説明

自動車の室内表示システム

【課題】 色彩、模様などを表示する表示装置を車室内に設け、外部環境に対応して、または、ドライバーの気分に応じて、その表示装置の画面に映し出される色彩或いは模様などを変えることによって、ドライバー及び同乗者にとって快適な車内の雰囲気を創り出すことができる自動車の室内表示システムを提供する。
【解決手段】 自動車の室内表示システムにおいて、天候、気温、走行場所などの外部環境を検知する検知装置と、室内に設置され画面に色彩或いは模様を表示する表示装置11とを備え、前記検知装置で検知された外部環境に応じて、予め設定されたコントローラのプログラムに従って前記表示装置11の画面に表示する色彩或いは模様を変更することができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の室内表示システムに係り、特に外部の環境に対応して或いはドライバーの気分に応じて車室内の雰囲気を変更する或いは創り出す室内表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、演劇場などでは、演出効果を上げるため、照明等を用いてその場の雰囲気を演出することが日常的に行われている。
【0003】
しかし、自動車は専ら走るためのものとして造られており、車室内を豪華にするためのインテリアには様々な工夫が凝らされているが、それらは全て固定的なものであり、外部の環境変化に対応して車室内の雰囲気を変える、例えば、雨の日には車室内を清々しく感じさせる、暑い日には涼しく感じさせる、また、混んだ道路を走る場合には車室内に落ちついた雰囲気を創り出すというような工夫はなされていなかった。また、ドライバーの気分に応じて車室内の雰囲気を変え、より快適な気分で運転できるようにするという工夫もなされていなかった。
【特許文献1】なし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記状況に鑑みて、色彩、模様などを表示する表示装置を車室内に設け、外部環境に対応して、または、ドライバーの気分に応じて、その表示装置の画面に映し出される色彩或いは模様などを変えることによって、ドライバー及び同乗者にとって快適な車内の雰囲気を創り出すことができる自動車の室内表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕自動車の室内表示システムにおいて、天候、気温、走行場所などの外部環境を検知する検知装置と、室内に設置され画面に色彩或いは模様を表示する表示装置とを備え、前記検知装置で検知された外部環境に応じて、予め設定されたコントローラのプログラムに従って前記表示装置の画面に表示する色彩或いは模様を変更することができるようにしたことを特徴とする。
【0006】
〔2〕上記〔1〕記載の自動車の室内表示システムにおいて、前記表示装置の画面の色彩或いは模様をドライバーまたは同乗者の選択により変更できるようにしたことを特徴とする。
【0007】
〔3〕上記〔1〕又は〔2〕記載の自動車の室内表示システムにおいて、前記表示装置の表示画面を帯状に構成し、この帯状の表示画面をドライバー及び同乗者を囲むように車室内の前面及び側面に配置することを特徴とする。
【0008】
〔4〕上記〔1〕又は〔2〕記載の自動車の室内表示システムにおいて、前記外部環境を検知する検知装置は、温度センサー、湿度センサー、水滴検知センサー及びインターネット等からの情報受信装置を含むことを特徴とする。
【0009】
〔5〕上記〔1〕又は〔2〕記載の自動車の室内表示システムにおいて、前記コントローラはドライバーまたは同乗者が選択する頻度の高い色彩または模様を優先的に選択する学習機能を有することを特徴とする。
【0010】
〔6〕上記〔1〕又は〔2〕記載の自動車の室内表示システムにおいて、前記画面に表示する色彩は、赤色、青色、緑色、水色などの単一色であることを特徴とする。
【0011】
〔7〕上記〔1〕又は〔2〕記載の自動車の室内表示システムにおいて、前記画面に表示する模様は、波模様、渦模様、水玉模様などの簡潔な模様とすることを特徴とする。
【0012】
〔8〕上記〔1〕又は〔2〕記載の自動車の室内表示システムにおいて、スピーカーを設け、前記画面に表示される色彩または模様に連動して、音楽や、波の音などのバックサウンドを出す音声発生装置を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ドライバー及び同乗者にとって快適な車内の雰囲気を創り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
