部補強部の後端までの長さの40%〜60%の範囲に位置する側部補強部上の箇所に他の部分よりも剛性および/または強度の低いインナー曲げ導入部9を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化プラスチック製の自動車用フードパネルに関し、特に、衝撃荷重を効果的に吸収し、乗員や歩行者を衝撃から保護するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、金属製のフードパネルに変えて、繊維強化プラスチック製のフードパネルが盛んに開発されている。これは、繊維強化プラスチックの比剛性や非強度が金属などの他材料に比べ大きいため、軽量でかつ高剛性/高強度の製品を得ることができるためである。このため、繊維強化プラスチック製のフードパネルは、金属製のフードパネル(たとえば特許文献1)のような複雑な構造ではなく、外表面を形成する繊維強化プラスチック製のアウターと、その周縁部にわたって延びる額縁状の繊維強化プラスチック製のインナーを接合した単純な形状をしたものがほとんどであり、(たとえば特許文献2)、構造設計の容易さからみても、今後さらに適用が拡大すると考えられている。
【0003】
一方、自動車には衝突時等における安全性を高めることが要求されており、特に、衝撃的な外力が加わった際の乗員や歩行者の安全性を確保するため、フードパネル等の車両前部の構造部材は、適度に変形することによりエネルギーを吸収する構造が求められている。
【0004】
特に、フードパネルにおいては、衝突時にフードパネルのおおよそ中央付近からフードパネルが「く」の字状に折れ曲がることでエネルギーを吸収させており、従来の金属製フードパネルにおいては、この折れ曲がり起点となる曲げ導入部が複雑なフード構造にマッチするよう設計され、複雑に形成されている(たとえば特許文献3)。
【0005】
繊維強化プラスチック製フードパネルにおいても、安全性確保は必須であり、かかる観点から衝突時に「く」の字状に折れ曲る起点となる曲げ導入部が求められている。繊維強化プラスチック製フードパネルは先に述べたように単純な形状をしており、荷重経路が明確であるため、金属製フードパネルのような複雑な曲げ導入部を設計する必要はないように見え、車体前後方向のおおよそ中央付近に形成したものが開示されている(たとえば特許文献4)。しかしながら、繊維強化プラスチック材料は、先に述べた金属より高い比剛性/非強度のを有することに加え、塑性変形することがない材料であるために、繊維強化プラスチック製フードパネルは、金属製フードパネルに比べ変形しにくく、また、変形が進むと破壊に至るという特徴がある。
【0006】
繊維強化プラスチック製フードパネルにおいて、衝突時のエネルギー吸収性能を発揮させるため、曲げ導入部の機械的剛性を下げると、衝突時に大きく変形しエネルギー吸収させることが可能となるが、限度を越えると通常の使用状態におけるフードパネル自体の機械的剛性を満たさなくなってしまう場合がある。
【0007】
さらに、衝突時の曲げ導入部の設計を誤り、機械的強度を下げ過ぎてしまうと、変形が進み破壊に至ってしまう。この場合、破壊したフードパネルの一部材がフロントガラスなど、フードパネル後方にある車体部品を損傷する可能性がある。
【0008】
破断防止の手法として破壊する箇所に破断防止層を繊維強化プラスチック内に積層するといった手法も検討されているが(たとえば特許文献5)、この方法では機械的性能に関係のない余分な層を導入することになるため、繊維強化プラスチック製フードパネルの大きな特徴である軽量化メリットがでないといった問題がある。
【0009】
また、破壊を避けるため、反対に機械的剛性および強度を高く設計しすぎると、衝突時に金属製の車体が塑性変形に至り大きく変形しても繊維強化プラスチック製フードパネルの変形は小さいという、変形におけるミスマッチが生じ、この場合、フードパネルが十分に変形しないために、これに起因してフードパネル端部においてフードパネルを車体に結合するヒンジや、前端部にあるフードパネルを車体に結合するストライカーに過大な荷重がかかり、これら別部品が損傷するという可能性がある。
【0010】
このように、構造設計の容易さとは対称的に、衝突時の設計については、フードパネルを破壊しない範囲で「く」の字状に折れ曲がらせエネルギーを吸収させるなどといった剛性設計と強度設計を組み合わせた厳密な設計を実施する必要があり、設計に膨大な時間を費やす、さらに、破壊の有無までも考慮する必要があるため、金属製フードパネルの設計に比べ難易度が極端に高いといった問題があった。
【特許文献1】特開2001−233248
【特許文献2】特開2002−284038
【特許文献3】特開2005−239092
【特許文献4】特開2005−125883
【特許文献5】特開2003−311856
