説明

自動周波数制御ループ回路

【課題】高い精密度を有しながら周波数を広帯域で発振させることができる自動周波数制御ループ回路を提供すること。
【解決手段】基準周波数を発生させるクロック発振部と、基準周波数を第1分周比で分周する第1分周器、発振周波数を第2分周比で分周する第2分周器、第1分周器によって分周された第1分周周波数と第2分周器によって分周された第2分周周波数との間の位相差を検出する位相検出器、位相差に対応して発振周波数を発生させる電圧制御発振器と、入力周波数と発振周波数に対応して出力周波数を出力する周波数変換器を含む周波数合成部と、出力周波数を設定周波数と比較して誤差を検出する誤差検出器、誤差を積分する積分器と、積分器の積分値に対応する制御信号を計算する演算器を含む復調部とを含み、制御信号に応じて第1分周比及び第2分周比を変更して誤差を補正することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数制御ループ回路に関し、さらに詳細には、高い精密度を有して広帯域で周波数を発振させ得るようにするために周波数合成器の分周比を変更させる周波数制御ループ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、RF通信システムは、高い周波数の帯域のRF信号を用いており、高い周波数の帯域のRF信号を基底帯域に変換するための局所発振器(Local Oscillator;LO)を採用している。
【0003】
しかし、局所発振器によって生成された周波数、またはRF信号の周波数と、システムにおいて要求される周波数とには誤差が生じる。このような誤差は、基底帯域における時間情報のエラーを発生させる原因となる。
【0004】
すなわち、データ通信またはRF通信において信号を受信して処理する際、受信された信号の周波数とクロックサンプリング周波数または周波数発振器の周波数との間に誤差が発生する場合、時間情報のエラーを発生させ、受信部が受信信号を正確に信号処理ができなくなる。
【0005】
従来の受信器では、このような問題点を解決するために、周波数発生器、またはクロックサンプル周波数発生器に周波数制御ループをさらに加え、時間情報の誤差を補正している。このような制御ループを、自動周波数制御ループ(Automatic Frequency Control Loop; AFC)と言い、周波数を制御して補償するために、通常VCTCXO(Voltage Controlled Temperature Compensated Crystal Oscillator)を用いている。
【0006】
図1は、従来のVCTCXOを含む自動周波数制御ループを説明するために示したブロック図である。
【0007】
図1に示されているように、従来の周波数合成器100は、周波数合成部110aないし110n、復調部120a ないし120n、及びVCTCXO130a ないし130nを含む。
【0008】
周波数合成部110aは、入力周波数信号FIN1とVCTCXO130aの出力信号とを用いて出力周波数信号FOUT1を出力する。
【0009】
復調部120aは、周波数合成部110aから出力された出力周波数FOUT1のエラーを検出して補正することができるように制御信号を発生する。
【0010】
VCTCXO130aは、復調部120aの制御信号を受け取って周波数を発振し、発振された周波数の信号を周波数合成部110aに帰還(feedback)入力し、周波数制御ループを形成する。
【0011】
従って、従来の自動周波数制御ループは、独立した VCTCXO130a ないし130nを用いて、制御信号に応じて、 VCTCXO130a ないし130nの電圧を調節して周波数を制御する。
【0012】
しかし、 VCTCXO130a ないし130nは、クリスタルやクロック発生素子に比べて生産工程が複雑で、高価であるという欠点がある。
【0013】
また、移動通信のためのCDMA(CODE DIVISION MULTIPLE ACCESS)システムと無線放送受信のためのDMB(DIGITAL MULTIMEDIA BROADCASTING)システムが一つの移動通信端末機に含まれるように、複数のシステムが一つの移動通信端末機に含まれる場合、それぞれのシステムに、自動周波数制御ループがそれぞれ含まれなければならないため、移動通信端末機には、複数の自動周波数制御ループ、または複数のVCTCXOが必要となる。従って、複数のシステムが一つの移動通信端末機に含まれる場合、移動通信端末機の体積が大きくなり、ハウジングの大きさが制限され、生産費が高く、また生産性が低いといった問題が生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで、本発明は、上述した従来の技術の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、高い精密度を有しながら周波数を広帯域で発振させることができる自動周波数制御ループ回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決するための本発明による自動周波数制御ループ回路は、基準周波数を発生させるクロック発振部と、前記基準周波数を第1分周比で分周する第1分周器、発振周波数を第2分周比で分周する第2分周器、前記第1分周器によって分周された第1分周周波数と前記第2分周器によって分周された第2分周周波数との間の位相差を検出する位相検出器(Phase Detector)、前記位相差に対応して前記発振周波数を発生させる電圧制御発振器(Voltage Controlled Oscillator)と、入力周波数と前記発振周波数とに基づいて出力周波数を出力する周波数変換器を含む周波数合成部と、前記出力周波数を設定周波数と比較して誤差を検出する誤差検出器、前記誤差を積分する積分器と、前記積分器の積分値に対応する制御信号を計算する演算器を含む復調部と、を含み、前記制御信号に応じて、前記第1分周比または前記第2分周比を変更して前記誤差を補正することを特徴とする。
【0016】
ここで、上述の第1分周比または第2分周比が、Fractional―N―PLLであり、前記第1分周比または第2分周比が、実数であることが好ましい。
【0017】
ここで、上述の発振周波数が、前記第1分周周波数を前記第2分周比の逆数で乗算した周波数であることが好ましい。
【0018】