自動車の室内表示システムにおいて、天候、気温、走行場所などの外部環境を検知する検知装置と、室内に設置され画面に色彩或いは模様を表示する表示装置とを備え、前記検知装置で検知された外部環境に応じて、予め設定されたコントローラのプログラムに従って前記表示装置の画面に表示する色彩或いは模様を変更することができる。よって、ドライバー及び同乗者にとって快適な車内の雰囲気を創り出すことができる。
【実施例】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明の実施例を示す自動車の室内表示システムのブロック図である。
【0017】
この図において、1は水滴センサーであり、この水滴センサー1は雨が降っているかを検知する。2は騒音センサーであり、この騒音センサー2は車速センサーで検知される車速と組み合わせて、車の走行速度と車外の騒音レベルから走行場所が繁華街であるか、市街地であるか、高速道路であるかなどを判断する。3は温度センサーであり、この温度センサー3は暑い日であるか、寒い日であるかを検知する。4は湿度センサーであり、この湿度センサー4は湿度が高く蒸し蒸しした日であるか、湿度が低く清々しい日であるかを検知する。5は照度センサーであり、この照度センサー5は時刻と合わせて、昼間であるか、夕方であるか、夜間であるか、また晴れているか、曇っているかを判断する。6は自動車の速度をはかる車速センサー、7は情報収集装置であり、この情報収集装置7は、インターネット機器、交通情報受信機、或いはナビゲータ等であり、気候情報、渋滞情報などを収集する。
【0018】
8は手動選択スイッチであり、この手動選択スイッチ8はドライバーまたは同乗者が、自分の所望の色彩(例えばピンク)、または模様(例えば波模様)を選択するためのスイッチである。9はコントローラであり、このコントローラ9は、外部環境に応じて、例えば、温度、湿度が共に高いときには、気分が爽快になる波模様を選択し、或いは市街地の渋滞に巻き込まれた時には、気分を転換するために水色の色彩を選択する等の判断を行い、自動車の室内表示装置11にその色彩または模様を表示すると共に、音声発生装置12にそれに合ったバックグラウンドミュージックや波の音などのバックサウンドを流すための指令を行う。さらに、このコントローラ9は、手動選択スイッチ8によって手動選択されるドライバーまたは同乗者の好み(すなわち、選択頻度)を学習し、そのドライバー又は同乗者が好む(すなわち、頻繁に選択する)色彩または模様を優先的に選択する機能を備える。
【0019】
10はメモリー装置であり、このメモリー装置10は、自動車の室内表示装置11の画面に表示する各種の色彩、各種模様及びそれに対応するバックグラウンドミュージックや波の音などのバックサウンドを記憶する装置である。
【0020】
12は音声発生装置であり、この音声発生装置12は、スピーカーを設け、自動車の室内表示装置11に表示の色彩又は模様に合わせて選択されたバックグラウンドミュージックや、波の音などのバックサウンドを流す。
【0021】
図2は本発明の実施例を示す室内表示装置を施した自動車の上面模式図、図3はその正面模式図、図4はその側面模式図である。
【0022】
これらの図において、20は自動車、21は8輪の車輪、22はフロントガラス、23はハンドル、 24は前ドア、25は後ドア、26は前部座席、27は後部座席、28は後部トランク、29はドライバー、30は同乗者、31は幅が10〜20cmの帯状の液晶画面であり、ダッシュボード装着用部分32、左右の前ドア装着用部分33及び後ドア装着用部分34、およびピラー(柱状)装着用部分35,36,37(フロントガラス22と前ドア24との間のフロントピラー装着用部分35,前ドア24と後ドア25との間のセンターピラー装着用部分36,後ドア25の後部のリアピラー装着用部分37)などの複数の部分に分割されており、それら全てを装着した状態で、全体としてドライバー及び同乗者を囲む略環状を形成する。
【0023】
次に、外部環境又はドライバーの気分と自動車の室内表示装置11に表示する色彩・模様との関係について説明する。
【0024】
この関係は、あくまで一例であり、ドライバー又は同乗者の好みに合わせて、適宜設定することができる。
【0025】
雨の日には、清々しいムードを創り出す。例えば、渦模様、青又は緑の色彩を表示する。
【0026】
暑い日には、涼しいムードを創り出す。例えば、波模様、水玉模様及び寒色系の色彩を表示する。
【0027】
寒い日には、暖かいムードを創り出す。例えば、橙色などの暖色系の色彩を表示する。
【0028】
気分が沈んでいる時には、気分を盛り上がらせる雰囲気を創り出す。例えば、赤色の色彩を表示する。