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記従来技術が潜在的に有している問題点を解消し、繊維強化プラスチック製自動車用フードパネルにおいても、衝突事故時などに対する要求性能、特に「く」の字状の折れ曲がり変形による望ましい衝撃エネルギー吸収が確実に達成できる繊維強化プラスチック製の自動車用フードパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を達成するために、本発明の繊維強化プラスチック製の自動車用フードパネルは、次の構成を有する。
【0013】
すなわち、
(1) 外表面を形成する繊維強化プラスチック製アウターに、該アウターを補強する繊維強化プラスチック製インナーが接合された繊維強化プラスチック製自動車用フードパネルであって、前記インナーが、前記アウターの周縁部に沿って外周を囲むように、車体前部において幅方向に延びる前部補強部と車体後部において幅方向に延びる後部補強部と前記前部補強部と前記後部補強部とをつなぐ側部補強部を有し、前記前部補強部の前端から前記後部補強部の後端までの長さの40%〜60%の範囲に位置する前記側部補強部上の箇所に車体の前後方向に対して斜めに延び前後の他の部分よりも剛性および/または強度の低いインナー曲げ導入部を形成したことを特徴とする繊維強化プラスチック製自動車用フードパネル。
【0014】
(2) 前記インナー曲げ導入部は車体前方へ向う方向から車体内側へ30°〜60°の範囲の角度をもって斜めに延びている前記(1)に記載の繊維強化プラスチック製自動車用フードパネル。
【0015】
(3) 前記インナー曲げ導入部が、前記繊維強化プラスチック製インナーの厚みを部分的に薄くすることにより形成されている前記(1)または(2)に記載の繊維強化プラスチック製自動車用フードパネル。
【0016】
(4) 前記インナー曲げ導入部が複数の強化繊維層を含むものであり、前記インナー曲げ導入部が、前記繊維強化プラスチック製インナーを構成する強化繊維層の積層構成を部分的に変えることにより形成されている前記(1)〜(3)のいずれかに記載の繊維強化プラスチック製自動車用フードパネル。
【0017】
(5)前記インナー曲げ導入部が、前記繊維強化プラスチック製インナーを構成する強化繊維の量を部分的に減らすことにより形成されている前記(1)〜(4)のいずれかに記載の繊維強化プラスチック製自動車用フードパネル。
【0018】
(6) 前記インナー曲げ導入部が、前記繊維強化プラスチック製インナーを構成する強化繊維の一部を切断することで前記強化繊維の不連続部を配置することにより形成されている前記(1)〜(5)のいずれかに記載の繊維強化プラスチック製自動車用フードパネル。
【0019】
(7) 前記インナー曲げ導入部が、前記繊維強化プラスチック製インナーの他の部分に比べ剛性および/または強度が低い異種の強化繊維を配置することにより形成されている前記(1)〜(6)のいずれかに記載の繊維強化プラスチック製自動車用フードパネル。
【0020】
(8) 前記アウターが、繊維強化プラスチックのスキン板間にコア材を介在させたサンドイッチ構造である前記(1)〜(7)のいずれかに記載の繊維強化プラスチック製自動車用フードパネル。
【0021】
(9) 前記強化繊維が炭素繊維である前記(1)〜(8)のいずれかに記載の繊維強化プラスチック製自動車用フードパネル。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、 衝突時の設計難易度が高い繊維強化プラスチック製自動車用フードパネルにおいても衝突時の設計難易度を下げることができ、かつ、衝突事故時などに、特に正面衝突時にフードパネル全体が望ましい形態で「く」の字状に折れ曲がることが可能となり、優れた衝撃エネルギー吸収性能を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の最良の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る繊維強化プラスチック製自動車用フードパネルをエンジン側から見た平面図であり、図1(b)はフードパネル分解図、図1(c)は、インナー曲げ導入部付近の拡大図である。
【0025】
図1(b)において、1はフードパネル、2はアウター、3はインナーであり、これらアウター2とインナー3が接着接合され、接合体全体にてフードパネル1が構成されている。フードパネル1は車両前方に装着され、エンジンルームなどを覆うものであり(図7参照)、アウター2は外表面を形成する部材であり、車両に取り付けられた状態においては車両外観を構成し、インナー3はエンジンルーム側に構造材として配され前記アウター2を補強する。
【0026】
