説明

自動変速機を制御するための方法

【課題】本発明は、自動車に取り付けられ、複数の前進ギヤと、少なくとも1つの後進ギヤ(G_バック)とを備え、選択レバーによって異なる走行レンジ(P,R,N,D)が選択され得る自動変速機を制御する。
【解決手段】パーキングレンジPにおいて、自動車1が坂を上るように方向付けられている場合は、前進ギヤG1にギヤ入れして保持し、自動車1が坂を下るように方向付けられている場合は、前進ギヤG1の代わりに、後進ギヤG_バックにギヤ入れして保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に取り付けられ、複数の前進ギヤと、少なくとも1つの後進ギヤとを備え、選択レバーによって異なる走行レンジが選択され得る、自動変速機を制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1により、ダブルクラッチトランスミッションの形態の自動変速機を制御するための方法が知られている。なお、このダブルクラッチトランスミッションは、第1クラッチ及び第1グループのギヤが設けられている第1サブトランスミッションと、第2クラッチ及び第2グループのギヤが設けられている第2サブトランスミッションとを備え、自動車の前進及び後進が数回変更される方向変更モードにおいて、一方のサブトランスミッションに設けられている前進ギヤと、他方のサブトランスミッションに設けられている後進ギヤとが、常にギヤ入れ状態に保持され、走行方向変更は、一方のサブトランスミッションに設けられているクラッチの開放と、他方のサブトランスミッションに設けられているクラッチの閉鎖とを交互に行うことによりなされる。このような方向変更モードは、例えば、駐車場へ出し入れする際、又は、車両を前後させて雪から脱出する際に役立っている。走行方向変更の際に常にギヤ入れ状態になっているので、個々のギヤ入れ及びギヤ抜きのためのギヤ切換えクラッチの操作なくクラッチだけを操作すればよいので、この走行方向変更を、比較的迅速に、そして、損耗無く実行することができる。したがって、ダブルクラッチトランスミッションを制御するためのこの方法は、自動車の運転快適性及び耐久性に寄与している。
【0003】
同様に、特許文献2に、自動車の運転快適性に寄与する、ダブルクラッチトランスミッションの制御方法が記載されている。ここで提案されている方法では、低温時における車両の不都合なクリープを回避するほうがよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第10109662A1号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1681497A2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動車のこの不都合なクリープを、ダブルクラッチトランスミッションでは、自動車の静止状態において非走行レンジ(パーキングレンジ又はアイドル走行レンジ)が選択されていた場合、サブトランスミッションの一方は前進ギヤに、サブトランスミッションの他方は後進ギヤにギヤ入れして保持することによって回避するほうがよい。場合により発生し得るエンジンブレーキトルクは、クラッチが開いているにもかかわらず、低温時にはクラッチ液の粘性が高いために、クラッチにかかる可能性があるが、ギヤを入れることで、このエンジンブレーキトルクは、車両がクリープ状態にならない程度に互いに解消される。
【0006】
自動車の更なる走行条件又は特別な走行条件で、例えば、傾斜において坂を上る又は坂を下るように起動するためには、ダブルクラッチトランスミッションを特別に制御することが望ましい。しかしながら、このためには、特別な走行条件を認識するために、センサ又は事前に把握する方法が必要である。傾斜において自動車を起動する際の制御では、例えば、傾斜センサ又は走行抵抗特性を踏まえた車両加速の評価が必要不可欠であろう。走行抵抗特性を用いて傾斜を認識する際の主な問題は、そのためには自動車が動いていなければならない、ということである。しかしながら、ダブルクラッチトランスミッションを制御するために備えられている制御装置がまさに起動するところであるか、又は、自動車が静止しているならば、例えば、坂道発進性能を補正するために傾斜についての情報を得ることはできない。したがって、傾斜センサを設ける必要があるだろうが、そのためには追加コストが伴うであろう。
【0007】
したがって、本発明の目的は、自動変速機を制御するための方法であって、特に、走行条件又は走行状況を考慮することができ、しかしながら、できる限り簡単な手段で実施することのできる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、請求項1によって達成される。好ましい形態は、下位請求項から得られる。