また、本発明による自動周波数制御ループ回路は、基準周波数を発生させるクロック発振部と、前記基準周波数を第1分周比で分周する第1分周器、発振周波数を第2分周比で分周する第2分周器、前記第1分周器によって分周された第1分周周波数と前記第2分周器によって分周された第2分周周波数との間の位相差を検出するための位相検出器、前記位相差に対応して前記発振周波数を発生させる電圧制御発振器、入力周波数と前記発振周波数とに基づいて出力周波数を出力する周波数変換器と、制御信号を受信する第1通信機を含む周波数合成部と、前記周波数変換器の出力周波数を設定周波数と比較して誤差を検出する誤差検出器、前記誤差を積分する積分器、前記積分器の積分値に対応する前記制御信号を計算する演算器と、前記制御信号を前記第1通信機へ伝送する第2通信機を含む復調部と、を含み、前記制御信号に応じて、前記第1分周比または前記第2分周比を変更して前記誤差を補正することを特徴とする。
【0019】
ここで、上述の第1分周比または第2分周比が、Fractional―N―PLLであり、前記第1分周比または第2分周比が、実数であることが好ましい。
【0020】
ここで、上述の発振周波数が、前記第1分周周波数を前記第2分周比の逆数で乗算した周波数であることが好ましい。
【0021】
ここで、上述の第1通信機及び第2通信機が、シリアル伝送方式またはパラレル伝送方式のうち何れかの伝送方式を用いることが好ましい。
【0022】
また、本発明による自動周波数制御ループ回路は、基準周波数を発生させるクロック発振部と、前記基準周波数を第1分周比で分周する第1分周器、発振周波数を第2分周比で分周する第2分周器、前記第1分周器によって分周された第1分周周波数と第2分周器によって分周された第2分周周波数との間の位相差を検出するための位相検出器、前記位相差に対応して前記発振周波数を発生させる電圧制御発振器、入力周波数と前記発振周波数に基づいて出力周波数を出力する周波数変換器、誤差信号を受信する第1通信機と、前記誤差信号を積分する積分器を含む周波数合成部と、前記出力周波数を設定周波数と比較して前記誤差を検出して前記誤差信号を出力する誤差検出器と、前記誤差信号を前記第1通信部へ伝送する第2通信部を含む復調部と、を含み、前記積分器によって積分された誤差に対応して前記第1分周比または前記第2分周比を変更して前記誤差を補正することを特徴とする。
【0023】
ここで、上述の第1分周比または第2分周比が、Fractional―N―PLLであり、前記第1分周比または第2分周比が、実数であることが好ましい。
【0024】
ここで、上述の発振周波数が、前記第1分周周波数を前記第2分周比の逆数で乗算した周波数であることが好ましい。
【0025】
ここで、上述の第1通信機及び第2通信機が、シリアル伝送方式またはパラレル伝送方式のうち何れかの伝送方式を用いることが好ましい。
【0026】
また、本発明による自動周波数制御ループ回路は、基準周波数を発生させるクロック発振部と、前記基準周波数を第1分周比で分周する第1分周器、発振周波数を第2分周比で分周する第2分周器、前記第1分周器によって分周された第1分周周波数と前記第2分周器によって分周された第2分周周波数との間の位相差を検出するための位相検出器、前記位相差に対応して前記発振周波数を発生させる電圧制御発振器、入力周波数と前記発振周波数とに基づいて出力周波数を出力する周波数変換器と、前記第1分周比と第2分周比とを変更するための制御器を含む周波数合成部と、前記出力周波数を設定周波数と比較して誤差を検出する誤差検出器と、前記誤差を積分する積分器を含む復調部と、を含み、前記制御器が前記積分器の積分値に対応して前記第1分周比または前記第2分周比を変更して前記誤差を補正することを特徴とする。
【0027】
ここで、上述の第1分周比または第2分周比が、Fractional―N―PLLであり、前記第1分周比または第2分周比が、実数であることが好ましい。
【0028】
ここで、上述の発振周波数が、前記第1分周周波数を前記第2分周比の逆数で乗算した周波数であることが好ましい。
【0029】
ここで、上述の前記制御器が、前記積分器の積分値と上限の臨界値とを比較する上限の臨界値の比較器と、前記積分器の積分値と下限の臨界値とを比較する下限の臨界値の比較器と、前記上限の臨界値の比較器の出力値によって増加し、前記下限の臨界値の比較器の出力値によって減少するカウント値を有するアップダウンカウンタとを含み、該アップダウンカウンタによって、前記第1分周比または第2分周比が加減されることが好ましい。
【0030】
その他の実施の形態の具体的な事項は、詳細な説明及び図面に記載されている。
【発明の効果】
【0031】
本発明の自動周波数制御ループ回路は、高い精密度を有し、広帯域に周波数を発振することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明のもっとも好ましい実施の形態を添付する図面を参照して説明する。
【0033】
図2は、本発明に係る広帯域周波数で発振することができる受信器200を示したブロック図である。
【0034】
図2に示されているように、周波数合成器200は、クロック発振部210、周波数合成部220及び復調部230を含む。
【0035】
クロック発振部210は、基準周波数を発生させる素子を含む。
周波数合成部220は、基準周波数と、入力信号FINと、出力周波数FOUTを補正するための制御信号とを受け取り、出力周波数FOUTを出力する。周波数合成部220は、基準周波数及び制御信号によって局所的な発振周波数信号を生成し、発振周波数と入力信号FINとを合成して出力周波数FOUTを出力する。
復調部230は、出力周波数FOUTと設定周波数とが入力され、設定周波数に対する出力周波数FOUTの誤差を出力する。復調部230は、出力周波数FOUTを設定周波数と比較して、出力周波数FOUTの誤差を検出し、検出された誤差を補正するための制御信号を周波数合成部220へ入力する。
【0036】
出力周波数の誤差に基づいて制御信号を生成し、その制御信号に基づいて局所発振周波数を広範囲に変更することにより、単一のクロック発振部210を用いて広い周波数帯域で高精度に局所発振周波数を生成することができる。
このように構成することによって、クロック発振部の数を低減して、自動周波数制御ループでの帰還分周比を調整し、広範囲の帯域で周波数を発振することができる周波数合成器の具現が可能である。
【0037】
図3は、本発明の一実施の形態に係る広帯域周波数で発振することができる受信器300を示したブロック図である。
【0038】
図3に示されているように、受信器300は、基準周波数Frefを発振する素子を含むクロック発振部310と、基準周波数Fref、入力周波数FIN、及び出力周波数FOUTを補正するための制御信号を受け取る周波数合成部320と、周波数合成部320の出力周波数FOUTの誤差を検出し、検出された誤差を補正するための制御信号を周波数合成部320へ入力するための復調部330と、を含む。
