説明

置換されたテトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン誘導体、その製造方法及び薬剤としてのその使用

本発明は、置換基R1、R2、Ar及びXの意味が明細書に記載した通りである一般式(I)の化合物、及びそれらの生理的に許容される塩に関する。本発明はまた、該化合物の製造方法、及びそれらの薬剤としての使用に関する。本発明の化合物は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤である。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式(I)
【化1】

の化合物(置換基R1、R2、Ar及びXの定義は下記の本文において特定される)、それらの生理的に許容される塩、これらの化合物の製造方法及び医薬としてのそれらの使用に関する。
【0002】
これらの化合物はポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の阻害剤である。
【背景技術】
【0003】
PARPに対する阻害効果
ポリ(ADP−リボース)シンテターゼ(PARS)としても知られているポリ(アデノシン5’−二リン酸−リボース)ポリメラーゼ[ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ、PARP]は、真核細胞のクロマチン結合核酵素であり、そのうち、核当たり約2×105分子が存在する。PARPは、最も最近の研究結果によれば、種々の障害の発病機序に関与し、従ってPARP酵素活性の阻害は前臨床動物モデルにおいて障害の経過に対して有益な効果を有することができる(Cristina Cosi, Expert Opin. Ther. Patents, 2002, 12, 1047-1071 及び L. Virag and C. Szabo, Pharmacol. Rev., 2002, 54, 1-54)。ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼは、酵母を除く全ての真核細胞に存在し、そして遺伝情報を遺伝毒性的影響から保護するためのゲノム監視網の一部である。DNA損傷はポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼの酵素活性を誘発し、生理学的条件下で酵素により認識されたDNA中の誤りの修復に導く。しかしながら、病的状態において、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼは − 虚血、低酸素、再かん流又は炎症過程の場合のように − フリーラジカル酸素種により強く活性化されることができ、酵素がその基質NADを大量に消費する結果となる。NADのこの減少は、罹患組織で観察される細胞死の理由の一つである(いわゆるエネルギー危機理論)。PARP阻害剤は、組織におけるこのNAD減少の防止又は低減において治療的に使用される。本明細書に記載する役割は別として、細胞における酸化的ストレスからNAD減少までの範囲のシグナル伝達において、PARPの更なる細胞機能が最新文献で示唆されており、そしてこれらは病的状態ではPARP阻害剤の作用の分子機序において同様の役割を演じるかもしれない(A. Chiarugi, Trends Pharmacol. Sci., 2002, 23, 122-129)。作用の分子機序に関するこの未解決の議論とは無関係に、種々のPARP阻害剤の治療効力は、幾つかの前臨床動物モデルにおいて:すなわち、例えば、急性心筋梗塞、急性腎不全、脳虚血(卒中)、神経変性障害(例えばパーキンソン病モデル)、糖尿病、生体異物誘発肝毒性、関節炎、ショック肺、敗血性ショックのため、及び腫瘍性障害の薬物療法における増感剤として示されている(L. Virag and C. Szabo, Pharmacol. Rev., 2002, 54, 1-54 にまとめられている)。
【0004】
PARP阻害剤は、急性心筋梗塞において形態学的及び機能的改善をもたらすことを具体的に示すことができただけでなく(J. Bowes et al., Eur. J. Pharmacol., 1998, 359, 143-150; L. Liaudet et al., Br. J. Pharmacol., 2001, 133, 1424-1430; N. Wayman et al., Eur. J. Pharmacol., 2001, 430, 93-100)、著しく良好な心臓機能も、慢性心不全においてPARP阻害剤治療中に測定された(P. Pacher, J. Am. Coll. Cardiol., 2002, 40, 1006-1016)。梗塞心臓において細胞死による臓器の機能損失をもたらすような低かん流もまた、卒中において臓器の個々の領域、従って機能の損失又は完全な不全に導くイベントの連鎖の開始時に出現する。従って、PARP阻害剤の有効性は − PARP−1遺伝子の遺伝子除去(M.J.L. Eliasson et al., Nat. Med., 1997, 10, 1089-1095)のほかに − 脳虚血(K. Takahashi et al., L. Cereb. Blood Flow Metab., 1997, 11, 1137-1142)、MPTP誘発神経毒性(C. Cosi et al., Brain Res., 1996, 729, 264-269)、及び神経興奮毒性(A.S. Mandir et al., J. Neurosci., 2000, 21, 8005-8011)のモデルにおいても示すことが可能であった。心臓血管障害に関連して極めて重要なもう一つの知見は、虚血的に損傷された腎臓におけるPARP阻害の有効性であり、この場合、臓器の濾過機能の改善もまた、プラセボで治療した動物と比較してPARP阻害剤で治療した動物において見出された(D.R. Martin et al., Am. J. Physiol. Regulatory Integrative Comp. Physiol., 2000, 279, R1834-R1840)。上記の障害の急性虚血発作とは対照的に、慢性PARP活性化は種々の病変、例えば糖尿病等において生じる。PARP阻害剤の有効性は、I型糖尿病の前臨床モデル(W.L. Suarez-Pinzon et al., Diabetes, 2003, 52, 1683-1688)及びII型糖尿病の前臨床モデル(F.G. Soriano et al., Nat. Med., 2001, 7, 108-113; F.G. Soriano et al., Circulation, 2001, 89, 684-691)の両者において実証することができた。I型糖尿病におけるPARP阻害剤の有益な効果は、それらの抗炎症特性に起因し、これは、他の前臨床モデル、例えば慢性大腸炎(H.B. Jijon et al., Am. J. Physiol. Gastrointest. Liver Physiol., 2000, 279, G641-G651)、コラーゲン誘発関節炎(H. Kroeger et al., Inflammation, 1996, 20, 203-215)のモデル及び敗血性ショック(B. Zingarelli et al., Shock, 1996, 5, 258-264)においても示すことができた。加えて、PARP阻害剤は腫瘍に対してマウスの薬物療法において増感効果を有する(L. Tentori et al., Blood, 2002, 99, 2241-2244)。
【0005】
先行技術
文献(例えば C. Cosi, Expert Opin. Ther. patents, 2002, 12, 1047-1071; Southan et al., Current Medicinal Chemistry, 2003, 10, 321-340)には、多くの異なるクラスの化合物、例えば、インドール、ベンゾイミダゾール、イソキリノール又はキナゾリノンの誘導体等をPARP阻害剤として使用できることが開示されている。以前に開示されたPARP阻害剤の多くは、二環式又は多環式の基本構造の誘導体である。
【0006】
PARP阻害剤としてのイソキノリノン誘導体の使用は、例えば WO 02/090334 に記載されている。そこに記載されたイソキノリノン誘導体は、例外なく、二環系の第二の環(5、6、7及び8個の炭素原子を有する)が芳香族形態にある基本構造に基づいている一方、二環系のアミド基を有する環は、場合により3及び4位で水素化されていてもよい。同様にPARP阻害剤として使用できる EP-A 0 355 750 に開示されたイソキノリノン誘導体は、同じ芳香族基本構造に基づいている。
【0007】
WO 99/11624 に開示された一般式(I)から多数のPARP阻害剤を推測することができる。そこに開示されたものは、特に、4位にアミノエチル置換基を有するテトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン誘導体である。もう一つの可能性は、式(I)の基R6もアリールであることであるが、このアリール基が場合により更に置換基を有することは述べられていない。R6のためのアリール基は、基本構造においてYにより定義された環が不飽和であると共にヘテロ原子を有する例についてのみ、WO 99/11624 に具体的に記載されている。しかしながら、4位が直接に又はリンカーを介しての何れかによりアリール又はヘテロアリール基で置換されている5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン誘導体の特定の組み合わせは、WO 99/11624 には開示されておらず、それから自明でもない。従って、本発明の化合物は WO 99/11624 により開示されていない。本発明は、WO 99/11624 に明示的に開示されている化合物それ自体には関係がない。
【0008】
J. Rigby et al., J. Org. Chem. 1984, 4569-4571 は、ビニルイソシアネートを環化するための一般的合成方法の枠内で、エナミン及びビニルイソシアネートの環化縮合による4−フェニル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オンの製造を記載している。J. Rigby et al. に記載された化合物と医薬としての如何なる使用との間にも、関連付けがなされていない。本発明は、J. Rigby et al. に明示的に開示されている化合物それ自体には関係がない。
【0009】
PARPの阻害によって治療できる疾患、例えば心筋梗塞は、ヒト及び他の動物の健康に対する深刻な危険を意味するので、このような疾患の治療のための有利な治療プロフィールを有する新規な医薬が大いに必用である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明は、PARPに対して阻害効果を有する新規な化合物を提供するという目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、下記の一般式(I)のテトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン誘導体
【化2】