【0009】
請求項1に基づく自動変速機を制御するための方法は、パーキングレンジにおいて、自動車が、坂を上るように方向付けられている上り坂姿勢の場合、前進ギヤにギヤ入れして保持し、自動車が、坂を下るように方向付けられている下り坂姿勢の場合、前進ギヤの代わりに、後進ギヤにギヤ入れして保持することを特徴とする。例えば、自動車を上り坂姿勢で停車するならば、パーキングレンジにおいてギヤ入れされている前進ギヤによって、自動車が上記の上り坂姿勢である、と推量できる。パーキングレンジにおいて後進ギヤにギヤ入れされているならば、自動車は下り坂姿勢である。これらの情報によって、自動車が停止又は静止している場合でも、傾斜センサを参照する必要なしに、傾斜に特有の起動方法を実施することができる。
【0010】
好ましい形態では、アイドル走行レンジにおいて、自動車が上り坂姿勢である場合は、前進ギヤに、自動車が下り坂姿勢である場合は、前進ギヤの代わりに、後進ギヤにギヤ入れして保持する。例えば、上り坂姿勢において、自動車の運転手が、坂道において前進するように起動するために、アイドル走行レンジから前進走行レンジを選択するならば、既に前進ギヤにギヤ入れされているので、車両モータの回転モーメントを自動車の駆動ホイールにかけるにはクラッチを閉じるだけでよい。したがって、前進坂道発進する場合に不都合なロールバックを低減又は完全に回避することができる。
【0011】
これに対し、自動車が下り坂姿勢であり、運転手が、坂道において後進するように起動するために、パーキングレンジ又はアイドル走行レンジから後進走行レンジを選択するならば、アイドル走行レンジN又はパーキングレンジPにおいて既に後進ギヤにギヤ入れされているので、クラッチを閉じることによって、回転モーメントを駆動ホイールへ迅速に導くことができる。ここでも、自動車が、傾斜のせいで不都合な方向に回転する恐れのある時間を最小限にすることができる。
【0012】
起動快適性を高く、すなわち、車両モータの始動速度を低くし、且つ、クラッチ損耗を少なく、すなわち、クラッチにおける回転速度差を少なくするために、上り坂姿勢においては、適宜、前進ギヤの最小のギヤにギヤ入れして保持する。自動車の下り坂姿勢においては、ギヤ入れされている後進ギヤ、複数の後進ギヤが設けられている場合は好ましくは複数の後進ギヤの最小のギヤが対応する。
【0013】
自動車が上り坂姿勢である場合、自動車のサービスブレーキが作動して保持されている限り、後進走行レンジにおいて前進ギヤにギヤ入れして保持してもよい。これにより、通常、選択レバーが、パーキングレンジから、まず後進走行レンジが選択される位置を通過し、次にアイドル走行レンジが選択される位置を通過して、前進走行レンジへゆっくりシフトされた際に、上り坂姿勢では前進ギヤが短期間抜かれ、これによって、前進走行レンジにおける起動が遅延してしまう可能性がある、ということが回避される。
【0014】
自動変速機は、ダブルクラッチトランスミッションであることが好ましい。なお、このダブルクラッチトランスミッションは、第1クラッチ及び第1グループのギヤが設けられている第1サブトランスミッションと、第2クラッチ及び第2グループのギヤが設けられている第2サブトランスミッションとを備え、後進ギヤ及び最小の前進ギヤは、第1サブトランスミッションに設けられている。この場合、第1サブトランスミッションは、奇数前進ギヤ(1ギヤ、3ギヤ、5ギヤ、及び、場合によっては他の奇数ギヤ)を備え、一方、第2サブトランスミッションは、偶数前進ギヤ(2ギヤ、4ギヤ、6ギヤ、及び、場合によっては他の偶数ギヤ)を備えている。これにより、ダブルクラッチトランスミッションの場合も、第1サブトランスミッションにおいてギヤ入れされているギヤ(最小の前進ギヤ又は後進ギヤのいずれか)により、自動車の姿勢を一義的に決定することができる。
【0015】
好ましい形態では、上り坂姿勢及び/又は下り坂姿勢において、パーキングレンジ及びアイドル走行レンジにおいて第2サブトランスミッションに設けられている2番目に小さな前進ギヤにギヤ入れして保持する。自動車が下り坂姿勢である場合、運転手が前進走行レンジへ迅速に変更するならば、パーキングレンジ又はアイドル走行レンジにおいて既にギヤ入れされている2番目に小さな前進ギヤを、第1起動のために使用することができる。このとき注意すべきなのは、自動車の向きによって、重力が前進起動を促すことである。
【0016】
下り坂姿勢では、自動車のサービスブレーキが作動して保持されている限り、前進走行レンジにおいて後進ギヤにギヤ入れして保持してもよい。この措置により、運転手が選択レバーを前進走行レンジから後進走行レンジが選択される位置へシフトするならば、自動車が下り坂姿勢である場合に迅速な後進をするような起動が可能となる。このとき、自動車が不都合な方向へ回転する可能性のある長い時間が浪費されることはない。