【0039】
クロック発振部310は、基準周波数Frefを発振するための発振素子を含む。周波数合成部320は、第1分周器321、第2分周器325、位相検出器322、電圧制御発振器323及び周波数変換器324を含む。復調部330は、誤差検出器331、積分器332及び演算器333を含む。
第1分周器321は、基準周波数Frefが入力される入力端と、制御信号が入力される制御端とを備える。第1分周器321は、制御信号により第1分周比1/PLLを制御し、基準周波数Frefを第1分周比1/PLLで分周する。
第2分周器325は、発振周波数FLOが入力される入力端と、制御信号が入力される制御端とを備える。第2分周器325は、制御信号により第2分周比1/PLLを制御し、発振周波数FLOを第2分周比1/PLLで分周する。
位相検出器322は、第1分周器321の出力周波数1/PLL*Frefが入力される+入力端と、第2分周器325の出力周波数1/PLL*FLOが入力される−入力端子と、第1分周器321の出力周波数1/PLL*Frefと第2分周器325の出力周波数1/PLL*FLOとの位相差を出力する出力端とを備えている。位相検出器322は、第1分周器321の出力周波数1/PLL*Frefと、第2分周器325の出力周波数1/PLL*FLOとの位相差を算出し、位相差を出力する。
電圧制御発振器323は、位相検出器322からの位相差が入力される入力端と、発振周波数FLOを出力する出力端とを備えている。電圧制御発振器323は、位相差の信号が有する電圧に基づいて発振周波数FLOを生成し、出力する。
周波数変換器324は、発振周波数FLOが入力される第1入力端と、入力周波数FINが入力される第2入力端と、出力周波数FOUTを出力する出力端とを備えている。周波数変換器324は、発振周波数FLOと、入力周波数FINとを合成(ミキシング)して出力周波数FOUTを生成し、出力する。周波数変換器324は、出力周波数FOUTを受信器300の外部に出力すると共に、復調部330にフィードバックする。
誤差検出器331は、出力周波数FOUTが入力される入力端と、設定周波数が入力される入力端と、設定周波数に対する出力周波数FOUTの誤差を出力する出力端とを備えている。誤差検出器331は、出力周波数FOUTを設定周波数と比較し、設定周波数に対する出力周波数FOUTの誤差を出力する。設定周波数は、入力信号FINや、CDMA、DMB等の通信方式によって、複数の異なる値に変更される。なお、誤差検出器331に設定周波数を予め設定しておき、設定周波数入力用の入力端を省略しても良い。
積分器332は、誤差検出器331からの誤差が入力される入力端と、誤差の時間的な積分値(誤差積分値)が出力される出力端とを備え、誤差信号を時間的に積分し、誤差積分値を出力する。
演算器333は、誤差積分値が入力される入力端と、第1分周器321及び第2分周器325に制御信号を出力する出力端とを備える。演算器333は、誤差積分値に基づいて、第1分周器321の第1分周比、及び、第2分周器325の第2分周比を制御するための制御信号を生成し、出力する。
上述した構成において、複数の入力端を共通にして時分割で信号が入力されることが可能であり、複数の出力端を共通にして時分割で信号を出力することが可能である。また、種類の異なる入力端、出力端、制御端の2つ以上を共通にして時分割で信号を入出力するように構成しても良い。
【0040】
クロック発振部310の出力端は、第1分周器321の入力端と接続される。第1分周器321の出力端は、位相検出器322の+入力端に接続される。位相検出器322の出力端は、電圧制御発振器323の入力端に接続される。電圧制御発振器323の出力端は、周波数変換器324の第1入力端と第2分周器325の入力端とにそれぞれ接続される。第2分周器325の出力端は、位相検出器322の−入力端に接続される。周波数変換器324の出力端は、誤差検出器331の入力端に接続される。誤差検出器331の出力端は、積分器332の入力端に接続される。積分器332の出力端は、演算器333の入力端に接続される。演算器333の出力端は、第1分周器321の制御端と第2分周器325の制御端とにそれぞれ接続される。入力周波数FINは、周波数変換器324の第2入力端に接続され、出力周波数FOUTは、周波数変換器324の出力端から出力される。
【0041】
クロック発振部310で基準周波数Frefを発振し、周波数合成部320に供給する。
【0042】
第1分周器321で基準周波数Frefを第1分周比1/PLLで乗算し、1/PLL*Frefを位相検出器322の+入力端に印加する。ここで、第1分周器321を構成する時、Fractional―N―PLLを用いて第1分周比1/PLLを実数の領域で分周できる。
【0043】
位相検出器322において、+入力端に印加される第1分周器321の出力周波数1/PLL*Frefと、−入力端に印加される第2分周器325の出力周波数1/PLL*FLOとの位相差を検出し、その結果の位相差を電圧制御発振器323の入力端に印加する。
【0044】
電圧制御発振器323では、位相検出器322で検出された位相差に対応して発振周波数FLOを発振し、第2分周器325の入力端と周波数変換器324の入力端とにそれぞれ発振周波数FLOを印加する。ここで、発振周波数FLOは、第1分周器321の出力周波数1/PLL*Frefを第2分周比1/PLLの逆数で乗算した周波数FLO=PLL*Fref/ PLLである。
【0045】
第2分周器325は、発振周波数FLOを第2分周比1/PLLで乗算し、1/PLL*FLOを位相検出器322の−入力端に印加する。ここで、第2分周器325を構成する時、Fractional―N―PLLを用いて第2分周比1/PLLを実数の領域で分周できる。
【0046】
周波数変換器324は、制御電圧発振器323の発振周波数FLOと入力周波数FINとを合成して出力周波数FOUTを出力し、誤差検出器331の入力端に出力周波数FOUTを印加する。
【0047】
誤差検出器331では、出力周波数FOUTを設定された周波数(設定周波数)と比較して誤差を計算し、その計算結果を積分器332に印加する。
積分器332は、誤差検出器331で検出された誤差周波数を時間領域で積分し、その積分結果を演算器333に印加する。
演算器333は、積分器332で積分された誤差周波数の大きさを用いて制御量を計算し、その計算結果を用いて第1分周比と第2分周比とを変更する。
【0048】
