説明

自動車の下部構造

【課題】サスペンション装置のトレーリングアームの支持に要するスペースをできるだけ小さくすることができると共に、クロスメンバを設けられない場合でもリヤサスペンション装置の支持剛性を適切に確保可能な自動車の下部構造を提供する。
【解決手段】ブラケット30を、リヤフロアフレーム6の横面部6bの下面に取り付けて、車幅方向外側の縦面部30cがリヤフロアフレーム6の横面部6bの下面における外側端寄りの位置から下方に延び、車幅方向内側の縦面部30bがリヤフロアフレームの下面における中間位置から下方に延び、該内側の縦面部30bと、リヤフロアフレーム6の下面における該内側の縦面部30bよりも内側端寄りの部位との間に閉断面空間X3を形成する補強部材50を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の下部構造に関し、車体構造の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車体の後部には、後輪を支持するリヤサスペンション装置が設けられる。このリヤサスペンション装置には、上下に伸縮可能なダンパ装置やコイルスプリング以外に、略車両前後方向に延び、前端部が車体側に支持され、後端部が後輪に連結されるトレーリングアームが備えられる。このトレーリングアームの前端部は、例えば、車体に固定されたブラケットの対向する左右一対の縦面部間に支持されると共に、該ブラケットは、特許文献1に開示されているように、トレーリングアームの支持剛性の確保のため、フロアパネルの下面に設けられたリヤフロアフレーム及びクロスメンバの両方に近い位置でこれらの側方に配設される場合がある。
【0003】
【特許文献1】特開2005−254948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、フロアパネルの下面には、燃料タンク等の種々の車両部品が取り付けられるので、前記クロスメンバを設けられないことがある。また、サスペンション装置のトレーリングアームの支持に要するスペースも車両部品の設置スペースを十分に確保するためできるだけ小さい方が望ましい。
【0005】
そこで、本発明は、サスペンション装置のトレーリングアームの支持に要するスペースをできるだけ小さくすることができると共に、クロスメンバを設けられない場合でもリヤサスペンション装置の支持剛性を適切に確保可能な自動車の下部構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は、次のように構成したことを特徴とする。
【0007】
まず、本願の請求項1に記載の発明は、フロアパネルと、該フロアパネルの後部下面左右両側に配設されて、該フロアパネルとの間に略前後方向に延びる閉断面空間を形成するリヤフロアフレームと、リヤサスペンション装置の略前後方向に延びるトレーリングアームの前端部を対向する左右一対の縦面部間に支持するブラケットとが備えられた自動車の下部構造であって、前記ブラケットは、前記リヤフロアフレームの下面に取り付けられて、一方の縦面部が前記リヤフロアフレームの下面における車幅方向一側端寄りの位置から下方に延びていると共に、他方の縦面部が該下面における車幅方向他端位置より一端側に間隔をおいた位置から下方に延びており、かつ該他方の縦面部と、リヤフロアフレームの下面における該他方の縦面部よりも車幅方向他側端寄りの部位との間に閉断面空間を形成する補強部材が設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の自動車の下部構造において、前記リヤフロアフレームは、該フレームの車幅方向外側で前後方向に延びるサイドシルに隣接するように設けられており、前記一方の縦面部は、車幅方向外側に位置する縦面部であって、サイドシルに接合されていることを特徴とする。
【0009】
そして、請求項3に記載の発明は、 前記リヤフロアフレームには、前後方向の途中に段差部が設けられていると共に、前記ブラケットが段差部に設けられており、前記フロアパネルには、リヤフロアフレームの前記段差部の上方の部位に、剛性を高める膨出部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