また、本発明における前記インナー3は、前記アウター2の周縁部に沿って外周を囲むように、車体前部において幅方向に延びる前部補強部4と車体後部において幅方向に延びる後部補強部5と前記前部補強部4と前記後部補強部5をつなぐ側部補強部6とを有する。
【0027】
このように本発明のフードパネル1は、金属製のフードパネルと比べ、外表面を形成するアウター2とその周縁部にわたって延びる額縁状のインナー3を接合した単純な構造をしたものであり、静止状態での構造設計の点において難易度が低いという優れたな面を持っている。
【0028】
また、本発明の前記インナー3は、前記インナー3を構成する前記側部補強部6上の、前部補強部4の前端から後部補強部5の後端までの長さ24の40%〜60%の範囲の位置7に、車体前方へ向う方向から車体内側へ30°〜60°の範囲の角度8をもって斜めに延びているインナー曲げ導入部9を形成することが必要である。
【0029】
このインナー曲げ導入部9は、剛性および/または強度が他の部分よりも低く形成された部位であり、衝突などの衝撃力がフードパネル1に加わると、フードパネル1の開閉を行う開閉機構部を構成する車体前方ほぼ中央に取り付けられるフードロックストライカー10と車体後方両端に取り付けられるヒンジ11を支持点とした曲げ入力がインナー曲げ導入部9に集中して加わり、他の部分より先に変形するため、この部分からフードパネル1を折れ曲がり易くするように作用する。したがって、対向車や物と衝突した場合には、このインナー曲げ導入部9からフードパネル1が折れ曲がり、フードパネル全体として図7に示すように確実に「く」の字状に折れ曲がり、優れた衝撃エネルギー吸収性能を発揮することが可能となる。
【0030】
しかし、使用される繊維強化プラスチック材料は、先に述べたように金属より高い比剛性/非強度を持ち、塑性変形することがない材料であるために、繊維強化プラスチック製のフードパネルは、金属製のフードパネルに比べ変形しにくく、また、変形が進むと破壊に至るという特徴がある。このため、衝突時には、衝撃エネルギーを吸収できるよう所定の位置からフードパネルを「く」の字状に折れ曲がらせ、かつ、変形が進み破壊には至らないという最適な状態になるよう変形を制御する必要があり、衝突時の設計においては、剛性設計に強度設計をも組み合わせる必要があるといった難易度が高い設計を実施する必要がある。
【0031】
本発明は、このような衝突時の設計難易度が高い繊維強化プラスチック製のフードパネルにおいても、衝突時の設計における設計難易度を下げることができ、かつ、衝撃エネルギー吸収が確実に達成できる繊維強化プラスチック製の自動車用フードパネルを提供せんとするものである。
【0032】
インナー曲げ導入部9の側部補強部6上の位置については、前部補強部4の前端から後部補強部5の後端までの長さ24の40%〜60%の範囲の位置7にあることが必要である。本範囲の位置は、フードパネル全体のほぼ中央に相当し、フードロックストライカー10とヒンジ11を支持点とした曲げ入力の最大発生位置付近となるため、インナー曲げ導入部9が同様の位置形成されることで、曲げ入力がインナー曲げ導入部9に集中して加わり、図7に示すように確実に「く」の字状に折れ曲がり、優れた衝撃エネルギー吸収性能を発揮することが可能となる。
【0033】
本範囲以外の位置にインナー曲げ導入部9を形成すると、曲げ入力の最大発生位置とインナー曲げ導入部9が大きく離れるため、曲げ入力がインナー曲げ導入部9に集中して加わりにくくなり、フードパネル1が「く」の字状に折れ曲がりにくくなり、衝撃エネルギー吸収性能を発揮することができなくなる。
【0034】
また、インナー曲げ導入部9は、図1(c)に示すように車体前後方向をX方向、車体幅方向をY方向とした場合、インナー曲げ導入部9の-車体内側端のX方向長さの中心点12i、車体外側端のX方向長さの中心点12oとし、中心点12iが中心点12oよりも車体前方に位置するよう、車体前方へ向う方向から車体内側へ斜めに角度8をもって延びていることが必要である。
【0035】
前記角度8は、インナー曲げ導入部9の-車体内側端のX方向長さの中心点12iと車体外側端のX方向長さの中心点12oを結ぶインナー曲げ導入部の中心線13とX方向軸とがなす車体内側方向への角度と定義することができ、前記角度8は30°〜60°の範囲にあることが必要である。
【0036】
インナー曲げ導入部9が本範囲の角度8をもって形成されることで、図8に示すように、
衝突時において、フードパネル1は、折れ稜線25のようにインナー曲げ導入部9の角度8に従って、「く」の字状に折れ曲がる。
【0037】
フードパネル1が、「く」の字状に折れ曲がり衝撃エネルギーを吸収したのち、変形が進み破壊に至る場合、インナー曲げ導入部9は、剛性および/または強度が他の部分よりも低く形成された部位であるため、破壊はインナー曲げ導入部9を起点に発生し、折れ稜線25に従って進展する。