[式中の意味は下記の通りである:
Xは、単結合、O、S、NH又はN(C1−C3−アルキル)であり;
R1は、水素、フッ素、塩素、−CN、メトキシ、−OCF3、又はC1−C3−アルキルで、このC1−C3−アルキルは場合によりヒドロキシ、塩素、メトキシ又は1、2若しくは3個のフッ素原子で置換され;
R2は、水素、フッ素、−CN、ヒドロキシ、メトキシ、−OCF3、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2、又はC1−C3−アルキルであり、このC1−C3−アルキルは、場合によりヒドロキシ、塩素、メトキシ又は1、2若しくは3個のフッ素原子で置換され;
R3は、−(C1−C3−アルキル)−NR4R5、−SO2NR4R5、−C(O)NR4R5、−C(H)=N−OR9、−C(O)R6、−NHC(O)R6、−(C1−C3−アルキル)−NHC(O)R6、−NHSO2R6、−(C1−C3−アルキル)−NHSO2R6又は−CH(OH)R7であり;
【0012】
R4及びR5は、互いに独立して、水素;非置換の又は少なくとも一置換されたC1
10−アルキル、C2−C6−アルケニル、C2−C6−アルキニル、アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリルからなる群から選択され、
ここで、置換基は、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、−O−アリール、フッ素、塩素、臭素、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、−C(O)R8、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、−NH2、ヒドロキシ、C1−C6−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2、−NH−アリール、−NH−ヘテロアリール、−NH−C(O)−ヘテロアリール、−SO2NH2、−SO2(C1−C3−アルキル)及び−NH−SO2(C1−C3−アルキル)からなる群から選択され、
そして、これらの置換基のアリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリル断片はそれら自体が、フッ素、塩素、臭素、オキソ、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、アリール、ヘテロアリール、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、−COOH、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−SO2NH2、−SO2NH(C1−C3−アルキル)、−SO2N(C1−C3−アルキル)2、−C(O)NH2、−C(O)NH(C1−C3−アルキル)、−C(O)N(C1−C3−アルキル)2、−SO2(C1−C3−アルキル)、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)又は−N(C1−C3−アルキル)2で少なくとも一置換されていてもよく;又は
R4及びR5は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、非置換の又は少なくとも一置換されたヘテロシクリルを形成し、
ここで、置換基は、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、オキソ、フッ素、塩素、臭素、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、−C(O)R8、−NHC(O)(C1
−C3−アルキル)、−NH2、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2、−SO2NH2、−SO2(C1−C3−アルキル)及び−NH−SO2(C1−C3−アルキル)からなる群から選択され、
そして、これらの置換基のうち、アリール、ヘテロシクリル及びヘテロアリールはそれら自体が、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル又はC1−C3−アルコキシで少なくとも一置換されていてもよく;
【0013】
R6は、非置換の若しくは少なくとも一置換されたC1−C6−アルキル、フェニル、ヘテロアリール又はヘテロシクリルであり、
ここで、置換基は、フッ素、塩素、臭素、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、−C(O)R8、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、−NH2、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−O−ヘテロアリール、−O−アリール、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2、−SO2NH2、−SO2(C1−C3−アルキル)及び−NH−SO2(C1−C3−アルキル)からなる群から選択され、
そして、これらの置換基のアリール、ヘテロシクリル及びヘテロアリール断片はそれら自体が、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル又はC1−C3−アルコキシで少なくとも一置換されていてもよく;
R7は、水素;非置換の又は少なくとも一置換されたC1−C6−アルキル、フェニル及びヘテロアリールからなる群から選択され、
ここで、置換基は、フッ素、塩素、臭素、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、−C(O)R8、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、−NH2、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2、−SO2NH2、−SO2(C1−C3−アルキル)及び−NH−SO2(C1−C3−アルキル)からなる群から選択され;
R8は、C1−C3−アルコキシ、−O−フェニル、C1−C3−アルキル、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2又はフェニルであり、
そして、上記のフェニル断片はそれら自体が、フッ素、塩素、臭素、オキソ、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、アリール、ヘテロアリール、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、−COOH、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−SO2NH2、−SO2NH(C1−C3−アルキル)、−SO2N(C1−C3−アルキル)2、−C(O)NH2、−C(O)NH(C1−C3−アルキル)、−C(O)N(C1−C3−アルキル)2、−SO2(C1−C3−アルキル)、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)又は−N(C1−C3−アルキル)2で少なくとも一置換されていてもよく;
【0014】
R9は、水素;非置換の又は少なくとも一置換されたC1−C6−アルキル及びフェニルからなる群から選択され、
ここで、置換基は、フッ素、塩素、臭素、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、−C(O)R8、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2、−SO2NH2、−SO2(C1−C3−アルキル)及び−NH−SO2(C1−C3−アルキル)からなる群から選択され、
そして、これらの置換基のうち、アリール、ヘテロシクリル及びヘテロアリールはそれら自体が、フッ素、塩素、臭素、C1−C3−アルキル又はC1−C3−アルコキシで少なくとも一置換されていてもよく;
Arは、非置換の若しくは少なくとも一置換されたアリール又はヘテロアリールであり、ここで、置換基は、フッ素、塩素、臭素、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、−C(O)R8、−NH2、−NHC(O)(C1−C6−アルキル)、ヒドロキシ、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、−CH2−CH2−CH2−、−CH2−O−C(O)−、−CH2−C(O)−O−、−CH2−NH−C(O)−、−CH2−N(CH3)−C(O)−、−CH2−C(O)−NH−、−NH(C1−C6−アルキル)、−N(C1−C6−アルキル)2、−SO2(C1−C6−アルキル)、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリール及びR3からなる群から選択され、
そして、これらの置換基のうち、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールはそれら自体が、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、フッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ又はOHで少なくとも一置換されていてもよく;
ヘテロアリールは、N、O及びSから選択される1個又はそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の芳香族の単環式又は二環式のヘテロ環であり;
アリールは、5〜10員の芳香族の単環又は二環であり;
ヘテロシクリルは、N、O及びSから選択される1個又はそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の非芳香族の単環式又は二環式のヘテロ環である];
又はその生理的に許容される塩;
但し、Xが単結合である場合には、Arは非置換のフェニルではない
によって達成される。
【0015】
置換基R1〜R8、X、Ar、ヘテロアリール、ヘテロシクリル及びアリールの上記の意味は、それぞれの置換基の基本的意味(定義)である。
【0016】
式(I)の本発明のテトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン誘導体は、以前に開示されたイソキノリン−1−オンに基づくPARP阻害剤とは有利な方法で異なっている。なぜならば、まず第一に、イソキノリノン基本構造の第二の環が水素化形態にあり、第二に、アリール又はヘテロアリール置換基がイソキノリノン基本構造の4位に直接に又はリンカーXを介して存在するからである。以前に開示されたイソキノリン−1−オンに基づくPARP阻害剤の大部分は、(事実上)平面的な芳香族基本構造を有する。これらの平面的なPARP阻害剤の多くは、次善の安全性プロフィールの原因となるDNA結合又はDNA挿入特性を有することがある(Southan et al., Current Medicinal Chemistry 2003, 10, 321-340 参照)。本発明の化合物のイソキノリノン基本構造は、それが飽和しているため、もはや5、6、7及び8位で平面ではないので、これらの分子は、平面的な芳香族基本構造と比較して有利な安全性プロフィールを示す。基本構造の4位にアリール又はヘテロアリール置換基が存在することは、本発明の化合物のPARP阻害効果に対して追加の有益な影響を及ぼす。
【0017】
原子団、断片、基又は置換基、例えばアリール、ヘテロアリール、アルキル、アルコキシその他が式(I)の化合物に2回以上存在する場合には、それらは全て互いに独立して、上記の意味を有し、従ってそれぞれの(個々の)場合に同一の意味又は互いに独立した意味の何れを有してもよい。下記の記載は、その名称がアリール原子団、置換基、断片又は基であるかどうかには関係なく、(例えば)アリール及び他の何れの基にも適用される。もう一つの例は、−N(C1−C6−アルキル)2基であり、2個のアルキル置換基は同一であっても異なってもよい(例えば2回のエチル又は1回のプロピル及び1回のメチル)。
【0018】
式(I)の化合物の上記の定義における置換基、例えばアリールが非置換であってよいか又は他の置換基のある基、例えばC1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、ハロゲン、その他で一置換されていてもよい場合には、アリールが多置換されている場合の選択は、一連の他の置換基から互いに独立して行われる。従って、例えば、アリールが二置換されている場合には、他の置換基の全ての組み合わせが包含される。従って、アリールは例えばエチルで二置換されていてよく、アリールはそれぞれの場合にメチル及びエトキシで一置換されていてよく、アリールはそれぞれの場合にエチル及びフッ素で一置換されていてよく、アリールはメトキシで2置換されていてよく、その他であってよい。
【0019】
アルキル基は直鎖状又は分枝状、非環式又は環式の何れであってもよい。これは、それらが他の基、例えばアルコキシ基(C1−C10−アルキル−O−)、アルコキシカルボニル基若しくはアミノ基の一部である場合に、又はそれらが置換されている場合にも適用される。
【0020】
アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル又はデシルである。これには、これらの基のn異性体と共に、イソプロピル、イソブチル、イソペンチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、3,3−ジメチルブチル等の両方が包含される。別に記載しない限り、アルキルという用語は、非置換の又は場合により1個又はそれ以上の他の基、例えば1、2、3又は4個の同一の又は異なる基、例えばアリール、ヘテロアリール、アルコキシ又はハロゲン等で置換されたアルキル基を更に包含する。更に、追加の置換基はアルキル基の任意の所望の位置に存在することができる。アルキルという用語はまた、シクロアルキル及びシクロアルキルアルキル(アルキル自体がシクロアルキルで置換されたもの)を包含し、ここで、シクロアルキルは少なくとも3個の炭素原子を有する。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル及びシクロデシルである。環系はまた、適切ならば、多環式、例えばデカリニル、ノルボルナニル、ボルナニル又はアダマンタニルであってよい。シクロアルキル基は、非置換であってよく、又は場合により、一例としてアルキル基のために上記した1個又はそれ以上の上記の他の基で一置換されていてもよい。
【0021】
アルケニル及びアルキニル基の例は、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)、2−ブテニル、2−メチル−2−プロペニル、3−メチル−2−ブテニル、エチニル、2−プロピニル(プロパルギル)、2−ブチニル又は3−ブチニルである。ここでアルケニルという用語はまた、少なくとも3個の炭素原子を含むシクロアルケニル基及びシクロアルケニルアルキル基(シクロアルケニルで置換されたアルキル)を明示的に包含する。シクロアルケニルの例は、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル及びシクロオクテニルである。
【0022】
アルケニル基は、直鎖又は分枝鎖中に1〜3個の共役又は非共役二重結合(すなわち、アルカ−ジエニル及びアルカ−トリエニル基)、好ましくは1個の二重結合を有することができ、そして同じことはアルキニル基のための三重結合にも適用される。アルケニル及びアルキニル基は、非置換であってよく、又は場合により、一例としてアルキル基のために上記した1個又はそれ以上の他の基で置換されていてもよい。
【0023】
別に記載しない限り、上記のアリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリル基は、非置換であってよく、又は1個又はそれ以上の、例えば1、2、3又は4個の上記の置換基を任意の所望の位置に有していてもよい。例えば、一置換されたフェニル基における置換基は、2、3又は4位にあってよく、二置換されたフェニル基における置換基は、2,3位、2,4位、2,5位、2,6位、3,4位又は3,5位にあってよい。三置換されたフェニル基における置換基は、2,3,4位、2,3,5位、2,3,6位、2,4,5位、2,4,6位又は3,4,5位にあってよい。四置換されたフェニル基における置換基は、2,3,4,5位、2,3,4,6位又は2,3,5,6位にあってよい。
【0024】
1価の基に関する上記及び下記の定義は、2価の基、例えばフェニレン、ナフチレン又はへテロアリーレンに全く同様に適用される。これらの2価の基(断片)は、任意の所望の環炭素原子に対して隣接する基に連結していてよい。フェニレン基の場合、これは1,2位(オルト−フェニレン)、1,3位(メタ−フェニレン)又は1,4位(パラ−フェニレン)であってよい。ヘテロ原子を含む5員の芳香族系、例えばチオフェン又はフラン等の場合、2個の自由結合は2,3位、2,4位、2,5位又は3,4位であってよい。ヘテロ原子を含む6員の芳香族系、例えばピリジン等から誘導される2価の基は、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−又は3,5−ピリジンジイル基であってよい。非対称の2価の基の場合、本発明はまた、全ての位置異性体を包含し、すなわち、例えば2,3−ピリジンジイル基の場合、一方の隣接基が2位に存在し、そして他方の隣接基が3位に存在する化合物は、一方の隣接基が3位に存在し、そして他方の隣接基が2位に存在する化合物と同様に包含される。
【0025】
別に記載しない限り、ヘテロアリール基、ヘテロアリーレン基、ヘテロシクリル基及びヘテロシクリレン基、並びに窒素に結合した2個の基で形成される環は、1、2、3又は4個の異なっていてもよく又は同一であってもよいヘテロ原子を含む完全飽和、部分又は完全不飽和のヘテロ環(すなわち、ヘテロシクロアルカン、ヘテロシクロアルケン、ヘテロ芳香族)から誘導されることが好ましい。それらは、好ましくは、1、2又は3個、特に1又は2個の同一であっても又は異なっていてもよいヘテロ原子を含むヘテロ環から誘導される。別に記載しない限り、ヘテロ環は、単環式又は多環式、例えば単環式、二環式又は三環式である。それらは好ましくは単環式又は二環式である。5員、6員又は7員の環が好ましく、そして5員又は6員の環が特に好ましい。2個又はそれ以上のヘテロ原子を有する多環式ヘテロ環の場合、これらは全てが同じ環に存在していてよく、又は複数の環に分布していてもよい。
【0026】
本発明においてヘテロアリールと呼ばれる基は、単環式又は二環式芳香族ヘテロ環から誘導される。ヘテロアリールの例は、ピロリル、フラニル(=フリル)、チオフェニル(=チエニル)、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,3−オキサゾリル(=オキサゾリル)、1,2−オキサゾリル(=イソオキサゾリル)、オキサジアゾリル、1,3−チアゾリル(=チアゾリル)、1,2−チアゾリル(イソチアゾリル)、テトラゾリル、ピリジニル(=ピリジル)、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,2,3−トリアジニル、1,2,4−トリアジニル、1,3,5−トリアジニル、1,2,4,5−テトラジニル、インダゾリル、インドリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、チエノチオフェニル、1,8−ナフチリジニル、他のナフチリジニル、プテリジニル又はチアゾロ[3,2−b][1,2,4]−チアゾリルである。これらの系が単環式でない場合、上記のヘテロアリールのそれぞれのための第二の環については、それぞれの形態が知られており、かつ安定である限り、飽和形態(パーヒドロ形態)又は部分不飽和形態(例えばジヒドロ形態又はテトラヒドロ形態)若しくは最大不飽和(非芳香族)形態も包含される。従って、本発明においてヘテロアリールという用語は、例えば、両方の環が芳香族である二環式基又は一方の環だけが芳香族である二環式基の何れも包含する。ヘテロアリールのこのような例は、3H−インドリニル、2(1H)−キノリノニル、4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリニル、2H−1−オキソイソキノリル、1,2−ジヒドロキノリニル、3,4−ジヒドロキノリニル、1,2−ジヒドロイソキノリニル、3,4−ジヒドロイソキノリニル、クロモニル、クロマニル、1,3−ベンゾジオキソリル、オキサインドリル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、5,6−ジヒドロキノリニル、5,6−ジヒドロイソキノリル、5,6,7,8−テトラヒドロキノリニル又は5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリルである。
【0027】
本発明においてヘテロシクリルと呼ばれる基は、単環式又は二環式の非芳香族ヘテロ環から誘導される。非芳香族ヘテロ環は、以下で、特にヘテロシクロアルカン(完全飽和のヘテロ環)及びヘテロシクロアルケン(部分不飽和のヘテロ環)を意味する。ヘテロシクロアルケンの場合、同様に包含されるものは、場合により共役していてもよい2個又はそれ以上の二重結合を有する化合物である。ヘテロシクリルの例は、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、イソチアゾリジニル、チアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、オキサゾリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、1,3−ジオキソラニル、1,4−ジオキシニル、ピラニル、チオピラニル、テトラヒドロ−1,2−オキサジニル、テトラヒドロ−1,3−オキサジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,2−チアジニル、1,3−チアジニル、1,4−チアジニル、アゼピ
ニル、1,2−ジアゼピニル、1,3−ジアゼピニル、1,4−ジアゼピニル、1,3−オキサアゼピニル、1,3−チアアゼピニル、アゼパニル、2−オキソアゼパニル、1,2,3,4−テトラヒドロピリジニル、1,2−ジヒドロピリジニル、1,4−ジヒドロピリジニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、4(3H)−ピリミドニル、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、2−イミダゾリニル、2−ピラゾリニル、3,4−ジヒドロ−2H−ピラニル、ジヒドロフラニル、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプテニル、ジヒドロチオフェニル及びジヒドロチオピラニルである。ヘテロ環式基の飽和度は、それぞれの定義において示される。
【0028】
これらのヘテロ環から誘導される置換基は、任意の好適な炭素原子を介して結合していてよく、そして他の置換基を有していてもよい。窒素含有ヘテロ環から誘導される基は、相当する窒素原子上に水素原子又は別の置換基を有することができる。その例は、ピロール、イミダゾール、ピロリジン、モルホリン、ピペラジン基、その他である。これらの窒素含有ヘテロ環式基は、相当するヘテロ環式基が炭素原子に結合している場合は特に、環窒素原子を介して結合していてもよい。例えば、チエニル基は2−チエニル又は3−チエニルの形態であってよく、ピペリジニル基は1−ピペリジニル(ピペリジノ)、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル又は4−ピペリジニルの形態であってよい。好適な窒素含有ヘテロ環は、N−オキシドの形態、又は生理的に許容される酸から誘導される対イオンを有する第四級塩の形態であってもよい。例えば、ピリジニル基は、ピリジンN−オキシドの形態であってよい。好適な硫黄含有ヘテロ環は、S−オキシド又はS−S−ジオキシドの形態であってもよい。
【0029】
本発明においてアリールと呼ばれる基は、環ヘテロ原子を含まない単環式又は二環式の芳香族系から誘導される。これらの系が単環式でない場合、アリールという用語における第二の環については、それぞれの形態が知られており、かつ安定である限り、飽和形態(パーヒドロ形態)又は部分不飽和形態(例えばジヒドロ形態又はテトラヒドロ形態)も包含される。本発明においてアリールという用語はまた、例えば両方の環が芳香族である二環式基又は一方の環だけが芳香族である二環式基の何れも包含する。アリールの例は、フェニル、ナフチル、インダニル、1,2−ジヒドロナフテニル、1,4−ジヒドロナフテニル、インデニル又は1,2,3,4−テトラヒドロナフチルである。
【0030】
アリールアルキル(例えばアリール−(C1−C6−アルキル)−)は、アルキル基(例えば(C1−C6−アルキル)−)それ自体がアリール基で置換されていることを意味する。ヘテロアリールアルキル(例えばヘテロアリール−(C1−C6−アルキル)−)は、アルキル基(例えば(C1−C6−アルキル)−)それ自体がヘテロアリール基で置換されていることを意味する。ヘテロシクリルアルキル(例えばヘテロシクリル−(C1−C6−アルキル)−)は、アルキル基(例えば(C1−C6−アルキル)−)それ自体がヘテロシクリル基で置換されていることを意味する。アルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル及びアリールの定義及び可能な置換基については、上記の定義が参照される。
【0031】
2個の遊離原子価が(炭素)原子上に存在しない2価の置換基、例えばArの場合の−CH2−CH2−CH2−(プロピレン)又は−CH2−O−C(O)−を本発明において定義する場合、これは、この2価の置換基が両方の遊離原子価により同じ基(例えばAr)に結合しており、従ってもう一つの環の形成を生じることを意味する。2価の置換基は、普通は相当する基の異なる原子に結合しているが、適切ならば − これが可能ならば −
2個の遊離原子価により基の同じ原子に結合していてもよい。
【0032】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり、好ましくはフッ素、塩素又は臭素であり、特に好ましくはフッ素又は塩素である。
【0033】
本発明は、式(I)の化合物の全ての立体異性体を包含する。式(I)の化合物における不斉炭素原子は、互いに独立して、S配置又はR配置を有することができる。本発明は、可能な全てのエナンチオマー及びジアステレオマー、並びに2種又はそれ以上の立体異性体の全ての量及び比率の混合物、例えばエナンチオマー及び/又はジアステレオマーの混合物を包含する。従って、エナンチオマーとして存在する本発明の化合物は、両方が右旋性及び左旋性の対掌体としてのエナンチオピュアな形態、ラセミ体の形態、及び2種のエナンチオマーの全ての比率の混合物の形態で存在することができる。シス/トランス異性体の場合、本発明は、シス形態及びトランス形態の両者、並びにこれらの形態の全ての比率の混合物を包含する。本発明は、これらの全ての形態に関する。個々の立体異性体は、望ましいならば、従来法により、例えばクロマトグラフィー又は結晶化による混合物の分離、合成のための立体化学的に純粋な出発原料の使用、又は立体選択的合成により製造することができる。別法として、立体異性体を分離する前に誘導体化を行うことも可能である。立体異性体の混合物の分離は、合成中に式(I)の化合物又は適切な中間体について行うことができる。本発明は更に、式(I)の化合物の全ての互変異性体、特にケト/エノール互変異性体を包含し、すなわち、相当する化合物は、それらのケト形態若しくはそれらのエノール形態、又はそれらの全ての比率の混合物の何れであってもよい。
【0034】
式(I)の化合物が1個又はそれ以上の酸性基又は塩基性基を含む場合、本発明はまた、相当して生理的に又は毒物学的に許容される塩を包含する。
【0035】
生理的に許容される塩は、それらの水中溶解度が出発又は基礎化合物よりも大きいので、医療用途のために特に適している。これらの塩は、生理的に許容される陰イオン又は陽イオンを有するべきである。本発明の化合物の好適な生理的に許容される酸付加塩は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、スルホン酸及び硫酸の塩、並びに有機酸、例えば酢酸、テオフィリン酢酸、メチレンビス−b−オキシナフトン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、クエン酸、エタンスルホン酸、サリチル酸、フマル酸、グルコン酸、グリコール酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、コハク酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸及びトリフルオロ酢酸の塩である。好適な医薬上許容される塩基性塩は、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えばナトリウム及びカリウム塩)及びアルカリ土類金属塩(例えばマグネシウム及びカルシウム塩)である。
【0036】
医薬上許容されない陰イオンとの塩もまた、医薬上許容される塩を製造又は精製するため及び/又は非治療的、例えばインビトロ用途に使用するための有用な中間体として本発明の枠内に属する。
【0037】
式(I)の化合物が酸性基及び塩基性基の両者を同じ分子中に含む場合、本発明は − 先に詳述した塩形態に加えて − 内部塩又はベタイン(双性イオン)も包含する。
【0038】
式(I)の化合物の相当する塩は、当業者に公知の従来法により、例えば溶剤又は分散剤中で有機又は無機の酸又は塩基と反応させるか、又は他の塩との陰イオン又は陽イオン交換により得ることができる。
【0039】
本発明は更に、式(I)の化合物の全ての溶媒和物、例えば水和物又はアルコールとの付加物、式(I)の化合物の活性代謝物、及び除去され得る生理的に許容される基を含む誘導体、例えばエステル又はアミドを包含する。
【0040】
本明細書で用いられる「生理的に機能性の誘導体」という用語は、式Iの本発明の化合物の任意の生理的に許容される誘導体、例えば、哺乳動物、例えばヒト等への投与時に式Iの化合物又はその活性代謝物を(直接又は間接的に)形成できるエステルを指す。
【0041】
生理的に機能性の誘導体はまた、本発明の化合物のプロドラッグを包含する。このようなプロドラッグは、インビボで代謝されて本発明の化合物になり得る。これらのプロドラッグは、それら自体が活性であってもなくてもよく、そして本発明はまた、それらに関する。
【0042】
本発明の化合物はまた、種々の多形形態で、例えば無定形及び結晶性の多形形態として存在することができる。本発明の化合物の全ての多形形態は、本発明の枠内に属し、そして本発明のもう一つの態様である。
【0043】
一般式(I)の好ましい化合物は、上記の置換基R1〜R8、X、Ar、ヘテロアリール、ヘテロシクリル及びアリールの1個、2個以上又は全部が、互いに独立して、以下に詳述する意味(定義)を有する化合物であり、そして本発明は、それらの基本的意味における置換基との組み合わせと同様に、好ましい、より好ましい、より一層好ましい、更により一層好ましい及び特に好ましい意味(定義)の可能な全ての組み合わせに関する。
【0044】
Xは、好ましくは、単結合、NH又はN(C1−C3−アルキル)である;
Xは、特に好ましくは、単結合又はNHである;
R1は、好ましくは、水素、又は場合によりヒドロキシ、塩素、メトキシ又は1、2若しくは3個のフッ素原子で置換されたC1−C3−アルキルである;
R1は、特に好ましくは、水素又はC1−C3−アルキルである;
R2は、好ましくは、水素、フッ素、−OCF3、ヒドロキシ、メトキシ、−NH2又はC1−C3−アルキルである;
R2は、特に好ましくは、水素である;
Arは、好ましくは、非置換の若しくは少なくとも一置換されたフェニル又はヘテロアリールであり、
ここで、置換基は、フッ素、塩素、−CF3、−OCF3、C(O)(C1−C3−アルキル)、−NH2、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−CH2−CH2−CH2−、−CH2−O−C(O)−、−CH2−C(O)−O−、−CH2−NH−C(O)−、−CH2−N(CH3)−C(O)−、−CH2−C(O)−NH−、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2、−SO2(C1−C3−アルキル)、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリール及びR3からなる群から選択され、
そして、これらの置換基のうち、ヘテロシクリル及びヘテロアリールはそれら自体が、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、フッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ又はOHで少なくとも一置換されていてもよい;
【0045】
Arは、より好ましくは、非置換の若しくは少なくとも一置換されたフェニル、チエニル、フラニル又はピリジニルであり、
ここで、置換基は、フッ素、塩素、−CF3、−OCF3、C(O)(C1−C3−アルキル)、−NH2、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−CH2−CH2−CH2−、−CH2−O−C(O)−、−CH2−C(O)−O−、−CH2−NH−C(O)−、−CH2−N(CH3)−C(O)−、−CH2−C(O)−NH−、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2、−SO2(C1−C3−アルキル)及びR3からなる群から選択される;
Arは、より一層好ましくは、一置換されたフェニル、チエニル、フラニル又はピリジニルであり、
ここで、置換基は、フッ素、塩素、−CF3、−OCF3、C(O)(C1−C3−アルキル)、−NH2、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2、−SO2(C1−C3−アルキル)及びR3からなる群から選択され;
そして、置換基及びXは相互に対してメタ位にあり;これは、式(I)の化合物の断片Arが − Arの上記の定義と共に − 1個の置換基で置換されており、そしてArはそれ自体がこの置換基に対してメタ位においてXで置換されていることを意味すると解すべきである。
【0046】
Arは、更により一層好ましくは、一置換されたフェニル、チエニル、フラニル又はピリジニルであり、
ここで、置換基は、フッ素、塩素、−OCF3、−C(O)CH3、−NHC(O)CH3、ヒドロキシ、−N(CH3)2、エトキシ、−SO2CH3及びR3からなる群から選択され;
そして、置換基及びXは相互に対してメタ位にある;
Arは、特に好ましくは、R3で一置換されたフラニルであり、そしてR3及びXは相互に対してメタ位にある。
【0047】
R3は、好ましくは、−CH2−NR4R5、−SO2NR4R5、−C(O)NR4R5、−CH2NHC(O)R6、−CH2−NHSO2R6又は−CH(OH)R7である;
R3は、より好ましくは、−CH2−NR4R5、−C(O)NR4R5、−CH2−NHC(O)R6、CH2−NHSO2R6又は−CH(OH)R7である;
R3は、より一層好ましくは、−CH2−NR4R5、−C(O)NR4R5又は−CH(OH)R7である;
R3は、特に好ましくは、−CH2−NR4R5である;
R4及びR5は、互いに独立して、好ましくは、水素;非置換の又は少なくとも一置換されたC1−C10−アルキル、C2−C6−アルケニル、フェニル、インダニル、ヘテロシクリル及びヘテロアリールからなる群から選択され、ここで、置換基は、フェニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、−O−フェニル、フッ素、−CN、−C(O)NH2、−C(O)(C1−C3−アルキル)、−C(O)−フェニル、−N(C1−C3−アルキル)、−C(O)−フェニル、−N(C1−C3−アルキル)2、−NH(C1−C3−アルキル)、−NH2、−NH−ヘテロアリール、−NH−C(O)−ヘテロアリール、C1−C6−アルキル、C1−C3−アルコキシ及びヒドロキシからなる群から選択され、
そして、これらの置換基のフェニル、ヘテロシクリル及びヘテロアリール断片はそれら自体が、フッ素、塩素、臭素、オキソ、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、フェニル、ピリジニル、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、−COOH、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−SO2NH2、−SO2NH(C1−C3−アルキル)、−SO2N(C1−C3−アルキル)2、−C(O)NH2、−C(O)NH(C1−C3−アルキル)、−C(O)N(C1−C3−アルキル)2、−SO2(C1−C3−アルキル)、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)又は−N(C1−C3−アルキル)2で少なくとも一置換されていてもよく;又は
R4及びR5は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、非置換の又は少なくとも一置換されたヘテロシクリルを形成し、
ここで、置換基は、フェニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、オキソ、フッ素、塩素、−C(O)(C1−C3−アルキル)、−C(O)−フェニル及びヒドロキシからなる群から選択され、
そして、これらの置換基のフェニル、ヘテロシクリル及びヘテロアリール断片はそれら自体が、フッ素又はC1−C3−アルキルで少なくとも一置換されていてもよい;
【0048】
R4は、より好ましくは、水素、非置換の又は少なくとも一置換されたC1−C10−アルキル、C2−C6−アルケニル、フェニル、インダニル、ヘテロシクリル及びヘテロアリールからなる群から選択され、
ここで、置換基は、フェニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、−O−フェニル、フッ素、−CN、−C(O)NH2、−C(O)(C1−C3−アルキル)、−C(O)−フェニル、−N(C1−C3−アルキル)2、−NH(C1−C3−アルキル)、−NH2、−NH−ヘテロアリール、−NH−C(O)−ヘテロアリール、C1−C6−アルキル、C1−C3−アルコキシ及びヒドロキシからなる群から選択され、
そして、これらの置換基のフェニル、ヘテロシクリル及びヘテロアリール断片はそれら自体が、フッ素、塩素、臭素、オキソ、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、フェニル、ピリジニル、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、−COOH、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−SO2NH2、−SO2NH(C1−C3−アルキル)、−SO2N(C1−C3−アルキル)2、−C(O)NH2、−C(O)NH(C1−C3−アルキル)、−C(O)N(C1−C3−アルキル)2、−SO2(C1−C3−アルキル)、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)又は−N(C1−C3−アルキル)2で少なくとも一置換されていてもよく;そしてR5は、水素であり;又は
R4及びR5は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、非置換の又は少なくとも一置換されたヘテロシクリルを形成し、
ここで、置換基は、フェニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、オキソ、フッ素、塩素、−C(O)(C1−C3−アルキル)、−C(O)−フェニル及びヒドロキシからなる群から選択され、
そして、これらの置換基のフェニル、ヘテロシクリル及びヘテロアリール断片はそれら自体が、フッ素又はC1−C3−アルキルで少なくとも一置換されていてもよい;
【0049】
R4は、より一層好ましくは、水素;非置換の又は少なくとも一置換されたC1−C10−アルキル、シクロヘキセニル、インダニル、フェニル、ピロリジニル、ピロリル、ピラゾリル、フラニル及びピペリジニルからなる群から選択され、
ここで、置換基は、フッ素、−CN、−C(O)NH2、−O−フェニル、−C(O)−フェニル、−N(CH3)2、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、ヒドロキシ、非置換の又は少なくとも一置換されたフェニル、ピリジニル、チエニル、ピリミジニル、イミダゾリル、フラニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル、モルホリニル、ピロリジニル、1,3−ベンゾジオキソリル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、トリアゾリル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソオキサゾリル及びジヒドロイソオキサゾリルからなる群から選択され、その置換基はそれら自体が、フッ素、塩素、オキソ、CF3、−OCF3、−NO2、フェニル、ピリジニル、−NHC(O)CH3、−COOH、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−SO2NH2、−C(O)NH2
び−N(CH3)2からなる群から選択され;そしてR5は、水素であり;又は
R4及びR5は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、非置換の又は少なくとも一置換されたピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル及びピペラジニルからなる群から選択される基を形成し、
ここで、置換基は、フッ素、−C(O)(C1−C3−アルキル)、オキソ、C1−C3−アルキル、ヒドロキシ、非置換の又は少なくとも一置換されたフェニル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピペリジニル及びピロリジニルからなる群から選択され、その置換基はそれら自体が、フッ素又はC1−C3−アルキルである;
R4は、特に好ましくは、非置換の又は少なくとも一置換されたC1−C6−アルキルであり、
ここで、置換基は、−N(CH3)2、ヒドロキシ、非置換の又は少なくとも一置換されたフェニル、ピリジニル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル及びピロリジニルからなる群から選択され、その置換基はそれら自体が、−NHC(O)(CH3)、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−SO2NH2及び−C(O)NH2からなる群から選択され;そしてR5は、水素であり;又は
R4及びR5は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、非置換の又は少なくとも一置換されたピロリジニル、ピペリジニル及びピペラジニルからなる群から選択される基を形成し、ここで、置換基は、C1−C3−アルキル、ヒドロキシ及びピロリジニルからなる群から選択される;
【0050】
R6は、好ましくは、非置換の若しくは少なくとも一置換されたC1−C6−アルキル、フェニル又はヘテロアリールであり、
ここで、置換基は、フッ素、塩素、臭素、−CF3、−OCF3、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−O−ヘテロアリール、フェニル、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2及びヘテロシクリルからなる群から選択され、
そして、これらの置換基のフェニル、ヘテロアリール及びヘテロシクリル断片はそれら自体が、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル又はC1−C3−アルコキシで少なくとも一置換されていてもよい;
R6は、より好ましくは、−CF3、又は非置換の若しくは少なくとも一置換されたC1−C6−アルキル、ピリジニル、フラニル又はフェニルであり、
ここで、置換基は、フッ素、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ及び−O−ピリジニルからなる群から選択される;
R6は、特に好ましくは、C1−C6−アルキル、ピリジニル、−CF3、フラニル又はフェニルであり、そしてフェニルは、場合により−NH(O)CH3、−O−ピリジニル又はメトキシで置換されていてもよい;
【0051】
R7は、好ましくは、水素;非置換の又は少なくとも一置換されたC1−C6−アルキル、フェニル及びピリジニルからなる群から選択され、
ここで、置換基は、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル及びC1−C3−アルコキシからなる群から選択される;
R7は、特に好ましくは、水素である;
R9は、好ましくは、水素又はピロリジニルエチルである;
アリールは、好ましくは、フェニル、インダニル又はナフチルである;
アリールは、より好ましくは、フェニル又はインダニルである;
アリールは、特に好ましくは、フェニルである;
ヘテロアリールは、好ましくは、ピリジニル、チエニル、ピリミジニル、イミダゾリル、フラニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル、1,3−ベンゾジオキソリル、トリアゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、ピロリル、ピラジニル、オキサゾリル、ピリダジニル、キノリニル、イソキノリル、ベンゾフラニル、3−オキソ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラニル又は4,5,6,7−テトラヒドロベンゾチアゾリルである;
ヘテロアリールは、より好ましくは、ピリジニル、チエニル、ピリミジニル、イミダゾリル、フラニル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、ピロリル、ピラジニル、3−オキソ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラニル又は4,5,6,7−テトラヒドロベンゾチアゾリルである;
ヘテロアリールは、特に好ましくは、ピリジニル、チエニル、ピラゾリル、フラニル又はベンゾイミダゾリルである;
ヘテロシクリルは、好ましくは、モルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、チアゾリジニル、ジヒドロイソオキサゾリル、ピペラジニル又はテトラヒドロフラニルである;
ヘテロシクリルは、特に好ましくは、モルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニル又はピペラジニルである;
【0052】
上記の意味(定義)に関して一般式(I)の好ましい化合物を含む実施形態の例は、下記の通りである:
i)R1〜R7、X、Ar、ヘテロアリール及びヘテロシクリルの各自がそれらの好ましい意味を有する;又は
ii)R1がその好ましい意味を有し、そして他の全ての置換基がそれらの基本的意味を有する;又は
iii)R2がその好ましい意味を有し、そして他の全ての置換基がそれらの基本的意味を有する;又は
iv)R3がその好ましい意味を有し、そしてR1、R2、R4〜R8、X、Ar、ヘテロアリール、ヘテロシクリル及びアリールがそれらの基本的意味を有する;又は
v)R4及びR5の各自がそれらの好ましい意味を有し、そして他の全ての置換基がそれらの基本的意味を有する;又は
vi)R6がその好ましい意味を有し、そして他の全ての置換基がそれらの基本的意味を有する;又は
vii)R7がその好ましい意味を有し、そして他の全ての置換基がそれらの基本的意味を有する;又は
viii)R9がその好ましい意味を有し、そして他の全ての置換基がそれらの基本的意味を有する;又は
ix)Xがその好ましい意味を有し、そして他の全ての置換基がそれらの基本的意味を有する;又は
x)Arがその好ましい意味を有し、そして他の全ての置換基がそれらの基本的意味を有する;又は
【0053】
xi)アリールがその好ましい意味を有し、そして他の全ての置換基がそれらの基本的意味を有する;又は
xii)ヘテロアリールがその好ましい意味を有し、そして他の全ての置換基がそれらの基本的意味を有する;又は
xiii)ヘテロシクリルがその好ましい意味を有し、そして他の全ての置換基がそれらの基本的意味を有する;又は
xiv)アリール、ヘテロシクリル及びヘテロアリールの各自がそれらの好ましい意味を有し、そして他の全ての置換基がそれらの基本的意味を有する;又は
xv)R4〜R7及びR9の各自がそれらの好ましい意味を有し、そして他の全ての置換基がそれらの基本的意味を有する;又は
xvi)R6及びArの各自がそれらのより好ましい意味を有し、そしてR1〜R5、R7、X、ヘテロアリール及びヘテロシクリルの各自がそれらの好ましい意味を有する;又は
xvii)R1及びR2の各自がそれらの特に好ましい意味を有し、Arがそのより一層好ましい意味意を有し、R3、R4、R6及びヘテロアリールの各自がそれらのより好ましい意味を有し、そしてR7、X及びヘテロシクリルの各自がそれらの好ましい意味を有する;又は
xviii)R1、R2、R7及びXの各自がそれらの特に好ましい意味を有し、そしてR3、R4及びArの各自がそれらのより一層好ましい意味を有する;又は
xix)R1〜R4及びXの各自がそれらの特に好ましい意味を有し、そしてArがその更により一層好ましい意味を有する;又は
xx)R1〜R4、X及びArの各自がそれらの特に好ましい意味を有する;又は
【0054】
xxi)R1〜R3、X及びArの各自がそれらの特に好ましい意味を有し、そしてR4がそのより一層好ましい意味を有する;又は
xxii)R1、R2及びXの各自がそれらの好ましい意味を有し、R4がそのより好ましい意味を有し、Arがその更に一層好ましい意味を有し、そしてR3、ヘテロアリール及びヘテロシクリルの各自がそれらの特に好ましい意味を有する;又は
xxiii)R1、R2、X、ヘテロアリール及びヘテロシクリルの各自がそれらの特に好ましい意味を有し、R4及びArの各自がそれらのより好ましい意味を有し、R3がそのより一層好ましい意味を有し、そしてR7がその好ましい意味を有する;又は
xxiv)R1、R2及びR7の各自がそれらの特に好ましい意味を有し、R3がそのより一層好ましい意味を有し、R4、R6、Ar及びヘテロシクリルの各自がそれらのより好ましい意味を有し、そしてX及びヘテロシクリルの各自がそれらの好ましい意味を有する;又は
xxv)R1、R2及びArの各自がそれらの特に好ましい意味を有し、R3、R7、X及びヘテロシクリルの各自がそれらの好ましい意味を有し、そしてR4、R6及びヘテロアリールの各自がそれらのより好ましい意味を有する;又は
xxvi)R1、R2、R4、R5、R7、X、ヘテロアリール及びヘテロシクリルの各自がそれらの好ましい意味を有し、Arがそのより一層好ましい意味を有し、R6がそのより好ましい意味を有し、そしてR3及びR9がそれらの基本的意味を有する;又は
xxvii)R1、R2、X、Ar、ヘテロアリール及びヘテロシクリルの各自がそれらの好ましい意味を有し、R3、R4及びR6の各自がそれらのより好ましい意味を有し、そしてR7がその特に好ましい意味を有する;又は
xxviii)R1〜R7、X、ヘテロアリール、ヘテロシクリル及びアリールの各自がそれらの好ましい意味を有し、そしてArがその基本的意味を有する;又は
xxix)R1、R2、X、ヘテロアリール、ヘテロシクリル及びアリールの各自がそれらの好ましい意味を有し、R3、R4及びR6の各自がそれらのより好ましい意味を有し、R7がその特に好ましい意味を有し、そしてArがその基本的意味を有する;又は
xxx)R1、R2、R4〜R7、R9、X、ヘテロアリール及びヘテロシクリルの各自がそれらの好ましい意味を有し、Arがそのより好ましい意味を有し、そしてR3がその基本的意味を有する;又は
【0055】
xxxi)R1、R2、R9、X、ヘテロアリール及びヘテロシクリルの各自がそれらの好ましい意味を有し、R4、R6及びArの各自がそれらのより好ましい意味を有し、R7がその特に好ましい意味を有し、そしてR3がその基本的意味を有する;又は
xxxii)R3〜R7、Ar、ヘテロアリール及びヘテロシクリルの各自がそれらの好ましい意味を有し、そしてR1、R2及びXの各自がそれらの基本的意味を有する;又は
xxxiii)Arがそのより一層好ましい意味を有し、X、アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリルの各自がそれらの好ましい意味を有し、そして他の全ての置換基がそれらの基本的意味を有する;又は
xxxiv)X、アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリルの各自がそれらの好ましい意味を有し、R3、R4及びR6の各自がそれらのより好ましい意味を有し、R7がその特に好ましい意味を有し、そしてR1、R2及びArの各自がそれらの好ましい基本的意味を有する。
【0056】
上記のように、式(I)の好ましい化合物は、上記の例に限定されない。それどころか、基本的意味における個々の置換基と、他の置換基の好ましい、より好ましい、より一層好ましい、更により一層好ましい又は特に好ましい意味との全ての組み合わせ、又は上記で例として詳述されていない個々の置換基の好ましい、より好ましい、より一層好ましい、更により一層好ましい又は特に好ましい意味の全ての組み合わせもまた、同様に本発明の態様である。これは、当然のことながら、それぞれの置換基の定義がこのような組み合わせを許容する限りでのみ適用される。
【0057】
一般式(I)の最も好ましい化合物は、下記の化合物からなる群から選択される:
4−(3−メタンスルホニルフェニルアミノ)−3−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン、4−(3−アセチルフェニルアミノ)−3−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン、4−(5−ブチルアミノメチルフラン−2−イル)−3−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン、3−メチル−4−(5−ピロリジン−1−イルメチルフラン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン、4−[5−(3−ヒドロキシピロリジン−1−イルメチル)フラン−2−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン、4−(5−{[(4−ピロリジン−1−イルピペリジン)−1−イルメチル)アミノ]メチル}フラン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン、4−{5−[(2−ジメチルアミノエチルアミノ)メチル]フラン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン、4−{5−[(2−ヒドロキシ−2−フェニルエチルアミノ)メチル]フラン−2−イル}−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン、4−(5−{[(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)アミノ]メチル}フラン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン、4−(5−{[(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イルメチル)アミノ]メチル}フラン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン、4−(5−ブチルアミノメチルフラン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン及び4(5−ヒドロキシメチルフラン−2−イル)−3−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン。
【0058】
式Iの化合物は、種々の化学的方法によって製造することができ、これらの方法もまた本発明に属する。幾つかの典型的な経路を、スキーム1〜3として以下に示す反応順序において概説する。置換基Rは、以下で別に示さない限り、上記の通り定義される。出発化合物及び中間体化合物(中間体)は、市販されているか、又は当業者に公知の方法により製造することができる。
【0059】
【化3】

