説明

自動受信機能付き電話機

【課題】登録済みの発信者から着信があった時に自動受信して、該発信者を音声により容易に識別でき、ハンズフリー受信・通話を可能にする。
【解決手段】電話機10は、呼出信号とともに送信される発信者データと対応する発信者特定情報データが予め登録されたメモリ部13と、電話着信時に発信者データと登録済みの発信者特定情報データとが一致しているか否かを判定する制御部18と、双方のデータが一致しているとき自動受信状態に切り替わる自動受信スイッチ部19と、自動受信後の発信者の音声を報音するスピーカ5とを有する。登録済みの発信者に対し自動受信、双方向通話を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動受信機能付き電話機に関するものであり、特に、着信の報知に発信者本人の音声を利用した自動受信機能付き電話機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、此種の携帯型電話機は、図3に示すように、アンテナ1が接続された無線部2と、基地局から呼出信号とともに送信される発信者データに対応付けて発信者特定情報データを予め登録するメモリ部3と、着信した発信者データが登録済みの発信者特定情報データと一致したとき発信者特定情報データに基づく音声信号を生成するADPCMデコード部4と、該音声信号を報知音声として報音するスピーカ5と、当該電話機の操作状態などを表示する表示部6と、ユーザにより入力操作されるキー入力部7と、CPUを含み上記各部を制御する制御部8とから構成されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−324228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1記載の電話機は、着信時には、予めダウンロードされている着信メロディや音声しか再生できず、各発信者の音声は、この電話機では報音することはできない。従って、電話着信時に、発信者が誰であるかを特定できないため、通話を望まない発信者から着信があった時でも全て受信しなければならない。逆に言えば、受信者は、通話を望む発信者のみに対して受信し通話することはできなかった。
【0004】
因みに、発信側で通話したい相手の電話番号を指定した後、特定ボタンを押すことにより、一方向通話で相手に音声を送る方式を採用すれば、相手側(受信側)で発信者を音声で識別できるが、この場合、ハンズフリー受信・双方向通話を行うことは困難である。
【0005】
そこで、希望する発信者のみに対して自動受信すると共に、該発信者を容易に特定でき、ハンズフリー受信・双方向通話を可能にするために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はその課題を解決することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、呼出信号とともに送信される発信者データと対応する発信者特定情報データが予め登録されたメモリ部と、電話着信時に前記発信者データと登録済みの発信者特定情報データとが一致しているか否かを判定する制御部と、前記双方のデータが一致しているとき自動受信状態に切り替わる自動受信スイッチ部と、自動受信後の発信者の音声を報音するスピーカとを有し、登録済みの発信者に対し自動受信を行えるように構成されている自動受信機能付き電話機を提供する。
【0007】
この構成によれば、自動受信を許可する発信者のデータ(電話番号)を予めメモリ部に登録しておき、電話着信時に、該発信者データと登録済みの発信者特定情報データとを制御部で判定する。その結果、双方のデータが一致しているときは、自動受信スイッチ部が自動受信状態に切り替わり、発信者の音声をスピーカより報音される。而して、登録済みの発信者に対し自動受信して通話を行うことができる。
【0008】
請求項2記載の発明は、上記制御部は、ハンズフリーヘッドセットを介する通話を可能にする通信処理部を有する請求項1記載の自動受信機能付き電話機を提供する。
【0009】
この構成によれば、登録済みの発信者から着信があった時、受信者はハンズフリーヘッドセットを介して直接通話を行える。
【0010】
請求項3記載の発明は、上記制御部は、自動受信後の通話を音声指令によりオフモードに切り替える信号処理部を有する請求項1又は2記載の自動受信機能付き電話機を提供する。
【0011】
この構成によれば、受信者が自動受信後に通話を終了したい場合、受信者は特定の音声指令(例えば「電話オフ」又は「切断」等)を制御部の信号処理部に入力すると、電話機をオフモードに切り替えて通話を終了させる。
【0012】
請求項4記載の発明は、上記メモリ部には、緊急情報を連絡する発信者のデータが予め登録されている請求項1,2又は3記載の自動受信機能付き電話機を提供する。
【0013】
この構成によれば、大規模災害時などの緊急情報を連絡する発信者から着信があると、自動受信が許可されて、スピーカより緊急情報がユーザに即時に通報される。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明は、発信者本人の音声が直接呼び出せるため、音声により発信者を容易に特定することができる。又、メモリ部には、自動受信が許可される発信者の情報データを予め任意に登録できるため、受信者は、希望する発信者のみと通話をすることができる。