【0038】
このため、車体前方から入力された衝撃力は、折れ稜線25の車体後方外側方向26へ向けて流れ、それに従い破壊したフードパネル1の一部材は車体後方外側方向26へ向かうことになり、フロントガラス23などフードパネル後方に設置されているその他車体部品の損傷を防ぐことが可能となり、さらには、乗員キャビン内への進入も防ぐことが可能となる。これより、さらなる安全性能向上が可能となる。
【0039】
本範囲以外の角度をもってインナー曲げ導入部9を形成すると、例えば、角度8を0°(90°)、つまり、車体幅方向と平行にインナー曲げ導入部9を形成した場合、フードパネル1が「く」の字状に折れ曲がり衝撃エネルギー吸収したのち、変形が進み破壊に至ると、破壊したフードパネル1の一部材はX方向軸に沿って車体後方へ向かい、フロントガラス23などフードパネル後方にある車体部品が損傷する可能性がある。
【0040】
このように、インナー曲げ導入部9が角度8をもって形成されることで、衝突時の設計において、破壊の考慮する必要が無くなり、強度設計の必要性が低減する。このことにより、衝突時の設計においても、構造設計の範疇として剛性設計で対応することができるようになる。当然、詳細に強度設計を合わせて設計するのが好ましいが、この場合においても、確認程度に留めることが可能となる。
【0041】
かかる特定の位置7に特定の角度8をもってインナー曲げ導入部9を形成することによって、衝突時の設計における詳細な強度設計を実施することなく、必要最小限の設計で繊維強化プラスチック製のフードパネル1を設計でき、かつ、より確実にインナー曲げ導入部9に力を集中させることができ、フードパネル全体として図7に示すようにより確実に「く」の字状に折れ曲がり、優れた衝撃エネルギー吸収性能を発揮することが可能となる。
【0042】
さらに、もし変形が進み破壊に至ったとしても、図8に示すように破壊したフードパネル1の一部材は車体後方外側方向26へ向かい、その他車体他部品の損傷を防ぎ、さらには、乗員キャビン内への進入も防ぐことが可能となり、安全性能を向上させることが可能となる。
【0043】
上記実施形態におけるインナー曲げ導入部9は、例えば、インナー3の厚みを薄くすることにより、あるいは、前記インナー3が複数の強化繊維層を含む場合には、前記インナー3を構成する強化繊維層の積層構成を部分的に変えることにより、あるいは、前記強化繊維層の量を部分的に減らすことにより、あるいは、前記強化繊維層の一部を破断することで不連続部を配置することにより、あるいは、前記インナー3の他の部分に比べ剛性および/また強度が低い異種の強化繊維層を配置することにより、形成することができる。
【0044】
図2〜6に示すのは、上記実施形態に係るフードパネル1における、本発明の特徴であるインナー曲げ導入部9の詳細図である。
【0045】
図2(a)は、インナー3の厚みを薄くした場合のインナー曲げ導入部9Aの拡大図であり、図2(b)は、図2(a)のA−A矢視の断面図である。
【0046】
本実施の形態では、フードパネル1に形成されるインナー曲げ導入部9Aは、インナー3を構成する強化繊維層14を複数積層してなる繊維強化プラスチック16からなるインナー3の一部に、断面V字状の切り欠き部15を形成したものである。 具体的には、インナー3を構成する繊維強化プラスチック16の厚みを他の部分よりも薄くすることによってインナーの外面側(エンジン側)に前記切り欠き部15が形成されている。前記切り欠き部15はインナー内面側(アウターと接する側)に形成することも可能であるが、荷重が一番集中し易いインナー外面側(エンジン側)に形成するのが好ましい。また、断面はV字状の他にも、例えばコ字状、U字状などでも適宜選択することができる。これらの中でも、荷重が一番集中し易いV字状が好ましい。
【0047】
このように、繊維強化プラスチック16の一部の厚みを他の部分の厚みよりも薄くして断面剛性を下げた剛性および/または強度の低いインナー曲げ導入部9Aを前述した特定の位置に特定の角度をもって形成すれば、衝突時において、インナー曲げ導入部9Aに荷重が集中し変形/破壊するため、フードパネル1が折れ曲がり(図7参照)、優れた衝撃エネルギー吸収性能を発揮することが可能となる。
【0048】
さらに、もし変形が進み破壊に至ったとしても、破壊したフードパネル1の一部材は車体後方外側方向26へ向かい(図8参照)、その他車体他部品の損傷を防ぎ、さらには、乗員キャビン内への進入も防ぐことが可能となり、安全性能を向上させることが可能となる。
【0049】
図3(a)は、インナー3を構成する強化繊維層14の積層構成を変えた場合のインナー曲げ導入部9Bの拡大図であり、図3(b)は、図3(a)のB−B矢視の断面図である。
【0050】