【0060】
中間体IIは、無水フタル酸をアミノ酸エステルと共に加熱することによって得ることができる。次いで、フタルイミドIIを還流下にメタノール中のナトリウムメタノレートで処理して中間体IIIを与え、これらをヨウ化水素酸中の赤リンで還元的脱ヒドロキシル化した後にイソキノリノンIVに変換する。これらの中間体(その幾つかはまた、市販されているか(例えばR1=Hの場合)又は別の経路で製造できる)を部分的に水素化してテトラヒドロイソキノリノンVを与える。これらから、臭素化(これはメタノール中のN−ブロモスクシンイミド又は溶剤としてのクロロホルム中の臭素を用いて行うことができる)、次いでO−アルキル化(例えば炭酸銀を加えたクロロホルム中のヨウ化メチルによる)によって、中間体VIを製造することができる。中間体VIIは、ハライドVIからパラジウム触媒作用ボリレーション(例えば、溶剤としての1,4−ジオキサン中で触媒としての塩化パラジウム1,1’−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)フェロセン及び塩基としてのトリエチルアミンを用いて4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランと反応させることによる)によって製造することができる。両方の中間体VI及びVIIは、化合物Iを与えるための更なる反応に適している(スキーム2及び3参照)。基R2は、必要に応じて、スキーム1〜3における任意の反応段階中又はその後に、当業者に公知の方法により修飾することができる。
【0061】
【化4】