【0015】
請求項2記載の発明は、受信側で完全なハンズフリー受信・通話が可能になるので、請求項1記載の発明の効果に加えて、受信操作が不要になり、特に、車載電話機の場合、受信者は運転中に着信を受けても、ハンドルを握ったまま運転に専念できる。
【0016】
請求項3記載の発明は、受信者の音声指令により電話機をオフモードに切り替えることができるので、請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、受信者はマニアル操作することなく、通話を簡単に終了させることができる。
【0017】
請求項4記載の発明は、大規模災害時などの緊急情報を即時に通報できるので、請求項1,2又は3記載の発明の効果に加えて、大規模災害時などに有効な緊急通報手段として機能することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、登録済みの発信者に対してのみ自動受信し、且つ、該発信者を容易に特定でき、ハンズフリー受信・通話を可能にするという目的を、呼出信号とともに送信される発信者データと対応する発信者特定情報データが予め登録されたメモリ部と、電話着信時に前記発信者データと登録済みの発信者特定情報データとが一致しているか否かを判定する制御部と、前記双方のデータが一致しているとき自動受信状態に切り替わる自動受信スイッチ部と、自動受信後の発信者の音声を報音するスピーカとを有し、登録済みの発信者に対し自動受信を行えるように構成されていることにより達成した。
【実施例】
【0019】
以下、本発明の好適な一実施例について、図1及び図2に従って説明する。本実施例は、ワイヤレス・ハンズフリー通話が可能なBluetooth機能内蔵の携帯型電話機(車載電話機を含む)に適用したものであるが、有線式又は無線式の固定型電話機にも適用可能である。本実施例は、登録済みの発信者から着信があった時に、ユーザが受信操作をせずに自動受信を許可して、発信者の音声を報音可能としたものである。この電話機の特徴は、図1に示すように、従来機(図3参照)において自動受信スイッチ部19を付加することにより、登録済みの発信者から着信があった時に、自動受信状態に切り替えて自動通話を可能にした点にある。
【0020】
電話機10は、アンテナ11が接続された無線部12と、呼出信号とともに送信される発信者データ(例えば電話番号。以下、発番号情報データという。)と対応する発信者特定情報データが予め登録・記憶されたメモリ部13と、各種音声情報データに基づいて音声信号を生成するADPCMデコード部14と、該音声信号を報知音声として報音するスピーカ15と、電話機10の操作状態などを表示する表示部16と、ユーザにより入力操作されるキー入力部17と、着信した発番号情報データが登録済みの発信者特定情報データと一致した時に受信状態になる自動受信スイッチ部19と、CPUを含み上記各部の動作を制御する制御部18とから成る。
【0021】
アンテナ11は電話通信網からの電波を送受信する。アンテナ11には無線部12が接続され、無線部12は電波を変調したり、或いは送信電波に復調する。この無線部12に前記制御部18が後続され、制御部18にはメモリ部13、ADPCMデコード部14、スピーカ15、表示部16、キー入力部17及び自動受信スイッチ部19が夫々接続され、これら各部は制御部18のCPUにより動作制御される。
【0022】
本実施例では、制御部18は、ハンズフリーヘッドセットとワイヤレス通信可能な通信処理部と、ユーザから入力される音声データを通話オフモード指令信号に変換する信号処理部と、電話着信時に前記発信者データと登録済みの発信者特定情報データとが一致しているか否かを照合して判定する判定処理部としても機能する。従って、電話機10は、ハンズフリーヘッドセットを介してワイヤレス通話が可能であり、又、ユーザの音声指令により自動受信後の通話をオフモードに切り替えることができる。
【0023】
メモリ部13は、電話機10の動作に必要なプログラムや可変データを記憶する。又、メモリ部13には、発番号情報データに対応付けて、発信者特定情報データが予め登録・記憶されている。尚、発番号情報データである電話番号は、電話着信時に基地局から呼出信号とともに送信される。
【0024】
ADPCMデコード部14は、既知の時間領域符号化方式により、各種音声情報データに基づき音声信号を生成する。この音声信号は適宜増幅部を介して、スピーカ15から報知音声として再生される。又、表示部16は、電話機10の操作状態、各種メッセージ、受信情報その他を画面表示する。
【0025】
キー入力部17は、発信・着信応答時に使用する開始キーと、ユーザーが希望する電話番号などをメモリ部13に登録する際に使用する登録用キー及び一般操作用キーを備えている。更に、キー入力部17を介して行われるユーザの操作入力データは、制御部18のCPUにより所定プログラムに従って、電話機10の各部を動作制御する。
【0026】
自動受信スイッチ部19は、自動受信が許可登録されている発信者から着信があった時に、制御部18の指令信号により自動受信状態に切り替わり、自動受信後、発信者から発せられた音声は、スピーカ15から直接報音される。
【0027】