本実施の形態では、フードパネル1に形成されるインナー曲げ導入部9Bは、繊維強化プラスチック16の強化繊維層14の配向角度を部分的に変えることで形成したものである。具体的には、(±45°)の配向角度層18を有する強化繊維層14Aを主体に積層することによってインナー曲げ導入部9Bを形成している。これによりインナー曲げ導入部9Bでは(±45°)の配向角度層18が主体に積層され、その他のインナー部分では、(0°/90°)の配向角度層17が主体に積層される。なお、ここでは、X方向(車体前後方向)を0°とする。
【0051】
この(±45°)の配向角度層18を主体に積層した繊維強化プラスチック部(インナー曲げ導入部9B)は、(0°/90°)の配向角度層17を主体に積層した繊維強化プラスチック部(インナー曲げ導入部9B以外のインナー部分)に比べ、X方向からの入力に対して、剛性および/または強度が低くなる。
【0052】
インナー曲げ導入部9Bの配向角度は、(0°/90°)以外であれば他の配向角度でも適宜選択することができる。ただし、(0°/90°)に近くなるほど剛性および/または強度が高くなるため、もっとも剛性および/または強度の低い(±45°)とするのが好ましい。
【0053】
このように強化繊維層14は配向によって剛性および/または強度が変ることを利用して、剛性および/または強度の低いインナー曲げ導入部9Bを前述した特定の位置に特定の角度をもって形成すれば、衝突時において、インナー曲げ導入部9Bに荷重が集中し変形/破壊するため、フードパネル1が折れ曲がり(図7参照)、優れた衝撃エネルギー吸収性能を発揮することが可能となる。
【0054】
さらに、もし変形が進み破壊に至ったとしても、破壊したフードパネル1の一部材は車体後方外側方向26へ向かい(図8参照)、その他車体他部品の損傷を防ぎ、さらには、乗員キャビン内への進入も防ぐことが可能となり、安全性能を向上させることが可能となる。
【0055】
図4(a)は、インナー3を構成する強化繊維層14の量を変えた場合のインナー曲げ導入部9Cの拡大図であり、図4(b)は、図4(a)のC−C矢視の断面図である。
本実施の形態では、フードパネル1に形成されるインナー曲げ導入部9Cは、繊維強化プラスチック16の強化繊維層14を一部少なくすることで形成したものである。具体的にはインナー曲げ導入部9Cを形成する部位には、強化繊維層を設けない部位19を有する強化繊維層14Bの上下に、強化繊維層14を積層し、樹脂によって接合することで、強化繊維層の無い(樹脂のみ存在する)インナー曲げ導入部9Cが形成されている。強化繊維層を設けない部位19は、強化繊維層がある部位に比べ、剛性および/または強度が低くなる。
【0056】
その他、部分的に強化繊維層14の量を減らす方法としては、例えば、強化繊維層14の量は減らさず逆に樹脂の量を増やすことで、見かけの強化繊維層14の量を減らす(強化繊維層の体積含有率を低くする)方法など適宜選択することができる。ただしこの場合外形状が変るため、意匠的には、強化繊維層14のない部位を形成することが好ましい。
【0057】
このように強化繊維層14の量によって剛性および/または強度が変ることを利用して、剛性および/または強度の低いインナー曲げ導入部9Cを前述した特定の位置に特定の角度をもって形成すれば、衝突時において、インナー曲げ導入部9Cに荷重が集中し変形/破壊するため、フードパネル1が折れ曲がり(図7参照)、優れた衝撃エネルギー吸収性能を発揮することが可能となる。
【0058】
さらに、もし変形が進み破壊に至ったとしても、破壊したフードパネル1の一部材は車体後方外側方向26へ向かい(図8参照)、その他車体他部品の損傷を防ぎ、さらには、乗員キャビン内への進入も防ぐことが可能となり、安全性能を向上させることが可能となる。
【0059】
図5(a)は、インナー3を構成する強化繊維層14の一部を切断することで強化繊維の不連続部20を形成した場合のインナー曲げ導入部9Dの拡大図であり、図5(b)は、図5(a)のD―D矢視の断面図、図5(c)は強化繊維層14の不連続部20の要部拡大図である。
【0060】
本実施の形態では、フードパネル1に形成されるインナー曲げ導入部9Dは、繊維強化プラスチック16の強化繊維層14の一部を破断することで、剛性および/または強度の低い強化繊維層14の不連続部20を形成させ、インナー曲げ導入部9Dとして形成したものである。
【0061】
具体的には、インナー曲げ導入部9Dを形成する部位の強化繊維層14のうち、内層に積層される数層の強化繊維層14Cの強化繊維21を破断させ、その上下に強化繊維層14を積層し、樹脂によって接合することで、強化繊維層14の不連続部なインナー曲げ導入部9Dが形成されている。このように強化繊維層14の一部を破断して不連続部20を形成することで、当該部位(インナー曲げ導入部9D)の剛性および/または強度が低くなる。
【0062】
