説明

自動変速機の制御装置、制御方法、その方法を実現させるプログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体

【課題】エンジンと自動変速機とを備えた車両において、運転者が要求する走行特性を適確に実現する。
【解決手段】ECUは、車速V、アクセル開度ACCおよび走行環境情報に基づいて、運転者が要求する走行特性に関する指標(要求特性指標)Aを算出するステップ(S104)と、要求特性指標Aに基づいて、目標エンジン回転数領域Bを算出するステップ(S106)と、各ギヤ段へ変速した場合の推定エンジン回転数NE(N)を推定するステップ(S112)と、目標エンジン回転数領域Bに含まれる推定エンジン回転数NE(N)に対応するギヤ段であって、かつ現在のギヤ段に変速比が最も近いギヤ段への変速指令をオートマチックトランスミッションに出力するステップ(S116)とを含むプログラムを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動変速機の制御に関し、特に、エンジンを備えた車両に搭載される自動変速機の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンの動力がトルクコンバータを経由して伝達される自動変速機を備えた車両が公知である。このような車両の走行時においては、車速およびアクセル開度に応じて最適なエンジンの出力特性が得られる変速比が設定され、その変速比に変速されるように自動変速機が制御される。しかしながら、この制御方法では、運転者の意志が必ずしも変速比の設定に反映されないという問題がある。この問題を解決する技術が、たとえば特表2005−508788(特許文献1)に開示されている。
【0003】
この公報に開示されたシステムは、連続的に調整可能なトランスミッションを有する車両において機関トルクとトランスミッション変速比とを設定するシステムである。このシステムは、アクセルペダル位置および車両速度に基づいて運転者意志を表わす信号(運転者出力意志)を求め、運転者意志を表わす信号を考慮して目標機関トルクを検出し、運転者意志を表わす信号を考慮して目標トランスミッション変速比を検出する。
【0004】
この公報に開示されたシステムによると、アクセルペダル位置および車両速度に基づいて運転者意志を表わす信号を求めるため、運転者意志を表わす信号のスケーリングをたとえばパーセントで行うことができる。たとえば、運転者意志を表わす信号が100パーセントの場合に最大可能推力が所望され、0パーセントの場合に最小の推力が所望されていることを意味するものとすることができる。このような運転者意志を表わす信号を考慮して、目標機関トルクおよび目標トランスミッション変速比が検出される。そのため、運転者の意志に基づいて、機関制御およびトランスミッション制御を燃費に関して最適化し、燃料消費の低減を実現することができる。
【特許文献1】特表2005−508788
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、自動変速機のギヤ段を設定する際の重要な要素として、エンジン回転数がある。一般的に、エンジン回転数が低いと静粛性や燃料消費効率が向上し、エンジン回転数が最大トルク回転数(エンジンの出力トルクが最大となる回転数)あるいは最大パワー回転数(エンジンの出力パワーが最大となる回転数)付近であると、エンジンの応答性が向上し、スポーティな走行が可能となる。しかしながら、特許文献1に開示されたシステムにおいては、運転者の意志が変速後のエンジン回転数に直接反映されないため、運転者が要求する走行特性が実現できない場合が考えられる。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、エンジンと自動変速機とを備えた車両において、運転者が要求する走行特性を適確に実現することができる自動変速機の制御装置、制御方法、その方法を実現するプログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係る制御装置は、エンジンを備えた車両に搭載される自動変速機を制御する。この制御装置は、車両の状態に基づいて、運転者が要求する走行特性に関する指標を算出するための算出手段と、指標に基づいて、エンジン回転数の目標値および目標領域のいずれかを設定するための設定手段と、エンジン回転数が目標値になる状態およびエンジン回転数が目標領域に含まれる状態のいずれかの状態になるように、自動変速機を制御するための制御手段とを含む。第8の発明に係る制御方法は、第1の発明に係る制御装置と同様の要件を備える。
【0008】
第1または8の発明によると、車両の状態に基づいて運転者が要求する走行特性に関する指標が算出され、算出された指標に基づいて、エンジン回転数の目標値および目標領域のいずれかが設定される。これにより、たとえば、算出された指標が静粛性を重視するものであればエンジン回転数の目標値(または目標領域)を低く設定し、算出された指標がスポーティ性を重視するものであればエンジン回転数の目標値(または目標領域)を高く設定することができる。このように設定された目標値にエンジン回転数がなるように、あるいは、このように設定された目標領域にエンジン回転数が含まれるように、自動変速機が制御される。そのため、変速後のエンジン回転数を、運転者が要求する走行特性を実現することが可能な値に制御することができる。その結果、エンジンと自動変速機とを備えた車両において、運転者が要求する走行特性を適確に実現することができる自動変速機の制御装置および制御方法を提供することができる。
【0009】
第2の発明に係る制御装置においては、第1の発明の構成に加えて、算出手段は、運転者が静粛性および燃料消費効率よりもスポーティ性を重視していると推定される場合には推定されない場合に比べて、目標値および目標領域のいずれかが高く設定されるように指標を算出するための手段を含む。第9の発明に係る制御方法は、第2の発明に係る制御装置と同様の要件を備える。
【0010】