さらに、請求項4に記載の発明は、前記請求項1から請求項3のいずれかに記載の自動車の下部構造において、前記フロアパネルの前部下面左右両側に配設されて、略前後方向に延びる閉断面空間を形成するフロントフロアフレームが備えられており、前記リヤフロアフレームの前端部は、前記フロントフロアフレームの後端部に接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
次に、本発明の効果について説明する。
【0012】
まず、請求項1に記載の発明によれば、前記ブラケットは、前記リヤフロアフレームの下面に取り付けられて、一方の縦面部が前記リヤフロアフレームの下面における車幅方向一側端寄りの位置から下方に延びていると共に、他方の縦面部が該下面における車幅方向他端位置より一端側に間隔をおいた位置から下方に延びているので、背景技術のようにリヤフロアフレームの側方に設ける場合よりも、サスペンション装置のトレーリングアームの支持に要する車幅方向のスペースを小さくすることができる。つまり、燃料タンク等の車両部品を配設するための車幅方向スペースが増加することとなる。
【0013】
また、前記他方の縦面部と、リヤフロアフレームの下面における該他方の縦面部よりも車幅方向他側端寄りの部位との間に閉断面空間を形成する補強部材が設けられているので、ブラケットが補強されることとなり、仮にクロスメンバが設けられていない場合でも、リヤサスペンション装置のトレーリングアームの支持剛性を適切に確保することができるようになる。しかも、閉断面空間もリヤフロアフレームの下方に形成されるので、リヤフロアフレームの内側方に設けられる場合よりも、リヤフロアフレーム間のスペースを大きくすることができ、燃料タンク等の車両部品を配設するための車幅方向スペースを確保することができる。
【0014】
また、請求項2に記載の発明によれば、前記リヤフロアフレームは、該フレームの車幅方向外側で前後方向に延びるサイドシルに隣接するように設けられており、前記一方の縦面部は、車幅方向外側に位置する縦面部であって、サイドシルに接合されているので、前記他方の縦面部だけでなく、前記一方の縦面部も閉断面空間を有するサイドシルにより補強されることとなり、トレーリングアームの支持剛性が向上することとなる。
【0015】
ところで、フロアパネルには、燃料タンクや車軸等の配設スペースを確保するために、後部側が高くなる段差部を設ける場合がある。この場合、リヤフロアフレームについてもフロアパネルの下面に沿うように前後方向の途中に段差部が設けられるが、このようにすると、車両に前後方向の衝撃力が加わった場合に、リヤフロアフレームが前記段差部を起点として折れ曲がりやすくなるという問題がある。
【0016】
しかし、請求項3に記載の発明によれば、前記リヤフロアフレームには、前後方向の途中に段差部が設けられていると共に、前記ブラケットが段差部に設けられており、前記フロアパネルには、リヤフロアフレームの前記段差部の上方の部位に、剛性を高める膨出部が設けられているので、フロアパネルにおける膨出部近傍部分が補強されることとなり、これにより、前述の折れ曲がりが抑制されることとなる。また、ブラケットの取付部が補強されることにもなり、トレーリングアームの支持剛性も向上させることができる。
【0017】
さらに、請求項4に記載の発明によれば、前記リヤフロアフレームの前端部は、フロントフロアフレームの後端部に接続されているので、車体全体の剛性が向上すると共に、トレーリングアームの支持剛性がより一層向上することとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係る自動車の下部構造について説明する。
【0019】
図1は、本実施の形態に係る自動車1の下面図であり、この図に示すように、この自動車1の下部には、該自動車1の床面を構成するフロアパネル2と、該フロアパネル2の左右両側縁部に沿って前後方向に延びるサイドシル3,3と、該フロアパネル2の下面左右両側におけるサイドシル3,3の内方側で略前後方向に延びるフロアフレーム4,4とが備えられている。
【0020】