切断させる強化繊維層14Cは最外層に積層させても良いが、切断部が見えるため意匠的には、内層に積層させるほうが好ましい。
【0063】
また、強化繊維層14の不連続部20を形成させる他の方法としては、例えば、前後から延びてきた強化繊維層14をオーバーラップさせずに単に付き合わせるだけでも良い。
このように強化繊維層14の一部を破断して不連続部20を形成することで剛性および/または強度低いインナー曲げ導入部9Dを前述した特定の位置に特定の角度をもって形成すれば、衝突時において、インナー曲げ導入部9Dに荷重が集中し変形/破壊するため、フードパネル1が折れ曲がり(図7参照)、優れた衝撃エネルギー吸収性能を発揮することが可能となる。
【0064】
さらに、もし変形が進み破壊に至ったとしても、破壊したフードパネル1の一部材は車体後方外側方向26へ向かい(図8参照)、その他車体他部品の損傷を防ぎ、さらには、乗員キャビン内への進入も防ぐことが可能となり、安全性能を向上させることが可能となる。
【0065】
図6(a)は、異種の強化繊維層22を配置することにより形成した場合のインナー曲げ導入部9Eの拡大図であり、図6(b)は、図6(a)のE―E矢視の断面図である。
【0066】
本実施の形態では、フードパネル1に形成されるインナー曲げ導入部9Eは、インナー3の他の部分に比べ、剛性および/または強度の低い異種の強化繊維層22を積層させることで形成したものである。具体的には、インナー曲げ導入部9Eを形成する部位には剛性および/または強度の低い異種の強化繊維層22を有する強化繊維層14Dの上下に、インナー3の他部分と同様の強化繊維層14を積層し、樹脂によって接合することで、剛性および/または強度の低い異種の強化繊維層22で形成されたインナー曲げ導入部9Eが形成されている。
【0067】
例えば、強化繊維層14の強化繊維として炭素繊維(例えば、東レ株式会社製、M40品種;ヤング率392GPa、引張り強度2.45GPa)を用い、剛性および/または強度の低い異種の強化繊維層22の強化繊維としてガラス繊維(例えば、Eガラス;ヤング率75GPa、引張り強度2.5GPa)を用いることにより、同等強度で低剛性となるインナー曲げ導入部9Eを形成することができる。また強化繊維層14の強化繊維として炭素繊維(例えば、東レ株式会社製、T700SC;ヤング率230GPa、引張り強度4.9GPa)を用い、剛性および/または強度の低い異種の強化繊維層22の強化繊維として、炭素繊維(例えば、東レ株式会社製、T300;ヤング率230GPa、引張り強度3.53GPa)を用いることにより、同等剛性で低強度となるインナー曲げ導入部9Eを形成することができる。
【0068】
このように他の部分よりも剛性および/または強度の低い異種の強化繊維層22を積層させることで剛性および/または強度が低いインナー曲げ導入部9Eを前述した特定の位置に特定の角度をもって形成すれば、衝突時において、インナー曲げ導入部9Eに荷重が集中し変形/破壊するため、フードパネル1が折れ曲がり(図7参照)、優れた衝撃エネルギー吸収性能を発揮することが可能となる。
さらに、もし変形が進み破壊に至ったとしても、破壊したフードパネル1の一部材は車体後方外側方向26へ向かい(図8参照)、その他車体他部品の損傷を防ぎ、さらには、乗員キャビン内への進入も防ぐことが可能となり、安全性能を向上させることが可能となる。
【0069】
さらに、本発明の別の実施形態に係る繊維強化プラスチック製自動車フードパネル1として、アウター2をサンドイッチ構造体とし、インナー3にインナー曲げ導入部9を形成した場合も可能である。本実施形態においても、インナー曲げ導入部9は前述した特定の位置に特定の角度をもって形成されている。
【0070】
アウター2は、実質的に全体にわたって繊維強化プラスチックのスキン板の間にコア材(例えば、アクリル発泡体)が介在されたサンドイッチ構造に構成されているか、あるいは、周縁部は繊維強化プラスチックのスキン板の単板構造とされ、周縁部以外の実質的に全体にわたってサンドイッチ構造に構成されている。このサンドイッチ構造は、軽量性とともに高い剛性を示すことができるものである。
【0071】
上記実施形態におけるインナー曲げ導入部9は、例えば、前記インナー3の厚みを薄くすることにより、あるいは、前記インナー3が複数の強化繊維層を含む場合には、前記インナー3を構成する強化繊維層の積層構成を部分的に変えることにより、あるいは、前記強化繊維層の量を部分的に減らすことにより、あるいは、前記強化繊維層の一部を破断することで不連続部を配置することにより、あるいは、前記インナー3の他の部分に比べ剛性および/また強度が低い異種の強化繊維層を配置することにより、形成することができる。
【0072】