第2または9の発明によると、運転者がスポーティ性を重視していると推定される場合に、エンジン回転数の目標値および目標領域のいずれかが高く設定されるように指標が算出される。これにより、たとえばエンジン回転数が最大トルク回転数あるいは最大パワー回転数付近の高い値に制御され、エンジンの応答性が向上し、運転者が要求するスポーティな走行を実現することができる。逆に、運転者が静粛性および燃料消費効率を重視していると推定される場合には、エンジン回転数の目標値および目標領域のいずれかが低く設定されるように指標が算出される。これにより、エンジン回転数が低い値に制御され、運転者が要求する静粛性および燃料消費効率を実現することができる。
【0011】
第3の発明に係る制御装置においては、第1または2の発明の構成に加えて、算出手段は、運転者が要求する加速の度合い、加速の度合いの変化度合い、車両の速度、車両の加速度、および車両の走行環境の少なくともいずれかに基づいて、指標を算出するための手段を含む。第10の発明に係る制御方法は、第3の発明に係る制御装置と同様の要件を備える。
【0012】
第3または10の発明によると、運転者が要求する加速の度合い(たとえばアクセル開度)、加速の度合いの変化度合い(たとえばアクセル開度の時間変化量)、車両の速度、車両の加速度、および車両の走行環境(走行道路や走行位置など)の少なくともいずれかに基づいて、指標が算出される。そのため、たとえば、アクセル開度やアクセル開度の時間変化量が大きかったり、車両の速度や加速度が大きかったり、走行道路の登り勾配が急であったりする場合には、運転者がスポーティ性あるいは大きなトルクやパワーを出力することを重視しているとして、エンジン回転数の目標値および目標領域がより高く設定されるように指標を算出することができる。逆に、走行道路が曲がりくねった道路であったり、走行位置が市街地であったり、走行位置がカーブ手前であったりする場合には、運転者がスポーティ性あるいは大きなトルクやパワーを出力することよりも静粛性および燃料消費効率を重視しているとして、エンジン回転数の目標値および目標領域がより低く設定されるように指標を算出することができる。そのため、運転者が要求する走行特性を適確に実現することができる。
【0013】
第4の発明に係る制御装置においては、第1〜3のいずれかの発明の構成に加えて、設定手段は、エンジンの出力トルクが最大となる回転数およびエンジンの出力パワーが最大となる回転数のいずれかよりも目標値および目標領域のいずれかを低く設定するための手段を含む。第11の発明に係る制御方法は、第4の発明に係る制御装置と同様の要件を備える。
【0014】
第4または11の発明によると、エンジン回転数の目標値および目標領域のいずれかが、エンジンの出力トルクが最大となる回転数およびエンジンの出力パワーが最大となる回転数のいずれかよりも低く設定される。そのため、変速後のエンジン回転数が、運転者が要求する走行特性の実現に必要ない高い値になることを抑制することができる。
【0015】
第5の発明に係る制御装置においては、第1〜4のいずれかの発明の構成に加えて、自動変速機は、複数の変速段を有する有段変速機である。設定手段は、目標領域を設定するための手段を含む。制御装置は、自動変速機の出力軸回転数に関する値を検出するための手段と、少なくとも出力軸回転数に関する値と各変速段の変速比とに基づいて、変速後のエンジン回転数を各複数の変速段ごとに推定するための推定手段とをさらに含む。制御手段は、推定された変速後のエンジン回転数が目標領域に含まれる変速段に変速されるように、自動変速機を制御するための手段とを含む。第12の発明に係る制御方法は、第5の発明に係る制御装置と同様の要件を備える。
【0016】
第5または12の発明によると、有段変速機においては、変速比を無段階に設定することはできず、各変速段ごとに変速比が予め決められている。そこで、エンジン回転数の目標領域が設定される。自動変速機の出力軸回転数に関する値が検出され、少なくとも出力軸回転数に関する値と各変速段の変速比とに基づいて、変速後のエンジン回転数が各複数の変速段ごとに推定される。推定された変速後のエンジン回転数が目標領域に含まれる変速段に変速されるように、自動変速機が制御される。これにより、有段変速機において、変速後のエンジン回転数を、運転者が要求する走行特性を実現することができる領域に含まれる値にすることができる。
【0017】
第6の発明に係る制御装置においては、第5の発明の構成に加えて、推定手段は、出力軸回転数に関する値に加えて、出力軸回転数に関する値の時間変化量および予め定められた変速時間に基づいて、変速後の出力軸回転数を推定するための手段と、推定された出力軸回転数と各変速段の変速比に基づいて、各変速後のエンジン回転数を推定するための手段を含む。第13の発明に係る制御方法は、第6の発明に係る制御装置と同様の要件を備える。
【0018】
第6または13の発明によると、たとえば、変速前の出力軸回転数に関する値に、出力軸回転数に関する値の時間変化量と変速時間との積を加えた値を、変速後の出力軸回転数として推定することができる。このように推定された変速後の出力軸回転数に基づいて、変速後のエンジン回転数を推定することができる。そのため、変速後のエンジン回転数を、変速時間を考慮して精度よく推定することができる。
【0019】
第7の発明に係る制御装置においては、第1〜4のいずれかの発明の構成に加えて、自動変速機は、無段変速機である。設定手段は、目標値を設定するための手段を含む。制御装置は、自動変速機の出力軸回転数に関する値を検出するための手段をさらに含む。制御手段は、目標値と出力軸回転数に関する値とに基づいて、目標変速比を算出するための手段と、目標変速比に変速されるように、自動変速機を制御するための手段とを含む。第14の発明に係る制御方法は、第7の発明に係る制御装置と同様の要件を備える。
【0020】
第7または14の発明によると、無段変速機においては、変速比を無段階に設定することができる。そこで、エンジン回転数の目標値が設定される。自動変速機の出力軸回転数に関する値が検出され、目標値と出力軸回転数に関する値とに基づいて、目標変速比が算出される。目標変速比に変速されるように、自動変速機が制御される。これにより、無段変速機において、変速後のエンジン回転数を、運転者が要求する走行特性を実現することができる値にすることができる。