フロアパネル2の中央には、前後方向に延び、基準面2aから上方に膨出するトンネル部2bが設けられている。また、図2、図3にも示すように、フロアパネル2におけるトンネル部2bの後方には、基準面2aから階段状に高くなるキックアップ部2cと、該キックアップ部2cの後端から後方側ほど緩やかに高くなる傾斜面部2dと、該傾斜面部2dの後端から略水平に後方に延びる水平面部2eとが形成されている。なお、フロアパネル2は、フロントリヤパネル、リヤフロアパネル、及びこれらとサイドシル3,3とを接合するサイドフロアパネル等の複数のパネルで構成されているが、本実施の形態においては、これらを区別することなく、フロアパネル2として説明する。
【0021】
フロアフレーム4は、前記キックアップ部2cよりも前方側のフロントフロアフレーム5と、後方側のリヤフロアフレーム6とで構成されている。両フロアフレーム5,6は、それぞれ断面逆ハット状とされ、フランジ部がフロアパネル2の下面に接合され、図4、図5に示すように、フロアパネル2とで閉断面空間X1を形成している。また、フロントフロアフレーム5の後端部とリヤフロアフレーム6の前端部とは、重合されて接合されている。また、リヤフロアフレーム6は、前記フロアパネル2の下面に沿うように前後方向の途中に略階段状の段差部6aを有している。
【0022】
フロアパネル2の水平面部2eの前端部下面には、左右のリヤフロアフレーム6を連結する断面逆ハット状のクロスメンバ7が設けられ、該クロスメンバ7とフロアパネル2とで閉断面空間X2が形成されている(図3参照)。なお、フロアパネル2のキックアップ部2cの下方には、本実施の形態に係る自動車1においては、クロスメンバは設けられていない。
【0023】
フロアパネル2の傾斜面部2dの下方には、燃料を貯蔵する燃料タンク8が設けられ、バンド9,9を介してフロアパネル2に固定されている。なお、前段落で説明したように、フロアパネル2のキックアップ部の下方にはクロスメンバが設けられていないので、該燃料タンク8の前端部はキックアップ部2cの縦面部側にできるだけ膨張させて設けられている。これにより、貯蔵可能な燃料量が増加している。
【0024】
また、フロアパネル2の傾斜面部2d及び水平面部2eの左右には、後輪W,Wが収容されるリヤホイールハウス10,10が設けられ、該ホイールハウス10,10内に、後輪W,Wを懸架するリヤサスペンション装置20,20がそれぞれ設けられている。
【0025】
このリヤサスペンション装置20(左右対称であり、一方のみについて説明する)は、リヤフロアフレーム6の下方に設けられた後述するブラケット30により前端部が揺動自在に支持され、後端部がホイルサポートSを介して後輪Wに連結されるトレーリングアーム21と、左右のトレーリングアーム21,21を連結する断面逆U字状のトーションバー22と、トレーリングアーム21の外面における内方側の部分に接合された皿状のスプリング下端受部材23と、該スプリング下端受部材23の上方で前記リヤフロアフレーム6の外側の縦面部6aに接合される縦面部24a及び該縦面部24aの下端から内方にほぼ水平に延びる水平面部24bを有するL字状のスプリング上端受部材24と、両受部材23,24の間に介設されたコイルスプリング25と、前記スプリング下端受部材23の後端部に接合された支持部材26と、ホイールハウス10の上端部との間に設けられ、上下方向に伸縮可能なダンパ部材27とを有し、車体の上下動が生じたときに、トレーリングアーム21が前端部を中心として揺動すると共に、この揺動による後端側の上下変位をダンパ部材26及びコイルスプリング25が伸縮することにより吸収するようになっている。ここで、左右のトレーリングアーム21,21は、トーションバー22により連結されているので連動してほぼ同様の挙動を示すこととなる。なお、トーションバー21は、この連動に際して捩れることが可能となっている。
【0026】
トーションバー22の内面左右両端側には断面U字状の部材28が該トーションバー22とで閉断面を形成するように接合されると共に、部材28の外端部がトレーリングアーム21に接合されている。つまり、トーションバー22とトレーリングアーム21との接合部が補強されており、これにより、トーションバー22の捩れにより該トーションバー22とトレーリングアーム21との接合部に剥離力が作用した場合に、この剥離力を分担可能となっている。