すなわち、このように第1分周比1/PLLまたは第2分周比1/PLLを変更することによって、基準周波数Frefを変更させて出力周波数FOUTの誤差を補正することができる。出力周波数FOUTの設定周波数に対する誤差に応じて制御信号を生成し、制御信号に基づいて第1分周器321及び第2分周器325の各分周比を変更することにより、局所的な発振周波数FLOを広い範囲で変更することが可能である。その結果、単一のクロック発振部310を用いて、発振周波数FLOを広い周波数帯域で高精度に制御することが可能となる。
【0049】
図4は、本発明の他の実施の形態による広帯域周波数で発振することができる受信器400を示したブロック図である。
【0050】
図4に示されているように、受信器400は、基準周波数Frefを発振する素子を含むクロック発振部410と、基準周波数Fref、入力周波数FIN、及び出力周波数FOUTを補正するための制御信号を受け取る周波数合成部420と、周波数合成部420の出力周波数FOUTの誤差を検出し、検出された誤差を補正するための制御信号を周波数合成部420へ入力するための復調部430と、を含む。
【0051】
クロック発振部410は、基準周波数Frefを発振するための発振素子を含む。周波数合成部420は、第1分周器421、第2分周器425、位相検出器422、電圧制御発振器423、周波数変換器424及び第1通信機426を含む。復調部430は、誤差検出器431、積分器432、演算器433及び第2通信機434を含む。
第1分周器421は、基準周波数Frefが入力される入力端と、制御信号が入力される制御端とを備える。第1分周器421は、制御信号により第1分周比1/PLLを制御し、基準周波数Frefを第1分周比1/PLLで分周する。
第2分周器425は、発振周波数FLOが入力される入力端と、制御信号が入力される制御端とを備える。第2分周器425は、制御信号により第2分周比1/PLLを制御し、発振周波数FLOを第2分周比1/PLLで分周する。
位相検出器422は、第1分周器421の出力周波数1/PLL*Frefが入力される+入力端と、第2分周器425の出力周波数1/PLL*FLOが入力される−入力端子と、第1分周器421の出力周波数1/PLL*Frefと第2分周器425の出力周波数1/PLL*FLOとの位相差を出力する出力端とを備えている。位相検出器422は、第1分周器421の出力周波数1/PLL*Frefと、第2分周器425の出力周波数1/PLL*FLOとの位相差を算出し、位相差を出力する。
電圧制御発振器423は、位相検出器422からの位相差が入力される入力端と、発振周波数FLOを出力する出力端とを備えている。電圧制御発振器423は、位相差の信号が有する電圧に基づいて発振周波数FLOを生成し、出力する。
周波数変換器424は、発振周波数FLOが入力される第1入力端と、入力周波数FINが入力される第2入力端と、出力周波数FOUTを出力する出力端とを備えている。周波数変換器424は、発振周波数FLOと入力周波数FINとを合成して出力周波数FOUTを生成し、出力する。周波数変換器424は、出力周波数FOUTを受信器400の外部に出力すると共に、復調部430にフィードバックする。
誤差検出器431は、出力周波数FOUTが入力される入力端と、設定周波数が入力される入力端と、設定周波数に対する出力周波数FOUTの誤差を出力する出力端とを備えている。誤差検出器431は、出力周波数FOUTを設定周波数と比較し、設定周波数に対する出力周波数FOUTの誤差を出力する。なお、誤差検出器431に設定周波数を予め設定しておき、設定周波数入力用の入力端を省略しても良い。
積分器432は、誤差検出器431からの誤差が入力される入力端と、誤差の時間的な積分値(誤差積分値)が出力される出力端とを備え、誤差信号を時間的に積分し、誤差積分値を出力する。
演算器433は、誤差積分値が入力される入力端と、第1分周器421及び第2分周器425に制御信号を出力する出力端とを備える。演算器333は、誤差積分値に基づいて、第1分周器321の第1分周比、及び、第2分周器325の第2分周比を制御するための制御信号を生成し、出力する。
第2通信機434は、演算器433から制御信号を受信し、第1通信機426に送信する。第1通信機426は、第2通信機434から受信した制御信号を第1分周器421及び第2分周器425の制御端に出力する。
【0052】
クロック発振部410の出力端は、第1分周器421の入力端と接続される。第1分周器421の出力端は、位相検出器422の+入力端に接続される。位相検出器422の出力端は、電圧制御発振器423の入力端に接続される。電圧制御発振器423の出力端は、周波数変換器424の第1入力端と第2分周器425の入力端とにそれぞれ接続される。第2分周器425の出力端は、位相検出器422の−入力端に接続される。周波数変換器424の出力端は、誤差検出器431の入力端に接続される。
【0053】
誤差検出器431の出力端は、積分器432の入力端に接続される。積分器432の出力端は、演算器433の入力端に接続される。演算器433の出力端は、第2通信機434の入力端に接続される。第2通信機434の出力端は、第1通信機426の入力端に接続される。第1通信機426の出力端は、第1分周器421の制御端と第2分周器425の制御端とにそれぞれ接続される。
【0054】
入力周波数FINは、周波数変換器424の第2入力端に接続され、出力周波数FOUTは、周波数変換器424の出力端から出力される。
【0055】
クロック発振部410で基準周波数Frefを発振し、周波数合成部420に供給する。
【0056】
第1分周器421で基準周波数Frefを第1分周比1/PLLで乗算し、1/PLL*Frefを位相検出器422の+入力端に印加する。ここで、第1分周器421を構成する時、Fractional―N―PLLを用いて第1分周比1/PLLを実数の領域で分周できる。
【0057】
位相検出器422において、+入力端に印加される第1分周器421の出力周波数1/PLL*Frefと、−入力端に印加される第2分周器425の出力周波数1/PLL*FLOとの位相差を検出し、その結果の位相差を電圧制御発振器423の入力端に印加する。
【0058】
電圧制御発振器423では、位相検出器422で検出された位相差に対応して発振周波数FLOを発振し、第2分周器425の入力端と周波数変換器424の入力端とにそれぞれ発振周波数FLOを印加する。ここで、発振周波数FLOは、第1分周器421の出力周波数1/PLL*Frefを第2分周比1/PLLの逆数で乗算した周波数FLO=PLL*Fref/ PLLである。
【0059】