【0021】
第15の発明に係るプログラムにおいては、第8〜14のいずれかの発明に係る制御方法をコンピュータに実行させる。第16の発明に係る記録媒体は、第8〜14のいずれかの発明に係る制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録した媒体である。
【0022】
第15または16の発明によると、コンピュータ(汎用でも専用でもよい)を用いて、第8〜14のいずれかの発明に係る制御方法を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0024】
<第1の実施の形態>
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る制御装置を搭載した車両10について説明する。この車両10は、FF(Front engine Front drive)車両である。なお、FF以外の車両であってもよい。
【0025】
車両10は、エンジン100と、トルクコンバータ210と、オートマチックトランスミッション200と、駆動輪12と、ディファレンシャルギヤ14と、ドライブシャフト16と、ECU(Electronic Control Unit)400とを含む。
【0026】
エンジン100は、インジェクタ(図示せず)から噴射された燃料と空気との混合気を、シリンダの燃焼室内で燃焼させる内燃機関である。燃焼によりシリンダ内のピストンが押し下げられて、クランクシャフトが回転させられる。
【0027】
オートマチックトランスミッション200は、プラネタリギヤユニット300と、油圧回路220とを含む。オートマチックトランスミッション200は、トルクコンバータ210を経由してエンジン100に連結される。油圧回路220は、プラネタリギヤユニット300内部のクラッチ要素およびブレーキ要素の作動状態を、ECU400からの変速指令に応じて制御する。これにより、オートマチックトランスミッション200は、所望のギヤ段を形成し、クランクシャフトの回転数を所望の回転数に変速する。
【0028】
オートマチックトランスミッション200の出力ギヤは、ディファレンシャルギヤ14と噛合っている。ディファレンシャルギヤ14にはドライブシャフト16がスプライン嵌合などによって連結される。ドライブシャフト16を経由して、左右の駆動輪12に動力が伝達される。
【0029】
ECU400には、車速センサ50と、シフトレバー52のポジションスイッチ54と、アクセルペダル56のアクセル開度センサ58と、ブレーキペダル60のストロークセンサ62と、電子スロットルバルブ114のスロットル開度センサ64と、エンジン回転数センサ66と、入力軸回転数センサ70と、出力軸回転数センサ72とが、ハーネスなどを介在させて接続されている。
【0030】
車速センサ50は、ドライブシャフト16の回転数から車両10の車速Vを検出し、検出結果を表わす信号をECU400に送信する。
【0031】
ポジションスイッチ54は、シフトレバー52の位置(シフトポジション)SPを検出し、検出結果を表わす信号をECU400に送信する。シフトポジションSPに対応して、オートマチックトランスミッション200のギヤ段が自動で形成される。また、運転者の操作に応じて、運転者が任意のギヤ段を選択できるマニュアルシフトモードを選択できるように構成してもよい。
【0032】
アクセル開度センサ58は、アクセルペダル56の開度(アクセル開度)ACCを検出し、検出結果を表わす信号をECU400に送信する。
【0033】
ストロークセンサ62は、ブレーキペダル60のストローク量(ブレーキストローク量)BSを検出し、検出結果を表わす信号をECU400に送信する。
【0034】
スロットル開度センサ64は、アクチュエータにより開度が調整される電子スロットルバルブ114の開度(スロットル開度)を検出し、検出結果を表わす信号をECU400に送信する。電子スロットルバルブ114により、エンジン100に吸入される空気量(エンジン100の出力)が調整される。
【0035】
エンジン回転数センサ66は、エンジン100の出力軸(クランクシャフト)の回転数(エンジン回転数)NEを検出し、検出結果を表わす信号をECU400に送信する。
【0036】
入力軸回転数センサ70は、オートマチックトランスミッション200の入力軸回転数NINを検出し、検出結果を表わす信号をECU400に送信する。出力軸回転数センサ72は、オートマチックトランスミッション200の出力軸回転数NOUTを検出し、検出結果を表わす信号をECU400に送信する。なお、エンジン100の出力軸は、トルクコンバータ210の入力軸に接続され、トルクコンバータ210の出力軸は、オートマチックトランスミッション200の入力軸に接続されるため、エンジン回転数NEは、トルクコンバータ210の入力軸の回転数と同じ回転数となる。また、入力軸回転数NINは、トルクコンバータ210の出力軸の回転数と同じ回転数である。
【0037】
さらに、ECU400には、走行環境センサ80が、ハーネスなどを介在させて接続されている。走行環境センサ80は、車両10の走行環境情報を検出し、検出結果を表わす信号をECU400に送信する。走行環境情報とは、たとえば、走行道路の形状や勾配、走行位置が市街地であるか否か、カーブ手前であるか否かなどを表わす情報である。走行環境センサ80は、たとえばナビゲーションシステムで構成される。
【0038】
ECU400は、車速センサ50、ポジションスイッチ54、アクセル開度センサ58、ストロークセンサ62、スロットル開度センサ64、エンジン回転数センサ66、入力軸回転数センサ70、出力軸回転数センサ72、走行環境センサ80などから送られてきた信号、ROM(Read Only Memory)に記憶されたマップおよびプログラムに基づいて、車両10が所望の走行状態となるように、機器類を制御する。
【0039】