【0027】
前記ブラケット30は、リヤフロアフレーム6の長手方向に沿って延びており、リヤフロアフレーム6の横面部6bに接合された横面部30aと、該横面部30aの左右両端から下方に延びる一対の縦面部30b,30c(請求項1の対向する左右一対の縦面部に相当する)と、内側の縦面部30bの下端からほぼ水平に燃料タンク8側に延びる横面部30d(請求項1の他方の縦面部の一部を構成する)と、外側の縦面部30cの下端からほぼ水平にサイドシル3側に延び、サイドシル3の内面を構成するサイドシルインナパネル71に接合される取付面部30eとを有し、断面ハット状とされている。また、縦面部30b,30cの高さ(上下長)は、図3によくあらわれているように、前記トレーリングアーム21の前端部が位置する前後方向中央付近が最も大きく、前端側及び後端側は小さくされ、側面視略逆三角形状とされている。
【0028】
トレーリングアーム21の前端部には、該トレーリングアーム21を前記ブラケット30に揺動自在に支持させるための支持機構40が内蔵されている。すなわち、該支持機構40は、ブラケット30の左右の縦面部30b,30c、サイドシルインナパネル71、及びホイールハウスインナパネル72を略車幅方向に貫通して揺動軸心を構成すると共に支持機構40を縦面部30b,30cに係止するボルト41及びナット42と、該ボルト41に挿通された内筒43と、該内筒43を取り巻くラバー部材44と、該ラバー部材44の外周に設けられた外筒45と、トレーリングアーム22の本体部材46の前端部に形成され、前記外筒45が嵌合された略車幅方向に開口する孔部46aとを有している。
【0029】
なお、前記ブラケット30の車幅方向外側の縦面部30c、サイドシルインナパネル71、及びホイールハウスインナパネル72におけるボルト41が挿通される部位の周辺部は、互いに接合されている。また、前記ナット42は、いずれの部材にも接合されず、頭部が、前記ブラケット30の内側の縦面部30bに前後両端部が接合された取付ブラケット47の孔47aに嵌入されている。
【0030】
ここで、ブラケット30の外方側の縦面部30c(請求項1の一方の縦面部に相当する)は、リヤフロアフレーム6の横面部6bの下面における車幅方向外側端寄りの位置から下方に延び、内方側の縦面部30b(請求項1の他方の縦面部に相当する)は、リヤフロアフレーム6の横面部6bの下面における車幅方向中間位置から下方に延びている。また、該ブラケット30の車幅方向内方には、ブラケット30におけるトレーリングアーム21の前端部支持部周辺を補強する補強部材50が設けられている。
【0031】
この補強部材50は、ブラケット30の内側の縦面部30bと略平行で、上縁部がリヤフロアフレーム6の車幅方向内側の縦面部6aに接合された縦面部50aと、該縦面部50aの下端から燃料タンク8側にほぼ水平に延び、ブラケット30の横面部30dの上面に接合された横面部50bとを有すると共に、側面視でブラケット30と類似した形状とされ、リヤフロアフレーム6の横面部6bにおける、ブラケット30の車幅方向内側の縦面部30bよりも車幅方向内側端側の部位と、前記ブラケット30の内側の縦面部30b及び横面部30dとの間に閉断面空間X3(請求項1における、他方の縦面部と、リヤフロアフレームの下面における該他方の縦面部よりも車幅方向他側端寄りの部位と、補強部材との間に形成される閉断面空間に相当する)を形成している。
【0032】
この閉断面空間X3は、側方視で、ブラケット30の縦面部30bにおけるリヤフロアフレーム6へ接合される上縁部を除く部分とほぼ同じ範囲に形成されている。
【0033】
また、前記フロントフロアフレーム5とリヤフロアフレーム6とが接合される部位は、閉断面空間X4を有するサイドシル3に隣接して設けられていると共に、リヤフロアフレーム6の車幅方向外側の縦面部6cはサイドシルインナパネル71に接合されている。また、ブラケット30の車幅方向外側の縦面部30cも同様にサイドシルインナパネル71に接合されている。
【0034】