【0062】
XがNH又はN(C1−C3−アルキル)である式VIIIの化合物は、パラジウムで触媒される芳香族アミンとのHartwig-Buchwaldアミノ化によって製造することができる(例えば、トルエン中で触媒としてのパラジウムジベンジリデンアセトン及びビス(tert−ブチル)ビフェニルホスフィン並びに塩基としてのナトリウムtert−ブタノレート又はカリウムtert−ブタノレートを用いる)。XがO、Sである式VIIIの化合物は、ナトリウム若しくはカリウムフェノレート、又はナトリウム若しくはカリウムチオフェノレートを、銅触媒作用により(例えば、DMF又はコリジンのような高沸点溶剤中の塩化銅(I)、酸化銅(I)又は銅粉を用いる)反応させることによって製造することができる。式VIIIの化合物からのメチル基の除去(例えば、アセトニトリル中のトリメチルクロロシラン及びヨウ化カリウムによる)は、式Iaの化合物を与える。(スキーム2)。この場合、ヘテロアリール/アリール断片(Ar)は非置換(R’=H)であるか又は少なくとも一置換されていてよく、ここで、置換基はArの基本的意味に挙げたもの(例えば、R’=R3又はヘテロアリール)、又はそのほかにR’=COOHであってよい。好適な官能基が存在する場合、例えばR’がカルボキシレート官能基である場合、R3が−C(O)NR4R5である式Iaの他の化合物は、カップリング試薬、例えばO−[(エトキシカルボニル)−シアノメチレンアミノ]−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TOTU)でアミド結合を形成することによって、製造することができる。
【0063】
式Xの化合物は、芳香族ボロン酸又はボロン酸エステル及び中間体VIのパラジウム触媒作用Suzukiカップリング反応によって製造することができる(スキーム3)。式Xの化合物の製造はまた、中間体VIIから出発することができ、これを、パラジウム触媒作用Suzukiカップリング反応(例えば、ジメチルホルムアミド中で触媒としての塩化パラジウム1,1’−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)フェロセン及び塩基としての炭酸カリウムを用いる)によって芳香族ハライド(例えば、Br−Ar−R”;R”はこの場合に例えば水素、−CHO又は−COOHであってよい)とカップリングさせる(スキーム3)。
【化5】

【0064】
式Xの化合物からのメチル基の除去(例えば、アセトニトリル中のトリメチルクロロシラン及びヨウ化カリウムによる)は、式XIのテトラヒドロイソキノリノンを与える。R3が−CH2NR4R5である式Ibの化合物は、R”=−CHOである式XIの化合物を用いて製造することができ、これを還元的アミノ化によってアミンNR4R5と反応させる。この場合、還元剤、例えばシアノホウ化水素ナトリウム又は固相に固定したトリアセトキシホウ化水素を用いることができる。
【0065】
R3が−CH2OHである式Ibの化合物は、R”=−CHOである式XIの化合物を用いて製造することができ、これを還元により例えばホウ化水素ナトリウムと反応させる。
【0066】
R3が−CH2NHC(O)R6又は−CH2NHSO2R6である式Ibの化合物は、最初に酢酸アンモニウムとの還元的アミノ化を行い、このようにして得られたアミノメチル化合物を適切な酸クロリド若しくは酸又はスルホニルクロリドとカップリングさせることによって製造される。
【0067】
R3が−C(O)NR4R5である式Ibの化合物は、R”=−COOHである式XIの化合物を用いて製造することができ、これをアミンHNR4R5とカップリングさせる。この場合、種々の好適な縮合剤、例えばカルボジイミド、TFFH又はホスホン酸無水物(例えばPPA)を用いることができる。
【0068】
R3が−CHNOR9である式Ibの化合物は、R”=−CHOである式XIの化合物を用いて製造することができ、これをヒドロキシルアミンR9ONH2と反応させてオキシムを形成する。
【0069】
R3が−SO2NR4R5である式Ibの化合物は、R”=Hである式XIの化合物を用いて製造することができ、これをクロロスルホン化(例えば、クロロホルム中のクロロスルホン酸及び五塩化リンを用いる)により相当するスルホクロリドに変換し、次いで後者をアミンHR4R5と反応させる。
【0070】
R3が−C(O)R6である式Ibの化合物は、R”=Hである式XIの化合物を用いて製造することができ、これをリチオ化し、次いで Weinerb アミドR5C(O)NMe(OMe)と反応させて所望の化合物を与える。
【0071】
R3が−CH(OH)R7である式Ibの化合物は、R”=Hである式XIの化合物をリチオ化し、次いでアルデヒドR7CHOと反応させることによって製造される。
【0072】
R3が−NHSO2R6である式Ibの化合物は、R”=−NH2である式XIの化合物を用いて製造することができ、これを塩基の存在下にスルホニルクロリドR6SO2Clと反応させる。
【0073】
R3が−NHC(O)R6である式Ibの化合物は、R”=−NH2である式XIの化合物を用いて製造することができ、これを塩基の存在下に好適な酸クロリドと、又は縮合剤の存在下に好適な酸と反応させる。
【0074】
R3が−(C2−C3−アルキル)−NR4R5である式Ibの化合物は、R”=−CHOである式XIの化合物を用いて製造することができ、これを好適なウィッティヒ試薬と反応させ、次いで保護基を除去し、それから生成したアルデヒドを好適なアミンで還元的アミノ化する。ウィッティヒ試薬は、好ましくはPh3P=CHORである。
【0075】
R3が−(C2−C3−アルキル)−NHC(O)R6又は−(C2−C3−アルキル)−NHSO2R6である式Ibの化合物は、R”=−CHOである式XIの化合物を用いて製造することができ、これを好適なウィッティヒ試薬と反応させ、次いで保護基を除去し、アルデヒドを酢酸アンモニウムで還元的アミノ化してアミンを与える。このアミンを、塩基の存在下に好適な酸クロリドR6C(O)Cl又は好適なスルホニルクロリドR6SO2Clと反応させて上記の化合物を与える。
【0076】
全ての手順において、分子中の官能基を一定の反応プロトコールで一時的に保護することが適切な場合がある。このような保護基は当業者によく知られている。考慮される基のための保護基、並びにそれらを導入及び除去するための方法の選択は文献に記載されており、そして個々の場合に必要に応じて困難なしに適応させることができる。
【0077】
本発明はまた、医薬又は薬剤としての一般式(I)の化合物の使用に関する。置換基X、Ar、R1及びR2(及び上記の置換基により定義された他の置換基)の定義に関し、化合物それら自体に関する記載が参照される。
【0078】
上記の置換基の1個、2個以上又は全部が、上記の好ましい、より好ましい、より一層好ましい、更により一層好ましい又は特に好ましい意味を有する場合に相互の全ての組み合わせを含めて、一般式(I)の化合物の医薬としての使用もまた、本発明の態様である。
【0079】
一般式(I)の化合物はPARP阻害剤であり、従って、PARPに関連しては、それによって助長され、又はその関与に起因する疾患を治療するために適している。
【0080】
本発明の化合物により治療できる疾患の例は、下記のものを包含する:壊死又はアポトーシスによる細胞損傷又は細胞死に起因する組織損傷、神経細胞媒介組織損傷又は障害、脳虚血、頭部外傷、卒中、再かん流損傷、神経障害及び神経変性障害、血管発作、心臓血管障害、心筋梗塞、心筋虚血、実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)、多発性硬化症(MS)、心臓外科に関連する虚血、加齢関連黄斑変性、関節炎、動脈硬化、癌、後の複製老化を伴う骨格筋の変性障害、糖尿病及び糖尿病性心筋障害。
【0081】
本発明の化合物は、虚血又は再かん流損傷によって引き起こされる疾患の治療に好ましく用いられる。治療できる疾患は、より好ましくは、脳虚血、再かん流損傷、心臓血管障害、心筋梗塞、心筋虚血及び心臓外科に関連する虚血からなる群から選択される。
【0082】
本発明の化合物は、特に心筋梗塞の治療に使用することができる。
【0083】
上記の記載における治療という用語は、上記の疾患の予防、治療又は治癒をも包含する。
【0084】
「式(I)の化合物」への全ての言及は、以下で、上記の式(I)の化合物、並びに本明細書に記載するそれらの塩、溶媒和物及び生理的に機能性の誘導体を指す。
【0085】
式(I)の化合物は、動物及びヒト、好ましくは哺乳動物及びヒト、特に好ましくはヒトに投与することができる。これに関して式(I)の化合物は、それら自体で医薬として、互いに混合して、又の他の医薬と混合して、又は医薬組成物の形態で投与することができる。従って、上記の疾患の予防及び/又は治療のための1種又はそれ以上の薬剤を製造するための式(I)の化合物の使用、少なくとも1種の式(I)の化合物の有効量を含む医薬組成物、及び上記の疾患の予防及び/又は治療のための少なくとも1種の式(I)の化合物の有効量を含む医薬組成物もまた、本発明の態様である。
【0086】
所望の生物学的効果を達成するために必要な式(I)の化合物の量は、多数の要因、例えば選択される特定の化合物、意図する用途、投与方式及び患者の臨床的症状に依存する。一日量は、一般的に、体重1kg当たり毎日0.3mg〜100mg(典型的には3mg〜50mg)、例えば3〜10mg/kg/日である。静脈内投与量は、例えば0.3mg〜1.0mg/kgであってよく、これは体重1kg当たり毎分10ng〜100ngの注入として好適に投与することができる。これらの目的のための好適な注入溶液は、例えばml当り0.1mg〜10mg、典型的には1ng〜10mg含むことができる。単回投与量は、例えば1mg〜10gの活性成分を含むことができる。従って、注射用アンプルは例えば1mg〜100mgを含むことができ、そして経口投与できる単回投与量製剤、例えば錠剤又はカプセル等は、例えば1.0〜1000mg、典型的には10〜600mgを含むことができる。医薬上許容される塩の場合、上記の重量データは、塩が誘導される遊離化合物の重量を指す。上記の症状の予防又は治療のために、式(I)の化合物をそれら自体で化合物として使用できるが、それらは許容される担体と一緒に医薬組成物の形態で存在する。担体は当然のことながら、それが組成物の他の成分と適合し、そして患者の健康に有害でない(生理的に許容される)という意味で許容されるべきである。担体は固体若しくは液体又は両者であってよく、そして好ましくは化合物と共に単回投与量、例えば錠剤として製剤され、これは0.05%〜95質量%の活性成分を含むことができる。他の医薬活性物質も存在していてよく、これらは式(I)の他の化合物を包含する。本発明の医薬組成物は、成分を薬理的に許容される担体及び/又は賦形剤と混合することから本質的になる公知の製薬方法の一つにより製造することができる。
【0087】
少なくとも1種の式(I)の化合物及び1種又はそれ以上の担体のほかに、本発明の医薬組成物は賦形剤を含むこともできる。好適な賦形剤又は添加物の例は、充填剤、結合剤、潤滑剤、湿潤剤、安定剤、乳化剤、分散剤、保存剤、甘味料、着色剤、矯味矯臭剤、着香物質、増粘剤、希釈剤、緩衝物質、溶剤、可溶化剤、デポ−効果を達成できる物質、浸透圧を変更する塩、被覆剤又は抗酸化剤である。
【0088】
本発明の医薬組成物は、例えばピル、錠剤、被覆錠剤、サッカブル錠剤、顆粒、カプセル、硬質又は軟質ゼラチンカプセル、水溶液、アルコール溶液、油性溶液、シロップ、エマルジョン、懸濁液、坐剤、トローチ、注射用又は注入用溶液、軟膏、チンキ、クリーム、ローション、散布剤、スプレー、経皮治療体系、鼻腔スプレー、エアゾール、エアゾール混合物、マイクロカプセル、インプラント、ロッド又はパッチの形態であってよい。
【0089】
本発明の医薬組成物は、経口、直腸、局所、口腔内(例えば舌下)及び非経口(例えば皮下、筋肉内、皮内又は静脈内)投与に適するものであるが、最も適する投与方式は、それぞれ個々の場合に、治療すべき症状の性質及び重症度、並びにそれぞれの場合に用いられる式(I)の化合物の性質に依存する。被覆製剤及び被覆徐放性製剤もまた、本発明の枠内に属する。耐酸性及び耐胃液性製剤が好ましい。好適な耐胃液性被覆は、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアセテートフタレート、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、並びにメタクリル酸及びメタクリル酸メチルのアニオン性ポリマーを含む。
【0090】
経口投与に適する医薬組成物は、個別単位、例えば、それぞれ所定量の式(I)の化合物を含むカプセル、カシェ剤、サッカブル錠剤又は錠剤の形態;粉末(ゼラチンカプセル又は小袋)又は顆粒の形態;水性又は非水性液体中の溶液又は懸濁液として;又は水中油滴型又は油中水滴型エマルジョンの形態であってよい。これらの組成物は、既に述べたように、活性成分及び担体(これは1種又はそれ以上の追加成分からなっていてよい)を接触させる段階を含む任意の好適な製剤方法により製造することができる。組成物は、活性成分を液体及び/又は微粉化した固体担体と一様かつ均一に混合し、その後に生成物を必要に応じて成形することによって一般的に製造される。従って、例えば、錠剤は、化合物の粉末又は顆粒を必要に応じて1種又はそれ以上の追加成分と共に圧縮又は成形することによって製造することができる。圧縮錠剤は、自由流動性形態の化合物、例えば粉末又は顆粒等を、必要に応じて結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤及び/又は1種(又はそれ以上)の界面活性剤/分散剤と混合して、好適な機械で打錠することによって製造することができる。成形錠剤は、粉末形態にありかつ不活性液体希釈剤で湿らせた化合物を好適な機械で成形することによって製造することができる。好適な希釈剤の例は、澱粉、セルロース、蔗糖、乳糖又はシリカゲルである。本発明の医薬組成物は、希釈剤ではない物質、例えば1種又はそれ以上の潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム若しくはタルク、着色剤、被覆剤(被覆錠剤)又はラッカーを更に含むことができる。
【0091】
口腔内(舌下)投与に適する医薬組成物は、式(I)の化合物を矯味矯臭剤、通常は蔗糖及びアラビアゴム又はトラガントと共に含むサッカブル錠剤、及び化合物を不活性基剤、例えばゼラチン及びグリセロール又は蔗糖及びアラビアゴム中に含むトローチである。
【0092】
非経口投与に適する医薬組成物は、好ましくは、式(I)の化合物の滅菌水性調製物を含み、これらは意図するレシピエントの血液と等張性であることが好ましい。これらの調製物は、好ましくは静脈内投与されるが、投与は皮下、筋肉内又は皮内注射により行うこともできる。これらの調製物は、好ましくは、化合物を水と混合し、そして生成した溶液を滅菌して血液と等張性にすることによって製造することができる。本発明の注射用組成物は、一般的に0.1〜5質量%の活性化合物を含む。
【0093】
非経口投与のための滅菌組成物は、好ましくは、水性又は非水性の溶液、懸濁液又はエマルジョンであってよい。使用できる溶剤又はビヒクルは、水、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール及び植物油、特にオリーブ油、注射用有機エステル、例えばオレイン酸エチル、又は他の好適な有機溶剤である。これらの組成物はまた、助剤、特に湿潤剤、等張性調節剤、乳化剤、分散剤及び安定剤を含むことができる。滅菌は幾つかの方法で、例えば無菌濾過、組成物への滅菌剤の導入、照射又は加熱によって行うことができる。組成物はまた、使用時に滅菌水又は別の滅菌注射用媒質に溶解される滅菌固体組成物の形態で製造することができる。
【0094】
直腸投与に適する医薬組成物は、好ましくは単回投与量坐剤の形態にある。これらは、式(I)の化合物を1種又はそれ以上の従来の固体担体、例えばカカオ脂と混合し、そして生成した混合物を成形することによって製造することができる。
【0095】
皮膚上への局所投与に適する医薬組成物は、好ましくは軟膏、クリーム、ローション、ペースト、スプレー、エアゾール又はオイルの形態にある。使用できる担体は、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール及びこれらの物質の2種又はそれ以上の組み合わせである。活性成分は、一般的に組成物の0.1〜15質量%、例えば0.5〜2%の濃度で存在する。
【0096】
経皮投与もまた可能である。経皮使用に適する医薬組成物は、患者の表皮との長期の密接な接触に適する単一パッチの形態にあってよい。このようなパッチは、好適には、接着剤に溶解及び/又は分散したか又はポリマーに分散した、場合により緩衝した水溶液中に活性成分を含有する。好適な活性成分濃度は、約1%〜35%、好ましくは約3%〜15%である。活性成分のための特別の可能性は、例えば Pharmaceutical Research, 2(6): 318 (1986) に記載された電気輸送又はイオン導入によって放出することである。
【0097】
本発明は更に、一般式(I)の化合物の中間体に関する。上記の方法により得ることのできる一般式(XI)の中間体もまた、本発明の態様である。中間体(XI)は、式(I)の化合物におけるリンカーXが単結合であり、そして置換基ArがR3で少なくとも一置換されている場合に特に重要である。
【化6】