【0017】
自動車が上り坂姿勢であるか下り坂姿勢であるかの認識は、走行抵抗特性を考慮して車両加速を評価することにより行える。この場合、限界値を基礎として用いてもよく、この限界値以上で、自動車が下り坂姿勢又は上り坂姿勢であるものとする。例えば、この限界値は、下り坂姿勢及び上り坂姿勢に対して同じ大きさ(例えば、5%の下り傾斜及び上り傾斜)であってもよいが、大きさは、互いに異なっていてもよい(例えば、5%の上り傾斜及び10%の下り傾斜)。上り坂又は下り坂についてより小さな値が認識されれば、上り坂姿勢でも下り坂姿勢でもない。このような場合は、自動車は水平な姿勢であるとする。
【0018】
自動車の水平な姿勢では、アイドル走行レンジにおいて最小の前進ギヤと2番目に小さな前進ギヤとにギヤ入れして保持してもよいので、アイドル走行レンジから前進走行レンジへ変更する際に、2つの最小のギヤに既にギヤ入れされており、これにより、迅速な起動が可能となる。最小の事前選択ギヤと2番目に小さい前進ギヤとの事前選択を、先に選択されていた走行レンジに応じて行うことができる。したがって、好ましい形態では、後進走行レンジが先に選択されているならば、アイドル走行レンジにおいて2つの第1前進ギヤにギヤ入れして保持する。これは、後進走行レンジ−アイドル走行レンジ−後進走行レンジという選択順序は、後進走行レンジ−アイドル走行レンジ−前進走行レンジという選択順序よりも可能性が低いという状況を考慮に入れている。
【0019】
あるいは、又は、さらに、先に選択されていた走行レンジが前進走行レンジである場合、自動車の水平な姿勢では、アイドル走行レンジにおいて2番目に小さな前進ギヤだけにギヤ入れして保持してもよい。これにより、2番目に小さな前進ギヤは、後進走行レンジから前進走行レンジへの数回の変更の際にギヤ入れされたままである。このような変更は、クリープを抑制するために、信号に不慣れな運転手に見られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】上り坂姿勢である自動車を、様々な走行レンジについて本発明に基づきギヤ入れされるギヤの情報と共に示す図である。
【図2】下り坂姿勢である自動車を、様々な走行レンジについて本発明に基づきギヤ入れされるギヤの情報と共に示す図である。
【図3】自動車の動力伝達系の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を参照して本発明を詳しく説明する。
【0022】
図1は、坂を上るように方向付けられた自動車1を示す。この場合、自動車1は、水平線に対して傾斜角α1を有する上り車道2上にある。図1によれば自動車が坂を上るように方向付けられていることを、自動車1の上り坂姿勢とする。
【0023】
図2に、同様に自動車1を示すが、ここでは、上り車道ではなく、下り車道3に上にある。下り車道3は、水平線に対して傾斜角α2を有している。自動車1が図2に示す姿勢である場合、自動車1は下り坂姿勢である、すなわち、自動車はその前端(フロント)が下に向いている。
【0024】
図1及び図2にはさらに表が示されており、これらの表は、それぞれ3つの列を有している。これらの表を参考にして、本発明の方法について説明する。それについては、後に詳しく触れる。
【0025】
図3は、自動車1のモータ4、ダブルクラッチトランスミッション5、出力部6を概略的に示す。この場合、ダブルクラッチトランスミッション5は、自動変速機である。ダブルクラッチトランスミッション5は、第1サブトランスミッション10と、第2サブトランスミッション20とを備えている。第1サブトランスミッション10には、第1クラッチ11と、3つの前進ギヤG1,G3,G5と、後進ギヤG_バックとが設けられている。第2サブトランスミッション20には、第2クラッチ21と、3つの前進ギヤG2,G4,G6とが設けられている。この場合、前進ギヤG1は、ダブルクラッチトランスミッション5の最大の変速比を有する最小の前進ギヤであるほうがよい。一方、最大の前進ギヤ、すなわち前進ギヤG6は、最小の変速比を有している。したがって、第1サブトランスミッション10は、2つの起動ギヤ、つまり、最小又は第1のギヤG1と、後進ギヤG_バックとを有している。
【0026】