第2分周器425は、発振周波数FLOを第2分周比1/PLLで乗算し、1/PLL*FLOを位相検出器422の−入力端に印加する。ここで、第2分周器425を構成する時、Fractional―N―PLLを用いて、第2分周比1/PLLを実数の領域で分周できる。
【0060】
周波数変換器424は、制御電圧発振器423の発振周波数FLOと入力周波数FINとを合成して出力周波数FOUTを出力し、誤差検出器431の入力端に出力周波数FOUTを印加する。
【0061】
第1通信機426は、第1分周比1/PLLと第2分周比1/PLLとを変更するための制御信号を第2通信機434から受信する。
【0062】
誤差検出器431では、出力周波数FOUTを設定周波数と比較して誤差を計算し、その計算結果を積分器432に印加する。
【0063】
積分器432は、誤差検出器431で検出された誤差周波数を時間領域で積分し、その積分結果を演算器433に印加する。
【0064】
演算器433は、積分器432で積分された誤差周波数の大きさを用いて第1分周比と第2分周比とを変更するための制御量を計算し、その計算結果を第2通信機436を介して第1通信機426へ伝送する。
【0065】
ここで、第1通信機426及び第2通信機434は、直列通信または並列通信のうち何れかの通信方法を用いる制御信号は、第2通信機434で通信方式に適合した信号に変換されて送信され、第1通信機426で変換前の信号に復号される。
【0066】
このような構造によって、第1分周比1/PLL及び第2分周比1/PLLを変更することによって、基準周波数Frefを変更させて出力周波数FOUTの誤差を補正することができる。
【0067】
図5は、本発明のまた他の実施の形態による広帯域周波数で発振することができる受信器500を示したブロック図である。
【0068】
図5に示されているように、受信器500は、基準周波数Frefを発振する素子を含むクロック発振部510と、基準周波数Fref、入力周波数FIN、及び、出力周波数FOUTを補正するための制御信号を受け取る周波数合成部520と、周波数合成部520の出力周波数FOUTの誤差を検出し、検出された誤差を補正するための制御信号を周波数合成部520へ入力するための復調部530と、を含む。
【0069】
クロック発振部510は、基準周波数Frefを発振するための発振素子を含む。周波数合成部520は、第1分周器521、第2分周器525、位相検出器522、電圧制御発振器523、周波数変換器524、第1通信機526及び積分器527を含む。復調部530は、誤差検出器531及び第2通信機532を含む。
第1分周器521は、基準周波数Frefが入力される入力端と、制御信号が入力される制御端とを備える。第1分周器521は、制御信号により第1分周比1/PLLを制御し、基準周波数Frefを第1分周比1/PLLで分周する。
第2分周器525は、発振周波数FLOが入力される入力端と、制御信号が入力される制御端とを備える。第2分周器525は、制御信号により第2分周比1/PLLを制御し、発振周波数FLOを第2分周比1/PLLで分周する。
位相検出器522は、第1分周器521の出力周波数1/PLL*Frefが入力される+入力端と、第2分周器525の出力周波数1/PLL*FLOが入力される−入力端子と、第1分周器521の出力周波数1/PLL*Frefと第2分周器525の出力周波数1/PLL*FLOとの位相差を出力する出力端とを備えている。位相検出器522は、第1分周器521の出力周波数1/PLL*Frefと、第2分周器525の出力周波数1/PLL*FLOとの位相差を算出し、位相差を出力する。
電圧制御発振器523は、位相検出器522からの位相差が入力される入力端と、発振周波数FLOを出力する出力端とを備えている。電圧制御発振器523は、位相差の信号が有する電圧に基づいて発振周波数FLOを生成し、出力する。
周波数変換器524は、発振周波数FLOが入力される第1入力端と、入力周波数FINが入力される第2入力端と、出力周波数FOUTを出力する出力端とを備えている。周波数変換器524は、発振周波数FLOと入力周波数FINとを合成して出力周波数FOUTを生成し、出力する。周波数変換器524は、出力周波数FOUTを受信器500の外部に出力すると共に、復調部530にフィードバックする。
誤差検出器531は、出力周波数FOUTが入力される入力端と、設定周波数が入力される入力端と、設定周波数に対する出力周波数FOUTの誤差を出力する出力端とを備えている。誤差検出器531は、出力周波数FOUTを設定周波数と比較し、設定周波数に対する出力周波数FOUTの誤差を出力する。なお、誤差検出器531に設定周波数を予め設定しておき、設定周波数入力用の入力端を省略しても良い。
第2通信機532は、誤差検出器531から誤差信号を受信し、第1通信機526に送信する。
第1通信機526は、第2通信機532から受信した誤差信号を積分器527に出力する。
積分器527は、第1通信機526からの誤差信号が入力される入力端と、誤差の時間的な積分値(誤差積分値)に基づいた第1分周器521の第1分周比、及び、第2分周器525の第2分周比を制御するための制御信号を出力する出力端とを備えている。積分器527は、第1通信機526からの誤差信号を時間的に積分して誤差積分値を算出し、誤差積分値に基づいて第1分周器521の第1分周比、及び、第2分周器525の第2分周比を制御するための制御信号を生成し、出力する。
【0070】
クロック発振部510の出力端は、第1分周器521の入力端と接続される。第1分周器521の出力端は位相検出器522の+入力端に接続される。位相検出器522の出力端は、電圧制御発振器523の入力端に接続される。電圧制御発振器523の出力端は、周波数変換器524の第1入力端と第2分周器525の入力端とにそれぞれ接続される。第2分周器525の出力端は、位相検出器522の−入力端に接続される。第1通信機526の出力端は、積分器527の出力端に接続される。積分器527の出力端は、第1分周器521の制御端と第2分周器525の制御端とにそれぞれ接続される。周波数変換器524の出力端は、誤差検出器531の入力端に接続される。誤差検出器531の出力端は、第2通信機532の入力端に接続される。第2通信機532の出力端は、第1通信機526の入力端に接続される。
【0071】
入力周波数FINは、周波数変換器524の第2入力端に接続され、出力周波数FOUTは、周波数変換器524の出力端から出力される。
【0072】
クロック発振部510で基準周波数Frefを発振し、周波数合成部520に供給する。
第1分周器521で基準周波数Frefを第1分周比1/PLLで乗算し、1/PLL*Frefを位相検出器522の+入力端に印加する。ここで、第1分周器521を構成する時、Fractional―N―PLLを用いて第1分周比1/PLLを実数の領域で分周できる。