式中、
R1は、水素、フッ素、塩素、−CN、メトキシ、−OCF3、又はC1−C3−アルキルで、このC1−C3−アルキルは場合によりヒドロキシ、塩素、メトキシ又は1、2又は3個のフッ素原子で置換され;
R2は、水素、フッ素、−CN、ヒドロキシ、メトキシ、−OCF3、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2又はC1−C3−アルキルであり、このC1−C3−アルキルは、場合によりヒドロキシ、塩素、メトキシ又は1、2又は3個のフッ素原子で置換され;
R8は、C1−C3−アルコキシ、−O−フェニル、C1−C3−アルキル、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2又はフェニルであり、
そして、上記のフェニル断片はそれら自体が、フッ素、塩素、臭素、オキソ、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、アリール、ヘテロアリール、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、−COOH、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−SO2NH2、−SO2NH(C1−C3−アルキル)、−SO2N(C1−C3−アルキル)2、−C(O)NH2、−C(O)NH(C1−C3−アルキル)、−C(O)N(C1−C3−アルキル)2、−SO2(C1−C3−アルキル)、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)又は−N(C1−C3−アルキル)2で少なくとも一置換されていてもよく;
Arは、アリール又はヘテロアリールであり、
ここで、このアリール又はヘテロアリールは、場合によりフッ素、塩素、臭素、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、−C(O)R8、−NH2、−NHC(O)(C1−C6−アルキル)、ヒドロキシ、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、−CH2−CH2−CH2−、−CH2−O−C(O)−、−CH2−C(O)−O−、−CH2−NH−C(O)−、−CH2−N(CH3)−C(O)−、−CH2−C(O)−NH−、−NH(C1−C6−アルキル)、−N(C1−C6−アルキル)2、−SO2(C1−C6−アルキル)、ヘテロシクリル、ヘテロアリール及びアリールからなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換され、
そして、これらの置換基のうち、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールはそれら自体が、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、フッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ又はOHで少なくとも一置換されていてもよく;
R”は、−COOH、−CHO又は−SO2Clであり;
ヘテロアリールは、N、O及びSから選択される1個又はそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の芳香族の単環式又は二環式のヘテロ環であり;
ヘテロシクリルは、N、O及びSから選択される1個又はそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の非芳香族の単環式又は二環式のヘテロ環であり;
アリールは、5〜10員の芳香族の単環又は二環である。
【0098】
式(XI)の好ましい化合物は、
R1が、水素又はC1−C3−アルキルであり;
R2が、水素であり;
Arが、フェニル、チエニル、フラニル又はピリジニルであり、
ここで、このフェニル、チエニル、フラニル又はピリジニルが、場合によりフッ素、塩素、−CF3、−OCF3、−C(O)(C1−C3−アルキル)、−NH2、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−CH2−CH2−CH2−、−CH2−O−C(O)−、−CH2−C(O)−O−、−CH2NH−C(O)−、−CH2N(CH3)−C(O)−、−CH2−C(O)−NH−、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2及び−SO2(C1−C3−アルキル)からなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されており;
R”が、−COOH、−CHO又は−SO2Clである
化合物である。
【0099】
式(XI)の特に好ましい化合物は、
R1が、水素又はC1−C3−アルキルであり;
R2が、水素であり;
Arが、フェニル、フラニル、チエニル又はピリジニルであり、ここで、R”及びテトラヒドロキノリノン断片が、相互に対してメタ位にあり;
R”が、−CHO又は−COOHである
化合物である。
【0100】
〔実施例〕
実験の部
略語のリスト
tBU tert−ブチル
dba ジベンジリデンアセトン
DCM ジクロロメタン
DMAP 4−ジメチルアミノピリジン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
D6−DMSO 重水素化ジメチルスルホキシド
eq. モル当量
MP 高度に架橋したマクロ多孔性ポリスチレン
NBS N−ブロモスクシンイミド
PdCl2(dppf) 1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)クロリド
PPA プロパンホスホン酸無水物
RF 還流
RT 室温
RP−HPLC 逆相高速クロマトグラフィー
SCX 陽イオン交換体(「強陽イオン交換体」)
TFFH テトラメチルフルオロアミンジニウムヘキサフルオロホスフェート
TFA トリフルオロ酢酸
TFH テトラヒドロフラン
TMS トリメチルシリル
TOTU O−[(エトキシカルボニル)シアノメチレンアミノ]−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート
【0101】
式IIのフタルイミドの合成
スキーム1による合成を化合物1により示す:
2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル)−プロピオン酸エチル(化合物1)
【化7】

無水フタル酸20.87g(0.141mol)をアミノプロピオン酸エチル16.5g(0.141mol)と一緒に開放丸底フラスコ中で120℃で5時間。シクロヘキサン300mlを加え、この混合物を加熱還流した。この熱いシクロヘキサン溶液を残った油状物からデカント除去し、完全に濃縮した。徐々に固化する粘稠油状物を得た(31g, 収率89%)。
MS: m/z = 248 (M+1)
1H-NMR (CDCl3): δ= 7.87 (2H, m); 7.74 (2H, m); 4.96 (1H, q, J = 7.3 Hz); 4.21 (2H, m); 1.70 (3H, d, J = 7.3 Hz); 1.24 (3H, t, J = 7.1 Hz)。
【0102】
4−ヒドロキシ−3−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(化合物2)
【化8】

化合物1 31.8g(129mmol)を無水メタノール22mlに溶解し、28% ナトリウムメタノレート溶液15.2ml(257mmol)を加えた後、3時間加熱還流した。この溶液を濃縮し、残留物に濃アンモニア水を加えた。2時間後、固体を吸引濾別し、冷水で洗浄した。白色固体14.1g(収率63%)を得た。
MS: m/z = 176 (M+1)
1H-NMR (CD3OD): δ= 8.21 (1H, d, J = 8.8 Hz); 8.14 (1H, d, J = 8.3 Hz); 7.65 (1H, m); 7.38 (1H, m); 2.30 (3H, s)。
【0103】
3−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(化合物3)
【化9】

4−ヒドロキシ−3−メチル−2H−イソキノリン−1−オン24.6g(140mmol)を、55% 塩酸(130ml)中の赤リン9.13g(294mmol)と共に160℃で7日間加熱した。冷却した混合物を水中に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。白色固体10.2g(収率46%)を得た。
MS: m/z = 160 (M+1)
1H-NMR (CDCl23): δ10.55 (1H, s); 8.37 (1H, d, J = 8.1 Hz); 7.62 (1H, m); 7.43 (2H, m); 6.31 (1H, s); 2.37 (3H, s)。
【0104】
3−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン(化合物4)
【化10】

3−メチル−2H−イソキノリン−1−オン8.45g(53mmol)を氷酢酸80mlに溶解し、酸化パラジウム(IV)168mg (0.74mmol)を加えた後、5バール下にRTで8時間水素化した。この懸濁液を濾過し、濃縮し、残留物をメタノールから再結晶した。無色油状物7.15g(83%)を得た。
MS: m/z = 164 (M+1)
1H-NMR (CDCl3): δ10.7 (1H, s); 5.78 (1H, s); 2.50 (4H, m); 2.22 (3H, s); 1.73 (4H, m)。
【0105】
5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン(化合物5)
【化11】

2H−イソキノリン−1−オン(=イソカルボスチリル)60g(413mmol)を氷酢酸1リットルに溶解し、酸化パラジウム(IV)2.3g(10mmol)を加えた後、3バール下にRTで変換が完了するまで水素化した。これには3日後及び更に5日後に触媒の交換が必要である。この懸濁液を濾過し、濃縮し、トルエンを加えた後に再び濃縮した。粗生成物を1.6リットルの水から再結晶した。長針状物を濾別し、母液を濃縮して乾燥し、シリカゲル上で分離した。無色油状物36.8g(60%)を得た。
MS: m/z = 150 (M+1)
1H-NMR (D6-DMSO): δ= 11.20 (1H, s); 7.08 (1H, d, J = 6.8 Hz); 5.90 (1H, d, J = 6.8 Hz); 2.47 (2H, m); 2.30 (2H, m); 1.64 (4H, m)。
【0106】
4−ブロモ−3−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン(化合物6)
【化12】

化合物4 7.15g(43.8mmol)をメタノール50mlに0℃で溶解し、合計 N−ブロモスクシンイミド7.4g(41.6mmol)を少量ずつ加えた。0℃で3時間の反応時間の後、吸引濾過からの残留物を少量の冷水及びジクロロメタンで洗浄した。無色臭化物8.9g(収率84%)を得た。
MS: m/z = 242/244 (M+1)
1H-NMR (CDCl3): δ= 12.4 (1H, s); 2.57 (4H, m); 2.43 (3H, s); 1.75 (4H, m)。
【0107】
4−ブロモ−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン(化合物7)
【化13】

テトラヒドロイソキノリノン(化合物5)32.4g(217mmol)をクロロホルム300mlに5℃で溶解し、次いでクロロホルム150mlに溶解した臭素11.2ml (34.7g, 217mmol)を1時間かけて滴下した。この混合物を氷中で冷却しながら更に1時間攪拌し、次いで飽和NaHCO3溶液150mlで中和し、吸引濾過した。濾液の有機相をジクロロメタンで抽出し、濃縮した。残留物を酢酸エチルと混合し、吸引濾過し、最初の残留物と一緒に真空乾燥炉中で45℃で乾燥した。無色臭化物47.7g(96%)を得た。
MS: m/z = 228/230 (M+1)
1H-NMR (CDCl3): δ= 9.50 (1H, s); 8.03 (1H, s); 2.28 (2H, m); 2.18 (2H, m); 1.85 (4H, m)。
【0108】
4−ブロモ−1−メトキシ−3−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン(化合物8)
【化14】

4−ブロモ−3−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン8.9g(36.8mmol) のクロロホルム200mlに溶解し、炭酸銀(I)13.7g(49.6mmol)及びヨウ化メチル16.2ml (36.5g, 257mmol)を加えた後、50℃で3時間攪拌した。RTで更に24時間後に、この懸濁液をセライトに通して濾過し、濃縮し、2%酢酸エチルを加えたn−ヘプタンを用いてシリカゲル上のクロマトグラフィーにより処理した。無色油状物(7.8g, 収率83%)を得た。
MS: m/z = 256/258 (M+1)
1H-NMR (CDCl3): δ= 3.89 (3H, s), 2.65 (2H, m); 2.53 (2H, m); 2.51 (3H, s); 1.75 (4H, m)。
【0109】
4−ブロモ−1−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン(化合物9)
【化15】

4−ブロモ−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン47.7g(209mmol)をクロロホルム1リットルに溶解し、炭酸銀(I)77.8g(282mmol) 及びヨウ化メチル53.5ml (118.7g, 836mmol)を加えた後、50℃で3時間攪拌した。冷却した後、この懸濁液をセライトに通して濾過し、濃縮し、2%酢酸エチルを加えたn−ヘプタンを用いてシリカゲル上のクロマトグラフィーにより処理した。無色油状物 (42.5g, 収率84%)を得た。
MS: m/z = 242/244 (M+1)
1H-NMR (CDCl3): δ= 8.03 (1H, s); 3.90 (3H, s); 2.66 (2H, m); 2.57 (2H, m); 1.78
(4H, m)。
【0110】
1−メトキシ−3−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン(化合物10)
【化16】

臭化物8 128mg(0.5mmol)、トリエチルアミン218μl(1.64mmol)及び4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン83mg(0.65mmol) をジオキサン2mlにアルゴン下に溶解し、最後にPdCl2(dppf)19mg(0.027mmol)を加え、この混合物を90℃で60時間、次いで150℃で更に2.5時間電子レンジ中で攪拌した。この混合物を水及び酢酸エチルで希釈し、有機相を水洗し、濃縮し、シリカゲル上で精製した。白色固体(100mg, 収率66%)を得た。
MS: m/z = 304 (M+1)
1H-NMR (CDCl3): δ= 4.08 (3H, s); 2.68 (2H, m); 2.58 (3H, s); 2.52 (2H, m); 1.75 (4H, m); 1.38 (12H, s)。
【0111】
1−メトキシ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン(化合物11)
【化17】