また、ブラケット30の横面部30d,30e間には、前記支持機構40の前方における該支持機構40に比較的近い位置において、縦面部30b,30cが離間する方向に開くのを防止するための橋渡し部材60が設けられている。この橋渡し部材60は、フロアパネル2やブラケット30等よりも厚い素材を用いて形成され、ボルト61,61、及びナット62,62を用いて縦面部30d,30eに固定されている。
【0035】
また、フロアパネル2には、前記リヤフロアフレーム6の段差部6aの上方において前後方向に延び、上方に膨出する補強用の膨出部2fが設けられている。
【0036】
次に本実施の形態に係る自動車の下部構造の作用効果について説明する。
【0037】
まず、フロアパネル2のキックアップ部の下方にはクロスメンバが設けられていないので、該燃料タンク8の前端部をキックアップ部2cの縦面部側にできるだけ接近させることができ、これにより、燃料タンク容量を増加させることができる。
【0038】
また、ブラケット30は、リヤフロアフレーム6の下面に取り付けられているので、背景技術のようにリヤフロアフレームの側方に設ける場合よりも、サスペンション装置20のトレーリングアーム21の支持に要する車幅方向のスペースを小さくすることができる。つまり、燃料タンク8の配設スペースを車幅方向に拡大することができ、これによっても、燃料タンク容量を増加させることができる。
【0039】
また、前記ブラケット30の内側の縦面部30bと、リヤフロアフレーム6の下面における内側の縦面部30bよりも車幅方向内側端寄りの部位との間に閉断面空間X3を形成する補強部材50が設けられているので、ブラケット30が補強されることとなり、トレーリングアーム21の前端部近傍にクロスメンバが設けられていない場合でも、リヤサスペンション装置20のトレーリングアーム21の支持剛性を適切に確保することができるようになる。しかも、閉断面空間X3もリヤフロアフレーム6の下方に形成されるので、リヤフロアフレーム6の内側方に設けられる場合よりも、左右のリヤフロアフレーム6,6間のスペースを大きくすることができ、燃料タンク8等の車両部品を配設するための車幅方向スペースを確保することができる。
【0040】
また、リヤフロアフレーム6は、サイドシル3に隣接するように前後に設けられていると共に、車幅方向外側に位置する縦面部30cがサイドシル3に接合されているので、この車幅方向外側の縦面部30cが閉断面空間X4を有するサイドシル3により補強されることとなり、トレーリングアーム21の支持剛性が一層向上することとなる。
【0041】
また、リヤフロアフレーム6の前後方向の途中に段差部6aが設けられているが、フロアパネル2には、前記リヤフロアフレーム6の段差部6aの上方において剛性を高めるための上方に膨出する膨出部2fが設けられているので、フロアパネル2における膨出部2f近傍部分が補強されることとなり、これにより、車体に対して前後方向からの衝撃力が作用したときにリヤフロアフレーム6が前記段差部6aを起点として折れ曲がるのが抑制されることとなる。また、ブラケット30の取付部が補強されることにもなり、トレーリングアーム21の支持剛性も向上させることができる。
【0042】
さらに、リヤフロアフレーム6の前端部は、フロントフロアフレーム5の後端部に接続されているので、車体全体の剛性が向上すると共に、トレーリングアーム21の支持剛性もより一層向上することとなる。
【0043】
なお、前記実施の形態においては、ブラケット30の車幅方向外側の縦面部30cがリヤフロアフレーム6の下面6aにおける車幅方向外側端寄りの位置から下方に延びるものについて説明したが、車幅方向内側の縦面部30bがリヤフロアフレーム6の下面6aにおける車幅方向内側端寄りの位置から下方に延びるものに対しても適用可能であり、この場合でも、ブラケットをリヤフロアフレームの側方に設ける場合よりも、サスペンション装置20を設けるための車幅方向のスペースを小さくすることができる。
【0044】
また、前記実施の形態においては、フロアパネル2のキックアップ部2c部分にクロスメンバが設けられていない場合について説明したが、本発明は、該部分にクロスメンバが設けられている自動車に対しても適用可能であり、この場合においても、サスペンション装置のトレーリングアームの支持に要する車幅方向のスペースを小さくすることができる。つまり、燃料タンクの配設スペースを車幅方向に拡大することができる。