【0073】
位相検出器522において、+入力端に印加される第1分周器521の出力周波数1/PLL*Frefと、−入力端に印加される第2分周器525の出力周波数1/PLL*FLOとの位相差を検出し、その結果の位相差を電圧制御発振器523の入力端に印加する。
【0074】
電圧制御発振器523では、位相検出器522で検出された位相差に対応して発振周波数FLOを発振し、第2分周器525の入力端と周波数変換器524の入力端とにそれぞれ発振周波数FLOを印加する。
【0075】
ここで、発振周波数FLOは、第1分周器521の出力周波数1/PLL*Frefを第2分周比1/PLLの逆数で乗算した周波数FLO=PLL*Fref/ PLLである。
【0076】
第2分周器525は、発振周波数FLOを第2分周比1/PLLで乗算し、1/PLL*FLO、位相検出器522の−入力端に印加する。ここで、第2分周器525を構成する時、Fractional―N―PLLを用いて第2分周比1/PLLを実数の領域で分周できる。
【0077】
周波数変換器524は、制御電圧発振器523の発振周波数FLOと入力周波数FINとを合成して出力周数FOUTを出力し、誤差検出器531の入力端に出力周波数FOUTを印加する。
【0078】
第1通信機526は、第1分周比1/PLLと第2分周比1/PLLとを変更するための誤差検出器531の計算結果を第2通信機532から受信する。
【0079】
積分器527は、第1通信機526を用いて受信された誤差検出器531の計算結果を時間領域で積分し、その積分結果を用いて、第1分周比と第2分周比とを変更するための制御量を計算し、制御量を用いて第1分周比1/PLLと第2分周比1/PLLとを変更する。
【0080】
誤差検出器531では、出力周波数FOUTを設定周波数と比較して誤差を計算し、その計算結果を第2通信機532に印加する。
【0081】
第2通信機532では、誤差検出器531の計算結果を第1通信機526へ伝送する。ここで、第1通信機526及び第2通信機532は、直列通信または並列通信のうち何れかの通信方法を用いることになる。制御信号は、第2通信機532で通信方式に適合した信号に変換されて送信され、第1通信機526で変換前の信号に復号される。
【0082】
このような構造によって、第1分周比1/PLL及び第2分周比1/PLLを変更することによって、基準周波数Frefを変更して出力周波数FOUTの誤差を補正することができる。
【0083】
図6は、本発明のまた他の実施の形態による広帯域周波数で発振することができる受信器を示したブロック図である。
【0084】
図6に示されているように、受信器600は、基準周波数Frefを発振する素子を含むクロック発振部610と、基準周波数Fref、入力周波数FIN、及び出力周波数FOUTを補正するための制御信号を受け取る周波数合成部620と、周波数合成部620の出力周波数FOUTの誤差を検出し、検出された誤差を補正するための制御信号を周波数合成部620へ入力するための復調部630と、を含む。
【0085】
クロック発振部610は、基準周波数Frefを発振するための発振素子を含む。周波数合成部620は、第1分周器621、第2分周器625、位相検出器622、電圧制御発振器623、周波数変換器624及び制御器626を含む。復調部630は、誤差検出器631及び積分器632を含む。
第1分周器621は、基準周波数Frefが入力される入力端と、制御信号が入力される制御端とを備え、制御信号により第1分周比1/PLLを制御し、基準周波数Frefを第1分周比1/PLLで分周する。
第2分周器625は、発振周波数FLOが入力される入力端と、制御信号が入力される制御端とを備え、制御信号により第2分周比1/PLLを制御し、発振周波数FLOを第2分周比1/PLLで分周する。
位相検出器622は、第1分周器621の出力周波数1/PLL*Frefが入力される+入力端と、第2分周器625の出力周波数1/PLL*FLOが入力される−入力端子と、第1分周器621の出力周波数1/PLL*Frefと第2分周器625の出力周波数1/PLL*FLOとの位相差(位相差信号)を出力する出力端とを備えている。位相検出器622は、第1分周器621の出力周波数1/PLL*Frefと、第2分周器625の出力周波数1/PLL*FLOとの位相差を算出し、位相差信号を出力する。
電圧制御発振器623は、位相検出器622からの位相差信号が入力される入力端と、発振周波数FLOを出力する出力端とを備えている。電圧制御発振器623は、位相差信号の電圧に基づいて発振周波数FLOを生成し、出力する。
周波数変換器624は、発振周波数FLOが入力される第1入力端と、入力周波数FINが入力される第2入力端と、出力周波数FOUTを出力する出力端とを備えている。周波数変換器624は、発振周波数FLOと、入力周波数FINとに基づいて出力周波数FOUTを生成し、出力する。周波数変換器624は、出力周波数FOUTを受信器600の外部に出力すると共に、復調部630にフィードバックする。
誤差検出器631は、出力周波数FOUTが入力される入力端と、設定周波数が入力される入力端と、設定周波数に対する出力周波数FOUTの誤差を出力する出力端とを備えている。誤差検出器631は、出力周波数FOUTを設定周波数と比較し、誤差を出力する。なお、誤差検出器631に設定周波数を予め設定しておき、設定周波数入力用の入力端を省略しても良い。
積分器632は、誤差検出器631からの誤差が入力される入力端と、誤差の時間的な積分値(誤差積分値)が出力される出力端とを備え、誤差信号を時間的に積分し、誤差積分値を出力する。
制御器626は、誤差積分値が入力される入力端と、第1分周器621及び第2分周器625に制御信号を出力する出力端とを備える。制御器626は、誤差積分値に基づいて、第1分周器621の第1分周比、及び、第2分周器625の第2分周比を制御するための制御信号を生成し、出力する。
【0086】
クロック発振部610の出力端は、第1分周器621の入力端と接続される。第1分周器621の出力端は、位相検出器622の+入力端に接続される。位相検出器622の出力端は、電圧制御発振器623の入力端に接続される。電圧制御発振器623の出力端は、周波数変換器624の第1入力端と第2分周器625の入力端とにそれぞれ接続される。第2分周器625の出力端は、位相検出器622の−入力端に接続される。周波数変換器624の出力端は、誤差検出器631の入力端に接続される。制御器626の出力端は、第1分周器621の制御端と第2分周器625の制御端とにそれぞれ接続される。誤差検出器631の出力端は、積分器632の入力端に接続される。積分器632の出力端は、制御器626の入力端に接続される。