本実施の形態において、ECU400は、シフトレバー52がD(ドライブ)ポジションに位置することにより、オートマチックトランスミッション200のシフトレンジにD(ドライブ)レンジが選択された場合、1速〜6速段のうちのいずれかのギヤ段が形成されるように、オートマチックトランスミッション200を制御する。1速〜6速段のうちのいずれかのギヤ段が形成されることにより、オートマチックトランスミッション200は駆動輪12に駆動力を伝達し得る。
【0040】
図2を参照して、オートマチックトランスミッション200内に設けられたプラネタリギヤユニット300について説明する。
【0041】
プラネタリギヤユニット300は、クランクシャフトに連結された入力軸212を有するトルクコンバータ210に接続されている。プラネタリギヤユニット300は、遊星歯車機構の第1セット310と、遊星歯車機構の第2セット320と、出力ギヤ330と、ギヤケース340に固定されたB1ブレーキ342A、B2ブレーキ342BおよびB3ブレーキ342Cと、C1クラッチ344AおよびC2クラッチ344Bと、ワンウェイクラッチF346とを含む。
【0042】
第1セット310は、シングルピニオン型の遊星歯車機構である。第1セット310は、サンギヤS(UD)312Sと、ピニオンギヤ312Pと、リングギヤR(UD)312Rと、キャリアC(UD)312Cとを含む。
【0043】
サンギヤS(UD)312Sは、トルクコンバータ210の出力軸214に連結されている。ピニオンギヤ312Pは、キャリアC(UD)312Cに回転自在に支持されている。ピニオンギヤ312Pは、サンギヤS(UD)312SおよびリングギヤR(UD)312Rと噛合している。
【0044】
リングギヤR(UD)312Rは、B3ブレーキ342Cによりギヤケース340に固定される。キャリアC(UD)312Cは、B1ブレーキ342Aによりギヤケース340に固定される。
【0045】
第2セット320は、ラビニヨ型の遊星歯車機構である。第2セット320は、サンギヤS(D)322Sと、ショートピニオンギヤ322Pと、キャリアC(1)322Cと、ロングピニオンギヤ324Pと、キャリアC(2)324Cと、サンギヤS(S)324Sと、リングギヤR(1)324Rとを含む。
【0046】
サンギヤS(D)322Sは、キャリアC(UD)312Cに連結されている。ショートピニオンギヤ322Pは、キャリアC(1)322Cに回転自在に支持されている。ショートピニオンギヤ322Pは、サンギヤS(D)322Sおよびロングピニオンギヤ324Pと噛合している。キャリアC(1)322Cは、出力ギヤ330に連結されている。
【0047】
ロングピニオンギヤ324Pは、キャリアC(2)324Cに回転自在に支持されている。ロングピニオンギヤ324Pは、ショートピニオンギヤ322P、サンギヤS(S)324SおよびリングギヤR(1)324Rと噛合している。キャリアC(2)324Cは、出力ギヤ330に連結されている。
【0048】
サンギヤS(S)324Sは、C1クラッチ344Aによりトルクコンバータ210の出力軸214に連結される。リングギヤR(1)324Rは、B2ブレーキ342Bにより、ギヤケース340に固定され、C2クラッチ344Bによりトルクコンバータ210の出力軸214に連結される。また、リングギヤR(1)324Rは、ワンウェイクラッチF346に連結されており、1速段の駆動時に回転不能となる。
【0049】
ワンウェイクラッチF346は、B2ブレーキ342Bと並列に設けられる。すなわ
ち、ワンウェイクラッチF346のアウターレースはギヤケース340に固定され、インナーレースはリングギヤR(1)324Rに回転軸を経由して連結される。
【0050】
図3に、各ギヤ段と、各クラッチ要素および各ブレーキ要素の作動状態との関係を表した作動表を示す。車速とスロットル開度(アクセル開度)とをパラメータとする変速マップ(図示せず)に基づいてギヤ段が決定されると、決定されたギヤ段を形成するように、
各ブレーキ要素および各クラッチ要素の状態がこの作動表に示された状態になるように制御される。たとえば、ギヤ段が1速段である場合には、図3に示すように、C1クラッチ344Aが係合状態に制御される。その後、1速段から2速段へアップシフトする場合には、解放状態であったB1ブレーキ342Aが係合状態になるように制御される。なお、本実施の形態においては、2つの入力クラッチを有する自動変速機に本発明を適用する場合について説明するが、入力クラッチの数量は2つに限定されるものではない。
【0051】
図4を参照して、本実施の形態に係る制御装置の機能ブロック図について説明する。図4に示すように、この制御装置は、要求特性指標算出部410と、目標エンジン回転数算出部420と、変速指令部430とを含む。
【0052】
要求特性指標算出部410は、車速V、アクセル開度ACCおよび走行環境情報に基づいて、運転者が要求する走行特性に関する指標(要求特性指標)Aを算出する。要求特性指標Aは、運転者がスポーティ性を重視している度合いが高いと推定されるほど大きく算出され、静粛性や燃料消費効率を重視している度合いが高いと推定されるほど小さく算出される。
【0053】
目標エンジン回転数算出部420は、要求特性指標Aに基づいて、目標エンジン回転数領域B(または目標エンジン回転数)を算出する。
【0054】
変速指令部430は、エンジン回転数センサ66からのエンジン回転数NEと目標エンジン回転数算出部420が算出した目標エンジン回転数領域B(または目標エンジン回転数)とに基づいて変速比を設定し、設定された変速比に応じた変速指令をオートマチックトランスミッション200に出力する。
【0055】
このような機能ブロックを有する本実施の形態に係る制御装置は、デジタル回路やアナログ回路の構成を主体としたハードウェアでも、ECUに含まれるCPU(Central Processing Unit)およびメモリとメモリから読み出されてCPUで実行されるプログラムとを主体としたソフトウェアでも実現することが可能である。一般的に、ハードウェアで実現した場合には動作速度の点で有利で、ソフトウェアで実現した場合には設計変更の点で有利であると言われている。以下においては、ソフトウェアとして制御装置を実現した場合を説明する。なお、このようなプログラムを記録した記録媒体についても本発明の一態様である。