臭化物9 8.0g(33mol)、トリエチルアミン14.4ml(109mmol)及び4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキソラン5.5g(42.9mmol)をアルゴン下でジオキサン50mlに溶解し、最後にPdCl2(dppf)1.28g(1.75mmol)を加え、この混合物を90℃で18時間攪拌した。冷却した混合物を水と混合し、酢酸エチルで2回抽出し、有機相を乾燥し、濃縮し、シリカゲル上のクロマトグラフィーにより処理した。白色固体(7.75g, 収率81%)を得た。
MS: m/z = 290 (M+1)
1H-NMR (CDCl3): δ= 8.01 (1H, s); 4.07 (3H, s); 2.66 (2H, m); 2.51 (2H, m); 1.75 (4H, m); 1.38 (12H, s)。
【0112】
式VIIIの化合物を与えるための式VIの臭化物のHartwig-Buchwald アミノ化
一般的手順;
臭化物(化合物8又は9)1eq.、アニリン 1.5eq.及びNaOtBu 1.4eq.を、アルゴン下に無水トルエン(2ml/mmol)中に導入する。RTで10分間攪拌した後、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム 0.05eq.及びジ−tert−ブチルホスフィノビフェニル 0.2eq.を加え、この混合物を150℃で電子レンジ(CEM Discover)中で60分間反応させる。反応混合物を水及び酢酸エチルで希釈し、有機相を分離し、濃縮し、RP−HPLCにより精製した。塩基性化合物をトリフルオロ酢酸塩として単離した。
【0113】
3−(1−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン−4−イルアミノ)安息香酸エチル(化合物12)
【化18】

純度95% KOtBu 580mg(4.9mmol)を無水トルエン20ml中に導入した。排気し、アルゴンで3回換気した後、4−ブロモ−1−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン847mg (3.5mmol)及び3−アミノ安息香酸エチル868mg(5.25mmol)を加えた。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム160mg (0.175mmol)及びジ−tert−ブチルホスフィノビフェニル209mg (0.7mmol)を加えた後、100℃で3時間加熱した。仕上げ処理のため、この混合物を濃縮し、残留物をH2O及び酢酸エチルの間に分配した。相を分離し、水相を更に3回抽出する。一緒にした有機相をH2Oでもう1回洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。更なる精製をシリカゲル上のクロマトグラフィー(CH2Cl2/MeOH 99:1)により行い、表題の化合物640mgを得た。収率: 55%。
【0114】
一般的手順により下記の更なる化合物を製造する:
【表1】

【0115】
式VIの臭化物と式(OH)2B−Ar−R”のボロン酸とのSuzukiカップリングによる式Xの化合物の合成
一般的手順
臭化物(化合物8又は9)1eq.、ヨウ化カリウム3.3eq. 、ボロン酸1.2eq.をアルゴン下に無水THF (3ml/1mmol)中に導入した。のPd2dba3 0.05eq.及びトリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート 0.1eq.を加え、この混合物を60℃で5時間攪拌した。冷却した後、それを飽和NaHCO3溶液で中和し、酢酸エチルで2回抽出し、有機相を濃縮した。残留物をシリカゲル上のクロマトグラフィーにより処理した。
【0116】
1−メトキシ−3−メチル−4−チオフェン−2−イル−5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン(化合物30)
【化19】

化合物30 22mg (収率31%)を、臭化物8 70mg から一般的手順により得た。
MS: m/z = 260 (M+1)
1H-NMR (CDCl3): δ= 7.37 (1H, dd, J = 5.1, 1.1 Hz); 7.09 (1H, dd, J = 5.1, 3.4 Hz); 6.79 (1H, dd, 3.4, 1.1 Hz); 3.96 (3H, s); 2.58 (2H, m); 2.40 (2H, m); 2.24 (3H, s); 1.70 (4H, m)。
【0117】
1−メトキシ−3−メチル−4−ピリジン−3−イル−5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン(化合物31)
【化20】

化合物31 49mg (収率49%)を、臭化物8 100mgから一般的手順により得た。
MS: m/z = 260 (M+1)
【0118】
5−(1−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン−4−イル)フラン−2−カルボアルデヒド(化合物32)
【化21】

化合物32 4.59g(収率100%)を、臭化物9 4.32g(17.9mmol)から一般的手順により得た。
MS: m/z = 258 (M+1)
【0119】
5−(1−メトキシ−3−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン−4−イル)フラン−2−カルボアルデヒド(化合物33)
【化22】

化合物33 1.86g(収率79%)を、臭化物8 2.0gから一般的手順により得た。
MS: m/z = 272 (M+1)
1H-NMR (CDCl3): δ= 9.65 (1H, s); 7.34 (1H, d, J = 3.4 Hz); 6.49 (1H, d, J= 3.4 Hz); 3.96 (3H, s); 2.57 (2H, m); 2.46 (2H, m); 2.30 (3H, s); 1.71 (4H, m)。
【0120】
式VIIのボロン酸エステルと式Br−Ar−R3の臭化物とのSuzukiカップリングによる式Xの化合物合成
一例として下記の化合物について合成を示す:
5−(1−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン−4−イル)ニコチン酸(化合物34)
【化23】

ボロン酸エステル11 7.75g(26.8mmol)、炭酸カリウム14.82g(107.2mmol)及び PdCl2(dppf) 980g(1.34mmol)を無水DMF60ml中にアルゴン下に導入し、5−ブロモニコチン酸7g(34.9mmol)を加えた。この混合物を110℃で18時間攪拌し、水を加え、pHを2N HCL 溶液で4に調節した。2回の抽出をDCMで行い、有機相を濾過し、濃縮した。残留物をDCM 200mlに吸収させ、活性炭と混合し、セライトに通して濾過した。濾液を濃縮し、真空乾燥炉で一晩乾燥した。暗色結晶7.4g(収率97%)を得た。
MS: m/z = 285 (M+1)
【0121】
メトキシ基の脱保護による化合物35〜39(中間体)の合成:
5−(1−オキソ−1,2,5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン−4−イル)フラン−2−カルボアルデヒド(化合物35)
【化24】

化合物32 4.59g(17.8mmol)をアセトニトリル60mlに懸濁する。KI 3.26g(19.6mmol) 及びトリメチルクロロシラン2.13g(19.6mmol) を加えた後、60℃でアルゴン下に6時間処理する。 この混合物を完全に濃縮し、残留物をNaHCO3水溶液で処理する。残った残留物をDCMで3回抽出し、有機相を乾燥し、濃縮した。残留物をEtOH 100mlに溶解し、Norit炭素を加えた。濾過及び濃縮を行った。表題の化合物約1gを得た。更なる粗生成物を炭素残留物からDCMでの抽出により単離し、シリカゲル上で精製する。全体の収量:白色固体2.38g(55%)
MS: m/z = 244 (M+1)
1H-NMR (CDCl3): δ= 12.6 (1H, s); 9.65 (1H, s); 7.75 (1H, s); 7.29 (1H, d, J= 3.4 Hz); 6.56 (1H, d, J = 3.4 Hz); 2.75 (2H, m); 2.62 (2H, m); 2.62 (2H, m); 1.70 (4H, m)。
【0122】
5−(3−メチル−1−オキソ−1,2,5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン−4−イル)フラン−2−カルボアルデヒド(化合物36)
【化25】

表題の化合物172mg (27% 収率) を、化合物35と同様にして化合物33 660mg (2.43mmol)からRP−HPLCによる精製の後に得た。
MS: m/z = 258 (M+1)
1H-NMR (CDCl3): δ= 11.4 (1H, br s); 9.65 (1H, s); 7.35 (1H, d, J = 3.4 Hz); 6.58 (1H, d, J = 3.4 Hz); 2.61 (2H, m); 2.43 (2H, m); 2.35 (3H, s); 1.72 (4H, m)。
【0123】
5−(1−オキソ−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロイソキノリン−4−イル)ニコチン酸(化合物37)
【化26】

化合物34 3.1g(28.5mmol)をアセトニトリル100mlに懸濁した。KI 4.73g(28.5mmol)及びトリメチルクロロシラン3.1g(28.5mmol)を加えた後、80℃でアルゴン下に2時間加熱した。この混合物をRTに冷却し、完全に濃縮し、5:1の酢酸エチル/MeOHに吸収させた。沈殿(4.78g)を吸引濾別し、真空乾燥炉中で45℃で一晩乾燥した。 母液を濃縮し、残留物をシリカゲル上で精製する。全体の収量: ベージュ色固体5.64g(81%)。
MS: m/z = 271 (M+1)
1H-NMR (D6-DMSO): δ= 11.7 (1H, br s); 9.03 (1H, d, J = 2.0 Hz); 8.74 (1H, d, J=
2.2 Hz); 8.12 (1H, t, J = 2.2 Hz); 2.41 (2H, m); 2.32 (2H, m); 1.63 (4H, m)。
【0124】
3−(1−オキソ−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロイソキノリン−4−イルアミノ)安息香酸エチル(化合物38)
【化27】

3−(1−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン−4−イルアミノ)安息香酸エチル(化合物12)560mg (1.7mmol) をクロロホルム30mlに溶解し、室温でのヨウ化トリメチルシリル413mg (2.1mmol)を加えた。次いでこの混合物をLCMSにより完全な変換に達するまで加熱還流する。必要に応じて更にヨウ化トリメチルシリルを加えた。仕上げ処理のため、この混合物をH2Oで2回洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。シリカゲル上のクロマトグラフィー(CH2Cl2/MeOH 95:5)は表題の化合物216mgを与えた。収率: 40%。
MS: m/z = 313 (M+1)
【0125】
3−(1−オキソ−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロイソキノリン−4−イルアミノ)安息香酸(化合物39)
【化28】

3−(1−オキソ−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロイソキノリン−4−イルアミノ)安息香酸エチル(化合物38)180mg (0.58mmol) をエタノール3ml中に導入し、室温で2N KOH 3mlを加えた。2時間後、溶剤を真空除去し、残留物をH2O 5mlに吸収させ、2N HClで酸性化する。生成した沈殿を吸引濾別し、乾燥した。収量: 123mg (75%)。
MS: m/z = 285 (M+1)
【0126】
式VIII及びXの1−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリンの脱保護による式Iのテトラヒドロ−2H−イソキノリノンの合成
一般的手順
ヨウ化カリウム2eq.及びトリメチルクロロシラン2eq.を、無水アセトニトリル中の式VIII及びIXの1−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリンの混合物(3−5ml/mmol)にアルゴン下に加え、この濁った混合物を60〜80℃で1〜3時間加熱した。次いでこの混合物をRTに冷却し、濃縮した。粗生成物をRP−HPLCにより精製し、塩基性化合物をトリフルオロ酢酸塩として単離した。
【0127】
下記の実施例を一般的手順により合成する:
【表2】

【0128】
4−(5−ヒドロキシメチルフラン−2−イル)−3−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン(実施例9)
表題の化合物を、5−(3−メチル−1−オキソ−1,2,5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン−4−イル)フラン−2−カルボアルデヒド(化合物36)の還元的アミノ化における副生成物として得て、RP−HPLCにより単離する。
MS: m/z = 260 (M+1)
1H-NMR (D6-DMSO): δ = 11.52 (1H, br s); 6.33 (1H, d, J = 2.9 Hz); 6.27 (1H, d, J = 2.9 Hz); 4.38 (2H, s); 2.33 (2H, m); 2.23 (2H, m); 2.03 (3H, s); 1.59 (4H, m)。
【0129】
下記の実施例10〜19を実施例1〜8に従って製造する。
【表3】

【0130】
化合物39とアミンとのカップリングによる実施例20〜24の合成
一般的手順
3−(1−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン−4−イルアミノ)安息香酸38mg
(0.13mmol) をDMF 2mlに導入し、室温でトリエチルアミン20μl (0.15mmol)を加えた。0℃で、TOTU 52mg (0.16mmol)を加え、この混合物を0℃で15分間攪拌した。室温で更に30分後に、この溶液を、DMF 2ml中のそれぞれのアミン(0.15mmol)、トリエチルアミン20μl (0.15mmol) からなる第二の溶液に加え、完全な変換がLCMSにより見出されるまで室温で攪拌した。仕上げ処理のため、溶剤を除去し、シリカゲル上の精製を行った。
【0131】
下記の化合物を上記の一般的手順により製造する:
N−ブチル−3−(1−オキソ−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロイソキノリン−4−イルアミノ)ベンズアミド(実施例20)
シリカゲルクロマトグラフィー(CH2Cl2/MeOH 95:5)後の収率31%。
Rt = 1.166 min1); MS(M+H+) = 340.15; 500 MHz 1H-NMR (DMSO-d6)[ppm]: 11.30, 1H, s, NH; 7.20-7.00, m, 5H, 4×aromat. H, NH; 6.62, dd, 1H, aromat. H; 3.20, m, 2H, CH2; 2.33 m, 4H, 2×CH2; 1.62, m, 2H, CH2; 1.58, m, 2H, CH2; 1.46, m, 2H, CH2, 1.30, m, 2H, CH2; 0.88, t, 3H, CH3
【0132】
4−[3−(ピロリジン−1−カルボニル)フェニルアミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン(実施例21)
シリカゲルクロマトグラフィー(CH2Cl2/MeOH 95:5)後の収率74%。
Rt = 1.052 min1); MS(M+H+) = 338.15; 500 MHz 1H-NMR (DMSO-d6)[ppm]: 11.30, 1H, s, NH; 7.22-7.05, m, 3H, 2×aromat. H, NH; 6.71, dd, 1H, aromat. H; 6.63-6.55, m,
2H, aromat. H; 3.08, m, 4H, 2×CH2; 2.33, m, 4H, 2×CH2; 1.90-1.73, m, 4H, 2×CH2; 1.68-1.52, m, 4H, 2×CH2
【0133】
4−[3−(4−シクロプロピルメチルピぺラジン−1−カルボニル)フェニルアミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン(実施例22)
シリカゲルクロマトグラフィー(CH2Cl2/MeOH 95:5)後の収率67%。
Rt = 0.839 min1); MS(M+H+) = 407.25.
【0134】
3−(1−オキソ−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロイソキノリン−4−イルアミノ)−N−(2−ピリジン−3−イルエチル)ベンズアミド(実施例23)
シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/MeOH 10:1→4:1)後の収率63%。
Rt = 1.03 min2); MS(M+H+) = 389.11.
【0135】
3−(1−オキソ−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロイソキノリン−4−イルアミノ)−N−(2−ピリジン−1−イルエチル)ベンズアミド(実施例24)
シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/MeOH 10:1→MeOH)後の収率66%。
Rt = 1.05 min2); MS(M+H+) = 381.15.
【0136】
LCMS 方法:
1) YMC J'sphere ODS H80 20×2, 4μm;
0min 96% H2O(0.05% TFA) 2.0min − 95% ACN; 95% ACN 2.4min;
4% ACN 2.45min;
1ml/min;
30℃。
2) Col YMC J'sphere 33×2, 4μm;
Grad ACN+0.05% TFA: H2O+0.05% TFA
5.95 (0min) →95:5 (3.4min) →95:5 (4.4min);
1ml/min;
30℃。
【0137】
化合物37とアミンとのカップリングによる実施例25〜49の合成
一般的手順
5−(1−オキソ−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロイソキノリン−4−イル)−ニコチン酸54mg
(0.2mmol)、アミン0.24mmol、4-DMAP 0.02mmol、N−メチルモルホリン0.8mmol及びPPA (DMF中50%溶液)0.4mmolを、無水DCM3mlにRTで混合し、18時間攪拌した。この混合物を少量のDCMで希釈し、飽和NaHCO3溶液で洗浄し、次いで有機相を濃縮し、残留物をRP−HPLCにより精製した。塩基性化合物をトリフルオロ酢酸塩として単離した。
【0138】
下記に実施例を一般的プロトコールにより製造する:
【表4】