ダブルクラッチトランスミッションによって、動力を間断なく伝えて自動車1を加速することが可能となる。自動車1を起動する場合、最小のギヤG1にギヤ入れされているので、第1クラッチ11を閉じることで、回転モーメントは、モータ4と出力部6すなわち自動車の駆動ホイールとの間で伝達される。第1ギアにおいて自動車が加速する間に、又は、自動車1の起動前に既に、第2サブトランスミッション20は、2番目に小さい又は第2の前進ギヤG2にギヤ入れする。第1前進ギヤG1から第2前進ギヤG2へ切り換えるために、重複フェーズにおいて第1クラッチ11を開き、第2クラッチ21を閉じる。重複フェーズにおいて、回転モーメントは、モータ4と出力部6との間を常に伝達され、これにより、間断無い加速となる。
【0027】
上述のとおり、図1及び図2の表を参照してダブルクラッチトランスミッション5を制御するための本発明の方法について説明する。表の各第1列には、自動車の運転手が手動で操作可能な選択レバーによって選択することのできる4つの異なる走行レンジがリストアップされている。走行レンジとは、それぞれ、パーキングレンジP、後進走行レンジR、アイドル走行レンジN、及び、前進走行レンジDである。運転手は、選択レバーの4つの対応する位置について走行レンジの1つを選択する。選択レバーの4つの位置は、選択レバー用の選択連動装置に、表の各第1列における走行レンジのように順々に設けられている。例えば、運転手が、パーキングレンジPから前進走行レンジDへ変更したいならば、運転手は、選択レバーを、パーキングレンジPに割り当てられている位置から、後進走行レンジRに割り当てられている位置とアイドル走行レンジに割り当てられている位置とを経て、その目的位置へ押し、この目的位置によって、最終的に前進走行レンジDを選択する必要がある。
【0028】
図1の表の第2列は、上り坂姿勢(図1参照)で、ダブルクラッチトランスミッション5の第1サブトランスミッション10において、起動の際にギヤ入れされて保持されるギヤを示す。この場合、パーキングレンジPにおいては、最小の前進ギヤG1にギヤ入れされている。アイドル走行レンジNにおいても、最小の前進ギヤG1にギヤ入れされている。後進走行レンジRのためには、後進ギヤG_バックにギヤ入れされている。一方、前進走行レンジにおいては、同様に第1前進ギヤG1にギヤ入れされている。
【0029】
これに対して自動車1が下り坂姿勢(図2参照)である場合、個々の走行レンジP,R,N及びDのために、ギヤは、図2の表の第2列に表されているようにギヤ入れされている。このとき、パーキングレンジPのためにも、アイドル走行レンジNのためにも、後進ギヤG_バックはギヤ入れされたまま保持されている。
【0030】
本発明の方法は、パーキングレンジPにおいてギヤ入れされているギヤG1、G_バックによって、自動車1が上り坂姿勢(図1)であるのか、又は、下り坂姿勢(図2)であるのかを判断できるという利点を提供する。したがって、自動車1の静止状態において、又は、ダブルクラッチトランスミッション5を制御する制御装置のスタートアップの際に、傾斜センサ無しで、自動車1の基本的な傾斜(下り坂又は上り坂)が決定される。
【0031】
図1及び図2の表の各第3列には、個々の走行レンジにおいて、起動の際に、第2サブトランスミッション20でギヤ入れされているギヤが示されている。それぞれ、2番目に小さいすなわち第2前進ギヤG2である。
【0032】
例えば自動車1が上り坂姿勢であり、運転手が、上るように、又は、前進するように起動したいならば、運転手は、選択レバーを前進ギヤレンジDに対応する位置へ押し、この場合、選択レバーは、アイドル走行レンジNに割り当てられている位置を通過する、又は、少なくともこの位置から出るように動かされる。このアイドル走行レンジNにおいて、既に、第1前進ギヤG1にギヤ入れされるので、前進ギヤレンジDへの変更の際に、第1サブトランスミッションにおいて、さらにギヤ切換えクラッチを操作する必要はなく、直接第1クラッチ11(図3参照)を閉じることができる。したがって、モータ4の回転モーメントは、大きく遅延せずに出力部6にかかり、その結果、起動時に坂道における望ましくないロールバックを回避することができる。
【0033】
本発明の方法では、下り坂姿勢(図2)に対して、走行レンジP,Nにおいて後進ギヤG_バックにギヤ入れされている。次に、運転手が、その選択レバーによって後進レンジRを選択するならば、そのレンジ変更は、パーキングレンジPから、若しくは、アイドル走行レンジNから行われる。走行レンジP,Nにおいて後進ギヤG_バックにギヤ入れされているので、選択レバーが後進走行レンジRに割当てられている位置に到達すると直ぐに第1クラッチ11を閉鎖することができ、その結果、自動車1は、次に所望どおり坂を上るようにすなわち後進するようにギアに設定される前に、不都合に一旦坂を下るように回転することはない。
【符号の説明】
【0034】
1 自動車
2 上り坂の車道
3 下り坂の車道
4 モータ
5 ダブルクラッチトランスミッション
6 出力部
10 第1サブトランスミッション
11 第1クラッチ
20 第2サブトランスミッション