なお、本発明において、繊維強化プラスチックとは、強化繊維層により強化された樹脂を指し、強化繊維層を構成する強化繊維としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維などの無機繊維や、ケブラー繊維、ポリエチレン繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維からなる強化繊維が挙げられる。面剛性の制御の容易性からは、とくに炭素繊維が好ましい。ここで、「面剛性」とは、初期の所定の面形状を保つための剛性のことを言う。
【0073】
繊維強化プラスチックのマトリックス樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられ、さらには、アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリブチレンテレプタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ABS樹脂などの熱可塑性樹脂、およびこれら樹脂をアロイ化した変性樹脂も使用可能である。
【0074】
また、サンドイッチ構造を採用する場合のコア材としては、弾性体や発泡材、ハニカム材の使用が可能であり、軽量化のためにはとくに発泡材が好ましい。発泡材の材質としては特に限定されず、例えば、ポリウレタンやアクリル、ポリスチレン、ポリイミド、塩化ビニル、フェノールなどの高分子材料の発泡材などを使用できる。ハニカム材としては、特に限定されず、例えば、アルミニウム合金、紙、アラミドペーパーなどを使用することができる。
【0075】
なお、本発明の繊維強化プラスチック製自動車用フードパネルは、ハンドレイアップ法、オートクレーブ法、RTM法、SCRIMP法、SPRINT法など、既知の繊維強化プラスチック製造方法で製造することが可能である。特にRTM法、SCRIMP法は量産性に優れており好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1(a)】本発明の繊維強化プラスチック製自動車用フードパネルの第1の態様をエンジン側から見た平面図である。
【図1(b)】図1(a)の分解図である。
【図1(c)】図1(a)のインナー曲げ導入部付近の拡大図である。
【図2(a)】本発明の繊維強化プラスチック製自動車用フードパネルの第1の態様におけるインナー曲げ導入部の一例を示す拡大図である。
【図2(b)】図2(a)のA−A矢視の断面図である。
【図3(a)】本発明の繊維強化プラスチック製自動車用フードパネルの第1の態様におけるインナー曲げ導入部の別の例を示す拡大図である。
【図3(b)】図3(a)のB−B矢視の断面図である。
【図4(a)】本発明の繊維強化プラスチック製自動車用フードパネルの第1の態様におけるインナー曲げ導入部の別の例を示す拡大図である。
【図4(b)】図4(a)のC−C矢視の断面図である。
【図5(a)】本発明の繊維強化プラスチック製自動車用フードパネルの第1の態様におけるインナー曲げ導入部の別の例を示す拡大図である。
【図5(b)】図5(a)のD―D矢視の断面図である。
【図5(c)】図5(b)の強化繊維層14Cの拡大平面図である。
【図6(a)】本発明の繊維強化プラスチック製自動車用フードパネルの第1の態様におけるインナー曲げ導入部の別の例を示す拡大図である。
【図6(b)】図6(a)のE―E矢視の断面図である。
【図7】本発明の繊維強化プラスチック製自動車用フードパネルの折れ曲がり方を示す図である。
【図8】本発明の繊維強化プラスチック製自動車用フードパネルの破壊したフードパネルの一部材の飛散方向を示す図である。
【符号の説明】
【0077】
1 フードパネル
2 アウター
3 インナー
4 前部補強部
5 後部補強部
6 側部補強部
7 前記側部補強部6上の、前部補強部4の前端から後部補強部5の後端までの長さ24の40%〜60%の範囲の位置
8 角度
9 インナー曲げ導入部
9A インナー3の厚みを薄くした場合のインナー曲げ導入部
9B インナー3を構成する強化繊維層14の積層構成を変えた場合のインナー曲げ導入部
9C インナー3を構成する強化繊維層14の量を変えた場合のインナー曲げ導入部
9D インナー3を構成する強化繊維層14の一部を切断することで強化繊維の不連続部20を形成した場合のインナー曲げ導入部
9E 異種の強化繊維層22を配置することにより形成した場合のインナー曲げ導入部
10 フードロックストライカー
11 ヒンジ
12i インナー曲げ導入部9の車体内側端のX方向長さの中心点
12o インナー曲げ導入部9の車体外側端のX方向長さの中心点
13 中心点12を結ぶインナー曲げ導入部中心線
14 インナー3を構成する強化繊維層
15 断面V字状の切り欠き部
14A (±45°)の配向角度層18を有する強化繊維層
14B 強化繊維層を設けない部位19を有する強化繊維層