【0139】
【表5】

【0140】
【表6】

【0141】
【表7】

【0142】
4−(5−アミノシメチルフラン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン(実施例50)
化合物35 2.18g(9.0mmol) を、NaCNBH4 844mg(13.4mmol)及び酢酸アンモニウム 55.3g(717mmol)と共にメタノール/THF (5/1) 160mlに溶解し、RTで18時間反応させた。この黄色溶液を完全に濃縮し、残留物を酢酸エチル/メタノール(1/1)を用いるシリカゲル上のクロマトグラフィーにより処理した。単離した化合物(なお比較的多量の塩を含む)を次いでRP−HPLCによるクロマトグラフィーで処理した。表題の化合物400mgを単離した。
MS: m/z = 245 (M+1)
【0143】
化合物35及び36とアミンとの還元的アミノ化による実施例51〜79の合成
一般的手順
5−(3−メチル−1−オキソ−1,2,5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン−4−イル)フラン−2−カルボアルデヒド又は5−(1−オキソ−1,2,5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン−4−イル)フラン−2−カルボアルデヒド 0.2mmol及びアミン0.24mmolをTHF 2mlに溶解し、MPホウ化水素トリアセトキシ約0.5mmolを加えた後、RTで18時間振盪した。この溶液を濾別し、樹脂を毎回THF 4mlで2回洗浄し、完全有機相を濃縮し、RP−HPLCにより精製した。化合物を凍結乾燥後にトリフルオロ酢酸塩として単離した。
【0144】
【表8】

【0145】
【表9】

【0146】
【表10】

【0147】
【表11】

【0148】
カルボン酸を用いる実施例50のアシル化による実施例80〜84の合成
一般的手順
4−(5−アミノメチルフラン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン 0.15mmolを酸クロリド又は酸無水物0.15mmol及びトリエチルアミン0.375mmolと共にDCM5mlに溶解し、0℃で2時間攪拌した。反応混合物を水と混合し、DCMで抽出し、有機相を濃縮し、RP−HPLCにより精製した。実施例84をトリフルオロ酢酸塩として単離する。
【0149】
下記の化合物を一般的プロトコールにより製造する:
【表12】

【0150】
実施例50とスルホニルクロリドとの反応による実施例85〜87の合成
一般的手順
4−(5−アミノメチルフラン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン 0.15mmolをスルホニルクロリド0.18mmol及び炭酸カリウム0.375mmolと共にDCM5mlに溶解し、RTで18時間攪拌した。反応混合物を水と混合し、DCMで抽出し、有機相を濃縮し、RP−HPLCにより精製した。実施例85をトリフルオロ酢酸塩として単離した。
【0151】
下記の化合物を一般的プロトコールにより製造する:
【表13】

【0152】
薬理学的研究
PARP酵素アッセイ
試験すべき物質を、DNA活性化され、組換え発現され、かつ単離されたPARP−1酵素と共にインキュベートすることにより、半値阻害剤濃度を決定する。詳細には、種々の濃度の試験物質を、Tris 50mM、MgCl2 5mM、DTT 1mM、NAD 200μM、トリチウム標識NAD 0.1mCi/ml、DNA 0.1mg/ml、ヒストン 0.1mg/ml、組換え発現されたヒトPARP−1酵素 2μg/ml、pH=8.0を含む反応溶液50μl中で、室温で1時間インキュベートする。20%トリクロロ酢酸150μlを加えて反応を停止し、放射性標識されたタンパク質成分を沈殿させる。氷上で10分間インキュベートした後、標識された不溶性成分をガラス繊維フィルターに通して分離し、20%トリクロロ酢酸で3回洗浄した後、PARP−1酵素によって取り込まれた放射性を放射線ルミネッセンスにより測定する。この方法により決定された取り込み率を試験物質の濃度の関数として考慮して、取り込み率を達成可能な最大値(阻害剤のないインキュベーション)の半分に減少させる試験物質の濃度としての半値阻害剤濃度(IC50)を得る。
【0153】
この方法により下記の化合物についてIC−50を決定した:
【表14】

【0154】
心筋芽細胞におけるATP消費アッセイ
細胞における試験物質の活性を、ATP消費アッセイにより確認する。この目的のために、ラット心筋芽細胞(H9c2細胞系)を96ウェルプレートにまき(ウェル当たり40000細胞、RPMI1640;10% FCS)、37℃及び5% CO2で16時間保持する。細胞をPBSで洗浄し、同じ条件下で、培地中の種々の試験物質濃度で15分間インキュベートする。H2O2 300μMを加えた後、細胞を37℃及び5% CO2で更に1時間保持し、溶解し、ATPのい細胞含有量をルシフェラーゼ反応により決定する。物質の半値有効濃度(EC50)を、細胞のATP含有量が同じ物質の最大有効濃度で測定できる値の半分に達した濃度として決定する。
【0155】
種々の基質濃度を用いる酵素阻害アッセイ
試験物質の見かけKi値を、精製ヒトPARP−1酵素を用いる酵素アッセイにおいて決定する。詳細には、種々の濃度のトリチウム標識した基質NADを、同一濃度の試験物質と共に、tris 50mM、MgCl2 5mM、DTT 1mM、DNA 0.1mg/ml、ヒストン 0.1mg/ml、組換え発現されたヒトPARP−1酵素2μg/ml、pH=8.0を含有する反応溶液50μl中で、室温で10分間インキュベートする。20%トリクロロ酢酸150μlを加えて反応を停止し、放射性標識されたタンパク質成分を沈殿させる。氷上で10分間インキュベートした後、標識された不溶性成分をガラス繊維フィルターに通して分離し、20%トリクロロ酢酸で3回洗浄した後、PARP−1酵素によって取り込まれた放射性を放射線ルミネッセンスにより測定する。この方法により決定された取り込み率を基質NADの濃度の関数として評価して、Michaelis-Menten動力学により、阻害機序が純粋に競争的であると仮定して、見かけKi値を与える。
【0156】
この方法により下記の選択された化合物の全てについてEC−50値及び見かけKi値を決定した:
【表15】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