【0056】
図5を参照して、本実施の形態に係る制御装置であるECU400が実行するプログラムの制御構造について説明する。なお、このプログラムは、予め定められたサイクルタイムで繰り返し実行される。
【0057】
ステップ(以下、ステップをSと略す)100にて、ECU400は、車速センサ50からの車速V、アクセル開度センサ58からのアクセル開度ACC、エンジン回転数センサ66からのエンジン回転数NEを検出する。S102にて、ECU400は、走行環境センサ80からの走行環境情報を検出する。
【0058】
S104にて、ECU400は、車速V、アクセル開度ACCおよび走行環境情報に基づいて、要求特性指標Aを算出する。たとえば、ECU400は、アクセル開度ACCやアクセル開度ACCの時間変化量が大きい場合、車速Vや車速Vの時間変化量(加速度)が大きい場合、走行道路の登り勾配が急である場合には、運転者が静粛性および燃料消費効率よりもスポーティ性あるいは大きなトルクやパワーを出力することを重視しているとして、要求特性指標Aをより大きく算出する。逆に、走行道路が曲がりくねった道路である場合、走行位置が市街地である場合、走行位置がカーブ手前である場合には、運転者がスポーティ性あるいは大きなトルクやパワーを出力することよりも静粛性および燃料消費効率を重視しているとして、要求特性指標Aをより小さく算出する。なお、要求特性指標Aの算出方法はこれに限定されない。なお、本実施の形態においては、要求特性指標Aを連続的に変化する値として説明するが、たとえば、要求特性指標Aが離散的に変化する値であってもよい。
【0059】
S106にて、ECU400は、要求特性指標Aに基づいて、目標エンジン回転数領域Bを算出する。たとえば、ECU400は、図6に示すような、要求特性指標Aをパラメータとするマップに基づいて、要求特性指標Aに対する下限エンジン回転数と上限エンジン回転数とを特定し、下限エンジン回転数から上限エンジン回転数までの領域を、目標エンジン回転数領域Bとして算出する。図6に示すマップにおいては、要求特性指標Aが高いほど、下限エンジン回転数および上限エンジン回転数が高くなる(すなわち目標エンジン回転数領域Bが高い領域になる)ように設定されている。また、最大トルク回転数(エンジン100の出力トルクが最大となるエンジン回転数)NE(T)、あるいは最大パワー回転数(エンジン100の出力パワーが最大となる回転数)NE(P)よりも目標エンジン回転数領域Bが低くなるように制限されている。なお、最大トルク回転数NE(T)および最大パワー回転数NE(P)のいずれで目標エンジン回転数領域Bを制限するかを、たとえば運転者が選択できるようにしてもよい。
【0060】
S108にて、ECU400は、変速後の車速を推定する。たとえば、ECU400は、変速後の車速を、(現在の車速V)+(車両加速度)×(予め定められた変速時間)と推定する。なお、車両加速度は、車速Vの時間変化量から算出される。予め定められた変速時間は、ECU400内部のROMなどに予め記憶されている。
【0061】
S110にて、ECU400は、変速後のオートマチックトランスミッション200の出力軸回転数を推定する。たとえば、ECU400は、変速後のオートマチックトランスミッション200の出力軸回転数を、(変速後の車速)/(駆動輪12の周寸法)×(ディファレンシャルギヤ14のデフ比)と推定する。なお、変速後の出力軸回転数の推定方法はこれに限定されない。たとえば、ECU400は、出力軸回転数センサ72で検出された出力軸回転数NOUTの時間変化量を算出し、変速後のオートマチックトランスミッション200の出力軸回転数を、(出力軸回転数NOUTの時間変化量)×(予め定められた変速時間)と推定するようにしてもよい。
【0062】
S112にて、ECU400は、各ギヤ段(N速段、N=1、2、3、4、5、6)へ変速した場合の推定エンジン回転数NE(N)(NE(1)、NE(2)、NE(3)、NE(4)、NE(5)、NE(6))を推定する。ECU400は、NE(N)を、(変速後のオートマチックトランスミッション200の出力軸回転数)×(N速段の変速比)と推定する。
【0063】
S114にて、ECU400は、現在のギヤ段に対応する推定エンジン回転数NE(N)が、目標エンジン回転数領域Bに含まれなくなったか否かを判断する。目標エンジン回転数領域Bに含まれなくなったと判断されると(S114にてYES)、処理はS116に移される。そうでないと(S114にてNO)、この処理は終了する。
【0064】
S116にて、ECU400は、目標エンジン回転数領域Bに含まれる推定エンジン回転数NE(N)に対応するギヤ段であって、かつ現在のギヤ段に変速比が最も近いギヤ段への変速指令をオートマチックトランスミッション200に出力する。
【0065】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る制御装置であるECU400により制御されるオートマチックトランスミッション200の動作について説明する。
【0066】
時刻t(1)にて4速段で定速走行していた状態から、その後の時刻t(2)にて、運転者がアクセルペダル56を踏み込んで、アクセル開度ACCが増加した場合を想定する。なお、以下の説明においては、時刻t(1)における要求特性指標AをA(t1)と記載し、時刻t(2)における要求特性指標AをA(t2)と記載する。
【0067】
時刻t(2)の要求特性指標A(t2)が、車速V、アクセル開度ACCおよび走行環境情報に基づいて算出される(S100、S102、S104)。この際、図7に示すように、時刻t(2)にてアクセル開度ACCが増加しており運転者がスポーティ性を重視していると判断されて、要求特性指標AがA(t1)からA(t2)に増加する。これに伴って、時刻t(2)における目標エンジン回転数領域B(t2)が時刻t(1)における目標エンジン回転数領域B(t1)よりも高い領域に算出される(S106)。なお、図7においては、A(t2)に対応する上限エンジン回転数が、最大トルク回転数NE(T)を越えているため、目標エンジン回転数領域B(t2)は、A(t2)に対応する下限エンジン回転数からNE(T)までの領域として算出されている。