【0087】
入力周波数FINは、周波数変換器624の第2入力端に接続され、出力周波数FOUTは、周波数変換器624の出力端から出力される。
【0088】
クロック発振部610で基準周波数Frefを発振し、周波数合成部620に供給する。
【0089】
第1分周器621で基準周波数Frefを第1分周比1/PLLで乗算し、1/PLL*Frefを位相検出器622の+入力端に印加する。ここで、第1分周器621を構成する時、Fractional―N―PLLを用いて第1分周比1/PLLを実数の領域で分周できる。
【0090】
位相検出器622において、+入力端に印加される第1分周器621の出力周波数1/PLL*Frefと、−入力端に印加される第2分周器625の出力周波数1/PLL*FLOとの位相差を検出し、その結果の位相差を電圧制御発振器623の入力端に印加する。
【0091】
電圧制御発振器623では、位相検出器622で検出された位相差に対応して発振周波数FLOを発振し、第2分周器625の入力端と周波数変換器624の入力端とにそれぞれ発振周波数FLOを印加する。
ここで、発振周波数FLOは、第1分周器621の出力周波数1/PLL*Frefを第2分周比1/PLLの逆数で乗算した周波数FLO=PLL*Fref/ PLLである。
【0092】
第2分周器625は、発振周波数FLOを第2分周比1/PLLで乗算し、1/PLL*FLOを位相検出器622の−入力端に印加する。ここで、第2分周器625を構成する 時、Fractional―N―PLLを用いて第2分周比1/PLLを実数の領域で分周できる。
【0093】
周波数変換器624は、電圧制御発振器623の発振周波数FLOと入力周波数FINとを合成して出力周波数FOUTを出力し、誤差検出器631の入力端に出力周波数FOUTを印加する。
【0094】
制御器626は、積分器632で積分結果によって、第1分周比1/PLL及び第2分周比1/PLLを変更する。
【0095】
誤差検出器631では、出力周波数FOUTを設定周波数と比較して誤差を計算し、その計算結果を積分器632に印加する。
【0096】
積分器632は、誤差検出器631の計算結果を時間領域で積分し、その積分結果を制御器626へ伝送する。
【0097】
このような構造によって、第1分周比1/PLLまたは第2分周比1/PLLを変更することによって、基準周波数Frefを変更させ、出力周波数FOUTの誤差を補正することができる。
【0098】
上述の図3ないし図6に示されているように、従来の技術において、複数のVCTCXOを用いてCDMAシステムとDMBシステムを動作させる場合とは異なり、一つのクロック発振部を用いて第1分周比または第2分周比を変更することで、CDMAシステムとDMBシステムで要する周波数を発振することができるようになる。
【0099】
図7は、上述の図6の制御器を説明するために示されたブロック図である。
【0100】
図7に示されているように、制御器は、上限の臨界値比較器720、下限の臨界値比較器730及びアップダウンカウンタ710を含む。
【0101】
AFC制御値AFCcontrol(積分器からの入力)は、上限の臨界値比較器720の+端子と、下限の臨界値比較器730の−端子とにそれぞれ印加され、上限の臨界値Maxまたは下限の臨界値MinをAFC制御値AFCcontrolとを比較する。上限の臨界値比較器720の−端子には、上限の臨界値としての最大スレッシュホールド値Maxが印加され、下限の臨界値比較器730の+端子には、下限の臨界値としての最小スレッシュホールド値Minが印加される。
【0102】
上限の臨界値比較器720の+端子に印加されるAFC制御値AFCcontrolが上限の臨界値Maxより大きい場合には、上限の臨界値比較器720のアップカウントパルス信号UPが発生するようになる。下限の臨界値比較器730の−端子に印加されるAFC制御値AFCcontrolが下限の臨界値Minより小さい場合には、下限の臨界値比較器730のダウンカウンタパルス信号DNが発生するようになる。
【0103】
上限の臨界値比較器720の出力端子は、アップダウンカウンタ710のアップ端子(UP端子)に接続され、下限の臨界値比較器730の出力端子は、アップダウンカウンタ710のダウン端子(DN端子)に接続される。
【0104】
結局、上限の臨界値比較器720のアップカウントパルス信号UPが発生すると、アップダウンカウンタ710のアップ端子(UP端子)に印加され、アップダウンカウンタ710で出力信号が上方修正され、下限の臨界値比較器730のダウンカウンタパルス信号DNが発生すると、アップダウンカウンタ710のダウン端子(DN端子)に印加され、アップダウンカウンタ710で出力信号が下方修正される。
【0105】
アップダウンカウンタ710の出力端において、規定の第1または第2分周比(PLL、PLL)の値を増加または減少させて、第1または第2分周比(PLL´、PLL´)に変更する。制御器626は、第1分周比PLL´、第2分周比PLL´を出力する。
【0106】
ここで、復調器には電圧を反対の極性で印加することができる。よって、極性を反対に印加する場合には、上限の臨界値及び下限の臨界値が反対の極性で動作することは当業者であれば認知することができる。
【0107】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明に係る技術的思想から逸脱しない範囲内で様々な変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】従来のVCTCXOを含む自動周波数制御ループを説明するために示したブロック図である。
【図2】本発明による広帯域周波数で発振することができる受信器を示したブロック図である。
【図3】本発明の一実施の形態による広帯域周波数で発振することができる受信器を示したブロック図である。
【図4】本発明の他の実施の形態による広帯域周波数で発振することができる受信器を示したブロック図である。
【図5】本発明のまた他の実施の形態による広帯域周波数で発振することができる受信器を示したブロック図である。
【図6】本発明のまた他の実施の形態による広帯域周波数で発振することができる受信器を示したブロック図である。
【図7】図6の制御器を説明するために示したブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準周波数を発生させるクロック発振部と、