21 第2クラッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(1)に取り付けられ、複数の前進ギヤ(G1,…,G6)と、少なくとも1つの後進ギヤ(G_バック)とを備え、選択レバーによって異なる走行レンジ(P,R,N,D)が選択され得る自動変速機(5)を制御するための方法であって、
パーキングレンジ(P)において、
前記自動車(1)が坂を上るように方向付けられている上り坂姿勢である場合、前進ギヤ(G1)にギヤ入れして保持し、
前記自動車(1)が坂を下るように方向付けられている下り坂姿勢である場合、前記前進ギヤ(G1)の代わりに、後進ギヤ(G_バック)にギヤ入れして保持することを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
アイドル走行レンジ(N)において、
前記自動車(1)が前記上り坂姿勢である場合は、前記前進ギヤ(G1)にギヤ入れして保持し、
前記自動車が前記下り坂姿勢である場合は、前記前進ギヤ(G1)の代わりに、前記後進ギヤ(G_バック)にギヤ入れして保持することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、
前記パーキングレンジ(P)及び前記アイドル走行レンジ(N)における前記ギヤ入れされる前進ギヤ(G1)は、前記前進ギヤ(G1,…,G6)の最小のギヤであることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の方法において、
前記ギヤ入れされる後進ギヤ(R_バック)は、複数の後進ギヤが設けられている場合は複数の後進ギヤの最小のギヤであることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の方法において、
前記自動車(1)のサービスブレーキが作動して保持されている限り、前記上り坂姿勢において、後進走行レンジ(R)において前記前進ギヤ(G1)にギヤ入れして保持することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の方法において、
前記自動変速機は、ダブルクラッチトランスミッション(5)であり、
前記ダブルクラッチトランスミッション(5)は、
第1クラッチ(11)及び第1グループのギヤ(G1,G3,G5,G_バック)が設けられている第1サブトランスミッション(10)と、
第2クラッチ(21)及び第2グループのギヤ(G2,G4,G6)が設けられている第2サブトランスミッション(20)とを備え、
前記後進ギヤ(G_バック)、及び、前記最小の前進ギヤ(G1)は、前記第1サブトランスミッション(10)に設けられていることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、
前記第2サブトランスミッション(20)に設けられている2番目に小さな前進ギヤ(G2)は、上り坂姿勢及び下り坂姿勢の少なくとも1つにおいて、前記パーキングレンジ(P)及び前記アイドル走行レンジ(N)においてギヤ入れされて保持されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の方法において、
前記自動車の前記サービスブレーキが作動して保持されている限り、前記下り坂姿勢において、前進走行レンジ(D)において前記後進ギヤ(G_バック)にギヤ入れして保持することを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項6から8のいずれか1つに記載の方法において、
先に選択されていた走行レンジが前記後進走行レンジ(R)である場合、前記自動車(1)の水平な姿勢において、前記アイドル走行レンジ(N)において前記最小の前進ギヤ(G1)及び2番目に小さい前進ギヤ(G2)にギヤ入れして保持することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、
前記先に選択されていた走行レンジが前記前進走行レンジ(D)である場合、前記自動車(1)の前記水平な姿勢において、前記アイドル走行レンジ(N)において前記2番目に小さい前進ギヤ(G2)にギヤ入れして保持することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−48416(P2010−48416A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−188408(P2009−188408)
【出願日】平成21年8月17日(2009.8.17)
【出願人】(506132120)ゲトラーク フォード トランスミシオーンス ゲーエムベーハー (18)
【Fターム(参考)】