【0068】
各ギヤ段へ変速した場合の推定エンジン回転数NE(N)、すなわちNE(1)、NE(2)、NE(3)、NE(4)、NE(5)、およびNE(6)が、変速時間を考慮して精度よく推定される(S108、S110、S112)。図7に示すように、現在のギヤ段である4速段の推定エンジン回転数NE(4)が目標エンジン回転数領域B(t2)に含まれないため(S114にてYES)、エンジン回転数NEが目標エンジン回転数領域B(t2)に含まれる推定エンジン回転数NE(3)となるように、3速段へダウンシフトされる(S116)。
【0069】
このように、アクセル開度ACCの増加に応じて、運転者がスポーティ性を重視していると判断されて、要求特性指標Aが増加される。増加された要求特性指標Aに応じて、目標エンジン回転数領域Bが高い領域に算出され、エンジン回転数NEが目標エンジン回転数領域Bによるように、4速段から3速段へのダウンシフトが行なわれる。そのため、変速後のエンジン回転数を、運転者が要求する走行特性を実現することが可能な値に制御することができる。これにより、運転者が要求する走行が可能となる。
【0070】
さらに、目標エンジン回転数領域Bを、最大トルク回転数NE(T)や最大パワー回転数NE(P)で制限している。そのため、変速後のエンジン回転数が、運転者が要求する走行特性の実現に必要ない高い値になることを抑制することができる。
【0071】
さらに、オートマチックトランスミッション200は有段変速機であり、変速比を無段階に設定することはできず、各変速段ごとに変速比が予め決められている。そこで、要求特性指標Aに基づいて、目標エンジン回転数そのものではなく、目標エンジン回転数領域Bが設定される(S106)。目標エンジン回転数領域Bに含まれる推定エンジン回転数NE(N)に対応するギヤ段(3速段)に変速される(S116)。これにより、有段変速機において、変速後のエンジン回転数を、運転者が要求する走行特性を実現することができる領域に含まれる値にすることができる。
【0072】
さらに、運転者の意志や走行環境に基づいて1つの要求特性指標Aを算出し、算出された要求特性指標Aに基づいて変速ギヤ段が決定される。すなわち、運転者の意志や走行環境に応じた変速ギヤ段を決定する場合において、複数の変速線マップを予め記憶しておく必要がない。そのため、ECU400のROM容量を低減できる。
【0073】
以上のように、本実施の形態に係る制御装置によれば、運転者の意志や走行環境に基づいて要求特性指標Aを算出し、要求特性指標Aに基づいて、目標エンジン回転数領域Bが算出される。エンジン回転数NEが目標エンジン回転数領域Bによるように、オートマチックトランスミッションが制御される。そのため、変速後のエンジン回転数を、運転者が要求する走行特性を実現することが可能な値に適確に制御することができる。これにより、運転者が要求する走行特性を実現することができる。
【0074】
<第2の実施の形態>
図8〜図10を参照して、本実施の形態に係る制御装置について説明する。本実施の形態に係る制御装置を搭載した車両1010は、上述の第1の実施の形態に係る車両10の構成と比較して、オートマチックトランスミッション200、ECU400、入力軸回転数センサ70、および出力軸回転数センサ72に代えて、オートマチックトランスミッション1200、ECU1400、入力軸回転数センサ1070、および出力軸回転数センサ1072を含む点が異なる。これら以外の構成は、上述の第1の実施の形態に係る車両10の構成と同じ構成である。同じ構成については同じ参照符号が付してある。それらの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0075】
図8を参照して、本発明の実施の形態に係る制御装置を搭載した車両1010について説明する。
【0076】
オートマチックトランスミッション1200は、ベルト式の無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)である。なお、オートマチックトランスミッション1200は、ベルト式であることに限定されない。オートマチックトランスミッション1200は、プーリユニット1300と、油圧回路1220とを含む。
【0077】
プーリユニット1300は、入力側のプライマリプーリ1310と、出力側のセカンダリプーリ1320と、プライマリプーリ1310とセカンダリプーリ1320とに巻き掛けられた金属製のベルト1330とを含む。
【0078】
プライマリプーリ1310は、プライマリシャフトに固定された固定シーブおよびプライマリシャフトに摺動のみ自在に支持されている可動シーブからなる。セカンダリプーリ1320は、セカンダリシャフトに固定されている固定シーブおよびセカンダリシャフトに摺動のみ自在に支持されている可動シーブからなる。
【0079】
油圧回路1220は、ECU1400からの変速指令に応じてプライマリプーリ1310(あるいはセカンダリプーリ1320)の可動シーブをスライドさせてプーリの溝幅を変化させ、ベルト1330の巻き掛け半径を変化させる。これにより、所望の変速比が無段階に形成される。
【0080】
ECU1400には、入力軸回転数センサ1070および出力軸回転数センサ1072が、ハーネスなどを介在させて接続されている。
【0081】
入力軸回転数センサ1070は、オートマチックトランスミッション1200の入力軸回転数(すなわち、プライマリプーリ1310の回転数)を検出し、検出結果を表わす信号をECU1400に送信する。
【0082】
出力軸回転数センサ1072は、オートマチックトランスミッション1200の出力軸回転数(すなわち、セカンダリプーリ1320の回転数)を検出し、検出結果を表わす信号をECU1400に送信する。
【0083】