【0045】
また、前記実施の形態においては、燃料タンクの配設スペースを拡大するようにしたが、燃料タンクの配設スペースを増加させない場合は、その他の車両部品の配設スペースを増加させることができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、自動車の下部構造に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態に係る自動車の下面図である。
【図2】図1の左後輪周辺の拡大図である(燃料タンクを透視した状態で記載している)。
【図3】図2のA−A矢視図である。
【図4】図2のB−B端面図である。
【図5】図2のC−C端面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 自動車
2 フロアパネル
3 サイドシル
4 フロアフレーム
6 リヤフロアフレーム
6b 横面部(リヤフロアフレームの下面)
8 燃料タンク
20 サスペンション装置
21 トレーリングアーム
30 ブラケット
30b 縦面部(リヤフロアフレームの下面における車幅方向中間の位置から下方に延びる他方の縦面部、)
30c 縦面部(リヤフロアフレームの下面における車幅方向一側端寄りの位置から下方に延びる一方の縦面部)
30d 横面部(他方の縦面部の一部)
50 補強部材
X1 フロアパネルとリヤフロアフレームとの間に形成される閉断面空間
X3 フロアパネルとブラケットの外側の縦面部との間に形成される閉断面空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアパネルと、該フロアパネルの後部下面左右両側に配設されて、該フロアパネルとの間に略前後方向に延びる閉断面空間を形成するリヤフロアフレームと、リヤサスペンション装置の略前後方向に延びるトレーリングアームの前端部を対向する左右一対の縦面部間に支持するブラケットとが備えられた自動車の下部構造であって、
前記ブラケットは、前記リヤフロアフレームの下面に取り付けられて、一方の縦面部が前記リヤフロアフレームの下面における車幅方向一側端寄りの位置から下方に延びていると共に、他方の縦面部が該下面における車幅方向他端位置より一端側に間隔をおいた位置から下方に延びており、かつ
該他方の縦面部と、リヤフロアフレームの下面における該他方の縦面部よりも車幅方向他側端寄りの部位との間に閉断面空間を形成する補強部材が設けられていることを特徴とする自動車の下部構造。
【請求項2】
前記請求項1に記載の自動車の下部構造において、
前記リヤフロアフレームは、該フレームの車幅方向外側で前後方向に延びるサイドシルに隣接するように設けられており、
前記一方の縦面部は、車幅方向外側に位置する縦面部であって、サイドシルに接合されていることを特徴とする自動車の下部構造。
【請求項3】
前記請求項1または請求項2に記載の自動車の下部構造において、
前記リヤフロアフレームには、前後方向の途中に段差部が設けられていると共に、前記ブラケットが段差部に設けられており、
前記フロアパネルには、リヤフロアフレームの前記段差部の上方の部位に、剛性を高める膨出部が設けられていることを特徴とする自動車の下部構造。
【請求項4】
前記請求項1から請求項3のいずれかに記載の自動車の下部構造において、
前記フロアパネルの前部下面左右両側に配設されて、略前後方向に延びる閉断面空間を形成するフロントフロアフレームが備えられており、
前記リヤフロアフレームの前端部は、前記フロントフロアフレームの後端部に接続されていることを特徴とする自動車の下部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−276623(P2007−276623A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−105344(P2006−105344)
【出願日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】