上記電話機10による着信後の動作例を説明する。図2は着信後の動作制御を示すフローチャートである。まず、待機中の電話機10が電話通信網から着信信号を受信すると(S1)、制御部18のCPUが着信信号中に含まれる発番号情報データ(電話番号)を抽出して、メモリ部13に登録済みの発信者特定情報データと比較照合し、一致(対応)するものがあるか否かを判定する(S2)。
【0028】
その結果、一致するものがなければステップS6に進む。一方、一致するものがあればステップS3に進む。ステップS3では、自動受信スイッチ部19における自動受信が、許可されているか否かを判定する。その結果、許可されていなければ(自動受信スイッチ部19が作動不能な設定状態)、ステップS6に進む。一方、許可されていれば(自動受信スイッチ部19が作動可能な設定状態)ステップS4に進む。
【0029】
ステップS4では、自動受信スイッチ部19が自動受信状態に自動的に設定される。そして、発信者が音声を発すると、該音声はスピーカ15から報音される。これにより、受信者は受信操作無しで、発信者と通話を開始できる(S5)。
【0030】
一方、前述のステップS2又はステップS3でNOと判定された場合はステップS6に進むが、ステップS6では、制御部18のCPUが規定の着信音をスピーカ15より鳴動させる。これにより、受信者は、着信状態にあることを認識でき、通常の受信操作により発信者と通話を開始できる(S7)。
【0031】
本実施例は、自動受信が許可された発信者の情報データを予めメモリ部13に登録しておき、発信者から着信があった時に、該発信者の着信データとメモリ登録データとを照合し、双方のデータがマッチする場合は、自動受信スイッチ部19が受信状態に切り替わり、スピーカ15を通して発信者の音声が報音される。
【0032】
従来の電話機では、電話着信時に着信メロディ等によって発信者を特定することができなかったが、本実施例の電話機10では、発信者本人の音声が受信者に直接呼び出されるため、発信者を音声で識別して特定することができる。
【0033】
又、受信者は、自動受信が可能な発信者の情報データを、メモリ部13に予め登録しておくことにより、希望しない発信者の報音・通話を避けることができる。即ち、受信者は、希望する発信者とのみ通話することができる。
【0034】
本実施例の電話機10は、ハンズフリーヘッドセットを介して通話できるので、受信側でハンズフリー受信・双方向通話が可能になる。従って、例えば車載電話機の場合、受信者は運転中に着信を受けても、ハンドルを握ったまま安全運転に専念できる。
【0035】
更に、受信者は、自動受信後の通話を音声指令でオフモードに切り替えることができる。即ち、受信者は音声指令、例えば「切断」と言えば、手動操作することなく、通話を簡単に終了させることができる。
【0036】
更に又、自動受信を許可された発信者情報として、本実施例では、大規模災害時などの緊急情報を連絡する特定発信者のデータがメモリ部13に登録されている。従って、特定発信者から着信があると、自動受信により緊急情報がスピーカ15からユーザに自動通報されるので、ユーザは緊急状態発生時に即時に対応することができる。
【0037】
本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。例えば、本発明は、音声と共に画像などを送信できる電話機にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施例に係る電話機の構成を示すブロック図。
【図2】図1の電話機の制御の一例を説明するフローチャート。
【図3】従来の電話機の構成例を示すブロック図。
【符号の説明】
【0039】
10 電話機
11 アンテナ
12 無線部
13 メモリ部
14 ADPCMデコード部
15 スピーカ
16 表示部
17 キー入力部
18 制御部
19 自動受信スイッチ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼出信号とともに送信される発信者データと対応する発信者特定情報データが予め登録されたメモリ部と、電話着信時に前記発信者データと登録済みの発信者特定情報データとが一致しているか否かを判定する制御部と、前記双方のデータが一致しているとき自動受信状態に切り替わる自動受信スイッチ部と、自動受信後の発信者の音声を報音するスピーカとを有し、登録済みの発信者に対し自動受信を行えるように構成されていることを特徴とする自動受信機能付き電話機。
【請求項2】
上記制御部は、ハンズフリーヘッドセットを介する通話を可能にする通信処理部を有することを特徴とする請求項1記載の自動受信機能付き電話機。
【請求項3】
上記制御部は、自動受信後の通話を音声指令によりオフモードに切り替える信号処理部を有することを特徴とする請求項1又は2記載の自動受信機能付き電話機。
【請求項4】
上記メモリ部には、緊急情報を連絡する発信者のデータが予め登録されていることを特徴とする請求項1,2又は3記載の自動受信機能付き電話機。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−180613(P2007−180613A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−373515(P2005−373515)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】