図9を参照して、本実施の形態に係る制御装置を構成するECU1400が実行するプログラムの制御構造について説明する。なお、図9に示したフローチャートの中で、前述の図5に示したフローチャートと同じ処理については同じステップ番号を付してある。それらについて処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0084】
S200にて、ECU1400は、要求特性指標Aに基づいて、目標エンジン回転数を算出する。たとえば、ECU1400は、図10に示すような、要求特性指標Aをパラメータとするマップに基づいて、目標エンジン回転数を算出する。図10に示すマップにおいては、要求特性指標Aが高いほど、目標エンジン回転数が高くなるように設定されている。また、最大トルク回転数NE(T)あるいは最大パワー回転数NE(P)よりも目標エンジン回転数が低くなるように制限されている。なお、NE(T)およびNE(P)のいずれで目標エンジン回転数を制限するかを、たとえば運転者が選択できるようにしてもよい。
【0085】
S202にて、ECU1400は、目標エンジン回転数と変速後のオートマチックトランスミッション200の出力軸回転数とに基づいて、目標変速比を算出する。ECU1400は、目標変速比を、(目標エンジン回転数)/(変速後のオートマチックトランスミッション1200の出力軸回転数)として算出する。
【0086】
S204にて、ECU1400は、目標変速比に応じた変速指令を、オートマチックトランスミッション1200に出力する。
【0087】
以上のように、本実施の形態に係るオートマチックトランスミッション1200は無段変速機であり変速比を無段階に設定可能である。そこで、要求特性指標Aに基づいて目標エンジン回転数が直接算出され(S200)、変速後のエンジン回転数が目標エンジン回転数となるように目標変速比が算出され(S202)、目標変速比となるように、オートマチックトランスミッション1200が制御される(S204)。これにより、無段変速機において、変速後のエンジン回転数を、運転者が要求する走行特性を実現することが可能な値に制御することができる。そのため、第1の実施の形態と同様に、運転者が要求する走行が可能となる。
【0088】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る制御装置が搭載される車両の構造を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るオートマチックトランスミッションにおけるギヤトレーンを示すスケルトン図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るオートマチックトランスミッションの作動表を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る制御装置の機能ブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る制御装置を構成するECUの制御構造を示すフローチャートである。
【図6】要求特性指標Aと目標エンジン回転数領域Bとの関係を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係るオートマチックトランスミッションの変速動作を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る制御装置が搭載される車両の構造を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る制御装置を構成するECUの制御構造を示すフローチャートである。
【図10】要求特性指標Aと目標エンジン回転数との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
10,1010 車両、12 駆動輪、14 ディファレンシャルギヤ、16 ドライブシャフト、50 車速センサ、52 シフトレバー、54 ポジションスイッチ、56 アクセルペダル、58 アクセル開度センサ、60 ブレーキペダル、62 ストロークセンサ、64 スロットル開度センサ、66 エンジン回転数センサ、70,1070 入力軸回転数センサ、72,1072 出力軸回転数センサ、80 走行環境センサ、100 エンジン、114 電子スロットルバルブ、200,1200 オートマチックトランスミッション、210 トルクコンバータ、212 入力軸、214 出力軸、220,1220 油圧回路、300 プラネタリギヤユニット、310 第1セット、312P ピニオンギヤ、320 第2セット、322P ショートピニオンギヤ、324P ロングピニオンギヤ、330 出力ギヤ、340 ギヤケース、342A B1ブレーキ、342B B2ブレーキ、342C B3ブレーキ、342A B4ブレーキ、344A C1クラッチ、344B C2クラッチ、346 ワンウェイクラッチF、400,1400 ECU、410 要求特性指標算出部、420 目標エンジン回転数算出部、430 変速指令部、1300 プーリユニット、1310 プライマリプーリ、1320 セカンダリプーリ、1330 ベルト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンを備えた車両に搭載される自動変速機の制御装置であって、
前記車両の状態に基づいて、運転者が要求する走行特性に関する指標を算出するための算出手段と、
前記指標に基づいて、エンジン回転数の目標値および目標領域のいずれかを設定するための設定手段と、
エンジン回転数が前記目標値になる状態およびエンジン回転数が前記目標領域に含まれる状態のいずれかの状態になるように、前記自動変速機を制御するための制御手段とを含む、制御装置。
【請求項2】