14C 強化繊維の不連続部20を有する強化繊維層
14D 異種の強化繊維層22を有する強化繊維層
16 インナー3を構成する強化繊維層14を複数積層してなる繊維強化プラスチック
17 (0°/90°)の配向角度層
18 (±45°)の配向角度層
19 強化繊維層を設けない部位
20 強化繊維層12の不連続部
21 強化繊維層12Cの強化繊維
22 異種の強化繊維層
23 フロントガラス
24 前部補強部4の前端から後部補強部5の後端までの長さ
25 折れ稜線
26 折れ稜線25の車体後方外側方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外表面を形成する繊維強化プラスチック製アウターに、該アウターを補強する繊維強化プラスチック製インナーが接合された繊維強化プラスチック製自動車用フードパネルであって、前記インナーが、前記アウターの周縁部に沿って外周を囲むように、車体前部において幅方向に延びる前部補強部と車体後部において幅方向に延びる後部補強部と前記前部補強部と前記後部補強部とをつなぐ側部補強部を有し、前記前部補強部の前端から前記後部補強部の後端までの長さの40%〜60%の範囲に位置する前記側部補強部上の箇所に車体の前後方向に対して斜めに延び前後の他の部分よりも剛性および/または強度の低いインナー曲げ導入部を形成したことを特徴とする繊維強化プラスチック製自動車用フードパネル。
【請求項2】
前記インナー曲げ導入部は車体前方へ向う方向から車体内側へ30°〜60°の範囲の角度をもって斜めに延びている請求項1に記載の繊維強化プラスチック製自動車用フードパネル。
【請求項3】
前記インナー曲げ導入部が、前記繊維強化プラスチック製インナーの厚みを部分的に薄くすることにより形成されている請求項1または2に記載の繊維強化プラスチック製自動車用フードパネル。
【請求項4】
前記インナー曲げ導入部が複数の強化繊維層を含むものであり、前記インナー曲げ導入部が、前記繊維強化プラスチック製インナーを構成する強化繊維層の積層構成を部分的に変えることにより形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化プラスチック製自動車用フードパネル。
【請求項5】
前記インナー曲げ導入部が、前記繊維強化プラスチック製インナーを構成する強化繊維の量を部分的に減らすことにより形成されている請求項1〜4のいずれかに記載の繊維強化プラスチック製自動車用フードパネル。
【請求項6】
前記インナー曲げ導入部が、前記繊維強化プラスチック製インナーを構成する強化繊維の一部を切断することで前記強化繊維の不連続部を配置することにより形成されている請求項1〜5のいずれかに記載の繊維強化プラスチック製自動車用フードパネル。
【請求項7】
前記インナー曲げ導入部が、前記繊維強化プラスチック製インナーの他の部分に比べ剛性および/または強度が低い異種の強化繊維を配置することにより形成されている請求項1〜6のいずれかに記載の繊維強化プラスチック製自動車用フードパネル。
【請求項8】
前記アウターが、繊維強化プラスチックのスキン板間にコア材を介在させたサンドイッチ構造である請求項1〜7のいずれかに記載の繊維強化プラスチック製自動車用フードパネル。
【請求項9】
前記強化繊維が炭素繊維である請求項1〜8のいずれかに記載の繊維強化プラスチック製自動車用フードパネル。

【図1(a)】
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【図1(b)】
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【図1(c)】
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【図2(a)】
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【図2(b)】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図5(c)】
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【図6(a)】
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【図6(b)】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−37294(P2008−37294A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−215529(P2006−215529)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】