前記基準周波数を第1分周比で分周する第1分周器、発振周波数を第2分周比で分周する第2分周器、前記第1分周器によって分周された第1分周周波数と前記第2分周器によって分周された第2分周周波数との間の位相差を検出する位相検出器(Phase Detector)、前記位相差に対応して前記発振周波数を発生させる電圧制御発振器(VoltageControlled Oscillator)と、入力周波数と前記発振周波数とに基づいて出力周波数を出力する周波数変換器を含む周波数合成部と、
前記出力周波数を設定周波数と比較して誤差を検出する誤差検出器、前記誤差を積分する積分器と、前記積分器の積分値に対応する制御信号を計算する演算器を含む復調部と、を含み、
前記制御信号に応じて、前記第1分周比または前記第2分周比を変更して前記誤差を補正することを特徴とする自動周波数制御ループ回路。
【請求項2】
前記第1分周器または第2分周器が、Fractional―N―PLLであり、前記第1分周比または第2分周比が、実数であることを特徴とする請求項1に記載の自動周波数制御ループ回路。
【請求項3】
前記発振周波数が、前記第1分周周波数を前記第2分周比の逆数で乗算した周波数であることを特徴とする請求項1に記載の自動周波数制御ループ回路。
【請求項4】
基準周波数を発生させるクロック発振部と、
前記基準周波数を第1分周比で分周する第1分周器、発振周波数を第2分周比で分周する第2分周器、前記第1分周器によって分周された第1分周周波数と前記第2分周器によって分周された第2分周周波数との間の位相差を検出するための位相検出器、前記位相差に対応して前記発振周波数を発生させる電圧制御発振器、入力周波数と前記発振周波数とに基づいて出力周波数を出力する周波数変換器と、制御信号を受信する第1通信機を含む周波数合成部と、
前記周波数変換器の出力周波数を設定周波数と比較して誤差を検出する誤差検出器、前記誤差を積分する積分器、前記積分器の積分値に対応する前記制御信号を計算する演算器と、前記制御信号を前記第1通信機へ伝送する第2通信機を含む復調部と、を含み、
前記制御信号に応じて、前記第1分周比または前記第2分周比を変更して前記誤差を補正することを特徴とする自動周波数制御ループ回路。
【請求項5】
前記第1分周器または第2分周器が、Fractional―N―PLLであり、前記第1分周比または第2分周比が、実数であることを特徴とする請求項4に記載の自動周波数制御ループ回路。
【請求項6】
前記発振周波数が、前記第1分周周波数を前記第2分周比の逆数で乗算した周波数であることを特徴とする請求項4に記載の自動周波数制御ループ回路。
【請求項7】
前記第1通信機及び第2通信機が、シリアル伝送方式またはパラレル伝送方式のうち何れかの伝送方式を用いることを特徴とする請求項4に記載の自動周波数制御ループ回路。
【請求項8】
基準周波数を発生させるクロック発振部と、
前記基準周波数を第1分周比で分周する第1分周器、発振周波数を第2分周比で分周する第2分周器、前記第1分周器によって分周された第1分周周波数と第2分周器によって分周された第2分周周波数との間の位相差を検出するための位相検出器、前記位相差に対応して前記発振周波数を発生させる電圧制御発振器、入力周波数と前記発振周波数とに基づいて出力周波数を出力する周波数変換器、誤差信号を受信する第1通信機と、前記誤差信号を積分する積分器を含む周波数合成部と、
前記出力周波数を設定周波数と比較して前記誤差を検出して前記誤差信号を出力する誤差検出器と、前記誤差信号を前記第1通信部へ伝送する第2通信部を含む復調部と、を含み、
前記積分器によって積分された誤差に対応して前記第1分周比または前記第2分周比を変更して前記誤差を補正することを特徴とする自動周波数制御ループ回路。
【請求項9】
前記第1分周器または第2分周器が、Fractional―N―PLLであり、前記第1分周比または第2分周比が、実数であることを特徴とする請求項8に記載の自動周波数制御ループ回路。
【請求項10】
前記発振周波数が、前記第1分周周波数を前記第2分周比の逆数で乗算した周波数であることを特徴とする請求項8に記載の自動周波数制御ループ回路。
【請求項11】
前記第1通信機及び第2通信機が、シリアル伝送方式またはパラレル伝送方式のうち何れかの伝送方式を用いることを特徴とする請求項8に記載の自動周波数制御ループ回路。
【請求項12】
基準周波数を発生させるクロック発振部と、
前記基準周波数を第1分周比で分周する第1分周器、発振周波数を第2分周比で分周する第2分周器、前記第1分周器によって分周された第1分周周波数と前記第2分周器によって分周された第2分周周波数との間の位相差を検出するための位相検出器、前記位相差に対応して前記発振周波数を発生させる電圧制御発振器、入力周波数と前記発振周波数とに基づいて出力周波数を出力する周波数変換器と、前記第1分周比と第2分周比とを変更するための制御器を含む周波数合成部と、
前記出力周波数を設定周波数と比較して誤差を検出する誤差検出器と、前記誤差を積分する積分器とを含む復調部と、を含み、
前記制御器が前記積分器の積分値に対応して前記第1分周比または前記第2分周比を変更して前記誤差を補正することを特徴とする自動周波数制御ループ回路。
【請求項13】
前記第1分周器または第2分周器が、Fractional―N―PLLであり、前記第1分周比または第2分周比が、実数であることを特徴とする請求項12に記載の自動周波数制御ループ回路。
【請求項14】
前記発振周波数が、前記第1分周周波数を前記第2分周比の逆数で乗算した周波数であることを特徴とする請求項12に記載の自動周波数制御ループ回路。
【請求項15】
前記制御器が、
前記積分器の積分値と上限の臨界値とを比較する上限の臨界値の比較器と、
前記積分器の積分値と下限の臨界値とを比較する下限の臨界値の比較器と、
前記上限の臨界値の比較器の出力値によって増加し、前記下限の臨界値の比較器の出力値によって減少するカウント値を有するアップダウンカウンタとを含み、
該アップダウンカウンタによって、前記第1分周比または第2分周比が加減されることを特徴とする請求項12に記載の自動周波数制御ループ回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−37123(P2007−37123A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−195172(P2006−195172)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【出願人】(505287494)インテグラント テクノロジーズ インコーポレーテッド (22)
【Fターム(参考)】