前記算出手段は、前記運転者が静粛性および燃料消費効率よりもスポーティ性を重視していると推定される場合には推定されない場合に比べて、前記目標値および前記目標領域のいずれかが高く設定されるように前記指標を算出するための手段を含む、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記算出手段は、前記運転者が要求する加速の度合い、前記加速の度合いの変化度合い、前記車両の速度、前記車両の加速度、および前記車両の走行環境の少なくともいずれかに基づいて、前記指標を算出するための手段を含む、請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記設定手段は、前記エンジンの出力トルクが最大となる回転数および前記エンジンの出力パワーが最大となる回転数のいずれかよりも前記目標値および前記目標領域のいずれかを低く設定するための手段を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の制御装置。
【請求項5】
前記自動変速機は、複数の変速段を有する有段変速機であり、
前記設定手段は、前記目標領域を設定するための手段を含み、
前記制御装置は、
前記自動変速機の出力軸回転数に関する値を検出するための手段と、
少なくとも前記出力軸回転数に関する値と各前記変速段の変速比とに基づいて、変速後のエンジン回転数を各前記複数の変速段ごとに推定するための推定手段とをさらに含み、
前記制御手段は、前記推定された変速後のエンジン回転数が前記目標領域に含まれる変速段に変速されるように、前記自動変速機を制御するための手段とを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の制御装置。
【請求項6】
前記推定手段は、
前記出力軸回転数に関する値に加えて、前記出力軸回転数に関する値の時間変化量および予め定められた変速時間に基づいて、変速後の出力軸回転数を推定するための手段と、
前記推定された出力軸回転数と各前記変速段の変速比に基づいて、各前記変速後のエンジン回転数を推定するための手段を含む、請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記自動変速機は、無段変速機であり、
前記設定手段は、前記目標値を設定するための手段を含み、
前記制御装置は、前記自動変速機の出力軸回転数に関する値を検出するための手段をさらに含み、
前記制御手段は、
前記目標値と前記出力軸回転数に関する値とに基づいて、目標変速比を算出するための手段と、
前記目標変速比に変速されるように、前記自動変速機を制御するための手段とを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の制御装置。
【請求項8】
エンジンを備えた車両に搭載される自動変速機の制御方法であって、
前記車両の状態に基づいて、運転者が要求する走行特性に関する指標を算出する算出ステップと、
前記指標に基づいて、エンジン回転数の目標値および目標領域のいずれかを設定する設定ステップと、
エンジン回転数が前記目標値になる状態およびエンジン回転数が前記目標領域に含まれる状態のいずれかの状態になるように、前記自動変速機を制御する制御ステップとを含む、制御方法。
【請求項9】
前記算出ステップは、前記運転者が静粛性および燃料消費効率よりもスポーティ性を重視していると推定される場合には推定されない場合に比べて、前記目標値および前記目標領域のいずれかが高く設定されるように前記指標を算出するステップを含む、請求項8に記載の制御方法。
【請求項10】
前記算出ステップは、前記運転者が要求する加速の度合い、前記加速の度合いの変化度合い、前記車両の速度、前記車両の加速度、および前記車両の走行環境の少なくともいずれかに基づいて、前記指標を算出するステップを含む、請求項8または9に記載の制御方法。
【請求項11】
前記設定ステップは、前記エンジンの出力トルクが最大となる回転数および前記エンジンの出力パワーが最大となる回転数のいずれかよりも前記目標値および前記目標領域のいずれかを低く設定するステップを含む、請求項8〜10のいずれかに記載の制御方法。
【請求項12】
前記自動変速機は、複数の変速段を有する有段変速機であり、
前記設定ステップは、前記目標領域を設定するステップを含み、
前記制御方法は、
前記自動変速機の出力軸回転数に関する値を検出するステップと、
少なくとも前記出力軸回転数に関する値と各前記変速段の変速比とに基づいて、変速後のエンジン回転数を各前記複数の変速段ごとに推定する推定ステップとをさらに含み、
前記制御ステップは、前記推定された変速後のエンジン回転数が前記目標領域に含まれる変速段に変速されるように、前記自動変速機を制御するステップとを含む、請求項8〜11のいずれかに記載の制御方法。
【請求項13】
前記推定ステップは、
前記出力軸回転数に関する値に加えて、前記出力軸回転数に関する値の時間変化量および予め定められた変速時間に基づいて、変速後の出力軸回転数を推定するステップと、
前記推定された出力軸回転数と各前記変速段の変速比に基づいて、各前記変速後のエンジン回転数を推定するステップを含む、請求項12に記載の制御方法。
【請求項14】
前記自動変速機は、無段変速機であり、
前記設定ステップは、前記目標値を設定するステップを含み、
前記制御方法は、前記自動変速機の出力軸回転数に関する値を検出するステップをさらに含み、
前記制御ステップは、
前記目標値と前記出力軸回転数に関する値とに基づいて、目標変速比を算出するステップと、
前記目標変速比に変速されるように、前記自動変速機を制御するステップとを含む、請求項8〜11のいずれかに記載の制御方法。
【請求項15】
請求項8〜14のいずれかに記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項16】
請求項8〜14のいずれかに記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録した記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−85291(P2009−85291A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−254280(P2007−254280)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】