の化合物又はその生理的に許容される塩。
式中、
Xは、単結合、O、S、NH又はN(C1−C3−アルキル)であり;
R1は、水素、フッ素、塩素、−CN、メトキシ、−OCF3、又はC1−C3−アルキルで、このC1−C3−アルキルは場合によりヒドロキシ、塩素、メトキシ又は1、2若しくは3個のフッ素原子で置換され;
R2は、水素、フッ素、−CN、ヒドロキシ、メトキシ、−OCF3、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2、又はC1−C3−アルキルであり、このC1−C3−アルキルは、場合によりヒドロキシ、塩素、メトキシ又は1、2若しくは3個のフッ素原子で置換され;
R3は、−(C1−C3−アルキル)−NR4R5、−SO2NR4R5、−C(O)NR4R5、−C(H)=N−OR9、−C(O)R6、−NHC(O)R6、−(C1−C3−アルキル)−NHC(O)R6、−NHSO2R6、−(C1−C3−アルキル)−NHSO2R6又は−CH(OH)R7であり;
R4及びR5は、互いに独立して、水素;非置換の又は少なくとも一置換されたC1−C10−アルキル、C2−C6−アルケニル、C2−C6−アルキニル、アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリルからなる群から選択され、
ここで、置換基は、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、−O−アリール、フッ素、塩素、臭素、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、−C(O)R8、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、−NH2、ヒドロキシ、C1−C6−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2、−NH−アリール、−NH−ヘテロアリール、−NH−C(O)−ヘテロアリール、−SO2NH2、−SO2(C1−C3−アルキル)及び−NH−SO2(C1−C3−アルキル)からなる群から選択され、
そして、これらの置換基のアリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリル断片もまた、フッ素、塩素、臭素、オキソ、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、アリール、ヘテロアリール、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、−COOH、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−SO2NH2、−SO2NH(C1−C3−アルキル)、−SO2N(C1−C3−アルキル)2、−C(O)NH2、−C(O)NH(C1−C3−アルキル)、−C(O)N(C1−C3−アルキル)2、−SO2(C1−C3−アルキル)、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)又は−N(C1−C3−アルキル)2で少なくとも一置換されていてもよく;又は
R4及びR5は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、非置換の又は少なくとも一置換されたヘテロシクリルを形成し、
ここで、置換基は、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、オキソ、フッ素、塩素、臭素、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、−C(O)R8、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、−NH2、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2、−SO2NH2、−SO2(C1−C3−アルキル)及び−NH−SO2(C1−C3−アルキル)からなる群から選択され、
そして、これらの置換基のうち、アリール、ヘテロシクリル及びヘテロアリールもまた、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル又はC1−C3−アルコキシで少なくとも一置換されていてもよく;
R6は、非置換の若しくは少なくとも一置換されたC1−C6−アルキル、フェニル、ヘテロアリール又はヘテロシクリルであり、
ここで、置換基は、フッ素、塩素、臭素、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、−C(O)R8、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、−NH2、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−O−ヘテロアリール、−O−アリール、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2、−SO2NH2、−SO2(C1−C3−アルキル)及び−NH−SO2(C1−C3−アルキル)からなる群から選択され、
そして、これらの置換基のアリール、ヘテロシクリル及びヘテロアリール断片もまた、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル又はC1−C3−アルコキシで少なくとも一置換されていてもよく;
R7は、水素;非置換の又は少なくとも一置換されたC1−C6−アルキル、フェニル及びヘテロアリールからなる群から選択され、
ここで、置換基は、フッ素、塩素、臭素、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、−C(O)R8、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、−NH2、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2、−SO2NH2、−SO2(C1−C3−アルキル)及び−NH−SO2(C1−C3−アルキル)からなる群から選択され;
R8は、C1−C3−アルコキシ、−O−フェニル、C1−C3−アルキル、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2又はフェニルであり、
そして、上記のフェニル断片もまた、フッ素、塩素、臭素、オキソ、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、アリール、ヘテロアリール、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、−COOH、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−SO2NH2、−SO2NH(C1−C3−アルキル)、−SO2N(C1−C3−アルキル)2、−C(O)NH2、−C(O)NH(C1−C3−アルキル)、−C(O)N(C1−C3−アルキル)2、−SO2(C1−C3−アルキル)、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)又は−N(C1−C3−アルキル)2で少なくとも一置換されていてもよく;
R9は、水素;非置換の又は少なくとも一置換されたC1−C6−アルキル及びフェニルからなる群から選択され、
ここで、置換基は、フッ素、塩素、臭素、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、−C(O)R8、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2、−SO2NH2、−SO2(C1−C3−アルキル)及び−NH−SO2(C1−C3−アルキル)からなる群から選択され、
そして、これらの置換基のうち、アリール、ヘテロシクリル及びヘテロアリールもまた、フッ素、塩素、臭素、C1−C3−アルキル又はC1−C3−アルコキシで少なくとも一置換されていてもよく;
Arは、非置換の若しくは少なくとも一置換されたアリール又はヘテロアリールであり、ここで、置換基は、フッ素、塩素、臭素、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、−C(O)R8、−NH2、−NHC(O)(C1−C6−アルキル)、ヒドロキシ、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、−CH2−CH2−CH2−、−CH2−O−C(O)−、−CH2−C(O)−O−、−CH2−NH−C(O)−、−CH2−N(CH3)−C(O)−、−CH2−C(O)−NH−、−NH(C1−C6−アルキル)、−N(C1−C6−アルキル)2、−SO2(C1−C6−アルキル)、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリール及びR3からなる群から選択され、
そして、これらの置換基のうち、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールもまた、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、フッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ又はOHで少なくとも一置換されていてもよく;
ヘテロアリールは、N、O及びSから選択される1個又はそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の芳香族の単環式又は二環式のヘテロ環であり;
アリールは、5〜10員の芳香族の単環又は二環であり;
ヘテロシクリルは、N、O及びSから選択される1個又はそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の非芳香族の単環式又は二環式のヘテロ環であるが、
但し、Xが単結合である場合には、Arは非置換のフェニルではない。
【請求項2】
一般式(I)において、
Xが、単結合、NH又はN(C1−C3−アルキル)であり;
R1が、水素、又は場合によりヒドロキシ、塩素、メトキシ又は1、2若しくは3個のフッ素原子で置換されたC1−C3−アルキルであり;
R2が、水素、フッ素、−OCF3、ヒドロキシ、メトキシ、−NH2又はC1−C3−アルキルであり;
R3が、−CH2−NR4R5、−SO2NR4R5、−C(O)NR4R5、−CH2−NHC(O)R6、−CH2−NHSO2R6又は−CH(OH)R7であり;
R4及びR5が、互いに独立して、水素;非置換の又は少なくとも一置換されたC1−C10−アルキル、C2−C6−アルケニル、フェニル、インダニル、ヘテロシクリル及びヘテロアリールからなる群から選択され、
ここで、置換基は、フェニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、−O−フェニル、フッ素、−CN、−C(O)NH2、−C(O)(C1−C3−アルキル)、−C(O)−フェニル、−N(C1−C3−アルキル)2、−NH(C1−C3−アルキル)、−NH2、−NH−ヘテロアリール、−NH−C(O)−ヘテロアリール、−C1−C6−アルキル、C1−C3−アルコキシ及びヒドロキシからなる群から選択され、
そして、これらの置換基のフェニル、ヘテロシクリル及びヘテロアリール断片もまた、フッ素、塩素、臭素、オキソ、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、フェニル、ピリミジニル、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、−COOH、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−SO2NH2、−SO2NH(C1−C3−アルキル)、−SO2N(C1−C3−アルキル)2、−C(O)NH2、−C(O)NH(C1−C3−アルキル)、−C(O)N(C1−C3−アルキル)2、−SO2(C1−C3−アルキル)、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)又は−N(C1−C3−アルキル)2で少なくとも一置換されていてもよく;又は
R4及びR5が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、非置換の又は少なくとも一置換されたヘテロシクリルを形成し、
ここで、置換基は、フェニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、オキソ、フッ素、塩素、−C(O)(C1−C3−アルキル)、−C(O)−フェニル及びヒドロキシからなる群から選択され、
そして、これらの置換基のフェニル、ヘテロシクリル及びヘテロアリール断片もまた、フッ素又はC1−C3−アルキルで少なくとも一置換されていてもよく;
R6が、非置換の又は少なくとも一置換されたC1−C6−アルキル、フェニル、又はヘテロアリールであり、
ここで、置換基は、フッ素、塩素、臭素、−CF3、−OCF3、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−O−ヘテロアリール、フェニル、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2及びヘテロシクリルからなる群から選択され、
そして、これらの置換基のフェニル、ヘテロアリール及びヘテロシクリル断片もまた、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル又はC1−C3−アルコキシで少なくとも一置換されていてもよく;
R7が、水素;非置換の又は少なくとも一置換されたC1−C6−アルキル、フェニル及びピリジニルからなる群から選択され、
ここで、置換基は、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル及びC1−C3−アルコキシからなる群から選択され;
Arが、非置換の若しくは少なくとも一置換されたフェニル又はヘテロアリールであり、
ここで、置換基は、フッ素、塩素、−CF3、−OCF3、C(O)(C1−C3−アルキル)、−NH2、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−CH2−CH2−CH2−、−CH2−O−C(O)−、−CH2−C(O)−O−、−CH2−NH−C(O)−、−CH2−N(CH3)−C(O)−、−CH2−C(O)−NH−、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2、−SO2(C1−C3−アルキル)、ヘテロシクリル、ヘテロアリール及びR3からなる群から選択され、
そして、これらの置換基のうち、ヘテロシクリル及びヘテロアリールもまた、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、フッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ又はOHで少なくとも一置換されていてもよく;
ヘテロアリールが、ピリジニル、チエニル、ピリミジニル、イミダゾリル、フラニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル、1,3−ベンゾジオキソリル、トリアゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、ピロリル、ピラジニル、オキサゾリル、ピリダジニル、キノリニル、イソキノリル、ベンゾフラニル、3−オキソ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラニル又は4,5,6,7−テトラヒドロベンゾチアゾリルであり;
ヘテロシクリルが、モルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、チアゾリジニル、ジヒドロイソオキサゾリル、ピペラジニル又はテトラヒドロフラニルである、
請求項1に記載の化合物又はその生理的に許容される塩。
【請求項3】
一般式(I)において、
Xが、単結合、NH又はN(C1−C3−アルキル)であり;
R1が、水素、又は場合によりヒドロキシ、塩素、メトキシ又は1、2若しくは3個のフッ素原子で置換されたC1−C3−アルキルであり;
R2が、水素、フッ素、−OCF3、ヒドロキシ、メトキシ、−NH2又はC1−C3−アルキルであり;
R3が、−CH2−NR4R5、−SO2NR4R5、−C(O)NR4R5、−CH2−NHC(O)R6、−CH2NHSO2R6又は−CH(OH)R7であり;
R4及びR5が、互いに独立して、水素;非置換の又は少なくとも一置換されたC1−C10−アルキル、C2−C6−アルケニル、フェニル、インダニル、ヘテロシクリル及びヘテロアリールからなる群から選択され、
ここで、置換基は、フェニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、−O−フェニル、フッ素、−CN、−C(O)NH2、−C(O)(C1−C3−アルキル)、−C(O)−フェニル、−N(C1−C3−アルキル)2、−NH(C1−C3−アルキル)、−NH2、−NH−ヘテロアリール、−NH−C(O)−ヘテロアリール、−C1−C6−アルキル、C1−C3−アルコキシ及びヒドロキシからなる群から選択され、
そして、これらの置換基のフェニル、ヘテロシクリル及びヘテロアリール断片もまた、フッ素、塩素、臭素、オキソ、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、フェニル、ピリジニル、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、−COOH、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−SO2NH2、−SO2NH(C1−C3−アルキル)、−SO2N(C1−C3−アルキル)2、−C(O)NH2、−C(O)NH(C1−C3−アルキル)、−C(O)N(C1−C3−アルキル)2、−SO2(C1−C3−アルキル)、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)又は−N(C1−C3−アルキル)2で少なくとも一置換されていてもよく;又は
R4及びR5が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、非置換の又は少なくとも一置換されたヘテロシクリルを形成し、
ここで、置換基は、フェニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、オキソ、フッ素、塩素、−C(O)(C1−C3−アルキル)、−C(O)−フェニル及びヒドロキシからなる群から選択され、
そして、これらの置換基のうち、フェニル、ヘテロシクリル及びヘテロアリールもまた、フッ素又はC1−C3−アルキルで少なくとも一置換されていてもよく;
R6が、CF3、又は非置換の若しくは少なくとも一置換されたC1−C6−アルキル、ピリジニル、フラニル又はフェニルであり、
ここで、置換基は、フッ素、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ及び−O−ピリジニルからなる群から選択され;
R7が、水素;非置換の又は少なくとも一置換されたC1−C6−アルキル、フェニル及びピリジニルからなる群から選択され、
ここで、置換基は、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル又はC1−C3−アルコキシからなる群から選択され;
Arが、非置換の若しくは少なくとも一置換されたフェニル、チエニル、フラニル又はピリジニルであり、
ここで、置換基は、フッ素、塩素、−CF3、−OCF3、C(O)(C1−C3−アルキル)、−NH2、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−CH2−CH2−CH2−、−CH2−O−C(O)−、−CH2−C(O)−O−、−CH2−NH−C(O)−、−CH2−N(CH3)−C(O)−、−CH2−C(O)−NH−、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2、−SO2(C1−C3−アルキル)及びR3からなる群から選択され、
ヘテロアリールが、ピリジニル、チエニル、ピリミジニル、イミダゾリル、フラニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル、1,3−ベンゾジオキソリル、トリアゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、ピロリル、ピラジニル、オキサゾリル、ピリダジニル、キノリニル、イソキノリル、ベンゾフラニル、3−オキソ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラニル又は4,5,6,7−テトラヒドロベンゾチアゾリルであり;
ヘテロシクリルが、モルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、チアゾリジニル、ジヒドロキシイソオキサゾリル、ピペラジニル又はテトラヒドロフラニルである、
請求項1又は2に記載の化合物又はその生理的に許容される塩。
【請求項4】
一般式(I)において、
Xが、単結合、NH又はN(C1−C3−アルキル)であり;
R1が、水素又はC1−C3−アルキルであり;
R2が、水素あり;
R3が、−CH2−NR4R5、−CH2−NHC(O)R6、−CH2NHSO2R6、−C(O)NR4R5又は−CH(OH)R7であり;
R4が、水素;非置換の又は少なくとも一置換されたC1−C10−アルキル、C2−C6−アルケニル、フェニル、インダニル、ヘテロシクリル及びヘテロアリールからなる群から選択され、
ここで、置換基は、フェニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、−O−フェニル、フッ素、−CN、−C(O)NH2、−C(O)(C1−C3−アルキル)、−C(O)−フェニル、−N(C1−C3−アルキル)2、−NH(C1−C3−アルキル)、−NH2、−NH−ヘテロアリール、−NH−C(O)−ヘテロアリール、C1−C6−アルキル、C1−C3−アルコキシ及びヒドロキシからなる群から選択され、
そして、これらの置換基のフェニル、ヘテロシクリル及びヘテロアリール断片もまた、フッ素、塩素、臭素、オキソ、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、フェニル、ピリジニル、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、−COOH、ヒドロキシ、C1
−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−SO2NH2、−SO2NH(C1−C3−アルキル)、−SO2N(C1−C3−アルキル)2、−C(O)NH2、−C(O)NH(C1−C3−アルキル)、−C(O)N(C1−C3−アルキル)2、−SO2(C1−C3−アルキル)、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)又は−N(C1−C3−アルキル)2で置換されていてもよく;そしてR5が、水素であり;又は
R4及びR5が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、非置換の又は少なくとも一置換されたヘテロシクリルを形成し、
ここで、置換基は、フェニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、オキソ、フッ素、塩素、−C(O)(C1−C3−アルキル)、−C(O)−フェニル及びヒドロキシからなる群から選択され、
そして、これらの置換基のフェニル、ヘテロシクリル及びヘテロアリール断片もまた、フッ素又はC1−C3−アルキルで少なくとも一置換されていてもよく;
R6が、CF3、又は非置換の若しくは少なくとも一置換されたC1−C6−アルキル、ピリジニル、フラニル又はフェニルであり、
ここで、置換基は、フッ素、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ及び−O−ピリジニルからなる群から選択され;
R7が、水素;非置換の又は少なくとも一置換されたC1−C6−アルキル、フェニル及びピリジニルからなる群から選択され、
ここで、置換基は、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル又はC1−C3−アルコキシからなる群から選択され;
Arが、一置換されたフェニル、チエニル、フラニル又はピリジニルであり、
ここで、置換基は、フッ素、塩素、−CF3、−OCF3、−C(O)(C1−C3−アルキル)、−NH2、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2、−SO2(C1−C3−アルキル)及びR3からなる群から選択され、
そして、置換基及びXが、相互に対してメタ位にあり;
ヘテロアリールが、ピリジニル、チエニル、ピリミジニル、イミダゾリル、フラニル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、ピロリル、ピラジニル、3−オキソ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラニル又は4,5,6,7−テトラヒドロベンゾチアゾリルであり;
ヘテロシクリルが、モルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、チアゾリジニル、ジヒドロイソオキサゾリル、ピペラジニル又はテトラヒドロフラニルである、
請求項1〜3の何れかに記載の化合物又はその生理的に許容される塩。
【請求項5】
一般式(I)において、
Xが、単結合又はNHであり;
R1が、水素又はC1−C3−アルキルであり;
R2が、水素あり;
R3が、−CH2−NR4R5、−C(O)NR4R5又は−CH(OH)R7であり;
R4が、水素;非置換の又は少なくとも一置換されたC1−C10−アルキル、シクロヘキセニル、インダニル、フェニル、ピロリジニル、ピロリル、ピラゾリル、フラニル及びピペリジニルからなる群から選択され、
ここで、置換基は、フッ素、−CN、−C(O)NH2、−O−フェニル、−C(O)−フェニル、−N(CH3)2、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、ヒドロキシ、非置換の又は少なくとも一置換されたフェニル、ピリジニル、チエニル、ピリミジニル、イミダゾリル、フラニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル、モルホリニル、ピロリジニル、1,3−ベンゾジオキソリル、ピペリジニル、テトラヒドロフラニル、トリアゾリル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソオキサゾリル及びジヒドロイソオキサゾリルからなる群から選択され、その置換基もまた、フッ素、塩素、オキソ、CF3、−OCF3、−NO2、フェニル、ピリジニル、−NHC(O)CH3、−COOH、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−SO2NH2、−C(O)NH2又は−N(CH3)2からなる群から選択される基で置換されており;そしてR5が、水素であり;又は
R4及びR5が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、非置換の又は少なくとも一置換されたピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル及びピペラジニルから選択される基を形成し、
ここで、置換基は、フッ素、−C(O)(C1−C3−アルキル)、オキソ、C1−C3−アルキル、ヒドロキシ、非置換の又は少なくとも一置換されたフェニル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピペリジニル及びピロリジニルからなる群から選択され、その置換基もまた、フッ素又はC1−C3−アルキルで置換されており;
R7が、水素であり;
Arが、一置換されたフェニル、チエニル、フラニル又はピリジニルであり、
ここで、置換基は、フッ素、塩素、−CF3、−OCF3、−C(O)(C1−C3−アルキル)、−NH2、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2、−SO2(C1−C3−アルキル)及びR3からなる群から選択され、
そして、置換基及びXが、相互に対してメタ位にある、
請求項1〜4の何れかに記載の化合物又はその生理的に許容される塩。
【請求項6】
一般式(I)において、
Xが、単結合又はNHであり;
R1が、水素又はC1−C3−アルキルであり;
R2が、水素あり;
R3が、−CH2−NR4R5であり;
R4が、非置換の又は少なくとも一置換されたC1−C6−アルキルであり、
ここで、置換基は、−N(CH3)2、ヒドロキシ、非置換の又は少なくとも一置換されたフェニル、ピリジニル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル及びピロリジニルからなる群から選択され、その置換基もまた、−NHC(O)(CH3)、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−SO2NH2及び−C(O)NH2からなる群から選択され;そしてR5が、水素であり;又は
R4及びR5が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、非置換の又は少なくとも一置換されたピロリジニル、ピペリジニル及びピペラジニルからなる群から選択される基を形成し、
ここで、置換基は、C1−C3−アルキル、ヒドロキシ及びピロリジニルからなる群から選択され;
Arが、一置換されたフェニル、チエニル、フラニル又はピリジニルであり、
ここで、置換基は、フッ素、塩素、−OCF3、−C(O)(CH3)、−NHC(O)(CH3)、ヒドロキシ、−N(CH3) 2、エトキシ、−SO2(CH3)及びR3からなる群から選択され、
そして、置換基及びXが、相互に対してメタ位にある、
請求項1〜5の何れかに記載の化合物又はその生理的に許容される塩。
【請求項7】
化合物が、
4−(3−メタンスルホニルフェニルアミノ)−3−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン、4−(3−アセチルフェニルアミノ)−3−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン、4−(5−ブチルアミノメチルフラン−2−イル)−3−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン、3−メチル−4−(5−ピロリジン−1−イルメチルフラン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン、4−[5−(3−ヒドロキシピロリジン−1−イルメチル)フラン−2−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン、4−(5−{[(4−ピロリジン−1−イルピペリジン)−1−イルメチル)アミノ]メチル}フラン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン、4−{5−[(2−ジメチルアミノエチルアミノ)メチル]フラン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン、4−{5−[(2−ヒドロキシ−2−フェニルエチルアミノ)メチル]フラン−2−イル}−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン、4−(5−{[(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)アミノ]メチル}フラン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン、4−(5−{[(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イルメチル)アミノ]メチル}フラン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン、4−(5−ブチルアミノメチルフラン−2−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン及び4−(5−ヒドロキシメチルフラン−2−イル)−3−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン;
からなる群から選択される請求項1〜5の何れかに記載の化合物又はその生理的に許容される塩。
【請求項8】
医薬として使用するための請求項1〜7の何れかに記載の化合物又はその生理的に許容される塩。
【請求項9】
PARP阻害剤である薬剤の製造のための請求項1〜7の何れかに記載の化合物又はその生理的に許容される塩の使用。
【請求項10】
壊死又はアポトーシスによる細胞損傷又は細胞死に起因する組織損傷、神経細胞媒介組織損傷又は障害、脳虚血、頭部外傷、卒中、再かん流損傷、神経障害及び神経変性障害、血管発作、心臓血管障害、心筋梗塞、心筋虚血、実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)、多発性硬化症(MS)、心臓外科に関連する虚血、加齢関連黄斑変性、関節炎、動脈硬化、癌、複製老化を引き続いて伴う骨格筋の変性障害、糖尿病及び糖尿病性心筋障害からなる群から選択される疾患の予防及び/又は治療のための薬剤を製造するための、請求項1〜7の何れかに記載の化合物又はその生理的に許容される塩の使用。
【請求項11】
疾患が、脳虚血、再かん流損傷、心臓血管障害、心筋梗塞、心筋虚血及び心臓外科に関連する虚血からなる群から選択される、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
疾患が心筋梗塞である、請求項10又は11に記載の使用。
【請求項13】
請求項1〜7の何れかに記載の少なくとも1種の化合物又はその生理的に許容される塩の有効量、及び生理的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項14】
医薬組成物が、ピル、錠剤、被覆錠剤、サッカブル錠剤、顆粒、カプセル、硬質又は軟質ゼラチンカプセル、水溶液、アルコール溶液、油性溶液、シロップ、エマルジョン、懸濁液、坐剤、トローチ、注射用又は注入用溶液、軟膏、チンキ、クリーム、ローション、散布剤、スプレー、経皮治療体系、鼻腔スプレー、エアゾール、エアゾール混合物、マイクロカプセル、インプラント、ロッド又はパッチの形態にある、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
式(I)において、Xが単結合であり、そして置換基ArがR3で少なくとも一置換されている場合(式Ib)、
【化2】

a)式(X)の化合物を、好適な試薬と反応させ、メチル基を除去して式(XI)の化合物を得、そして
b)式(XI)の化合物を、
1. R”が−CHOであり、そしてR3が−CH2−NR4R5である場合、還元剤の存在下に好適なアミンと反応させ、又は
2. R”が−CHOであり、そしてR3が−CH2OHである場合、好適な還元剤で還元し、又は
3. R”が−CHOであり、そしてR3が−CH2NHC(O)R6又は−CH2NHSO2R6である場合、還元的アミノ化により酢酸アンモニウムと反応させ、次いで好適な酸クロリド、好適な酸又は好適なスルホニルクロリドとカップリング反応させ、又は
4. R”が−COOHであり、そしてR3が−C(O)NR4R5である場合、縮合剤の存在下に好適なアミンと反応させる、
請求項1〜7の何れかに記載の式(I)の化合物の製造方法。
【請求項16】
式(XI):
【化3】

の化合物。
式中、
R1は、水素、フッ素、塩素、−CN、メトキシ、−OCF3、又はC1−C3−アルキルで、このC1−C3−アルキルは場合によりヒドロキシ、塩素、メトキシ又は1、2若しくは3個のフッ素原子で置換され;
R2は、水素、フッ素、−CN、ヒドロキシ、メトキシ、−OCF3、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2、又はC1−C3−アルキルであり、このC1−C3−アルキルは、場合によりヒドロキシ、塩素、メトキシ又は1、2若しくは3個のフッ素原子で置換され;
R8は、C1−C3−アルコキシ、−O−フェニル、C1−C3−アルキル、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)、−N(C1−C3−アルキル)2又はフェニルであり、
そして、上記のフェニル断片もまた、フッ素、塩素、臭素、オキソ、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、アリール、ヘテロアリール、−NHC(O)(C1−C3−アルキル)、−COOH、ヒドロキシ、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、−SO2NH2、−SO2NH(C1−C3−アルキル)、−SO2N(C1−C3−アルキル)2、−C(O)NH2、−C(O)NH(C1−C3−アルキル)、−C(O)N(C1−C3−アルキル)2
−SO2(C1−C3−アルキル)、−NH2、−NH(C1−C3−アルキル)又は−N(C1−C3−アルキル)2で少なくとも一置換されていてもよく;
Arは、アリール又はヘテロアリールであり、
ここで、このアリール又はヘテロアリールは、場合によりフッ素、塩素、臭素、−CF3、−OCF3、−NO2、−CN、−C(O)R8、−NH2、−NHC(O)(C1−C6−アルキル)、ヒドロキシ、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、−CH2−CH2−CH2−、−CH2−O−C(O)−、−CH2−C(O)−O−、−CH2−NH−C(O)−、−CH2−N(CH3)−C(O)−、−CH2−C(O)−NH−、−NH(C1−C6−アルキル)、−N(C1−C6−アルキル)2、−SO2(C1−C6−アルキル)、ヘテロシクリル、ヘテロアリール及びアリールからなる群から選択される少なくとも1つの置換基により置換され、
そして、これらの置換基のうち、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールもまた、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、フッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ又はOHで少なくとも一置換されていてもよく;
R”は、−COOH、−CHO又は−SO2Clであり;
ヘテロアリールは、N、O及びSから選択される1個又はそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の芳香族の単環式又は二環式のヘテロ環であり;
ヘテロシクリルは、N、O及びSから選択される1個又はそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の非芳香族の単環式又は二環式のヘテロ環であり;
アリールは、5〜10員の芳香族の単環又は二環である。
【請求項17】
一般式(XI)において、
R1が、水素又はC1−C3−アルキルであり;
R2が、水素であり;
Arが、フェニル、フラニル、チエニル又はピリジニルであり、ここで、R”及びテトラヒドロキノリノン断片が、相互に対してメタ位にあり;
R2が、−CHO又は−COOHである、
請求項16に記載の化合物。

【公表番号】特表2008−502614(P2008−502614A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515811(P2007−515811)
【出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【国際出願番号】PCT/EP2005/005871
【国際公開番号】WO2005/123687
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】