【0029】
ゆったりした気分になりたい時には、例えば、クリーム色又は薄緑の色彩を表示する。
【0030】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の自動車の室内表示システムは、外部環境に応じて、予め設定されたコントローラのプログラムに従って表示装置の画面に表示する色彩或いは模様を変更することができ、ドライバー及び同乗者に快適な車内の雰囲気を創り出すことができる自動車の室内表示装置として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施例を示す自動車の室内表示システムのブロック図である。
【図2】本発明の実施例を示す室内表示装置を施した自動車の上面模式図である。
【図3】本発明の実施例を示す室内表示装置を施した自動車の正面模式図である。
【図4】本発明の実施例を示す室内表示装置を施した自動車の側面模式図である。
【符号の説明】
【0033】
1 水滴センサー
2 騒音センサー
3 温度センサー
4 湿度センサー
5 照度センサー
6 車速センサー
7 情報収集装置
8 手動選択スイッチ
9 コントローラ
10 メモリー装置
11 自動車の室内表示装置
12 音声発生装置
20 自動車
21 8輪の車輪
22 フロントガラス
23 ハンドル
24 前ドア
25 後ドア
26 前部座席
27 後部座席
28 後部トランク
29 ドライバー
30 同乗者
31 帯状の液晶画面
32 ダッシュボード装着用部分
33 左右の前ドア装着用部分
34 後ドア装着用部分
35,36,37 ピラー装着用部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)天候、気温、走行場所などの外部環境を検知する検知装置と、
(b)室内に設置され画面に色彩或いは模様を表示する表示装置とを備え、
(c)前記検知装置で検知された外部環境に応じて、予め設定されたコントローラのプログラムに従って前記表示装置の画面に表示する色彩或いは模様を変更することができるようにしたことを特徴とする自動車の室内表示システム。
【請求項2】
請求項1記載の自動車の室内表示システムにおいて、前記表示装置の画面の色彩或いは模様をドライバーまたは同乗者の選択により変更できるようにしたことを特徴とする自動車の室内表示システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の自動車の室内表示システムにおいて、前記表示装置の表示画面を帯状に構成し、該帯状の表示画面をドライバー及び同乗者を囲むように車室内の前面及び側面に配置することを特徴とする自動車の室内表示システム。
【請求項4】
請求項1又は2記載の自動車の室内表示システムにおいて、前記外部環境を検知する検知装置は、温度センサー、湿度センサー、水滴検知センサー及びインターネット等からの情報受信装置を含むことを特徴とする自動車の室内表示システム。
【請求項5】
請求項1又は2記載の自動車の室内表示システムにおいて、前記コントローラはドライバーまたは同乗者が選択する頻度の高い色彩または模様を優先的に選択する学習機能を有することを特徴とする自動車の室内表示システム。
【請求項6】
請求項1又は2記載の自動車の室内表示システムにおいて、前記画面に表示する色彩は、赤色、青色、緑色、水色などの単一色であることを特徴とする自動車の室内表示システム。
【請求項7】
請求項1又は2記載の自動車の室内表示システムにおいて、前記画面に表示する模様は、波模様、渦模様、水玉模様などの簡潔な模様とすることを特徴とする自動車の室内表示システム。
【請求項8】
請求項1又は2記載の自動車の室内表示システムにおいて、スピーカーを設け、前記画面に表示される色彩または模様に連動して、音楽、波の音などのバックサウンドを出す音声発生装置を設けたことを特徴とする自動車の室内表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−264373(P2006−264373A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−81468(P2005−81468)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年10月19日から平成16年10月24日 ITS世界会議 愛知・名古屋2004日本組織委員会開催の「第11回 ITS世界会議 愛知・名古屋2004」に出品
【出願人】(501045087)
【出願人】(504391190)
【Fターム(参考)】